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アベノミクス(その24)「働き方改革」10(小田嶋氏の見解) [経済政策]

昨日に続いて、アベノミクス(その24)「働き方改革」10(小田嶋氏の見解)を取上げよう。小田嶋氏のコラムの場合の通例として、内容的には私が分類した「働き方改革」とは距離がある気もするが、大晦日に免じて大目にみて下さい。

コラムニストの小田嶋隆氏が12月22日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「汝、退屈を憎むなかれ」を紹介しよう。
・昨年あたりから折にふれて話題になっていた第三次産業の人手不足は、ここへきていよいよ本格的な局面に突入してきたようで、もうすぐやってくる来年のお正月は、久しぶりに、休業する店舗のシャッターが目立つ、静かな三が日をわれわれにもたらすことになるかもしれない。 まだ、実際に来てみるまではわからないが、いくつかの新聞記事が伝えている感じでは、今度の正月は、年中無休24時間営業という、この30年ほど当たり前になっていたトレンドが、折り返し点を迎える最初の正月になる雲行きだ。
・日本経済新聞の電子版は 「さらば年中無休 年末年始、大戸屋や携帯ショップ休業」という、やや詠嘆調の見出しで、この間の事情を伝えている。 記事によれば、定食屋チェーンの大戸屋ホールディングスは、この12月の18日、大みそかと元日に休む店を2倍に増やすことを発表しており、携帯電話販売店にも年末年始に休業日を設ける動きが広がっているのだという。
・今回は、今年最後の更新(次回は、新年吉例の「いろは歌留多」を掲載するつもりです。さすがにネタ切れの感は否めないのですが、苦しいこじつけにこそ渋い味わいが宿るのがこの仕事の醍醐味でして、まあ、そこのところはよろしくよろしく)でもあれば、年末年始の長期休暇を控えた時期の原稿でもあるということで、「休み」についてあたらめて考えてみたい。
・私の世代の人間が子供だった時代、正月は、総じて退屈な季節だった。 お年玉による臨時収入が期待できることを除けば、冬休みは、万事にイベントの多い夏休みに比べて、どうにも時間のつぶしように困る二週間だった。 少なくとも、私の記憶では1970年代の終わり頃までは、東京の正月は、冴えない季節だった。
・というのも、商店街と言わずデパートと言わず、商店という商店が軒並みシャッターを降ろしているこの時期の東京の街路は、文字通り、人通りの絶えるゴーストタウンだったからだ。 飲食店も、ごく限られた都心部や初詣観光地周辺の店舗を除けば、基本的には三が日が終わるまでか、ひどいところになると松が明けるまでは開店しなかった。
・そんなわけで、わたくしども昭和中期の子供たちは、冬休みが終わるまでの正月の間、まるまる家の中に閉じこもって暮らすことを半ば強いられていた。これは、遊びたい盛りの子供には、試練だった。
・私は、必ずしも学校が大好きだった子供ではないのだが、それでも、毎年、年が明けて3日もたつと、早く学校が始まることを心待ちにしたものだった。近所に住んでいる友達が帰省やら観光やらでどこかに消えてしまう正月は、実家の居間で家族揃ってテレビのお屠蘇番組を視聴している時間の身を刻むような退屈さといい、酔っぱらった年始客の相手をすることの面倒くささといい、何年かに一度しか会わない親戚の子供たちと一緒に遊ばねばならないノルマの気詰まりさといい、負担ばかりが多い時期だったからだ。
・一日二日は、それでも、お年玉をもたらす来客を待ち構える気持ちで、退屈を押さえ込むことができた。 しかし、脳内にある予定回収先名簿のチェック欄がおおかた埋まってしまうと、休日のやるせなさは、いよいよ呼吸困難に近い実感をともなって身を圧してくる。実に、子供というのは、変化のない時間に耐えられないように設計されている生き物なのであって、してみると、年末年始のもたらす空白と虚脱は、一人遊びのゲーム端末が発明されていなかった時代の子供にとっては、ちょっとした苦行だったのである。
・あの時代の正月に比べれば、21世紀の便利で快適でビビッドで娯楽満載な正月を過ごすことのできる現代の子供たちは、ずっと幸せだと思う。 もっとも、公平を期して言えば、今の子供たちには今の子供たちにしかわからない、彼らなりの苦しみがあるはずで、だとすれば、その現代の子供に特有な苦しみを感知することのできない古い世代の人間が、現代の子供たちの暮らしぶりを指して、安易に「幸せだ」と評するのは、無神経な言い方なのかもしれない。
・とはいえ、子供は、つまるところ、自分を理解しない人間に育てられる宿命を担っている。 このことは逆方向から見れば、大人が子供を育てることは、理解を絶した者に語りかける徒労の過程だということで、どっちにしても大切なのは理解しているかどうかではなくて、コミュニケーションを試みているかどうかなのだ。
・振り返ってみれば、私の世代の子供も、大人たちから 「おまえたちは恵まれている」 という呪いの言葉を折にふれて投げかけられたものだった。 たしかに、私たちは、一世代前の彼らの多くが味わったような餓えや貧困とはあまり縁がなかった。
・しかし、私自身は「恵まれている」と言われるたびに、「うっせえな、じゃああんたもう一度子供をやってみろよ」と思わずにはいられなかった。 子供はいずれ大人になる。が、大人は二度と子供に戻ることができない とすれば、両者の間で交わされている会話は、30年後にならないと意味が伝わらない。 むずかしいものだ。 話がズレてしまった。
・私が訴えたかった話の要点はこうだ。 昭和の時代の正月のあのどうにもならない停滞と無縁でいられる点に限っていえば、私は現代の子供たちの楽しそうな姿をうらやましく思っている。が、一方で、子供として生まれた者が、退屈といういわく言い難い時間を通過しないことが、果たして人間の生育過程として正しい経過なのだろうかという疑問を抱いてもいる、と、そういうことだ。
・私は、意地の悪い気持ちで、21世紀の子供たちに退屈を味わってほしいと思っているのではない。ただ、退屈に苦しむ膨大な時間を経験せずに育った子供が、きちんとした大人になれるものなのかどうかについて、確信のある答えを見出すことができずにいるということにすぎない。
・冒頭で紹介した日経新聞の記事の末尾は、「従業員が集まらなければ店は開けない。だが店を休めば売り上げは減る。経営者が解くべき方程式の変数は増え、一段と難しくなる。」 という文言で締めくくられている。 さすがに日経新聞の記事らしく、徹頭徹尾、経営側の目線で書かれている点が興味深い。
・記者は、従業員の疲労や顧客の利便よりもなによりも、売り上げと人員確保のダブルバインドに悩む店主の気持ちに焦点を当てている。 このもっぱら経営サイドオンリーの角度から事態を見渡す発想は、「プレミアムフライデー」を展開している経団連の中の人たちが、月末の金曜日に何時間か早く退社するというこの運動を、「労働時間の削減」や「従業員の休息時間の確保」という側面ではなく、「レジャー消費の増大」を第一の狙いに掲げる文脈でアピールしていることと、一脈通じる話だと思う。
・つまり、「経済」をマクロで見ている人たちは、「休日」を、「消費機会」ないしは「日常の消費とは別の新たな市場」として定義しているわけで、個々のミクロの労働者の「休息のための時間」として見る見方は、あんまりしていないということだ。 《月曜午前休で「ラグジュアリーマンデー」 自民ナイトエコノミー議連が提言》 というタイトルで配信されているこの記事も、同じ発想を共有している。
・「ラグジュアリーマンデー」なる新語の語感や「自民ナイトエコノミー議連」という紫ネオン看板じみた議連名のあまりといえばあまりな面妖さはともかくとして、大切なポイントは、この新しい休暇プランを推進している政治家たちもまた、労働者の休息を促しているのではなくて、むしろ、休日の労働者を消費に向かって駆り立てるアイディアを熱心に語っている。彼らは、「市場」なり「需要」を「創出」しようとしている。その意味では、むしろ「休むな」と言っている。正確には「寝るな。部屋を出ろ。もっと遊べ」ぐらいだろうか。
・つい昨日、安倍晋三首相が講演の中で語ったと言われている 「インスタ映えが地方活性化の鍵(こちら)」 だという言葉も、同じ文脈に連なっている気がする。 「SNS映え街道風景を増やしていきたいと思います」 という首相の言葉が、現実問題としてその街道を含む地域の経済を活性化させるものなのかどうかは、私にはよくわからない。
・ただ、首相が日本の各地域の景色を、フォトジェニックな方向に洗練しようと、本気でそう画策しているのだとしたら、その考えはいささかピントが外れていると思う。 というよりも、「写真に撮った時に魅力ある画像としてシェアできるように風景を改造する」試みは、そもそも本末転倒だと申し上げたい。
・当たり前の話だが、景色のために生活があるのではない。 人々が生活している空間を一定のアングルで切り取った結果が「景色」というタグ付きで写真に収められる。で、そのうちの特別に印象的な一枚を人々が「インスタ映え」と呼んでいる、と、そういうお話に過ぎない。
・まず最初に前提としてあるのは、地域に特有な地形と風土であり、そのうえに人々の生活と四季の移り変わりがあってはじめて「景色」が発生する。この順序は動かない。景色すなわちインスタ写真とは、煎じ詰めれば、地域の自然と人々の生活が作用してできあがった有機的な造形を、撮影者のインスピレーションが、特定の画角と焦点距離と被写界深度等の条件のもとにフレームの中に固定した結果なのであって、インスタ写真としての完成度を洗練するために太陽がのぼっているのでもなければ人々が歩いているのでもない。
・とすれば、絵に描いた餅を家族の夕食に供する家計運営が幻想であり、グラビアモデルの写真パネルと結婚式を挙げることが滑稽であるのと同じ理路において、インスタ映えを追い求めることで国民の生活の向上を達成しようとしている人間のアタマの中に入っている味噌が腐っていることは明白だと申し上げざるを得ない。
・20代の頃頻繁に行き来していた友人にF井という男がいる。 F井はとにかく活動的な男で、仕事でも遊びでもいつもスケジュールをガチガチに詰めて暮らしている若者だった。 私は、対照的に、休息が必要な性質だった。 遊びでも仕事でも、根を詰めて取り組むと、その後に必ず揺り戻しが来るからだ。なんというのか、8連勤で働いたら3日ぐらいは寝て過ごしたいし、二泊三日でスキーに行ったら、帰京して3日は家にこもらないと疲れが取れない体質だったということだ。
・ある時、そのF井に 「おまえはそんなに忙しく暮らしていて、いつ疲れをとるんだ?」 と尋ねたことがある。 この時の彼の答えがなかなかの名言で、私はその言葉をいまでも覚えている。「仕事の疲れは遊びの疲れで取るんだよ」 と彼は言った。 「っていうか、仕事の疲れはただ休んでたって取れないだろ? 思いっきり遊んではじめて仕事の疲れが消えるんだと思わないか?」 なるほど。
・ストレスの発散という意味では、確かに彼の言うことには一理ある。 私自身にも、そういう部分がなかったわけではない。 実際、あるタイプのストレスは、ただ寝転がっていれば消えるというものではない。 とはいえ、私が仕事の疲れを遊びの疲れで癒していたのは、ごく若い時代の限られた期間の話で、ある程度年齢が行ってからは、仕事の疲れには仕事用の休息が、遊びの疲れには遊び専用の不活発時間が必要な仕様になった。
・これは仕方のないことだ。 誰であれ、永遠に子供でいることはできない。 いずれ、永遠に休息することになるのだとして、その永遠の眠りに先立つ何年かの期間は、活動時間よりも休息時間の方が長い種類の人間として暮らすのが自然で、私はそういう人間になりつつある。
・さて、「仕事の疲れを遊びの疲れで取る」タイプの人間は、実は、日本のビジネス社会のコアの部分を支えている人々でもある。 だからこそ、「プレミアムフライデー」みたいなプランを企画立案するお役人や経団連企業のメンバーたちは、休日の時間を「消費」の時間と考える枠組から決して外に出ない。
・彼らは、労働者が支出もせずに休息することを、「停滞」と見て、たぶん憎んでいる。 でなくても、人間を経済学上の統計の一単位としてしか見ない一派の人々は、生産と消費のいずれにも従事していない人間(すなわち休息している人間)に対しては、軽い殺意を抱いている。 とはいえ、私たちは働かないからという理由で死ぬわけにはいかない。 休日に遊ばないからという理由でゴミ扱いを受けたいとも思っていない。
・なぜというに、20代の若者はいざしらず、大人の疲れは、遊びなんかでは取れないからだ。 休みは、停滞だ。 だからこそ、一部の人々はそれを恐れている。 開いているはずの店がシャッターを降ろし、生産が停滞し、バスが運休し、商品が流通せず、人々が歩きまわらないのが休みの本来の姿で、だから、休日は、不活発で暗く不便で退屈でなければいけない。そうでなければ、人々は本当に休むことができない。
・逆に言えば、休日に消費を促そうとする運動は、休日を休日でなくそうとする試みなのだ。あるいは、ハレの経済とは別にケの経済(注)を立ち上げようとする(逆かもしれない)試みが、レジャー産業だということなのかもしれない。
(注)ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケ(褻)は普段の生活である「日常」を表している(Wikipedia)
・いずれにせよ、日常的な平日の産業とは別に、オルタナティブな産業活動を設定して、そこで経済をまわそうとする発想は、個人的には卑しいと思う。
・結論を述べる。 大人の疲れは、停滞と不活発によってしか癒やされない。もっと言えば、大人になった人間は退屈という過程を通じてでないと疲れから解放されることができない。 とすれば、レジャー消費などという選択肢はもってのほかだ。
・もちろん、若い人の場合は、話が違うのだろうとは思う。 そういう人たちは遊べば良い。 ただ、君たちも永遠に刺激を求めることはできないし、好奇心を満たし続けることもできない。 いずれ、必ず、退屈を求めるようになる。 というのも、大人というのは、退屈と和解した人間を指す言葉だからだ。 ん? そりゃ老人だ、と? そうかもしれない。 退屈な文章で、申し訳なかった。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/122100124/

小田嶋氏が指摘する 『年末年始のもたらす空白と虚脱は、一人遊びのゲーム端末が発明されていなかった時代の子供にとっては、ちょっとした苦行だった』、というのは思い出してみれば、確かにそうだった。 『子供はいずれ大人になる。が、大人は二度と子供に戻ることができない とすれば、両者の間で交わされている会話は、30年後にならないと意味が伝わらない。むずかしいものだ』、との指摘もなかなか興味深い。 『このもっぱら経営サイドオンリーの角度から事態を見渡す発想は、「プレミアムフライデー」を展開している経団連の中の人たちが、月末の金曜日に何時間か早く退社するというこの運動を、「労働時間の削減」や「従業員の休息時間の確保」という側面ではなく、「レジャー消費の増大」を第一の狙いに掲げる文脈でアピールしていることと、一脈通じる話だと思う』、『「自民ナイトエコノミー議連」・・・この新しい休暇プランを推進している政治家たちもまた、労働者の休息を促しているのではなくて、むしろ、休日の労働者を消費に向かって駆り立てるアイディアを熱心に語っている。彼らは、「市場」なり「需要」を「創出」しようとしている。その意味では、むしろ「休むな」と言っている。正確には「寝るな。部屋を出ろ。もっと遊べ」ぐらいだろうか』、などの鋭い指摘は私が気付かなかった視点を示してくれた。 『景色すなわちインスタ写真とは、煎じ詰めれば、地域の自然と人々の生活が作用してできあがった有機的な造形を、撮影者のインスピレーションが、特定の画角と焦点距離と被写界深度等の条件のもとにフレームの中に固定した結果なのであって、インスタ写真としての完成度を洗練するために太陽がのぼっているのでもなければ人々が歩いているのでもない・・・インスタ映えを追い求めることで国民の生活の向上を達成しようとしている人間のアタマの中に入っている味噌が腐っていることは明白だと申し上げざるを得ない』、との安倍首相へのイヤミも、言われてみればその通りだ。 『「仕事の疲れを遊びの疲れで取る」タイプの人間は、実は、日本のビジネス社会のコアの部分を支えている人々でもある。 だからこそ、「プレミアムフライデー」みたいなプランを企画立案するお役人や経団連企業のメンバーたちは、休日の時間を「消費」の時間と考える枠組から決して外に出ない。 彼らは、労働者が支出もせずに休息することを、「停滞」と見て、たぶん憎んでいる。 でなくても、人間を経済学上の統計の一単位としてしか見ない一派の人々は、生産と消費のいずれにも従事していない人間(すなわち休息している人間)に対しては、軽い殺意を抱いている』、との指摘も出色の出来だ。新年も小田嶋氏のコラムが楽しみだ。
良いお年を!
タグ:小田嶋隆 日経ビジネスオンライン アベノミクス 安倍晋三首相 (その24)「働き方改革」10(小田嶋氏の見解) 「汝、退屈を憎むなかれ」 来年のお正月は、久しぶりに、休業する店舗のシャッターが目立つ、静かな三が日をわれわれにもたらすことになるかもしれない 今度の正月は、年中無休24時間営業という、この30年ほど当たり前になっていたトレンドが、折り返し点を迎える最初の正月になる雲行きだ 日本経済新聞の電子版 「さらば年中無休 年末年始、大戸屋や携帯ショップ休業」 私の世代の人間が子供だった時代、正月は、総じて退屈な季節だった 1970年代の終わり頃までは、東京の正月は、冴えない季節だった 商店街と言わずデパートと言わず、商店という商店が軒並みシャッターを降ろしているこの時期の東京の街路は、文字通り、人通りの絶えるゴーストタウンだったからだ 昭和中期の子供たちは、冬休みが終わるまでの正月の間、まるまる家の中に閉じこもって暮らすことを半ば強いられていた 21世紀の便利で快適でビビッドで娯楽満載な正月を過ごすことのできる現代の子供たちは、ずっと幸せだと思う 大人たちから 「おまえたちは恵まれている」 という呪いの言葉を折にふれて投げかけられたものだった 子供はいずれ大人になる。が、大人は二度と子供に戻ることができない とすれば、両者の間で交わされている会話は、30年後にならないと意味が伝わらない。 むずかしいものだ 従業員が集まらなければ店は開けない。だが店を休めば売り上げは減る。経営者が解くべき方程式の変数は増え、一段と難しくなる 日経新聞の記事らしく、徹頭徹尾、経営側の目線で書かれている点が興味深い このもっぱら経営サイドオンリーの角度から事態を見渡す発想は、「プレミアムフライデー」を展開している経団連の中の人たちが、月末の金曜日に何時間か早く退社するというこの運動を、「労働時間の削減」や「従業員の休息時間の確保」という側面ではなく、「レジャー消費の増大」を第一の狙いに掲げる文脈でアピールしていることと、一脈通じる話 月曜午前休で「ラグジュアリーマンデー」 自民ナイトエコノミー議連が提言 この新しい休暇プランを推進している政治家たちもまた、労働者の休息を促しているのではなくて、むしろ、休日の労働者を消費に向かって駆り立てるアイディアを熱心に語っている 彼らは、「市場」なり「需要」を「創出」しようとしている。その意味では、むしろ「休むな」と言っている。正確には「寝るな。部屋を出ろ。もっと遊べ」ぐらいだろうか 「インスタ映えが地方活性化の鍵(こちら)」 「SNS映え街道風景を増やしていきたいと思います」 景色のために生活があるのではない 人々が生活している空間を一定のアングルで切り取った結果が「景色」というタグ付きで写真に収められる。で、そのうちの特別に印象的な一枚を人々が「インスタ映え」と呼んでいる、と、そういうお話に過ぎない 地域に特有な地形と風土であり、そのうえに人々の生活と四季の移り変わりがあってはじめて「景色」が発生する。この順序は動かない 地域の自然と人々の生活が作用してできあがった有機的な造形を、撮影者のインスピレーションが、特定の画角と焦点距離と被写界深度等の条件のもとにフレームの中に固定した結果なのであって、インスタ写真としての完成度を洗練するために太陽がのぼっているのでもなければ人々が歩いているのでもない インスタ映えを追い求めることで国民の生活の向上を達成しようとしている人間のアタマの中に入っている味噌が腐っていることは明白だ 「仕事の疲れは遊びの疲れで取るんだよ」 「仕事の疲れを遊びの疲れで取る」タイプの人間は、実は、日本のビジネス社会のコアの部分を支えている人々でもある だからこそ、「プレミアムフライデー」みたいなプランを企画立案するお役人や経団連企業のメンバーたちは、休日の時間を「消費」の時間と考える枠組から決して外に出ない 彼らは、労働者が支出もせずに休息することを、「停滞」と見て、たぶん憎んでいる。 でなくても、人間を経済学上の統計の一単位としてしか見ない一派の人々は、生産と消費のいずれにも従事していない人間(すなわち休息している人間)に対しては、軽い殺意を抱いている 大人の疲れは、遊びなんかでは取れないからだ 休日は、不活発で暗く不便で退屈でなければいけない。そうでなければ、人々は本当に休むことができない 休日に消費を促そうとする運動は、休日を休日でなくそうとする試みなのだ 大人の疲れは、停滞と不活発によってしか癒やされない。もっと言えば、大人になった人間は退屈という過程を通じてでないと疲れから解放されることができない。 とすれば、レジャー消費などという選択肢はもってのほかだ 若い人の場合は、話が違うのだろうとは思う。 そういう人たちは遊べば良い 大人というのは、退屈と和解した人間を指す言葉だからだ。 ん? そりゃ老人だ、と? そうかもしれない
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アベノミクス(その23)「働き方改革」9(副業解禁:会社員の「副業願望」を軽く見てはいけない ついに厚労省も容認に動き出す、「副業解禁」を一括りに論じてはいけない理由 生活補助と小遣い稼ぎでは意味が全然違う、不適切な経団連会長の「副業否定」 会社外の収入制限して忠誠心得るのは無理筋) [経済政策]

アベノミクス(その23)「働き方改革」については、8月8日に取上げた。今日は、「働き方改革」9(副業解禁:会社員の「副業願望」を軽く見てはいけない ついに厚労省も容認に動き出す、「副業解禁」を一括りに論じてはいけない理由 生活補助と小遣い稼ぎでは意味が全然違う、不適切な経団連会長の「副業否定」 会社外の収入制限して忠誠心得るのは無理筋)である。

