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日本郵政(その12)(日本郵便とアフラックが がん保険の販売継続に固執する理由、郵便局員を「かんぽ乗り換え」の不正に走らせた2つの国策、日本郵政が「強気の謝罪会見」 首脳陣続投の背景に政治の影、日本郵政株売却に”重大な疑義”を生じさせた長門社長「冗談ではない」発言) [国内政治]

日本郵政については昨年5月26日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その12)(日本郵便とアフラックが がん保険の販売継続に固執する理由、郵便局員を「かんぽ乗り換え」の不正に走らせた2つの国策、日本郵政が「強気の謝罪会見」 首脳陣続投の背景に政治の影、日本郵政株売却に”重大な疑義”を生じさせた長門社長「冗談ではない」発言)である。

先ずは、7月30日付けダイヤモンド・オンライン「日本郵便とアフラックが、がん保険の販売継続に固執する理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210230
・『販売継続の説得力失った日本郵便とアフラック  郵便局での保険販売を巡って、日本郵政傘下の日本郵便とアフラック生命保険に対する「自粛」包囲網がいよいよ狭まってきた。 日本郵便はこれまで、郵便局員による不適切販売を受けて、かんぽ生命保険の積極的な販売(募集)を自粛する一方で、アフラックのがん保険については、従来通りの募集を継続するというスタンスを一貫してとっている。 7月26日の機関投資家向け説明会でも、アフラックの米持ち株会社は郵便局での募集継続を明言している状況だ。 かんぽ商品のように、新規契約と解約の時期をうまく調整することによって、郵便局員の実績評価が大きく変わるような仕組みにはなっておらず、募集における構造上の問題は見当たらない、というのがアフラックとしての言い分だ。日本郵政の社外取締役を務めているアフラックのチャールズ・レイク会長の意向も、募集継続に大きく作用しているとみられる。 しかしながら、郵便局という一代理店で二重払い契約といった問題が発覚し、その全容は郵政グループとしていまだにつかめていないのが現状だ。 加えてアフラックとしても、不適切な募集事例がなかったか改めて独自に調査をするとしているにもかかわらず、なぜ足元では積極的な募集を続けて問題がないのかは、いまだまともに説明できていない』、記事にはないが、2017年12月に日本郵政は、アフラックに2700億円を出資、議決権7%は4年後には10倍になり、持分法適用会社になる。しかし、日本郵政から経営陣は送り込まないという変則的な資本提携だ。このため、アフラックは他の保険会社と立場が全く異なる。
・『導入が遅れた「条件付き解約制度」  そうした状況で、日本郵便の幹部は「うちとしては(アフラックのがん保険は)自粛したいのが本音」と25日前後から、周囲に盛んに漏らし始めている。それまで同幹部は、業績への影響が大きい募集の自粛を「なぜする必要があるのか」と言い放っていたが、募集を続けることの説明が日に日に苦しくなり、このままでは持たないと考えたようだ。 そこには、アフラック側の圧力が強いという構図にできればという意図が見え隠れするが、となると、積極募集の自粛を日本郵便に申し入れていた日本生命などの商品は、当然ながら自粛しないと支離滅裂な状況になる。 「かんぽ商品以外も自粛」という記事が、週末の27日から相次いだのはそうした背景がある。さらに、日本郵便として批判の矛先を何とかアフラックに向けたいという事情もあった。その一つが「条件付き解約」の導入が遅れてしまったことだ。 そもそも、アフラックのがん保険には、悪用などを防ぐために、契約日から保障開始までに3カ月間の免責期間(待機期間)がある。そのため旧契約から新契約に切り替える際には、保障が途切れないよう3カ月月間は新旧両方の保険料を払うことになるが、条件付き解約制度を利用すれば、保障の空白期間をつくらずに、新契約分の保険料だけを払えば済む仕組みになっている。 アフラックは条件付き解約制度を2014年に導入し、当時から日本郵便に導入を提案してきたようだが、日本郵便は「システム対応の問題もあり、当時は必要性を認識できなかった」という。 18年4月にアフラックのがん保険が改定(保険料免除条項を追加)になり、解約と新規契約のボリュームが膨らんだ昨年末になって、ようやく条件付き解約制度の導入を決めており、今年10月から適用する予定だったのだ。 そうして、顧客の負担軽減につながる制度の導入は後回しにする一方で、かんぽ商品については不適切な募集を放置していたことになり、経営陣が謳っていた「顧客本位」がいかに口だけだったかがよく分かる』、「アフラックは条件付き解約制度を2014年に導入し、当時から日本郵便に導入を提案してきたようだが、日本郵便は「システム対応の問題もあり、当時は必要性を認識できなかった」、というのは日本郵便側が如何に顧客を無視していたかを示している。
・『郵政グループと保険会社のいびつな上下関係  また、今回の問題を通じて一段と明確になったのが、日本郵便と保険会社のいびつな上下関係だ。販売自粛か継続かを巡って、日本郵便はアフラックの顔色を常にうかがってきた一方で、日生などに対しては売るか、売らないかの最終決定権は日本郵便側にあるかのような態度をとってきたからだ。 本来、商品を供給する保険会社は、代理店に対し教育、指導、監督する義務があり、一代理店である日本郵便に対しても強い立場にある。そのため、保険会社として募集自粛を日本郵便に一方的に通告することも可能だ。 実際、今年2月に日生などが節税保険(法人定期)を自主的に販売停止にした際は、委託していた日本郵便にも停止を通告している。 商品性自体に問題があったからという側面はあるものの、政治が絡む郵政グループの強大さを前にして、今回の問題では日生などは自粛に向けて協議の申し入れというかたちにとどめ、日本郵便は協議ぐらいは受けてあげましょうという姿勢で対応してきた。 そうこうするうちに、事態は郵便局でアフラックだけが今後も募集継続、という方向に傾き始めた。 日本郵便をはじめ郵政グループは、7月31日の定例会見に向けて、辞書のような分厚い想定問答集を目下作成しているというが、説明のあまりの苦しさに、「かんぽ以外は従来通り募集継続」と書いては消す姿が目に浮かぶようだ』、出資関係からみてアフラックの特別扱いは続くのだろう。

