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ふるさと納税制度 [経済政策]

今日は、安部政権の「地方創生」の「目玉政策」の1つであるふるさと納税制度を取上げたい。
5月9日付けの日経新聞は「ふるさと納税、トップは長崎・平戸市 昨年度、特産品目当て浮き彫り」を伝えた。そのポイントは以下の通り。
・全国の自治体で2014年度に最も多くのふるさと納税を集めたのは長崎県平戸市。お礼に配る干物が人気で14億6272万円を集めた。同じく魚介類が人気の佐賀県玄海町が2位、牛肉を配る北海道上士幌町が3位と続いた。特産品を目当てにふるさと納税をする人が多い実態が改めて浮き彫りに。ふるさと納税を紹介する民間サイト「ふるさとチョイス」が14年度の実績をまとめた

次に、5月13日同紙夕刊は「ふるさと納税が急増 確定申告不要、利用広がる」を報道。そのポイントは以下の通り。
・2015年度から条件付きで確定申告が不要になったのを受け、4月の寄付額が前年の約20倍に増えたり、過去1年分を超えたりする例が各地で続出。利用者層も一般の会社員や若者らに広がってきた
・ふるさと納税は自治体への寄付額のうち2千円を超えた分を税金から差し引く制度。寄付の上限額は年収などによって異なるが、1月からおおむね2倍に拡大。一般の会社員には手間だった確定申告も、4月から5自治体までの寄付については不要に
・人気を支えているのが寄付者に贈られる返礼品だ。4月の寄付額が16倍の6700万円になった大阪府泉佐野市は「7月をめどに現在111品目ある返礼品を2倍近くに増やす」(政策推進課)という。ただ、高額な返礼品で寄付者を獲得しようとする競争も過熱、総務省は自治体に自粛を要請。一方で、東日本大震災で被災した岩手県釜石市では、返礼品を用意していないのに4月の寄付額が前年同月の6倍の約500万円に

そこで、ふるさと納税制度の問題点を正面から論じたものとして、慶應義塾大学 経済学部教授の土居丈朗氏が、2014年10月20日付けの東洋経済オンラインに寄稿した「謝礼品合戦の「ふるさと納税」をどうする? 地方創生の「目玉政策」の問題点と解決策」を紹介しよう。そのポイントは概ね以下の通り。
・ふるさと納税という名ではあるが、税制上は寄附。また、寄附先は出身地にこだわらず、どの自治体でもよい。1万円の寄附をすると、税負担が8000円軽くなる
・寄附を受けた自治体が仮に、寄附者に謝礼品として5000円分の地元の特産品を贈ったり、その送料や謝礼品を贈るなどの事務作業のために雇った事務パートへのバイト代で1000円を払ったりしたとする。すると、寄附を受けた自治体は、残りの4000円を収入として得ることができる
・ふるさと納税をした人は、2000円の負担で、5000円の価値のある謝礼品をもらえる、ということなら「お買い得」ということで、気に入る特産品がもらえるならふるさと納税をしてもよいと思う人が増えているという
・ふるさと納税をした人も「お買い得」、寄附を受けた自治体も収入増、地元の特産品生産者も地元の雇用者も所得増、といいことずくめのように見える
・しかし、1万円のふるさと納税で、国は所得税収が1600円減り、居住地の自治体は住民税が6400円減る。結局はゼロサムゲーム
・これまで、謝礼品は寄附額の3~5割という暗黙の了解があるとされるが、最近では8割返しの謝礼品もあったという。謝礼品として地元の特産品を贈れば、地場産業の振興にもなるし、地元のPRにもなる。さらに、ふるさと納税に関わる事務などで地元の雇用を促進することにもなる
・しかし、謝礼品合戦を見ると、何か本末転倒と思う人もいるかもしれない。居住地の自治体からは行政サービスを通じて便益を得ているのに、ふるさと納税によって居住地の自治体への税負担を免れている、というのでは応益負担の原則に反するという批判も
・寄附は個人の自由であることと、ふるさと納税は寄附税制の一環であるとの原点とを踏まることが重要。謝礼品合戦は、寄附税制の趣旨に反しかねない
・地方税制を所管する総務省は、謝礼品の送付について「適切に良識を持って対応」するよう求めている。現時点では、各自治体の「良識」に委ねられている。しかし、ふるさと納税を寄附税制として位置づけるなら、単に自治体の「良識」だけに委ねるべきでない。なぜなら、税制優遇のある寄附は、自治体だけでなく非営利法人にも認められているからである。税制としての整合性が問われる
・寄附税制としての整合性に鑑みれば、非営利法人が得た寄附金が不特定多数の者の利益の実現を積極的に目指すべく用いられるならば、地方自治体もそうであるべき
・ふるさと納税で得た寄附金は、それを受けた自治体の行政(公益を追求)のために用いるのが基本で、謝礼品は(非営利法人で許されている程度に)特定の者の利益を増やすことがない範囲で認める、というけじめが必要。謝礼品を贈るとしても、特定の業者ばかりでなく、地元の多くの業者に薄く広く発注できるような形で謝礼品を用意するなどの工夫が要る
http://toyokeizai.net/articles/-/50954

土居丈朗氏の指摘は、政府の審議会などに多用されているだけあって、「控え目」だが、ポイントはついている。私自身は、地方税制を乱すこんな制度は廃止すべきと考える。新聞記者もふるさと納税を面白おかしく取上げるちょうちん的な記事ばかりでなく、マイナスの側面やそれを如何に是正していくかという視点での記事も書いてほしいものだ。
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