先ずは、株式会社セレブレイン社長の高城 幸司氏が11月27日付け東洋経済オンラインに寄稿した「会社員の「副業願望」を軽く見てはいけない ついに厚労省も容認に動き出す」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽今後、副業や兼業を認める企業は増えていく
・ついに副業・兼業を活用した働き方が加速する時代になるのでしょうか。朝日新聞の記事によると、厚生労働省が副業・兼業をしやすくするため、企業が就業規則をつくる際の参考として示している「モデル就業規則」を見直す方針を固めたとのこと。
・そもそも、常時10人以上の社員がいる会社は労働基準法の規定により「就業規則」を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に届け出なければなりません。そこで例示されているのがモデル就業規則ですが、「許可なく他の会社等の業務に従事しない」との項目を削り、 +勤務時間外に他の会社等の業務に従事できる といった内容に差し替える案を示しました。
・モデル就業規則に法的拘束力はありませんが、これを参考に就業規則を作成する会社は多く、モデルの改定で副業や兼業を認める企業が増えることが予想されます。こうした見直しを喜ぶ声は会社というよりは、働く社員たちから聞くことができます。
・筆者が取材した、大企業に勤務している若手社員は、「友人が立ち上げたベンチャーの手伝いを正式にできるのでうれしい」 と語ってくれました。実は以前から会社には内緒で手伝いはやっていたようです。普段は経理部で仕事をしていますが、友人の会社は立ち上げたばかりで経理に精通した人材が不在。社員を1名雇うくらいの仕事はないものの、会社運営で支障をきたす状態になっていました。そこで週に3~4時間くらい友人の会社を訪問して、経理業務の手伝いをしていました。ただ、その仕事に対して報酬はもらっていませんでした。会社にばれることを恐れていたからです。
・最初は気軽にボランティア感覚であったかもしれませんが、週に3~4時間を別の会社で仕事するとなれば責任もありますので、それなりの対価を求めたくなるのが当たり前。その気持ちをどのように処理するのか?悩んでいたタイミングに兼業・副業が容認されそうなニュースを聞いたのです。自分の会社が早く、就業規則を変えることを心待ちにしていることでしょう。
・このように、副業・兼業はやりたくてもできないのが実情でした。その理由は会社が許さないから。中小企業庁による全国調査でも約85%の企業が副業や兼業を認めていません。ただし、会社が就業規則等で、社員の副業を全面的に禁止することは、法律上許されていません。社員は、会社との雇用契約によって定められた勤務時間にのみ労務に服するのが原則であり、就業時間以外は社員おのおのが私生活で自由に使うことができる時間だからです。勤務時間以外は自由であり、副業・兼業も問題ないはず。
・ところが就業規則で巧みに「やってはいけない」ように縛りが設けられていることで、認められていないと認識されてしまうのです。その縛りとは本業に影響があるとか、会社に著しい損害を及ぼす可能性がある仕事はダメとするといったことです。この縛りの解釈で大抵の人は兼業・副業することは避けようと考えてしまうわけです。まさに自由に働くことに対する岩盤規制が行われていたのです。これでは、副業が広がりようがないのは明らか。取材していても、副業・兼業をして有意義な時間を過ごしている人は例外的な存在。ないしは、就業規則を守らないで働く内緒の行為でしかありませんでした。
▽若手社員で兼業・副業の関心が高まっている
・でも、大企業の社員を中心に状況が変わりつつあるようです。毎日新聞の調査によると、兼業・副業を認めない企業に魅力を感じない正社員が過半数とのこと。 さらに取材していくと、若手社員で兼業・副業の関心が急激に高まっていることがわかってきました。たとえば、取材した専門商社に勤めるSさん(27歳)は社会人経験を通じてマーケティングのノウハウをそれなりに備えています。Sさんの会社は兼業・副業を容認しており、これまで申請する社員は少なかったものの、Sさんは会社に申請をして地方の食品メーカーで新商品の販売支援をすることにしました。
・どうして申請をしたのか?理由は3つありました。1つ目が環境の変化。職場は働き方改革を進めており、残業が限りなくゼロに近い状態。兼業・副業する時間を確保しやすくなったのです。そして、2つ目は将来のために役立つと思ったから。現在の若手社員は定年まで同じ会社で働き続けるとは思っていません。兼業・副業で(社会で)自分がどのような位置づけにいるのかを、把握したいのです。そして、3つ目は人に感謝されたいという願望を満たしたいから。普段の職場では当たり前のことをしても、副業では周囲から「これはすばらしい」と称えられるような体験になることがあります。
・3つの理由のうち、働き方改革の影響は特に大きいといえそうです。CCCの調査によると各企業において残業は相当に減ってきているようです。最も多かった回答は「残業がない」が24.9%、続いて「5時間未満」が20.2%。全体でみると毎月の残業時間が20時間未満であるとの回答が実に7割にも及ぶのです。
・若手社員からすれば、勤務している会社で働くだけでは物足りない、何か新しいことに挑戦したいと考える環境にあるといえるのかもしれません(若手だけではないかもしれませんが)。
▽新たな人材の流動化
・こうした状況に対応して、企業は兼業・副業の解禁を決断する方向に舵を切るべきではないでしょうか?長時間労働をしてただ収入を増やすという生き方もあるでしょうが、兼業・副業をすることで人生を豊かにする意義を感じることができるという面は非常に大きいと考えます。
・未曾有の採用難という状況下、会社は若手社員が辞めないように、職場環境の見直しに取り組まざるをえない時代になってきました。こうした中、兼業・副業を認める会社は今後増えていくに違いない……と筆者は考えます。
・ならば、兼業・副業をしたい人材を会社が有効活用してビジネスを展開することを考えてみるのはどうでしょうか?たとえば、正社員では採用が難しいといわれる職種で副業・兼業の人材を活用するのです。販売支援や経営企画など、人材紹介会社に依頼しても紹介はゼロで頭を痛めている会社はたくさんあります。ならば、その足りない人材を兼業・副業を希望する人で補うのです。
・すでに「スポットコンサル」という名称で兼業・副業をしたい人材を多数登録して紹介する専門会社が何社も登場しています。就業規則の見直しをする会社が増えて、兼業・副業をしたい人材が増えることで、新たな人材の流動化が生まれて、今までにない会社の成長につながることを期待しましょう。
http://toyokeizai.net/articles/-/198650

次に、 社会保険労務士/CFPの榊 裕葵氏が12月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「副業解禁」を一括りに論じてはいけない理由 生活補助と小遣い稼ぎでは意味が全然違う」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・副業解禁――。 厚生労働省は11月20日、企業が就業規則を制定する際の公的なひな型として影響力を持つ「モデル就業規則」について、副業を認める内容に改正する案を有識者検討会に提示した。今年度内にも副業・兼業が公的に事実上、解禁される見通しになってきた。 これに対して、世論は、「多様な働き方を促しすばらしい」という声や、「副業が長時間労働の温床となり過労死促進につながる」といった意見もあり、賛否両論だ。
▽副業には5つのタイプがある
・私は、社会保険労務士としてこれまでも副業に関してもさまざまな相談を受けてきたが、副業を行う理由は人それぞれであるのに、肯定するにせよ否定するにせよ、「副業解禁」と一言で括ってしまうから、問題の本質が見えなくなってしまっている面もあると感じている。 私なりの分類であるが、副業には5つのタイプがある。「生活苦型」「小遣い稼ぎ型」「やりたいこと型」「本業スキルアップ型」「起業・転職準備型」である。
・1つの副業が複数のタイプに重なることもあるが、それぞれのタイプによって労働者のスタンスや企業側の対応、注意点、法的な支援などは変わってくる。
(1)生活苦型副業
・「生活苦型副業」は、本業の賃金が少なすぎて生活に必要な収入が得られず、やむをえず副業を行っているというタイプの副業である。本業の仕事を持ちつつ、早朝や深夜にコンビニや飲食店で勤務をするというようなイメージだ。 ただ、本業でフルタイム勤務しているにもかかわらず生活が苦しいという職場は違法状態になっているケースも考えられる。
・「罰金制度のために手取りが極端に少なくなってしまう」「フルコミッション制で保障給がない」「基本給が低いうえに残業代も支払われない(サービス残業が横行している)」などはすべて違法である。 上記のような場合は、労働基準監督署への通報とそれに基づく指導によって改善される可能性はある。本来受け取れるべき賃金が正しく支払われるようになれば、望まない副業をやめて心身を休めたり、家族との時間を過ごすことができるようになったりするかもしれない。
・ただ、合法的に賃金が支払われても、地方ではまだまだ最低賃金が低く、法律どおり賃金が支払われても生活が苦しいという現状がある。 たとえば沖縄県の場合、最低賃金は737円である。1日8時間、月20日働いても総支給額で11万7920円にしかならない。ここから社会保険料や税金を天引きしたら、手取りは10万円程度である。 1人暮らしなら辛うじて何とかなるかもしれないが、家族を扶養している場合はダブルワークをしなければ厳しいと言わざるをえない。
・では法改正をして最低賃金を一気に引き上げれば良いのかというと、事業主側の経営体力の問題もあるので、そう簡単にはいかないだろう。 その他にも、「会社の業績不振で大幅に収入が下がったので、住宅ローンや子の学費のために副業をしている」とか、「フリーターをしているが、まとまったシフトに入れないので、複数のバイト先を掛け持ちしなければならず、副業というよりもどこが本業か分からない」など、私が見聞きした限りでも、さまざまな背景による生活苦型副業があるようだ。
▽社員が違法な副業を行っていないか
(2)小遣い稼ぎ型副業
・「小遣い稼ぎ型副業」は、本業で生活に必要な収入は得られているが、余暇や趣味に使うプラスアルファのおカネ、あるいは資産形成などを目指して、自分のペースで行う副業である。具体的には、アフィリエイト、本の「せどり」、ネットワークビジネスなどが代表例である。
・基本的に本人が好きでやっていることなので、本人自身が苦になることはないだろうが、企業側には注意点がある。それは、就業規則の整備だ。 社員が業務時間外に何をやっても原則自由だが、インターネット上には怪しげなビジネスも少なくない。社員が法に触れるような副業に手を出したり、法に触れるとまでは言わずとも、同僚に対してネットワークビジネスの勧誘を行ったりして社内秩序を乱すというトラブルもしばしば発生している。
・また、2012年には京都府警の警部補がインターネット上でアダルトサイトを運営していたことが発覚し、減給処分を受けたが、本人の依願退職で幕引きとなったという事件も発生している。本人はこのサイトから約750万円の副収入を得ていたということだ。公務員は副業が禁止されているので妥当な処分だが、民間企業であっても、このようなケースは会社の信用や品位に傷を付けかねず、発覚した場合は懲戒の対象となりうる。
・企業側としては、就業規則で違法な副業や会社の信頼を失墜させる副業を行うことの禁止を明示して注意喚起するとともに、社内でネットワークビジネスの勧誘等も禁止しておく必要があるかもしれない。 もちろん就業規則に書くだけでは周知徹底されないし、知らず知らずのうちに違法な副業に手を出してしまうこともありうる。社員研修を行ってマルチなど違法な副業の例を具体的に説明するとか、社員が行っている副業の内容を会社に報告させたりすることは会社の人事権の範囲だ。
・「小遣い稼ぎ型副業」に限ったことではないが、副業を就業規則で届出制にして、社員が違法な副業を行っていないか常時チェックをしていくことも必要であろう。
(3)やりたいこと型副業
・「やりたいこと型副業」は、「生きがい」「やりがい」といった、社会貢献や自己実現に重きを置くタイプの副業である。話すことが好きなのでセミナー講師をするとか、英語が得意なのでクラウドソーシングで翻訳の仕事を引き受けるといったような形の副業が挙げられる。また、町内会の祭りの事務局をすることや、地域の子供たちのスポーツチームの監督を引き受けることなども、無償であったとしても、一種の副業としてここに含まれるであろう。
・これも本人はやりたくてやっているものの、企業側には留意点がある。休日出勤や残業などの強要だ。 本業をないがしろにして副業にのめり込んでいる場合は別だが、本業と副業を一生懸命両立させようとしている社員の腰を折ると、大幅にモチベーションが下がったり、場合によっては会社に恨みを持ったりする。
・逆に、社員が安心して好きな副業に取り組める会社のほうが、本業のほうでも社員はモチベーションや責任感が高まるようである。 現に私の知人が経営する会社でも副業をしている社員がいるが、本人は「明日は(副業があって)残業できないので、前倒して、必ず今日の定時までにこの仕事は完成させます」など、計画的に主体性を持って仕事を進めてくれている。これまで副業が原因で本業に問題が発生したことは無いと聞いている。
・一昔前なら「仕事が優先だろ!」の一言で片付いたのかもしれないが、今のご時世、休日出勤や残業をしない社員を無責任だという前に、突発的に休日出勤命令や残業命令を出すような会社のマネジメントにこそ問題があるケースもある。
(4)本業スキルアップ型副業
・「本業スキルアップ型副業」は、本業のスキルアップを目指して行う副業である。たとえば、法務部の社員が友人の開設した弁護士事務所で法律事務を手伝うとか、IT系の仕事をしている社員が他社での仕事を通じてプログラミングスキルの幅を広げるとか、副業で頑張ったことが本業に生かされる。
・具体的な実例で言えば、副業をいちはやく解禁したことで有名になったロート製薬では、エンドユーザーの声を聞いて本業のヒントにつなげたいと、ドラックストアでの副業希望者が多かったということだ。 副業先の希望で最も多いのはドラッグストアだった。研究開発やマーケティングの部門に所属し、薬剤師の資格を持つ社員が「お客さんの生の声を聞きたい」と希望しているという(2016/6/14 日本経済新聞)。
・このように、企業側と労働者側の利害関係が一致しているので、副業の中ではトラブルが発生することは少ない。一方で、企業側としては就業規則等で最低限のルールやガイドラインを明確化しておくことが必要になるだろう。
・たとえば、ロート製薬では、「希望する副業内容を上司を通さずに直接人事部に申告し、人事部の面談を経て認められれば始められる。競合企業を利するような仕事でない限りは、厳密な審査はしない(2016/6/14 日本経済新聞)」という基準を設けているということだ。 いくら本業のスキルアップにつながるとはいえ、副業先の会社や自己が営む副業ビジネスが本業と競合になるようなことがあってはならないし、本業の守秘義務は守らなければならない。
▽「どっち付かず」で中途半端
(5)起業・転職準備型副業
・「起業・転職準備型副業」は、将来は起業や転職を目指しているが、その準備段階としての副業である。ネットショップを開設して、ある程度の規模に成長したら会社を退職するとか、終業後や週末だけベンチャー企業の仕事を手伝って、納得がいけばそのベンチャーに飛び込む、といったような事例が挙げられる。 会社にとっても本人にとっても、ダラダラとこの状態が長く続くのは望ましくない。
・確かに、独立するにしても一定の準備期間は必要である。しかし、会社としては、目の前の仕事をきちんとこなしてくれれば問題はないにしても、いつ独立するかわからない社員に対しては、要職を任せたり、コストをかけて教育研修を行ったりすることなどにも二の足を踏んでしまう。本人にとっても「どっち付かず」で中途半端になってしまう可能性がある。 長くても1~2年で結論を出すのが会社にとっても本人にとっても良いことなのではないだろうか。
・5つのタイプそれぞれに事情は違う。企業側としては自社の社員がどのような目的で副業を行っている、あるいは行おうとしているのかを把握し、社風にあった副業支援制度の導入や労務管理を行う必要があるだろう。政府にも実態に即した法制度の整備を求めたい。
http://toyokeizai.net/articles/-/199264

第三に、経済評論家の山崎元氏が12月28日付けZAKZAKに寄稿した「【経済快説】不適切な経団連会長の「副業否定」 会社外の収入制限して忠誠心得るのは無理筋」を紹介しよう。
・おやおや、これはどうしたことなのだろうか。経団連の榊原定征会長が、会社員の副業・兼業に否定的な発言をしたことに対してそう思った。  榊原氏は18日の記者会見で、会社員が副業・兼業をすることについて、「経団連としては旗振り役をする立場にはない」と述べ、さまざまな課題があるとして推奨できないという考えを明らかにした。
・彼の言い分をもう少し詳しく聞くと、「副業・兼業は社員の能力開発というポジティブな側面もあるが、一方で、パフォーマンスの低下や情報漏洩(ろうえい)のリスク、両方を合わせた総労働時間の管理の仕方など課題が多い」と述べておられる。
・一方、政府は、今年3月に示した働き方改革実行計画に、副業・兼業など柔軟な働き方の普及を盛り込み、厚生労働省は、企業は原則として、副業・兼業を認める方向とすることが適当だとしたガイドライン案を示した。 経団連会長の立場で政府の方向性に異を唱えるのだから、榊原氏は相当の確信を持つ副業・兼業への反対者なのだろう。
・副業・兼業で本業のパフォーマンスが低下する可能性は確かにある。しかし、社員本人に対する評価や管理(コミュニケーション)をマネジャーが適切に行うなら、会社にとって大きな問題にはなるまい。労務管理についても同様だ。
・もちろん、副業・兼業を行う社員本人に、第一義的な責任と選択権があるはずだが、会社側もこれに対して適切なマネジメントを行う必要がある。 情報漏洩は、副業や兼業をしていなくても起こり得る。榊原氏の出身母体である東レの子会社で品質管理の不正が明るみに出たのは、副業や兼業をしている社員からだったのだろうかと勘繰りたくもなるが、もちろん悪いのは会社の方だろう。
・ところで、この問題について、榊原氏は、経団連としての経営者の引責の模範解答をまだ示していない。この方は、「知らなかったのなら、経営者は悪くない」で済ませるつもりなのだろうか。 会社以外の収入源を持つ社員にあって、副業や兼業を持つと会社に対する忠誠心が低下する可能性はあろう。しかし、これも会社が適切に管理すべき問題だ。会社外の収入や立場を制限し、社員を会社に従わせるのは無理筋で、無能な経営者の考えそうなことだ。
・一方、榊原氏も、副業・兼業が社員の能力開発に役立つことを認めておられる。政府が検討中の「人生100年時代」への対応策としても、社員の副業・兼業は、能力開発に加えて、セカンド・キャリアへの、リスクが小さくスムーズな移行を可能にする面がある。 会社も社員も、副業・兼業を積極的に認めて、活用すべきだ。榊原氏の発言は大変残念だった。
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/171228/eco1712280007-n1.html

第一の記事で、 『会社が就業規則等で、社員の副業を全面的に禁止することは、法律上許されていません。社員は、会社との雇用契約によって定められた勤務時間にのみ労務に服するのが原則であり、就業時間以外は社員おのおのが私生活で自由に使うことができる時間だからです。勤務時間以外は自由であり、副業・兼業も問題ないはず』、『モデル就業規則ですが、「許可なく他の会社等の業務に従事しない」との項目を削り、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できる といった内容に差し替える案を示しました』、『会社は若手社員が辞めないように、職場環境の見直しに取り組まざるをえない時代になってきました。こうした中、兼業・副業を認める会社は今後増えていくに違いない……と筆者は考えます』、などの指摘からも、副業解禁は徐々に進む方向にありそうだ。
第二の記事で、『副業には5つのタイプがある・・・「生活苦型」「小遣い稼ぎ型」「やりたいこと型」「本業スキルアップ型」「起業・転職準備型」である』、『5つのタイプそれぞれに事情は違う。企業側としては自社の社員がどのような目的で副業を行っている、あるいは行おうとしているのかを把握し、社風にあった副業支援制度の導入や労務管理を行う必要があるだろう。政府にも実態に即した法制度の整備を求めたい』、という指摘は説得力がある。
第三の記事で、『経団連会長の立場で政府の方向性に異を唱えるのだから、榊原氏は相当の確信を持つ副業・兼業への反対者なのだろう』、というのには驚いた。『会社外の収入や立場を制限し、社員を会社に従わせるのは無理筋で、無能な経営者の考えそうなことだ』、とまで山崎氏から批判されるのも当然だ。ただ、厚労省のもっていき方もやや強引だったのかも知れない。厚労省VS経団連の珍しい争いは、どう決着するのだろうか。
タグ:東洋経済オンライン 山崎元 ZAKZAK 高城 幸司 アベノミクス 榊 裕葵 (その23)「働き方改革」9(副業解禁:会社員の「副業願望」を軽く見てはいけない ついに厚労省も容認に動き出す、「副業解禁」を一括りに論じてはいけない理由 生活補助と小遣い稼ぎでは意味が全然違う、不適切な経団連会長の「副業否定」 会社外の収入制限して忠誠心得るのは無理筋) 「会社員の「副業願望」を軽く見てはいけない ついに厚労省も容認に動き出す」 厚生労働省が副業・兼業をしやすくするため、企業が就業規則をつくる際の参考として示している「モデル就業規則」を見直す方針を固めた 常時10人以上の社員がいる会社 労働基準法の規定により「就業規則」を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない モデル就業規則 「許可なく他の会社等の業務に従事しない」との項目を削り、 +勤務時間外に他の会社等の業務に従事できる といった内容に差し替える案 見直しを喜ぶ声は会社というよりは、働く社員たちから聞くことができます 副業・兼業はやりたくてもできないのが実情でした。その理由は会社が許さないから 約85%の企業が副業や兼業を認めていません 会社が就業規則等で、社員の副業を全面的に禁止することは、法律上許されていません。社員は、会社との雇用契約によって定められた勤務時間にのみ労務に服するのが原則であり、就業時間以外は社員おのおのが私生活で自由に使うことができる時間だからです。勤務時間以外は自由であり、副業・兼業も問題ないはず 就業規則で巧みに「やってはいけない」ように縛りが設けられている 本業に影響があるとか、会社に著しい損害を及ぼす可能性がある仕事はダメとする 若手社員で兼業・副業の関心が高まっている 新たな人材の流動化 「「副業解禁」を一括りに論じてはいけない理由 生活補助と小遣い稼ぎでは意味が全然違う」 副業解禁 副業には5つのタイプがある 「生活苦型」「小遣い稼ぎ型」「やりたいこと型」「本業スキルアップ型」「起業・転職準備型」 5つのタイプそれぞれに事情は違う。企業側としては自社の社員がどのような目的で副業を行っている、あるいは行おうとしているのかを把握し、社風にあった副業支援制度の導入や労務管理を行う必要があるだろう。政府にも実態に即した法制度の整備を求めたい 「【経済快説】不適切な経団連会長の「副業否定」 会社外の収入制限して忠誠心得るのは無理筋」 経団連の榊原定征会長 「経団連としては旗振り役をする立場にはない」と述べ、さまざまな課題があるとして推奨できないという考えを明らかにした 経団連会長の立場で政府の方向性に異を唱えるのだから、榊原氏は相当の確信を持つ副業・兼業への反対者なのだろう 会社外の収入や立場を制限し、社員を会社に従わせるのは無理筋で、無能な経営者の考えそうなことだ
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ハラスメント(セクハラ・パワハラ・アカハラ)(その2)(小田嶋氏の見方) [社会]