次に、デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が7月31日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「郵便局員を「かんぽ乗り換え」の不正に走らせた2つの国策」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210316
・『高齢者を食い物に「郵政よ、お前もか!」  顔なじみのお客に損をさせると知りながら保険を売った郵便局員も犠牲者ではないか。 底なしの規模に広がるかんぽ生命の「不正販売」の源流を辿っていけば「郵政民営化の無理」に行き着く。 へき地・離島を含め全国津々浦々の郵便局が一律のサービスを行うという状況のもとで、「ノルマ達成」や「手数料稼ぎ」のために保険や投資信託などの金融商品を売らなければならない職員にモラル崩壊が起きていた。 アベノミクスによる「ゼロ金利政策」が事態を助長した。 客を踏み台にして自らが生き残ろうとする姿は「悪しき市場原理」の典型である』、「かんぽ生命の「不正販売」の源流を辿っていけば「郵政民営化の無理」に行き着く」、というのはその通りだ。
・『不利益な保険の乗り換えでノルマ達成、手数料稼ぎ  発端は一昨年から、かんぽ生命が力を入れてきた「保険の乗り換え」だ。 古い保険を解約し、新しい保険に乗り換えさせる。この過程で「お客様本位と言えない営業があった」と、かんぽ生命の植平光彦社長は認めた。 「お客様本位ではない」というのは、客に不利益を与える保険の販売があった、ということだ。 日本郵政に有利な「新規」の契約を勧める一方で、新規の契約を結んだ後も旧契約を解除せず、半年以上、保険料を二重払いさせる。顧客に無断で書類を偽造して契約するなどの案件が続々、明らかになった。 この種のズルは、営業現場で珍しくはないが、今回の件が悪質なのは「お客が損する保険」に乗り換えさせたことである。 かんぽ生命は2017年10月、「新ながいき君」という終身保険を売り出した。セールスポイントは「短期の入院でも保険金がおります」だ。 近年、入院日数は短くなっているが、従来の生命保険では一定期間を超える入院でないと保険金はおりない。「新ながいき君」は、入院したその日に5日分の入院費補助が出るので職員にとって「売りやすい保険」だった。 だが、この保険はお客にとっての「毒」が仕込まれていた。予定利率が年1%から0.5%へと引き下げられたからだ。 予定利率とは、保険料を算定する根幹に関わる金利だ。生命保険は満期や死亡時まで超長期の固定金利が決まっている。預金もそうだが、金利は高い方が顧客に有利なのは生命保険も同じ。支払う保険料が安くなったり、満期返戻金が大きくなったりする。 予定利率の高い保険に入っていれば「少ない保険料で大きな保障が買える」ということだ。 かんぽの予定利率の推移を見ると、昭和59年から年6%だった。平成2年に5.75%へと下がり、平成6年に3.75%、その後、5回切り下げられ2017年4月から0.5%になった。 平成が始まった頃加入した人たちは「利回り6%」という、今ではあり得ない高金利が生涯約束されている。5%台でも業界では「お宝保険」と呼ばれている。だが、多くの加入者は自分の入っている保険が「お宝」であることに気づいていない。 「お宝保険」は保険会社にとって「お荷物保険」である。アベノミクスの低金利政策で予定利率に見合う利回りを稼げる運用先は見当たらない。 逆ザヤになっている「お宝」を解約させ、金利の安い保険に乗り換えさせることは、かんぽ生命にとって都合がいい。 どのような論議が経営会議でなされたか明らかではないが、2017年に「新ながいき君」が売り出され、怒涛の「乗り換え」が各地の郵便局で始まった』、「予定利率の高い保険」から低い保険への乗り換えは、民間生保ではもっと前に大々的にやった。かんぽ生命は遅ればせながらやったようだ。
・『勧誘された高齢者 無保険になった人も  勧める時、営業職員は「新旧比較表」を示して説明する決まりになっている。 「予定利率」も比較項目のひとつだ。6%の保険が0.5%の保険になれば、どんな損がお客に発生するか、職員がきちんと説明すれば、応ずる顧客はいなかったのではないか。 「新旧比較表」の説明と併せ、顧客から「私は本書面全ページの内容を確認し、申し込みプランが私の意向に合致していることを確認しました」という誓約を取る。 「ご意向確認書」と呼ばれる書面だが、ここに署名・捺印させれば、あとでトラブルが起きても顧客は文句を言えない。「説明は受けている。分からなかったのは自己責任」となる。 損な乗り換えを勧められた人の多くは高齢者である。乗り換えに応じてしまった後にも問題が起きた。 新しい契約をしたが、後になって健康診断ではねられ、結果的に無保険になった例が続発している。 保険に当初、加入した時は元気でも、30年近くたつとあちこちにガタが出る。かんぽが指定する病院で検査をすれば保険に入れない人が出るのは、十分予想できたことだ。 新旧比較表に小さな字で次のように書かれていた。 「現在の保険を解約した場合は、新たなご契約が成立しなかったとしても、解約した保険は復元できません」 無保険になる人が出ることを予想していたような注意書きである。 「入院なら初日に5日分が出ます」といううたい文句につられて契約した結果が無保険。乗り換えに応じていなければ病気になっても保険で守られていた。 かんぽは顧客から「お宝」をはぎ取り、裸にして放り出したようなものだ』、新契約が「後になって健康診断ではねられ、結果的に無保険になった例が続発」、というのは当然予想される事態だ。「かんぽは顧客から「お宝」をはぎ取り、裸にして放り出したようなものだ」、というのはその通りだ。
