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介護施設(老人ホーム)問題(その4)(有料老人ホームの主役が「介護型」から「住宅型」に交代しつつある事情、92歳の老人ホーム入居者が憂う「男やもめ」の恫喝) [社会]

介護施設(老人ホーム)問題については、2月5日に取上げた。今日は、(その4)(有料老人ホームの主役が「介護型」から「住宅型」に交代しつつある事情、92歳の老人ホーム入居者が憂う「男やもめ」の恫喝)である。

先ずは、福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)の浅川澄一氏が2月27日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「有料老人ホームの主役が「介護型」から「住宅型」に交代しダつつある事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195285
・『鹿児島では1ヵ月で7人が死亡「住宅型」老人ホームが増加の一途  「老人ホーム6人相次ぎ死亡」「老人施設 1ヵ月6人死亡」「介護担当の全8人退職」「6人と別 入居者死亡」「別の4人への虐待確認 7人死亡の老人ホーム」――。 昨年11月21日から立て続けに新聞報道された。いずれも鹿児島県鹿屋市の高齢者施設「風の舞」で10月中旬から約1ヵ月の間に起きた死亡事件である。 高齢の女性入居者6人が短期間に次々亡くなり、直後に7人目も亡くなった。介護職員全員がその1~2ヵ月前に辞めており、夜間の対応は施設長1人が担っていたという。 同市に「亡くなる入居者が多い」と通報があったことで判明し、県と市はそれぞれ老人福祉法、高齢者虐待防止法に基づき検査に入った。この「施設」は「住宅型有料老人ホーム」である。と言われても、「普通」の有料老人ホームとどこが違うのか分かりにくい。建物の外見や現場の介護状況を見てもほとんど変わらないように見えるからだ。 有料老人ホームには3種類ある。「介護付き」と「住宅型」、それに「健康型」だ。全体の0.1%しかない「健康型」は、健康老人しかいられないので、今や時代遅れとなりつつある。要介護者のための施設が求められるようになったためだ。「住宅型」は元気な高齢者が入居し、要介護状態になっても居続けられ、「介護付き」は入居時から要介護の人向けと見られていた。昨今の状況から、当然「介護付き」が主流であった。 ところが一昨年の2017年6月末時点で、「住宅型」が「介護付き」の定員数を追い越して主役が入れ替わった(図1)。「介護付き」が24万人なのに対して、「住宅型」は25万人になった。「住宅型」は規模が小さいので、施設数ではこれまでも上回っていたが、定員数で初めて逆転した。近年、「住宅型」の施設が急増し、この6年間で倍増以上の勢いだ(図2)。 特別養護老人ホーム(特養)の定員58万人には及ばないが、いずれ特養の入居者は重度の低所得者に限定されそうなので、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と並んで高齢者住宅の主役になるだろう(図3)。 サ高住と「住宅型」はいずれも介護保険施設ではない。特養や「介護付き」は介護保険の給付を得られる施設で、市町村の介護保険計画で新規開設が限定される。そのため制約のないサ高住と「住宅型」が高齢者住宅のリーダーとなる可能性が高い。 事件のあった「住宅型」の「風の舞」は、よくある形態なのである。だが、「住宅型」と「介護付き」の違いはあまり知られていない。「介護担当の8人全員が退職」という報道内容からは、施設内に常駐する職員がいると思われかねない。そうなると「介護付き」と同じように見えてしまう』、「約1ヵ月の間に・・・高齢の女性入居者6人が短期間に次々亡くなり、直後に7人目も亡くなった」、とは驚きである。詳しい事情をみていこう。
