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日韓関係(その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く) [外交]

日韓関係については、4月8日に取上げた。韓国への輸出管理強化策がクローズアップされる今日は、(その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く)である。なお、タイトルから(除く慰安婦)はカット

先ずは、7月11日付け日経ビジネスオンライン「韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00070/070900004/?P=1
・『テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第4回目のテーマは、韓国への輸出管理の強化。細川昌彦・中部大学特任教授は「輸出管理の協議に応じない韓国への優遇をやめ、普通の国に戻しただけ。世界貿易機関(WTO)協定違反にはならない」とし、もっと国際的なアピールが必要だという。 西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコーナーは、BSテレ東で毎週土曜日の朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」で、お伝えしきれなかった内容をお伝えするものです。 今回のお題は「韓国への輸出管理の強化」。 山川龍雄(日経プラス10サタデー・メーンキャスター、以下、山川):今一番、視聴者や読者の皆様の関心が高い話題と言ってよいかもしれません。今日はこのテーマを聞くのにふさわしい人をお招きしました。 西野:中部大学特任教授の細川昌彦さんです。経済産業省で日米交渉などを担当された通商の専門家です。よろしくお願いします。 細川昌彦(中部大学特任教授、以下、細川氏):よろしくお願いします。 山川:細川さんはまさに輸出管理の取り決めに携わっていらっしゃったんですね。 細川氏:課長時代に4年、部長になって責任者として1年、5年もやっていたのは経産省ではたぶん最長だと思います。韓国とも協議をずっとやってきました。 西野:その頃の経験も踏まえて、お話を伺いたいと思います。最初の疑問がこちらです』、細川氏はこの問題を解説するには最適だ。
・『ホワイトで ないとするなら 何色か  輸出管理で優遇されるホワイト国から韓国を除外するというのが大きなニュースになりました。ホワイトでなければ、グレーなのか? ブラックなのか? と思ってしまうのですが、何色なのでしょう? 細川氏:無色ですね。 西野:韓国は無色の扱いになる? 細川氏:はい、普通になるということです。例えば東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、メキシコなどと扱いが同じになる。 山川:改めて、ホワイト国の意味を教えていただけますか? 細川氏:通常、海外に輸出する製品は、(安全保障上、適切に管理されているかどうかを)個別に審査する必要があるわけですが、ホワイト国になると手続きが優遇されます。3年間有効になる許可をもらえば、それ以降は企業に任せられ、(リストに規制された対象品目以外は)許可が不要になります。(リンク先に「日本がホワイト国に指定している27カ国」の地図) 西野:この地図にホワイト国が示されていますが、現在は米国や英国、フランス、韓国など27カ国が対象となっています。このうち韓国については、日本政府は8月末にも除外する意向を示しました。そもそもホワイト国という呼び名は世界中で使われているのですか?』、韓国への優遇がなくなり、「普通になる」措置なのに、これだけ騒がれている理由は、あとで説明があるのだろう。
・『ホワイト国という呼び名は日本だけ  細川氏:言葉は日本だけだと思いますが、類似の制度を各国が持っています。世界的な輸出管理の枠組みというのは何十年も前からあり、日本はそのメンバーです。そこに入れば兵器に使われることのないように輸出管理をする義務が生じるし、きちんとやっていれば、優遇措置を受けるということです。 西野:企業社会では、ホワイト企業とか、ブラック企業といった使い方があります。今回は安全保障上、ホワイトかブラックか? という意味なのでしょうか? 細川氏:単に安全保障上というだけではなく、輸出管理をきちんとやっている国かどうかを見ています。そうでないと、日本からの輸出品が危ない国に行ってしまえば、日本の責任になってしまいますから。 西野:実際にそういう具体的なことが起こっているのですか? 細川氏:韓国については、残念ながら「不適切な事案」という言葉で表現されていますが・・・・・・。 山川:世耕弘成経済産業大臣などが言っていますね。 細川氏:一般的には分かりにくいと思いますが、輸出管理の世界で不適切な事案といえば、相手国がきちんと管理せずに軍事目的に使われているようなことを指します。あるいは、第三国、この場合、北朝鮮やイランなどに横流しされる恐れがあるという意味です。私が知る限り、どうやらここ数年、1件や2件ではなく、常態化していたらしいです。 西野:私、知らなかったんですが、今回、規制の対象となった、レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの3品目は、半導体製造だけでなく、兵器にも使われる可能性があるんですね』、輸出管理では、やや性格は異なるが、1987年に東芝機械ココム違反事件の際には、日米間で大きな政治問題になった。
