So-net無料ブログ作成

外国人労働者問題(その7)(新在留資格 低賃金の外国人労働者目当ては「排外主義の温床」になる、外国人労働者は「新在留資格」で本当に日本に来てくれるのか、外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由) [経済政策]

昨日は「人手不足」を取上げたが、今日は、外国人労働者問題(その7)(新在留資格 低賃金の外国人労働者目当ては「排外主義の温床」になる、外国人労働者は「新在留資格」で本当に日本に来てくれるのか、外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由)である。このテーマでは前回、10月16日に取上げている。今日紹介するうち、三番目の記事は、特に出色の出来なので、これだけでも読むことをお勧めしたい。

先ずは、金沢大学法学類教授の仲正昌樹氏が10月30日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「新在留資格、低賃金の外国人労働者目当ては「排外主義の温床」になる」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/183708
・『新たな在留資格を作って、建設や農業、介護などの業種で外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法の改正案が、24日から始まった臨時国会に提出される。 事実上の「移民受け入れ」という見方もある。 人手不足に悩む経済界の事情が背景にあるが、ゆがんだ排外主義が生まれることはないのか』、問題だらけの法案が国会審議も不十分なまま、強行採決されそうな雰囲気すらある。
・『建設、介護など14業種で検討 家族の帯同も可能に  政府は10月12日、外国人労働者の新しい在留資格として「特定技能」1号と2号を導入するための、出入国管理法等の改正案を臨時国会に提出する方針を決めた。 建設や農業、宿泊業、外食、介護など14業種での外国人労働者受け入れ拡大が検討されているという。 これまでは、「就労」を目的とした在留を認められるのは、学者、法律家、医療・教育従事者、報道関係者、日本で活動する外国企業の従業員など、経済的地位が安定した人に限られ、期間は最長5年だった。 2014年の法改正で、研究者や事業経営者などの「高度専門職」については、1号で在留資格5年を得た上で、一定期間在留すれば、活動制限がほぼ全面的に解除され、各種手続きも簡素化され、在留期間が無制限になる2号資格を取得することが可能になった。 今回、作られる「特定技能」という資格は、各分野を所轄する省庁が定めた試験で一定の知識・技能があることが確認され、生活に支障がない程度の日本語能力があることが証明されれば認められる。 1号の在留資格は5年で、「就労」が主たる目的ではないはずの)「技能実習生」も3年の経験があれば、無試験でこの資格に切り替えることができる。 2号になれば、審査を受けた上で、在留資格の更新と家族の帯同も可能になる』、「特定技能」2号でも「移民」でないとは理解不能だ。
・『「移民政策」ではないというが 安い労働力求める経済界の利害と一致  これによって、日本政府は「移民」推進へと大きくかじを切ったようにみえる。 6月に閣議決定された「骨太の方針」や「未来投資戦略2018」でも、「外国人材活用」は成長戦略の一貫として位置付けられた。ただ、政府は、これは人材不足や生産性向上のための政策であって、「移民政策」ではないことを再三、強調している。 12日の閣議決定後の記者会見でも、山下法相は無制限の在留資格ではないので、「移民政策」とは異なると強調している。 政府が「移民政策」という言葉に対して慎重になっている背景には、保守陣営内で、外国人の「労働」と「定住」をめぐる思惑の違いがあるようだ。 2005年に設立された自民党の外国人材交流推進議員連盟(2016年に解散当時は国際人材議員連盟)は、元法務官僚で外国人政策研究所の坂中英徳氏らをブレーンとして積極的な移民促進政策を検討し、2008年6月、人口減少に対処するため、今後50年間での1000万人の移民受け入れ、永住許可要件の大幅緩和、移民庁の設置などを提言した。 2014年2月に内閣府が発表した「目指すべき日本の未来の姿について」では、毎年、移民20万人を受け入れるべきことが示唆され、安倍政権はこの方向に進んでいくかに見えた。 移民受け入れは、安い労働力確保で規制緩和を求める財界のニーズに合致している。 しかし内閣府の発表以降、保守派の間から、移民の大幅な増加は文化摩擦をもたらし、国民国家をベースとした一体感を破壊するとして、反対する声が出るようになった。 TPP締結もそうだが、安倍政権はグローバル化に対応した改革を求める新自由主義派+経済界と、「美しい国日本」を守っていこうとする文化的保守派の双方を支持基盤にしているので、両者の利害が正面からぶつかるような政策では、明確な態度を取れないことが多い。 ちょうど2014年は、ヨーロッパで、過激な反移民政策を掲げるフランスの国民戦線(FN)やドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」など、ポピュリズム政党が台頭し、政権を担ってきた伝統的な保守の票を大きく食うようになった時期だったこともある。 人口の1割近くを移民が占めるドイツやフランスに比べると、日本は移民の数がまだ少ないこともあって、排外主義的な右派の勢力はまだそれほど大きくない。 だが本当に毎年、20万人規模で増やしていけば、国民に移民と共存することへの“免疫”が十分できているとはいえないだけに、排外主義が一気に拡大する恐れもないではない』、安倍政権が「移民ではない」と強弁せざるを得ない、背景にはそんな事情があったとは・・・。
