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安倍内閣の問題閣僚等(その5)(個室ヨガと放任型リーダーが部下を潰す リーダーとは危機に対処するための“装置”、河野外相ツイートが炎上 切望した外遊の中身は“観光”同然、野田聖子と『GACKTコイン』をめぐる圧力騒動の全舞台裏 自民党総裁選出馬どころではない) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、昨年7月2日に取上げたままだった。今日は、(その5)(個室ヨガと放任型リーダーが部下を潰す リーダーとは危機に対処するための“装置”、河野外相ツイートが炎上 切望した外遊の中身は“観光”同然、野田聖子と『GACKTコイン』をめぐる圧力騒動の全舞台裏 自民党総裁選出馬どころではない)である。

先ずは、健康社会学者の河合 薫氏が5月1日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「個室ヨガと放任型リーダーが部下を潰す リーダーとは危機に対処するための“装置”」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/042700157/?P=1
・『4月の4週目に、林芳正文部科学大臣が公用車を使って平日の真っ昼間に、「個室ヨガ」に通ったとする報道があった。セクシーヨガだの、キャバクラヨガ、さらには元AV女優だの相変わらずの“ジェンダー・ステレオタイプ”越しの事実誤認報道にはウンザリしたけど、大臣も大臣。どちらも真面目に働いている人には、失礼なお話である』、『問題は大臣がヨガで汗を流していたまさしく4月16日のその時間は、衆議院決算委員会が行なわれていた時間帯だった。 加計学園問題の“首相案件”文書を巡り、文科省の瀧本審議官が追及を受け、「関係者のヒアリングにより当該文書の存否を、確認しているところでございます」と回答』国会で部下が追求を受けている最中に、「個室ヨガ」とはいい気なものだ。
・『実はあの報道があった直後、中間管理職の方たちと意見交換する機会があった。 そこではやっぱりセクハラ問題が話題になったのだが、40代の課長職の男性が「林大臣の方が悪質だ」と言い始めた。「確かにそうかも。こっちが納期ギリギリで必死こいてやってるのに、上司がゴルフに行ったと聞いたときにはやる気失せた」「ヨガだけならまだしも、指圧オイルマッサージはないよなぁ。自分がリラックスする前に部下たちをマッサージに連れていってやってくれよ」「みんなヤケクソになって、バンバン“首相案件”文書、見つけてくるかも(笑)」「あるいはバカらしくなって、捜索するのを止めるか」などなど、「リーダーとしてどうなの?」という話で、あれこれ話すことになったのである』、中間管理職たちの受け止めは正直だ。
・『実際、林大臣の記者会見からは、「国会で矢面に立っていた部下にも、省内で必死に探していた職員たちにも申し訳なかった」という“お気持ち”は一切感じ取れませんでしたね。 一緒に職員に交じって捜索せよ! とは微塵も思わないけど、要するに気持ちの問題。 あのタイミングで堂々とヨガに行くことも・・・、公用車の使用について「公務の円滑な遂行を図るためという文科省のルールにのっとっている」と強調したことも、私が部下だったら「チッ」っと舌打ちし、グレる・・・というわけで、今回は「リーダーのお仕事」について考えてみる』、なるほど。
・(企業でも)『アレコレ細かく指示する上司はウザいが、無関心な上司はウザい上司以上にやっかいな存在である。 ナニを言っても、ナニをやっても、のれんに腕押し。 結局のところ、部下に干渉しない上司は自分にしか興味がないので、都合の悪いことが起きれば責任を部下に押しつけ、とんずらする。それができてしまうのが、「階層組織の常」というものだったりもする』、あり得る話だ。
・『リーダーシップ類型はいくつかあるが、フォロワー(部下)たちの心理や行動に言及したのが、「社会心理学の父」と呼ばれる、クルト・レヴィンの「専制型」「民主型」「放任型」の3分類である・・・実験では、11歳の少年たちが週に一度集まり、仮面を作るなどいろいろな活動をするクラブを作った。そして、このクラブを指導する大人が、「専制型ー権威主義」「民主型ー民主主義」「放任型ー自由放任」の3つのタイプのリーダーシップをそれぞれ演じ、子どもたちの状態を観察したのだ・・・レヴィン博士はその後、対象を変えて実験を重ね、次のような結論を報告している(アイオワ研究)。専制型のリーダーシップは、短期的には他の類型よりも仕事量が多く、高い生産性を得ることができる。しかし、長期的には、メンバーが相互に反感や不信感を抱くようになり、効果的ではない。 民主型のリーダーシップは、短期的には専制型リーダーシップより生産性が低いが、長期的には高い生産性をあげる。メンバー間に友好的な雰囲気が生まれ、集団の団結度が高くなる。 放任型のリーダーシップは、組織のまとまりもなく、メンバーの士気も低く、仕事の量・質とも最も低い。 ただし、「組織の立ち上げ当初は『専制型』、安定してきたら『民主型』など、組織の形態や成長度合いによって、望ましいリーダーシップ類型を使い分ける方がより効果的と考えられる」と。 また、いかなるリーダーもトレーニングを受けることで、それぞれのスタイルを獲得することができるとし、「人は環境で変わる。人は環境を変えることができる」という、極めて健康社会学的見解を提示したのである』、言われてみれば、妥当な結論だ。
・『今、社会心理学分野で問題になっているのが、放任型の中の亜流である、不在の(=absentee)リーダーシップだ・・・ 彼らはリーダーでありながらリーダーシップを放棄。精神的に「欠勤状態」になっているのだ。 そんな人が、なぜリーダーに? と思うかもしれないけど、彼らは上には自分の存在意義を示し、コミットしているので上司の評価は意外にも高い。また、問題が起きても自分は何もしていないので責任逃れが容易だ。 で、その“absentee上司”が、部下や職場に及ぼす影響を調査したところ、「部下の職務満足度を少なくとも2年間は低下させる」ことが分かった・・・さらに、部下たちは「役割の曖昧さ」にストレスを感じ、チームメンバーの人間関係も悪化。その結果、モチベーションの低下や、ストレス症状に悩まされる部下が量産され、欠勤や辞職で、組織の生産性を低下させる可能性が示唆されたのだ。 absentee、恐るべし。 リーダーがいなくても回るチームを目指せ! とか、リーダー不在の方が、メンバーの士気が高まり、生産性があがる! とするリーダーシップ論考は山のように存在するが、言うまでもなくそこには、「リーダーはリーダーとしてのお仕事をする」という前提がある。 リーダーはリーダー。腐ってもリーダー。 リーダーとは危機的状況に対処するための“装置”だ』、林芳正文部科学大臣のはまさに不在のリーダーシップだ。文科省で最近、汚職事件が相次いでいることに、もつながっているのかも知れない。

次に、7月18日付け日刊ゲンダイ「河野外相ツイートが炎上 切望した外遊の中身は“観光”同然」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233540/1
・『外遊をキャンセルした安倍首相の代理として、12~14日の日程で渡仏した河野太郎外相。国内では豪雨被害で多くの被災者が苦しんでいるというのに、まるで“観光”を楽しんでいるかのようなツイートを投稿し、大炎上している・・・河野氏は14日付のツイッターで、フランス外務省に設置された賓客をもてなす「王の寝室」を写真付きで紹介。河野氏のツイッターによると、イギリス国王だったジョージ6世の寝室として用意された部屋だそうだ。〈(賓客は)横になるのではなく、こんな風に寝たそうです〉と、上半身をクッションにもたせ掛けながら、ゴロリと横たわる写真を投稿している』、やれやれ一体、何を考えているのだろう。
・『案の定、ツイッターには〈大雨も被災者も放ったらかしで、公費で物見遊山かいな〉〈フランス旅行楽しんでる写真にしか見えん〉〈あの酒盛りと次元は同じですよね〉と批判の声が殺到し、大炎上しているのだ。 河野氏はつい最近、野党の要求で国会に出席したせいで、海外出張に数千万円のチャーター機を使わざるを得なかったと主張。「税金の無駄遣いだ」と野党にイチャモンをつけたばかり。昨年末には「外相専用機を買ってくれ」などと“おねだり”する始末だ』、野党にイチャモンをつけるなど、「お門違い」も甚だしい。英語でのコミュニケーションには問題ないようだが、こんな姿勢では思いやられる。

第三に、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が7月26日付け現代ビジネスに寄稿した「野田聖子と『GACKTコイン』をめぐる圧力騒動の全舞台裏 自民党総裁選出馬どころではない」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56716
・『「金融庁の担当者を呼び、無登録での仮想通貨交換業を行なっていたとして金融庁から通告を受けていた業者を同席させたうえで、庁のスタンスを説明させていた」という問題は、夫の野田文信氏も絡んでいるだけに、今後、大きな問題に発展しかねない。 報道を受けて野田氏は、「仮想通貨業の一般的な説明を受けただけで、圧力ではない」と、会見で釈明、政治家としての認識不足を露わにした。秘書が呼び付け、監督官庁の担当者が議員会館の野田事務所に出向き、違法を疑われる業者に説明するのは、圧力以外の何物でもない。疑わしき業者は、監督官庁に自ら出向き、「意向を伺う」のが普通だ』、この事件には、心底、驚かされた。これでは、単なる陳情ではなく、金融庁への明らかな圧力と野田事務所への機密漏洩である。
・『スピンドルとは、参加者が自分の資金と引き換えにSPDトークンを取得、それを用いて仮想通貨ヘッジファンドに投資するというICO(仮想通貨を使った資金調達でイニシャル・コイン・オファリングの略)プロジェクトである。 2017年は仮想通貨が軒並み上昇、バブルの様相を呈したが、それに伴ってICOプロジェクトも次々に立ち上がり、スピンドルは17年末にホワイトペーパーと呼ばれる事業計画書を発表。その前に「プレセール」という形で募集を開始しており、GACKTの参加もあって人気を高めていた。 同時に、批判も集めた。第一に、創立メンバーのなかに財務省から行政処分を受けた人間がいることであり、第二に、BLACK社が仮想通貨交換業者として登録を受けておらず、申請もしていないことだった・・・BLACK社は、1月15日付けで弁護士の「法務意見書」を提出した。要点を示せば、「スピンドルは仮想通貨に該当しないため、登録の必要はない」というものだった』、仮想通貨に該当しないと強弁する神経には驚かされた。
・『野田氏が「知り合い」であると認める歌手で俳優のGACKTがスタッフとして参加、「広告塔」にもなっている関係で、スピンドルには「GACKTコイン」の別名もある・・・日本での仮想通貨業者登録を諦めたスピンドルは、5月19日、日本以外の世界4ヵ所の仮想通貨取引所に上場する。価格は、上場直後、20円近くにまで上昇するものの、3・3円に暴落。その後、6・4円にまで回復したこともあったが、売り圧力が強くて急落、現在、1円内外で推移している。上限まで発行しても時価総額は100億円に満たず、しかも売ればさらに下がるから売るに売れない。上場時に見た時価総額2000億円、仲間内で400億円の夢は、一瞬で消えた』、当然だが、プレセールで高値掴みさせられた投資家はたまったものではないだろう。
・『スピンドルは失敗したICOプロジェクト。壊れた夢は仲間割れを生み、互いを刺す内紛に発展しかねず、その萌芽は、既に出始めている。 そうなると「野田夫妻のスピンドルに向けた政治力」が、さらにオープンになる。となると、プレセールなどで高値を掴まされて恨みを抱えた投資家が黙っているとは思えず、訴訟にも発展。野田氏は、「夫のやったこと」で済ませることはできまい』、ちなみに夫は反社会的勢力に関係していたともいわれる。数少ない安倍対抗馬が、総裁選挙出馬どころではなくなるというのは残念だが、こんな事件を引き起こしたのではやむを得まい。
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外国人労働者問題(その5)(バスケ留学生「事件」と外国人受け入れの深い闇 サポート体制の議論が必要、骨太方針の「外国人労働者受け入れ」は日本人労働者にとって不利益だ、外国人労働者に新資格 安易な拡大に危うさ さらなる受け入れ増には課題が多い) [経済政策]

外国人労働者問題については、6月16日に取上げた。今日は、(その5)(バスケ留学生「事件」と外国人受け入れの深い闇 サポート体制の議論が必要、骨太方針の「外国人労働者受け入れ」は日本人労働者にとって不利益だ、外国人労働者に新資格 安易な拡大に危うさ さらなる受け入れ増には課題が多い)である。

先ずは、健康社会学者の河合 薫氏が7月3日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「バスケ留学生「事件」と外国人受け入れの深い闇 サポート体制の議論が必要」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/070200166/?P=1
・『6月24日付朝刊各紙の三面記事に「高校バスケ留学生、自主退学」という小さな囲み記事が出た・・・全九州高校体育大会のバスケットボール男子の準決勝での「事件」・・・「事件」が起きたのは、6月17日。延岡学園vs.福岡大大濠の試合で、延岡学園1年の留学生(15)が、審判のファウルホイッスルを不服とし、審判の顔面を殴打。しかも「グー」。平手ではなくこぶしで顔面を殴り、審判員は出血しその場に後頭部から倒れてしまったのある・・・前代未聞の事件で試合は「続行不能」と判断され、その場で終了。 留学生は監督に抱きつき「ごめんなさい。ごめんなさい」と号泣し、見ているのが切ないくらい2m4cmの大きな体を屈め、監督の前にひざまづき、小さな子供のようにワンワン泣いた』、この記事は読み飛ばしたためか、記憶にない。
・『実はこの留学生は、今年2月にアフリカのコンゴ民主共和国から来日した青年で、バスケットボールはほぼ未経験だった。手が長くジャンプ力もスピードもあり、その「身体能力の高さ」を評価され、スポーツ留学した。 ところが延岡学園には彼の母国語であるフランス語を話せる人はひとりもおらず、春ごろからホームシック気味に。「家に帰りたい」と学校側に訴えていたところで、今回の「事件」が起きてしまったのだ。 同校は6月23日の会見で、この留学生を6月末までに帰国させると発表』、来日したばかりで、サポート体制がないまま事件になったとは、加害者の生徒にも同情を禁じ得ない。
・『そこで明かされたのが、日本社会の負の側面だったのである。試合直後からSNS上では留学生への猛烈なバッシングが始まり、中にはヘイト紛いのものや、暴力行使を示唆するものまで横行。翌日から、学校には電話やメールが深夜まで相次いだ・・・インターネット上では留学生の顔写真が拡散。県警に相談するほどの事態だったという。 佐藤則夫校長は「不測の事態もあり得るので、本人をできるだけ早く帰国させたい」とコメント。「事件はコミュニケーション不足」が最大の原因とし、今後は留学生の母国語が話せる非常勤教職員を雇うことなどを検討中だと話したという……』、学校側の対応は、厄介払い、トカゲの尻尾切り的で無責任な印象を受ける。
・『殴ってしまったことは悪い。どんな理由があれ、許されることではないかもしれない。 だが、日本語もわからない、生活文化も異なる15歳の青年を、なんらサポートすることなく来日させるってナニ? 学校側は彼をただの「勝つためための道具」としてしか見てなかったってことなのだろうか? 高校や大学のスポーツ留学生の受け入れ態勢は、何年も前から問題が指摘されていた。特に2008年の福田内閣の時に、突如「留学生30万人計画骨子」なるもので、「20年を目途に留学生受入れ30万人を目指す」と発表したころから、留学生に対する生活や学業面等での支援や教育の質が懸念され続けている』、「留学生30万人計画骨子」では奨学金、生活支援などの受け入れ環境を整えるとしているので、おそらく国費も出ているのだろう。
なお、計画の骨子概要は http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2008/07/29gaiyou.pdf
・『留学生はある意味、「非公式のアンバサダー」だ。 本来であれば、日本文化の習得や、「私たちの仲間」としてのネットワークの構築、さらには「日本に来て良かった!」と思えるようなキャンパスライフを提供することも日本社会の使命のはず。 ところが対応は全て現場まかせ。一部の優良な学校以外は、スポーツで勝つことだけを留学生に課した。 先の延岡学園の留学生は、スマホの翻訳アプリで学生たちとコミュニケーションをとっていたとも報じられている・・・言葉も生活も文化も違う異国の地で親と離れて暮らす青年へのサポート体制の欠如は、極めて由々しき問題である。事件が起きたから「今後は母国語が話せる非常勤教職員を雇うことなどを検討中」などという言い訳は、全くもって意味不明だ』、号令だけかけてあとは現場任せの政府の無責任さも大問題だ。
・『政府は25年度までに50万人超の外国人を受け入れるとしているけど、受け入れた「後」のサポート体制は全くと言っていいほど議論されていない。 チームが勝つために、体格のいい外国人留学生を来日させるように、「日本人がやりたがらない3K職場に、外国人労働者を受け入れるぞ!」とばかりに門戸だけを開く。そんな“自己都合主義勝手国”を、どこの誰が愛し、わざわざ来てくれるだろうか。 外国人労働者数は、17年10月末時点で127万8670人(前年同期から18%増)。12年から急激に増加しており、ここ5年間では約60万人増え、日本の雇用者総数の約2%を占める。 もっとも多いのが中国から来る人たちで、37万2263人。全体の29.1%を占める。次いで、ベトナムの18.8%、フィリピンの11.5%。伸び率はベトナムが最も高く、前年同期と比べて約4割増えた』、政府は今回も号令だけでいくようだ。
・『「強制労働」と国際的に批判を受けている日本の「技能実習生」とは対照的に、国際的に高い評価を受けているのが、隣国、韓国の「雇用許可制」だ。 雇用許可制は10年9月、国際労働機関(ILO) からアジアの「先進的な移住管理システム」と 評価され,11年6月には国連から「公共行政における腐敗の防止と戦い」分野における最も権威ある賞とされる「国連公共行政大賞」を受賞した。 それを可能にしたのが、「日本モデル」からの脱却である・・・韓国は1980年代ごろから、日本の研修生制度をモデルに外国人労働者受け入れをスタート。だが、賃金不払い、不法労働者化、人権侵害、悪質ブローカーなどの問題が発生し「現代版奴隷制度」と揶揄された。 そこで盧武鉉政権の下、「日本モデル」 を捨て2004年8月に「外国人勤労者雇用などに関する法律」を施行。「雇用許可制」という、国内で労働者を雇用できない韓国企業が政府から雇用許可書を受給し、合法的に外国人労働者を雇用できる制度を導入したのである・・・国民からの強い後押しを受け、外国人を単なる「労働者」とせず、「生活者」として受け入れる政策を進め、「外国人処遇基本法」(07年)、「多文化家族支援法」08年)などを相次いで制定。外国人参政権も認められるようになった』、韓国が「日本モデル」から脱却して成功したとは皮肉だ。
・『日本人は旅行者の「外国人」には優しいのに、共に生活する「外国人」になぜ、こんなにも冷たいのか? 「日本は見えない鎖国がある」――。日本で働く外国人がこう嘆くように、それ「グローバル化だ!」やれ「ダイバーシティーだ!」と言うわりには、異質なものを認めたくない人たちなのか? と残念で仕方がないのです』、全く同感だ。
・『私たち家族が引っ越したのは6月で、現地は夏休みだった。「少しでも慣れるために」と、私はサマースクールに通わされたのだが、その時一番困ったのは、「トイレ」だった。 トイレに行きたいのだが、どこにあるかがわからない。授業も何時に終わるかもわからない。 普通に日本で暮らしていれば、小学4年生がトイレに困ることはない。「トイレに行きたい」と言えばいいし、「トイレはどこ?」と聞けばいい。なんら問題はないはずである。 が、アラバマの地の「小学校4年生の黒髪の少女」はどうしていいかわからず、ひたすら我慢した。必死で必死で我慢した。涙が出るほど、必死で我慢しまくった。 ……でも、我慢しきれなかった。 幸運にも先生がいち早く気づき、他の生徒が気づかないようにケアしてくれたことで、黒髪の少女は「いじめられず」に済んだ。 そして、その翌日から先生はかならず授業が始まる前に、先生は「キャオル、come here」と私を呼び寄せ、トイレに連れて行ってくれたのである。 さらに、ランチタイムが終わると「今日は校内をハイキングよ!」と、他の生徒も連れて、学校のどこに、ナニがあるかをひとつひとつ教えてくれたのだ。 言葉がわからない異国の地では、普通であれば容易にクリアできる問題が大きな「壁」になり、全く想像しないような事態に遭遇する。 ただ単に「なんか困ったことがあったら、相談にきてね」とすることは支援にならない。「きっとここは困るだろう」とか、「ここには知っておかないとトラブルになるかもしれない」と先回りしてサポートすることが、「生活者」として受け入れるってことなんじゃないのか?』、との自らの恥ずかしい経験を告白した河合氏の勇気は大したものだ。先回のサポートは確かに重要なようだ。
・『14年8月に「ヤギを盗んで食べた」として逮捕されたベトナム人の実習生が、法廷に提出した謝罪文・・・「悪いことをしたことは自分でもわかっています・・・一所懸命働いてお金をためてベトナムの家族に送るために日本に来ました。(中略) 7ヶ月頑張りました。もう力が無く疲れてしまい、会社を逃げ出しました。お金がなくなってきて、日本語も下手、誰も助けてくれない。ベトナムに帰ろうと思ったけど、借りた150万円返していない。(略)でも、おなかがすいた。スーパーで初めてごはんを万引きしました。命を守るために万引きしました。本当に申し訳ありませんでした」 長野県の農業会社で実習生として働いていた時、朝6時から午前2時まで勤務。手取りは6万程度しかなったとされている』、手取り6万程度では借金返済も無理だろう。「日本嫌い」になりかねないこうした犠牲者を増やさないよう政府は本腰を入れるべきだ。

