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国家主義的経済政策:安倍首相の携帯料金引下げ検討指示 [経済政策]

今日は国家主義的経済政策:安倍首相の携帯料金引下げ検討指示 を取上げたい。
このブログでの国家主義的経済政策のカテゴリーに属するテーマとしては、4月4日の「賃上げ要請」、12日の「乱立する官民ファンド」、5月31日の「アベノミクス批判」に続くものである。

先ずは、9月15日付け日刊ゲンダイ「失政の責任を携帯会社になすりつけ 安倍首相の“異常な発想”」のポイントを紹介しよう。
・14日の日経平均は3営業日続落。下落相場に拍車をかけたのが、情報・通信株の全面安だ。NTTドコモの前営業日比9.8%もの下落をはじめ、KDDI8.5%安、NTT6.5%安、ソフトバンク5.5%安――と業種別の下落率は断トツ。株主にすれば、安倍首相にとばっちりを食わされたようなもの。安倍首相の唐突な“人気取り策″のせいで、大幅安に見舞われたからだ
・人気取り策とは、11日夕の経済財政諮問会議で安倍首相が「ケータイ料金の家計負担の軽減は大きな課題」とし、所管の高市総務相にいきなり指示を飛ばした「携帯電話料金の引き下げ検討」のことだ。料金を下げたら当然、通信会社の業績は落ちてしまう
・この日の諮問会議で民間議員4人が連名で「家計を元気にし、消費活動を活発化」と題した資料を提出。2人以上の勤労者世帯の通信費が過去10年で、16万2000円から18万8000円に増加し、家計に占める割合は4.9%と10年間で2割上昇した旨が記されていた
・「このデータに首相は“ビビッと来た”のでしょう。どうやら“個人消費が伸びないのはケータイ代が高いからだ”“ケータイ代を下げればサイフに余裕が生まれる”“国民も歓迎するはずだ”と思ったようです。すぐさま、通信費引き下げの検討を指示。甘利担当大臣も会議後の会見で『総理から引き下げについて検討せよという指示が出た』と強調し、記者団に“きょうの会議の目玉はココ”と言わんばかりで、記事を書かせたくて仕方ないようなムードでした」(官邸事情通)
・そりゃあ、月々の通信費が安くなれば国民は喜ぶだろうが、ちょっと待って欲しい。日本は本来、自由主義経済の国だ。時の政権トップの一存で、月々のケータイ代の上げ下げまで決めてしまうのは、どう考えたっておかしい
・「ドコモやソフトバンクなどの通信キャリアーは政府に許認可権を握られた立場です。力関係を考えれば政府方針に従わざるを得ないでしょう。でも個人消費が冷え込んでいるのは、ケータイ会社のせいではない。消費が振るわないのはアベノミクスの失敗が招いたものなのに、政府が強権を発動し、失政の責任を民間の通信会社になすりつけるとはメチャクチャです。日本は中国や北朝鮮ではないのです
・経済3団体に賃上げ圧力を加えた『官製春闘』も同じですが、首相は自由主義経済の根幹に触れる“タブー”を平気で侵そうとする。消費も支持率も上がらぬ焦りから来る人気取りでしょうが、極めて危うい政治手法です」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
・ナチスのヒトラーも当初は「労働者の味方」のように振る舞ったものだ。歴史上の独裁者は常に弱者の味方として登場してきたことを忘れてはいけない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/164010/1

次に、より理論的なものとして、元経済産業省官僚で現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の岸 博幸氏が、9月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「携帯料金引き下げ」を安倍首相に言わせる内閣府の浅知恵」のポイントを紹介しよう(▽は小見出し)。
▽携帯料金の引き下げは安倍首相の指示で決まった!?
