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ハラスメント(その11)(カネカ 育休明け転勤命令でSNS大炎上 老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する、キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題、「靖国神社」を揺るがすセクハラ動画 幹部職員が部下にお触り 被害者は複数人) [社会]

ハラスメントについては、1月15日に取上げた。今日は、(その11)(カネカ 育休明け転勤命令でSNS大炎上 老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する、キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題、「靖国神社」を揺るがすセクハラ動画 幹部職員が部下にお触り 被害者は複数人)である。

先ずは、元証券会社社員で証券アナリストの栫井駿介氏が6月11日付けMONEY VOICEに寄稿した「カネカ、育休明け転勤命令でSNS大炎上。老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する=栫井駿介」を紹介しよう。
・『カネカが炎上しています。きっかけはツイッターの投稿で、育休を取った男性社員が復帰直後に転勤を言い渡され、やむを得ず退職したというもの。問題を受けて株価は下落していますが、同社は買いなのでしょうか』、大企業にあるまじきお粗末な対応のようだ。
・『パタニティハラスメントで大炎上  ・・・父親の育児参加やワーク・ライフ・バランスが叫ばれるなかで、「パタニティハラスメント」として注目されています。 信じられない。 夫、育休明け2日目で上司に呼ばれ、来月付で関西転勤と。先週社宅から建てたばかりの新居に引越したばかり、上の息子はやっと入った保育園の慣らし保育2週目で、下の子は来月入園決まっていて、同時に私は都内の正社員の仕事に復帰予定。何もかもあり得ない。 — パピ_育休5月復帰 @papico2016) April 23, 2019』、奥さんの訴えは悲痛だ。
・『法的には問題なくても、それってどうなの?  詳細な経緯は、以下の通りと推察されます。 40代夫婦に2人目の子供が誕生 新居購入、夫は育休取得 保育園が決まり、夫は職場復帰、妻も職場復帰予定 夫職場復帰直後に関西への転勤が通告される 延期を申し出るが受け入れられず、退職を決意 退職日を5月末に強制され、有給休暇消化を認められず 夫、退職して無職に これに対し、カネカは「法的には問題ない」の一点張りです。それがかえって人々の感情を逆なでし、いっそう火に油を注ぐ事態となっています。 確かに、法的には問題はないかもしれません。社員を転勤させることは会社の権利ですし、社員もそれを承知で働いています。サラリーマンというのはそういうものでしょう。(ただし、有給休暇の消化が認められなかった点は、本当だとしたらアウトです。) 何より問題になっているのは、育児休暇を取ってこれから子育てが大変な時に、状況を過酷にする転勤を強制したことです。まして、新居を購入し、子供の保育園が決まったばかりのタイミングです。 夫は直接調整を申し出ていることから、会社は知らなかったでは済まされません。この事件の経緯を見るほど、カネカが社員とその家族を大切にしない会社ではないかという疑念が湧いてきます。 妻の立場になると、家や子供のことが一段落してようやく職場復帰だという時に、夫が単身赴任するか、家族で引っ越すかの選択を迫られているわけです。Twitterで怒りを吐露したくなるのも当然と言えます』、「新居を購入し、子供の保育園が決まったばかりのタイミング」で転勤辞令とは、余りに冷酷な仕打ちだ。カネカとしては、男性社員が「育休」を取ったことの見せしめにしたのかも知れない。
・『育休直後に退職した私が思うこと  私としてもこの事件は他人事ではありません。なぜなら、私自身も育児休暇からの復帰直後に退職した身だからです。 もっとも、決して嫌がらせを受けたわけではありません。円満退社でしたし、有給休暇もすべて消化させてもらいました。人事や同僚も優しく送り出してくれて、かえって退職するのが惜しく感じられたほどです。 ただ、退職を決意したのは、家族を考えてのことでした。育児休暇から復帰すると、特に割り当てられた案件もなく、会社ではぼーっと過ごしていました。上司はそれを見かねたのでしょう。人手不足だった案件に私を投入しようとしたのです。 しかし、その案件を受けると忙しくなり、帰宅時間も遅くなることが目に見えていました。家で待っている妻と子供のことを考えると「それは嫌だ」と思ったのです。 半年後くらいを目処に起業しようと考えていたのですが、その予定を大きく前倒しし、話を受けてすぐに退職を決意しました。 もしその案件を受けていたらと考えると恐ろしくなります。生まれたばかりの子供の顔を見ることもできずに、不満を募らせた妻とも不仲になっていたかもしれません。 上司も悪気があったわけではなく、私のこれからのキャリアのことを考えてくれたのだと思います。まだまだモーレツ社員の世代ですから、忙しい仕事を与えるのはむしろ親切心だったとも考えられます。 この考えのギャップが、カネカのような問題を引き起こしているのだと思います。表向きではワーク・ライフ・バランスを推進すると言っておきながら、上役はそれを「常識」として理解することができません。 一方で、若い人の価値観は確実に変化していて、管理職世代のモーレツ社員が持つ「常識」は通用しなくなっています。カネカ固有の問題ではなく、歴史のある会社ほど起きやすい価値観の対立と捉えることができるのです』、筆者も「育休直後に退職」した経験があるとは、この問題を解説するには適任のようだ。
・『昭和 vs 平成・令和。歴史ある企業ほど起こる世代間対立  カネカは化学製品の会社です。プラスチック製品の素材を企業に供給しています。あなたが使っている身の回りのものも、カネカが供給した材料を使用しているかもしれません。 1949年に鐘淵紡績(カネボウ)から分離し、設立されました。その後、昭和の高度経済成長の大量生産に不可欠な存在としてぐんぐん成長し、現在は従業員1万人を抱える大企業となっています。 これまで大きな企業再編もなく、独立独歩の経営を貫いていました。有価証券報告書にある取締役の経歴を見ると、会長以下11人中9人がキャリアのスタートが「当社入社」となる、いわゆるプロパー社員です。 多くの伝統的な日本企業について言えることですが、このような会社は終身雇用を前提とした旧態依然の体質を保存しています。すなわち、高度経済成長の成功体験をいまだに引きずる経営者が、そのままの感覚で経営を行っているのです。 当然その考えは、同じように会社の中にいる管理職にも引き継がれます。その旧来の企業戦士としての価値観と、近年のプライベート重視の価値観が対立し、冒頭のような軋轢が起きてしまったというわけです。 いわば、昭和 vs 平成・令和の世代間対立と言っても良いでしょう』、伝統的大企業ではありそうなことだ。
・『経営力は見劣り。カネカの強みを活かすために必要なこと  問題を受けて、カネカの株価は下落しています。同社は買いなのでしょうか。改めて業績を見てみましょう。 売上高は順調に伸び、直近の2019年3月期には最高を更新しています。しかし、利益は、2006年3月期からいまだに最高を更新できていません。 カネカのような化学メーカーにとって、ここ数年は追い風が吹いていました。景気は上向きで、なおかつ製品の原料となる原油価格が低下していたため、利益を出しやすい環境にあったのです。大手化学メーカーは、この数年連続で最高益を更新しています。 そのような環境の中で最高益を更新できていないのはなぜでしょうか。それは、プロパー社員が大半を占める内向的な会社であるがゆえに、不採算事業からの撤退が遅れているからだと考えます。 各社の営業利益率を比較してみると、カネカが見劣りしていることがわかります。利益率の差は、会社の経営力の差と見て良いでしょう。 不採算事業を多く抱えるということは、会社の資源が分散されてしまっているということです。そうなると、成長分野に機動的にお金や人材を投入することが難しくなり、また思わぬところから巨額損失が生まれることも珍しくありません。攻めにとっても守りにとっても良いことはないのです。 カネカの強みは研究開発にあります。様々な製品を開発しているからこそ知見は豊富で、毎年多くの研究開発費を投入しています。ここから新たなヒット商品を生み出していくことが成長戦略の柱となります。 しかし、研究開発の肝はなんと言っても人材です。いつまでも昔ながらの価値観を引きずったままでは、優秀な人材ほど離れていってしまうでしょう。不採算事業をいつまでも続けることも、不必要に人材を縛り付けることになります。 長期投資家の立場から見ると、今のカネカには決して投資する気にはなれません。社会的に問題があるだけでなく、経営の方向性から長期的な成長性が見込みにくいからです。 いいものは持っている会社です。今回の事件を機に、大きく変わることを期待しています・・・』、その通りだ。

次に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が6月25日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00029/?P=1
・『「カスハラ」問題が深刻化している。 カスハラとは、カスタマーハラスメント。明確な定義はないが、「顧客や取引先からの自己中心的で理不尽かつ悪質なクレームや要求」のことで、先週ILO(国際労働機関)の定時総会で採択された「ハラスメント禁止条約」でも対象になっている。 で、いつもどおり“遅ればせながら”ではあるが、厚労省もガイドラインの作成に乗り出す方針だそうだ。 そんな中、民間の調査で「カスハラが最近3年間で増えた」と感じる人が6割近くいて、約7割がカスハラを経験していることがわかった。 「カスハラの対応で、どんな影響があるか?」との問いには(複数回答)、「ストレスが増加」93.1%、「仕事の意欲が低下」82.1%、「体調不良」73.2% 、「退職」59.6%「休職」54.2"など、カスハラに対応した人に過剰な負担がかかることも明らかになっている。 「せっかく大卒を積極的に採用して1年間コストをかけて育成しても、お客に潰されるんです。職業差別がひどくなってませんかね」  つい先日タクシーに乗ったときも、運転手の方がこう嘆いていた。 どう考えても「このコースしかないでしょ」というときでさえ、「ご希望のコースはございますか?」だの、「●●通りから△△に入る道でよろしいですか?」と聞いたり、「お話してもいいですか?」と断ってから雑談を始めたりするるのも、運転手さんによればすべてカスハラ対策だという』、「カスハラ対策」の余り馬鹿丁寧な応対を迫られるというのは、真の必要性に基づくというより、コンサルタントなどによるマニュアル主義のためなのではなかろうか。
・『若い社員が早々に辞める一因にも  というわけで今回は、「カスハラ」についてアレコレ考えてみようと思う。 「私も40年くらい運転手やってますけど、“普通のお客さん”に怒られるようになるなんて想像したこともなかったですよ。つい先日もね、『さっき確かめた金額と違う!』って怒りだしちゃって。 こちらの都合で指定の場所を過ぎたときは、メーターを止めます。ほら、交差点とかで止められなかったり、危なかったりするときがあるでしょ。でも、その時は私が止まろうとしたら『もっと先まで行け!』って言われたんです。参りますよね。 ホントね、大人しそうに見える人が突然怒りだすから、怖いですよ。 まぁ、私くらいになれば、言われてもなんとか対処したり、あまりにひどいことを言われたら車止めて『会社に電話しますので』とか言ったりできるけど、若い人はそんなことはできない。 だから、メンタルやられて辞めちゃうんです。会社はタクシー業界のイメージをよくしようと賃金上げたり、福利厚生充実させたり、いろいろやってるのに。お客さんに潰されちゃうんだもん。やってられないよね」 「え? どんなこと言われるのかって? まぁ、いろいろありますよ。 ‥‥そうね、ほとんどは言葉の暴力だけど、あれは結構、あとからこたえるんですよね。トラウマっていうのかな。アホだの、ボケだの、すごい怒鳴り方されて。今の若い子たちはそんなに怒られた経験がないし、年上と話すのも下手。1回でもやられるとお客さんとコミュニケーション取れなくなって、完全に悪循環ですわ。 特にね、理不尽なこと言うのは年配の男性に多いんです。命令口調でね。自分の運転手だと勘違いするんですかね。殴られたら、警察呼べばいいけど、言葉の暴力じゃあ通報もできませんから。いやな世の中になってしまいましたね」 ‥‥せっかく育てた社員が辞めてしまうほど怒鳴り散らすとは。事態は想像以上に深刻である。しかも、年配の男性。ふむ、確かに。 コンビニでアルバイトをしている学生が、意味不明の横暴な態度を取るのは、決まってダーク系のスーツをきちんと着たビジネスマンとぼやいていたことがあった。社会的に強い立場にいる人たちの特権意識が高まっている傾向は確かにあるのだと思う。 だが、女性であれ、おばさんであれ、若者であれ、カスハラ加害者はいるし、今回は「どんな人が加害者になりやすい」ということがテーマではないので、「あくまでもこういう話を私が聞いた」というレベルにとどめておいていただきたい』、「アホだの、ボケだの、すごい怒鳴り方されて。今の若い子たちはそんなに怒られた経験がないし、年上と話すのも下手。1回でもやられるとお客さんとコミュニケーション取れなくなって、完全に悪循環ですわ」、「理不尽なこと言うのは年配の男性に多いんです。命令口調でね。自分の運転手だと勘違いするんですかね」、「せっかく育てた社員が辞めてしまう」、などは確かにカスハラの典型だ。
・『カスハラは心に深く長く傷を残す  昨今のカスハラはエスカレートの一途をたどっていて、暴言や恫喝だけではなく、土下座を強要したり、SNSで広めるぞと脅しをかけたり、数時間にもわたりクレームを言い続けたり、賠償金を求めるケースも存在する。 カスハラは介護の現場でも横行している。「介護職員への暴行、杖(つえ)を股に当てるセクハラも」に書いたとおり、利用者の家族からの迷惑行為も「カスハラ」である(以下、抜粋)。 +“挨拶ができていない”、“太っているナースは来るな”など、訪問する度に暴言をはく +“おまえなんかクビにしてやる!”と激高。杖を振り回してたたこうとした +料金請求時“カネカネばっかり言いやがって”“ボランティアって気持ちがないのか”と言われた。 カスハラを受けた人が「10年以上前のことだが、思い出すだけで涙が出る」「言われるだけで何もできなかった」と告白しているように、心が引き裂かれるほどの深い傷を負うことになる。 被害者の心情を慮れば「ガイドラインを作成する」などと悠長なことを言っている場合じゃない。早急になんらかの防止策に乗り出して欲しい。というか、これこそ「働き方改革」だと思うのだが・・・。 いずれにせよ、運転手さんが“普通のお客さん”と表現したように、ひと昔前であれば、堅気の人はやらないようなクレームを、ごくごく普通の人が「お客様」の立場を利用して、従業員を追い詰めているというのだから困ったものである。 が、これは裏を返せば、なんらかのスイッチが入った途端、誰もが「カスハラ加害者」になる可能性があるとも言える。人のふり見てわがふり直せ、ではないけど、自分や家族が加害者にならないよう気をつけねばならない。 そもそも、この数年社会にまん延している「カネさえ払えば何をやっても許される」「客の要求を満足させるのは当然」という歪んだ“お客様”意識はどこから生まれたのか。 個人的には大きく2つの要因が引き金になっていると考えている。 まず、1つ目は「お客様第一主義」という理念の下、モノを作ることに専念してきたメーカーまでもが、「モノ」の付加価値を高めるために顧客サービスを強化し、競争に打ち勝とうとしたことである。 その結果、本来であれば顧客サービスとは無縁の職業についた従業員にまで、顧客サービスが課せられ、それが従業員の資質の問題として処理されるようになった』、「「ガイドラインを作成する」などと悠長なことを言っている場合じゃない」、確かにガイドラインなど待たずに、各事業者がマニュアルなどで対応すべき問題だろう。「お客様第一主義」の究極が「お客様は神様です」だ。三波春夫の言葉らしいが、歌手にとってはそうかも知れないが、一般のサービス現場にまで広げるべきではない。
・『顧客の声とカスハラを明確に区別する企業は少ない  例えば、システムエンジニア(SE)だ。 数年前に行ったヒアリングでは(河合らの研究グループ)、多くのSEさんたちが顧客のところに出向いて要求を聞きながら作業を進める“サービス”を課せられていた。もともと「人と接するのが苦手だから、プログラマーの道を選んだ」という人が少なくないにもかかわらず、だ。 システムの不具合の原因が顧客の側にある場合でも、途方もない要求を突きつけられる。「顧客が不機嫌というだけで、怒鳴られたり罵倒されたりした」と語る人たちもいた。 企業側からすれば、現場で社員が耳にする「お客様のクレーム」は商品改善の大切な声かもしれない。だが、「大切な声」と「カスハラ」を明確に区別する企業は少ない。 ただただ「お客様を満足させよう!」を合言葉に、ときにゲキを飛ばし、従業員たちに丸投げする。銃も防護服も身につけずに、丸裸で従業員は“危険なサバンナ”に放り出されているのだ。 実際、冒頭で紹介した調査では、顧客対応マニュアルを作成している会社は31.4%だった。そのうち、カスハラに対応していないマニュアルが約4割で、全体の半数以上は「作成予定もない」という。 で、ここからが2つ目の要因になるのだが、そもそもサービスとは“感情”を提供することであり、サービスを提供する労働は「感情労働(emotional labor)」と呼ばれ、それなりのスキルなくしてできるものではない。 つまり、本来であれば従業員のサービスの教育や感情コントロールの訓練を行ったり、感情労働分の賃金を上乗せしたりするなど、お客様を満足させるためのコストが必要不可欠。付加価値を高めるためのサービスは、タダじゃないのだ。そんな認識もないままに、対人サービスを当たり前としていることが問題なのだ。 2012年にスカイマークが、[スカイマーク・サービスコンセプト]という冊子を座席のシートポケットに入れ、顧客からのクレームで回収するという事態に至ったことがあった』、「顧客対応マニュアルを作成している会社は31.4%だった。そのうち、カスハラに対応していないマニュアルが約4割」、というのは驚くべき少なさだ。これでは、「銃も防護服も身につけずに、丸裸で従業員は“危険なサバンナ”に放り出されているのだ」、との批判ももっともだ。
・『「感情労働」を切り分けてみせたスカイマーク  +荷物の収容はしない +従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けていない +安全管理のために時には厳しい口調で注意をすることもある +メイクやヘアスタイルやネイルアート等に関しては「自由」 +服装については会社支給のポロシャツまたはウインドブレーカーの着用だけで、それ以外は「自由」 +客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なもの +幼児の泣き声等に関する苦情は一切受け付けません +地上係員の説明と異なる内容をお願いする際は、客室乗務員の指示に従うこと +機内での苦情は一切受け付けません +ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます +ご不満のあるお客様は「スカイマークお客様相談センター」あるいは「消費生活センター」等に連絡されますようお願いいたします 私はこの問題が発覚し、大バッシングが起きた時に、スカイマークを褒めた。「オ~、よくぞここまで言い切った!」と。このサービスコンセプトこそが搭乗料金の値下げにつながっているというロジックが成立するからである。 [スカイマーク・サービスコンセプト]は、「我が社の飛行機に乗っているのは、客室乗務員ではなく、保安員です。ですから、他の航空会社さんとは違うのです」というお客さんへのメッセージであると同時に、「我が社はあなたたちに、乗客を感情的に満足させることを求めていない。あなたたちは、安全に乗客を届ける仕事に専念してください」という社員へのメッセージでもある。 誤解のないように言っておくが、社会人の当たり前の振る舞いとして、お客さんに感謝したり、仕事をスムーズに進めるためにお客さんとコミュニケーションを取ったり、自分がお客さんを喜ばせたくてサービスすることと、「何が何でもお客さんを満足させる!」ことは別。 お客様を「大切」に思って丁重に接することと、感情を売り払ってまでお客様を満足させることは、決して同じではないのである。 「感情労働」は働く人の資質でも自主性に任せる問題でもない。「企業がコストを払う労働」である。「顧客を満足させるのは、タダじゃない」という当たり前を、一体どれだけの企業が理解しているのだろうか。 企業は本当に「サービス」が最後の切り札なのか?を、きちんと考えた方がいい。 その上で「『お客様を満足させる』ために我が社が従業員に求めるものは何か?」をとことん突き詰めてほしい。“顧客を満足させる”ことに疲弊しきって、しまいには金属疲労のように心がポキリと折れることがないように働く人を守ってほしい。 これ以上、お客さんのモンスター化が進行しないためにも』、説得力溢れた主張で、その通りだ。[スカイマーク・サービスコンセプト]の回収騒ぎは私も覚えているが、スカイマーク側からきちんとした説明はなかったように記憶する。スカイマークといえば、社長がミニスカートの制服を復活させようとして話題になった他、エアバスの過大発注で民事再生法を申請、ANAの支援で再生した。「スカイマーク・サービスコンセプト]はまだ内部的には生きているのだろうか。

第三に、7月26日付けデイリー新潮「「靖国神社」を揺るがすセクハラ動画 幹部職員が部下にお触り、被害者は複数人」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/07181700/?all=1&page=1
・『先月末に創建150年を迎えた折も折、靖国神社を舞台にした数々のセクハラが明らかになった。加害者は幹部職員、被害に遭った女性は複数人に及ぶ。 靖国神社といえば、国のために命を捧げた246万余の御霊が眠る日本でも指折りの“聖域”である。週刊新潮が入手した動画に収められているのは、中年男性が女性の身体を執拗に触る場面の数々だ。 「セクハラしているのは、55歳で妻子持ちの祭儀課長です。祭儀課長とは、靖国神社にとって最重要とも言うべき春秋の例大祭の現場責任者で、246万余の御霊のデータベースを管理する責任者でもある。英霊を慰めるための祝詞(のりと)に関わる立場でもあり、靖国神社における祭祀の中心人物のひとりと言えます」 そんな幹部職員のハレンチな所業は、いかなるものか。デイリー新潮で配信中の動画をご覧いただきたいが、その一部をご紹介すると――。 場所は「祭儀課長行きつけの店」(靖国神社事情通)であるカラオケスナック。今年の春、神社職員たちで行われた歓送迎会の場だった。うす暗い店内で石川さゆりの『天城越え』が流れる中、セクハラ幹部は、ソファーに腰かけ、隣の女性の肩を抱く。そのまま二の腕を揉み、掴み、マイクを渡し、無理に歌わせようとする。〈♪あなたと越えたい~〉 曲がクライマックスに差し掛かる段階で、幹部の手は、女性の二の腕から胸の方へと下がっていく……。女性は幹部の腕に包まれながら〈♪天城越え~〉を歌わされている。 このほかにも女性の手を執拗に撫で、自身の股間付近に引き寄せる様や、腰、お尻付近に手をやる映像も収められている。先述のとおり、これらの被害者はすべて別の女性だ。 昨年は“陛下は靖国を潰そうとしている”発言が流出し、宮司が退任に追い込まれる事態ともなった靖国神社。今回のセクハラについて質すも、「当神社では判りかねます」と当事者意識の欠片もない回答が返ってくる。当のセクハラ幹部はダンマリで、神社に逃げ込んでしまった。7月18日発売の週刊新潮で本件を詳しく報じる。(2頁目に動画あり)』、これだけ明らかなセクハラ事件を引き起こしているのに、「当神社では判りかねます」とのコメントにはただ呆れるばかりだ。宮司退任といい、靖国神社は、ネジが外れてしまったようだ。神社本庁については、このブログの2017年7月5日の”右傾化”(その4)でも問題を抱えている様子を取上げた。この他にも、2017年12月には、富岡八幡宮で宮司が弟に惨殺される事件も発生した。神社は一体、どうなってしまったのだろう。
タグ:ハラスメント 日経ビジネスオンライン 神社本庁 カラオケスナック 河合 薫 MONEY VOICE デイリー新潮 カスタマーハラスメント (その11)(カネカ 育休明け転勤命令でSNS大炎上 老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する、キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題、「靖国神社」を揺るがすセクハラ動画 幹部職員が部下にお触り 被害者は複数人) 栫井駿介 「カネカ、育休明け転勤命令でSNS大炎上。老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する=栫井駿介」 カネカが炎上 育休を取った男性社員が復帰直後に転勤を言い渡され、やむを得ず退職 「パタニティハラスメント」 来月付で関西転勤と。先週社宅から建てたばかりの新居に引越したばかり、上の息子はやっと入った保育園の慣らし保育2週目で、下の子は来月入園決まっていて、同時に私は都内の正社員の仕事に復帰予定。何もかもあり得ない 法的には問題なくても、それってどうなの? 育児休暇を取ってこれから子育てが大変な時に、状況を過酷にする転勤を強制 「育休」を取ったことの見せしめにした 私自身も育児休暇からの復帰直後に退職 昭和 vs 平成・令和。歴史ある企業ほど起こる世代間対立 経営力は見劣り。カネカの強みを活かすために必要なこと 大手化学メーカーは、この数年連続で最高益を更新 最高益を更新できていない 内向的な会社であるがゆえに、不採算事業からの撤退が遅れているから カネカの強みは研究開発 研究開発の肝はなんと言っても人材です。いつまでも昔ながらの価値観を引きずったままでは、優秀な人材ほど離れていってしまうでしょう 「キレる中高年に従業員が潰される!増えるカスハラ問題」 カスハラに対応した人に過剰な負担がかかる 若い社員が早々に辞める一因にも アホだの、ボケだの、すごい怒鳴り方されて。今の若い子たちはそんなに怒られた経験がないし、年上と話すのも下手。1回でもやられるとお客さんとコミュニケーション取れなくなって、完全に悪循環ですわ 理不尽なこと言うのは年配の男性に多いんです 自分の運転手だと勘違いするんですかね カスハラは心に深く長く傷を残す 介護の現場でも横行 「ガイドラインを作成する」などと悠長なことを言っている場合じゃない。早急になんらかの防止策に乗り出して欲しい 2つの要因が引き金 1つ目は「お客様第一主義」という理念の下、モノを作ることに専念してきたメーカーまでもが、「モノ」の付加価値を高めるために顧客サービスを強化し、競争に打ち勝とうとしたこと 顧客の声とカスハラを明確に区別する企業は少ない ただただ「お客様を満足させよう!」を合言葉に、ときにゲキを飛ばし、従業員たちに丸投げする。銃も防護服も身につけずに、丸裸で従業員は“危険なサバンナ”に放り出されているのだ 顧客対応マニュアルを作成している会社は31.4%だった。そのうち、カスハラに対応していないマニュアルが約4割で、全体の半数以上は「作成予定もない」という スカイマーク・サービスコンセプト]という冊子を座席のシートポケットに入れ、顧客からのクレームで回収 「感情労働」を切り分けてみせたスカイマーク お客様を「大切」に思って丁重に接することと、感情を売り払ってまでお客様を満足させることは、決して同じではない 「顧客を満足させるのは、タダじゃない」という当たり前を、一体どれだけの企業が理解しているのだろうか お客さんのモンスター化 「「靖国神社」を揺るがすセクハラ動画 幹部職員が部下にお触り、被害者は複数人」 セクハラしているのは、55歳で妻子持ちの祭儀課長 靖国神社にとって最重要とも言うべき春秋の例大祭の現場責任者で、246万余の御霊のデータベースを管理する責任者でもある 歓送迎会の場 曲がクライマックスに差し掛かる段階で、幹部の手は、女性の二の腕から胸の方へと下がっていく… このほかにも女性の手を執拗に撫で、自身の股間付近に引き寄せる様や、腰、お尻付近に手をやる映像も収められている 「当神社では判りかねます」と当事者意識の欠片もない回答 富岡八幡宮で宮司が弟に惨殺される事件も発生
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日本の政治情勢(その34)(今の日本をNYタイムズ紙が「独裁国家」と表現するのは当然、「安倍やめろ」で即排除 首相演説を“言論封じ”で守る矛盾、参院選「特定枠」の想像以上にひどい現実 自分の名前連呼せず 「付け足し」候補の悲哀、小田嶋 隆:誰かを落とすための一票だってある) [国内政治]

日本の政治情勢については、7月9日に取上げたばかりだが、参院選投票日も近づいた今日は、(その34)(今の日本をNYタイムズ紙が「独裁国家」と表現するのは当然、「安倍やめろ」で即排除 首相演説を“言論封じ”で守る矛盾、参院選「特定枠」の想像以上にひどい現実 自分の名前連呼せず 「付け足し」候補の悲哀、小田嶋 隆:誰かを落とすための一票だってある)である。

先ずは、元外交官で外交評論家の孫崎享氏が7月12日付け日刊ゲンダイに寄稿した「今の日本をNYタイムズ紙が「独裁国家」と表現するのは当然」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258084
・『「日本は独裁国家か」――。国内外の多くの人が日本は民主主義国家だと思ってきた。そのため、今日まで「日本は独裁国家か」という質問すら、あり得なかった。 しかし、世界で最も権威のある新聞の一つ、ニューヨーク・タイムズ紙が5日、日本を「独裁国家」と表現した。重要なので翻訳する。〈日本は憲法によって報道の自由がうたわれている近代民主主義国である。本来ジャーナリストが『国家の敵』とみなされるような国ではない。だが、記者が記者会見に臨むのを拒否したり、記者を懐柔するため、政治家と記者との間でクラブ的関係を使う等、日本政府は時々、独裁国家を想起させる方法で行動する〉』、昨日のこのブログ、「安倍政権のマスコミへのコントロール(その11)」でも、紹介した通りである。
・『民主主義の根幹に「報道の自由」がある。「報道の自由」のない国に民主主義はない。その「報道の自由」に対して、さまざまな国際機関が日本の状態に警鐘を鳴らしている。 「国境なき記者団」は毎年報道の自由度についてのランキングを発表しており、今や日本は67位である。日本の前後にどのような国があるかといえば、59位にポーランド、60位にジョージア、61位にアルメニア、62位にハイチ、63位にボスニア・ヘルツェゴビナ、64位にクロアチア、65位にギリシャ、66位にニジェール、68位にマラウイである。いずれも世界的に独裁国家と評されたことのある国々であり、日本人が「仲間」と考えているであろう北欧やオランダ(4位)、スイス(6位)やドイツ(13位)は同じグループにいない。 今の日本は「忖度社会」といわれる。しかし、この忖度は、個々人が自由な判断で忖度しているのではない。政府の厳しい「アメとムチ」の中で社会全体が忖度を選択しているのである。安倍政権への隷属姿勢をとらなければポストを外され、隷属すればポストが与えられる。こういう状況が社会の隅々まで浸透している。その「アメとムチ」が最も厳しく実施されているのが、日本メディアと各省庁なのである』、最後の部分はその通りだろう。
・『2017年8月2日。福田元首相は「各省庁の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている。忖度以上のことをしようとすり寄る人もいる。能力のない人が偉くなり、むちゃくちゃだ」と発言したが、この発言が指している状況は報道機関でも変わらない。日本はひたすら破壊に向かって進んでいるといえ、ニューヨーク・タイムズ紙が「独裁国家」と表現したのも当然である』、「福田元首相」までが官邸による各省庁支配を、「恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」批判するとは驚かされた。「国家の破滅」とは、恐らく「民主主義国家の破滅」の意味だろう。

次に、7月18日付け日刊ゲンダイ「「安倍やめろ」で即排除 首相演説を“言論封じ”で守る矛盾」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258517
・『15日のJR札幌駅前での安倍首相の演説中、肉声でヤジを飛ばした男性が警官にいきなり強制排除された。ネット上では〈言論封じだ〉と大炎上している。 排除された本人のソーシャルメディア「note」によると、安倍首相が好き勝手に権力を行使し、庶民生活が苦しくなる状況に怒りを感じていたところ、自分の住む札幌に安倍首相が来るというので〈直接文句を言う、またとないチャンスだ〉と演説会に向かった。 安倍首相が話し始めても周囲からヤジは聞こえない。覚悟を決め、自分が「帰れ」「やめろー」と叫ぶと、聴衆が一瞬ざわつき、ものすごい速度で警官が駆け付けた。あっという間に体の自由が奪われ、強制的に後方に排除されたという。 「増税反対」と声を上げた女性1人も同様に排除された』、単に「ヤジを飛ばした」だけで、「あっという間に」「強制的に排除された」というのは、いくら何でも行き過ぎだ。東京都議選最終日の秋葉原での安倍首相への「安倍やめろ」コールによほど懲りたのか、最近は応援演説日程も非公開になったようだ。警備強化の指示も出ていたのかも知れない。
・『公選法で規制される演説妨害は、演説を聞き取れなくするような行為を指す。肉声で、しかも言った瞬間での強制排除は言論封じにしか見えないが、警察は野党の演説については甘い。12日、山本太郎代表(れいわ新選組)は京都で共産候補の応援演説をした。 「演説が始まると男性が拡声器を使ってヤジを始めた。警察官がやってきたが、取り囲むだけで演説が終わるまでの約20分間ヤジは続けられた」(現場で目撃した男性) 演説者が安倍首相だと肉声でも即排除、山本太郎氏なら拡声器でも野放しということだ。 北海道警は「トラブルや犯罪を未然に防止するため措置を講じた。事実関係は確認中です」(広報課)と答えたが、いくら何でもやり過ぎだ。 「7日の中野駅前の安倍首相の演説で、〈安倍やめろ〉の大合唱になった。それを受けて、道警は〈ヤジがあってはならない〉と過剰に反応してしまったようです。2人もいきなり排除したのはさすがにやり過ぎだとの声が政府内からも上がっています。選挙戦最終日に予定されている首相の秋葉原演説で、ヤジにどう対応するのか官邸は頭を抱えています」(官邸担当記者) 聴衆の声に対して、力ではなく、言葉で向き合えないものか』、「2人もいきなり排除したのはさすがにやり過ぎだとの声が政府内からも上がっています」、というのは正常な判断だ。明日に予定されている「首相の秋葉原演説」は、どうなるのだろうか。

