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企業不祥事(神戸製鋼などの部材不正)(その4)(役員エレベーターと不正発覚の不機嫌な関係、東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃、神鋼ショックが原発にも 大飯・玄海再稼働延期の裏事情) [企業経営]

企業不祥事(神戸製鋼などの部材不正)については、昨年12月3日に取上げた。今日は、(その4)(役員エレベーターと不正発覚の不機嫌な関係、東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃、神鋼ショックが原発にも 大飯・玄海再稼働延期の裏事情)である。

先ずは、健康社会学者の河合 薫氏が12月5日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「役員エレベーターと不正発覚の不機嫌な関係 人間だもの、社長さんだって“愚か”になります」を紹介しよう(▽は小見出し、+は段落)。
・今回は「経営者が経営できなくなる時」というテーマで、あれこれ考えてみる。 ちょうど2カ月ほど前、大手メーカーに勤務している中間管理職の人たちとちょっとした会合があった。 参加者は4人。うち2人は海外駐在経験者である。  会合ではさまざまな情報交換に加え、“無責任な上司”の話で盛り上がった。
・というのも、ちょうど「瀕死の部署を再生したら、左遷されちゃった!」の回を公開した直後で、「あれ、メチャメチャわかります!」と1人が言い出した途端、「うちもうちも!」と“上”への不満が吹き出したのである。
 +「うちの会社ってちょっと儲かると、すぐ経営コンサルタントを雇うんです。でも、それって現場には何の役にもたたない。現場、現場で課題は違うし、仕事は常に想定外の連続です。はっきり言って意味ない。意味があるとすれば、効率化とか生産性向上に『ちゃんと取り組んだ』と、上が満足するってことぐらいです」  「えっと、コンサルにはどれくらい払うんですか?」(河合)  「正確な数字はわからないけど…、億は払ってますよ」  「それくらい払ってるでしょうね。うちもこないだもコンサルが入りましたよ。ずっと隣にいるから邪魔でしょうがない(笑)」 
▽存在感ゼロの社長に存在意義はある?
 +「今の社長ってやたら数字に強いんですよ。それはそれでいいんですけど、数字のことしか言わないから、何を考えているかのメッセージが全然伝わらない」  「社長のメッセージって、年頭の挨拶とかそういうのですか?」(河合)  「毎週、月曜朝に社長から社員全員にメールが届くんですよ。数字ばっかで最後まで読める人、いないと思います。っていうか、読もうって気にもならない」 
 +「いやいや、うちはメールはないけど社長の顔も見たことないですよ。ホントに存在してるのか? って、部下が疑うほど存在感も影響力もないですから(笑)」  「うちは逆です。やたらと出たがりで、年頭に役員一同が全国を回って講話するんです」  「トップが一つひとつの現場に行くだなんて、いい会社じゃないですか!」(河合) 「でもね、どこに行っても同じことしか言わないし、社員と交流の場もないんですよ。テレビ会議でいっせいにやれば、現場の負担が減るのに~ってみんなグチってますよ」
 +「うちは海外の支店を年に1回社長が回るんですけど、国賓並みの待遇で迎えなきゃならない。わけわからないでしょ」(←海外駐在時の話) 「うちはそこまですごくはないですけど、お付きの人が多すぎ。現地のスタッフは“マイケル!”って呼んでますよ」  「マイケル??」(河合)  「マイケル・ジャクソンです(笑)」 ……etc、etc。
・トップが聞いたら凹んでしまうかもしれないけど、これが“現場の声”です。 下は“上”に不満を募らせ、上は“下”を嘆くのは万国共通。最初は初対面ということもあり、お互い遠慮し抑え気味に話していたが、コラムの話題になった途端、ここにも書けない“意味不明”っぷりを「これでもか!」というほど教えていただき、大いに参考になりました。
・で、最後に彼らに私の「長年の問い」をぶつけることに。 「なぜ、トップがそんなに無能でも、会社はつぶれないのか?」と。 一応私なりの仮説はある。が、当事者の彼らに確かめたかった。 
・すると……… 「何を言ってるんですか河合さん。社長が何もしなくても、会社は回るんです」と異口同音の回答が返ってきた。 「現場レベルには優秀な人がいる」 「やるべきことはだいたい決まってる」 「社長の承認を得なくてもチャレンジできることは多い」 「例え失敗しても経営を揺るがすほどの損失にはならない」
・ふむ。予想通り、まさしく「ディルバートの法則」である。 「組織の生産性に直接的に関係しているのは組織の下層部で働く人たちで、上層部にいる人たちは生産性にほとんど寄与していない」(byスコット・アダムス)
▽組織に何が足りなかったのか?