次に、元銀行員で久留米大学商学部教授の塚崎公義氏が7月6日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「骨太方針の「外国人労働者受け入れ」は日本人労働者にとって不利益だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/174093
・『今回、「外国人労働者の受け入れ」が浮上した背景には、昨今の「労働力不足」がある。しかし、「労働力不足」という言葉は、経営者目線の言葉だ。「今の給料では労働力が集められないから、賃上げをしなければならない。それは嫌だから、外国人労働者を連れてこよう」ということならば、それは労働者にとって迷惑千万な話だ・・・労働者の目線で見れば、労働力不足であるが故に失業せずに済み、給料が上がると期待され、ブラック企業も淘汰されていくのだ。これほどめでたいことはない。日本経済にとっても、実にめでたい話だ』、というのはまさに正論だ。
・『バブル崩壊後の長期低迷期の問題の根源は労働力余剰』、『労働力不足が多くの問題を解決しつつある』、というは労働力の問題に過剰に結び付けているようで、やや違和感を感じた。
・ただ、『外国人労働力の大量導入は望ましい流れを逆転すると危惧』、については概ね同感である。特に、『建設、宿泊、造船に関しては、労働力不足ならば賃金を上げればいいだけで、外国人労働力を導入する必要はない。例外的に、熟練労働者が不足している場合にのみ導入すればいいのであって、熟練労働者は「高度人材に準ずる者」とでも定義すればいいのではないだろか』、はその通りだと思う。

第三に、7月23日付け東洋経済オンライン「外国人労働者に新資格、安易な拡大に危うさ さらなる受け入れ増には課題が多い」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/230315
・『途上国への「技術移転」を目的に1993年に始まった外国人技能実習制度。今では約26万人の実習生が人手不足の77職種に「労働力」を供給している・・・村田農園は1999年から実習生を受け入れている。「最初は安い労働力という意識があったのも事実」と農園代表の村田和寿さんは振り返る。ただ、実習生受け入れが売り上げ拡大に寄与する中、意識は変わっていったという。「今では実習生は貴重な戦力。彼らがいなければ経営は成り立たない」と話す』、なるほど。
・『実習生受け入れにかかるコストは決して安くない。給料などに1人当たり年間200万円程度かかるほか、往復の渡航費も農家の負担だ。実習生の宿舎兼事務所の整備に約2600万円も投資した。実習生は、水道光熱費を含む寮費3万円や税金、国民健康保険料などを天引きされて、月に平均で十数万円の手取りを得る。 グデさんは母国にいる弟の学費として毎月2万円の仕送りをしながら、実習期間の3年間で200万円を貯めた。取材は帰国直前だったが、「可能なら、もっと長く働いて稼ぎたい」と本音を漏らした。帰国後は200万円を元手に土地を買い、カカオの栽培を始める計画だ。日本で学んだ畑の土作りを生かすという』、第一の記事でのベトナム人よりは手取りは多く、3年間で200万円を貯めたとは大したものだ。
・『実習生の受け入れには、農家を監督し、現地の送り出し機関との調整などを行う監理団体がかかわる。鉾田市の監理団体、グリーンビジネス協同組合の塙(はなわ)長一郎・代表理事は「実習生と旅行に行ったり、祭りに参加したりする受け入れ農家も多い」と話す。 とはいえ、一足飛びに関係性ができたわけではない。市内では別の農協系監理団体に属する農家で4年前に残業代の未払い問題が発覚。農協系監理団体は5年間の実習生受け入れ停止処分を受けた。それ以降、この地域では「農家に対しての指導を強め、実習生の権利保護を徹底している」(塙代表理事)。受け入れ体制が厳格化される中で、実習生が仕事や生活をしやすい環境が整ってきた』、確かに実習生の権利保護を徹底するには、農家に対しての指導を強めることも必要だろう。
・『「日本の農家は家族経営が主体。実習生を受け入れている農家でも、外国人労働者をさらに増やすためには、経営者とは別に日本人の管理者が必要となるが、現状では確保が難しい」(同)。問題は結局、待遇の悪さを背景とした日本人の人材不足に行き着く。 「待遇の悪さをいとわない外国人労働者に安易に依存することは、日本の産業界が抱えている問題の先送りにしかならない」と、経済学の視点で外国人労働者問題を研究する慶応義塾大学の中島隆信教授は警鐘を鳴らす。労働集約型の産業は生産性の低さが課題とされるが、それが固定化されることになりかねない』、確かに安易な外国人労働者への依存は、生産性の低さを固定化するとの警鐘を念頭に置く必要がありそうだ。
タグ:東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 河合 薫 塚崎公義 外国人労働者問題 (その5)(バスケ留学生「事件」と外国人受け入れの深い闇 サポート体制の議論が必要、骨太方針の「外国人労働者受け入れ」は日本人労働者にとって不利益だ、外国人労働者に新資格 安易な拡大に危うさ さらなる受け入れ増には課題が多い) 「バスケ留学生「事件」と外国人受け入れの深い闇 サポート体制の議論が必要」 高校バスケ留学生、自主退学 全九州高校体育大会のバスケットボール男子の準決勝での「事件」 延岡学園1年の留学生(15)が、審判のファウルホイッスルを不服とし、審判の顔面を殴打。しかも「グー」。 今年2月にアフリカのコンゴ民主共和国から来日した青年で、バスケットボールはほぼ未経験だった。手が長くジャンプ力もスピードもあり、その「身体能力の高さ」を評価され、スポーツ留学 延岡学園には彼の母国語であるフランス語を話せる人はひとりもおらず、春ごろからホームシック気味に。「家に帰りたい」と学校側に訴えていたところで、今回の「事件」が起きてしまったのだ 日本社会の負の側面 SNS上では留学生への猛烈なバッシングが始まり、中にはヘイト紛いのものや、暴力行使を示唆するものまで横行。翌日から、学校には電話やメールが深夜まで相次いだ 学校側は彼をただの「勝つためための道具」としてしか見てなかったってことなのだろうか? 高校や大学のスポーツ留学生の受け入れ態勢は、何年も前から問題が指摘されていた。特に2008年の福田内閣の時に、突如「留学生30万人計画骨子」なるもので、「20年を目途に留学生受入れ30万人を目指す」と発表したころから、留学生に対する生活や学業面等での支援や教育の質が懸念され続けている 留学生はある意味、「非公式のアンバサダー」 対応は全て現場まかせ。一部の優良な学校以外は、スポーツで勝つことだけを留学生に課した 府は25年度までに50万人超の外国人を受け入れるとしているけど、受け入れた「後」のサポート体制は全くと言っていいほど議論されていない “自己都合主義勝手国”を、どこの誰が愛し、わざわざ来てくれるだろうか 強制労働」と国際的に批判を受けている日本の「技能実習生」とは対照的に 国際的に高い評価を受けているのが、隣国、韓国の「雇用許可制」だ 日本モデル」からの脱却 日本人は旅行者の「外国人」には優しいのに、共に生活する「外国人」になぜ、こんなにも冷たいのか? 「日本は見えない鎖国がある」 それ「グローバル化だ!」やれ「ダイバーシティーだ!」と言うわりには、異質なものを認めたくない人たちなのか? と残念で仕方がないのです 先回りしてサポートすることが、「生活者」として受け入れるってことなんじゃないのか 「ヤギを盗んで食べた」として逮捕されたベトナム人の実習生 朝6時から午前2時まで勤務。手取りは6万程度しかなったとされている 「骨太方針の「外国人労働者受け入れ」は日本人労働者にとって不利益だ」 、「労働力不足」という言葉は、経営者目線の言葉だ。「今の給料では労働力が集められないから、賃上げをしなければならない。それは嫌だから、外国人労働者を連れてこよう」ということならば、それは労働者にとって迷惑千万な話だ 労働者の目線で見れば、労働力不足であるが故に失業せずに済み、給料が上がると期待され、ブラック企業も淘汰されていくのだ。これほどめでたいことはない。日本経済にとっても、実にめでたい話だ 「外国人労働者に新資格、安易な拡大に危うさ さらなる受け入れ増には課題が多い」 外国人技能実習制度。今では約26万人の実習生が人手不足の77職種に「労働力」を供給している 実習生受け入れにかかるコストは決して安くない。給料などに1人当たり年間200万円程度かかるほか、往復の渡航費も農家の負担だ。実習生の宿舎兼事務所の整備に約2600万円も投資した。実習生は、水道光熱費を含む寮費3万円や税金、国民健康保険料などを天引きされて、月に平均で十数万円の手取りを得る 実習生の受け入れには、農家を監督し、現地の送り出し機関との調整などを行う監理団体がかかわる 市内では別の農協系監理団体に属する農家で4年前に残業代の未払い問題が発覚。農協系監理団体は5年間の実習生受け入れ停止処分を受けた それ以降、この地域では「農家に対しての指導を強め、実習生の権利保護を徹底している 待遇の悪さをいとわない外国人労働者に安易に依存することは、日本の産業界が抱えている問題の先送りにしかならない 労働集約型の産業は生産性の低さが課題とされるが、それが固定化されることになりかねない
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”右傾化”(その6)(嫌中・嫌韓をカネに 「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか、民主主義を破壊するネット右翼を撃退せよ! SNSを使った扇動や攻撃から確実に身を守る方法とは、リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで 誰でもネトウヨになる可能性がある、「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく 「批判」や「対立」への強い不快感) [国内政治]

”右傾化”については、昨年12月1日に取上げた。今日は、(その6)(嫌中・嫌韓をカネに 「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか、民主主義を破壊するネット右翼を撃退せよ! SNSを使った扇動や攻撃から確実に身を守る方法とは、リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで 誰でもネトウヨになる可能性がある、「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく 「批判」や「対立」への強い不快感)である。特に、4番目の記事は、極めて参考になる点が大きいので、是非、読んで頂きたい。

先ずは、昨年11月20日付けダイヤモンド・オンライン「嫌中・嫌韓をカネに、「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/150109
・『愛国ビジネスとは、その名の通り国民のナショナリズムをあおり、消費行動につなげていくビジネスモデルのこと・・・日本における愛国ビジネスの実情はどうだろうか。マーケティング・コンサルタントの大西宏氏(ビジネスラボ代表取締役)がこう解説する。 「今や日本でも嫌韓・嫌中サイトで広告収入を得たり、保守系番組『そこまで言って委員会NP』が高視聴率を獲得するなど、“愛国”をビジネスとする市場が広がってきました。森友学園も保守派の父兄を対象にした子育てビジネスといえるでしょう。愛国ビジネスに明確な定義はありませんが、近年の嫌韓本や中国脅威本の書籍売上げをみれば、その市場規模の大きさは分かると思います」』、ネット空間だけでなく、ビジネスにもなっているとの指摘は参考になる。
・『今年の上半期ベストセラー新書によれば、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(ケント・ギルバート、講談社)が40万部以上を売り上げて2位を記録。いわゆる“ヘイト本”が、大ヒットしているのだ。 こうした書籍だけに限らず、今や「愛国マグカップ」「靖国神社Tシャツ」「大東亜共栄圏パーカー」なる愛国グッズまでもが販売されているという』、愛国グッズまでもが販売されているというのまでは、知らなかった。
・『では、なぜ日本における愛国市場はここまで大きく成長したのか。大西氏はその原因の一つをこう分析する。「バブル崩壊以降、日本経済が失速したことで若い人の所得は低下し、将来、年金すらもらえるか分からないという、先行きの見えない不安が蔓延しました。日本人が自信を失う中、2009年に発足した民主党政権は世論の支持を得られず、朝日新聞の『慰安婦報道問題』などリベラル派のオウンゴールが続きました。さらに海外に目を転じれば、中韓の反日運動などもありました。これらの要因が相まって、日本人の中には“アイデンティティー”を求めて保守化に走った人が多かったように思えます」』、なるほど。
・『今やテレビで当たり前となった“日本スゴい!”推しの番組だが、その元祖である『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京)が放送開始されたのが13年。時系列的には民主党政権(09〜12年)が終わって直後のことだが、これも日本人がアイデンティティーを求めた結果なのだろうか』、タイミングの符合はとも角、そうしたムードを盛り立てたことは確かだ。なお、これについては、クールジャパン戦略として4月24日に取上げた。
・『1995年のインターネット元年以降、右派は動画投稿サイトなどネットでの国民煽動に注力していきました。昔から右派は紙を始めとする既存メディアが左派に牛耳られているという意識が強かったのです。確かに、左派やリベラル派と呼ばれる人たちは紙媒体の活字が好きな傾向があり、それに固執してしまったため、結果的にネットに強い右派の“嫌韓・嫌中”の主張が発信力を持つことになりました」・・・「今のメディアの多くは、右派からは『お前んところは左だ!』と言われ、左派からは『右だ!』と言われ、苦しい状況に置かれていますが、結局のところ右に傾倒していると思います。要するに保守的なスタンスの方が“損”をしないということでしょうね」(能川氏)』、というのも参考になる見方だ。

次に、東大准教授で作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督の伊東 乾氏が昨年12月6日付けJBPressに寄稿した「民主主義を破壊するネット右翼を撃退せよ! SNSを使った扇動や攻撃から確実に身を守る方法とは」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51770
・『ドイツ、ミュンヘン工科大学で国際会議に出ています・・・ネット右翼化は下手をすると全世界の民主主義社会を長期にわたって損ねる可能性のある病という認識で、とりわけ日本とドイツ、20世紀後半の高度成長を支えた両国は手を携えてこの問題に取り組んでいきましょう、と合意した内容のエッセンスを、今回はご紹介しましょう』、ドイツでも問題化しているというのは、言われてみればその通りなのだろう。
・『ブロードバンド・インターネットは、放送法も電波法も関係ない「素人」が、政府の監督その他無関係に、どんな内容でも発信できる「マルチキャスト」の無法地帯になってしまったということです。 1995年、インターネット初期、リベラルの人々は「これからはインターネット民主主義だ」と息巻いた。ところが、10年経って現実には、民主主義の原則はおろか、刑事司法も無関係の殺人動画をテロリストが流布できる、荒んだ状況になってしまいました。 「インターネット性善説」は完全に期待を裏切られ、「インターネット性悪説」が21世紀の現実を考える喫水線になってしまった』、確かにその通りだ。
・『これが選挙にまで影響を及ぼし始めたのが、21世紀第2ディケードに現在進行形で進んでいる変質です。日本では2013年から「ネット選挙」が解禁されました。 リアルな選挙活動ではできないことも「ネットワーク匿名性」の影に隠れて、様々に実現可能になっています。「性善説」では民主主義の進展が期待されたけれど、現実には「有力者」「金持ち」といった勢力が、人を雇って様々なネット工作を展開し始めた。 「ネット右翼」が跋扈し始めるのはこの時期からだと、今回の会合では日本のみならずドイツ側知識層からも、厳しい指摘がなされました。 念のため記しておきますが、ドイツでは去る9月の総選挙で極右政党AfD・・・が12.6%の得票率をえて初めて国会に進出、いきなり第3党に躍進し、穏健な良識層に深い懸念を起こさせています・・・昨年2016年には英国の国民投票で、誰もがあり得ないといっていた英国がEU離脱を決定してしまいました。  どうみても合理的な選択ではなく、何も良いことがない国益の激減を民意は選択してしまったのです。 加えて秋には、誰もが冗談候補と思っていたドナルド・トランプ氏が米国の大統領に当選し、米国は本格的に危機的状況を自分自身にも、また全世界にも突きつけ始めてしまいます。  こうした「亡国投票」が続発している背景に、「ネット僭主」の支配が指摘され「メディア陶片追放」や、その背骨をなすべき「デジタル撃退力」の重要性が指摘されています』、なるほど主要先進国共通の問題のようだ。
・『かつてドイツでは、ラジオによるメディア・マインドコントロールによってナチスが異常な高支持率を選挙で得てしまい、欧州全体を破壊する戦争とホロコーストという取り返しのつかない事態を発生させてしまいました。 いま、そうした悪夢を再現させかねないのが「ザッカーバーグの魔術」であり、デジタルメディア・マインドコントロールの罠にほかなりません』、確かに危機感をもっと持たなければいけないようだ。
・『「僭主(tyrant)」とは、古代ギリシャで民主主義を破壊する独裁者を指す言葉で、議会の合議制や民主主義のルールを守らず、賄賂その他の方法で権力、支配力を蓄え、理不尽で不平等、一部の権益だけを護るなど、不法な政治を行う存在です。 例えば、自分のお友達にだけ特権的な公共事業を割り当てる、といった不法は「僭主的」と言ってよいかと思います。日本でもそういう兆候が見え、危険な状態と思いますが、ことは欧州でも米国でも起きています。 その支配の具として濫用され始めているのが21世紀第2ディケードのインターネットである、という認識をもって、正しく「ネット右翼」を撃退根治してゆかないと、とんでもないことになりかねません。 と言うか、現実に「とんでもないこと」は起きているわけです』、安倍政権も確かに「僭主的」だ。
・『「ネット右翼」の特徴と、典型的な撃退法を記しておきたいと思います。 まず最初に押さえておくべきポイントは「ネット右翼はバカである」ということです。これは誹謗中傷ではなく、以下のような定義に基づくものです。 ●論理がない。 ●従って論理的な会話が成立しない。対話による議論の発展や合意が成立しない。 ●利害に基づく(あるいは利害さえ定かでない)結論ありきで、同じことを繰り返す。 ●平気で他者を誹謗中傷する。 ●しばしば匿名である。 この5点が揃うものを、ここでは「ネトウヨ」と定義し、簡略化してこういうものをバカと呼ぶことにしましょう』、よく出来た定義だ。
・『論理がなければバカみたいだし、議論が成立しなければバカバカしいし、バカの一つ覚えは無意味だし、罵詈雑言は愚かしく、名乗らないのは卑怯ですから、略して「バカ」で十分と思います。 逆にこれらに該当しない方とは、建設的な議論が成立するので、そういう方をバカと切り捨てたりは決してしません。 そう、「ネトウヨ撃退法」は、今まさに記した通り「切り捨てる」ことにあります。ロジカルな筋道を高々1つだけ示してディスコネクトする、が骨法です』、なるほど。
・『「スカンクがガスを発したからといって、それより臭いにおいを自分が出していては、さらに環境を汚染することになるでしょう」 あるバイエルン州議員の口から出たこの表現には大いに感心しました。 ヘイトに対してヘイトで応じるような、同じ低レベルに堕落する応酬は一切しない。「ケジメ」をしっかりつけていく「デジタル撃退力」の実力養成には、従来言われてきた「メディア・リテラシー」を超えた「デジタル啓蒙」が必要といった、この先の議論は、回を分けてお話したいと思います』、この先の議論が楽しみだ。