一昨日に続いて、ハラスメント(セクハラ・パワハラ・アカハラ)(その2)(小田嶋氏の見方)を取上げよう。

コラムニストの小田嶋 隆氏が12月15日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「沈黙を破る人々、破らせない人々」を紹介しよう。
・アメリカのニュース雑誌、「タイム(TIME)」が毎年発表している「パーソン・オブ・ザ・イヤー」が先日発表され、今年(2017年)の「顔」には、”Silence Breakers”(沈黙を破った女性たち)が選ばれた(参考記事はこちら)。 ちょっとわかりにくいニュースだ。 どういうことなのだろう。
・リンク先の記事を読むと、例年、「今年の顔」には、その年に活躍したり話題になったりした特定の個人が選ばれているこの賞に、今年は、不特定かつ複数の「人々」が選ばれたということであるようだ。 なるほど。 概要はわかったが、なんだか釈然としない。
・今回のようなケースは異例でもあれば、異質でもある。いくぶん異様ですらある。 異例だからなのか、異様だからなのか、それとも日本の読者にとってわかりにくい記事だからなのか、例年は、各メディアに好意的に紹介されることの多いこの「タイム」誌の「今年の顔」のニュースが、今年は、これまでのところ、さほど熱心に紹介されていない。
・おそらく、わかりやすい「絵」としての「顔」を持たない「今年の顔」は、ニュースデスクとしても扱いに困るということだったのだろう。 私個人は、このニュースを通して、二つの意外な印象を持った。 一つ目の驚きは、伝えられているようなあからさまなセクハラが、いまのいままで明らかにされていなかった事実に対してのもので、もうひとつは、告発が始まってから「me too」(←私も)と言いつつ名乗り出た告発者の数が思いのほか多かったことへの驚きだ。
・いずれも、アメリカ社会が、私の予断よりもずっと閉鎖的かつ抑圧的だったことを物語っている。  私がなんとなく抱いている印象では、アメリカは、セクハラ告発の先進国で、公民権運動以前の20世紀の半ば以前はいざしらず、少なくとも21世紀にはいって以降の現在の米国は、女性の社会進出が果たされ、彼女たちの権益がしっかりと守られている、平等で進歩的な社会だということになっていた。
・であるからして、私は、アメリカでは、無神経な男がうっかり女性のカラダに触れれば、その人間は即座に告発指弾され、謝罪・賠償を求められるのであろうと半ば自動的にそう決めてかかっていた。また、地位や権力を背景としたカタチで、相手に性的なサービスや屈従を迫る人間は、必ずや社会的生命を失うものなのであろうと思いこんでもいた。
・ところが、今回の一連のセクハラ告発事案に関する記事を一から読み直してみてあらためて驚いたのだが、最初に告発の対象となったハリウッドの大物プロデューサー(ハーベイ・ワインスタイン氏)は、何十年にもわたって、何十人ものさまざまな立場の女性に対して、極めて露骨な性的強要を繰り返していた。しかも、最初の告発が記事になるまでの間、まったく無事で、誰にも告発されず、とがめられず、平然の日常業務のように日々のセクハラを繰り返してきたことになっている。
・このことは、セクハラの直接の被害者となったあまたの女優さんやモデルさんたちが、様々な性的接触や下品な性的ほのめかしを甘受し、忍耐し、あるいはその場でははねつけることができたにしても告発についてはついに沈黙を守っていたばかりでなく、周囲にいたスタッフや同僚が、名だたる映画監督や俳優や脚本家を含めて、一様に見て見ぬふりをし続けていた事実を物語っている。なんとあきれた話ではないか。
・このほか、有名なオスカー俳優や、人気テレビシリーズの主演俳優が、それぞれの立場で、女性や少年たちのような立場の弱い相手に対して、かなり露骨な性的サービスを強要し、あるいはいやがらせを繰り返していたが、このたびの話題に関連して、順次告発されている。
・地位と権力とカネと名声のすべてを備え持っているかに見えるハリウッドのセレブ女優たちにしてからが、長きにわたって、屈辱に耐え、被害を言い出すことができずにいたこと、それらのセクハラ行為を見過ごしていた周囲の脚本家や映画監督や俳優たちの対応、オープンでフェアで自由だと私が子供の頃からそう思い込んでいたアメリカのイメージの源泉、憧れのハリウッドは、実になんというのか、権力ずくのジジイにひれ伏すチキン揃いの楼閣だったのだ。
・私の予断では、ハリウッド女優というのは、こっちが偶然視線を合わせただけで 「どこ見てんのよこのスケベが」 ってな調子の罵声を浴びせてくるヒクイドリみたいな人たちで、なればこそ彼女たちの美貌には億単位の値札が付けられているのであろうと、少なくとも私はそう信じていた。 それが、アブラぎったジジイの毛むくじゃらの手のひらをはねつけることすらできない世界だった、ということなのか?
・もっとも、ハリウッドは、「セクシー」という現象を商売のネタの一つにしている場所ではあるわけで、だとすれば、人がセクシーな存在であることそのものを商品化する装置であるハリウッドの制作過程の中に、セックスそれ自体を自己目的化してしまう人物が紛れ込むことは、そんなに意外なことではない。
・そういう意味で、ワインスタイン氏ならびに続々と告発されているハリウッド人種たちが、セックスに関連する不祥事で道を踏み外している現状は、洗練されたアートの形式として暴力をリング内に封じ込めることに成功したボクシングの世界に時々現れる不心得者が、はかったようにリング外の暴力で逮捕されるのとよく似たなりゆきなのかもしれない。
・それにつけても私にとって意外だったのは、”me too”というセリフとともに、告発の口火を切るアメリカ人がぞろぞろと現れたことだ。 他人に追随したり、尻馬に乗ったり、真似をしたり、誰かの発議や行動を盾に、その後ろに隠れて行動したり発言したりすることは、アメリカの人間にとっては恥に属するやりざまなのであって、彼らは、あらゆる言動を、他人に先んじて、自らの独自の判断で、独立独歩の気概で、毅然としてあえて始めることを好む人々であるのだろうと、勝手に決めつけて尊敬していた私の気持ちは、だから、行き場を失っている。いや、というより、「アメリカも尻馬に乗らないと告発ができない社会だった」ということに驚いているのだろうか。
・「同調的な日本人と独立自尊のアメリカ人」という、私が決め事のように自分の中に秘めていたストーリー自体が、結局のところ、私が自分をごまかすために採用していたまやかしだった可能性はある。 どこの国の人間であれ、チキンはチキンだし自由人は自由人だという、それだけの話でもある。
・トランプ大統領に関してもセクハラ告発のニュースが流れてきている(こちら)。 この動きがトランプ大統領の足元を揺さぶることになるのかどうかはまだよくわからない。 ある専門家は、「トランプはいまセクハラどころじゃない」という言い方で、この問題を論評している。 つまり、トランプ氏にとってセクハラがどれほど深刻な問題になるのかはともかくとして、いま現在の状況について言うなら、セクハラなんかよりもずっと深刻な危機に直面している、ということらしい。
・心腹の大患を前に、疥癬を気に病んでも仕方がないってなことなのだろう。 アメリカ社会が、これほどまでにセクハラが蔓延し、なおかつ隠蔽され、さらに、告発すら他人の尻馬に乗ってでないと言い出しにくい社会であったことに、このたび、私が失望感を抱いたことは事実だが、その一方で、いったん告発がはじまると行くところまで行く感じの極端な振れ幅には、やはり魅力を感じる。
・告発記事の演出がなんだか大げさでハリウッドくさいことも含めて、この国は、どっちにしても芝居がかっているのだなあと、あらためて感じ入った次第だ。 ひるがえってわが国の現状をかえりみるに、おそらく、うちの国の映画制作現場や政治の裏舞台は、アメリカの同じ分野がそうであるほどあからさまにパワハラやセクハラが横行しがちな場所ではない…ような気がする。
・どちらの現場も、私は現実に見たわけでもないし取材したわけでもないのだからして、断定的なことは言えないわけなのだが、両国民の国民性から類推するに、竹を割ったような彼の国のセクハラに比べて、わが朝のセクハラが、より穏当で、隠微かつ曖昧でもあれば陰湿微妙な力加減で展開されるのであろうことは、おそらく間違いのないところだろう。 でもって、その繊細微妙な日本のセクハラは、米国のセクハラ以上に告発されにくい。
・それは、うちの国の男性社会がより強固だからというよりは、わが国の女性の立場がより脆弱だからで、なんというのか、ネチネチした男がウジウジした心持ちで粛々と展開するのがわれわれのセクハラで、被害者もまた思い悩んだりしつつもなかなか告発には至らない、のではなかろうか。 もちろんエビデンスはない。 私がそう思っているというだけだ。
・最後に、何回か前の当欄(こちら)で触れた伊藤詩織さんへのレイプ疑惑に関する話題をもう一度蒸し返しておく。 私自身は、この事件は「セクハラ」という言葉の範囲におさまる話ではないと考えている。 それゆえ、アメリカでのセクハラ報道の徹底ぶりに比べて、わが国におけるこの事件の扱いの瑣末さに不満を感じてもいる。 今回のテキストは、もともとは、その私の不満に基づくものだ。
・アメリカでいま巻き起こっているセクハラ騒動は、たしかに、奇妙な騒ぎだと思う。 が、私たちの国のメディアは、その奇妙な騒動の手前にさえ到達していない。 結果としてバランスを欠いた記事になってしまうのであれ、奇妙な形式の告発に結びつくのであれ、恣意的な基準に陥る危険性は否めないのであれ、とにかく記者が自分自身の直感で「おかしい」と感じたことを、署名入りで率直に記事にする点において、私はアメリカのメディアの健全さを感じる。
・日本のメディアは、いまなお記者個人の個性を発揮できていないように感じる。 私のような感想文を書くだけのコラムニストとは別に、自分の名前と足で取材できるジャーナリストの皆さんの奮起に期待したいと思っている。
・伊藤詩織さんがその著書の中で主張している通りに、山口敬之氏が、昏睡状態にあった彼女に性行為を強要したのかどうかは、私にはわからない。 私は、この件について、断定できる立場の人間ではない。 法律の建前からすれば、当件については、推定無罪が適用されなければならないとも考えている。 とはいえ、両者の間に性行為があったことを両者がともに認めていることは事実であり、その一方の当事者である伊藤詩織さんの側は、当該の性行為が合意に基づくものではなかった旨を主張していることも事実だ。
・一方、山口氏は、雑誌の記事などを読む限り、合意の有無について明言していない。 週刊新潮が掲載した記事によれば、ホテルに向かうタクシーの運転手や二人が宿泊したホテルの従業員の証言から、その日、伊藤詩織さんが「意に反して」「引きずられるようにして」部屋に入ったことが語られている。 逮捕状が一度は出され、その逮捕状の執行が直前になって取り消されたことも、当事者の証言によって明らかになっている。
・どういう事情があって、逮捕状が執行停止になったのはわからない。 が、どんな背景があったのであれ、妻子ある立場のはるかに年齢が上の人間である山口氏が、就職相談に訪れた若い女性と性行為に及んだ時点で、少なくともジャーナリストとしての倫理的な責任は免れ得ないところだろう。 今回もオチはありません。 事件が落着するべきところに落着することをお祈りする気持ちをお伝えすることで、オチに変えたい所存です。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/121400123/

小田嶋氏が、『アメリカ社会が、私の予断よりもずっと閉鎖的かつ抑圧的だったことを物語っている』、と驚いたようだが、私も同様だ。 『地位と権力とカネと名声のすべてを備え持っているかに見えるハリウッドのセレブ女優たちにしてからが、長きにわたって、屈辱に耐え、被害を言い出すことができずにいたこと、それらのセクハラ行為を見過ごしていた周囲の脚本家や映画監督や俳優たちの対応、オープンでフェアで自由だと私が子供の頃からそう思い込んでいたアメリカのイメージの源泉、憧れのハリウッドは、実になんというのか、権力ずくのジジイにひれ伏すチキン揃いの楼閣だったのだ』、 『他人に追随したり、尻馬に乗ったり、真似をしたり、誰かの発議や行動を盾に、その後ろに隠れて行動したり発言したりすることは、アメリカの人間にとっては恥に属するやりざまなのであって、彼らは、あらゆる言動を、他人に先んじて、自らの独自の判断で、独立独歩の気概で、毅然としてあえて始めることを好む人々であるのだろうと、勝手に決めつけて尊敬していた私の気持ちは、だから、行き場を失っている。いや、というより、「アメリカも尻馬に乗らないと告発ができない社会だった」ということに驚いているのだろうか』、なども私が感じていたことを代弁してくれているようだ。 『記者が自分自身の直感で「おかしい」と感じたことを、署名入りで率直に記事にする点において、私はアメリカのメディアの健全さを感じる。日本のメディアは、いまなお記者個人の個性を発揮できていないように感じる』、として、伊藤詩織さん事件の日本のメディアの黙殺を批判している。私もこのブログで幾度となく取上げたように、黙殺の背後に、山口氏と親しい安倍首相への「忖度」が働いているのかも知れない。やれやれ・・・。
タグ:ハラスメント 日経ビジネスオンライン (その2)(小田嶋氏の見方) 小田嶋 隆 (セクハラ・パワハラ・アカハラ) 「沈黙を破る人々、破らせない人々」 タイム(TIME) パーソン・オブ・ザ・イヤー ”Silence Breakers” 二つの意外な印象 一つ目の驚きは、伝えられているようなあからさまなセクハラが、いまのいままで明らかにされていなかった事実に対してのもので もうひとつは、告発が始まってから「me too」(←私も)と言いつつ名乗り出た告発者の数が思いのほか多かったことへの驚きだ アメリカ社会が、私の予断よりもずっと閉鎖的かつ抑圧的だったことを物語っている 私がなんとなく抱いている印象では、アメリカは、セクハラ告発の先進国で、公民権運動以前の20世紀の半ば以前はいざしらず、少なくとも21世紀にはいって以降の現在の米国は、女性の社会進出が果たされ、彼女たちの権益がしっかりと守られている、平等で進歩的な社会だということになっていた。 セクハラの直接の被害者となったあまたの女優さんやモデルさんたちが、様々な性的接触や下品な性的ほのめかしを甘受し、忍耐し、あるいはその場でははねつけることができたにしても告発についてはついに沈黙を守っていたばかりでなく、周囲にいたスタッフや同僚が、名だたる映画監督や俳優や脚本家を含めて、一様に見て見ぬふりをし続けていた事実を物語っている。なんとあきれた話ではないか 地位と権力とカネと名声のすべてを備え持っているかに見えるハリウッドのセレブ女優たちにしてからが、長きにわたって、屈辱に耐え、被害を言い出すことができずにいたこと、それらのセクハラ行為を見過ごしていた周囲の脚本家や映画監督や俳優たちの対応、オープンでフェアで自由だと私が子供の頃からそう思い込んでいたアメリカのイメージの源泉、憧れのハリウッドは、実になんというのか、権力ずくのジジイにひれ伏すチキン揃いの楼閣だったのだ 私にとって意外だったのは、”me too”というセリフとともに、告発の口火を切るアメリカ人がぞろぞろと現れたことだ 他人に追随したり、尻馬に乗ったり、真似をしたり、誰かの発議や行動を盾に、その後ろに隠れて行動したり発言したりすることは、アメリカの人間にとっては恥に属するやりざまなのであって、彼らは、あらゆる言動を、他人に先んじて、自らの独自の判断で、独立独歩の気概で、毅然としてあえて始めることを好む人々であるのだろうと、勝手に決めつけて尊敬していた私の気持ちは、だから、行き場を失っている。いや、というより、「アメリカも尻馬に乗らないと告発ができない社会だった」ということに驚いているのだろうか 同調的な日本人と独立自尊のアメリカ人 どこの国の人間であれ、チキンはチキンだし自由人は自由人だという、それだけの話でもある 竹を割ったような彼の国のセクハラに比べて、わが朝のセクハラが、より穏当で、隠微かつ曖昧でもあれば陰湿微妙な力加減で展開されるのであろうことは、おそらく間違いのないところだろう その繊細微妙な日本のセクハラは、米国のセクハラ以上に告発されにくい 伊藤詩織さんへのレイプ疑惑 わが国におけるこの事件の扱いの瑣末さに不満を感じてもいる 記者が自分自身の直感で「おかしい」と感じたことを、署名入りで率直に記事にする点において、私はアメリカのメディアの健全さを感じる 日本のメディアは、いまなお記者個人の個性を発揮できていないように感じる 逮捕状が執行停止 事件が落着するべきところに落着することをお祈りする気持ちをお伝えすることで、オチに変えたい所存です 黙殺の背後に、山口氏と親しい安倍首相への「忖度」
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本日はパソコンの調子が悪いので、更新を休みます。明日にご期待を!

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ハラスメント(セクハラ・パワハラ・アカハラ)(怒るのはサムイ?卑劣なハラスメントに女子が声を上げられない理由、学生に暴行で停職 「科学界のインディ」の酒癖とパワハラ、下ネタギャグで笑いをとるオジさんの共通点 ご本人が思いもしないセクハラ被害を生むワケ) [社会]

今日は、ハラスメント(セクハラ・パワハラ・アカハラ)(怒るのはサムイ?卑劣なハラスメントに女子が声を上げられない理由、学生に暴行で停職 「科学界のインディ」の酒癖とパワハラ、下ネタギャグで笑いをとるオジさんの共通点 ご本人が思いもしないセクハラ被害を生むワケ)を取上げよう。

先ずは、ジャーナリストの中野 円佳氏が9月26日付け現代ビジネスに寄稿した「怒るのはサムイ?卑劣なハラスメントに女子が声を上げられない理由 「自分が悪いかも」という刷り込み」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽触られるだけでもありがたいと思え
・仕事をしに来ているはずの職場で、美しさや家庭的な側面を求められ、その方向に進めなければ、いじられる。時代錯誤のハラスメントが蔓延する日本の職場。どうして女性たちは声を上げないのだろうか。
・3回目の記事で書いたアキラさん(20代)の場合、このようなふるまいを求められていたと感じるのは社会人になってからに限らない。話は大学時代までさかのぼる。 「学生の時からそうだったんですよ。1~2年の時は男の子みたいな扱いされていて……まぁアキラは男だからみたいかな感じで言われて、化粧したりスカート履いたりすると笑われるみたいな。先輩たちから、そういうこと言われて怒ったり悲しんだりするのは大人じゃないとかサムイって言われて」
・「3~4年になってから女としては扱われるようになったんですけど、何をしてもいい女の子、何をしても気にしない子みたいなかんじになっちゃって。ある男の先輩が胸とかお尻とかを触ってきて『ほんとやめてください』とか言うと、怒るのがお前サムイぞみたいなこと言われました」「触られるだけでありがたいと思えみたいな感じ。こういうときにアハハって笑って受け流すのがいい女だぞ、って思ってるんですよね、そういう人たちは」
・どこの昭和のセクハラオヤジかと思うが、これはたかが3~4年前の話。相手の男性も当時大学生だ。このような中で、アキラさんは可愛げのある女の子路線に進む同期などを横目に、「コイツには何言ってもいい系女子」路線に突き進む。
・「正直、こっちのほうが向いているというか。楽かなって思ってしまっていた部分があるかもしれないですね。女として努力すればするほど笑われちゃう、勝ててないって思われるんじゃないかっていうのがあって。大学1~2年の時の経験から、私ブスな子なんだっていうのが自分の中にしみついてるんですよ」
・取材を始める前、「コイツには何言ってもいい系女子」はむしろアイドル扱いされる女の子たちのように男に媚びるまいと“名誉男性”的なふるまいに走っていて、それにより仲間に入れてもらえるなどのメリットも享受しているのではないかと考えていた。 しかし、アキラさんは「どうなんだろうな。3分の1は他の女の子といるよりも気が楽と言われることもあったので、それはそれで嬉しかったですけど、3分の2はやっぱり嫌でした」と語る。
▽自分のせい?
・「ハラスメントは受け手の感じ方次第」というセクハラに対する認識も、かえって被害者の声を上げにくくしているかもしれない。私が実施したハラスメント認識調査でも、何人もの女性から「自分は気にしないが、後輩の女性がされたこととして相談を受けたらどうかという視点で見るとまた変わってくる」という回答が寄せられた。
・厚生労働省の基準では被害者の主観を重視しつつも、一定程度の客観性が必要とされており、牟田和恵氏は『部長、その恋愛はセクハラです!』の中で主に男性に対して「まったく客観性もないのに、相手の変な受け止め方のせいでセクハラにされてしまうという心配は不要」と述べている。
・しかし、牟田氏も、実際は真っ黒なセクハラは少なく、女性が相手を配慮してやんわり事をおさめようとする態度や、場合によっては喜んでいるように見せるなどの相互関係の中で複雑に起こるグレーゾーンが大半だとしている。
・コンサル会社に勤めるマリナさん(仮名、30代前半)は、新卒で入社後、スーツを着ていても「顔の作りのせいで化粧が濃く見られがち」であるためか、「元キャバ嬢」「今も夜の副業してるんでしょ」などと言われた。それと前後して「自分から世間知らずキャラ、おばかキャラをして媚びを売っていた面はある」と言い、「コイツには何言ってもいい」状態は次第にエスカレートしていく。
・「人の3倍くらい怒られたり、わからないところを質問すると本を投げつけられたり、外見のこともよく言われて、自分のことが大嫌いになりました……」。黒くて長かった髪は短くするなど工夫はしたが、それでも外見について言われることが多く「整形しようかとシミュレーションしてもらった」「女だからこんなに目立ってしまうのであれば、男になりたい」と思い詰めるようになった。
・入社9ヵ月で眠れなくなり、どうやって笑顔を作るのかわからなくなった。今日こそ休もうと毎日思いながら、ようやく病院にいったときのこと。医師に「過労だから休むように」「薬で持たせても、2~3ヵ月後にあなた電車に飛び込みますよ」と言われ休職することになった。
・しかし、休職時の窓口になった人事担当には、「また戻ってチャラチャラやりたいわけ?」「暇だから余計なこと考えたくなるんだよ」などと言われることあった。ただでさえ自分にも悪いところがあったかもしれないと弱っているところに、追い打ちをかけるように責められる――。
・痴漢や強姦などの性犯罪でもよく引き合いに出される「被害者側にも隙があったのでは」という論理。ハラスメントの場合は、定義の曖昧さと発生するメカニズムの複雑さによって、当事者もセクハラと言えるのかどうかわからないことが多い。 状況と受け手にもよるという認識は被害者を救うこともあるだろうが、一方で「自分の態度が悪かったのではないか」「そんなことで不快に感じるなんて自意識過剰なんじゃないか」といった疑念が上司や人事、そして時に被害者本人の自問として浮かび上がってきてしまうことがある。
▽声を上げず、離職する女性たち
・職場で声を上げた女性の前例を見て、口をつぐむケースもある。チナツさん(仮名、30代前半)は最近まで働いていた大手マスコミで、飲み会で手を握られる、妻子持ちの先輩に迫られる、上司に「どこが感じるの」などと聞かれる……など数々のハラスメントを経験したというが、表立って声を上げなかった理由について次のように語る。
・「入社したての頃、ちょうど4つくらい先輩の女性たちがセクハラを訴えたのが話題になっていたのですが、どちらかというと女性のほうが騒ぎ過ぎみたいな噂の回りかたになっていて。そういう風に擦り込まれていたので、先輩に相談しただけで、部長や人事には言いませんでした。訴えた女性の先輩たちについては、直接知り合う前に『あの人はヒステリックな人』と色々な男性の先輩から聞いていたので、かなり先入観が入ってしまいましたね」
・新卒の若者を採用し、“白紙”の状態から教育していくのが良しとされてきた日本企業。若手女性のいる前で、先輩女性のふるまいについてつべこべ言うことは、「お前はそのようになるなよ」という暗黙的なメッセージになる。勇気を出して声を上げたところで、加害者に対しては大したお咎めなく、声を上げた側が非難されるような噂を流すような環境が、女性を沈黙させる。
・結局、声を上げずに、静かに女性たちは会社に失望し、職場に幻滅し、仕事を辞めていく。その実態は、決して「ダイバーシティ推進」を掲げる上層部には届かない。 チナツさんが辞めた会社では、女性が転職や留学などで会社を辞めるときですら、表向きは「寿退社」ということにされたという。そうすれば、上司は自分にはどうにもできなかったということにできるからだ。結婚の予定がない場合、「転職先のベンチャー企業の社長の愛人らしい」と噂を流された女性もいる。
・チナツさんは「結婚を考えている人は確かにいましたけど、結婚くらいで会社辞めるような覚悟で仕事してないのにそういうことにされて。そのときにもう本当にこの会社辞めることにしてよかったと思いましたよね」と憤る。
・ここ数年で、改善してきたM字カーブ。しかし、企業ごとに見れば転職者等も含め「女は結婚、出産、配偶者の転勤で辞めやすい」という認識はいまだにある。表向きはライフイベントを理由にしつつも、本当の退職理由は、職場の中、そして社会にすら根深く埋め込まれているのではないか。待機児童対策、育休等の両立支援策、働き方改革――どれも必要ではあるが、根底に流れる女性蔑視やハラスメントへの認識を広めることも重要だ。
・いじられることを苦痛に覚えている男性は、ライフイベントを表立った理由にしたかったとしてもできず、もっと声を上げていないのかもしれない。きちんと声を上げる手段があり、それが組織で適切に受け止められ、改善される環境があること、それが難しければ旧態依然とした雰囲気の会社から逃れても働ける様々な選択肢は男女ともにあることが望まれる。
*中野円佳さん「『コイツには何言ってもいい系女子』が密かに我が身を切り刻んでいる件」シリーズバックナンバーはこちら
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52968