・『「住宅型」で受ける介護は、自ら選んで自由に利用できる選択型  有料老人ホームといえば、マンションのような大きな建物に介護スタッフが常駐し、食事をはじめ入浴やトイレ、着脱などの介助をしてくれる施設といわれる。介護をすべて事業者に委ねる「お任せ型」である。これが普通のタイプで、正式には「介護付き有料老人ホーム」とされ、介護保険では「特定施設入居者生活介護」というサービス名になる。 入居者3人に対し職員1人以上の配置が必要など介護保険の施設基準を求められる。事業者は「特定施設」として得る介護報酬のほかに、別途利用料を自由に設定できる。この点が、同じ「お任せ型」でも社会福祉法人が運営する特養とは異なり、利用料が高額となる。 一方、「住宅型」はその名の通り多人数の単なる「住まい」である。自宅と同じ扱いだ。必要な介護サービスは、ケアマネジャーを通じて地域の訪問介護事業所や通所介護(デイサービス)事業所を選んで個別に受ける。介護保険サービスを自分で選んで自由に利用できる「選択型」である(図4)。 「風の舞」を辞めた職員は、実は同じグループの訪問介護事業所「風の舞介護センター」の所属だった。施設とは違う別の事業所から介護サービスを受けるのが、介護付き有料老人ホームと異なるところだ。 だが、介護保険の訪問介護サービスのスタッフが、施設内に常駐して保険外の日常生活の世話もすることが多い。保険の内外の区別がつき難く、利用者やその家族には施設職員と受け取られかねない。通所介護にしても、施設内や隣接に併設されており、一体運営のように見える』、「風の舞」では、「介護職員全員がその1~2ヵ月前に辞めており、夜間の対応は施設長1人が担っていたという」、というが、昼間の対応は誰がやっていたのだろう。元新聞記者が書いている割には、お粗末だ。
・『「住宅型」の方が「介護付き」より中重度の入居者が多い  入居者は高齢で、かつ認知症の人も多く、ほとんど決定権は家族にある。家族の多くは、個々のサービスは「事業者にお任せします」となり、「毎月の費用はどのくらい?」と総費用しか関心がなく、「介護付き」と区別ができているかあやしい。では、そのようなあいまいな住宅型がなぜ増えてきたのか。 その理由の第一は、「介護付き」と「住宅型」の利用者の状態から手掛かりが得られそうだ。「住宅型の入居者の平均要介護は2.7で、介護付きの2.4より高い」という衝撃的な結果が判明した。野村総合研究所が2017年に実施した調査によるものだ。 また、同調査から要介護3、4、5の中重度の入居者に占める割合を見ると、「介護付き」が各14.7%、15.2%、11.2%で合計41.1%なのに対し、「住宅型」は各18.5%、17.6%、12.9%で合計49.0%となる(図5)。元気老人が多いとみられていた「住宅型」の方が、中重度者の割合で「介護付き」を上回っている逆転の事実が明らかになったわけだ。これは何を意味するのか。 答えは明白だ。重度になっても「住宅型」で十分暮らしていけるのである。それがはっきり分かるのは、最重度の要介護5の入居者割合が「住宅型」の方が多いことだ。両者にケアのレベルの差はないといえるだろう。それだけ、「住宅型」の事業者が重度になった入居者への介護に熱心に関わっているといえるかもしれない。 では、ケアサービスに差はないなら、後は利用料金が問題だ。同じ野村総合研究所の調査では、外部サービス料金を除くと、「介護付き」は月平均で26万2515円なのに、「住宅型」は半額以下の12万2202円になるという。 「介護付き」には施設職員による介護サービスが含まれている。「住宅型」では、介護保険の在宅サービスを外部事業者から求めねばならないが、それでも1割負担なので要介護5でも3万5000円前後で済む。その費用を加えても、約16万円となり、「介護付き」より10万円ほど安い。この低価格は相当に訴求性があるとみていいだろう。 「風の舞」の入居者にも重度者が多く、なお月額の費用は介護保険の1割負担を含めても要介護5の場合11万円前後で足りる。全国的に見ても、ユニット型個室の特養のレベルとほとんど変わらない。つまり、中重度で10万円前後の総費用であれば、特養待機者の受け皿になり、現実的にそのように機能しているといえそうだ。 「住宅型」の都道府県別の定員数を見ると、数のベスト10には第1位の大阪府に次いで、北海道、宮崎、青森、大分、熊本、沖縄など最低賃金基準が低い各県が顔をそろえている。低所得者の多い地方で「住宅型」が存在意義を発揮しているといえるだろう』、「元気老人が多いとみられていた「住宅型」の方が、中重度者の割合で「介護付き」を上回っている逆転の事実が明らかになった」、「両者にケアのレベルの差はないといえるだろう」、費用面では「住宅型」が、「約16万円となり、「介護付き」より10万円ほど安い。この低価格は相当に訴求性がある」、ということであれば、「住宅型」の方がよさそうにも思えるが、「風の舞」は何が問題だったのだろう。