第三に、小説家の王谷 晶氏が7月22日付け現代ビジネスに寄稿した「リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで 誰でもネトウヨになる可能性がある」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56628
・ネット右翼になった壮絶な経緯を長目だが引用しよう。『私がネット右翼だったのは、今から十数年前。24歳から26歳くらいの期間。若かったけれど、ものの分別はついてしかるべき年齢だ。当時は実家暮らしをしていて、引きこもりと鬱と自傷と睡眠導入剤withアルコールの常飲という数え役満みたいな問題を抱えていた。 順を追って書くと、私は18歳で一度実家から上京しいろいろな職業を転々としたのだが、どこも長続きせず精神的にも金銭的にも手詰まりになり21歳のとき早々に実家に戻った。家事能力は低く、自分の身の回りの世話もおぼつかずあらゆる点でだらしなかった(これは今も同じ)。 しばらくは家業を手伝ったり・・・次第に引きこもりがちになり、酒量がじわじわと増えはじめ、4リットルくらい入ってるでかいペットボトル焼酎を1週間足らずで空けるようになり、泥酔してはカッターナイフや煙草の火で自傷行為をするようになり、ついに首吊りの自殺未遂をやらかした。 さすがにこれはまずいと自覚し、心療内科に通うこととなった。ここまでは、たぶん「憧れていた一人暮らしを自分でダメにした」という後悔と自己嫌悪が引き金になっていたのだろうなと思う。 病院では速攻で鬱と診断され、抗鬱剤と睡眠導入剤を飲み始めた。効き目はわりとすぐにあらわれ・・・奇妙な焦りと疲労感が徐々に消え、心がすこんとフラットになった。喜怒哀楽全ての感情が、ボリュームをしぼったように小さくなったのだ。喜びはないが、哀しみもない。 小指の先ほどもないちっちゃい薬ひとつで、あっという間にこんなに気分が変わってしまうのに驚いた。ヒトの精神とか想いとか中身ってなんなんだ、とちょっと虚無感も感じた。 そして、それまで一日中出口もなく考え続けてきた「自分について」という議題にもいきなり興味がなくなった。文章を書くこともほとんど出来なくなっていた。書き始めても完結させられない、オチのある話を作れない。そこそこ閲覧者がいたブログもやめてしまった。長大な暇が目の前に現れた。そうして一日中ただただインターネットから情報をボーッと受け取るだけの毎日が始まってしまったのだった・・・物語を書くこともできなくなっていたけれど、読むのも難しくなっていた。ある程度の長さがある本やテキスト、映画を視聴することができない。途中で気力がなくなってしまうのだ。なので自然と数百文字でオチがつく2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のネタスレや、そのまとめサイトに入り浸るようになった。そこで出会ったのが、「外国人の反応」を集めたまとめサイトだった。 そこには外国人が日本の文化や人に感動したり驚いたりする「ちょっといい話」なネタがまとめられていて、似たようなサイトは他にもいくつかあった。内容はどこも同じで、外国人(登場するのは西欧人が多かった)が日本のアニメ・ゲームはすごいとか、食べ物が美味いとか、人が親切とか、治安がいいとか言ってたよ、というエピソードが大量にまとめられている。それを毎日毎日読みふけっていた。 なぜ「日本すごーいとホメそやす外国人のエピソードまとめ」に惹かれたのか。当時の私は、完全に自分に対する自信を失っていたように思う・・・外国人の反応まとめサイトを読んでいるときは、なぜか気持ちが癒やされた。 学歴も職もなく人生からコースアウトしてしまったと思っていたけれど、それでも「日本人」という属性だけは剥がれ落ちていない。だからそこを褒められると自尊心がくすぐられて、嬉しかったのだと思う。 実際にあった話というていで書かれているエピソードが本当かどうかもどうでもよかった。ホメて認めてほしかった。日本=私を。一つのまとめサイトを読み尽くすとリンクを辿って次のサイトへ。それを繰り返していくうちに、私はいつの間にか主に中国や韓国の話題やニュースをまとめたサイトに辿り着いていた』、なるほど。
・『2ちゃんねるのスレッドを抜粋しまとめたそのサイトでは、中国の環境の悪さや韓国企業が日本の技術やデザインをパクッたという話題がいくつもいくつも並び、そこに大量の罵詈雑言が「意見」として寄せられていた。 そのニュースのソースも信憑性もそもそも分からない。けれど「外国人の反応まとめ」で「日本ってスゴイ!」の地慣らしがされていた私はそこに書かれていたことをまるっと信じてしまった。 日本は間違ってない。中韓はひどい国だ。日本は世界に尊敬されている。私は栄えある日本人。疑いもしなかった。自分でも書き込みを始め、日本を悪く言っているというメディアや個人があれば「叩き」に参加した・・・映画も中国、韓国、香港映画を好んで観ていたし、悪印象どころか好感を持っていた。 はずなのに、私は中韓叩き記事をむさぼり読んでは快感を感じるようになっていた。明らかに理屈が通らないのに、そのときはおかしいとも思わなかった。日本がホメられて嬉しい、では飽き足らず、叩くべき「敵」が人生に現れて楽しかった。なんか目的ができた気になった。バカみたいな話だけど、確かにそういう気持ちだったのだ』、クールジャパンで自信を取り戻したまではよかったが、そのまま嫌韓嫌中に流れたというのは、あり得る話だ。
・『ある日いつものように中韓叩きまとめブログを読んでいたとき。 そこは国内のニュースもトピックに挙げることがあり、その日は電車内の痴漢のニュースが取り上げられていた。まとめられた2ちゃんの意見もコメント欄も、「冤罪をかぶせて金をむしり取る女は死刑」「ちょっと触られたくらいで大げさ」「ブス・ババアほど痴漢と騒ぐ」「女はクズ。まんこしか価値なし」等の女叩きのオンパレード。一気に頭に血が上って反論を書き込み一通りネット上で匿名の相手と罵り合いを続けた。 話は当然噛み合わず平行線の揚げ足取り合戦になり、私は疲れて、そしてふいに気づいてしまった。いま女という属性をひとまとめにされ偏見でもって叩かれ侮辱されていることに怒っているけれど、それは、この数年、自分が中国や韓国に向けてやってたことと同じだ。 目にはまっていたブ厚いウロコが、ぼろっともげ落ちた気分だった。一度そう気付いてしまうと、それまで普通に読んでた中韓叩きまとめ記事が、ソースも曖昧で偏見まみれで悪意が先に立つものばかりなのが分かってしまった・・・恥ずかしかったのは、外国や外国人が叩かれている時は気にならなかったのに、自分と同じ女という属性が叩かれているのを読んで、やっとその行為の酷さに気付いた己の鈍感さ、自己中心っぷりだった』、女性蔑視のサイトで、自らの誤りに気付いたというのはさすがだ。
・『両親からは今まで一度も人種差別、外国人差別的な話を聞いたことがない。人権や平等の大切さみたいな話を子供のころから聞かされていたし、それに反発もおぼえなかった。それでも、私はネット右翼に染まってしまった。ほんとうに酷い事をした。反省してもしきれないし、人生トップクラスに恥ずかしい行為だと思っている。 自分の中の「差別したい、罵りたい、殴りたい」という衝動に向き合って、心の檻の中で飼い慣らさなきゃいけないんだな、と理解したのは、通院が終わり薬と酒のチャンポンをやめて頭の中が少しすっきりしてからだ。私は気をつけないとすぐ差別や侮辱や暴力を「そんなつもりはなかった」と言いながらやらかしてしまう人間なのがよく分かった。 暴論を承知で言うけれど、誰かを罵倒したりいじめたりするのは、基本的に人間にとって「楽しいこと」なのだと思う。倒すべき敵がいるという妄想も、人生に目標ができたみたいでテンションのあがるシチュエーションだ。 暴力と快感は容易に結びつく。でもそれを理性で止めることができるのもまた人間の人間らしさなはず。仮に嫌いな相手でも、暴力を振るわず生きてくことはできるはず。難しいけど。 しかしそういう方向を目指していかないと人って簡単に殺すし殺されてしまう。差別が殺人や自殺に発展したニュースを、毎日のように目にしている。 人間死んだらおしまいだ。他人を勝手に終わらせたり自分が終わりになってしまわないように、だから私はときどき己の「ネット右翼」時代を思い出す』、よくぞここまで深く自分を見つめ直したものだと、心底、感心した。しかし、彼女のように途中で気づくケースは、残念ながら例外的なのだろう。

第四に、成蹊大学教授の野口 雅弘氏が7月13日付け現代ビジネスに寄稿した「「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく 「批判」や「対立」への強い不快感」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56509
・『野党への支持率が絶望的に低い。特に若者世代ではその傾向が顕著だ。そうした「野党ぎらい」の背景には、若者世代が「コミュ力」を重視している事実があるのではないか。コミュ力を大切にし、波風の立たない関係を優先していれば、当然、野党の行う批判や対立を作り出す姿勢は、嫌悪の対象となる。摩擦のない優しい関係が社会に広がるなか、野党の置かれた立場は難しいものになっている・・・このエッセーでは、既存の「野党」だけに一方的に責任を負わせるのではない仕方で、「野党がきらい」という雰囲気について考えてみたい』、との指摘は新鮮で、説得力もありそうだ。
・『いまの「若者」は、物心がついたときから「コミュ力」(コミュニケーション能力)が強調されてきた世代でもある。 学校でも職場でも、ナチュラルに感じよく会話ができれば、ものごとは円滑に進む。社会の流動性が激しくなり、かつてのようにずっと同じ職場で、同じメンバーと仕事をすることが当たり前でなくなれば、即座に当たり障りなくフレンドリーな関係を作り、その場の「空気」をうまく読み、それを継続する「コミュ力」がその分だけ評価されるのも当然ではある。 実際、大学のAO入試や、企業・公務員の就職試験で、集団討論(グループ・ディスカッション)を取り入れているところも多い』、集団討論もコミュ力を評価するものだとすれば、「尖った人材」にとっては、救いがなさそうで、日本の組織がますます均質化され、多様性に欠けたものになっていく懸念も強そうだ。
・『「コミュ力」と称されるものの測定基準は、コミュニケーションの軋轢、行き違い、齟齬とそれが生み出す気まずい雰囲気を巧妙に避け、会話を円滑に回すことである。逆に、「コミュ障」と呼ばれる人がそう呼ばれるのは、会話がすれ違ったり、お互いの言い分が感情的に対立したりして、それを調整するのに骨が折れるような「面倒臭い」事態を招くからである。 もしコミュニケーションの理想がこうしたものになりつつあるとすれば、ここに「野党」的なものの存在の余地はほとんどまったくない。 野党がその性質上行わざるをえない、いま流れているスムーズな「空気」を相対化したり、それに疑問を呈したり、あるいはそれをひっくり返したりする振舞いは、「コミュ力」のユートピアでは「コミュ障」とされてしまいかねない。「コミュ障」と呼ばれないためには、極力「野党」的な振舞いをしないように気をつけなければならないということになる』、なるほど。
・『「抵抗」の思想家を毛嫌いする』、これでは、全体主義の方向に流れていく危険性があるのではないか。
・『「キャッチ・オール・パーティ」・・・脱イデオロギー化して、特定の階級や支持層ではなく、幅広い国民的な得票を目指す政党・・・イデオロギー的にさして違いがない政党が競争することになるので、政治リーダーの「好感度」が重視されるようになる。ここでは「こだわり」を持って抵抗したり、金切り声をあげて反対したりすることは忌避される。「キャッチ・オール」するためには、誰からも嫌われないように振舞わなければならない。「キャッチ・オール・パーティ」の世界は、「コミュ力」の世界と同じではないが、重なるところがある。 このタイプの政党のプレイヤーは、ある特定課題に「こだわり」を持つ人たちや、ある法案に必死に抵抗しようとする勢力を排除する。これをスマートにやることで、彼らは感じのよい振舞いをディスプレイする。 この「感じのよさ」の基準からすれば、法案に反対してプラカードを掲げる野党議員や、暑い夏の日に、タオルを巻いて座り込みを続ける人たちの評価はどうしてもよいものにはならない。「こだわり」を持つことも、「情念」を出すことも禁じられれば、対抗する側・・・はその分ますます無力になる。おかしいと思う問題に「こだわり」続ければ、「まだやっているのか」と言われ、不正義に憤って大きな声を出せば、「冷静な議論ができない」と言われ、党内で論争しただけで「内ゲバ」と言われる。 そして恐ろしいことに、そうしたレッテル貼りには、抗いがたいほどの共感が広がっていく。 しきりに「コミュ力」が強調される時代に、与党と野党の競争は、人びとが思っているほどフェアではない。感じのよさ(「好感度」)をめぐる競争にあって、政権与党であるプレミアムはあまりに大きく、野党であることのハンディキャップはあまりに重い』、というのは、確かに恐ろしい世界だ。
・『野党がなくなったらどうなるのか・・・例外的に政党を評価したのが、「保守主義の祖」として名前が出ることが多いエドマンド・バーク・・・権力者とその取り巻きが私利私欲に走らないようにするには、民衆の不満を吸い上げ、民衆に支持される、対抗する党派が必要である。彼はこうして政党政治を擁護する。 ある個人に権力が集中し、それが「お友達」のために使われる。こうした「一強」と我田引水が過ぎれば、対抗勢力は人びとからの支持をより多く受けることになる。そうなれば権力者はそれまでの「おごり」を反省せざるをえなくなるし、場合によっては民意を味方につけた対抗勢力によって打倒されるということにもなる。 しかし、今日の日本では、政権党/野党というコードに基づいた緊張関係のロジックはまったく働いていない。 森友・加計学園問題で政権への不満や批判はそれなりに高いレベルに達している。しかしそれにもかかわらず、「野党」への支持は広がっていかない。それどころか逆に、そうした問題を指摘し、追及すればするほど、「野党」叩きの方が高まっていく状況にある』、『野党があまりに「だらしない」から、野党の支持が低迷しているという説明が見落としていることがある。野党という存在やそれがそうせざるをえない振舞い方が嫌われているので、野党が何を言っても、何をしても嘲笑されるという連関である。 そしてこの「野党ぎらい」はコミュニケーションを過剰に重視する風潮と無関係ではない。「コミュ力」が高いとされるのは「野党」にならないように振舞うことができる人のことであり、会話の中で地雷を踏むことにビクビクしている人は「野党」の役回りに追い込まれることを全力で避けようとする』、なるほど。
・『近年、教員の一方的な知識提供ではなく、学生の主体的な学びを重視する「アクティブ・ラーニング」が広がっている。基本的には肯定的に捉えてよいだろう。しかし、ここで行われるグループ・ワークは、メンバーの顔色、そしてその後ろにいる教員の顔色をうかがうことを強いる同調的なコミュニケーションを促進しているのではないかと思うこともある』、アクティブ・ラーニングにもそんな弊害があるとは、初めて知った。
・『「コミュ力」が賞賛される世界では、野党が野党であることで評価してもらえる可能性はない。 違いや軋轢を避けたり、笑いにしたりするのではなく、その対抗性をそれなりに真面目に引き受けること。相手の批判に腹を立てても、それなりにそれと向き合うこと。こうした可能性の乏しいコミュニケーションは同調過剰になり、表層的になり、深まらず、退屈で、そして疲れる。  いまの政局の行詰まり感は、「コミュ力」のユートピアが政党政治の世界に投影された結果の成れの果てではないか』、至言である。この野口 雅弘氏の記事は、現在の日本の政治状況を極めて的確に描写しており、稀にみる好論文である。
タグ:自殺未遂 ダイヤモンド・オンライン 集団討論 JBPRESS 現代ビジネス 伊東 乾 クールジャパン戦略 森友学園 ”右傾化” (その6)(嫌中・嫌韓をカネに 「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか、民主主義を破壊するネット右翼を撃退せよ! SNSを使った扇動や攻撃から確実に身を守る方法とは、リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで 誰でもネトウヨになる可能性がある、「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく 「批判」や「対立」への強い不快感) 「嫌中・嫌韓をカネに、「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか」 嫌韓・嫌中サイトで広告収入 『そこまで言って委員会NP』が高視聴率を獲得 嫌韓本や中国脅威本の書籍売上げをみれば、その市場規模の大きさは分かると思います 若い人の所得は低下し、将来、年金すらもらえるか分からないという、先行きの見えない不安が蔓延しました 中韓の反日運動 日本人の中には“アイデンティティー”を求めて保守化に走った人が多かったように思えます “日本スゴい!”推しの番組 右派は動画投稿サイトなどネットでの国民煽動に注力していきました。昔から右派は紙を始めとする既存メディアが左派に牛耳られているという意識が強かったのです。確かに、左派やリベラル派と呼ばれる人たちは紙媒体の活字が好きな傾向があり、それに固執してしまったため、結果的にネットに強い右派の“嫌韓・嫌中”の主張が発信力を持つことになりました 「民主主義を破壊するネット右翼を撃退せよ! SNSを使った扇動や攻撃から確実に身を守る方法とは」 ・ネット右翼化は下手をすると全世界の民主主義社会を長期にわたって損ねる可能性のある病という認識で、とりわけ日本とドイツ、20世紀後半の高度成長を支えた両国は手を携えてこの問題に取り組んでいきましょう、と合意 「インターネット性善説」は完全に期待を裏切られ、「インターネット性悪説」が21世紀の現実を考える喫水線になってしまった 選挙にまで影響を及ぼし始めたのが、21世紀第2ディケードに現在進行形で進んでいる変質 ドイツでは去る9月の総選挙で極右政党AfD・・・が12.6%の得票率 国がEU離脱 ドナルド・トランプ氏が米国の大統領に当選 「亡国投票」が続発 ナチスが異常な高支持率を選挙で得てしまい、欧州全体を破壊する戦争とホロコーストという取り返しのつかない事態を発生させてしまいました。 いま、そうした悪夢を再現させかねないのが「ザッカーバーグの魔術」であり、デジタルメディア・マインドコントロールの罠にほかなりません 僭主 古代ギリシャで民主主義を破壊する独裁者 自分のお友達にだけ特権的な公共事業を割り当てる、といった不法は「僭主的」と言ってよいかと思います ネット右翼はバカである 論理がない 従って論理的な会話が成立しない。対話による議論の発展や合意が成立しない 利害に基づく(あるいは利害さえ定かでない)結論ありきで、同じことを繰り返す 平気で他者を誹謗中傷する しばしば匿名である この5点が揃うものを、ここでは「ネトウヨ」と定義 王谷 晶 「リベラル家庭で育った妙齢日本人女子が「ネット右翼」になるまで 誰でもネトウヨになる可能性がある」 一日中ただただインターネットから情報をボーッと受け取るだけの毎日 なぜ「日本すごーいとホメそやす外国人のエピソードまとめ」に惹かれたのか。当時の私は、完全に自分に対する自信を失っていたように思う・・・外国人の反応まとめサイトを読んでいるときは、なぜか気持ちが癒やされた 一つのまとめサイトを読み尽くすとリンクを辿って次のサイトへ。それを繰り返していくうちに、私はいつの間にか主に中国や韓国の話題やニュースをまとめたサイトに辿り着いていた 日本がホメられて嬉しい、では飽き足らず、叩くべき「敵」が人生に現れて楽しかった。なんか目的ができた気になった 女叩きのオンパレード。一気に頭に血が上って反論を書き込み一通りネット上で匿名の相手と罵り合いを続けた いま女という属性をひとまとめにされ偏見でもって叩かれ侮辱されていることに怒っているけれど、それは、この数年、自分が中国や韓国に向けてやってたことと同じだ。 目にはまっていたブ厚いウロコが、ぼろっともげ落ちた気分だった 恥ずかしかったのは、外国や外国人が叩かれている時は気にならなかったのに、自分と同じ女という属性が叩かれているのを読んで、やっとその行為の酷さに気付いた己の鈍感さ、自己中心っぷりだった 野口 雅弘 「「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく 「批判」や「対立」への強い不快感」 いまの「若者」は、物心がついたときから「コミュ力」(コミュニケーション能力)が強調されてきた世代でもある 即座に当たり障りなくフレンドリーな関係を作り、その場の「空気」をうまく読み、それを継続する「コミュ力」がその分だけ評価されるのも当然 『「コミュ力」と称されるものの測定基準は、コミュニケーションの軋轢、行き違い、齟齬とそれが生み出す気まずい雰囲気を巧妙に避け、会話を円滑に回すことである。逆に、「コミュ障」と呼ばれる人がそう呼ばれるのは、会話がすれ違ったり、お互いの言い分が感情的に対立したりして、それを調整するのに骨が折れるような「面倒臭い」事態を招くからである ここに「野党」的なものの存在の余地はほとんどまったくない。 野党がその性質上行わざるをえない、いま流れているスムーズな「空気」を相対化したり、それに疑問を呈したり、あるいはそれをひっくり返したりする振舞いは、「コミュ力」のユートピアでは「コミュ障」とされてしまいかねない 抵抗」の思想家を毛嫌いする キャッチ・オール・パーティ 「感じのよさ」の基準からすれば、法案に反対してプラカードを掲げる野党議員や、暑い夏の日に、タオルを巻いて座り込みを続ける人たちの評価はどうしてもよいものにはならない 感じのよさ(「好感度」)をめぐる競争にあって、政権与党であるプレミアムはあまりに大きく、野党であることのハンディキャップはあまりに重い 権力者とその取り巻きが私利私欲に走らないようにするには、民衆の不満を吸い上げ、民衆に支持される、対抗する党派が必要である 今日の日本では、政権党/野党というコードに基づいた緊張関係のロジックはまったく働いていない。 森友・加計学園問題で政権への不満や批判はそれなりに高いレベルに達している。しかしそれにもかかわらず、「野党」への支持は広がっていかない。それどころか逆に、そうした問題を指摘し、追及すればするほど、「野党」叩きの方が高まっていく状況にある 野党が何を言っても、何をしても嘲笑されるという連関である。 そしてこの「野党ぎらい」はコミュニケーションを過剰に重視する風潮と無関係ではない。「コミュ力」が高いとされるのは「野党」にならないように振舞うことができる人のことであり、会話の中で地雷を踏むことにビクビクしている人は「野党」の役回りに追い込まれることを全力で避けようとする いまの政局の行詰まり感は、「コミュ力」のユートピアが政党政治の世界に投影された結果の成れの果てではないか
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ロシア(その2)(素顔の見えないプーチンに挑みかかるストーン監督、元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念、米中2極時代の到来は許さない プーチン大統領が示す「力には力で」、米ロ会談の「異常な」トランプはプーチンに弱みでも握られているのか) [世界情勢]

