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中東情勢(その12)(イラン問題1)(「ミスター離脱」トランプが招く世界の亀裂 イラン核合意離脱の乱反射、イラン怒る!「ホルムズ海峡封鎖」匂わす思惑 犬猿の仲、アメリカとイランが舌戦開始) [世界情勢]

中東情勢については、昨年12月25日に取上げた。イラン問題やトルコ問題に火がついている今日は、(その12)(イラン問題1)(「ミスター離脱」トランプが招く世界の亀裂 イラン核合意離脱の乱反射、イラン怒る!「ホルムズ海峡封鎖」匂わす思惑 犬猿の仲、アメリカとイランが舌戦開始)である。

先ずは、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が5月11日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「ミスター離脱」トランプが招く世界の亀裂 イラン核合意離脱の乱反射」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/051000063/?P=1
・『名付けるなら、「Mr. Withdrawal」(ミスター離脱)だろうか。環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して保護主義に走り、パリ協定から離脱して地球環境を危機にさらしたドナルド・トランプ米大統領がこんどはイラン核合意から離脱すると表明した。「第3の離脱」は中東危機をあおり、米欧対立を深刻化させるなど、世界の亀裂を招く。経済制裁しだいで原油価格上昇により世界経済を混乱させる恐れもある。オバマ前米大統領の実績をことごとく覆すことで、中間選挙を有利に導く作戦らしいが、世界の潮流を無視する「トランプ第1主義」は危険極まりない。主要国は国際合意からの身勝手な離脱を防ぐために幅広く協調するしかない』、その通りだ。
・『トランプ米大統領のイラン核合意からの離脱に真っ先に「勇気ある指導力に感謝する」と歓迎したのは、イスラエルのネタニヤフ首相である・・・ネタニヤフ首相は、イランが核合意の裏で核開発計画を進めていると新証拠があると打ち上げて、トランプ大統領による離脱に「論拠」を与えた。イラン核合意から離脱は米・イスラエル連携で進められた。 トランプ政権はこれまでにも「イスラエル寄り」の姿勢を鮮明にしている。イスラエルの首都はエルサレムと宣言し、米大使館を移転することにした。中東和平に冷水を浴びせる結果になっている。女婿でトランプ政権に絶大な影響力をもつクシュナー上級顧問がユダヤ系米国人で、娘のイバンカ氏はユダヤ教に改宗している。経済制裁を主導するムニューシン財務長官もユダヤ系だ。こうした人脈は、トランプ政権のイスラエル傾斜と無縁とはいえないはずだ』、トランプ政権が表向きの中立姿勢をかなぐり捨てて、「イスラエル寄り」の姿勢を鮮明にしたことは、もはや中東和平にコミットする役割を放棄したに等しい。困ったことだ。
・『トランプ大統領は、イラン核合意がイランに核開発規制に期限があることや、弾道ミサイル開発を制限できないことなどを理由に「最悪の合意」と強調している。しかし「中東の非核化」をめざすなら、事実上の核保有国であるイスラエルにこそ、核廃棄を求めるべきだろう。イスラエルの核保有を容認しておきながら、イラン核合意から離脱するのは、大きな矛盾である。 危険なのは、トランプ大統領による合意離脱で、イランが核開発に逆戻りする恐れがあることだ。イランではトランプ大統領の合意離脱で中道派のロウハニ大統領が窮地に追いやられている。保守強硬派が台頭するなかでロウハニ大統領も「核合意が崩壊すれば、ウラン濃縮活動を再開する用意がある」と述べざるをえない状況だ。 これに対して、サウジアラビアのムハンマド皇太子は「イランが核武装すればサウジも追随せざるをえなくなる」と述べている。このままでは中東に核開発ドミノが起きかねない。トランプ大統領のイラン核合意からの離脱は、シリア危機などただでさえ混迷する中東に新たな火種を持ち込むことになる。 中東の混迷で、ロシアや中国の影響力が相対的に高まり、中東に「パワーの空白」が起きる可能性が強まる。欧州と連鎖するテロの温床が残る危険もある』、火薬庫で無謀な火遊びをするのも、いい加減にして欲しい。
