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今日が更新を休むので、明日にご期待を”

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地方創生政策(その7)(地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ、 「阿波踊り」の再生策がまるで決め手を欠く理由 組織を複雑にしてもろくな結果は出ない、「人口減少=衰退」としか考えない残念な人たち 「日本の半分の人口」フランスは貧しいのか?) [国内政治]

地方創生政策については、昨年9月7日に取上げた。久しぶりの今日は、(その7)(地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ、 「阿波踊り」の再生策がまるで決め手を欠く理由 組織を複雑にしてもろくな結果は出ない、「人口減少=衰退」としか考えない残念な人たち 「日本の半分の人口」フランスは貧しいのか?)である。

先ずは、まちビジネス事業家の木下 斉氏が昨年11月30日付け東洋経済オンラインに寄稿した「 地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/251376
・『地域での取り組みにおいて重要なのは、常に「プロセス」(過程)です。地域の事業も、最初の計画どおりに事が運ぶことなど、ありません。紆余曲折を乗り越えて、その結果として素晴らしい成果が生まれます。「その時」「その場所」で、その人達が取り組むからこそ成果が出るのであって、後から成果だけをパクったところで、何の役にもたちません』、まちづくりの専門家らしい鋭い指摘だ。
・『地方を視察するだけの「招かれざるヒマ人」が多すぎる  しかしながら、さまざまな地域や政府の関係者に、成功しつつあるまちについて、その改革のプロセスや、そこでの事業の仕掛けの考え方などをお話すると、必ず多くの人たちから出てくるのは「ほかに見に行くべき、いい事例はありませんか?」という質問です。「それ知って、どうするんですか」と聞くと、「いやぁ、だって現地にいって見てみないと分からないじゃないですか」といった具合です。その後、そういう人が正しくプロセスを踏まえて実践したという話を聞いたことがありません。 この手の人達は、東であれが流行ったといえばそこに視察に行き、西であれが流行ってとなればそこに行き、アメリカで、ヨーロッパで、中国で……と年がら年中、世界中を視察し続けて、じゃあ「何やったんだ?」といえば、何もやらないわけです。やらなくていいのです。見に行くのが仕事だと思っているからです。 しかし、現場はたまったものではありません。適当に視察して回るような人々に多大なる時間を費やすことになるからです。このような、注意すべき「招かれざる客」は大きく3つに分かれます』、確かに視察が目的化した視察団には迷惑するだろう。
『1.表敬訪問 (1時間以内)(一定の成果を上げている地域には多数の問い合わせが来ます。その中でも正体不明なのが「ご挨拶をしたい」「表敬訪問をさせていただきたい」といったたぐいのものです。この手の人たちの目的は何もありません。「一度行って顔を拝みたい」といった具合で、わざわざ飛行機や新幹線を乗り継いで、1時間くらい何の中身もない時間を過ごすために来てしまう人たちです。)
 2.情報交換(2時間以内)(二つ目。さらにもうひとつあるのは、関係者数名を引き連れて「情報交換をお願いしたい」といった問い合わせです。「やっている取り組みについて詳しく質問させていただきたい」、「新しい部署の担当になった」とか、「新しい政策担当者になって何をやっていいかわからないため、情報交換をさせていただきたい」といったものです』、表敬訪問 (1時間以内)や情報交換(2時間以内)のような短い時間では何も分からないだろう。視察に名を借りた大名旅行のようなものなのだろう。
・『「情報交換」ではなく、実態は「情報強奪」  しかし、「情報交換」とは名ばかりで、有益な情報はほとんどなく「情報強奪」に近いものばかりです。日々の取り組みで得た情報、知見などをタダでもらった上で、「大変勉強になりました」と言って去っていく…。しかも、それが何か所属先で有益な形になったという報告など聞いたことがないのは言うまでもありません』、報告というフィードバックがない「情報強奪」とは、説明する側はたまったものではないだろう。