次に、11/月10日付け日刊ゲンダイ「学生に暴行で停職 「科学界のインディ」の酒癖とパワハラ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・生物学者として知られる広島大の長沼毅教授(56)が学生に暴行し、ケガをさせたして傷害罪で起訴され、今月1日に東広島簡裁から罰金30万円の略式命令を受けていた一件。 長沼教授は微生物の研究で世界各地を飛び回ることから、「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれ、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」をはじめ、テレビ番組に多数出演する有名人だけに、ネット住民も大騒ぎしている。
・関係者によると、長沼教授は今年3月、硫黄島での研究室の実習中、停泊中の船内のトイレで20代の指導学生と口論になった。長沼教授は足払いをかけて学生を転倒させると、馬乗りになって首を絞め、「死ね」と言って顔につばを吐きかけたという。長沼教授は高校時代に柔道部で主将を務めた“猛者”で、暴行時には酒を飲んでいたというから、相当な恐怖だったはずだ。学生は腰の骨を折るなど、全治3週間のケガを負った。 学生は鹿児島中央署に被害届を提出。4月に学生から大学に相談があり、同大は7月、諭旨免職に次ぐ停職6カ月の懲戒処分とした。
▽ホームページで「酒好き」を自称
・長沼教授は昨年11~12月にかけても、この学生を「クビにするぞ」などと何度も叱責。研究室のミーティングでは、他の指導学生に対しても「このバカ」とか「研究室から出ていけ」などと、暴言を繰り返していたという。
・「教授は異議申し立てもせず、内容についても認め、処分を受け入れています。本人は『高いレベルを求めた結果、それに応えられない学生に対し、感情的になってしまった。被害者とその家族に対しては深く反省している』と話していて、謝罪もしています。これまで酒にまつわるトラブルや、学生からの苦情はありませんでした」(同大広報グループ)
・もっとも、本人のHPには「酒ビン片手に南極・北極から火山、砂漠、深海・地底など、地球の辺境を放浪する吟遊科学者」とあるぐらいで、「酒好き」を自称していた。ネット上には広島大OBとおぼしき、<いつかやりかねないと思っていた><酒癖もいいとは言えないレベル>なんて書き込みも。
・「長沼教授の講義は、科学や生物学が苦手な人でも分かりやすいと評判でした。34歳の時、宇宙飛行士の採用試験を受けて最終選考で不合格になるなど経歴もユニークで、イケメンでしゃべりもうまく、頭の回転も速い。一時は『ポスト林修(注)』として名前が挙がったこともあります」(テレビ局関係者) これですべてがパーだ。
(注)予備校講師、タレント、東進ハイスクールのテレビコマーシャル「いつやるか? 今でしょ!」が話題。(Wikipedia))
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/217416/1

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が12月19日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「下ネタギャグで笑いをとるオジさんの共通点 ご本人が思いもしないセクハラ被害を生むワケ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今回は「飲み会とセクハラ」について、アレコレ考えてみる。 ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑報道を皮切りに、連日連夜、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本で、「んったく…」とうんざりするほどセクハラ報道が続いている。 いや、曝露、と言った方が正確かもしれない。
・#me too のもと、これまで表沙汰にならなかった“事件”が次々と報告されているのだ。 先月末には、英労働党元職員の女性がハリウッド女優らによる相次ぐ告発に「勇気が出た」と、自らも党幹部によるセクハラ被害にあったことを告白……、 ファロン国防相は、女性ジャーナリストのひざを触った疑惑で12月1日に辞任 グリーン筆頭国務相は、運動員へのセクハラとパソコンにポルノ画像が保存されているとの疑惑が浮上したが本人は否定  ウェールズ自治政府のサージェント議員が相次ぐセクハラ疑惑で更迭。サージェント氏は閣僚辞任の際、「私の潔白を証明する調査を望む」とコメントし、7日に自宅で死亡しているのが見つかった。
・スウェーデンでは、政界で働く1300人以上の女性がセクハラ・性被害を連名で告発。中には、250件ほどの性暴力事件もあり、地元警察も動き出した。 また、米国ではトランプ大統領にセクハラされたと訴える女性3人が、連邦議会に調査を請求。 トランプ氏は否定しているが、 飛行機の中で女性の胸をつかみ、手をスカートの中に入れようとした 同意なしにキスをした と、女性たちは主張している。
・日本ではワイドショーのネタ化しているけど… 日本は日本で「なにやってんだか…」と、これまた呆れるような報道が相次いでいる。 立憲民主党の青山雅幸衆議院議員のセクハラ疑惑  初鹿明博衆院議員の強制わいせつ疑惑  福井県あわら市の橋本達也市長のセクハラ疑惑  兵庫県川西市の本荘重弘副市長のセクハラ疑惑  岩手県岩泉町の伊達勝身町長のセクハラ疑惑  暁星国際高校硬式野球部の男性監督のセクハラ疑惑 
・単に“セクハラ”といっても、性的暴行から、身体への接触、性的な言動、「自分に気がある」という勘違いに基づく行動まで、被害は相当に広い。 被害を受けるのも、女性とは限らず、男性もいる。  行為者は映画界、メディア界、政界、スポーツ界、教育界など、至る所にいて、権力者の立場が顕著に強く、男性の多い業界ほどセクハラが横行しているのは、万国共通である。
・ただ、欧米のセクハラ問題が「男女差別」という視点から語られるのに対し、日本は「スケベなジジイ」といったワイドショー的な受け止め方が強い。あくまでも個人的な感想だが。 たとえば米国では、2017年の「今年の言葉」として「フェミニズム」が選ばれた(あのウェブスター辞典を出している「メリアム・ウェブスター」が選んでいます)。
・これは、前の年と比べて検索された件数が急上昇した言葉に対して贈られるもので、「フェミニズム」の検索件数は、2016年から70%上昇。年間を通じて検索上位だった。 まずはトランプ大統領の就任翌日、全米各地で開催されたウィメンズ・マーチで検索件数が増え、映画「ワンダーウーマン」でも注目され、ハリウッドのセクハラ疑惑と続いたことで爆発的に増えた。
・セクハラ問題が「フェミニズム」に繋がるということ自体、日本人には「???」なのだが、実は「フェミニズム」の解釈が、日本は世界と異なる。 日本での「フェミニズム」は、「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」(広辞苑)と説明され、「男女平等」の文字は見当たらない。
・一方、欧米では「性別(男女)平等」の意味が入ってるのが一般的。岩波書店に書き換えを申し入れる署名運動が広がり、2018年1月発行予定の広辞苑の改訂版で説明文を書き換えることになった。 また、昨年、日本人女性へのセクハラに関する厚生労働省(労働政策研究・研修機構が実施、「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査結果」)の調査で、全体のおよそ3分の1に相当する女性が職場でセクハラ被害に遭っていることが明らかになったときも、日本では結果が報じられただけで、男女平等に言及するメディアはなかったし、調査結果をセンセーショナルに取り上げることもなかった。
・しかしながら、数多くの海外メディアはこぞってこの問題を「男女差別」として報道。「3分の1がセクハラされたって、すごくね?」とばかりに、“Shocking Number(ショッキングな数値)”というタイトルで紹介し、「こんなに多いのは日本の女性が、差別されているからだ!」と、働く女性の男女格差を賃金や雇用形態、管理職の数字などから説明し、「日本には男性のセクハラに耐える女性が多い」といった論調で展開したのだ(「フォーチュン」)(ウォールストリート・ジャーナル)。
・セクハラ=男女差別という視点で捉えれば、ゴシップから社会問題に広がっていくだけに、日本メディアの取り上げ方は少々残念に思う。
▽仕事関係絡みのセクハラ、後を絶たず
・いずれにせよ、セクハラ問題に悩んでいる女性は相当に多い。 そのほとんどは「職場での性的な発言、執拗な食事の誘い」と「飲み会での性的な発言、おさわり」。 年齢により受け止め方は若干異なり、 20代、30代の若い女性は「会社のオジさんどうにかなりませんかっ!」という怒り、「上司(=オジさん)にセクハラされて…困っています」という困惑や恐怖を、 40代以上の女性は「下手に拒絶すると、“自意識過剰”とか思われそうだからやり過ごしているけど……キモい」と不快感を抱いている。
・特に仕事関係者の飲み会が増えるこの季節は、不愉快な思いをしつつ、「サラリと流さないと大人気ないと言われる」と、我慢しているのである。 同じように悩む男性もいて、私自身、同世代の女性が男性部下に性的な発言をしているのを何度か目撃し、「ああ、やだやだ。自分もあんな“セクハラオバさん”にならないように気をつけなきゃ」と自戒するわけだが、被害者は「女性」が圧倒的多数で、深刻度、量ともに「オジさん加害者」が大半を占める(だから無視していいと言ってるわけではなく、今回は女性問題を扱う、ということですので、あしからず)。
・「職場では真面目なのに、酒が入るとただのスケベなジジイです。大口契約取ってきた女性部下に『○○さんは色気があるから、ハニートラップで落とした』とか言うんですよ。 言われた方は笑い飛ばすしかないし、周りもとりあえず笑う。 そうすると“ウケた”って勘違いするんです。
・それで終われば、まだ許せる。でも、ウケると調子に乗る。 自慢なのか悲哀を誘っているのかわかりませんけど、自分の性的な話をして、『○○はどうしてるんだ?』とか聞いてくるんですよ。 そういうときは決まって、私のような“オバさん”に聞くから気持ち悪い。 適当に流してますけど、昔は我慢してたことでも、今は許せなくなってきてることもあるんですよね。かといって上に報告するほどでもない気がして、イヤだけど我慢するしかないんですよね。
・どうしたらああいうセクハラ発言って、なくせるんですかね」(51歳 女性) 「なんでああなるのかちっともわからないんです。私は色目を使ったわけでもないし、好意があるような態度を取ったこともない。なのになんか“勘違い”してるみたいで。食事に執拗に誘うんです。仕事上ではイヤな面は一切ありませんし、3、4人で食事に行くこともあります。でも、さすがに2人は……。
・以前は連れていってもらっていたんです。ただの上司と部下ですから。それがいけなかったのか。適当に躱してるので、やがて気付いてくれるとは思うんですけど、あんまり無碍に扱うと、左遷とかされそうで……恐いです。 でも、まだ自分はイケるって思ってるってことですよね?(笑) たぶん55くらいだと思うんですけど……絵文字付きのメールとかくるし…。バブル世代ってやっぱパワフルですね~」(33歳 女性) 前者は商社、後者はメーカーに勤務する女性だ。
▽いました、枕営業と勘違いするオヤジ
・こうやって文字にすると「たいしたことないじゃん」「大して悩んでるようにみえない」と言われそうだが、れっきとした「セクハラ」である。 つまり、セクハラの最大の問題は「これ」。 やるほうとされるほうの意識のギャップが大き過ぎるのだ。だから、いつまでたってもなくならない。
・一般的にはセクハラはダメ、女性が不快に思うことをしてはダメ、って分かっているはずなのに、下ネタで笑ってくれる人が1人でもいたら「ウケた」と勘違いし、「エッチな話は誰も傷つけない」だの「セクハラになるのは相手が若い女性だけだ」と、本気で思っているおバカさんもいる。←前者のパターン。
・「自分に気がある」と思い込むオジさんもいるけど、さらに踏み込んで「自分と個人的な関係を結びたがっている(いわゆる枕営業です)」と勘違いする権力者や社会的地位の高いオジさんは想像以上に多い。←後者のパターン。
・既に時効なんで告白するけど、食事に誘われ、断ることもできずに出かけたところ、「○○は俺と寝てくれって、札束もってきたぞ」 などと自慢げに語り(何が自慢なのかわからないけど)、足をスリスリしてくるジジイがいたし、 ただ、仕事でお世話になっているから食事に何度かお付き合いしだけなのに(2人きりではない)、「今から出てこれる? 銀座の▲△で寿司でも食べよう」と、夜中に電話してきたジジイもいた(そもそも私は寿司はNGです)。
・どちらもその業界ではいわゆる“権力者”だった。 「だったら最初から勘違いさせる行動は慎めばいい」と第三者は言うけど、当時は30代。20歳以上年上の男性、しかも“偉い人”に「ノー」とは言えなかった。なので、誰に言うこともできず、必死で忘れようと記憶の奥底に押し込み、「たいしたことじゃない。ちゃんとあしらえたんだから」と自分を納得させた。
・40過ぎてからは「なんでアンタの性的な話を聞かなきゃいけなんだよ」といった場面に出くわすことが増え、今思い返すだけで、キモい。マジでキモい。 とにもかくにも女性たちの話や私の個人的な経験から感じるのは、「オジさんたちのコミュニケーション力」の低さだ(すみません)。
・職場では、パワハラ、セクハラ、モラハラ、など、ハラハラだらけで部下とのコミュニケーションにビビっているオジさんが、自分のコンフォートゾーンである「飲み屋」に踏み入れた途端、職場でクローズしていたコミュニケーションの扉を全開する。が、何を話していいのかわからない。 そこで、つい「彼氏はいるのか?」というセクハラになりかねない発言をしてしまったり、下品なネタで笑いを取ろうとしてしまったり、カワイイ女性部下が素直に自分の話を聞いてくれると、「ん? ひょっとして……」などと“勘違い”してしまったり…。
▽結局、女子への免疫不足じゃない?
・要するに「女性社員」への免疫の低さが、セクハラにつながっているように思えてならないのである。 中にはしょーもないスケベジジイもいるのかもしれないけど、「そ、そんなつもりなかったんだけど……」とする男性側の言い分と、「ありえない」と口を揃える女性側の相談から考察すると、飲み会のセクハラの原因はオジさんの「コミュニケーション力」という仮説に行き着くのである(女性の方も同じだろ! とここで怒らないでくださいね。今回はオジサン側の話、ですので)。
・実は先の海外でも話題になった“Shocking Number”が明らかになった調査(「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査結果」)には、それを裏付ける結果が報告されている。 まず、セクハラの態様のトップ3は、 容姿や年齢、身体的特徴について話題にされた  不必要に身体を触られた  性的な話や質問をされた(性生活を聞かれた、卑猥な冗談を聞かされた)
・で、これらのセクハラの経験率と職場環境との関連を調べたところ……、【セクハラ経験者が多い職場トップ3】(多かった順) 職場の特定の人や係に仕事量が集中している  職場の特定の人しかできない業務が多い  恒常的に残業や休日出勤が多い 
・【セクハラ経験者が少ない職場トップ3】(少なかった順)  職場にはお互いを助け合おうという風土がある  職場は意見が言いやすく風通しがいい  職場のリーダーは社員間の業務分担等を良くマネジメントしている  (※「第2-3-2 表 職場の状況別セクシュアルハラスメント経験率(個人調査)」より。表現は調査から一部アレンジしています)
・ご覧の通り、常日頃からコミュニケーションが取れている職場では、セクハラが少ないことがわかったのである。 一方、互いにサポートする環境が希薄な“孤立した職場”では、セクハラが多い。
▽最初に職場の環境ありき
・こういった結果を見ると、「ストレスがたまっていて、セクハラに走るのではないか?」 とすぐにストレスを原因にする人がいるけど、私はそれはナイと思う。 イライラして不寛容になり、攻撃性が増すことはある。なのでちょっとした性的な意地悪というケースが増える可能性は否定できない。 だが、セクハラの経験が少ない職場に共通する、「日常的にコミュニケーションが成立している」ってことをもっと落とし込めば、わざわざ“セクハラになりそうな”きわどい話をしなくとも、共通の話題が存在しているってこと。そして、おそらくそういった職場では、男女差別もない。 互いに敬意を示し、ひとりひとりが能力を発揮する土壌が出来上がっているのである。
・さて、と。忘年会シーズン真っ最中。 まずは「自分の職場環境」を上記の質問でチェックし、自分がセクハラしやすい環境いるかどうか確かめてから、「とりあえずビール」してください。……ん? 最近はこれも言わないんだっけ?
・『他人をバカにしたがる男たち』 なんとおかげさまで五刷出来!あれよあれよの3万部! ジワジワ話題の「ジジイの壁」『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)
・《今週のイチ推し(アサヒ芸能)》江上剛氏 本書は日本の希望となる「ジジイ」になるにはどうすればよいか、を多くの事例を交えながら指南してくれる。組織の「ジジイ」化に悩む人は本書を読めば、目からうろこが落ちること請け合いだ。
・特に〈女をバカにする男たち〉の章は本書の白眉ではないか。「組織内で女性が活躍できないのは、男性がエンビー型嫉妬に囚われているから」と説く。これは男対女に限ったことではない。社内いじめ、ヘイトスピーチ、格差社会や貧困問題なども、多くの人がエンビー型嫉妬のワナに落ちてるからではないかと考え込んでしまった。 気軽に読めるが、学術書並みに深い内容を秘めている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/121800136/?P=1

第一の記事で、『可愛げのある女の子路線・・・「コイツには何言ってもいい系女子」路線』、というのには笑ってしまった。確かに、昔もそういった2つの路線があったようだ。 『実際は真っ黒なセクハラは少なく、女性が相手を配慮してやんわり事をおさめようとする態度や、場合によっては喜んでいるように見せるなどの相互関係の中で複雑に起こるグレーゾーンが大半だとしている』、『ハラスメントの場合は、定義の曖昧さと発生するメカニズムの複雑さによって、当事者もセクハラと言えるのかどうかわからないことが多い。状況と受け手にもよるという認識は被害者を救うこともあるだろうが、一方で「自分の態度が悪かったのではないか」「そんなことで不快に感じるなんて自意識過剰なんじゃないか」といった疑念が上司や人事、そして時に被害者本人の自問として浮かび上がってきてしまうことがある』、『結局、声を上げずに、静かに女性たちは会社に失望し、職場に幻滅し、仕事を辞めていく。その実態は、決して「ダイバーシティ推進」を掲げる上層部には届かない』、などは、この問題の複雑さを示唆している。
第二の記事で、『長沼教授は高校時代に柔道部で主将を務めた“猛者”で、・・・学生は腰の骨を折るなど、全治3週間のケガを負った』、というのは柔道家にあるまじき行為だ。しかし、教育者・研究者としては優れた人物のようなので、今回の反省を糧に教育・研究で業績を上げてくれることを期待したい。
第三の記事で、男女同権では日本のはるか先を行っている欧米でも、『#me too のもと、これまで表沙汰にならなかった“事件”が次々と報告されている』、というのには驚いた。 『ウェールズ自治政府のサージェント議員が相次ぐセクハラ疑惑で更迭。サージェント氏は閣僚辞任の際、「私の潔白を証明する調査を望む」とコメントし、7日に自宅で死亡しているのが見つかった』、という悲劇は、日本的な抗議行動を取る人間が英国にもいることを知って、驚かされた。「フェミニズム」に、『欧米では「性別(男女)平等」の意味が入ってるのが一般的』、というのは初めて知った。『飲み会のセクハラの原因はオジさんの「コミュニケーション力」という仮説に行き着くのである』、というのは、その通りなのかも知れない。 海外での調査で、『常日頃からコミュニケーションが取れている職場では、セクハラが少ないことがわかったのである。 一方、互いにサポートする環境が希薄な“孤立した職場”では、セクハラが多い』、との結果にはなるほどと納得させられた。
タグ:東進ハイスクール 日刊ゲンダイ ハラスメント 日経ビジネスオンライン 現代ビジネス 河合 薫 いつやるか? 今でしょ! M字カーブ (セクハラ・パワハラ・アカハラ) (怒るのはサムイ?卑劣なハラスメントに女子が声を上げられない理由、学生に暴行で停職 「科学界のインディ」の酒癖とパワハラ、下ネタギャグで笑いをとるオジさんの共通点 ご本人が思いもしないセクハラ被害を生むワケ) 中野 円佳 「怒るのはサムイ?卑劣なハラスメントに女子が声を上げられない理由 「自分が悪いかも」という刷り込み」 可愛げのある女の子路線 「コイツには何言ってもいい系女子」路線 「ハラスメントは受け手の感じ方次第」というセクハラに対する認識も、かえって被害者の声を上げにくくしているかもしれない 厚生労働省の基準 被害者の主観を重視しつつも、一定程度の客観性が必要とされており 実際は真っ黒なセクハラは少なく、女性が相手を配慮してやんわり事をおさめようとする態度や、場合によっては喜んでいるように見せるなどの相互関係の中で複雑に起こるグレーゾーンが大半だ 医師に「過労だから休むように」「薬で持たせても、2~3ヵ月後にあなた電車に飛び込みますよ」と言われ休職することになった 休職時の窓口になった人事担当には、「また戻ってチャラチャラやりたいわけ?」「暇だから余計なこと考えたくなるんだよ」などと言われることあった 「被害者側にも隙があったのでは」という論理 ハラスメントの場合は、定義の曖昧さと発生するメカニズムの複雑さによって、当事者もセクハラと言えるのかどうかわからないことが多い 声を上げず、離職する女性たち 結局、声を上げずに、静かに女性たちは会社に失望し、職場に幻滅し、仕事を辞めていく。その実態は、決して「ダイバーシティ推進」を掲げる上層部には届かない 「学生に暴行で停職 「科学界のインディ」の酒癖とパワハラ」 長沼毅教授 東広島簡裁から罰金30万円の略式命令 科学界のインディ・ジョーンズ 20代の指導学生と口論になった。長沼教授は足払いをかけて学生を転倒させると、馬乗りになって首を絞め、「死ね」と言って顔につばを吐きかけたという 長沼教授は高校時代に柔道部で主将を務めた“猛者” 学生は腰の骨を折るなど、全治3週間のケガを負った 同大は7月、諭旨免職に次ぐ停職6カ月の懲戒処分 ポスト林修 「下ネタギャグで笑いをとるオジさんの共通点 ご本人が思いもしないセクハラ被害を生むワケ」 ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑報道 #me too これまで表沙汰にならなかった“事件”が次々と報告 英労働党元職員の女性 ファロン国防相は、女性ジャーナリストのひざを触った疑惑で12月1日に辞任 グリーン筆頭国務相は、運動員へのセクハラとパソコンにポルノ画像が保存されているとの疑惑が浮上したが本人は否定 ウェールズ自治政府のサージェント議員が相次ぐセクハラ疑惑で更迭。サージェント氏は閣僚辞任の際、「私の潔白を証明する調査を望む」とコメントし、7日に自宅で死亡しているのが見つかった スウェーデンでは、政界で働く1300人以上の女性がセクハラ・性被害を連名で告発 トランプ大統領にセクハラされたと訴える女性3人が、連邦議会に調査を請求 立憲民主党の青山雅幸衆議院議員のセクハラ疑惑 初鹿明博衆院議員の強制わいせつ疑惑 福井県あわら市の橋本達也市長のセクハラ疑惑 権力者の立場が顕著に強く、男性の多い業界ほどセクハラが横行しているのは、万国共通 欧米のセクハラ問題が「男女差別」という視点から語られ 日本は「スケベなジジイ」といったワイドショー的な受け止め方が強い 2017年の「今年の言葉」として「フェミニズム」が選ばれた 欧米では「性別(男女)平等」の意味が入ってるのが一般的 「職場での性的な発言、執拗な食事の誘い」と「飲み会での性的な発言、おさわり」 セクハラの最大の問題は「これ」。 やるほうとされるほうの意識のギャップが大き過ぎるのだ。だから、いつまでたってもなくならない とにもかくにも女性たちの話や私の個人的な経験から感じるのは、「オジさんたちのコミュニケーション力」の低さだ 飲み会のセクハラの原因はオジさんの「コミュニケーション力」という仮説に行き着くのである 「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査結果」 常日頃からコミュニケーションが取れている職場では、セクハラが少ないことがわかったのである。 一方、互いにサポートする環境が希薄な“孤立した職場”では、セクハラが多い
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フィンテック(その3)(仮想通貨以外でも使えるブロックチェーン 食品流通や不動産 貿易など様々な分野で企業が相次ぎ採用、フィンテックはこうやって銀行業を徐々に「破壊」する、日本をスルーするフィンテック企業の本音) [金融]

