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ソフトバンクの経営(その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) [企業経営]

ソフトバンクの経営については、昨年12月22日に取上げた。今日は、(その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) である。

先ずは、7月31日付けダイヤモンド・オンライン「ソフトバンク傘下の英アームCEOが語る、孫社長からの“要求” サイモン・シガース(ARM CEO(最高経営責任者))特別インタビュー」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aはシガース氏の回答、+は回答内の段落)。
・ソフトバンクグループが半導体設計大手、英ARMを約3.3兆円で買収することを発表してから約1年。2016年に出荷された半導体177億個にその技術が使われるARMはどう変わったのか。サイモン・シガースCEO(最高経営責任者)を直撃した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
Q:ソフトバンクグループによる買収発表から約1年。ARMにどんな変化がありましたか。
A:買収完了は昨年9月ですが、それ以降、われわれは自らのビジネスにずっと集中できていて、長期的な視点での投資が増えました。 それまでの株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです。
Q:ARMの従業員数が増えているのもソフトバンク効果ですか。
A:そうです、それも投資です。われわれは半導体の技術(IP)を提供する企業で、工場を持ちません。成長エンジンは人なのです。 長期的な成長に向けて、開発者の他にも、次世代のニーズを探るマーケティング担当などを採用しています。もちろん買収されなくても人を雇っていたと思いますが、ここまで多くなかったでしょう。 また、昨年9月以降、ARMも5社を買収していて、その人員増もあります。これまでも企業買収はしてきましたが、ソフトバンク傘下になって加速しています。
Q:企業買収の自由度も高まったということですか。
A:われわれは戦略に基づき買収を実行しています。単に収益を伸ばすためではなく、IoT(モノのインターネット)端末にはどんな技術が必要かといった、技術ポートフォリオの構築を考慮する買収哲学は変えていません。 ソフトバンク傘下になって変わったのは、戦略を素早く実行できるようになったことです。マサ(孫正義氏)はいつも、「Go Fast, Move Quickly(速く進め、素早く動け)」と言っています。
Q:IPの新規ライセンス数が前年から減っています。ソフトバンクの競合企業との契約に、悪影響が出ることはないのですか。
A:ソフトバンクの競合というと、モバイル通信事業者でしょうか。そうした企業とはもともとライセンス契約を結んでいません。われわれが契約を結ぶのは半導体メーカーであり、そこから端末メーカーへと半導体が供給されます。 モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう。 新規ライセンス数の変動には、半導体業界の技術サイクルや、半導体メーカーの経営統合の影響もあります。ソフトバンクに起因したものではありません。
Q:半導体1個当たりのロイヤルティー収入は約5.5セント。孫さんから「もっとロイヤルティーを上げろ」と言われないのですか。
A:昨年の時点で、われわれのビジネスモデルは変えないと表明しています。これまでもパートナーにどれだけの価値を提供できるかでロイヤルティーの価格を決めており、その哲学は変わっていません。
Q:孫さんは「今後20年でARMの半導体が1兆個になる」と力説しています。そのときのロイヤルティー収入のイメージは。
A:今より増えるでしょう(笑)。ただ、あまり具体的に考えたことはありません。例えば半導体のマイクロコントローラが1000億個の時代が到来すれば単価も20セント程度になり、1個当たりのロイヤルティー収入は下がりますよね。 とはいえ、IoTは今後あらゆるエレクトロニクス産業で使われるでしょう。1兆個の半導体が膨大な数の端末に搭載されれば、生成されるデータもかなりの量となり、通信ネットワークの拡張も必要ですし、データを保存するデータセンターも増えるでしょう。IoTの副次的な効果で利用される半導体の数が増えるので、成長マーケットだと考えています。
Q:ARMがソフトバンクを変えていることはありますか。
A:無線通信の分野では、ソフトバンクやスプリントと5GやナローバンドIoTなどのネットワーク接続について連携を取っています。
▽SB、スプリントとIoT接続で連携
+例えば昨年、ナローバンドIoTの規格が標準化団体「3GPP」で決まったのですが、サービスを展開していくにはどのような技術が必要か、課題は何かということをソフトバンクやスプリントと話し合っています。問題を見つけ出して解決しておけば、新たな技術を利用する局面で、より大きな成功ができると考えています。  また、グループが買収した他の企業とも、将来の技術について話し合い、そのフィードバックをわれわれの技術のロードマップに落とし込んでいます。
Q:ソフトバンク・ビジョンファンドとの連携はありますか。
A:ビジョン・ファンドの投資先は、ファンドの投資委員会が決定します。ただ、われわれがソフトバンクグループの一員になったことで、「ビジョン・ファンドを紹介してくれ」と私に接触してくる企業もあります。同じグループなので、紹介が簡単になりました。
Q:ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか。
A:もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね(笑)。実際にファンドが投資するかどうかは別として、技術に革新を起こす企業との出会いからは、さまざまな機会が生まれます。技術の世界がどう変わるかについて示唆を得て、われわれのロードマップに落とし込むことができます。
Q:実際にARMからファンドに紹介した企業はありますか。
A:そこは、コメントできません。
Q:ARMは未来をどう変えていこうと考えていますか。
A:データを収集して適切に処理することが、人類が直面する問題の解決につながります。日本の高齢化など、世界中で人々を手助けできることは数多くあります。 一例としては農業でしょうか。これは大きなチャレンジで、人々の味覚などが洗練され、食物を作るにも巨大なリソースが必要になってきています。そこにセンサーで集めたデータ処理を活用し、例えば殺虫剤の量を最小化することなども技術で実現できます。
+私もマサも、さらに高度なアルゴリズムを活用して、自動車や農業、医療などのさまざまな分野への理解を深めることで、人間の可能性を広げたいと考えています。
http://diamond.jp/articles/-/136834

次に、闇株新聞が8月9日付けで掲載した「ソフトバンクは大丈夫なのか?」を紹介しよう。
・本誌は以前からソフトバンクについて否定的な意見が多すぎるとのご批判がありましたが、ここ2年ほどは否定的な記事をほとんど書いていないはずです。 むしろ昨年6月の株主総会でアローラ副社長(当時)の首を切ったことや、サウジアラビアのムハンマド副皇太子(当時、現皇太子)を巻き込んで10兆円ファンドをまとめ上げたなどの孫社長の行動力は、素直に賞賛していたはずです。
・そのソフトバンクが8月7日に2017年4~6月期連結決算を発表しました。日本の報道ではその記者会見における孫社長の「スプリントを軸に米携帯再編は合意が近い」との発言をそのまま大きく伝えていますが、実は「その発言」も含めていくつか気になるポイントがあります。 そこで久々に、日本の報道がほとんど指摘していないソフトバンクの問題点を取り上げ、表題の「ソフトバンクは大丈夫なのか?」との記事となります。
・まず孫社長の「その発言」からですが、これは7月4日付け「スプリントが米通信・メディアの再編に組み込まれる?」で書いたように、最大のポイントはスプリントの通信設備を米通信・メディアの勝ち組であるケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供し、スプリントがその大規模な通信・メディア再編の中に組み込まれる可能性か出てきたという「大変に夢のある記事」でした。
・実はその独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります。
・つまり今回の記者会見で孫社長は、再びTモバイルとの経営統合に話を戻しているだけですが、そもそもスプリントは時価総額も契約者数もTモバイルを大きく下回っており、経営統合のイニシアティブが取れるはずがありません。
・また常にソフトバンクに好意的な日本の報道では、今頃になって何とスプリントが(あるいはソフトバンクが)チャーター・コミュニケーションズを買収する可能性まで記事にしていますが、最初からそんな話ではありません。ただスプリントの2017年4~6月期のセグメント利益が1319億円と、前年同期比2.9倍となり、ソフトバンク全体の収益をけん引するようになっているのは「さすが」です。
・さて順序が逆になりましたが2017年4~6月期におけるソフトバンクの連結決算は、売上げが2兆1860億円(前年同期比2.8%増)、営業利益が4792億円(同50%増)となっていますが、最終純利益が55億円(同98%減)しかありません。 それについては前年同期にアリババの売却益を2042億円計上しており、今期は逆に2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上したからとしか説明されていません。ソフトバンクは2016年6月にアーム買収資金をねん出するため保有するアリババ株式を79億ドル(8600億円、アリババ全体の4%に相当)売却しています。
・このうち29億ドルは単純売却で、前年同期に計上した2042憶円の売却益となっています。問題は残る50億ドルで、当時のソフトバンクの説明ではこの50億ドルのアリババ株式を担保に資金を調達し、返済は現金かアリババ株式かのどちらかをソフトバンクが選ぶことになっていました。 アリババ株はそこから上昇していますが、それならソフトバンクは資金を現金で返済して値上がりしたアリババ株式をそのまま保有することになるはずで、契約途中の今期に損失計上となるはずがありません。またソフトバンクはこの関連において最終損益は9億ドル(1000億円)の損失となる(だから今期の損失の大半は戻ってくる)と説明しているようですが、その9億ドルは50億ドルの調達期間(たしか3年)の支払金利のような気がします。ドル建ての仕組債なので年6%くらいの支払金利となるはずだからです。
・要するに今期に発生した2571億円の特別損失の説明になっていませんが、そこを指摘する日本の報道はありません。 さらに「ドル箱」の国内通信事業のセグメント利益が2184億円と、前年同期比8.6%減となっています。これは規制に守られた儲け放題の国内携帯電話事業が、ようやく格安携帯などに侵食されはじめたからですが、ソフトバンクの積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要があります。
・さらに10兆円ファンドが5月20日にスタートしており、さっそく今期から連結対象に組み入れ1068億円の評価益(エヌビディアのようです)を計上しています。これは最初から指摘されているファンド出資者との典型的な利益相反となるはずですが、全く気にせず堂々とソフトバンク本体の連結収益に含めています。
・また3兆3000億円で買収したアーム事業も、今期の売り上げが470億円で69億円のセグメント損失となっています。まあこれから大変に大きくなる事業だそうなので、ここはあまり気にしないことにしますが、それでもいろいろな「気になるポイント」が山盛りとなっているソフトバンクの2017年4~6月期決算でした。 引き続き目が離せなくなりました。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2063.html

英アームCEOが、 『株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです』、と述べているのには、技術志向の高成長企業といえども、公開企業の状態では思い切った積極投資がやり難かった、という投資家の短期志向を改めて知らされた。ただ、 『モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう』、というのと、 『SB、スプリントとIoT接続で連携』、というのがどう結び付くのか分かり難かった。 『ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか』との問いに対し、
『もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね』、と回答しているのは、色が着いて利用企業が狭められるより、なるべく広範に多くの企業に利用してもらいたいとの本音だろう。それにしてもアームという素晴らしい企業を抱え込めたものだ。
闇株新聞が、 『スプリントの通信設備を・・・ケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供・・・その独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります』、というのは残念なことだが、一般のマスコミも不都合な事実も伝えて欲しいものだ。 『2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失』を含めた 『今期に発生した2571億円の特別損失』、についても、マスコミはもっと突っ込んだ質問で謎解きをしてほしいものだ。 『積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要があります』、との指摘も今後、注視していきたい。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 闇株新聞 ソフトバンクの経営 (その5)(英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”、闇株新聞:ソフトバンクは大丈夫なのか?) ソフトバンク傘下の英アームCEOが語る、孫社長からの“要求” サイモン・シガース(ARM CEO(最高経営責任者))特別インタビュー 英ARMを約3.3兆円で買収 買収完了は昨年9月ですが、それ以降、われわれは自らのビジネスにずっと集中できていて、長期的な視点での投資が増えました 株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです 従業員数が増えているのもソフトバンク効果 モバイル通信事業者とは、次世代通信規格「5G」の方向性などで対話はしますが、ライセンス契約を結んだことはないですし、今後も結ぶことはないでしょう SB、スプリントとIoT接続で連携 ビジョン・ファンドの投資先企業との連携を期待していますか もっと多くの企業にARMの技術を使ってほしいですね データを収集して適切に処理することが、人類が直面する問題の解決につながります 一例としては農業でしょうか。これは大きなチャレンジで、人々の味覚などが洗練され、食物を作るにも巨大なリソースが必要になってきています。そこにセンサーで集めたデータ処理を活用し、例えば殺虫剤の量を最小化することなども技術で実現できます ソフトバンクは大丈夫なのか? 日本の報道がほとんど指摘していないソフトバンクの問題点を取り上げ スプリントの通信設備を米通信・メディアの勝ち組であるケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供し、スプリントがその大規模な通信・メディア再編の中に組み込まれる可能性か出てきたという「大変に夢のある記事」 実はその独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります 再びTモバイルとの経営統合に話を戻しているだけですが、そもそもスプリントは時価総額も契約者数もTモバイルを大きく下回っており、経営統合のイニシアティブが取れるはずがありません 2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上 今期に発生した2571億円の特別損失の説明になっていませんが そこを指摘する日本の報道はありません ソフトバンクの積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要 10兆円ファンド 連結対象に組み入れ1068億円の評価益(エヌビディアのようです)を計上 初から指摘されているファンド出資者との典型的な利益相反となるはずですが、全く気にせず堂々とソフトバンク本体の連結収益に含めています
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日本の政治情勢(その6)(大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ、「国家の破綻が近い」福田元首相が安倍政権を痛烈批判、ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦に) [国内政治]

日本の政治情勢については、7月8日に取上げたが、今日は、(その6)(大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ、「国家の破綻が近い」福田元首相が安倍政権を痛烈批判、ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦に) である。

先ずは、7月10日付け日刊ゲンダイ「大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは大谷氏の回答、+は回答内の段落)。
▽読売の前川報道は「ワケアリ」が一目瞭然
・「巨大な権力者に批判的な目を向け、説明責任を果たさせる」――。今年1月の任期最後の会見で記者団に向かってこう訴えたのは米国のオバマ前大統領だった。不都合な報道を「フェイク(偽)」と批判するトランプ大統領を意識し、メディアの権力監視の重要性を強調したのだが、この言葉を日本メディアはどう受け止めただろうか。第2次安倍政権発足後、政権に辛口のテレビコメンテーターは次々と姿を消し、大手紙では以前と比べて政権批判の記事が減ったといわれる。最近では、前川喜平前文科次官の出会い系バー通いを報じた読売新聞に対し、「官邸の意向」との批判も出たが、今のメディアの体質を気骨のジャーナリストで元読売新聞記者の大谷昭宏氏はどう見ているのか。
▽政権中枢と会食するならなれ合いになるな
Q:読売新聞の「前川前次官 出会い系バー通い」の記事について「官邸の意向を受けた前川潰し」との批判が出ました。読売OBとして、あの記事をどう見ましたか。
A:すぐに「マル是」(絶対外せない是非モノ)、「ワケアリ」と分かりました。というのも私は仕事の関係で東京大阪を行ったり来たりしていて、東京では東京本社版、事務所や自宅のある大阪では大阪本社版を読んでいます。東京、大阪の紙面はふつう、ガラリと違います。 例えば、都議選のアンケート結果を大阪版に大きく載せても意味がないし、逆に兵庫知事選のアンケートを東京版に入れても仕方がない。どちらかがベタ扱いなど、記事の大きさ、掲載場所、見出しは全く異なります。ところが、あの記事は東京、大阪、西部本社など、いずれの紙面でも記事の配置、見出し、行数が同じ。こんな偶然はあり得ず、読売関係者が見れば一目で「マル是」「ワケアリ」。おそらくトップの意向だったのでしょう。
Q:「官邸の意向」が働いたと思いますか。
A:前川さんは1月に出会い系バーに通っていることを官邸から注意されていました。それがなぜ、5月の段階で表面化したのか。しかも、あの記事が出て、他紙やテレビは「通っていた歌舞伎町の店はどこだ」となったわけですが、歌舞伎町の出会い系バーなんて数百店舗あるのに、各社そろって同じ店に取材に駆け付けたのです。なぜそんなことができたのかといえば、官邸から伝わったからとしか考えられません。そうでなければ、多くの記者が歌舞伎町の出会い系バーを片っ端から走り回って大変なことになっていたでしょう。官邸筋がスキャンダル記事を書かせることで前川さんの“口封じ”を図った。そう考えるのが自然です。
Q:メディアが権力に迎合して個人攻撃の記事を掲載したとすれば恐ろしい話ですが、メディアの幹部が安倍首相と頻繁に会食していることも背景にあるのでしょうか。
A:お義理で、というのか定期的なのか分かりませんが、私はメディアの幹部が安倍首相と会食しても構わないと思っています。問題は食事をしたからといって、それで筆が折れるようではどうしようもないということです。極端な話、安倍首相と毎晩、食事したっていい。ヘトヘトになるまで付き合って、そこで「あなたの本音はどこにあるのか」と徹底的に聞き出せばいいのです。それが、「今度の憲法記念日にはぜひ、総理のお話を載せたい。国会でその記事を熟読して、と言っていただけると大変ありがたい」――ということが仮にあったとすれば、それは単なるなれ合い。政権もメディアもお互いの距離感が分からなくなっているのだと思います。
▽取材先のためにもダメな部分を指摘する
Q:かつての大阪読売社会部「黒田軍団」でスクープ記事を連発した敏腕記者から見て、今のメディアの記者はどう映っていますか。
A:メディアが斜陽産業と言われて久しいわけですが、それでも例えば、テレビ局は8000~9000人が採用試験に応募し、激烈な試験を越えた局員が入社してきます。ところが、何をしたいのかを聞いても答えが返ってきません。つまり、メディアに就職することがゴールになっている。 我々の世代は、何が何でも新聞記者になって、その次にどんな記者を目指すのか――ばかりを考えていました。就職イコール出発点だったのです。言葉は悪いが、伸びしろのあるバカもたくさんいたわけですが、今はそういう大化けするバカがいなくなりました。ある意味、“完成形”で入社してくるため、社会悪と闘おうという気はないのでしょう。反権力なんて意識はもともと持ち合わせていないのではないかとも思います。
Q:サツ回り(警察担当)から始まり、その後、官公庁を担当する記者の教育システムが権力寄りの記者を生む、との指摘もあります。
A:私は記者生活のほとんどが警察担当でしたが、爪と牙を抜かれて羊のようになったかといえば、そんなことはありません。ある大手紙の記者は「我々は取材先を大事にする。しかし、その取材先が腐っていて、インチキな情報を流したとすれば我々も同じように100%腐ってしまう」と言っていました。コンピューターウイルスの感染と同じようなもので、ダメなことはダメだときちんと指摘する。それが記者と取材先の本来の関係というわけです。取材先が怒るから書かないのではなく、取材先を大事にしているからこそ、書かないといけない。(権力寄りと言われる記者は)それが分かっていない。
Q:官邸の記者クラブでは、東京新聞の女性記者が菅官房長官に繰り返し厳しい質問をしたためにクラブの記者から注意されたとの話もありました。記者クラブについてはどう考えていますか。
A:排他的になっていたり、女性記者の質問を他社が抑えつけたりしていたとすれば、それは記者クラブの問題というよりもクラブ員側の問題だと思います。要するに運用の仕方です。どうも(クラブの置かれた場所の)取材先が便宜を図ってくれているとカン違いしているのではないか。だから(記者発表が予定されている内容を示す)黒板協定を守らなきゃいけないと思っている。しかし、日本新聞協会が認めている唯一の協定は「誘拐報道協定」しかありません。黒板協定なんて守る必要はないのです。
+記者クラブ制度が悪いというより、(取材対象の発言をテキスト文書にまとめる)トリテキが仕事だと思っている記者たちが、今のクラブの在り方で本当にいいのか考えるべきなのです。そして、どんどんオープンにすればいい。フリー記者の厳しい質問で、(今村雅弘復興)大臣のクビが飛んだじゃないですか。トリテキのクラブ員だけの会見だったら、あんなに面白いことは起きませんよ。
Q:特定秘密保護法、安保法、共謀罪……。いずれも安倍政権が世論を無視して強行採決で成立させた法律ですが、大手メディアは一応、反対の姿勢は取るけれども、アリバイ的というのか、どこか腰が引けていますね。
A:今の現有勢力から見れば、法案が委員会審議に付託された段階で通ったも同然です。そういう意味では、抵抗することの意味が記者の間で分からなくなっているのかもしれません。しかし、どうせ通るのだからと考えているのだとしたら、口も目も耳もふさがれたも同然ではないか。
▽安倍首相は戦後最悪の宰相
Q:そこでジャーナリストの鳥越俊太郎氏らと一緒に議員会館や日本記者クラブなどで反対集会を盛んに開いているのですね。
A:「60年安保」や「70年安保」が今も語り継がれているように、世論に訴えることに意味がある。例えば国民の内心にまで踏み込む共謀罪については、「こんな危ないものを通していいのか」「通った時は大変なことになる」と国民に訴えていかなければならない。危ないということをアピールする必要があるのです。
Q:あらためてジャーナリズムとは何だと思いますか。
A:この仕事を約50年やっていますが、ジャーナリズムが何かというのは今でも分かりません。ただ、あまたある仕事の中で、なぜ記者になったのか、何のためにやっているのかを問い続けるしかないと思っています。安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/208916/1

次に、8月3日付け日刊ゲンダイ「「国家の破綻が近い」福田元首相が安倍政権を痛烈批判」を紹介しよう。
・福田康夫元首相が2日、共同通信のインタビューに応え、「国家の破滅が近い」と語り、安倍政権を痛烈に批判した。 加計・森友問題に関連して、福田氏が厳しく指摘したのが、安倍政権が2014年に発足した内閣人事局によって幹部官僚の人事を掌握したことだ。 「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」との認識を示し、「政治家が(官僚の)人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」と指摘した。
・また安倍政権の運営が安定していたのは条件に恵まれていただけだと酷評した。「(自民党内に)競争相手がいなかっただけだ。(脅かすような)野党もいないし、非常に恵まれている状況だ」と分析。「そういう時に役人まで動員して、政権維持に当たらせてはいけない」と批判した。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/210731

第三に、8月15日付け東洋経済オンライン「ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦になる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・お盆休みに入った永田町で多くの政界関係者が口にするのが「ポスト安倍」絡みの話題だ。夏前までは既定路線化していた安倍晋三首相の自民党総裁3選への"一本道"が一転"迷路"と化し、1強政権の前に"音無し"だった自民党内にも来年9月に向けた「権力闘争」の蠢(うごめ)きが顕在化してきたからだ。
・首相が断行した8月3日の内閣改造・自民党役員人事を境に、いわゆる総理・総裁候補の顔ぶれが多様化し、岸田文雄政調会長、石破茂元地方創生相の"2強"に加え、初の女性首相を目指す野田聖子総務相や「ポスト・ポスト安倍」を視野に入れる河野太郎外相が総裁選出馬への意欲を示した。 今回の安倍人事で一気に「本命」にのし上がったとされる岸田氏は来年9月の総裁選出馬について「1年後のことなど、誰にもわからない」と煙幕を張るが、孤立化がささやかれる石破氏の出馬への決意は固く、野田氏も「必ず出る」と明言しており、安倍政権の"寿命"も絡んでの神経戦が熱を帯びる。
▽「秘蔵っ子」稲田氏脱落、「異端児」河野氏浮上
・1年前の第3次安倍再改造内閣発足後には、石破、岸田、野田3氏に次いで名前が挙がったのは稲田朋美元防衛相だった。首相自らが「将来の有力な女性首相候補」と肩入れする秘蔵っ子だったからだ。しかし、南スーダンPKO部隊の日報隠蔽問題などで「政治家としての資質に疑問符がつく言動」(自民幹部)を繰り返して防衛相辞任に追い込まれた時点で「ポスト安倍番付」から姿を消し、入れ替わるように自民党の異端児と呼ばれる河野氏が浮上した。
・このため、「ポスト安倍」候補の永田町的呼び名は1年前の「石田聖美」から、実現可能性も加味しての「岸破聖太郎」に変わった。いうまでもなく岸田、石破両氏の姓と野田、河野両氏の名を組み合わせたもので、競馬予想になぞらえれば「本命・岸田、対抗・石破、穴・野田、大穴・河野」といった意味合いだ。
・この4氏の自民党総裁選とのかかわりをみると、石破氏は2008年と2012年の2回、総裁選を戦い、河野氏も2009年に出馬している。野田氏も前回2015年総裁選で出馬を目指したが、あと一歩のところで断念を余儀なくされた。ところが岸田氏は名門派閥・宏池会(岸田派)の領袖なのに、同派所属の林芳正文科相の2012年総裁選への出馬を横目に、まだ1回も出馬どころか出馬準備もした形跡がない。
・自民党総裁選史をひもとくと、初出馬で総裁の座を射止める「一発勝負」型と、複数回の挑戦を経て頂点にたどり着く「一歩一歩」型に大別される。最近の総裁では安倍首相や福田康夫元首相は前者で、麻生太郎元首相(現副総理兼財務相)や小泉純一郎元首相は後者だ。したがって、仮に次期総裁選に岸田氏ら4氏が出馬すれば、岸田、野田両氏が「一発」組、石破、河野両氏が「一歩一歩」組として競い合う形となるわけだ。
▽「岸・石対決」は大派閥連携で岸田氏有利?
・もちろん、総裁選出馬には「本人を除く20人の推薦人」という条件に加え、派閥単位の合従連衡なども重要な要素となる。このため、永田町では「ポスト安倍の総裁選は結局、派閥領袖の岸田、石破両氏のマッチレースになる」(自民幹部)との見方が多く、出馬を狙う野田、河野両氏はまず、推薦人確保に苦闘することになりそうだ。
・では、現状での「岸田・石破対決」の形勢をみると、「党内に敵をつくらない"全方位型"の岸田氏が、敵の多い"一匹狼型"の石破氏より有利」(自民幹部)との分析がもっぱらだ。 宏池会のプリンスで「党内ハト派の代表選手」とも位置づけられる岸田氏は、政治路線が重なる額賀派との交流も深め、党内第2派閥の麻生派も宏池会の系譜にあることから「派閥の合従連衡」による総裁選なら優位に立つ可能性は大きい。対する石破氏は、自民離党後は政党を渡り歩き、復党後も所属した額賀派から抜け出し、党内無派閥組を糾合して小派閥の石破派を結成しただけに、大派閥主導の総裁選となれば劣勢なのは否めない。
・今回の人事で首相があえて岸田氏を党3役に起用したのは「個人的にも親しい岸田氏への禅譲路線をちらつかせることでの求心力強化と、安倍批判を繰り返す石破氏を孤立化させる」(自民長老)との思惑があったとみられている。
・仮に、首相が総裁3選を断念して岸田氏への「禅譲」でキングメーカーを狙う場合は、額賀、麻生両派に最大派閥の細田派や幹事長派閥の二階派も加わった「大派閥連携」を画策すると見る向きは少なくない。その場合、石破氏は党内の反安倍勢力を糾合する一方、2012年総裁選で首相を圧倒した地方票での戦いを余儀なくされるが、「数の争いでは極めて劣勢」(自民幹部)となることは避けられない。
・第2次安倍政権発足時に党内ナンバー2の幹事長に就任した石破氏は、その後の地方創生担当相や"浪人時代"も含めて、熱心に地方行脚を続けてきた。このため「地方に行けば石破氏の人気は高く、外相として海外を飛び回っていた岸田氏の知名度不足は否めない」(岸田派幹部)のが現状だ。 しかし、これからは政調会長の職務として各県連や地方ブロックでの会議に出席するため、岸田氏に弱点克服の機会が増大するのは間違いない。
・しかも、永田町での「岸田本命説」の広がりを受けて、テレビの情報番組を含めたメディアへの同氏の露出が激増しており、内閣支持率急落で"反安倍"的コメントを求めるメディアの期待に応えてきた石破氏の出番は減り始めている。  その一方で「女性首相候補ナンバーワン」(自民幹部)に返り咲いた形の野田氏や、「将来のホープ」(政府首脳)の河野氏もメデイアへの露出度は急増している。ただ、いまのところは"サプライズ閣僚"としての出演が多く、「ポスト安倍」を前提とした企画での出番は少ない。
▽「安倍3選」はなお既定路線に
・ただ、こうした「ポスト安倍レース」の構図に決定的な影響を与えるのが次期総裁選での「安倍3選」問題だ。党内を制圧してきた1強体制には陰りがみえるものの、首相自身の続投意欲に変化はみられない。  今回の岸田氏重用人事は「安倍3選と4年後の総裁選での岸田支持のバーター」(細田派幹部)との見方が多く、人事前の安倍・岸田会談では「首相が総裁選に出馬すれば岸田氏は首相支持に回ることで合意した」(首相側近)という"密約説"が永田町に流布されている。この点について岸田氏は「1年後のことなど今から明言できない」とかわし、岸田陣営でも「総裁争いの歴史をみても禅譲説など信ずるほうがおかしい」(側近)との声が少なくない。岸田氏も「総理・総裁は堂々と戦って勝ち取るもの」と周辺に語る。
・そもそも、首相が3選を断念するケースとしては、(1)総裁選前の解散・総選挙で惨敗する、(2)アベノミクスが失敗し、憲法改正も実現困難となって続投の意欲をなくす、などが想定される。したがって、首相がなお改憲実現に執念を燃やし、解散・総選挙は総裁3選後に断行するとの見方が多い現状では、なお「首相続投」が既定路線だ。その一方で「加計・森友疑惑」で首相の関与を示す決定的材料が出た場合や、10年前と同じ体調を崩しての途中退陣となれば、話し合いでの「麻生暫定政権」も浮上する可能性がある。
・このため、来年9月の総裁選が党則どおり実施される場合には「ポスト安倍は安倍」となる可能性はなお大きい。ポスト安倍が4年後の総裁選に持ち越されれば岸田、石破両氏ら4人の有力候補に加えて、国民的人気を誇る小泉進次郎筆頭副幹事長の挑戦や、小池百合子東京都知事が国政復帰しての参戦も想定され、「群雄割拠の大乱戦」にもなりかねない。小泉氏も講演などで「日本は20年の東京五輪後に大きな変革期を迎え、政治も大きく変わるので若い世代の出番となる」と決意を隠さない。
▽ネットでもてはやされる動画 「ABE IS OVER」
・ここにきてネットでもてはやされている動画がある。題名は「ABE IS OVER」。ひと昔前の大ヒット曲「ラブ・イズ・オーバー」の替え歌で、「ABE IS OVER 遅すぎたけど 終わりにしよう 切りがないから……」で始まり、サビの「……誰に代わっても忘れはしない きっと最後のファシストと刻むから」と続く。
・2年前の夏の国会周辺での安保法制反対デモの映像と、首相の苦渋に満ちた表情がかわるがわる背景映像として大写しになる。こうした政治風刺の動画はいくらでもあるが、皮肉たっぷりな歌詞と物悲しいメロデイが視聴者の感性に訴え、クリック数が激増しているという。
・首相は1強が揺らぎ始めた通常国会閉幕後の6月下旬、党役員会で「築城3年落城1日」と自らを戒めた。「出直し人事」で内閣支持率は持ち直したが、不支持理由の「首相が信頼できない」は減らないままだ。 首相はお盆休みの前半には半年ぶりに地元入りし昭恵夫人とともに父・故安倍晋太郎元外相の墓参りや地元支援者との交流に精を出し、亡き父の墓前では「初心に帰り、謙虚に誠実に丁寧に全力を尽くす」と報告した。しかし、お盆前に行われた日報問題に関する衆参両院閉会中審査に首相は出席せず、自民党は疑惑の中心人物の稲田元防衛相の参考人招致にも応じなかった。
・これから1年、永田町の政局談議はポスト安倍が中心となるが、「3選」「禅譲」「派閥の合従連衡」など国民とは無縁の"永田町用語"ばかりが飛び交う状況になれば「解散総選挙も含めて、総裁選どころか、もう一度政権交代の悪夢が現実になる」(自民長老)ことにもなりかねない。
http://toyokeizai.net/articles/-/184436