・『「使い捨て」は国際問題に 保守もリベラルも割れる  「高度専門職」と「特定技能」を線引きし、本格的な「移民政策」に踏み切ったわけではないと強調することで、政府はバランスを取ろうとしているようだ。 だがその思惑通りにうまくのかどうか。 永住資格は認めないで、「技能実習」から「特定技能」に切り替えられる可能性を広げる今回の案では、必要な期間だけ雇って、用がなくなれば帰国を余儀なくされるか、日本で職探しするしかない不安定な立場の外国人労働者だけを増やすことになりかねない。 それだと、日本での安定した生活を求めて来る人たちの期待を裏切り、「派遣労働者切り」をめぐる昨今の問題を海外にまで拡大してしまうことになりかねない。日本が自国の都合だけで外国人労働者を使っているという批判が各国から強まり、「国際問題」化することになるだろう。 国内でも、反グローバリズムの右派は、日本の立場の弱い労働者が割を食うことになるとか、不安定な外国人労働者の増加が治安悪化につながるなどとして、政府・自民党を「売国的体質」と糾弾するかもしれない』、派遣切りを海外にまで拡大、とはその通りで、「国際問題」化する懸念が強いだろう。
・『一方で、リベラル派はどうか。 政府が出入国管理法の改正案を発表する少し前から、マスコミやネットで、不法滞在で取り締まり対象になっている外国人に対する入管当局の対応が話題になっていた。 10月初旬、当局とコラボしたテレビのドキュメンタリー番組で、入管Gメンが不法就労者を摘発し、手錠をかける緊迫した場面が放映されたが、外国人労働者に対する偏見を助長するのではないかと、ネットを中心に批判の声が広がった。 外国人問題に取り組む弁護士グループはテレビ局に対し、(1)摘発された外国人労働者たちが不法滞在状態にならざるを得なかった、技能実習先の企業の問題などの背景事情が省略されていたこと、(2)アジア系の外国人に対象が偏っていたこと、(3)不法滞在が凶悪な犯罪であるかのごとく扱われていたことなどを、問題として指摘する意見書を出した。 こうしたこともあって、リベラル系のメディアは当面、在留外国人の権利を十分に守る仕組みを作ることが先決で、企業の都合でなし崩し的に外国人労働者を増やすことは認められない、というスタンスを取っているように見える。 リベラル系の政党や知識人も、移民について、長期的にどのような態度を取っているのか、はっきりしない点がある。 立憲民主党の枝野代表は、在留資格の新設は、事実上の移民政策だとし、それを正々堂々と主張しない政府の曖昧な姿勢を批判しているが、立憲民主党自身もまだ移民政策についての基本方針を固めていない。 党内では、「リベラル」な立場から多様な文化的背景を持つ他者たちとの共存を目指す人たちと、移民に日本人の労働者の地位が脅かさされることを恐れる、最大の支持母体連合の意向を受けて慎重な人たちの考え方が対立しているようだ。 国民民主党や社民党も態度を決めていない。共産党は永住外国人への参政権の付与、難民認定の緩和など、普遍的な人権擁護の姿勢を強調する一方、労働移民に関しては、安易な受け入れによる人権侵害の温床になっているとして技能実習制度の廃止を求めている。 保守だけでなく、左派・リベラル側も、グローバリズムか、国民共同体の利益か、で割れているようである』、やれやれ、これでは国会審議にも余り期待できそうもないようだ。
・『経済と文化のグローバル化が否応なく進んでいく中で、日本という国民国家が存続していくには、日本社会にある程度まで同化してもらうことを条件に、外国人労働者の定住化を積極的に推進する方向に転換しなければならないのは不可避だ、と私は考えている。 日本の伝統文化や規範を維持するためという理由であれ、労働者の利益を守るためという理由からであれ、「移民政策」を――たとえ言葉の上だけのことだとしても――全否定するのは現実的ではない。 かといって、年20万人というように数値目標を掲げるのは、人間を原材料扱いすることを含意している。文科省が進めている留学生30万人計画と同様に、何のための国際化か分からない本末転倒を引き起こすだけなので、控えるべきだろう。 実際に、大学の現場では、計画に合わせて強引に留学生をかき集め、“英語での授業”を増やした結果、大学の教育水準を低下させる悪影響が出ている。このことは多くの大学教員が指摘している通りだ。 どういう文化的・歴史的背景のどういう経歴の人をどういう職種のどういう条件で受け入れたら、スムーズに日本社会に溶け込み、社会的活力の源泉になるのか、十把一からげにせず丁寧に検討し議論する必要がある。 日本で生まれ育った外国人の子どもの永住権や国籍取得についても本格的に検討する必要があるだろう。 新しい在留資格の導入に合わせて、不法就労などの問題に対処するため、法務省の入国管理局を、4月から「入国在留管理庁」に格上げする方針も決まっているが、これだけで不十分だ。 外国人労働者が、日本社会に摩擦なく受け入れられ、融合し共存するためには、違法行為を取り締まるだけでなく、受け入れ先の企業や自治体、教育・福祉機関などと連携して、「多文化社会」に向けての環境整備をする「移民庁」的な機関が必要になるだろう』、ある程度の移民を受け入れざるを得ないという筆者の考えには、私は反対だ。理由は後述する。