フィンテックについては、9月23日に取上げた。今日は、(その3)(仮想通貨以外でも使えるブロックチェーン 食品流通や不動産 貿易など様々な分野で企業が相次ぎ採用、フィンテックはこうやって銀行業を徐々に「破壊」する、日本をスルーするフィンテック企業の本音)である。

先ずは、10月17日付け日経ビジネスオンライン「仮想通貨以外でも使えるブロックチェーン 食品流通や不動産、貿易など様々な分野で企業が相次ぎ採用」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」が、幅広い産業で使われ始めた。データの改ざんが難しく、安価にシステムを構築・運用できるのがメリットだ。金融だけでなく食品流通や不動産、貿易など様々な分野で企業が相次ぎ採用している。
・仮想通貨「ビットコイン」がバブルの様相を呈してきた。昨年までは1ビットコインあたり1000ドル未満で推移していたが、ブームの過熱とともに価格は上昇。今年6月には3000ドルの大台を突破した。足元では8月からのシステム更新を巡る分裂騒動を受けて価格が急落した。一部で取引の混乱が見込まれているが、それでも時価総額は4兆円を超える。
▽情報のブロックをチェーンでつなげる
・ビットコインをはじめ、世界的な広がりをみせる仮想通貨を支えているのが「ブロックチェーン」と呼ばれる技術だ。複数のコンピューターにデータを分散して記録するため、「分散台帳」システムとも呼ばれている。 企業が使う一般的な情報システムは、中央サーバーなどにデータを集約し、一括管理するのが主流だ。運用が容易で規模の利益が働くうえ、セキュリティーの観点からも優れているとされてきた。だがブロックチェーンは、全く違う思想で作られている。
・ブロックチェーンは、インターネットを通じて複数のコンピューターが同じデータを共有し、お互いのデータが正しいものかを常に監視し合う仕組みだ。ブロックチェーンの「ブロック」とは一定量のデータが集まった固まりのこと。データが増えていくと新しいブロックが作られ、それらが「チェーン」のようにつながっていく。
▽ブロックチェーンのメリット
・ブロックチェーンの特徴は大きく2つある。一つは「データの改ざんが難しい」こと。もう一つは「システム構築や運用にかかるコストが低い」ことだ。順番に説明していこう。
・改ざんが難しいという利点を食品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)に活用しようと取り組むのが、システム構築を手掛ける電通国際情報サービスだ。同社は今年3月、東京・六本木で開催された“朝市”で有機野菜の販売実験を実施した。 宮崎県綾町で栽培された小松菜やニンジンなど、野菜一つひとつにQRコードを付与。消費者がスマートフォンでQRコードを読み取ると、生産地や収穫の日時、農薬の使用有無などの情報を表示した。「産地だけでなく、生産の過程まで見えるから安心」と来場者の評価は上々で、市場価格の倍の値段でも野菜が飛ぶように売れたという。
▽各農家が生産情報を相互監視
・食品は安全性の面から、特に厳重な物流管理が求められる。野菜の生産者はなぜ、「情報が正しい」と胸を張って宣言できたのか。そしてなぜ、消費者はその“セールストーク”を信用したのか。ここに、ブロックチェーン技術の肝がある。 今回の実験では、生産者が野菜の植え付けや畑の除草、収穫などを行った段階で、その時のデータを書き込んだ。生育状況だけでなく土壌の状態なども、写真付きで逐次アップする。生産農家の書き込みが一定の量になると、データのブロックができる。その後インターネットを経由し、各生産者が持っているコンピューターでデータが共有される。そして、書き込まれた情報が正しいのかを全員で常に監視する。
・ブロックチェーンの仕組みでは、コンピューター同士の多数決によってデータが正しいか否かが決まる。そのためデータを改ざんしようとした場合、ネットワークでつながっているコンピューターの過半数を同時に乗っ取り、データを書き換える必要がある。ある生産者が農薬使用量を後から偽装したいと思っても、現実的には不可能だ。
▽従来の情報システム
・一方、従来の情報システムではデータを集中管理するサーバーが乗っ取られると、データの信頼性は失われる。 電通国際情報サービスの鈴木淳一氏によると、3月以降「他の野菜の産地や畜産農家からの問い合わせが増えた」という。きちんとこだわりを持って作物を育てている人にとって、ブロックチェーンは魅力的に映るようだ。
・食品流通だけではない。データの堅牢性が求められる分野と、ブロックチェーンは相性が良い。システム開発のインフォテリアは今年の株主総会で、ブロックチェーンを使った議決権行使システムを構築し、実験した。ミスや不正を防げるだけでなく、「株主総会の主催者でも投票結果を改ざんできない」(同社広報室)という。
・不動産への応用も期待されている。賃貸住宅を借りる際、物件を決めた後も金融機関による審査や重要事項の説明など、煩雑な確認作業が求められる。積水ハウスはこの問題を解決するため、ブロックチェーンを活用した賃貸住宅の情報管理システムの構築を始めた。プロジェクトを担当する上田和巳氏は「将来的には、物件の内見から鍵の受け取りまでが即日完了するような仕組みにしたい」と語る。
・ブロックチェーンの2つ目の特徴は「安さ」。巨大なサーバーでデータを管理する必要がないため、サーバー導入費や維持費が抑えられる。技術が進展すれば、システムに多額の投資をしている銀行やクレジットカード会社に、大きなメリットがあると考えられる。●ブロックチェーンを活用した主な取り組み(リンク先には表あり) 
▽送金や貿易などのコストを削減
・国内では67兆円の市場が眠る ●分野別の潜在的市場の予想(リンク先には表あり) 全国銀行協会は、各銀行が共同でブロックチェーンを使える環境を整備する方針だ。決済システムなどへの応用で金融機関の運営コストは10分の1程度まで下がるとの見方もある。コストを圧縮できれば、送金などにかかる手数料などを減らせるだろう。
・データが改ざんされる恐れがなくなると、情報の正しさを「認証」する作業も不要になりコスト削減につながる。 貿易業務でブロックチェーンを活用しようと取り組むのが、NTTデータだ。貿易では関係する機関が多く、取引に伴う情報の確認作業が雑多で複雑にならざるを得ない。しかも現時点では、紙の書類を基に確認作業をしているケースが多いという。ブロックチェーンであれば、正しさが保証されたデータが各関係機関のコンピューター上で常に更新されるため、大幅に確認の手間が減る。NTTデータの愛敬真生氏は「ブロックチェーンが応用できれば、確認作業にかかる人件費や書類送達費の削減が期待できる」と話す。
・「月額」で料金を支払うのが一般的な電気や水道も、ブロックチェーンで大きく変わる可能性を秘める。利用量に応じてその都度、リアルタイムで料金を支払う仕組みが構築できるからだ。 ITベンチャーのNayuta(福岡市)は、利用時間に応じて電気料金を課金できる電源ソケットを開発した。カフェやマンションの共用スペースでの利用を想定している。銀行口座を使って決済すると、数円の電気代以上の手数料がかかりかねない。仮想通貨が普及すれば少額決済が容易になり、新たなビジネスチャンスにつながりそうだ。
・ブロックチェーン技術は発展途上で、仮想通貨などでは法制度の整備に課題を残す。一方で、情報管理や決済などでかつてないイノベーションを起こす潜在力を秘めているのも事実だ。経済産業省は今後、流通や契約取引などの分野でブロックチェーンが使われ、国内の潜在的な市場は67兆円に達すると予測する。幅広い産業で普及が加速しそうだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/101600178/?P=1

次に、元大手行のマーケット・エコノミストで信州大学経済学部教授の真壁 昭夫氏が11月27日付け現代ビジネスに寄稿した「フィンテックはこうやって銀行業を徐々に「破壊」する 「AIで仕事がなくなる」どころじゃない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽3万人の「首切り時代」がやってきた(
・今後10年間で、3メガバンク(三菱UFJフィナンシャルグループ<FG>、三井住友FG、みずほFG)が約3万人を削減する計画と報道されている。 大手行は従業員の数を減らして固定費をカットし、収益性を高めようとしている。 その背景としては、国内の需要低迷や低金利環境が続いているため、利ザヤが確保しづらいことがある。
・確かにそれは無視できない要因だ。 だがそれに加えて、ファイナンシャルテクノロジー=フィンテック技術の進歩によって”省人化”への取り組みが進んでいることがある。 代表例が、分散型のネットワーク技術である”ブロックチェーン”だ。 新しい情報技術を活用することで、銀行だけでなく、物流や小売りなど、社会の様々な分野で従来にはなかった取り組みが進む可能性が高まっている。
▽厳しいコスト削減を求められる金融機関
・今年度上期のメガバンク決算を見ていると、政策投資目的(持合い)で保有してきた株式の売却益が収益を支えた。 一方、銀行の本業である貸し出しは減益が続いている。 地銀に関しては、金融庁から外債投資のリスク管理の厳格化を求められるなど、収益獲得は容易ではない。
・当面、国内行を取り巻く収益環境は厳しい状況が続きそうだ。 稼ぎ頭となるビジネスが見当たらない中、メガバンクだけでなく多くの銀行がコストを削減することを重視している。 そのための主な手段として注目されているのがIT技術と金融技術の融合であるフィンテックだ。
・「フィンテック」と聞くと、資産運用のアドバイスをしてくれるアプリケーションなどを思い浮かべる方が多いようだが、それはごく一部に過ぎない。 具体的に、フィンテックの威力が発揮される分野としては「バックオフィス業務」が考えられる。 資金繰りや有価証券の売買記録などに関する事務処理を行う部門だ。
・現在、バックオフィス業務では取引などの大半がマンパワー=人間による事務作業によって管理されている。 そのため、海外の銀行の中には人件費圧縮のために、バックオフィス部門を丸ごと新興国に移したケースもある。 それをシステムで代替できれば、省人化が可能だろう。
・すでに、ニューヨークではビットコインの流通を支えてきたブロックチェーンの技術を応用することで、デリバティブ市場での取引管理のテストが実施されてきた。 その事務レベルは「100%」(事務ミスがゼロ)だったそうだ。 こうした取り組みが各国の銀行業界に浸透すると、国内行も現時点で計画されている以上の構造改革を進める可能性があるだろう。
▽社会に変革をもたらすネットワーク技術の向上
・省人化に加え、銀行がフィンテックを重視する理由はもう一つある。それは、新規参入への危機感だ。 すでにITベンチャー企業が各国の大手行と協働し、国際的な資金決済システムなどの開発に取り組んでいる。 こうした動きに対応することができなければ、人間の作業に依存した既存の銀行は競争についていくことができないかもしれない。 これは、ネットワーク技術がもたらす社会的な変革の一つの例と考えられる。
・アマゾンの進出に押されて米玩具大手のトイザラスが破産法の適用を申請したのは好例と言えるだろう。 つまり、店舗がなくとも、買い物は成立してしまう時代になった。 物流の分野でも、AIを用いた自動運転技術の導入実験が進んでいる。 このようにして様々な分野で、新しい技術が産業の新陳代謝を高めている。
・将来、メーカーや小売の企業がITベンチャーと連携し、預金の受け入れ、送金、資産運用など、金融ビジネスに進出することは増えるかもしれない。 クラウドファンディングやICO(イニシャルコインオファリング、仮想通貨の発行による資金調達)など、資金調達の手段も多様化している。 銀行業界における競争は一段と激しさを増すと考えるべきだろう。
・その結果、将来的に国内銀行の業界再編が起きる可能性もある。競争に勝ち残るには、需要の創出と取り込みが必要だ。 コスト削減だけでなく、送金手数料の引き下げ、24時間体制での送金など、顧客の利便性を高めるサービスの開発が求められる。 従来にはない新しい発想を実現しようとする取り組みを進められるか否かが、今後の銀行の競争力を左右するだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53620

第三に、フリージャーナリストの海野 麻実氏が12月10日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本をスルーするフィンテック企業の本音 「シンガポールから2~3年は遅れている」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ンガポールの金融当局・シンガポール通貨監督庁(MAS)が主催する世界最大級のフィンテックに特化した見本市、フィンテック・フェスティバル。12月8日に配信した前編(日本人が知らないフィンテック大国の実像)では、インドからのスタートアップ関係者たちの熱気あふれる勢いと、なぜインドでフィンテック分野が沸騰しているのかお伝えした。
・後編では、アジアのフィンテック先進地・シンガポールで日本勢はどのような存在感を放っていたか、さらに各国からの参加者がフィンテック分野で日本にどのような期待を抱いていたかなどについてリポートしたい。
▽日本のメガバンクは、フィンテック分野で出遅れている
・フィンテックとは、金融(ファイナンス)とIT(インターネットなど情報技術)が融合した新しいビジネス業態。世界中で進みつつある動きだ。今回、フィンテック・フェスティバルに参加していた日本企業は、大手では三菱東京UFJ銀行やNECなどだ。日本のメガバンクは、フィンテック分野で出遅れているとも言われがちではあるが、三菱東京UFJ銀行は、フィンテック分野に早くから力を入れており、シンガポールにも拠点を置き、先駆的な取り組みを続けている。
・三菱東京UFJ銀行は、日立製作所と共同で開発した「ブロックチェーン」と呼ばれる仮想通貨技術を活用して、電子小切手の決済を可能とするシステムを紹介するブースを設けていた。すでに昨年からシンガポールで実証実験を始めており、低コストで迅速に決済が可能となるほか、取引記録の改ざんを防ぎ、安全性も高まると言われている。
・フィンテックのアジアにおけるハブを目指すシンガポールは、こうした実証実験の誘致にも積極的で、規制面などで優遇する「レギュラトリー・サンドボックス」(注)制度を整えている。ブースでシステムの説明をしていた担当者は、「シンガポールで実証実験を先んじて行うことで、将来的には日本でも導入できるような道筋ができれば」と話していた。
(注)レギュラトリー・サンドボックスとは、「規制の砂場」とも呼ばれ、政府が革新的な新事業を育成する際に、現行法の規制を一時的に停止する規制緩和策をいう(iFinance)
▽現金やカードなどを使わずに「顔」だけで
・さらに、生体認証のトップランナーとも評されるNECでは、顔認証技術を活用したキャッシュレス決済システムを大々的に紹介するコーナーを設けていた。事前に撮影・登録した顔画像と、店舗や食堂などに設置したカメラで撮影する顔画像を照合することで、手軽に本人確認と決済を行う画期的なシステムで、各国の参加者が実際にその場で体験利用し、そのスムーズさに驚いていた。
・実際に使わせてもらってみたが、顔認証に要する時間は非常に短く、購入する商品を選ぶとスピーディに決済が可能で、現金やカードなどを使わずに「顔」だけで商品を購入できるという利便性が今後、急速に浸透する可能性を大いに感じた。
・実はすでに、東南アジアと世界を結ぶハブ空港として5年連続で「世界一の空港」の称号を得ているシンガポールのチャンギ国際空港でも、その出入国のシステムにNECの生体認証技術を用いている。旅行者はNECが提供したパスポートと指紋を読み取らせる個人認証のシステムにより、入国管理官がスタンプを押す長蛇の列に並ばず、すみやかに出入国することが可能なのだ。
・筆者もたびたびチャンギ空港を利用するが、このシステムが導入されて以降、一度も長い列に並んだことはない。飛行機の座席を立ってから空港の外に出るまで、早ければ7~8分以内という神業も不可能ではない。シンガポールへの技術進出は、今後こうしたセキュリティやインフラのニーズが増していくほかのASEAN地域へのPRにもつながり、日本企業の存在感を示すことにもなる。
▽東京を通り越してまずシンガポールへ
・一方で、シンガポールに駐在している日本の金融関係者からは、こんな声も聞かれた。「世界のスタートアップは、軒並み東京を通り越してまずシンガポールに来る。シンガポールはすべてが早い。政府も国を挙げてフィンテック分野を後押ししているから、規制緩和も柔軟に応じるし、実証実験もしやすい。体感としては、日本はもはや2~3年くらい遅れている印象。技術大国であぐらをかいていられる時代は終わっている。言語や規制の面でも圧倒的なデメリットがあることを認識しないと、世界の優秀なスタートアップがあえて日本を選ぶ理由は少ない」
・確かに、フィンテック・フェスティバルの会場で、インドから参加していたスタートアップ関係者に「なぜ日本ではなくシンガポールを選んだか」をあえて尋ねると、笑いながら「うーん、日本。考えてもみなかったね」と返された。技術大国ではあるが、言語や規制面などからしても、東京に赴く理由が見当たらないのだという。気を使ったのか「桜は美しいですよね」と付け加えられ、こちらもあいまいに笑い返すしかなかった。
・余談だが、ランチスペースで一緒になったカザフスタン人の男性からは、名刺交換をしようとすると当然のように名刺表面に印刷されたQRコードをぐいっと示された。「これを読み取ってくれさえすればいい、日本ではメジャーじゃないのか?あれだけの技術大国なのに」と冗談交じりに言われる一幕もあった。
・確かにQRコードを名刺に入れ込んでいるケースも最近は見掛けるが、当たり前のようにコードをかざし合う光景はあまりお目にかからない。さらに、シンガポールの通信大手スターハブの社員からは、「日本ではいまだに“現金信仰”が強いですよね。クレジットカードより現金いたほうが安全だし、不安がないという理由だと聞いたことがあるけど、なぜ?」と問われた。実際に日本を旅行した際、クレジットカードが使えない店舗がいまだに多いことに驚いたともいう。
・日本は国内のマーケットだけで完結してしまうケースが多く、おのずと世界に飛び出る傾向が弱いと言われる。日本貿易振興機構(ジェトロ)が進出支援するベンチャー企業も個別のブースを構え、日本酒の樽とグラスを用意して対応をしていたが、全体から見るとまだ日本発のフィンテック関連企業の数は少ない。
・一方で、シンガポールではいまや金融がGDPの13%を占め、すでに最新のグローバル金融センターランキングでは、東京を抜いてロンドン、ニューヨーク、香港に次いで世界4位となっている(前回ランキングでは世界3位)。シンガポールは国土も狭く、資源も乏しい中、海外からの投資や技術を巧みに呼び込み、金融イノベーションを国家として急速に推進させてきた背景がある。
・昨年は、政府と民間の投資会社が連携し、フィンテック・ハブとしての機能を持たせたオフィスビルを「世界最大規模のフィンテック拠点」と掲げ、大々的にオープンさせた。仮想通貨の取引に使われる技術「ブロックチェーン」や決済システムなどを手掛ける国内外の大手有力企業や団体が入居し、フィンテック関連の新興企業にエコシステムを提供することが目的だ。
▽フィンテック誘致を目指す“東京”への熱視線
・そんななか、フィンテック・フェスティバル最終日の基調講演は、東京都知事の小池百合子氏だった。折しも「希望の党」の代表を辞任した翌15日にシンガポールへ向かった小池知事は、「国際金融都市」としての東京の魅力をトップセールスするため、まずはリー・シェンロン首相ら政府要人と会談したほか、米金融大手主催のイベントで講演するなどし、法人税率の引き下げをはじめ外国企業誘致に向けた構想をアピールした。
・フィンテック・フェスティバルの閉会講演では、スタートアップ企業のブースが集まる展示会の活気をよそに講演会場は空席が目立ったものの、フィンテック関連企業の誘致に向けて東京の魅力を大々的にプレゼンした。 今後に期待する声も膨らみつつある。東京都は、海外からの誘致目標数なども具体的に掲げており、国と一体となり規制緩和などを進め、有望な企業をどのように見極めて活発な「国際金融都市」としての環境を整備できるかが注視されている。
・シンガポールに拠点を構えたイスラエルのスタートアップ関係者は、「次は日本だ。すでに、ある企業とは水面下で交渉を始めている」と息巻いていた。規制や言語の面でハードルが高いのも事実だが、オリンピック開催などに向け、今後の日本を見る視線は熱を帯びてきてもいる。
・小池知事の講演を熱心に聞いていた、インド人起業家の男性はこう言った。「日本は昔からあこがれの国ではありますよ。しかし、海外からのスタートアップが根差す地としては、越えなければならないハードルが、まだ多すぎるというとこかな。でも、魅力的な市場であることは間違いない。今後、日本の技術と私たちのアイデアが結びついて、爆発するようなことが起きたら面白いよね」。そう言って笑った。
http://toyokeizai.net/articles/-/200339