第一の記事で、大谷氏が 『読売の前川報道は「ワケアリ」が一目瞭然』、 『安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです』、との指摘はその通りだ。
第二の記事で、 福田元首相が 『安倍政権が2014年に発足した内閣人事局によって幹部官僚の人事を掌握・・・「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」との認識を示し、「政治家が(官僚の)人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ』、と極めて的確に「手厳しく批判している。しかし、自民党にとっては、元首相といえどももはや「過去の人」で、影響力を持たないとすれば、それは自民党にとっても不幸なことなのではなかろうか。
第三の記事の終わりの部分で、 『ネットでもてはやされる動画 「ABE IS OVER」』、を紹介していたので、観てみたところ、極めて良く出来た傑作であった。言葉で説明するより、時間は4分38秒なので、是非、下記リンクをご一覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=p1HoGVQjhbY
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 日本の政治情勢 (その6)(大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ、「国家の破綻が近い」福田元首相が安倍政権を痛烈批判、ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦に) 大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ 読売の前川報道は「ワケアリ」が一目瞭然 第2次安倍政権発足後、政権に辛口のテレビコメンテーターは次々と姿を消し、大手紙では以前と比べて政権批判の記事が減ったといわれる 前川喜平前文科次官 出会い系バー通いを報じた読売新聞 「マル是」(絶対外せない是非モノ)、「ワケアリ」と分かりました おそらくトップの意向 官邸筋がスキャンダル記事を書かせることで前川さんの“口封じ”を図った。そう考えるのが自然です 取材先のためにもダメな部分を指摘する 記者生活のほとんどが警察担当 記者クラブ制度が悪いというより、(取材対象の発言をテキスト文書にまとめる)トリテキが仕事だと思っている記者たちが、今のクラブの在り方で本当にいいのか考えるべきなのです 60年安保」や「70年安保」が今も語り継がれているように、世論に訴えることに意味がある 安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです。 「「国家の破綻が近い」福田元首相が安倍政権を痛烈批判」 福田氏が厳しく指摘したのが、安倍政権が2014年に発足した内閣人事局によって幹部官僚の人事を掌握したことだ 「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」との認識を示し、「政治家が(官僚の)人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」と指摘した 安倍政権の運営が安定していたのは条件に恵まれていただけだと酷評 そういう時に役人まで動員して、政権維持に当たらせてはいけない」と批判 ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦になる 内閣改造・自民党役員人事を境に、いわゆる総理・総裁候補の顔ぶれが多様化 秘蔵っ子」稲田氏脱落、「異端児」河野氏浮上 1年前の「石田聖美」から 「岸破聖太郎」に変わった 岸田、野田両氏が「一発」組 石破、河野両氏が「一歩一歩」組 安倍3選」はなお既定路線に ネットでもてはやされる動画 「ABE IS OVER」 ABE IS OVER https://www.youtube.com/watch?v=p1HoGVQjhbY
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クールジャパン戦略(その5)(経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子が炎上、中国で日本の介護会社が苦戦 「日式」の強みを生かせない理由) [経済政策]

クールジャパン戦略については、2月7日に取上げたが、今日は、(その5)(経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子が炎上、中国で日本の介護会社が苦戦 「日式」の強みを生かせない理由) である。

先ずは、4月8日付けZAKZAK「経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子が炎上 あまりの持ち上げぶりに「日本らしくない」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・外国人向けに日本の魅力を発信するために経済産業省がまとめた冊子に非難が集まっている。伝統工芸などを紹介しつつ、職人の技を支える日本人の特徴を分析する内容で、匠の精神が中高生の部活動にまで根付いていると称賛している。ウェブ上では「謙虚さを世界に知らしめるってもはや謙虚じゃない」などという声が上がっている。
・8日に経産省が発表した「世界が驚くニッポン!」と題された冊子には、東日本大震災でみられた助け合う姿や四季を大事にする自然観などを「和を以て貴しとなす」と説いた十七条の憲法まで持ち出して、「世界は、日本に驚いている!」と大絶賛する。ものづくりやサービス業の振興につなげるクールジャパン戦略の一環で、「新しい日本らしさを再定義し、発信していく」ことを目的としている。
・冊子が公表されると、インターネット上では侃々諤々の議論が巻き起こった。「謙虚な姿勢では商売はできない」「ここまでしないと外国には伝わらない」という好意的な意見もあったが、「自らをクールって自慢するのは日本らしくなくてカッコ悪い」「奥ゆかしいって言葉知らないのかな」などという批判が目立つ。
・冊子には「部活動に励む少年少女は、監督やコーチの指導のもと、懸命に練習に打ち込み、全力を心掛け、何より礼儀作法を教え込まれる。ここには、単純な技能向上としての訓練を超えた、『道』の精神が宿っている」と記述されている。 連日、甲子園球場(兵庫県西宮市)で熱戦が繰り広げられた高校野球もクールジャパンのフィルターを通せば、違ったものに見えてくるらしい。1月の有識者会議では、委員の1人が、中国人など外国人を案内したときに最も喜ばれるのが、中学高校の部活動だと主張した。
・全員丸刈りでそろえ、一列に並んで素振りをする野球部の練習風景が、武道や茶道など、神髄を突きつめていく“道”に通じるのだとか。記者の率直な感覚だと、子供のころ、カンフー映画でみた中国拳法を修行する様子の方がしっくり来る気がして、日本独自の文化といわれてもピンとこない。
・ちなみに、会議では日本野球機構(NPB)の理事も務める委員から「メジャーリーグ関係者からは日本の高校野球は『選手を酷使している』と評判が悪い。高校野球の記述は外していただきたい」と注文が入った。冊子には部活動の具体例は載せられていない。
・確かに、日本の産業を盛り上げる営業マンとして、あの手この手を使って情報を発信するのが、経産省の大きな役目だ。存続の危機にひんした伝統産業を救い、見直すことで、停滞気味の製造業の立て直しにつなげようという意気込みは理解できなくもない。 とはいえ、国民感覚とかけ離れた行きすぎた情報発信は逆効果になる。最近では、2025年国際博覧会(万博)の誘致検討委員会で、報告書の一部を「関西弁」に翻訳して、ひんしゅくを買った。万博の役割を「『人類共通のゴチャゴチャを解決する方法』を提案する」として、公開からわずか1日で撤回された。
・慣行にとらわれない柔軟な発想が売りの経産省だが、日本のよさを外国人が手放しでほめるテレビ番組と同じようなノリで大丈夫かといいたくなる。この手の自画自賛は、お茶の間で気楽に見るくらいがちょうどいいのかもしれない。(経済本部 高木克聡)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20170408/dms1704081530005-n1.htm

次に、8月4日付けダイヤモンド・オンライン「中国で日本の介護会社が苦戦、「日式」の強みを生かせない理由」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは王青代表の回答、+は回答内の段落))。
・一人っ子政策が長く続いた中国は、将来的に高齢者率が高まり、介護市場の急増が予測されている。一方、日本では高齢者率は高まるものの、人手不足や保険財政の制約などから介護事業者にとっては厳しい経営環境が続いている。このため、中国の介護市場に進出する日本の介護事業者が増えつつあるが、苦戦する企業が少なくないという。その実情や理由などを日中の介護事情に詳しい日中福祉プランニングの王青代表に聞いた。(ダイヤモンド・オンライン編集部 山本猛嗣)
▽「日式介護」の強みはまったく発揮できていない
Q:最大手のニチイ学館をはじめ、日本の介護事業者は介護市場の需要増が見込まれる中国に相次いで参入していますが、現状は厳しいと聞いています。実態はどうなのでしょうか。
A:正直なところ、現在の状況は、非常に厳しいと言わざるをえません。中国で展開する多くの日系企業が赤字で、苦戦しています。4年ほど前にオープンしたある日系企業が運営する老人ホームもやっと入居率が80%に上がってきたところです。通常ならば、2年程度で90%を超えなければ、収益面で厳しいところですが、ずっと50%程度の状況が続いていたようです。
Q:とはいえ、他国に先んじて高齢化社会を迎えている日本の介護のレベルは高く、中国をはじめアジア各国からは日本の介護施設などの見学は絶えません。いわゆる「日式介護」は注目されていると聞きます。
A:残念ながら、現在の中国では、日式介護の強みはまったく発揮できていません。ある日系企業の老人ホームがオープンした際、多くの中国人の介護関係者も見学しましたが、「この程度なのか」と驚いていたのが印象的でした。 確かに、日本国内で日本の介護施設を見学した中国人は、「日式介護は素晴らしい」と絶賛します。私も素晴らしいと思います。ところが、現在の中国国内での状況を見ると、まったく差別化できていません。例えば、建物や間取り、内装などのハード面は、日本と同じなのですが、肝心のスタッフやサービスの質というソフト面では、イマイチな状態なのです。
+介護職員の資格は、大きく分けて初級、中級、高級と3段階に別れていますが、この日系企業が運営するホームの介護職員の資格を見ても、中級、高級レベルの高いレベルの資格を持つ職員は少なく、人気も乏しいのが現状です。
▽マーケティング不足に加え制度や習慣・文化の違いで苦労
Q:日本の介護事業者が「日式介護」の強みを発揮できず、中国で苦労している理由は何なのでしょうか。
A:まず、明らかなマーケティング不足という点が見られます。冒頭で述べた老人ホームもそうですが、場所が都市部からクルマで1時間以上離れているなど立地が極端に悪いケースが見られます。なので、入居者はもとより、介護のスタッフも集まりにくい。 現地での合弁先企業を見ても、不動産会社やホテル、IT企業などの異業種の企業が目立ちます。介護の実態を知らないパートナー企業の意見を聞けば、上手くいくはずもありません。
+次に、日本と中国の制度面の違いがあります。日本にはきちんとした社会保障制度と介護保険があり、それを前提とした事業を展開しています。しかし、中国には十分な社会保障制度がありません。 例えば、日本の介護施設などには人員配置基準というものがあり、最低限の人員を配置しなければ、事業を継続できませんが、中国にはなく、1人の介護職員で日本の2~3倍の入居者をみているのが実情です。 では、日系企業が中国で日本と同じ人員配置基準で運営できるかといえば、コストや採算性などを考えるとなかなかできません。
+習慣や文化などの違いも大きいと思います。例えば、日本の介護では、なるべく健康で動ける状態を維持しようとする「自立支援」という考えが前提にあります。このため、食事やトイレを含め、高齢者が自分でできるのなら、身体機能維持のために、なるべく自分でやってもらうという考えが根底にあります。 しかし、この「自立支援」という考えを理解できる中国人はまだまだ少ない。多くの中国人は「親に楽をさせたいから入れる」という考えがあるため、せっかく高いお金を払って老人ホームに入れたのだから、「身の回りの世話は、介護スタッフがすべてやるもの」という意識が強いのです。
+入浴も日本人は大好きですが、中国人は基本的にシャワーで十分という人が多い。介護スタッフが苦労して入浴させれば、日本人の高齢者はとても喜びますが、中国人はそれほど価値を感じません。
Q:日本の介護事業者の中には、日式介護というブランドを生かすため、中国の富裕層にターゲットを絞り、ビジネスを考えているケースも多いようです。
A:そう簡単ではないと思います。というのも、中国の富裕層は、日本とはレベルが格段に違い、建物や部屋、設備などは日本では考えられないほど豪華なものを好みます。日本の富裕層とは、趣味や趣向がかなり異なるのです。 日本で富裕層向けの老人ホームを見ると、皆、建物や内装は簡素で上品な感じです。中国人富裕層から見ると、物凄く地味に感じてしまうのです。
+私は以前、中国からの見学者を連れて、日本で入居一時金が1億円を超える超高級老人ホームを案内したことがあります。上品で素晴らしいホームでしたが、案内した中国人の方は「中国の感覚で見ると、狭いし、地味。中国人富裕層は満足しないだろう」と感想を述べていました。日本人の感覚とは、かなり違うのです。
▽日本の介護の強みは「認知症ケア」と「リハビリ」
Q:では、日本の介護事業者が中国で成功するのはどうしたらよいのでしょうか。
A:繰り返しますが、現在は日本の介護の凄さや強みがまったく生かせていない状況です。日本の介護会社が中国にはない強みを自覚し、中国で社会保障制度が整ってくれば、状況も変わると思います。
+日本の介護の強みとは、ズバリ「認知症ケア」と「リハビリ」です。 認知症ケアは、中国は日本よりも30年以上も遅れているイメージです。中国では認知症は完全に病人扱いであり、認知症の症状を薬漬けにして抑えているのが実情です。日本のように、認知症高齢者が自宅や介護施設で介護を受けながらも、ほぼ普段通りの生活を送るというのは、考えられないことなのです。
+日本の介護施設を見学した中国人が認知症高齢者の様子を見たり、介護スタッフの話を聞くと、まさに「目から鱗が落ちる」思いをするようです。一様にとても驚き、感動します。 日本で生まれ育った中国人男性が中国の介護施設で施設長となり、日本式の認知症ケアを広めるために、中国人の介護スタッフに指導しているという話を聞いたことがあります。当初は「そんなことはできない」と相手にしていなかった中国人介護スタッフがだんだんと認知症ケアの効果や素晴らしさを実感し、現在ではとても協力的になって率先してやっているそうです。
+また中国には、日本のデイケアのような通所のリハビリ施設というものがほとんどありません。リハビリは、やれば確実に効果が出るので、「自立支援」という理念や考え方もリハビリを通じて啓蒙すれば、広げることができます。 認知症ケアもリハビリも効果が目に見えるので、非常にわかりやすいのが特徴です。「わかりやすさ」を好む中国人には、訴求しやすいと思います。
▽日本企業が採用した中国人は中国企業に高給で引き抜かれる
Q:日本では介護人材の不足が著しく、官民挙げて外国人の介護人材を積極的に育成し、海外と日本で人材を還流させようという方針があります。日本の介護事業者も中国での展開を少しでも有利に進めるために、中国人スタッフの採用・育成に力を入れるところが増えています。
A:日本の介護会社で働いている中国人は、中国でとても人気があります。日本で採用し育てた中国人スタッフが中国に転勤した途端、中国の介護会社に高給で引き抜かれてしまうというケースが頻発しています。  中国でも介護業界は、日本以上に若い人に人気がなく、人手不足が深刻です。介護先進国である日本で学んだ中国人スタッフならば、ノウハウも吸収できるので、引く手あまたの状態なのです。
Q:最近は日本の介護施設や介護事業者を買収しようと考える中国企業も増えていると聞いています。
A:確かに、最近は私のところでも、中国の投資会社からの相談が増えています。中国企業も手っ取り早く、日本の介護のノウハウを学び、ビジネスを拡大するために、日本の介護会社への資本参加やM&Aを考えても不思議ではありません。 日本の介護事業者に中国企業の資本が入ったという話は、私が聞いた限りでも2件ほどあります。今度、ますます増えるのではないでしょうか。
http://diamond.jp/articles/-/137493

第一の記事にある 『経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子』、を下記リンクを見てみると、日本人のものづくりの背後にある自然観、などをまとめたもので、哲学的な部分が多いとはいえ、 『「部活動に励む少年少女は、監督やコーチの指導のもと、懸命に練習に打ち込み、全力を心掛け、何より礼儀作法を教え込まれる。ここには、単純な技能向上としての訓練を超えた、『道』の精神が宿っている」』、などのこじつけも散見される。こんな哲学的で、、外国人が果たして興味を持って読んでくれるかというと、期待薄なのではなかろうか。そういう意味では、『自画自賛』のパンフレットをわざわざ出す意味は厳しく問われなければならない。経産省にも海外への留学や勤務で、海外事情に詳しい人間も少なくない筈だが、どうしてブレーキがかからなかったのか不思議だ。きっと、「美しい日本」にこだわる安部首相への「忖度」なのかも知れない。
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170308001/20170308001-1.pdf
第二の記事で、 『中国で日本の介護会社が苦戦』、 『制度や習慣・文化の違いで苦労』、 『日本で採用し育てた中国人スタッフが中国に転勤した途端、中国の介護会社に高給で引き抜かれてしまうというケースが頻発』、などというのは驚くようなことではなく、当然のことだ。 『中国企業も手っ取り早く、日本の介護のノウハウを学び、ビジネスを拡大するために、日本の介護会社への資本参加やM&Aを考えても不思議ではありません』、というのも、日本のルールに従って事業をする気があるのであれば、大いに歓迎すべきだろう。
タグ:ZAKZAK ダイヤモンド・オンライン クールジャパン戦略 (その5)(経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子が炎上、中国で日本の介護会社が苦戦 「日式」の強みを生かせない理由) 経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子が炎上 あまりの持ち上げぶりに「日本らしくない」 伝統工芸などを紹介しつつ、職人の技を支える日本人の特徴を分析 匠の精神が中高生の部活動にまで根付いていると称賛 ウェブ上では「謙虚さを世界に知らしめるってもはや謙虚じゃない」などという声 新しい日本らしさを再定義し、発信していく」ことを目的 部活動に励む少年少女は、監督やコーチの指導のもと、懸命に練習に打ち込み、全力を心掛け、何より礼儀作法を教え込まれる。ここには、単純な技能向上としての訓練を超えた、『道』の精神が宿っている メジャーリーグ関係者からは日本の高校野球は『選手を酷使している』と評判が悪い。高校野球の記述は外していただきたい」と注文が入った。冊子には部活動の具体例は載せられていない 2025年国際博覧会(万博)の誘致検討委員会 万博の役割を「『人類共通のゴチャゴチャを解決する方法』を提案する」として、公開からわずか1日で撤回 この手の自画自賛は、お茶の間で気楽に見るくらいがちょうどいいのかもしれない 中国で日本の介護会社が苦戦、「日式」の強みを生かせない理由 日中福祉プランニングの王青代表に聞いた 「日式介護」の強みはまったく発揮できていない 日本の介護事業者は介護市場の需要増が見込まれる中国に相次いで参入していますが、現状は厳しいと 中国で展開する多くの日系企業が赤字で、苦戦しています 肝心のスタッフやサービスの質というソフト面では、イマイチな状態 日系企業が運営するホームの介護職員の資格を見ても、中級、高級レベルの高いレベルの資格を持つ職員は少なく、人気も乏しいのが現状 マーケティング不足に加え制度や習慣・文化の違いで苦労 日本にはきちんとした社会保障制度と介護保険があり、それを前提とした事業を展開しています。しかし、中国には十分な社会保障制度がありません 日本の介護施設などには人員配置基準 中国にはなく、1人の介護職員で日本の2~3倍の入居者をみているのが実情 この「自立支援」という考えを理解できる中国人はまだまだ少ない。多くの中国人は「親に楽をさせたいから入れる」という考えがあるため、せっかく高いお金を払って老人ホームに入れたのだから、「身の回りの世話は、介護スタッフがすべてやるもの」という意識が強いのです 中国人は基本的にシャワーで十分という人が多い 中国の富裕層は、日本とはレベルが格段に違い、建物や部屋、設備などは日本では考えられないほど豪華なものを好みます 中国人富裕層から見ると、物凄く地味に感じてしまうのです 日本の介護の強みは「認知症ケア」と「リハビリ」 日本企業が採用した中国人は中国企業に高給で引き抜かれる 中国企業も手っ取り早く、日本の介護のノウハウを学び、ビジネスを拡大するために、日本の介護会社への資本参加やM&Aを考えても不思議ではありません
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北朝鮮問題(その7)(小田嶋氏の見解「ミサイルは飛んでくる、か」) [世界情勢]

昨日に続いて、北朝鮮問題(その7)(小田嶋氏の見解「ミサイルは飛んでくる、か」) を取上げよう。

コラムニストの小田嶋隆氏が8月4日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「ミサイルは飛んでくる、か」を紹介しよう。
・北朝鮮によるミサイル発射という事態に、どうやら私たちは慣れてしまったようだ。 少なくとも私は、かなり頑強な耐性を獲得している。 ニュースを見ても、驚かない。 毎度毎度、定期便が上空を通過するのを見上げているみたいな気持ちで、ニュースの画面を眺めている。
・この数年で地震にビビらなくなった事情と似ていなくもない。 震度3までは、毛ほども動揺しない。 震度4でもまだまだ落ち着いている。 おそらく、そう遠くない将来、最終的な地震が襲ってくるのだとしても、私は、その時までそんなにあわてないのではないかと思う。
・あたりまえの話だが、慣れるということと、危機が去るということは、同義ではない。 危機感が鈍麻しているのだとしたら、むしろ危機は深まっていると考えなければならない。 北朝鮮によるミサイル攻撃のリスクに関して言うなら、われわれが慣れれば慣れるほど、危険度は増している。 危険度が増している理由のひとつは、彼らが打ち上げている飛翔体が、単なる注意喚起のための花火ではなくて、確実なエスカレーションを含んだ実験だということの中にある。 とりわけ、飛距離が伸びている点が深刻だ。
・なんでも、今回のブツは、アメリカ本土に到達する性能を有している可能性があるのだそうだが、ということになると、彼らのプレゼンテーションは、これまでとはひとつ次元の違う危険性を物語っているわけで、これは考えれば考えるほど、しみじみとヤバい。
・個人的には、北朝鮮がいきなりわが国にミサイルを打ち込んでくるとは思っていない。 とはいえ、永遠にこの膠着状態が続くとも思えない。 当面、私が懸念しているのは、アメリカが過剰反応することだ。 トランプ大統領の昨今の言動を見るに、あながち杞憂とも思えない。
・というのも、普通ならやりそうもないことをやらかすのが彼の持ち前であり、トランプさんの政治的な生命線は、何をやり出すのかを、政敵や専門家が読めないところにあるはずのものだからだ。 となると、過剰反応が過剰反応を呼んで、展開次第では、戦争が起こらないとも限らない。 そういうことが起こった場合、火の海になるのは、アメリカではなくて、北朝鮮ならびにその周辺国で、具体的には韓国と、もしかしたら日本ということになる。  これは、あまり考えたくないシナリオだが、だからこそ考えておかねばならない。
・米共和党の重鎮、リンゼー・グラム上院議員がNBCテレビのニュースショーに出演して語ったところによれば、トランプ大統領は、グラム氏に 「北朝鮮がICBMによる米国攻撃を目指し続けるのであれば、北朝鮮と戦争になる」 と語ったのだそうだ(こちら)。 なかなかおそろしい発言だ。 が、本命のおそろしいコメントは、その後だ。 グラム氏によれば、大統領は、続けて 「北朝鮮(の核・ミサイル開発)を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地(朝鮮半島)で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちら(アメリカ)で死者は出ない」 と言っていたらしい。 なるほど。
・トランプ大統領の立場に立ってみれば、自国民が死なないことがわかっている戦争であるなら、始めることをためらう理由はそんなにない、ということなのかもしれない。 もちろん、政治家によるこの種の発言は、はじめからブラフ(ハッタリ、脅し)を含んだものとして、割り引いて考えるべきなのあろうし、実際に戦争をするかどうかは別として、戦争の可能性を排除しない旨を明言しておくことが、外交上のアピールとして不可欠な手順なのですとかなんとか、過剰反応する素人の動揺っぷりに冷水を浴びせることが、そのスジの専門家の大切な仕事でもあるのだろう。
・その文脈からすれば、北朝鮮のミサイル実験とて、大きな意味では、ブラフに過ぎない。 してみると、このお話は、はじめから最後まで茶番なのかもしれない。 とはいえ、歴史の教えるところによれば、茶番劇が戦争を招いた事例はさほど珍しくない。
・「襟首をつかんでスゴんでみせてるだけで、どうせ本気でケンカをする気はないわけだ」 「双方とも、引っ込みがつかなくなってイキってみせてるだけだわな」 「まあ、アレだ。誰かが止めてくれるのを待ってるカタチだよ」 という観察が、まったくその通りなのだとしても、状況が一触即発であることもまた事実ではあるわけで、とすれば、何かの拍子で一方の拳が相手のカラダのどこかに触れてしまったがさいご、乱闘が始まるであろうことも、無視できない可能性として考慮のうちに入れておかなければならない。
・私は、軍事情勢や軍事技術に明るい人間ではない。 国際政治に精通しているわけでもない。 ただ、金正恩氏の人物像と、トランプ氏の精神状態については、彼らが就任して以来、ずっと注意を払ってきたつもりでいる。 その点から考えて、この2カ月ほどのやりとりに、なんだか非常にいやな感じを抱いている次第なのだ。 以下、順を追って説明する。
・交通事故は、二人の下手くそが出会わないと起こらないと言われている。 事故というものは、二人の稚拙な、ないしは不注意なドライバーが偶然同じ道の同じ場所を走っているからこそ発生するものであるわけで、道路を走るドライバーがヘタであっても愚かであっても、その下手くそが単独で下手くそである限りにおいて、典型的な自損事故はともかく、破滅的な事故はそうそう起こらない。
・これはおそらく国際政治においても同じことで、無茶なリーダーや、愚かな指導者が国を動かしているのだとしても、単独では戦争は起こらない。 無思慮な政治家をトップに戴いている国の軍隊が、周辺国を刺激したり、威嚇しているのだとしても、周辺国の政治家がマトモな判断力を保持している限りにおいて、即座に戦争が勃発することはない。
・短期的に見れば、身勝手な軍事的挑発を繰り返す国は、周辺国から譲歩を引き出すことができる。 というのも、軍事的な挑発や威嚇へのとりあえずの無難な対応は、外交上の譲歩以外に見つかりにくいものだからだ。 とはいえ、あたりまえの話だが、国際社会からの孤立と引き換えに入手した暫定的な譲歩が、長い目で見て、利益をもたらすはずもないわけで、とすると、孤立した国家は、最終的には、振り上げた拳を降ろして平伏するか、でなければ、さらなる挑発を繰り返しつつチキンレースを続行する以外に、有効な選択肢を喪失するに至る。
・この段階で、その狂った軍事独裁国家による一方的な威嚇に対して、周辺国がどのように対処するべきであるのかについては、いつも議論が分かれる。 当面の平和を維持しつつ、軍事独裁国家の沈静化あるいは緩やかな自滅を待つシナリオを推奨する人々もいれば、ナチス・ドイツへの初期の宥和政策が失敗であったことの教訓を言い立てて、あくまでも、強硬な封じ込めを主張する人々もいる。
・とはいえ、外交という枠組みで考えれば、制裁を課すにしても、話し合いに持ち込むにしても、周辺諸国がいきなり極端な結論に飛びつくことは考えにくい。なんとなれば、戦争は、すべてのメンバーにとって破滅的な過程を含む解決だからだ。 しかしながら、直接の紛争と遠い位置にいる第三国が介入するケースについては、戦争回避は、絶対の前提ではなくなる。
・このことは、先に引用した 「戦争が起きるとすれば、現地で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちらで死者は出ない」 というトランプ大統領のセリフが、これ以上ない雄弁さで物語っているところのものでもある。 つまるところ、リスクを負っていない者にとって、戦争は絶対に避けなければならない手段ではないのであって、考えてみれば、前の大戦が終わってからこっちの70年間ほど、アメリカが関わってきた戦争は、どれもこれも、自国とは遠くはなれた場所で起こる、遠い日の花火みたいな物語だったのかもしれないわけだ。
・だからって、いくらなんでも戦争は起こらないだろうと考える人が大多数であろうことはわかっている。 私自身も、八割方大丈夫だとは思っている。 でも、残りの二割のところで、どうしても不安に思う気持ちを拭いきれないのは、トランプ大統領の精神状態が戦争に向かっているように思えるからだ。 この半月ほどの間に、トランプ大統領の足場は急速に危うくなっている。
・まず先月末、目玉政策のひとつである、オバマケア廃止法案が上院で否決された。 この法案否決は、上院で過半数を維持している共和党議員から造反者が出たことの結果であるだけに、ダメージは大きい。 政権内では、スパイサー報道官とプリーバス首席補佐官が辞任し、その彼らの反対を押し切って起用したスカラムッチ広報部長までもが就任10日で辞任に追い込まれている。10日で3人。ガバナンスは崩壊寸前と言って良い。  トランプ大統領の北朝鮮に対する挑発的な発言は、この状況で発された言葉だけに、余計に薄気味が悪い。
・トランプはヤケを起こすのではなかろうか。 そう思うと、先の発言はさらにイヤな響きを帯びる。 もっとも、リーダーがイカれているのだとしても、それだけでは戦争は起こらない。 常識的に考えれば、世論がそのイカれたリーダーのイカれた政策を支持しない限り、国が戦争に踏み出すことはない。 その意味では、仮にトランプ氏個人が個人的にヤケを起こしたのだとしても、だからといって、ただちにアメリカが北朝鮮に対して先制攻撃を発動する事態は考えにくい。 ただ、こんなことを言うと、迷信深いと思われるかもしれないのだが、私は、リーダーの精神状態と国民の世論は、どこか深いところで連動するものだと考えている。
・つまり、リーダーが情緒不安定に陥ると、それに呼応して、国民の中にも平静を失う人間が大量発生するということだ。 国民世論の中にある「気分」がそれにふさわしいリーダーを選ぶなりゆきと、リーダーが醸している「気分」が国民世論を誘導する流れの間には、神秘的な相互作用が介在している。ニワトリが先なのかタマゴが先なのかはともかくとして、両者は連動しつつ互いを鼓舞し、最終的に行き着く先に行き着くことになっている。
・長い間サッカーを見ているファンは、サッカーチームが、戦術やシステムとは別に、監督の「パーソナリティー」や「気分」を体現する瞬間に何度も立ち会うことになる。 3-4-3と4-4-2がどうだとか、ポゼッションサッカーとリアクションサッカーがどうしたとか、そういう理屈や戦術とは別なところで、チームは、最終的に、監督の短気さや、ユーモアや、慎み深さや、体調を反映した動き方を獲得する。時にはリーダーがかかえている家庭の問題や、他チームからのオファーの噂が選手たちの走りっぷりに影響する。 というよりも、戦術以上のものを表現するのが優秀なチームというものなのであって、その「戦術以上のもの」とは、究極的には、監督個人の人格そのものに帰着せざるを得ないのだ。
・で、このお話を通じて私が何を言おうとしているのかというと、チームがリーダーの個性を反映する傾向は、学校のクラスとか、会社とか、人間の組織には付き物で、国についてもある程度同じだということだ。つまり、一国の指導者の基本的なマナーは、その国の国民の当面の国民性として表現されることになるということなのだ。
・いつだったか、メリル・ストリープという女優さんが、「特権や権力、抵抗する力のすべてにおいて、自分が勝っている相手です。これを観たときに私の心は少し砕けてしまって、いまだに頭の中から追い出せない。映画の場面じゃなかったので。現実だったので。そしてこの、人に恥をかかせてやろうというこの本能を、発言力のある権力者が形にしてしまうと、それは全員の生活に浸透してしまいます。というのも、こういうことをしていいんだと、ある意味でほかの人にも許可を与えてしまうので。他人への侮辱は、さらなる侮辱を呼びます。暴力は暴力を扇動します。そして権力者が立場を利用して他人をいたぶると、それは私たち全員の敗北です」(引用元はこちら) というスピーチをしたことがあった。
・で、実際に、アメリカでは、トランプ大統領の就任以来、ヘイトクライムが目に見えて増えている。 これは、大変に示唆的な話だと思う。 似た話はわが国にもある。 以下のリンクは、兵庫県の私立名門校灘中学校・高校の校長が、同校で採用する歴史教科書をめぐって、現場に押し寄せた有形無形の「圧力」や「抗議」について書き記した文章だが、この場面で同校の事務局に寄せられた「国民世論」は、みごとなばかりに「政権」の個性を先読みしたカタチで噴出している(こちらから。リンク先はPDF)。
・私は、政権が抗議運動を主導しているというストーリーの話をしているのではない。 そんなことをするまでもなく、権力のトップにある人間たちが抱いている「気分」を体現する世論は、おのずと形成される。 これを「忖度」と呼ぶのか、「お先棒」と呼ぶのかは一概には言えない。 むしろ、そうした漠たる世論を代表する実体として政権が樹立されたというふうに考えれば、これはこれで民主主義のあるべき姿だということもできる。
・トランプ大統領は、このあたりで何か一発派手な花火を上げる必要性を感じ始めているかもしれない。 彼を支持するアメリカ人の中にも、その華々しく心躍る未知への冒険を待望する気持ちが醸されている可能性がある。 ただ、われわれは、当事者だ。 私たちは、花火の見物席に座っている人間たちではない。どちらかといえば、打ち上げ花火の落下の現場に近い場所で暮らしている。
・とすれば、トランプ氏に、ひとまず平常心を取り戻してもらうのが、われわれにとっての当面の最善手ということになる。 うちの国のリーダーが、二人のイカれつつあるリーダーの仲介役をつとめられれば素晴らしい。 あるいは雨天中止を祈る。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/080300105/