第三に、東洋大学教授の薬師寺 克行氏が7月19日付け東洋経済オンラインに寄稿した「参院選「特定枠」の想像以上にひどい現実 自分の名前連呼せず、「付け足し」候補の悲哀」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/292607
・『ちょうど1年前、当時の国会で審議され成立した公職選挙法の改正により、参院選比例区に「特定枠」が新設された。 その際、特定枠という制度がいかにひどいものかということをこの欄で取り上げたが、そのときは制度として多くの矛盾や問題がある点を指摘するにとどまった。ところが参院選が公示され、候補者が実際に活動を始めると、特定枠が生み出す現実は想像以上にひどいようだ』、「特定枠」のことはすっかり忘れていた。どんなに酷いのだろう。
・『特定枠候補は選挙区候補の「下働き」に  今回の参院選に特定枠で立候補したのは自民党が2人、「れいわ新選組」が2人の合計4人だった。候補者が少ないこともあってマスコミは特定枠について詳しく報じていないが、東京新聞が自民党の2人の特定枠候補を記事にしている(7月12日付朝刊など)。それに合わせて筆者も取材を受けたが、場当たり的な制度いじりがここまで選挙を歪めるのかと驚かされた。 自民党の特定枠候補は、選挙区が合区となった「鳥取・島根」と「徳島・高知」の2人で、候補者を出せないほうの県から立候補している。特定枠の制度上、2人は自民党比例区の当選順位の1位と2位に位置づけられるので、当選することは間違いない。 ほかの候補者のように一生懸命、選挙運動をしなくても当選するのであるからさぞかし喜んでいるかと思いきや、東京新聞のルポは候補者自身や支持者がこの制度の問題点や矛盾をいやというほど感じていることを伝えている。 「島根県枠」で特定枠候補となった元衆院議員の三浦靖氏(比例中国ブロック)は、「自分の選挙活動はほぼ何もできない」と話し、鳥取・島根選挙区に立候補した候補者の応援に徹しているという。特定枠候補は公職選挙法によって選挙事務所の設置や選挙カーの使用、ポスターの配布や掲示、さらには個人演説会も禁止されている。 つまり自分のための選挙運動はほぼすべてできない。したがって秘書や支持者も、選挙区候補の運動の下働きのようなことしかできなくなっているのだ。 「徳島県枠」の候補となった現職の参院議員、三木亨氏も選挙区候補の支援に徹している。三木氏は2013年に初当選したが、今回は自分の名前の連呼ができないまま当選することになる。次の参院選挙は2025年であるからこのままだと12年間、選挙運動ができない。「自分の名前を覚えてもらえないという不安はある」と語るのも、もっともなことだろう。 もちろん2人は全国を対象とする比例区の候補者だが、地元を出て活動をすることもない。あくまでも特定地域の代表なのである。 新聞に掲載された自民党比例区候補の広告での特定枠候補の扱いもひどいものだ。安倍首相の大きな写真とともに、31人の比例区候補者の顔写真と肩書などが一覧として並んでいる。ところが、特定枠の2人は、最下段に顔写真なしで名前と肩書だけがとってつけたように記されていた』、「特定枠候補は公職選挙法によって選挙事務所の設置や選挙カーの使用、ポスターの配布や掲示、さらには個人演説会も禁止されている」、選挙の洗礼を受けられない議員というのは、果たして議員といえるのか疑問だ。
・『特定枠候補が受ける、さまざまな冷遇の中身  特定枠候補は当落では優先的扱いを受けるが、選挙中の扱いは完全な付け足しでしかない。そもそも選挙は候補者の名前や顔とともに、政策や主張などを含め、どういう人物かを広く有権者に知ってもらうことで成り立っている。したがって、特定枠のように、意図的に候補者を見えなくするのは選挙とは言えない。そして、大半の有権者は特定枠という複雑怪奇な制度を知る機会もないまま投票日を迎えるだろう。 そもそも特定枠は、参院選で2つの県を1つの選挙区にする合区に伴い、議席がなくなってしまう側からの不満に対応するために作られた制度だ。建前上、自民党は地方を重視しているのだという姿勢を見せることになるはずだが、実際には特定枠候補はさまざまな「冷遇」を受けている。2人の地元支持者は、このことをどこまで知っているのだろうか。 一口に国会議員と言っても現行法では当選の仕方にいくつもの種類がある。衆院議員の場合、①小選挙区で当選②比例区で当選③小選挙区で落選したが、重複立候補した比例区で復活当選、の3種類の議員がいる。参院も①選挙区で当選②比例区で当選③比例区の特定枠で当選、とやはり3種類になる。 どういう選挙で当選しようが議員であることには変わりない。歳費などの差もない。しかし、政治の世界はそれほど単純ではない。とくに長く政権を担っている自民党は複雑である。 衆院議員はまず、小選挙区での当選を最優先する。小選挙区当選議員は比例区議員よりも、ましてや復活当選議員よりも格が上という意識がある。実際、比例区復活当選した議員が、落選した小選挙区での当選者が亡くなったり失職した場合に行われる補欠選挙に、衆院議員を辞職して立候補するというケースは多い。衆院議員をやめて衆院議員の補欠選挙に立候補するというのであるから、わけがわからない話である。 2000年代初め、衆議院の綿貫民輔議長(当時)が、補欠選挙への立候補を理由として、ある衆院議員の辞職願を受理しなかったことがある。残念ながら、綿貫議長の問題提起は真剣には受け止められないまま今日に至っている。 また、自民党内には参議院より衆議院が格上という意識が根強い。これまでの自民党総裁は全員が衆院議員であり、主要派閥の会長も大半が衆院議員だ。閣僚の数も圧倒的に衆院議員が多い。そのため党内で力を持つために参院議員から衆院議員に鞍替えを目指す議員も珍しくない。 背景には参院は「良識の府」であって、権力闘争は衆院議員のやることという不文律のようなものもあるようだ。 その参院で今回誕生する「特定枠議員」が周囲からどう見られるかは明らかだろう』、「合区に伴い、議席がなくなってしまう側からの不満に対応するために作られた制度」、如何に妥協のためとはいえ、選挙制度の基本に矛盾するような「特定枠」はやはり作るべきではなかった。
・『特定枠候補を増やすこともいずれ限界に  選挙制度は国民が理解しやすい単純なものがよいに決まっている。ところが、自民党は選挙制度を場当たり的に改正し、複雑でわかりにくいものにし続けてきた。その結果、議員の種類が増え、一種の議員格差を生みだし、政治をますますわかりにくくしている。 参院比例区の特定枠は今後どうなっていくのであろうか。東京などごく一部の地域の人口増が続く一方で、大半の地域の人口の減少は続いている。その結果、1票の格差が拡大し続け、遠からず再び違憲状態になってしまうことは確実だ。 ところが議員の既得権を守りたい政治の世界は、最高裁判所が求めるような抜本的改革には手を付けようとしない。自民党は憲法改正で「都道府県から最低1人ずつ、議員を選ぶ」案を盛り込み、1票の格差問題を解消しようと提案しているが、もちろん見通しは立っていない。 人口増の選挙区の議員定数を増やせば違憲状態は一時的には解消できるが、人口減少時代に議員定数を増やすことに国民は納得しないだろう。そうすると、できることは新たな合区を作ること。合区の対象となった県で、自民党は特定枠候補を増やし続けるのだろうか。しかし、非拘束名簿式が原則の比例区の候補者の中に、上位当選が保障される特定枠候補を増やしていくことは、いずれ限界に達するであろう。 1票の格差解消策としての合区は、わかりやすくかつ合理的な制度である。ほかにいい案がないのであれば、特定枠のような余計な手立てを講じず、単純な制度改正を進めていくしかないだろう』、結論部分はやや分かり難い。私は、枝葉を取り払って、「1票の格差解消策としての合区」は、「特定枠のような余計な手立てを講じず、単純な制度改正を進めていくしかないだろう」、とストーレートに主張したい。

第四に、コラムニストの小田嶋 隆氏が7月19日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「誰かを落とすための一票だってある」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00031/?P=1
・『投票日も近いことなので、今回は選挙関連の話をする。 この話題は、おそらく荒れるだろう。 もちろん、読者の圧倒的多数が、黙って読んでくれる穏当な人たちであることは承知している。 ただ、インターネット上に公開されたテキストを取り巻く空気は、ごく少数の「声の大きい人たち」が作り上げる決まりになっている。であるから、揮発性の高い選挙の話題を含む文章は、毎度のことながら、あっという間に炎上する。そういうことになっている。 選挙の場合とは逆だ。 どういうことなのかというと、選挙の結果を左右しているのは、熱心な政党支持者による個々の一票であるよりは、むしろ最大多数を占める「投票に行かない人たち」の「投じられなかった票」だったりするということだ。それゆえ、皮肉なことだが、21世紀に入ってからこっちの、投票率が頭打ちの状況にあるわが国の選挙の結果は、「投票所にやって来なかった人たち」の巨大な沈黙を反映して、毎度毎度、「声のデカい人々」の蛮声を増幅する結果に落着している。 すぐ上のパラグラフは、ちょっとわかりにくい書き方になっている。 言い直してみる。 私は「投票に行かない最大多数の有権者による声なき声が世界を動かしている」と言いたかったのではない。 逆だ。私が強調したいと思っているのは「投票に行かない最大勢力である無党派層という人々の巨大な沈黙が、必ず投票に行く少数の極端な考えを抱いた人々の声を過度に強調する結果をもたらしている」ということで、つまりこの話のキモは、「黙っていると、短絡的で声のデカい少数派の好きなようにされてしまうよ」というところにある。 ただ、この話をあんまりくどくどと繰り返すのは得策ではない。 というのも、政治に対してシラけた気持ちを抱いている若い人たちは、選挙の度に繰り返される年長者によるおためごかしの説教にうんざりしているはずだからだ。 先週の今頃、以下のようなツイートを放流した。《若い人たちに投票を促すのに「説教」(君らのためなんだぞ) 「脅迫」(行かないとひどいことになるぞ) 「挑発」(老人の天下になっても良いわけだな?) 的なツイートを発信する人たちがいますが、どれも「若者は現状を把握できていない」と決めつけている点で失礼だし、逆効果だと思います。6:46 - 2019年7月10日》 若年層の投票率が長らく伸び悩んでいることの背景には、選挙の度にインターネット上の画面を埋め尽くす「激越な言葉」に対する、あらかじめの疲労感がある。 もう少し丁寧な言い方をすれば、令和の日本人が政治の話題を嫌うのは、政治そのものを忌避しているからというよりは、「論争的な場所に関与せねばならない機会」を何よりも恐れているからだということでもある』、情けない話だ。
・『上のツイートを書いた同じ日に、私は、引き続き以下のツイートを連投している。《私自身、投票に行かなかった時代、何がいやだといって上から説教されるのが一番不快でした。現状を把握できていない若者がいないとはいいませんが、彼らを投票から遠ざけている最大の理由は、日常の中で政治が忌避されているからです。選挙の時だけ「政治的になれ」と言われてもシラけます。6:48 - 2019年7月10日》 《10~20代の若い世代は、同世代のコミュニティの中で「政治的に振る舞う人間は面倒くさい」という認識を共有しています。さらに就活や入試の面接では、「政治・宗教に関する話題はタブー」であることを強く印象付けられます。こういう中で暮らしている人たちに「選挙に行け」と言うこと自体無理です。9:59 - 2019年7月10日》 政治への忌避感を持たされているのは、平成生まれの若者に限った話ではない。 この50年ほど、子供たちは、大人に成長していく過程の中で、最も身近な大人である両親や教師から、 「政治にはかかわらないほうが無難だぞ」「政治について考えるのはかまわない。ただし、他人のいる場所で政治的な発言をすると必ず友達を失うことになることは覚えておいたほうがよい」「いいかね。政治について語る人間とは距離を置くのが賢い処世なのだよ」てな調子で、こと政治と宗教については「知らないふり」「考えていないふり」を押し通しておくのが要らぬトラブルを避ける賢明な態度である旨をそれとなく聞かされながら育ってきた。 そんなふうに、なにかにつけて 「目立つな」「声をあげるな」「黙って大勢に従ったふりをしておけ」「本音とかは広告の裏にでも書いとけ」と言ってくるその大人たちが、あらまあびっくり、ひとたび選挙がはじまると態度を一変させて、 「政治は大切だよ」てなことを言い出す。 もっとも子供たちに政治的な振る舞い方を要求するのは、彼らの身近にいるリアルな大人ではない。テレビに出てくる文化人や、新聞の紙面で説教を垂れている「有識者」と呼ばれる、たぶんに芝居がかったロール(役割)としての「大人」だ。 彼らは 「投票を通じて自分の声を政治に反映させましょう」「無投票、白票は、現体制への承認と同様に解釈されるのですよ」「若い世代の投票率の低さが、老人優先の政策選択を招いています」てな調子で、作り声の政治賛美演説を押し付けてくる。 言われる側の若者にしてみれば、「うるせえ」と思わないほうがおかしい』、大人の「政治」に対するダブルスタンダード的な姿勢が、若者を遠ざけているというのは、その通りなのかも知れない。
・『私自身、長らく「うるせえばか」と思っていた。 じっさい、40歳になるまで、私は有効投票をしたことがない。 両親や周りの人間がグダグダうるさいので、投票所に足を運ぶところまでは付き合ったものの、どうしても候補者の名前を書く気持ちになれなかったからだ。 だから、投票用紙に自作の俳句を書き込んだり、好きなロックスターの名前を書いたりというカタチでその場をしのいでいた。 まあ、バカな話だ。弁解の余地があるとは思っていない。 ただ、ここで大切なのは、私が、単に「面倒くさいから投票には行かないよ」という消極的な理由で投票を回避していたのではない、ということだ。 現に私は何回か投票所に足を運んでいる。 それでもなお、私が有効な一票を投じなかったのは、私自身が、積極的に投票をボイコットする気持ちを持っていたということだ。 まあ、スネていたわけですね。 あなたの一票があなたの未来を作るのです的なおためごかしの演説に、なんだか猛烈に腹を立てていたということです。 はい。バカな反応でした。 反省しています。 ただ、40歳を過ぎた頃からは、毎回投票に行っている。 理由は、必ずしも一票の重みを自覚しはじめたからではない。 私が投票するようになったのは、メディアを通じて発言する機会を持つようになったことと関連している。 もう少し具体的に言うと、公共的な場所で、「言論人」に近い扱いを受けている人間が「えーと、選挙には行っていません」「えっ? 投票ならしてませんが?」みたいな発言を垂れ流すことが、絶対的に許されないことを、いくつかの機会を通じて思い知らされたからだ。 特にインターネットが普及してからは、 「オダジマは投票ボイコット組らしいぞ」「あいつ選挙にさえ行かないんだとさ」「そのくせ、政治には一家言あるみたいだぜ」「最悪だな」「クソだな」という感じの噂(まあ、半ば以上は事実だったわけだが)にずいぶん苦しめられた。 自業自得であることはよくわかっている。とにかく、私としては、説教のつむじ風みたいなコトバの塊が選挙の度に訪れることに閉口して、有効投票を実行する方向に方針変更した次第なのである』、小田嶋氏が、「40歳になるまで、私は有効投票をしたことがない」、「説教のつむじ風みたいなコトバの塊が選挙の度に訪れることに閉口して、有効投票を実行する方向に方針変更した次第」、などという告白には驚かされた。
・『そろそろ結論を述べる。 2日ほど前、以下のようなツイートを書き込んだ。《若い頃、自分が投票に行かなかった理由は、信頼できる政治家や支持できる政党を見つけられなかったからなのだが、20年ほど前から投票するようになったのは、「きらいな候補者を落選させ、不快な政党にダメージを与えるためには、当面、誰に投票すれば良いのか」という視点を得たからだと思っている。16:30 - 2019年7月16日》 このツイートは、意外に大きな反響を呼んで、これまでのところ、約4000件のRTと、7000件以上の「いいね」を獲得している。 反応してくれた人の全員が共感を抱いてくれたとは思っていないのだが、こういう考え方で投票するのもアリだという感想を通じて、何人かの投票回避派が、投票所に赴いてくれたらうれしい。 ことのついでに、絵に描いたような建前論を述べるなら、投票は、最も簡単で有効な政治参加だ。 その意味で、「投票」は「開票」で終了する動作ではない。 「選挙」自体も、「当落の決定」をもって決着するイベントではない。 政治における選挙の意味は、むしろ選挙期間が終わって、当選した議員が政治家としての第一歩を踏み出した時にはじまると言い換えてもよい。 じっさい「あいつはオレが投票した議員だ」ということになれば、おのずと見る目も違ってくる。 選挙の面白さは、投票した人間の思考や行動パターンが、ほかならぬ自らの投じた一票によって微妙に変化するところにある。 であるからして、選挙の時点で「死に票」を投じたのだとしても、一票の意味そのものは死なない。 投票した人間は、次の選挙までの間、自分の選挙区から選出された議員の一挙手一投足を、投票に行かなかった有権者よりはずっと真剣な目で監視することになる』、これはキレイ事過ぎる印象を受ける。不祥事を引き越した代議士で、辞職せずにいる人間も多いが、選挙民から辞職を迫られた例を思い出すことは出来そうもない。
・『自分が馬券を買っていない競馬中継のつまらなさを知っている人なら、逆の意味で見当がつくと思うのだが、なんであれ一票を投じておくことで、政治を見る目は、よりリアルになる。 最後に個人的な話をする。 この4月に投開票がおこなわれた統一地方選で、私が住んでいる地域では、区長選挙が実施された。選挙戦は、公示の時点で84歳になる現職と、新人で都議から転じた30代の候補者との一騎打ちになると見られていた。 私自身は、当初、この選挙について、さしたる関心を抱いていなかったのだが、ツイッターのタイムラインに流れてくる若い候補者の言動のいくつかを見るうちに、私は、彼を落選させなければいけないと考えるようになった。 というのも、若い候補者は、その時点で自分がいずれ国政に打って出ることを隠そうともしていなかったからだ。 「ってことは、うちの地域の区長のポストは、あんたにとって踏み台のひとつに過ぎないってことか?」と、住民として、そう受け止めないわけにはいかなかった。 もっとも、84歳の現職区長を積極的に支持できるのかというと、それも簡単なことではなかった。 年齢も年齢だし、それ以外にも、やがてめぐってくることがわかっていたはずの区長選に向けて、後継者を指名して後援会を一本化することができなかったのは、失態だと思ったからだ。 決め手となったのは、若い候補者を支持するアカウントが発した 《おい、東京都○区の若者、選挙行け! もしかしたら「将来の総理大臣の第一歩をオレは投票したんだぜ」と言えるかもしれねぇぞ》という高飛車なツイートだった。 こんな連中にうちの地域の大切なポストを踏み荒らされてはかなわない……そう思って私は、84歳の現職区長に投票した。 その私の一票は、結果として、投票した候補者が当選するという10何年かぶりの喜びをもたらした。 当選後3ヶ月を経過して、区長は、意外なほど元気に活躍している。 私自身は、まだ、支持とか応援というまでの気持ちには至っていないのだが、投票した責任は少し感じている。 誰かを落とすために投じた一票が、結果としてほかの誰かの政治生命を延命させることもある。 そうやって世界はまわっている。 区長にはがんばってほしいと思っている』、小田嶋氏のように当選後の活動を監視する選挙民が増えてくれればいいのだが・・・。
タグ:秋葉原 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 日経ビジネスオンライン 孫崎享 薬師寺 克行 日本の政治情勢 小田嶋 隆 (その34)(今の日本をNYタイムズ紙が「独裁国家」と表現するのは当然、「安倍やめろ」で即排除 首相演説を“言論封じ”で守る矛盾、参院選「特定枠」の想像以上にひどい現実 自分の名前連呼せず 「付け足し」候補の悲哀、小田嶋 隆:誰かを落とすための一票だってある) 「今の日本をNYタイムズ紙が「独裁国家」と表現するのは当然」 ニューヨーク・タイムズ紙が5日、日本を「独裁国家」と表現 記者が記者会見に臨むのを拒否したり、記者を懐柔するため、政治家と記者との間でクラブ的関係を使う等、日本政府は時々、独裁国家を想起させる方法で行動する 民主主義の根幹に「報道の自由」がある。「報道の自由」のない国に民主主義はない さまざまな国際機関が日本の状態に警鐘 「国境なき記者団」 報道の自由度についてのランキング 日本は67位 66位にニジェール、68位にマラウイである。いずれも世界的に独裁国家と評されたことのある国々 この忖度は、個々人が自由な判断で忖度しているのではない。政府の厳しい「アメとムチ」の中で社会全体が忖度を選択しているのである 「アメとムチ」が最も厳しく実施されているのが、日本メディアと各省庁なのである 福田元首相は「各省庁の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている。忖度以上のことをしようとすり寄る人もいる。能力のない人が偉くなり、むちゃくちゃだ 「「安倍やめろ」で即排除 首相演説を“言論封じ”で守る矛盾」 JR札幌駅前での安倍首相の演説中、肉声でヤジを飛ばした男性が警官にいきなり強制排除された あっという間に体の自由が奪われ、強制的に後方に排除されたという 「安倍やめろ」コール 公選法で規制される演説妨害は、演説を聞き取れなくするような行為を指す 警察は野党の演説については甘い 山本太郎代表(れいわ新選組)は京都で共産候補の応援演説をした。 「演説が始まると男性が拡声器を使ってヤジを始めた。警察官がやってきたが、取り囲むだけで演説が終わるまでの約20分間ヤジは続けられた 2人もいきなり排除したのはさすがにやり過ぎだとの声が政府内からも上がっています 「参院選「特定枠」の想像以上にひどい現実 自分の名前連呼せず、「付け足し」候補の悲哀」 参院選比例区に「特定枠」が新設 特定枠候補は選挙区候補の「下働き」に 今回の参院選に特定枠で立候補したのは自民党が2人、「れいわ新選組」が2人の合計4人 自民党の特定枠候補は、選挙区が合区となった「鳥取・島根」と「徳島・高知」の2人で、候補者を出せないほうの県から立候補している 特定枠の制度上、2人は自民党比例区の当選順位の1位と2位に位置づけられるので、当選することは間違いない 特定枠候補は公職選挙法によって選挙事務所の設置や選挙カーの使用、ポスターの配布や掲示、さらには個人演説会も禁止されている。 つまり自分のための選挙運動はほぼすべてできない 特定枠候補が受ける、さまざまな冷遇の中身 特定枠は、参院選で2つの県を1つの選挙区にする合区に伴い、議席がなくなってしまう側からの不満に対応するために作られた制度だ 「誰かを落とすための一票だってある」 「投票に行かない最大勢力である無党派層という人々の巨大な沈黙が、必ず投票に行く少数の極端な考えを抱いた人々の声を過度に強調する結果をもたらしている 黙っていると、短絡的で声のデカい少数派の好きなようにされてしまうよ」 令和の日本人が政治の話題を嫌うのは、政治そのものを忌避しているからというよりは、「論争的な場所に関与せねばならない機会」を何よりも恐れているからだということでもある 彼らを投票から遠ざけている最大の理由は、日常の中で政治が忌避されているからです。選挙の時だけ「政治的になれ」と言われてもシラけます 活や入試の面接では、「政治・宗教に関する話題はタブー」であることを強く印象付けられます なにかにつけて 「目立つな」「声をあげるな」「黙って大勢に従ったふりをしておけ」「本音とかは広告の裏にでも書いとけ」と言ってくるその大人たちが、あらまあびっくり、ひとたび選挙がはじまると態度を一変させて、 「政治は大切だよ」てなことを言い出す 40歳になるまで、私は有効投票をしたことがない 投票用紙に自作の俳句を書き込んだり、好きなロックスターの名前を書いたりというカタチでその場をしのいでいた 私が投票するようになったのは、メディアを通じて発言する機会を持つようになったことと関連している 説教のつむじ風みたいなコトバの塊が選挙の度に訪れることに閉口して、有効投票を実行する方向に方針変更した次第 投票するようになったのは、「きらいな候補者を落選させ、不快な政党にダメージを与えるためには、当面、誰に投票すれば良いのか」という視点を得たからだ 「あいつはオレが投票した議員だ」ということになれば、おのずと見る目も違ってくる 投票した人間は、次の選挙までの間、自分の選挙区から選出された議員の一挙手一投足を、投票に行かなかった有権者よりはずっと真剣な目で監視することになる
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安倍政権のマスコミへのコントロール(その11)(テレビ朝日が2000万円報告書問題で麻生財相を追及した「報ステ出身の経済部長」を報道局から追放! 露骨すぎる安倍政権忖度人事、「都合の悪い者」陥れる官邸のフェイクー『新聞記者』のリアル 望月記者らに聞く、アメリカの法学者が 日本の「表現の自由」侵害を本気で心配している 「政治的公平」ってなんだろう) [メディア]

安倍政権のマスコミへのコントロールについては、6月6日に取上げた。今日は、(その11)(テレビ朝日が2000万円報告書問題で麻生財相を追及した「報ステ出身の経済部長」を報道局から追放! 露骨すぎる安倍政権忖度人事、「都合の悪い者」陥れる官邸のフェイクー『新聞記者』のリアル 望月記者らに聞く、アメリカの法学者が 日本の「表現の自由」侵害を本気で心配している 「政治的公平」ってなんだろう)である。

先ずは、6月23日付けLITERA「テレビ朝日が2000万円報告書問題で麻生財相を追及した「報ステ出身の経済部長」を報道局から追放! 露骨すぎる安倍政権忖度人事」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/06/post-4792.html
・『本サイトでも継続的にレポートしてきたように、安倍首相と蜜月関係にある早河洋会長のもと、“政権御用化”が進行しているテレビ朝日だが、ここにきて、またぞろ、政権の不正を追及してきた報道局幹部をパージする“政権忖度人事”が行われた。 「経済部部長・Mさんに、7月1日付人事異動の内示が下ったんですが、これが前例のない左遷人事だったんです。M部長の異動先は総合ビジネス局・イベント事業戦略担当部長。今回、わざわざ新たに作った部署で、部長と名ばかり。これまでの部長は政治部長やセンター長になっているのに、これはもう嫌がらせとしか思えません」 M部長は古舘伊知郎キャスター時代、“『報道ステーション』の硬派路線を支える女性チーフプロデューサー”として有名だった女性。経済部長に異動になってからもその姿勢を崩さず、森友問題などでは、経済部として財務省をきちんと追及する取材体制をとっていたという。 「財務省や麻生太郎大臣の会見は、経済部が中心なので、不正や政策の問題点を追及する質問なんてほとんどやらないんですが、Mさんが部長になった頃から、テレ朝は複数の記者を投入して、踏み込んだ質問をするようになった。ごくたまにですが、重要な局面では、Mさん自身も会見に出て、質問していました」(全国紙経済部記者) いま、大きな問題になっている金融庁の“2000万円報告書”問題でも、麻生財務相の会見でこの問題をはじめて追及したのは、テレビ朝日経済部だった。その後も、会見の度に、報告書問題を質問。また、麻生大臣が11日、「報告書を受け取らない」としたときの会見には、M部長自ら出席。報告書の内容を「政府のスタンスとちがう」と言い訳した麻生財務相に、「報告書のベースは金融庁が作っている」「夏の税制改正要望に証券税制の優遇を入れるという意図があったのではないか」と鋭い追及をしていた。 しかし、こうしたテレビ朝日の追及に、麻生大臣が苛立ちを示すケースもしばしばで、2000万円報告書問題では「テレビ朝日のレベルの話だからな」「またテレビ朝日か」「テレビ朝日のおかげで不安が広がった」「おたくのものの見方は俺たちとぜんぜん違う」などと、名指しで恫喝することも少なくなかったという。 そんなさなかに、M部長が聞いたこともない部署に飛ばされる人事の内示が出たため、局内外で「こんな露骨な人事、見たことない」「安倍政権からなんらかの圧力があったのではないか」という声が上がっているのだ。 実際、M部長の異動の裏に、テレ朝上層部の安倍政権忖度があったのは間違いない。 そもそもM部長は、『報道ステーション』のチーフプロデューサー時代から、官邸とテレ朝上層部に目の敵にされてきた。実は、『報ステ』のチーフPを外されたのも、官邸の圧力だったといわれている』、「財務省や麻生太郎大臣の会見は、経済部が中心なので、不正や政策の問題点を追及する質問なんてほとんどやらないんですが、Mさんが部長になった頃から、テレ朝は複数の記者を投入して、踏み込んだ質問をするようになった」、その辣腕のM部長を左遷したとは、「テレ朝上層部の安倍政権忖度があった」ためなのだろう。
・『財務省事務次官のセクハラ問題で官邸が拡散したM経済部長攻撃  2015年、ISによる後藤健二さん、湯川遥菜さん人質事件が起きたさなか、ISを刺激する安倍首相の発言を批判して、コメンテーターの古賀茂明氏が「“I am not ABE”というプラカードを掲げるべきだ」と発言したことに、官邸が激怒。菅官房長官の秘書官が恫喝メールをテレ朝上層部に送りつけるなど、圧力をかけて、古賀氏を降板に追い込んだことがあったが、このとき、古賀氏らといっしょに同番組から外されたのが、M氏だった。 「Mさんがチーフプロデューサーをつとめていた時代、『報ステ』は政権の不祥事や原発問題に果敢に踏み込んでいました。上層部からの圧力にも身を盾にして現場を守っていた。早河さんや当時の篠塚(浩)報道局長らは苦り切っていて、Mさんを外す機会を虎視眈々と狙っていた。そこに、古賀さんの発言があって、官邸から直接圧力がかかったため、古賀さんを降板させた少しあとに、Mさんを政治家とは直接関わることが少ない経済部長に異動させたというわけです」(テレビ朝日局員) しかし、M氏は経済部長になってからも、官邸や局の上層部からマークされ続けていた。 昨年4月、財務省・福田淳一事務次官(当時)の女性記者へのセクハラ問題が勃発したときは、官邸がM氏に責任をかぶせるフェイク攻撃を仕掛けていたフシがある。周知のように、福田次官のセクハラは、「週刊新潮」(新潮社)がスクープしたものだが、告発した女性記者の一人がテレ朝の経済部記者で、M氏はその女性記者の上司だった。そのため官邸は「Mが女性記者をそそのかして告発させた」という情報を拡散させたのだ。 「たしかに当時、官邸に近い政治部記者が『Mが福田次官をハメるため女性記者に「週刊新潮」への音源提供をそそのかした』なるストーリーを口々に語っていました。週刊誌が調べてもそんな事実はなくて、官邸幹部が吹き込んだフェイク情報だったようですが……。官邸はこういう情報操作と同時に、テレビ朝日にも『Mをなんとかしろ』と相当、圧力をかけていたようですね。テレ朝としてはそのときにすぐに左遷するのは露骨だったので、タイミングをみはからっていたんでしょう」(週刊誌記者)』、M氏を「官邸幹部が吹き込んだフェイク情報」で攻撃するほど、目の敵にされていたようだ。
・『テレ朝は3年前にも政権批判した元政治部長を営業職へ  そして、冒頭で紹介したように、麻生大臣の会見などで、2000万円報告書問題を厳しく追及しているさなか、M氏の人事が内示されたのだ。 言っておくが、M部長は特別、過激なことをしていたわけではない。組織の秩序を乱したわけでもないし、不祥事を起こしたわけでももちろんない。政策や政権の不正をチェックするという、ジャーナリズムとしてはごく当たり前の取材・報道をしようとしただけで、10年前だったらなんの問題にもならなかっただろう。 ところが、テレビ朝日は、M氏を報道局から追放し、前例のない人事を行ったのだ。どう見ても「政権に忖度して政権批判者を追放する見せしめ人事」を行ったとしか思えないだろう。 しかも、恐ろしいのは政権批判に踏み込む報道局員を飛ばす、こうした人事がいまや、テレビ局で普通になっていることだ。テレ朝でも同様のケースがあった。解説委員として、ときには政権批判に踏み込むことで知られていたF元政治部長が、3年前に突然、部下が一人もいない営業マーケティング担当局長という新設のポストに異動させられている。 他局でも、政権批判に踏み込むデスクや記者が次々とメインの政治取材から外されており、その結果、官邸や記者クラブでは、政権の言い分を代弁する記者ばかりになり、会見でも安倍政権を追及するような質問は、ほとんど出なくなった。そして、普通に権力のチェックをしようとする数少ない記者たちは「空気を読めないやつ」「面倒臭いやつ」として取材体制から排除されていく。 NHK、フジテレビ、日本テレビだけでなく、テレビ朝日やTBSでも同じことが起きているのだ。この国のテレビはいったいどこまで堕ちていくのだろうか』、「他局でも、政権批判に踏み込むデスクや記者が次々とメインの政治取材から外されており、その結果、官邸や記者クラブでは、政権の言い分を代弁する記者ばかりになり、会見でも安倍政権を追及するような質問は、ほとんど出なくなった」、殆どの国民が知らないところで、「国民の知る権利」が侵されているようだ。

次に、フリージャーナリストの志葉玲氏が7月5日付けYahooニュースに寄稿した「「都合の悪い者」陥れる官邸のフェイクー『新聞記者』のリアル、望月記者らに聞く」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190705-00132919/
・『話題の映画『新聞記者』(監督:藤井道人)を観た。本作は、官房長官記者会見での活躍で知られる東京新聞の望月衣塑子記者の著作『新聞記者』(角川新書)を元に、映画プロデューサーの河村光庸さんが企画製作したもの。森友・加計問題や財務省職員の自殺、「総理に最も近いジャーナリスト」とされる元TBS記者による性的暴行疑惑もみ消しなど、この間の安倍政権にからむスキャンダルを連想させる要素がちりばめられ、映画冒頭からラストまで、緊張感を途切れさせず一気に観させる作品だ。劇中には、望月記者や、前川喜平・前文科事務次官、新聞労連の南彰委員長らも本人役で出演している。そこで、望月記者、南委員長に、映画「新聞記者」や、そのモデルとなった現実の日本の政治・社会について聞いた』、映画も見てみたいものだ。
・『政権によるフェイク攻撃  映画の主人公で、東都新聞の若手記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は、同紙にリークされた「医療系大学の新設」をめぐる極秘文書の謎を追いかける。本作のもう一人の主人公は内閣情報調査室(通称:内調)で任務につく官僚・杉原拓海(松坂桃李)。政権にとって都合の悪い事実をもみ消すのが、その仕事だ。ある事件をきっかけに内調に疑問を持つようになった杉原は、吉岡の調査取材に協力していく。―本作を語る上で欠かせない大きなテーマは、政権による卑劣なフェイクに、いかに記者が対抗していくかというものだろう。そして、映画の中で描かれた、都合の悪い存在を政権側がデマによって陥れようとする謀略は、今、正に現実で起きているのである。劇中に本人役で出演した新聞労連委員長、南彰記者(朝日新聞)は、自身の経験をこう語る。 「官房長官会見での望月記者に対する質問制限に対し、今年2月、新聞労連は抗議声明を出しました。その後、首相官邸関係者が官邸で取材する各社記者達に、私のプライベートについてスキャンダルめいたデマを吹聴していたと、ある記者から聞きました。そうしたデマは、記者メモとして、政治記者の間で共有されていたのです。もっとも、根も葉もない事実無根のデマなので、それが週刊誌などで記事になることはありませんでしたが、新聞労連の声明に対する『報復』としてのイメージ操作なんでしょうね」(南記者) 望月記者本人も「攻撃対象」とされていると、南記者は言う。 「官邸取材の記者らによれば、菅義偉官房長官やその周辺は非公式のオフレコ取材などで、口を開けば、望月記者について、“あの記者はパフォーマンス。その内、選挙に出るために目立とうとしているんだ”などと批判していたとのことです。そうした批判を何度も繰り返し聞いているうちに、菅官房長官に同調してしまう記者も出てくる。オフレコで政府関係者の本音を聞かされることで、事情通になったつもりになってしまうのですが、オフレコ取材の危うさを記者側も問い直す必要があるのかもしれません」(同)』、「オフレコで政府関係者の本音を聞かされることで、事情通になったつもりになってしまうのですが、オフレコ取材の危うさを記者側も問い直す必要があるのかもしれません」、というのは、記者のさもしい根性を指摘しており、正論だ。
・『政権の存続こそが重要―暗躍する官僚達  劇中で描かれていた、政権を維持するために暗躍する官僚達も実在するようだ。「本書は92%真実」「リアル告発ノベル」だとして『官邸ポリス』(講談社)を執筆した元警察キャリア、幕蓮氏にインタビューした経験を望月記者は語る。 「彼ら警察官僚にとっては、政権が安定し長続きすることこそが第一なのです。映画『新聞記者』の劇中でも、事実を曲げてでも政権を守ろうとする内調の任務に反発する主人公にその上司が“何が真実かは、国民が決めることだ”と正当化するシーンがありましたが、同じようなメンタリティーが実際の官僚機構にもあるのです。しかし、都合の悪い事実を覆い隠して政権が続いたとしても、それが民主主義だと言えるでしょうか?」(望月記者)』、「都合の悪い事実を覆い隠して」どころか、「都合よく事実をねじ曲げる」ことすらしているようだ。
・『嘘を押し通すためのレッテル貼り  事実を事実として認めず、追及する記者に「事実誤認」のレッテル貼りをする。それが公然と行われたのが、官房記者会見での望月記者への質問制限だ。昨年12月末、望月記者の質問について「事実誤認」「度重なる問題行為」だとして、官房記者会見の意義が損なわれることを懸念」、「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と官邸報道室長名で内閣記者会に申し入れた。だが、その申し入れの中で「事実誤認」の具体例として示された望月記者の質問は、むしろ安倍政権の欺瞞を追及する、極めて重要なものであったのだ。前述の新聞労連による声明の一部を引用しよう。 そもそも官邸が申し入れのなかで、東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断じた根拠も揺らいでいます。記者が、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐり、「埋め立て現場ではいま、赤土が広がっております」「埋め立てが適法に進んでいるか確認ができておりません」と質問したことに対して、官邸側は申し入れ書のなかで、「沖縄防衛局は、埋立工事前に埋立材が仕様書どおりの材料であることを確認しており、また沖縄県に対し、要請に基づき確認文書を提出しており、明らかに事実に反する」「現場では埋立区域外の水域への汚濁防止措置を講じた上で工事を行っており、あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているかのような表現は適切ではない」――と主張しました。 しかし、土砂に含まれる赤土など細粒分の含有率は、政府は昨年12月6日の参議院外交防衛委員会でも「おおむね10%程度と確認している」と説明していましたが、実際には「40%以下」に変更されていたことが判明。沖縄県が「環境に極めて重大な悪影響を及ぼすおそれを増大させる」として立ち入り検査を求めていますが、沖縄防衛局は応じていません。「赤土が広がっている」ことは現場の状況を見れば明白です。偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。出典:新聞労連声明  つまり、事実に反していたのは、官邸側の主張であり、その嘘をつき通すべく、望月記者に対し「事実誤認」とレッテル貼りし、「度重なる問題行為」だと印象操作したのだ。映画『新聞記者』でも、政界の闇をスクープした記者を、政権側やそれに同調するメディアが「誤報」と決めつけ追い込んでいく描写があるが、それは正に望月記者に対して現在進行形で行われている弾圧なのだ』、「事実に反していたのは、官邸側の主張であり、その嘘をつき通すべく、望月記者に対し「事実誤認」とレッテル貼りし、「度重なる問題行為」だと印象操作したのだ」、首相官邸の行為は陰湿で、不正とすら言えよう。
・『異常なことを異常であると認識すべき  映画の内容にとどまらず、その公開においても、現在の世相が「反映」されているのは象徴的だ。映画の公式ウェブサイトに異常な量のアクセスが集中し、サイトが一時的に閲覧できない状況になったという。映画の広報関係者によると「個々の人間によるものではあり得ない数のアクセスが特定のIPアドレスから集中しています。何らかのシステムを使ったものかと思われます」とのこと。つまり、サイバー攻撃の可能性が高い。この映画を多くの人々に観てほしくない存在による妨害行為なのかもしれない。 いかに、異常なことが起き続けてきたのか。映画『新聞記者』を観て、また望月記者や南記者へのインタビューを通じて、筆者も改めて考えさせられる。安倍政権が歴代3位の長期政権となっていることで、メディア側も一般の人々の側も感覚が麻痺しているのかもしれない。だが、異常なことを異常であると認識し直すことが、今、必要なのだろう。(了)』、「映画の公式ウェブサイト」に「サイバー攻撃」をかけ、妨害するやり口には、開いた口が塞がらない。こうした異常事態を報道しない一般のマスコミも情けない限りだ。