ロシアについては11月25日に取上げた。今日は、(その2)(素顔の見えないプーチンに挑みかかるストーン監督、元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念、米中2極時代の到来は許さない プーチン大統領が示す「力には力で」、米ロ会談の「異常な」トランプはプーチンに弱みでも握られているのか)である。なお、米ロ会談については、7月26日のこのブログ「トランプ大統領」でも取り上げている。

先ずは、1月23日付けJBPress「素顔の見えないプーチンに挑みかかるストーン監督 HONZ特選本『オリバー・ストーン オン プーチン』」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52150
・『日頃のニュース報道をどれだけ注意深く見ていたとしても、プーチンの実像など、なかなか見えてこない。元KGBの工作員であり、独裁者であり、言論の弾圧や人権の侵害でも、よく批判される。だが時に起こす大胆な行動に、世界はたびたび驚かされてきた。このミステリアスなプーチンの素顔に迫ろうと試みた映画監督――それがオリバー・ストーンである・・・オリバー・ストーンは、いわゆる政治と異なる世界の住人であるがゆえの大胆さと、数々の俳優とやりあってきたであろう執拗さで、被写体を丸裸にしようと試みた』、『本書の模様は2018年3月1日、2日にNHK「BS 世界のドキュメンタリー」で見られるとのこと』、私もNHKで観たが、骨太のいい番組だった。
・『受けて立つプーチンも、したたかだ。たとえばアメリカについては、大局を批判しながらも、個人は批判せずといったように、時間・空間のスケールを自由自在に操る。そして自国のセンシティブな話題について聞かれたときは、用意された建前に議論の出発点を線引きし、詰め寄るオリバー・ストーンを、何度もかわし切っていく』、確かにプーチンのしたたかさが、極めて印象的だった。これでは、安倍首相など到底、太刀打ち出来そうもない。
・『政治家の頭脳と映画監督のカメラが編集点を巡って、バトルを繰り広げているようだ。だが互いにリスペクトがあるから、これは殴り合いではなくプロレスだ。本書は、そんな二人の言葉の格闘技が、2015年7月から2017年2月までの間、全12回にわたってテキストとして纏められた一冊である』、1年半もの歳月をかけて、多忙な双方によりインタビュー番組が制作されたことにも、大いに驚かされた。
・『プーチンの発言からは、事実が切り取り方でいかようにでも変えられるということが面白いほど伝わってくる。たとえば、ウクライナ情勢について。これも、プーチンに言わせれば「ウクライナで起きたのは、アメリカに支援されたクーデターだ」となる。 まずアメリカが、ロシアとウクライナを分裂させることを目的とし、ウクライナの愛国主義的集団を支持する。それにロシアが対抗措置を取れば、ロシアを悪者にできる。目に見える敵が現れれば、同盟国を引き寄せることができる。そういう方程式なのだという。 そしてこの種の批判は、・・・アメリカは病的なほどに、いつもお決まりのやり口で仕掛けてくるというのだ』、なるほど。
・『“イスラエルのパレスチナ封鎖を批判する人は多い。だがドンバス(東ウクライナ)でも同じことが起きているのに、誰もそれに気が付かないようだ。” “コソボでそれ(セルビアからの分離)が認められたのなら、なぜ同じことがロシア、ウクライナ、タタール、クリミアでは認められないんだ?” このようなアメリカ至上主義とも思える世界の論調のおかしさを執拗につくことで、ロシア流の世界観を描き出す・・・これをプーチン流のプロパガンダと片付けることは簡単だ。しかし、その背景にあるプーチンのPR戦略に思いを馳せるのもまた一興だろう』、確かにプーチンの主張には説得力があった。
・『プーチンは、自分のメッセージを届けるべき相手の中から「世界の大衆」を切り捨てている・・・ターゲットを世界のエリート層のみに絞り、彼らに促しているのは視点の変化のみだ。  つまり、我々が無意識に受けっている情報が既にアメリカに偏りすぎたものであるということに気付かせ、現在の「孤立した状態」から「存在感ある第三極」へとポジションを変えたい』、なるほどPR戦略としては巧みだ。
・『本編の最後の方で、印象的なシーンがある。二人で『博士の異常な愛情』を見終え、ストーンがプーチンにDVDのケースを渡した時のこと。プーチンは立ち去りながらDVDケースを開けるが、中には何も入っていない。そこでプーチンが一言「典型的なアメリカの手土産だな!」 こういったやり取りを見ていると、思わずプーチンを好きになってしまいそうになり、何だか困る。しかしなぜ困るのだろうかと改めて考えてみると、そこに一つの真実が隠されているのかもしれない』、DVDケースの中には何も入っていないというのはストーンの演出だろうが、恥ずかしながら、私にはその意味が未だによく分からない。

次に、日経新聞元モスクワ支局長で編集委員の池田 元博氏が3月23日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/032200050/
・『今月4日に英南部のソールズベリーで起きた。ロシア人の男女がショッピングセンター前の野外ベンチで、口から泡を吹き、意識不明の状態で発見された。直ちに病院に搬送されたが、いまだに意識不明の重体。救助に当たった英国人の警官も入院したという。 被害に遭ったロシア人は、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)と判明した。スクリパリ氏はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐だった・・・ロシア連邦保安庁(FSB)によって2004年末、スパイ容疑で拘束された。モスクワで英外交官と頻繁に接触していたことが問題視された。 スクリパリ氏は逮捕後、1995年からスパイとして英秘密情報部(MI6)に協力し、主に欧州で活動していたGRUの職員や協力者の名前などを提供したと証言。見返りに10万ドルを超える報酬を得ていたと明かした。ロシアでは当時、同じくGRU出身の旧ソ連の大物スパイで、MI6などに機密情報を流して処刑されたオレグ・ペンコフスキーの再来とも言われた。 モスクワの軍事裁判所は2006年、スクリパリ氏に懲役13年の有罪判決を言い渡した。ただし、服役中の2010年にメドベージェフ大統領(当時)によって恩赦を受けた後、米国とのスパイ交換で国外追放となり、同年から政治亡命者として英国に移住していた』、亡命して8年も経ったと本人が油断していたのか、英国側の警備の手落ちかは分からないが、恩赦はスパイ交換のためだったのだろう。それにしても、日本人が中国でスパイ罪で有罪判決を受けるケースが相次いでいるが、日本政府の態度は冷淡だ。日本で暗躍している中国人スパイを拘束して、スパイ交換で釈放させるのが本来のあり方だろう。
・『仮に英国が断定したようにロシアの仕業だとすれば、祖国を裏切るスパイは決して容赦しないというみせしめなのだろう。プーチン大統領は大統領選を前にインターネットで公開された新作のドキュメンタリー映画「プーチン」の中で、「私は(他人を)許すことはできるが、決して許せないのは裏切りだ」と述べてもいる。ただし、神経剤を使った今回の暗殺未遂事件の真相が明らかになることはまずないだろう』、なるほど、第一の記事とも矛盾なく理解できる。
・『FSBの元中佐で英国に亡命したアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年、ロンドン市内で放射性物質のポロニウム210を盛られて毒殺された事件は、世界を震撼(しんかん)させた。 リトビネンコ氏は生前、プーチン政権を度々批判し、1999年にモスクワなどで起きたアパート連続爆破事件を、プーチン氏が長官を務めたFSBによる「自作自演」だったと告発したこともある。ちなみにこの爆破事件は、当時首相に就任したばかりのプーチン氏がチェチェン武装勢力の犯行と断定。チェチェンへの大規模な武力攻撃に踏み切り、知名度を上げるきっかけとなった。 英当局はリトビネンコ氏暗殺事件の捜査を半年余り続けたうえで2007年、FSBの前身の旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員、アンドレイ・ルゴボイ氏の犯行と断定した。同氏は事件の直前にリトビネンコ氏と面会していた。英政府はロシア政府にルゴボイ氏の引き渡しを求めたが、ロシアがこれを拒否したことから、ロシア外交官4人の追放に踏み切った。英ロ関係も長らく冷え込んだ経緯がある。 リトビネンコ氏の暗殺事件をめぐっては、英内務省の公開調査委員会が2016年、ルゴボイ氏らがFSBの指示で暗殺を実行したと断定するとともに、プーチン大統領と当時のFSB長官だったパトルシェフ安全保障会議書記が「恐らく承認した」とする報告書を公表している。この報告書が公表された際、キャメロン内閣で内相を務めていたのがメイ現首相だ』、『英国ではリトビネンコ氏の後見人で、同じくプーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)だったロシアの政商、ボリス・ベレゾフスキー氏が2013年、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが見つかった。警察当局は首つり自殺と判断した。 ところが今月、アエロフロート・ロシア航空の元幹部でベレゾフスキー氏の友人だったニコライ・グルシコフ氏が、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが発見された。警察当局は首を絞められたような跡があることから、今度は殺人事件とみて捜査に乗り出している。メイ首相が疑心を強めるように、英国に亡命したロシア人の変死事件が相次いでいるのは事実だろう』、亡命したロシア人の暗殺ではロシアには長い歴史があるようだ。
・『今後、ロシアにとって大きな痛手となりかねないのは、英国が他の米欧諸国や北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)などに同調を呼びかけ、今回の暗殺未遂事件を欧州全体の安全保障にかかわる深刻な国際問題とし、プーチン政権への攻撃を一気に強めようとしていることだ』、ロシアもやり過ぎると、自らの首を絞めることに気づかないのだろうか。いや、そんなことは、百も承知の上でやったと考えるべきなのだろう。

第三に、国際協力銀行モスクワ駐在員事務所 上席駐在員の畔蒜 泰助氏が3月29日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「米中2極時代の到来は許さない プーチン大統領が示す「力には力で」」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030100205/032800003/
・『2018年3月18日に行われたロシア大統領選挙で76.6%の票を得て(投票率67.9%)圧勝したウラジーミル・プーチン・・・憲法で定められたロシア大統領領の任期は6年。恐らくこれが最後となるであろう4期目を全うすれば、彼は首相時代の4年間も含め、実に24年間もの長期に亘って、大国・ロシアの最高指導者であり続けることになる。 2000年5月、大国・ロシアの復活を掲げて大統領の座についたプーチン大統領は、この最後の6年間で自国をどこへ導こうとしているのか? そこで・・・第4期プーチン政権の外交戦略について、とりわけ「冷戦終結後、最悪」とされる米ロ関係を中心に考えてみたい』、これだけの超長期政権だと、他国の政治家はさぞかし「ひよっこ」に見えることだろう。
・『プーチン大統領はロシア上院での年次教書演説・・・国内外で大きな反響を呼んだのは、安全保障問題について語った後半部分だった。ここにおいて、ロシアが、新型重ICBM(名称:サルマート)、原子力推進の巡航ミサイル(名称公募)、空中発射型の極超音速ミサイル(名称:キンジャル)、原子力推進の無人潜水システム(名称公募)、ICBM搭載用の極超音速巡航弾頭(名称:アヴァンガルド)、といった複数の新型戦略兵器の開発が実用段階に近づいており、その一部は間もなくロシア軍の部隊に配備されるとビデオ映像を交えながら公表したのである。 一国のリーダーがその年次教書演説において、このような軍事技術開発の現状について、これほど詳細に語るのは極めて異例のことだ』、軍事強国を見せつける目的なのだろうが、なかでも原子力推進の巡航ミサイルには驚かされた。
・『このプーチン大統領による一連の発言から伺えるのは、米国のドナルド・トランプ大統領がその大統領選挙キャンペーン当時から掲げてきた外交・安全保障概念としての「力による平和(Peace Through Strength)」に対する強い対抗意識だ』、なるほど。
・『ロシアの外交安全保障専門家ヴァシリー・カーシン 氏が興味深い指摘を行っている。そこには次の3つの意味が込められているという。 ①圧力には屈しないという西側諸国へのシグナル  ②新たな軍備管理交渉でのポジション作り ③米中による新型戦略兵器の開発競争に参加するとの宣言・・・2010年代に入り、中国と米国の間では既に最新軍事技術の激しい開発競争が始まっており、今回の演説でプーチンが言及したい幾つかの最新軍事技術はまさにそれに当たる。今回の演説により、ロシアもまた、この米中間の競争に参加することを宣言したというのだ』、どうもロシアにとっては、「防衛的」色彩が強いようだ。
・『今回のプーチン大統領による「米中による新型戦略兵器の開発競争への参加宣言」の戦略的含意を考えると、次のようになろう。 「ここ数年、ロシアは米国と対立し、中国に接近する状況が続いている。だが、ロシアは米国の強大な軍事力の前にひれ伏すつもりがないのはもちろん、米国と世界の指導者の立場を争う中国のジュニアパートナーの地位に甘んじるつもりもない。そのために、米中二極とは一線を画する独立した一極の立場を、特に軍事技術面において維持しつつ、中長期的には米国との関係改善の機会もうかがう」』、ようやく一安心した。

第四に、元銀行員で法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「米ロ会談の「異常な」トランプはプーチンに弱みでも握られているのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/175427
・『16日の米ロ首脳会談は、これまでのトランプ大統領とは思えない成り行きになった。米国のリーダーであるトランプ氏が、ロシアのプーチン大統領にすり寄る姿勢を示したからだ。一部では、「2016年の米大統領選挙で、トランプ氏がロシアに“借り”を作ってしまったのではないか」との、疑り深い見方すら出ている。米国内では、与党の共和党、野党の民主党を問わず、米ロ首脳会談でロシアとの関係改善を演出したトランプ氏に多くの批判が浴びせられている』、トランプ氏は大統領選挙前にも、ロシアに出張した際に、女性との破廉恥な写真をロシア情報機関に撮られ、完全に頭が上がらなくなっているとの噂まである。
・『トランプ氏の「ロシアが大統領選に介入する理由はない」との発言は重大だ。言葉通りに取れば、大統領がFBIなどの自国の情報機関を信用していないということになる。これは、一国のリーダーとしてあるまじき行為だ。 プーチン大統領にすり寄るトランプ氏は、米国の国民に「弱腰」「屈辱的」と映っただろう。その一方でトランプ氏は、米国の重要な同盟国であるドイツなどを強烈に批判している。このままでは、米国は国際社会からの信頼を失うことになりかねない。  こうした状況を考えると、わが国はトランプ政権と“一定の距離”を取ることを考えるべきだ。  逆にいえば、ある意味、トランプ氏の言動によって米国の孤立化が深まる状況は、わが国にとってチャンスといえる。トランプ大統領から距離を取りたいアジア諸国との関係を深める好機になるかもしれない。それくらいの大胆な発想が、中長期的な目線での国力引き上げには必要だ』、まさに正論だ。
・『首脳会談からベネフィット(便益)を得たのが、ロシアのプーチン大統領だったことは言うまでもない。この結果、プーチン氏はロシア国内での支持をさらに高めることができるだろう。米国の大統領が、「ロシアの言っていることは正しい」と支持し、プーチン氏の“点数稼ぎ”を支えたともいえる。それが、今回の米ロ首脳会談で起きたことだ・・・・近年、米ロの関係は冷え込んできた。米国は、ロシアのクリミア半島への侵攻や中東のシリア内戦への介入を批判してきた。そのため、今なお、米国はロシア企業などへの制裁を続けている。米共和党内部には、ロシアへの追加的な制裁が必要との意見も根強い。 そうした状況下、トランプ大統領がロシアの肩を持ち友好的にふるまうことは、本来ありえないはずだ。トランプ氏は何らかの“弱み”をロシアに握られているのではないか。トランプ氏のロシアへの弱腰姿勢を見た人が、そうした見方をしてしまうのも仕方がないだろう。トランプ氏が、国内で多くの批判を受けていることは当然である』、その通りだ。
・『米ロ首脳会談に先立ち、トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加した。この首脳会議におけるトランプ氏の言動は、米国と欧州同盟国の間の亀裂を深めた。トランプ氏は、同盟国を批判し、中国には強硬姿勢で臨み、対立してきたロシアに接近している。このスタンスは世界のパワーバランスを崩す恐れがある。 象徴的だったのは、トランプ氏がドイツを批判したことだ。ドイツはロシアから天然ガスを輸入する計画(ノルドストリーム2)を進めている。同氏はこの計画について、ドイツは“ロシアの捕虜”のようだとこき下ろした。これは、メルケル首相をはじめ、ドイツ国民にとって屈辱的なものだっただろう。 また、トランプ氏は英国のメイ首相も批判した。メイ政権は、EUからの穏健な離脱を目指している。トランプ氏はメイ首相の対EU戦略に異を唱えると同時に、メイ首相自身に対する支持のスタンスを明確に示さなかった。米国にとって、最も重要な同盟国の現役の首相に対する“異例の姿勢”と言えるだろう。 トランプ氏は、同盟国(味方)を敵に回すかのような発言を繰り返し、その一方でロシア(敵)に近づいている』、本当に「殿、ご乱心」といった有様だ。
・『わが国は、是々非々の立場を明確にする必要がある。保護主義などトランプ政権の求める内容には、非の立場を明確に示す。一方、わが国は、経済連携協定の推進など、国際社会の安定と繁栄に必要と考えられる取り組みに、積極的に取り組めばよい。 日・EUの首脳が経済連携協定に署名したことは、エポックメイキングだ。今後もわが国は、米国が参加しないEPAに関する交渉を進めるべきだ・・・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関しても、TPP11などに関する協議から得られたアジア新興国の要望を反映できるよう、わが国は主体的に取り組むべきだ』、というのは大賛成だ。
タグ:ロシア オリバー・ストーン 博士の異常な愛情 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン JBPRESS 真壁昭夫 (その2)(素顔の見えないプーチンに挑みかかるストーン監督、元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念、米中2極時代の到来は許さない プーチン大統領が示す「力には力で」、米ロ会談の「異常な」トランプはプーチンに弱みでも握られているのか) 「素顔の見えないプーチンに挑みかかるストーン監督 HONZ特選本『オリバー・ストーン オン プーチン』」 いわゆる政治と異なる世界の住人であるがゆえの大胆さと、数々の俳優とやりあってきたであろう執拗さで、被写体を丸裸にしようと試みた オリバー・ストーン オン プーチン NHK「BS 世界のドキュメンタリー」 受けて立つプーチンも、したたかだ。たとえばアメリカについては、大局を批判しながらも、個人は批判せずといったように、時間・空間のスケールを自由自在に操る 政治家の頭脳と映画監督のカメラが編集点を巡って、バトルを繰り広げているようだ。だが互いにリスペクトがあるから、これは殴り合いではなくプロレスだ。本書は、そんな二人の言葉の格闘技が、2015年7月から2017年2月までの間、全12回にわたってテキストとして纏められた一冊である プーチンの発言からは、事実が切り取り方でいかようにでも変えられるということが面白いほど伝わってくる ウクライナ情勢について。これも、プーチンに言わせれば「ウクライナで起きたのは、アメリカに支援されたクーデターだ」となる イスラエルのパレスチナ封鎖を批判する人は多い。だがドンバス(東ウクライナ)でも同じことが起きているのに、誰もそれに気が付かないようだ “コソボでそれ(セルビアからの分離)が認められたのなら、なぜ同じことがロシア、ウクライナ、タタール、クリミアでは認められないんだ?” アメリカ至上主義とも思える世界の論調のおかしさを執拗につくことで、ロシア流の世界観を描き出す ターゲットを世界のエリート層のみに絞り、彼らに促しているのは視点の変化のみだ。  つまり、我々が無意識に受けっている情報が既にアメリカに偏りすぎたものであるということに気付かせ、現在の「孤立した状態」から「存在感ある第三極」へとポジションを変えたい 池田 元博 「元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念」 被害に遭ったロシア人は、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33) スクリパリ氏はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐 スクリパリ氏は逮捕後、1995年からスパイとして英秘密情報部(MI6)に協力し、主に欧州で活動していたGRUの職員や協力者の名前などを提供したと証言 服役中の2010年にメドベージェフ大統領(当時)によって恩赦を受けた後、米国とのスパイ交換で国外追放となり、同年から政治亡命者として英国に移住していた 日本人が中国でスパイ罪で有罪判決を受けるケースが相次いでいるが、日本政府の態度は冷淡だ 日本で暗躍している中国人スパイを拘束して、スパイ交換で釈放させるのが本来のあり方だろう 仮に英国が断定したようにロシアの仕業だとすれば、祖国を裏切るスパイは決して容赦しないというみせしめなのだろう 私は(他人を)許すことはできるが、決して許せないのは裏切りだ FSBの元中佐で英国に亡命したアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年、ロンドン市内で放射性物質のポロニウム210を盛られて毒殺された事件 英国ではリトビネンコ氏の後見人で、同じくプーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)だったロシアの政商、ボリス・ベレゾフスキー氏が2013年、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが見つかった。警察当局は首つり自殺と判断した 今月、アエロフロート・ロシア航空の元幹部でベレゾフスキー氏の友人だったニコライ・グルシコフ氏が、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが発見された。警察当局は首を絞められたような跡があることから、今度は殺人事件とみて捜査に乗り出している 英国に亡命したロシア人の変死事件が相次いでいるのは事実だろう ロシアにとって大きな痛手となりかねないのは、英国が他の米欧諸国や北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)などに同調を呼びかけ、今回の暗殺未遂事件を欧州全体の安全保障にかかわる深刻な国際問題とし、プーチン政権への攻撃を一気に強めようとしていることだ 畔蒜 泰助 「米中2極時代の到来は許さない プーチン大統領が示す「力には力で」」 ロシア大統領領の任期は6年。恐らくこれが最後となるであろう4期目を全うすれば、彼は首相時代の4年間も含め、実に24年間もの長期に亘って、大国・ロシアの最高指導者であり続けることになる 年次教書演説 新型重ICBM(名称:サルマート)、原子力推進の巡航ミサイル(名称公募)、空中発射型の極超音速ミサイル(名称:キンジャル)、原子力推進の無人潜水システム(名称公募)、ICBM搭載用の極超音速巡航弾頭(名称:アヴァンガルド)、といった複数の新型戦略兵器の開発が実用段階に近づいており、その一部は間もなくロシア軍の部隊に配備されるとビデオ映像を交えながら公表 米国のドナルド・トランプ大統領がその大統領選挙キャンペーン当時から掲げてきた外交・安全保障概念としての「力による平和(Peace Through Strength)」に対する強い対抗意識だ 圧力には屈しないという西側諸国へのシグナル  ②新たな軍備管理交渉でのポジション作り ③米中による新型戦略兵器の開発競争に参加するとの宣言 ロシアもまた、この米中間の競争に参加することを宣言したというのだ ロシアは米国の強大な軍事力の前にひれ伏すつもりがないのはもちろん、米国と世界の指導者の立場を争う中国のジュニアパートナーの地位に甘んじるつもりもない。そのために、米中二極とは一線を画する独立した一極の立場を、特に軍事技術面において維持しつつ、中長期的には米国との関係改善の機会もうかがう」 「米ロ会談の「異常な」トランプはプーチンに弱みでも握られているのか」 米国のリーダーであるトランプ氏が、ロシアのプーチン大統領にすり寄る姿勢を示した 2016年の米大統領選挙で、トランプ氏がロシアに“借り”を作ってしまったのではないか トランプ氏の「ロシアが大統領選に介入する理由はない」との発言は重大だ。言葉通りに取れば、大統領がFBIなどの自国の情報機関を信用していないということになる。これは、一国のリーダーとしてあるまじき行為だ トランプ氏は、米国の重要な同盟国であるドイツなどを強烈に批判している。このままでは、米国は国際社会からの信頼を失うことになりかねない トランプ氏の言動によって米国の孤立化が深まる状況は、わが国にとってチャンスといえる。トランプ大統領から距離を取りたいアジア諸国との関係を深める好機になるかもしれない 首脳会談からベネフィット(便益)を得たのが、ロシアのプーチン大統領だったことは言うまでもない。この結果、プーチン氏はロシア国内での支持をさらに高めることができるだろう 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議 トランプ氏は、同盟国を批判し、中国には強硬姿勢で臨み、対立してきたロシアに接近している。このスタンスは世界のパワーバランスを崩す恐れがある 象徴的だったのは、トランプ氏がドイツを批判したことだ。ドイツはロシアから天然ガスを輸入する計画(ノルドストリーム2)を進めている。同氏はこの計画について、ドイツは“ロシアの捕虜”のようだとこき下ろした。これは、メルケル首相をはじめ、ドイツ国民にとって屈辱的なものだっただろう 英国のメイ首相も批判 わが国は、是々非々の立場を明確にする必要がある 保護主義などトランプ政権の求める内容には、非の立場を明確に示す。一方、わが国は、経済連携協定の推進など、国際社会の安定と繁栄に必要と考えられる取り組みに、積極的に取り組めばよい
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加計学園問題(その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態) [国内政治]