小田嶋氏の記事では、 『グラム氏によれば、大統領は、続けて 「北朝鮮(の核・ミサイル開発)を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地(朝鮮半島)で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちら(アメリカ)で死者は出ない」 と言っていたらしい・・・・トランプ大統領の立場に立ってみれば、自国民が死なないことがわかっている戦争であるなら、始めることをためらう理由はそんなにない、ということなのかもしれない』、 『北朝鮮のミサイル実験とて、大きな意味では、ブラフに過ぎない。 してみると、このお話は、はじめから最後まで茶番なのかもしれない。 とはいえ、歴史の教えるところによれば、茶番劇が戦争を招いた事例はさほど珍しくない』、 『いくらなんでも戦争は起こらないだろうと考える人が大多数であろうことはわかっている。 私自身も、八割方大丈夫だとは思っている。 でも、残りの二割のところで、どうしても不安に思う気持ちを拭いきれないのは、トランプ大統領の精神状態が戦争に向かっているように思えるからだ。 この半月ほどの間に、トランプ大統領の足場は急速に危うくなっている』、 『リーダーが情緒不安定に陥ると、それに呼応して、国民の中にも平静を失う人間が大量発生するということだ。 国民世論の中にある「気分」がそれにふさわしいリーダーを選ぶなりゆきと、リーダーが醸している「気分」が国民世論を誘導する流れの間には、神秘的な相互作用が介在している。・・・両者は連動しつつ互いを鼓舞し、最終的に行き着く先に行き着くことになっている』、などの指摘は確かにその通りだ。 ただ、『うちの国のリーダーが、二人のイカれつつあるリーダーの仲介役をつとめられれば素晴らしい』、との締めは、暗いトーンで終わることを避けるためとはいえ、安部首相には期待できないような役割であり、新たな首相への交代を期待しての表現なのであろうか。やはり、考え過ぎか・・・。
タグ:小田嶋隆 北朝鮮問題 日経ビジネスオンライン (その7)(小田嶋氏の見解「ミサイルは飛んでくる、か」) ミサイルは飛んでくる、か 北朝鮮によるミサイル発射という事態に、どうやら私たちは慣れてしまったようだ 北朝鮮によるミサイル攻撃のリスクに関して言うなら、われわれが慣れれば慣れるほど、危険度は増している これまでとはひとつ次元の違う危険性を物語っているわけで、これは考えれば考えるほど、しみじみとヤバい 当面、私が懸念しているのは、アメリカが過剰反応することだ リンゼー・グラム上院議員 トランプ大統領は、グラム氏に 「北朝鮮がICBMによる米国攻撃を目指し続けるのであれば、北朝鮮と戦争になる」 と語ったのだそうだ(こちら)。 なかなかおそろしい発言だ。 が、本命のおそろしいコメントは、その後だ。 グラム氏によれば、大統領は、続けて 「北朝鮮(の核・ミサイル開発)を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地(朝鮮半島)で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちら(アメリカ)で死者は出ない」 と言っていたらしい 政治家によるこの種の発言は、はじめからブラフ(ハッタリ、脅し)を含んだものとして、割り引いて考えるべきなのあろうし 北朝鮮のミサイル実験とて、大きな意味では、ブラフに過ぎない。 してみると、このお話は、はじめから最後まで茶番なのかもしれない。 とはいえ、歴史の教えるところによれば、茶番劇が戦争を招いた事例はさほど珍しくない この2カ月ほどのやりとりに、なんだか非常にいやな感じを抱いている次第 外交という枠組みで考えれば、制裁を課すにしても、話し合いに持ち込むにしても、周辺諸国がいきなり極端な結論に飛びつくことは考えにくい。なんとなれば、戦争は、すべてのメンバーにとって破滅的な過程を含む解決だからだ。 しかしながら、直接の紛争と遠い位置にいる第三国が介入するケースについては、戦争回避は、絶対の前提ではなくなる リスクを負っていない者にとって、戦争は絶対に避けなければならない手段ではないのであって、考えてみれば、前の大戦が終わってからこっちの70年間ほど、アメリカが関わってきた戦争は、どれもこれも、自国とは遠くはなれた場所で起こる、遠い日の花火みたいな物語だったのかもしれないわけだ 私自身も、八割方大丈夫だとは思っている。 でも、残りの二割のところで、どうしても不安に思う気持ちを拭いきれないのは、トランプ大統領の精神状態が戦争に向かっているように思えるからだ この半月ほどの間に、トランプ大統領の足場は急速に危うくなっている。 リーダーの精神状態と国民の世論は、どこか深いところで連動するものだと考えている 国民世論の中にある「気分」がそれにふさわしいリーダーを選ぶなりゆきと、リーダーが醸している「気分」が国民世論を誘導する流れの間には、神秘的な相互作用が介在している。ニワトリが先なのかタマゴが先なのかはともかくとして、両者は連動しつつ互いを鼓舞し、最終的に行き着く先に行き着くことになっている。 実際に、アメリカでは、トランプ大統領の就任以来、ヘイトクライムが目に見えて増えている ・トランプ大統領は、このあたりで何か一発派手な花火を上げる必要性を感じ始めているかもしれない。 彼を支持するアメリカ人の中にも、その華々しく心躍る未知への冒険を待望する気持ちが醸されている可能性がある 私たちは、花火の見物席に座っている人間たちではない。どちらかといえば、打ち上げ花火の落下の現場に近い場所で暮らしている うちの国のリーダーが、二人のイカれつつあるリーダーの仲介役をつとめられれば素晴らしい。 あるいは雨天中止を祈る
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北朝鮮問題(その6)(強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」、「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国、トランプvs金正恩は「脅し合い」にすぎない 実はもちつもたれつの関係になっている) [世界情勢]

北朝鮮問題については、6月17日に取上げた。金正恩、トランプ双方の発言が、エスカレートしてきた今日は、(その6)(強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」、「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国、トランプvs金正恩は「脅し合い」にすぎない 実はもちつもたれつの関係になっている) である。

先ずは、戦争平和社会学者の北村 淳氏が8月10日付けJBPressに寄稿した「強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」 重大決意に直面することになる安倍政権」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国時間の8月5日、アメリカが提出していた北朝鮮の核ミサイル開発に対する経済制裁決議案が、国連安全保障理事会で承認された。 中国やロシアも賛成した今回の国連安保理決議2371号は、これまでになく厳しい経済制裁手段が盛り込まれた強力な制裁である。トランプ大統領やアメリカ外交当局は、その内容について自画自賛している。
・しかしながら、「この国連決議によって、北朝鮮のICBMを含んだ核ミサイル開発プログラムが頓挫し、米軍による軍事攻撃オプションは姿を消すであろう」と考えるのは早計だ。 極めて強力な経済制裁決議である(とアメリカ政府が考える)国連安保理決議2371号は、トランプ政権にとって北朝鮮に対する経済制裁の最後の一手と考えることができる。ということは、今回の国連決議が効果を奏さずに状況がさらに悪化した場合、むしろアメリカによる軍事攻撃というオプションが発動される可能性が高まったと言わなければならない。
▽北朝鮮に時間を与えてきた国連決議
・北朝鮮の核実験やミサイル開発に対する国連安全保障理事会の経済制裁決議は、2006年の決議1718号を皮切りに、2009年(1874号)、2013年(2087号、2094号)、そして2016年(2270号、2321号)と連発されている。それに加えて、アメリカ、韓国そして日本も独自の経済制裁を実施している。 ところが、国連安保理決議1718号から10年以上経過して、それらの経済制裁が何を生み出したのかというと、アメリカ本土を攻撃可能な核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルを手にする能力である。経済制裁の目的は全く達成されなかったどころか、真逆の結果が生じてしまったというのが歴史的事実だ。
・北朝鮮に対する経済制裁決議が出される都度、北朝鮮あるいは東アジアを専門とする米軍関係戦略家たちは、「また北朝鮮に(核ミサイル開発のための)時間を与えてしまった。ホワイトハウスや国務省などは、本気で北朝鮮の脅威を感じていないのか?」と疑問を呈してきた。北朝鮮のミサイル技術や核技術が伸展すればするほど、軍事オプションは厳しい状況に追い込まれる。戦略家たちは「アメリカ本土に到達するICBMまで手にした場合は、どうするつもりなのか?」と、今日の状況を危惧していた。しかし、その危惧は現実のものとなってしまったのだ。
・したがって、このような考え方に立つ軍関係者たちが、「北朝鮮に再び時間を与えて多数のICBMを生み出させたり、核ミサイル技術のさらなる性能向上を計らせたりするほど、ホワイトハウスや外交当局が間抜けとは思えない」と考えても無理からぬところである。つまり、「いきなりアメリカ本土が危険に晒されていることを口実に北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるのは、国際社会の手前、乱暴に映りかねない。しかし、国連決議に対する重大な違反を口実に軍事オプションを発動するならば、それなりに格好がつく。だから今回の強力な経済制裁決議は、まさにそのための布石なのだ」というわけだ。
▽北朝鮮に対する「予防戦争」を準備
・実際に、今回の決議案に対する根回しがほぼ決着していた先週には、アメリカ国家安全保障問題担当大統領補佐官ハーバート・マクマスター陸軍中将が、北朝鮮に対する軍事オプションに対して念を押すような発言をしていた。 マクマスター補佐官はアメリカのテレビ番組におけるインタビューで、アメリカは北朝鮮に対する「予防戦争」の計画を準備していることを明言した。これまでもトランプ大統領はじめ政権幹部たちは「北朝鮮に対するあらゆるオプションはテーブルの上に載っている」と軍事攻撃の可能性を否定していない。マクマスター中将も、アメリカが準備している北朝鮮に対する軍事オプションの存在を公の場で強調したのだ。
・予防戦争とは、“ほぼ確実な軍事的危機が迫っており、現状のまま手をこまねいているとさらに大きな危機を招いてしまうと考えられる場合に、そのような脅威を未然に除去するために先制攻撃によって開始される戦争”を意味する。要するにマクマスター補佐官は、場合によってはアメリカは北朝鮮に対する先制攻撃を敢行するとの決意を表明したのである。
▽「アメリカ市民を守るためには仕方がない!」
・かねてより北朝鮮に対する先制攻撃を研究してきた米軍関係者の多くは、金正恩政権首脳たちを一斉に葬り去る作戦、北朝鮮の核ミサイル関連施設を短時間のうちに壊滅させる作戦、または両作戦を同時に実施する大規模作戦など、米軍による先制攻撃によって引き起こされる北朝鮮軍の反撃によって、米軍と韓国軍だけでなくソウル周辺の一般市民(外国人も含む)にも甚大な損害が生ずることをシミュレートしている。
・そのような犠牲に加えて、かなりの高い確率で、米軍の策源地である日本に対して多数の弾道ミサイルが撃ち込まれることも予想されている。その場合には、当然のことながら、日本国民の間にも多数の死傷者が出ることが不可避と考えられる。
・このように米軍の先制攻撃によって韓国や日本の一般市民、すなわち無辜の非戦闘員が被る損害の甚大さに鑑みると、これまでは米政権が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切ることは至難の意思決定であると考えられてきた。
・しかしながら、北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めた核弾頭搭載ICBMをほぼ確実に手にしてしまった現在、そうした想定は通用しない。「軍事力を行使してでも北朝鮮の核ミサイル開発能力、ならびに金正恩政権を葬り去らないと、これまでのシミュレーションの比ではない計り知れない犠牲を被りかねない。何といっても、その犠牲はアメリカ本土で生活する一般のアメリカ国民にも及ぶのだ」といった論理が浮上し、まかり通ることは十二分に推察できる。
▽安倍政権は覚悟を決めるとき
・かつて太平洋戦争の終盤において、米海軍首脳などは、無数の非戦闘員まで殺戮してしまう原爆の使用に異議を唱えていた。それにもかかわらず、「原爆攻撃により、数十万の米軍側の損害を避けることができる」という正当化理由を振りかざして、二度にわたり原爆攻撃を実施したアメリカである。
・「今この時点で北朝鮮の核ミサイル開発施設を壊滅させ、金正恩一派を葬り去らないと、100万人以上のアメリカ市民が犠牲になりかねない」といった正当化理由によってマクマスター補佐官が明言した「予防戦争」が発動される日は、国連安保理決議2371号が発動されたために近づいたのかもしれない。 もちろん、トランプ政権が北朝鮮に対する先制攻撃の最終決断をするに当たって、多数の人的物的犠牲を覚悟しなければならない日本に対して、そして軍事同盟国である日本に対して、先制攻撃の容認、そして協働要請を打診してくるのは当然である。
・安倍政権は、日本国民の大きな犠牲を覚悟の上でアメリカによる「予防戦争」に賛同するのか、それとも日本国民の生命財産を保護するために「予防戦争」に断固反対して他の手段を提案するのか、腹を決めておかねばならない時期に突入したのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50739

次に、日本経済新聞社編集委員の鈴置 高史氏が8月10日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国 中国は「その手」に乗るのか」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問)。
・米国で浮上する北朝鮮の体制変更論。それは米韓同盟消滅の伏線でもある。 CIA長官が言い出した  ――前回は「米国で金正恩すげ替え論が公然と語られ始めた」というところで終わりました。
・鈴置:初めに「すげ替え」を語ったのはポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官でした。7月20日、コロラド州でのシンポジウムの席でした。 CNNの「CIA chief signals desire for regime change in North Korea」が伝えています。発言を引用します。
+It would be a great thing to denuclearize the peninsula, to get those weapons off of that, but the thing that is most dangerous about it is the character who holds the control over them today,
+So from the administration's perspective, the most important thing we can do is separate those two. Right? Separate capacity and someone who might well have intent and break those two apart.
+As for the regime, I am hopeful we will find a way to separate that regime from this system,
・ポンペオ長官はまず、北朝鮮の核の脅威を核兵器そのものと、それを行使しかねない金正恩(キム・ジョンウン)委員長に2分しました。 そのうえで、最大の危険要因である後者を前者から切り離そう~金正恩体制を転換しようと言ったのです。要は「金正恩の首をすげ替えよう」と主張したわけで、政府高官としては相当に思い切った発言です。
・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の主張とは真っ向から対立します。国務長官は「金正恩体制の維持を保証するから核を捨てよ」と北朝鮮に呼び掛けてきました(「中国にも凄んで見せたトランプ」参照)。
▽斬首作戦は困難
――なぜ、CIAの長官は国務長官と180度異なる意見を言い出したのでしょうか。
・鈴置:中国などの反対で、北朝鮮に対する経済的な圧迫がうまくいかない。そんな中、7月4日と28日、ついに北朝鮮は米本土まで届くICBM(大陸間弾道弾)の試射に立て続けに成功した。 ポンペオ長官はしびれを切らし軍事的な圧迫に加え、首をすげ替えるぞと金正恩委員長を威嚇するに至ったと思われます。
――「首のすげ替え」なんて、簡単にできるのですか? テレビのワイドショーではしばしば「斬首作戦」が語られますが。
・鈴置:簡単ではありません。「斬首作戦」とは秘密部隊が金正恩を急襲して暗殺する方法です。しかし、これは本人の居所が分からないと不可能です。もちろん、北朝鮮側も「大将」がどこにいるか悟られないよう徹底的に情報を統制しています。 一方、米国の専門家が「金正恩のすげ替え」を語る際、北朝鮮の不満分子がクーデターを起こして金正恩体制を転覆する方法を念頭に置くことが多い。しかし、これも容易とは思えません。簡単にできるのなら、もう実行しているかもしれません。 もちろん「クーデターを起こさせるぞ」と脅せば「誰が自分を裏切るのだろうか」と金正恩委員長が疑心暗鬼に陥り、体制が動揺するでしょう。 でも「動揺」に期待するわけにはいきません。時間が経つほどに北の核武装の可能性が高まります。そんな状況下で、不確実なシナリオだけに賭けることは危険です。
▽リベラルなNYTも
――確かにそうですね。
・鈴置:ただその後、保守派のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に加え、リベラルなNYT(ニューヨーク・タイムズ)も体制変更論を掲載しました。思い付きの、泡沫的なアイデアではないということでしょう。 WSJの7月30日の社説「The Regime Change Solution in Korea」はポンペオ長官の意見を紹介したうえで「もう、北朝鮮の核武装を阻止するにはこの方法に賭けるしかない」と全面的に支持しました。 WSJは具体策として「北朝鮮と取引する中国の銀行や貿易会社に対し制裁を科すことで北朝鮮経済を締め上げる」「金正恩ファミリーの犯罪を北朝鮮の国民と指導層に知らしめる」「北朝鮮が発射した直後のミサイルを撃ち落とし、データの収集を邪魔して開発を妨害する」などを列挙しています。
――そんなことでクーデターが起きますか?
・鈴置:これを書いたWSJの論説委員も「材料不足だな」と思ったのかもしれません。中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない、と付け加えています。中国は北朝鮮の軍や党との人脈を誇ります。中国なら可能と見る人が多いのです。
+But a debate is already underway among Chinese elites about the wisdom of supporting the Kim dynasty. China might decide to manage the process of regime change rather than allow a chaotic collapse or war on the Korean peninsula, perhaps by backing a faction within the army to take power.
▽中国でも「すげ替え論」
・中国の指導層の間でも北の体制変更が検討されています。2016年10月にワシントンで開かれたシンポジウムでは、中国の学者~コロンビア大学のZhe Sun上級客員研究員が以下のように語りました(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。 聯合ニュースの「China scholars, policy makers begin talking about supporting surgical strike on N.K.: Chinese professor 」(2016年10月7日、英語版)を翻訳して引用します。
+米韓による「外科的手術と首のすげ替え」を支持すべきだと語り始めた学者や当局者がいる。もっと過激な意見もある。中国が指導者(金正恩)を換えねばならない。軍が国境を超えて北朝鮮に駐屯し、核開発の放棄と改革開放政策の採用を迫る~との意見だ。 金正恩委員長の目には、米中が談合して自らを除去しようとしていると映ったに違いありません。 2017年2月13日にマレーシアで起きた金正男(キム・ジョンナム)暗殺事件はこの記事が引き金となったかもしれません。「すげ替え」を阻止するには「後釜」を殺すことが一番手っとり早いからです。 「すげ替え」という手法を採ろうとは言わないまでも、中国では「金正恩を見捨てた方が国益にかなう」との議論が活発になっています(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。
▽難民が来るよりはいい
――米中合作で金正恩の首をすげ替え――。国際陰謀小説のノリですね。
・鈴置:NYTへの寄稿「We need a Radical New Approach on North Korea」は「中国によるすげ替え」をもっと明快に主張しています。 筆者はレフコウィッツ(Jay P. Lefkowitz)氏。米国の北朝鮮人権大使を2005年から2009年まで務めた法律家です。
+The challenge for Mr. Trump is to find a way to persuade the Chinese that a regime change in North Korea — or, at the very least, serious containment of its nuclear ambitions — is actually in China’s best interest.  「トランプ政権は、中国をして北朝鮮の体制変更を実現させるべきだ。それは中国にとっても最高の利益になる」との主張です。
▽「対話解決」もうれしくない中国
・「『北朝鮮の核』6つのシナリオ」をご覧下さい。朝鮮半島の近未来を6つに分類してあります。  ■「北朝鮮の核」6つのシナリオ ●軍事的に解決● ①米軍が核施設などを空爆  ②空爆が地上戦に拡大
 ●交渉で解決● ③「核武装放棄」受け入れ、見返りに在韓米軍撤収・米韓同盟廃棄  ④「米国まで届くミサイル」だけ認めずに手打ち
 ●その他● ⑤クーデターで金正恩政権が崩壊 ⑥現状維持
・レフコウィッツ氏の想定した軍事的な解決は①、あるいはその発展形である②に当たります。 米国は交渉で解決する③あるいは④も模索しています。対話による解決を主張する中国ですが実は内心、それらにも不安を感じている。 いずれも米朝和解につながるシナリオであり、中国は自らの柔らかい腹に米国の友好国を抱えることになるからです。中国側から一気に西側に寝返ったミャンマーが、北東アジアにも生まれることを意味します。
・今の米国は中国が最も困る方法でもって北朝鮮の核問題を解決しようとしているとレフコウィッツ氏は指摘しているのです。当然、それに中国は応じないし、中朝を団結させてしまう。米国は実現性に乏しいシナリオをゴリ押ししてきたわけです。
▽クーデターなら八方、丸く収まる
――そこで、残る⑤の「クーデターで金正恩政権を崩壊」を中国に持ちかけよう、というわけですね。
・鈴置:その通りです。これなら中国の利益を損ねない。そのうえ、大いなる利点もあります。中国が介入して政権交代を実現すれば、北朝鮮の新政権は中国の言うことを聞かざるを得ない。中国は朝鮮半島での影響力をぐんと増せるのです。 なお、レフコウィッツ氏は中国の疑念を完全に払しょくするために、米国は「1つの韓国政策」の放棄、つまり「南北統一」を追求しないと約束すべきだとも言っています。 北の政権が転覆すれば在韓米軍が北上し、中国との国境沿いにまで展開すると中国は恐れている。「北進はしない。半島の北半分は中国が自由にすればよい、と米国は確約せよ」との意見です。
――「米国の約束」を中国が信用するでしょうか。
・鈴置:中国は信用し切れないでしょう。これに関連、キッシンジャー(Henry A. Kissinger)元国務長官がさらなる譲歩を提案しています。「金正恩政権の崩壊後は在韓米軍をおおむね撤収する」とまで、中国に約束すべきだと言うのです。 これを報じたNYTの「After North Korea Test, South Korea Pushes to Build Up Its Own Missiles」(7月29日)によると、キッシンジャー氏はティラーソン国務長官らにこの意見を進言済みだそうです。
・この記事は、キッシンジャー氏の言う「崩壊後」が⑤のクーデターによる崩壊後とは明示していません。ただ「中国を説得できる新たな、従来とは異なったアプローチが必要だ」との発言を紹介していることから「首のすげ替え」も念頭にあると思われます。
▽信用しないなら脅せ
――でも、それも口約束に終わるかもしれません。
・鈴置:米国には「そんなに信用できないのだったら勝手にするがいい。軍事的手段で解決する。そうなったら、困るのは中国だろ?」と言い放つ手があります。 先に引用したWSJの社説。「中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない」と書いたくだりで「(中国にとって望ましくない)崩壊による混乱や半島の戦争に直面するよりは」と付け加えています。 レフコウィッツ氏の意見はもっと強烈です。北の体制転換に賛同しないというのなら、周辺国にミサイル防衛網を構築し中国を脅せばいいのだ、と主張しています。  結局、米国は軍事的な圧迫を強化しながら「金正恩すげ替え論」を模索していくと思われます。
▽朝鮮半島201Z年
――そして、つまるところは在韓米軍の撤収ですか……。
・鈴置:それが直ちに米韓同盟の廃棄につながるわけではありません。しかし、同盟が弱体化する契機になるでしょう。 文在寅(ムン・ジェイン)政権は「首のすげ替え」に賛成はしないかもしれませんが、在韓米軍の撤収は受ける可能性が大です。 もともと「反米」政権なのです。6月末の米韓首脳会談でも、米軍撤収を呼ぶ「戦時の作戦統制権の返還」を改めて米国に求めました。 米国側もそれを了承しました。トランプ(Donald Trump)大統領もかねてから在韓米軍は予算の無駄使いと主張していました。北朝鮮の核問題が解決すれば、さっさと兵を引くと思います。
――米韓同盟も打ち切るのでしょうか、米国は。
・鈴置:状況次第と思います。トランプ大統領は4月12日「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語りました。4月の米中首脳会談で習近平主席からそう講義を受けたのです(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。 「韓国は中国の勢力圏に属する」と認めたのも同然です。米韓同盟を維持する意思は見られません。北朝鮮の核問題を解決するためなら、米韓同盟を「切り売り」することに躊躇しないと思います。 4月の米中首脳会談で「金正恩すげ替え」も話し合われ、ひょっとすると、ある程度の合意が固まっているのかもしれません。
――その時は、日本が大陸に向きあう最前線になります。小説『朝鮮半島201Z年』みたいになってきました。
鈴置:日本人も覚悟を固める時が来ました。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/080800118/?P=1