第一の記事で 『「ビットコイン」がバブルの様相を呈してきた』、との部分はその後、価格のさらなる暴騰、急落とますますバブルの様相を強めている。バブルが弾けて、ビットコインが消滅するような事態になったとしても、ブロックチェーン技術そのものは様々な形で、社会に定着して、仕組みを効率化してゆくだろう。
第二の記事で、 『バックオフィス業務では取引などの大半がマンパワー=人間による事務作業によって管理されている ・・・ それをシステムで代替できれば、省人化が可能だろう』、筆者はかつて銀行のマーケット部門にいただけに、説得力がある。ニューヨークでのテストでは、『事務ミスがゼロ』、との結果は当然だろう。 『将来的に国内銀行の業界再編が起きる可能性もある。競争に勝ち残るには、需要の創出と取り込みが必要だ。コスト削減だけでなく、送金手数料の引き下げ、24時間体制での送金など、顧客の利便性を高めるサービスの開発が求められる』、との指摘は正論だ。
第三のの記事で、 『シンガポールはすべてが早い。政府も国を挙げてフィンテック分野を後押ししているから、規制緩和も柔軟に応じるし、実証実験もしやすい。体感としては、日本はもはや2~3年くらい遅れている印象』、というのはやや誇張された面もあるにせよ、ある程度は事実だろう。シンガポールでの『フィンテック・フェスティバル最終日の基調講演は、東京都知事の小池百合子氏・・・講演会場は空席が目立った』、というのはやはりである。シンガポールにとって、東京はもはやライバルではないということなのかも知れない。
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中東情勢(その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」) [世界情勢]

昨日に続いて、中東情勢(その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」)を取上げよう。

先ずは、12月22日付けロイター「国連総会、トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択」を紹介しよう。
・ 国連総会は21日に開いた緊急特別会合で、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定した決定は無効とする決議を賛成多数で採択した。  賛成票を投じたのは128カ国。9カ国が反対票を投じ、35カ国が棄権した。決議に拘束力はない。
・トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた。 西側・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった。このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている。 棄権したのはオーストラリア、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、フィリピン、ルワンダ、ウガンダ、南スーダンなど。
・反対票を投じたのは米国、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラス、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラオ、ナウル、トーゴ。
・パレスチナ自治政府のアッバス議長の報道官は、決議案の採択が「パレスチナにとっての勝利」だと述べた。 ヘイリー米国連大使は採決に先立ち、「主権国家として権利を行使したことを巡り国連総会から攻撃を受けた日として、米国がこの日を忘れることはないだろう」と述べた。 国連安全保障理事会は18日、エルサレム首都認定の撤回を求める決議案を採決したが、米国が拒否権を行使して否決された。国連総会での決議案採決は、アラブ・イスラム圏諸国の要請を受けて行われた。
https://jp.reuters.com/article/un-assembly-idJPKBN1EF2TI

次に、ジャーナリストの嶋矢志郎氏が12月13日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽中東和平交渉を危機に追いやるトランプの「自分ファースト」宣言
・お得意のちゃぶ台返しも、ここまで来るとやり過ぎである。トランプ大統領(以下、トランプ氏)は、エルサレムをイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館を現在の商都テルアビブからエルサレムに「可能な限り速やかに」移転する手続きを始めるよう、国務省に指示した。
・イスラム圏や欧米の猛反対を押し切っての決断は、国際世論の四面楚歌を受けて孤立無援であるが、トランプ氏は意に介することなく、わが道を行く様子で、米国内の支持基盤へのアピールが浸透すれば、それでよしとする魂胆である。
・中東情勢は日本人にとって遠い問題に感じられるだろうが、国際社会にとって今回の「事件」の意味は大きい。 とりわけ、米国がイスラエルとパレスチナの和平交渉の仲介役を買って出て、「エルサレムの地位は和平交渉の中で定める」という方針で合意した1993年のオスロ合意は、国際社会も認めた暗黙知だった。この度のトランプ氏の独断は、中断していたとはいえ、ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性がある。
・さらに中東政策での失政は、米国にとって国際紛争の仲介役としての資格をも自ら失っていくリスクがある。親米のアラブ諸国をはじめ、米国の外交政策に対する国際社会の信認を弱め、協調や支援を取り付け難くなりかねず、米国外交の孤立化を招く恐れがある。 それは、中東でのビジネスに力を入れる中、米国と親密な外交・安全保障関係を築いていると見なされる日本にも、負の影響を及ぼしそうである。
・トランプ氏の宣言が出た12月6日以降、パレスチナ自治区では住民による激しい抗議行動が続発。かつてのインティファーダ(民衆蜂起)に発展しかねない状況だ。ガザ地区ではイスラエル軍との衝突や同軍の空爆などでパレスチナ人4人が死亡。パレスチナの赤新月社(赤十字)によると、パレスチナ各地での負傷者は9日までに1000人を超えている。混乱はテロリストたちにも格好の「付け入る口実」を与えかねない。復活を狙うIS(イスラム国)の残党たちが勢力を拡大する恐れもある。そんな事態を招けば、イスラエルにとっても利益を損ねることは必至である。
・トランプ氏は決断を発表する前日に、パレスチナ自治政府のアッパス議長をはじめ、ヨルダンのアブドラ国王、親米派エジプトのシン大統領、サウジアラビアのサルマン国王、それにイスラエルのネタニエフ首相らと電話で会談し、決断を事前に伝えていた。反応は、ネタニエフ首相以外の全員が猛反対で、親米派のサウジ王室も「不当で、無責任」との声明を発表した。サウジに近い立場のUAE(アラブ首長国連邦)も「中東地域への悪影響を深く憂慮する」との談話を出した。
・イスラエルのネタニエフ首相は「歴史的な日だ」として称賛し、大使館の移転に追従するよう各国に求めているが、イスラエルの国内も必ずしも歓迎一色ではない。中東地域の不安定化を招くだけで、歓迎できないとする国民もいれば、政権内にも反対する声がある。
▽まさに四面楚歌 噴き上がる国際社会の批判
・反発の声は想像以上に広がっている。いち早く不支持を表明した、英仏独など欧州の指導層の声を聞いてみよう。 英国のメイ首相は「中東地域の和平のためにならず、反対」との立場を鮮明にした。フランスのマクロン大統領は、「遺憾で、受け入れられない。国際法や安保理決議に違反する」としてトランプ氏の決断を非難。ドイツのメルケル首相は「支持しない。エルサレムの地位は、イスラエルとパレスチナの2国共存に向けた交渉の一環として解決すべきである」として釘を刺した。 EUのモゲリーニ上級代表も声明を出し、今後の中東和平に及ぼす影響に深刻な懸念を表明。「イスラエルとパレスチナの双方の要望が満たされるべきである」として、トランプ氏のイスラエル寄りの姿勢を批判する一方、双方が共存する「2国家共存」による解決を支持する方針を改めて強調した。
・西欧各国だけではない。中東での存在感を増すロシアのリャブコフ外務次官は、「実現すれば、問題の調整が進まなくなる」と警鐘を鳴らした。中国外務省の報道官も、「パレスチナとイスラエルの紛争の核心であり、異なる民族の宗教感情に触れる、複雑で敏感な問題」として敬遠している。 国連のグテーレス事務総長は、「いかなる一方的な措置も中東和平の見通しを危うくする」との声明を発表して、トランプ氏の対応を批判した。「エルサレムの最終的な地位は、国連安全保障理事会などの決議に基づいてイスラエルとパレスチナ双方の合法的な懸念を考慮に入れながら、直接的な交渉によって解決されるべきである」と強調した。
・国連では8日午前(日本時間9日未明)、安全保障理事会が日本の議長国の下で緊急会合を開き、米国を除く14の理事国が批判や懸念を表明した。英仏独など西側諸国が足並みをそろえて米国を批判したのは異例の事態である。安保理の席上、平素は国際秩序の維持・形成を先導している米国が秩序を乱しているとして、批判の矢面に立たされている。
・ヘイリー米国連大使は、1995年に米議会が「イスラエルの首都はエルサレムだ」として大使館を移転させる法律を制定したものの、歴代政権が実行せず、トランプ氏は「米国民の意思をこれ以上否定しないため、決断した」と反論、トランプ氏の立場を擁護した。
▽なぜこれほどもつれるのか?イスラエル・パレスチナ問題の背景
・まさに、批判的なコメント一辺倒。もつれにもつれている観のある今回のトランプ表明だが、エルサレムを巡るイスラエルとパレスチナ両国を結ぶ糸はなぜこうももつれてきたのか。詳しく知っている人は案外少ないかもしれない。「今回のニュースを見てもどれだけ大変なことなのか、ピンと来ない」という人も多いだろう。そこで戦後70年の歴史的な背景を辿りつつ、今後の展開に関する論点を整理してみよう。
・まず、国際都市エルサレムには旧市街を含む東エルサレムと新市街である西エルサレムとがあり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地はいずれも東エルサレムの旧市街にある。今はイスラエルが実効支配しているが、国際法上は認められておらず、違法であることを把握しておきたい。
・第二次世界大戦後に急増するパレスチナでのユダヤ人に配慮して、国連は1947年11月にパレスチナをアラブ国家、ユダヤ国家、および国連管理下の国際都市エルサレムに分割する決議を採択し、ユダヤ国家はいち早くイスラエルの建国を宣言した。その後、この採択を不服とするアラブ側とイスラエルとの間で第一次中東戦争が勃発、多くのパレスチナ難民が発生した。
・第一次中東戦争の休戦協定により、イスラエルは分割決議で割り当てられていたよりも多くの地域を支配し、エルサレムは東西に分断され、後に西エルサレムには首都機能が移された。東エルサレムとヨルダン川西岸地区はヨルダンの、ガザ地区はエジプトの占領下となった。
・その後、1967年の第三次中東戦争を経て、東西エルサレムが併合されると、それまで西エルサレムに大使館を置いていた13ヵ国が併合に抗議して、大使館を商都テルアビブに移した。 1980年、イスラエルは東西統一エルサレムを「永遠の首都である」とする法案を可決したが、国連安保理はこの法案を無効とする決議を可決している。2017年現在、国連加盟各国はテルアビブを事実上の首都として大使館を置いている。エルサレムに大使館を開設している国は1ヵ国もなく、国際法上は違法となるからである。
・イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)が米クリントン政権の仲介でパレスチナ暫定自治の原則に関する協定、いわゆるオスロ合意に調印し、双方が相互に承認して、解決へ向けて協力することで一致したのは1993年9月、24年前のこと。ヨルダン川西岸とガザ地区にパレスチナ暫定自治政府を設置して、「最終的な地位に関する交渉を開始する」ことを取り決め、エルサレム問題は先送りされて、今日に至っている。
・1995年には、米議会で保守派の主導によりエルサレムへの大使館移転を義務付ける法案が可決。ただし、議会は制定と同時に大統領に対し、同法の執行を6ヵ月ごとに延期できることを認めた。このため、クリントンをはじめ、ブッシュ、オバマの歴代政権は中東和平への悪影響を考慮して、6ヵ月ごとに移転を凍結する大統領令に署名し、移転を先送りしてきた。
・実は、トランプ氏も今年6月には移転の先送り文書に署名し、移転派の支持層から大統領選での公約違反を問われていたため、次の署名期を控えて決断したというのが本音であるが、トランプ氏は「米国の国益、イスラエルとパレスチナの双方の和平の追求のためにも最善の選択であった」と、今回の決断の正当性を強調している。「これまでの歴代大統領も選挙公約に掲げてきながら、実行しなかった。私は今、実行に移している」として有言実行ぶりを自画自賛している。
▽ホワイトハウスの中にも賛否 トランプの目論みは吉と出るか?
・トランプ氏の今回の決断をめぐっては、トランプ氏の周辺をはじめ、ホワイトハウスの中でも賛否両論が入り乱れている。娘婿のクシュナ―上級顧問をはじめ、ペンス副大統領やヘイリー国連大使など、政権内部の宗教保守にユダヤ教徒が多く、移転推進派であるが、首脳陣の中には、ティラーソン国務長官やマティス国防長官らを中心に反対勢力も根強い。
・それでも今、決断を強行したのはなぜか。狙いは、ひとえに4年後の再選の行方を占う中間選挙へ向けての布石であり、そのための支持基盤の強化である。面子を捨て、恥も外聞もなく、権力の限りを「自分ファースト」のために活用して、トランプの俺流に徹している点は、他の追随を許さぬ凄みである。
・理由の1つは、ユダヤ系の票田とその資金力の囲い込み策であり、2つには身辺に迫るロシア疑惑から視線をそらすための目くらまし策であり、3つには史上最低で低迷する支持率の浮上策であり、4つには相次ぐ内政政策の躓きを外交政策で補うための弥縫策である。
・トランプ氏は、「エルサレムの最終的な地位については当事者間で解決すべきで、米国は特定の立場を採らない」と主張しながらも、ユダヤ系のイスラエルに肩入れしていることは明白で、隠しようもない。トランプ氏の最大のスポンサーは、ユダヤ系のシェルドン・アデルソン氏である。国内外のカジノ経営で知られ、イスラエルのネタニヤフ首相と緊密な関係にある。このたびの決断は、ユダヤ系の資金と票田、それも共和党に限らず、民主党の票田の切り崩しが狙いと言われている。
・ロシア疑惑は、フリン前国家安全保障担当補佐官が司法取引に応じて、自らの偽証と関与を認めたため、捜査はいよいよ娘婿のクシュナー上級顧問に及んできた。政権内の火種から国内外のマスコミをはじめ、国民の視線を散らすには効果的である。
・就任後約1年近くで支持率が37%へ低迷、戦後70年間に就任した米大統領の同時期の支持率としては最低の記録である。支持率を人一倍気にするトランプ氏としては、「歴代の大統領が果たせなかった政策を有言実行する」ことで、支持率の浮上を狙おうとしていることは間違いない。
・トランプ氏は大統領就任後、対外的にはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの離脱やパリ協定(気候変動枠組条約)からの脱退を実現してきたが、国内政策は軒並み達成できていない。メキシコとの国境の壁の建設をはじめ、オバマケア(医療保険制度改革)の撤廃も進んでいない。その点、エルサレムの首都容認宣言の公約は自分の一存で決められたことである。
▽日本政府はどう対峙する?米国と中東の間で視界不良に
・国際世論の四面楚歌の中で、トランプ氏にとっては公約通りエルサレムの首都容認宣言を果たし得たことが大きい。特に、ユダヤ人のエルサレムへの帰還を支持するキリスト教の保守層に言行一致で示す狙いがあったものと思われる。
・それにしても、トランプ氏のエルサレム首都容認宣言が中東和平をはじめ、今後の国際秩序の行方に投げかけた衝撃は大きく、波紋は根深い。とりわけ、戦後の中東情勢のパワーバランスを振り返るとき、米国の関与抜きには語り得ず、実態は米国との距離感で親米か、反米かで揺れ動いてきた。今回の波紋も、それが個人であれ、国や政府であれ、親米派には辛く沈みがちで、反米派には追い風となり浮上する機会となるに違いない。
・中東和平の仲介で、米国を頼りに前向きだったパレスチナ自治政府のアッパス議長の立場は、危うくなる。中東地域ではスンニ派で親米派の代表格であるサウジアラビアは、従来の米国一辺倒から脱皮して、中東での影響力をはじめ、国内外への発言力が後退せざるを得なくなる。今、ムハンマド皇太子を中心に、国内の構造改革に着手したばかりであるが、国内の抵抗勢力を抑えていくためにも、改革速度を緩めざるを得ないかもしれない。
・一方、非アラブのシーア派で、反米派のイランが勢いづくことは間違いない。シリアをはじめ、レバノン、イエメン、湾岸諸国での影響力が強くなる。パワーバランスが崩れると、欧米との核合意を反故にしてでもイランが再び核開発に動き出せば、サウジアラビアの核開発を誘発、中東地域における核開発へ発展しないとも限らない。
・そうなると、イスラエルが黙ってはいられなくなる。周囲を核保有国に囲まれることになるため、核武装の強化に走り出す可能性が大きい。便宜上、イスラエルとの関係改善を目指していたエジプトやトルコなども、米国の影響力が低下すれば、水入りとなりかねない。 このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである。
▽中東の治安は確実に悪化 安倍首相も他人事ではない
・もう1つの懸念材料は、中東地域の治安が悪化することである。これは日本のビジネス界にとって大きなマイナス要因となる。平和であってこそのビジネスである。日本は中東地域とは民族的にも宗教的にも中立で、ビジネスを介しての良好な関係の深化、醸成はまさにこれからの大きな課題であった。 サウジアラビアに原発をはじめ、多種多彩な社会インフラの整備事業を売り込もうと、官民を挙げて手ぐすね引いて構えていた日本としては、純粋に商業ベースではなく、不本意ながら核兵器開発などに加担するものと受け止められる懸念もある。
・今ではトランプ氏の盟友と見られている安倍首相は、このたびのトランプ氏の決断をどう受け止めているのか。今のところ何も聞こえてこないが、決して他人事ではなく、すぐにもわが身に降りかかる喫緊の課題であることを肝に銘ずべきである。
http://diamond.jp/articles/-/152744

第三に、元レバノン大使の天木直人氏が12月23日付けの同氏のブログに掲載した「「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」」を紹介しよう。
・トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言で中東和平は遠のいたと言われている。 中東情勢を知らない日本ではそれが当たり前のように受け止められているに違いない。 そしてかつての「和平プロセス」ならそうだ。
・しかし、現実は必ずしもそうではない。 その理由は、アラブの盟主であるサウジアラビアが裏で米国・イスラエルとあらたな和平プロセスを進めているからだ。 実際のところ、今度のトランプ大統領のエルサレム首都移転についても、事実上のサウジアラビアの国王と言われているムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、それを、あらたな中東和平案の中で進言していたと言われているほどだ。 この事をきょう12月23日の朝日新聞が教えてくれている。
・すなわち、トランプ大統領がエルサレム首都移転を宣言した直後の12月9日のニューヨークタイムズ紙で、コラムニストのロジャー・コーエン氏がこう書いていたという。 イスラム組織ハマスのリーダーであるハニヤ氏はいま第三次インティファーダを呼びかけている。だが彼はアラブ諸国の疲弊と冷笑、優先順位の変化に直面している。いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまったと。
・つまり、コーエン氏の言葉を借りれば、「トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」、というわけだ。 せめてもの救いは、サウジと米国・イスラエルのあらたな和平プロセスでもうまく行かないとコーエン氏が書いている事である。
・公正で持続的な和平がパレスチナとイスラエルの間で実現しない限り、世界に真の平和は来ない。  トランプの米国が北朝鮮に関わる余裕などあるはずがない(了)
http://kenpo9.com/archives/3047

第一の記事で、 『トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた・・・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった。このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている』、トランプの脅しは殆ど機能しなかったようだ。特に、イラクまで賛成票を投じたとは驚きだ。やはり、アラブの大義を優先したということだろう。
第二の記事で、 『この度のトランプ氏の独断は、中断していたとはいえ、ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性がある』、『このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである』、などというのは、深刻な事態だ。第一の記事での国連総会決議では、日本はアラブ諸国に配慮して、珍しく「賛成票」を投じたようだが、無論、事前に米国にその旨を通告していたようだ。
第三の記事で、ニューヨークタイムズ紙で、コラムニストのロジャー・コーエン氏が、『いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまった・・・トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」』、というのは、一般的な見方とは大きく異なるが、興味深い見方で、確かにそうした面もありそうだ。
タグ:イスラエル ロイター サウジアラビア 安全保障理事会 天木直人 中東情勢 ダイヤモンド・オンライン ニューヨークタイムズ紙 嶋矢志郎 同氏のブログ (その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」) 「国連総会、トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択」 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定した決定は無効とする決議を賛成多数で採択 賛成票を投じたのは128カ国。9カ国が反対票を投じ、35カ国が棄権 トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた 西側・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている 「トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する」 イスラム圏や欧米の猛反対を押し切っての決断は、国際世論の四面楚歌を受けて孤立無援であるが トランプ氏は意に介することなく、わが道を行く様子で、米国内の支持基盤へのアピールが浸透すれば、それでよしとする魂胆 オスロ合意は、国際社会も認めた暗黙知だった ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性 米国にとって国際紛争の仲介役としての資格をも自ら失っていくリスク 米国外交の孤立化 日本にも、負の影響 パレスチナ自治区では住民による激しい抗議行動が続発 復活を狙うIS(イスラム国)の残党たちが勢力を拡大する恐れもある。そんな事態を招けば、イスラエルにとっても利益を損ねることは必至 イスラエルの国内も必ずしも歓迎一色ではない。中東地域の不安定化を招くだけで、歓迎できないとする国民もいれば、政権内にも反対する声がある 英仏独など西側諸国が足並みをそろえて米国を批判したのは異例の事態 イスラエル・パレスチナ問題の背景 旧市街を含む東エルサレムと新市街である西エルサレムとがあり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地はいずれも東エルサレムの旧市街 今はイスラエルが実効支配しているが、国際法上は認められておらず、違法であることを把握しておきたい 第三次中東戦争を経て、東西エルサレムが併合 それまで西エルサレムに大使館を置いていた13ヵ国が併合に抗議して、大使館を商都テルアビブに移した 1980年、イスラエルは東西統一エルサレムを「永遠の首都である」とする法案を可決したが、国連安保理はこの法案を無効とする決議を可決 国連加盟各国はテルアビブを事実上の首都として大使館を置いている。エルサレムに大使館を開設している国は1ヵ国もなく、国際法上は違法となるからである 米議会で保守派の主導によりエルサレムへの大使館移転を義務付ける法案が可決 議会は制定と同時に大統領に対し、同法の執行を6ヵ月ごとに延期できることを認めた。このため、クリントンをはじめ、ブッシュ、オバマの歴代政権は中東和平への悪影響を考慮して、6ヵ月ごとに移転を凍結する大統領令に署名し、移転を先送りしてきた 首脳陣の中には、ティラーソン国務長官やマティス国防長官らを中心に反対勢力も根強い。 中間選挙へ向けての布石 支持基盤の強化 理由の1つは、ユダヤ系の票田とその資金力の囲い込み策であり、2つには身辺に迫るロシア疑惑から視線をそらすための目くらまし策であり、3つには史上最低で低迷する支持率の浮上策であり、4つには相次ぐ内政政策の躓きを外交政策で補うための弥縫策 政権内の火種から国内外のマスコミをはじめ、国民の視線を散らすには効果的 エルサレムの首都容認宣言の公約は自分の一存で決められたことである 国内の抵抗勢力を抑えていくためにも、改革速度を緩めざるを得ないかもしれない 非アラブのシーア派で、反米派のイランが勢いづくことは間違いない イランが再び核開発に動き出せば、サウジアラビアの核開発を誘発 核武装の強化に走り出す可能性が大きい このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである 中東の治安は確実に悪化 安倍首相も他人事ではない 「「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」」 コラムニストのロジャー・コーエン氏 いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまった 「トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」 サウジと米国・イスラエルのあらたな和平プロセスでもうまく行かないとコーエン氏が書いている事で
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中東情勢(その10)(サウジアラビア問題:何が起こっている?、サウジは、若き皇太子の暴走で自滅へ向かう) [世界情勢]