・『多文化主義国家を目指すのか  保守、リベラル両陣営とも、移民政策を推進するにしろ抑制するにしろ、国民国家としてのアイデンティティーと普遍的人権、経済・情報のグローバル化の三項関係をめぐる議論を掘り下げ、自らが目指す国家像を明らかにすべきだ。 保守主義の元祖であるエドマンド・バークは、フランス革命の影響に抗して英国の伝統的な国家体制の骨格を守ろうとする一方で、当時、英国の植民地だったアメリカの英国の圧制に対する抵抗に理解を示した。 武力鎮圧に反対したし、またアイルランドのカトリック教徒の解放を提唱するなど、英国のグローバルな発展のための多文化主義・国際協調的な戦略を模索した。 現在の英国の保守党は、EU離脱、移民制限の方向に進んでいるが、英国の保守主義には、市場の自由な発展を守るべく、排外主義的なナショナリズムとは一線を画すバークや経済学者のハイエクのような流れもある。 リベラル派は、国際的な正義の観点から【移民受け入れ→多文化主義】化を促進したがり、コミュニタリアン(共同体主義者)は文化防衛の観点から、それに反対しがち、というイメージを抱く人がいるかもしれない。 しかし、代表的なコミュニタリアンであるカナダの哲学者チャールズ・テイラーは、カナダをモデルにした多文化主義を提唱している。 また英国の元社会主義者のデイヴィッド・ミラーのように、自国民のための福祉・再分配を優先すべきとする「リベラル・ナショナリズム」の立場を取る論者がいる。 カナダのリベラル系の政治哲学者キムリッカのように、その国に居住するに至った歴史的風景を踏まえて、文化的少数派を細かくカテゴリー分けし、それぞれのグループに属する人がどのような文化的権利を有するべきか論じている人もいる。 日本にふさわしい多文化共存のモデルを構築する議論をリードしてこそ、リベラルな政党の腕の見せどころになるだろう。政府の矛盾を指摘するだけなら、相変わらずの無責任野党でしかない。一方で政府・与党も、将来の「国家像」を踏まえたきちんとした「移民政策」を示すことだ』、「将来の「国家像」」すらないなかでは、キレイ事に過ぎるようだ。

次に、立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏が11月7日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「外国人労働者は「新在留資格」で本当に日本に来てくれるのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/184431
・『安倍晋三政権は、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定し、臨時国会に提出した。法律が成立すれば、これまで医師、弁護士、教授など「高度専門人材」に限ってきた外国人の就労資格を「非熟練の単純労働」に広げる、日本の入国管理政策の歴史的な大転換となる。 これまで、かたくなに拒んできた外国人単純労働者の受け入れ解禁は、日本の社会に本格的な「移民社会」の到来という、大きな変化をもたらす可能性がある。しかし、安倍首相は国会で「移民政策ではない」と答弁し、法案には具体的に受け入れる業種や人数の規模など、全体像が示されていない。 山下貴司法相(本連載第194回)は、「人出不足が深刻で、法改正は急務だ」と述べ、法案成立を急ぐ考えを示すだけで、国会で具体的な答弁を避けている。とにかく、当面の人手不足を埋めようとする安倍政権の姿勢には、野党のみならず、与党である自民党・保守派や公明党からも「生煮えのまま進めるのは拙速だ」「なし崩しに外国人労働者が増える」と批判が出ている。 だが、本稿は出入国管理法改正による新制度導入で、なし崩しに外国人労働者が増えるどころか、日本国内の人手不足は埋まらないと考える。国際的な観点からみると、外国の単純労働者にとって、日本は既に魅力ある働き場所ではないからだ。その意味で、この法案を巡る安倍政権の思惑も、それを批判する反対派も、どこかピントがずれているように思う』、仮に外国人労働者が来てくれないのであれば、問題ないともいえるのだが・・・。
・『外国人技能実習生制度の理想と現実 実態は中小企業の労働力確保  安倍政権が、外国人単純労働者の受け入れ解禁を急ぐ理由は、端的にいえば、昨今の度重なる災害後の復興や2020年に開催予定の「東京五輪」で、非熟練の単純労働者の需要が高まっているからだ。五輪に向けた建設工事等で、新たな労働者が約80万人必要だという試算がある。だが、人手不足は深刻だ。特に建設業では、2015年には1万2000人程度だった人手不足が、2020年には33万5000人に拡大するという。 しかし、日本では少子高齢化で若者の数が減少している上に、高学歴化、大企業志向の高まりによって非熟練の単純労働者が特に減少し、日本人だけでその穴を埋めることができなくなっている。そこで外国人労働者を受け入れるという話になるのだが、これまで日本政府は、単純労働者の受け入れを認めてこなかった。 日本には既に127万人の外国人がおり、世界4位の受け入れ数だ。だが、専門的または技術的分野の外国人労働者のみ受け入れてきた。日本国内において実際に就労ができる資格は13種類(教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、技術・人文知識、企業内転勤、興業、教育、技能)のみで、非熟練の単純労働者は含まれていない。 そのため、政府は「外国人技能実習制度」という、一時的外国人労働者受け入れ制度を使ってきた。中国、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどアジア諸国から技能実習生として人材を受け入れる。1年間の研修の後、技能テスト合格を得て2年間技能実習生として勤務することができる。技能実習生を受け入れることができる主な業種は、農業、水産業、酪農、製造業、建設業などである。 本制度の目的は、元々外国人労働者が研修で技能を習得して帰国し、その母国へ技能が移転されることを通じて、開発途上国の経済発展に貢献することだ。だから、外国人技能実習生は、労働ビザに該当しない「実習生ビザ」で来日している。しかし、現実的には、中小企業の労働力確保のために利用されてきた。近年は、前述の通り災害や五輪に向けて人材がより必要となり、2017年には外国人技能実習生の合計数は22万人を超えている』、農業、水産業、酪農のように日本的やり方が強い業種では、母国への技能移転など画に描いた餅だ。