・「でも、通貨危機とか、外部環境が大きく変わったら、いくら現場が頑張ってもダメですよね?」(河合)  「そのとおり」(全員うなずく)  「あと、不正の内部告発への対応とか?」(河合)  「そうだね」(全員うなずく) 
・……その2カ月後、 神戸製鋼所、三菱マテリアル、日産自動車、スバル、そして、東レ……。 彼らと話していたことが現実になった。 次々と報じられる“大企業”やその子会社の不祥事は、まさしくデジャブ(4人は該当企業の社員でありません。念のため)。
・もちろんこれらの“不正”発覚が、内部告発によるものなのかどうかは定かではない。 実際、神戸製鋼所の不正問題が発覚した直後、産経新聞の取材に応じた前社長の佐藤広士相談役は、「内部告発だったのか」との記者の質問にこう答えている。 「工場からの申告だ。(川崎博也会長兼)社長が品質管理を徹底しようと、もう一度全工場の問題点を洗い出し、その中で分かったことらしい。発表が連休中になったのは、分かったことを早急に発表しようとしただけで、他意はない」(ソースはこちら)。
・だが、神戸製鋼の副社長は、「改ざんは10年くらいまえから」と日本経済新聞の取材に答えた(こちら)が、それを聞いた元社員が、 「少なくとも40年前には、製造現場で『トクサイ(特別採用)』という言葉を一般的に使っていた。今に始まった話ではない」 と告発(こちら)。
・東レにいたっては、元社長で現相談役の榊原定征氏は経団連会長としての記者会見で、 「極めて残念。日本の製造業に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ。(問題は)発覚した時点で可及的速やかに報告しないといけない」 と不正発覚問題に言及。 その翌日、東レが榊原氏の社長・会長在任中に、タイヤ補強材などの製品データを一部改ざんしていたことが判明した。 しかも、東レの日覚昭広社長は、子会社の不正を把握してから発表までに1年4カ月も過ぎていることについて、 「今月初めにインターネット上に改ざんに関する書き込みが出るまで、問題を公表するつもりがなかった」 と明かしている。
・また、日産の西川廣人社長は、 「不正の原因は、工場の課長と係長の間のコミュニケーションにギャップがあった」 と記者会見で述べたが、社内から「現場に責任を押し付けるのか!」と大ブーイングが起こり、会見の翌日、 「自分たちにも責任があった」 と釈明した(こちら)。
・これが日本を代表するメーカーの“トップ”かと思うと情けなくなってしまうのだが、とにもかくにも“風通しが悪い”。企業という一つの共同体で、上と下がつながっていない、というかトップが「つなぐ努力をしていない」のだな、きっと。
▽役員エレベーターがあってもなくても
・私はこれまでたくさんの企業を取材させていただいたり、多くの企業に講演に呼んでいただいたが、“問題”を抱える会社は例外なく上と下が断絶していた。 で、大抵の場合、その断絶は“見える”。 
 +「役員専用のエレベーター」のある会社
 +「ナマ社長」を社員が見たことない会社
 +「役員専用フロア」がある会社
・具体的にはこんな具合だ。 ちなみに先の会合に参加した4人の会社は、上記の条件をすべて満たしていた。ということは……。これ以上考えるのはやめておこう。 「役員専用のエレベーターやフロアがあって何が悪いんだ!?」と思われるかもしれないけど、仮にあったとしても「社長に下とつながる本気」があれば、やがてそれは無駄なものと化す。
・私がこれまで取材した経営者のうち、生産性を上げ、世界で通じるワザを持っている企業のトップは、誰一人として社長室に座り込んではいなかった。 あるトップは毎朝社内を1時間かけて歩きまわり、 あるトップは社食で従業員たちと食事をし、 あるトップは社長室にバーを作り、社員と夜通し飲んでいた。 それぞれのやり方で、それぞれの考えで、社員と“人”としてつながる場や機会を意識的に作り、“walking management”を実践していたのだ。
・かつてJALが経営危機に陥ったとき、西松遙社長(当時)が社員たちと同じ空間に机を並べ、同じ社食で昼食をとり、同じ通勤手段を使い、同じ通用門、同じエレベーターを使っていたけど、とどのつまり、社員が人ならトップも“人”。