第三に、国際ジャーナリストの高橋 浩祐氏が8月11日付け東洋経済オンラインに寄稿した「トランプvs金正恩は「脅し合い」にすぎない 実はもちつもたれつの関係になっている」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「現在の米国の核戦力は過去最強だ。できれば使わずに済むことを願う」「わが朝鮮人民民主主義共和国の神聖な土地が核戦争の戦場と化す前に、わが国の軍隊が米本土をそうするだろう」――。 長崎に原爆が投下されて72年となる8月9日、米トランプ大統領と北朝鮮の金正恩体制の間で、核兵器の使用をちらつかせた激しい言葉の応酬が交わされた。北朝鮮は米領グアムへの攻撃作戦計画を8月中旬までに完成させ、金正恩朝鮮労働党委員長の攻撃命令を待つと脅した。グアムには、朝鮮半島上空に頻繁に威嚇飛行している米空軍のB-1B戦略爆撃機の発進基地であるアンダーセン基地がある。
・米韓は今月21日から定例の合同軍事演習を始める予定で、北朝鮮情勢をめぐる緊張は今春と同様、再びぐっと高まるとみられる。
▽ブラフの応酬にすぎない
・しかし、両者とも一発でも先に手を出せば、第2次朝鮮戦争が勃発し、いずれも多大な犠牲を払うことは想像に難くない。今回の事態も、互いに軍事力行使はできないだろうと高をくくった中でのブラフ(脅し)の応酬にすぎないと筆者はみている。事実、これまでもトランプ大統領と金正恩委員長は何度も軍事攻撃を示唆し、互いに威嚇しながらも、実際にはそれはできない「口先番長」と化してきている(筆者は何も戦争をしろと言っているわけではなく、客観的な事実を述べている)。
・また、一歩引いて俯瞰して見れば、トランプ大統領も金委員長も、緊張を高め、非難をし合うことで権力基盤を支え合っている面がある。敵対国とやり合えばやり合うほど、内政問題から国民の目をそらすことができるからだ。
・トランプ大統領は、ロシアによる米大統領選干渉疑惑の「ロシアゲート」の影響で、就任後半年で戦後最低となった支持率の低下を、CNNたたきなどを通じて必死に食い止めようと躍起になっている。一方、金委員長は国連安保理の新たな制裁決議に直面し、国際的に孤立を深めている。そんな中、核ミサイル開発を強行し、国威発揚を通じて体制維持を図っている。
・トランプ大統領は金委員長の度重なる挑発に、軍事攻撃の本気度を試され続けているが、今も先制攻撃ができずにいる。 金委員長が今年元日の「新年の辞」で、米本土への攻撃が可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)をいつでも発射できると主張した際、トランプ大統領はツイッターで「そうはさせない」ときっぱりと述べていた。このため、6度目の核実験に加え、北朝鮮によるICBMの発射実験が、トランプ政権が北朝鮮に対して定めた「レッドライン」(越えてはならない一線)となるとみられていた。
・実際、3月1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、北朝鮮がICBMの発射実験に踏み切ろうとした場合、北朝鮮を先制攻撃する軍事オプションを米政権は検討していると報じていた。
▽なぜトランプ政権はレッドラインを示さないのか
・しかし、日米のメディアを中心に米国による北朝鮮先制攻撃が大きく取りざたされた4月中旬、当時のショーン・スパイサー米大統領報道官は、米国が北朝鮮を攻撃する判断基準となるレッドラインについて明確に示す考えはないと述べた。 なぜトランプ政権はレッドラインを示さないのか。いくつか理由が考えられる。まず米国のレッドラインをあいまいにし、不透明にすることによって、北朝鮮を不安にさせる戦略だ。専門家の間では、Strategic Ambiguity(戦略的あいまいさ)との言葉で知られる。レッドラインをあえて言わずに、北朝鮮に対してどう出るかをわからせずにプレッシャーを与えるというものだ。
・また、ほかの理由としては、バラク・オバマ前政権の失敗がある。オバマ前政権は2013年にシリアの化学兵器使用をレッドラインと規定し、シリアへの軍事攻撃に踏み切る姿勢を示したが、実際にはバッシャール・アル=アサド政権が化学兵器を使用しても武力行使を見送った。結果として、オバマ前大統領は内外から弱腰だと批判された。トランプ大統領としても、下手に北朝鮮相手にレッドラインを明確にし、北朝鮮にそれを越えるような行動を起こされた場合のリスクは甚大。それを避けたかったためとみられる。
・いずれにせよ、軍事、外交の両面で北朝鮮に「最大限の圧力」をかけてきたトランプ政権であるだけに、北朝鮮の2度目にわたるICBMの発射実験は、トランプ大統領の面目や権威を潰された格好だ。 そもそも米国は北朝鮮への軍事攻撃に踏み切れない理由は何か。
・ソウルは南北の軍事境界線から40キロしか離れてない一方、平壌は150キロも離れている。このため、北朝鮮はソウルを「人質」にとっている形になる。 8月8日に公表された2017年版防衛白書によると、北朝鮮の地上軍は約102万人を擁し、兵力の約3分の2を非武装地帯(DMZ)付近に展開しているとみられる。 また、防衛白書は、北朝鮮が240ミリ多連装ロケットや170ミリ自走砲といった長射程火砲をDMZ沿いに常時配備し、首都であるソウルを含む韓国北部の都市や拠点がその射程に入っていると指摘している。ソウル首都圏には、韓国総人口の約半分の2500万人が住んでいる。
・ジェームズ・マティス米国防長官は6月、北朝鮮と軍事衝突とした場合は「1953年(の朝鮮戦争)以来、見たこともないような極めて深刻な戦争となる」との見通しを示し、「それはわれわれが根本的に望まない戦争になるだろう」と述べた。 1950〜1953年の朝鮮戦争での死者数は、各国の兵士、民間人合わせて数百万人に及んだ。第2次大戦での日本人の死者は兵士、民間人合わせて約300万人だが、朝鮮戦争もこれに匹敵する犠牲者を出した。韓国軍と韓国警察15万2279人のほか、国連軍に参加した米軍兵士3万3642人や英軍兵士1086人など17カ国3万7645人が死亡した。南北朝鮮の離散家族は1000万人に上った。現在の北朝鮮の攻撃力は、核ミサイルを含め格段に上がっており、被害リスクは甚大だ。
▽核施設の正確な場所をつかみきれない
・デニス・ブレア元米国家情報長官は今年5月、北朝鮮の核施設を除去するためのサージカルアタック(局部攻撃)を行うことが危険だと指摘。理由として、北朝鮮が数千箇所のトンネルを持っており、同国の核施設がある場所を正確に見つけるための確実な情報を入手することが難しいことを挙げた。 一方、北朝鮮にとっては米軍相手の自らの先制攻撃は自殺行為となる。米韓の圧倒的な軍事力の前に体制の崩壊は免れないだろう。
・ブレア元長官も「核戦争が起きれば、北朝鮮は米国に大きな被害を与えることができるが、北朝鮮は存在しなくなる。これはよい体制生存戦略ではなく、金正恩でさえも、これを理解するだろう」と述べている。
・では、今後の展開はどうなるだろうか。 北朝鮮による7月28日の2度目のICBM発射について、ドイツ・ミュンヘン在住のミサイル専門家で『IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』の執筆者であるマーカス・シラー博士は筆者の取材に対し、弾頭部が空っぽだった可能性を指摘している。 また、7月4日の1回目のICBMより、300キロほど軽量になっていたとみている。7月4日のICBMがアラスカやカナダだけを射程に収めるとの反応が米側で起きたため、軽量にして意図的に射程高度や飛翔時間を過去最高の数値までのばし、米本土に到達するミサイル攻撃能力を米国に見せつけた可能性がある。北朝鮮は軍事面で過去に何度もこうしたカムフラージュやだましを行ってきた。
・現在の北朝鮮は1960年代の中国と似通っている。当時の中国も、米ソのはざまで、一心不乱に核ミサイル開発に邁進していた。 2004年に解禁されたCIAの秘密文書では、米国は1960年代の中国の核兵器開発が、米国側の予測をはるかに上回る速度で進められ、米側を驚かせていたことが明らかになっている。
▽今の北朝鮮は1960年代の中国と同じ
・ベテランジャーナリストの古森義久氏は2004年10月25日付の産経新聞の記事の中で、「中国としては、核兵器で米本土の一部やアジアの米軍拠点を攻撃できるようにしてあった方がアジアでの米軍の行動を抑止できるとの判断がある」と書いた。 上記の中国の状況は、今の北朝鮮と同じ状況ではないか。現在の北朝鮮の主眼も、米国の軍事介入を阻止するため、ワシントンやニューヨークに攻撃可能のICBMを必死に開発している。
・こんな状況だから、北朝鮮情勢をめぐる緊張は、たとえ米朝が直接交渉に乗り出しても続く。なぜなら、北には核ミサイル開発の凍結や放棄は選択肢としてありえないからだ。米国がいかに軍事的な圧力をかけようとも北朝鮮は屈しない。1960年代の中国と同じだ。
・1972年2月、当時のリチャード・ニクソン大統領は中国を電撃訪問し、毛沢東主席や周恩来総理と会談し、米中関係をそれまでの対立から和解へと転換した。米中が手打ちをし、中国の核ミサイル開発も結果的におとがめなしで、なし崩し的に認められた格好だ。
・今年5月、ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は東京での講演で、「金正恩のような激(げき)しやすい人物が核ミサイルを持つことは『惨事のもと』」と話した。しかし、その「惨事のもと」はもう止められない事態に陥っている。金委員長は中国と同じ道を目指して、突っ走っている。
http://toyokeizai.net/articles/-/184128

北村氏は、 『米軍の先制攻撃によって韓国や日本の一般市民、すなわち無辜の非戦闘員が被る損害の甚大さに鑑みると、これまでは米政権が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切ることは至難の意思決定であると考えられてきた。 しかしながら、北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めた核弾頭搭載ICBMをほぼ確実に手にしてしまった現在、そうした想定は通用しない。「軍事力を行使してでも北朝鮮の核ミサイル開発能力、ならびに金正恩政権を葬り去らないと、これまでのシミュレーションの比ではない計り知れない犠牲を被りかねない。何といっても、その犠牲はアメリカ本土で生活する一般のアメリカ国民にも及ぶのだ」といった論理が浮上し、まかり通ることは十二分に推察できる』、と米軍の先制攻撃があり得るとして、 『安倍政権は覚悟を決めるとき』、とまで主張している。
鈴置氏は、 『対話による解決を主張する中国ですが実は内心、それらにも不安を感じている。 いずれも米朝和解につながるシナリオであり、中国は自らの柔らかい腹に米国の友好国を抱えることになるからです』、として、 『米中合作で金正恩の首をすげ替え』、を最も可能性の高いシナリオとしている。 その場合、 『北朝鮮の核問題を解決するためなら、米韓同盟を「切り売り」することに躊躇しないと思います・・・その時は、日本が大陸に向きあう最前線になります』、というのも気が重い話だ。
高橋氏が、 『ブラフの応酬にすぎない』、 『トランプ大統領も金委員長も、緊張を高め、非難をし合うことで権力基盤を支え合っている面がある。敵対国とやり合えばやり合うほど、内政問題から国民の目をそらすことができるからだ』、 『今の北朝鮮は1960年代の中国と同じ』、などとクールにみているのも参考にすべきと思う。ニクソン訪中では、蚊帳の外に置かれた日本が米国追随路線の限界を思い知らされた筈なのに、現在も性懲りなく追随路線を続けている日本人は、よほど「忘れっぽい」国民なのだろう。
タグ:東洋経済オンライン 北朝鮮問題 日経ビジネスオンライン JBPRESS 鈴置 高史 北村 淳 高橋 浩祐 (その6)(強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」、「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国、トランプvs金正恩は「脅し合い」にすぎない 実はもちつもたれつの関係になっている) 強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」 重大決意に直面することになる安倍政権 北朝鮮に時間を与えてきた国連決議 北朝鮮に対する「予防戦争」を準備 国家安全保障問題担当大統領補佐官ハーバート・マクマスター陸軍中将 「予防戦争」の計画を準備していることを明言 米軍の先制攻撃によって韓国や日本の一般市民、すなわち無辜の非戦闘員が被る損害の甚大さに鑑みると、これまでは米政権が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切ることは至難の意思決定であると考えられてきた 北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めた核弾頭搭載ICBMをほぼ確実に手にしてしまった現在、そうした想定は通用しない。「軍事力を行使してでも北朝鮮の核ミサイル開発能力、ならびに金正恩政権を葬り去らないと、これまでのシミュレーションの比ではない計り知れない犠牲を被りかねない。何といっても、その犠牲はアメリカ本土で生活する一般のアメリカ国民にも及ぶのだ」といった論理が浮上し、まかり通ることは十二分に推察できる 安倍政権は覚悟を決めるとき 「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国 中国は「その手」に乗るのか」 初めに「すげ替え」を語ったのはポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官 。「斬首作戦」とは秘密部隊が金正恩を急襲して暗殺する方法です。しかし、これは本人の居所が分からないと不可能です 「金正恩のすげ替え」を語る際、北朝鮮の不満分子がクーデターを起こして金正恩体制を転覆する方法を念頭に置くことが多い 中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない、と付け加えています。中国は北朝鮮の軍や党との人脈を誇ります。中国なら可能と見る人が多いのです 中国でも「すげ替え論」 米中合作で金正恩の首をすげ替え 「対話解決」もうれしくない中国 「『北朝鮮の核』6つのシナリオ クーデターなら八方、丸く収まる 北朝鮮の核問題が解決すれば、さっさと兵を引くと思います 北朝鮮の核問題を解決するためなら、米韓同盟を「切り売り」することに躊躇しないと思います その時は、日本が大陸に向きあう最前線になります トランプvs金正恩は「脅し合い」にすぎない 実はもちつもたれつの関係になっている ブラフの応酬にすぎない これまでもトランプ大統領と金正恩委員長は何度も軍事攻撃を示唆し、互いに威嚇しながらも、実際にはそれはできない「口先番長」と化してきている トランプ大統領も金委員長も、緊張を高め、非難をし合うことで権力基盤を支え合っている面がある。敵対国とやり合えばやり合うほど、内政問題から国民の目をそらすことができるからだ トランプ大統領としても、下手に北朝鮮相手にレッドラインを明確にし、北朝鮮にそれを越えるような行動を起こされた場合のリスクは甚大。それを避けたかったためとみられる 核施設の正確な場所をつかみきれない IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』の執筆者であるマーカス・シラー博士 弾頭部が空っぽだった可能性を指摘 軽量にして意図的に射程高度や飛翔時間を過去最高の数値までのばし、米本土に到達するミサイル攻撃能力を米国に見せつけた可能性 今の北朝鮮は1960年代の中国と同じ
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ビジット・ジャパン(インバウンド)戦略(その6)(日本の観光地に欠けている集客のための「戦略」とは、外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」、日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに) [経済政策]

ビジット・ジャパン(インバウンド)戦略については、3月6日に取上げたが、今日は、(その6)(日本の観光地に欠けている集客のための「戦略」とは、外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」、日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに) である。

先ずは、7月3日付けダイヤモンド・オンライン「日本の観光地に欠けている集客のための「戦略」とは 『観光立国の正体』」を紹介しよう(▽、◆、◇は小見出し)。
▽要約者レビュー
・観光はサービス業である。ゆえに、観光を地域の基幹産業に据えるのであれば、観光客に「また来たい」と思わせるサービスを提供してリピーターを獲得していかなくてはならない。それを怠れば客から旅先に選ばれなくなり、やがて観光地として寂れていく。そして、地域全体の活力までもが失われていくことにもつながる。
・日本の観光地は、かつては団体客を効率よく回していくことで収益を上げていた。しかし、団体客が減って個人客の割合が高くなった途端に、客をリピーターに変える魅力や価値が十分に備わっていないことを露呈し、多くの観光地は集客に悩むようになっていった。
・著者の一人である山田桂一郎氏は、山岳ガイドやスキー教師としてスイスの観光産業に携わってきた人物だ。日本各地を回り、スイスで培った経験や知識をもとに観光地の再生、ひいては地域の再生のためのアドバイスをしている。そのポイントは「住民主体の地域経営」と「地域全体の価値向上」である。本書『観光立国の正体』ではこれらの点を踏まえて立て直しに取り組み、成果を上げた地域が紹介されている。
・観光産業だけが潤うだけでは意味がない。農林漁業や商工業などの他の産業、そして一般住民までもが豊かさを実感できるようになることが重要なのだと山田氏は強調する。その地域が真の意味で豊かであれば、訪れたものに幸せを実感させ、良き思い出となる。まさに観光地を「感幸地」にするためのヒントが詰まった一冊だ。(山崎 裕介)
▽本書の要点
・(1)スイスのツェルマットは、小さい村ながらも多くのリピーター数を誇る世界有数の山岳リゾートである。住民主体の「ブルガーゲマインデ」という組織が村役場と連携し、地域経営を支えている。
・(2)北海道弟子屈町はブルガーゲマインデの理念のもとに地域経営組織を立ち上げ、再生を果たした。
・(3)地域全体に大きな経済効果をもたらすには、富裕層を取り込むという視点が必要不可欠である。そのためには、その地域ならではの付加価値を持つサービスや商品を用意しなければならない。
▽要約本文
◆スイスの観光立国
◇リピーターと「異日常」
・スイスのツェルマットは人口約5700人の小さな村であるが、年間約200万泊もの観光客が訪れる。その7割以上がリピーターで、帰り際に翌年の宿の予約をしていく客もいるほどだ。まさに世界でもトップレベルの山岳リゾートといえる。
・なぜツェルマットのような小さな村が多くのリピーターを獲得するに至ったのか。たしかに当地はスキーやトレッキングのコースが豊富で、雄大なアルプスの絶景を堪能できる。しかし、それらの観光資源だけでは毎年リピートする理由にはならない。一度体験すれば十分と感じる人も多いだろう。
・真の理由は、ツェルマットに住む人々が地域に対して愛着と誇りを持ち、長い年月をかけて住みよい環境を整えてきたことにある。例えば、ツェルマットでは燃焼燃料機関を使った自動車の乗り入れ規制が行われている。これは、自然と共生した伝統的な生活を、次世代により良い環境で伝えたいという思いから実施している。このように住民の生活満足度を満たしていくことが、住民の表情や態度に本質的な豊かさをもたらしている。そして、訪問者はこんな場所に住んでみたいと感じ、リピーターとなっていく。
・つまり、ツェルマットが多くのリピーターを獲得しているのは、アルプスの絶景からなる「非日常」の世界だけではなく、魅力的なライフスタイルを持つ「異日常」の空間があるからなのである。
◇国として生き残るために
・スイスという国は、国土の約7割が山岳地帯で天然資源もない。かつては周囲を「列強」の国々に囲まれ、豪雪や土砂崩れなどの自然災害にも悩まされてきた。自分たちの力で食べていくためにはどうすればよいのか、生き残るための手段を模索する必要があった。
・19世紀半ば、イギリスの富裕層の間で登山ブームが起こって貴族たちがアルプスを訪れるようになると、スイスは観光産業が生き残る術であることを見いだした。きれいな水や空気、新鮮なミルクやチーズ、生ハムなど、アルプスのライフスタイルからなるもてなしの数々は、当時公害とスモッグに悩まされていたイギリス人たちを大いに喜ばせた。評判はすぐに広まり、山岳リゾートとしてのスイスの存在は世界中に知られるようになった。
・ここで忘れてはならないのが、これからどうやって生き残っていくのかという「サバイバル意識」があったからこそ、スイスの観光産業は成立したということである。放牧しか手段がなかったヨーロッパの辺境国は、自然と調和した自分たちのライフスタイルの価値を再発見しサービスの質を高めたことで、多くの訪問者を惹きつけるようになったのだ。
◆地域経営の視点
◇日本の観光地が生き残るには
・日本は観光立国を自負しているものの、多くの観光地が問題を抱えている。マーケティングをすることもなくバブル崩壊後の景気低迷のせいにして、選ばれなくなった原因を見抜くことができていない事業者も多い。
・日本の観光地は、団体の一見(いちげん)客を効率よく回していくことばかり考え、満足度やリピーターの獲得を怠ってきた。そして、目先の利益ばかりにとらわれて、魅力ある地域づくりに取り組んでこなかった。 団体旅行が主流だった時代はそれでも問題なかったのかもしれない。しかし、個人旅行の割合が約9割を占め、インターネットなどによって情報収集が容易になり選択肢が多様化した現代においては致命的である。
・観光産業は流行れば流行るほど人手を要し、新たな雇用を生みだす。日本政府の景気対策に効果が見られず地域経済が先細りしていくなか、観光産業を強くして生き残りを図ろうとするのであれば、スイスで取り組まれてきた地域経営の手法を大いに参考にすべきであろう。
・そのためには地域が持つ「本当の魅力・本当の宝」を洗いだし、観光事業者にかぎらず農林漁業や商工業、そして一般住民にいたるまで、地域内のあらゆる層を取り込んだ連携が不可欠となる。
◇住民主体の組織
・スイスの各市町村には「ブルガーゲマインデ」という住民主体の組織が存在する。立場を超えた様々な住民が集まって、地域全体の経営を推進する組織である。 ツェルマットでもブルガーゲマインデが村役場と連携し、地域経営を機能させている。また、山や森などの共有財産の維持管理を徹底し、地域全体の価値を高めて収益性を向上させ、雇用を確保している。
・ツェルマットの場合、まずブルガーゲマインデが地域の経営方針を決める。そして、観光局がその方針にもとづいてマーケティングとブランディングを担当する。その結果、ツェルマットの宿泊キャパシティはここ数十年ほとんど変わっていないにもかかわらず、地域全体の収益は伸びつづけている。宿泊キャパシティを上げて宿泊者数を増やすことが物理的にできないぶん、サービスの質を向上させ、一人当たりの消費額(客単価)を上昇させているというわけだ。
・ツェルマットでは、様々な事業者が連携を取って自然を生かした体験プログラムやツアー、アクティビティなどを企画している。これらをじっくり楽しんでもらうことが訪問客に「時間消費」、すなわち滞在時間の引き延ばしをうながし、飲食や購買などのさらなる消費を生んでいるのである。
【必読ポイント!】
◆観光地再生の狼煙(のろし)
◇誰もが自慢し誇れる町へ
・日本にもブルガーゲマインデの理念のもとに地域経営組織を立ち上げた自治体がある。この事例は今後の日本における地域振興やまちづくりの参考になるといえるだろう。 北海道弟子屈町(てしかがちょう)は、屈斜路湖や摩周湖、川湯温泉などの観光資源を擁する、道東有数の観光地である。しかし、1990年代以降は集客に苦しみ、町内の小売販売額はピーク時の半分ほどにまで落ちこんだ。
・地域再生のため、弟子屈町は「てしかがえこまち推進協議会」を立ち上げた。地域経営組織の立ち上げにあたって気をつけるべきことは、観光事業者のみを潤すような取り組みに偏ると、他の産業や住民たちの不満を買い、地域全体の連携が取れなくなってしまうということである。そこで協議会は、「観光と農業を基軸として、様々な産業を包括した総合産業化」を活動目的として位置づけた。
・また、住民が当事者意識を持って活動に参加できるように「誰もが自慢し、誰もが誇れる町」というビジョンを掲げた。協議会には弟子屈町民なら誰でも参加でき、8つの専門部会から好きな部会を選ぶことができる。このしくみによって横のつながりが充実した。そして、グルメや地場産品、体験型のツアーなど、様々な商品やサービスが生みだされた。 さらに、旅行商品を扱う「株式会社ツーリズムてしかが」を行政の補助金なしで設立し、旅行ビジネスを強化させた。雇用も創出され、初年度(2009年)で黒字化に成功した。
◇その地でなければならないものを
・国内には、他にも興味深い取り組みを実施している地域や自治体がある。 たとえば岐阜県飛騨市古川では、「株式会社美(ちゅ)ら地球(ぼし)」が「SATOYAMA EXPERIENCCE(里山体験)」という日本の里地里山を体験するツアーを提供している。飛騨の食文化である麹づくりや豆腐づくりを体験する「フード&カルチャーウォーク」や、古民家に滞在する「ロングステイ」プランなどは、外国人を中心に人気を誇る。
・このようなリアルな日常生活体験が好評を博していることは、「名所旧跡などの観光資源や公共交通機関が存在しないから集客に結びつかない」という言い訳を真っ向から否定する。さらには、無名な地域であろうが交通が不便な場所であろうが、「その地でなければ手に入らないもの、体験できないもの」があれば、世界中から人がやってくることを証明している。
・また、富山県は2011年度から「とやま観光未来塾」を主催し、人材育成に力を入れている。5年間で延べ370名の事業者が卒塾し、現役生たちとのネットワークを構築して連携を図っている。参加者はスキルや携わっている事業に合わせて、「観光おもてなしコース」などのなかから4つのコースを選択する。
・北陸新幹線は終点の石川県金沢市ばかりがクローズアップされがちだ。そのため、富山県としては、乗客に新幹線を降りて立ち寄ってもらう理由が必要だった。そこで、富山ならではの商品やサービスを創り出して事業として成立させるため、開業前から人材育成に力を入れてきたのである。
◆日本が観光立国になるために
◇富裕層と「地消地産」
・地域経済の活性化を観光で図ろうとするのであれば、富裕層を取り込むことで客単価を上昇させる手段を講じるべきである。市場を「ピラミッド」に例えると、頂上に位置する彼らがお金を多く落とすことで「シャワー効果」が起こり、地域全体に経済効果がもたらされるからだ。
・スイスでは、イギリスの富裕層を相手に観光産業を発展させてきた経緯がある。一方、日本の場合は高級ホテルやレストランなどのような場所を除き、地域全体で富裕層を意識した取り組みを行ってこなかった。富裕層のニーズをイメージできず、そんな高額なものを用意しても売れるはずがないと決めつけて商機を逃してきた事例も少なくない。
・2007年に北海道運輸局が地元の旬の食材を使った「1万円ランチ」を企画したときも、地元関係者の間では冷ややかな反応が多かったという。しかし、実際にいくつかの店舗でやってみると予約が殺到し、大きな話題となった。高額でも「北海道ならでは」という付加価値をもってすれば、1万円はけっして高くなかったのである。
・地域のモノやサービスの価値を高めるためには、地元で消費するものには極力地元産を使う 「地消地産」が大前提となる。客は価値があると思えば遠くても足を運び消費していく。そして地域全体に高収益がもたらされれば、移住者や若者たちが定着しやすい環境が整備され、人口増加につながっていく。
◇日本の「ファン」を獲得する
・ビジョンがぼんやりしたまま迷走する自治体は多いが、政府が掲げる観光ビジョンも明確さに欠けている。「美しい国」や「世界が訪れたくなる日本へ」と言われても、どのような姿を指すのか漠然としている。姿が見えない限り、成果を評価することはできない。
・政府は様々な目標数値を掲げているが、人数や消費額を強調しているものが多い。だが重要なのは、満足度向上のための目標である。観光事業者だけがやる気を出すような目標数値だけではなく、世界中の人たちに日本を訪れたいと思わせる価値を打ち出さなければならない。 外国人旅行者たちを日本の「ファン」として獲得できれば、国際社会における日本へのリスペクトにもつながっていき、将来的には世界中がうらやむ観光立国が実現するだろう。
▽一読のすすめ
・本書は二部構成で、前半は山田氏による観光地・地域再生のための考察が、後半は二人の著者たちによる対談の内容が掲載されている。対談では、著者たちが全国を回ったなかで目にした観光業界の問題点が、「観光立国の裏側」として事細かに記されている。 日本政府は、2020年に2015年の2倍強の外国人旅行者数を獲得することを目標にしている。
・しかし本書の対談を読むと、ガイドの養成や公共交通システムの問題、顧客フィードバックの不在など、まだまだ課題は山積していることがわかるだろう。今後これらの課題がどのように解決されていくのか、注意深く見守っていきたい。 日本総合研究所主席研究員 藻谷浩介、「観光カリスマ」山田 桂一郎
http://diamond.jp/articles/-/133684