・『外国人技能実習生に対する人権侵害問題の闇  だが、外国人技能実習生に対する人権侵害問題が、ほぼ毎年200件以上発覚し、処罰されているという。その主なものは、賃金未払いや暴力などである。よく知られた事件としては、2014年に、日本有数のレタス産地である長野県南佐久郡川上村でレタス栽培に従事していた中国人の農業技能実習生が、人権侵害を受けた事件がある。 中国人技能実習生たちに対して、劣悪な環境の中で、労働基準法に違反した長時間の労働や暴言や暴力、不明瞭な賃金の差し引きや母国にある送り出し機関からの搾取や不必要な管理などが行われていた。技能実習生の申告により、事件として明るみに出たが、日本弁護士連合会が、管理団体である川上村農林業振興事業協同組合に対し、再発防止や被害回復等を求める勧告を行い、厚労相および、法務省に対し被害実態の調査や再発防止、技能実習制度の廃止を求める事態となった。 立命館大学政策科学部・上久保ゼミでは、2016~17年の2年間、ある学生(現在は卒業)が外国人技能実習制度の問題に切り込んだ。この写真は、その学生が2016年6月に外国人技能実習生の調査を行った時に撮影したものである。外国人技能実習生を受け入れた企業・農家に学生がインタビューを依頼したが、ことごとく断られた。業を煮やした学生は、遂にノー・アポイントで取材を敢行した。その結果、なぜ企業が学生の訪問を頑なに拒み続けたか、理由がはっきりとわかった。冷暖房などの設備のないトラックのコンテナの中で、ベトナム人技能実習生が3年間生活していた事実が判明したのである。 技能実習制度は、さまざまな人権リスクが起きやすい制度設計になっている。繰り返すが、技能実習制度は労働人口の減少や若年層の高学歴化、大企業志向などからくる人材不足に対する中小企業の生き残り策として存在している。そのため、技能実習生は日本人が就労したがらない労働分野での補完的役割を担っている。 だが、日本の中小企業における労働組合の組織率はわずか1%と圧倒的に低い。本来、労働者の人権や労働環境を守るための組織である労働組合が中小企業にないことが、仕事の効率ばかりを優先させ、労働者の権利を疎かにする環境につながっている。 その上、「3年間だけ日本国内に滞在を認める」という縛りがある。制度上、外国人労働者のための社会参加は考えられておらず、技能実習生たちの社会的孤立を高めてしまうことになる。結果として、パスポートの取り上げや賃金未払い、労働基準を超す長時間労働など、最悪死に至らしめるさまざまな人権リスクが起きやすくなっている』、上久保ゼミの学生が外国人技能実習制度の問題に切り込んだ、さらに下の部分で、送り出し国に訪問してフィールドワークまでしたとは大したものだ。「冷暖房などの設備のないトラックのコンテナの中で、ベトナム人技能実習生が3年間生活」とは、よくぞそんな酷いことが出来るものだ。技能実習生であれば、労働基準局の監督対象外なのだろうか。
・『さらに言えば、この学生が、技能実習生の送り出し国に訪問してフィールドワークした結果、わかったことがある。技能実習生を送り出す国に、「悪徳仲介業者」が存在し、それが現地のマフィアと結託し、貧困にあえぐ非熟練動労者をほとんど人身売買のように日本に送り込んでいる実態だ。 この仲介業者は、研修生を日本に送れば終わりではない。研修生が日本に送られた後も、金銭を巻き上げるだけでなく、なんと「監視役としての実習生」を日本に派遣している。そして、それに結託している日本の中小企業がある。その結果、日本にも母国にも居場所のなくなった実習生が、次々と失踪している。2015年度には4980人のもの失踪者を生み出しているのである。 外国人技能実習制度は国際社会から多くの批判を受けている。国連のホルヘ・ブスタマンテ氏による報告書では本制度を「奴隷制度または人身売買」と判定した。その上で、日本政府に対しこの制度の廃止と雇用制度への変更、関連企業から完全に独立した監視・申し立て・救済機能の確立の勧告をしている。しかし、これまで安倍政権は、抜本的な解決などは考えてこなかった』、国連によって「奴隷制度または人身売買」と判定されるとは、恥ずかしい限りだ。それに、頬かぶりをする安倍政権も不誠実極まりない。
・『アジアの労働市場で日本の優位性は低下している  繰り返すが、安倍政権が外国人単純労働者の受け入れ解禁を決断したのは、国内の人手不足を解消するためである。だが、それは新たな制度をつくれば解決する簡単な問題ではない。実は、アジアの労働市場において、日本の優位性が低下しているからだ。 近年、中国人「観光客」の爆買いが話題となっている一方で、中国人「労働者」が実は減少している。外国人技能実習生の受け入れがピーク時だった2008年には、およそ80%が中国人であった 。 だが、中国経済の急激な発展によって、上海など都市部では建設ラッシュだ。賃金面で日本の優位性はなくなっている。例えば、外国人労働者のうち中国人が7割を超えていた愛媛県の中小企業団体中央会は、愛媛の最低賃金でフルタイム働いた場合の月収は、中国の都市部で働く場合と大差がないと指摘している。また、日本で高い人権リスクを背負いながら低賃金で働くより、中国の都市部で働いたほうが安全ということになっている(『日本経済新聞社』2016年7月18日)。 現在では、中国の山間部まで募集をかけないと実習生候補が集まらない。2015年時には中国人技能実習生の割合が42%に留まるなど、中国人実習生の数は半分程度に落ち込んでいるのだ。 また、韓国や台湾の単純労働者受け入れ政策への転換がある。日本の外国人技能実習制度は最長滞在期間が3年であるのに対し、韓国は技術が習得できれば熟練労働者に移行でき、台湾は最大12年まで滞在を延長できる 。 また、韓国、台湾と日本の賃金格差も、アベノミクスによる円安の進行でなくなった。日本の最低賃金をドル換算すると、月額で約1060ドルで、ソウル、台北の賃金と変わらない水準となった。その結果、高い人権リスクを冒してまで日本で働くよりも韓国や台湾へ行こうと考える出稼ぎ労働者が増えている現状がある。災害や五輪で人材の需要があっても、簡単に集められない状況なのだ』、円安で「日本の最低賃金をドル換算するとソウル、台北の賃金と変わらない水準」とは、ここまで日本の経済力も低下したのかと、再認識させられた。