・今回の不正発覚問題の原因は、さまざまな専門家の方たちがそれぞれの専門的な知識で説明しているけど、健康社会学的には実にシンプル。 「“人”であることを忘れた結果」――。と、私は考えている。
・「今の会社にきて、いちばん戸惑ったのは社長室がないことでした。 いつも部下たちに見られているから、すごい緊張する。ちっともくつろげない。ホントにイヤだった。 でもね、だから前の会社で失敗したんだってことがよくわかった。
・孤立してちゃ、経営はできない。社長は外の人とつながるのは一所懸命だけど、いちばん大切なのは社内でつながることなんですよ」  ある企業のトップだった方が、こんな話をしてくれたことがある。 彼は10年ほど前に、現場の不正の責任を取って辞任。社員400人の企業から、20人の企業に移った。
▽どんな人物でも愚かになり得る。人間だから。
・前職時代にインタビューしたときには、ブランドもののスーツでビシッと決めていたけど、このときはラフなジャケットにノーネクタイ。 服装の変化にも驚いたけど、目線の低い話し方になったことに驚嘆した。
・当たり前のことだが、社長も人。どんなに高い知性と、先見性と、並外れた能力を持っているトップでも、基本的には“人”。ということは、どんな人でも愚かになる可能性がある、ってことだ。 人は誰しも過ちをおかす。感情的になることもあれば、傲慢になったり、保身に走ることだってある。
・その弱さを克服するために、人は他者とつながり、他者と協力することで生き延びてきた。信頼という関係性を築くことで、愚かになったり、自分勝手になった際の保険を掛けたのである。 企業の中でも同じことだ。 上と下が“つながる”にはその場の空気、すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を共有できる“場”が必要不可欠。
・冒頭の会合で“下”は「毎週月曜日に社員全員にメールする社長さん」「年頭に現場に出向いて講話する経営陣」を嘆いていたけど、おそらく“上”はそれでつながると思い込んだ。 でも、“下”はつながらなかった。  「見る(視覚)、聞く(聴覚)」だけでは、心は“つながった”と認識できない。
・元気な会社のトップが歩き回り、昼食を共にし、社長室のバーで語りあったように、触れる(触覚)、匂う(臭覚)、味わう(味覚)が満たされて初めて心と心の距離感が縮まっていく。 タバコの好き嫌いはさておいて、「喫煙室の会議」が盛り上がる一因も、五感の共有なのかもしれない。
・多くのリーダーシップ論には「クオリティータイム(質の高い時間)」の重要性が書かれているけど、実際には「クオンティティータイム(量を伴う時間)」が欠かせない。 社長を“見る”機会が増えるだけで、「雲の上の存在で直接話してはいけない存在」という社員が抱きがちなイメージは打破できるし、接する時間が長くなればなるほど相手が身近になり、互いを理解する力も育まれる。
・それを国賓待遇で迎えたのでは、接する時間を極小化するようなものだろう。貴重な機会に距離を広げてどうするんだ。 よく「経営者は孤独」と言うが、むしろ、孤独ではなく、“孤立”していることが問題で。 やっぱり「孤立してちゃ、経営はできない」のだと思う。
▽「経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない」
・シドニー・フィンケルシュタインの名著『Why smart executives fail and what you can learn from their mistakes(邦題:『名経者が、なぜ失敗するのか?』)」は、6年間という歳月をかけて「失敗した企業」40社を調査し、当事者たちへのインタビューも実施し、経営者が陥りやすい失敗のメカニズムや避ける方法を書いた一冊である。 「これはビジネスに関する書籍だが、調査を終えたときにはっきりしたのは、これが“人間”についての考察であるということだった」(by フィンケルシュタイン)
・500ページ近いこの大著に、上下の“つながり”に言及した部分がある。 「組織が厳格すぎたり、階層構造的になると、当事者たちは緊急情報に上手く対処できない。NASAのスペースシャトルの失敗はその典型的ケースだ。NASAでは直属の上司・部下の関係を超えて、情報が行き交うことは絶対になかった。すべての管理職は、直属の部下から上がってくる情報だけに頼っていた。 