・『「住宅型」の増加は、「たまゆら事件」も大きなきっかけに  このような「住宅型」自体の変容が、多くの利用者に受け入れられたことが増加要因に挙げられる。この内部要因のほかに外部要因もある。 「たまゆら事件」である。2009年3月に群馬県渋川市の高齢者住宅「静養ホームたまゆら」で火災が起き、入居者16人のうち10人が亡くなった。批判を受けて厚労省は「認可外有料老人ホームを放置できない。基準に達していなくても、有料ホームの届けを出させて定期的に立入検査する」ことに方針転換した。「届けを出させるように」と指定権限を持つ都道府県や政令市を指導する。 そもそも有料老人ホームは老人福祉法で「10人以上の老人を住まわせて、食事を提供する」と定義されていた。2006年の改定で、「10人」が消え、食事のほかに家事や介護、健康管理を加え、かつ「そのうちのどれかを提供」として網を広げた。集合住宅に1人の老人が食事だけを提供されていても登録対象になった。 だが、「たまゆら」火災前までは、各自治体はガイドラインの「有料老人ホーム設置運営指導指針」により廊下幅や専門職員の配置、個室要件、部屋面積など細かい基準を定め、それを満たさなければ届けを受理せず、「類似施設」と命名し「継子」扱いだった。火災後に厚労省は「まずは届けを出させ、改装時に基準を満たすように指導せよ」と自治体に伝える。 これにより、普通の民家を活用していた小さな集合住宅が次々自治体に登録させられた。「宅老所」として「普段の暮らし」をうたう良質な事業者もやむなく移行していった。 宅老所は、志の高い看護師や薬剤師、あるいは介護職などが病院や大規模特養、老人保健施設のケアに疑問を抱いて独立するケースが多く、零細な事業者が大半。利用者も低所得者が多く、制度の隙間からこぼれた弱者救済という色彩が濃い。 次に、「特定施設」の指定を受けたいが、受けられない有料老人ホームの存在も「住宅型」の増加要因となっている。保険者の区市町村は介護保険料を算出するため、3年ごとに全介護サービスの総量を定め、介護保険事業計画を策定する。 特定施設の新規入居者数も上限が決まる。事業者からの申請が計画数以上になると指定を止めてしまうため、はじかれた特定施設待機組が「住宅型」に回ることになる。 特定施設の基準に合わせてハードの建物を造り、ソフトの介護サービスも同様の運営をしがちだ。介護サービスを外部でなく、形式的に別事業所を作って送り込むことになる。施設をチェーン展開する大手事業者にこのタイプが多い。従って、「介護付き」と「住宅型」の両方を数十ヵ所持っている。 こうしたさまざまの内部要因と外部要因が重なり「住宅型」が全国的に増えている。「介護付き」の1施設当たりの定員は61人だが、「住宅型」は29人と少ない。 合計定員数が全国5位で9995人の宮崎県では平均定員が24人、9位で合計定員数8201人の熊本県は同23人、また10位で7658人の沖縄県は同20人といずれも全国平均より少ない。施設が小さければ小さいほど、普通の住宅に近づきケアは行き届く。採算が取れる中で、小規模な施設が増えていくことは歓迎すべきことだろう』、最後の部分はその通りだろう。しかし、一般論中心で、「風の舞」の問題を掘り下げなかったのは残念でならない。

次に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が5月28日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「92歳の老人ホーム入居者が憂う「男やもめ」の恫喝」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00025/