・『イラン核合意は、国連安全保障理事国の米英仏中ロとドイツの6カ国がイランとの間で、12年間協議したうえで2015年にようやくまとめたものだ。イランが濃縮ウランの貯蔵量や遠心分離機を大幅に減らす一方で、経済制裁を解除した。 トランプ大統領による離脱表明に対して、英仏独首脳は「遺憾だ」との共同声明を公表した。マクロン仏大統領は「核不拡散の体制は危機に瀕している」と警告した。マクロン仏大統領、メルケル独首相が相次いで訪米し、トランプ大統領に合意継続を説得したばかりだけに、欧州の落胆は大きい。 その一方で、英独仏は米抜きでもイラン核合意を継続する方針だ。米国には「米以外の当事国が核合意を履行するのを妨げないように」とクギをさす一方で、イランには「引き続き核合意の義務を果たすべきだ」と念押しした。 トランプ大統領の登場で米欧関係はきしみ続けているが、イラン核合意からの離脱で亀裂は決定的になった。欧州連合(EU)首脳はトランプ大統領による鉄鋼、アルミニウムの輸入制限など保護主義路線を強く警告し、対抗措置も辞さない姿勢を取ってきた。地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱を真っ向から批判してきている。そのうえに、イラン核合意からの離脱である。オバマ前政権と連携し合意にこぎつけただけに、国際合意の放棄に苦り切っている。 米国と英独仏との「全面対立」は冷戦終結後初めてといっていい。ブッシュ政権によるイラク戦争では英国が参加し、仏独は不参加と欧州内で濃淡があったが、今回は英独仏が足並みをそろえている。米欧同盟は大きな転機を迎えている。それにロシア、中国も加わっているだけに、「米国の孤立」が鮮明になっている』、欧州にしてみれば、12年もかかった合意を勝手に廃棄されたのでは、怒り心頭だろう。
・『トランプ大統領は「最大の経済制裁を科す」と表明している。原油取引を制限してイラン経済を揺さぶるのが狙いだ。制裁の内容によって90日か180日の猶予期間を経て発動される。11月の中間選挙に照準を合わせているのは明らかだ。 イラン中央銀行と取引する海外の金融機関は、米国の金融機関と取引できなくなる。自国の金融機関を「適用除外」にするには、イランからの原油輸入の大幅削減が条件になる見通しだ。 米国が経済制裁を再開しても、欧州勢がそれを補う可能性もある。その一方で、米制裁に、エアバスなど欧州企業なども巻きこまれる恐れがある。経済制裁の深度によっては、イランの原油輸出に影響が出るのは避けられないだろう』、この金融機関を通じた制裁は、極めて強力だ。日欧の金融機関も米国の金融機関と取引できなくなるのを避けるために、禁輸措置に従わざるを得なくなる。
・『イラン原油は大半がアジア諸国向けだけに、アジア経済への影響は無視できない。世界第4位の産油国の原油輸出減は、原油価格上昇に跳ね返る。すでにニューヨークの原油先物市場では1バレル70ドル台に上昇している。中東情勢の緊張による原油価格上昇が世界経済の波乱要因になる恐れもある』、やれやれ。
・『日本の反応は鈍い。河野太郎外相が「核合意の維持を困難とする大きな影響が出るとすれば残念だ」とする談話を発表しただけで、安倍晋三首相からの声明は聞かれない・・・トランプ大統領との電話会談でも米朝首脳会談への情勢分析にとどまり、イラン核合意離脱については話していない。 もともと日本は、米英仏独中ロの主要6カ国とイランで進めたイラン核合意の「埒外」に置かれていた。しかし、核合意そのものは継続すべきとの立場だった。米国が経済制裁を再開すれば、原油輸入や日本企業への影響も避けられなくなる。少なくとも、トランプ大統領にイラン核合意からの離脱で、苦言を呈していいはずだ。北朝鮮をめぐってトランプ大統領と蜜月関係を維持したいのだろうが、欧州を含め国際社会の潮流にも目配りが欠かせないはずだ』、日本はイラン核合意の「埒外」だったとは初耳だが、日本外交の実力なのだろう。まして、トランプべったりとは情けない。