加計学園問題については、5月12日に取上げた。今日は、(その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態)である。

先ずは、政治評論家の田原 総一朗氏が6月29日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「加計氏の緊急記者会見、さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/062800075/?P=1
・『6月19日、加計学園の加計孝太郎理事長が突然、記者会見を開いた。告知は会見の2時間前であったうえ、地元以外のメディアを拒否したため、東京、大阪の記者が出席できなかった。しかも、たった26分間という短さだ・・・愛媛県の文書に記載されたのは、獣医学部の新設を進めるために渡辺良人事務局長が勝手にやった話だ、というのである』、安倍首相を支援するためとはいえ、記者会見の異様さや内容の不自然さは、極まれりといった印象だ。
・『このように加計氏がワンマンな人物であることを考えると、「事務局長が勝手にやった」ということは、できるはずがない。 これは、誰かにそっくりだ。安倍首相である。 例えば、柳瀬唯夫元首相秘書官が、獣医学部新設問題に関連して加計学園関係者と2015年に3回にわたって首相官邸で会ったと明らかにした。しかし一方で、柳瀬氏はこの面会について「安倍首相は何も言っていない。自分が勝手にやった」と説明している・・・そもそも、複数の大学が獣医学部の新設を申請しているなかで、特定の1つの大学と政府関係者が3回も会うということは、えこひいきもいいところである。そんなことを、秘書官が勝手にやるわけがない。事実ならば、上司である安倍首相から激しい叱責を受けるだけでなく、責任を問われるはずである。 これについて安倍首相は、「全く知らなかった」と述べた。加計理事長と全く同じである』、ご両人とも厚顔ぶりでは余人をもって代えがたいようだ。
・『森友学園の問題も忘れてはならない。財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんしたことが明らかになった。しかも朝日新聞の3月2日の報道がなければ、財務省は改ざんを隠蔽しようとしたのである。こんなことは民主主義を標榜する国にはあってはならないことだ。 ところがこの改ざんについて、責任者である麻生財務大臣は、「なぜやったのか、それが分かれば苦労はしない」と述べた。さらには、「おそらく個人がやったことだろう。こういう事はよくあることで、財務省には責任がない」とまで言っている』、この話は理財局と官邸の間で進められ、麻生大臣にも報告はされただろうが、麻生大臣は当初から「聞かなかったことにする」と逃げていたのではなかろうか。
・『森友・加計問題は、調べれば調べるほど矛盾だらけである。一昔前までならば一気に内閣の崩壊に進んだはずだが、こんなにひどい状況にもかかわらず、朝日新聞、共同通信、日本経済新聞などが最近行った調査では内閣支持率が上がっている。なぜか。 1つは、野党が政権構想を全く持っていないことである。安倍内閣を批判しているだけなのだ。 2つ目は、自民党内に問題がある・・・党内が安倍首相のイエスマンで占められているということである。理由は・・・選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に変わってしまったことにある・・・3つ目は、6月12日に開催された米朝首脳会談の影響である』、その通りだろう。
・『僕はかつて、自民党幹部にこの点を指摘したことがある。すると、彼らは「田原さんのおっしゃる通りだが、中選挙区制には反対だ。中選挙区の選挙では、一度の選挙で1億円以上の費用がかかる。すると、どうしても表に出せない金が必要になる。一方で、小選挙区制はそれほどの費用はかからない。今は政党助成金もある。だから、今のままでいいと思う」と述べた』、中選挙区の選挙では小選挙区制に比べカネがかかるというのは事実かも知れないが、そんな理由で小選挙区制を支持するというのも情けない話だ。
・『安倍内閣が続く理由の一端はメディアにもある。というのは、メディアが政治問題を徐々に大きく扱わなくなってきたのである。 例えば、ワイドショーなどでも、政治問題は昔より扱われる頻度が下がった。時間も短くなった。政治にフォーカスしても、視聴率が上がらないからである。 なぜかといえば、政治がダイナミックではなくなってしまったからだと思っている。ダイナミックではなくなってしまった理由は、先にも述べたように、選挙区制が変わってしまったことから自民党内で議論が起こらなくなり、皆が安倍首相のイエスマンになってしまったことがある』、ここでまで小選挙区制に結び付けるのは、やや無理があるように思う。
・『企業は、はっきり言えば、政治に対して期待していない。一方で経営者は世界的な競争環境の激化で研究開発拠点を海外に移すなど大きな危機感を持っているが、政治家は日本の経営者が強い危機感を持っていることすら知らない。こちらも大問題である』、これもいささか乱暴な議論だ。「働き方改革」は経営者側の強い意向で成立させたこと、研究開発拠点の海外移転にまで本格的に踏み切っている企業はないこと、などを度外視して、田原氏なりのストーリーに無理に押し込んだ印象だ。

次に、総務省出身で室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏が7月4日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「加計問題の「本質」は何か、野党の追及がズレている理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173942
・『加計学園問題の本質は、“規制改革に関する国の制度の乱用”に関する疑惑であり、前川前文部科学次官の言葉を借りれば、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」のではないかという疑惑である。 安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長に会ったか否か、柳瀬秘書官(当時)が「首相案件」と言ったか否か・・・といったことは“状況証拠”でしかない。 従って、どのように制度が濫用されたのか、制度論、政策論として議論が行われる必要がある』、は正論だ。
・『国家戦略特区における特例措置は、基本的には地方公共団体や民間事業者からの提案に基づいて検討が行われる仕組みになっている。今回、獣医学部設置に係る規制の特例措置を求めてきたのは加計学園でも岡山理科大学でもなく、今治市である・・・そもそも今治市は同市に「獣医学部を設置したい」という、事業者等からの具体的なニーズなしに、規制の特例措置の提案を行ったのだろうか。 筆者の経験からすれば、そのようなことはありえないし、そうした事業者等からの具体的なニーズがあるのが“当たり前”なのである』、なるほど。
・『加計学園問題は「加計学園」という名前が前に出され過ぎて、同学園や同学園理事長と安倍首相の関係ばかりが注目されてしまっているが、この問題は獣医学部設置に関わる規制の緩和の適否”に関する問題であり、そのために新たに創設された“国家戦略特区制度が乱用”されたのではないかという問題である』、その通りだ。
・『再々検討要請に対する(文科省の)回答は・・・当初の回答よりは表現は前向きになったものの、“特区にはなじまず、全国的な規制改革として検討する”という基本的なスタンスは変わっていない・・・、「構造改革特別区域の第23次提案等に対する政府の対応方針」の中で・・・この段階では獣医学部の設置に関する規制の緩和は“全国一律”に進められることが、少なくとも検討されていたということである』、なるほど。
・『それがなぜ国家戦略特区に係る規制の特例措置になったのか――。 これこそが時間をかけてでも議論を積み重ねて明らかにされるべきポイントであって、前川前文科次官の「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた」との指摘の意味するところであろう。 要は“根拠の薄弱さ”を、文科省の「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」での議論や論点整理等も活用しつつ指摘し、“特例措置”としたこと自体が不適切であったこと、一方で規制改革自体を否定しているわけではないので、“全国的な見地”から検討し直すべきことを突き詰めていけば、政府側の説明が崩れていくのは時間の問題ではないだろうか』、こうした問題を扱った経験がある筆者ならではの鋭い指摘だ。
・『残念ながら野党は、獣医師の育成や獣医学教育の改善・充実に関する政策は複雑かつ専門性が高いので深掘りがしづらい上に、一般国民にも分かりやすい説明がしにくいからか、「安倍首相と加計孝太郎理事長が親友だから…」というところに議論を集中させ、しまいには単なる人的関係の問題に脱線させてしまう傾向があるようだ』、というのは、本当に残念なことだ。

第三に、7月11日付け日刊ゲンダイが掲載した憲法学者の水島朝穂早大法学学術院教授のネットコラムをまとめた「書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233023/1
・『今治市の現地校舎を視察。その時の感想を振り返っているのだが、信じられないような記述がいくつも出てくるのだ。 〈3階は図書館になっているが、何と書架には本が一冊もない。(略)本はないのかと尋ねると、上の階の書架に8000冊ほどあり、年内に1万4000冊になるという。完成年度には10万冊というが、これは仰天の数字である。国家戦略特区で設置される「最先端の獣医学部」の図書館にしては、蔵書数があまりにも少ない。そもそも大学や学部の新設の際、図書館の蔵書は、大学設置審議会の重要な審査対象となる〉・・・〈図書館に法律関係の専門書や法律雑誌のバックナンバーなどが授業開始前に十分に揃っていることも設置認可の大前提だった。この獣医学部のように、授業が始まっているのに書架に本が並んでいないということは考えられないことである。本がなければ認可はあり得ない〉』、図書館の驚くべきお粗末さと、にも拘わらず認可した不自然さを、どう説明するのだろう。
・『〈専門的な実習や実験がこのスペースでできるのだろうかという疑問が生まれた。息子が通った獣医学部は実習や実験の施設が充実していた。それに比べると、3階、4階の基礎実習室は高校の理科室程度の印象だった〉 そして極め付きは、これだ。 〈専門教育関係で言えば、獣医学部に必須の、牛や豚などの産業動物(大動物)を使った実習施設である大動物実習施設棟B2がまだ土台を作っている段階だった。「平成30年度末の完成」という説明だったが、専門教育の必須施設が未完成で認可がおりるというのは奇跡に近い〉』、「高校の理科室程度の印象」には笑ってしまった。
・『「教室(設備)、教授、蔵書の3つが不十分のまま大学設置審で認可がおりたことが信じられません。ムリヤリ通したツケは現場にくるのではないか」 つくづく、どこが「世界に冠たる」獣医学部なのか』、学園側は認可さえ取れ、学生が集まればいいのだろうが、こんなお粗末な環境で学ぶことを強いられる学生こそいい迷惑だ。さらに、自治体や国からの補助金も無駄にならなければいいのだが・・・。  
タグ:記者会見 日刊ゲンダイ 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 自民党幹部 田原 総一朗 麻生財務大臣 加計学園問題 室伏謙一 (その14)(加計氏の緊急記者会見 さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点、加計問題の「本質」は何か 野党の追及がズレている理由、書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態) 「加計氏の緊急記者会見、さらに深まった疑惑 安倍首相と共通点」 加計学園の加計孝太郎理事長 告知は会見の2時間前 地元以外のメディアを拒否 たった26分間という短さだ 愛媛県の文書に記載されたのは、獣医学部の新設を進めるために渡辺良人事務局長が勝手にやった話 、「事務局長が勝手にやった」ということは、できるはずがない。 これは、誰かにそっくりだ。安倍首相である 柳瀬氏はこの面会について「安倍首相は何も言っていない。自分が勝手にやった」と説明している 複数の大学が獣医学部の新設を申請しているなかで、特定の1つの大学と政府関係者が3回も会うということは、えこひいきもいいところである そんなことを、秘書官が勝手にやるわけがない 朝日新聞の3月2日の報道がなければ、財務省は改ざんを隠蔽しようとしたのである。こんなことは民主主義を標榜する国にはあってはならないことだ 森友・加計問題は、調べれば調べるほど矛盾だらけである 一昔前までならば一気に内閣の崩壊に進んだはずだが、こんなにひどい状況にもかかわらず、朝日新聞、共同通信、日本経済新聞などが最近行った調査では内閣支持率が上がっている 1つは、野党が政権構想を全く持っていないことである。安倍内閣を批判しているだけなのだ。 2つ目は、自民党内に問題がある 中選挙区制から小選挙区制に変わってしまったことにある 3つ目は、6月12日に開催された米朝首脳会談の影響である 中選挙区制には反対だ。中選挙区の選挙では、一度の選挙で1億円以上の費用がかかる。すると、どうしても表に出せない金が必要になる。一方で、小選挙区制はそれほどの費用はかからない。今は政党助成金もある。だから、今のままでいいと思う」 安倍内閣が続く理由の一端はメディアにもある。というのは、メディアが政治問題を徐々に大きく扱わなくなってきたのである 「加計問題の「本質」は何か、野党の追及がズレている理由」 加計学園問題の本質は、“規制改革に関する国の制度の乱用”に関する疑惑 前川前文部科学次官の言葉を借りれば、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」のではないかという疑惑である 安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長に会ったか否か、柳瀬秘書官(当時)が「首相案件」と言ったか否か・・・といったことは“状況証拠”でしかない どのように制度が濫用されたのか、制度論、政策論として議論が行われる必要がある この問題は獣医学部設置に関わる規制の緩和の適否”に関する問題であり、そのために新たに創設された“国家戦略特区制度が乱用”されたのではないかという問題である 文科省の)回答 この段階では獣医学部の設置に関する規制の緩和は“全国一律”に進められることが、少なくとも検討されていたということである それがなぜ国家戦略特区に係る規制の特例措置になったのか――。 これこそが時間をかけてでも議論を積み重ねて明らかにされるべきポイント 要は“根拠の薄弱さ”を、文科省の「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」での議論や論点整理等も活用しつつ指摘し、“特例措置”としたこと自体が不適切であったこと、一方で規制改革自体を否定しているわけではないので、“全国的な見地”から検討し直すべきことを突き詰めていけば、政府側の説明が崩れていくのは時間の問題ではないだろうか 憲法学者の水島朝穂早大法学学術院教授のネットコラム 「書架に本1冊もなし 学者が視察で驚いた加計獣医学部の実態」 3階は図書館になっているが、何と書架には本が一冊もない。(略)本はないのかと尋ねると、上の階の書架に8000冊ほどあり、年内に1万4000冊になるという。完成年度には10万冊というが、これは仰天の数字である。国家戦略特区で設置される「最先端の獣医学部」の図書館にしては、蔵書数があまりにも少ない。そもそも大学や学部の新設の際、図書館の蔵書は、大学設置審議会の重要な審査対象となる 図書館に法律関係の専門書や法律雑誌のバックナンバーなどが授業開始前に十分に揃っていることも設置認可の大前提だった。この獣医学部のように、授業が始まっているのに書架に本が並んでいないということは考えられないことである。本がなければ認可はあり得ない 専門的な実習や実験がこのスペースでできるのだろうかという疑問が生まれた。息子が通った獣医学部は実習や実験の施設が充実していた。それに比べると、3階、4階の基礎実習室は高校の理科室程度の印象だった 専門教育関係で言えば、獣医学部に必須の、牛や豚などの産業動物(大動物)を使った実習施設である大動物実習施設棟B2がまだ土台を作っている段階だった。「平成30年度末の完成」という説明だったが、専門教育の必須施設が未完成で認可がおりるというのは奇跡に近い 『「教室(設備)、教授、蔵書の3つが不十分のまま大学設置審で認可がおりたことが信じられません。ムリヤリ通したツケは現場にくるのではないか
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トランプ大統領(その31)(トランプの同盟国をも振り回す外交の根源は共和党自身の変質にある、トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威、リアリティー次第で豹変する「トランプ原則」 フォックス・ニュースにみる「トランプ外交擁護論」) [世界情勢]

トランプ大統領については、4月16日に取上げた。今日は、(その31)(トランプの同盟国をも振り回す外交の根源は共和党自身の変質にある、トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威、リアリティー次第で豹変する「トランプ原則」 フォックス・ニュースにみる「トランプ外交擁護論」)である。