・『ゆうちょ銀行の投信販売「ルール無視」でも調査せず  かんぽ生命、日本郵便、日本郵政の3社は社外の弁護士による特別調査委員会(第三者委員会)を設置し「事実を確認し、原因を徹底的に調査する」と発表した(7月24日)。 メンバーは検察庁OB3人、いわゆる「ヤメ検」による検証作業が始まる。 だが、この第三者委員会には、決定的な「手抜き」が潜んでいる。 調査の対象を「かんぽ生命の保険商品の取り扱い」に限定したことだ。 「かんぽの不正」に話題が集中しているが、「不正販売」はゆうちょ銀行の「投資信託販売」でも問題になっていた。 6月24日に行われた長門正貢・日本郵政社長の記者会見で「守るべきルールが順守されず、高齢者取引の4割で違反があった」と明らかにされた。 ゆうちょ銀行の担当役員は「70歳以上の高齢者に投資信託を販売する時は、お客に理解力があるか上司が確認する決まりになっているが、直営店の9割でルールが無視されていた」と違反を認め、頭を下げた。 投資信託は、かんぽの扱う生命保険より、さらに複雑な金融商品だ。ゆうちょ銀行の直営店でさえ9割に違反があったのなら、取り扱いを依頼されている日本郵便、つまり郵便局ではどうなっているのか。 金融の門外漢である郵便局員がノルマに追われ、投資信託を売っている現場で、ひどいことが起きてはいないのか。 不祥事の徹底解明を言いながら、第三者委員会は投信販売にメスを入れないのは理由があるようだ。踏み込めば、郵政民営化という十字架を背負う経営陣の責任がより明確になる。 市場原理になじまない全国一律の郵便事業を抱え、金融商品を売ってもうけなければ、民営化は立ち行かない。その結果、郵便局に過剰なノルマ販売などを強いて、老人を食い物にする「不正」を増殖させた構造が明らかになってしまう』、「第三者委員会は投信販売にメスを入れない」、というのは酷い話だ。
・『根源は「民営化」赤字の郵便支える必要  郵政民営化とは、国の事業だった郵便、貯金、簡易保険を株式会社にして、誰もが株を買えるよう市場に公開することだった。 小泉・竹中改革の看板政策だったが、自民党内でも「過疎地にも出店を義務付ける郵便事業は市場原理になじまない」「日本最大の貯蓄を抱える郵貯を外資に差し出す政策だ」などと侃々諤々(かんかんがくがく)の論議を呼んだ。 紆余曲折の末、郵政は4分割され、持ち株会社の日本郵政の下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が並ぶ体制になった。 懸案の上場は「親子上場」という特異な形が取られた。 銀行を見れば、メガバンクは金融グループを統括する持ち株会社だけが上場している。郵政グループは、持ち株会社の日本郵政だけでなく、ゆうちょ銀行もかんぽ生命も株を公開した。例外は郵便局を抱える日本郵便だ。 従業員19万4000人(臨時従業員含まず)を抱え、郵政グループでは圧倒的な存在感を持ちながら収益性が期待できないので上場は無理、と判断された。 だが日本郵便が赤字に陥れば、親会社である日本郵政の株価に反映する。郵便局の働きぶりが郵政株の売り出しに影響し、民営化の成否にもつながる。 郵便だけでは立ち行かない日本郵便は、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の金融商品を扱って、手数料をもらうことでかろうじて黒字を維持している。 2018年3月末、ゆうちょ銀行から5981億円、かんぽ生命から3722億円の業務受託手数料を受け取った。赤字の郵便を金融事業が支える、という構造だ。 だが日本郵政にとって保険も投信も片手間でやるには重い仕事になってきた。 特に投資信託は、利回りを上げるため外国株や外債が組み込まれ、先物・スワップなど仕組みは複雑化するばかり。商品を理解できないまま本部や地方拠点が割り振る営業目標をこなすのに四苦八苦というのが現状だ。 1800兆円とされる個人金融資産の49.5%は65歳以上の高齢者が持っている(みずほ総研調べ)。オレオレ詐欺も悪質な訪問販売もここの層を狙っている。手っ取り早く成果を上げるため郵政グループも高齢者を狙ったのではないか。 投資信託の営業には「適合性の原則」が法律で定められている。投資判断ができる顧客でないと売ってはいけない、という決まりだ。ルールは現場で有名無実になっていた。 問題は、上司の立ち会いなしに売った、という営業形態にとどまらない。投資判断できない高齢者にどんな投信を売ったのか、そこがポイントだ。 高齢者に勧めてはいけないような投機性の高い複雑な投信を売っていたのではないか。 記者会見でこの点をただすと、横山邦男日本郵便社長は「お答えできない」と口をつぐんだ』、回答拒否を伝えた新聞記事は見た記憶がないので、恐らく記事にはしなかったのだろう。