第三に、ライターの高堀 冬彦氏が7月12日付け現代ビジネスに寄稿した「アメリカの法学者が、日本の「表現の自由」侵害を本気で心配している 「政治的公平」ってなんだろう」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65721
・『法に縛られたメディア  「テレビは政治的に公平でなくてはならない」 そう法律で決められているのをご存知だろうか。他にも「公安および善良な風俗を害しないこと」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などが定められている。 この法律とは、放送法4条のことだ。今、この4条をめぐり、政府とテレビ界が水面下で大きく揺れている。米国の法学者で、「表現の自由」の専門家である国連のデイヴィッド・ケイ特別報告者から4条の廃止を勧告されているためだ。 4条は一見、素晴らしい法律であるように思える。なぜ、国連側は問題視するのか? それは、報道機関であるはずのテレビを法律が縛り、政府が監視するということが特異なシステムであるからだ。この4条が、政府が放送局に停波(電波の送信を停止すること)を命じられる根拠になっている。 ケイ氏は「4条は報道規制につながる法律」と厳しく指摘している。なるほど、現行法だと、与党側の総務相が、気にくわないテレビ局に「政治的に公平ではない」などと4条違反のレッテルを貼り、停波を命じることも可能である。こんな法律、ほかの先進国には存在しない』、確かに、「放送法4条」は、第一の記事にあったテレ朝の忖度人事をもたらした背景の1つにもなた、先進国としては恥ずかしい代物だ。
・『独裁国家か後進国か  ケイ氏の勧告は2017年に11項目にわたって出され、4条廃止はそのうち一つだった。ところが、政府が4条廃止などを実行しなかったため、このほどケイ氏は新たな報告書をまとめた。 だが、政府はこれに反発。菅義偉官房長官(70)は今年6月5日の記者会見で、「極めて遺憾」と強い不快感を示した。それは怒るだろう。もし、本当に政府が法律で報道規制を行っていたら、まるで独裁国家か後進国だ。 とはいえ、ケイ氏は怯まなかった。同26日、パリで行われた国連人権理事会でも「4条廃止が不履行のまま」と主張し、日本の報道の自由には懸念が残ると警鐘を鳴らしたのである――。 ケイ氏の勧告どおりに4条が廃止されれば、テレビ界は自由な政治関連報道が出来るようになり、自民党や総務相の影にも怯えずに済むようになる。4条廃止は望むところであるに違いない』、「国連のデイヴィッド・ケイ特別報告者」がしつこく日本政府に「4条廃止」を迫る姿勢は大したものだ。
・『「現状維持のほうがいい」  ところが、NHKの上田良一会長(70)は2018年4月の定例会見で「4条はニュースや番組を制作するうえで遵守すべきものだと信じている」と発言。民放はというと、これまた各局とも放送改正に反対している。 一体、どういうことなのか? ベテランのテレビマンらに話を聞いたところ、「4条廃止と同時に何が起こるか分からないから、現状維持のほうがいい」という。また、4条が廃止されれば、テレビ界に規制緩和の波が押し寄せる公算が大きい。廃止と軌を一にして国から受けてきた庇護をいっぺんに失う恐れがある。実のところ、チャンネルさえ得られれば潰れないテレビ界は「最後の護送船団方式」とも呼ばれているのだ。 起こり得る規制緩和の一つは、電波の利用料を競争入札化する電波オークション制度の導入。こちらも先進国では半ば常識化しているのだから。政府は既に検討を済ませている。テレビ局の電波利用料として現在は計数十億円が総務省に支払われているが、オークションが導入されると、それが少なくとも数倍になることが見込まれている。そもそも、テレビ各局は携帯電話会社の2分の1以下程度の電波利用料しか支払っていない。このため、携帯電話会社側から「不公平」との声が上がっているのだ』、「テレビ界は「最後の護送船団方式」とも呼ばれている」、新聞業界も消費税非課税の恩典と、マスコミ業界も既得権擁護に血道を上げているようでは、「政権の監視役」などおぼつかない。
・『メディアの質は下がるのか  視聴者側には「4条がなくなり、フェイクニュースや俗悪番組が増えたら、どうするのか」という不安もあるに違いない。だが、それには政府や政党とは一線を画した独立放送規制機関を設けて、対応すればいい。法律で縛り、政府が監視するのとは別次元の話だ。事実、よその先進国はそうしている。 独立放送規制機関としてアメリカにはFCCがあり、イギリスはOfcomを持ち、フランスはCSAを擁する。これらの組織は強い権限を持ち、一方で政府や政党は介入できない仕組みになっている。 これらの独立放送規制機関は、テレビ局が視聴者を裏切る嘘をついたり、下品な放送を行ったりすると、厳格に対処する。免許取り消しや停波の権限も持つ。罰金を科すこともある。法律や政府がテレビ局を縛らなくなろうが、テレビ局がいい加減な放送をできるようになるわけではない。 日本にも独立放送規制機関ができたら、BPOも役割を終える。テレビ界が自分たちで資金を出し合い、スタッフを選び、苦情に対応する組織を設けているのも特異なのである。世界的に類を見ない組織なのだ。だから、どんなに厳しい判断を下そうが、自民党や視聴者から「甘い」と言われてしまいがちだ』、欧米流の「独立放送規制機関は、テレビ局が視聴者を裏切る嘘をついたり、下品な放送を行ったりすると、厳格に対処する。免許取り消しや停波の権限も持つ。罰金を科すこともある」、というのはいい仕組みだ。放送法改正で抜本的に見直すべきだろう。
・『「公平」な番組なんてない  一方、各国の政治的公平への取り組みには少し温度差があり、フランスのCSAこそ政党ごとの扱い時間などを調べているが、アメリカなど大半の国は自由だ。政治的公平など問われない。そもそもテレビ界の政治的公平は絵に描いた餅だろう。言葉の意味を考えただけで、政治的公平が至難であることが分かる。 【公平】自分の好みや情実で特別扱いする事が無く、すべて同じように扱うこと(「新明解国語辞典」三省堂) そんな番組、あるのだろうか? 自民党、あるいは野党の悪口ばかり言うコメンテーターもいる。出来もしないことが法律で定められていて、国連側から撤廃を求められているというのが現状だろう。 そもそも、新聞や雑誌には政治的公平を定めた法律などない。後発のネットも同じ。テレビ界は法律がないと、大きく逸脱してしまうのか? それでは情けないだろう。 ケイ氏の主張の核心もここにあるはずだ。メディアは自分たちで「正しい報道」を判断すべきであり、法律で縛られたり、政府から監視されたりするものではない』、説得力溢れた主張で、諸手を上げて賛成したい。
タグ:yahooニュース 志葉玲 現代ビジネス 安倍政権 litera マスコミへのコントロール (その11)(テレビ朝日が2000万円報告書問題で麻生財相を追及した「報ステ出身の経済部長」を報道局から追放! 露骨すぎる安倍政権忖度人事、「都合の悪い者」陥れる官邸のフェイクー『新聞記者』のリアル 望月記者らに聞く、アメリカの法学者が 日本の「表現の自由」侵害を本気で心配している 「政治的公平」ってなんだろう) 「テレビ朝日が2000万円報告書問題で麻生財相を追及した「報ステ出身の経済部長」を報道局から追放! 露骨すぎる安倍政権忖度人事」 経済部部長・Mさんに、7月1日付人事異動の内示が下ったんですが、これが前例のない左遷人事 “『報道ステーション』の硬派路線を支える女性チーフプロデューサー”として有名だった女性 財務省や麻生太郎大臣の会見は、経済部が中心なので、不正や政策の問題点を追及する質問なんてほとんどやらないんですが、Mさんが部長になった頃から、テレ朝は複数の記者を投入して、踏み込んだ質問をするようになった 金融庁の“2000万円報告書”問題でも、麻生財務相の会見でこの問題をはじめて追及したのは、テレビ朝日経済部 M部長の異動の裏に、テレ朝上層部の安倍政権忖度があった 財務省事務次官のセクハラ問題で官邸が拡散したM経済部長攻撃 官邸幹部が吹き込んだフェイク情報 テレ朝は3年前にも政権批判した元政治部長を営業職へ 「「都合の悪い者」陥れる官邸のフェイクー『新聞記者』のリアル、望月記者らに聞く」 『新聞記者』(監督:藤井道人) 東京新聞の望月衣塑子記者の著作『新聞記者』(角川新書) 望月記者や、前川喜平・前文科事務次官、新聞労連の南彰委員長らも本人役で出演 政権によるフェイク攻撃 官房長官会見での望月記者に対する質問制限に対し、今年2月、新聞労連は抗議声明 オフレコで政府関係者の本音を聞かされることで、事情通になったつもりになってしまうのですが、オフレコ取材の危うさを記者側も問い直す必要があるのかもしれません 政権の存続こそが重要―暗躍する官僚達 『官邸ポリス』(講談社) 嘘を押し通すためのレッテル貼り 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設 偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。出典:新聞労連声明 事実に反していたのは、官邸側の主張であり、その嘘をつき通すべく、望月記者に対し「事実誤認」とレッテル貼りし、「度重なる問題行為」だと印象操作したのだ 異常なことを異常であると認識すべき 高堀 冬彦 「アメリカの法学者が、日本の「表現の自由」侵害を本気で心配している 「政治的公平」ってなんだろう」 法に縛られたメディア 放送法4条 米国の法学者で、「表現の自由」の専門家である国連のデイヴィッド・ケイ特別報告者から4条の廃止を勧告されているた この4条が、政府が放送局に停波(電波の送信を停止すること)を命じられる根拠になっている 独裁国家か後進国か 「現状維持のほうがいい」 各局とも放送改正に反対 4条が廃止されれば、テレビ界に規制緩和の波が押し寄せる公算が大きい。廃止と軌を一にして国から受けてきた庇護をいっぺんに失う恐れがある 電波の利用料を競争入札化する電波オークション制度の導入 テレビ界は「最後の護送船団方式」 メディアの質は下がるのか 独立放送規制機関は、テレビ局が視聴者を裏切る嘘をついたり、下品な放送を行ったりすると、厳格に対処する。免許取り消しや停波の権限も持つ。罰金を科すこともある 「公平」な番組なんてない
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不動産(その4)(不動産バブル崩壊?首都圏マンション契約率50%割れの衝撃、何かの予兆? 首都圏の新築マンションが、パッタリ売れなくなった、厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由 高層階ほど現れる現象とは?、神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋 行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった) [経済]

不動産については、昨年10月20日に取上げた。今日は、(その4)(不動産バブル崩壊?首都圏マンション契約率50%割れの衝撃、何かの予兆? 首都圏の新築マンションが、パッタリ売れなくなった、厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由 高層階ほど現れる現象とは?、神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋 行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった)である。

先ずは、3月2日付け日刊ゲンダイ「不動産バブル崩壊?首都圏マンション契約率50%割れの衝撃」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/248546
・『「初月契約率は49.4%と1991年8月(49.7%)以来の50%割れに」――不動産経済研究所が1月に発表した昨年12月の首都圏マンションの市場動向。バブル崩壊以来、27年ぶりの低さに、業界関係者は一様に衝撃を受けたという。 マンション市場の好不調の目安は70%とされ、それを大幅に下回る数字だった。 楽観的な意見では、不動産バブルは2020年の東京五輪までは続くとされてきたが、かなり怪しくなってきたのかもしれない。 「先日、今年1月の市場動向が発表され、契約率は67.5%と持ち直しました。12月の数字が悪かったのは、大手不動産会社による大量供給が原因かと思います」(不動産コンサルタントの長嶋修氏=さくら事務所会長) 具体的には住友不動産が大量の物件を売りに出した結果だが、それを単純に安心できない数字もある。 毎年、12月はこれまでも新築マンションが大量に販売されてきた。17年12月は6480戸、16年12月も7007戸と、月平均約3000戸からポンとはね上がっている。しかし、契約率は17年は72.5%、16年が76.6%とともに70%を上回っていたのだ』、本年5月の「首都圏マンションの市場動向」でも、契約率は60.0%と低迷している。
・『さらに、中古マンション価格にも陰りが見えてきた。東京カンテイによると、これまで全体を押し上げてきた都心6区の1月の価格(70平方メートル換算)が、0.5%減の7565万円と小幅ながら4カ月ぶりに下落してしまった。 むしろ、不動産バブルの終焉は世界的な傾向なのかもしれない。アメリカの住宅ローン金利(30年固定)は現在約4.5%ほどで、ピークから少し下がったとはいえ、ローンをしてまで家を買う人は減った。 イギリスはブレグジット(EU離脱)の影響で海外企業が逃げ出しているし、カナダや豪州は中国人の不動産投資に規制をかけ始めている。そもそも多くの国で移民受け入れを制限しているため、不動産需要は減ってきているのだ。 それなのに、国内では五輪が終わると、選手村を改築し、5000戸以上のマンションが大量に供給される。 「今の株価から類推すると、不動産は頭打ちで、都心3区でも10%くらい下がる可能性があります。ただ、晴海のマンションが売りに出された後、価格が下落するかは分かりません。その時の経済環境によると思われます」(長嶋修氏) あのバブル崩壊の悲しみは二度と味わいたくないが……』、都心6区の価格(70平方メートル換算)は、2月+0.3%、3月+0.3%、4月+1.1%、5月-02%と一進一退気味だ。

次に、7月17日付け現代ビジネス「何かの予兆? 首都圏の新築マンションが、パッタリ売れなくなった」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65902
・『土地価格は少なくとも東京五輪まで上がる――。そう信じて都心にマンションを買った人たちが、いま痛い目を見ている。開発されつくした首都圏に建つ、大量の売れ残りマンションはどうなるのか。 どう考えても作りすぎ  「うちも含めて、大手デベロッパーはみんな焦ってますよ。都心の新築マンションがまったく売れないんです。マンションは第1期の売り出しで、最低でも半分が即日で成約しなければ全室売り切れないと言われています。 アベノミクスがはじまったころは即日完売が当たり前だったのに、今は1期あたりの売り出し戸数を5分の1にして、『第1期即日完売』と無理やりアピールしています。売れている雰囲気を作るのに必死ですよ」(大手デベロッパー社員) 不動産価格は伸び続ける。居住用でも投資用でも、今買っておいて損はない。こんな商売文句で客を口説いていたデベロッパーが、揃って頭を抱えている。 6月17日に不動産経済研究所が発表した「首都圏のマンション市場動向」は、高止まりの続く不動産市場が完全な「曲がり角」にさしかかったことを示した。 東京23区における今年5月の新築マンション発売戸数は781戸で、前年同月と比べて36.3%も減少したのだ(契約率は65.8%で同3.9%減)。 ちなみに、首都圏で4月に発売された新築マンションは1421戸で、4月に1500戸を割り込んだのは27年ぶり。バブル崩壊直後の'92年並みの水準に逆戻りした。 アベノミクスが始まった'13年から、マンションは建てれば即日完売という状況が続いた。ところが今年5月、首都圏で即日完売となった新築マンションはわずか5棟22戸にとどまっている。 マンションが売れなくなった。原因は明確だ。近年の好景気ムードに押されて、あまりにもマンションを建てすぎてしまったのだ。 「特に顕著なのがタワーマンションです。超高層なら猫も杓子も売れていた時期がありましたが、今は竣工から5年が経過しても売れ残るケースが増えています。 たとえばゴールドクレストが建てた『勝どきビュータワー』は、2010年竣工にもかかわらず未入居物件の広告がいまだに出ています」(不動産ジャーナリストの山下和之氏) '19年5月時点での首都圏マンション完成在庫は3539戸にのぼる。アベノミクスが始まった'13年は1000戸台だったことを考えると、「作りすぎ感」が否めない。 供給過剰になれば、新築・中古問わずマンション在庫がダブつくのは当然だ。価格の頭打ちを迎え、割高でマンションを手にしてしまった住民たちは強く後悔している』、「今は1期あたりの売り出し戸数を5分の1にして、『第1期即日完売』と無理やりアピールしています」、というのは見栄張りに過ぎない。「5月時点での首都圏マンション完成在庫」が13年の3.5倍とは、これだけの「作りすぎ感」を出すほど、バブル色が強いようだ。懲りない業界だ。
・『中古も買い手がつかない  4年前に湾岸エリアで新築2LDKのタワーマンションを購入した30代男性はこう言う。 「2年間住んだあと、購入価格に300万円上乗せして売り出したのですが、半年経っても売れる気配がない。そこから400万円下げ、原価割れで売り出したのですが、若干問い合わせが増える程度。さらに200万円値下げした今になってようやく買い手がつくかな、という状況です」 市場が飽和するほどマンションを建て続けた理由は、少なくとも東京五輪が行われる2020年まで、首都圏の土地価格がずっと上がり続けると信じられてきたからだ。だが実際のところ不動産市場では、ジワジワと悲観的な予測が増えはじめている。 このことを裏付けるのが、6月10日に全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が発表した「不動産市況DI(指数)」だ。 この指数は、3ヵ月前と現在の不動産価格の推移や取引実績を比較調査し、「現在」そしてさらに「3ヵ月後」の土地価格が上昇傾向、または下降傾向にあるのかを数値化したものである。 今年4月に行われた調査では、全国で5.4ポイントと前回('19年1月)比0.8ポイントの上昇がみられたが、関東に限ればマイナス3.1ポイントと、前回比2.6ポイントの下落を示したのだ。ちなみに関東は2調査連続のマイナスである。 それだけではない。「3ヵ月後」の見通しは全国ベースでマイナス6.2ポイント、関東ではマイナス12.8ポイントと、大幅なマイナス予測が出ているのだ』、やはりブームは過ぎ去っているのだろう。
・『投資家は「終わり」を見越している  この数字をどう読み解けばいいのか。前出・山下氏は言う。 「全宅連の調査対象は50坪程度の個人間売買物件で、商業地や大規模な宅地は含みません。ただ、この指数がマイナスであるということは、すでに地価が頭打ちとなり、下落に向かうと感じている人が増えてきていると言えます」 買った物件に住んで自分で使う、いわゆる「実需」ベースの購買層だけでなく、マンションバブルを牽引してきた投資家層も、不動産バブルの終わりを予期して動き出している。 住宅ジャーナリストの榊淳司氏が言う。「一時期人気を集めた晴海などの湾岸エリアや武蔵小杉で異変が起きています。地価上昇を下支えしていた中国人購買層がマンションを売りに回しはじめたのです。市況に敏感な彼らが引き揚げたということは、想定以上に値崩れのスピードが早い物件が出てくるかもしれません」 オフィスビル仲介大手の三鬼商事の調査によると、今年5月の都心5区のオフィス空室率は1.64%と、'02年1月以来最低を更新し続けている。 またインバウンド需要を見込み、都内では年間1万室近いホテルが新しく建てられ、山手線の狭いエリアで陣取り合戦が繰り広げられている。いわゆる商業用地の土地価格が伸びるウラで、住宅地の値段は下がり始めているのだ』、「中国人購買層がマンションを売りに回しはじめた」、というのも不吉な兆候だ。
・『日本最後のバブルが終わる  飽和から崩壊へと向かい始める不動産市場だが、「とはいえ五輪までは大丈夫」と楽観視する向きもある。だが、「それまで持たない」と構えていたほうがいい。 「五輪前により一段、価格が下がる契機があるとすれば、やはり10月の消費増税でしょう。本当は新築が欲しいけれど、さすがに予算オーバーだと考えている購入層は、同価格帯の新築・中古物件を回遊魚のように巡って検討を重ねています。 それが10月、個人所有の中古物件には消費税がかからない事実を目の当たりにして、新築の夢を捨て、みんながお得な中古を選ぶという市況が十分に想定できます。新築物件の売れ行きがさらに悪くなれば、不動産市場全体の値下がり傾向も強まるでしょう」(マンショントレンド評論家の日下部理絵氏) かねてから囁かれていた不動産バブルの崩壊が訪れたとき、どのようなエリアが大きく値を崩すことになるのか。「マンションレビュー」を運営する川島直也氏はこう語る。「新築物件でいえば、これまで人気だった世田谷区や大田区がすでに苦戦を強いられています。両区は『竣工残』、つまり完成後も売れ残っている物件の在庫が溜まってきています。また、ほかの人気エリアでも、駅遠物件が避けられる傾向は引き続き変わらないでしょう」 前出・日下部氏は、都心へのアクセスがよい人気エリアにも思わぬリスクがあると考える。「近年『穴場』と言われ、急激な地価上昇が続いているエリアが、逆に大きな痛手を負う可能性が高いです。都心へのアクセスが良好で割安な北千住、浦和、松戸などでは今後も大規模マンションの建築が予定されていますが、本来の土地評価以上に値上がりしている感が否めず、危険な買い物になるかもしれません」 これまで「お買い得」とされていたエリアのマンションも、首都圏の土地価格が下がれば一気に「不良債権」へと変化するのだから恐ろしい。 そのような状況下でも、価格が「下がらない」地域はあるのだろうか。 前出・榊氏はこう語る。「マイナス材料が多いなか、期待値が高いのが、五反田~泉岳寺周辺です。高輪ゲートウェイ駅新設に伴う再開発が進み、周囲には白金や御殿山など高級住宅街もある地域。『湾岸付近最後のフロンティア』と言えるでしょう」 首都圏はもはや開発の余地がない。数年にわたって続いた地価上昇は日本史上最後のバブルになるかもしれない。そして最後のバブルが今、崩壊しはじめたのだ、「最後のバブルが今、崩壊しはじめた」というのはその通りだろう。

第三に、住宅ジャーナリストの榊 淳司氏が6月24日付け現代ビジネスに寄稿した「厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由 高層階ほど現れる現象とは?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65372
・『身体への影響は?  我々の祖先は800万年ほど前に樹から地面に降りて、2本足での生活を始めたとされる。その後、ゴリラやチンパンジーとの分岐を経て200万年前にホモ属が現れ、今のホモ・サピエンスとなったのは40万年前から25万年前である。 その間、一度も樹上での生活には戻っていない。また、樹の上と地上を行ったり来たりという暮らしであったとも想定されていない。我々はもう何百万年も地上で暮らしてきた。 ところが現在、日本人の一部は日常的に1日に何度も200mの高度差を行き来する生活を行っている(たとえば日本のマンションはだいたい、1階あたり3mで換算できるので、タワーマンションの60階前後に住んでいると、上下の移動距離が片道約200mに達する)。 気圧は100m上ることで10hPa(ヘクトパスカル)下がる。気温も0.65度下がるとされている。200mなら、その倍になる。こういった急激な環境の変化を1日に何度も繰り返すことは、人体への悪影響につながらないのだろうか。 確かに超高層のオフィスビルを仕事場にしている人は多い。青年期や壮年期の男女なら悪影響は出にくいのかもしれない。ただし、時々体調を崩して低層ビルの職場へと転職する人もいるといわれる中、はたして小さな子どもや高齢者にとって、タワーマンションの上層階に住むことによる健康への悪影響は皆無だと言い切れるのだろうか。 私は主にマンションを中心とした住宅分野を専門とするジャーナリズム活動を行っている。仕事柄、様々なマンションに住む人と話す機会がある。気になるのは、現実的に「タワマンが身体に合わない」と考えて、転居していくケースが少なからずある、ということだ。 特に、タワマンの上層階は常に微動している状態にある。湯船にお水を張ってみるとわかるはずだ。地震でもないのに水面にさざ波が生じていることに気づくだろう。 翻って免震構造になっているタワマンは、柔構造といって自らが揺れることでエネルギーを逃がすしくみになっている。地震に限らず、台風で強風が吹きつけた場合でも同じ原理で揺れを逃がす。タワマンの上層階は天気のいい日でも強い風が吹いていることが多い。特にそういう時には体に感じるほどの微動が起こっている。 人には三半規管というものがある。耳の奥にあって平衡感覚を司るのが役目だ。この機能には個人差がある。 乗り物酔いをしやすい人とほとんど平気な人がいるが、それは三半規管の機能差だと考えられている。乗り物酔いをしやすい人がタワマンの上層階に住むと、いつも酔ったような状態になっているのではないか。あるいはそれが体調不良につながるのかもしれない。 私は最近、『限界のタワーマンション』(集英社新書)を上梓した。世間から憧れをもって見られているタワマンという住形態が含有している、様々なリスクを炙り出す内容となっている。 同書を執筆するにあたって、様々な人々の取材協力を得た。そこにはヨーロッパで行った調査も含まれている。一連の過程では、東京の湾岸にあるタワマンの多いエリアで長年小児科医を開業なさっている医師から話をうかがう機会があった。 その先生に「タワマンに住む子どもがかかりやすい疾患というのはありますか?」と聞いてみた。彼は自身のクリニックのカルテなどを調べてくれた結果、「有意のデータはないけれど、耳関連が多い印象ですね。ただ、耳の場合は耳鼻科に行かれるのでウチのデータでははっきりしません」という回答だった』、風の影響で「体に感じるほどの微動が起こっている」というのは薄気味悪い話だ。タワマンに入ろうという人の気が知れない。節税効果を狙っているのかも知れないが、健康あっての物種だろう。
・『欧州では「ありえない」  いっぽう、日本に住むイギリス人への取材や、ヨーロッパでのアンケート調査でわかった衝撃的な事実がある。それは、ヨーロッパ人にとってタワマンでの子育ては「ありえない」レベルで否定的だということだ。調べてみると、1970年代にはそういうコンセンサスができ上がったようだ。今でも国によっては法律で制限をしている。 私と編集者は、その根拠になった論文はないかとデータベースを探し回ったが、見つからなかった。ただ、医学的根拠というよりも彼らの感覚に基づくところが大きいように思える。ヨーロッパ的な感覚では、超高層建築は必要悪的な存在であって、それは決して喜んで住んだり崇めたりするようなものではない、ということらしい。 どこの国でも中世の街並みが残る旧市街と、やむを得ずに超高層建築を建てるビジネスゾーンは明解に分離されている。それが彼らの感覚なのだろう。日本でも京都や鎌倉といった街では、行政がタワマンの建築を明解に規制している。そのあたりはヨーロッパ的な感覚に近いのだろう。やや救いを感じる。 造形的な美醜の感覚はさておき、より深刻なのは健康面である。 もしタワマンに住むことによって健康被害が生じるような何かがあるのなら、我々はあらかじめそれを知っておかねばならないはずだ。 1990年代の終わりに、東海大学元講師の逢坂文夫氏が行った調査が語り継がれている。ここでは詳しく触れないが「高層階に住むほど妊婦の流産率が高くなる」という有意のデータが得られている。 私の知る限り、これ以後は高層階居住と人体の健康を関連される研究は行われていない。ちなみに、この逢坂氏の調査は当時の厚生省の委託で行われた。しかし、この研究結果を発表して以後、研究費が出てこなくなったという。 拙著『限界のタワーマンション』では、タワマン高層階に住む小学生は成績が伸びにくい、あるいは近視になりやすい、といった専門家の主張も紹介している。それぞれに説得力のある意見であり、エビデンスも存在する。 私は、タワマンというものが人体に対してまったく無害であるとはどうしても思えない。かつて建材に使用されていたアスベストは、長らく安全だと信じられてきたことで多くの人々に健康被害をもたらした。国民の健康を守る立場にある厚生労働省は、いち早く「タワマンと人体の健康」について本格的な調査を始めるべきだと考える。 タワマンが本格的に住宅市場に登場してから、まだ20年程度に過ぎない。もし、何らかの危険性が隠されているとすれば、今後20年でそれが噴出してもおかしくない。一刻も早い調査の着手が望まれる』、「高層階に住むほど妊婦の流産率が高くなる」、との厚労省の委託調査が1年で打ち切られたのは、関連業界の圧力があったためだろう。数年前にロンドン郊外のタワマンが火事になり大勢の死者が出たことがあったが、これは公営住宅だった。ロンドンでは公営住宅のタワマンはこの他にもあるようだ。「一刻も早い調査の着手が望まれる」との主張には大賛成だが、関連業界の激しい抵抗を乗り越えられるかは疑問だ。