次に、元外資系証券会社のアナリストで小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏が7月14日付け東洋経済オンラインに寄稿した「外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」 「5つの大問題」が外国人を遠ざけている」を紹介しよう(▽は小見出し。+は段落)。
・『新・観光立国論』が6万部のベストセラーとなり、山本七平賞も受賞したデービッド・アトキンソン氏。 安倍晋三首相肝いりの「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」委員や「日本政府観光局」特別顧問としても活躍している彼が、渾身のデータ分析と現場での実践とを基に著した『世界一訪れたい日本のつくりかた』が刊行された。
・本連載では、訪日観光客が2400万人を超え、新たなフェーズに入りつつある日本の観光をさらに発展させ、「本当の観光大国」の仲間入りを果たすために必要な取り組みをご紹介していく。
・右肩上がりで成長を続け、何の問題もないかに見える日本の観光が、実はまだまだ多くの改善点や「伸び代」に満ちあふれている。そのことをわかっていただくための具体的な例として、前回、日本には「5つ星ホテル」が28軒しかないという問題を指摘させていただきました。
・外国人観光客が年間2900万人訪れ、観光収入でも世界第6位につけているタイには「5つ星ホテル」が110軒あります。年間3200万人訪れているメキシコでも93軒。実際、139カ国を対象に分析すると、観光収入と高級ホテルの数との間には91.1%の相関があることがわかりました。 それをふまえると、日本の観光が「金持ちの客から稼ぐ」ことを重視してこなかったのは明らかです。だから日本は、観光客1人あたりの消費額が世界第46位と、かなり低いのです。
・この記事は非常に多くの方に読んでいただいたようで、コメント欄にもさまざまな意見が寄せられました。このテーマが日本の観光戦略を考えていくうえで、非常に大事な議論だということを改めて感じました。 そのコメントのなかに、「5つ星ホテルはなくても、高級旅館があるからそちらに泊まればいいのでは」という主旨のものがありました。 「5つ星ホテル」のようなサービスをありがたがるのは海外の価値観に過ぎず、日本にはそぐわない。日本文化を体験しようとやってきているのなら「旅館」に泊まるのが筋であると言いたいのでしょうか。だとすれば、それは「郷に入れば郷に従え」ということで、かなり「日本人目線」です。
・しかしそれをいったん脇に置き、外国人の立場から言わせていただくと、日本の「旅館」には、外国人が泊まるには多くの「ハードル」が存在するのです。 滞在中ずっと日本の旅館に泊まるという選択は、外国人にとっていろいろな点でハードルが高いと言わざるをえません。まして、普段「5つ星ホテル」に宿泊するような富裕層であればなおさらです。
・それにくわえて、多くの方たちが主張する「旅館が伝統的な日本文化」という考え方にも疑問を感じます。いまのような「日本旅館」のスタイルは、戦後に人口が右肩あがりで増え、観光が大衆レジャー化していくなかで確立されました。新著『世界一訪れたい日本のつくりかた』のなかでも指摘している、いわゆる「昭和の観光業」です。 昭和時代の日本人観光客と、遠く離れた国から十数時間かけて訪日する、文化も価値観も異なる外国人観光客をいっしょくたにしてしまうのは、かなり乱暴な「おもてなし」ではないでしょうか。
▽旅館が抱える「5つの大問題」
・そこで今回は、「日本旅館」が訪日外国人観光客の受け皿になりづらい理由として、5つの問題点を指摘させていただこうと思います。
・問題点1:長期滞在に不向き
+これからの日本がとるべき観光戦略を考えた際、「観光客数」よりも「観光収入」を重視していくべき、つまり「量より質」をとるべきだということは、かねてからお伝えしているとおりです。そこでカギになるのは「長期滞在」だというのは言うまでもありません。 1カ所に長く留まって、その周辺でさまざまな観光、飲食、ショッピングにおカネを落としてもらうのが理想的な稼ぎ方です。事実、外国人観光客の平均滞在日数は約10日間。アジア地域からの観光客を除くともっと延びて、約14日間になります。
+そのような「長期滞在」戦略をふまえて、あらためて「旅館」がその受け皿になるか考えてみてください。  夕飯に出てくる豪華なコース料理も1日、2日なら新鮮で喜ばれるかもしれませんが、10日間食べ続けるのはかなりハードルが高いです。せっかく異国にきたのだから、さまざまな料理を食べてみたいと思うのは当然です。
+日本人でも、同じ旅館に10日間泊まれと言われたら、多くの方が断ると思います。それは外国人ならなおさらです。「旅館を変えればいい」という意見もあるかもしれませんが、たとえ別の旅館だったとしても、10日間連続で旅館に泊まるのは、やはり厳しいのではないでしょうか。
・問題点2:ファミリー層に不向き
+日本の旅館が家族旅行に向いているというのは、あくまで1~2泊しかしない日本人の話であって、残念ながら外国人にはあてはまりません。 そもそも、家族が同じ部屋で宿泊するという文化のない国もあります。1泊くらいならば「これが日本の文化か」と布団をしいて川の字になって寝ることを体験しても、それを2週間も続けようとは思いません。
+また、日本の「旅館」は宿泊費に食事が含まれていることが多く、なかには料理がメインになっているところもありますので、非常にコストがかかります。それほど食事をとらない小さな子供がいるようなファミリーの場合、ホテルよりもかなり割高になってしまうのです。
+さらに一部屋いくらではなく、同じ部屋でも人数分の宿泊料を取られますので、家族連れにとって2週間分のコストはまったく割に合わないのです。
▽旅館の「常識」は世界の「非常識」
・問題点3:ルームサービスが不十分
+外国人が日本に10日間滞在するとなると当然、衣類などを洗濯しなくてはいけません。しかし、そのようなルームサービスを行っている「旅館」は少ないです。ほとんどが、地図を書いて近所のコインランドリーを教えるという対応でしょう。 「貧乏旅行」を楽しむバックパッカーならばそれでも問題ありませんが、限られた時間のなかでできるかぎり日本を堪能しようとしている外国人観光客に対する「おもてなし」としては、気のきいた対応とは言えません。
+また、長いフライトを経て来るわけですから「時差ボケ」でなかなか眠りにつけないこともあります。夜中になにか食べたいという要望に応えられるルームサービスを行っている旅館も少ないのではないでしょうか。
・問題点4:「夜のエンターテインメント」がない
+日本の旅館のフロントは、10時くらいになると人がいなくなってしまいます。「門限」が決められている旅館も少なくありません。部屋には仲居さんがやってきて、布団をしいてしまいます。お隣のお客さんもいますので、静かにしなくてはいけません。 そう、完全に「おやすみなさいモード」なのです。
+外国人観光客からすれば、これも1日くらいであれば「これが日本の旅館か」という体験になりますが、10日間もこれを続けるのはさすがに「酷」であると言わざるをえません。 みなさんも自分に置き換えて考えていただきたいのですが、かなりの費用をかけて航空券や旅行代金を支払い、時間を捻出して遊びに来た海外のホテルで、夜になったら強制的に寝るように勧められたらどうでしょうか。 大きなお世話だと思うのではないでしょうか。
+せっかく遊びにきたのですから、その国のナイトライフを最大限楽しみたいと思うのは当然です。訪日外国人観光客もしかりで、日本の夜を最大限に満喫したいのです。そのようなニーズに「旅館」がどれだけ応えられるのか、私には大いに疑問です。
・問題点5:老朽化が目立つところも
+最後の大きな問題は設備です。特に地方の旅館の設備は、残念ながら遠い異国からやってきた観光客をもてなすのに十分とは言えません。 実は私も、自身が社長をつとめる「小西美術工藝社」の出張や観光関係の視察で、地方の旅館をよく利用しています。文化財に携わっている職業柄、どうしても建物の傷み具合などを確認してしまうのですが、悲しくなるくらい老朽化してしまっているところが多くあります。 壁紙が剝がれている、水回りや浴室が古い、しばらく畳を替えた形跡がない……例をあげればきりがありません。
+みなさんが観光に訪れた国で「この国の観光の発展のためですから、こちらのメンテナンスができていない部屋で我慢してください」と言われたらどうでしょうか。「2度と来るか」と落胆するのではないでしょうか。
▽そもそも、今のスタイルは「日本文化」なのか
・ここまで、「旅館」がなぜ訪日外国人観光客の主な受け皿として不適切なのかを指摘させていただきました。このような話をすると、「日本の文化にケチをつけるなら来なくていい」と、建設的とは言いがたい議論になってしまうことがたびたびあります。
・ただ、「旅館」に関して言わせていただくと、「そもそも日本文化なのか」という大きな問題もあります。 鬼怒川温泉、箱根、熱海などにある宴会場をそなえた大型観光旅館は、企業の慰安旅行や、町内会の親睦旅行などの「団体旅行」を対象に発展してきました。 団体でバスに乗り込んでみな同じような観光をするので、食事も同じ、部屋もみな同じ。滞在するのはほぼ1泊か2泊なので、布団をしけるだけの狭い部屋をたくさんつくったほうが効率良く稼げるのは言うまでもないでしょう。
・では、このような「団体旅行」が、江戸時代などから続く日本の伝統的な観光のスタイルかというと、決してそうではありません。 たとえば、いまは多くが取り壊され、大型ホテル風の建物に変わってしまっていますが、明治期の文学作品などを読んでいただければわかるとおり、当時は長期滞在をすることもよくありました。
・つまり、多くの方が「日本文化だ」と信じている「旅館」のスタイルは、実は戦後、人口が急激に増えたことによってポピュラーになった「団体旅行」をさばくために発展したものにすぎないのです。 実際、昭和時代に造られた大型の旅館は、つぶれてしまったところも多くあります。これからは、よりコンパクトで環境に配慮したものに変えていくべきでしょう。東京は1990年代から大再開発されていますが、観光の盛り上がりを受け、これからは地方の大再開発が活発になると思われます。
▽そもそも「5つ星ホテル」の基準とは?
・時代に合わせて「旅館」というスタイルが生み出されたのなら、訪日外国人観光客が2400万人を突破したいまの日本社会にマッチする宿泊インフラが求められるのも当然でしょう。 このようなお話をしても「日本の旅館やホテルは施設の質が高いから、新しい5つ星ホテルなどいらない」と主張される方もいます。 このような方の意見を聞くと、もしかしたら「5つ星ホテル」というものの定義自体が、まだ日本国内では十分に理解されていないのではないかと感じます。
・英国政府観光局によると、「3つ星ホテル」と「4つ星ホテル」と「5つ星ホテル」の決定的な違いは、設備の豪華さなどの「ハード面」ではなく、サービスに代表される「ソフト面」、つまり「スタッフの質」です。 「3つ星ホテル」は、一般のホテルよりもややルームサービスの選択の幅が広いものの、限定的。「4つ星ホテル」はスタッフの経験が豊富で、客の細かい要望に応える。そして「5つ星ホテル」になると、滞在中の「すべて」の要望にしっかりと応える。
・「すべて」ですから、館内にいるときに丁寧な対応をするだけではありません。 ビジネスパーソンであればイベントの企画なども手伝います。観光客ならば、どこへ行ってどのように観光をすれば最大の満足が得られるのかといったコーディネートから、ガイドブックに掲載されていない隠れ的なレストランの紹介や予約など、そこに宿泊している間のすべての面倒事を解決してくれるのです。
・このようなサービスを提供するため、一般的には「1つの部屋に2~4人のスタッフが必要」と言われているのです。 さて、それをふまえて日本の「旅館」を考えてみてください。はたしてそのようなサービスを提供できていると言えるでしょうか。
▽宿泊施設の日本人スタッフには、もっと高い給料を
・もうひとつ「5つ星ホテル」に否定的な意見として、「日本は土地が狭くて給料が高いので、そんな高級ホテルをつくっても収益をあげられない」という主張がありますが、これは事実ではありません。 欧州には日本より土地が狭く、給料が高い国はいくらでもありますが、「5つ星ホテル」は日本よりも多く、きちんと運営されています。 日本では考えられないほど高い宿泊料でも泊まる富裕層がいるので、働いている人たちも、格安ホテルで働く人たちよりはるかに高い給料をもらっています。
・よその国が当たり前にできていることを、優秀な日本のホテルマンたちができないとは、私はとても思えません。 まだ整備されていない「5つ星ホテル」をつくって、海外の富裕層にも満足してもらえるサービスを提供して、そのサービスの高さなりの宿泊料をもらって、ホテルマンたちが今よりも高い給料をもらう。これがなぜ悪いのでしょうか。
・私は日本の「旅館」を否定しているわけではありません。観光は「多様性」が命ですので、外国人観光客のなかには、「日本の旅館は最高だ」という人もいるでしょう(そういう人でも、2週間も泊まるのは無理だと思いますが)。 ただ、時代も客も変わってきているなかで、新しいサービスが整備されていくのは当然です。「旅館」という昭和のスタイルですべてに対応するのは、やはり無理があるのではないでしょうか。
・今のマニュアル化された「旅館」というスタイルを見直し、日本の人口が1億人になる前の時代には存在した「日本の魅力」を再発見して、今の時代にも多少合わせた形に変える時期にさしかかっているのではないでしょうか。
http://toyokeizai.net/articles/-/180391

第三に、同じデービッド・アトキンソン氏が7月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは? 日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・(冒頭の書き出しは上記と同じなので省略) 前回(「外国人よ、嫌なら来るな」は無責任な暴論だ)、日本の観光を考えるうえで、「日本のやり方が気に入らないなら外国人は来るな」という主張は、日本の現実を見据えていない感情論にすぎないことを指摘させていただきました。 ただ、コメント欄を見てみると、一部納得していない方がいらっしゃるようです。しかし、さまざまな社会問題を起こしている経済の低迷から脱却するためには、「観光の産業化」は不可欠です。
・そこで今回は、「日本のやり方に従わない外国人は来るな」ではなく、「どうすれば外国人が来てくれるか」という発想へ転換すれば、いかに明るい未来が待っているのかをお話ししたいと思います。 さて、これまでホテル(外国人が心底失望する「日本のホテル事情」)や旅館(外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」)の改善点を指摘させていただきましたが、日本の観光がまったく改善していないというわけではありません。2015年に出した『新・観光立国論』のなかで指摘した「多言語対応」や「外国人向け観光ガイド」などは、この2年でかなり進んでいます。
・それを示すのが、2年に1度のペースでWorld Economic Forumが発表している、世界各国の「観光産業国際競争力」のランキングです。 このランキングでは、日本は2009年に第25位というポジションでしたが、2017年の最新のランキングではなんと第4位まであがっているのです。しかも、そこでは「この2年、世界で最も改善している」という評価も受けています。
・ただし、もちろんそれで浮かれていてはいけません。 これまでほとんど整備していなかった国が整備を始めれば、それだけで劇的に改善するのは当然です。客観的に見れば、日本は「観光の産業化」という世界の流れに乗り遅れた分を取り返しているだけと言えるでしょう。
・それは、周囲を見ても明らかです。観光産業の競争力が改善したトップ15カ国のなかで日本は見事第1位に輝いていますが、第2位はアゼルバイジャン、第3位はタジキスタン、第4位がベトナムとなっています。第9位の韓国までは正直、「観光」というイメージが確立していない国ばかりです。 これは裏を返せば、観光においては、日本は成長著しい「新興国」というポジションだったということです。あらゆる分野で成長が停滞しているこの国で、「観光」が経済成長を牽引していく切り札になることがよくわかっていただけるでしょう。
▽観光ランキングからわかる日本の強みと弱み
・では、第1位になるほど高く評価された日本の「改善点」とはなんでしょうか。 ビザの緩和や国の観光整備に対する予算が増えたことなどを反映して、「国際開放度」が121ランク上がって第10位になりました。政府による「観光に対する優先度」も、32ランク上がって第18位になっています。つまり、この2年で、国として観光戦略に対して非常に積極的になったことが大きな「改善点」として評価されているのです。
・そう聞くと、「これだけ高い評価を得ているのなら今のままで十分ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは今までほとんど手をつけていなかったというだけです。同じデータからは、多くの課題も浮かび上がっています。 たとえば、特に一部の地方の観光地にはレンタカーが欠かせませんが、その普及率は世界第85位です。アメリカなどを旅行した際、レンタカーを借りて自由にいろいろなところを観光したという人も多いでしょう。外国人が北海道のような広大な大地を観光する際も同様で、外国人向けのレンタカーが普及していたほうが、より多くの外国人観光客を招くことができるのは言うまでもありません。
・日本国内にいるとなかなかそう感じないでしょうが、日本の航空インフラも観光産業的に見ると足りておらず、世界第97位。 観光インフラの整備に関しても、これまで力を注いでこなかった名残で世界第29位となっています。決して「今のままで十分」と構えていられるような立場ではないということがわかっていただけたのではないでしょうか。
・しかし、それは逆に言えば大きなチャンスです。日本の観光が「発展途上」だということは、これから戦後の高度経済成長のように多くの雇用が生まれ、さまざまな社会課題へまわすおカネも生まれる可能性があるということです。
▽日本最強の観光資源は「自然」
・そのカギとなるのが、「自然」です。 実は「自然」は世界のなかで最も誘致能力が高い観光資源だといわれています。みなさんも海外を訪れて、ビーチやトレッキングなどで、その国の美しい自然を堪能されるのではないでしょうか。 「観光大国」というのは、自然・気候・文化・食という4条件を満たしているといわれています。この4つの順番は、単に偶然や語呂の良さではなく、観光誘致に力のある順番に並んでいるのです。
・では、なぜ「自然」は集客力が高いのでしょうか。ここでは3つの観点からご説明しましょう。
 1.「客層の幅」が広い(まず、「自然観光」は「文化観光」と比べて、「客層の幅」が広いという特徴があります。たとえば文化観光ですと、メインターゲットはやはり、ある程度年を重ねた、教養のある人が中心となります。 一方、「自然観光」は、スキーやスキューバダイビングに代表されるように、若い人も呼べます。「客の層」が圧倒的に広いのです。
 2.長期滞在が期待できる(観光においては、ちょっと来てすぐに帰ってしまう人より、長く滞在してくれる人のほうがおカネをたくさん落としてくれるのは、言うまでもないでしょう。 文化財ですと「見て終わり」ですから、長くても半日程度しか滞在しませんが、自然観光は違います。トレッキングなどは丸1日かかりますし、スキーやスキューバダイビングなら、宿泊して何日も楽しむのが一般的です。
 3.日本の自然は多様性に満ちている(日本に生まれ、日本に住んでいる人にとっては気づきにくい部分ですが、日本ほど「自然の多様性」に満ちている国は、世界を見わたしてもそれほど多くはありません。 ビーチがある海から少し内陸に入ると、3000メートル級の山があります。ヨーロッパなどの森林と比べると、日本の動植物の多様性には目を見張るものがあります。 また、南北に長いため、北海道や東北のような豪雪地帯から沖縄のビーチリゾートまで、あらゆる「自然」がそろっています。日本の「自然」は、世界がうらやむ多様性に満ちているのです。
▽日本の自然は「宝の持ち腐れ」になっている
・しかし、先ほどのWorld Economic Forumのデータによると、日本はこれほどすばらしい自然を持ちながらも、「自然観光」は世界第29位、その整備も世界第66位となっています。 これまで日本は、「日本文化」を積極的に海外に発信してきました。日本の文化資源のランキングは世界第4位という高い評価を受けています。
・にもかかわらず、観光客数も他の先進国と比べると不十分ですし、最も大事な観光収入もまだかなり少ないです。文化をメインに発信しているフランスを見てください。たしかに観光客数は多いですが、それに比して収入は異常に少ないのです。それを考慮すると、やはり日本も「文化」だけでは観光大国にはなれません。
・日本の観光PRは富士山、芸妓(げいこ)、茶道、歌舞伎、お能、城、神社などが発信の大半を占めており、「文化・歴史」に偏重しすぎています。日本のdestination campaignに登場するのもほとんど文化財です。  「文化・歴史」が非常に大事な観光資源であることは言うまでもありませんが、『新・観光立国論』などでも繰り返し述べてきたように、観光とは「多様性」が命です。
・「文化・歴史」のPRだけでは肩苦しく、観光客の「幅」が狭くなってしまいます。これはある意味で、日本人観光客の目線と言えるかもしれません。といっても、「文化・歴史」を否定しているわけではありません。「文化・歴史」を打ち出す観光戦略だけでは限界があると申し上げているのです。
・より多くの「日本ファン」を誘致していくには、多種多様な観光資源を最大限活用すべきです。つまり、「文化・歴史」を打ち出している現状にくわえて、さらに「自然」という強みをもっとアピールしていけば、日本の観光はまだ大きく成長することができるのです。
・先日おもしろいデータを見ました。東京都が「都民が外国人観光客に東京で体験してほしいこと」と、「外国人観光客が東京都でやってみたいこと」を調査したところ、最も大きなギャップが出たのが「自然体験」でした。 外国人の立場では、高尾山、庭園、公園など、東京都ならではの「自然」も体験したい。しかし、都民としてはせっかく遠い国からわざわざ来たのだから、日本の伝統や歴史を学んでほしいと考えます。
・誤解を恐れず言えば、「観光は勉強であり、修業である。外国人に日本の文化を教える」などという、バブル以前に生まれた感覚と慣習がまだ残っているという印象を受けるときすらあります。 このような「ギャップ」を埋めることができれば、日本の観光は新たなステージに立つことができるでしょう。
・たとえば、外国人観光客にも人気の鎌倉や日光を考えてみましょう。いま彼らが向かうのは、鎌倉の場合は大仏、日光ならば東照宮というのが定番となっています。しかし、ご存じのように、鎌倉には由比ヶ浜や江の島などがあってマリンスポーツが楽しめます。日光は豊かな自然に囲まれていますので、トレッキングやフィッシング、カヌーなどさまざまなアウトドアが楽しめます。 これらを外国人観光客も楽しめるように整備して発信すれば、地域経済的にも大きなプラスになることは言うまでもありません。
▽「観光化」こそ、自然保護の切り札だ
・このような説明をすると、ただでさえ外国人が増えて観光地が混み合っていると問題になっているのに、日本の美しい自然まで荒らされたらたまらないと主張される方もいます。 しかし、文化財の問題と同様で、カネの成る木などどこにもありませんので、しっかりと「保護」して後世に遺すためにも、「観光」などでその「原資」を稼がなくてはいけません。先立つものがなければ「保護」などできないということは、東洋経済オンラインの読者であればおわかりいただけると思います。
・かつて富士山に多くの登山客が訪れたことで、「自然破壊」が問題になりましたが、「観光地」としてしっかりと整備することで改善されていきました。中途半端な「手つかずの自然」より、観光地としてしっかりと整備されることで、スタッフや予算がつき、結果、美しい自然が守られる。それはアメリカの国立公園などをはじめとした「世界の常識」なのです。
・つまり、「自然観光」の整備は、まわりまわって「自然保護」を持続させる原動力になっているのです。 ビジネスチャンスというだけではなく、社会課題を解決することができる「自然観光」は、実は日本に秘められた高いポテンシャルの象徴と言えるでしょう。
http://toyokeizai.net/articles/-/182174

第一の記事で、 『日本の観光地は、かつては団体客を効率よく回していくことで収益を上げていた。しかし、団体客が減って個人客の割合が高くなった途端に、客をリピーターに変える魅力や価値が十分に備わっていないことを露呈し、多くの観光地は集客に悩むようになっていった』、 『これからどうやって生き残っていくのかという「サバイバル意識」があったからこそ、スイスの観光産業は成立したということである。放牧しか手段がなかったヨーロッパの辺境国は、自然と調和した自分たちのライフスタイルの価値を再発見しサービスの質を高めたことで、多くの訪問者を惹きつけるようになったのだ』、 『政府は様々な目標数値を掲げているが、人数や消費額を強調しているものが多い。だが重要なのは、満足度向上のための目標である』、などの指摘はその通りだ。
第二の記事で、 『日本には「5つ星ホテル」が28軒しかない・・・タイには110軒』、との指摘は確かに考えさせる問題だ。 『旅館が抱える「5つの大問題」』、 『そもそも、今の(旅館の)スタイルは「日本文化」なのか』、 『今のマニュアル化された「旅館」というスタイルを見直し、日本の人口が1億人になる前の時代には存在した「日本の魅力」を再発見して、今の時代にも多少合わせた形に変える時期にさしかかっている』、などの指摘はその通りだ。
第三の記事で、 『World Economic Forumが発表している、世界各国の「観光産業国際競争力」のランキング・・・では、日本は2009年に第25位というポジションでしたが、2017年の最新のランキングではなんと第4位まであがっている・・・この2年で、国として観光戦略に対して非常に積極的になったことが大きな「改善点」として評価されている』、というのは、『「観光の産業化」という世界の流れに乗り遅れた分を取り返しているだけ』、という面があるにせよ喜ばしいことだ。ただ、 『日本の自然は「宝の持ち腐れ」になっている』、 『日本の観光PRは・・・「文化・歴史」に偏重しすぎています。・・・「観光は勉強であり、修業である。外国人に日本の文化を教える」などという、バブル以前に生まれた感覚と慣習がまだ残っているという印象を受けるときすらあります』、などの指摘はその通りで、日本の観光庁などは考え直す必要があろう。アトキンソン氏の指摘は、いつもながら外国人ならではの視点のユニークさもあって参考になり、面白い。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン デービッド・アトキンソン 新・観光立国論 ビジット・ジャパン (インバウンド)戦略 (その6)(日本の観光地に欠けている集客のための「戦略」とは、外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」、日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに) 日本の観光地に欠けている集客のための「戦略」とは 『観光立国の正体』」 日本の観光地は、かつては団体客を効率よく回していくことで収益を上げていた。しかし、団体客が減って個人客の割合が高くなった途端に、客をリピーターに変える魅力や価値が十分に備わっていないことを露呈し、多くの観光地は集客に悩むようになっていった 山田桂一郎 山岳ガイドやスキー教師としてスイスの観光産業に携わってきた人物だ。日本各地を回り、スイスで培った経験や知識をもとに観光地の再生、ひいては地域の再生のためのアドバイスをしている ・スイスのツェルマット 年間約200万泊もの観光客が訪れる。その7割以上がリピーターで、帰り際に翌年の宿の予約をしていく客もいるほどだ。まさに世界でもトップレベルの山岳リゾート ツェルマットに住む人々が地域に対して愛着と誇りを持ち、長い年月をかけて住みよい環境を整えてきたことにある 多くのリピーターを獲得しているのは、アルプスの絶景からなる「非日常」の世界だけではなく、魅力的なライフスタイルを持つ「異日常」の空間があるからなのである イギリスの富裕層の間で登山ブームが起こって貴族たちがアルプスを訪れるようになると、スイスは観光産業が生き残る術であることを見いだした 「サバイバル意識」 放牧しか手段がなかったヨーロッパの辺境国は、自然と調和した自分たちのライフスタイルの価値を再発見しサービスの質を高めたことで、多くの訪問者を惹きつけるようになったのだ 日本は観光立国を自負しているものの、多くの観光地が問題を抱えている 日本の観光地は、団体の一見(いちげん)客を効率よく回していくことばかり考え、満足度やリピーターの獲得を怠ってきた 各市町村には「ブルガーゲマインデ」という住民主体の組織が存在 村役場と連携し、地域経営を機能させている。また、山や森などの共有財産の維持管理を徹底し、地域全体の価値を高めて収益性を向上させ、雇用を確保している 宿泊キャパシティはここ数十年ほとんど変わっていないにもかかわらず、地域全体の収益は伸びつづけている 北海道弟子屈町 てしかがえこまち推進協議会 「観光と農業を基軸として、様々な産業を包括した総合産業化」を活動目的 誰もが自慢し、誰もが誇れる町 岐阜県飛騨市古川 里山体験 飛騨の食文化である麹づくりや豆腐づくりを体験する「フード&カルチャーウォーク」や 古民家に滞在する「ロングステイ」プランなどは、外国人を中心に人気を誇る 富裕層と「地消地産」 政府は様々な目標数値を掲げているが、人数や消費額を強調しているものが多い。だが重要なのは、満足度向上のための目標である 外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」 「5つの大問題」が外国人を遠ざけている 6万部のベストセラーとなり、山本七平賞も受賞 明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」委員 日本政府観光局」特別顧問 本当の観光大国」の仲間入りを果たすために必要な取り組み 日本には「5つ星ホテル」が28軒しかないという タイには「5つ星ホテル」が110軒 本は、観光客1人あたりの消費額が世界第46位と、かなり低いのです 日本の「旅館」には、外国人が泊まるには多くの「ハードル」が存在するのです 旅館が抱える「5つの大問題」 問題点1:長期滞在に不向き 問題点2:ファミリー層に不向き 問題点3:ルームサービスが不十分 旅館の「常識」は世界の「非常識」 問題点4:「夜のエンターテインメント」がない 問題点5:老朽化が目立つところも 、「旅館」に関して言わせていただくと、「そもそも日本文化なのか」という大きな問題もあります 宴会場をそなえた大型観光旅館は、企業の慰安旅行や、町内会の親睦旅行などの「団体旅行」を対象に発展 多くの方が「日本文化だ」と信じている「旅館」のスタイルは、実は戦後、人口が急激に増えたことによってポピュラーになった「団体旅行」をさばくために発展したものにすぎないのです 「5つ星ホテル」の基準とは 決定的な違いは、設備の豪華さなどの「ハード面」ではなく、サービスに代表される「ソフト面」、つまり「スタッフの質」 まだ整備されていない「5つ星ホテル」をつくって、海外の富裕層にも満足してもらえるサービスを提供して、そのサービスの高さなりの宿泊料をもらって、ホテルマンたちが今よりも高い給料をもらう 外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは? 日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに World Economic Forumが発表している、世界各国の「観光産業国際競争力」のランキング 日本は2009年に第25位というポジションでしたが、2017年の最新のランキングではなんと第4位まであがっているのです。しかも、そこでは「この2年、世界で最も改善している」という評価も受けています 「観光の産業化」という世界の流れに乗り遅れた分を取り返しているだけと言えるでしょう 観光においては、日本は成長著しい「新興国」というポジションだったということです この2年で、国として観光戦略に対して非常に積極的になったことが大きな「改善点」として評価されているのです 多くの課題も浮かび上がっています。 たとえば、特に一部の地方の観光地にはレンタカーが欠かせませんが、その普及率は世界第85位です 日本の航空インフラも観光産業的に見ると足りておらず、世界第97位 日本最強の観光資源は「自然」 1.「客層の幅」が広い 2.長期滞在が期待できる 3.日本の自然は多様性に満ちている 、「自然観光」は世界第29位、その整備も世界第66位となっています これまで日本は、「日本文化」を積極的に海外に発信してきました。日本の文化資源のランキングは世界第4位という高い評価 日本の観光PRは富士山、芸妓(げいこ)、茶道、歌舞伎、お能、城、神社などが発信の大半を占めており、「文化・歴史」に偏重しすぎています 「文化・歴史」のPRだけでは肩苦しく、観光客の「幅」が狭くなってしまいます 誤解を恐れず言えば、「観光は勉強であり、修業である。外国人に日本の文化を教える」などという、バブル以前に生まれた感覚と慣習がまだ残っているという印象を受けるときすらあります 観光化」こそ、自然保護の切り札だ
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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不動産(その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) [経済政策]