・『対象となった3品目は兵器に使用される恐れ  細川氏:化学兵器に使ったり、ミサイルやレーダーに使ったりされる恐れがあります。 実は日本は、これまで韓国を一番優遇していた国の1つなのです。例えば、欧州連合(EU)が日本のホワイト国に当たるような指定をしているのは8カ国。その中に日本は入っていますが、韓国は入っていません。EUにおいては韓国は第2グループで、トルコやアルゼンチンなどと同列に位置付けられています。 山川:つまり、今回の日本の措置はEU並みにしたというわけですね。 西野:ホワイト国が取り下げられた例というのは外国も含めてありますか。 細川氏:海外の出し入れについては分かりませんが、どの国も優遇措置を維持するかどうか、普段から協議をしています。ところが韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかったのです。 山川:それも不信感につながっている? 細川氏:はい。相手がきちんとやっていることを確認せずに日本が優遇措置を講じていると、ほかのメンバー国から非難を受けることになりますから。 日本は国際的な義務を果たすためにも今回、協議に応じていない国、そして不適切な事案が常態化している国を、ホワイト国から除外する必要があったのです。むしろ、もっと早くすべきだった。 西野:今回、欧米の新聞などでは、「日本はトランプ大統領と同じやり方をしている」といった報道を目にしますが……』、「韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかった」のに、何故このタイミングで持ち出したのか、については首を傾げざるを得ない。
・『もっと国際社会にアピールを  細川氏:そうした誤解があること自体が問題です。トランプ大統領による、中国のファーウェイへの輸出規制や、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などと同一視されるのはすごく問題があります。 国際的なルールに基づいて行動するというのが、日本の立場。日本は国際社会に正当なことをやっているというアピールをもっとすべきです。 西野:韓国ではWTOに提訴するという声も出ています。そこで2つ目の疑問です』、G20大阪サミットで自由貿易の重要性を強調する一方で、今回の措置が突如出てきたことについて、「もっと国際社会にアピールを」というのはその通りだ。
・『貿易で 違反の線引き どこにある?  今回の問題、WTOのルールに照らし合わせると、どうなりますか。 細川氏:世界が協調して自由貿易を推進しようというのがWTOの精神です。ただ、その中で安全保障に関しては例外として日本も含め参加国は輸出管理を厳格にやることが認められています。もし、今回のケースで、日本がWTO違反になるのなら、ほかの国もみんな違反になってしまいます。 山川:改めて確認させてください。韓国がWTOに提訴しても違反にはならない? 細川氏:明らかに、なりません。 西野:米国のファーウェイに対する措置や、かつて日米貿易摩擦の頃の日本への強硬姿勢などを考えると、安全保障上の理由ってどうなんだろうと思うところもあるのですが。 細川氏:米国の場合、強弁が目立ちます。安全保障にひっかけないとWTOの例外措置にならず、違反になってしまうから、そうしている面がある。 山川:米国の場合、国内で法律を作って進めているわけですが、確かに国際社会から見たら無理筋ではないかと感じるときがあります。例えば自動車の関税引き上げまで、安全保障を理由にするのはどうかと思う。 細川氏:おかしいですよね。だから、米国がやっていることと同一視してはダメなんです。先ほど申し上げた通り、軍事にも使われかねない危険な物質が危険な国に渡らないようにするために、日本は行動しているわけですから。それがどうして違反なのでしょう』、「韓国がWTOに提訴しても違反にはならない」といやに自信を持っているようだが、最近、日本政府は国際的紛争処理でボロ負けが相次いでおり、危うさを感じる。