・『経営陣の関心は高値での株式売り出し  郵便局には顧客の個人情報がある。郵便貯金がいくらあるか、職員は知っている。 貯金には金利は「ほぼゼロ」であることを残念に思う顧客に「利回りのいい投信におカネを移しませんか」と持ち掛ける。 例えば、それで顧客が貯金口座から投信の口座に100万円を移したとすれば、3万円程度(商品によって異なる)の販売手数料がゆうちょ銀行に落ちる計算だ。お客は100万円払って97万円の投資信託を買うことになる。 貯金から投信の「乗り換え」をさせるだけで3%の手数料。ゼロ金利のご時世でこんな商売はめったにない。顧客の口座を握っているからできる商売だ。 「お客様本位の営業が徹底していなかった」とは「お客を食い物にしていた」という意味ではないのか。 かんぽの「乗り換え」も、ゆうちょの「投信販売」も現場で起きていた。特別委の調査を「かんぽ」に限定したことは、現場で起きた事件の半面にしか光を当てないことを意味する。 持ち株会社の日本郵政は本部エリートの集団で現場から遠い。彼らにとっての懸案は、年内に予定している株式の第2次売り出しだ。 上場後発覚したオーストラリアの物流会社トールへの投資失敗など悪材料を帳消しに収益を示すことが課題となっている。だが頼みのゆうちょ・かんぽは超低金利で採算が悪化している。集めたカネを国債で運用していれば利ザヤが稼げたのは昔の話。日本株も頭打ちで運用収益は振るわない。 いきおい、投信や保険の手数料稼ぎに力を入れ、過剰なノルマを発生させた。金融事業を頼りに上場するという無理が現場に重い負担をかけてしまった』、最近の株価暴落で「株式売り出し」は夢のまた夢と消えたようだ。
・『モラル崩壊の追い打ち アベノミクスの超低利  振り返ると、かんぽと同様の「乗り換え」は、バブル崩壊後、1990年代半ばに生命保険業界で起きている。 5.5%だった予定利率が切り下げられ、生保各社は金利の低い新型保険を売り出し、「お宝保険」の解約を勧めた。 「顧客を欺く営業」と批判を受け、生保業界は総ざんげを迫られた。 その時、簡保は蚊帳の外で「顧客騙し」に加わらなかった。目先の収益のためズルすることは官業としてできなかった。 「異常な低金利が長期にわたって続く時、現場で必ずおかしなことが起こる」日本銀行総裁だった故三重野康氏の言葉である。副総裁として5度にわたる公定歩合の引き下げに関与し、日本をバブル経済に突入させた責任者の一人でもある。 あの頃は好景気で激烈な融資競争が起き、銀行員が「イケイケ」とばかり突っ走った。今はデフレ退治のアベノミクスが叫ばれ、「異次元の金融緩和」が始まって6年。金融機関は生き残るため、お客を食い物にするということか。 現場で起きた愚行を「手数料稼ぎ」「ノルマに追われた暴走」と非難することは容易だが、彼らを追い詰めたのは、過剰な収益目標であり、株価至上主義の経営である。 郵政各社の経営者の責任は重いが、その経営者を縛っているのが国策だ。 郵政民営化とアベノミクスによる超低金利。2つの国策が絡み合って19万人の郵政職場のモラルを崩壊させた』、説得力溢れた主張である。

第三に、8月1日付けダイヤモンド・オンライン「日本郵政が「強気の謝罪会見」、首脳陣続投の背景に政治の影」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210546
・『終始強気だった日本郵政の長門社長  この程度か――。日本郵政が31日に開いた定例の記者会見で、長門正貢社長はそう言いたげな表情を、時折見せた。 2時間以上にわたる記者との質疑では余裕すら感じられ、用意していた想定問答が吹き飛び、言葉に詰まるような場面はほとんどなかったといえる。 最大で18万件超にも及ぶ保険の不適切販売を巡り、経営責任を問われた場面では「陣頭指揮をとって改善策を講じることが経営者としての責任」と言い切り、辞任を否定。また、問題を見過ごしてきた経営者としての資質とそれに伴う責任を聞かれたときは、一瞬困惑しながらも「論理が飛躍している」と何とかかわしてみせた。 不適切販売で、郵便局への信頼を失墜させたことへの謝罪会見だったにもかかわらず、そこまで強気の姿勢でいられたのは、前日にあった会合の影響が大きい。 その会合とは、郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の幹部会だ。 会長の野田毅氏をはじめ大物議員12人を前に、長門社長など日本郵政の首脳陣は、不適切販売の一連の経緯を説明。幹部議員から「今のような説明だけでは世間は納得しない」などと、厳しい言葉が飛んだものの、会合全体の雰囲気から、自らの首を差し出すほどの事態にはなっていないという感触をつかんだようだ』、強気の記者会見の前日に「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の幹部会」があったとは、初耳だが、納得できる。
・『郵政首脳陣を激励した議員たちの本音  「おい、がんばれよ!」。会合が終わり、幹部議員からそう言われ背中を叩かれた日本郵便の横山邦男社長は、それまで見せたこともないような恐縮ぶりで、深く何度も頭を下げていたが、議員が去った後に見せたほっとしたような表情は、「なんとか辞めずにすみそうだ」という胸のうちを語っているかのようだった。 「明日(の会見)は、報道の人たちはどんなことを当ててくるんだろうね」。30日夜、長門社長は周囲にそう尋ね、新たな不適切販売の事例などを材料にして、メディアが責任を追求してくることを警戒していたという。 しかし、ふたを開けてみれば会見で想定外の事例をメディアから突き付けられるようなことはなく、政治の後ろ盾を再び得たという自信が、強気の姿勢を徐々に後押ししていった。 今後郵政グループは、顧客調査を本格化させ、問題の早期の幕引きを図る考えだが、首脳陣が描く「楽観シナリオ」通りに、果たして事が進んでいくのかどうか。 郵活連の会合後、にこやかに話していた幹部議員は「明日に会見あるんでしょ。まあそれ次第だけど、生ぬるい内容で世間の反感を買ったりしたら、俺が経営責任追及の急先鋒になるよ」と語ったその目は、全く笑っていなかった』、日本郵政は、民営化とは名ばかりで、やはり政治色が強いようだ。