・『また、痛ましい事件が起きてしまった。 82歳までがんばって生きて、なぜ、ついの住み家で虐待され、命を落とさなければならなかったのか。先週、品川区の老人ホームに入所していた男性を殺害したとして、元職員の男(28歳)が逮捕された。 事件当日の夜、入所者の男性の手や足をひっぱって部屋の中に引きずり入れている姿が、施設の防犯カメラに映っていた。死因は激しい内臓損傷による出血性ショック。 亡くなった男性は、10年ほど前から認知症が進んだため50代の次女が面倒をみてきたが、次女ががんを患い治療に専念するため3月に入所したばかりだった。 報道陣の取材に対し、「ずっと私が父親を介護していましたが、自分自身が病気になり、わらにもすがる思いで施設に父親を託しました。それなのにどうしてこんなことになってしまったのかという思いでいっぱいです」と語ったそうだ。 2015年9月に、川崎市の老人ホームで入所者の男女3人が相次いで転落死した事件のときには、職員が耳を疑いたくなるような暴言を吐き、目を背けたくなるような暴力的な行為とともに、おばあちゃんの「死んじゃうよ……」と振り絞るような悲痛な声が映し出された。 “あの時”と同じようなことが密室で行われていたのだろうか。もし、自分の親が手足を引きずられていたら……、考えるだけで胸がつまる。激しい怒りと悲しみとやるせなさと自責の念でグチャグチャになり、複雑な感情に翻弄される。 で、こういう事件が起こる度に、決して他人ごとではない、と暗澹たる気持ちになってしまう。 介護施設の職員による虐待は、5年間で3倍も増えた。 2017年度の1年間に発覚した65歳以上の高齢者に対する虐待の件数は、過去最多の510件に達している。虐待を受けた高齢者は約7割が女性で、認知症の症状が深刻化しているなど、状態の重い人ほど被害を受けやすい傾向にあり、介護度が重いほど「身体的虐待」を受けた割合が高いこともわかった。 また、虐待をした介護職員の54.9%が男性で、介護従事者全体に占める男性の割合は2割であることから、虐待者は相対的に男性の割合が高いと解釈できる』、「次女ががんを患い治療に専念するため3月に入所したばかり」なのに、殺されたとは本当に気の毒だ。「介護施設の職員による虐待は、5年間で3倍も増えた」というのも困ったことだ。
・『介護職員の慢性的な人手不足が背景に  いかなる状況であっても、虐待は許されるものではない。 だが、慢性的な人手不足に加え、要介護度の高い人を優先的に入所させる施設が多く、職員の負担が増え続けても、その対応は現場頼みとなっている現実がある。 「とにかく人手が足りないので、問題ある職員でも雇いづつけるしかないんです。でも、結果的にはそれが真面目に働いている職員の負担になったり、職員同士の人間関係の悪化につながったり。悪循環に陥ってしまうんですよね……」。こう話す関係もいる。 これまでも書いてきたように、介護現場は問題山積で、施設での虐待を「個人の問題」ととらえていては、悲惨な事件があとを絶たないことは誰もがわかっているはずだ。しかし「環境の問題」は一向に解決されず、その介護現場を取り巻く環境の力が、暴力的なまでに、そこにいる人の生きる力を食い荒らす“化け物”になり、現場はリアルな暴力と背中合わせになっている。 ただ、今回の事件が発覚し、これまでとは違う視点が加わったことに、良い意味で少々驚いている。いくつかのメディアから取材を受けたのだが、「施設を利用している高齢者の、職員に対する暴行、暴言なども虐待の背景にあるのでは?」と相次いで聞かれたのだ。 1年前の2018年3月、「介護職員への暴行、杖を股に当てるセクハラも」で、公にすることがタブーとされていたこの問題について書いて以降、さまざまなメディアが「介護される側」の問題を取り上げるようになったことも関係しているのかもしれない。 いずれにせよ、先に見解を述べると「介護職員の高齢者への暴言と暴行」と「高齢者の介護職員への暴言と暴行」を直接的に結びつけるのは、いささか乱暴だと個人的には考えている。が、それは何も「高齢者の暴言と暴行」が「介護職員の暴言と暴行」につながっている可能性を否定しているわけではない』、冷静な判断だ。