・『中国によるレアアース規制との比較  山川:WTOとの関連を明確にするために、具体的な事例で考えていきましょう。 表の右側は、中国のWTO違反のケースです。尖閣諸島の問題が起きたとき、日本に対してレアアースの輸出量を制限しましたが、このときは、日本が提訴して、中国が負けました。 そして左側の今回は、徴用工や自衛隊機への火器管制レーダー照射問題などで「信頼関係が著しく損なわれた」ことを政府は理由の1つとして挙げています。ただ、中国のケースと違って、輸出を制限するわけではなく、あくまでも優遇措置を除外するというものです。 細川氏:徴用工の問題は背景にはあっても理由ではありません。理由は明らかに輸出管理の世界での論理です。しかも禁輸するといった運用ではない。あくまでも輸出の許可手続きを変更するだけです。国際的なルールにのっとって淡々とやろうとしている。 西野:今後、もし輸出量を制限するとか、禁輸するといったことになったときはどうなりますか? 細川氏:そういうことにはなり得ません。日本は法治国家ですから、輸出品が第三国に流出する恐れがあるといったエビデンス(証拠)がなければ、不許可にしません。 山川:確実にどこかに流れていると確証がある場合だけ? 細川氏:あるいは流れる可能性が高い、と見れば不許可にすることはあります。それ以外は禁輸はあり得ません。通常の輸出を不許可にしたら日本政府がその企業から訴えられますから。 山川:確かに中国との件では、日本がレアアースをどこかに横流ししていたわけではなかった。 細川氏:中国のケースは完全に禁輸です。しかも理由が尖閣の問題ですから意味が全く違います。 山川:そこをきちんと国際社会に伝えていくのが大事ですね。どうしても韓国の方がロビーイングも含めて国際世論を巻き込んでいくのがうまいですから。 WTOをめぐっては4月、最終審に当たる上級委員会が、福島など8県産の水産物の輸入を禁止する韓国の措置を事実上認める判断をしました。これも、日本側は勝てると思っていたら、敗訴してしまった。 細川氏:もちろん今回の措置については、背景には、徴用工問題などによって2国間の信頼関係が薄れたことがあると思います。でも、それを前面に出してしまうと、本当の理由が見えなくなる。 徴用工の問題だけを切り取られて、中国のレアアースの事例と同一視されるのが心配です。実際に海外の報道ではそういう論調が出ていますから。国際的にどうアピールしていくかが、大事だと思います。 山川:我々も正しく報道していかないといけませんね。 西野:そうですね。さて、日本の措置で物事は前に進むのかどうか。日韓関係はどうなるのかが気になります。そこで最後の疑問です』、「国際的にどうアピールしていくかが、大事だ」、その通りだが、既に遅きに失しているのではなかろうか。
・『いつまでも 近くて遠い お隣さん?  隣国同士、対立が強まる傾向にあるわけですが、今後の展開をどう見ていらっしゃいますか。 細川氏:そうですね、関係改善がなかなか期待できないからこそ今回、こういう措置に至ったわけです。もちろん今後、韓国側がきちんと輸出管理をし、不適切な事案が二度と起こらないという確証を日本が持てば次の展開はあると思います。ただ、今の韓国の状況を見ると、期待するのは難しいかもしれない』、長期戦を覚悟でやる他ないとすれば、お互いに不幸なことだ。
・『言うべきことを言う  山川:今までは日本側はじっと黙って、韓国が変わるのを待つのが基本的なスタンスでした。ただ今回は一歩踏み出したような印象を持ちます。日本政府は「言うべきことは言う」というモードに切り替えたということでしょうか。 細川氏:そうですね。輸出管理の世界でもきちんとした対応は期待できないと見切りをつけたということだと思います。 山川:文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢を見ていると、メンツや支持率を意識して、報復に出てくる可能性が高いのではないでしょうか。その場合、ここに示した通り、WTOへの提訴や戦略物資の輸出制限、日本製品に対する輸入規制などが考えられます。 一方、日本側も農水産物の輸入制限、就労ビザの制限などが一部で取り沙汰されています。 (リンク先に「日韓双方の考えられる対抗策」の図表) 細川氏:韓国が報復措置だと言って出てくるならば、日本がWTOに提訴すればよい。勝てると思いますよ。 山川:むしろ白黒つけた方がいいと……。 細川氏:はい、その過程で今回の不適切事案のこともきちんと説明すればよい』、自信過剰ゆえの準備不足で負けることにならなければいいが・・・。
・『対象品目が増えることはおそらく、ない  西野:ところで、今回の措置はなぜこのタイミングだったのでしょう。主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が終わった直後であり、参院選の前ということで、いろんな臆測を呼んでいます。 細川氏:だからこそ、もっと早くやるべきだった。このタイミングだと、色々と思惑があるんじゃないかと受け止められかねません。G20が控えていたことや、徴用工問題の返答を待っていたことで、タイミングが遅れたのかもしれません。 西野:今回は半導体材料の3つを対象にしたわけですけれど、今後、品目が増えていく可能性はありますか。 細川氏:ないと思います。不適切な事案が起こっているのがこの3品目に集中しているということが一つ。それにこの3品目は、日本が世界に対する大供給国なので、輸出管理をきちんとやっていると示す義務があるわけです。 西野:国同士の対立で、負担をこうむるのはいつも企業です。