今日は、不動産(その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) を取上げよう。

先ずは、ベストセラー『里山資本主義』の著者・藻谷浩介さんと、『老いる家 崩れる街』の著者・野澤千絵さんが3月10日付け現代ビジネスで対談した「「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来〜首都圏でさえこの惨状…無計画な開発の果てに」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・いまの日本を滅ぼしかねない大問題は、「空き家」の激増だ。それは、人口が減少するのに住宅はつくられ続けるという不可解な現実に由来する。なぜこんなことになっているのか? ベストセラー『里山資本主義』の著者・藻谷浩介さんと、『老いる家 崩れる街』の著者・野澤千絵さんのおふたりが明かす日本の惨状――。
▽誰も言い出さなかった
・藻谷 いま日本中に空き家が激増しています。その数は今後も伸び続け、15年後には3戸に1戸が空き家になる計算です。戸建てもマンションもすべてひっくるめて空き家になるという、世界でも類を見ない「空き家大国」になるのです。 この問題を真正面から取り上げ、その原因を解き明かした野澤さんの『老いる家 崩れる街』が大反響を呼んでいますが、この中で空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥です。 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった。よくぞ、書いてくださいました。
・野澤 ありがとうございます(笑)。日本の都市計画と住宅政策が、どんどん空き家を生み出すと言っても過言ではありません。
・藻谷 全国各地の自治体に足を運んでいる経験から言わせてもらえば、都市計画はどこでもほぼ一律なので、まちづくりに問題を抱えていないまちは皆無です。つまり、日本全国で住宅が常に供給過剰になっているのです。
・野澤 そうなんです。日本の都市計画は1968年にできた都市計画法にそって行われてきましたが、これは住宅を造ることを前提にした高度経済成長期仕様の法律です。
・藻谷 1968年と言えば、田中角栄時代の前夜。すでに列島改造ブームの下地が整っていて、そこに敷かれたのが都市計画法というレールだった。つまりこれは宅地開発をコントロールする法律ではなく、開発を容易にする法律だったと。
・野澤 そうです。ただそれでも、市街化を促進する「市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」を分けるという線引き制度と開発許可制度を導入していたので、当初はある程度は開発をコントロールできていました。 その区別が時代とともに、政治的な圧力などによって「緩和、緩和」の大合唱によってうやむやになり、農地の中にポツンポツンと住宅や賃貸アパートが建つようになってしまった。 そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です。
・藻谷 調整区域の本来の主旨は開発の抑制なのですから、そこに下水道なんて引いている場合じゃないんですけどね。
▽住民の加齢という大問題
・野澤 藻谷さんが全国各地を見て回られて、特に「これは問題だ」と思われたまちはありますか?
・藻谷 無数にありますが……中でも極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました。  いまは夕張の人口は9000人弱。「過疎だから家が余るんだ」と言う人がいますけど、それは間違い。そもそも10万人以上が住んでいた土地に、容積率を利用して20万人分くらいの住宅を供給していれば、家が余るのは当然です。  北海道には、人口が減っている平成以降に、元の市街地の4~5倍の規模で郊外開発をしている例が多いのです。
・野澤 帯広都市圏もそうですよね。郊外の調整区域を市街化区域に編入する区画整理を行った結果、JR帯広駅を中心とするまちなかは駐車場と空き家だらけのスカスカ状態になってしまいました。 税金を投入してインフラを整備してきた中心部がスポンジ状態になる一方で、郊外での宅地化が続けられ、居住地が薄く広がってしまったのです。
・藻谷 苫小牧もその問題が顕著です。2010年代に入って市の東側(沼ノ端地区)の大区画整理をし、イオンの大型ショッピングモールを誘致して市街地を広げたんですが、駅前に4つあった大型店は全部潰れてしまっています。
・野澤 問題の根っこは無計画な都市計画にあります。 人口減少社会において、「ウチのまちだけは人口を増やしたい」という市町村が、新しい住民を呼び込むために、本来は市街化を抑制すべき市街化調整区域の開発規制を過度に緩和して、新規の宅地開発にゴーサインを出している。 で、結局は、近隣自治体同士での人口奪い合い合戦となる。
・藻谷 山梨県に昭和町という町があります。ここは農地の住宅地化を積極的に進めた結果、全国有数の人口増加率を誇っています。バイパス通りに高速道路のインターチェンジも、工業団地もできた。ところが、車で15分ほどで甲府に着くはずなのに、いつも渋滞しているから30分でも着かない。 一方、甲府から電車で20分程度の甲州市は、人口減少が急速です。比べてみれば、昭和町のほうが素晴らしいように見えますよね。が、人口増加の中身をつぶさに見てみると、昭和町のほうがまずい状況なのです。
・野澤 将来的にどんな問題があるんですか?
・藻谷 いや、すでにもうヤバイ。昭和町ではこの5年間で、0~14歳の子供人口が150人増え、生産年齢人口(15~64歳)も750人増えています。それぞれ5%増と6・4%増で、全国有数です。「だったらいいじゃない、現役世代が増えて住民税収も増えるじゃない?」って思うでしょう。
・野澤 そうですね。
・藻谷 ところが、昭和町の総人口は1850人増えているんです。0~14歳が150人、15~64歳が750人の増加ですから、差し引き65歳以上が950人増えているのです。
・野澤 つまり、高齢者だけが異常に増えているんですね。
・藻谷 子供が5%増、現役世代が6%増、それに対し高齢者は32%増です。福祉関係の費用増はとても深刻でしょう。 なぜこうなったのかと言えば、40年前から乱開発をせっせとやってきた結果。当時30代前後で昭和町に流れ込んできた人たちが、いま続々と65歳を超える高齢者になっているのです。 人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です。
▽想像を絶する「家余り時代」に
・野澤 東京圏でも人口を増やすために、自治体があの手この手で都市計画規制を緩和し、郊外の農地エリアの開発や、都心のタワーマンション建設を許容していますが、これも同じ状況を生むことになりますね。
・藻谷 首都圏の苦境は昭和町どころではありません。いわゆる世間の常識とは逆ですが。確かに「若者の流入が加速する東京」とも言われるように、東京・埼玉・千葉・神奈川の首都圏一都三県の人口は最近5年間に51万人増えました。うち42万人が、首都圏外から流れ込んできた現役世代です。 ですが総人口はどうでもいい。生産年齢人口は増えているか、高齢者は増えていないのかが、経済や財政には重要なのです。  最近5年間の首都圏には生産年齢人口42万人が流れ込んできたと言いましたが、それではこの間に首都圏の生産年齢人口は、結局何人増えたでしょうか?
・野澤 45万人増くらいですか。
・藻谷 答えは75万人の減少です。
・野澤 えっ。減っているんですか?
・藻谷 そうです。その一方で首都圏一都三県では、この5年間に、65歳以上の住民が134万人も増えたのです。
・野澤 134万人……。
・藻谷 さらに、そのうち80歳以上だけを取り出すと52万人の増加です。この5年間で総人口が51万人増、うち80歳以上が52万人増ですから、つまり増えたのは80歳以上だけで、79歳以下は減っている。高度成長期以前に上京した若者が加齢した結果ですが、昭和町よりもはるかに激しい高齢化です。
・野澤 これも目先の人口増加ばかりを追って都市開発を無計画に行ったことのツケですね。現役世代が減って高齢者が増えると、税収が減る一方で社会保障関連のコストがどんどん膨らむことになる。自治体にとっては深刻な危機です。
・藻谷 空き家も大量に発生します。3年半前の総務省の調査では、一都三県には空き家が203万戸もあります。全国の空き家の4分の1が首都圏にあるのです。一戸に2名住むとして人口が400万人増えないと埋まらない。でも過去5年間の増加は51万人で、しかも80歳以上しか増えていない。 以前、知り合いの新聞記者に「お台場の現在の人口構成と40年前の高島平の人口構成を調べたら面白いよ」と言ったところ、真面目に調べてきたんです。そうしたら2つの人口ピラミッドがぴったり重なっていた。 つまり、お台場の高層マンション群も、40年後には現在の高島平のような高齢化が進んだまちになる。 密集して建てられたお台場の超高層マンション群の多くは分譲ですから、住人が入れ替わりにくく、ローンを抱えたままそこで年を取っていく人々が続出する。 これが首都圏の現実です。
・野澤 やがて首都圏にいる865万人もの高齢者も亡くなってゆく。そのときに、住んでいる家を誰かがうまく相続して住んでくれればいいんですが……。
・藻谷 今の乳幼児は団塊世代の半分なので、相続人も足りない。日本は想像を絶する「家余り時代」に突入するのです。
・野澤 ここで不思議なのは、こういう時代でもなお家を購入する人がいるということです。 私の地元・関西でも、大阪の中心部まで40~50分も電車でかかるようなところで、いまだに新築住宅が売れています。「3000万円台なら安い」と思って買っているのかもしれませんが、長期的に見ると資産になるとは思えないし、将来子供たちが相続した時に売ろうとしても、完全に住宅過剰の時代になっていて売れない。 固定資産税や管理コストを負担し続けなければならない「負動産」になるのは目に見えているのに。
・藻谷 東京圏では、都心まで40~50分かかるような場所では新築住宅は売れなくなってきています。例えば埼玉県の春日部。市を縦断する東武伊勢崎線は地下鉄日比谷線や半蔵門線とも直通運転しているので、通勤するのにそれほど悪い場所ではありません。 国道4号や16号も走っているし東北自動車道へのアクセスもいいし、お隣の越谷にはイオンレイクタウンという巨大ショッピングモールもあるけれど、春日部は人口減少が進んでいて、新規の団地開発もない。 一方、関西だと、大阪府北部や神戸市などではいまも盛んに新規の住宅供給があって、都心から40分の駅からさらにバスで20分もかかるようなところの家がまだ売れている。
・野澤 そうなんです。それが不思議でならないんです。
・藻谷 そんなところに家を建てる業者が後を絶たないのは、買う人がいるからです。これは都市計画の制度がおかしいということの他に、マーケットに問題が、つまるところ買う人のマインドに問題があるのです。
・野澤 確かに住宅業界の人に「なぜ将来資産価値を失うような場所に家を造るのか?」と聞くと、「だって買う人がいるんですよ。われわれはニーズをコントロールすることはできません。需要があるんだから、そこに水を差すようなことは言わないでほしい」と反論されるんです。経済学者の人からも同じように批判されます。
・藻谷 目先の業績を追う業者はともかく、長い目でものを見るべき経済学者までそういうことを言い出すとは。 歴史を少しでも勉強すれば、多数が支持したことが後々考えても正しかったということは、例外的だと分かります。「市場経済における多数派が常に正しい。今人気のあるものがいいものなんだ」と言うなら、経営者は要らない。実際には、需要の多くは、長く続かないバブルなのです。
・野澤 資産価値という点から住宅を見れば、希少性が重視されるはずなんですが、実態はそうなっていませんよね。
・藻谷 戦後の日本の住宅業界は、「供給を増やせば市場価値も上がる」という、市場経済原理とは真逆の、謎の信念によって支えられてきたのです。原理的には、供給を増やせば値段は下がるのが当然なのですが。 今から20年以上も前、日本開発銀行で地域振興の調査をしていた時分に、大阪の街づくりコンサルタントと話をしていて、初めてそのことに気づきました。 私が「容積率を上げると供給が過剰になってテナントの家賃も下がるし、地価も下落しますから、やめたほうがいいですよね」と言ったら、「はぁ? 容積率を上げないと地価が上がらないだろうが!」と激怒されたんです。 私は「供給を増やすと値段が上がる」と大真面目な顔で言う人がいることにひどく驚いたんですが、それ以来出会った不動産業界、住宅業界の人はみな同じ考えだったんです。
・野澤 たしかに、同じ広さの土地を開発する場合、容積率を上げればより多くの住戸が作れますから、その土地の価値は上がりますが……。
・藻谷 これは典型的な「合成の誤謬」です。その土地だけみれば確かにその時には価値は上がるのですが、そうなると隣の土地でも同じことを始めます。つまり、エリア全体で見ればあっという間に供給過剰になって地価が下がるんです。 湯沢町(新潟県)が典型ですね。都市計画もないスキー場エリアで、バブルの頃に林立した超高層のリゾートマンションの部屋が、今は超格安で売りに出ています。
・野澤 そうですね。あのリゾートマンションはいまや100万円でも売れない状態でしょう。結局、持ち主にしてみれば資産価値は暴落しても、古くなった家電製品のようにどこかに廃棄することもできない。 所有権がある以上、固定資産税や管理費・修繕積立金という支出だけは負担しなければならない。ものすごい重荷になっているはずです。
・藻谷 湯沢のいくつかのマンションでは、水回りが老朽化しているために、蛇口から出る水道水も飲用には堪えず、住民はペットボトルの水を買っていると聞きます。
・野澤 えーっ!
▽住宅業界の人が買わない物件
・藻谷 実際には開発業者はそんな超高層住宅の末路は知っているのです。でも「買う奴がいるのだから、今売れればいい」という「売り逃げの論理」で突っ走っているんです。 東京都心に急増している分譲タワーマンションの多くは、近い将来、高齢者が詰まった「新・山村」になって、その処理は大きな社会問題になります。その頃になって製造物責任を問われるのは、売り逃げを図った不動産会社ですよ。
・野澤 だから、建築や住宅業界の人はほとんど、タワーマンションを買ってないですよね。
・藻谷 そう、住宅業界の人は超高層物件を買わない。私も家は買っていない。首都圏の家を買うリスクは大きすぎます。
・野澤 タワーマンションは修繕コストも膨大になります。大規模修繕や建て替えの際に住民の意見をまとめなくてはならないけれど、何百世帯もの合意を得るのは非常に難しい。
・藻谷 消防車の梯子が届かないような高さの建物の修繕はかなり技術的にハードルが高い。湯沢町のように、十分な修繕ができない「立ち腐れ超高層」が激増するでしょう。そして、劣悪な状態になったマンションであっても、居住者は税金や管理費・修繕積立金を負担し続けなければならない……。
・野澤 戸建てもタワーマンションも大量に余る時代になってきているのは予想ではなく現実です。こうなった以上、今すでにある空き家を中古住宅として流通できる建物にして売買・賃貸したり、古い空き家は解体・除却することが一般化するような仕組みを整えつつ、都市計画を厳格にし、規制を強化すべきだと思います。
・藻谷 高さ制限の厳格な国立市(東京都)では、高層マンションを建設した業者に、住民が訴訟を起こし、一審では20メートルを超える部分の撤去を命じた。地元の不動産業者が「不当な判決だ。これで国立の地価は暴落する」と言っていましたが、現実には国立の地価は今でも上がっている。
・野澤 「地区計画」という都市計画制度による規制で、実質的に住宅の供給が一定程度制限されているからですね。住宅過剰時代には、自分の家があるまち自体の資産価値を上げるよう、ひとりひとりが行政に働きかけることが、ますます必要となってくるのでしょう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51118

次に、7月21日付け東洋経済オンライン「「賃貸住宅市場が危ない」、日銀が異例の警鐘 金融緩和による住宅過剰、物価を下押し?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「非常に珍しいことではないか」 賃貸住宅市場に詳しい農林中金総合研究所の古江晋也・主任研究員はそう話す。 古江氏が珍しいと驚くのは、日本銀行が今年1月に公表した「地域経済報告」の記述だ。この中で日銀は「多くの地主等が短期間のうちに貸家経営に乗り出した結果、貸家市場全体でみると、需給が緩みつつあるとの声が聞かれている」「実際、賃貸物件の仲介業者等からは、郊外の築古物件など相対的に魅力の乏しい物件を中心に、空室率の上昇や家賃の下落が見られるとの声が聞かれている」などと、賃貸住宅市場の現状に警鐘を鳴らしている。
▽バブル期を超える不動産業への新規融資
・確かに、賃貸住宅市場は供給過剰の懸念が高まっている。特に、2015年1月に施行された改正相続税法により、相続税の節税対策として多くの貸家が建設されてきた。超低金利政策が長期化し、マイナス金利政策の導入でもう一段、金利が低下したこともこれを後押ししている。「不動産業への新規貸し出しは2009年以降、国内銀行、信用金庫ともに拡大を続け、銀行の新規融資は2015年は10.7兆円、2016年は12.3兆円と2年連続で(バブル期の)1989年の10.4兆円を超えた」(古江氏)。日銀の懸念はもっともであると言える。
・ただ、サブリース方式で賃貸住宅を供給する大手各社の決算を見るかぎり、今のところ市場に変調は出ていない。 たとえば、業界最大手である大東建託は2017年3月期の決算発表で、アパート入居率への懸念に対し、「当社グループが管理している賃貸建物の入居率にまったく懸念はありません」と答えている。同社の居住用賃貸建物の入居率は96.9%で、健全水準とされる96%を上回っているという。今後も入居者ニーズに応じたハード・ソフト両面のサービスを提供することにより、入居率が急激に悪化することはない、と説明している。
・だが、マクロ指標を都道府県別に見ると、少し違った賃貸住宅市場の姿が浮き彫りになる。トヨタ自動車などが出資する不動産評価・情報提供会社「タス」は、首都圏や関西圏の空室率を毎月、集計・公表している。その空室率インデックスで見ると、首都圏では東京都心部はさほどでもないが、埼玉や神奈川、千葉の各県で特に2015年後半以降、空室率が急上昇している。 同社の藤井和之・新事業開発部長は「賃貸住宅の着工数はリーマンショック前の水準に戻っただけでまだバブルではない。しかし、この状態が2~3年続くとバブルとなるかもしれない」と指摘する。
▽賃貸住宅の市況はさらに悪化しそう
・同社はデータユーザー向けに不動産市況のアンケート調査を行ってD.I.(景況指数、50が中立)を作成しているが、これによると、賃貸市場の現況D.I.は50を下回り、市況は相変わらず厳しい。将来D.I.もすべての地域で現況D.I.を下回っており、将来の市況はさらに悪化するとの懸念が高まっている。
・また、首都圏でも特定の地域に集中して賃貸住宅が建設されている実態がある。藤井氏は「たとえば横浜。広さ20平方メートル以下のワンルームなど単身者向けの賃貸住宅が、集中的に大量供給されている」と話す。単身者向けが建設されるのは、人口構成上、単身者世帯が増加しているうえ、単身者向け住宅のほうが面積当たりの賃料が高く、採算が取りやすいからだという。
・一方、今年2月には愛知県のオーナーが業界大手のレオパレス21を提訴し、家賃減額分の支払いを求めて争っており、業界内で大きな注目を集めている。大東建託やレオパレス21など、右肩上がりで成長してきたサブリース業界にとって、曲がり角の事件となるかもしれない。
▽2030年代は本格的な空き家時代に
・今後、賃貸住宅市場はどのように推移していくのか。野村総合研究所はこのほど、2030年度までの住宅市場の長期予測を公表した。 それによると、2016年度に97万戸あった住宅供給戸数は30年度には4割減の55万戸まで減少。とくに貸家の供給は43万戸から25万戸まで減少すると予測している。同時に、2033年の空き家数は約2166万戸、空き家率は3割超と、本格的な空き家時代が到来すると見込まれている。
・予測を担当した同社グローバルインフラコンサルティング部の榊原渉部長は「景気に左右される分譲住宅、ライフステージに応じて建て替えなどが決定される持ち家と比べ、いちばん予測しづらいのが貸家の需要。今後は単身世帯が増えて持ち家率が下がり、持ち家にこだわらない層の賃貸アパート、賃貸マンション需要が増えていくことも考えうる」と指摘する。
・住宅投資は名目GDP(国内総生産)の3%程度を占めるにすぎないが、裾野が広いだけに、その減速の影響は大きい。また、賃貸住宅の過剰供給は、消費者物価指数の構成比の2割弱を占める家賃の下押し圧力となり、デフレの一因となっている。皮肉なことに、極端な金融緩和が金融機関の不動産融資を後押しし、供給過剰から2%の物価目標が遠のくという形で日銀に跳ね返るというブーメラン現象が生じている。
http://toyokeizai.net/articles/-/180975

第三に、不動産コンサルタントの長嶋 修氏が7月30日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾 対策していない自治体の土地を買ってはダメ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・東京オリンピックが開催される2020年以降に、大都市の土地に対する需給バランスが大きく崩れるのではないかと予想されていることをご存じだろうか。 2022年に、いわゆる「生産緑地」の多くが、マンションや一戸建てなどの住宅用地として順次放出される可能性が出ているのだ。放出候補となる土地の面積は、実に東京ドーム2875個分という広大なものだ。
▽空き家増加に歯止めがかからなくなる
・2017年現在、全国の空き家数はおそらく1000万戸を突破しているものとみられるが、このままでは空き家増加に歯止めがかからなくなる。不動産の価格は言うまでもなく「需要」と「供給」で決まるが、大都市圏の住宅価格には非常に大きな下落圧力がかかるだろう。 この件は不動産市場の「2022年問題」といわれ、大量の住宅用地放出を、ハウスメーカーやマンションデベロッパー、アパート建設会社などがビジネスチャンスととらえ、虎視眈々と商機をうかがっている。
・放出可能性のある地域は東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他整備法に規定する一部地域など。「平成27年都市計画現況調査」(国土交通省)によれば、2013年3月時点の生産緑地は全国で1万3442ヘクタール(約4066万坪)。東京都に3296ヘクタール(997万坪)ある生産緑地がすべて宅地化された場合、約25万戸の一戸建ての建設が可能だ。2016年における東京都での新築一戸建て着工戸数は13万戸強にすぎない。マンションやアパート用地に変貌した場合には、戸数は飛躍的に増大する。
・生産緑地法をめぐる動きを、時系列に沿って整理してみよう。1974年に公布された生産緑地法では、市街化区域内の農地の宅地化を促す目的で、大都市圏の一部自治体では農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊の農地はその多くが宅地化されることになった。当時は深刻な住宅不足が問題になっていたため、これの解消が狙われたのだ。
・そして、1992年の同法改正によって、市街化区域内の農地は、農地として保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に分けられた。生産緑地に指定されると固定資産税は農地並みに軽減され、相続税の納税猶予を受けることも可能だ。生産緑地の所有者はこうした優遇措置を受ける代わりに、建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められた。
・「生産緑地」とは原則としてすべて、住宅建設可能な市街化区域内にあることがポイントだ。同法の適用は1992年からで、期限は30年後。つまり2022年以降、生産緑地の多くが宅地化する可能性が高いのだ。  この期限を迎えたとき、所有者が病気などで農業に従事できなくなった、あるいは死亡などの場合に、所有者は市区町村の農業委員会に土地の買い取り申し出を行える。この買取り申し出に対し自治体は、特別の事情がないかぎり時価で買い取るものとされているが、市区町村が買い取らなかったり、生産緑地として他に買う者がいない場合には、この生産緑地指定が解除される。これまでの実績では、予算不足などの理由から、自治体による買い取りの実績はほとんどみられない。
・そうなると、優遇された固定資産税が数百倍にハネ上がるため、所有者は土地を持ち続けられず、売却するしかなくなるだろう。こういったまとまった土地を仕入れるメインプレーヤーは、一戸建てを建設する大手ハウスメーカーや、ローコスト住宅を建設するパワービルダーと呼ばれる企業群だ。立地がよければマンションデベロッパーが触手を伸ばすだろう。
▽国の対策は限定的にしか機能しない
・立地に難のある土地ではアパート建設が進む可能性が高い。土地の上にアパートなどの住宅を建てれば固定資産税や相続税評価額が下がることから、2015年の相続増税以降、とりわけ首都圏ではアパート建設が飛躍的に増大、空室率が格段に高まっているのは周知のとおりだ。
・むろん国もこのことは承知しており、生産緑地の指定期限が切れた30年後も、10年毎の延長を可能とする「改正都市緑地法」の施行を6月に行った。しかしすでに30年経過し、土地所有者も高齢化が進んでいる。実際に延長ができるのは、所有者が農地を維持できる体力があるか、後継者がいる場合に限られるだろう。また、同法では、単に農地として維持するのではなく、農産物の直売所や農家レストラン等の設置も可能としたが、これらを適用できる所有者も同様に限定的だ。
・これからマイホーム購入を検討する向き、不動産売却を検討する向きには非常に悩ましい問題だ。圧倒的な土地放出の前では、不動産価格は下落するしかない。「売るなら今」「買うなら2022年以降」と判断できるケースもあるだろう。ただし悩ましいのは、住宅ローンの金利水準の動向だ。現在は日銀の金融緩和方針もあり、歴史的な低金利下にあるが、この状態が2022年以降も続く可能性は不透明だ。金利が上昇すれば、同じ支払額で借りられる住宅ローン額が減少するため不動産価格には下落圧力が働く。一方で、現行水準で住宅ローンをFIXしておけば総支払額は抑えられる。
・本格的な人口減少、少子化・高齢化はこれから始まる。不動産は1にも2にも3にも、立地が大事だ。不動産を購入する場合は、生産緑地のことも頭に入れて、将来的に価値が落ちない、落ちづらい立地をよくよく吟味する必要があるだろう。まずは、周辺に生産緑地がどの程度あるか、自治体に尋ねるなどして把握してみよう。その際には自治体における、とりわけ生産緑地の扱いをめぐる施策検討の有無も確認したい。大量の生産緑地を抱え、かつ自治体で何ら方策も検討されていない場合は要注意だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/181979

第一の記事の 藻谷さんと野澤さんの対談は、歴史的・経済学的視点も織り込まれた読む価値のある読み物だ。 『空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥です。 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった』、というのは大したものだ。 『そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です』、 『極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました』、などもとんでもない話だ。 『容積率を上げれば・・・その土地の価値は上がります・・・これは典型的な「合成の誤謬」です』、というミクロとマクロを混同した議論もいまだに横行しているのも困ったことだ。 『人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です』、確かに目先だけを狙った都市計画は、問題が多いが、果たして長期的視点に立った都市計画を立案できる政治家や官僚はいるのだろうか。選挙民も同様であろう。長期的視点に立った都市計画の必要性を、もっと大々的に世論に訴えていくべきだろう。
第二の賃貸住宅市場バブルも、持続性がないことを皆が分かっていながら、市場参加者はとりあえず波に乗ることだけを考えているようだが、崩壊は時間の問題だろう。
第三の『「生産緑地」という時限爆弾』、も考えると、賃貸住宅市場バブルの底は極めて深く深刻なものになりそうだ。やれやれ・・・。
タグ:不動産 日本銀行 東洋経済オンライン 藻谷浩介 里山資本主義 (その1)(「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来、「賃貸住宅市場が危ない」 日銀が異例の警鐘、2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾) 老いる家 崩れる街 野澤千絵 現代ビジネスで対談 「「空き家大国ニッポン」のゾッとする近未来〜首都圏でさえこの惨状…無計画な開発の果てに」 いまの日本を滅ぼしかねない大問題は、「空き家」の激増だ。それは、人口が減少するのに住宅はつくられ続けるという不可解な現実に由来 日本中に空き家が激増 世界でも類を見ない「空き家大国」になるのです 空き家が大量に生み出される最大の要因として指摘されているのが、都市計画の欠陥 長年、この問題を関係者の誰ひとり言い出さなくて、誰が最初にスイッチを押すだろうと思っていましたが、ついに出たのが野澤さんだった。よくぞ、書いてくださいました 都市計画法にそって行われてきましたが、これは住宅を造ることを前提にした高度経済成長期仕様の法律 市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」を分けるという線引き制度と開発許可制度を導入していたので、当初はある程度は開発をコントロールできていました その区別が時代とともに、政治的な圧力などによって「緩和、緩和」の大合唱によってうやむやになり、農地の中にポツンポツンと住宅や賃貸アパートが建つようになってしまった そういう市街化調整区域に家を買って住んでいる人はたいてい、「うちにも下水道を引いてくれ」と言う。ところが、住宅がまばらな地域に都市インフラを整備することは自治体財政には大きな負担です 極端な例は北海道の夕張市です。石炭産業が衰え、10万人以上いた人口が3万人ほどに減った時点でもなお、市営の集合住宅の建設を続けていました 北海道には、人口が減っている平成以降に、元の市街地の4~5倍の規模で郊外開発をしている例が多いのです。 問題の根っこは無計画な都市計画にあります 本来は市街化を抑制すべき市街化調整区域の開発規制を過度に緩和して、新規の宅地開発にゴーサインを出している。 で、結局は、近隣自治体同士での人口奪い合い合戦となる 山梨県に昭和町 ここは農地の住宅地化を積極的に進めた結果、全国有数の人口増加率を誇っています 子供が5%増、現役世代が6%増、それに対し高齢者は32%増です。福祉関係の費用増はとても深刻でしょう 40年前から乱開発をせっせとやってきた結果。当時30代前後で昭和町に流れ込んできた人たちが、いま続々と65歳を超える高齢者になっているのです。 人口を増やそうとして若い世代を呼び込むと、数十年後には高齢者の大激増に見舞われる。総人口だけを見て増えていると安心するのは大間違い。住民の加齢をまったく考えていない都市計画の先に待つのは、財政破綻です 首都圏一都三県では、この5年間に、65歳以上の住民が134万人も増えたのです。 そのうち80歳以上だけを取り出すと52万人の増加です。この5年間で総人口が51万人増、うち80歳以上が52万人増ですから、つまり増えたのは80歳以上だけで、79歳以下は減っている 空き家も大量に発生 お台場の現在の人口構成 40年前の高島平の人口構成 2つの人口ピラミッドがぴったり重なっていた お台場の高層マンション群も、40年後には現在の高島平のような高齢化が進んだまちになる 今の乳幼児は団塊世代の半分なので、相続人も足りない。日本は想像を絶する「家余り時代」に突入するのです。 戦後の日本の住宅業界は、「供給を増やせば市場価値も上がる」という、市場経済原理とは真逆の、謎の信念によって支えられてきたのです。原理的には、供給を増やせば値段は下がるのが当然なのですが 容積率を上げればより多くの住戸が作れますから、その土地の価値は上がりますが……。 湯沢町(新潟県)が典型 あのリゾートマンションはいまや100万円でも売れない状態でしょう 建築や住宅業界の人はほとんど、タワーマンションを買ってないですよね タワーマンションは修繕コストも膨大になります。大規模修繕や建て替えの際に住民の意見をまとめなくてはならないけれど、何百世帯もの合意を得るのは非常に難しい 高さ制限の厳格な国立市(東京都)では 高層マンションを建設した業者に、住民が訴訟を起こし、一審では20メートルを超える部分の撤去を命じた。地元の不動産業者が「不当な判決だ。これで国立の地価は暴落する」と言っていましたが、現実には国立の地価は今でも上がっている 住宅過剰時代には、自分の家があるまち自体の資産価値を上げるよう、ひとりひとりが行政に働きかけることが、ますます必要となってくるのでしょう 賃貸住宅市場が危ない」、日銀が異例の警鐘 金融緩和による住宅過剰、物価を下押し? 賃貸住宅市場の現状に警鐘を鳴らしている 改正相続税法により、相続税の節税対策として多くの貸家が建設 埼玉や神奈川、千葉の各県で特に2015年後半以降、空室率が急上昇 賃貸住宅の市況はさらに悪化しそう 2030年代は本格的な空き家時代に 長嶋 修 2022年に破裂する「生産緑地」という時限爆弾 対策していない自治体の土地を買ってはダメ 2022年に、いわゆる「生産緑地」の多くが、マンションや一戸建てなどの住宅用地として順次放出される可能性が出ているのだ 生産緑地は全国で1万3442ヘクタール(約4066万坪)。東京都に3296ヘクタール(997万坪)ある生産緑地がすべて宅地化された場合、約25万戸の一戸建ての建設が可能だ 期限は30年後。つまり2022年以降、生産緑地の多くが宅地化する可能性が高いのだ 立地がよければマンションデベロッパーが触手を伸ばすだろう
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アベノミクス(その22)「働き方改革」8(「年収1075万以上」が「300万円以上」になる日、「残業代ゼロ」合意をドタキャンした“政権寄り”連合のこれから) [経済政策]

