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クール・ジャパン戦略をどう考えるか [経済政策]

昨日予告したように、今日はクールジャパン戦略を取上げよう。これは、民主党政権の2010年に経済産業省を中心に始まり、現政権でも引き継がれている。国が300億円を出資してクールジャパン機構を設立し、民間企業からも出資106億円を募るなど、官民共同で海外へ日本の文化を売り込む事業を展開。
背景には、世界では拡大しているコンテンツ市場が日本では縮小、海外での積極的なコンテンツ産業振興策、特に韓流戦略の成功などがある。現在の政策の狙いについては、経済産業省が本年3月に公表した「クールジャパン政策ついて」(URLは下記)によれば、①「衣」「食」「住」やコンテンツ(アニメ、ドラマ、音楽等)をはじめ、日本の文化やライフスタイルの魅力を付加価値に変える(「日本の魅力」の事業展開)。②新興国等の旺盛な海外需要を獲得し、日本の経済成長(企業の活躍・雇用創出)につなげる。というもので、政府の「成長戦略」を支える柱の1つ。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/150325CJseisakunitsuiteMarch.pdf

予算などの規模は、経済産業省などの該当ページを見てもよく分からないが、日本経済研究センターが2013年7月に発表した「クールジャパン戦略への処方箋」によれば、2013年度予算・財政投融資・前年度補正を含め総額976億円と前年度の368億円から著増したとのこと。ただ、これは補正で出資分500億円が計上されたことによる面もあり、現在の規模はその分減っていると思われる。

では、成果はどうだろうか。最新の実績を、「2013年度クールジャパン戦略推進事業 事業成果」(2014年5/月26日発表、URLは下記)で見ると、成果が出たものも多いが、目標を大幅に下回ったものも多い。例えば、下記のP1の映像コンテンツを活用した「MADE IN JAPAN」中華圏・東南アジア進出企画では、イベント来客数、売上などは目標自体が高目だった可能性があるとはいえ、成果数値は目標の1/10程度とさんざんだったが、定性的評価ではそれらへの反省もなく、前向きに評価。P11のクール・ジャパン商材を核とした「クール・ジャパン マート」構築事業プロジェクトも同様。P13のアニメ・ゲーム×ファッションアイテムin Thailand プロジェクトの成果はさらにさんざんであった。思わず失笑が漏れるほどの惨憺なる成果であるのに、それへの反省もなく、継続されている。無論、数値で表せないような成果もあったとは思うが、ここまで政府が「旗を振る」必要があるのかと、首を傾げざるを得ない。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/140526CJ.pdf

さらに問題含みなのは、一番上のURLの19頁目以降にある機構がリスクマネー供給(機構が出資・管理とともに、事業案件組成、経営支援等も一体的に実施。現在、6件の投資案件)を行うことや、日本政策金融公庫がクールジャパン関連として、低利で海外展開資金を融資することである。案件を厳しく審査するのであればいいが、安易に流れると将来に不良債権として禍根を残す恐れがある。

クールジャパン戦略につぃての、アニメの編集者とコンテンツ提供会社社長の下記対談では、「米国人の友人に「自分のことクールって言うのがまずクールじゃないけど、それって何?」と笑われました」、「サブカルチャーは、市民レベルからわき起こるものが面白い」などと、現在のやり方を前向きな姿勢で批判。
http://biz-journal.jp/2014/04/post_4661.html
なお、NHKのBS番組「COOL JAPAN」は2008から放映しているので、政府のクールジャパン戦略に沿ったものではない。内容面では、在日外国人を中心に日本人には気づかないような日本の魅力を取上げる番組なので、時には鼻につくもあるとはいえ、なかなか面白い。しかし、クールジャパン戦略に沿った内外での各種イベントについてのマスコミの熱狂的とも思える報道が急増していることとも相俟って、昨日指摘した「日本スゴイ」を結果的に煽っていることは確かだろう。

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