今回の影響をどう見ますか。 細川氏:日韓の間では、これまで簡素化した手続きを前提に販売計画や生産計画を立てていました。個別審査になると手続きに手間や時間がかかるのは事実です。 ただ、審査には90日程度の時間がかかると言われていますが、これは事実ではありません。90日というのは標準的に定められているだけで、現実にかかっているのは、私の感覚でいえば、4~5週間程度です。 山川:そうすると韓国のサムスン電子やSKハイニックスが、半導体メモリーのDRAMの生産で極端に支障を来すことはない? 韓国だけに負担を課すわけではない  細川氏:ないと思います。最初は輸出する側も手続きに慣れていませんから、相手から誓約書をもらうなど、手続きが煩雑になります。しかし、慣れてくれば、負担は減っていきます。繰り返しになりますが、韓国だけに特別に重い負担を課すわけではなく、他国ではやっていることですから』、「手続きが煩雑になります。しかし、慣れてくれば、負担は減っていきます」、なるほど。
・『西野:米中の通商摩擦が示す通り、国同士の対立は、結局、双方の企業活動にマイナスになります。 細川氏:報復合戦になると、日本企業は次第に事業を展開するうえで韓国は危ない場所だと思い始めるでしょう。そうなると韓国にとってマイナスだと思うのですが。 山川:「雨降って地固まる」という言葉もあります。こうなってしまった以上、今回、日本が「言うべきことは言う」とスタンスを変えたことが、むしろいい結果になることを期待したいですね。 西野:本音同士のぶつかり合いが事態を変えるということですね。私たちも、しっかりと情報をお伝えする努力をしていきたいと思います。 細川さん、ありがとうございました・・・』、「報復合戦」は何としてでも避けるべきだろう。

次に、双日総合研究所チーフエコノミストのかんべえ(吉崎 達彦)氏が7月13日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/292009
・『6月と7月で世の中はすっかり様変わり。大阪G20首脳会議が始まるまでは、「米中貿易戦争はどうなるのか!」と、皆が固唾をのんで見守っていたものだ。ところが6月29日に米中首脳会談が終わったら、それはもうどこかに行ってしまい、今月の焦点はズバリ日韓関係である。いやあ、どうなるんですかねえ』、かんべえ氏の見解とは興味深そうだ。
・『韓国企業が浮き足立つのも無理はない  大阪G20が終わった翌週の7月1日、経済産業省は「対韓国輸出規制」に踏み切ることを公表した。そして4日から実施。たちまち日韓関係は大揺れとなった。 今回、規制対象となったのは、「レジスト」(感光材)、「エッチングガス」(フッ化水素)、「フッ化ポリイミド」という3種類の半導体材料。韓国によるこれら材料の対日輸入額は5000億ウォン(466億円)に過ぎないが、それによって生み出される韓国製の半導体とディスプレ-は、全世界への輸出総額が170兆ウォン(15.8兆円)に達する。つまり日本側は失うものが小さく、韓国側が受ける打撃は大きい。これを称して、「レバレッジが高い効果的な経済制裁」ともてはやす向きもある。 韓国企業の反応は素早く、サムスン電子の李在鎔副会長は7月7日にはお忍びで日本へ飛んだ。日韓の政府間交渉に任せていたのでは埒が明かない、民間企業同士で解決を図ろうと考えたのだろう。その認識はまったく正しくて、韓国政府はこれを政治問題化させて、外交戦、宣伝戦に持ち込む構えである。文在寅大統領の頭の中に、「経済界の利益」や「日韓関係の安定」は存在しないとみえる。 しかし供給元の日本企業としては、たとえ韓国財界のトップから直々に陳情されたとしても、これが政府による輸出管理政策上の判断だと説明されると手の打ちようがない。この問題、政府と民間企業ではまるで受け止め方が違ってくるのだ。 世間的には、「WTO提訴になった場合、日韓のどちらが勝つか?」みたいな話になっている。しかし企業にとっては、そんな話は悠長に聞こえてしまう。WTOで争うとなれば、答えが出るまで1年やそこらはかかる。韓国企業の半導体材料の在庫は長くて3カ月分、短ければ1カ月程度しかないと言われている。彼らが浮足立つのも無理はないところだ。 それではこの喧嘩、日本が圧倒的に有利かというと、そうとも限らない。この問題に対する日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化していることにお気づきだろうか』、「レバレッジが高い効果的な経済制裁」との一部の見方は正鵠を突いている。「日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化している」、とはさすがに鋭い指摘だ。