第四に、7月11日付け東洋経済オンライン「神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋 行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/291447
・『神戸市随一の繁華街である三宮(さんのみや)。一帯にはオフィスやマンションが林立し、兵庫県庁や神戸市役所などの行政機関も立ち並ぶ。JR三ノ宮駅を中心に阪急・阪神電鉄、地下鉄駅などを含めると、1日に数十万人が利用する一大ターミナルを形成している。 ところが、そのにぎわいに冷や水を浴びせかねない事態が起きている』、「タワマン禁止令」の背景を知りたいものだ。
・『神戸市の誤算  7月1日、神戸市議会で「タワマン禁止令」とも呼べる条例が可決された。 条例が施行される来年7月からは、JR三ノ宮駅周辺ではマンションや老人ホームなどがいっさい建設できなくなる(下の地図の赤囲み部分)。規制はその周辺地域(緑囲みの部分)にも及び、住宅部分の容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が最大でも400%までに制限される。 敷地面積は1000平方メートル以上が対象で、建物の形状にもよるが、おおむね8~10階程度の中規模マンションが限界で、タワーマンション(タワマン)は到底建てられない。 この条例に対しては、「都心回帰の流れに逆行するものだ」とエリア内でマンション開発実績のあるデベロッパーからは困惑の声が上がる。それでも今回、神戸市がこうした強硬策に乗り出した背景には、従来の市の政策における「誤算」があった。 もともと三宮は容積率が緩和されており、現在の容積率は最大で900%にも達する。緩和の狙いは、「企業や店舗の誘致を促すこと」(神戸市)だった。だが市の意向とは裏腹に、近年の都心回帰や職住近接の動きを受け、利便性の高い三宮にタワーマンションが続々と建設されていった。東洋経済が調べたところ、今回の規制対象区域内には20階建て以上のタワーマンションが、建設中を含め少なくとも24棟存在する。 1棟に数百世帯がひしめくタワマンは、それだけで人口の押し上げ要因となる。税収アップにも寄与するため、自治体にとっては決して悪い話ではない。それでも神戸市がタワマンを問題視するのは、市内の人口バランスに歪みが生じているからだ。 三宮が含まれる神戸市中央区の人口は、この20年間で3割近くも増加。他方で、神戸市全体の人口は2012年から減少に転じている。久元喜造神戸市長は、「中央区に対する人口の一極集中を抑止し、神戸市全体にバランスのとれた人口配置ができるようなまちづくりが必要だ」と市議会で答弁している。市によれば、急激な人口増加によって、同区では小学校などの教育施設が逼迫しているという。 そうして神戸市は昨年9月に「タワーマンションのあり方に関する研究会」を設立。そこで議題に上がったのが、タワマンの管理状況への懸念だった。2015年に市がタワマン居住者向けに行った調査では、8割以上の住民がマンション内での付き合いが「ほとんどない」もしくは「あまりない」と回答した』、「タワマン禁止令」を遅ればせながらも制定したのは、当然だろう。
・『タワマン「スラム化」の懸念  さらにマンションごとの修繕積立金が国土交通省の示す基準よりも不足していることを挙げ、管理組合の機能不全によってマンションの維持管理が滞れば、「スラム化の恐れもある」とまで言い切った。管理が行き届かないマンションへの懸念も、タワマン規制の流れを後押しした。 今回の条例は、タワマンを中心とした大型マンションを狙い撃ちした形だ。条例の対象となるマンションを敷地面積1000平方メートルとしたのは、「1000平方メートルを超えると(マンションが大型化し)戸数が急増する」(神戸市建築安全課)という判断からだ。 マンションの容積率の上限が400%に設定されたことも、階段や廊下といったマンションの共用部は容積率に参入されず、「同じ容積率でもマンションのほうが高くなってしまう」(同)ためだ。ただし、既存のマンションへの配慮から、建て替えに伴う建設のみ1回限り認めるよう条例案が修正された。 さらに、市全体での人口バランスの平準化から、神戸市の外れに位置し開発が進んでいなかった垂水区については、逆に容積率を緩和する措置も盛り込んだ。 こうしてタワマン排除に動き出した神戸市。だが、条例が施行されても、新規のマンション開発が一掃されるわけではなさそうだ。 中心市街地でのタワーマンション建設を封じる条例は、横浜市が先駆けて2006年に制定している。横浜駅および関内駅周辺でのマンション建設を禁止し、それより外側の一定地域では住宅部分の容積率の上限を300%に設定。神戸市よりさらに厳しい。 それでも、2015年には東急不動産が「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」を開発した。14階建てだが、低層部をホテルにすることで住宅部分の容積率を抑えた形だ。 神戸市においても、規制のかからない敷地面積が1000平方メートル未満のマンションを中心に、積極的な開発は続くと見られる。むしろ業界からは、「タワマンが今後建てられないとなれば、既存物件の希少価値が上がるだろう」という声もある』、「マンションごとの修繕積立金が国土交通省の示す基準よりも不足」しているので、「タワマン「スラム化」の懸念」とは驚かされた。とんでもないことだ。
・『企業誘致にも高い壁  条例のもう1つの目的である、オフィスや商業施設の集積促進はどうか。神戸市の条例では、400%という容積率の制限がかかるのは住宅部分のみ。例えばもともとの容積率が600%の土地であれば、低層階に商業施設を入れたり、一部フロアをホテルに転用したりすれば、残りの容積率200%をうまく使い切ることができる。 横浜市の条例制定時、市担当者は市議会での質問に対し「全部が住宅になるよりは、低層階に店舗や事務所が入ることで、街並みとしての賑わいあるいは景観等が維持される」と答弁している。マンションとオフィス・商業の複合施設を認めた背景には、路面店を増やして人の流れを作る思惑があり、神戸市も同様と見られる。だが、「複合施設は立地が限られる」(関西地盤のデベロッパー)ため、市のもくろみどおりに、にぎわいがもたらされるかは微妙だ。 企業誘致にしても、一筋縄ではいかない。総務省の「経済センサス」によれば、2016年6月時点で神戸市中央区に所在する事業所数は2万1258と、6年前に比べて1241減少した。大阪まで30分という近からず遠からずという立地が災いし、「大阪とは別個に支店を構えるほどのオフィス適地とは言いがたい」(大手デベロッパー幹部)。 今年5月には「丸亀製麺」などの外食チェーンを展開するトリドールホールディングスが、「グループの中枢拠点としての機能およびグループ全体を牽引する役割の強化を図る」ため、本社を神戸から東京・渋谷に移転すると発表した。神戸市もオフィス賃料の補助など支援策を打ち出してはいるが、東京の磁力に打ち勝つのは並大抵ではない。 タワマンを排した街はどんな表情を見せるのか、壮大な社会実験が始まった』、神戸市にとってオフィスの呼び込みは容易ではないだろうが、「タワマン禁止」の必要性だけは確かなようだ。
タグ:不動産 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 現代ビジネス 榊 淳司 (その4)(不動産バブル崩壊?首都圏マンション契約率50%割れの衝撃、何かの予兆? 首都圏の新築マンションが、パッタリ売れなくなった、厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由 高層階ほど現れる現象とは?、神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋 行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった) 「不動産バブル崩壊?首都圏マンション契約率50%割れの衝撃」 「何かの予兆? 首都圏の新築マンションが、パッタリ売れなくなった」 今は1期あたりの売り出し戸数を5分の1にして、『第1期即日完売』と無理やりアピールしています 中古も買い手がつかない 投資家は「終わり」を見越している 日本最後のバブルが終わる 最後のバブルが今、崩壊しはじめた 「厚生労働省はただちにタワマンの健康被害を調査すべきと考える理由 高層階ほど現れる現象とは?」 身体への影響は? 小さな子どもや高齢者にとって、タワーマンションの上層階に住むことによる健康への悪影響は皆無だと言い切れるのだろうか 「タワマンが身体に合わない」と考えて、転居していくケースが少なからずある タワマンの上層階は常に微動している状態にある 天気のいい日でも強い風が吹いていることが多い。特にそういう時には体に感じるほどの微動が起こっている いつも酔ったような状態に 体調不良につながるのかもしれない 『限界のタワーマンション』(集英社新書) 欧州では「ありえない」 ヨーロッパ人にとってタワマンでの子育ては「ありえない」レベルで否定的 ヨーロッパ的な感覚では、超高層建築は必要悪的な存在であって、それは決して喜んで住んだり崇めたりするようなものではない 「高層階に住むほど妊婦の流産率が高くなる」という有意のデータが得られている 調査は当時の厚生省の委託で行われた。しかし、この研究結果を発表して以後、研究費が出てこなくなったという 厚生労働省は、いち早く「タワマンと人体の健康」について本格的な調査を始めるべきだと考える 「神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋 行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった」 「タワマン禁止令」 R三ノ宮駅周辺ではマンションや老人ホームなどがいっさい建設できなくなる 敷地面積は1000平方メートル以上が対象 市内の人口バランスに歪みが生じているから 同区では小学校などの教育施設が逼迫 タワマン「スラム化」の懸念 マンションごとの修繕積立金が国土交通省の示す基準よりも不足 「スラム化の恐れもある」とまで言い切った 中心市街地でのタワーマンション建設を封じる条例は、横浜市が先駆けて2006年に制定 企業誘致にも高い壁
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商社(デサントVS伊藤忠)(デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、なぜデサント社員は伊藤忠に反発したのか "資本の論理"だけならブランドに傷) [企業経営]

今日は、商社(デサントVS伊藤忠)(デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、なぜデサント社員は伊藤忠に反発したのか "資本の論理"だけならブランドに傷)を取上げよう。

先ずは、3月28日付け東洋経済オンライン「デサントを巡る買収劇、「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み、全責任を負う伊藤忠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/273502
・『大企業同士がお互いの対話を欠いたままで自社の言い分を世間に主張しあう、前代未聞の「劇場型TOB(株式公開買い付け)」は、あっけない幕切れを迎えた。 スポーツウェア大手のデサントは3月25日、石本雅敏社長が6月開催予定の株主総会をもって退任し、代わって伊藤忠商事の繊維カンパニーでトップを務めていた小関秀一氏が新社長に就任すると発表した。伊藤忠の岡藤正広会長の最側近として知られる人物だ。一方のデサントでは、石本氏以外も生え抜きの取締役は総退陣する。 デサント出身の取締役として残るのは金勲道氏と小川典利大氏。いずれも中途入社組である。金氏は2000年に韓国デサントに入社し、デサントの韓国事業を大きく成長させた功労者だ。もう一人の小川氏はアディダスジャパン副社長などを経て2016年にデサントに入社した。経営手腕への評価は高く、石本氏退任後の社長候補としても名が挙がった』、まさに「劇場型TOB」だ。
・『鮮明になった“伊藤忠色”  6月からの新体制では現在10人の取締役を6人に減らし、デサント出身2人、伊藤忠出身2人、社外2人とする。人数の印象以上に強まるのが“伊藤忠色”だ。伊藤忠からは小関氏のほか、同社執行役員で監査部長を務めていた土橋晃氏が取締役となる。土橋氏はCFO(最高財務責任者)に就任する予定だ。社外取締役には佐山展生・スカイマーク会長、高岡浩三・ネスレ社長を据えた。いずれも伊藤忠とゆかりのある著名経営者だ。 取締役以外のキーパーソンにも要注目だ。デサントの専務執行役員として伊藤忠から派遣される久保洋三氏である。現在は伊藤忠商事の常務執行役員で食料カンパニープレジデントを務めるが、本籍は繊維部門。伊藤忠が完全子会社化したジーンズ大手のエドウィンで会長を務めた経験もある。食料部門出身の伊藤忠元役員は「彼は岡藤会長に見込まれてエドウィンの再建に当たった。現場を見る目が確かで、繊維出身ながら食料ビジネスでも存在感を発揮してきた」と、久保氏の力量に太鼓判を押す。 実は久保氏は、十数年前には伊藤忠でデサントとの窓口役を務めていた。まだ両社の関係が円満な時期で、デサント社内にも知己は多い。そのため、久保氏は新体制で営業面の統括役になることが確実視されている。エース級の人材を投入して社長に加え営業トップとCFOを押さえたことで、今後は伊藤忠がデサントの経営一切を仕切ることになるだろう。 伊藤忠がデサントへの敵対的TOBに踏み切ったのは今年1月末のことだ。買い付け期限は3月14日までで、デサントの直近株価に約50%ものプレミアムをつけてデサント株の最大40%を買い付けることとした。当時の伊藤忠の出資比率は30.44%で、これが33.4%を超えることで株主総会における特別決議での拒否権を、すなわち事実上の経営支配権を持つことになる。 2月7日にデサントはこのTOBへの反対意見を表明。「劇場型」の構図がいよいよ鮮明になったが、実は両社はその直後から水面下の話し合いを始めた。伊藤忠の代表は小関氏。デサント側は石本氏自身が2月中旬に4回にわたって面談に臨んだ。交渉のポイントは新体制での取締役数で、伊藤忠は「デサントから2人、伊藤忠2人、社外2人」を主張。デサントは「デサント1人、社外4人」を求めた。 伊藤忠の影響力縮小にこだわるデサントに、いったんは伊藤忠が譲歩し、取締役会を「デサントから2人、伊藤忠1人、社外2人」とする案がまとまった。2月27日にデサントが取締役会を開いて和解案を議決し、翌28日に公表する段取りまで決まっていたが、合意の直後に石本氏が翻意。これを受けて伊藤忠は2月22日に交渉打ち切りを決め、その後は「資本の論理」でデサントの現経営陣を排除する方針を貫徹した。 石本氏は早くから自らの退任は覚悟していたようだが、土俵際に追い詰められて、なお絶望的な戦いを挑んだ真意は不明だ。それほどまでに、同氏とデサント社員の伊藤忠への反感が強かったということだろうか。この段階で、伊藤忠からさらに譲歩を引き出せるだけの材料があったとは思えない』、佐山展生氏は投資ファンドのインテグラル株式会社代表取締役でもある。「「デサントから2人、伊藤忠1人、社外2人」とする案を「合意の直後に石本氏が翻意」したほど「伊藤忠への反感が強かった」のだろうか。
・『デサントの未来に責任を負う伊藤忠  TOBの直接的なきっかけは、昨年6月に決算報告のため伊藤忠本社を石本氏が訪れた際、伊藤忠の岡藤会長との話し合いが決裂したことだ。デサントは1984年と1998年に2回、経営危機に陥ったが伊藤忠の支援で再生した経緯がある。1994年以降は社長も伊藤忠から派遣されてきた。だが、デサントによれば、2011年ごろから伊藤忠は自社との取引拡大を強要するようになった。 それに不満を高めたデサント生え抜きによるクーデターによって、2013年に就任したのが創業家の3代目である石本氏だ。石本氏は就任早々に「取引強要」の経緯をまとめた報告書を伊藤忠側に渡して改善を迫った。しかし、伊藤忠側が動かなかったことでデサント側には伊藤忠への根深い不信が生まれた。石本氏たちにとって、今回のTOBを通じて伊藤忠に対する不満を世の中に発信できたことは1つの成果ではあるだろう。 伊藤忠がかつての取引強要問題を自ら検証するかは疑問だが、もう同じことはできない。さらに同社はデサントの未来に対して大きな責任を背負うことになる。伊藤忠は現在のデサントの収益構造が韓国事業に依存していると指摘し、国内の立て直しや中国事業を拡大する必要性を強調してきた。今後は2020年の東京五輪や2022年の北京五輪といったスポーツイベントを控える中でデサントがどのように成長するのかを示す必要がある。 伊藤忠は今回のTOBに200億円を投じ、かつ経営に全面的にコミットする。伊藤忠によるTOBにはデサントの労組やOB会まで反対の意向を表明しており、社員からの信頼獲得が何よりの課題だ。それには伊藤忠のグローバルな調達網や資金力を活かして、デサントを大きく成長させるビジョンを描き出すことが欠かせない。それができなければ、劇場型TOBはシナリオがないまま経営者同士が感情的対立をつのらせた「激情型」でしかなかったことになる。こんなに不毛なことはない』、「取引強要」とはかってならありそうな話だったが、現在では公正取引委員会が独禁法の優越的地位の濫用の監視を強めているので、デサント側の反発の要因は他にあるのではなかろうか。

次に、元銀行員で法政大学大学院 教授の真壁 昭夫氏が4月3日付けPRESIDENT Onlineに寄稿した「なぜデサント社員は伊藤忠に反発したのか "資本の論理"だけならブランドに傷」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/28228  (2頁目以降は会員登録(無料)が必要)
・『50%上乗せのプレミアム価格で株式を買い集め  3月14日、伊藤忠商事がデサントに対して実施した株式の公開買い付け(TOB、Take-Over Bid)が終了した。TOBへの応募は約1512万株に達し、買い付け予定数の上限(721万株)を大きく上回った。わが国の主要企業間で、今回のような“敵対的TOB”が成立したのは実質的には初めてとみてよいだろう。 これまで伊藤忠は、筆頭株主としてデサントに経営の改善を求めてきた。一方、デサントとしては自社の考えを貫きたかった。伊藤忠は協議を重ねても進展は見込めないと判断し、デサントへの敵対的TOBに踏み切った。 TOBが成立した主な理由は2つある。ひとつは、伊藤忠がTOB価格に50%ものプレミアム(上乗せの価格)をつけたことだ。そしてもうひとつは、伊藤忠のストラテジー(戦略)は、株主にとってそれなりの説得力があったことである。株式買い取り価格と、企業戦略経済の観点から海外投資家を中心にTOBに応募した株主は多かった。 ただこの結果が伊藤忠にとって成功かどうかは、まだわからない。敵対的TOBでは、企業の内部にさまざまな違和感を残すおそれがある。デサントでは、経営陣をはじめ組織が大きく入れ替わる。この状況で伊藤忠が取り組むべきことは、従業員の不安を解消して組織をひとつにまとめることだ。組織の構成員すべてがベクトルを合わせ、その上で経営陣が持続性あるビジネスモデルを構築することが、TOB後には重要となる』、その通りだろう。
・『伊藤忠は「中国事業の拡大」に自信を持っていた  伊藤忠がデサントに敵対的TOBを仕掛けた背景には、両社の戦略の違いがある。 伊藤忠は、デサントの中国ビジネスへの取り組みを加速させ、グローバルブランドを育成したい。具体的には、伊藤忠はデサントに対して、中国において早期に1000店を出す成長戦略に取り組むべきと求めてきた。伊藤忠は中国事業に自信を持っている。加えて、アパレル事業は伊藤忠の岡藤正広会長が強くコミットしてきたビジネスセグメントでもある。 中国は所得水準の上昇とともに世界有数の消費市場として存在感を発揮している。今後の経済動向への不安はあるものの、伊藤忠は中国市場においてデサントのシェアを高めたかった。この考えに基づき、伊藤忠は自社のアドバイスを聞き入れることを強く求めてきた。 一方、デサントは30%を保有する筆頭株主である伊藤忠との資本関係を維持しつつ、独自の戦略に取り組みたかった』、「中国ビジネスへの取り組み」で温度差があったというのは理解できる。「伊藤忠は中国事業に自信を持っている」のは、伊藤忠が中国最大のコングロマリットCITICグループと戦略的業務・資本提携関係にあることが背景にあるのだろう。
・『「水沢ダウン」のヒットで、デサント側にも自信があった  デサントは、国内を中心に高付加価値のブランドを自前で育てることにコミットしてきた。企業が競争力のあるブランドを育成するには、それなりの時間がかかる。その上で同社は、海外での成長戦略に取り組むことを目指してきた。 創業家出身の石本雅敏社長は、「水沢ダウン」のヒットなどを受けて、自らの考えに相応の自信があったはずだ。また、デサントは中国市場の開拓にも取り組んできた。その背景には、売り上げの50%を占める韓国事業への依存度を低下させ、収益源を分散させる狙いがあった。 石本氏には、短期間での中国事業へのコミットメントを求める伊藤忠の考えはリスクが高いと映ったはずだ。中国経済の先行きは不透明だ。加えて、短期間でグローバルブランドを目指せば、従来の製品よりも品質が低下するなどしてブランド価値が損なわれるとの危惧もあっただろう』、「石本氏には、短期間での中国事業へのコミットメントを求める伊藤忠の考えはリスクが高いと映ったはずだ」、と慎重姿勢をとったのは分からないでもないが、「50%を占める韓国事業への依存度を低下させ」ることも急務だった筈だ。さらに、後付けではあるが、最近の日韓関係悪化で日本製品不買運動が起きたら、ひとたまりもないだろう。
・『ついに「資本の論理」が「日本の企業風土」に勝った  両社は協議を重ねてきたが、折り合いはつかず、話がこじれてしまった。そのため、伊藤忠は敵対的TOBに踏み切った。これは「資本の論理」が「わが国の企業風土」に勝ったことを意味する。わが国における企業経営の常識が大きく変わりつつあると考える。 長年、わが国の企業は、融和を重視した経営を行ってきた。企業は波風を立てることを避けてきたともいえる。 企業の経営者と株主の利害が対立した場合、話し合いによる利害の調整が優先されることが多かった。背景には、多様な利害関係者(株主、地域社会、顧客など)の納得感や安心感が得られていない状況の中で経営の主導権を確保できたとしても、企業が多様なステークホルダーと長期の良好な関係を築くことは難しいとの考えがあった。 一方、伊藤忠は経済合理性(期待収益率の高いマーケットに進出し、シェアを押さえること)に強くこだわった。世界経済の中で相対的に高い成長率を維持し、人口が多い中国にビジネスチャンスがあることへの異論は少ないだろう。この考えの是非を問うべく、伊藤忠はデサントへの敵対的TOBに踏み切った』、「ついに「資本の論理」が「日本の企業風土」に勝った」、というのは確かに画期的だ。
・『海外投資家は「50%」という株価プレミアムを評価  ここで重要のはTOB価格の水準だ。伊藤忠はTOBの価格を2800円に設定した。これは、1月30日のデサント終値に対して50%も高い。50%という株価プレミアム(基準日の株価に対する上乗せ価格)は、わが国の株式市場の70%超の売買を占める海外投資家を中心に、多くの株主の賛同を得た。伊藤忠の主張は、株主に対して、デサントの戦略を上回る成長への期待を与えた。 その結果、伊藤忠は敵対的TOBを成立させた。これは、「わが国の企業風土」よりも、価格や経済合理性に基づく「資本の論理」に軍配が上がったことに他ならない。 現時点で、伊藤忠の拡張主義的な戦略の正否はわからない。中国経済の動向など、新生デサントの将来に影響を与える要因は多い。伊藤忠が取り組むべきことは組織全体を落ち着かせ、ひとつにまとめることだ』、TOB時の「株価プレミアム」は、通常30%程度とされているので、確かに高目だ。
・『なぜ1000人超のデサント従業員が反対したのか  企業が実力を発揮するには、組織構成員の視点がひとつの方向に集中していなければならない。「ヘッドカウント×集中力」が企業の実力だ。その上で、伊藤忠は長期的に付加価値を創出できるビジネスモデルを構築しなければならない。これは一朝一夕にできることではない。 TOBは、禍根を残す。なぜなら、TOBは組織を根本から変えてしまうからだ。その不安があったから、1000人を超えるデサントの従業員もTOBに反対した。伊藤忠主導の下でデサントの取締役10人のうち9人が退任する。デサント内では、伊藤忠が経営を主導することへの反発感、組織が変わることへの不安がかなり強くなっているだろう。 TOBが成立し、デサントの組織は不安定化している。その中で伊藤忠は短期間での成果実現にこだわるべきではないだろう。強引に自社の主張を突き通そうとすれば、さらにデサント内部に動揺が広がる。それは、デサントの経営の持続性を低下させる。状況によっては、伊藤忠にもリスクが波及しかねない』、その通りだろう。
・『TOB後の判断を誤ると、組織の統率が取れなくなるおそれ  今回のTOB成立はわが国企業全体にとって大きな意味がある。大手企業が仕掛けた敵対的TOBの成立を受け、わが国企業の経営風土は、融和重視から、資本の論理に基づいたものに変化していくだろう。 今後、筆頭株主と経営陣の議論が行き詰まった場合、国内主要企業間での敵対的TOBが増える可能性がある。ただし、TOBの成立が企業の成長を保証するわけではない。TOB成立後の判断を誤ると、組織の統率が取れなくなるおそれがある。 そのリスクを抑えるために、企業は、組織をまとめ、持続性あるビジネスモデルを確立しなければならない。伊藤忠によるデサントへのTOB成立を契機に、組織力の引き上げを通して、長期の視点で成果の実現にこだわる企業が増えることを期待したい』、「わが国企業の経営風土は、融和重視から、資本の論理に基づいたものに変化していくだろう」、「長期の視点で成果の実現にこだわる企業が増えることを期待したい」、その通りだ。伊藤忠のお手並み拝見といきたい。
タグ:東洋経済オンライン デサント PRESIDENT ONLINE 真壁 昭夫 「デサントを巡る買収劇、「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み、全責任を負う伊藤忠」 鮮明になった“伊藤忠色” 約50%ものプレミアム デサントの未来に責任を負う伊藤忠 デサントは1984年と1998年に2回、経営危機に陥ったが伊藤忠の支援で再生した経緯 伊藤忠によるTOBにはデサントの労組やOB会まで反対の意向を表明 商社(デサントVS伊藤忠)(デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、なぜデサント社員は伊藤忠に反発したのか "資本の論理"だけならブランドに傷) 前代未聞の「劇場型TOB(株式公開買い付け)」は、あっけない幕切れ 石本雅敏社長が6月開催予定の株主総会をもって退任 伊藤忠商事の繊維カンパニーでトップを務めていた小関秀一氏が新社長に就任 デサントでは、石本氏以外も生え抜きの取締役は総退陣 デサント出身の取締役として残るのは金勲道氏と小川典利大氏。いずれも中途入社組である。金氏は2000年に韓国デサントに入社し、デサントの韓国事業を大きく成長させた功労者だ。もう一人の小川氏はアディダスジャパン副社長などを経て2016年にデサントに入社 いったんは伊藤忠が譲歩し、取締役会を「デサントから2人、伊藤忠1人、社外2人」とする案がまとまった 合意の直後に石本氏が翻意。これを受けて伊藤忠は2月22日に交渉打ち切りを決め、その後は「資本の論理」でデサントの現経営陣を排除する方針を貫徹 伊藤忠は自社との取引拡大を強要するように 社員からの信頼獲得が何よりの課題 「なぜデサント社員は伊藤忠に反発したのか "資本の論理"だけならブランドに傷」 敵対的TOBでは、企業の内部にさまざまな違和感を残すおそれがある 伊藤忠が取り組むべきことは、従業員の不安を解消して組織をひとつにまとめること 伊藤忠は「中国事業の拡大」に自信を持っていた 中国において早期に1000店を出す成長戦略に取り組むべきと求めてきた 「水沢ダウン」のヒットで、デサント側にも自信があった 売り上げの50%を占める韓国事業への依存度を低下させ ついに「資本の論理」が「日本の企業風土」に勝った 伊藤忠は経済合理性(期待収益率の高いマーケットに進出し、シェアを押さえること)に強くこだわった 海外投資家は「50%」という株価プレミアムを評価 なぜ1000人超のデサント従業員が反対したのか 伊藤忠は短期間での成果実現にこだわるべきではないだろう TOB後の判断を誤ると、組織の統率が取れなくなるおそれ TOB成立を契機に、組織力の引き上げを通して、長期の視点で成果の実現にこだわる企業が増えることを期待したい
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日韓関係(その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く) [外交]

日韓関係については、4月8日に取上げた。韓国への輸出管理強化策がクローズアップされる今日は、(その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く)である。なお、タイトルから(除く慰安婦)はカット

先ずは、7月11日付け日経ビジネスオンライン「韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00070/070900004/?P=1
・『テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第4回目のテーマは、韓国への輸出管理の強化。細川昌彦・中部大学特任教授は「輸出管理の協議に応じない韓国への優遇をやめ、普通の国に戻しただけ。世界貿易機関(WTO)協定違反にはならない」とし、もっと国際的なアピールが必要だという。 西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコーナーは、BSテレ東で毎週土曜日の朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」で、お伝えしきれなかった内容をお伝えするものです。 今回のお題は「韓国への輸出管理の強化」。 山川龍雄(日経プラス10サタデー・メーンキャスター、以下、山川):今一番、視聴者や読者の皆様の関心が高い話題と言ってよいかもしれません。今日はこのテーマを聞くのにふさわしい人をお招きしました。 西野:中部大学特任教授の細川昌彦さんです。経済産業省で日米交渉などを担当された通商の専門家です。よろしくお願いします。 細川昌彦(中部大学特任教授、以下、細川氏):よろしくお願いします。 山川:細川さんはまさに輸出管理の取り決めに携わっていらっしゃったんですね。 細川氏:課長時代に4年、部長になって責任者として1年、5年もやっていたのは経産省ではたぶん最長だと思います。韓国とも協議をずっとやってきました。 西野:その頃の経験も踏まえて、お話を伺いたいと思います。最初の疑問がこちらです』、細川氏はこの問題を解説するには最適だ。
・『ホワイトで ないとするなら 何色か  輸出管理で優遇されるホワイト国から韓国を除外するというのが大きなニュースになりました。ホワイトでなければ、グレーなのか? ブラックなのか? と思ってしまうのですが、何色なのでしょう? 細川氏:無色ですね。 西野:韓国は無色の扱いになる? 細川氏:はい、普通になるということです。例えば東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、メキシコなどと扱いが同じになる。 山川:改めて、ホワイト国の意味を教えていただけますか? 細川氏:通常、海外に輸出する製品は、(安全保障上、適切に管理されているかどうかを)個別に審査する必要があるわけですが、ホワイト国になると手続きが優遇されます。3年間有効になる許可をもらえば、それ以降は企業に任せられ、(リストに規制された対象品目以外は)許可が不要になります。(リンク先に「日本がホワイト国に指定している27カ国」の地図) 西野:この地図にホワイト国が示されていますが、現在は米国や英国、フランス、韓国など27カ国が対象となっています。このうち韓国については、日本政府は8月末にも除外する意向を示しました。そもそもホワイト国という呼び名は世界中で使われているのですか?』、韓国への優遇がなくなり、「普通になる」措置なのに、これだけ騒がれている理由は、あとで説明があるのだろう。
・『ホワイト国という呼び名は日本だけ  細川氏:言葉は日本だけだと思いますが、類似の制度を各国が持っています。世界的な輸出管理の枠組みというのは何十年も前からあり、日本はそのメンバーです。そこに入れば兵器に使われることのないように輸出管理をする義務が生じるし、きちんとやっていれば、優遇措置を受けるということです。 西野:企業社会では、ホワイト企業とか、ブラック企業といった使い方があります。今回は安全保障上、ホワイトかブラックか? という意味なのでしょうか? 細川氏:単に安全保障上というだけではなく、輸出管理をきちんとやっている国かどうかを見ています。そうでないと、日本からの輸出品が危ない国に行ってしまえば、日本の責任になってしまいますから。 西野:実際にそういう具体的なことが起こっているのですか? 細川氏:韓国については、残念ながら「不適切な事案」という言葉で表現されていますが・・・・・・。 山川:世耕弘成経済産業大臣などが言っていますね。 細川氏:一般的には分かりにくいと思いますが、輸出管理の世界で不適切な事案といえば、相手国がきちんと管理せずに軍事目的に使われているようなことを指します。あるいは、第三国、この場合、北朝鮮やイランなどに横流しされる恐れがあるという意味です。私が知る限り、どうやらここ数年、1件や2件ではなく、常態化していたらしいです。 西野:私、知らなかったんですが、今回、規制の対象となった、レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの3品目は、半導体製造だけでなく、兵器にも使われる可能性があるんですね』、輸出管理では、やや性格は異なるが、1987年に東芝機械ココム違反事件の際には、日米間で大きな政治問題になった。
・『対象となった3品目は兵器に使用される恐れ  細川氏:化学兵器に使ったり、ミサイルやレーダーに使ったりされる恐れがあります。 実は日本は、これまで韓国を一番優遇していた国の1つなのです。例えば、欧州連合(EU)が日本のホワイト国に当たるような指定をしているのは8カ国。その中に日本は入っていますが、韓国は入っていません。EUにおいては韓国は第2グループで、トルコやアルゼンチンなどと同列に位置付けられています。 山川:つまり、今回の日本の措置はEU並みにしたというわけですね。 西野:ホワイト国が取り下げられた例というのは外国も含めてありますか。 細川氏:海外の出し入れについては分かりませんが、どの国も優遇措置を維持するかどうか、普段から協議をしています。ところが韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかったのです。 山川:それも不信感につながっている? 細川氏:はい。相手がきちんとやっていることを確認せずに日本が優遇措置を講じていると、ほかのメンバー国から非難を受けることになりますから。 日本は国際的な義務を果たすためにも今回、協議に応じていない国、そして不適切な事案が常態化している国を、ホワイト国から除外する必要があったのです。むしろ、もっと早くすべきだった。 西野:今回、欧米の新聞などでは、「日本はトランプ大統領と同じやり方をしている」といった報道を目にしますが……』、「韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかった」のに、何故このタイミングで持ち出したのか、については首を傾げざるを得ない。
・『もっと国際社会にアピールを  細川氏:そうした誤解があること自体が問題です。トランプ大統領による、中国のファーウェイへの輸出規制や、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などと同一視されるのはすごく問題があります。 国際的なルールに基づいて行動するというのが、日本の立場。日本は国際社会に正当なことをやっているというアピールをもっとすべきです。 西野:韓国ではWTOに提訴するという声も出ています。そこで2つ目の疑問です』、G20大阪サミットで自由貿易の重要性を強調する一方で、今回の措置が突如出てきたことについて、「もっと国際社会にアピールを」というのはその通りだ。
・『貿易で 違反の線引き どこにある?  今回の問題、WTOのルールに照らし合わせると、どうなりますか。 細川氏:世界が協調して自由貿易を推進しようというのがWTOの精神です。ただ、その中で安全保障に関しては例外として日本も含め参加国は輸出管理を厳格にやることが認められています。もし、今回のケースで、日本がWTO違反になるのなら、ほかの国もみんな違反になってしまいます。 山川:改めて確認させてください。韓国がWTOに提訴しても違反にはならない? 細川氏:明らかに、なりません。 西野:米国のファーウェイに対する措置や、かつて日米貿易摩擦の頃の日本への強硬姿勢などを考えると、安全保障上の理由ってどうなんだろうと思うところもあるのですが。 細川氏:米国の場合、強弁が目立ちます。安全保障にひっかけないとWTOの例外措置にならず、違反になってしまうから、そうしている面がある。 山川:米国の場合、国内で法律を作って進めているわけですが、確かに国際社会から見たら無理筋ではないかと感じるときがあります。例えば自動車の関税引き上げまで、安全保障を理由にするのはどうかと思う。 細川氏:おかしいですよね。だから、米国がやっていることと同一視してはダメなんです。先ほど申し上げた通り、軍事にも使われかねない危険な物質が危険な国に渡らないようにするために、日本は行動しているわけですから。それがどうして違反なのでしょう』、「韓国がWTOに提訴しても違反にはならない」といやに自信を持っているようだが、最近、日本政府は国際的紛争処理でボロ負けが相次いでおり、危うさを感じる。
・『中国によるレアアース規制との比較  山川:WTOとの関連を明確にするために、具体的な事例で考えていきましょう。 表の右側は、中国のWTO違反のケースです。尖閣諸島の問題が起きたとき、日本に対してレアアースの輸出量を制限しましたが、このときは、日本が提訴して、中国が負けました。 そして左側の今回は、徴用工や自衛隊機への火器管制レーダー照射問題などで「信頼関係が著しく損なわれた」ことを政府は理由の1つとして挙げています。ただ、中国のケースと違って、輸出を制限するわけではなく、あくまでも優遇措置を除外するというものです。 細川氏:徴用工の問題は背景にはあっても理由ではありません。理由は明らかに輸出管理の世界での論理です。しかも禁輸するといった運用ではない。あくまでも輸出の許可手続きを変更するだけです。国際的なルールにのっとって淡々とやろうとしている。 西野:今後、もし輸出量を制限するとか、禁輸するといったことになったときはどうなりますか? 細川氏:そういうことにはなり得ません。日本は法治国家ですから、輸出品が第三国に流出する恐れがあるといったエビデンス(証拠)がなければ、不許可にしません。 山川:確実にどこかに流れていると確証がある場合だけ? 細川氏:あるいは流れる可能性が高い、と見れば不許可にすることはあります。それ以外は禁輸はあり得ません。通常の輸出を不許可にしたら日本政府がその企業から訴えられますから。 山川:確かに中国との件では、日本がレアアースをどこかに横流ししていたわけではなかった。 細川氏:中国のケースは完全に禁輸です。しかも理由が尖閣の問題ですから意味が全く違います。 山川:そこをきちんと国際社会に伝えていくのが大事ですね。どうしても韓国の方がロビーイングも含めて国際世論を巻き込んでいくのがうまいですから。 WTOをめぐっては4月、最終審に当たる上級委員会が、福島など8県産の水産物の輸入を禁止する韓国の措置を事実上認める判断をしました。これも、日本側は勝てると思っていたら、敗訴してしまった。 細川氏:もちろん今回の措置については、背景には、徴用工問題などによって2国間の信頼関係が薄れたことがあると思います。でも、それを前面に出してしまうと、本当の理由が見えなくなる。 徴用工の問題だけを切り取られて、中国のレアアースの事例と同一視されるのが心配です。実際に海外の報道ではそういう論調が出ていますから。国際的にどうアピールしていくかが、大事だと思います。 山川:我々も正しく報道していかないといけませんね。 西野:そうですね。さて、日本の措置で物事は前に進むのかどうか。日韓関係はどうなるのかが気になります。そこで最後の疑問です』、「国際的にどうアピールしていくかが、大事だ」、その通りだが、既に遅きに失しているのではなかろうか。
・『いつまでも 近くて遠い お隣さん?  隣国同士、対立が強まる傾向にあるわけですが、今後の展開をどう見ていらっしゃいますか。 細川氏:そうですね、関係改善がなかなか期待できないからこそ今回、こういう措置に至ったわけです。もちろん今後、韓国側がきちんと輸出管理をし、不適切な事案が二度と起こらないという確証を日本が持てば次の展開はあると思います。ただ、今の韓国の状況を見ると、期待するのは難しいかもしれない』、長期戦を覚悟でやる他ないとすれば、お互いに不幸なことだ。
・『言うべきことを言う  山川:今までは日本側はじっと黙って、韓国が変わるのを待つのが基本的なスタンスでした。ただ今回は一歩踏み出したような印象を持ちます。日本政府は「言うべきことは言う」というモードに切り替えたということでしょうか。 細川氏:そうですね。輸出管理の世界でもきちんとした対応は期待できないと見切りをつけたということだと思います。 山川:文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢を見ていると、メンツや支持率を意識して、報復に出てくる可能性が高いのではないでしょうか。その場合、ここに示した通り、WTOへの提訴や戦略物資の輸出制限、日本製品に対する輸入規制などが考えられます。 一方、日本側も農水産物の輸入制限、就労ビザの制限などが一部で取り沙汰されています。 (リンク先に「日韓双方の考えられる対抗策」の図表) 細川氏:韓国が報復措置だと言って出てくるならば、日本がWTOに提訴すればよい。勝てると思いますよ。 山川:むしろ白黒つけた方がいいと……。 細川氏:はい、その過程で今回の不適切事案のこともきちんと説明すればよい』、自信過剰ゆえの準備不足で負けることにならなければいいが・・・。
・『対象品目が増えることはおそらく、ない  西野:ところで、今回の措置はなぜこのタイミングだったのでしょう。主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が終わった直後であり、参院選の前ということで、いろんな臆測を呼んでいます。 細川氏:だからこそ、もっと早くやるべきだった。このタイミングだと、色々と思惑があるんじゃないかと受け止められかねません。G20が控えていたことや、徴用工問題の返答を待っていたことで、タイミングが遅れたのかもしれません。 西野:今回は半導体材料の3つを対象にしたわけですけれど、今後、品目が増えていく可能性はありますか。 細川氏:ないと思います。不適切な事案が起こっているのがこの3品目に集中しているということが一つ。それにこの3品目は、日本が世界に対する大供給国なので、輸出管理をきちんとやっていると示す義務があるわけです。 西野:国同士の対立で、負担をこうむるのはいつも企業です。今回の影響をどう見ますか。 細川氏:日韓の間では、これまで簡素化した手続きを前提に販売計画や生産計画を立てていました。個別審査になると手続きに手間や時間がかかるのは事実です。 ただ、審査には90日程度の時間がかかると言われていますが、これは事実ではありません。90日というのは標準的に定められているだけで、現実にかかっているのは、私の感覚でいえば、4~5週間程度です。 山川:そうすると韓国のサムスン電子やSKハイニックスが、半導体メモリーのDRAMの生産で極端に支障を来すことはない? 韓国だけに負担を課すわけではない  細川氏:ないと思います。最初は輸出する側も手続きに慣れていませんから、相手から誓約書をもらうなど、手続きが煩雑になります。しかし、慣れてくれば、負担は減っていきます。繰り返しになりますが、韓国だけに特別に重い負担を課すわけではなく、他国ではやっていることですから』、「手続きが煩雑になります。しかし、慣れてくれば、負担は減っていきます」、なるほど。
・『西野:米中の通商摩擦が示す通り、国同士の対立は、結局、双方の企業活動にマイナスになります。 細川氏:報復合戦になると、日本企業は次第に事業を展開するうえで韓国は危ない場所だと思い始めるでしょう。そうなると韓国にとってマイナスだと思うのですが。 山川:「雨降って地固まる」という言葉もあります。こうなってしまった以上、今回、日本が「言うべきことは言う」とスタンスを変えたことが、むしろいい結果になることを期待したいですね。 西野:本音同士のぶつかり合いが事態を変えるということですね。私たちも、しっかりと情報をお伝えする努力をしていきたいと思います。 細川さん、ありがとうございました・・・』、「報復合戦」は何としてでも避けるべきだろう。