アベノミクス(その22)「働き方改革」8については、7月14日に取上げたが、今日は、(その22)「働き方改革」8(「年収1075万以上」が「300万円以上」になる日、「残業代ゼロ」合意をドタキャンした“政権寄り”連合のこれから) である。

先ずは、健康社会学者の河合 薫氏が8月1日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「年収1075万以上」が「300万円以上」になる日 ホワイトカラー・エグゼンプションという“感情論”」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今回は「感情と論理」について考えてみる。 「論理的」に見える人が実は感情に突き動かされている、これ、そんな事例じゃないかというお話だ。
・「高度プロフェッショナル制度」、別名「ホワイトカラー・エグゼンプション」、またの名を「残業代ゼロ法案」が、ついに秋の臨時国会で働き方改革関連法案と一括して提出されることになった。 容認する姿勢を見せていた連合は“集中砲火”を浴び、政労使合意を見送るとのこと。
・第1次安倍政権の時から、要件を変え、名前を変え、手を尽くしてきた政府は、 「労働者団体の代表の意見を重く受け止め、責任をもって検討する」(by 菅義偉官房長官) そうだ。  思い起こせば、今から10年前……  「残業代が出ないんだから、早く帰れるし、家族団らんが増え、少子化問題も解決するじゃん!」(安倍首相)。 「そうだ!そうだ!『家族だんらん法』と呼ぶように、徹底しよう!」(当時の厚生労働大臣 舛添要一氏)  「だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんよ! これは自己管理です! ボクシングの選手と一緒です。つらいなら、休みたいと主張すればいい」(某女性起業家) などと、今だったら大問題になりそうな“ノー天気”な発言がありましたね。 はい。そうです。これらはすべて、第1次安倍政権の時に記者会見などであった発言である。 あ、失礼。実際の言い方はこんな“軽~い”感じではなく、もっと“丁寧”な物言いです。
▽ノリと勢いで導入しようとしてないか?
・しかしながら、こんな風に脚色したくなるほどどの発言も根拠に乏しい。当時から、この制度の議論は「ノリと勢い」だけで進められてきた感が否めないのである。 いずれにせよ、ご存知のとおり第1次安倍政権のときに、世間から総スカンされ一旦は頓挫。で、第2次安倍政権で、またしても産業競争力会議の提案というカタチでスタートした。
・その推進役を担った、長谷川閑史(はせがわ・やすちか)氏(前経済同友会代表幹事、武田薬品工業会長)は、2014年の朝日新聞のインタビューで次のように語っている(2014年5月22日朝刊 一部抜粋) (記者)長時間労働を招くとの懸念が相次いでいます。 「労使合意もあるし、最終的には本人の判断。うまくいかなければ、元の働き方に戻れる仕組みだ。(働き手を酷使する)『ブラック企業』が悪用するとの批判もあるが、「まずは労働者の権利をしっかり守れる企業にだけ認めればいい」(長谷川)  (記者)働き手が「同意」を強いられませんか。 「そうならないよう守るのが労組の役割のはず。労働基準監督署もしっかり見ないといけない」(長谷川)
・ふむ。当時もこのインタビューにはかなり驚いたけど、今改めて読み返しても突っ込みどころ満載である。  「労働者の権利をしっかり守れる企業だけに認めればいい」って?? 「労働者の権利をしっかり守っている企業です!」というのは、誰が決めるのか? 「わが社は、労働者の権利なんて守ってませ~~ン!」などと、胸を張る企業がいたら、それこそ問題である。
・「そうならないよう守るのが労組の役割のはず」って? 労組のトップである連合からしてその任を果たせるとは、私にはどうにも思えない。 連合について言えば「いったいどっちを向いているんだ?」が私の印象だ。 もちろんただ「異を唱えればいい」わけではない。 だが、連合側は「年間104日の休日の義務化」を主張する一方で、以下の措置は、「いずれかの選択でいい」とした。
 +1日の中で一定の休息時間を確保(インターバル制度)
 +労働時間の上限設定
 +2週間の休日
 +臨時の健康診断の実施 (ソースはこちら→「連合、批判から一転容認 「残業代ゼロ」修正を条件に」)
・なぜ、「いずれ」なんだ? す・べ・て労働者の健康面を守るには、必要なこと。特にインターバル制度の重要性は、いくつもの調査結果から確かめられている。それなのに「いずれかの措置」などとユルい条件を出すとは、経営者の味方なのか、労働者の味方なのか? 
・連合は、2015年5月、証券や国債などの市場情報を提供する東京都内の会社でアナリストとして働き、2013年7月に倒れ心疾患で亡くなった男性(当時47歳)が、過労死だと労災認定されことを、すっかり忘れてしまったのだろうか。
・この男性は、企業が行った人員削減の影響で1人当たりの業務量が増加。上司からは「他のチームはもっと残っているぞ」「他の従業員より早く帰るな」「熱があっても出てこい」と出勤を命じられ、極限状態まで追いつめられた。 発症前1カ月の残業が133時間、発症前2~6カ月の平均残業時間が108時間(遺族がリポートの発信記録や同僚の証言などを基に算出)。
・男性が亡くなったあと、会社は「居残りは本人が望んだこと」と宣言し、「自分たちの責任ではない」との姿勢を貫いた。 合意しただのしないだの、いずれでいいだのなんだのという、連合の言動は、長谷川氏の言う“その役割”をまっとうできる組織だとは、到底思えないのである。
▽いずれ年収300万円台にも適用が始まる
・「でもさ、今回の対象って、年収1075万円以上の専門職でしょ? こういう優秀な人たちは時間と成果を切り離して、個人の生産性をあげてもらうためにも必要でしょ?」 法案に賛成する人の意見は、大抵これ。「生産性向上」である。
・もちろん「働く時間の自由」を手に入れることで、個人の生産性は上がるかもしれない。無駄な残業代がなくなれば、企業の生産性も一時的に上がるかもしれない。だが、その先は? その“生産性”は、経営の行き詰まり感をとりあえず解消する、瞬間風速的なものじゃないのか。 「職務内容・達成度・報酬などを明確にした労使双方の契約」としながら、それが達成できなかったときのペナルティーは、立場が弱い「働く人」にしか課せられないのでは?
・いや、そもそもだ。 ペイ・フォー・パフォーマンスというのであれば、そのパフォーマンスに見合ったペイを算出する方法をどうするかの議論も欠かせないはずなのに、そんなの聞いたことがないぞ? とにもかくにも「?????」だらけだ。申し訳ないけど、私の小さい脳みそでは、全く理解できないのである。
・“そもそも”経団連が1995年に出した「新時代の『日本的経営』」の中での提案が、議論のスタートとなっているわけだが、当時から指摘されてきた“諸問題”は何一解決されていない。そればかりか、「解決しよう」という姿勢すら感じ取れない。
・もっとも懸念されるのが、これが「アリの一穴」となりやしないかということ。 「年収1075万円の専門職」は、20万人程度と試算されている(厚労省による)けど、私は、これは悪夢の始まりだと考えている。 「年収1075万以上」は「年収400万以上」「300万以上」になるだろうし、「高度」は「一般」になるだろう。どんどん条件が引き下げられ、この世から「残業手当」はなくなっていくのだ。いや、違う。「残業という概念」が消滅するのだ。
・こういったことを書くと「まさしく感情論だ。アリの一穴のエビデンスはあるのか!」と批判する人は少なくない。 なのでお答えしよう。 「過去」をみればわかる。 現在の「36協定」である。 現在の36協定は、1947年に労働基準法が制定されたとき、「国際労働条約の 1 日8時間制を取り入れたいのはやまやまであったが、 破壊しつくされた当時の日本では8時間労働で国民の必要とする最低生活を支えることは、不可能ではないか」という疑問が出た。
・1週間も激論が続いたあげく、労働組合との協定があれば25パーセントの割増賃金で時間外労働をさせることができるという結論に到達した」 と、法整備の中心的役割を果たした労働省の課長だった寺本廣作氏が, 自伝 『ある官僚の生涯』 (非売品、1976 年) で記している。 そしてまさしく“36協定”はアリの一穴だった。
・戦後復興期の当時の日本では、1日の労働時間を10時間にしているところも多かったが、8時間とする代わりに、出来るだけ経済復興を阻害しないよう時間外手当を欧米の50%の半分の25%にする36協定が、上記のような経緯で制定された。(参考:「なぜ労基法では一日8時間・時間外割増率25%となったのか」 この資料には、「25%」の“根拠”も丁寧に書いてあるので、興味ある方は是非、ご覧いただきたい)。
・「終戦後の国力回復」を目指した配慮とはいえ、この経緯が、「今の長時間労働大国ニッポン」という不名誉な事態のひとつの要因になったことは否定できない。 もろもろの事情を鑑みて36協定は成立し、会社側が従業員を法定労働時間よりも長く働かせたり、法定の休日に出勤させたりする場合は、「時間外労働・休日労働に関する協定書」を結んで、「36協定届」を労働基準監督署に届け出ることになった(協定届に労働者の代表の署名かはんこがあれば、協定書と届出書は兼用できる)。
・だけど、実態は…。 2013年10月、厚生労働省労働基準局の調査で、中小企業の56.6%がこのための労使協定を締結していなかったこと、うち半分以上が、「時間外労働や休日出勤があっても、労使協定を締結していない」ということが公表された。つまり、「違法に残業させている」ということだ。 そしてつい数日前。 電通が、「そもそも36協定の前提となる、“労働者の代表”としての資格を、同社の労働組合が持たない(加入率が5割以下)まま、協定を締結していた」ことが判明。しかも、厚生労働省もこれを知っていたというのだ。(「電通の36協定無効、厚労省が把握 有効を前提に立件」)
▽適正化ではなく、抜け道の拡大が進む
・一旦法律が作られても、企業側も行政側もそれを時代に合わせて適正化する…のではなく、どんどん拡大解釈し、あげく無視するようになる実例がこれだ。 ただし、念のため断っておくが、私は「時間と成果」を切り離す考え方そのものに、反対しているのではない。むしろ賛成である。だが、今の日本ではムリ。時期尚早。
・今までの労使関係が大きく変わる可能性がある制度であり、法案でありながら、 「どのようなデメリットがあるのか?」 「どんなメリットがあるのか?」 などの議論が尽くされていないのは極めて問題だ、と言っているのだ。 法制度の導入や変更を行った場合にもたらされる効果や問題点を、健康・医療面や経済面の立場からの分析がほとんどおこなわれていない現段階で、「生産性向上」というマジックワードで踏切るのは「悪夢の始まり」となる可能性のほうが高い。
・だって「アリの一穴」になる可能性は、歴史が教えてくれているが、「アリの一穴」にならないという証拠は何ひとつ示されていないのだ。 「感情的」なのは、むしろ推進派の人々であり、もっと「論理的」な議論を行うために、検証作業を行っておくべきなのだ。
・ここにひとつの興味深い、調査結果がある。 タイトルは「ホワイトカラー・エグゼンプションと労働者の働き方:労働時間規制が労働時間や賃金に与える影響」(黒田祥子・東京大学、山本勲・慶應義塾大学、研究者による解題はこちら、ディスカッションペーパーはこちら)。 この調査では「慶應義塾家計パネル調査(KHPS)」を用い、労働時間規制の適用除外となっている管理職や年俸制の労働者(=ホワイトカラー・エグゼンプション WE)と、適用されていない労働者を比較した分析。と同時に、同一の労働者がホワイトカラー・エグゼンプションの適用を受けたときに、労働時間や賃金がどのように変化したのかも検証している、国内で行われた数少ない「ホワイトカラー・エグゼンプション」に関する実証研究である。
・この調査は、2つの手法を用いている。 ひとつは同じ仕事内容が想定される対象者で「WE適用者」と「WE非適用者」を比較し、労働時間などの検討を行っていること。二つ目が、同一人物が、「管理職になる前(WE非適用)」と「管理職になった後(WE適用)を比較し、労働時間などの変化を分析していること。  その結果を以下にざくっと述べる(詳しい内容はリンク先をご覧ください)。
●ホワイトカラ ー・エグゼンプション(WE)が適用されている人とそうでない人の比較
 +週労働時間は、WE適用群が53.54時間、適用されていない群は52.18時間で、WE適用群の方が1.36時間統計的に有意に長い。
 +産業別では、第三次産業、卸小売・飲食・ 宿泊業で働く労働者が、約2~3時間長い。
 +年齢・属性別では、30~40歳の大卒以外で、約3時間長い。 ※週3時間は年間で144時間
 +卸小売などでも年収700万円以上の労働者では、両群に差は認められなかった。
 +週60時間以上働く労働者は、WE適用者の方が統計的に有意に多い。
●ホワイトカラー・エグゼンプションが適用前後の比較(同一労働者)
 +大卒以外の労働者は、週労働時間が2.05時間増。
 +大卒の労働者では、逆に3時間短縮。
 +年収を400万円上に限定すると、大卒以外の労働者の労働時間の増加は有意ではなくなる。
▽人事・昇進制度との兼ね合いを考えて論じるべき
・調査チームはこれらの結果を踏まえ、以下の疑問と仮説を検討している。
 +「WE適用者」で労働時間が増えているのは、いわゆる「名ばかり管理職(店長)」として企業が昇進させ、賃金抑制を行っている可能性はないのか? あるいは「雇用者は昇進に伴い、仕事に必要な労働時間とそれに見合った賃金」をもらっていて、結果的に雇用者の時給換算した賃金は変化していないのではないか? +「WE適用」前後(=管理職昇進前後)で、労働時間が異なるのは「(昇進前は)長時間労働を他者よりも行うことで相対的な生産性をあげ、高評価を得ようとする行動原理があるのではないか? で、検討した結果、
 +「名ばかり管理職(店長)」と呼ばれる人は昇進に伴い賃金も上がっている。長時間労働の帳尻あわせが行われている、という可能性がある。
 +労働時間の長い人ほど、昇進する確率が高い」ことが見受けられる。WE適用前の大卒労働者の労働時間が長く、適用後に短くなるという行動原理には、昇進にまつわる競争が存在している可能性がある。  と、示唆されたのである。
・これらの結果を、私流にまとめると、 「大卒じゃない低所得者は、WE導入で昇格・給与が上がり、残業も増える。大卒だと労働時間は減るけど、それは昇進競争の結果、無理に働かなくてもいい、という状況の変化によるもので、時間と成果を切り離した結果とは言い切れないよん」 ってことじゃないかと。
・つまり、この調査からは、 「ホワイトカラー・エグゼンプション法案」=「残業ゼロ法案」とは言い切れないと共に、 「時間と評価がセットでなくなる(=残業代が出ない」=『早く帰れる、あるいは帰る」) とも言い切れないことがわかったのである。
・しかしながら、筆者も指摘しているとおりあくまでも「労働時間の増加分」だけを比較しただけであり、「そもそもの労働時間が長い」という前提は加味されていない。 また、「WE適用前後」の検討では業務内容の変化や、それに伴う「ストレス要因(例:時間的切迫度、責任過多など)」、「パフォーマンスやモチベーションの変化」などの心理要因は捉えていない。
・大切なのはこのような実証研究を積み重ね、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の効用と問題点をクリアにすること。 ただ単にアンケートを行って、「○%の労働者もWEを望んでいる」だの、「米国でも生産性向上につながってる」だので議論するのではなく、きちんとした調査、分析により、効果と問題点を積み重ねたうえで、法を変えるなりなんなり規制緩和すべきだと思う。
▽経営者側のモラルを問うならば
・そういえば、先の朝日新聞のインタビューで、長谷川さんは次のようなことも言っていらっしゃった。 「米国では当たり前のことがどうしてできないのか。日本の経営者は(悪用が懸念されるほど)モラルが低いのか。かつて反対が強かったのは確かだが、いろんな選択肢を提供するのが時代の要請だ。厚生労働省もダメというなら、逆にどう経済成長に貢献するのか代案を示してほしい」 
・経営者のモラル……ですか。 高度プロフェッショナル制度を、秋の臨時国会で働き方改革関連法案と一括して提出される見通し」と報じられた、7月27日の日経新聞の朝刊の社会面に踊っていた見出しは……、 「違法残業4割超で確認ー16年度 厚労省立ち入り調査で」 「ストレスチェック実施82% 義務化後も徹底されず」 ……。  また、その夜には、電通が過去に残業代の未払いがあったとして調査に乗り出す方針を発表。 さらに、数日前には、宅配便最大手ヤマトホールディングス(HD)の残業代未払い分は総額約230億円となったと報じられ、平成27年度の賃金不払残業是正結果によれば、支払われた割増賃金は、99億9423万円。
・……残業代、きちんと払ってくださいな。 議論はそのあと、だ。 あ、ちょっと感情的になってしまった(笑)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/073100116/?P=1

次に、8月7日付けダイヤモンド・オンライン「「残業代ゼロ」合意をドタキャンした“政権寄り”連合のこれから」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・労働組合の中央組織である連合は7月27日、札幌市で開いた中央執行委員会で、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設や裁量労働制の拡大が盛り込まれた労働基準法改正案の修正に関する「政労使合意」を見送ることを決めた。 「高プロは、残業代ゼロを容認し、長時間労働を助長する」と反対してきた連合だったが、一転、容認に回り、この約2週間前の13日には、神津里季生会長自らが官邸を訪れて、安倍首相に改正案の修正を要請したばかり。一体、何があったのか。
▽唐突に「高プロ」容認に転換  現場が反発、2週間で撤回
・「ずるずると引きずってはいけないという認識もあり、判断した」 中央執行委員会のあと、記者会見した神津会長、逢見直人事務局長の表情はげっそり。 執行部の全面敗北で終わった2週間のドタバタ劇を象徴するようだった。
・発端となった「高プロ」とは何かといえば、為替ディーラーやアナリストなどの特定の専門職で、一定以上の年収(1075万円を想定)のある人について労働時間の規制を外す制度のことだ。 労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間と定め、この法定労働時間を超えて働かせる場合は、割増賃金の支払いを義務付けている。高プロの対象になれば、労働時間の規制がかからず、残業代はもちろん、休日労働、深夜労働にも割増賃金が一切支払われなくなる。
・第一次安倍政権のときに導入が検討され、猛反発を受けて頓挫した「ホワイトカラーエグゼンプション」の一種だ。 政府は2015年4月に、これを盛り込んだ労基法改正案を国会に提出したが、野党が「長時間労働を助長する」と反発。法案は審議もされないまま、たなざらしになっていた。 連合も一貫して反対し、法案の閣議決定の時も、「高プロの創設と裁量労働制の拡大を阻止するため、院内外の取り組みを強力に展開する」と“徹底抗戦”する事務局長談話を発表している。この時の事務局長が現会長の神津氏だった。
・だが唐突な形で今年7月、法案修正を政府に働きかける執行部の動きが表面化する。 7月8日に開かれた三役会の集中審議。会長、事務局長に加え、UAゼンセン、自治労、自動車総連、電機連合、基幹労連など、連合を支える主要な産業別組織のトップが集まる会合で、条件付きで「残業代ゼロ」を容認する執行部の意向が示された。寝耳に水の出席者からは異論が続出したという。
・主要幹部の了解を取った上で、13日に神津会長が官邸を訪れて安倍晋三首相に、働き過ぎを防ぐ対策を手厚くする修正を要請、これを受けて19日には、政府、経団連との「政労使合意」を結ぶ――。執行部が当初、考えていたシナリオだ。
・実際、13日には神津会長が官邸を訪れ、高プロの対象者に年104日の休日を義務づけることなどを首相に要請した。安倍首相も政労使合意を検討することを表明し、事態はシナリオ通りに動くかのように見えた。  だが8日の三役会以降、執行部の一部の「独走」に組織内や民進党、過労死遺族の団体から反対論が続出。 地方組織にも動揺が広がり、連合島根は、19日付で連合本部に意見書を提出。「十分な組織的議論と合意形成の努力を行うべきであり、今回の対応は手続きの面で大きな問題がある」と、反発した。
・組織内だけではない。SNS上では連合批判が飛び交い、19日夜には「連合は勝手に労働者を代表するな」「勝手に決めるな」と書かれたプラカードを持った人々が連合本部(東京都千代田区)前でデモをした。インターネットの呼びかけに応じて集まった人々を中心に100人以上が集まった。
・執行部は、19日の「合意」をいったん見送ったが、それでも主要産別などがそろう中央執行委員会で、組織内の了解を得られると踏んでいた。だが10以上の産別や地方組織が反対。結局、合意取り付けに失敗した。
▽「一強」政権に接近の現実路線 「表も裏も政府寄り」の批判
・「こんな大騒ぎになるとは思わなかった。判断が甘かった」と幹部の一人は言う。 現実路線を進める執行部の一部に対する、現場の不満のマグマは想定以上だった。 安倍政権が、デフレ脱却を掲げて企業に賃上げを求める「官製春闘」を展開、「働き方改革」では「同一労働同一賃金」などの、“労働者寄り”の政策を打ち出す中で、連合は政府に呼吸を合わせてきた。政府、経団連らとの「政労使会議」や、「働き方改革実現会議」など、官邸主導で作られる舞台に乗って、「実」を取ろうという路線が続いてきた。
・今回の「残業代ゼロ合意」への流れができる時も、政府側から働き掛けがあったという見方がある。3月末から事務局レベルで政府と調整が始まっていたことは、神津会長も認めている。 そのころ、働き方改革実現会議で、連合が求めた「罰則付きの残業時間規制」が決まり、それを盛り込んだ労働基準法改正案が国会に提出されることになった。 こうした中で、2年近くたなざらしのままの「高プロ」創設の労基法改正案と、「罰則付き残業規制」を入れた労基法改正案が「一本化」されそうだとの懸念が語られるようになったという。
・「法案が一本化されたら対応が難しい。高プロは反対だが、残業時間の上限規制は導入したい。いまの状況では政府が一本化した法案を強行採決しようと思えば、やれる。それなら、高プロの修正を求めて、話し合いで取とれるものは取ろう」 逢見事務局長を中心に「高プロ容認」の現実路線の考えが強まったという。
・だがもともと、罰則付きで長時間労働を抑えようという制度と、「残業代ゼロ」で長時間労働を助長しかねない制度を一緒に認めようというのは、水と油の話だった。 しかも国会審議すら始まっていない段階で「条件付き容認」に転じれば、組織内外の強い批判を浴びることは十分、予想できた。 連合の威信も傷つけることになったドタバタの混乱を招いた原因は、執行部の甘い見通しだった。
・「どこかで妥協は必要かもしれないが、政府と、労働者の権利や利益を守る連合とは立場が違う。表で戦うポーズをとって、裏では妥協するならともかく、表も裏も政府寄りになったのでは、労働組合の存在価値がなくなる」と関係者の一人は吐き捨てる。
▽『責任論』くすぶる中、会長続投 「残業代ゼロ」は労政審で仕切り直し
・一方で混乱があったとはいえ、連合内には土壇場での「決断」を評価する声もある。 27日の中央執行委員会終了後、連合北海道の会長は記者団に、「組織や現場で率直に意見をぶつけ合って反映する形で引き留めたのは、結果的には良かった」と語った。 「執行部の責任論」がくすぶる中で、8月1日、連合は、神津会長の続投(留任)と、「残業代ゼロ」容認を主導した逢見氏を会長代行にする人事を内定、立て直しを図る構えだ。
・だが今回のドタバタを経て、連合に「芯」が通ったのかどうか。 札幌で会見があった翌日、塩崎恭久前厚生労働大臣は、高プロの導入と残業時間の上限規制の法案を一本化する方針を正式に表明。一本化や修正の中身は、今後、労働政策審議会で議論される。 神津会長は労政審での対応について、「(一本化される)法案全体を見て、連合としての考え方をまとめたい」と、賛否の明言を避けている。 労政審でどのような議論を展開するのか、支持率急降下で求心力に陰りが出始めた安倍政権との距離をどうするのか、連合にとって次の正念場となる。
http://diamond.jp/articles/-/137666