・『トランプ大統領はオバマ前大統領の国際合意を次々に葬り去ってきた。国際合意の「ちゃぶ台返し」は「オバマ返し」といっていい。イラン核合意からの離脱に続いて、「オバマ返し」の連鎖が始まる恐れがある。 ユネスコからの離脱に続いて、世界貿易機関(WTO)からの離脱も想定しておかなければならないだろう。中間選挙や次の米大統領選を視野に入れた「ミスター離脱」が世界をさらに揺るがす危険がある』、日本もトランプ離れをするいいチャンスなのだが・・・。

次に、5月8日付けロイター「米国の核合意破棄で想定されるイランの「報復シナリオ」」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/iran-nuclear-scenarios-idJPKBN1I9077
・『イランは、米国やその同盟国の中東における利益を脅かすことにより、報復する可能性がある。 想定されるイランによる「報復」シナリオを検証した。 ▽イラク:「イスラム国」が2014年にイラクの大半を手中に収めた時、イランは即座にイラク政府支援に動いた。以来、イランはイラクで何千人ものイスラム教シーア派民兵に武器を提供し、訓練を実施するなどして支えてきた。これら「人民動員隊(PMF)」は、重要な政治勢力となっている。 もしイラン核合意が崩壊すれば、イランが、イラクからの米国撤退を望むPMF勢力に向けて、米軍に対する口先、もしくは軍事的な攻撃を強めるよう促す可能性がある。 この場合、攻撃は特定のシーア派武装組織が直接関与しない、ロケット砲や迫撃砲、または道路脇に仕掛けられた爆弾といった方法で行われる可能性がある』、いまは小康状態にあるイラクにまで波及するリスクがあるとは、トランプは何を考えているのだろう。
・『▽シリア:イランや、同盟関係にあるレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」などの武装組織は、2012年に勃発したシリア内戦に参加している。イランは、シリア政府を強化するため、数千人のシーア派民兵に武器を与え、訓練している。イスラエルは、イランが少なくとも8万人のシーア派戦闘員を補充したとしている。 シリアへの関与により、イラン政府がイスラエルと直接対決する状況が初めて生じ、最近ではいくつか大規模な衝突が起きている。イスラエル政府関係者は、隣国シリアにイラン政府やヒズボラが恒久的に軍事的な足場を築く事態は絶対に許さないと語る。 もし核合意が崩壊すれば、シリアのシーア派武装組織がイスラエルに攻撃を仕掛けることをイランが押しとどめる理由はほとんどなくなる。 イランと、イランの支配下にあるシリア内勢力が、クルド人勢力支援のためシリア北部と東部に駐留している約2000人の米軍部隊に圧力をかける可能性もある。 イラン最高指導者の側近は4月、シリアとその同盟によって、米軍がシリア東部から追いやられることを望むと発言』、シリアを舞台に、イランとイスラエルの直接対決とは、穏やかではない。
・『▽レバノン:・・・イランは現在、ヒズボラに対し、精密誘導ミサイル製造工場の建設や、長距離ミサイルへの精密誘導システム装着などで支援を行っている。 ヒズボラがイランの同盟先であるシーア派武装勢力の多くを束ねているシリアにおいて、イスラエル部隊はたびたびヒズボラを攻撃している。イスラエルとイランによる言葉の応酬も、最近激しさを増している。 ヒズボラとイスラエルの双方が軍事衝突に関心はないとしているが、緊張の高まりがレバノン戦争の再発を引き起こす事態は容易に起こり得る。 ヒズボラは昨年、イスラエルがシリアやレバノンに戦争を仕掛ければ、イランやイラクなどから数千人の戦闘員が集結すると警告し、シーア派武装勢力がヒズボラ救援のためレバノンに駆け付ける可能性を示唆した。 