第四に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原 信郎氏が8月3日付け同氏のブログに掲載した「日本郵政株売却に”重大な疑義”を生じさせた長門社長「冗談ではない」発言」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/08/03/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%83%b5%e6%94%bf%e6%a0%aa%e5%a3%b2%e5%8d%b4%e3%81%ab%e9%87%8d%e5%a4%a7%e3%81%aa%e7%96%91%e7%be%a9%e3%82%92%e7%94%9f%e3%81%98%e3%81%95%e3%81%9b%e3%81%9f%e9%95%b7/
・『かんぽ生命保険の不適切販売問題を受けて、かんぽ生命株式会社(以下、「かんぽ生命」)の植平光彦社長と、販売委託先の日本郵便株式会社(以下、「日本郵便」)の横山邦男社長が、7月10日に開いた記者会見については、【「日本郵政のガバナンス問題」としての保険不適切販売問題~日本郵便横山社長への重大な疑問】で詳しく述べたが、7月31日、日本郵政の長門正貢社長が、かんぽ生命の植平社長、日本郵便の横山社長とともに記者会見を開いた。 長門社長は、定例会見で質問に答えたことはあったものの、この問題についての記者会見に臨んだのは初めてだった、大変堂々とした態度で会見を主導し、質問をする記者を圧倒している感すらあった。 この会見の直前の7月29日、今年4月に行われた日本郵政によるかんぽ生命株式の売却に関して、郵政民営化委員会の岩田一政委員長が、記者会見で、「不祥事案は速やかに公表すべきだった。透明性が極めて重要だった」と指摘し、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)も、「適切な情報開示がなかった」として問題視する発言したことが大きく報じられていた。 この点に関して質問を受けた長門社長は、かんぽ生命の植平社長に事実関係を説明させた後、株式売却の際には不祥事について全く認識がなかったとして反論し、「冗談ではない」と、岩田発言・清田発言に憤ってみせた。 かんぽ生命株式の売却に関して、民営化委員会の委員長や日本取引所のCEOに問題を指摘されたというのは、日本郵政グループとしてもその経営トップとしても、極めて深刻な事態だ。日本郵政の社長が、記者会見の場で、民営化委員会の委員長と日本取引所のCEOの問題の指摘に対して、感情的な言葉まで用いて反論したことを、どのように評価すべきか。 会見で長門社長の態度に圧倒されたせいか、今のところ、マスコミからの批判は、あまり見られない。しかし、政府は、この秋に、日本郵政株式の第3次売り出しを行って、売却収入を東日本大震災の復興財源にすることを予定している。その株式会社の社長の発言としては重大な疑問がある。予定どおりに日本郵政の株式を売り出すことは一層絶望的になった。それどころか、長門社長の下での株式売出しに投資家の理解を得ることも困難になったと言わざるを得ない』、「日本郵政の社長が、記者会見の場で、民営化委員会の委員長と日本取引所のCEOの問題の指摘に対して、感情的な言葉まで用いて反論した」、というのは大変な役者ぶりだ。「長門社長の態度に圧倒されたせいか、今のところ、マスコミからの批判は、あまり見られない」、というマスコミの腑抜けぶりにも改めて怒りを覚えた。
・『読売新聞記者との質疑応答  かんぽ株売出しについての長門社長の発言は、読売新聞の「ヨネザワ」という記者からの質問に答えたものだった。同記者は、「横山社長に1問、長門社長に2問お聞きします」と断った上で、まず、日本郵便の横山社長に対して 問題が拡大した背景に、本社経営陣全体で、問題の発覚当初から現場の理解・認識が甘かったのではないか。現場の情報が届いていたとして、本社に正しく伝えられていたのか。経営陣の意向に沿って塗り替えられた情報ではなかったのか。さきほど意見交換の場を作るというが、上の顔色をうかがうような意見交換では意味がない。社風、意識改革についてどう考えているのか。 と質問した。 それに対して、横山社長は、今後の施策の一つとしている、「現場社員との意見交換の場」については、「お客様のご不満の声や、自分たちが仕事をやっていくうえでこんなことがやりにくいというような声を広範に聞く会を設けようと思っている。万が一にも、私と参加者との間で、それを遮断する、出席者を制限するようなことがあるようであれば、それは断罪しないといけない」などと答えた。 そして、ヨネザワ記者は、2問目で、長門社長に、「今回の問題でかんぽ生命株の売却時にこの問題を把握していたか否かというのはひとつの焦点となっている」とした上で、 問題の把握のレベル感と公表のタイミングの正しい在り方についてどのように考えているのか伺いたいと思います。要は例えば調査を始めた時点とか、グレーな案件があった時点とか、それが黒と確定した時点とか、あるいは今回のように黒が大量にあった時点とか、そういうふうな公表するタイミングについてご自身の認識、あとは今批判の声も中には出ているわけですが、そのような声にどのように応えて、あるいは他社の状況も踏まえて、正しいのはどのようなタイミングでこのような問題を公表するべきかと考えるのかを教えてください。と質問した。 これに対して、長門社長は、大事なポイントを聞いて頂きまして、民営化委員会の岩田委員長がご発言になりました。日本証券取引所の清田さんが同じようなご発言をされました。4月4日にかんぽ生命の第二次売り出しをスタートいたしましたけれども、その時点でかんぽ、郵政の経営者はこの事象を知っていたのではないかと、こういうご発言でした。大変な発言でございまして、どういう文脈で、どういう情報に基づいておっしゃったのか知れませんけれども、これは騙して株を売ったという懸念があるぞと、こういうご発言なのですね。大変に重大な発言だと思います。岩田発言、清田発言について、私どもの認識をしっかりと申し上げたいと思います。と述べた上、かんぽ生命の植平社長に、不祥事を把握した経過を説明させ、株式売却の時点では、不適切販売の不祥事について全く認識がなく、開示すべき情報を開示しなかったものではないことを強調した。