・小泉政権時はこの諮問会議が経済運営の司令塔となりましたが、そこで改革を牽引したのは4人の民間有識者が提出する“民間議員ペーパー”でした。しかし、今やその諮問会議も、官僚主導の運営の下で経済運営の司令塔どころか政府の普通の審議会の一つに成り下がったと言われるようになって久しいくらいに、その地位が地盤沈下してしまいました
・そうした中、先週11日に開催された諮問会議に関する報道を見て私はギョッとしました。安倍首相が「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題だ」と発言したと報道されていたからですが、これは事実上、安倍首相が携帯料金の引き下げを指示したようなものです
▽諮問会議と内閣府の官僚は志が低いのではないか
・そこで気になって当日の諮問会議の資料をネット上でチェックしたところ、改めて諮問会議、具体的には民間議員と会議の運営を担当する内閣府の官僚の志の低さにガックリしてしまいました
・その理由の第一は、諮問会議の問題意識が低過ぎるということです。4~6月の経済成長率が年率でマイナス1.6%、消費も実質賃金の伸びもマイナスであったことからも明らかなように、食料品などの価格上昇に賃金上昇が追いついていないため、消費税増税から丸1年経ったにも拘らず、GDPの6割を占める消費はまだ弱いままです
・中国経済の低迷が長引くであろうことも考えると、このペーパーの“2.課題(注;内需主導経済の停滞)突破のためのアジェンダ”の最初に、家計への働きかけによる消費の活性化を掲げているのは正しいですが、その具体策としては、賃金増や政府による支援拡充とともに“家計支出に占める割合が高まっている情報通信の競争環境の整備”という項目が掲げられています
・要は、増税や円安などによって家計の支出が増えていることから、それを少しでも減らすべく、国際的に比較して高いと言われる携帯料金に目をつけたのでしょうが、それが本当に正しいでしょうか
・というのは、通信など家計が支出するインフラコストのうち、この数年でもっとも上昇したのは電力料金です。実際、東電管内ではこの4年で家庭向け電気料金は2割上昇しています。また、水道代の地域格差は実は大きく、自治体間で最大10倍近い料金格差があります。その他、引き下げるべきインフラコストはたくさんあるのです
・それなのに、なぜ敢えて携帯料金の引き下げだけに言及しているのでしょうか。おそらく、総務省がSIMロックの解除などを進めており、格安スマホ会社の通信回線を使えば毎月の携帯料金は3000円ほど下げることが可能になったので、それを成果にできると官僚たちが考えたのではないでしょうか。しかし、だとしたらあまりに浅知恵すぎます
・もし携帯料金に言及するならば、家計のインフラコスト全般を引き下げるべきです。 更に言えば、本当に家計と消費へのテコ入れを考えているなら、霞ヶ関の各省庁で検討が進んでいる秋の補正予算で、低所得家計向けの政府の補助も検討すべきであり、それを諮問会議が主張してもおかしくないはずです
・それらに何も言及せず携帯料金だけに言及というのは、政策屋のペーパーとしては失格、0点です
▽一国の総理に“携帯料金引き下げ”を言わせてよいのか?
・第二の理由は、内閣府の事務方が準備したであろう総理の発言要領がひど過ぎるということです。諮問会議のペーパー上は“家計支出に占める割合が高まっている携帯料金等の家計負担の軽減(注)る情報通信の競争環境の整備”という政策的に正しい表現なのに、安倍首相の発言では“携帯料金等の家計負担の軽減”と携帯料金の引き下げを匂わす、より直接的な表現になっています(注:「す」が落ちている可能性)
・通常、諮問会議での総理の発言は内閣府の事務方が用意しますので、おそらく分かりやすさを考えて“競争環境の整備”ではなく“携帯料金の負担の軽減”という言葉にしたのでしょうが、そもそも通信自由化で規制緩和が進んだ結果、今や携帯電話などの通信料金は認可制ではなく届出制になっていることを考えると、総理に携帯料金引き下げに言及させること自体が間違っています
・かつ、総理が自由化されたはずの通信料金引き下げに言及すると、やはり日本は資本主義を掲げながら自由競争ではないのかという誤解を海外に与えかねませんし、更に何より、世界第3位の経済大国のリーダーが様々なインフラコストの中でわざわざ携帯料金だけに言及というのは、なんだかあまりに低レベルで、情けないのではないでしょうか
・ついでに言えば、この不用意な発言の結果として、NTT本体を含む通信4社の株価は諮問会議開催後の数日でだいぶ下落し、この4社の時価総額は14~15日で4兆円も減少したと言われています。その責任は政府の誰も取らないのでしょうか…
・ちなみに、このペーパーを見ると、携帯料金の問題以外にもっと深刻な問題にも気がつきます。安倍首相が、「安保法制の次は経済」と明言しているように来月からはまた経済の再生に集中しようとしているのに、諮問会議は官僚が嫌がる改革を進める気はないということです