先ずは、みずほ総合研究所調査本部 欧米調査部長の安井明彦氏が6月28日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「トランプの同盟国をも振り回す外交の根源は共和党自身の変質にある」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173465
・『有力誌のアトランティックが電子版に掲載した3つの論評だ。そこから浮かびが上がるのは、一見すると破天荒なトランプ外交を貫く3つの原則である。 第一の原則は、イデオロギーよりも実利を優先する姿勢である・・・冷戦期の共和党では、民主主義や自由経済といったイデオロギー面での判断が、外交政策を決定する際の重要な指針となり、同盟国との関係が重視されてきた。いわば、冷戦型の価値観外交である。しかしトランプ大統領の場合には、そうした価値観は軽視されている。通商政策では同盟国を敵に回す一方で、イデオロギー面では相容れない北朝鮮との首脳会談に臨んだ上に、ロシアとの関係改善にすら色気を見せている』、「トランプ外交を貫く3つの原則」とは驚かされた。確かにアメリカの専門家からみれば、そう言えるのかも知れない。
・『第二の原則は、米国の力に対する圧倒的な自信と自負である。アトランティック編集長のジェフリー・ゴールドバーグは、6月11日に同誌の電子版に掲載された論評で、最もトランプ外交の特徴を捉えた表現は、「我々は米国だ、文句あるか!」だと指摘している・・・第二の原則は、トランプ大統領の対中姿勢を読み解くカギになる。第一の原則だけを考えれば、中国とのイデオロギー面での違いは、トランプ大統領の対中姿勢を決める要因にはなり得ない。しかし、トランプ大統領が「米国の圧倒的な力」への脅威として中国を意識しているのだと考えるのであれば、強硬な対中姿勢は説明がつきやすい』、とすれば、米中の和解は当面、期待薄のようだ。
・『第三の原則は、敵や味方を固定せず、いかなるときにも相手国を安心させないことである。前述のゴールドバーグの論評では、「敵もいなければ、味方もいない」「恒久的な不安定さこそが、米国の利点になる」といった表現が紹介されている・・・トランプとの付き合い方に戸惑う各国』、米国以外の国にとっては、「迷惑この上ない」話だ。
・『ゴールドバーグは、こうしたトランプ外交の特徴を包括する概念として、「独立した国際主義・・・」を挙げる。砕けた言い方をすれば、「わが道を行く国際主義」だ。米国の実利を重視する視点から、圧倒的な力への自信を頼りに、あらゆる国を不安に陥れるトランプ外交は、孤立主義という言葉では語り切れない。米朝首脳会談の例にもあるように、これまで以上に米国は国際政治に関わっているとも言える。 興味深いのは、わが道を行く国際主義が米国で浮上するのは、トランプ外交が初めてではないことだ。そもそも、わが道を行く国際主義という概念は、20世紀前半の共和党の外交姿勢を評した言葉である。言い換えれば、トランプ外交には、20世紀前半の共和党への先祖返りの側面がある・・・第一次世界大戦後のハーディング、クーリッジ、フーヴァーといった大統領の時代が典型であり、友好国との関係を深めることを拒み、国際連盟への不参加やスムート・ホーリー法による高関税を主導したのは、当時の共和党だった』、「トランプ外交には、20世紀前半の共和党への先祖返りの側面がある」というのも初耳で大いに参考になった。
・『象徴的なのが、イデオロギー面で対立する国との首脳外交への反応である。1980年代にレーガン大統領がソ連のゴルバチョフ大統領と軍縮交渉を進めようとした際には、ソ連を信用しない共和党の有力な議員から、猛烈な反発の声があがった。しかし、先日の米朝首脳会談に関する共和党議員の反応は、非核化への道筋こそ不透明としつつも、会談が開催されたこと自体は評価する傾向が強く、総じて「慎重ながら楽観的」・・・だった。 通商政策においても、同盟国であるかどうかを問わず保護主義的な姿勢を強めるトランプ政権に対し、共和党議員の反応は煮え切らない。保護主義に警鐘は鳴らしているものの、立法によって制裁関税の発動を封じるなど、トランプ大統領の手足を縛る動きには二の足を踏んでいる』、通商政策で「共和党議員の反応は煮え切らない」というのも困ったことだ。しかし、記事では触れられてないが、貿易戦争のデメリットが米国内に広がるにつれ、流れが変わる可能性があることに期待するしかなさそうだ。
・『必ずしもトランプ外交は突然変異ではなく、共和党支持者の考え方の変化に後押しされているように感じられる。そうであるとすれば、トランプ外交は一過性の現象にとどまらず、共和党の外交姿勢が本格的に変質する可能性がある。果たして同盟国にとって共和党は、頼りになる政党であり続けられるのか。日本としても、予断なく事態を注視する必要がありそうだ』、なるほど。

次に、在独ジャーナリストの熊谷 徹氏が7月20日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/071900044/?P=1
・『プーチン氏にすり寄るかのような米国大統領の態度は、米国の保守派政治家たちの眉をひそめさせた。米国大統領の欧州歴訪は、ポピュリストが権力の座に就いた時に国際社会に生じる危険な「ねじれ」を浮き彫りにした。 ねじれ現象とは、冷戦時代に固い結束を誇っていた米国と西欧諸国が対立し、米国の大統領がかつての敵ロシアに対し奇妙なほど宥和的な態度を見せる状態だ。これまでの敵・味方の概念が通用しなくなりつつある』、言われてみれば、確かにその通りだ。
・『トランプ氏は「プーチン大統領は(米大統領選挙介入疑惑を)今日極めて力強く疑惑を否定した・・・」と強調した上で、「プーチン氏は、特別検察官が起訴した12人の諜報機関員の捜査のために、ロシア側の捜査官を協力させる準備があると言ってくれた。これは信じられないくらい素晴らしい提案だ」と相手をほめるかのような言葉も発した。 もしもロシアの捜査官を米国の捜査に参加させた場合、機微な捜査情報がロシア側に漏れたり、ロシア側が容疑者や証人に圧力をかけたりする可能性がある。特別検察官が「違法行為を行ったと見ている国」の捜査官をこの重要な疑惑の捜査に参加させるわけがない・・・ドイツの保守系日刊紙フランクフルター・アルゲマイネは・・・社説で「トランプ氏は、自国の捜査当局よりもロシアの権力者の言葉を信じている。これはグロテスクだ」と論評した。そして「トランプ氏はプーチン氏の前でロシアの大国としての地位を承認して見せたようなものだ。もはや米国を西側社会の指導者と見ることは難しい」と厳しい批判の言葉を浴びせた』、どう見ても、ロシアへの弱腰外交は、かつて個人的秘密をロシアに握られたとの噂さえ本当ではないかと思えてくる。
・『NATO首脳会議の土壇場でのドイツなど欧州側の軟化に対し、『ドイツの論壇では「トランプ氏は他の国々をまるで手下であるかのように扱った」という強い不満の声が広がっている・・・「トランプ氏はマフィアのようなやり方で、首脳会議の行方を操った。欧州諸国はこの経験を教訓として、多国間関係を重視しなくなった米国と今後どう付き合っていくかについて、じっくりと考えなくてはならない」・・・同盟国の元外務次官が米国大統領の挙動を暴力団にたとえる。これは、オバマ政権の時代までは想像もできなかったことである』、ここまで米独の溝が深まったとは、驚いた。
・『トランプ氏とEU諸国の対立は、まだ始まったばかりだ。同氏は、自動車輸出などドイツが痛みを伴う分野での圧力を強めていくだろう。11月の中間選挙へ向けて、彼のドイツ・バッシングが一段と強まる恐れがある。欧州諸国は安全保障や貿易に関して、米国への依存度を減らそうとする動きを今後加速するに違いない。しかし米国依存度がこれまで高かったために、「脱米」のプロセスにはかなりの歳月がかかるだろう。世界が「ポピュリスト帝国主義」の暗雲から抜け出す道は、当分見つかりそうにない』、その通りで、今後注視してゆく必要がありそうだ。

第三に、在米ジャーナリストの高濱 賛氏が7月25日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した対談形式の「リアリティー次第で豹変する「トランプ原則」 フォックス・ニュースにみる「トランプ外交擁護論」」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/072400073/?P=1
・『今の米国は真っ二つに割れています。客観的な尺度として世論調査を見ると、米国民の44%前後はトランプ大統領の政策を支持しています・・・それに米上下両院の過半数を占める与党共和党議員たちは一部(重鎮のジョン・マケイン上院議員=元共和党大統領候補のような議員)を除いて、トランプ大統領の政策を支持しています。トランプ大統領は党大会で正式指名を得た共和党の大統領候補ですから、逆らうと後(中間選挙)が怖いと考えているのでしょうね(笑)。中間選挙は4カ月先に迫っています。共和党幹部の中には「外交は選挙には響かない。選挙民の関心事は身近な経済・景気だけだ」と強気の姿勢を見せる者が少なくありません』、なるほど。
・『トランプ大統領のスローガンは「エスタブリッシュメントとの闘い」です。エスタブリッシュメントと言っても、既得権を得ているのは保守派だけではありません。米ニューヨーク・タイムズもエスタブリッシュメントの一角を占める堂々たる存在です。 トランプ氏がこうした主流メディアを嫌うのはそのためです。トランプ氏にしてみれば、いつまでもロシアゲート疑惑を追及する、政策の重箱の隅をつつく。中立性に欠ける主流メディアは度し難い存在です。これは感情論ではないのです。もっと根の深い政治スタンスをめぐる対立なんですね。 トランプ大統領と主流メディアとの対立は、おそらく、トランプ大統領が第1期の任期を終えるまで続くでしょう』、やはり主要メディアを見るだけでは実態は分からないようだ。
・『トランプ政権の発足から1年半たった今、トランプ支持のメディアとトランプ大統領に批判的なメディアとの論争は激しさを増しているのです・・・実は、一大イベントだった金正恩朝鮮労働党委員長とのシンガポール会談、ウラジミール・プーチン ロシア大統領との首脳会談の直後にトランプ大統領が単独インタビューに応じたのはフォックス・ニュースのショーン・ハニティ氏*だけです・・・口の悪いジャーナリストは「ハニティは今やトランプ大統領の政権外ブレーン兼宣伝部長に昇格しているよ」という者もいます』、フォックス・ニュースにとっては、恐らく視聴率も上がってウハウハなのではなかろうか。
・『「最初から壮大な外交構想を描いてそれに沿って外交を動かしていく歴代大統領もいたにはいた。しかしトランプ大統領は異なる。トランプ大統領は、新たなリアリティーに直面するや、これまでの政策や路線は一切無視して、戦術的に動く」・・・言ってみれば「ドクトリンなきトランプ・ドクトリン」ということになりますね』、なるほど。
・『今ワシントン政界筋で囁かれているのが「バノン・カムバック説」です。前首席戦略官のスティーブ・バノン氏が政権の外にいて、いろいろ相談相手になっているというのです・・・それに前述のハニティ氏も「パブリック・ディプロマシー」部門ではいろいろの助言を与えているはずです。 中国との貿易戦争が勃発しました。「宣戦布告」の筋書きを描いたのは対中強硬派の急先鋒、ピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)議長・・・とされています。政権発足から1年半、ナバロ氏はあまり表立った動きはしていませんでした。対中貿易が浮上したことで大統領との距離が縮まり、ロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表やウィルバー・ロス商務長官を飛び越える存在になっているとされます。 つまりトランプ大統領のブレーンは、個々の政策・局面でピックアップされて大統領に仕えているのです』、USTR代表や商務長官にとってみれば、個々の政策・局面で自分の頭越しにトランプ大統領に政策提言されるというのは、さぞかし居心地が悪いのではなかろうか。
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン フォックス・ニュース 安井明彦 トランプ大統領 高濱 賛 熊谷 徹 (その31)(トランプの同盟国をも振り回す外交の根源は共和党自身の変質にある、トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威、リアリティー次第で豹変する「トランプ原則」 フォックス・ニュースにみる「トランプ外交擁護論」) 「トランプの同盟国をも振り回す外交の根源は共和党自身の変質にある」 有力誌のアトランティックが電子版に掲載した3つの論評 一見すると破天荒なトランプ外交を貫く3つの原則 第一の原則は、イデオロギーよりも実利を優先する姿勢である 冷戦期の共和党では、民主主義や自由経済といったイデオロギー面での判断が、外交政策を決定する際の重要な指針となり、同盟国との関係が重視されてきた トランプ大統領の場合には、そうした価値観は軽視されている。通商政策では同盟国を敵に回す一方で、イデオロギー面では相容れない北朝鮮との首脳会談に臨んだ上に、ロシアとの関係改善にすら色気を見せている 第二の原則は、米国の力に対する圧倒的な自信と自負である 、「我々は米国だ、文句あるか!」 「米国の圧倒的な力」への脅威として中国を意識しているのだと考えるのであれば、強硬な対中姿勢は説明がつきやすい 第三の原則は、敵や味方を固定せず、いかなるときにも相手国を安心させないことである 恒久的な不安定さこそが、米国の利点になる 独立した国際主義 わが道を行く国際主義 わが道を行く国際主義という概念は、20世紀前半の共和党の外交姿勢を評した言葉 トランプ外交には、20世紀前半の共和党への先祖返りの側面がある イデオロギー面で対立する国との首脳外交への反応である。1980年代にレーガン大統領がソ連のゴルバチョフ大統領と軍縮交渉を進めようとした際には、ソ連を信用しない共和党の有力な議員から、猛烈な反発の声があがった 米朝首脳会談に関する共和党議員の反応は、非核化への道筋こそ不透明としつつも、会談が開催されたこと自体は評価する傾向が強く、総じて「慎重ながら楽観的」 通商政策においても、同盟国であるかどうかを問わず保護主義的な姿勢を強めるトランプ政権に対し、共和党議員の反応は煮え切らない 必ずしもトランプ外交は突然変異ではなく、共和党支持者の考え方の変化に後押しされているように感じられる。そうであるとすれば、トランプ外交は一過性の現象にとどまらず、共和党の外交姿勢が本格的に変質する可能性がある トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威 ねじれ現象とは、冷戦時代に固い結束を誇っていた米国と西欧諸国が対立し、米国の大統領がかつての敵ロシアに対し奇妙なほど宥和的な態度を見せる状態だ。これまでの敵・味方の概念が通用しなくなりつつある 特別検察官が起訴した12人の諜報機関員の捜査のために、ロシア側の捜査官を協力させる準備があると言ってくれた。これは信じられないくらい素晴らしい提案だ フランクフルター・アルゲマイネ トランプ氏は、自国の捜査当局よりもロシアの権力者の言葉を信じている。これはグロテスクだ トランプ氏はプーチン氏の前でロシアの大国としての地位を承認して見せたようなものだ。もはや米国を西側社会の指導者と見ることは難しい NATO首脳会議の土壇場 「トランプ氏は他の国々をまるで手下であるかのように扱った」 トランプ氏はマフィアのようなやり方で、首脳会議の行方を操った。欧州諸国はこの経験を教訓として、多国間関係を重視しなくなった米国と今後どう付き合っていくかについて、じっくりと考えなくてはならない 同盟国の元外務次官が米国大統領の挙動を暴力団にたとえる 11月の中間選挙へ向けて、彼のドイツ・バッシングが一段と強まる恐れがある 米国依存度がこれまで高かったために、「脱米」のプロセスにはかなりの歳月がかかるだろう 「リアリティー次第で豹変する「トランプ原則」 フォックス・ニュースにみる「トランプ外交擁護論」」 今の米国は真っ二つに割れています トランプ大統領のスローガンは「エスタブリッシュメントとの闘い」 米ニューヨーク・タイムズもエスタブリッシュメントの一角を占める堂々たる存在です。 トランプ氏がこうした主流メディアを嫌うのはそのためです トランプ大統領と主流メディアとの対立は、おそらく、トランプ大統領が第1期の任期を終えるまで続くでしょう トランプ大統領は、新たなリアリティーに直面するや、これまでの政策や路線は一切無視して、戦術的に動く ドクトリンなきトランプ・ドクトリン バノン・カムバック説 ハニティ ピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)議長 トランプ大統領のブレーンは、個々の政策・局面でピックアップされて大統領に仕えているのです
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働き方改革(その17)(小田嶋氏:成功者は成功ゆえに正しいか) [経済政策]

今日まで更新を休むと予告していたが、今日は、7月21日に続いて、働き方改革(その17)(小田嶋氏:成功者は成功ゆえに正しいか)を取上げよう。

コラムニストの小田嶋 隆氏が6月8日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「成功者は成功ゆえに正しいか」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/060700146/?P=1
・(「高度プロフェッショナル制度」について)『小欄としては、法案成立前にオダジマがアタマの中でうじうじ考えていたことを記録しておくことで、せめて後知恵の繰り言を並べる時のための参考資料を積み上げておく所存だ』、なるほど。
・最初に「高度プロフェッショナル制度」という用語について整理しておく。 そもそもの話をすれば、この制度の元来の名称であった「ホワイトカラー・エグゼンプション」がひどく難解だった。モロな横文字を何の工夫もなく並べ立ててみせただけのこの言葉は、当然ながら、一般には理解されなかった。 ために、この言葉が持ち出された第一次安倍内閣では、ホワイトカラー・エグゼンプションは、さんざんな悪罵の中で取り下げられ、そのまま10年ほど雌伏の時を過ごさねばならなかった。 で、その呪われたブラックオフィス・エグゼンプションならぬホワイトカラー・エグゼンプションが、第二次安倍内閣の発足とともに「高度プロフェッショナル制度」と看板を掛けかえて息を吹き返しているのが現在の状況だ』、10年ぶりに蘇った割には問題山積のままのようだ。
・『たしかに、「高度プロフェッショナル」の方が語感としてはわかりやすい。 とはいえ、わかりやすい分、誤解を招く余地が大きくなってもいる。「ミスリード」と言い直しても良い。あるいは総理周辺の人々が好む言い方を採用するなら「印象操作」という言葉で言い換えても良い。  いずれにせよ、実態を正しく説明していない。 個人的な感覚では「残業代ゼロ制度」とでも呼んでおくのが、とりあえずの呼称としては、最もその内実を穏当に説明しているのではないかと思っている・・・「高度プロフェッショナル制度」なる用語から普通に連想されるのは「高度で専門的なプロの労働者の働き方をサポートする制度」といった感じのニュアンスだ。 前向きな響きと言って良い。 ところが、制度が担保しているのは、一定額以上の報酬を得ている労働者の労働時間の制限を規制の対象から外すということに過ぎない。具体的には、1075万円以上の年収を得ている一定の業種(労働時間と成果が結び付きにくい仕事)について、労働時間の制限を撤廃し、あわせて残業代の支払いも不要とする改革が、「高プロ」の目指すところであるわけだ』、ネーミングはまさに「印象操作」だ。
・『安倍総理は、国会答弁の中で、高プロが「労働時間に対してではなく、成果に対して報酬を支払う改革」である旨の説明をしている。ゆえに「優秀な人ならば、短時間で成果を出して、これまで通りかそれ以上の給与を得られる」ということだ。残業代が出ない以上、いやでも効率を考えるようになり、結果的に時短になるということもあるだろう。 だが、この説明は十分と言えるのだろうか。 労働時間に対して対価を支払うことへの経営側の義務は外されている。 一方で「成果に対して報酬を支払う」点については・・・「労働時間に対してでなく、成果に対して報酬を支払う」という政府側の説明は、あくまでも、「時間に対して支払うのでない以上、成果に対して支払うと考えるのが自然だよね」という「感想」ないしは「観測」を表明した程度のものに過ぎない。 それ以前に、「高度プロフェッショナル」という、この、なんだか中二病くさい二つの単語を並べてみただけに見える語感が、すでにしてゴマカシの匂いを発散している』、安倍総理の国会答弁を、「感想」ないしは「観測」を表明した程度のものに過ぎない分析する手際はさすがだ。
・『制度を推進する側の人々が説明しているところによれば、「企業側から高プロの導入を打診されても、労働者の側がその申し出を拒絶する権利が保障されているので、労働者が過重労働に駆り立てられる心配はない」ってなことになっている。 私は、この説明には少しく疑問を抱いている。 というのも、現在の日本の職場環境では、経営側の申し出を拒否できる労働者が多数派であるとはどうしても思えないからだ。 30年以上前の話ではあるが、私自身、会社側からのオファーを拒絶することの困難さを、身をもって経験している(慰安旅行への参加の拒否)』、経営側の申し出を拒絶する権利が保障されている、というのは確かに形式論に過ぎない。小田島氏が慰安旅行への参加を最終的にどうしたのかまでは書かれてないが、知りたいところだ。
・『高プロの対象となるような、年収1000万円を超えるビジネスパースンは、会社にとっても欠かせない人材なのであろうからして、その彼ら彼女らなら、あるいは経営側を向こうに回して、対等の条件闘争を繰り広げることも可能なはずじゃないか、などと、そういう幻想を抱いている若者が、青年漫画誌の愛読者の中あたりにはまるでいないわけでもないのだろうが、そこには大きな勘違いがある。 ある社員が年収1000万円超の条件で高級優遇されているのは・・・その、「決してノーと言わない」資質を評価されて出世を果たした社員が、どうして高プロのオファーだけを選択的に拒絶できるものだろうか。無理だ。不可能にきまっている』、その通りだ。
・『さる企業の役員と弁護士が、ツイッターを舞台に論争的なやりとり・・・弁護士の嶋崎量氏の《解雇理由無くても、仕事干され、追出部屋送りされ、屈辱的業務やらされ、面談で自称人事コンサルにいびられ、反省文書かされ、自宅待機させられ。。。 年収1075万以上でも、大手はそんな労働者たくさんいますが、交渉力などないから労働弁護士に依頼してるのです。 幻想を語らんで欲しい。》というツイートに対して、スタートトゥデイのコミュニケーションデザイン室長である田端信太郎氏が・・・田端氏のツイートの形で現れたこれらの言葉は、あるタイプの人々が抱いている典型的な思い込みだと考えるからだ。 その「思い込み」は、最近よく言われる「生存者バイアス(生存バイアス)」という概念で説明されているところに近い。 生存者バイアスというのは、戦場なりビジネスの世界なりで成功した人が、自分の成功を基準にすることによる判断の曇りを指す言葉だ』、「生存者バイアス」まで持ち出して、事実上、論破するとはさすがだ。
・『高プロは、社会の中で発生するさまざまな軋轢や矛盾を、市場原理に委ねることで解決しようとする考え方の延長にある施策だ、と私には思える。 市場原理主義を標榜する論者は、商品だけでなく、労働力もまた、労働市場の中での自由な競争に揉まれながら、自らの商品価値に見合った適正価格に近似して行くべきだ、と考えている・・・竹中平蔵氏も、つい先日、NHKの「クローズアップ現代+」という番組に出演して、高プロの必要性について 「規制を外すのではなく、規制の仕方を変えるのです」「これを入れていかないと、日本の明日はない」「適用する人が1%じゃなくて、もっともっと増えていかないと日本の経済は強くなっていかない」と、熱弁している・・・いわゆる新自由主義者が市場原理を愛するのは、それがシンプルで強力な原理だからでもあるが、私の思うに、それ以上に、成功者に優しいからだ。 というのも、市場原理の要諦は、・・・これを逆方向に読み解くと、「富める者は正しい」「勝ち残った私は正義だ」「競争に勝ち残った人間は優れた人間である」という現世通行証の発行機関になるからだ。 かくして、「市場を通じて正しい者が生き残る」という原理は、「富める者である私は市場をお墨付きを得た正しき現代人である」という同語反復を経て無敵のオラオラ道徳として結実するに至る。 彼らのアタマの中では、経済弱者や失業者が疲弊するのは悪いことではない。 むしろ弱く劣った者に過酷な罰がくだされることこそが市場の神の託宣であるのだからして、弱者が滅びることは、それだけ社会全体が強化されることだというふうに積極的に解釈される。 でもって、弱者救済だの社会保障だのというリクツを振り回しているヤカラは、「お花畑ピーポー」「いい人ぶりっ子」「偽善左翼」「お涙リベラル」ぐらいな名前をつけて嘲笑しておけば一件落着、ってなことになる。 現在、自らを成功者であると自覚していればいるほど、高プロを受け入れてしまいやすい構図が、こうして成立する』、強烈な新自由主義批判は完全に同意できる。特に、労働力市場では、高プロの世界であっても、雇用者側と被雇用者側には圧倒的な力の格差があり、公正な交渉が働く条件が欠如していると考えざるを得ない。
タグ:竹中平蔵 日経ビジネスオンライン ホワイトカラー・エグゼンプション 高度プロフェッショナル制度 働き方改革 小田嶋 隆 (その17)(小田嶋氏:成功者は成功ゆえに正しいか) 「成功者は成功ゆえに正しいか」 安倍総理は、国会答弁 企業側から高プロの導入を打診されても、労働者の側がその申し出を拒絶する権利が保障されているので、労働者が過重労働に駆り立てられる心配はない その「思い込み」は、最近よく言われる「生存者バイアス(生存バイアス)」という概念で説明されているところに近い 高プロは、社会の中で発生するさまざまな軋轢や矛盾を、市場原理に委ねることで解決しようとする考え方の延長にある施策 市場原理主義を標榜する論者は、商品だけでなく、労働力もまた、労働市場の中での自由な競争に揉まれながら、自らの商品価値に見合った適正価格に近似して行くべきだ、と考えている 市場原理の要諦は、・・・これを逆方向に読み解くと、「富める者は正しい」「勝ち残った私は正義だ」「競争に勝ち残った人間は優れた人間である」という現世通行証の発行機関になるからだ 弱者が滅びることは、それだけ社会全体が強化されることだというふうに積極的に解釈される 弱者救済だの社会保障だのというリクツを振り回しているヤカラは、「お花畑ピーポー」「いい人ぶりっ子」「偽善左翼」「お涙リベラル」ぐらいな名前をつけて嘲笑しておけば一件落着 第二次安倍内閣の発足とともに「高度プロフェッショナル制度」と看板を掛けかえて息を吹き返しているのが現在の状況だ 「高度プロフェッショナル制度」なる用語から普通に連想されるのは「高度で専門的なプロの労働者の働き方をサポートする制度」といった感じのニュアンスだ。 前向きな響きと言って良い。 ところが、制度が担保しているのは、一定額以上の報酬を得ている労働者の労働時間の制限を規制の対象から外すということに過ぎない ネーミングはまさに「印象操作」 「労働時間に対してでなく、成果に対して報酬を支払う」という政府側の説明は、あくまでも、「時間に対して支払うのでない以上、成果に対して支払うと考えるのが自然だよね」という「感想」ないしは「観測」を表明した程度のものに過ぎない 現在の日本の職場環境では、経営側の申し出を拒否できる労働者が多数派であるとはどうしても思えないからだ 決してノーと言わない」資質を評価されて出世を果たした社員が、どうして高プロのオファーだけを選択的に拒絶できるものだろうか。無理だ。不可能にきまっている さる企業の役員と弁護士が、ツイッターを舞台に論争的なやりとり 、「市場を通じて正しい者が生き残る」という原理は、「富める者である私は市場をお墨付きを得た正しき現代人である」という同語反復を経て無敵のオラオラ道徳として結実するに至る
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今日22日から25日まで、更新を休むので、26日にご期待を!