・経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない。自ら探し求めなければ手に入らない情報を、手に入れなければならない」――(“失われたコミュニケーション・チャネル”の章より抜粋)。 自ら探す情報……ね。
・そういえば元気な会社の社長さんたちには、もうひとつ共通していることがあった。 彼らの名刺に「メルアド」と「携帯電話の番号」が、ちゃんと記されていたのである。 ほら、日本を代表する企業のトップの名刺って、連絡先が代表になっているケースが多いじゃないですか。あれだとインタビューや取材のお礼も、つい後手になりがちで。 私から情報が入るわけじゃないけど、こんな小さなところにも、失敗の予兆は潜んでいるのかもしれない。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/120400134/?P=1

次に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が12月7日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「内々に処理するつもりだったが、ネット掲示板の書き込みがあったので公表することに」――経団連会長の出身企業・東レの正直すぎるカミングアウトに注目が集まっている。ネット書き込みからの不正公表がスタンダードにならざるを得ないほか、内部告発も増えるのではないかと考えられるからだ。
▽ネットの書き込みが発端だった!東レ不祥事が注目を集める理由
・「うちの会社のヤバい話もネットに書き込んでやれ」なんて人が、これから増えていくのではないだろうか――。 神戸製鋼、三菱マテリアルに続いて、品質データの改ざんが発覚した東レ。当初は社内で内々に処理をしようとしていたのが、一転して公表に踏み切ったのは、ネット掲示板の書き込みのせいだと会見で明かしたことが話題を呼んでいる。
・「不正ドミノ」というものは、しょっぱなにバレた企業が一番壊滅的なダメージを負い、2番目、3番目と後出しした企業は傷が浅くなっていくというのが、企業不祥事のセオリーだ。 たとえば、4年前に世間が大騒ぎした食品の産地偽装問題は、発端の阪急阪神ホテルズでは社長が辞任に追い込まれるなど厳しいバッシングにあったが、それから雨後のタケノコのように同様の不正が発覚した外食企業の名を、もはや世間は覚えていないだろう。三菱自動車を日産子会社にした燃費不正問題に関しても、次に発覚したスズキへの風当たりはぐっと軽く、自動車業界の人間でなければ「ああ、そういえばそんなことあったね」という印象だろう。
・にもかかわらず、東レは三菱マテリアルよりも注目を集めている。その背景には「ネット掲示板の書き込みにビビって公表なんて漫画みたいな話、本当にあるんだな」という世間の驚きもさることながら、危機管理を生業としているコンサルタントなどからは、「東レのカミングアウトによって、今回の『改ざんドミノ』とはまた別の新しい『ドミノ』が始まるのでは」、と危惧する声が上がっていることがあるのだ。 それは、「ネット告発ドミノ」である。
▽日本企業は他社の謝罪会見を研究して真似をする
・どういうことか、ご説明しよう。実は、これまでもネット掲示板での告発を受けて、大企業が不正を白状するというようなケースはあった。そういう匿名の告発を、今回の「週刊文春」のような週刊誌やネットニュースが嗅ぎつける。そこで企業側が「ああ、もうこれは逃げ切れない」と謝罪会見をセッティングするというのが、わりと多いパターンだ。実際、筆者もそういう企業から相談を受けたことが何度かある。
・ただ、こういうケースの場合でも、「たまたまタイミングが重なっただけで、もともと公表するつもりでした」なんてスタンスを貫き通す企業が圧倒的に多い。 東レのように「ネット掲示板に書き込まれなければ公表しなかったのか」とさらなる集中砲火を浴びるのを避けるための、自己保身からの詭弁であることは言うまでもないが、もうひとつ大きな原因としては、日本の企業文化の中に蔓延する「前例主義」のせいだ。