次に、双日総合研究所チーフエコノミストのかんべえ(吉崎 達彦)氏が7月13日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/292009
・『6月と7月で世の中はすっかり様変わり。大阪G20首脳会議が始まるまでは、「米中貿易戦争はどうなるのか!」と、皆が固唾をのんで見守っていたものだ。ところが6月29日に米中首脳会談が終わったら、それはもうどこかに行ってしまい、今月の焦点はズバリ日韓関係である。いやあ、どうなるんですかねえ』、かんべえ氏の見解とは興味深そうだ。
・『韓国企業が浮き足立つのも無理はない  大阪G20が終わった翌週の7月1日、経済産業省は「対韓国輸出規制」に踏み切ることを公表した。そして4日から実施。たちまち日韓関係は大揺れとなった。 今回、規制対象となったのは、「レジスト」(感光材)、「エッチングガス」(フッ化水素)、「フッ化ポリイミド」という3種類の半導体材料。韓国によるこれら材料の対日輸入額は5000億ウォン(466億円)に過ぎないが、それによって生み出される韓国製の半導体とディスプレ-は、全世界への輸出総額が170兆ウォン(15.8兆円)に達する。つまり日本側は失うものが小さく、韓国側が受ける打撃は大きい。これを称して、「レバレッジが高い効果的な経済制裁」ともてはやす向きもある。 韓国企業の反応は素早く、サムスン電子の李在鎔副会長は7月7日にはお忍びで日本へ飛んだ。日韓の政府間交渉に任せていたのでは埒が明かない、民間企業同士で解決を図ろうと考えたのだろう。その認識はまったく正しくて、韓国政府はこれを政治問題化させて、外交戦、宣伝戦に持ち込む構えである。文在寅大統領の頭の中に、「経済界の利益」や「日韓関係の安定」は存在しないとみえる。 しかし供給元の日本企業としては、たとえ韓国財界のトップから直々に陳情されたとしても、これが政府による輸出管理政策上の判断だと説明されると手の打ちようがない。この問題、政府と民間企業ではまるで受け止め方が違ってくるのだ。 世間的には、「WTO提訴になった場合、日韓のどちらが勝つか?」みたいな話になっている。しかし企業にとっては、そんな話は悠長に聞こえてしまう。WTOで争うとなれば、答えが出るまで1年やそこらはかかる。韓国企業の半導体材料の在庫は長くて3カ月分、短ければ1カ月程度しかないと言われている。彼らが浮足立つのも無理はないところだ。 それではこの喧嘩、日本が圧倒的に有利かというと、そうとも限らない。この問題に対する日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化していることにお気づきだろうか』、「レバレッジが高い効果的な経済制裁」との一部の見方は正鵠を突いている。「日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化している」、とはさすがに鋭い指摘だ。
・『安倍首相の気持ちはわかるが「世界がどう見るか」がキモ  安倍晋三首相は7月3日、日本記者クラブ主催の党首討論会において、本件は元徴用工訴訟で対応を示さない韓国政府への事実上の対抗措置だという認識を示している。「1965年の日韓請求権協定で、互いに請求権を放棄している。約束を守らないうえでは、今までの優遇措置は取らない」とも語っている。 もちろん日韓関係には、それ以前から従軍慰安婦合意の一方的破棄、レーダー照射事件、水産物規制などの問題が積み重なっている。徴用工問題については、日本政府は日韓請求権協定に基づき、日韓と第三国による仲裁委員会の設置を5月に求めた。ところが韓国側は期限の6月18日になっても仲裁委員を任命せず、翌19日になって突然、日韓企業が資金を出し合って救済することを提案した。おいおい、それって財団方式じゃないか。2015年の日韓合意でできた慰安婦の「和解・癒し財団」を、勝手に解散してしまったのはどなたでしたっけ?安倍首相がブチ切れた心情は、非常によく理解できる。 とはいうものの、韓国に対して恣意的な経済制裁を打ち出すのは拙いだろう。日本は今までそういうことをしない国だった。自由でリベラルな国際秩序の忠実なる担い手だった。特に今年はG20議長国であり、世界に率先して自由貿易の旗を振る立場。それが首脳会議終了直後に豹変したとなったら、周囲はどう見ることか。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙では、7月2日に政治学者ウォルター・ラッセル・ミードが「トランプ化する日本外交」という記事を寄稿している。「あの日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、対韓輸出規制を始めるのだから、世の中は変わったもんだねえ」とのご趣旨であった。つくづくこの問題、日韓関係だけを見ていちゃいけない。第三国からどんな風に見られているかが、勝負のキモなのである。 ということで、政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正した。政治家としては7月21日の参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが、それでは聞こえが悪いのである。 実際に経済産業省のHPを見てみよう。今回の措置は以下のように説明されている (「輸出貿易管理令の運用について」等の一部を改正する通達について)。 外国為替及び外国貿易法に基づく輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。 こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。 つまり今回の措置は「輸出規制」であって「禁輸」ではない。半導体材料を、「お前さんには売れねえ」と啖呵を切ると、2010年の中国によるレアアース禁輸措置と同様、明々白々なWTO違反となってしまう。 経済産業省はこんな風に説明している。2004年以降に簡略化されていた韓国向けの輸出管理の手続きを、それ以前の状態に戻します。韓国はいわゆる「ホワイト国」から外れるので、今後は輸入の際に個別に許可を取らなければなりません。しかし半導体材料を入手できなくなるわけではありません……。仮に関連企業から行政訴訟を起こされたとしても、負けないように予防線を張ってあるわけだ』、WSJ紙の「トランプ化する日本外交」、と実に痛いところを突いている。「参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが」、「政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正した」、というのは安倍政権のいい加減さを示しているようだ。
・『もし「不適切な事案」が肩透かしなものであったら?  ところで上記の文言で気になるのは、「韓国に関連する輸出管理をめぐり、不適切な事案が発生した」ことの中身である。「武士の情けで皆までは言わないでおいてやる」的な書きぶりだが、今後、「不適切な事案とは、具体的に何のことなんだ?」との疑問が寄せられることは避けられまい。 そこでぐぅの音も出ないような事実が出てくれば、日本側の勝ちである。例えば北朝鮮やイランへの材料の横流しがあったとすれば、「なるほど、日本の措置はもっともだ」ということになる。ところが韓国側はさほど意に介する様子もなく、「2015年から今年3月までに156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」などと答えている。仮に「不適切な事案」が肩透かしなものであったら、第三国からどう見られるか。「規制強化に政治的な意図があった」という心象を持たれれば、日本外交が失うものは小さくないだろう。 繰り返すが、建前はさておき「ビジネスを武器にして他国に圧力をかける」という発想は、少なくとも今までの日本外交にはなかった。国連安保理やG7の制裁には足並みをそろえるが、少なくとも二国間ベースでは行わない。むしろ「意地悪をされても、仕返しはしない国」であった。今回の措置は、わが国の「通商政策」の転換点となるかもしれない。 半導体産業は、そうでなくとも世界的な逆風下にある。これで韓国企業が打撃を受けた場合、アジアのサプライチェーンを混乱させて日本経済に跳ね返ってこないとも限らない。 ちなみにサムスン電子、ハイニックスなど韓国関連企業の株価は、輸出規制強化措置を受けていったんは下げたものの、「これで半導体市況がかえって回復するかもしれない」との思惑から直近では再び上げている。政治の思惑とは違って、経済はさまざまな要素とともに千変万化する。かくなるうえは、こんな想定が杞憂に終わることを祈るばかりだ』、韓国側の「156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」、というのが単なる強がりであればいいのだが。事実であれば大変なことだ。経産省を中心とする官邸の暴走もここに極まれりとなるのかも知れない。

第三に、上智大学教授の川瀬剛志氏が7月14日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/291562
・『日本政府は7月4日、外為法上の輸出管理対象となっていたフッ化ポリイミドとレジスト、フッ化水素について、韓国への輸出規制を強化する手続きを開始した。 対韓国輸出を包括的許可から契約ごとの個別審査に切り替えると同時に、韓国をホワイト国から外す手続きに入るという。これに反発した韓国は、本件をWTO(世界貿易機関)の紛争解決手続に付託する方針だ』、アカデミズムの立場からの見方も興味深そうだ。
・『問われる安全保障貿易管理とWTOの整合性  今回の対応については、徴用工問題を踏まえて妥当な対抗措置と称賛する声や日韓関係の悪化を心配する声、日本の半導体産業への悪影響を懸念する声などさまざまな評価が出ている。筆者が専門とする国際経済法の視点からは、WTO協定、特にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)違反の可能性が指摘されているが、筆者はむしろそれを超えた国際通商システム全体への影響を懸念している。 韓国がもし、今回の措置のWTO協定違反を争うとすれば、それは安全保障貿易管理体制がWTO協定に整合しているかどうかを正面から問うことに他ならず、両者に内在する緊張関係が白日のもとにさらされるおそれがある。 日本政府は今回、韓国でフッ化ポリイミドなどの輸出管理に不適切事案が発生しており、韓国が具体的対応の要請に回答せず、3年間も両国間対話がないと説明している。そうであれば、筆者は必ずしも今回の措置が安全保障貿易管理制度の合理的な運用の枠内にあることを否定するものではない。 しかし、官邸はシステム全体へのリスクを勘案して今回の措置に踏み切ったのだろうか。日韓関係の現状や実施のタイミング、対象物資の性格を考えると、今回の対応が韓国の強い反発を招き、WTO協定との整合性が問われることは容易に予想できたはずだ。もしそうでないとすれば、拙速な悪手と評さざるを得ない。 一般的に言って、安全保障貿易管理措置は正当なものであってもWTO協定違反になりうる。特に、輸出許可の申請が必要な場合、部分的にせよ審査の結果輸出が制限される制度設計である以上、輸出制限を禁じたGATT11条1項に違反する。 また、ホワイト国制度のように特定国を輸出審査で非対象国と差別することは、WTO 加盟国間の待遇平等を規定したGATT1条1項に違反する。判例では相当広い範囲の措置について違反が認定されており、また、その判断の際に差別の政策的正当性を斟酌していない。 ただ、安全保障貿易管理についてはGATT21条の例外規定による正当化の余地がある。特に「自国の安全保障上の重大な利益」の保護に必要な措置は、GATTの原則に反しても、協定違反に問われることはない。しかし、この条文は第二次世界大戦直後の1947年の冷戦期に起草されたもので、いかにも古く、例外の範囲も狭い。 冷戦構造崩壊後の安全保障概念は、狭い意味での戦争だけでなく、地域紛争やテロ、サイバーセキュリティ、災害やパンデミックまでを含む、極めて広がりのある概念になりつつある。また、軍事転用が可能なら、iPhoneなどの民生品も規制の対象になる。70年以上前にできた条文では、21世紀の安全保障には極めて限定的にしか対応できないことは明らかだ』、日本側が頼りにしている条文が「70年以上前にできた」、いやはやである。
・『安全保障貿易管理とWTO体制は共存してきた  それでは、こうした法的緊張関係がありながら、なぜこれまで両者は平和裡に並存できたのだろうか。そこには国際社会の「大人の知恵」が介在している。 安全保障貿易管理の世界では、ワッセナー・アレンジメント(通常兵器、関連汎用品・技術)、ザンガー委員会(核物質)、オーストラリア・グループ(化学・生物兵器)など、対象物資ごとに国家間レジームが形成されている。それぞれが輸出管理の対象物資リストを決定し、その規制について協調する。これらの取り決めは紳士協定で拘束力こそないが、各国はここで決まる、ある種の相場観に従って輸出管理を行い、その範囲を大きく逸脱する例外の濫用を慎んできた。 他方で、この相場観に従って行動しているかぎり、他国の安全保障貿易管理措置がWTO協定に整合しているかを問うことも自制してきた。前述のように、こうした措置は性質上、どうしてもWTO協定の原則と矛盾してしまう。とはいえ、国際社会の安定と平和のためには、安全保障貿易管理をやめることもできない。だからこそ、各国は輸出管理のWTO協定整合性を厳密に問わず、例外の濫用も慎む大人の知恵を働かせ、本来緊張関係にある双方のレジームを注意深く共存させてきた。 しかし、この棲み分けが急速に崩れつつある。その契機が、安全保障目的をうたったトランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げだ。対象となる製品は安全保障貿易管理スキームの規制物資ではなく、カナダや日本など同盟国にも適用され、あからさまな安全保障措置の例外の濫用と言える。ただ、それだけにその法的評価は単純であり、GATT21条の例外に当たらないことは明らかだ。 しかし、今回日本政府が行った対韓輸出規制は問題の次元がまったく異なる。 韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある。今回の日本の対応が、合理的な安全保障貿易管理制度でも運用の枠内にあるとしても、必ずしもWTO協定に適合していると担保されるわけではない。それを争うリスクをいかにして避けるかが重要だ』、「韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある」、というのは、さすが専門的研究者らしい説得力溢れる主張だ。
・『あまりに楽観的な日本政府の主張  日本政府は、今回の措置は安全保障貿易管理上の見直しであって、WTO上まったく問題がないと繰り返し説明しているが、あまりに楽観的だ。GATT21条があるから安全保障貿易管理がWTO協定上、問題がないという神話は、これまで誰もこの問題を争わなかったからに他ならない。 今年4月のロシア・貨物通過事件パネル判断を見ればわかるように、ひとたびWTO紛争が提起されれば状況はまったく異なる。本件はクリミア危機のような明白な武力衝突を扱ったにもかかわらず、パネルは安全保障を理由に判断回避を要求したロシアの主張を一蹴し、ウクライナ発の貨物通過規制がGATT21条に適合しているかを客観的に審査した。 仮に本件がWTOパネルにかかると、韓国によるGATT1条・11条違反の主張には分があると言わざるを得ない。それは、今回の日本の対応が、ホワイト国などとの比較で韓国を差別的に扱い、フッ化ポリイミドなどが輸出禁止になる可能性があるからだ。 そうなると、日本はGATT21条の例外だと主張することになるが、先例によれば、例外的事情の存在と何が日本の「安全保障上の重大な利益」であるかを説明しなければならない。 詳細が未公表なので断定できないものの、今回の措置がGATT21条にある例外的事情に当てはまるかと言えば、問題の物資が兵器や核物質でもなく、日韓関係が「信頼関係が損なわれた」というだけでは無理がある。たとえば、韓国企業から北朝鮮や中国などの第三国への流出があり、これが軍事施設供給のための取引と説明できるかどうかだろう。 本当に韓国のワッセナー違反であるのなら、日本はその旨を明らかにした上で毅然と対応すべきであり、その場合は、自らの不適切対応を棚上げしてWTOに問題を持ち込み、安全保障貿易管理体制との棲み分けを侵した批判は、韓国が受けることになる。しかしそうであれば、世耕弘成経産相が7月2日の記者会見で述べたような、G20までの徴用工問題の未解決がその背後にあることを匂わせるような発言は、今回の対応の目的が安全保障目的以外にあることを疑わせるもので、厳に慎むべきだ。 逆に韓国に大した不適切事案がなく、日本が韓国に対して外為法上の待遇を政治的に利用しているとすれば、安全保障貿易管理の濫用の誹りは免れない。ウォールストリート・ジャーナルなどが、今回の日本政府の対応は、安全保障を口実にした通商制限であり、トランプ流への追随と評しているが、こうした見方の広がりが強く懸念される。 いずれにせよ、一つ間違うと、今回の措置は永年にわたって築かれた国際通商のガバナンスを大きく損なうおそれがある。これらを十分に認識のうえ、可能なかぎりWTO紛争化を回避すべく、7月12日の日韓会合を皮切りに、韓国とは情報交換と協議を尽くすべきだ』、「7月12日の日韓会合」は、5時間超に及んだにも拘らず、双方の会合後の記者発表は全く食い違ったものになっており、相互の不信感を高めただけに終わったようだ。経産省や官邸が内輪の論理をいかに振りかざしたところで、国際的に通用する筈もない。本来、経産省はもっと国際センスがある官庁だと思っていたが、安倍首相への「忖度」が過ぎて正常な判断が出来なくなっているのだろうか。残念なことだ。
タグ:日韓関係 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン (その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く) 韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」」 細川昌彦・中部大学特任教授 西野:韓国は無色の扱いになる? 細川氏:はい、普通になるということです。例えば東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、メキシコなどと扱いが同じになる 通常、海外に輸出する製品は、(安全保障上、適切に管理されているかどうかを)個別に審査する必要があるわけですが、ホワイト国になると手続きが優遇されます 日本がホワイト国に指定している27カ国 「不適切な事案」 輸出管理の世界で不適切な事案といえば、相手国がきちんと管理せずに軍事目的に使われているようなことを指します レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド 対象となった3品目は兵器に使用される恐れ 欧州連合(EU)が日本のホワイト国に当たるような指定をしているのは8カ国。その中に日本は入っていますが、韓国は入っていません 協議に応じていない国、そして不適切な事案が常態化している国を、ホワイト国から除外する必要があったのです。むしろ、もっと早くすべきだった 韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかった もっと国際社会にアピールを 安全保障に関しては例外として日本も含め参加国は輸出管理を厳格にやることが認められています WTOのルール 韓国がWTOに提訴しても違反にはならない 中国によるレアアース規制との比較 いつまでも 近くて遠い お隣さん? 言うべきことを言う 対象品目が増えることはおそらく、ない かんべえ(吉崎 達彦) 「「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・」 韓国企業が浮き足立つのも無理はない 韓国によるこれら材料の対日輸入額は5000億ウォン(466億円)に過ぎないが、それによって生み出される韓国製の半導体とディスプレ-は、全世界への輸出総額が170兆ウォン(15.8兆円) 「レバレッジが高い効果的な経済制裁」ともてはやす向きも 日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化 安倍首相の気持ちはわかるが「世界がどう見るか」がキモ 韓国に対して恣意的な経済制裁を打ち出すのは拙いだろう 自由でリベラルな国際秩序の忠実なる担い手だった 首脳会議終了直後に豹変したとなったら、周囲はどう見ることか ウォール・ストリート・ジャーナル紙 「トランプ化する日本外交」 「あの日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、対韓輸出規制を始めるのだから、世の中は変わったもんだねえ」 政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正 参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが、それでは聞こえが悪いのである もし「不適切な事案」が肩透かしなものであったら? 韓国側はさほど意に介する様子もなく、「2015年から今年3月までに156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」などと答えている 「ビジネスを武器にして他国に圧力をかける」という発想は、少なくとも今までの日本外交にはなかった 「意地悪をされても、仕返しはしない国」であった 今回の措置は、わが国の「通商政策」の転換点となるかもしれない 川瀬剛志 「日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く」 問われる安全保障貿易管理とWTOの整合性 一般的に言って、安全保障貿易管理措置は正当なものであってもWTO協定違反になりうる ホワイト国制度のように特定国を輸出審査で非対象国と差別することは、WTO 加盟国間の待遇平等を規定したGATT1条1項に違反する 安全保障貿易管理についてはGATT21条の例外規定による正当化の余地がある この条文は第二次世界大戦直後の1947年の冷戦期に起草されたもので、いかにも古く、例外の範囲も狭い 安全保障貿易管理とWTO体制は共存してきた これらの取り決めは紳士協定で拘束力こそないが、各国はここで決まる、ある種の相場観に従って輸出管理を行い、その範囲を大きく逸脱する例外の濫用を慎んできた 各国は輸出管理のWTO協定整合性を厳密に問わず、例外の濫用も慎む大人の知恵を働かせ、本来緊張関係にある双方のレジームを注意深く共存させてきた この棲み分けが急速に崩れつつある その契機が、安全保障目的をうたったトランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げ 韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある あまりに楽観的な日本政府の主張
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大学(その5)(竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生「退学」騒動の本人を直撃、尾池元京大総長「対話の大学理念に反する」吉田寮問題で疑問、「役に立つ学問」が事前にはわからない根本理由 「モンゴル×超ひも理論×シロアリ」で考える) [社会]

大学については、昨年10月3日に取上げた。今日は、(その5)(竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生「退学」騒動の本人を直撃、尾池元京大総長「対話の大学理念に反する」吉田寮問題で疑問、「役に立つ学問」が事前にはわからない根本理由 「モンゴル×超ひも理論×シロアリ」で考える)である。

先ずは、1月25日付け日刊ゲンダイ「竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生「退学」騒動の本人を直撃」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246108
・『東洋大学で大騒動だ。同大4年の学生が東京・白山キャンパスで教壇に立つ竹中平蔵教授の授業に反対する立て看板を設置、批判ビラをまいたところ、大学側に退学を勧告されたというのだ。 当該学生が自身のフェイスブックで一連の経緯を“拡散”。ネット上には「表現の自由を奪うことは言論の府である大学の死を意味する」などと大学側への批判コメントがあふれている。日刊ゲンダイの取材に当該学生はこう振り返った。 「21日朝9時から立て看板を出し、ビラを配り始めたら、10分と経たないうちに学生課の職員がビラ配布の中止と看板の撤去を求めてきました。その後、学生課の部屋に連れていかれ、職員5、6人から約2時間半にわたって詰問されました」』、竹中平蔵は慶応義塾大学から東洋大学に移ったようだ。「10分と経たないうちに学生課の職員が」現れたとは、ずいぶん早手回しのようだ。
・『こんな男がいる大学に在籍は恥ずかしい  ビラは冒頭から竹中氏の規制緩和路線を批判。「正社員はなくせばいい」「若者には貧しくなる自由がある」「トリクルダウンはあり得ない」など竹中氏の過去の暴言を列挙し、〈労働者派遣法の改悪は、自らが会長を務める(人材派遣)会社の利権獲得に通じていた〉〈まさに国家の私物化〉〈こんな男がいる大学に在籍していることが、僕は恥ずかしい〉と訴え、〈今こそ変えよう、この大学を、この国を〉と呼びかけた。 至極まっとうな意見だが、大学側の対応は厳しいものだった。 「職員らは学生生活ハンドブックの条項を示しながら、『大学の秩序を乱す行為』に該当するとし、退学処分をちらつかせてきました。さらに『君には表現の自由があるけど、大学のイメージを損なった責任を取れるのか』と大きな声で言われたり、『入社した会社で立場が危うくなるのでは』とドーカツされたりしました」(当該学生) 就職を控えた4年生への退学勧告は未来を奪うのに等しい。大学側の対応は「やりすぎ」を超え、「卑劣」ですらある。まさか「竹中批判」は絶対に許さないという意思表示なのか。 ネット炎上の影響だろう。東洋大は23日、この件に関する声明を慌てて公式サイトに発表。<無許可の立看板設置は学生生活ハンドブックに記された禁止行為だ>と指導したことは認めた上で、〈一部ネット等で散見されるような当該学生に対する退学処分の事実はありません〉と強調した。 日刊ゲンダイは東洋大に「詰問は2時間半に及んだのか」「学生に退学処分をほのめかしたのか」などの質問状を送ったが、「現時点でお答えできる内容は公式サイトに発表している声明の通り」(広報課)と答えるのみ。当該学生が改めて語る。 「今の東洋大は権力に抑えつけられているような雰囲気。もっと自由な校風になって欲しい。騒動の直後、東洋大の3年生や東洋大を目指す高校生からも協力したいとの連絡がありました。“どうせ変わらない”という諦めの意識を変えていくためにも、自分の考えが下の世代に受け継がれていくことを期待します」 諦めない若者の言動は、大人たちの心にも突き刺さる』、「ネット炎上」したのであれば、東洋大としても処分するわけにはいかなかったのだろう。竹中はパソナの会長もやりながら、東洋大教授とは、結構な第二の人生を謳歌しているようだ。

次に、7月13日付け京都新聞「尾池元京大総長「対話の大学理念に反する」吉田寮問題で疑問」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは尾池氏の回答・主張)。
https://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20190713000120
・『京都大が学生寮「吉田寮」(京都市左京区)の旧棟と食堂からの寮生退去を求めた訴訟が、京都地裁で行われている。対話の理念を掲げる京大が学生との訴訟を選んだことは、その学風の変質を示唆するのだろうか。社会にとっての大学自治の意味を考えるため、京大元総長の尾池和夫・京都造形芸術大学長(79)に聞いた。 Q:大学側が学生を相手取った異例の民事訴訟になっている。 A:対話を根幹とした教育を掲げる京大の基本理念に反している。権力を持っている大学側が弱い立場の学生を訴えるのは問題。私は2003年から約5年間総長を務め、その前には学生教育担当の副学長として学生との話し合いに臨んできた。今の京大にとっては過去の人間だが、外から見て現状には疑問を覚える』、「元総長」が現執行部を批判するのは異例だが、余程、腹に据えかねたのだろう。
・『Q:現在の学生担当の理事・副学長は、学生と大学側の話し合いで結んできた過去の確約について「学生側から圧力を加えられる中で結ばされた」とし、引き継がないと宣言している。 A:私が副学長だった時に吉田寮自治会と「団体交渉」した記憶はないが、同じ自治寮である熊野寮自治会とは経験がある。確かに夜中までかかって何日も話し合った。人数も教員側より学生の方が多かったが圧力に屈したことは一度もない。学生との対話では教員として責任と重みを持ってサインしてきた。吉田寮との確約書を引き継がないという姿勢に納得はできない。 Q:対話の前提となる両者の信頼関係が構築できていない。 A:学生は大学側を信じているから、対話を呼びかけている。条件付きで旧棟を出るという方針を示しているのに、大学側はなぜむげにするのか。そこまで学生に高圧的になる理由が分からない。また吉田寮以外にも京大には学生寮がある。なぜ吉田寮の老朽化だけを取り上げるのか、理解しにくい。 Q:寮生が求める学生自治の意義とは。 A:大学では学生をはじめとして、あらゆる立場の自治が認められなければならない。実際、京大の基本理念にも研究教育組織の自治が明記されている。自由な環境からこそ独創的な研究は生まれるはずだ』、自然科学系のノーベル賞受賞者23人中、京大ゆかりが10人と「自由な環境」を誇ってきた京大の大学運営も、最近は官僚化しつつあるのかも知れない。残念なことだ。