そこでの、植平社長と長門社長が14分にもわたって行った説明は、概ね以下のようなものであった。 不適正募集の事案が2018年度は20件程度存在しており、業法違反になっていると認定されるものが20件程度発生しているということ。そうした苦情のなかに乗り換えに関わるようなものが1件あった。 こういう不適正募集という事案はパーセンテージは非常に小さい。そのことをもって会社経営全体にとって重大と認識するには至っていない。 昨年度1年間でそういう数字があったことは、これは隠さずに、金融庁、総務省のほうにきっちりと報告している数字。黙って隠したという数字ではない。 4月4日にかんぽ株を発売するという決断は我々だけでできるわけではない。きちんと引受証券や弁護士を雇って、彼らにいろいろアドバイスをしてもらって出している。 持株のほうの立場で言えば、4月4日の時点はまだ全く白です。今回の6月27日の2万4千件は22件と比べても桁が違う、異次元の数字が出てきて、そのような認識になった。 日本郵政のガバナンスのことで言えば、6月の取締役会は株主総会後の臨時取締役会だが、ここでは本件は、全く議論になっていない。かんぽ生命の取締役会でその22件が報告されたのは5月の取締役会だった。 そして、このように説明した上で、長門社長は、 かんぽ生命の取締役会、私、ボードメンバーに入っておりますから、そこでその22件が報告されたのはやはり5月のかんぽの取締役会です。そういうことでございますので、岩田発言、清田発言は非常に重いので、この場をお借りして、冗談ではないということを申し上げておきたい。と言い切ったのである』、どうも「読売新聞の「ヨネザワ」という記者からの質問」なるものは、郵政の正当性の主張を引き出すための、サクラ的な色彩が濃そうだ。読売新聞はもともと安倍政権に近い存在だが、ここまで八百長質問するとは、記者魂も地に落ちたものだ。
・『ここで、長門社長は、「これ2問目でしたね。3問目があったかと思いますが。」と言って、さらに質問を促した。1問目から既に20分以上を経過しており、ヨネザワ記者も、さすがに、他の記者に遠慮したのか、「長くなってしまいましたが、最後に一問、端的に伺いたいと思います。」と言った上で、「今回の一連の問題を受けて、郵便局への信頼というのはまだあるとお考えでしょうか。」と質問した。 これに対して、長門社長は、「著しく本当にお客様の期待を裏切ったし、ブランドイメージを損なってしまったと感じております。」と述べた上で、我々、郵便配達を始めたのが148年前、明治4年でございます。2021年に150周年を迎えます。その日から毎日、日曜日はやっていませんが現在は、雨の日も風の日も郵便をお届けしていた。 保険業務を始めましたのが103年前です。この間、2万4千局の郵便局で、お客様の最も近いところにいると言って、このグループは地味だけど真面目だよね、というブランドを諸先輩、今も43万人の同僚の殆んどの人が誠実に働いて頂いてこのようなブランドを作って頂いたと思っていますが、大きく毀損してしまったと大変責任を痛感しております。 一刻も早く戻すべく現在のタスキを繋ぐということが我々の仕事だと思っております。と、自らの使命は信頼回復を図ることだと述べると、質問を受けてもいない横山社長が、 例えで一例申し上げれば、災害の時にいち早くどんな機関よりも早く郵便局を再開する、そして避難されておりますお客様をひとりでも多く探してその避難の先まで郵便を届ける、という大変な社会的使命を我が社の社員は全員が持っているということを私は知っております。と述べ、それを受けて、長門社長は、熊本地震の時の、「かんぽの宿阿蘇」で被災者の救援にあたった事例のことを話し、 これが私どものルーツだと思っております。当面のミッションはこれだと思っておりますので、一所懸命頑張って、本来のイメージにできるだけ早く戻すべくできるだけ頑張りたいと思っております。と述べて、ヨネザワ記者の質問への応答が終わった』、サクラ的な色彩がますます強まった。
・『質疑応答は、想定されていたものではないのか  この一人の記者との質疑応答は、合計で30分近くにも及んでいる。長門社長が、このタイミングで記者会見を開いて言いたかったことをすべて言い尽くしたような内容であり、質問自体を想定していたような印象を受ける。 横山社長への1問目は、「現場の情報が届いていたとしても経営陣の意向に沿って塗り替えられた情報ではなかったのか」というものだが、【前掲拙稿】でも述べたように、日本郵便での不適切な保険営業に関しては、総務省の指導やマスコミの追及を受けるなどをしており、横山社長が気づかなかったわけがないという点は、本来、記者側からは最大の追及ポイントのはずだ。ところが、ヨネザワ記者は、「現場からの情報が伝わらなかったために、経営陣は今回の不適切販売について認識していなかった」ということを前提にしており、実横山社長は、それを受けて、今後の施策を中心に答えている。 2問目の長門社長への質問も、民営化委員会委員長と日本取引所CEOからの批判をどう受け止めるか、というストレートな聞き方ではなく、婉曲的に「どの時点で、問題を公表するべきか」という「法的義務」についての説明を求めている。 そして、特に不自然なのは、2問目の質問に対して、長門社長が、岩田発言、清田発言に対して「冗談じゃない」と憤りを露わにした後、「3問目」を質問するように促したことである。 記者から、3つの質問を受けていたのに、3問目の質問の内容を忘れてしまった、というのであれば、聞き直すこともあるだろう。しかし、ヨネザワ記者は、3問質問したいと言っていたが、2問目までで既に20分もの時間を使っている。それを、わざわざ会見者の方から「3問目の質問」をさせるというのは、通常はあり得ない。