・不祥事が発覚した企業は必ずといっていいほど、自分たちと同様の不祥事や、競合などがどのような対応をしたのかを意識する。そこで似たような釈明、似たようなお詫びの言葉を自分たちのケースに置き換えてコピペする。 つまり、どこかの誰かが始めた「ネット掲示板へのカキコミで公表しましたとは、口が裂けても言わない」という不文律が、問答無用で従うべき企業危機管理の「定石」となってしまっているのだ。
・いやいや、そこまで硬直したマニュアル主義であるわけがないと主張する人もいるが、ならば世の中に溢れる「謝罪会見」をどう説明するのか。 業種、会社の規模、不祥事の中身にかかわらず、登壇者は似たような出で立ちをし、似たようなタイミングと角度で頭を下げ、似たような話法で謝罪と反省の言葉を口にしているではないか。
▽不祥事会見の「定石」を あっさり破った東レ
・「いやあ、あの社長の謝り方はかなりユニークだったね」というケースはほとんどない。つまり、日本の企業危機管理というのは、「前例」から逸脱することを極度に恐れ、さながら伝統芸能のように「様式美」を追求する世界なのだ。 では、こういう「前例主義」に凝り固まった日本企業の中で、東レのような大企業が、清々しいくらい正直に「もともと公表するつもりはありませんでしたが、ネット掲示板に出てしまったので」なんてカミングアウトをしたら、どんなことが起こるだろうか。
・社長がいつもジーンズ姿みたいな新興ベンチャーではない。榊原定征・経団連会長を輩出した「ザ・日本企業」の影響力を踏まえると、なにかしらの不都合な事実をネットに書き込まれた企業は、それを即座に公表するのが当然という風潮が生まれないだろうか。
・実際、危機管理の専門家として名高い郷原信郎弁護士も、ご自身のブログにその可能性を示唆している。 「経団連会長出身企業がそのように理由を説明して問題の公表を行った以上、他の企業も、今後データ改ざん等の具体的事実が掲示板に書き込まれる都度、同様の対応をせざるを得ないことになる」(2017年11月29日) ご指摘の通りだと考える。さらにもっと言ってしまうと、この公表によって「内部告発」の動きも活性化されることが予想される。
▽名門企業・東レの敗北宣言に大企業は戦々恐々
・既にさまざまな方が指摘しているが、日本社会ほど内部告発に厳しい社会はない。組織内で良かれと思って声をあげると、孤立して左遷されるのはお約束。最悪、「自分から辞めたいという申し出があった」という体裁で、退職に追い込まれる。
・そういう人を守るということでつくられたはずの公益通報者制度も中身がスカスカで、国が調査をおこなったところ、半数近くの通報者が退職に追い込まれたり、嫌がらせなどを受けていることが分かっている。 こういう社会の中で、東レのような大企業が、「ネット掲示板へのカキコミ」に対して「敗北宣言」とも取れるような会見をおこなえば、不正を告発しようと悩む人の背中を押すのは容易に想像できよう。
・無論、筆者が指摘しているようなことは、企業の危機管理の担当者は十分承知している。東レの会見を受けて、今頃はネットのモニタリングやアラート体制の強化などを呼びかけていることだろう。あるいは、「どうやったらそういう書き込みを消せるのだ」なんて、あまり褒められないような「策」を講じる方もいるかもしれない。 だが、そういう焼け石に水的な対策や、不毛な議論をおこなうより遥かに有益な方法がある。中国企業ファーウェイのやり方を見習うのだ。
▽内部告発者を2段階昇進!ファーウェイCEOの戦略とは
・今年9月、ファーウェイが職員向けに開いているオープンコミニティ「心声社区」に、創始者である任正非CEOの「真実を貫いてこそHuaweiは充実する」(原題:要堅持真実、華為才能更充実)というメールが公開された。そこにはこのように書かれている。 「我々は職員および幹部が真実を語ることを奨励すべきだ。真実には正確なものと不正確なものがあるので、各組織がそれを採択すべきかどうかは問題ではないが、風紀を変える必要はある。真実は組織の管理を改善するのに役立つが、嘘は管理を複雑化し、コストを高める要因となる。よって、会社は梁山広氏(社員番号00379880)のランクを即日2つ昇進させ16Aとし、そのほかの昇進や一般査定に影響しないものとする。自らの職位を選べ、研究所での仕事を許諾。鄧泰華氏の保護下に置かれ、打撃や報復を受けないものとする」(PCWatch 2017年9月6日)