・『安倍首相の気持ちはわかるが「世界がどう見るか」がキモ  安倍晋三首相は7月3日、日本記者クラブ主催の党首討論会において、本件は元徴用工訴訟で対応を示さない韓国政府への事実上の対抗措置だという認識を示している。「1965年の日韓請求権協定で、互いに請求権を放棄している。約束を守らないうえでは、今までの優遇措置は取らない」とも語っている。 もちろん日韓関係には、それ以前から従軍慰安婦合意の一方的破棄、レーダー照射事件、水産物規制などの問題が積み重なっている。徴用工問題については、日本政府は日韓請求権協定に基づき、日韓と第三国による仲裁委員会の設置を5月に求めた。ところが韓国側は期限の6月18日になっても仲裁委員を任命せず、翌19日になって突然、日韓企業が資金を出し合って救済することを提案した。おいおい、それって財団方式じゃないか。2015年の日韓合意でできた慰安婦の「和解・癒し財団」を、勝手に解散してしまったのはどなたでしたっけ?安倍首相がブチ切れた心情は、非常によく理解できる。 とはいうものの、韓国に対して恣意的な経済制裁を打ち出すのは拙いだろう。日本は今までそういうことをしない国だった。自由でリベラルな国際秩序の忠実なる担い手だった。特に今年はG20議長国であり、世界に率先して自由貿易の旗を振る立場。それが首脳会議終了直後に豹変したとなったら、周囲はどう見ることか。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙では、7月2日に政治学者ウォルター・ラッセル・ミードが「トランプ化する日本外交」という記事を寄稿している。「あの日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、対韓輸出規制を始めるのだから、世の中は変わったもんだねえ」とのご趣旨であった。つくづくこの問題、日韓関係だけを見ていちゃいけない。第三国からどんな風に見られているかが、勝負のキモなのである。 ということで、政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正した。政治家としては7月21日の参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが、それでは聞こえが悪いのである。 実際に経済産業省のHPを見てみよう。今回の措置は以下のように説明されている (「輸出貿易管理令の運用について」等の一部を改正する通達について)。 外国為替及び外国貿易法に基づく輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。 こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。 つまり今回の措置は「輸出規制」であって「禁輸」ではない。半導体材料を、「お前さんには売れねえ」と啖呵を切ると、2010年の中国によるレアアース禁輸措置と同様、明々白々なWTO違反となってしまう。 経済産業省はこんな風に説明している。2004年以降に簡略化されていた韓国向けの輸出管理の手続きを、それ以前の状態に戻します。韓国はいわゆる「ホワイト国」から外れるので、今後は輸入の際に個別に許可を取らなければなりません。しかし半導体材料を入手できなくなるわけではありません……。仮に関連企業から行政訴訟を起こされたとしても、負けないように予防線を張ってあるわけだ』、WSJ紙の「トランプ化する日本外交」、と実に痛いところを突いている。「参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが」、「政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正した」、というのは安倍政権のいい加減さを示しているようだ。
・『もし「不適切な事案」が肩透かしなものであったら?  ところで上記の文言で気になるのは、「韓国に関連する輸出管理をめぐり、不適切な事案が発生した」ことの中身である。「武士の情けで皆までは言わないでおいてやる」的な書きぶりだが、今後、「不適切な事案とは、具体的に何のことなんだ?」との疑問が寄せられることは避けられまい。 そこでぐぅの音も出ないような事実が出てくれば、日本側の勝ちである。例えば北朝鮮やイランへの材料の横流しがあったとすれば、「なるほど、日本の措置はもっともだ」ということになる。ところが韓国側はさほど意に介する様子もなく、「2015年から今年3月までに156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」などと答えている。仮に「不適切な事案」が肩透かしなものであったら、第三国からどう見られるか。「規制強化に政治的な意図があった」という心象を持たれれば、日本外交が失うものは小さくないだろう。 繰り返すが、建前はさておき「ビジネスを武器にして他国に圧力をかける」という発想は、少なくとも今までの日本外交にはなかった。国連安保理やG7の制裁には足並みをそろえるが、少なくとも二国間ベースでは行わない。むしろ「意地悪をされても、仕返しはしない国」であった。今回の措置は、わが国の「通商政策」の転換点となるかもしれない。 半導体産業は、そうでなくとも世界的な逆風下にある。これで韓国企業が打撃を受けた場合、アジアのサプライチェーンを混乱させて日本経済に跳ね返ってこないとも限らない。 ちなみにサムスン電子、ハイニックスなど韓国関連企業の株価は、輸出規制強化措置を受けていったんは下げたものの、「これで半導体市況がかえって回復するかもしれない」との思惑から直近では再び上げている。政治の思惑とは違って、経済はさまざまな要素とともに千変万化する。かくなるうえは、こんな想定が杞憂に終わることを祈るばかりだ』、韓国側の「156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」、というのが単なる強がりであればいいのだが。事実であれば大変なことだ。経産省を中心とする官邸の暴走もここに極まれりとなるのかも知れない。