中東情勢については、7月24日に取上げた。今日は、(その10)(サウジアラビア問題:何が起こっている?、サウジは、若き皇太子の暴走で自滅へ向かう)である。

先ずは、闇株新聞が11月7日に掲載した「サウジアラビアで何が起こっている?」を紹介しよう。
・サウジアラビア政府は昨日(11月5日)、11名の王子や現職閣僚を含む有力者を数十名も一斉に逮捕したと発表しました。その中には王位継承権は放棄しているものの、シティバンクなどの大株主で世界有数の富豪であるアルワリード・ビン・タラール王子も含まれているようです。 容疑は何と「汚職」で、サルマン国王が7月に皇太子(次の国王)に昇格させたばかりのムハンマド・ビン・サルマン王子が、新設の「反汚職委員会」のトップに就任した直後の一斉逮捕となりました。 また本件との関連は不明ですが、1人の王子を含む数名が搭乗したヘリコプターがイエメン国境近くで墜落し、王子が死亡しています。墜落原因は(攻撃されたかどうかも含めて)不明です。
・ここでサウジアラビアの国王とは、1953年に亡くなったアブドルアジズ初代国王の36名の息子から、母親が有力家の出身である王子から基本的に年長順に選ばれています。7代目となるサルマン現国王はアブドルアジズの25男で2015年1月に即位していますが、明らかに健康に問題を抱えています。
・そのためかサルマン国王は7月19日に甥のムハンマド・ビン・ナイーフ皇太子を「薬物中毒」との理由で罷免し、息子のムハンマド・ビン・サルマンを副皇太子から皇太子に昇格させ、経済・外交・国防など権限をさらに集中させています。 ソフトバンクの10兆円ファンドへの大口出資を決めたのも、6月にカタールとの国交断絶を主導したのも、アラムコに株式上場を推進しているのも、このムハンマド皇太子(当時はまだ副皇太子)となります。
・ムハンマド皇太子はまだ32歳で、このままであれば初めての第三世代(アブドルアジズの孫)の国王となりますが、第三世代の王子は罷免されたムハンマド・元皇太子など254名もいるため、すんなりと王族全体に受け入れられているわけではなさそうです。 また最近はサルマン国王がムハンマド皇太子に生前譲位する可能性も囁かれていました。そのまま32歳の国王が誕生してしまえば、ここのところ続いていた高齢で即位した国王とは違い、向こう数十年に渡って王位にあり権限を集中させることになります。
・そこで今回の一斉逮捕は、サルマン国王とムハンマド皇太子が機先を制して「反対派」を一掃したものと思われます。「汚職」というのも笑ってしまうような理由で、そもそも莫大な原油収入のかなりの部分は国王をはじめ王族が勝手に使い込んでいるため、それを「汚職」というなら王族全員が対象となってしまいます。
・まるで中国の「規律違反」とそっくりですが、「反対派」をすべて一掃することも不可能であるはずで、しばらくはサウジアラビアの王族や経済や政治が混乱すると考えておくべきです。
・米国とサウジアラビアの関係ですが、もともと米国は第二次世界大戦時に当時のルーズベルト大統領がアブドルアジズ国王に「石油を米国に安定供給する代わりにサウジアラビアの体制を守る」と約束しており、そこから米国とサウジアラビアは同盟国として親密な関係を守っていました。
・ところがオバマ政権時の2015年に、サウジアラビア最大の敵であるイランと核合意を締結しています。これは「ゆっくりだったら核開発を続けていいですよ」というもので、それでイランへの経済制裁を解いてしまいました。
・また同じオバマ政権時の2016年には、2001年の同時多発テロの遺族がサウジアラビアなどテロ事件に関与した外国政府に損害賠償できる、いわゆる「サウジ法案」を成立させています。 つまり米国ではシェール石油の産出増加でサウジアラビアに依存する必要が無くなったこともありますが、オバマ政権時には明らかにサウジアラビアを軽視していました。
・トランプ政権になると、5月に最初の外交先としてサウジアラビアを訪問していますが、1100億ドル(12兆円)規模の武器輸出に合意した以外は、サウジアラビアとの関係をどうするのかが見えていません。 そして10月5日にサルマン国王は初めてロシアを訪問し、プーチン大統領との間でエネルギー政策や経済協力について話し合っています。共通の敵だったイスラム国(ISIS)は消滅しており、ロシアはシリアのアサド政権を支持しており、そのアサドはイランと近いため、どう考えてもロシアとサウジアラビアがこれ以上親しくなるとも思えません。
・つまり今回のサウジアラビア王室の混乱は、そうでなくても複雑な中東情勢に「新たな混乱」となるはずです。目が離せない国がまた1つ増えてしまいました。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2118.html

次に、フリージャーナリストの内田 通夫氏が11月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「サウジは、若き皇太子の暴走で自滅へ向かう 石油とマネーで翻弄してきた反動が始まる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・サウジアラビア王国。国名が表すように、サウド家が統治する王国だ。絶対王政を採用、世界最大の産油国であり、膨大な埋蔵量を誇る。そのサウジアラビアで異変が起きている。 サウジアラビアはイスラム教発祥の聖地マッカ(メッカ)とマディーナ(メディナ)の保護者であり、イスラム教スンニ派ハンバリー法学の原理主義ワッハーブ派を国教とする。”イスラム教の保護者”であるという自負が王家を支えてきた。これまでは初代国王イブンサウドの息子の世代が王位を継承してきたが、今、孫の世代(第3世代)が王位を継承する時期に差しかかっている。異変はすべて、次の国王と目されるムハンマド皇太子(32)の政策と性格に起因する、といっても過言ではない。
▽サルマン国王は支離滅裂な発言も
・2015年にはアブドゥラー国王が死去。アブドゥラー前国王は皇太子時代を含めて20年間、サウジアラビアを統治し、名君の誉れが高かった。その統治手法は、イスラム原理主義の1つ、ワッハーブ派を内外で宣教しながら、米国に安全保障を依存し同盟関係を維持するという、ダブルスタンダードの綱渡りを巧みに行ったことだ。その手段として、敵味方を問わず「気配り、金配り」で手なずけ、抑え込む。
・国際関係の闇の部分、たとえば過去には、アルカーイダやIS(イスラム国)を支援育成したことなどをなるべく表に出さない、という手腕に長けていた。 最大の危機は2001年9月11日に米国で起きた「米同時多発テロ事件」だ。犯行グループの主犯とされたオサマ・ビンラディンは、サウジアラビアの大富豪で、実行犯のほとんどはサウジアラビア人だった。資金もサウジアラビアの王族、富豪、慈善基金から出ていたとされる。ビンラディンらの目的は米軍のサウジアラビアからの撤退。サウジアラビアにはマッカとマディーナのイスラム教2聖都がある。自国の教育で原理主義をたたき込まれた実行犯の者たちは、イスラム教の聖地サウジアラビアに米軍が駐留することには耐えられなかったからだ。テロ事件後、米国とサウジアラビア間に緊張が生まれたが、この緊張をうやむやのうちに鎮静化(解決?)したのが、アブドゥラー前国王だった。
・その前国王の跡を継いだのが、10歳年下の異母弟である、現在のサルマン国王(81)だ。サルマン国王は初代国王イブンサウドに寵愛されたスデイリ家出身の王妃を母に持つ。サウジアラビア王家で勢力と格式を誇る、スデイリ・セブン(母を同じくする7人兄弟)の1人。リヤド州知事や内務大臣の要職をこなした経験豊富な王族だが、80歳直前の即位で、アルツハイマー病の兆候が出ていた。長時間の会議に出ると、途中で発言ややり取りが支離滅裂になる、ともうわさされる。国王の代理としてサウジアラビアの執権となったのが、溺愛する息子ムハンマド・ビン・サルマン(MBS)だが、まだ31歳の若さだった。このため、サルマン国王即位直後は、ムハンマド・ビン・ナイーフ(MBN)を次の国王となる皇太子に指名、サルマン家で王位を継承しないことを示し、王族内で妥協を図った。
・しかし、2017年9月、宮廷クーデターが発生する。仕掛けたのは副皇太子のMBS。MBNは皇太子だけでなく内務大臣の職も解かれ、皇太子の座を引き継いだのは、ムハンマド(MBS)だった。このころからサルマン国王が生前退位し、ムハンマド皇太子に譲位する、というシナリオがささやかれるようになる。現在でも、2018年1月に予定されているサルマン国王の訪米後、生前退位をするという観測がある。
・ムハンマド皇太子が指揮するサウジアラビアの内外政策は、アブドゥラー前国王時代と正反対になっている。 いったいムハンマド皇太子とはどういう人物なのか。サウジアラビアなど湾岸情勢に詳しい村上拓哉中東調査会研究員は「改革志向が強い。サウジアラビアの人口の過半を占める30歳以下の若い世代に支持されている、リスクをいとわない大胆な性格の持ち主」と説明する。
・問題はムハンマド皇太子が何を狙っているかだ。第一はもちろん、他の王族を排除し、自分が「次期国王」になること。それもサルマン国王の死後でなく、まだにらみが利く時期に。もし成就したとすれば、これから半世紀ほど国王にとどまることも夢ではない。第二はサウジアラビアの「改革・開放」だ。石油に依存したバラマキ経済が限界に来ていることは、サウジ国民を含めて誰の目にも明らかだからである。
▽過去の仕組みに対する”清算”が必要
・過去の仕組みの清算が必要だと、ムハンマド皇太子は思っているのだろう。自ら主導した経済改革「サウジ・ビジョン2030」では、産業化やレンティア国家(国民から税金を取らずに石油収入を配る)からの脱却など、野心的な構想が盛りだくさんだ。世界最大の産油会社であるサウジアラムコの株式公開(IPO)、軍事産業の国産化、観光業の育成が目玉である。なおかつ2018年からは、低税率ながら消費税を導入する予定。ガソリン、ガス、電力など、異常に低かった公共料金も引き上げる。一方で女性の運転を認めることも、開放路線も視野に入れる。
・目下、サウジアビアを取り巻く国際情勢の悪化は、ムハンマド皇太子の危機感を募らせている。これらを列挙すると、以下のとおり。
 ① 原油価格下落による財政の悪化。
 ② 安全保障を依存してきた米国に全幅の信頼が寄せられない事態。 たとえば、2015年にオバマ前政権で結んだイランの核開発合意が守られていないことや、2013年にシリアのアサド政権が化学兵器を使用したにもかかわらず軍事介入しなかったことで政権打倒に失敗したこと、などである。ただし、ビジネス本位のトランプ現政権はサウジアラビアが大量の武器購入をするかぎり、政権を支えるだろう。
 ③ 宿敵であるイスラム教シーア派のイランによる、イラクやシリア、レバノン、イエメンへの影響力拡大。
 ④ 宗派(イスラム教スンニ派内のワッハーブ派)を同じくし、GCC(湾岸協力会議)のパートナーであるはずの、カタールの離反。
・カタールは小国ながら世界有数の天然ガス生産で潤い、衛星放送アルジャジーラを通じて、イスラム世界に影響を与えている。が、そのカタールはサウジアラビアの圧力をかわすため、なんとイラン側についた。狭いカタールにもともと駐留していた米軍に加え、サウジアラビアとの関係悪化後には首長(王家)を保護するためにイラン革命防衛隊とトルコ軍が進駐するという、かつては想像すらできないことが現実になっている。
・以前からムハンマド皇太子は、ウマが合わなかったカタールとの関係を前国王時代のように隠すのではなく、首長を排除できないことがわかると2017年6月には国交を断絶。さらには陸路や海路、空路を閉鎖するなど強硬処置に出た。国際関係の「見える化」を進めることが、前国王時代の「見えない化」に慣れた世界の人々には、皇太子の”暴走”に映る。
・最近では、レバノンのサアド・ハリーリ首相(スンニ派でレバノンとサウジアラビアの二重国籍を持つ)がサウジアラビアに呼び出されたうえ、軟禁されるという事件も起きた。レバノンで影響力を強めるのは、イランが支援するシーア派武装政党のヒズボラー。そのレバノンがイランと協議したことに対する報復と報道されたが、プロトコルを優先する外交関係では、あってはならない誘拐行為だ。
・このほかイスラエルの参謀総長がサウジアラビアを支援するシグナルを送っている。今までサウジアラビアは、「反シオニズム、パレスチナ支援」を旗印にしながらも、米国を媒介にして、暗黙のうちにイスラエルとは協調関係にあった。その関係も「見える化」している。このことは、サウジアラビアがイスラム教の大義を損ねた、と非難されるリスクを抱える。
・そして、サウジアラビア国内におけるムハンマド皇太子の暴走は、この11月に起きた。王族を含む関係者が汚職の疑いで逮捕され、首都リヤドのリッツ・カールトンホテルなどに監禁された事件だ。
▽逮捕、虐待、自殺未遂者まで出た
・この事件は広く報道されているので触れない。が、王族内における石油利権の配分を汚職とすれば、サウジアラビアはこうしたことは日常というから、いくらでも王族を粛清することが可能だ。しかも逮捕された王族はほとんど、ムハンマド皇太子の親戚か姻戚にあたる。その王族たちを逮捕し、虐待を加え、自殺未遂者まで出たとすれば、尋常ではない。
・この事件に絡んでは見逃せない人事も行われた。アブドゥラー前国王の息子でサウジアラビア国家警備隊(兵力12万5000人)の大臣である、ムトイブが解任され、ムハンマド皇太子に忠誠を誓う大臣が就任したことだ。アブドゥラー家の国家警備隊支配に終止符が打たれた形である。この結果、ムハンマド皇太子が国軍と治安機関に加えて、国家警備隊まで掌握したことになる。「ムハンマド皇太子に不満があっても軍事力でクーデターを起こすことは困難な情勢」(村上氏)になっているという。
・体制が危機に陥った際には、従来とは反対の行動をとる指導者が登場する。たとえば、ソ連のミハイル・ゴルバチョフや中国の鄧小平だ。ゴルバチョフは失敗したが、鄧小平は毛沢東神話を毀損せず、中国共産党が統治する社会主義市場経済を構築することに成功した。今や中国は日本を抜いてGDP世界2位の経済大国であり、最近では、習近平が汚職摘発をバネにして権力基盤を盤石なものにしている。
・スケールはより小さいかもしれないが、ムハンマド皇太子もそれこそ「アッッラーの意思があれば」、中国のように、国教であるワッハーブ派の旗印を毀損せずにサウジアラビアの改革・開放に成功し、後世から「乱暴だったが、名君だった」といわれるかもしれない。ただ、欧米もイスラム世界も現在のところ、その可能性は低いとみているようだ。
・中東のエネルギー情勢に詳しい経済産業研究所・藤和彦上席研究員は、「ムハンマド皇太子は運転者にたとえると、経験のないペーパードライバー。急発進、急ブレーキ、車線変更という暴走運転をしている」としたうえで、「いずれサウジアラビア国内で反発を招き、宮廷クーデターや政変が起こり、ムハンマド皇太子が失脚する可能性が高い。政変劇の後、どういう勢力が指導権を握るかの争いが起きて、世界を不安定にすることを心配している」と指摘する。
・1973年の第1次石油危機以降、世界は、石油とマネーを行使するサウジアラビアに振り回されてきた。まだその時代は終わっていない。
http://toyokeizai.net/articles/-/198565

第一の記事で、 『今回の一斉逮捕は、サルマン国王とムハンマド皇太子が機先を制して「反対派」を一掃したものと思われます。「汚職」というのも笑ってしまうような理由で、そもそも莫大な原油収入のかなりの部分は国王をはじめ王族が勝手に使い込んでいるため、それを「汚職」というなら王族全員が対象となってしまいます。 まるで中国の「規律違反」とそっくりですが、「反対派」をすべて一掃することも不可能であるはずで、しばらくはサウジアラビアの王族や経済や政治が混乱すると考えておくべきです』、『今回のサウジアラビア王室の混乱は、そうでなくても複雑な中東情勢に「新たな混乱」となるはずです』、などの指摘は説得力がある。
第二の記事で、『「米同時多発テロ事件」・・・テロ事件後、米国とサウジアラビア間に緊張が生まれたが、この緊張をうやむやのうちに鎮静化(解決?)したのが、アブドゥラー前国王だった』、あれだけの大事件をどうやってうやむやのうちに鎮静化したのかは不明だが、前国王の政治力は相当なものだったのに違いない。ひるがえって、現在のムハンマド皇太子の暴走は、外交面のみならず、内政面では王族を 『逮捕、虐待、自殺未遂者まで出た』と、止まることがなさそうな勢いだ。 『経済産業研究所・藤和彦上席研究員は、「ムハンマド皇太子は運転者にたとえると、経験のないペーパードライバー。急発進、急ブレーキ、車線変更という暴走運転をしている」としたうえで、「いずれサウジアラビア国内で反発を招き、宮廷クーデターや政変が起こり、ムハンマド皇太子が失脚する可能性が高い。政変劇の後、どういう勢力が指導権を握るかの争いが起きて、世界を不安定にすることを心配している」と指摘』、確かに「ペーパードライバーの暴走運転」とはズバリ特徴を捉えているようだ。
明日は、中東情勢をさらに複雑化させる「トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言」を取上げる予定である。
タグ:東洋経済オンライン 32歳 中東情勢 闇株新聞 サルマン国王 トランプ政権 (その10)(サウジアラビア問題:何が起こっている?、サウジは、若き皇太子の暴走で自滅へ向かう) 「サウジアラビアで何が起こっている?」 サウジアラビア政府 11名の王子や現職閣僚を含む有力者を数十名も一斉に逮捕 容疑は何と「汚職」 ムハンマド・ビン・サルマン王子が、新設の「反汚職委員会」のトップに就任した直後の一斉逮捕 るサルマン現国王 明らかに健康に問題を抱えています ムハンマド・ビン・ナイーフ皇太子を「薬物中毒」との理由で罷免し、息子のムハンマド・ビン・サルマンを副皇太子から皇太子に昇格させ 初めての第三世代(アブドルアジズの孫)の国王となりますが、第三世代の王子は罷免されたムハンマド・元皇太子など254名もいるため、すんなりと王族全体に受け入れられているわけではなさそうです 今回の一斉逮捕は、サルマン国王とムハンマド皇太子が機先を制して「反対派」を一掃したものと思われます 「汚職」というのも笑ってしまうような理由 「汚職」というなら王族全員が対象となってしまいます 米国は第二次世界大戦時 ルーズベルト大統領がアブドルアジズ国王に「石油を米国に安定供給する代わりにサウジアラビアの体制を守る」と約束 オバマ政権時 サウジアラビア最大の敵であるイランと核合意を締結 ゆっくりだったら核開発を続けていいですよ イランへの経済制裁を解いてしまいました 同時多発テロの遺族がサウジアラビアなどテロ事件に関与した外国政府に損害賠償できる、いわゆる「サウジ法案」を成立 オバマ政権時には明らかにサウジアラビアを軽視 最初の外交先としてサウジアラビアを訪問していますが、1100億ドル(12兆円)規模の武器輸出に合意した以外は、サウジアラビアとの関係をどうするのかが見えていません サルマン国王は初めてロシアを訪問し、プーチン大統領との間でエネルギー政策や経済協力について話し合っています サウジアラビア王室の混乱は、そうでなくても複雑な中東情勢に「新たな混乱」となるはずです 内田 通夫 「サウジは、若き皇太子の暴走で自滅へ向かう 石油とマネーで翻弄してきた反動が始まる」 イスラム教スンニ派ハンバリー法学の原理主義ワッハーブ派を国教 ”イスラム教の保護者”であるという自負 サルマン国王は支離滅裂な発言も アブドゥラー前国王 ワッハーブ派を内外で宣教しながら、米国に安全保障を依存し同盟関係を維持するという、ダブルスタンダードの綱渡りを巧みに行ったことだ 敵味方を問わず「気配り、金配り」で手なずけ アルカーイダやIS(イスラム国)を支援育成したことなどをなるべく表に出さない、という手腕に長けていた 「米同時多発テロ事件」 自国の教育で原理主義をたたき込まれた実行犯の者たちは、イスラム教の聖地サウジアラビアに米軍が駐留することには耐えられなかったからだ テロ事件後、米国とサウジアラビア間に緊張が生まれたが、この緊張をうやむやのうちに鎮静化(解決?)したのが、アブドゥラー前国王 80歳直前の即位で、アルツハイマー病の兆候が出ていた 宮廷クーデター 仕掛けたのは副皇太子のMBS。MBNは皇太子だけでなく内務大臣の職も解かれ、皇太子の座を引き継いだのは、ムハンマド(MBS)だった 2018年1月に予定されているサルマン国王の訪米後、生前退位をするという観測 ムハンマド皇太子が指揮するサウジアラビアの内外政策は、アブドゥラー前国王時代と正反対 改革志向が強い。サウジアラビアの人口の過半を占める30歳以下の若い世代に支持されている、リスクをいとわない大胆な性格の持ち主 第一はもちろん、他の王族を排除し、自分が「次期国王」になること 第二はサウジアラビアの「改革・開放」 サウジ・ビジョン2030 産業化やレンティア国家(国民から税金を取らずに石油収入を配る)からの脱却など、野心的な構想が盛りだくさんだ ガソリン、ガス、電力など、異常に低かった公共料金も引き上げる。 女性の運転を認めることも、開放路線も視野に入れる サウジアビアを取り巻く国際情勢の悪化 カタールの離反 カタールはサウジアラビアの圧力をかわすため、なんとイラン側についた 首長(王家)を保護するためにイラン革命防衛隊とトルコ軍が進駐するという、かつては想像すらできないことが現実になっている 2017年6月には国交を断絶。さらには陸路や海路、空路を閉鎖するなど強硬処置に出た レバノンのサアド・ハリーリ首相 サウジアラビアに呼び出されたうえ、軟禁されるという事件 プロトコルを優先する外交関係では、あってはならない誘拐行為 イスラエルの参謀総長がサウジアラビアを支援するシグナルを送っている サウジアラビアがイスラム教の大義を損ねた、と非難されるリスクを抱える 王族を含む関係者が汚職の疑いで逮捕 逮捕、虐待、自殺未遂者まで出た アブドゥラー前国王の息子でサウジアラビア国家警備隊(兵力12万5000人)の大臣である、ムトイブが解任され、ムハンマド皇太子に忠誠を誓う大臣が就任したことだ 経済産業研究所・藤和彦上席研究員 「ムハンマド皇太子は運転者にたとえると、経験のないペーパードライバー。急発進、急ブレーキ、車線変更という暴走運転をしている」としたうえで、「いずれサウジアラビア国内で反発を招き、宮廷クーデターや政変が起こり、ムハンマド皇太子が失脚する可能性が高い。政変劇の後、どういう勢力が指導権を握るかの争いが起きて、世界を不安定にすることを心配している」
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天皇陛下退位問題(その3)(天皇陛下の安倍首相に対する「御恨み骨髄」は本当だった、なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安倍首相との"バトル"の結果は?) [国内政治]