・それは、このペーパーの2.に列挙されている政策の中身を見れば明らかです。課題設定は正しいのに、その実現のために必要な厳しい改革は何も指摘されていません。雇用制度、農業、社会保障制度、地方分権などの分野でやるべき改革の方向は明確なのに、所管省庁や族議員、民間の既得権益者が嫌がるような厳しい改革には一切触れず、役人的に実現可能なことが羅列されているだけです
・もしここで列挙されている事項が秋以降の経済運営と改革のベースになるとしたら、安倍首相の言葉とは裏腹に、少なくとも成長戦略について何も期待できないのではないでしょうか
▽消費税再増税に賭ける財務省の志の高さ
・それと比べると、財務省は立派と言わざるを得ません。メディアでは連日、再来年の消費税再増税の際に導入される軽減税率の具体策を巡る報道が行なわれていますが、気がつくと、すべての報道で再来年の再増税が既定路線となっており、その前提で軽減税率をどうするかというトーンになっています
・しかし、よく考えたら、軽減税率の議論も大事ですが、前回の消費税増税から1年以上経ったのに消費は弱いまま、かつ中国経済の低迷が長期化するのが確実な中で、本当に再来年に消費税の再増税を行なって大丈夫かという議論も並行して出てきても良いのではないでしょうか
・そうなっていないのは、おそらく財務省が各メディアや有識者にしっかりと根回しした結果ではないかと思います。軽減税率の財務省案を世に出したタイミングも、安保関連法案と自民党総裁選の両方の帰趨が見えた段階と完璧です
・財務省からすれば、軽減税率の具体策をどうするかには、柔軟に対応する用意があるはずですが、その一方で再来年の再増税はマストですから、初志を貫徹して戦略的に組織全体で動くその志の高さには、政策の方向性と中身はともかくとして敬意を表すしかありません
・経済を担う諮問会議や内閣府の志は非常に低い一方で、財政を担う財務省は非常に志が高い。この状況で安倍政権が秋から経済に集中してしっかりした成果を出すためには、内閣改造後は官邸主導をよほどしっかりと徹底しないと無理ではないでしょうか
http://diamond.jp/articles/-/78733

安部発言を伝えた日経など一般紙は批判色を抑えた報道で、私は違和感を覚えたが、ここで紹介した2つの記事でようやくそれなりに納得できたため、今日、紹介した次第である。
「消費税再増税に賭ける財務省の志の高さ」は18,19日のブログで取上げた通りである。
そもそも自由主義経済のもとで、個別の価格決定に介入する今回の首相指示は、欧米諸国の首脳が聞いたら腰を抜かさんばかりに驚くだろう。安部首相は、よく欧米諸国と「価値観を共有している」と強調するが、裏でこうした介入政策を採るようでは「共有」とはほど遠い難いといえよう。
「賃上げ要請」、「官民ファンド」とも共通するのは、政治家や官僚にとっては、こうしたコントロール手法は、自分たちの権限拡大にもつながり、誠に都合がいい政策だということである。こうしたいわば「国家主義的経済政策」は、安部首相が尊敬する祖父の岸元首相らの戦前の「革新官僚」にルーツがあるのかも知れない。
タグ:ヒトラー 独裁者 日刊ゲンダイ 経済財政諮問会議 ダイヤモンド・オンライン アベノミクス批判 賃上げ要請 国家主義的経済政策 安倍首相の携帯料金引下げ検討指示 乱立する官民ファンド 失政の責任を携帯会社になすりつけ 安倍首相の“異常な発想” 情報・通信株の全面安 ケータイ料金の家計負担の軽減は大きな課題 指示を飛ばした「携帯電話料金の引き下げ検討」 通信キャリアー 政府に許認可権を握られた立場 個人消費が冷え込んでいるのは アベノミクスの失敗が招いたものなのに 失政の責任を民間の通信会社になすりつけるとはメチャクチャ 焦りから来る人気取り 当初は「労働者の味方」のように振る舞った 常に弱者の味方として登場 岸 博幸 「携帯料金引き下げ」を安倍首相に言わせる内閣府の浅知恵」 小泉政権時 諮問会議が経済運営の司令塔 民間議員ペーパー 官僚主導の運営 政府の普通の審議会の一つに成り下がった 内閣府の官僚の志の低さにガックリ 諮問会議の問題意識が低過ぎる 食料品などの価格上昇に賃金上昇が追いついていないため 消費はまだ弱いまま 家計が支出するインフラコストのうち この数年でもっとも上昇したのは電力料金 ではこの4年で家庭向け電気料金は2割上昇 SIMロックの解除 格安スマホ会社の通信回線を使えば 毎月の携帯料金は3000円ほど下げることが可能になった 浅知恵すぎます 家計のインフラコスト全般を引き下げるべき 総理の発言要領がひど過ぎる 安倍首相の発言 携帯料金の引き下げを匂わす、より直接的な表現 通信料金は認可制ではなく届出制 総理に携帯料金引き下げに言及させること自体が間違っています 自由競争ではないのかという誤解 海外に与えかねません わざわざ携帯料金だけに言及 低レベルで、情けない 通信4社 時価総額は14~15日で4兆円も減少 諮問会議は官僚が嫌がる改革を進める気はない 実現のために必要な厳しい改革は何も指摘されていません 成長戦略について何も期待できない
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