第三に、上智大学教授の川瀬剛志氏が7月14日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/291562
・『日本政府は7月4日、外為法上の輸出管理対象となっていたフッ化ポリイミドとレジスト、フッ化水素について、韓国への輸出規制を強化する手続きを開始した。 対韓国輸出を包括的許可から契約ごとの個別審査に切り替えると同時に、韓国をホワイト国から外す手続きに入るという。これに反発した韓国は、本件をWTO(世界貿易機関)の紛争解決手続に付託する方針だ』、アカデミズムの立場からの見方も興味深そうだ。
・『問われる安全保障貿易管理とWTOの整合性  今回の対応については、徴用工問題を踏まえて妥当な対抗措置と称賛する声や日韓関係の悪化を心配する声、日本の半導体産業への悪影響を懸念する声などさまざまな評価が出ている。筆者が専門とする国際経済法の視点からは、WTO協定、特にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)違反の可能性が指摘されているが、筆者はむしろそれを超えた国際通商システム全体への影響を懸念している。 韓国がもし、今回の措置のWTO協定違反を争うとすれば、それは安全保障貿易管理体制がWTO協定に整合しているかどうかを正面から問うことに他ならず、両者に内在する緊張関係が白日のもとにさらされるおそれがある。 日本政府は今回、韓国でフッ化ポリイミドなどの輸出管理に不適切事案が発生しており、韓国が具体的対応の要請に回答せず、3年間も両国間対話がないと説明している。そうであれば、筆者は必ずしも今回の措置が安全保障貿易管理制度の合理的な運用の枠内にあることを否定するものではない。 しかし、官邸はシステム全体へのリスクを勘案して今回の措置に踏み切ったのだろうか。日韓関係の現状や実施のタイミング、対象物資の性格を考えると、今回の対応が韓国の強い反発を招き、WTO協定との整合性が問われることは容易に予想できたはずだ。もしそうでないとすれば、拙速な悪手と評さざるを得ない。 一般的に言って、安全保障貿易管理措置は正当なものであってもWTO協定違反になりうる。特に、輸出許可の申請が必要な場合、部分的にせよ審査の結果輸出が制限される制度設計である以上、輸出制限を禁じたGATT11条1項に違反する。 また、ホワイト国制度のように特定国を輸出審査で非対象国と差別することは、WTO 加盟国間の待遇平等を規定したGATT1条1項に違反する。判例では相当広い範囲の措置について違反が認定されており、また、その判断の際に差別の政策的正当性を斟酌していない。 ただ、安全保障貿易管理についてはGATT21条の例外規定による正当化の余地がある。特に「自国の安全保障上の重大な利益」の保護に必要な措置は、GATTの原則に反しても、協定違反に問われることはない。しかし、この条文は第二次世界大戦直後の1947年の冷戦期に起草されたもので、いかにも古く、例外の範囲も狭い。 冷戦構造崩壊後の安全保障概念は、狭い意味での戦争だけでなく、地域紛争やテロ、サイバーセキュリティ、災害やパンデミックまでを含む、極めて広がりのある概念になりつつある。また、軍事転用が可能なら、iPhoneなどの民生品も規制の対象になる。70年以上前にできた条文では、21世紀の安全保障には極めて限定的にしか対応できないことは明らかだ』、日本側が頼りにしている条文が「70年以上前にできた」、いやはやである。
・『安全保障貿易管理とWTO体制は共存してきた  それでは、こうした法的緊張関係がありながら、なぜこれまで両者は平和裡に並存できたのだろうか。そこには国際社会の「大人の知恵」が介在している。 安全保障貿易管理の世界では、ワッセナー・アレンジメント(通常兵器、関連汎用品・技術)、ザンガー委員会(核物質)、オーストラリア・グループ(化学・生物兵器)など、対象物資ごとに国家間レジームが形成されている。それぞれが輸出管理の対象物資リストを決定し、その規制について協調する。これらの取り決めは紳士協定で拘束力こそないが、各国はここで決まる、ある種の相場観に従って輸出管理を行い、その範囲を大きく逸脱する例外の濫用を慎んできた。 他方で、この相場観に従って行動しているかぎり、他国の安全保障貿易管理措置がWTO協定に整合しているかを問うことも自制してきた。