・このメールでは梁氏がどのような「事実」を語ったのかは明らかにされていないが、何かしらの開発に関して「内部告発」をしたのではないかといわれている。 実際、ファーウェイ・ジャパンの広報に確認したところ、「心声社区」は「本音を自由に言い合える場所」という意味の造語で、社員の不満を直接経営に反映させるために設置されており、SNSを介して外部にも公表されている。 もちろん、この梁氏が本当にここまで厚遇されているのかどうかはわからないが、この「内部告発者を昇格させる」という型破りな対応が、ファーウェイ社内だけではなく、中国国内からも多数の賞賛の声を寄せられたのだ。
▽内部告発者を保護することが ネット告発の減少につながる
・いやいや、ああいう国だから「建前」で取り繕っているだけだと、斜に構えた見方をする方も多いだろうが、「内部告発」ということに関していえば、先ほども申し上げたように、我々の国は「建前」ですらも維持できていないという体たらくである。 「個々のモラルだったら絶対に日本人が勝つ!」とか「このやり方では出世目当ての告発合戦になりそうだ」なんて感じで、さまざまな反論が聞こえてきそうだが、個人的には日本企業が素直に見習うべきスタンスだと考えている。 なぜかというと、このファーウェイ方式が、次から次へと組織内部から悪い話が噴出する「ネット告発ドミノ」の対策として、実は最も有効だからだ。
・「ネット告発」を世の中から消すために最も有効な手段は、内部告発は匿名でコソコソとおこなわれなくてはいけないものだ、というカルチャーを変えることだというのは言うまでもない。 つまり、「内部告発」を「裏切り」や「経営危機」というマイナスで捉えることなく、企業がより良くなる「成長のチャンス」として捉えることが当たり前の社会となれば、「匿名のネット告発」など、何の意味もなさなくなっていくのである。
・神戸製鋼や東芝など、「嘘」によって瀬戸際に追い込まれる名門企業が続出している今、必要なのは東レのような財界のリーダー的な企業が、「ネット掲示板のおかげで公表しました」なんてカミングアウトをすることではない。ファーウェイがしたように、カルチャーを変えるような「劇薬」をぶちまけることなのである。
・貴乃花親方がバッシングされることに違和感を覚える人も多い中で、内部告発者が昇進しました、なんて取り組みをはじめた企業が現れれば、一気に社会から支持され、新たな危機管理の定石として普及する可能性だってなくはない。 嘘は管理を複雑化し、コストを高める要因となる――。「ちょっとくらいの改ざん」が常態化してしまった日本のものづくり企業は、いまこそファーウェイCEOのこの言葉を噛みしめるべきではないのか。
http://diamond.jp/articles/-/152094

第三に、12月12日付けダイヤモンド・オンライン「神鋼ショックが原発にも、大飯・玄海再稼働延期の裏事情」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ついに、電力業界にも“神鋼ショック”の波が押し寄せた──。関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)の再稼働が、延期されることになった。
・かねて、10月8日に発覚した神戸製鋼所による検査データの改ざんを受け、原発を保有する電力各社は危機感を募らせていた。というのも、神戸製鋼は西日本の電力会社が採用する加圧水型軽水炉(PWR)の原子炉格納容器をはじめ、全国の原発の主要設備に多くの部材を納入しているからだ。 データが改ざんされた神戸製鋼の製品が原発で使用されていることが判明すれば、真っ先に稼働停止に直結しかねない。電力業界の対応は誠に素早かった。
・しかし、その電力業界らしい“横並び”の対応が、かえって“お上”である原子力規制委員会の怒りを買ってしまった。 11月9日に行われた原子力規制庁の会合には東京、中部、関西、九州の4電力の原発担当幹部が出席し、神戸製鋼のデータ改ざん問題について規制委側に「原子力施設の安全性に対し、直ちに重大な影響を与える問題ではない」と回答する資料を提出した。