・『外国人労働者の人権保護対策が強行裁決後に「例外」で骨抜きの悪夢  安倍政権の入管法改正が、現行の外国人技能実習制度の人権侵害問題と、海外との人材獲得競争での劣勢を多分に意識したものだということは明らかだ。 新たな在留資格「特定技能」を2段階で設けている。「特定技能1号」は、最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格する「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人が得られる資格である。滞在期間は通算5年で、家族は認められない。 「特定技能2号」は、さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人に与えられる資格である。1~3年ごとの期間更新が可能で、更新回数に制限がなく、配偶者や子どもなどの家族の帯同も認められる。10年の滞在で永住権の取得要件の1つを満たし、将来の永住に道が開ける。一方、受け入れ先機関が外国人労働者に日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要があることも法案に明記されている。 菅義偉官房長官は、「外国人が働く国を選ぶ時代になったと認識している。外国人が働いてみたい、住んでみたいと思える国を目指す」と発言し、「(1)自治体における相談窓口の一元化、(2)日本語学校の質の向上、(3)外国人を受け入れられる医療機関の体制整備、(4)保証金や違約金を徴収する悪質な仲介業者の排除」の検討を表明している。 しかし、安倍首相は国会答弁で再三にわたって「移民政策ではない」と強調している。これは、安倍政権のコアな支持層である「保守派」(第144回)を意識した発言であることは明らかだ。保守派の圧力に配慮すればするほど、「労働力」としての外国人単純労働者受け入れ制度の導入をなんとか通そうと焦り、いつものように国会答弁がいい加減になり、さまざまな問題が何も修正されないまま、強行採決で法律を通してしまうことが懸念される。 その上、外国人労働者の人権保護対策等は、菅官房長官が言及したように、法律が成立した後に検討されるのだろう。その時は、声が大きいが少数派に過ぎない保守派以上に、外国人労働者を低賃金で使いたい中小企業の支持を受ける自民党のほとんどの議員が、なんだかんだと理屈をつけて、「例外事項」を設けるために動くだろう。人権保護対策は、実質的になにも整備されないまま、新しい制度が動き出すことになる』、なんとも恐ろしいほどいい加減な政治風土だ。
・『野党の追及にも違和感 拙速な「多文化共生社会」の主張  一方、野党の国会での追及も違和感がある。安倍首相に「これは、移民政策ではないのか?」と迫り続けるのは、いつもの執拗な「揚げ足取り」「失言狙い」の生産性のない言葉遊びだろう。 より問題なのは、野党が安倍政権に対抗するために、「拙速」に「多文化共生社会」を打ち出してきたことだ。これは、一見結構なことのように思える。だが、実際は「多文化共生社会が整備されていない」ことを理由として、法案に反対するために使われている。野党は、「拙速に進めるべきではない」「なし崩しに外国人労働者が増える」と政府を批判して、「保守派」とともに「同床異夢」で法案撤回を求めている。野党の姿勢は、まるで「極右政党」(第185回)にしか見えないという違和感があるのだ。 野党が、政府を追及すべき問題はいろいろある。(1)外国人技能実習生の人権侵害問題の実態、それに対する具体的な対応策、(2)実態が不透明な海外の悪徳仲介業者をどう排除するのかの具体策、(3)主な受け入れ先となる建設業の中小企業や農家は、日本人労働者並みの条件で外国人労働者を受け入れられるのか、(4)上記を踏まえた、アジア労働市場における競争力をどう確保するのか、等である。要は、「本当にこんな政策で、外国人労働者が日本に来てくれるのか?」を政府に厳しく問うべきなのである。 野党が「多文化共生社会」を訴えるのならば、外国人労働者の増加を止めるための詭弁として用いるべきではない。真剣に多文化共生社会の実現を実現する、外国人にも日本人と同等のフルスペックの人権を保障する「移民政策」を考えるべきだ』、その通りだろう。
・『安倍政権が若い世代の支持を得ているのは、いろいろ問題を抱えながらも、現実社会の課題を直視し、それを変えようという姿勢が見える「改革派」と評価されているからだという。それに対して、野党は、「55年体制」「東西冷戦期」のシステムを頑なに守ろうとする「保守」だとみなされ、支持されないのだ。 外国人労働者の受け入れについては、各種世論調査では国民の約半数が賛成し、特に若い世代では60%以上が賛成し、抵抗が少ないという(『読売新聞』2018年10月29日)。安倍政権が踏み込むことができない「移民政策」を訴えることは、野党が「保守」ではないことを訴える好機だ。それは、日本の「サイレントマジョリティ」である中道の支持を得ることになる(第136回・P.3)。なにも躊躇することはないのではないだろうか』、野党が中道の支持を得るには、そうした姿勢を見せる必要があるのかも知れない。

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が11月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/184728
・『一部で「移民政策」ともいわれている入管法改正案が成立しそうだが、この政策は後世に計り知れない悪影響を与えかねない。実は100年前の日本でも同様の事態は発生しており、それは今日にまで在日朝鮮人差別問題として尾を引いている』、興味深そうだ。