前述のように、こうした措置は性質上、どうしてもWTO協定の原則と矛盾してしまう。とはいえ、国際社会の安定と平和のためには、安全保障貿易管理をやめることもできない。だからこそ、各国は輸出管理のWTO協定整合性を厳密に問わず、例外の濫用も慎む大人の知恵を働かせ、本来緊張関係にある双方のレジームを注意深く共存させてきた。 しかし、この棲み分けが急速に崩れつつある。その契機が、安全保障目的をうたったトランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げだ。対象となる製品は安全保障貿易管理スキームの規制物資ではなく、カナダや日本など同盟国にも適用され、あからさまな安全保障措置の例外の濫用と言える。ただ、それだけにその法的評価は単純であり、GATT21条の例外に当たらないことは明らかだ。 しかし、今回日本政府が行った対韓輸出規制は問題の次元がまったく異なる。 韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある。今回の日本の対応が、合理的な安全保障貿易管理制度でも運用の枠内にあるとしても、必ずしもWTO協定に適合していると担保されるわけではない。それを争うリスクをいかにして避けるかが重要だ』、「韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある」、というのは、さすが専門的研究者らしい説得力溢れる主張だ。
・『あまりに楽観的な日本政府の主張  日本政府は、今回の措置は安全保障貿易管理上の見直しであって、WTO上まったく問題がないと繰り返し説明しているが、あまりに楽観的だ。GATT21条があるから安全保障貿易管理がWTO協定上、問題がないという神話は、これまで誰もこの問題を争わなかったからに他ならない。 今年4月のロシア・貨物通過事件パネル判断を見ればわかるように、ひとたびWTO紛争が提起されれば状況はまったく異なる。本件はクリミア危機のような明白な武力衝突を扱ったにもかかわらず、パネルは安全保障を理由に判断回避を要求したロシアの主張を一蹴し、ウクライナ発の貨物通過規制がGATT21条に適合しているかを客観的に審査した。 仮に本件がWTOパネルにかかると、韓国によるGATT1条・11条違反の主張には分があると言わざるを得ない。それは、今回の日本の対応が、ホワイト国などとの比較で韓国を差別的に扱い、フッ化ポリイミドなどが輸出禁止になる可能性があるからだ。 そうなると、日本はGATT21条の例外だと主張することになるが、先例によれば、例外的事情の存在と何が日本の「安全保障上の重大な利益」であるかを説明しなければならない。 詳細が未公表なので断定できないものの、今回の措置がGATT21条にある例外的事情に当てはまるかと言えば、問題の物資が兵器や核物質でもなく、日韓関係が「信頼関係が損なわれた」というだけでは無理がある。たとえば、韓国企業から北朝鮮や中国などの第三国への流出があり、これが軍事施設供給のための取引と説明できるかどうかだろう。 本当に韓国のワッセナー違反であるのなら、日本はその旨を明らかにした上で毅然と対応すべきであり、その場合は、自らの不適切対応を棚上げしてWTOに問題を持ち込み、安全保障貿易管理体制との棲み分けを侵した批判は、韓国が受けることになる。しかしそうであれば、世耕弘成経産相が7月2日の記者会見で述べたような、G20までの徴用工問題の未解決がその背後にあることを匂わせるような発言は、今回の対応の目的が安全保障目的以外にあることを疑わせるもので、厳に慎むべきだ。 逆に韓国に大した不適切事案がなく、日本が韓国に対して外為法上の待遇を政治的に利用しているとすれば、安全保障貿易管理の濫用の誹りは免れない。ウォールストリート・ジャーナルなどが、今回の日本政府の対応は、安全保障を口実にした通商制限であり、トランプ流への追随と評しているが、こうした見方の広がりが強く懸念される。 いずれにせよ、一つ間違うと、今回の措置は永年にわたって築かれた国際通商のガバナンスを大きく損なうおそれがある。これらを十分に認識のうえ、可能なかぎりWTO紛争化を回避すべく、7月12日の日韓会合を皮切りに、韓国とは情報交換と協議を尽くすべきだ』、「7月12日の日韓会合」は、5時間超に及んだにも拘らず、双方の会合後の記者発表は全く食い違ったものになっており、相互の不信感を高めただけに終わったようだ。経産省や官邸が内輪の論理をいかに振りかざしたところで、国際的に通用する筈もない。本来、経産省はもっと国際センスがある官庁だと思っていたが、安倍首相への「忖度」が過ぎて正常な判断が出来なくなっているのだろうか。残念なことだ。