・『ハラスメントを受けても我慢すべきだという風潮  先のコラムに書いた通り、施設介護職員では77.9%が身体的・精神的暴力を経験しており、日本介護クラフトユニオンが昨年、7万8000人の介護職員を対象に行ったアンケート調査では生々しい不条理な現実が明かされている。 +74.2%が何らかのハラスメントを受けたことがあるとし、そのうち94.2%がパワハラに該当する行為を受けている +しかも7割が上司や同僚に相談をしたものの、4割超が「何も変わらなかった」としている +相談しなかった人の4割が「相談しても解決しないと思った」とした理由について、「介護職は我慢するのが当然という風潮があり。相談すると力量不足と考えられてしまう」「プロの介護職はその程度のことは受け流すべきだ、と言われる」「利用者からのハラスメントは、専門職だからうまくかわす、辛抱するという風潮」「その程度のことは、自分でうまく対応すべきだと考えていた」「みんながハラスメントはよくある、と言っているし、あしらえなければならない、と思ったから」と回答している。 介護職員は利用者の「下僕」でもなければ、介護という仕事は「聖職」でもない。であるからして、介護される側=高齢者の問題にもきちんと向き合う必要があることは明白だし、当然のこと』、「ハラスメントを受けても我慢すべきだという風潮」に対して、「介護職員は利用者の「下僕」でもなければ、介護という仕事は「聖職」でもない。であるからして、介護される側=高齢者の問題にもきちんと向き合う必要があることは明白だし、当然のこと」というのはその通りだろう。
・『そこで今回は有料老人ホームに要介護の夫(車椅子)と入所している、92歳の私の最高齢の“お友だち”がメールしてくれた「介護施設の今」を紹介するので、みなさんにも是非、一緒に考えていただきたい。 =======以下引用 「私が入所している介護施設の現状をお知らせします。 最近 ヘルパーが4名辞めてしまいましたが、1カ月たっても代わりが見つからず、そのまま残ったヘルパーが悪戦苦闘しています。 そんな現状なのに、新しい入所者は増え続けているので、そのしわ寄せは夫のような車いすの移動を余儀なくさせられている者にきています。食事後、部屋に移動させてくれるヘルパーはわずか2~3名しかいません。 私のいる施設には、現在90名近い入所者がいるのですが、車椅子での移動者は、順番がくるのを1時間以上待たされてしまうのです。 人手不足を緩和するため、これからは外国人労働者の手を借りることになると思いますが、このような事態が起きることは、早くから分かっていたと思います。 シンガポールは過去、同じような問題が起きた時、移民で補填し続け現在のような地位を得た、と聞きます。日本は何事においても、初動が遅いと思います。2025年には団塊の世代が全員後期高齢者になるというのに……。 ヘルパーの数が足りないことは、すべての介護に支障をきたし、入所者のストレスもたまっています。その結果、思うようにならず暴言を吐く者が多くなり、この3、4年の間に施設の雰囲気が非常に悪化しています。 先週はメンテナンスを主業務にしていた男性が過労のため離職しましたが、補充がいないので、食堂の椅子が壊れているのに気づかずに座っていた女性が、あおむけに倒れてしまいました。 私は椅子が壊れているのに、気づかずにいた施設長の責任だと思っていますが、彼らの日常を目の当たりにしているので、深く責任を問うことができませんでした。 ところが1人の入所者が、それはそれは大きな声で恫喝(どうかつ)し、周りで見ていても気の毒なほどでした。 入所者の中には、ヘルパーを使用人のように思っている者(特に高い地位にいた男性)がいますが、意識改革も必要だ、とも思っています。 入所者は男女ともやもめ、後家さんが多いです。 やもめの方は、元気もなく静かですが、欲求不満がたまっているらしく、ときどき、びっくりするような大声で怒鳴ります。相手はいつも新参者のヘルパーです。昔の上から目線の悪しき癖が温存されているようです。 入所者の中には大声でわめき散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分が分からなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手にかみつく人など、さまざまです。 35年前91歳の母を在宅介護でみとったので、今の介護政策のありがたみをいつも感じていますが、よりよいものにするための施策を切望してやみません」============引用おわり) 92歳の“お友だち”は定期的にこういった状況をメールしてくれるのだが、それは「介護の現場の現実を世間に訴えてほしい。自分たちが施設の運営会社に訴えても、聞く耳を持たない」からと明言する。 以前、いただいたメールにはこんなことも書かれていた。 「ここはまさしくうば捨山です。入居者たちはみんなそういっています。 