天皇陛下退位問題については、10月16日に取上げた。天皇誕生日の今日は、(その3)(天皇陛下の安倍首相に対する「御恨み骨髄」は本当だった、なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安倍首相との"バトル"の結果は?)である。

先ずは、元レバノン大使の天木直人氏が12月15日付けの同氏のブログに掲載した「天皇陛下の安倍首相に対する「御恨み骨髄」は本当だった」を紹介しよう。
・私は12月7日のブログで週刊新潮(12月14日号)の記事を引用して書いた。 退位をめぐる安倍官邸の横暴について天皇陛下は安倍首相に対して「御恨み骨髄」であると侍従職関係者が言っているらしいが、それが本当なら安倍首相は首相失格だと。
・どうやら、その侍従職関係者の言葉は本当だったようだ。 そう思わせる記事をきょう12月15日の各紙が報じている。 すなわち、宮内庁の山本信一郎長官がきのう14日の定例記者会見で、天皇陛下が退位の儀式について、「できるだけ簡素になさりたいとの考え」を持たれていると述べ、その陛下の考えを官邸に伝えていることを明らかにしたというのだ。
・私がその記事で注目したのは、陛下は、一般参賀はもとより、外国賓客を招くことも望んでおられないと山本宮内庁長官が明言したと書かれていたところだ。 これはまさしく安倍首相が2019年に、退位の礼と即位の礼の二度にわたって一大外交行事を行おうとしている事に対する反発に違いない。
・山本長官は、週刊新潮が12月14日号で「一般参賀のような形で国民にメッセージを発し、パレードをしたいと考えておられるようです」とする官邸関係者の打ち明け話」を掲載した事に対して抗議したことを明らかにしたらしい。 しかし、週刊新潮は、すかさず、「(記事の)中身については真実であると確信しています」とのコメントを公表してる。
・間違いなく官邸関係者は週刊新潮にそう語ったと週刊新潮は反論したのだ。 おそれおおくも週刊新潮が陛下の退位について間違ったことを書くことは無いだろう。 間違いなく官邸関係者はその考えを持っていたのだ。 それを週刊新潮の記者に語っていたのだ。 その事を山本宮内庁長官が知らないはずがない。 山本宮内庁長官は、週刊新潮に抗議する形で安倍官邸に抗議したのだ。
・そして、それは天皇陛下の安倍首相に対する「恨み骨髄」の怒りのあらわれに違いない。 自らの退位の礼まで勝手に自己宣伝のための外交の道具に使うのは許さない、ということだ。 安倍首相の罪は大きく、深い(了)
・(続き)私があまりにも熱心に天皇陛下と安倍首相の対立について書くものだから、親切な読者から次のような貴重な情報提供をいただいた。 この場を借りてその読者に感謝するとともに、他の読者と共有させていただきたい。 「プレジデントニュースで良い記事を見つけました。http://president.jp/articles/-/23938 なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安部首相との"バトル"の結果は? です」  元木氏は私が外務省を解雇された時、まっさきにエルネオス誌上でインタビューをした人だ。 以来私はエルネオスを愛読して今日に至っている。  この元木氏の記事は、私がこれまで書いて来た事の見事な集大成である。 天皇陛下が退位される前に何としてでも新党憲法9条をこの国の政治の中に誕生させたい、そう私が願う理由がこの記事の中にある(了)

次に、上記で最後に触れられたジャーナリストの元木 昌彦氏が12月11日付けPRESIDENT Onlineに寄稿した「なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安倍首相との"バトル"の結果は?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・12月1日、政府は約25年ぶり8回目となる皇室会議を開き、天皇陛下の退位日を2019年4月30日とする意見を決定した。この日程は安倍晋三首相と宮内庁とのバトルの結果のようだ。日本国憲法第9条の最後の守護者となった「平和の象徴」に対して、安倍首相はどんな態度で挑むつもりなのか――。
▽「改元の日はメーデー(労働者の日)ですよ」
・「などてすめろぎは“平和の象徴”となりたまひし」(なぜ天皇陛下は“平和の象徴”になってしまわれたのか) 安倍晋三首相は、天皇皇后の「おことば」を聞くたびに、そうつぶやいているのではないか。天皇退位の日程が決まった。それを巡っても宮内庁と政治はバトルを繰り広げていたと、有識者会議で座長代理を務めた御厨貴が、朝日新聞(12月1日付)で語っている。
・安倍官邸は当初、平成30年の大みそか、退位、元旦、即位・改元にしたかったが、これに宮内庁が抵抗した。年末年始には皇室行事が重なるから、3月末日退位、4月1日即位にしたいと主張して、その日程をメディアにリークしたのだ。 だが、今度は官邸がそれをひっくり返して、4月末日退位、5月1日即位にした。御厨も「改元の日はメーデー(労働者の日)ですよ」と驚いている。何としても宮内庁、その後ろにいる天皇・皇后のいいなりにはならないという、安倍の強い「決意」がうかがえる。
・『週刊新潮』(12月14日号)は、侍従職関係者に、天皇の思いをこう代弁させている。「陛下は、“心残りがあるとしたら……”という言葉を口にされています。具体的には、女性宮家を創設できなかったこと、そしてアジアで訪問していない国があること、ですね」 安倍首相は、女性宮家が固まれば、女性天皇の議論も深まることを恐れたのだといわれている。当然ながら、訪問していない国「韓国」に対しても、安倍はいい感情を持ってはいない。
▽天皇陛下のお気持ちは「忖度」しなかった
・秋篠宮も、皇位継承のあり方という天皇が提起した問題がほとんど進んでいないことに言及して、「議論が進んでいない、確かに進んでいないのですけれども、そのこともやはりこれはある意味で政治との関係にもなってくるわけですね」と語っている。
・天皇とは学習院初等科から高等科まで「ご学友」だった榮木和男も、こう話す。「安倍政権になってからいろいろなことが進まなくなったという状況があって、陛下が焦りのようなものを感じておられたのは当然そうだと思います。自分たちが言いださないと、誰も何もしてくれないということがだんだんわかってこられた。それで、異例かもしれませんが、ああいう形の『お気持ち表明』になったんじゃないでしょうか」
・天皇が政治的な発言をすることは憲法上制約されている。十分に知りながら、こうした発言をせざるを得なかった天皇の気持ちを、安倍は「忖度」することはなかった。
▽「皆さんとともに日本国憲法を守り」
・私は1945年(昭和20年)生まれだから、昭和天皇が現人神(あらひとがみ)であった時代は知らない。長じても天皇についての関心は全くといっていいほどなかった。 大学時代は70年安保の嵐が吹き荒れていた。学生運動はまったくやらなかったノンポリだったが、「天皇の戦争責任を問え」「天皇は差別の根源」などというアジ演説を後ろで聞いていた。 出版社に入ってから金達寿の『日本の中の朝鮮文化』(講談社)を読み、東洋史学者の江上波夫に会って「騎馬民族征服王朝説」を聞かされ、天皇も日本人のルーツも朝鮮にあるのかと、漠とだが、考えるようになった。
・それでも天皇にさほど関心が増したわけではない。それが変わったのは、やはり昭和天皇が崩御して明仁天皇が即位した時からだった思う。即位後の朝見の儀で、以下のような勅語を発したのだ。 「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」(『明仁天皇の言葉』近重幸哉著・祥伝社より)  憲法第99条に、天皇や国会議員、裁判官などは憲法尊重擁護義務があるから、至極まっとうな言葉なのだが、すごく新鮮な気がしたものだった。
▽「タブー」となっているルーツにも言及
・その後も誕生日会見で、「私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」と、ウルトラ保守の中で“タブー”となっているルーツについても触れた。
・「さきの戦争」の悲惨さを忘れず、憲法を遵守し平和を守り抜く。そうした強い思いが天皇皇后にはある。だが、翻って、われわれ日本人はそのことをどれだけ真剣に考えてきたのか、忸怩たるものがある。 沖縄を始め、フィリピン、パラオなど、さきの戦争の激戦地を回る慰霊の旅を続けてきた。
・内田樹(注)は、2016年8月8日の「おことば」の中に「象徴」という言葉が8回使われたことに注目する。とくに印象的だったのは「象徴的」という言葉だった。象徴とはそこにあるだけで機能するもので、それを裏付ける実践は要求されないから、これは論理的に矛盾していると内田はいう。 「しかし、陛下は形容詞矛盾をあえて犯すことで、象徴天皇にはそのために果たすべき『象徴的行為』があるという新しい天皇制解釈に踏み込んだ。そこで言われた象徴的行為とは実質的には『鎮魂』と『慰藉』のことです」(『街場の天皇論』東洋経済新報社)
((注)内田樹氏は日本の哲学研究者、コラムニスト、思想家、倫理学者、武道家、翻訳家)
・鎮魂とは、さきの戦争で斃(たお)れた人々の霊を鎮めるための祈り。慰藉とはさまざまな災害の被災者を訪れ、彼らと同じように床に膝をつき、傷ついた生者たちに慰めの言葉をかけること。 天皇の「おことば」は、象徴という言葉が何を意味するか考え抜き、儀式の新たな解釈を提示した画期的なものだと内田はいう。
▽A級戦犯に送った追悼メッセージ
・だが、この時も安倍官邸の対応は冷ややかだった。以前から、平和憲法を守ろうという天皇皇后に対して、主権在権(力)を目指し、いつでも戦争のできる「普通の国」にしようと、改憲をもくろむ安倍との確執は、見えないところで火花を散らしていたのである。
・2014年、安倍はA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に、自民党総裁名で追悼メッセージを送っていた。 連合国による裁判を「報復」だとし、処刑された者たちを「昭和殉教者」と慰霊する法要で、安倍は戦犯たち全員を「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と書いてあったという。
・その2カ月後、皇后が80歳の誕生日前のコメントで、中学生の時A級戦犯に対する判決いい渡しをラジオで聞き、その時の強い恐怖を忘れることができない、その怖れは、「恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」。
・私見だが、国や国民に対して責任を負うということは、どれほど身の震えるような重大なことか考えたことがあるのかと、安倍に向けていいたかったのであろう。
▽日本では、どうしても記憶しなければならないことが4つある
・天皇はことあるごとに、「終戦直後よくいわれた平和国家、文化国家という言葉は私達の世代のものには懐かしい響きがあります。これをもう一度かみしめてみたい」(41歳の誕生日を前に)と語っている。
・皇太子時代にも、「日本では、どうしても記憶しなければならないことが4つあると思います。昨日の広島の原爆、それから明後日の長崎の原爆の日、そして6月23日の沖縄の戦いの終結の日」。 それに終戦の日である。平和のありがたさをかみしめ、平和を守っていきたいと結んでいる。
・激戦地サイパンを訪れた時も、「日本には昭和の初めから昭和20年の終戦までほとんど平和な時がありませんでした。この過去の歴史をその後の時代とともに正しく理解しようと努めることは日本人自身にとって、また日本人が世界の人々と交わっていくためにも極めて大切なことと思います」。  2015年には日本兵約1万人、米軍兵士約2000人が命を落としたパラオ共和国のペリリュー島を訪問して、悲しい歴史があったことを決して忘れてはならないと述べている。
・中でも沖縄への思いは強く、何度も訪れている。1996年の記者会見では、「沖縄の問題では、日米両国政府の間で十分話し合われ、沖縄県民の幸せに配慮した解決の道が開かれていくことを願っております」。
▽生前退位の恒久化や皇室典範改正を無視
・戦後70年にあたる15年1月の「ご感想」では、日本人のほとんどが忘れかけていることにまで言及したのだ。 「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切だと思っています」 こうした発言を見ていけば、改憲には反対という姿勢が明確になる。それに反発している安倍官邸は、「おことば」で触れられている生前退位の恒久化や皇室典範改正を無視した。
・安倍自民党の改憲草案では、天皇を「日本国の元首」としているが、内田にいわせれば、絶対的存在にして、「それと同時に国民から隔離して、その意思を伝える手立てを奪」い、傀儡として操作し、何をすべきかを決めるのは天皇ではなく、天皇へアクセスできる少数の者たちで、戦前のような「独裁制」をつくろうとしていると喝破する。
▽「陛下をトランプさんに会わせていいものか」
・『週刊新潮』(11月30日号)は、9月に「皇后の乱」があったと報じている。 トランプ米大統領が来日した際、皇居に招かれて天皇皇后両陛下に会ったが、その調整が行われていた9月頭ごろ、美智子皇后が「陛下をトランプさんに会わせていいものか」という懸念を周囲に漏らしていたというのだ。
・トランプ信奉者の安倍は、そんな話が今頃になって流れることに、「面白くない」と憤っていると新潮は報じている。 トランプと並んで写真を撮られ、その会話の中身や写真をツイートされ、「日本のエンペラーに会ったぜ! グレイト」などと書かれるのが心配だったようだ。
・だが、トランプは国賓扱いではなく、公式実務訪問賓客という扱いになったので、宮中晩餐会を催し、両陛下がトランプと席を一緒にすることはなく、美智子皇后の心配は杞憂(きゆう)に終わった。
・まだまだ天皇皇后と宮内庁VS.安倍首相という「犬猿の仲」は予断を許さないようだ。宮内庁関係者がこう語っている。 「陛下ご自身、『皇室の安定的な存続』や『象徴天皇のあり方』に頭を悩まされてきました。そこから、女性宮家創設や生前退位について前向きに検討するよう、折に触れて官邸へ“ボール”を投げて来られたのですが、安倍政権はそれを喫緊の課題と受け止めることはなかった」)
▽日本国憲法第9条の最後の守護者
・この日本国のトップのバトルの勝者はどちらになるのだろうか。 内田は、憲法を擁護する天皇と、現代憲法はみっともないから早く廃絶して、立法府、司法府を形骸化して、独裁体制をつくることにジタバタしている安倍首相では、「両者の語る言葉の重さの違い、国民に向かうときの誠実さの違いは、日本人なら誰でもわかると思います」と、安倍には全く分がないという。
・私もそう思いたい。だが、残り時間の少ない安倍首相が、さきの選挙で得た議席数を背景に、「国難だ、国難だ」といい放ち、なりふり構わない改憲へ突き進む恐れなしとはしない。 天皇を日本国民統合の象徴としたのはアメリカで、日本人のあずかり知らないところで決められた。だが現在、日本人の多くは、天皇を平和の象徴として、日本国憲法第9条の最後の守護者として敬意を寄せていることは間違いない。
・戦前を美化し、強い日本を取り戻そうなどといい放ち、日本を再び戦火の渦に巻き込もうとする安倍政権に対して、「ノー」を突きつけている天皇皇后を孤立させてはならない。 戦後一度も手にしたことのない「国民主権」なるものを自分たちの手でしっかりつかみ取り、安倍政権打倒はもちろんのこと、アメリカから日本の「主権」を取り戻すために何ができるのかを考える時である。 戦後初めてといってもいいだろう、天皇皇后から日本国民に突きつけられた難問を解く時間は、それほど残ってはいない。
http://president.jp/articles/-/23938

第一の記事で、『官邸関係者の打ち明け話』、が安倍政権に都合がいいように捏造していたとは驚きだ。 『天皇陛下の安倍首相に対する「恨み骨髄」の怒りのあらわれに違いない。 自らの退位の礼まで勝手に自己宣伝のための外交の道具に使うのは許さない、ということだ。 安倍首相の罪は大きく、深い』、というのは全く同感である。
第二の記事で、『3月末日退位、4月1日即位』、との宮内庁案を、『官邸がそれをひっくり返して、4月末日退位、5月1日即位にした。御厨も「改元の日はメーデー(労働者の日)ですよ」と驚いている。何としても宮内庁、その後ろにいる天皇・皇后のいいなりにはならないという、安倍の強い「決意」がうかがえる』、安倍首相の天皇家に対する高飛車な態度には改めて驚かされた。 『「陛下は、“心残りがあるとしたら……”という言葉を口にされています。具体的には、女性宮家を創設できなかったこと、そしてアジアで訪問していない国があること、ですね」 安倍首相は、女性宮家が固まれば、女性天皇の議論も深まることを恐れたのだといわれている。当然ながら、訪問していない国「韓国」に対しても、安倍はいい感情を持ってはいない』という安倍首相のサボタージュには怒りさえ感じる。『ウルトラ保守の中で“タブー”となっているルーツについても触れた』、というのは初めて知った。やはり、ウルトラ保守には「不都合」なのだろう。 『陛下は形容詞矛盾をあえて犯すことで、象徴天皇にはそのために果たすべき『象徴的行為』があるという新しい天皇制解釈に踏み込んだ。そこで言われた象徴的行為とは実質的には『鎮魂』と『慰藉』のことです」』、というので、高齢をおして『激戦地を回る慰霊の旅』をされている理由の一端が分った。 『安倍自民党の改憲草案では、天皇を「日本国の元首」としているが、内田にいわせれば、絶対的存在にして、「それと同時に国民から隔離して、その意思を伝える手立てを奪」い、傀儡として操作し、何をすべきかを決めるのは天皇ではなく、天皇へアクセスできる少数の者たちで、戦前のような「独裁制」をつくろうとしていると喝破する』、というのは恐ろしい悪巧みという他ない。 『戦前を美化し、強い日本を取り戻そうなどといい放ち、日本を再び戦火の渦に巻き込もうとする安倍政権に対して、「ノー」を突きつけている天皇皇后を孤立させてはならない。 戦後一度も手にしたことのない「国民主権」なるものを自分たちの手でしっかりつかみ取り、安倍政権打倒はもちろんのこと、アメリカから日本の「主権」を取り戻すために何ができるのかを考える時である。 戦後初めてといってもいいだろう、天皇皇后から日本国民に突きつけられた難問を解く時間は、それほど残ってはいない』、との結びには、諸手を挙げて賛成したい。
タグ:天皇陛下 内田樹 天木直人 PRESIDENT ONLINE 同氏のブログ 退位問題 (その3)(天皇陛下の安倍首相に対する「御恨み骨髄」は本当だった、なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安倍首相との"バトル"の結果は?) 「天皇陛下の安倍首相に対する「御恨み骨髄」は本当だった」 天皇陛下は安倍首相に対して「御恨み骨髄」であると侍従職関係者が言っているらしい 陛下は、一般参賀はもとより、外国賓客を招くことも望んでおられないと山本宮内庁長官が明言 安倍首相が2019年に、退位の礼と即位の礼の二度にわたって一大外交行事を行おうとしている事に対する反発に違いない 山本長官は、週刊新潮が12月14日号で「一般参賀のような形で国民にメッセージを発し、パレードをしたいと考えておられるようです」とする官邸関係者の打ち明け話」を掲載した事に対して抗議 山本宮内庁長官は、週刊新潮に抗議する形で安倍官邸に抗議したのだ 天皇陛下の安倍首相に対する「恨み骨髄」の怒りのあらわれに違いない。 自らの退位の礼まで勝手に自己宣伝のための外交の道具に使うのは許さない、ということだ。 安倍首相の罪は大きく、深い 元木 昌彦 「なぜ天皇陛下の退位は4月末日になったか 安倍首相との"バトル"の結果は?」 安倍官邸は当初、平成30年の大みそか、退位、元旦、即位・改元にしたかった 宮内庁が抵抗した。年末年始には皇室行事が重なるから、3月末日退位、4月1日即位にしたいと主張 今度は官邸がそれをひっくり返して、4月末日退位、5月1日即位にした。御厨も「改元の日はメーデー(労働者の日)ですよ」と驚いている 何としても宮内庁、その後ろにいる天皇・皇后のいいなりにはならないという、安倍の強い「決意」がうかがえる 「陛下は、“心残りがあるとしたら……”という言葉を口にされています。具体的には、女性宮家を創設できなかったこと、そしてアジアで訪問していない国があること、ですね」 安倍政権になってからいろいろなことが進まなくなったという状況があって、陛下が焦りのようなものを感じておられたのは当然そうだと思います 桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫 ウルトラ保守の中で“タブー”となっているルーツについても触れた 沖縄を始め、フィリピン、パラオなど、さきの戦争の激戦地を回る慰霊の旅を続けてきた 陛下は形容詞矛盾をあえて犯すことで、象徴天皇にはそのために果たすべき『象徴的行為』があるという新しい天皇制解釈に踏み込んだ。そこで言われた象徴的行為とは実質的には『鎮魂』と『慰藉』のことです」 安倍官邸の対応は冷ややかだった。以前から、平和憲法を守ろうという天皇皇后に対して、主権在権(力)を目指し、いつでも戦争のできる「普通の国」にしようと、改憲をもくろむ安倍との確執は、見えないところで火花を散らしていたのである 安倍はA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に、自民党総裁名で追悼メッセージを送っていた 連合国による裁判を「報復」だとし、処刑された者たちを「昭和殉教者」と慰霊する法要で、安倍は戦犯たち全員を「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と書いてあった 皇后が80歳の誕生日前のコメント 「恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」 国や国民に対して責任を負うということは、どれほど身の震えるような重大なことか考えたことがあるのかと、安倍に向けていいたかったのであろう 日本では、どうしても記憶しなければならないことが4つある 広島の原爆、それから明後日の長崎の原爆の日、そして6月23日の沖縄の戦いの終結の日」。 それに終戦の日 生前退位の恒久化や皇室典範改正を無視 戦後70年にあたる15年1月の「ご感想」 「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切だと思っています」 こうした発言を見ていけば、改憲には反対という姿勢が明確になる 安倍自民党の改憲草案では、天皇を「日本国の元首」としているが、内田にいわせれば、絶対的存在にして、「それと同時に国民から隔離して、その意思を伝える手立てを奪」い、傀儡として操作し、何をすべきかを決めるのは天皇ではなく、天皇へアクセスできる少数の者たちで、戦前のような「独裁制」をつくろうとしていると喝破する 「陛下をトランプさんに会わせていいものか」 「皇后の乱」 日本国憲法第9条の最後の守護者 憲法を擁護する天皇と、現代憲法はみっともないから早く廃絶して、立法府、司法府を形骸化して、独裁体制をつくることにジタバタしている安倍首相では、「両者の語る言葉の重さの違い、国民に向かうときの誠実さの違いは、日本人なら誰でもわかると思います 戦前を美化し、強い日本を取り戻そうなどといい放ち、日本を再び戦火の渦に巻き込もうとする安倍政権に対して、「ノー」を突きつけている天皇皇后を孤立させてはならない 戦後一度も手にしたことのない「国民主権」なるものを自分たちの手でしっかりつかみ取り、安倍政権打倒はもちろんのこと、アメリカから日本の「主権」を取り戻すために何ができるのかを考える時である。 戦後初めてといってもいいだろう、天皇皇后から日本国民に突きつけられた難問を解く時間は、それほど残ってはいない
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今日は都合により更新を休むので、明日にご期待を!

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