第三に、6月14日付け東洋経済オンラインが掲載した4人の研究者たちのパネルディスカッション「「役に立つ学問」が事前にはわからない根本理由 「モンゴル×超ひも理論×シロアリ」で考える」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/286170
・『学問は社会にどう役立つのか──。基礎科学研究の予算削減や国立大学における文系不要論など、大学での研究や教育に対する厳しい意見が近年、経済界や政界を中心に目立っている。「税金を使う以上、研究の意義や有用性を説明するべき」という声も根強い。これらの問いに第一線の研究者たちはどう答えるか。そもそも、「役に立つ」とはどういうことなのか。今春、大阪で開かれたトークイベントで、4人の研究者たちが議論を交わした』、興味深そうだ。
・『学者が考える、自身の研究の「有用性」とは  「学芸ライヴ」と名付けられたこのトークイベントは、今年で設立40周年を迎えたサントリー文化財団が企画・主催する記念事業の1つ。第1回目は「役に立つって何?──モンゴル×超ひも理論×シロアリ」と題して、文化人類学者の小長谷有紀氏(国立民族学博物館客員教授)、理論物理学者の橋本幸士氏(大阪大学大学院理学研究科教授)、昆虫生態学者の松浦健二氏(京都大学大学院農学研究科教授)の3人を招き、経済学者の大竹文雄氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)が司会進行を務めた。 「以前から、ぜひとも話を聞きたかった」という大竹氏の要請で実現した、まったく異なる分野の研究者たちの顔合わせ。議論はまず、各自が研究内容を説明しながら、「学問の有用性」をどうとらえているか述べるところから始まった。 小長谷氏の専門はモンゴル研究。1979年、社会主義体制だった同国を訪ねて以来40年にわたり、遊牧を中心に環境や農業、歴史や民俗文化など幅広く調査研究を積み重ねてきた。 これまでに書いた論文約100本は、すべてネット上に公開しており、ダウンロード数で「社会への有用性」を測るなら、「モンゴル国営農場の歴史」「古代からのモンゴル農業開発史」「チンギス・ハン崇拝の成立過程」の3本が上位を占めるという。前の2本は「社会主義時代の国営農場の記録はモンゴルにもなく、世界中で参照されるから」、残る1本は「モンゴルと言えばチンギス・ハンという、みなさんの好みの反映」と理由を推測する。 ただ、これらはいずれも「裏返しの動機」で始めた研究であり、注目が集まっても、あまりうれしくはないという。 もともと、モンゴルにおける遊牧文化の優位性や豊かさを証明しようと研究を始めた小長谷氏は、農業は土地に適していないと考えており、何かにつけてチンギス・ハン絡みでモンゴルが語られることにも抵抗を感じていた。 そうした反発や批判的視点が研究のきっかけになったのだが、世間にはそれらばかりが求められる「逆転現象」が起きていると苦笑し、こう続けた。 「私たち人文系の『知』は、いつ、誰にとって有用になるかは未知であり、それを考えずにやることに価値がある。成熟した社会はどんな知も有効活用する。わたしの論文も、活用するかどうかはあなた次第ということ」 続く橋本氏は、「世界でも数少ない超ひも理論の専門家で、この理論を理解している人の数はパンダの生息数より少ない」と大竹氏から紹介された』、「人文系の『知』は、いつ、誰にとって有用になるかは未知であり、それを考えずにやることに価値がある」、というのはその通りなのかも知れない。ただ、「成熟した社会はどんな知も有効活用する」、についてはいささか疑問だ。
・『橋本氏が説く理論物理学の歩み  「理論物理学とは、この宇宙で起こるすべての現象を数式で解明すること」と説明し、最も有名な物理の数式の話から始めた。アインシュタインの特殊相対性理論から導き出された「E=mc2」。Eはエネルギー、mは質量、cは光速で、「質量はエネルギーに変わりうる」という意味を表す。 「この式が広く知られているのは、ここから原爆が作られたから。原爆は、膨大なエネルギーを質量から取り出している。人類の歴史を変えたという意味では、いちばんインパクトのあった物理の式でしょう」と橋本氏。 人類史を大きく変えたその数式は、論文にして3ページ、黒板に書けば畳二畳分ぐらいの「極めて短い式変形で、簡単に導き出せる」という。その時代から飛躍的に進んだ現在の素粒子物理学については、こう語った。 「2012年にヒックス粒子という素粒子が欧州の加速器で発見され、それによって、半世紀前に提唱された『素粒子の標準模型の作用』と呼ばれる式が完成した。物理学はどんどん統合が進み、E=mc2をはじめ、さまざまな法則が1個の式から導出される。宇宙の現象を調べるにはまず、この式が正しいのか、どうやって計算するのか、計算した結果、現象にどう当てはめるのかということを逐一検証していく。量子力学の発見から1世紀で、人類はここまでの高みに到達した」』、「物理学はどんどん統合が進み、E=mc2をはじめ、さまざまな法則が1個の式から導出される」、という物理学の進歩には改めて驚かされる。
・『もう1人、松浦氏はシロアリの進化生態学を専門とするが、「自分はシロアリの研究者とも、生物学者とも、科学者とも思っていない」と言い、自らを「井の中の蛙」に例えて、学問へのスタンスを語った。 「自分は今どこにいて、どこから来て、いかにそこで生きていくか、井戸の中にいながら知る術が科学。すべての研究は、中心にあるその問いに向かっていくものであり、学問に分野はない」。シロアリを研究するのは、それが松浦氏にとって「世界をとらえ、最も美しく見るための磨かれた窓」だからだという。 シロアリの繁殖研究では、女王が自分の遺伝子から分身を作り、70年以上も生き続けることがわかってきた。今では、遺伝子をどのタイミングで、どう発現させるかという「エピジェネティクス」の領域に入っており、ゴキブリからシロアリをつくる"設計図"も描かれている。 哲学研究が趣味という松浦氏は、こんな言葉で説明する。 「進化を読み解けば、ヘーゲルの弁証法そのものであり、進化の面白さというのは、レヴィ=ストロースの言うブリコラージュ(手持ちの材料や余り物を組み合わせて、新たな機能や価値を生み出すこと)にある」。 そして、これら文系の知は、むしろ理系の科学者にこそ必要なものであるとして、「今、役に立つこと」ばかりが問われる風潮に異を唱える。 「例えば、プリオン(タンパク質から成る感染性因子)の研究なんて、BSEやヤコブ病が出なければ、何のことかよくわからなかった。ヒアリが入ってきたときに対応できたのは、それまで役に立たなかったヒアリの研究をしていた人がいるから。学知とは、有用性の部分だけで存在しているのではなく、全体が1個の体系として生まれ、運動しているもの」 松浦氏は、学問をグラスの水に浮かんだ球体の氷に例える。表面に出ている部分が有用だとすれば、今は役に立たない大半の部分が水面下に隠れている。氷はつねに回転していて、どの部分が表面にくるか、つまり何が有用となるかは、事前に決められるものではない、と』、「自分は今どこにいて、どこから来て、いかにそこで生きていくか、井戸の中にいながら知る術が科学。すべての研究は、中心にあるその問いに向かっていくものであり、学問に分野はない」、なかなか哲学的で深そうな指摘だ。「学問をグラスの水に浮かんだ球体の氷に例える。表面に出ている部分が有用だとすれば、今は役に立たない大半の部分が水面下に隠れている。氷はつねに回転していて、どの部分が表面にくるか、つまり何が有用となるかは、事前に決められるものではない、と」、というのは、上記の小長谷氏の見方に近く、説得的だ。
・『「役に立つ=お金儲け」だけではない多様な意味  「役に立つという言葉が、今は『お金儲けにつながる』と狭く定義されているが、お笑い芸人やスポーツ選手にそれを求める人はいない。人を楽しませ、幸福にするのが仕事だから。3人の研究の話も聞いているだけで楽しく、その意味で世の中の役に立っていると言える」 大竹氏はそんな感想を述べる一方で、こう問いかけた。 「でも、税金を払う人を説得できるかどうかも大事で、そのための努力もしないといけない。『今は役に立たないように見えているけど、実は役に立つ』という意識を共有してもらわないとだめなんじゃないか」 何の役に立つかわかりにくい学術研究への莫大な投資を納税者にどう納得してもらうか──。例えば日本では現在、岩手県に巨大加速器ILCを作る計画がある。 橋本氏によれば、その国民負担は1人当たり「ラーメン数杯分」になるという。1960年代のアメリカで同様の事例が持ち上がったとき、物理学者のロバート・ウィルソンが語った言葉を橋本氏は紹介した。 「これは役に立つのかと国の委員会で聞かれた彼は、『国防には何のメリットもない。ただし、この国を守るに値するものにします』と言ったそうです。これは非常に重要な発言で、学問を象徴している。守るに値する国とは、国民が『愛する国』であるということ。国を国民が名誉に思っていることが本質です。つまり、学術研究は国民の幸福度を上げるという大きな価値を持っているということだと思う」「先日大きく報道されたブラックホールの撮影成功の件を見ても、また、自分が市民向けに講義をした経験からしても、たくさんの人が、いろんな理由で科学に興味を持っていることを感じている。科学と隔絶された人にも、そこを穴埋めして、みんなで楽しもうという雰囲気を作ることが大切。それにはやはり、『役に立つ』の定義を変えないといけない」 橋本氏は、黒板に向かって数式を書き続ける自分の研究風景をネット動画にアップしたり、SNS上に「巨大科学萌え」というコミュニティーを作ったり──3人で始めたのが、半年後には約1000人に増えたという──していたことがある。科学者の経験や思考をシェアしてもらうことが「ボトムアップでファンを増やすことにつながる」という』、「学術研究は国民の幸福度を上げるという大きな価値を持っている」、というのはもっともらしいが、学術研究と称されるものの中にも価値のない無駄なものがありそうな気もする。
・『研究をアピールできる仕組みづくり  議論はそこから、メディアの活用法へも展開した。小長谷氏は、学術講演などを無料で動画配信しているアメリカの「TED」の日本版を提案し、新聞社などのマスメディアに協力を呼びかけた。 「面白い研究をしている方はたくさんいらっしゃるが、自発的に発信や説明ができるほど、コミュニケーション能力の高い人ばかりではないのが学者の世界。そういう人も生きていけて、研究内容や存在意義が承認されるようなシステムを共同で作り、社会にアピールできる仕組みができれば、ありがたい」 一方、松浦氏は、納税者への説明責任はあると認めつつ、説明の仕方によっては学問の本質から離れていく難しさがあると指摘する。 「一般の人に、私がやっている研究の面白さを伝えることは大変だけども、やろうと思えばできる。ただ、個別の研究の有用性を切り離せば切り離すほど、学問の本質はかげろうのように遠ざかっていく。ちょうど愛を語るのに似ています。『あなたが好きなんです。なぜなら……』と、説明すればするほど愛から遠ざかりますよね」 ある研究の存在意義や学問的価値を、その研究分野の中から説明するのは不可能だと松浦氏は言う。各分野の重要性は、1つの大きな学問体系の中ではじめて把握できるものだと。 「学知というものに、どれだけ税金を投入するかという問題は、学問をする階層ではなく、その上の階層、つまり国家として、この学問をどう評価するのかというところにある。われわれは涅槃経にある出家した比丘のようなもの。山を下りてきて商売することはできる。だけど、それでいいんですか?ということ」』、「学知というものに、どれだけ税金を投入するかという問題は、学問をする階層ではなく、その上の階層、つまり国家として、この学問をどう評価するのかというところにある」、との主張には、「国家」を持ち出すことにより、学者が責任放棄しているようにも映る。
・『「学問」と「研究」の違いとは  会場からは、松浦氏が先に述べた「学問の中心」には何があるのかという質問が寄せられた。学者は何を目指して研究しているのか。それを日々、意識しながらやっているのか──。 松浦氏は、「学問」と「研究」は異なるもので、両者を分かつのは、自分がやっていることの意味をメタに見られるかどうかだと言う。 「研究というのはほとんどが作業であり、技術です。それをメタにとらえる視点がなければ、マニアや実学であり、大学でなくてもできる。企業の商品開発なんかもそう。大学で問う学は、中心へ向かう力とは何か、自分がどこへ向かっているのかを意識できているかどうか、その1点にかかっている。それがなければ、学生を教えることもできない」 これに対し、橋本氏は「研究に没頭しているときは、自分がどこに行くかということは意識せずにやっている」と言う。「ただし、その成果である論文をまとめる段階では、学問の方向性や自分の作業の位置付けが見えている」と、やはりメタ視点の重要性を認める。 小長谷氏は、やや違う視点から、こんなふうに答えた。 「学問の中心にあるのは、やはり真理の探究だと思う。知りたい。だけど、まだその答えがない。だから、自分が調べるしかない。そういう単純なもの。まだこの世にない答えを求めていくというのは、どんな分野でも同じだと思っている。松浦先生がおっしゃった研究と学問の違いはよくわかるが、それは企業か大学かというように場所で決まるものではないと思う。自分も、テーマやお金の取りやすさによって使い分けたりもする」 「文化人類学の学生は、もう本当に好き勝手にいろんなことをやっている。場所もテーマも、どうしてそれが面白いのか、私にもわからないことがある。すごく細かいことを調べてきて、そんなどうでもいいようなことを調べてどうするんだろうと。ただ、そのオタクさをどれだけ普遍性に近づけられるか。ほんの10センチぐらいの違いだが、その感覚がある子とない子がいて、そこが博士論文を書けるかどうかの分かれ目になる。それが研究と学問の違いであり、中心に向かう力の有無じゃないか」』、「オタクさをどれだけ普遍性に近づけられるか」「が研究と学問の違いであり、中心に向かう力の有無じゃないか」、ふーん!そんなものかなと、私の認知力を超えている印象だ。
・『「今は役に立たない、でも、いつか役に立つかも」  「予定調和なし」とうたって始まった知と有用性をめぐる議論は、会場も巻き込んで120分間フルに続き、さまざまな論点が示された。 「人類社会が困難に陥ったときに生き延びられる資源、いわばオルタナティブな選択肢を準備しておくのが学問の役割」「有用性はとても重要だが、それに引っ張られすぎないことが大事」「人間が自ら問う領域が損なわれていき、問う存在としての主体性を失うと、AIに食われて終わる」……。 有用な学問とは何か。予算を割くべき研究分野をどう決めるか。一つの決まった結論が出る論題ではない。終わり近くで大竹氏が述べた意見が、現在の学問と有用性をめぐる問題を改めて浮き彫りにしていた。 「財務省の役人に言わせれば、大学や学問にかける予算と、年金や医療とどっちが大事なのという話になる。だから、どれだけ役に立つの、どれぐらい価値があるのと問われたときには、われわれの側から『今まで役に立つと思ってなかったことが突然役に立った例』を常に出していかないと、理解してもらえない。 『その研究は何の役に立ちますか』と聞かれて、基礎科学の人はよく、『役に立ちません』と言い切るが、これはよくない。まず、その研究が多くの人に面白いと思ってもらえた時点で、世に中の役に立っているという認識を持つことが重要。そして、『役に立たない』と言い切るのではなく、『いつか役に立つかもしれない。そのときがいつ来るかはわかりませんが』いう前提で言う必要がある」』、この大竹氏の主張には説得力があり、同意できる。
タグ:大学 東洋経済オンライン 京都新聞 東洋大 日刊ゲンダイ (その5)(竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生「退学」騒動の本人を直撃、尾池元京大総長「対話の大学理念に反する」吉田寮問題で疑問、「役に立つ学問」が事前にはわからない根本理由 「モンゴル×超ひも理論×シロアリ」で考える) 「竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生「退学」騒動の本人を直撃」 白山キャンパスで教壇に立つ竹中平蔵教授の授業に反対する立て看板を設置、批判ビラをまいたところ、大学側に退学を勧告された ネット上には「表現の自由を奪うことは言論の府である大学の死を意味する」などと大学側への批判コメントがあふれている ビラを配り始めたら、10分と経たないうちに学生課の職員がビラ配布の中止と看板の撤去を求めてきました こんな男がいる大学に在籍は恥ずかしい 「職員らは学生生活ハンドブックの条項を示しながら、『大学の秩序を乱す行為』に該当するとし、退学処分をちらつかせてきました 『入社した会社で立場が危うくなるのでは』とドーカツ 当該学生に対する退学処分の事実はありません 「尾池元京大総長「対話の大学理念に反する」吉田寮問題で疑問」 京都大が学生寮「吉田寮」(京都市左京区)の旧棟と食堂からの寮生退去を求めた訴訟 対話の理念を掲げる京大が学生との訴訟を選んだ 京大元総長の尾池和夫・京都造形芸術大学長 対話を根幹とした教育を掲げる京大の基本理念に反している。権力を持っている大学側が弱い立場の学生を訴えるのは問題 現在の学生担当の理事・副学長は、学生と大学側の話し合いで結んできた過去の確約について「学生側から圧力を加えられる中で結ばされた」とし、引き継がないと宣言 学生は大学側を信じているから、対話を呼びかけている。条件付きで旧棟を出るという方針を示しているのに、大学側はなぜむげにするのか 自由な環境からこそ独創的な研究は生まれるはず 自然科学系のノーベル賞受賞者 「「役に立つ学問」が事前にはわからない根本理由 「モンゴル×超ひも理論×シロアリ」で考える」 学問は社会にどう役立つのか 基礎科学研究の予算削減や国立大学における文系不要論 学者が考える、自身の研究の「有用性」とは 人文系の『知』は、いつ、誰にとって有用になるかは未知であり、それを考えずにやることに価値がある。成熟した社会はどんな知も有効活用する 橋本氏が説く理論物理学の歩み 物理学はどんどん統合が進み、E=mc2をはじめ、さまざまな法則が1個の式から導出される 自分は今どこにいて、どこから来て、いかにそこで生きていくか、井戸の中にいながら知る術が科学。すべての研究は、中心にあるその問いに向かっていくものであり、学問に分野はない 学問をグラスの水に浮かんだ球体の氷に例える。表面に出ている部分が有用だとすれば、今は役に立たない大半の部分が水面下に隠れている。氷はつねに回転していて、どの部分が表面にくるか、つまり何が有用となるかは、事前に決められるものではない 「役に立つ=お金儲け」だけではない多様な意味 「でも、税金を払う人を説得できるかどうかも大事で、そのための努力もしないといけない。『今は役に立たないように見えているけど、実は役に立つ』という意識を共有してもらわないとだめなんじゃないか 学術研究は国民の幸福度を上げるという大きな価値を持っている 『役に立つ』の定義を変えないといけない 研究をアピールできる仕組みづくり 個別の研究の有用性を切り離せば切り離すほど、学問の本質はかげろうのように遠ざかっていく 各分野の重要性は、1つの大きな学問体系の中ではじめて把握できるものだ 学知というものに、どれだけ税金を投入するかという問題は、学問をする階層ではなく、その上の階層、つまり国家として、この学問をどう評価するのかというところにある 「学問」と「研究」の違いとは オタクさをどれだけ普遍性に近づけられるか 「今は役に立たない、でも、いつか役に立つかも」 財務省の役人に言わせれば、大学や学問にかける予算と、年金や医療とどっちが大事なのという話になる。だから、どれだけ役に立つの、どれぐらい価値があるのと問われたときには、われわれの側から『今まで役に立つと思ってなかったことが突然役に立った例』を常に出していかないと、理解してもらえない その研究は何の役に立ちますか』と聞かれて、基礎科学の人はよく、『役に立ちません』と言い切るが、これはよくない。まず、その研究が多くの人に面白いと思ってもらえた時点で、世に中の役に立っているという認識を持つことが重要。そして、『役に立たない』と言い切るのではなく、『いつか役に立つかもしれない。そのときがいつ来るかはわかりませんが
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”ひきこもり”問題(その5)(「中高年引きこもり」調査結果の衝撃 放置された人々の痛ましい声、引きこもり当事者が教える「引きこもり学」の思わぬ反響、一橋大卒、30年引きこもる56歳男性の心の叫び 「お母さんは死んでやるからね」に怯えた日々) [社会]

”ひきこもり”問題については、6月11日に取上げた。今日は、(その5)(「中高年引きこもり」調査結果の衝撃 放置された人々の痛ましい声、引きこもり当事者が教える「引きこもり学」の思わぬ反響、一橋大卒、30年引きこもる56歳男性の心の叫び 「お母さんは死んでやるからね」に怯えた日々)である。

先ずは、ジャーナリストの池上正樹氏が4月5日付けダイヤモンド・オンライン:に寄稿した「「中高年引きこもり」調査結果の衝撃、放置された人々の痛ましい声」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/198874
・『「ひきこもり中高年者」の調査結果が投げかけた波紋  国を挙げての新元号フィーバーにいくぶん覆われてしまった観があるものの、内閣府が3月29日に公表した、40~64歳の「ひきこもり中高年者」の数が推計約61万3000人に上ったという調査結果は話題を呼んだ。厚労相が「新しい社会的問題だ」との見解を示すなど、その波紋が広がっている。 共同通信によると、根本匠厚生労働相は同日の会見で、内閣府の調査結果について「大人の引きこもりは新しい社会的問題だ。様々な検討、分析を加えて適切に対応していくべき課題だ」と話したという。 さらに4月2日の会見でも、こうした「中高年ひきこもり」者が直面している課題に対し、根本厚労相は「1人1人が尊重される社会の実現が重要。『8050』世帯も含め、対応していく」などと、これからの政府としての方針を示し、国の「引きこもり支援」の在り方が新たなフェーズに入ったことを印象付けた。 確かに、引きこもりする本人と家族が長期高齢化している現実を「社会として新しく認識した」と言われれば、その通りだろう。そもそも「引きこもり」という状態を示す言葉自体、精神疾患や障害などの世界と比べてもまだ歴史の新しい概念だ。 しかし、40歳以上の「大人のひきこもり」が新しい社会問題なのかと言われれば、決してそんなことはない。引きこもる人たちの中核層が長期高齢化している実態については、多くの引きこもる当事者や家族、現場を知る専門家たちが、ずっと以前から指摘し続けてきていたことだし、各地の自治体の調査結果でもすでに明らかになっていたことだ。蛇足ながら、筆者の当連載も2009年に開始以来、10年近く続いている。 にもかかわらず、40歳以上の引きこもり当事者やその家族の相談の声は、制度の狭間に取り残されたまま、長年放置されてきた問題であり、こうして内閣府が実態調査に漕ぎ着けるまでに、何年もの時間がかかった。 80代の高齢の親が収入のない50代の子の生活を支える世帯が、地域に数多く潜在化している現実を目の当たりにした大阪府豊中市社会福祉協議会福祉推進室長で、CSW(コミュニティソーシャルワーカー)の勝部麗子さんは、8050に近づく世帯も含めて「8050(はちまるごーまる)問題」とネーミングした。こうした8050世帯の中には、持ち家などで生活に問題がないように見えても、子が親の年金を当てにして貧困状態に陥りながら、悩みを誰にも相談できずに家族全体が孤立しているケースも少なくない』、確かに「ひきこもり中高年者」問題は、「制度の狭間に取り残されたまま、長年放置されてきた問題」が、悲惨な殺人事件を契機に一気に脚光を浴びた形だ。長年取り組んできた筆者は、解説に格好の人物のようだ。
・『全てのケアマネジャーが把握「8050問題」の深刻な実態  最近、筆者は役所の福祉部署や社会福祉協議会などから、職員や支援者、地域の民生委員向け研修の講師を依頼される機会が増えた。先月、ある自治体の高齢者支援課に呼ばれて、地域包括支援センターのケアマネジャー向け研修会の講師を務めたとき、自分が担当している高齢者の中に「8050問題」に該当する世帯を把握しているかどうかを尋ねたところ、ケアマネジャーのほぼ全員が手を挙げた。 地域包括支援センターは、高齢者の介護などの相談や訪問サービスを担う施設であり、引きこもり支援は本来の仕事ではない。そうした現場でよく聞かれるのは、「介護している高齢者の家に引きこもる子の存在を知っても、どこに繋げればいいのかがわからない」「どういう支援をすればいいのか知りたい」といった声だ。 「本人や家族に、どうアプローチすればいいのかわからない」「専門のスタッフがいない」「人手が足りない」という現場の声は、生活支援の相談窓口や福祉・保健の部署からも聞こえてくる。今年3月に公表された厚労省委託事業の「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の保健所調査によると、回答した保健所の45%が「支援の情報に乏しい」、42%が「家庭訪問の余裕がない」と答えた。 国から「ひきこもり地域支援センター」を受託している都道府県・政令指定都市などの相談窓口ですら、本来、引きこもり支援の担当とされているにもかかわらず、若者の「就労」「修学」を目的としている青少年部署が担当していて、「40歳以上の相談については他の適切な機関に紹介している」だけという、お寒い実情の自治体もある。 同じKHJ家族会の調査によれば、引きこもり支援担当窓口と位置付けられている、全国の「ひきこもり地域支援センター」と基礎自治体の「生活困窮者自立支援窓口」の半数近い48%の機関が「ひきこもり相談対応や訪問スキルを持った職員・スタッフがいない」、半数を超える56%の機関が「ひきこもり世帯数も未知数で、家族会の必要性があるかわからない」と回答。孤立した本人や家族が、せっかく勇気を出して相談の声を挙げても支援につながらず、絶望して諦めざるを得なくなる現実が、全国3ヵ所で開かれたKHJ主催のシンポジウムでも報告されている。 社会が「大人の引きこもり問題」を新たに認識する以前に、そもそも社会には40歳以上の当事者やその家族の存在が「見えていなかった」ということであり、「見ていなかった」だけのことだろう。もっと言えば、本当は彼らの存在が見えていたのに「見なかったことにしていた」という話なのではないか。 相談の行き場を失った本人や家族たちは、支援の枠組みから取りこぼされ、長い間、放置されてきた。これだけの数の人たちが行き場もなく高齢化させられている、その責任は誰にあるのか。調査を行ったから終わりではなく、8050問題が顕在化する事態に至った社会的な背景や、従来の支援制度が現実に即していたのかなど、当事者や家族にしっかりとヒアリングした上で、検証と総括も必要だろう』、その通りだろう。
・『40歳以上でひきこもった人が6割に上るという現実  今回の調査で興味深いのは、「40歳以上になってからひきこもった」と回答した人が57%に上った点だ。また、ひきこもった理由も「退職したこと」を挙げた人の数がもっとも多く、「人間関係、「病気」「職場になじめず」が続いた。 支援の在り方についての自由記述の中にも、「40代でも再スタートできる仕組みをつくってほしい」「在宅でできる仕事の紹介の充実」などを望む声があった。 これは「引きこもり」という心の特性が、従来言われてきた「ひきこもりは不登校の延長」「若者特有の問題」という捉え方ではなく、「社会に適合させる」目的の訓練主体のプログラムでは馴染まないことを意味している。むしろ、社会の側にある職場環境の不安定な待遇、ハラスメント、いじめといった「働きづらさ」の改善に目を向け、一旦離脱しても何度でもやり直せるような雇用制度につくり直さなければいけない。 また、「ふだん悩み事を誰かに相談したいと思わない」人は43%と、助けを求められずに引きこもらざるを得なくなる心の特性が示された格好だ。一方で「関係機関に相談したいと思いますか」の問いに、「相談したい」と答えた人は47%と半数近くに上るなど、いずれも39歳以下の若者層の割合より高かった。「どのような機関なら相談したいか?」という本人への設問に対しては、「無料で相談できる」「あてはまるものはない」が並んで多く、「どのような機関にも相談したくない」「親身に聴いてくれる」が続いた。 自由記述でも、「偏見を取り除くのが大切」「公的機関としては“外出できない人”の周囲を助けるアドバイスや支援があったほうがよい」「外で働けない人たちに報酬付きでやってもらう仕組みができれば」「何かのきっかけで、イキイキする人には、きっかけになるような場所を」といった声が寄せられた。 「引きこもり」とは、人との交わりを避ける場所でしか生きられなくさせられている状態であり、その状況や背景は1人1人それぞれ違って、一律ではない。そんな中で、『メディアが描いた引きこもり像とは違うから』と誤解を受けやすいのは、就労しても長続きせずに引きこもる行為を繰り返す「グレーゾーン」のタイプであり、実はボリューム層だ』、私も「ひきこもりは不登校の延長」と考えていたので、「40歳以上でひきこもった人が6割に上る」との結果には驚かされた。
・『社会に繋がろうと頑張るほど絶望が積み重なっていく  まったく働けずに引きこもっていた人に比べて、こうして社会につながろうとして頑張ってきた人ほど、絶望が積み重なっていく。自分の心身を騙して頑張ろうとするのは、自らの意思というよりも、周りのバイアスに追い詰められ、働かなければいけないと思わされている証左でもある。今は課題を抱えていても、身近に理解者が1人でもいいから傍にいて守られていれば、生活や心身面で困ったときに相談することもできる。 これからは、雇用されることが前提でつくられた従来の制度設計を見直し、1人1人が自分らしく生きていけるための仕組みづくりを構築ていかなければいけない。そのためには行政の支援の施策づくりに、まず家族や当事者を交えた協議の場を設ける必要がある』、その通りだろうが、現実には難しそうだ。

次に、同じ筆者によるこの続きを、7月11日付け「引きこもり当事者が教える「引きこもり学」の思わぬ反響」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/208372
・『「引きこもり当事者」が教える引きこもり経験から学んだこと  何もないところから居場所を立ち上げ、維持していくのは並大抵のことではない。 しかし、そんな地方の都市で、生きづらさを抱えた当事者たちが居場所をつくり、引きこもり経験者を講師とする「ひきこもり学」と題する講演会を開いたところ、川崎市の児童らの殺傷など一連の事件の影響もあって、定員を超える67人が参加。会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりだったという。 「社会には、居場所がない。皆、ひっそりと息をひそめて、自分を責めている」 6月23日、大分市内でこのように「ひきこもり当事者が、ひきこもり体験から学んだこと」という趣旨の講座を企画したのは、自らも当事者である佐藤尚美さんらがつくった「居場所~特性を生かす道~」。この日、実名で顔を出して講師を務めた桂木大輝さん(24歳)も、主催者の1人だ。 企画したきっかけは、KHJ全国ひきこもり家族会連合会が昨年、大分と宮崎の支部で開いた「つながる・かんがえる対話交流会」に、佐藤さんもファシリテーターとして参加したところ、「当事者の話を聞きたかった」という話を何度も聞いたからだという。 「確かに地方では、引きこもり当事者の話を聞く機会はなかなかない。そこで、当事者の中でも講師に合っていそうな桂木さんに声をかけたんですが、最初は『恐い』「と断られました。でも、『引きこもりながら自分を売って行く方法もあるよ』『居場所のみんなが全力で守るから』ってアドバイスして……。それでも、批判されるのでは?と恐がってました」(佐藤さん) 「居場所~特性を生かす道~」では、おしゃべり会を開催している。そこで佐藤さんは、桂木さんにもともと好きなコントの時間を割り当てた。すると、参加者たちが桂木さんのコントを評価。新聞記者から取材もされた。そのとき、本名を出すことを迫られ、悩んだあげく、「自分が広告塔になって、色々な傷ついてきた人たちが活動している私たちの居場所を知ってほしい」と決意したという。 会場は、県の社会福祉協議会に協力してもらい、無料で借りることができた。また、ツイッターでたまたま知り合ったIT企業、ゾディアックデザイン株式会社の社長から「面白いことをしている。お手伝いしましょうか」と声をかけられ、協賛金を出してもらえた。それでも講師代が出なかったため、当日の寄付金で賄った。 チラシは、居場所のアーティスト部門の当事者たちが作成。講演会当日も、スタッフの多くが当事者だったため、がくがく震えながら進行したという。 「ひきこもり学」をネーミングした佐藤さんは、「桂木さんが、いつも哲学などの学問的なことを考えていたので、『ひきこもり』とはどういうことなのか。広く社会の人たちに学んでもらいたい」と思ったという。まさに、当事者たちが発案して普及した、当事者が講師になって自由に思いや知見を社会に伝える「ひきこもり大学」の思想に似ている』、「つながる・かんがえる対話交流会」を地方でも開催しているとは、ご苦労なことだ。大都市だけの問題ではなく、全国的な広がりもありそうだ。
・『今も当事者を悩ます川崎事件の衝撃  当事者団体主催のイベントではあるが、参加者は一般の興味ある人や行政、当事者家族が多かった。最後まで立ち見して熱心に聞き入る議員の姿もあったという。 当日、会場からは「心に響きました」「勇気をもらいました」といった反応が多かったものの、一方で「甘えるな」という発言もあった。しかし、他の参加者には「知りたい」「聞きたい」という切実な思いの当事者や家族が多く、「今は、そういう話ではないんだよ」と、会場内で「甘えるな」の発言者を諌めるシーンもあったという。 「事件後、私の元に来た相談の中にも『孤立しているから、自分もそんなことしてしまうのではないかと不安なんです』と悩んでいたので、『私たちとつながっている限りは絶対にないから。大丈夫』と伝えました」(佐藤さん) 筆者のもとにも、孤立した人たちから「助けて」「恐い」「同じような仲間と出会いたい」といった相談は、今も続いている。同じ当事者仲間からの「大丈夫」の声がけは、きっと安心することだろう。 「私たちは、この居場所を1つの障害や特性にこだわらず、“ひきこもり”という大きなくくりの中に置きました。どうしたら前向きに生きていけるかをみんなで真剣に話し合って、大概は明るく終わっています」(佐藤さん) 今回、舞台を設定してもらい、顔を出して講師を務めることを決めた桂木さんは、「負けたくなかった」と話す。 桂木さんは高校2年のとき、引きこもった。中学時代、友人がいなくて浮いていたとき、身体の大きな同級生とその取り巻きに目を付けられ、集団で暴力的ないじめに遭ったときの傷も、間接的に影響しているのではと振り返る』、「孤立した人たち」のなかでも、相談する気も失せて、完全に孤立しているような人が問題なのかも知れない。
・『支えてくれる人たちがいればいくらでも外に立つことができる  「このまま外に出なかったら、学校やいじめた相手に負けてしまうという思いが今もずっとあった。引きこもりになったら、ずっと部屋から出ないというイメージとは違う。周りの支えてくれる人たちや環境があれば、いくらでも外に立つことができる。あのときいじめた相手のように、イエスマンを置かなければ何もできない人が日本には多い。でも、自分は1人でも堂々と立てることを、身を持って証明したいという思いも強かったんです」(桂木さん) 過去の職場での体験から、桂木さんは就労をあきらめ、今も仕事をしていない。両親のいる実家からは離れているものの、祖父の経営する旅館で生活しているため、ほとんど生活費はかからないという。ただ、今後は佐藤さんらと居場所での活動を拠点に、もともと好きだったコントの世界で生きていこうと修行中の身だ。 講師の謝礼金は会場からの寄付金で賄わざるえないものの、佐藤さんはこう話す。 「次回以降の公演で、大分市を離れて地方の街に行くと、参加者の数も少なくなり、募金も集まらないかもしれない。それでも活動を続けていく意味はあるかなって、みんなで話をしています」 次回の公演は、8月11日、別府市社会福祉会館で「第2回ひきこもり学」を開講する予定。お問い合わせは、会のホームページで・・・』、「このまま外に出なかったら、学校やいじめた相手に負けてしまうという思いが今もずっとあった」、という桂木さんの場合は、その負けず魂が救いになっているのだろうが、そんなバネを失っている人も多いのだろう。