・『「移民政策」は日本の労働者にも百害あって一利なし  安倍首相が頑なに「移民政策」と認めない「外国人労働者の受け入れ拡大」を目的とした出入国管理法改正案が、なし崩し的に成立しそうだ。 誰も投獄されていない特定秘密保護法や、物証のない首相の口利き疑惑の時は、この世の終わりのように大騒ぎするマスコミや野党も、驚くほどあっさりとした批判で終わっているからだ。 だが、この政策は我々の子どもや孫の世代に、計り知れない悪影響を与える可能性が高い。 前々回(『安倍政権の「移民政策」、実現なら日本の若者の賃金は上がらない』)も指摘したが、現在の日本の人手不足問題の多くは「雇用ミスマッチ」による「人手偏在」によるところが大きい。つまり、新卒ホワイトカラーの求人には過剰に人手が集まるのに、低賃金で辛い単純労働的な求人は見向きもされないため、「留学生」や「技能実習生」という弱い立場の「短期移民」への依存度が高まっている状況なのだ。 こういう負のスパイラルを断ち切るには賃金アップと生産性向上、それができない経営者の淘汰しかないのだが、今回の移民政策への転換でそれが一気にパアとなる。 「人手偏在」にどんなに外国人労働者を注入しても、辛い単純労働の価値をさらに下げるだけで、低賃金がビタッと定着するからだ。こうなれば、低賃金でコキ使われる日本人や在日外国人の皆さんは「お前の代わりはいくらでもいる」と脅されるなど、これまで以上の弱者になる。つまり、「外国人労働者の受け入れ拡大」で潤うのは、低賃金労働を前提としたビジネスモデルを死守したいブラック経営者だけで、我々一般の労働者からすれば「百害あって一利なし」なのだ』、説得力に溢れた主張で、全面的に賛成だ。第一の記事の筆者の主張に私が反対した理由もここにある。
・『そう言うと、「既に日本は移民国家だ」という開き直る人も多いが、なぜそうなってしまったのかというと、今から100年前、良識のある日本人たちの「警鐘」を無視したからだ。 100年前の雇用ミスマッチで政府は朝鮮人労働者を“輸入”  1917年、北海道や九州の炭鉱で深刻な人手不足が発生した。 当時、日本の人口は右肩上がりで増えていた。おまけに、ワークライフバランスなんて概念もないので、労働者は朝から晩まで働かされた。そんな状況でも「人手不足」だというのだから、炭鉱業では常軌を逸した「雇用のミスマッチ」が蔓延していたわけだが、日本政府はそれを是正することなく、禁断の果実に手を出す。「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者約700名の受け入れを行ったのである。 だが、当時の新聞人は今と比べてかなりまともだった。「読売新聞」(1917年9月14日)の「労力の輸入 最後の計算を誤る勿れ」という記事が以下のように警鐘を鳴らしている。「鮮人労働者の輸入は生産費の軽減を意味し随(したが)って生産品の低廉を意味するが如きも事質に於ては只内地労働者のエキスペンスに於て資本家の懐中を肥やすに過ぎざるなり」「要するに鮮人労働者を内地に輸入するは我内地の生活を朝鮮の生活と同一の水準に低下せしむるとなしとせず」 これは杞憂でも妄想でもなかった。「試験」の結果に気を良くした経営者は続々と「鮮人労働者」を受け入れた。しかし、その一方で、日本の労働者の待遇は一向に上がらず、程なくして小林多喜二の「蟹工船」に描かれたようなブラック労働が定着していったのである。 この100年前の過ちを、さらに大規模なスケールで繰り返そうというのが、今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」なのだ。 さらに言ってしまえば、「人間」を「労働力」という側面でしか見ない政策が、憎悪と対立につながっていくことも、我々は歴史から学ぶことができる』、100年前の朝鮮人労働者の輸入の経緯を初めて具体的に知った。こうしたなかでは、「徴用工」問題も叩けばホコリだろう。
・『生活の基盤を持つ外国人が感じる「差別」  政府が「労働力の輸入」に舵を切ってから3年後、「朝鮮移民」が増えた日本で「在京朝鮮人の過半数は内地へ来て一年か二年経つと思想的に悪化し当局に対して白眼視する様になる傾向が現れて来た」(読売新聞1920年8月24日)という問題が発生している。 そのように聞くと「当時の朝鮮人は悪さをすることを目的にやってきた犯罪者も多かった」と、トランプ大統領のようなことを言う人も多いが、実は当時の朝鮮人の態度が悪くなる最大の理由は、「日本人のような扱いを受けられない」という不満だった。先ほどの新聞記事に登場した朝鮮人はこんな風に述べている。「内地人と私等とを差別されるので困る。学生は学校、職工は工場で、其他日毎に遭ふ日本人は皆一様に私達に侮蔑的態度で接してゐる。相当な地位或は財産が出来て内地の婦人を娶ろうとしても鮮人だからと云ってまとまらぬ」(同上) この主張の是非についてはややこしくなるのでちょっと脇に置く。本稿で筆者が言いたいのは、日本人側がいくら外国人を「労働者」や「移民」と呼んで、日本人と異なる特別扱いをしたところで、それはこちらの一方的な押し付けであり、当の外国人は日本で暮らして働く以上、遅かれ早かれ日本人と同じ扱いを望むようになる、ということだ。 よそ者のくせに何たる図々しさだ、と思うかもしれないが、それが「人間」というものだ。 皆さんも想像してほしい。もしどこかの別の国へ移住して、その国の言葉をしゃべり、その国の中で立派に働き、そこで家族を養うようになったら、その国の人とせめて同じくらいの権利や公共サービスを受けたいと思うのではないか。 その国で何年も暮らしているのに「外国人労働者」と言われ続け、体調を崩して働けなくなったりしたら、すぐに国から出てけと言われたらどうか。「差別」だと感じるのではないか。 どちらが正しい、間違っているという話ではない。100年前、日本にやってきた朝鮮人労働者が感じた「差別」というものが、「従軍慰安婦」の問題や今回判決が出た徴用工の問題にもつながって、「負の遺産」になっているのは、動かしがたい事実なのだ』、その通りで、大変重い指摘だ。