タグ:日韓関係 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン (その4)(韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」、「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・、日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く) 韓国への輸出管理強化「ホワイト国でなければ、何色?」」 細川昌彦・中部大学特任教授 西野:韓国は無色の扱いになる? 細川氏:はい、普通になるということです。例えば東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、メキシコなどと扱いが同じになる 通常、海外に輸出する製品は、(安全保障上、適切に管理されているかどうかを)個別に審査する必要があるわけですが、ホワイト国になると手続きが優遇されます 日本がホワイト国に指定している27カ国 「不適切な事案」 輸出管理の世界で不適切な事案といえば、相手国がきちんと管理せずに軍事目的に使われているようなことを指します レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド 対象となった3品目は兵器に使用される恐れ 欧州連合(EU)が日本のホワイト国に当たるような指定をしているのは8カ国。その中に日本は入っていますが、韓国は入っていません 協議に応じていない国、そして不適切な事案が常態化している国を、ホワイト国から除外する必要があったのです。むしろ、もっと早くすべきだった 韓国はこの2~3年、そうした協議に応じていなかった もっと国際社会にアピールを 安全保障に関しては例外として日本も含め参加国は輸出管理を厳格にやることが認められています WTOのルール 韓国がWTOに提訴しても違反にはならない 中国によるレアアース規制との比較 いつまでも 近くて遠い お隣さん? 言うべきことを言う 対象品目が増えることはおそらく、ない かんべえ(吉崎 達彦) 「「日韓貿易戦争」で日本が絶対有利とは限らない 安倍首相の「ブチ切れ」は理解できるが・・・」 韓国企業が浮き足立つのも無理はない 韓国によるこれら材料の対日輸入額は5000億ウォン(466億円)に過ぎないが、それによって生み出される韓国製の半導体とディスプレ-は、全世界への輸出総額が170兆ウォン(15.8兆円) 「レバレッジが高い効果的な経済制裁」ともてはやす向きも 日本政府の説明が、7月第1週と第2週以降で微妙に変化 安倍首相の気持ちはわかるが「世界がどう見るか」がキモ 韓国に対して恣意的な経済制裁を打ち出すのは拙いだろう 自由でリベラルな国際秩序の忠実なる担い手だった 首脳会議終了直後に豹変したとなったら、周囲はどう見ることか ウォール・ストリート・ジャーナル紙 「トランプ化する日本外交」 「あの日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、対韓輸出規制を始めるのだから、世の中は変わったもんだねえ」 政府の説明は翌週から「本件は輸出管理の一環です」というテクニカルなものに軌道修正 参議院選挙も意識して、「韓国許すまじ」と気炎を上げたいところかもしれないが、それでは聞こえが悪いのである もし「不適切な事案」が肩透かしなものであったら? 韓国側はさほど意に介する様子もなく、「2015年から今年3月までに156件の違法輸出があったが、日本産の転用はない」などと答えている 「ビジネスを武器にして他国に圧力をかける」という発想は、少なくとも今までの日本外交にはなかった 「意地悪をされても、仕返しはしない国」であった 今回の措置は、わが国の「通商政策」の転換点となるかもしれない 川瀬剛志 「日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ WTOで争えば、より大きなリスクを招く」 問われる安全保障貿易管理とWTOの整合性 一般的に言って、安全保障貿易管理措置は正当なものであってもWTO協定違反になりうる ホワイト国制度のように特定国を輸出審査で非対象国と差別することは、WTO 加盟国間の待遇平等を規定したGATT1条1項に違反する 安全保障貿易管理についてはGATT21条の例外規定による正当化の余地がある この条文は第二次世界大戦直後の1947年の冷戦期に起草されたもので、いかにも古く、例外の範囲も狭い 安全保障貿易管理とWTO体制は共存してきた これらの取り決めは紳士協定で拘束力こそないが、各国はここで決まる、ある種の相場観に従って輸出管理を行い、その範囲を大きく逸脱する例外の濫用を慎んできた 各国は輸出管理のWTO協定整合性を厳密に問わず、例外の濫用も慎む大人の知恵を働かせ、本来緊張関係にある双方のレジームを注意深く共存させてきた この棲み分けが急速に崩れつつある その契機が、安全保障目的をうたったトランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げ 韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある あまりに楽観的な日本政府の主張
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