ヒズボラはまた、レバノンにおける主要政治勢力の1つとなっておおり、6日行われた議会選の非公式開票結果によれば、ヒズボラと連携する政治勢力が過半数を超える議席を確保する見通しだ。現段階では、ヒズボラは西側政府が支持するハリリ首相ら政敵とも協力する姿勢を見せている。 だがもし核合意が崩壊すれば、イランがヒズボラに政敵を孤立させるよう圧力をかける可能性があり、そうなればレバノン情勢が不安定化すると専門家は懸念する。 「ヒズボラは、実質的にレバノンの政治を支配している。もしそうした(ヒズボラが首相らを孤立させる)事態になれば、純粋な嫌がらせになるだろう」と、ベイルートにあるアメリカン大学のHilal Khashan教授は言う』、小康状態にあるレバノンでもまた火の手が上がるとは・・・。
・『▽イエメン:イランがこれまで、イエメンに対する直接の軍事介入を認めたことはない。だが米国やサウジアラビア政府の関係者は、イランはイエメンで活動する武装組織「フーシ派」にミサイルなどの武器を供与していると指摘。フーシ派は、イエメンに対する空爆の報復として、リヤドやサウジの原油関連施設に向けてミサイルを発射している。 イランとサウジは、中東地域で激しい勢力争いを繰り広げている。イラン核合意の支持派は、サウジとの対立が交戦に発展するリスクを、この合意が食い止めていると主張する。 もし合意が崩壊すれば、イランがフーシ派への支援を拡大することで、サウジやアラブ首長国連合などの湾岸同盟国から軍事的対抗措置を招く恐れがある』、イエメンにまで飛び火とは・・・、もう中東は大混乱だ。
『▽条約:核開発を巡り、イランにはいくつか選択肢がある。 イラン政府関係者は、選択肢の1つとして、核兵器の拡散防止を目的とする核拡散防止条約(NPT)から完全に脱退することも検討していると述べている。 イランの最高指導者ハメネイ師は、核兵器開発に関心はないとしている。だがもしイランがNPTから脱退すれば、世界を警戒させることは間違いない。 「そうなればイランは孤立し、破滅的な方向に向かうだろう」と、米シンクタンク大西洋評議会のAli Alfoneh上級研究員は言う。 仮にイランがNPTから脱退しなくても、核爆弾の原料製造につながるとして核合意で厳しく制限されているウラン濃縮活動を活発化する可能性をイランは示唆している。現在の核合意では、イランは濃縮度を3.6%以下にとどめなければならない。 2015年の核合意の一環で、イランは20%の濃縮ウランの生産を止め、貯蔵していた濃縮ウランの大半を手放している。 濃度20%のウランは、民生用の原子炉燃料として必要な濃度である5%を大きく上回るが、核爆弾を作るのに必要な高濃縮ウランの濃度80─90%には届かない。 イランのサレヒ原子力庁長官は最近、イランは合意前よりも高濃度のウランを生産することが可能だと発言している。 イランによる対応は、米国による合意破棄について、他の合意署名国がどういった反応を示すかにも影響されると、アナリストは話す。 その上で焦点となるポイントは、国連安保理が全会一致で承認した国際的な約束事である核合意の下で自国企業がイランとの取引を続けることにフランスやドイツがどの程度強い姿勢を見せるか。シリアで手を組むロシアがどれほど外交的に支援するか。また、巨大経済圏構想「一帯一路」にイランをつなぎとめる意欲がどれだけ中国にあるか、だ。 仮にトランプ政権が、制裁を再開し、違反者を米金融システムから締め出すと脅せば、それが「踏み絵」となるだろう。他の核合意署名国の中では、最大のイラン産原油輸入国である中国だけが、無傷でいられるだろう』、イランが核爆弾を作るのに必要な高濃縮ウランを生産し始めれば、核合意で攻撃を止めていたイスラエルが攻撃に転じる可能性もある。無傷でいられるのは中国だけとは、困ったことだ。トランプは中東のこうした大混乱をどこまで想定しているのだろう。どうみても正気の沙汰ではない。