・『「労働者」としか見ないのがすべての悲劇の始まり  ここまで言えば、もうお分かりだろう。今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」も「朝鮮人労働者」問題のリバイバルで、これから100年続く民族間の遺恨につながる可能性が極めて高いのだ。 隣の国との問題はあくまでレアケースで、他の外国人労働者と遺恨など生じるわけがない、と嘲笑する方も多いかもしれないが、既にブラック労働に辟易とした「技能実習生」が、日本嫌いになって帰国するなどの問題が起きている。また、「移民政策」だと批判された際の安倍首相の反論にも、その兆候が見て取れる。 「素行善良で独立した生計を営める資産または技能があるなど、厳しい条件が課される」 要するに、誰かれ構わず入れるわけではなく、品行方正な労働者だけしか入れませんというのだ。 素晴らしいじゃないかと思うかもしれないが、我々が受け入れるようとしているのは、血が通った人間である。入国した時は素行善良でも、1年経過すれば「差別」に不満を漏らす外国人になるかもしれない。技能や資産があっても、ブラック労働に耐えかねて仕事をボイコットするかもしれない。このように外国人を「労働者」としか見ないところがすべての悲劇の始まりだということを、首相は歴史から学ぶべきだ。 2016年、SNSで一枚のFAXの画像が話題になった。 技能実習生の雇用を企業に促すためのFAXで、「外国人技能実習生で人手不足を解消!! 労働力として全国で約15万人が活躍中!」という文言が大きく踊っていた。もちろん、何者かが何らかの意図を持って作成したビラである可能性もあるが、それを見て筆者が「いかにもありそう」と感じたのは、以下のような記述があったことだ。 「入国前には日本語やマナーを徹底教育しますので外国人技能実習生はオススメいたします」「実習生は基本仕事を休みません! 途中で辞めません! マジメで素直です! 残業、休日出勤は喜んで仕事します!」 ここに日本人が100年前から克服できない「病」の片鱗が見える。人手不足の炭鉱で朝鮮人を働かせた時代から、日本人にとって、外国人は低賃金で文句を言わずキビキビ働く、「労働者」であって、「人間」として見ていないのだ』、「日本人が100年前から克服できない「病」の片鱗」とは言い得て妙だ。
・『外国人差別が根強く残る国で「移民政策」が成功するわけがない  さらに厄介なのは、この病はインテリの方が症状が重いことだ。先日もニュースを見ていたら、「論説委員」という立派な肩書きを持つ方が大真面目な顔をして、こんなことをおっしゃっていた。 「これから日本人は人口が急速に減っていく、いま反対をしても我々が年をとって、誰も介護をしてくれないなんてことにならないように、外国人を受け入れていくしかない」 外国人を労働者どころか、介護要員や社会保障維持の人柱のようにしか考えていないのだ。こういう「外国人差別」が根強く残る国では、「移民政策」など進めて成功するわけがない。 世界一真面目で勤勉と何かにつけて自画自賛している我々日本人でも、あまりに辛いと仕事を投げ出す人がいる。会社を辞める人もいる。働きたくても働けないと心を病む人もいる。 ならば、これから大量に受け入れる「外国人」だってそうならない保証はない。そうなったら、さっさと荷物をまとめて日本から出て行け、と不法滞在外国人扱いとなるのか。これまで日本社会に馴染んできた家族はどうするのか。使い捨てのコマではなく、人間らしく扱うべきだ、と言う声も必ず出てくるはずだ。 安倍首相はこれを頑なに「外国人労働者」と呼ぶが、世界ではそういうスタイルで働かされるのは「奴隷」と呼ぶ。 今の国会で行われている論戦の最大の問題は、外国人を「人間」として見ていないことだ。「労働力」という頭数でしか見ていないので、「人間」ならば起こりえる不正受給、犯罪、心の病など、我々日本人の中で当たり前に見られる問題がスコーンと抜けているのだ。 その中でも最もゴソっと抜けているのは、人間ならば当然抱くであろう「妬み」や「ひがみ」という感情だ。 なぜ日本人よりも何倍も多く働いているのに、日本人よりも待遇が悪いのか。なぜこんなにも日本に貢献しているのに、日本人のように扱ってくれないのか。我々は「使い捨て」なのかーー。 このような不平不満に答えられないような制度設計では、外国人が雪だるま式に増えれば「破綻」をするのは目に見えている。 個人的には、日本の賃金アップと生産性向上がある程度の水準まで到達した後、それでもまだ人手が足りない分野があるというのなら、「移民」を受け入れられればいい。ただ、その時は日本人とそれほど変わらない待遇にする、という覚悟を持つべきだ。 外国人は日本人が豊かな生活を送るための「お手伝いさん」や「奴隷」ではないのだ』、「目から鱗が落ちる」のような素晴らしい記事で、今回紹介したなかでも出色の出来だ。全面的に賛成である。
タグ:仲正昌樹 読売新聞 2号 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 外国人技能実習制度 外国人労働者問題 上久保誠人 (その7)(新在留資格 低賃金の外国人労働者目当ては「排外主義の温床」になる、外国人労働者は「新在留資格」で本当に日本に来てくれるのか、外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由) 「新在留資格、低賃金の外国人労働者目当ては「排外主義の温床」になる」 建設、介護など14業種で検討 家族の帯同も可能に 「高度専門職」 「特定技能」 1号の在留資格 「移民政策」ではないというが 安い労働力求める経済界の利害と一致 自民党の外国人材交流推進議員連盟 積極的な移民促進政策を検討し、2008年6月、人口減少に対処するため、今後50年間での1000万人の移民受け入れ、永住許可要件の大幅緩和、移民庁の設置などを提言 