・『3.視察見学(2時間以上)(さらに活性化している地方の現場で多発しているのは、視察見学の要請です。「ニュースをみました!」「本を読みました!」と刺激を受け、「ぜひ現場を説明して回ってほしい!」といった依頼が先進地と言われるところに押し寄せます。 結局、事例などというものは「その時に」「そのチームが」「その場所で」奮闘し続けて実現した結果に過ぎず、それが答えでもなんでもないわけですが、「一定数、他人の成功をパクれば自分たちも成功する」という基本法則を持っているため、この視察見学が多数出てきます。 もっと悪質な動機としては毎年視察見学予算があるから、毎年どこかに「行かなくてはならない」から行く、というものです。別にどこでもいいけど、団体旅行気分で視察見学に行くのです。地方議会の議員団などが時々やり玉にあがっていますが「先進地域の視察」といえば許される土壌があり、大変困ったものです。 このような暇な人々は半ば永遠に視察を繰り返すわけですが、それによって時間や労力など、各地の膨大な現場のリソース(資源)を消耗します。そのため、現場側の対策が不可欠になります。 私は高校時代に関わっていた東京・早稲田商店会の時代から視察見学は、有料にしています。表敬訪問については明確な目的を、情報交換では期待する情報とこちらに提供してもらえる情報を、お聞きするという設定、流れ(フロー)にしています。 これだけで相当数の無駄な申請がなくなります。つまりは、目的は特になく、単に来るだけという人々が断念するからです。 ただし、この場合、多くは「相手は誰でも良い」ので、頑張っている別の人などにその視察オファーが行ってしまうことがあり、心苦しいのですが、やはりヒマ人のオファーは安易に受けてはいけません』、視察見学を受ける際の有料化というのは確かにいいアイデアだが、早稲田商店会では可能であっても、木下氏が関与した地方関連のものでは、スポンサーになっている自治体が、視察希望の自治体経由で依頼されれば、有料を貫くのは難しいのではなかろうか。
・『「ゴリ押し」を不可能にして「現場の消耗」を防げ  さらに、視察見学については、最近ではインターネットでの申し込みシステムを採用し、受付業務などの手間を可能な限り削減し、無駄な値下げ交渉や無理な変更などについて「ゴリ押し」が不可能な体制にしています。 人の担当者をつけると電話口で「俺はあいつと知り合いだからタダにしろ!」、とか、恫喝まがいの交渉をされることもあります。そのようなコストを可能な限りゼロにするためにも行うべきです。また、逆に有料なのですから、案内して欲しい人などもオプションで選べて(もちろんフィーは加算)、見積もりがその場で出るようにしています。 こうすることで現場の担当者の「工数」は最小限にとどまり、精神的疲労も小さくなり、いいことばかりです。さらに、案内するコースを分けて、案内人を分散させて一部の人の現場リソースだけが削がれないように設定しています。このように、可能な限りの効率化と事前の「露払い」によって、現場の消耗を防がなくてはなりません。 一方で、訪ねる側の中にも「心ある人」が0.01%程度はいることは、経験からわかっています。つまり、1万人に1人くらいですね(笑)』、どうも早稲田商店会だけでなく、幅広く木下氏流の有料化を実践しているようだ。ただ、「情報はタダ」と思い込む日本人が多いなかでは、抵抗もあるのではなかろうか。
・『貴重な話を聞いたら、自分の地域に戻って実践を  そのような「心ある人」にはぜひとも心がけていただきたいのは、話を聞きに行って終わりではなく、小さくとも実践するという覚悟をもって行き、必ず自分の関係する現場に戻ったら実践することです。 そして、その成果を訪ねた地域の人に報告してほしいのです。何より、単に視察するだけではお金と時間の無駄遣いをしていて、自分のいる地元をさらに衰退たらしめることになっていることを認識しなくてはならないのです。無駄な視察ばかりしていては、活性化に近づいているどころか、逆に遠のいているのです。 実は、筆者も2003年、学生時代にアメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアのマネジメントオフィスに訪ねたときに「日本人はよく来るのだが、話した内容がどう実践されたのか、全くフィードバックがない」ということを厳しく言われたことがあります。 日本人は国内だけでなく、海外でもそのような無責任な視察をしているのかと思ったのと同時に大変恥ずかしくもなりました。戻ってから自分の営んでいた事業会社で広告事業や、ビル管理合理化によるエリアマネジメントを立ち上げて今があるのも、そんな話に刺激を受けたからでした。 また早稲田商店会の時に環境まちづくりを視察に来られた、福岡市新天町の商店街さんは、同じように実践肌でした。視察から戻ってすぐに生ゴミ処理機を商店街で導入し、商店街内の飲食店から廃棄される生ゴミ処理を開始、地域の人々にできたコンポスト(堆肥)を配る取り組みを始められたりしました。こういう実践をすぐにする人たちの視察であれば大歓迎、むしろ実践する現場にも励みになります。 他の地域でその成功のプロセスを学ぶためには、成果をただ見に行っても仕方ありません。