しかも、その質問に対して、郵政の歴史だとか、郵便局職員の災害時の地域への貢献など、まさに会見者の方が言いたいことを延々と話し、ヨネザワ記者との質疑応答は、合計で30分にも及んだ。 会見全体が、このヨネザワ記者との質疑のように、個々の記者の質問全体に丁寧にすべて答えるものだったかと言えば、決してそうではない。 2つ前の質問で、「NHKクローズアップ現代」の記者が、以下のように質問した。 私どもは今から一年以上前の4月に、そちらに座っていらっしゃる日本郵便の佐野常務、それからかんぽ生命の堀家専務に対してですね、不適正な事例が今広がっているのではないかと、金融庁に届けるような違法行為まで起きているのではないかということで取材を申し入れて、その時に「信頼を裏切るような行為が少なくない数起こっている」、「会社として非常に深刻に受け止めている」、「郵便局に対して信頼を失ってはいけない、改めないといけない」というような発言をされております。 そういうような責任ある立場の方からのご発言がありながら、なぜその後も状況は変わらなかったのか。あるいは状態だけ見れば、例えば不適正事例という金融庁届出事例は20件から22件に増加しているし、あるいは局長が関与するような不適正事例、管理者が関与するような不適正事例も起こっています。根絶できていないというよりも、むしろ悪化をしているという傾向すら感じるような状況です。 なぜそれは止めることができなかったのか、また直近の調査で分かったと言いますが、一年以上前にそういう認識があったということとの整合性をどのように認識されているのかをお答えください。 この質問に対しては、かんぽ生命の植平社長が、「募集品質の向上のための総合対策を打った結果、苦情全体が大幅に減少してきている。高齢者の苦情が順次減ってきている。全体の品質が良化していると認識していた」「不適正募集の発生は減少してきている。」そのようななかで今回の問題の発生を直近のデータで認識をしたので、遡及して将来に向けての対策を打っていく意思決定をした」などと述べ、質問の趣旨とは全くかみ合わない答をしている。 そして、記者会見の場に、1年余り前にNHKの取材に対して、「信頼を裏切るような行為が少なくない数起こっている」「会社として非常に深刻に受け止めている」などと答えた執行役員が同席しているのに、その趣旨について説明させることもなく、横山社長から日本郵便側の認識を答えることもせず、長門社長は何も答えずに、質問への答を終えている。 少なくとも、このNHK記者の質問に対しては、質問の趣旨に忠実に、真摯に答える姿勢は全く窺われない。 読売新聞のヨネザワ記者との長時間にわたる質疑応答とは対照的だ』、「NHK記者」にはもっとツッコミの追加質問をしてもらいたいところだが、読売記者への応答だけで時間を費やしているだけに、無理だったのかも知れない。
・『長門社長発言をどう評価するか  問題は、このように会見者側で予め想定していたのではないかと思える質疑応答の中で、長門社長が述べたことの中身である。 確かに、日本郵政とかんぽ生命の正式に行われた会議、報告という面で言えば、正式な報告で不祥事を認識したのは6月下旬ということになるであろう。そして、そのような正式な会議、報告以外については、証拠は何もない。そういう意味では、長門社長が言うように、かんぽ生命株の売出しに関して、日本郵政、かんぽ生命の経営者も、不祥事を知っていたのに、それを隠して騙してかんぽ生命株を売却した疑いについて、「シロ」だというのは、証拠上は、法的判断としてはそうかもしれない。個人に疑いをかけられているとすれば、長門社長が「冗談ではない」というのも、正しいであろう。 しかし、岩田委員長や清田CEOが指摘したのは、そういう「経営トップとして不祥事を認識していたのに、騙して株を売った疑い」という個人の問題ではない。日本郵政という組織が保有していたかんぽ生命の株式を、一般投資家に売りつけたことに関して、そのかんぽ生命という会社の中身に関わる重要な事実が売出しの時点で開示されていなかった。岩田委員長は、そういう事象について、「郵政民営化を進めていく上で支障となる」と指摘し、清田CEOは、「証券市場への企業内容の適切な開示という面で問題がある」と指摘したということである。 それに対して、長門社長は、「売出しの時期は、自分達だけで決められるわけではない、開示の内容は、証券会社や弁護士がデューディリジェンスで確認し結果に基づいて決めている」と言っているのであるが、それは、問題を経営トップで個人の問題ととらえ、責任を否定しているだけで、組織としての問題を指摘する岩田発言、清田発言に対する反論には全くなっていない。 長門社長個人としてではなく、日本郵政グループの経営トップとして、保有していたかんぽ生命株式を一般投資家に売却した後、同社の保険販売に重大な問題が発生していることが明らかになって、株価が大きく値下がりしている。そのことについて経営者としてのどのように受け止めるのか、ということが問われているのである。ところが、長門社長は、「自分は知らなかったからシロだ」と個人レベルでの言い訳をしているのである。しかも、長門社長は、日本郵政の社長だけを務めているのではない。かんぽ生命、日本郵便の取締役でもある。それらの会社の事業活動が適切に行われることについて、取締役としての責任を負っている。会見での長門社長の発言からは、その自覚が全くないように思える。 日本郵政グループとして開いた会見の場で、特定の記者から都合の良い質問を受けて的外れの反論を行い、「冗談ではない」などと放言する長門氏が経営トップを務めている限り、日本郵政株の売出しをすることなど不可能であり、それを強行しようとすれば、政府として、投資家からの信頼を裏切ることになりかねない』、「個人の問題」と「組織としての問題」に切り分けて問題を整理する郷原氏の鋭い指摘はさすがだ。