第三に、6月15日付け東洋経済オンラインが「週刊女性PRIME」記事を転載した「一橋大卒、30年引きこもる56歳男性の心の叫び 「お母さんは死んでやるからね」に怯えた日々」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/286769
・『現在、全国に100万人以上いると推測されるひきこもり。近年、中高年層が増加しており、内閣府は今年初めて、40歳以上が対象の調査結果を公表した。一般的には負のイメージがあるひきこもり。その素顔が知りたくて、当事者とゆっくり話してみたら……。 中高年のひきこもり(母からの虐待)池井多さん(56)のケース 今年3月、内閣府は40~64歳までの中高年の「ひきこもり」が推計61.3万人と発表した。これは6カ月以上連続して「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが、家から出ない」「近所のコンビニには出かける」「趣味の用事のときだけ外出する」という“広義のひきこもり群”の数だ。15~39歳までのひきこもり54.1万人を上回り、大きな話題となっている。 今回お会いしたぼそっと池井多さんは56歳。仲間内では「ぼそっとさん」と呼ばれているが、ここでは池井多さんと記す。中肉中背、落ち着いた風情を漂わせ、低めの声でソフトに、だが論理的で知的な話し方をする彼は、国立の一橋大学を卒業している。断続的に30年にわたるひきこもりを経験、「基本的に今もひきこもりです」と微笑(ほほえ)む。 母親と、母に強制された父からの虐待によって、うつと複雑性PTSDを発症したことが原因だ。大人になるにつれて家族問題がこじれ、この20年近く両親と、8歳違いの弟とは没交渉、現在は体調と相談しながらひきこもり関連イベントのファシリテーターをしたり、英語やフランス語など語学の才能を活かしてネット上で欧米のひきこもりの人へのインタビューを行い、発信している』、「一橋大学を卒業して」も「断続的に30年にわたるひきこもりを経験」、どんな事情があったのだろう。
・『「死んでやるから」という母の脅し  「根っこは母からの虐待ですね。心身ともにですが、大人になって振り返ると、身体的なものより精神的なもののほうが悪影響を及ぼしている。いつも同じ構造の虐待が起こっていました。私が“スパゲティの惨劇”と呼んでいる虐待があるんです」 4歳から学校へ上がるくらいまでの話だ。夕方になると、母親が「何を食べたい?」と聞いてくる。だが、天真爛漫(てんしんらんまん)に答えられるようには育てられていない。もし食べたいものを言ったら全否定されるとわかっているから、「何でもいい」と答える。すると母は「何でもいいじゃわからない」と不機嫌になる。 「“スパゲティ食べたいでしょ?”と母親が言うわけです。“もちろん食べたい”と私は言う。父が帰ってくる時間を見計らったようにナポリタンを出してくるのですが、私は当時からグズでしたから、スイスイ食べることができない。 すると突然、母がキレてナポリタンの皿をシンクに叩きつける。そこにちょうど父親が帰ってくる。母は“この子が食べたいって言うから作ったら、こんなもの食えるかって捨てたのよ”と言いつけるわけです。父親は“そんなことをしたのか”と言う。母親の思いどおりのストーリーが完成して私は有罪が決定する」 私はほぼ口を半開きにしたまま聞いていたと思う。幼い子どもの気持ちを考えるといたたまれない。それだけでもすごい話なのだが、そのあとがもっと悲惨なのだ。 母は父に「怒ってやって」と命令し、父はズボンのベルトをとって彼を鞭(むち)打つ。彼は屈辱に耐えながら、時間が過ぎるのを待つしかなかった。 「母は有名大学出身のお嬢様で、父は高卒。だから父にとって母が言うことは絶対だった。父が母を諫(いさ)めたり反発したりするのを見たことがありません。あのとき父は何を考え、感じながら私を打っていたのだろうと思いますね」 さらに母は毎日のように、幼い彼に「言うことを聞かないと、お母さんは死んでやるからね」と言い続けた。 「それがものすごく怖かった。子どもにとっては、意地悪な母親でも母親なんですよ。おまえを殺してやると言われたら逃げるけど、死んでやると言われたら身動きがとれない」 以前、母娘問題で悩む女性に話を聞いたことがある。彼女も小さい頃から、母の意向と違うことをしようとすると「あんたがそんなことをしたら死んでやる」と脅されていたそうだ。だから「母の思いどおりの人形になるしかなかった」と彼女は泣いた。 池井多さんもそんな脅迫を受けていた。しかも父も渋々かもしれないが加担していた』、“スパゲティの惨劇”は確かに酷いが、毎日ではなく時たまなのだろう。しかも、食べ残しのスパゲティがその都度、「シンクに叩きつける」というのも不自然な気がするが、父は母の言いなりなのであれば、分かった上で演技していたのかも知れない。
・『強迫神経症に悩んだ人生の暗黒時代  「小学校低学年のころから死にたいと思っていました。本を読んで、理科室でシアン化カリウム(青酸カリ)を探したこともある」 小学校3年生から中学受験の勉強をさせられ、午前2時まで寝かせてもらえなかった。 その後、父の転勤で一家は名古屋へ。母は名古屋で塾を始め、かなりの収益を上げていたようだ。彼は引っ越し先の学校で「関東から来た異端児」といじめられていた。 「学校でも家でもいじめられて人生最大の暗黒時代でしたね。毎週日曜は、名古屋から新幹線で東京の塾に通わされ、いつも疲れていた」 そのころは強迫神経症に悩まされていた。不吉なことへの恐怖が強かったのだ。 「当時、同級生のお母さんが亡くなったんですよ。私はそれを聞いて、その同級生が触った机、触れたものなどにいっさい触ってはいけないと自分に言い聞かせた。そうしないと自分の母親も死んでしまうと思い込んだんです。そして実はそれが私の希望でもある。だからよけい怖い」 心の中に「母親なんか死んでしまえばいい」という願望があった。だがそれが現実になるのは怖い。恐怖感が募ると頭を激しく振り続けた。そうすると意識が遠のくから恐怖から逃れられる。だが、頭を振っているところを母親に見られると激しく叱られた。 「母は私に一橋大学に入ってほしかったんです。昔から、“東大生はバランスを欠いている、早稲田は下品、一橋生がいちばん”と言っていた。私は母が一橋生にフラレ、大学を卒業してすぐにあてつけのように高卒の父と結婚したんじゃないかと推測しています」 反抗期もなかったが、さすがに高校生になると、「母の言いなりになってたまるか」という気持ちが芽生えた。だからあえて1年浪人、そして一橋大学に合格した。 「東京に合格発表を見に来て受かっているとわかったとき、公衆電話から家にかけたんです。合格を伝えて、もし母が“おめでとう”とか“今までごめんね”と言ったら、私はすべて水に流すつもりでいた」 だが母は「あ、そう。早く帰ってきなさい」とひと言。 池井多さんの中で何かがキレた。このまま一橋大学を出て、母の望む一流商社マンになる。それが自分の人生かと思うと愕然(がくぜん)としたという。 東京の下宿や大学寮で暮らし始めたものの、講義には出ずバイトばかりしていた。それなのに就職活動では、やたらと内定が出る。 「でもある日突然、身体が動かなくなったんです。それが最初のひきこもりですね。このままスイスイ内定をもらったら母の思うつぼ、母を追認することになる」 当時、大人気の一流企業に内定していたのに、それを蹴って2年留年した。 「朝6時まで起きていて、食堂でうどんを食べて寝る。ただ、親から生活費をもらっていなかったから、塾講師のバイトは休めない。ぎりぎりまで寝ていて、這(は)い出して行く。地獄の苦しみでした」』、「このままスイスイ内定をもらったら母の思うつぼ、母を追認することになる」ので、「大人気の一流企業に内定していたのに、それを蹴って2年留年した」、大学4年にもなれば、世界が広がって、母にそれほど囚われなくなるのが普通だが、彼の場合はそうはいかなかったようだ。
・『死に場所を求め、海外で「外こもり」  本当は早く死にたかった。苦しくて医者に行き、うつ病だと診断されたが、死ぬ勇気は出なかった。 そこで彼は突然、「外こもり」をしようと考える。つまり海外で死のうと考えたのだ。 「どこで死のうかと考え、アフリカが浮かびました。子どもの頃から、母に“アフリカの子に比べたらおまえはどれだけ幸せか”と言われていたので、本当にアフリカの子が不幸なのか自分の目で見てから死にたいとも思った」 26歳のとき、彼はまずドイツの知り合いのところに身を寄せ、そこからアフリカへと渡った。スーダン、エチオピア、ケニア、内戦の激しかったモザンビークにも行った。 「放浪目的ではなく、自分では死に場所を求めていた。野宿したり安宿に泊まったり。いっそ殺されてもいいと思っていたのに無事なんですよね」 今思えば、自分にも見栄があったのだろうと彼は振り返る。働きもせずに日本にいるのはカッコ悪い、周りにも知られたくない、海外放浪ならカッコいいのではないか、と。 3年間、アフリカにいたが、「結局は死ねず、死なずだった」と自嘲ぎみに話す。そんなとき宿泊していた場所に、母親から「父が病気で死にそうだ」と連絡があった。あわてて帰ると、父は元気に会社に行っていた。 「実は母が私に会いたかったのではないかとひそかに思っていたんです」 その後は埼玉に転勤になった父親とともに団地で暮らすことになった。名古屋で塾を経営する母に代わって、「専業主婦の役割を押しつけられた」のだ。後に、留学から帰ってきた弟と暮らすことになる。一方で家庭教師をしたりアフリカの旅の話を書いて本を出版したりもした。 「たまたま私を評価してくれる国際ジャーナリストがいて、中国の取材を頼まれました。でも、やはり心身の状態がよくなくて、納得できる仕事はできなかった」 そのジャーナリストは1995年に亡くなってしまう。何かをつかもうとしていた彼の頼みの綱が切れた。そして弟との関係も悪化していた。 「留学から帰国した弟の態度が変わっていた。“ガールフレンドを連れてくるから、はずしてくれ”と5000円札を投げてよこしたことがあって、どこでそんな言い方を学んだのかと愕然としました」』、弟さんにしてみれば、「5000円札を投げてよこした」のはともかく、彼に家にいてほしくないというのは理解できる。
・『家族への手紙、原稿用紙700枚  1995年から1999年まで、彼はその団地でフロイトを読みながら、自分を模索し続けた。 「カーテンの外に光が見えるのがイヤだった。自分だけ置いてけぼりにされている気がして。昼も夜も雨戸を閉めて精神分析をしていました」 やはりこのままではいられない。家族の構造に問題があるのだから、解決すれば自分も普通に働けるようになるのではないか。彼はそう思った。 「家族にあてて原稿用紙700枚くらいの手紙を書いたんです。自分史みたいなものです。私の心をむしばんだ家族のゆがみについても書いた。最後は、家族会議を開きたいという思いで締めくくりました。4人で集まって問題点を話し合いたかった。ところが実家に戻った私に母は“何も問題なんかない”と言い張り、父と弟はだんまりを決め込んだ」 「愛されていた」。ただ1つその確認をしたかったのではないか。吐き捨てるように話をする彼を見て、そう思った。この世にいてもいい存在なのだと納得したかったのではないだろうか、と。 池井多さんは論理的で頭の回転も速く、なめらかに話をするが、話し終えたときの眼差(まなざ)しに、ときおり何とも言えない寂寥感(せきりょうかん)のようなものを漂わせることがある。私の思い込みかもしれないが』、心から相談できるような友人や、母を諫めてくれるような親戚はいなかったのだろうか。
・『母にはただひと言、謝ってほしい  彼は1人で、とある精神科クリニックを訪れ、福祉とつながって生活保護を受給することとなった。だが、彼の優秀さはここでも搾取される。クリニックが運営しているNPO法人の事務局長に任命され、8年近くただ働きをさせられたというのだ。 「治療過程の“作業”という理屈ですが、私は動き回って助成金をとってきたりもした。なんかおかしいと思っていたら、見事に切られました」 ある日突然、事務局長を解任されたという。 今、彼はその顛末を記事に書いたり、同様の被害者の話を聞き集めたりしている。 同時にひきこもりと老いを考える『ひ老会』も主宰、仲間たちとともにこの先を考えていこうとしている。 「母には無限に聞きたいことがあります。でも本当はひと言謝ってくれればそれでいい。それさえ高望みでしょうけど。恨みや憎しみがあまりに大きくて、もう感情としては出てこないんですよ」 彼は妙に穏やかにそう言った。あきらめが、うつになっている。まだ憎しみもある。 「怒りや恨みって、結局、マイナスの愛着なんです」 彼は今さら求めても無理だとわかっているのだ。それでも、どこかに残っている「子どもの頃の彼」が親の愛情を求め続けている』、彼を「8年近くただ働き」させた精神科クリニックというのは、悪質で踏んだり蹴ったりだ。母のことは諦めて、何とか自立してもらいたいものだ。「ひきこもり」の中では、例外中の例外なのだろうが、「ひきこもり」問題の多様性を示していることは確かのようだ。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 池上正樹 ”ひきこもり”問題 (その5)(「中高年引きこもり」調査結果の衝撃 放置された人々の痛ましい声、引きこもり当事者が教える「引きこもり学」の思わぬ反響、一橋大卒、30年引きこもる56歳男性の心の叫び 「お母さんは死んでやるからね」に怯えた日々) 「「中高年引きこもり」調査結果の衝撃、放置された人々の痛ましい声」 「ひきこもり中高年者」の調査結果 40~64歳の「ひきこもり中高年者」の数が推計約61万3000人に上った 大人の引きこもりは新しい社会的問題 様々な検討、分析を加えて適切に対応していくべき課題だ 引きこもる人たちの中核層が長期高齢化している実態については、多くの引きこもる当事者や家族、現場を知る専門家たちが、ずっと以前から指摘し続けてきていたことだし、各地の自治体の調査結果でもすでに明らかになっていたことだ 「8050(はちまるごーまる)問題」 全てのケアマネジャーが把握「8050問題」の深刻な実態 40歳以上でひきこもった人が6割に上るという現実 「ひきこもりは不登校の延長」「若者特有の問題」という捉え方ではなく、「社会に適合させる」目的の訓練主体のプログラムでは馴染まないことを意味 社会の側にある職場環境の不安定な待遇、ハラスメント、いじめといった「働きづらさ」の改善に目を向け、一旦離脱しても何度でもやり直せるような雇用制度につくり直さなければいけない 社会に繋がろうと頑張るほど絶望が積み重なっていく 「引きこもり当事者が教える「引きこもり学」の思わぬ反響」 「引きこもり当事者」が教える引きこもり経験から学んだこと 引きこもり経験者を講師とする「ひきこもり学」と題する講演会 「つながる・かんがえる対話交流会」 今も当事者を悩ます川崎事件の衝撃 支えてくれる人たちがいればいくらでも外に立つことができる このまま外に出なかったら、学校やいじめた相手に負けてしまうという思いが今もずっとあった 「週刊女性PRIME」 「一橋大卒、30年引きこもる56歳男性の心の叫び 「お母さんは死んでやるからね」に怯えた日々」 ぼそっと池井多さんは56歳 一橋大学を卒業している。断続的に30年にわたるひきこもりを経験 母親と、母に強制された父からの虐待によって、うつと複雑性PTSDを発症したことが原因 英語やフランス語など語学の才能を活かしてネット上で欧米のひきこもりの人へのインタビューを行い、発信 「死んでやるから」という母の脅し “スパゲティの惨劇” 父が帰ってくる時間を見計らったようにナポリタンを出してくるのですが、私は当時からグズでしたから、スイスイ食べることができない。 すると突然、母がキレてナポリタンの皿をシンクに叩きつける。そこにちょうど父親が帰ってくる。母は“この子が食べたいって言うから作ったら、こんなもの食えるかって捨てたのよ”と言いつけるわけです。父親は“そんなことをしたのか”と言う。母親の思いどおりのストーリーが完成して私は有罪が決定する 母は父に「怒ってやって」と命令し、父はズボンのベルトをとって彼を鞭(むち)打つ 母は有名大学出身のお嬢様で、父は高卒 強迫神経症に悩んだ人生の暗黒時代 大人気の一流企業に内定していたのに、それを蹴って2年留年 このままスイスイ内定をもらったら母の思うつぼ、母を追認することになる 死に場所を求め、海外で「外こもり」 家族への手紙、原稿用紙700枚 1995年から1999年まで、彼はその団地でフロイトを読みながら、自分を模索し続けた 実家に戻った私に母は“何も問題なんかない”と言い張り、父と弟はだんまりを決め込んだ 母にはただひと言、謝ってほしい 精神科クリニック NPO法人の事務局長に任命され、8年近くただ働きをさせられた 『ひ老会』も主宰
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働き方改革(その21)(安倍政権「就職氷河期支援策」で非正規労働者を食い物に、中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業、今後の日本で「賃金が際限なく下がる」と考えられるこれだけの理由 雇用制度改革が暗示する未来) [経済政策]

働き方改革については、5月20日に取上げた。今日は、(その21)(安倍政権「就職氷河期支援策」で非正規労働者を食い物に、中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業、今後の日本で「賃金が際限なく下がる」と考えられるこれだけの理由 雇用制度改革が暗示する未来)である。

先ずは、6月6日付け日刊ゲンダイ「安倍政権「就職氷河期支援策」で非正規労働者を食い物に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255430
・『政府が6月に閣議決定する「骨太の方針」に盛り込む「就職氷河期世代支援プログラム」に、あの竹中平蔵東洋大教授(パソナグループ会長)の影がチラついている。 支援策は、今後3年間で就職氷河期世代に当たる35~44歳の正規雇用者を30万人増やすと、聞こえはいいが、対策の柱に「キャリア教育や職業訓練を人材派遣会社などに委託し、就職に結びついた成果に応じて委託費を払う」と、人材派遣会社にとっていいことずくめの内容が含まれている。そこで「支援プログラムは竹中会長案件か」(厚労行政関係者)との見方が出ているのだ。 支援策の構想が持ち上がったのは、今年3月27日の経済財政諮問会議。議事録によると、議長の安倍首相は〈就職氷河期世代への対応が極めて重要〉とぶち上げ、竹中氏がメンバーに名を連ねる「未来投資会議」と連携しながら検討を進めるよう諮問会議に要請したのだ。 すると、4月10日の諮問会議では、柳川範之東大大学院教授と竹森俊平慶大教授ら民間議員が支援策の骨子を提言。柳川氏は〈民間事業者の協力を得て、官民一体、地域横断型で新規能力開発のプログラムを充実していく。その時には、やはり成果報酬型の業務委託なども積極的に活用していくということが大事〉と、人材派遣会社への委託と成果に応じた委託費導入の必要性を強く訴えている。竹森氏もこれに追随した。 この2人、実は“竹中一派”とみられている。柳川氏は、竹中氏が理事長を務める「SBI大学院大学金融研究所」の研究員。一般社団法人「G1」のシンクタンク「G1政策研究所」では、顧問を務める竹中氏と共に幹事として名を連ねている』、経済財政諮問会議は加計学園問題でも使われたが、利益誘導のためには使い勝手がよいようだ。それにしても、“竹中一派”は、柳川氏、竹森氏など錚々なる顔ぶれだ。
・『人材派遣会社を2度儲けさせる  竹森氏は、「日経ビジネスオンライン」(2009年7月22日)に「竹中氏は日本経済の恩人である」と題したヨイショ記事を寄稿している。竹中氏に近い人物が氷河期世代ビジネスの門戸を開いた格好だ。 氷河期世代計約1700万人のうち、非正規社員とフリーターは371万人で、世代全体の約22%を占める。そもそも、大勢の氷河期世代を不安定な就労環境に追い込んだのは、大規模な規制緩和を進めた小泉純一郎政権だ。当時、経済財政担当相だった竹中氏は小泉首相と二人三脚で04年に労働者派遣法を改定し、製造業への派遣を解禁。以来、非正規社員は増え続けた。それを今さら「救う」とは、どう見てもマッチポンプだろう。労働問題に詳しい法大教授の上西充子氏はこう言う。 「政府の方針は、氷河期世代を『救う』というより、商売の道具にしているように見えます。過去には規制緩和で派遣労働者を増やし、一部の人材派遣会社に儲けさせ、今度は不安定な雇用環境に陥った人たちを『救う』という名目でビジネスチャンスをつくる。人材派遣会社に2度、儲けさせている格好です。そもそも、氷河期世代の非正規問題は08年のリーマン・ショック後に表面化しています。過去に対策を打てず、今さら『救う』というのは、あまりにも無反省でしょう」 安倍首相と“竹中一派”は労働者を“金目”としか思っていない』、「人材派遣会社を2度儲けさせる」とは腹立たしい限りだ。

次に、健康社会学者(Ph.D)の河合 薫氏が6月18日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00028/?P=1
・『「働き方改革ってどうなんですか? 他の会社とかうまくいってるんでしょうか? いえね、なんと言うか、働き方改革って仕事よりプライベートを大切にする若い世代だけのためにあるような気がするんです」 こう話すのは大企業に勤める課長職の男性である。 職場では上からも下からも責められ、家庭では妻からも責められる中間管理職は、いつの時代も“会社の変化”のとばっちりを真っ先に受けてきた気の毒な存在である。その中間管理職が「働き方改革で追い詰められている」と言うのだ。 部下と上司の“働き方改革格差”は、今年2月に公開された日本能率協会のアンケート調査でも確認されている。働き方改革が進んだと実感する理由として「有休取得」「残業減」をあげた人が多かった一方で、「働き方改革実感なし」と7割が回答。年齢別では、20代が61.5%であるのに対し、40代は69.0%、50代では75.0%と、年齢が高いほど否定的な意見が増える傾向が認められていたのである。 そもそも「働き方改革」が「働かせ方改革」になってしまったことで、そのひずみがあちこちで表面化し始めているとは感じていたけど、管理職の“それ”は本人の自覚以上に深刻。そこで今回は「中間管理職の呪縛」をテーマにあれこれ考えてみようと思う。 まずは男性の現状からお聞きください。 「うちの会社は‥‥私も含めて‥中間管理職が疲弊しています。と言っても、ラインの管理職ではなく、現場付きのプレイング・マネジャーです。例の広告代理店の事件以来、長時間労働の締め付けがきつくなりました。 『部下に残業をさせるな!』と上からはことあるごとに言われますし、会社もSNS告発にかなり敏感になっているので、とにかくうるさい。部下にツイッターでブラック企業だの、パワハラ上司だの言われたら株価だって左右されるご時世です。 なのでどんなに忙しくても若い社員は一刻も早く帰さないとダメなんです。 すると必然的に管理職が、部下の業務を肩代わりするしかない」』、最もシワ寄せされているのが、「現場付きのプレイング・マネジャー」とはありそうな話だ。
・『件の中間管理職男性は続ける。 「もちろん業務の効率化も進めてはきました。でも、お客さん相手の現場は変えられないんです。今までやっていたことを『できない』とは到底言えません。 残業はこの1、2年で倍増しました。月100時間なんてのもザラです。 しんどいですよ。ただ、私たちの世代は残業やってなんぼで育ってきましたから、精神的な負担はさほどない。部下に長時間労働させて、万が一を心配するくらいなら自分でやった方がましです。 でも、健康不安はかなりあります。 つい先日も、大学時代の先輩が朝ランニングに行ったきり帰ってこなくて奥さんが心配してたら、途中で倒れて病院に運ばれてました。そんな話を聞くと、やはり怖くなりますよね。 働き方改革を進めれば進めるほど、自分たちの首を絞めているような気がします。ここまでして残業を規制する必要があるんですかね。体を壊すまで残業するのは本末転倒ですけど、そこは自分でコントロールすればいいと思ってしまうんですけど。あ、こういうこと言ってしまうのが、昭和の価値観なんですかね?」』、「残業はこの1、2年で倍増しました。月100時間なんてのもザラです」、確かに大変そうだ。「部下に長時間労働させて、万が一を心配するくらいなら自分でやった方がましです」、というのは多くのプレイング・マネジャーの本音だろう。
・『残業規制だけでは何も解決しない  ‥‥“部下の肩代わり残業”とは、なんともやるせない事態だが、男性はどこか他人事だった。残業を嘆きながらも、残業規制を批判するという、この世代によく見られる複雑な心情が垣間見られたのである。 そもそも残業削減が働き方改革の代名詞になっているけれど、残業ありきで成立している企業で「残業削減」だけに手をつけたところでできるわけがない。 本来であれば経営陣が経営判断として、業務量の調整、効率化に乗り出すべきなのに、中間管理職の上の人たち=上級管理職に「ひとつ、よろしく!」と押し付ける。 前述の男性の会社では、「部下の残業量は上司の無能のパラメーター」と言わんばかりに、「無駄な仕事を効率化する」という明確なミッションが管理職に課せられていて、業務を減らす権限はないのに、効率化だけを任されるという、なんともトンチンカンな事態が横行しているのだという』、「“部下の肩代わり残業”」とは言い得て妙だ。「業務を減らす権限はないのに、効率化だけを任されるという、なんともトンチンカンな事態が横行」、というのも本質を突いた鋭い指摘だ。
・『いずれにせよ、“日本株式会社”の歴史は「管理職の命」と引きかえに発展してきたと言っても過言ではない。 1970年代後半に中小企業の管理職層で心筋梗塞発症が急増した「過労死=KAROSHI」も、まさにそれだった。 第1次オイルショックで景気が冷え込み、国は企業に助成金を出すことで雇用を守った。ところが、助成金で不景気を乗り切った企業が、その後の景気回復に伴い人を増やすのではなく、少ない人数で長い時間働かせることで生産性を向上させるようになる。 このとき生まれたのが「残業」という概念である』、「残業」の歴史はもっと古いと思われるが、激化したのは確かに「1970年代後半」なのかも知れない。
・『残業という非日常が日常になってしまった  その後も「メード・イン・ジャパン」の需要は拡大しつづけ、企業は残業ありきで従業員を雇い、賃金も残業ありきで定着。やがて1990年代に入ると精神的なストレスでうつ病などの精神障害に陥った末の自殺である「過労自殺」が急増する。 会社を生かすために、管理職の生きる力が奪われていったのだ。 昭和後期から平成初期ににかけての管理職の痛ましい実態は統計的な分析からも確かめられている。 北里大学公衆衛生学部の和田耕治氏らの研究グループが、30~59歳の男性の死因および死亡前に就いていた職業のデータなどを、1980年から2005年まで縦断的に解析したところ、管理職の自殺率は1980年から2005年の25年間で、271%も激増し、管理職の死亡率が5年で7割も増加。さらに、心筋梗塞や脳卒中で亡くなる人は他の職種で漸減していたのに、管理職と専門職では70%も増加していたのである。 また、この調査では30~59歳の日本人男性の人口に占める管理職の割合も調べているのだが、1980~2005年の25年間で、8.2%だったのが3.2%と半分未満に減少していることもわかった。 つまり、もともと少ない人数が「残業」でこなしていた業務を、さらに少ない人数でやる羽目になり、そこに「生産性向上」という銃弾が飛び交う時代に突入したのである』、「管理職の自殺率」の激増、「心筋梗塞や脳卒中で亡くなる」「管理職と専門職」の急増は、確かに顕著で、悲惨な事態だ。
・『欧州では低い管理職の死亡率が高い韓国と日本  と、ここまでは国内のデータ分析なので、「それって日本だけのことじゃないでしょ? 世界的にも中間管理職ってリスクあるポジションなんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれない。 そこでその答えを探ろうとしたのが、東京大学大学院医学系研究科の小林廉毅教授らの研究チームだ。(「日本と韓国では管理職・専門職男性の死亡率が高い」) 調査では、デンマークやスイス、フランス、英国など欧州8カ国と日本および韓国の35~64歳男性の死亡データ(1990年から2015年)を分析。その結果、「日本の管理職や専門職の男性の死亡率が高い」という、いたたまれないリアルが確かめられてしまったのである。) 研究グループによれば、欧州は90年代から一貫して「管理職と専門職」の死亡率が低く、「事務・サービス系」「工場や運輸など肉体労働系」の死亡率が高い傾向が続いていて、デンマークやスイスでは10~14年の肉体労働系の死亡率が、管理職と専門職の2倍強だった。 ところが、日本では正反対の結果となってしまったのだ。日本では「管理職と専門職」の死亡率が急激に上昇し、2000年代に入り若干下がったものの、依然として高い傾向が続いていた。一方で、その他の職業階層での死亡率は継続的に低下していたのである。 2015年には10万人当たり357人で、事務・サービス系の1.4倍。主な原因はがんと自殺だ。 ちなみに日本同様、労働時間の長さが世界トップクラスの韓国でも管理職と専門職の死亡率が高いが、日本がバブル崩壊後急上昇したのに対し、韓国ではリーマン・ショック以降だったという。 研究グループの小林教授はこれらの結果に対し、「時間の自己管理が建前の管理職は、自らを長時間労働に追い込みがちだ」と指摘している。 自らを長時間労働に追い込みがち―――。 言葉はシンプルだが、その行動に至る「心」は実に複雑である』、「時間の自己管理が建前の管理職は、自らを長時間労働に追い込みがちだ」、というのは正鵠を突いた指摘だ。
・『今、健康な人が危なさを実感するのは難しい  私は一貫して長時間労働は規制すべきだと訴えてきた。だが、どんなに私が訴えたところで、「残業を規制するのはおかしい」という人たちには、私の言葉は全く届かなかった。 どんなに「長時間労働だけじゃなく、睡眠不足もダメなんです!」と訴え、「ほら、こんなエビデンスもあるんですよ!」と統計的に分析された結果を示してもダメ。 「週労働60時間以上、睡眠6時間以上」群の心筋梗塞のリスクは1.4倍で「週労働60時間以上、睡眠6時間未満」群では4.8倍ですよ、だの、1日の労働時間が「11時間超」労働群は「7~10時間」群に比べ、脳・心臓疾患を発症するリスクが2.7倍ですよ、だのと具体的に数字で示しても、今元気な人には全く実感が持てない。 「労働基準法の第1章第1条には『労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない』と書かれているにもかかわらず、日本の企業は違反、違反、違反を繰り返してきた。その間、何人もの人たちが大切な命を奪われているんです」と諭されても、全く腑(ふ)に落ちない』、「今、健康な人が危なさを実感するのは難しい」、というのは自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう「正常化バイアス」のためなのかも知れない。
・『悲しいかな、人は健康を害するまで「健康」の大切さがわからない。どんなに「たまたま生き残ってるだけですよ。明日死ぬかもしれませんよ」と脅されても苦笑いするだけ。 つい先日の講演会で「政府の残業規制を守ろうとすると会社がつぶれてしまう。従業員だって残業代が欲しいから働かせてくれって言うし、残業を悪とする流れが全く理解できない」と社長さんに問われたときもそうだった。 「法律は弱者に合わせるべきだ。どんなにやる気があって仕事好きでも、長時間労働と睡眠不足が心身をむしばむことは避けられない」と私が答えても、社長さんは「でも、ストレス耐性には個人差がある。会社がつぶれては元も子もない」と言い返した。 そこで「社長さんは、きっとうまくコントロールしてきたのかもしれません。でも、それはたまたま結果的にそうなっただけのこと。社長さんの気づかないところで、体を壊していたり、精神的に追い詰められたりして会社を離れていった人もいたんじゃないでしょうか」と諭したが、その社長さんは全く納得していない様子だった』、ここまで河合氏に諭されても「全く納得していない様子」の社長には、やはり法規制の網をかぶせるしかないのだろう。
・『経営者自身が自分ごとと認識しているかが問題  ところが、同じ会場にいた他の企業の社長さんが、とっさに手をあげ、 「今の河合さんのお話には涙が出ました。実は私の部下がくも膜下出血で倒れて亡くなったことがあったんです。なので自分が社長になったとき、最初に手をつけたのは業務の見直しでした」と言ってくれたのである。 つまるところ、1回でも長時間労働でヤバイ状態を経験していれば、経営者自らが業務の適正化に積極的に関わり、管理職も部下の肩代わりをするのではなく、上に願い出る。 が、その経験がない経営者は管理職の身代わり残業を「容認」し、管理職自身は悲鳴をあげながらも「自らを長時間労働に追い込んで」しまうのである。 誰もが「中間管理職は大変だよね」と嘆くのに、どういうわけか「中間管理職を守る制度」はほとんどない。会社の要である管理職の健康にもっとクローズアップする必要があるのではないか。 なんでも「見える化」、なんでも「数値目標」の時代なのだから、管理職の健康状態も見える化し、女性活躍推進に優れた企業を認定する「なでしこ銘柄」のような制度を作ればいいではないか。 「わが社の管理職の残業時間はゼロ。健康状態良好群は90%。モチベーション高群100%」とか。中間管理職の健康を守ることに、そろそろ真剣に乗り出してもいいように思う。 そして、どうか自分の体を守ってください。失った客は取り戻せても、健康は戻ってきませんから‥‥』、説得力溢れた主張で、諸手を挙げて賛成したい。

第三に、経済評論家の加谷 珪一氏が6月26日付け現代ビジネスに寄稿した「今後の日本で「賃金が際限なく下がる」と考えられるこれだけの理由 雇用制度改革が暗示する未来」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65489
・『2019年に入って、雇用に関する従来の常識がことごとく崩壊している。70歳までの雇用延長、役職定年、残業規制やパワハラ禁止など、ニッポンの会社員にとって、これまで経験したことのない変化といってよいだろう。年金や退職金の減額など、老後の生活を支える仕組みの機能不全も明らかとなっており、ますます混迷の度合いを深めている。 一連の雇用制度改正は、産業構造の変革を伴うものであれば効果を発揮するが、現状のままでは、際限ない賃金の低下をもたらす可能性が高い。雇用について、今、起こっている変化を整理し、今後の推移について考察してみたい』、不吉な予測だ。
・『「雇用延長」は確実に賃金を低下させる  一連の雇用制度改正の中でもっともインパクトが大きかったのは、やはり70歳までの雇用延長だろう。背景となっているのは、言うまでもなく年金制度の限界である。金融庁が5月にまとめた、人生100年時代に対応した資産形成の指針が炎上するという騒ぎがあったが、それは公的年金の限界をハッキリ指摘してしまったからである。 官庁がストレートな言い方で「年金はアテにならない」と明言したのは、おそらく初めてなので、多くの人がショックを受けたわけだが、これはあくまで表現の問題に過ぎない。公的年金が将来、減額になることは厚生労働省のシミュレーションなどですでに示されており、70歳までの定年延長も当然のことながら年金の減額を補完するための措置である。 定年が延長されれば、社員を今よりも長期間雇用する必要があるので、企業側は総人件費の増大を強く警戒することになる。企業側に総人件費を大幅に増やすという選択肢はないので、定年が延長されてコストが増えた分、若い世代の賃金が引き下げられるのはほぼ確実である。70歳までの雇用延長は平均賃金の引き下げ効果をもたらすだろう』、その通りだろう。
・『40代が年収のピークになる  定年延長に伴う総人件費の増大については、若い世代の賃金引き下げだけでは対処できないので、当然のことながら高齢社員の年収も大幅に引き下げられる。年収引き下げのタイミングとなるのが、役職定年と再雇用だろう。 企業は一定の年齢に達した段階で、高い役職に就いていない社員を管理職から外す、いわゆる役職定年を強化している。役職のない仕事に異動するタイミングで年収は大幅に下がる可能性が高く、次にやってくるのは60歳、あるいは65歳での再雇用をきっかけとした年収引き下げだろう。 企業は社員が希望すれば定年後も社員を再雇用する義務があるが、ほとんどの場合において年収は大幅に下がる。大企業や公務員の場合には7割程度、業績が悪い企業や中小企業の場合には5割になると思った方がよい。これからの時代は、役員まで出世する一部の人を除いて、40代が年収のピークとなる』、晩婚化で教育費のピークは年収のピークより遅れるとすれば、計画的な生活設計が必要だろう。
・『退職金が消滅  定年が70歳まで延長されれば、これは事実上の生涯労働といってよく、そうなると高額の退職金を支払う意味がなくなってしまう。 厚生労働省の調査によると2017年に大卒の定年退職者に企業が支払った退職金の平均額は1788万円となっており、5年前との比較で153万円減少した。20年前との比較ではなんと1083万円も減っている。事実上、退職金は消滅に向けて動き出したといってよい。 退職金は定年とセットになったものであり、定年制度が崩壊しつつある今、企業にとっては退職金を支払うメリットがなくなっている。退職金の支払いを前提したライフプランは、今後は成立しないと考えた方がよいだろう』、退職金を住宅ローンの返済原資にする慣行も変わらざるを得ないだろう。
・『残業規制は「生産性の低い企業」に大打撃  雇用に関する変化は、働く年月についてだけではない。これからは日々の働き方も大きく変わる。今年の4月から働き方改革関連法が施行され、残業時間に厳しい上限規制が設けられた。一連の制度改正は、多くの会社員に根本的な価値観の転換を迫ることになる。 日本において無制限の残業が認められてきたのは、終身雇用と年功序列の制度があったからである。雇用と賃金を保障する代わりに滅私奉公的な働き方を社員に求めてきた。一連の制度は、昭和の時代においてはうまく機能したが、今では生産性を引き下げる元凶となっている。 残業規制の導入は、企業の優劣を鮮明にする効果をもたらすだろう。 一部の企業では、残業規制の導入後、一律に残業時間を削減するという場当たり的な対応を行っている。業務のムダを見直さず、ただ労働時間だけを削減した場合、企業の生産量は確実に減るので、売上高と利益の減少につながる。生産性が上がらないと賃金も上げられないので、社員の年収がさらに下がるという悪循環に陥る。生産性の向上を実現できず、市場退出を迫られる企業が出てくるかもしれない』、「生産性の向上」のためには、企業の整理淘汰もある程度は必要なのだろう。
・『パワハラ防止法があぶり出す日本企業の経営実態  この状況にダメ押し的な効果をもたらすのが今国会で成立したパワハラ防止法である。これまでパワハラには明確な定義がなかったが、関連法の整備によって何がパワハラで何がパワハラではないのかハッキリすることになった。詳細な判断基準については現在、検討中だが、同僚の目の前で叱責する、大量の仕事を押しつける、仕事を与えない、といった行為は明確にパワハラと認定されることになる。 日本企業においては、パワハラと無制限の残業は事実上セットになっていた。生産性の低さを滅私奉公と暴力的な社風でカバーするという図式である。この両方が法律で明確に禁止されるので、低付加価値な企業は息の根を止められてしまうだろう。 日本の場合、企業は自由に社員を解雇することができない。諸外国において日本のようなパワハラ問題が存在しないのは、企業がいつでも社員を解雇できるからである。日本では、能力のない社員も含めて、全員を丁寧に扱い、かつ短時間で仕事を切り上げる必要がある。これからの時代における日本の経営者の負担は計り知れない』、「生産性の低さを滅私奉公と暴力的な社風でカバーする」のが不可能になれば、「低付加価値な企業は息の根を止められてしまう」のは避けられない。「企業は自由に社員を解雇することができない」というのは、大企業の正社員の話で、既に派遣社員などの非正規労働者をバッファーに使ってきたので、「経営者の負担は計り知れない」というのはややオーバーだろう。
・『強制転勤の禁止  パワハラ防止法と関連するが、一連の法改正によって、強制的な転勤を社員に命じるのも困難になってくるだろう。多くの日本企業では、辞令があれば、どこにでも転勤するというのが当たり前だった。しかし、近年になって転勤を拒否する社員が増えており、企業の中には、強制的な転勤を抑制するところも出てきている。 日本の転勤制度は、やはり終身雇用制度と密接に関わっている。企業のビジネスは時代によって変化するので、業務を行う場所も変化する。諸外国の企業であれば、新規事業を行う場合には、新しい場所で社員を採用し、余剰となった人材は解雇することが多い。日本ではそれができないので、雇用を保障する代わりに、転勤を受け入れるという暗黙の了解が出来上がっていた。 化学メーカーのカネカが、育休を取得した社員に関西への転勤を命じたことが明らかになり、大きな批判を浴びているが、パワハラ防止法が施行された後は、強制的な転勤もパワハラに認定される可能性があり、企業は慎重にならざるをえないだろう。だが、終身雇用を保証した状況で、転勤も強制できないとなると、企業はさらに手枷足枷をはめられることになる』、「終身雇用」は判例などの慣行に根差したもので、決して「保証」しているわけではない。企業の存続がかかった場合には、「強制的な転勤」も認められるのではなかろうか。
・『暴力的なまでの「企業間格差」拡大  一連の雇用制度の改正は日本に何をもたらすだろうか。 筆者は、優秀な経営者がリードするごく一部の優良企業と、それ以外の企業との格差が絶望的なまでに拡大すると予想している。 経営者の仕事は儲かる仕組みを構築することだが、これができる経営者はごく少数である。プロ経営者が少ない日本の場合なおさらだろう。ごく一部の優秀な経営者が経営する企業は、儲かる仕組みができているので、社員の労働時間は短く、社風は穏やかで、育休などの制度もしっかり完備されることになるだろう。生産性が高いので当然、社員には高い賃金を払うことができる。 だが、こうした企業は全体のごく一部であり、従来型の薄利多売のビジネスから脱却できない企業の方が圧倒的に多い。本来であれば、市場メカニズムによってこうした企業は退場させ、雇用も流動化させた上で、経済の仕組みを抜本的に再構築する必要があるが、大方の日本人はこうした施策を望んでおらず、一連の改正も現状維持を大前提にしたものとなった。 低い付加価値しか生み出せない企業は、これまで無制限の残業やパワハラまがいの労働環境で何とかしのいできたが、一連の制度改正後は、こうした施策も不可能となる。企業の体質を変えられない経営者にとって、残された手段は、賃金の引き下げと際限のないコストカットしかない。 これは、限られたパイを奪い合う経済なので、立場の弱い企業は、今後、さらに劣悪な環境に置かれることになる。高い付加価値を実現した企業には、人が殺到するので、優良企業に入社するためのレースは壮絶なものとなるだろう』、「暴力的なまでの「企業間格差」拡大」、は概ねその通りだろう。しかし、こうした整理淘汰を通じて、日本全体の生産性も向上していくのだろう。
タグ:竹森俊平 過労死 日刊ゲンダイ 経済財政諮問会議 日経ビジネスオンライン 1970年代後半 役職定年 現代ビジネス 河合 薫 柳川範之 働き方改革 加谷 珪一 (その21)(安倍政権「就職氷河期支援策」で非正規労働者を食い物に、中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業、今後の日本で「賃金が際限なく下がる」と考えられるこれだけの理由 雇用制度改革が暗示する未来) 「安倍政権「就職氷河期支援策」で非正規労働者を食い物に」 「就職氷河期世代支援プログラム」 竹中平蔵東洋大教授(パソナグループ会長)の影 「キャリア教育や職業訓練を人材派遣会社などに委託し、就職に結びついた成果に応じて委託費を払う」 支援プログラムは竹中会長案件か 安倍首相は〈就職氷河期世代への対応が極めて重要〉とぶち上げ “竹中一派” 人材派遣会社を2度儲けさせる 大勢の氷河期世代を不安定な就労環境に追い込んだのは、大規模な規制緩和を進めた小泉純一郎政権 竹中氏は小泉首相と二人三脚で04年に労働者派遣法を改定し、製造業への派遣を解禁。以来、非正規社員は増え続けた 今さら「救う」とは、どう見てもマッチポンプ 「中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業」 働き方改革って仕事よりプライベートを大切にする若い世代だけのためにあるような気がする 中間管理職が「働き方改革で追い詰められている」 「働き方改革実感なし」 年齢が高いほど否定的な意見が増える傾向 「中間管理職の呪縛」 現場付きのプレイング・マネジャー どんなに忙しくても若い社員は一刻も早く帰さないとダメなんです。 すると必然的に管理職が、部下の業務を肩代わりするしかない 残業はこの1、2年で倍増しました。月100時間なんてのもザラ 残業規制だけでは何も解決しない 残業ありきで成立している企業で「残業削減」だけに手をつけたところでできるわけがない 「無駄な仕事を効率化する」という明確なミッションが管理職に課せられていて、業務を減らす権限はないのに、効率化だけを任されるという、なんともトンチンカンな事態が横行 “日本株式会社”の歴史は「管理職の命」と引きかえに発展 「残業」 残業という非日常が日常になってしまった 1990年代に入ると精神的なストレスでうつ病などの精神障害に陥った末の自殺である「過労自殺」が急増 管理職の自殺率は1980年から2005年の25年間で、271%も激増し、管理職の死亡率が5年で7割も増加 心筋梗塞や脳卒中で亡くなる人は他の職種で漸減していたのに、管理職と専門職では70%も増加 欧州では低い管理職の死亡率が高い韓国と日本 「時間の自己管理が建前の管理職は、自らを長時間労働に追い込みがちだ」 今、健康な人が危なさを実感するのは難しい 人は健康を害するまで「健康」の大切さがわからない 経営者自身が自分ごとと認識しているかが問題 中間管理職の健康を守ることに、そろそろ真剣に乗り出してもいいように思う 「今後の日本で「賃金が際限なく下がる」と考えられるこれだけの理由 雇用制度改革が暗示する未来」 70歳までの雇用延長 残業規制やパワハラ禁止 一連の雇用制度改正は、産業構造の変革を伴うものであれば効果を発揮するが、現状のままでは、際限ない賃金の低下をもたらす可能性が高い 「雇用延長」は確実に賃金を低下させる 40代が年収のピークになる 退職金が消滅 定年が70歳まで延長されれば、これは事実上の生涯労働といってよく、そうなると高額の退職金を支払う意味がなくなってしまう 残業規制は「生産性の低い企業」に大打撃 パワハラ防止法があぶり出す日本企業の経営実態 日本企業においては、パワハラと無制限の残業は事実上セットになっていた 生産性の低さを滅私奉公と暴力的な社風でカバーするという図式 強制転勤の禁止 暴力的なまでの「企業間格差」拡大
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日銀の異次元緩和政策(その30)(日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言、骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む、参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定) [経済政策]