河合氏が、 『「高度プロフェッショナル制度」、別名「ホワイトカラー・エグゼンプション」、またの名を「残業代ゼロ法案」・・・第1次安倍政権のときに、世間から総スカンされ一旦は頓挫。で、第2次安倍政権で、またしても産業競争力会議の提案というカタチでスタートした』、それが、政労合意一歩手前まで行ったというのは驚きだった。 『連合側は「年間104日の休日の義務化」を主張する一方で、以下の(4つの)措置は、「いずれかの選択でいい」とした・・・す・べ・て労働者の健康面を守るには、必要なこと。特にインターバル制度の重要性は、いくつもの調査結果から確かめられている。それなのに「いずれかの措置」などとユルい条件を出すとは、経営者の味方なのか、労働者の味方なのか?』、との指摘は正論である。 『アリの一穴のエビデンスは・・・現在の「36協定」である・・・この経緯が、「今の長時間労働大国ニッポン」という不名誉な事態のひとつの要因になったことは否定できない』、などの指摘は確かにその通りだ。 『念のため断っておくが、私は「時間と成果」を切り離す考え方そのものに、反対しているのではない。むしろ賛成である。だが、今の日本ではムリ。時期尚早』との考え方にも100%賛成だ。 『経営者のモラルを問うならば』、での事例にみるように、お世辞にも褒められたものではない。
第二の記事は、連合サイドの事情を説明しているが、 『唐突に「高プロ」容認に転換  現場が反発、2週間で撤回』 とのお粗末さには空いた口が塞がらない。ただ、労働組合の力が弱ったとはいえ、最低限の気骨は残っていたということだろう。 『今後、労働政策審議会で議論』するようだが、賛否の明言を避けている連合の対応が注目される。
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 長谷川閑史 河合 薫 アベノミクス ホワイトカラー・エグゼンプション 残業代ゼロ法案 高度プロフェッショナル制度 (その22)「働き方改革」8(「年収1075万以上」が「300万円以上」になる日、「残業代ゼロ」合意をドタキャンした“政権寄り”連合のこれから) 「「年収1075万以上」が「300万円以上」になる日 ホワイトカラー・エグゼンプションという“感情論”」 容認する姿勢を見せていた連合は“集中砲火”を浴び、政労使合意を見送る 第1次安倍政権の時から、要件を変え、名前を変え、手を尽くしてきた 当時から、この制度の議論は「ノリと勢い」だけで進められてきた感が否めないのである 第1次安倍政権のときに、世間から総スカンされ一旦は頓挫。で、第2次安倍政権で、またしても産業競争力会議の提案というカタチでスタート 推進役 まずは労働者の権利をしっかり守れる企業にだけ認めればいい そうならないよう守るのが労組の役割のはず」って? 労組のトップである連合からしてその任を果たせるとは、私にはどうにも思えない 連合側は「年間104日の休日の義務化」を主張する一方で、以下の措置は、「いずれかの選択でいい」とした 1日の中で一定の休息時間を確保(インターバル制度) 労働時間の上限設定 2週間の休日 臨時の健康診断の実施 す・べ・て労働者の健康面を守るには、必要なこと。特にインターバル制度の重要性は、いくつもの調査結果から確かめられている。それなのに「いずれかの措置」などとユルい条件を出すとは、経営者の味方なのか、労働者の味方なのか? いずれ年収300万円台にも適用が始まる もっとも懸念されるのが、これが「アリの一穴」となりやしないかということ 「年収1075万以上」は「年収400万以上」「300万以上」になるだろうし、「高度」は「一般」になるだろう。どんどん条件が引き下げられ、この世から「残業手当」はなくなっていくのだ。いや、違う。「残業という概念」が消滅するのだ。 「過去」をみればわかる。 現在の「36協定」である 1週間も激論が続いたあげく、労働組合との協定があれば25パーセントの割増賃金で時間外労働をさせることができるという結論に到達した 労働省の課長 寺本廣作 ある官僚の生涯 この経緯が、「今の長時間労働大国ニッポン」という不名誉な事態のひとつの要因になったことは否定できない 戦後復興期の当時の日本では、1日の労働時間を10時間にしているところも多かったが、8時間とする代わりに、出来るだけ経済復興を阻害しないよう時間外手当を欧米の50%の半分の25%にする36協定が、上記のような経緯で制定された 中小企業の56.6%がこのための労使協定を締結していなかったこと、うち半分以上が、「時間外労働や休日出勤があっても、労使協定を締結していない」ということが公表された。つまり、「違法に残業させている」ということだ 電通が、「そもそも36協定の前提となる、“労働者の代表”としての資格を、同社の労働組合が持たない(加入率が5割以下)まま、協定を締結していた」ことが判明。しかも、厚生労働省もこれを知っていたというのだ 適正化ではなく、抜け道の拡大が進む 念のため断っておくが、私は「時間と成果」を切り離す考え方そのものに、反対しているのではない。むしろ賛成である。だが、今の日本ではムリ。時期尚早 もっと「論理的」な議論を行うために、検証作業を行っておくべきなのだ ホワイトカラー・エグゼンプションと労働者の働き方:労働時間規制が労働時間や賃金に与える影響 きちんとした調査、分析により、効果と問題点を積み重ねたうえで、法を変えるなりなんなり規制緩和すべきだと思う 経営者側のモラルを問うならば 平成27年度の賃金不払残業是正結果によれば、支払われた割増賃金は、99億9423万円 「「残業代ゼロ」合意をドタキャンした“政権寄り”連合のこれから 唐突に「高プロ」容認に転換  現場が反発、2週間で撤回 7月8日に開かれた三役会の集中審議。会長、事務局長に加え、UAゼンセン、自治労、自動車総連、電機連合、基幹労連など、連合を支える主要な産業別組織のトップが集まる会合で、条件付きで「残業代ゼロ」を容認する執行部の意向が示された。寝耳に水の出席者からは異論が続出 8日の三役会以降、執行部の一部の「独走」に組織内や民進党、過労死遺族の団体から反対論が続出 3月末から事務局レベルで政府と調整が始まっていたことは、神津会長も認めている 「罰則付きの残業時間規制 残業時間の上限規制は導入したい。いまの状況では政府が一本化した法案を強行採決しようと思えば、やれる。それなら、高プロの修正を求めて、話し合いで取とれるものは取ろう」 逢見事務局長を中心に「高プロ容認」の現実路線の考えが強まったという 罰則付きで長時間労働を抑えようという制度と、「残業代ゼロ」で長時間労働を助長しかねない制度を一緒に認めようというのは、水と油の話 国会審議すら始まっていない段階で「条件付き容認」に転じれば、組織内外の強い批判を浴びることは十分、予想できた 表で戦うポーズをとって、裏では妥協するならともかく、表も裏も政府寄りになったのでは、労働組合の存在価値がなくなる 今後、労働政策審議会で議論される 賛否の明言を避けている
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自動運転(その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) [科学技術]

今日は、自動運転(その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) を取上げよう。

先ずは、4月7日付けダイヤモンド・オンラインがCAR and DRIVER[総合自動車情報誌]を転載した「VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽完全自動運転を実現したVWの“セドリック”
・自動運転車の早期実用化を目指して、各メーカーが開発競争を繰り広げている。そんな中、今年3月のジュネーブ・ショーにおいて、VW(フォルクスワーゲン)が斬新な自動運転コンセプトカーを発表し、話題を集めた。 その車名は、セドリック。懐かしい日産車を思い浮かべるユーザーが多いだろうが、VWのセドリック(SEDRIC)は、セルフ・ドライビング・カーの略である。
・このセドリック、いわゆる“レベル5”の自動運転車という点が最大の特徴。レベル1~4と異なり、完全な自動運転車として開発された。つまり、ドライバーの運転操作は不要で、すべてクルマ任せで目的地まで行ける未来カーだ。 ドライバーが運転を行わないとなると、従来のクルマの概念はこのセドリックには当てはまらない。スタイリングは、トラムのような洗練されたワンボックスデザインが斬新だ。電気モーター(最高出力130ps以上)で走行し、航続距離は約400㎞。ボディサイズの詳細と、発売時期などは未公表である。
・セドリックは、ユーザーを認識して開くドアを設定。両開きのドアの開口部は十分に広く、荷物を持ったままでも乗降は楽。車体の中央から大きく開くドアから室内に乗り込むと、未来的な空間(2+2シート)が待ち受けている。 目を引くのは、ステアリングホイール、ペダル、ダッシュボードがない点。乗員は対面シートに座る。フロントウィンドウは、OLED(有機EL)ディスプレイになっており、各種情報などが表示される。ワイドな室内は、乗員の荷物とスーツケースを置くスペースがある。
・セドリックはカーシェアリングでの使用を前提にしている。たとえばセドリックを必要するユーザーが指定する場所まで無人走行で迎えに行き、ユーザーを学校に送ったり会社まで送ったりした後は、自律走行で駐車スペースを探し、注文した商品を受け取り、駅に到着した来客を出迎える、といった使い方ができる。
▽ボタン、ボイス、スマホで動く 夢のトランスポーター
・VWによると、一連の動きはすべて、ボタン操作、ボイスコントロール、またはスマートフォンアプリを使用して、完全に自動的、確実かつ安全に行えるという。クルマに話しかけるだけで、目的地までのルートをセドリックが判断し、乗員を安全に運んでくれるのだ。実用化までは時間がかかるだろうが、まさに夢のトランスポーターである。
・セドリックはコミュニケーション能力を備えている。乗員がセドリックに話しかけると、応えてくれる。目的地へのアクセス方法、走行時間、交通状況などの情報に関して、まるでユーザーのアシスタントのように回答してくれるのだ。 VWは完全自動運転車について、「大人、子供、年配者、体の不自由な方々、クルマや運転免許を持っていない都市生活者と旅行者など、すべての人々の用途に合ったモビリティを提供することになる」とコメントしている。 VWが自動運転車の開発競争で、頭角を現した。 
http://diamond.jp/articles/-/123723

次に、ジャーナリストの桃田健史氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・アメリカの自動運転に関する動きに急ブレーキがかかった。 そうした、日本にとって“ヤバい雰囲気”を7月10日の週にサンフランシスコで強く感じた。トランプ政権の下、自動運転バブルはこのまま崩壊してしまうのだろうか?
▽注目の国際協議の場だったのだが…
・アメリカの運輸交通委員会(TRB)及びDOT(運輸省)が関与する、自動運転や自動飛行に関する産学官連携での協議体である無人移動体国際協会(AUVSI) が主催する、AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム2017(7月11日~13日、於:ヒルトンサンフランシスコ・ユニオンスクエア)を取材した。
・自動運転に関する国際協議は、国連の欧州経済委員会における自動車基準調和世界フォーラム(WP29)や、道路交通法等の整備に関する委員会(WP1)、また高度交通システム(ITS)の世界会議などが主体である。 だが、グーグルやアップル、そしてインテルやエヌビディアなど、人工知能を活用した自動運転技術の研究開発を進め、デファクトスタンダードを狙う大手IT産業、及び自動運転を活用した新しい移動体サービス事業(MaaS :モビリティ・アズ・ア・サービス)の拡大を狙うウーバーやリフト等のライドシェアリング大手を抱えるアメリカが、法整備においても自動運転の世界をリードしているのが実情だ。
・筆者は直近の2ヵ月間、世界各国で自動運転に関する取材を立て続けてに行っている。具体的には、米サンノゼ市でのインテルの自動運転ワークショップと、エヌビディアの開発者会議GTC、仏ストラスブール市でのITS EU会議、また日本国内では経済産業省によるラストマイル自動走行実証に関する取材で福井県永平寺町、石川県輪島市、そして沖縄県北谷町。この他、日系及び欧州系の自動車メーカーが主催した各種の技術フォーラムで自動運転技術開発の担当者らと直接、意見交換している。 その上で、AUVSIの自動運転シンポジウムに対して期待を持って参加したのだ。
▽行政の色がまったくない
・毎年1回のペースで開催され、今年で6回目となる同シンポジウムをすべて取材してきた筆者にとって、今年の講演内容は筆者自身の想定を遥かに下回るショボいものだった。 なにせ、自動運転の法整備を行う政府機関である、連邦高速道路交通安全局(NHTSA:発音はニッツァ)による講演がゼロだったのだから。
・昨年7月の同シンポジウムには、NHTSA長官の他、NHTSAを所管するDOTの長官も講演し、自動運転に関するガイドラインについて意見を述べた。本来、同ガイドラインは昨年7月頃には公開される予定だった。しかし同年2月にフロリダ州内で、テスラ・モデルSの自動運転技術を使ったオートパイロットの誤作動による死亡事故が発生し、自動運転に関する社会の関心が高まったため、米連邦政府として自動運転の法整備について再協議を行っていた。 同年9月には、同ガイドラインが発表され、それに続いて自動車と道路インフラ(V2I)や、自動車と自動車(V2V)、そして自動車と歩行者(V2P)などの総称である、V2Xに関する規制法案についてもNHTSAが公表に踏み切った。 そうした流れは明らかに、政権交代前の“駆け込み”だった。そして今、その反動を食らっているのだ。
▽オバマの決定は何でも反対!?
・今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ。今年1月に就任したDOTのイエーン・チャオ長官は、昨年の自動運転ガイドラインを発表の1年程度後に改訂することを示唆しているのだが、具体的な動きはまったく見えてこない。また、DOTの肝いりとして企画された、自動運転を活用した未来型の街づくり政策『スマートシティ』についても、今年9月からオハイオ州コロンバス市での実施が決まっているものの、具体案については未だに公開されていない状況だ。
・また、アメリカにおける自動運転の法整備はこれまで、公道での走行実験を許可してきたネバダ州、カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州など、州政府の意向が強く反映されおり、それをNHTSAがどのように連邦法として取りまとめるかの段階にある。その中で、昨年までのAUVSIシンポジウムでは、州政府担当者も講演し、それぞれの地域における自動運転の社会受容性について議論を進めてきたが、今回は全体講演で州政府の発表はゼロだった。
・トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い。自動運転に関する政策も、パリ協定からの脱却に見られるような大胆な方針転回で、葬り去るようなことはないと信じたい。だが、今回のシンポジウムで日米欧の各自動車メーカー関係者などと意見交換するなかで、全員の共通認識は「これからどうなるか、さっぱり分からない」だった。
・そのうえで、結局は自動車メーカーが90年代から徐々に進めてきた、高度運転支援システム(ADAS)が徐々に発展し、2030年頃には高度な自動運転に「なるのかもしれない?」という、自動車メーカーの商品企画として“夢物語”へと、自動運転の議論が逆戻りしてしまうような感覚を抱いた自動車メーカー関係者が多かった。
▽自動運転バブル崩壊の予感
・ちなみに、今回の全体講演に自動車メーカーとして登壇したのはトヨタと日産のみ。ホンダが日本政府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を代表して講演した他は、トラックの縦列自動走行のパネルディスカッションでボルボが登場しただけ。コンチネンタル、ボッシュ、デルファイなど大手自動車部品メーカーの全体講演もゼロだった。これでは、米連邦政府の動きが見えないなか、自動運転の開発動向について積極的にはしゃべりたくない、と思われても仕方がない。
・もう1点付け加えると、自動車メーカー主導ではなく、いわゆるロボットタクシーのような公共交通に近いかたちの自動シャトルサービスが、2020年頃には世界各地で実用化されるという“青写真”がある。 この分野では、グーグルからスピンアウトしたWaymo (ウェイモ)がある他、欧州では仏Navyaなどが各地で実証試験を行っている。だが、6月開催のITS EU会議での各種協議を見聞きし、またEU(欧州委員会)の担当者や欧州の自動運転シャトル事業関係者らと直接話してみたが、「現状での実証試験は、実施の各自治体の警察が個別に判断しており、EUとして総括的な法整備を行うのは、かなり先になる」という意見が多かった。
・こうした世界各地での“生の声”と接する中で、筆者が感じるのは、自動運転バブルの崩壊だ。 自動運転、自動運転と、自動車産業界やメディアが大騒ぎし始めたのは、いまから4年前の2013年頃。その起点は、グーグルカーの量産計画に対する“噂”だった。 そしていま、先行き不透明なトランプ政権の意思決定プロセスによって、自動運転という次世代の技術開発や、そこに対する投資がスローダウンしてしまう危険性がある。
・そうしたなかで、日本にとって最も大きな問題は、日系自動車メーカー関係者らが今回のシンポジウムの現場で実際に話していたような「元の鞘に収まるのだから、まあ、のんびりやろう」という、“心の隙間”ができてしまうことだ。 その隙に、世界各地では水面下で、新たな動きが着々と進む。自動車産業界ではティア2(二次下請け)である半導体メーカーらのサプライチェーン改革。世界最大の自動車市場・中国では、燃料電池車の本格普及を想定し、その前段階としての電気自動車の普及政策と自動運転政策が融合する。
・日系自動車業界関係者におかれては、いまこそ、しっかりと、気を引き締めていただきたい。
・追記:本稿作成後、米下院のエネルギー商業委員会が、自動運転の販売や使用を緩和する法案を可決した。こうした議会の動きについては、今回取材した現場でも、参加者らは米自動車大手メディアのAutomotive News等を通じて承知していた。それにもかかわらず、現場の空気感はトランプ政権による自動運転の今後について、不透明感が拭えていなかったのが大きな問題だ。
http://diamond.jp/articles/-/135829

第三に、本田技研出身、前サムスンSDI常務で名古屋大学客員教授/エスペック上席顧問の佐藤 登氏が7月27日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・自動車と交通文化のパラダイムシフトが急速に進んでいる。図に示すように、その両輪は電動化と自動運転にある。電動化に関しての発端は、1990年9月に米国カリフォルニア(CA)州にて発効したゼロエミッション自動車(ZEV)法規にまで遡るが、その当時から関わった筆者にしてみると、この27年間の歴史には、いろいろなことを考えさせられた。
▽自動車の電動化に関する政策と開発動向
・電動化に関する内容についてはこれまでの本コラムで幾度となく執筆してきたので、最近のトピックに関して紹介したい。本年6月下旬にサンフランシスコで開催された電動車用先進電池に関する国際会議「AABC(Advanced Automotive Battery Conference)2017」では、注目すべき点がいくつかあった。
・まずトランプ政権の意向で、米国エネルギー省(DOE)の2017年度の車載用電池研究に対する予算は75%減になると発表されたが、どこまで具体化されるかは今後の注目すべきところである。
・一方、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの米国の離脱宣言もある中、ZEV法規を提言したCA州大気資源局(CARB)の幹部が講演した。CA州としては現在の大気環境改善と二酸化炭素削減につながるZEV規制の緩和修正については全く考えていないとのメッセージで、今後も計画的に継続していくことを力強く発したことが印象的であった。米国における州法の強さが伝わる意見であった。
・更に、CARBとしては2025年に電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、および燃料電池車(FCV)の普及台数を400~450万台と展望していると言う。それ以降のCARBの政策は、50年方針として、EV、PHV、FCVの割合を100%にする予定とのこと。26年以降のCARBの政策方針は現在検討を開始し、ボードメンバーは今後3~4年以内に提言すると発した。
▽中国市場における動き
・台湾の研究機関によれば、2016年の全世界におけるエコカー(PHV、EV、FCV)販売は50万7299台で、前年比で53.2%増となったと言う。とりわけ、中国市場がけん引したとのこと。17年には更に約20%増の61万600台と展望。他方、「中国の政策方針は毎月変わるので、鵜呑みにしてはいけない。常に動向を把握しておく必要有り」と明言した。なるほどという感が漂った。
・そんな中で、中国のエコカーライセンスに異変が生じている。現在、中国政府の国家発展改革委員会は暫定的に認めた新規参入企業15社にエコカー生産ライセンスを与えているが(計画では20社まで)、資格を取り消される企業が出る可能性が有るとのことなのだ。 
・正式なエコカー生産ライセンスを得るには、中国政府の工業情報化部による「乗用車生産企業および製品参入管理規則」の審査通過を経て、最終的には「道路机道車両生産企業・産品公告」で公示されなくてはならず、ここで初めてエコカーの販売ができるようになる。ただし、この必要な審査をすべて通過したのは現在15社中、北京汽車グループの北汽新能源汽車(BAIC BJEV)1社とのこと。このような状況を勘案して、中国政府の工業情報化部は、新規参入企業を多くても10社程度に削減する可能性があるという。
・BYDや上海汽車(SAIC Motor)等の既存自動車メーカーは規制対象にはならないとのことが明らかになると共に、つい最近では、独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる。
・BYDは2016年にEVとPHVで10万台以上を販売したが、日米欧韓の外資系メーカーも18年に発効する中国NEV(New Energy Vehicle)規制に対応するため、中国でのエコカー生産を開始する。そうなれば、エコカーの歴史が浅く、ブランド力が小さいBYDにとっては、ブランド力の大きな自動車各社に対抗して、エコカーをどこまで伸ばせるかが課題となる。
▽電池業界、部材業界、試験業界のマーケット
・米ブルームバーグの市場調査によると、2030年に全世界規模で必要とされる電池容量は700GWh/年(自動車各社の計画を集計)と予測されている。16年の中国の電池生産容量比率は54%に到達し、17年には同比率で中国が76%を占有するとの見通しだ。一方、16年時点でのリチウムイオン電池(LIB)価格は、273$/kWhと推察した。
・一方、「多くの中国メーカーのLIBは、安全性や信頼性の観点で国際標準に達していない」という、AABCの主催者であるPh.D. Anderman氏の見解は筆者も納得するところである。中国市場ではある程度許容されているとのことだが、今後の展開を考えれば安全性・信頼性の向上は業界をあげて不可欠の課題である。そういう状況に対しては、筆者が在籍するエスペックは大きな貢献ができると考えている。
・中国政府は、消費者がエコカー補助金を受ける際の条件として、搭載されるLIBメーカーを限定している。「バッテリー模範基準」においてLIBのガイドラインが設定されていて、認証を受けた「ホワイトリスト」のLIBメーカーは、2017年5月時点で57社に及ぶ。しかし、中国系企業のみで日韓等の外資メーカーはホワイトリストに入っていない。3GWh/年以上の中国系メーカーはCATLを筆頭に、BYD、天津力神電池、万向集団A123、BAKなど12社が名を連ねる。中でもCATLの性能、品質や生産能力は中国メーカーの中では高い評価を受けている。
・一方、大連にLIB生産工場を建設したパナソニックは、2017年内に稼働するものの、ホワイトリストの申請は未実施のまま。自動車メーカー(ホンダやトヨタ自動車?)からはホワイトリストの早期取得の要請があるので対応を検討中とのことだが、本格稼働後に申請するとのこと。遅すぎではないか?
・CATLは、2020年に50GWh/年の生産容量を目標としている。BYDの現在の生産容量は12GW/年、19年には26GWh/年を計画しているが、20年頃にはCATLが圧倒的に上回る見込み。CATLは現在、上海汽車や北汽新能源、吉利汽車などへLIBを供給している一方、海外勢のBMWにも供給、SUV「X1」のPHVや合弁ブランドのZINOROのEVやPHVにも搭載されている。VWや現代自動車への供給契約も交わすなど、昨今、特に勢いづいている。
・韓国SKイノベーションも電池事業を拡大している。1996年にLIB開発を開始、99年に製品化、車載用LIBは2006年に開発開始、10年に車載用LIBを実用化。現在の自動車カスタマーに対しては11車種のモデルに供給中で、PHVとEV用では5万台以上の規模に相当する。20年までに14GWh/年まで拡大する予定と言う。製造拠点は韓国の他、欧州、中国に展開中であり、韓国勢としてはサムスンSDIとLG化学の2強体制から、3強体制を構築中と勢いがある。
・いずれにしても電動化の流れは留まることはなく、自動車業界、電池業界、素材・部材業界、試験機器業界、政府筋、大学・研究機関、調査会社やコンサル業界を巻き込んだグローバルビジネスという位置づけにある。
▽自動運転の開発加速が続く
・昨年中旬にメルセデス・ベンツがフルモデルチェンジした「Eクラス」は、自動運転のレベル2.5程度であることを本年6月8日のコラムに執筆した。その後、7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表があり、著しい進展があることにいささか驚いた。
・ではなぜ、ドイツ勢がかくも自動運転を積極的に進めているのだろうか。筆者には、その理由として以下の3点があるように思える。①電動車開発で日本勢に負けていること、②交通文化はドイツが発祥、③究極の自動車はドイツからというプライド――これらを紐解く前に、そもそも自動運転の意義について考えてみたい。
・自動運転がもたらす効果は絶大である。カーシェアリング、買い物弱者へのサポート、高齢者への運転支援対応、交通事故の低減、産業界における物流時間と効率の向上、物流コストの低減、動くオフィス、動く快適なサロン、動くホテル等々。その恩恵ははかり知れない。
・中でも社会的には交通死亡事故の減少に大いなる期待がある。日本における交通事故による死者数は、モータリゼーションと共に、1948年から70年にかけて4000人から4倍の1万6000人までに急増した。年間の自殺者を大きく上回る数値となってしまった。 その後、自動車業界は交通事故防止の一環として、いかに死者数を減らすかの開発に取り組んだ。その結果、2000年頃には1万人程度まで死者数が減少した。ここでようやく、自殺者と数値的には等価となった。しかし、自動車業界としてみれば、まだまだ大きな数値である。  その後は、シートベルト、エアバッグ、アンチロックブレーキなどの実用化と普及に至り、直近の2016年には4000人を割るレベルにまで効果を発揮した。
・そして今後、更に交通事故を減らすことに期待がかかるのが自動運転である。快適な交通文化を支えることは極めて革新的なことであり、社会に大きな恩恵をもたらすものである。 ではなぜ、ドイツ勢がこれほどまでに先導するのであろうか。歴史を振り返れば、1930年代のドイツのアウトバーン計画が背景にあると思える。
・1929年に起こった世界恐慌の影響で、ドイツで600万人が失業したとされている。そんな中、1932~33年の選挙キャンペーンで、ナチ党のアドルフ・ヒトラーが、「国民に職とパンを与える」と約束したことからアウトバーン計画は始まっている。33年からアウトバーン建設がスタート、最初の区間が35年に完成された。この計画において雇用も大きく増え、結果として39年には失業者が35万人まで減少するほどの成果を出したといわれる。 特に感心するのは、時間とコストがかかっても耐久性に優れるコンクリート舗装を実行したこと、そして大きな文化を築いたきっかけとなった自然景観と調和する建設設計基準を導入したことにある。
・そういう崇高な自動車交通文化があったからこそ、ドイツでは自動車の先進技術が開発され世界をリードしてきたのであろう。速度無制限(部分的には制限有)がもたらすアウトバーンは、高度な交通文化に耐え得る自動車を開発するという使命を負わせた。正に工業国としてのドイツらしい文化である。
・思い起こせば、1982年に半年ばかり欧州に長期出張していた際に、ホンダのアコード(当時ではホンダの最高級車)に乗ってアウトバーンを自ら運転し走行した。アクセル全開でも160km/h、そして170km/hが出たと思いきや下り坂だったことで、それが同車の限界だと知らされた。追い越し車線を、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどが、ものすごいスピード(200km/h以上)で駆け抜けていく姿を横目に見て、次元の違いを実感させられた。
・そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる。そのような背景を抱えながら、自動運転が普及すればドライバーのストレスが軽減され、事故も未然に防げるという大きな効果が期待できる。
・ただし、自動運転に関わるルール作りも容易なことではない。責任の所在、保険システム等々、解決すべき課題も多い。日本勢としても、そのようなガイドラインや国際標準化でリードすることが求められるが、ドイツ勢とどのように伍していけるか、これから正念場を迎える。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246040/072400054/?P=1

第一の記事で、VWが発表した自動運転コンセプトカー、セドリックは、 『クルマに話しかけるだけで、目的地までのルートをセドリックが判断し、乗員を安全に運んでくれるのだ。実用化までは時間がかかるだろうが、まさに夢のトランスポーターである』、らしいが、ハンドルもないのであれば、自分で運転するようなモード切り替えはないようだ。運転が趣味の私にとっては保有したいとは思わない。
第二の記事で、 『今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ』、だったようだが、 『トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い。自動運転に関する政策も、パリ協定からの脱却に見られるような大胆な方針転回で、葬り去るようなことはないと信じたい。だが、今回のシンポジウムで日米欧の各自動車メーカー関係者などと意見交換するなかで、全員の共通認識は「これからどうなるか、さっぱり分からない」だった』、というのは困ったことだ。 『自動運転バブル崩壊の予感』、については、『追記』を読む限り、表現がややオーバーという気がする。
第三の記事で、 『中国のエコカーライセンス・・・独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる』、とのことだが、日本のメーカーは置いてけぼりを喰らわなければいいが・・・。  『7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表があり、著しい進展があることにいささか驚いた』、 (ドイツには崇高な自動車交通文化)『そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる』、ということでは、ここでも日本のメーカーの頑張りを期待しなければならないようだ。
タグ:セドリック 日経ビジネスオンライン 自動運転 ダイヤモンド・オンライン 桃田健史 CAR and DRIVER (その1)(VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か?、自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由、電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは?) VWが発表した完全自動運転車はどれだけ“未来的”か? ジュネーブ・ショー 斬新な自動運転コンセプトカーを発表 セルフ・ドライビング・カーの略 “レベル5”の自動運転車 ドライバーの運転操作は不要 ステアリングホイール、ペダル、ダッシュボードがない カーシェアリングでの使用を前提 、一連の動きはすべて、ボタン操作、ボイスコントロール、またはスマートフォンアプリを使用して、完全に自動的、確実かつ安全に行えるという 自動運転推進に米政府が急ブレーキをかけた理由 AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム2017 今年の講演内容は筆者自身の想定を遥かに下回るショボいものだった 連邦高速道路交通安全局(NHTSA:発音はニッツァ)による講演がゼロだったのだから 今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ 自動運転の法整備はこれまで、公道での走行実験を許可してきたネバダ州、カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州など、州政府の意向が強く反映 ・トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い 自動運転バブル崩壊の予感 先行き不透明なトランプ政権の意思決定プロセスによって、自動運転という次世代の技術開発や、そこに対する投資がスローダウンしてしまう危険性がある 日系自動車業界関係者におかれては、いまこそ、しっかりと、気を引き締めていただきたい 米下院のエネルギー商業委員会が、自動運転の販売や使用を緩和する法案を可決した 佐藤 登 電動化で先導してきた日本が自動運転で遅れ? ドイツ勢の威信をかけた闘いの背景にあるものは? CA州としては現在の大気環境改善と二酸化炭素削減につながるZEV規制の緩和修正については全く考えていないとのメッセージで、今後も計画的に継続していくことを力強く発したことが印象的であった。米国における州法の強さが伝わる意見であった 中国市場における動き 中国のエコカーライセンス 新規参入企業を多くても10社程度に削減する可能性 独フォルクスワーゲン(VW)と中国江准汽車の合弁会社である江淮大衆汽車(JAC-VW)も認可された。初めて、中国ローカル系以外の外資系が認可されたことは、他の外資系自動車メーカーにも大きな指針となる 7月に入り、独アウディがレベル3(完全自動運転ではないが、条件付きで自動車主体の自動運転)を実現した「A8」を今秋に発売するとの発表 ドイツ勢がかくも自動運転を積極的に進めているのだろうか。筆者には、その理由として以下の3点 電動車開発で日本勢に負けていること 交通文化はドイツが発祥 究極の自動車はドイツからというプライド 1930年代のドイツのアウトバーン計画が背景にあると 崇高な自動車交通文化があったからこそ、ドイツでは自動車の先進技術が開発され世界をリードしてきたのであろう そういう文化が根付いているからこそ、自動運転の開発には自信をもっていることだろう。そこにドイツの気概が感じられる 自動運転に関わるルール作りも容易なことではない。責任の所在、保険システム等々、解決すべき課題も多い。日本勢としても、そのようなガイドラインや国際標準化でリードすることが求められるが、ドイツ勢とどのように伍していけるか、これから正念場を迎える
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