入所者は家族が介護の限界にきたために本人の意志でなく入れられた人が多いので、私のように発言できる入所者はめったにいないと思います。 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんなうれしいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」 そのため、私はことあるごとに“お友だち”のメッセージを公開しているのだが、今回のメールはまさに「高齢者の暴言と暴行」のリアルだった』、歳を取れば、気が短くなりがちで、「車椅子での移動者は、順番がくるのを1時間以上待たされてしまう」のでは、「入所者のストレスもたまっています。その結果、思うようにならず暴言を吐く者が多くなり、この3、4年の間に施設の雰囲気が非常に悪化」、という人手不足による悪循環は困ったものだ。
・『迫りくる「老い」の現実がストレスを生む  年をとると脳も老化し、とくに感情をコントロールする前頭葉の萎縮が進むと、怒りっぽくなったり、ものごとを柔軟に考えられなり、自己中心的になる。そこにストレスが加わると、キレやすくなる。 特に年をとると新しい環境に適応するのに時間もかかるし(最低でも半年)、「昨日できていたことができなくなる不安」が高まり、「なぜ、こんなにバカになってしまったんだろう」と自分を責めたりもする。 つまるところ「老化へのストレス、人手不足による入所者のストレス、ストレスによる暴言」という悪循環が介護の現場で起きているのだ。 そして、「入所者の中には、ヘルパーを使用人のように思っている者(特に高い地位にいた男性)」との指摘から、介護という職業への“社会のまなざし”も利用者である高齢者に影響を与えていることがわかる。 介護職の人たちを「大変な職業」と同情する人は多いが、介護職の社会的地位は決して高くない。いや、高いどころかむしろ低い。低すぎる。 職業の、いわゆる社会的地位の高低は人間関係にも大きな影響を及ぼすやっかいな代物である。職業の社会的地位が高いと「リスペクト」という感情を相手から得ることができるが、社会的地位の低いとされる職業に就く人たちにはそれがない。 とりわけ老化した脳は、「個人」に関する情報が属性でひもづけられたステレオタイプで短絡的に処理されてしまうため、介護職という仕事への社会的地位の低さが暴言や暴行のひきがねになっていると考えられる。特に社会的地位の高い職業に就いていた男性ほど、「自分より下」と見下し、「何を言っても許される」と勘違いしてしまうのだろう』、最後の部分は、確かに、日本の階層社会では拭い難い現実のようだ。 
・『手始めに介護職への「リスペクト」が必要  もし、介護職の社会的地位が高まれば、利用する高齢者と介護する介護職員の関係性を良い方向に導くリソースになるのではないか。 例えば、医師。私たち親の世代にとって、医師は「お医者さま」で常にリスペクトの対象だった。 私の父も闘病中は「お医者さま」の言葉を何よりも頼りにしていたし、通院しているときに医師から忙しそうな態度で接せられても、「お医者さんも忙しいから、大変なんだよ」とかばうことがあった。 父はめったに属性で人を見る人ではなかったけど、それでも「お医者さま」は特別で、私が驚くほど寛容だった。 介護という仕事は、「人」という感情の生き物をケアする究極の感情労働で、高い対人関係スキルや感情コントロールスキルが求められる。そのことを“私たち”がもっと理解し、介護職の人たちをリスペクトすれば、利用者の暴言のストッパーになるのではないか。 と同時に、利用者からのリスペクトは介護職員が、ストレスに対処するためのリソースになり、“一線を越えそうになる感情”のストッパーにもなる。もちろんそれが人手不足や多忙な状況を解決するわけじゃない。だが、せめて、そう。せめて究極の感情労働であり、肉体労働である介護職の職業の社会的地位がもっと高まれば、介護現場の崩壊を食い止めるきっかけになるように思う』、その通りだが、理想論に過ぎる印象も受ける。「介護職の職業の社会的地位」の向上には極めて長い時間を要する筈だ。それまでは、入居者に対し、施設長や家族が「介護職の人たちをリスペクト」すべきと繰り返し注意することも必要だろう。
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