第三に、中東ジャーナリストの池滝 和秀氏が7月25日付け東洋経済オンラインに寄稿した「イラン怒る!「ホルムズ海峡封鎖」匂わす思惑 犬猿の仲、アメリカとイランが舌戦開始」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/230681
・『窮地に立つイランが石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖する可能性を示唆し、米国とイランの間で緊張が高まっている。 イランがホルムズ海峡の封鎖を示唆したのは今回が初めてではない。過去にも交渉を有利に進めるため、海峡封鎖をちらつかせて国際社会を揺さぶってきた。イラン産の石油輸入停止を米国が各国に迫っているのに対し、合意の存続を目指す欧州や日本政府などは制裁の適用除外を米政府に求めている。イランには、海峡封鎖の可能性を示すことで、石油輸入に依存する欧州や日本を通じて米国への圧力を強め、何らかの譲歩を引き出したい思惑もありそうだ』、ホルムズ海峡の封鎖とは、脅しとしても嫌なものだ。
・『これに対して、トランプ米大統領は「二度と米国を脅すな。さもなくば、歴史上類を見ないような重大な結果を招く」と激しく反発。核問題で北朝鮮を交渉の場に引きずり出すことに成功したトランプ大統領としては、イランに対しても最大限に圧力を強め、有利な交渉を進めることをもくろんでいるはずだ。現時点では、米・イランの舌戦が激化しているだけであり、ホルムズ海峡封鎖の可能性についても冷静に受け止めるべきだろう』、トランプがいくらディール好きといっても、イラン核合意のような爆弾を対象にするとは行き過ぎだ。
・『オバマ前政権時代の合意をことごとく反故にしているトランプ大統領は5月、2015年に米英仏独ロ中の6カ国 とイランの間で結ばれた核合意から離脱した。核合意がイランの弾道ミサイル開発の制限を対象にしておらず、中東の過激派やゲリラに対する支援活動も野放しになっているとして欠陥だらけだとの立場だ。一方、欧州など核合意を擁護する諸国は、イランによる核兵器開発を少なくとも一定期間は封じることができる合意だとして存続を求めている。 米政府は、核合意を頓挫させることでイランを追い込んで交渉の場に引きずり出し、有利な条件で新たな合意を結びたい考えだ。このため、各国にイラン産の石油輸入停止などを求め、イラン企業が関与する石油や、石油化学製品の購入については、11月4日に制裁発動の猶予期間の期限切れを迎える。 欧州や日本企業の多くは、欧州連合(EU)や自国政府と米政府の交渉の行方次第では、イラン産の石油輸入継続の可能性も残されているとして様子見だが、米国の制裁を警戒して早くもイラン事業からの撤退を決めた企業も一部ある。 ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間にあり、最も狭い部分は幅33キロで大型タンカーが通れるのは約7キロにすぎず、水深も比較的浅い。海上輸送される世界の原油の約40%が通過し、日本が輸入する原油の85%もこの海峡経由だ。2011年にはイランのアハマディネジャド前政権が欧米の経済制裁に反発し、海峡封鎖を警告したこともある。 さかのぼれば、1980〜1988年のイラン・イラク戦争では、ホルムズ海峡から入ったペルシャ湾で、両国軍が石油輸出を妨害するために関係する船舶を攻撃し合った。2015年にはイランの精鋭部隊、革命防衛隊がホルムズ海峡で機雷施設を訓練する様子が放映されたほか、2016年にはペルシャ湾で、イラン革命防衛隊の小型艦船が米艦艇に異常接近して威嚇射撃を受けるケースが相次いだ。 このように石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡やその周辺の動向は、日本を含め、石油に依存する経済活動への影響が大きい。その海峡の封鎖を示唆することは、イランが米国の核合意離脱などで窮地に陥っていることを示すものでもある』、イランが窮地に陥っているとはその通りなのだろうが、追い込み過ぎるのもリスクがある。