・すると、規制委の山中伸介委員は「非常に不満足。(原発の)安全上重要な部分に、神戸製鋼の製品が使われているかどうかを聞いている」と“出直し”を指示した。 その後、電力各社がさみだれ式に、規制庁に報告を行う事態になり、結果的に対応が後手に回った。 関電、九電の両社は、再稼働延期の理由について、神戸製鋼のデータ改ざん問題への対応に時間がかかるためとしている。
▽終わりが見えない安全確認
・「給与の完全復活が遠のいた」。ある関電社員はこう嘆いた。  関電も九電も早期に原発を再稼働させ、収益を改善させるシナリオを描いていた。特に関電は大飯3、4号機を再稼働させた後に、電気料金の値下げを予定していたが、そのスケジュールも先送りになってしまった。
・電力業界からは規制委に対する恨み節も聞こえてくるが、更田豊志委員長は「むちゃなことを言っているつもりはない。原発を運用する者としての責任」と意に介さない。今後の対応も、「長期戦になる可能性はある」と述べた。 つまり、神鋼ショックによる、電力業界への“とばっちり”は、まだ終わりが見えないのだ。
・電力各社は、まずは原発の安全上重要な機器に絞って安全確認の調査を進めてきたが、今後は調査対象を広げざるを得ない。 神戸製鋼の報告書によると、データ改ざんは5年以上にわたって行われていた。さらに過去へさかのぼって調査が必要になる事態も予想される。 やはり原発は、見通しの立たない事業。今後も“外野”に振り回される可能性は少なくない。
http://diamond.jp/articles/-/152583

第一の記事で、 『「うちの会社ってちょっと儲かると、すぐ経営コンサルタントを雇うんです。でも、それって現場には何の役にもたたない。現場、現場で課題は違うし、仕事は常に想定外の連続です。はっきり言って意味ない』、というのには笑ってしまった。確かにトップの自己満足のためのコンサルティングでは、意味がない。 『東レにいたっては、元社長で現相談役の榊原定征氏は経団連会長としての記者会見で、 「極めて残念。日本の製造業に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ。(問題は)発覚した時点で可及的速やかに報告しないといけない」 と不正発覚問題に言及。 その翌日、東レが榊原氏の社長・会長在任中に、タイヤ補強材などの製品データを一部改ざんしていたことが判明した。 しかも、東レの日覚昭広社長は、子会社の不正を把握してから発表までに1年4カ月も過ぎていることについて、 「今月初めにインターネット上に改ざんに関する書き込みが出るまで、問題を公表するつもりがなかった」』、というのは、見るに堪えないドタバタ劇だった(詳しくは第二の記事で)。 『孤立してちゃ、経営はできない。社長は外の人とつながるのは一所懸命だけど、いちばん大切なのは社内でつながることなんですよ」』、 『「経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない」』、などの指摘はその通りだ。
第二の記事で、 『「経団連会長出身企業がそのように理由を説明して問題の公表を行った以上、他の企業も、今後データ改ざん等の具体的事実が掲示板に書き込まれる都度、同様の対応をせざるを得ないことになる」』、との郷原氏の指摘は確かにその通りだろう。 『内部告発者を2段階昇進!』、させたファーウェイは立派だ。内部告発を徹底的に忌み嫌う日本企業もツメの垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。
第三の記事で、 『大飯・玄海再稼働延期』、につながったとは、神戸製鋼も罪つくりなことをしたものだ。現在のところ、原発のどんな部分に使われたのかは不明だが、特に安全性が絶対視される原発用の部材でまで不正があったというのでは、『終わりが見えない安全確認』という泥沼に入り込んでしまったようだ。