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働き方改革(その16)(実は日本人よりよく働く米国人 その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」、「日本人は勤勉」というウソは残業肯定社会で広められた、働き方改革法と年収200万円非正規の暗い未来 正社員は過労死と背中合わせの特権階級に、精神を病んだ社員の労災申請が急増 いま「日本の職場」で何が起きているのか) [経済政策]

働き方改革については、5月27日に取上げた。法案成立を受けた今日は、(その16)(実は日本人よりよく働く米国人 その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」、「日本人は勤勉」というウソは残業肯定社会で広められた、働き方改革法と年収200万円非正規の暗い未来 正社員は過労死と背中合わせの特権階級に、精神を病んだ社員の労災申請が急増 いま「日本の職場」で何が起きているのか)である。

先ずは、ワシントン在住ジャーナリストの堀田 佳男氏が6月1日付けJBPressに寄稿した「実は日本人よりよく働く米国人、その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53216
・『高プロは米国では長い歴史があり、米国内でいま大きな社会問題になっているわけではない。  一般の勤労者については、第2次世界大戦前に公正労働基準法ができて1日8時間、週最高40時間の基本労働時間が定められた。40時間を超えた場合の残業手当は、基本給の50%増しとされた。 だが専門職はこの規定の適用から外された。過去何度か高プロの規定が改正されているが、基本的には多額の給料を得る代わりに労働時間や条件が取り払われる内容に変わりはない・・・年俸10万ドル(約1090万円)以上の社員・職員に適用されている。民間企業だけでなく、米政府高官も対象になる・・・雇用されている者が会社側と協議して労働環境を大きく改善させたというニュースはほとんど聞かない』、と米国でも年俸10万ドルもかなり高いようだが、日本では成立後は政令で年収をどんどん引き下げるなどと言われているのは、ふざけた話だ。
・『ホワイトハウス高官の知人も高プロの1人だった。彼女は国内政策の立案者・・・「ホワイトハウスで仕事をするのは本当に名誉なことなんです。ここはどこを見ても光り輝いていますから、ずっと仕事をしたくなるんです。私は朝7時に来て、夜11時まで仕事をしていますが、全く構いません」・・・
彼女は当時、日本円にして1500万円ほどの年俸を得ていた。仕事量が多いことに不満を言うどころか、自ら進んで早朝出勤と残業をこなしていた。 米国人にしては珍しいタイプに思えるが、実は米国の専門職は大変よく仕事をし、長時間労働をする人が多い。30年ほど前から「日本人よりも働き過ぎ」という話があるほどだ』、なるほど。
・『東部マサチューセッツ州ボストン大学のジュリエット・ショア教授が『働きすぎのアメリカ人』を出版したのは1991年のことである(邦訳版は93年)。教授は当時から高プロの働きすぎを問題視していた。 同教授にインタビューした時、「米専門職の多くは日本人よりも仕事をしています。米国人は余暇を大切にし、家庭を大事にしていると思われがちですが、仕事に追われる人が実に多いのです」と現実を指摘してくれた。  米金融ウェブマガジン「20サムシング・ファイナンス」誌の今年1月の記事は、米男性の85.8%、女性の 66.5%が週40時間以上仕事をしていると記した』、米国でもエリートは日本人以上によく仕事をするのは確かなようだ。
・『高プロはまさに米国の労働環境の中で生まれ育ったシステムだが、日本で高プロが同じように機能するかは大きな疑問である。 日本では契約があったとしても名目的な記述のままで、実際の労働条件との間に大きな乖離が生じたりする。社員がそれを取り上げて会社を糾したり、訴訟を起こすこともできるが、日本社会では浮いた存在になりかねない。 高プロ導入による労働時間枠の撤廃や残業代の廃止などは、社員に負担がのしかかるだけということにもなりかねない。 日本企業では・・・上司からの圧力が過大で、要求が本人の許容力を超える場合、却下できる正当性を持てる労働環境が必要になる。 だが今の日本では、高プロというシステム導入により、以前よりも苦しい境遇に陥る人が増えることになるだろう。 問題が発生してから「変えます」では遅いのだ』、というのは説得力がある。厚労省の担当官にも読ませたい内容だ。

次に、株式会社パーソル総合研究所 主任研究員の小林祐児氏が7月9日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「日本人は勤勉」というウソは残業肯定社会で広められた」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/174256
・『「日本人は根が真面目だから」「日本人はもともと勤勉だから」・・・結論を先に言うと、この「勤勉」が「仕事」を意味していても、「勉学」を意味していても、日本人元来の特質とは言えません』、と冒頭から「常識」を粉々にされた。
・『「日本人勤勉説」のまやかし 昔はむしろ怠惰と見られていた・・・交渉は 日がな一日 ゆっくりあわてず 「すぐに」が一週間のことをさす  独特の のんびり、のん気な日本流・・・明治期、多くの外国人が日本を訪れ、日本人の「怠惰さ」についての印象を言葉として残していきました』、全くの初耳で、近現代史をきちんと勉強してないことに恥じ入るばかりだ。
・・『学校教育を終えた後、社会人としての勉学はどうでしょうか。データを確認すると浮かび上がってくるのは、社会人になってからの日本人の「勉強のしなさ」です。職場外の学習についての調査を見ると、アメリカ・フランス・韓国と比べても最も「ほとんどやっていない」という割合が高く、夫で78.9%、妻で67.7%にもなります』、というのは耳が痛い話だ。
・『明治後期、国力を増強し欧米諸国に追いつかんとする政府と当時の啓蒙思想家たちは、日本人の怠惰さを退け、より「勤勉」であるよう国民を啓発していきます。そこで「お手本」として名指しされ、勤勉さを内外にアピールするシンボルとして機能したのが、二宮金次郎像で知られる二宮尊徳(1787-1856)の存在です・・・日本人の「勤勉さ」イメージは、欧米諸国に追いつき近代国家としての力を示すために、人工の「アイデンティティ」として構築された面があるということです』、なるほど二宮尊徳がそのような役割で使われたとは。
・『日本において、資本主義経済を駆動させるような「勤勉さの芽」はどこにあったのでしょうか。こうした問いについて、歴史人口学者の速水融が『近世日本の経済社会』で指摘したのが江戸後期に農家で起こった「勤勉革命Industrious Revolution」説です・・・人口増を十分に受け止められるだけの耕地は、国土の狭い日本には余っておらず、そのため、例えばイングランドで起こったような大資本による大量家畜を用いた「規模」による生産性増大ができなかったのです。つまり、人が努力と工夫によって土地の利用頻度を上げることによって、収穫高を高めることになりました。言い換えると、「1人あたりの労働投下量の増大」によって「土地あたりの労働生産性」の向上を実現した、ということです・・・「勤勉さ」を持つ国民が多数派になったのは明治30年ごろではないか、とされています』、なるほど。
・『「日本人元来の特質として勤勉だ」という説は、少なくとも次の2つの点で誤っています。  (1)「勤勉さ」が日本人のアイデンティと重ねられ始めたのは明治後期以降であり、まだ100年程度の歴史しかない。 (2)また、構造的な長時間労働そのものは多くの先進国が経験してきたことであり、日本人以外が「働きすぎ」を経験していないわけではない。 製造業が発達していく際には、多くの国で構造的な超・長時間労働が観察されます。問題は、多くの先進国はそうした長時間労働を様々な方法で克服してきたのにもかかわらず、日本のフルタイム雇用世界では、そうした働き方が「温存」されてしまっていることなのです』、日本だけ「そうした働き方が「温存」されてしまっている」理由については触れられてないので、自分なりに、考えていきたい。
・『そうした素朴な「日本人勤勉説」によって、長時間労働が感情的に肯定されてきた側面のほうが強いのではないか、と考えています。 先ほど紹介したここ数十年の数字を見ると、少しずつですが「勤勉さ」のイメージは低下しています。時代ともにセルフイメージの変化を受け入れることができるかは、まさに今後の私たちにかかっています』、本稿のような記事が多くの人の眼に触れれば、セルフイメージの変化が加速できるのだが・・・。

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が7月10日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「働き方改革法と年収200万円非正規の暗い未来 正社員は過労死と背中合わせの特権階級に」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/070900168/?P=1
・『『働き方法案が成立した・・・全く修正されることもなく成立・・・しかも、世間の関心が低い。「自分には関係ない」と思っている人が多いのか、「何をしたところで、今のしんどい状況は変わらない」という諦めなのか、はたまた「サッカー観戦で忙しかった」からなのか、理由は定かではない。が、この温度の低さは少々異常である・・・が、やはり書きます。「廃案になって欲しい」と願いアレコレ異論を述べてきた自分が、「成立した今」考えていることをそのまま書こうと思う。 テーマは「働き方改革法案成立の先」だ。 そして、できることなら、これから書くことが単なる杞憂で、現実にならないことを祈っている』、なるほど。
・『それほどまでに今回の法案、とりわけ「高度プロフェッショナル制度」は成立させてはならなかった法案なのだ。 結論を先に述べる。 もっとも懸念されている「範囲拡大」は現実になり、大多数の会社員は年収200万円ほどの非正規雇用になり、正社員は過労死と背中合わせの特権階級になる。さほど遠い未来ではない』、大変ショッキングな予想だ。
・『個人的に感じている各々の問題点についてはこれまでたびたびコラム内で指摘した通りだが、こちらも要点(あるいはキーワード)のみ簡単におさらいしておく。 残業時間の上限規制:過労死が合法化された。インターバル規制は努力義務←罰則規定を設けるべき。 同一労働同一賃金:均等ではなく均衡に基づいているので正社員の賃金が下がる可能性大←差別是正が目的なら「均等」にすべし』、なるほど。
・『「脱時間給制度の導入」に関しては「裁量労働制の拡大」も含め何回にもわたって書いた。最近では5月22日に「米国のいいなり 自国の働く人を捨てる日本の愚行」で、在日米国商工会議所(ACCJ)の意見書について書いたばかりである。 この意見書は「残業代がバカにならないから、労働時間規制を見直してね!」と言うもので、「海外の投資家を儲けさせるのに、残業代は無駄でしょ!」「残業代払わなきゃ、もっと会社に利益が出て投資家に戻ってくるんだからさ!」「ひとつよろしく!」と、丁寧な文章で書かれていたものである(原文は英語)。適用を望む企業や従業員が多いから導入するのではない  で、今回。野党との攻防戦で、な、なんと安倍首相自身が、「アメリカさんに言われちゃったし」的発言をして“しまった”のだ・・・国のトップが堂々と「あのさ、経済界が日本の経済成長には必要だから変えろって言うんだよ。だから、あとは一つよろしく! 過労死しないように自己管理してね~」と解釈できる答弁をした・・・明らかに「して“しまった”」発言なのに、マスコミはスルー。全くこの発言を問題視しなかったのである』、マスコミが忖度してスルーしたためか、私にとっても安倍首相の本音発言は全くの初耳だ。
・『先の首相答弁をそのまま受け止めれば、それが意味することは、「高プロはあくまでもアリの一穴にすぎない」ってこと。今後は年収制限も下がり、対象も「事務職、営業職など」にも広がっていくことを示唆したことにもなる。 なんせ「経済人や学識経験者」は誰一人として「1075万円以上を対象とする」とは言っていないし、多く見積もっても1割程度のエリートたちの残業代を削ったところで、投資家が儲かるわけがない。「1075万円以上」では要請に応えたことにならない。 思い起こせばホワイトカラー・エグゼンプション(WE)を巡る議論が盛り上がった05年時の年収要件は「400万円以上」だった。 当時の試算では、400万以上の労働者にWE導入した場合、総額11兆6000億円が削減される・・・つまり、最低でも400万円までは「脱時間給制度」の対象となり、専門の枠も無尽蔵に広がっていく』、ここまで広がれば事態は深刻だが、その時まで世間は気付かないのだろうか。
・『今も、高プロ推進派は「残業しないと終わらない?そりゃあ、アンタの能力が低いだけだよ」と自己責任で、ジ・エンドだ』、この問題を楽観的に捉えている人々にとって、強烈な一撃だ。