・『今回注目すべきは、ホルムズ海峡の封鎖を最初にちらつかせたのが、穏健派のロウハニ大統領だったことだ。 これまでは、革命防衛隊など反米路線を推し進める保守強硬派側から提起されることが通例だったが、ロウハニ大統領は7月4日、「イランの原油輸出だけを封じ込めることができると考えるのは間違った思い込みだ。米国はイランの原油収入を途絶させることはできない」と述べ、海峡封鎖を示唆したと受け止められた。その後、最高指導者ハメネイ師や革命防衛隊などが海峡封鎖に同意する発言を繰り返し、緊張が高まった。 イランでは、国際協調路線を進める穏健派と、反米・反イスラエルの保守強硬派がせめぎ合い、保守派寄りと目されるハメネイ師が調整役になって政治が展開されている。イランが2015年に核合意に同意したことは、ハメネイ師がロウハニ大統領の国際協調路線にお墨付きを与えたことを意味した。 一方、次期最高指導者の有力候補の1人であるロウハニ大統領の融和路線が頓挫するのを願う革命防衛隊などの保守強硬派にとっては、トランプ政権による核合意からの離脱は好都合。これに対して、ロウハニ大統領は、あくまで核合意を部分的にでも存続させることを狙い、ホルムズ海峡封鎖という最悪のシナリオを示すことで、国際社会から譲歩を引き出そうとしているものとみられている。 イラン側が、政治的な駆け引きから海峡封鎖ちらつかせているものの、実際に封鎖できる可能性は極めて低く、可能になっても一時的との見方が一般だ。 というのも、ペルシャ湾を挟んだカタールには、地域最大の1万人を超す米軍兵士が駐留する米軍基地があるほか、バーレーンには、米海軍第5艦隊の司令部が置かれている。イランが封鎖に乗り出せば、圧倒的な軍事力を持つ米軍がイランの軍事基地などを直接攻撃するだろう』、このままでは保守強硬派が次期最高指導者になる懸念がある。バーレーンに米海軍第5艦隊の司令部があるというのでは、本格的封鎖は難しそうだ。
・『封鎖は、軍事力が圧倒的に異なる「非対称戦争」の中で行われる可能性がある。目下、中東ではイランがレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラなどの非正規軍を軍事的に支援。米国が供与した兵器を持ち、軍事的に圧倒するイスラエルやサウジアラビアといった親米国に、間接的なゲリラ型の戦争を挑んでいる。ヒズボラにミサイルやロケット弾を供与しているほか、イエメンのシーア派系フーシ派にはミサイル技術を移転し、サウジの大きな脅威になっている。 海軍力で米軍に圧倒的に劣るイランの革命防衛隊は、ホルムズ海峡の封鎖を試みる場合、機雷を敷設することが予想されている。また、ミサイルやロケット弾で武装した小型の高速艇が米艦艇や大型タンカーを攻撃したり、自爆型の無人航空機を突撃させたりするというシナリオが取り沙汰されてきた。 米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所は7月20日にウェブサイトに掲載した論考で、「イランがホルムズ海峡を完全に制圧することは極めて考えにくい」「短時間にわたって海峡の封鎖に成功したとしても、米海軍の直接的な攻撃を前に(封鎖が)続くことはないだろう」としている。 だが、前述したように、イランはゲリラ型の戦闘を欧米の海軍やホルムズ海峡を航行するタンカーに挑み、石油輸送に甚大な影響が出る可能性も排除できない。有事におけるホルムズ海峡の脆弱性は以前から指摘されてきた。 このため、アラブ首長国連邦(UAE)では、アブダビ南西のハブシャン油田からオマーン湾に面するフジャイラ港を結ぶパイプラインを稼働させており、ホルムズ海峡を通らない石油輸出も一部ながら可能だ。ただ、イランがホルムズ海峡封鎖に乗り出せば、原油相場は急上昇し、日本を含めた世界の経済活動に大きな影響を与えることは確実な情勢だ』、なるほどゲリラ型の戦闘の可能性は確かにありそうだ。当分、要注意の常態が続くのだろう。
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