タグ:神戸製鋼 企業不祥事 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 河合 薫 郷原信郎弁護士 (神戸製鋼などの部材不正) (その4)(役員エレベーターと不正発覚の不機嫌な関係、東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃、神鋼ショックが原発にも 大飯・玄海再稼働延期の裏事情) 「役員エレベーターと不正発覚の不機嫌な関係 人間だもの、社長さんだって“愚か”になります」 経営者が経営できなくなる時 うちの会社ってちょっと儲かると、すぐ経営コンサルタントを雇うんです。でも、それって現場には何の役にもたたない。現場、現場で課題は違うし、仕事は常に想定外の連続です。はっきり言って意味ない うちは海外の支店を年に1回社長が回るんですけど、国賓並みの待遇で迎えなきゃならない。わけわからないでしょ ディルバートの法則 「組織の生産性に直接的に関係しているのは組織の下層部で働く人たちで、上層部にいる人たちは生産性にほとんど寄与していない」(byスコット・アダムス) 東レにいたっては、元社長で現相談役の榊原定征氏は経団連会長としての記者会見で、 「極めて残念。日本の製造業に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ。(問題は)発覚した時点で可及的速やかに報告しないといけない」 と不正発覚問題に言及 その翌日、東レが榊原氏の社長・会長在任中に、タイヤ補強材などの製品データを一部改ざんしていたことが判明した しかも、東レの日覚昭広社長は、子会社の不正を把握してから発表までに1年4カ月も過ぎていることについて、 「今月初めにインターネット上に改ざんに関する書き込みが出るまで、問題を公表するつもりがなかった」 と明かしている “問題”を抱える会社は例外なく上と下が断絶 役員専用のエレベーター」のある会社 +「ナマ社長」を社員が見たことない会社 +「役員専用フロア」がある会社 、“walking management” 孤立してちゃ、経営はできない。社長は外の人とつながるのは一所懸命だけど、いちばん大切なのは社内でつながることなんですよ 多くのリーダーシップ論には「クオリティータイム(質の高い時間)」の重要性が書かれているけど、実際には「クオンティティータイム(量を伴う時間)」が欠かせない 経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない シドニー・フィンケルシュタイン 「東レ不正「ネットに書かれたから公表」が日本企業に与えた衝撃」 経団連会長の出身企業・東レの正直すぎるカミングアウトに注目 当初は社内で内々に処理をしようとしていたのが、一転して公表に踏み切ったのは、ネット掲示板の書き込みのせいだと会見で明かしたことが話題 ネット告発ドミノ 不祥事会見の「定石」を あっさり破った東レ 「経団連会長出身企業がそのように理由を説明して問題の公表を行った以上、他の企業も、今後データ改ざん等の具体的事実が掲示板に書き込まれる都度、同様の対応をせざるを得ないことになる」 名門企業・東レの敗北宣言に大企業は戦々恐々 内部告発者を2段階昇進!ファーウェイCEOの戦略とは 内部告発者を保護することが ネット告発の減少につながる 「神鋼ショックが原発にも、大飯・玄海再稼働延期の裏事情」 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)の再稼働が、延期 西日本の電力会社が採用する加圧水型軽水炉(PWR)の原子炉格納容器をはじめ、全国の原発の主要設備に多くの部材を納入 電力業界らしい“横並び”の対応が、かえって“お上”である原子力規制委員会の怒りを買ってしまった 原子力施設の安全性に対し、直ちに重大な影響を与える問題ではない」と回答する資料を提出 規制委の山中伸介委員は「非常に不満足。(原発の)安全上重要な部分に、神戸製鋼の製品が使われているかどうかを聞いている」と“出直し”を指示 終わりが見えない安全確認 電力各社は、まずは原発の安全上重要な機器に絞って安全確認の調査を進めてきたが、今後は調査対象を広げざるを得ない
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