第四に、経済ジャーナリストの磯山 友幸氏が7月13日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「精神を病んだ社員の労災申請が急増 いま「日本の職場」で何が起きているのか」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/071200071/?P=1
・『2017年度の「過労死等の労災補償状況」によると、「精神障害等」で労災を申請した件数が1732件と前年度に比べて146件、率にして9.2%も増加した。そのうち、未遂を含む自殺による請求は前年度比23件増の221件と、1割以上も増えた。 労災申請は、かつては脳疾患や心臓疾患などによる申請が多かったが、2007年ごろから精神疾患がこれを上回っている。2017年度は「脳・心臓疾患」による申請は840件で、「精神障害等」はその2倍以上になった。職場での過度のストレスによって精神を病むケースが大きく増えている様子がわかる』、確かに深刻な事態だ。
・『職場での精神障害は、必ずしも労働時間だけに連動するものではない。過度のストレスを生じさせない本当の意味での働き方改革に本腰を入れないと、精神障害の激増に歯止めはかかりそうにない』、その通りだ。
・『労災申請のうち、厚労省が労災として「認定」した件数も増えている。2017年度の精神障害での労災認定は506件で前年度に比べて8件増加。中でも未遂を含む自殺が98件と、前年度に比べて14件も増えた。職場のストレスによる自殺が大きく増えているわけだ。 労災認定されるには業務との因果関係が重視されるなどハードルが高く、労災申請や労災認定で明らかになる件数は氷山の一角とされる。日本の職場ではメンタルを病む社員が増え続けている。いったい日本の職場で何が起きているのだろうか』、以下で明らかにされる。
・『「脳・心臓疾患」で労災認定された249件と、時間外労働時間には明らかに相関関係がある。残業時間でみると「80時間以上から100時間未満」が101件と最も多く、次いで「100時間以上120時間未満」が76件、「120時間以上140時間未満」が23件となっている。80時間未満で認定されたのは13人だけだ。 長距離ドライバーの過労が深刻 今回通過した働き方改革法でも、残業時間の上限を2~6カ月の平均で80時間以内、単月の上限は100時間未満としているが、現状でもこの水準を上回れば「過労死」「過労疾病」と認めているわけだ。 「脳・心臓疾患」で支給決定された人の職種を見ると、89件で最も多かったのが「自動車運転従事者」。長距離トラックのドライバーなど、人手不足もあって慢性的な長時間労働となっている。2位の「法人・団体管理職員」が21件なので、いかにドライバーが過労によって病気を発症しているかがわかる』、なるほど。
・『精神障害で労災認定された人は、必ずしも長時間労働の人だけではない。最も多いのが残業「20時間未満」の75人だった・・・自殺者の数もほぼ全残業時間区分で大差はない。 支給決定に当たっては、精神障害に結びついたと考えられる「出来事」も調査しているが、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が88件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が64件と多かった。申請では「上司とのトラブルがあった」や「配置転換があった」とするケースが多かった。 職場の人間関係や、仕事内容の大幅な変化が、ストレスになり、精神疾患へと繋がっている様子がわかる。「精神障害」での労災申請が最も多い業種の上位は「医療・福祉」で、「社会保険・社会福祉・介護事業」に携わっていた人が174件、「医療業」に携わっていた人が139件に上る・・・医療や介護の現場も人手不足が深刻で、人間関係などが大きなストレスになっている様子が浮かび上がる』、なるほど。
・『おそらく、今回の「働き方改革関連法」による残業時間の規制は、「脳・心臓疾患」の労災を減らす効果はあるに違いない。原因になっている長時間労働を禁止するわけだから、物理的な「過労死」は減っていくだろう・・・だが、精神的に追い詰められて「過労自殺」するような精神障害は、労働時間の規制だけでは大きく減らないのではないかと思われる』、精神障害には多面的な対策が必要なのだろう。
・『自殺者のうち女性の比率が極端に小さいことだ。過労自殺の申請221人のうち女性は14人。労災認定された自殺者98人中女性は4人だけだった。一方で、精神障害全体の請求件数1732件のうちでは女性は689人にのぼっている。 おそらく女性の方が職場でストレスを感じると、早期に退職するなどその場から離れているケースが多いのではないか。一方で、男性社員は職場の人間関係や職務の重圧から簡単に逃げ出すことができず、自殺するまで追い詰められていると考えられる。日本の職場がまだまだ「男社会」の色彩が強く、職場の上下関係などに悩む男性社員を横目に、女性は早い段階で職場を見限っているのかもしれない』、電通で過労自殺した女性エリート社員のようなケースは例外で、全体としては女性はストレスを感じると早期退職というのが傾向なのだろう。
・『日本の会社の働き方が、正社員として採用されれば、あとは辞令1枚で、職種も勤務地も変えられるような「メンバーシップ型」から、専門性を持った「ジョブ型」に変わっていけば、突然、仕事の内容が変わったり、自分の専門外の仕事を振られることもなくなっていく。不必要なストレスを受けないで済む雇用の仕組みに変えていくことが、職場の精神疾患をこれ以上増やさない切り札になるに違いない。今こそ、本当の意味の「働き方改革」に日本の会社は取り組むべきだろう』、というのは正論だが、現実には「ジョブ型」への転換は壁が厚そうだ。
なお、明日23日から25日まで、更新を休むので、26日にご期待を!
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン JBPRESS 河合 薫 ホワイトカラー・エグゼンプション 堀田 佳男 働き方改革 磯山 友幸 (その16)(実は日本人よりよく働く米国人 その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」、「日本人は勤勉」というウソは残業肯定社会で広められた、働き方改革法と年収200万円非正規の暗い未来 正社員は過労死と背中合わせの特権階級に、精神を病んだ社員の労災申請が急増 いま「日本の職場」で何が起きているのか) 「実は日本人よりよく働く米国人、その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」」 高プロは米国では長い歴史があり 年俸10万ドル(約1090万円)以上の社員・職員に適用されている。民間企業だけでなく、米政府高官も対象になる 彼女は当時、日本円にして1500万円ほどの年俸を得ていた。仕事量が多いことに不満を言うどころか、自ら進んで早朝出勤と残業をこなしていた 0年ほど前から「日本人よりも働き過ぎ」という話があるほどだ 『働きすぎのアメリカ人』 「米専門職の多くは日本人よりも仕事をしています。米国人は余暇を大切にし、家庭を大事にしていると思われがちですが、仕事に追われる人が実に多いのです」 高プロはまさに米国の労働環境の中で生まれ育ったシステムだが、日本で高プロが同じように機能するかは大きな疑問である 日本では契約があったとしても名目的な記述のままで、実際の労働条件との間に大きな乖離が生じたりする。社員がそれを取り上げて会社を糾したり、訴訟を起こすこともできるが、日本社会では浮いた存在になりかねない。 高プロ導入による労働時間枠の撤廃や残業代の廃止などは、社員に負担がのしかかるだけということにもなりかねない 日本企業では・・・上司からの圧力が過大で、要求が本人の許容力を超える場合、却下できる正当性を持てる労働環境が必要になる 今の日本では、高プロというシステム導入により、以前よりも苦しい境遇に陥る人が増えることになるだろう 小林祐児 「「日本人は勤勉」というウソは残業肯定社会で広められた」 「日本人は根が真面目だから」「日本人はもともと勤勉だから」・・・結論を先に言うと、この「勤勉」が「仕事」を意味していても、「勉学」を意味していても、日本人元来の特質とは言えません 「日本人勤勉説」のまやかし 昔はむしろ怠惰と見られていた 明治期、多くの外国人が日本を訪れ、日本人の「怠惰さ」についての印象を言葉として残していきました 社会人になってからの日本人の「勉強のしなさ」です。職場外の学習についての調査を見ると、アメリカ・フランス・韓国と比べても最も「ほとんどやっていない」という割合が高く、夫で78.9%、妻で67.7%にもなります 明治後期、国力を増強し欧米諸国に追いつかんとする政府と当時の啓蒙思想家たちは、日本人の怠惰さを退け、より「勤勉」であるよう国民を啓発していきます。そこで「お手本」として名指しされ、勤勉さを内外にアピールするシンボルとして機能したのが、二宮金次郎像で知られる二宮尊徳(1787-1856)の存在です 日本人の「勤勉さ」イメージは、欧米諸国に追いつき近代国家としての力を示すために、人工の「アイデンティティ」として構築された面があるということです 日本において、資本主義経済を駆動させるような「勤勉さの芽」 『近世日本の経済社会』 江戸後期に農家で起こった「勤勉革命Industrious Revolution」説 人が努力と工夫によって土地の利用頻度を上げることによって、収穫高を高めることになりました。言い換えると、「1人あたりの労働投下量の増大」によって「土地あたりの労働生産性」の向上を実現した 「日本人元来の特質として勤勉だ」という説は、少なくとも次の2つの点で誤っています 「勤勉さ」が日本人のアイデンティと重ねられ始めたのは明治後期以降であり、まだ100年程度の歴史しかない 構造的な長時間労働そのものは多くの先進国が経験してきたことであり、日本人以外が「働きすぎ」を経験していないわけではない 問題は、多くの先進国はそうした長時間労働を様々な方法で克服してきたのにもかかわらず、日本のフルタイム雇用世界では、そうした働き方が「温存」されてしまっていることなのです 素朴な「日本人勤勉説」によって、長時間労働が感情的に肯定されてきた側面のほうが強いのではないか、と考えています ここ数十年の数字を見ると、少しずつですが「勤勉さ」のイメージは低下しています。時代ともにセルフイメージの変化を受け入れることができるかは、まさに今後の私たちにかかっています 「働き方改革法と年収200万円非正規の暗い未来 正社員は過労死と背中合わせの特権階級に」 「働き方改革法案成立の先」 もっとも懸念されている「範囲拡大」は現実になり、大多数の会社員は年収200万円ほどの非正規雇用になり、正社員は過労死と背中合わせの特権階級になる。さほど遠い未来ではない 残業時間の上限規制:過労死が合法化された。インターバル規制は努力義務←罰則規定を設けるべき 同一労働同一賃金:均等ではなく均衡に基づいているので正社員の賃金が下がる可能性大←差別是正が目的なら「均等」にすべし 「脱時間給制度の導入」 在日米国商工会議所(ACCJ)の意見書 「残業代がバカにならないから、労働時間規制を見直してね!」と言うもので 野党との攻防戦で、な、なんと安倍首相自身が、「アメリカさんに言われちゃったし」的発言をして“しまった”のだ・・・国のトップが堂々と「あのさ、経済界が日本の経済成長には必要だから変えろって言うんだよ。だから、あとは一つよろしく! 過労死しないように自己管理してね~」と解釈できる答弁をした マスコミはスルー。全くこの発言を問題視しなかったのである 高プロはあくまでもアリの一穴にすぎない」 今後は年収制限も下がり、対象も「事務職、営業職など」にも広がっていくことを示唆したことにもなる 最低でも400万円までは「脱時間給制度」の対象となり、専門の枠も無尽蔵に広がっていく 今も、高プロ推進派は「残業しないと終わらない?そりゃあ、アンタの能力が低いだけだよ」と自己責任で、ジ・エンドだ 「精神を病んだ社員の労災申請が急増 いま「日本の職場」で何が起きているのか」 2017年度の「過労死等の労災補償状況」 精神障害等」で労災を申請した件数が1732件と前年度に比べて146件、率にして9.2%も増加した 2017年度は「脳・心臓疾患」による申請は840件で、「精神障害等」はその2倍以上になった。職場での過度のストレスによって精神を病むケースが大きく増えている様子がわかる 職場での精神障害は、必ずしも労働時間だけに連動するものではない。過度のストレスを生じさせない本当の意味での働き方改革に本腰を入れないと、精神障害の激増に歯止めはかかりそうにない 労災申請のうち、厚労省が労災として「認定」した件数も増えている。2017年度の精神障害での労災認定は506件で前年度に比べて8件増加。中でも未遂を含む自殺が98件と、前年度に比べて14件も増えた 「脳・心臓疾患」で労災認定された249件と、時間外労働時間には明らかに相関関係がある 長距離ドライバーの過労が深刻 精神障害で労災認定された人は、必ずしも長時間労働の人だけではない。最も多いのが残業「20時間未満」の75人だった 自殺者の数もほぼ全残業時間区分で大差はない 職場の人間関係や、仕事内容の大幅な変化が、ストレスになり、精神疾患へと繋がっている様子がわかる 精神的に追い詰められて「過労自殺」するような精神障害は、労働時間の規制だけでは大きく減らないのではないかと思われる 自殺者のうち女性の比率が極端に小さい 女性の方が職場でストレスを感じると、早期に退職するなどその場から離れているケースが多いのではないか 日本の会社の働き方が、正社員として採用されれば、あとは辞令1枚で、職種も勤務地も変えられるような「メンバーシップ型」から、専門性を持った「ジョブ型」に変わっていけば、突然、仕事の内容が変わったり、自分の専門外の仕事を振られることもなくなっていく 不必要なストレスを受けないで済む雇用の仕組みに変えていくことが、職場の精神疾患をこれ以上増やさない切り札になるに違いない。今こそ、本当の意味の「働き方改革」に日本の会社は取り組むべきだろう
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公文書管理(その4)(安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか これで文民統制ができるとはとても…、日報「緊迫の9日分」は迷宮入り 防衛省のズルすぎる幕引き、日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これはどう見ても異常事態だ) [国内政治]

公文書管理については、4月18日に取上げた。今日は、(その4)(安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか これで文民統制ができるとはとても…、日報「緊迫の9日分」は迷宮入り 防衛省のズルすぎる幕引き、日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これはどう見ても異常事態だ)である。

先ずは、ジャーナリストの布施 祐仁氏が4月14日付け現代ビジネスに寄稿した「安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか これで文民統制ができるとはとても…」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55244
・『次から次へと、まるで「打出の小槌」のように日報が出てきている・・・私は2016年9月に南スーダンPKOの日報を情報公開請求した。これに対して防衛省は同年12月、日報は「既に廃棄して不存在」という決定を行った。決定通知を読んで、私はすぐさま隠蔽を疑った。なぜなら、海外派遣部隊の日報がこんな短期間に廃棄されるはずがないからである』、『日報とはそもそも、報告が完了したらすぐに廃棄するような軽い文書ではなく、過去の活動からさまざまな教訓を引き出して将来の活動に生かすために不可欠な一次資料として長く保管すべき性格の文書である。だから、今回、続々と過去の海外派遣の日報の存在が確認されているのは、何ら驚くことではなく、むしろ当然のことだと言える』、 もともと情報公開請求した筆者が一連の流れを観察しただけに、説得力がある。
・『仮に私が防衛大臣あるいは総理大臣だとして、陸上自衛隊が海外派遣部隊の日報を廃棄したと言っていることを知ったら、「そんなわけないだろう。すぐに探して持ってこい」と指示し、見つかるまで探させるだろう。 もし、昨年1月の段階で稲田防衛大臣や安倍首相がそうしていれば、南スーダン日報とイラク日報をめぐるその後の「隠蔽の連鎖」は起きていなかった。南スーダン日報は廃棄されている、と嘘をついたことで、10年以上前に活動が終了しているイラク派遣の日報も廃棄されている、と嘘を重ねる羽目になったのである。 その意味で、初動で「文民統制」を機能させることができなかった当時の稲田防衛大臣と安倍首相の責任は重い』、その通りだ。
・『特別防衛監察の結果に基づけば、安倍首相や稲田大臣に陸上自衛隊に日報が保管されている事実を報告せずに隠蔽を図った「主犯」は、黒江事務次官ということになる・・・この件で引責辞任した黒江氏を、2ヵ月後には、官邸直轄の国家安全保障会議の事務局に新たに「国家安全保障参与」というポストを設けて再起用した。自分を半年間も「裸の大将」にした主犯格の人物に対して、こういう扱いをしていたら、文民統制など機能するはずがないだろう。実に、不可解な人事であった・・・安倍首相が衆議院の本会議で、陸上自衛隊が日報を廃棄したことを肯定するような答弁をする直前まで、陸上自衛隊は情報公開への対応が不適切であったことを認めて、日報を保管していることを公表しようとしていた。しかし、誰かがそれを止めた。そして、その結果、安倍首相は国会で事実に基づかない答弁をしたのである』、筆者は安倍首相や稲田大臣はあくまで知らなかったという前提で書いているが、私は隠蔽の主犯は、黒江事務次官ではなく、首相官邸だったのではないかと憶測している。そう考えた方が、スッキリ収まるのではなかろうか。

次に、5月24日付け日刊ゲンダイ「日報「緊迫の9日分」は迷宮入り 防衛省のズルすぎる幕引き」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229713
・『防衛省は4月に469日分の日報を公開したが、宿営地が被弾した「緊迫の9日分」は、ごっそり抜け落ちていた。23日の公表分でも追加公開はゼロだ。防衛省は「4月7日の大臣指示により、全組織・機関で調査を行い、完了しました」(大臣官房広報課・報道室)と回答。これ以上、存否の調査はしないため、「9日分」の日報は「ない」まま“迷宮入り”となる』、未だに出てこないということは、余程、不都合なことが書かれていたに違いないが、こうしたことを一般のマスコミは殆ど触れないままスルーしているのも、腹立たしい限りだ。
・『「欠落しているのが、緊迫した時の日報だけに、政府にとってよっぽど都合の悪いことが書かれているのかもしれません。9日分の日報は、必ず存在すると思いますが、万が一、本当にどこにもないのなら、隊員が命をかけた貴重な体験を将来、教訓として生かせないことになってしまう。軍事組織として大失態ですよ」(世良光弘氏) 23日の報告書では、貴重な日報が欠落している件には一切触れられていない。防衛省のこうした幕引きこそ、「意図的で組織的な隠蔽」ではないのか』、これを「組織的な隠蔽ではない」とした小野寺防衛相は、一体どういう神経の持ち主なのだろう。

第三に、NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木 由希子氏が7月13日付け現代ビジネスに寄稿した「日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これは、どう見ても異常事態だ」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56340
・『安倍首相が加計理事長といつ会ったかを、新聞の首相動静とFacebookで確認したと答弁。官邸の入館記録は1日保存で廃棄しているので、誰がいつ面会に来たかわからない』、官邸の入館記録を1日保存で廃棄しているとは、よほど都合が悪いことが多いのではないか、と逆に勘ぐってしまいたくなる。
・『国家戦略特区による獣医学部新設をめぐり、便宜供与があったか否かが争点の政治問題だ。そのため、記録がないことより、それを埋める文科省文書や愛媛県文書、今治市文書などに注目が集まる。 しかし、首相をはじめ官邸幹部の持つ権力と反比例して、その活動が行政文書として確認できないことは、明らかに異常な状況だ。そして、首相をはじめ官邸側にはその活動を行政文書に記録し、説明責任を果たすという権力としての基本的な作法がない一方で、それを棚に上げて公文書管理の徹底を各行政機関に求めるというのは、完全なダブルスタンダードだろう』、その通りだ。各行政機関も官邸からの指示を、「鼻で笑っている」ことだろう。
・『アメリカの大統領府の入館記録は、訪問者記録として電子データで残っている。 オバマ政権では大統領府の入館記録が公表されていたが、トランプ政権になってすべて削除され、非公開方針となっていたところ、情報公開訴訟で争われ、再び公開されるようになった』、やりたい放題のトランプもこの問題では、思うようにはいかないようだ。
・一例として、『ブッシュ大統領の2005年9月14日のスケジュールは、全部で12ページ。ここでは最初の一枚のみ掲載しているが、注目してほしいのは、AM7:05からとAM9:05からの部分。Pとあるが、これは大統領が電話をかけたということ。誰にいつ電話をしたのかまで記録されている。 白抜きになっていて(b)(6)などと記載されている部分は、非公開部分とその非公開理由の条文番号だ。 一日のスケジュールには、出席した会合の出席者名簿、この日はヘリでの移動があったので搭乗者リストなどもついている。 このような記録が、任期中、ずっと作成されている』、電話の記録、会合の出席者名簿など、日本の官邸の出入りだけの記録とは質、量とも段違いだ。
・『判断や決定をする立場である権力や権限のある者が、いつ誰と会い、誰と話し、どこに行ったのか、どのような会議や打ち合わせなどに出ていたのかは、政府活動そのもの。 記録することで、不適切な接触や影響力の行使が監視されるという、権力に対する適切な抑止を働かせることにもなる』、というのはその通りだ。
・『日本では、昨年12月の行政文書管理ガイドラインで日程表をわざわざ保存期間1年未満と明示したので、首相の日程表があったとしても、短期間で廃棄することは法的に何の問題もない。このガイドラインの徹底を今、政府と与党は推進している。 結果的に、首相を筆頭に官邸幹部、政務三役、幹部職員などは、記録がない、あるいは短期で廃棄することで、何をしていても行政文書で確認ができない、監視が及びにくい環境にあり、たがが外れやすい状況にあると言えるだろう』、なるほど。
・『なぜ記録は残るのかをかみ砕いて考えてみれば、一つは、権力や権限へのアクセス、影響力の行使を記録することで、政府が説明責任を果たし、政治的正当性を確保することになるという合意があること。もう一つは、その合意に基づき、記録の仕方を決めているということだ。 政治的なレベルの活動の何をどう記録するのかを、その都度個別に行政職員が判断することは、非常に負担が大きい。 一方、こういう場合はこう記録していくと決めていれば、記録を残すことは「作業」になる。この日常作業にしておくことが、ポイントだろう。 翻って日本はどうかと言えば、そもそも政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意そのものが、政治的にあるとは言えないだろう。 政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ』、政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意をした上で、まずは行政文書管理ガイドラインの日程表の保存期間1年未満を直ちに、他の重要公文書並みの期間に変更すべきだ。野党やマスコミは何をしているのだろうか。
タグ:日刊ゲンダイ 現代ビジネス 南スーダンPKO 布施 祐仁 三木 由希子 公文書管理 (その4)(安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか これで文民統制ができるとはとても…、日報「緊迫の9日分」は迷宮入り 防衛省のズルすぎる幕引き、日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これはどう見ても異常事態だ) 「安倍首相は本当に「陸自の日報隠し」を知らなかったのか これで文民統制ができるとはとても…」 日報を情報公開請求 「隠蔽の連鎖」 南スーダン日報は廃棄されている、と嘘をついたことで、10年以上前に活動が終了しているイラク派遣の日報も廃棄されている、と嘘を重ねる羽目になったのである 初動で「文民統制」を機能させることができなかった当時の稲田防衛大臣と安倍首相の責任は重い 特別防衛監察 「主犯」は、黒江事務次官 新たに「国家安全保障参与」というポストを設けて再起用 「日報「緊迫の9日分」は迷宮入り 防衛省のズルすぎる幕引き」 9日分」の日報は「ない」まま“迷宮入り”となる 意図的で組織的な隠蔽 「日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか これは、どう見ても異常事態だ」 官邸の入館記録は1日保存で廃棄しているので、誰がいつ面会に来たかわからない 首相をはじめ官邸幹部の持つ権力と反比例して、その活動が行政文書として確認できないことは、明らかに異常な状況だ 首相をはじめ官邸側にはその活動を行政文書に記録し、説明責任を果たすという権力としての基本的な作法がない一方で、それを棚に上げて公文書管理の徹底を各行政機関に求めるというのは、完全なダブルスタンダードだろう アメリカの大統領府の入館記録は、訪問者記録として電子データで残っている。 オバマ政権では大統領府の入館記録が公表されていたが、トランプ政権になってすべて削除され、非公開方針となっていたところ、情報公開訴訟で争われ、再び公開されるようになった 大統領が電話をかけたということ。誰にいつ電話をしたのかまで記録されている 出席した会合の出席者名簿、この日はヘリでの移動があったので搭乗者リストなどもついている 判断や決定をする立場である権力や権限のある者が、いつ誰と会い、誰と話し、どこに行ったのか、どのような会議や打ち合わせなどに出ていたのかは、政府活動そのもの 記録することで、不適切な接触や影響力の行使が監視されるという、権力に対する適切な抑止を働かせることにもなる 昨年12月の行政文書管理ガイドラインで日程表をわざわざ保存期間1年未満と明示 首相を筆頭に官邸幹部、政務三役、幹部職員などは、記録がない、あるいは短期で廃棄することで、何をしていても行政文書で確認ができない、監視が及びにくい環境にあり、たがが外れやすい状況にあると言えるだろう なぜ記録は残るのかをかみ砕いて考えてみれば、一つは、権力や権限へのアクセス、影響力の行使を記録することで、政府が説明責任を果たし、政治的正当性を確保することになるという合意があること。もう一つは、その合意に基づき、記録の仕方を決めているということだ こういう場合はこう記録していくと決めていれば、記録を残すことは「作業」になる。この日常作業にしておくことが、ポイントだろう 日本はどうかと言えば、そもそも政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意そのものが、政治的にあるとは言えないだろう 政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ
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