・『「地域に寄り添う郵便局員」がなぜ顧客の利益を損なったのか  ヨネザワ記者に3問目の質問を促し、「郵便局への信頼」という言葉が出ると、長門社長は、「待ってました」とばかり、日本郵政150年の歴史の話を始め、横山社長が、「地域に寄り添い、そこに生きるお客様とともに共生している」として、その例として郵便局員の災害時の地域貢献の例を持ち出した。これも、想定どおりのプレゼンのような内容だ。 しかし、今、問題になっているのは、本来、地域と、地域住民に寄り添う存在のはずだった郵便局員が、露骨に顧客の利益を損なうような保険募集を行っていた事例が膨大な数発生しているという事実である。長門社長、横山社長には、そのような行為を行わざるを得ない状況に、多くの郵便局員を追い込んでしまった経営トップとしての責任が問われているのである。そのことの自覚があれば、「地域に寄り添う郵便局員」などという言葉が、軽々に口にできるとは思えない。 もう一つの問題は、長門社長が、今回の問題についての責任について問われ、「特別調査委員会メンバーは3人とも検察出身。厳しく調査して頂くためにお願いした。厳正な報告が出てくる」などと述べて、「検察出身の弁護士3名からなる特別調査委員会だから、経営陣に対しても厳正な調査結果が出てくるはずで、それによって責任の有無を判断する」と述べたことだ。 しかし、検察出身の弁護士による調査だから厳正な結果になるというのは全くの幻想である。これまでにも、第三者委員会や外部調査が、依頼者の経営者や政治家に手ぬるいと批判された事例の多くが、検察出身の弁護士によるものだ(小渕優子議員、舛添要一都知事の政治資金問題、日本大学アメフト部問題での第三者委員会など)。そして、この日本郵政の特別調査委員会の委員長の検察出身弁護士は、レオパレス21の第三者委員会の委員長を務めた弁護士である。その調査報告書について、第三者委員会格付け委員会の格付けでは、 退任してから既に 13 年が経過している過去の人物である元社長にのみ焦点を当て、その責任追及に多くのページを割いて いる。一方、2010 年から現在まで 9 年間社長を務めてきた前社長の関与についてはほとんど触れられていない。 調査スコープを矮小化して 1990 年代後半から 2000 年代前半のみを切り取り、創業者の責任のみを執拗に記述することでこの陥穽にはまり込んだのではなかろうか。と酷評されており、評価も非常に低い。今回の問題についても、過去の経営陣の責任の焦点を当て、現経営陣への責任追及を交わす方向での調査が行われないとも限らない。 いずれにしても、「検察出身の弁護士3名からなる第三者委員会」というだけでは現経営陣にも厳しい厳正な調査が行われるはずだということの根拠には全くならない。 出席した記者達を圧倒していたように思える長門社長ら3社長の記者会見だが、そこでの発言内容は、経営者としての傲慢さと独善を示すものでしかなかった。それが、日本郵政グループの危機を一層重大かつ深刻なものにすることは避けられないであろう』、説得力の溢れた主張で、全面的に同意したい。
タグ:日本郵政 ダイヤモンド・オンライン ヨネザワ 山田厚史 同氏のブログ (その12)(日本郵便とアフラックが がん保険の販売継続に固執する理由、郵便局員を「かんぽ乗り換え」の不正に走らせた2つの国策、日本郵政が「強気の謝罪会見」 首脳陣続投の背景に政治の影、日本郵政株売却に”重大な疑義”を生じさせた長門社長「冗談ではない」発言) 「日本郵便とアフラックが、がん保険の販売継続に固執する理由」 販売継続の説得力失った日本郵便とアフラック 日本郵政は、アフラックに2700億円を出資、議決権7%は4年後には10倍になり、持分法適用会社になる 導入が遅れた「条件付き解約制度」 郵政グループと保険会社のいびつな上下関係 「郵便局員を「かんぽ乗り換え」の不正に走らせた2つの国策」 高齢者を食い物に「郵政よ、お前もか!」 「不正販売」の源流を辿っていけば「郵政民営化の無理」に行き着く アベノミクスによる「ゼロ金利政策」が事態を助長 客を踏み台にして自らが生き残ろうとする姿は「悪しき市場原理」の典型 不利益な保険の乗り換えでノルマ達成、手数料稼ぎ 「新ながいき君」 逆ザヤになっている「お宝」を解約させ、金利の安い保険に乗り換えさせることは、かんぽ生命にとって都合がいい 勧誘された高齢者 無保険になった人も 新しい契約をしたが、後になって健康診断ではねられ、結果的に無保険になった例が続発 ゆうちょ銀行の投信販売「ルール無視」でも調査せず 特別調査委員会(第三者委員会) 根源は「民営化」赤字の郵便支える必要 経営陣の関心は高値での株式売り出し モラル崩壊の追い打ち アベノミクスの超低利 「日本郵政が「強気の謝罪会見」、首脳陣続投の背景に政治の影」 終始強気だった日本郵政の長門社長 郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の幹部会 郵政首脳陣を激励した議員たちの本音 郷原 信郎 「日本郵政株売却に”重大な疑義”を生じさせた長門社長「冗談ではない」発言」 株式売却の際には不祥事について全く認識がなかったとして反論し、「冗談ではない」と、岩田発言・清田発言に憤ってみせた 読売新聞記者との質疑応答 郵政の正当性の主張を引き出すための、サクラ的な色彩が濃そうだ 質疑応答は、想定されていたものではないのか 長門社長発言をどう評価するか 「地域に寄り添う郵便局員」がなぜ顧客の利益を損なったのか 本来、地域と、地域住民に寄り添う存在のはずだった郵便局員が、露骨に顧客の利益を損なうような保険募集を行っていた事例が膨大な数発生しているという事実である。長門社長、横山社長には、そのような行為を行わざるを得ない状況に、多くの郵便局員を追い込んでしまった経営トップとしての責任が問われているのである。そのことの自覚があれば、「地域に寄り添う郵便局員」などという言葉が、軽々に口にできるとは思えない
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