日銀の異次元緩和政策については、昨年8月10日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その30)(日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言、骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む、参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定)である。

先ずは、やや理論的だが、昨年9月26日付け東洋経済オンライン「日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは岩村氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/239310
・『自民党総裁選の討論会で、安倍晋三首相は日本銀行の異次元金融緩和について「何とか任期のうちにやり遂げたい」と初めて時期について言及し、注目を集めた。巨額の日銀の損失が予想される出口戦略について、どう道筋をつければよいのか。日本に初めて「物価水準の財政理論(FTPL)」を紹介し、積極的に金融政策への提言も行っている岩村充早稲田大学教授に具体的な日銀の出口対策を聞いた。 Q:日本銀行の量的金融緩和政策を理論面から支えてきた浜田宏一米イエール大学名誉教授が2016年にその理論に接して「目からウロコが落ちた」と語った「物価水準の財政理論」(FTPL、Fiscal Theory of the Price Level)。岩村先生は2000年ごろ、FTPLを日本に初めて紹介しましたね。 A:渡辺努一橋大学教授(当時、現在は東京大学教授)と一緒に日本のデフレを解明しようと試みているうちに、FTPLのような枠組みにたどり着いた。ただ、その頃は異端の説といった扱いで、なかなか真剣に取り上げてもらえなかった』、FTPLについては、2017年2月20日付けのこのブログで取上げたが、岩村氏が日本で最初に紹介したとは初めて知った。
・『FTPLによって、金融政策の限界は明らかだ  Q:簡単に言うと、FTPLとはどんなものですか。 A:物価水準がどう決まるのかという問題を解くとき、そこでの財政の役割を重視する理論だ。FTPLのポイントは、政府と中央銀行は財務的に不可分であることが貨幣価値の決定に影響を与えていると考えることだ。中央銀行は自国の政府が発行する国債を買い入れて貨幣を発行しているし、そもそも中央銀行の資本勘定は財政に帰属している。 現代の中央銀行は、国の有利子債務である国債を、無利子の銀行券その他のベースマネー(銀行券+中央銀行当座預金)に変換する社会的装置だ。政府と中央銀行を財務的に連結したものを「統合政府」と言うが、その統合政府の負債の大半は国債とベースマネーなのだから、これと統合政府の債務償還財源との資産負債バランスで物価水準が決まるはずというのがFTPLの出発点だ。 Q:「統合政府債務償還財源」というのは、聞き慣れない言葉ですね。 A:現在から将来にわたっての、税収その他の全財源から政府の支出を控除した残差についての人々の予想のことだ。だから、それには政府がその気になれば行える国有財産売却や歳出削減なども含まれる。重要なのは、この統合政府債務償還とは、貨幣価値で評価した名目額でなく、実物的な財やサービスつまり実質ベースで測った統合政府の「実力」への人々の評価であることだ。 Q:そして、FTPLは次のような簡単な式に表現されるわけですね。 A:P=(M+B)/S  P:物価水準 M:ベースマネー B:市中保有国債 S:統合政府債務償還財源 この式の意味は、長期的には、統合政府の負債(式の分子)と資産(式の分母)はバランスしなければならない。両者をバランスさせるように実質ベースの価値(式の分母)と名目ベースの価値(式の分子)との交換比率である貨幣価値が決まる。 つまりは、貨幣価値の逆数である物価水準が決まるということだ。たとえば、政府の国債発行が増えても、将来の増税や歳出削減などで財源(=統合政府債務償還財源)は確保されるだろうと人々が予想すれば、分子も分母も増えるため、物価は動かない。 Q:では、金融政策はこのFTPL式の中ではどこに登場するのですか。 A:分子の市中保有国債と統合政府債務償還財源は、現在から将来にわたっての割引現在価値で表現される。このうち市中保有国債の割引率に使われるのが名目金利であり、これは中央銀行の金融政策で決定される。金融政策で物価水準を操作できる理由はここにある。 一方、分母の統合政府債務償還財源は実質ベースなので、割引率は自然利子率(実質金利)なのだが、この自然利子率は技術や人口動態などの基礎的条件で決まってしまう。分母は金融政策では操作できない外部条件なのだ。 Q:FTPL式の中で金融政策はどう作用するのですか。 A:中央銀行が名目金利を引き上げれば、割引率の増加で分子の市中保有国債現在価値は小さくなるため、物価水準は低下する。反対に、名目金利を引き下げれば物価水準は上昇するはずだが、名目金利にはゼロの下限があり、日銀はずっと以前からこの下限にぶつかっている。もはや日銀による金利操作では物価を上昇させられない。 Q:FTPLで考えると、日銀の量的緩和政策に効果がなかったことがわかるということですね。 A:先ほど言ったように日銀は金利操作による物価支持力を失っている。そこで始めた量的緩和とは、日銀が大規模に市中から国債を購入して、その分をベースマネーとして市場に供給することだが、分子のベースマネーをいくら増やしても、同じ額だけ分子の市中保有国債が減るので物価には意味がないことは明らかだろう』、「統合政府債務償還とは、貨幣価値で評価した名目額でなく、実物的な財やサービスつまり実質ベースで測った統合政府の「実力」への人々の評価であることだ」、というのはずいぶん難しい概念のようだ。
・『ヘリマネなら物価は上がるが、制御不能のリスクも  Q:逆にいうと、市中保有国債を減らさずにベースマネーを増やすことができれば、物価は上昇するということになりますね。 A:それが、俗に言う「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」だ。2003年にジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が日本に提案した政府紙幣が典型例だろう。政府が将来的な回収への準備をせずに紙幣を刷ってばらまくなら、FTPL式の分子であるベースマネーだけを増やすことになるので物価は上昇する。 Q:FTPLでは、クリストファー・シムズ米プリンストン大学教授が日本に対し「インフレ目標が達成されるまで、消費増税と財政黒字化目標を凍結すると宣言したらどうか」と提案しましたが、どういう意味ですか。 A:これは、FTPL式の分母=統合政府債務償還財源の予想のほうに働きかけようとするものだ。ただ、このシムズ案がうまくいくかはいささか疑問だ。目標が達成されたら結局消費増税などが復活すると人々が考えれば、結局、統合政府債務償還財源への予想を変化させることはできないからだ。人々の期待に働きかける政策は難しい。 シムズ案以上に無理筋なのは、英国金融サービス機構(FSA)のアデル・ターナー元長官による、日銀保有国債の消却を行えという2016年の提案だ。彼は、日銀が持っている国債の一部をもともと存在しなかったことにして利払いも償還もやめてしまえと主張したわけだが、それをしても政府から日銀への元利払いが減る分、日銀からの国庫納付金が減るだけだ。それではヘリマネにすらなりそうもない。 Q:岩村教授は、日銀の量的緩和政策の出口について警鐘を鳴らしていますね。 A:日銀が保有する国債はすでに400兆円を超えたが、そのことは緩和終了時における金利上昇が、日銀保有国債の時価を大幅に下落させることを通じ、新たな危機を発生させてしまう可能性を示唆する。たとえば、日銀保有国債の金額が400兆円で、その元利収入見込額の加重平均期間が3年程度だとすれば、金利上昇幅がわずか0.5%でも現在価値損失額は6兆円、1.0%なら12兆円にもなる。一方、日銀の自己資本は8兆円ほどだから、日銀への信認は大きく傷付く。これが金融緩和の出口問題だ。 Q:インフレ目標に達しても、日銀が量的緩和を続けるという手はありますか。 A:異次元緩和で膨らみきったベースマネーを回収できないと思われてしまうリスクは無視しないほうがよい。いったん人々にそう思われるようになったら、その効果は回収のスケジュールがない政府紙幣の発行、つまりヘリマネと同じことになってしまう。ヘリマネの問題点は、それで生じた人々の期待が暴走すれば、制御の効かないインフレなど最悪の事態になる可能性があることだ。今の日本で必要なことは、期待の暴走が止められなくなることがないよう、いつでも日銀保有国債を市中に売却できるように準備をしておくことだ』、最後の部分はその通りだろう。
・『マネーを散布するが、回収も可能にしておく  Q:具体的な準備として、岩村教授は、日銀保有国債の変動利付き国債への転換と、新規発行国債の日銀引き受けとを提案していますね。これはどういう意味ですか。 A:ヒントにしたのは、新規発行国債は日銀が引き受けてしまい、日銀は市場の状況を見て保有国債を売却していくという戦前の高橋財政のスキームだ。ただし、今それを参照するなら、日銀が保有することになる国債の法的性格は工夫して、それが日銀の金庫の中にある間は「無利子の永久国債」とする一方、それを日銀が売却した後では、「変動利付きの国債」として利払いを復活させるというのが提案の骨子だ。 このほうが、政策メッセージとして明確だし期待暴走のリスクも制御できる。形式上、国債は市中消化されるが、その後は日銀がほぼ自動的に買い入れるという今の状況は、国民の眼を欺くものだ。 Q:大胆な政策であり、批判も起きそうです。 A:回収の見通しなきマネー供給はヘリマネと同じことだ。異次元緩和にしてもヘリマネにしても、そのいけないところは、往路(マネーの散布)はあっても復路(マネーの回収)の設計がないことだ。大事なのは、政策がヘリマネかどうかという分類学ではなく、その効果とリスクについての具体的な見極めだ。 2003年にベン・バーナンキ元FRB(米国連邦準備制度理事会)議長も変動利付き債への転換を提言したことがあった。異次元的な量的緩和に踏み込む前の日本への提言として必要だったかどうか別として、大規模緩和後の出口リスク対策としてなら理に適った議論だったと思っている』、日銀が「無利子の永久国債」を引き受け、「日銀が売却した後では、「変動利付きの国債」として利払いを復活させる」、というのは「戦前の高橋財政のスキーム」らしいが、日銀による売却時に、利払い義務を負う財務省が関与できないというのは、いささか不自然で、国債管理政策上も問題がありそうだ。「異次元緩和にしてもヘリマネにしても、そのいけないところは、往路(マネーの散布)はあっても復路(マネーの回収)の設計がないことだ」、というのはその通りだ。
・『市場の受け止め方は不確実、両方の動きに備えよ  Q:変動利付債への転換は、政府の財政規律にも影響を与えそうですね。 A:少なくとも「今は金利が安いから借り得だ」的な財政拡張論は抑制されるだろう。長期的には財政規律にプラスになる面もあるはずだ。 Q:仮に、変動利付き債への転換を発表するときは工夫が必要ともおっしゃっていますね。 A:今の日銀自身による出口論の封印にも同じことが言えるが、いくら日銀が、「復路もちゃんと考えている。それで適切かつ大胆に金融政策を運営するのだ」などと説明しても、それを受けたマーケットのセンチメントが、緩和という方向に大揺れするか、引き締め準備と受け取られるかは、不確実だ。私が、日銀保有国債の変動利付き債への転換と新規発行国債の日銀引き受けとをセットで行うことを提案しているのは、政策運営というものは、アクセルとブレーキの両方を備えるべきと思うからだ。 Q:ドル金利上昇で新興国通貨が下落したり、トランプ米大統領の貿易戦争が先鋭化したりと世界経済の先行きが不透明になっています。 A:米中対立による株価急落や南米諸国の財政破綻で次の危機があるかもしれない。そのとき、円の価値や物価期待がインフレ、デフレのどちら方向に動くかは不明だ。リーマンショックのときは円高、デフレ方向に動いたため、みんなは次も同じことが起きると考えているようだが、はたしてどうか。リーマンショックの時に円の価値が上がった理由だって、理論として完全に解析されているわけではない。今度危機が来たときに、日本政府の長期的な支払い能力が傷つくと予想されれば、円安、インフレ方向に動くこともありうる。 Q:日銀は金融政策の「のりしろ」、つまり景気が悪くなったときの政策余地がないと指摘されています。 A:だからこそ、ヘリマネとセットでの変動利付き債への転換を提案している。仮に円高、デフレ方向へのショックであれば、日銀はヘリマネ的な政策に追い込まれるだろう。変動利付き債転換で復路の設計ができていれば、それでもリスクは小さくなる。逆に、円安、インフレ方向へのショックなら、物価が上昇するため、日銀は量的緩和をやめ、マネーの回収に乗り出さねばならない。どちらになっても往路復路両方の設計があることが重要だ』、「政策運営というものは、アクセルとブレーキの両方を備えるべきと思う」、というのは日銀出身の学者らしい実務的で誠実な姿勢である。

次に、早稲田大学政治経済学術院名誉教授の藪下 史郎氏が6月12日付け東洋経済オンラインに掲載した「骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/285155
・『現在、日本はじめ世界の先進諸国は一様に異常な経済状況に直面している。ゼロないしマイナスの金利、天文学的とも言うべき金融の量的緩和にもかかわらず、多くの経済はいまだ力強い回復を取り戻せていない。 なぜバブル崩壊後の経済が長期不況に苦しまなければならないのか。なぜ伝統的な金融政策はそうした不況に対して総じて無力なのか。なぜ財政赤字が拡大しているのに長期金利が低下するのか。 こうした疑問に答える書として、リチャード・クー氏の新刊『「追われる国」の経済学』が高い評価を受けている。経済学の重鎮である藪下史郎氏が、クー氏が展開している経済理論の本質について読み解く』、クー氏はアメリカ国籍で野村総合研究所のチーフエコノミスト(Wikipedia)。かつては、経済誌に活発に寄稿していたが、現在も野村総研で活躍しているようだ。
・『金融政策が無力な理由  『「追われる国」の経済学』(以下、本書)で展開される議論の基礎となるクー氏の日本経済の捉え方は、以下のようにまとめることができるだろう。 資金の主たる借り手は民間企業であるが、高度成長期においては設備投資のための資金需要が旺盛であり、とくにアメリカなどの先進国の後を追う形で投資を拡大するため資金需要も増加した。そのときには物価・賃金も上昇してきた。この期間を黄金時代と呼んでいるが、日本は成熟経済であった。 しかし、物価・賃金の上昇と新興国による追い上げによって、日本経済の国際競争力が低下し、市場が奪われることになる。その結果、企業にとって投資機会が減少することによって、企業による資金需要がなくなる。すなわち、日本が追われる国になってしまい、資金の借り手の多い成熟経済から借り手のいない状況に変わってしまった。 さらに、クー氏が強調するのは、バブル崩壊による企業のバランスシートの悪化と企業行動の変化である。従来の経済学が前提とする企業は、利潤最大化に基づき投資と資金需要を決定したが、バランスシートが悪化した企業はそうでなく、債務の最小化、すなわちバランスシートの改善を目指して借金をできるだけ早く返済しようとする。 企業経営者にとっては、バランスシートの悪化で資金調達に苦労した経験がトラウマとして残り、利益最大化から債務最小化に企業行動が変化したために、資金需要がなくなったと主張している。 しかし、バランスシート問題を抱えた企業が債務を削減することが、企業の利益最大化原理の変更を必ずしも意味するものではない。すなわち、バランスシートが悪化した経営状況での資金調達コストや倒産リスクを考慮に入れると、投資収益との比較で債務減少が利益最大化にかなうものであり、債務削減は利益最大化行動の合理的決定の結果であると考えられるのではなかろうか。 こうした経済状況すなわちバランスシート不況では、ゼロ金利という超低金利の下でも、企業による資金需要がなくなるのである。 日本経済は現在こうした状況にあるため、従来の経済学に基づいた低金利政策は、バランスシート不況から脱却するためには無力であると、クー氏は主張する。黄金期で資金需要がある成熟経済には従来の金融政策が有効であるとしても、現在日本経済が直面している状況では無効であることを政策当局者や多くのエコノミストは理解していないと批判する。 すなわち、企業等の資金需要のある経済での金融政策は、中央銀行のマネタリーベース供給と銀行貸し付けによる信用創造を通じてマネーサプライを変化させ、実質金利をコントロールし景気調整を行う。しかしバランスシート不況の下では、企業の資金需要がないため、銀行信用を通じた貨幣乗数効果が働かない。そのため金融緩和政策はマネーサプライを増加させることができず、期待したような効果を及ぼさないのである。 金融政策が有効でなくなったときのマクロ経済政策として財政支出の増加を提言したのはケインズである。 ケインズ経済学では、失業の存在する経済不況の下で市場金利がゼロに近づき流動性のわなに陥った経済状況では、マネーサプライを増加させたとしても金利を低下させることができない。そのため金融政策は無効になり、有効需要を増加させることができなくなる。それに代わり、政府が財政支出を増加させると、有効需要に直接影響を及ぼし、その効果が国民所得、そして消費に波及し、乗数効果を通じて景気を刺激するとした。 こうしたケインズ政策に対して、ミルトン・フリードマン等のマネタリストは、財政支出による景気刺激策は有効でないと反論し、また多くのエコノミストも、財政支出のための政府の資金調達は、民間投資資金と競争的になるため、市場金利を上昇させるなどクラウディングアウト効果が働くため、乗数効果も小さいと主張してきた』、ケインジアンらしい主張だ。
・『景気対策の中心は財政政策に  クー氏は、民間企業の投資意欲が旺盛であり資金需要が大きい経済状況では、景気調整は財政政策よりも金融政策で行うべきであり、政府の資金需要が民間投資を押しのけるとしている。しかし民間の資金需要がない状況では、ノーマルの経済状況に回復させるためには、公共投資に依存するしかないと主張する。 経済が被追国になってしまったときには、魅力的な民間投資が見いだせない状況にあるため、経済を成長過程に戻すには社会収益率の高い公的投資に財政資金を回す必要がある。公共投資は、民間の私的投資と異なり、社会資本、教育制度の充実など、多くの企業の生産性を高め経済全体に外部性が及ぶことになる。 ただし、どのような公共投資を行うかは難しい課題であるため、一部集団のための利益誘導型政府支出にならないように独立した財政委員会を設立し、専門的技術・知識を有する委員によって、適切な公共事業プロジェクトを探すことが重要であるとしている。 こうした有能なスタッフからなる独立財政委員会の設立は容易なことでないように思われるが、超低金利のバランスシート不況の下では、その金利水準を上回る社会的収益率をもたらす公共事業プロジェクトを見いだすことができるだろうと、クー氏は比較的楽観的である。 クー氏の、こうした提言は、アベノミクスの第3の矢である成長戦略に密接に関係するものである。さらに、減税と規制緩和により、イノベーション、新規企業により構造改革を推進することを提言している。さらには、一般教育の充実など大学教育の改善などが、被追国の日本にとって不可欠であるとしている。 またこうした構造改革が成功し、資金需要が旺盛になる成熟経済に戻るまでには10年以上待たなければならないと予測している。これは、アベノミクスが成功したかどうかを判断できるのは安倍政権後であるということを意味している』、「その金利水準を上回る社会的収益率をもたらす公共事業プロジェクトを見いだすことができるだろう」、というのは確かに「楽観的」過ぎる。
・『ヨーロッパ諸国が抱える財政問題  被追国になったのは日本だけでなく、所得の伸び悩みが続いているヨーロッパ諸国も同じであるとしている。また、EU諸国がバランスシート不況に陥っているにもかかわらず、ヨーロッパの金融当局とエコノミストが、そのことを認識せず、黄金期の経験と従来の経済学に基づき低金利政策を推し進めていると、クー氏は批判している。 こうした不況には財政政策で対応すべきであるが、EUの財政赤字に関する規定によって各国がそうした財政政策を実行することができなくなっていると指摘している。 経済発展の過程で多くの国が被追国になるが、これから中国も同じようにルイスの転換点(注:工業化の過程で農業部門の余剰労働力が底を突く時点のこと)を迎えた後にどうなるのかは興味深い点である。ルイスの転換点を越えたアメリカが、なぜ現在でも日欧諸国よりも高い成長を遂げているかを知るのも、日本経済の将来を考えるうえで重要である。 これまでは、資金の借り手がある経済とない経済についての議論であったが、クー氏は資金の供給サイドについても貸し手がいる状況といない状況とを区別している。 貸し手がいない状況とは、金融機関の不健全化によって貸し渋りなどで資金供給が行われなくなる状況である。これもバブル崩壊の結果、不良債権の発生とその累積は、金融機関にバランスシート問題を引き起こしたため、貸付資金の回収や貸し渋りが行われた。 こうした金融機関の不健全化は、金融システム全体の不安定性をもたらす可能性がある。ある銀行のバランスシートや流動性の悪化が、健全な銀行にも信用不安を波及させ、銀行全体の持つ決済機能や貸し付け機能が破綻してしまう。 このように、銀行システム全体では銀行間で外部性が存在する。そのためシステミック・リスクを回避するためには、銀行への公的資金の投入などの金融当局による介入によって、信用不安が他金融機関に波及しシステム全体に広がるのを素早く阻止しなければならない』、一般論としては異論はないが、現在の銀行システムは不良債権問題は終了し、異次元緩和による超低金利により不安定化していると捉えるべきだろう。
・『過去の奴隷になってはならない  このように、外部性が存在するときには、それがプラスの場合でもマイナスの場合でも、市場に任せるのではなく、果敢な政府介入が必要になる。さらに、グローバリズムが進む世界経済で資本移動の自由化が、新自由主義の主張するようなプラスの結果をもたらしていない点でも、すべて市場メカニズムにまかせるという市場原理主義ではなく、現実主義的な政策が欠かせないのである。 主義・原理にむやみに従うのでなく、現実経済の動きを見て政策運営を行う必要があるとするのが、クー氏のメイン・メッセージの1つである。 クー氏は、日銀政策当局者、欧州中央銀行さらに多くのエコノミストは、彼らが学んだ経済学に基づく政策を遂行しており、現実の経済が変化したことを認識していないと批判している。この批判は、「どのような知的影響とも無縁であると自ら信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である」という、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』の一文を思い出させる。 本書の訳文は大変読みやすい。本書は多くの読者に対して、失われた20年と揶揄される日本経済やその将来を考える際などに多くの示唆を与えてくれるものである』、「すべて市場メカニズムにまかせるという市場原理主義ではなく、現実主義的な政策が欠かせない」、「日銀政策当局者、欧州中央銀行さらに多くのエコノミストは・・・現実の経済が変化したことを認識していないと批判」、などはその通りだろう。

第三に、7月11日付けJBPressが元ロイター記者で金融ジャーナリストの鷲尾香一氏による新潮社フォーサイト記事を転載した「参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56961
・『政府と日本銀行の軋轢が深まっている。 安倍晋三首相が6月10日、参議院決算委員会での答弁で「金融政策は目的をすでに達成している」と発言。アベノミクスの原動力ともなっていた、日銀の金融緩和政策の必要性を、ここにきて首相自らが否定する見解を示した。 これに対して、日銀内部では、「まったく想定していなかった発言」「日銀が進める金融緩和政策に対して、政府が梯子を外した」「安倍首相は本気でデフレ経済からの脱却を目指しているのか」などの声が上がった。 安倍会首相の発言は国民民主党所属の大塚耕平議員への答弁で、「日本銀行の2%の物価安定目標は一応の目的だが、本当の目的は雇用に働きかけ、完全雇用を目指していくこと。その意味で、金融政策は目標をすでに達成している」とした。 周知のとおり、そもそも、2012年12月に発足した第2次安倍政権で経済政策「アベノミクス」を打ち出し、金融政策・財政政策・成長戦略の「3本の矢」を政策の柱として、2%の物価安定目標に強力な金融緩和政策を行うように日銀に要請したのは、ほかならぬ安倍首相だった。 強力な金融緩和政策を実施するために、黒田東彦氏を日本銀行総裁に登用し、金利の引き下げや財政支出の拡大などにより景気を刺激し、景気回復を図る「リフレ(リフレーション)政策」に踏み出した張本人にもかかわらず、「日銀の金融政策は目的を達成した」と発言したのだから、日銀の受けた衝撃は大きかった』、安倍首相の発言は、まさに「日銀が進める金融緩和政策に対して、政府が梯子を外した」ことに他ならない。全く無責任極まる姿勢だ。
・『「出口戦略」容認のシグナルを意味する  この安倍首相の発言を分析すると、ある意図が浮かび上がる。 「物価安定目標は一応の目的」とし、「本当の目的は完全雇用」と位置付けているということは、つまり、アベノミクスの本当の目的は完全雇用であり、2%の物価安定目標ではないと定義したことになるのだ。それは、「金融政策は目的をすでに達成している」以上、金融緩和政策の正常化(いわゆる出口戦略)の開始を容認するというシグナルを意味しているのではないか。 この点について、安倍首相は先の国会答弁で、「それ以上の出口戦略云々については、日本銀行に任せたい」と明言を避けたが、安倍首相が日銀の金融緩和政策を重視していないのは明らかだ。 だが、そもそも日銀自身の金融政策目標に「雇用」は含まれていない。日銀に金融緩和政策を実施させることの「本当の目的は完全雇用」とは、安倍首相自身もこれまで一度も発言したことがなく、いかにも後付けのように聞こえる。 事実、日本銀行法の第2条では、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」とされており、“雇用の雇の字”も出てこない。 さらに問題なのは、第2次安倍政権と日銀の間で2013年1月22日に交わされた「政府・日本銀行の共同声明」の存在だ。 同声明には、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」ことが明記され、この目標達成にあたって、「政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組む」ことが宣言されており、政府と日銀の政策連携の合意文書と位置付けられている。 もし、2%の物価安定目標を放棄するのであれば、同文書を改訂するか、破棄する必要がある。もちろん、2%の物価安定目標を達成する前に、金融緩和政策の出口戦略を行うのであれば、同文書の改訂か、破棄が必要というのは、学者や学識経験者、金融実務家の間で言われていることでもある。 つまり、この文書がある以上、いくら安倍首相が「金融政策は目的をすでに達成している」と言っても、日銀は簡単に金融緩和政策の出口戦略に踏み出すわけにはいかないのだ。同文書の改訂か破棄をしないままで、日銀が出口戦略に踏み出せば、それは政府との政策連携の合意を日銀が反故にしたことになるからだ』、安倍首相は口頭での発言だけでなく、「政府と日銀の政策連携の合意文書」の「改訂か破棄」にも踏み込むべきだ。マスコミもこの点を追求すべきだ。
・『簡単に出口戦略に踏み出すわけにいかない理由  だが、安倍首相が日銀の金融緩和政策に重きを置かなくなっているのは、実は今に始まったことではない。 2018年9月14日に行われた自民党総裁選の討論会で、安倍首相は「異次元ではあるがやるべきことをやった。でも、ずっとやってよいとはまったく思っていない」と、日銀の金融緩和政策(いわゆる異次元緩和)について述べ、さらに、「よい形で経済が成長してきている中で、私の任期(2021年9月)のうちにやり遂げたい」と発言している。その後、麻生太郎財務相も「こだわりすぎるとおかしくなる」と発言しており、要するにすでに、政府は日銀の金融緩和政策に見切りを付けていたのだ。これについては、新潮社フォーサイト2018年10月18日の拙稿「カウントダウンが始まった『リフレ政策』終わりの始まり」を参考にしていただきたい。 いわば、政府から“三行半”を突き付けられた格好の日銀だが、“はいそうですか”と簡単に出口戦略に踏み出すわけにいかないのは、前述した政府との合意文書の存在だけが理由にあるわけではない。 そこには、「中央銀行の独立性とプライド」もさることながら、リフレ派で構成され“リフレ政策執行部”と揶揄される日銀の金融政策決定会合メンバー(審議委員など)の存在がある。2%の物価安定目標という“錦の御旗”を降ろし、金融緩和政策の出口戦略を開始すれば、それはリフレ派が自らの敗北を認めたことになるからだ。 安倍首相の「金融政策は目的をすでに達成している」との発言から10日後の6月20日、日銀の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は2%物価安定目標に向けた勢いが損なわれれば、「ちゅうちょなく追加緩和を検討していく」と強気の構えを見せた。 その上で、政府との政策協調について黒田総裁は、「中央銀行は財政赤字の穴埋めをする財政ファイナンスではない」とクギを刺したうえで、「仮に政府が国債を増発して歳出を増やしても金利は上がらないようにしている」と述べ、財政支出の拡大による国債の増発に対応していく意向を示した。さらに、それが、「結果的に財政と金融政策のポリシーミックス(政策協調)になりうる」と、政府に寄り添う姿勢を強調した。まるで、“浮気癖のある亭主(安倍首相)”を“健気に支える妻(黒田総裁)”とでも言えそうな関係ではないか』、「“リフレ政策執行部”」も、元々は安倍政権が両院の同意を得て任命したものだ。黒田総裁がこの段階になっても「府に寄り添う姿勢を強調」したとは、「御殿女中」の面目躍如だ。
・『日銀に、トランプ大統領という「援軍」  政府から冷たい態度をとられている日銀だが、思わぬ援軍が意外な方面から現れた。誰あろう、ドナルド・トランプ米国大統領だ。 2020年の再選を目指しているトランプ大統領は、景気底上げのため「1%程度の利下げ」をFRB(連邦準備制度理事会)に求め、政治的圧力を強めている。得意のツイッターで連日ジェローム・パウエルFRB議長の個人攻撃も繰り返している。 確かに、世界経済に陰りが見えていることも事実だ。日銀の金融政策決定会合の前日の6月19日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利の据え置きを決定したが、その後の記者会見でパウエル議長は、「世界景気の力強さに懸念が生じている。多くのメンバーが金融緩和の必然性が高まっていると考えている」と述べ、利下げに転じる可能性を強く示唆した。 実際、米国対中国の貿易戦争が大きく影響し、米国の主要経済指標には悪化が目立っている。自らが仕掛けた対中戦争でありながら、その結果で自国経済に陰りが見え始めるや、トランプ米大統領は7月のFOMCで金融緩和政策への転換を図るように繰り返し圧力をかけ、パウエル議長を理事に降格させる可能性までほのめかしている。 パウエル議長が利下げに傾く背景には、2020年にトランプ大統領が再選すれば、2022年に任期の切れるパウエル議長が解任され、その後任にトランプ大統領の“意のままに動く人物”が座り、FRBの独立性にとって危機的な状況が生まれることへの懸念もあるのだろう。7月のFOMCで利下げが実施される公算は高い。 米国では金融政策の正常化に向け、2015年末以降に9回の利上げを実施しており、ECB(欧州中央銀行)も金融政策の正常化を打ち出していた。それがここにきて、米国は金融緩和政策への転換、ECBは政策の先行き指針を変更し、年内の利上げを断念している。 金融緩和政策から金融政策の正常化という世界的な流れの中で、“1人取り残されて”金融緩和政策を継続している日銀にとって、世界経済の悪化懸念、トランプ米大統領の利下げ要求は、再び金融緩和へと戻りつつある世界の潮流に乗り、日銀の金融政策の正当性を主張するための“神風が吹いた”ようなものと言えよう』、日銀にとっては「“神風が吹いた”ようなもの」なのかも知れないが、超低金利の是正を密かに期待していた銀行にとっては”悪夢”が続くことになる。
・『政策の失敗を選挙の争点とされたくない  自民党関係者は、「金融庁による老後には2000万円の資金が必要という金融庁の報告書の問題があったが、すでに突入した参院選挙で国民生活に関わる政府の失策が争点となることは避けなければならない」と危機感を示す。 安倍首相が要請し、日銀が進める金融緩和政策では、低金利政策による利ザヤの縮小により、銀行の収益が急激に悪化するなど様々な副作用が出ている。安倍首相が出口戦略をチラつかせた背景には、政策の失敗を選挙の争点として追及されたくないとの気持ちの表れであることは明らかだ。 だが、6年もの間、2%の物価安定目標を目的に政府と日銀が政策連携として実施してきている金融緩和政策を、安倍首相の「金融政策は目的をすでに達成している」との一言で片づけるのは、あまりにも無責任というほかない。 せっかくの国政選挙である。政府には、国民に対して説明する義務と責任がある』、安倍政権は、「国民に対して説明する義務と責任」とはどうやら無縁のようだが、少なくとも金融政策に関しては、きちんと果たしてもらいたいものだ。
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