2014年2月に内閣府が発表した「目指すべき日本の未来の姿について」では、毎年、移民20万人を受け入れるべきことが示唆 保守派の間から、移民の大幅な増加は文化摩擦をもたらし、国民国家をベースとした一体感を破壊するとして、反対する声が出るようになった 毎年、20万人規模で増やしていけば、国民に移民と共存することへの“免疫”が十分できているとはいえないだけに、排外主義が一気に拡大する恐れもないではない 「使い捨て」は国際問題に 保守もリベラルも割れる 「派遣労働者切り」をめぐる昨今の問題を海外にまで拡大してしまうことになりかねない リベラル系の政党や知識人も、移民について、長期的にどのような態度を取っているのか、はっきりしない点がある 多文化主義国家を目指すのか 政府・与党も、将来の「国家像」を踏まえたきちんとした「移民政策」を示すことだ 「外国人労働者は「新在留資格」で本当に日本に来てくれるのか」 国際的な観点からみると、外国の単純労働者にとって、日本は既に魅力ある働き場所ではない 新制度導入で、なし崩しに外国人労働者が増えるどころか、日本国内の人手不足は埋まらないと考える 外国人技能実習生制度の理想と現実 実態は中小企業の労働力確保 日本には既に127万人の外国人がおり、世界4位の受け入れ数 能実習生を受け入れることができる主な業種は、農業、水産業、酪農、製造業、建設業など 本制度の目的は、元々外国人労働者が研修で技能を習得して帰国し、その母国へ技能が移転されることを通じて、開発途上国の経済発展に貢献することだ 現実的には、中小企業の労働力確保のために利用 外国人技能実習生に対する人権侵害問題の闇 長野県南佐久郡川上村でレタス栽培に従事していた中国人の農業技能実習生が、人権侵害を受けた事件 冷暖房などの設備のないトラックのコンテナの中で、ベトナム人技能実習生が3年間生活していた事実が判明 悪徳仲介業者 2015年度には4980人のもの失踪者 国連のホルヘ・ブスタマンテ氏による報告書では本制度を「奴隷制度または人身売買」と判定した 日本政府に対しこの制度の廃止と雇用制度への変更、関連企業から完全に独立した監視・申し立て・救済機能の確立の勧告 アジアの労働市場で日本の優位性は低下している 韓国、台湾と日本の賃金格差も、アベノミクスによる円安の進行でなくなった 外国人労働者の人権保護対策が強行裁決後に「例外」で骨抜きの悪夢 「外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由」 この政策は後世に計り知れない悪影響を与えかねない 「移民政策」は日本の労働者にも百害あって一利なし 賃金アップと生産性向上、それができない経営者の淘汰しかない 今回の移民政策への転換でそれが一気にパアとなる 「人手偏在」にどんなに外国人労働者を注入しても、辛い単純労働の価値をさらに下げるだけで、低賃金がビタッと定着するからだ 低賃金でコキ使われる日本人や在日外国人の皆さんは「お前の代わりはいくらでもいる」と脅されるなど、これまで以上の弱者になる 「外国人労働者の受け入れ拡大」で潤うのは、低賃金労働を前提としたビジネスモデルを死守したいブラック経営者だけで、我々一般の労働者からすれば「百害あって一利なし」なのだ 既に日本は移民国家だ 100年前、良識のある日本人たちの「警鐘」を無視したからだ 100年前の雇用ミスマッチで政府は朝鮮人労働者を“輸入” 北海道や九州の炭鉱で深刻な人手不足が発生 「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者約700名の受け入れを行った 労力の輸入 最後の計算を誤る勿れ 「試験」の結果に気を良くした経営者は続々と「鮮人労働者」を受け入れた。しかし、その一方で、日本の労働者の待遇は一向に上がらず、程なくして小林多喜二の「蟹工船」に描かれたようなブラック労働が定着していった この100年前の過ちを、さらに大規模なスケールで繰り返そうというのが、今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」なのだ 「人間」を「労働力」という側面でしか見ない政策が、憎悪と対立につながっていくことも、我々は歴史から学ぶことができる 生活の基盤を持つ外国人が感じる「差別」 実は当時の朝鮮人の態度が悪くなる最大の理由は、「日本人のような扱いを受けられない」という不満 当の外国人は日本で暮らして働く以上、遅かれ早かれ日本人と同じ扱いを望むようになる 100年前、日本にやってきた朝鮮人労働者が感じた「差別」というものが、「従軍慰安婦」の問題や今回判決が出た徴用工の問題にもつながって、「負の遺産」になっているのは、動かしがたい事実なのだ 「労働者」としか見ないのがすべての悲劇の始まり 「技能実習生」が、日本嫌いになって帰国するなどの問題が起きている 外国人を「労働者」としか見ないところがすべての悲劇の始まりだということを、首相は歴史から学ぶべきだ ここに日本人が100年前から克服できない「病」の片鱗が見える 外国人差別が根強く残る国で「移民政策」が成功するわけがない 最もゴソっと抜けているのは、人間ならば当然抱くであろう「妬み」や「ひがみ」という感情だ なぜ日本人よりも何倍も多く働いているのに、日本人よりも待遇が悪いのか。なぜこんなにも日本に貢献しているのに、日本人のように扱ってくれないのか。我々は「使い捨て」なのかーー 日本の賃金アップと生産性向上がある程度の水準まで到達した後、それでもまだ人手が足りない分野があるというのなら、「移民」を受け入れられればいい。ただ、その時は日本人とそれほど変わらない待遇にする、という覚悟を持つべきだ 外国人は日本人が豊かな生活を送るための「お手伝いさん」や「奴隷」ではないのだ
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。