その人達がどのような紆余曲折を経て素晴らしい成果をあげたのか、幾度も訪れた危機を「どういう考え方で乗り越えたのか」といった根本的かつ論理的な考え方を聞けるかどうかです。また「どうしてそこから逃げなかったのか」という、ある意味ではメンタル的な生き方であったり、「どうして、今までにない発想ができたのか」という、生き方から学ぶことだったりするのです。 招かるざるヒマ人が来ないように、そして自分が他地域から招かれざるヒマ人にならぬようにすることが地域に活力を生み出す上でも大切なことでもあります』、地方創生政策で視察予算もきっと「大盤振る舞い」なのだろうが、無駄な視察など無くして、実践につながる真に意味のある視察だけにすべきだろう。そのためには、地方議会が視察の目的・成果を厳しく評価する必要があるが、議員たちも特権として無駄な視察旅行をしているなかでは、残念ながら百年河清を待つようなものだろう。

次に、同じ木下氏が2月18日付け東洋経済オンラインに掲載した「 「阿波踊り」の再生策がまるで決め手を欠く理由 組織を複雑にしてもろくな結果は出ない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/266221
・『2014年の第2次安倍改造内閣発足と同時に打ち出された地方創生。人口減少や地域経済縮小、東京一極集中を解決するために、さまざまな政策を進めてきたが、成果は芳しくない。 2月18日発売の『週刊東洋経済』は、「地方反撃」を特集。地域活性化には何が必要なのか。成功している「稼ぐ街」に足を運び、その実態を探っている。 地域活性化の失敗例としてありがちなのが、「イベント地獄」に陥ることだ。集客目標が毎年定められ、観光振興の名目で自治体は多額の補助金を投入する。運営主体は望まぬ拡大を強いられ、いつしかイベント開催そのものが目的化。赤字構造が放置され、消耗していく──。 その象徴といえるのが、徳島の夏の風物詩である阿波おどりだ。主催者の1つである徳島市観光協会が4億円超の累積赤字を抱えていることが発覚し、昨年3月に破産手続き開始を申し立てた。同8月に阿波おどりは行われたものの、フィナーレに全員参加で行う総踊りを実施するかどうか、祭りの当日まで引きずる大混乱。4日間の人出は約108万人と、前年比で15万人減った』、阿波おどり問題には驚かされたが、「イベント地獄」の象徴とは、なるほどである。
・『民間委託で複雑化する組織  混乱の火種はいまだにくすぶっている。「阿波おどり事業検証有識者会議」は1月24日、提言書を出した。収支の責任を明確化するため、事業を民間委託するというのが主な内容だ。 「事業の課題の一つは、赤字となった場合の責任の所在が明確ではないということです。(中略)徳島市観光協会では、徳島市が損失補償をしていたために、収支均衡に対する視点が欠如し、当事者意識が希薄になった」と提言書では指摘されている。 ただし「公益性のある部門に対して補助金を支出するのは良い」としており、市の補助金は継続する。運営体制も、実施主体である阿波おどり実行委員会、その諮問機関である阿波おどり運営協議会の2層構造が存在する中で、さらに運営を外注するという複雑な組織図が提案されている。問題解決を図るうえで組織を複雑にしてろくな結果が出ないのは、企業経営も地域経営も同様である。 提言書を受けて、阿波おどり実行委員会は今夏からの民間委託を決め、2月15日に募集要項を公表した。全国から事業者を公募し3月下旬に選定するが、予断を許さない。事業者は実行委員会が示した事業計画に沿って運営しなければならず、有料演舞場の価格や踊り手から徴収する参加料の金額は事前に指定されている一方で、500万円もの固定負担金や利益の20%以上の納付を求められているなど、公募要件には縛りが多い。阿波おどりを盛り上げながら、今までにない多様な形式で稼ぐ優秀な事業者がいくつも集まるかは不透明だ』、木下氏が批判している三層構造の組織にするとの提言は、信じられないような代物だ。恐らく実行委員会と運営協議会の問題には手をつけられなかったので、苦しまぎれに運営外注となったのであろう。
・『より根深い問題もある。阿波おどりの混乱という「地域内の泥仕合」の背景には、衰退する徳島市の苦悩があるのだ。 徳島にもかつて繁栄を極めていた時代がある。江戸後期には徳島藩の藩政改革が大成功し、日本全国を相手に稼ぎに稼いだ。その中核産業が「阿波藍」だった。本藍ともいわれた阿波藍は全国ブランドとなり、大きな富を徳島にもたらした。花柳界も栄え、そこから発展したのが、伝統行事だった阿波おどりだ。 だが化学染料の普及によって、藍染めは衰退した。「地元外資本」参入で壊滅的な打撃  近年でいえば本州四国連絡橋の影響も大きい。昨年はくしくも、徳島と関西を接続することになった明石海峡大橋が開通して20年の節目の年だった。もともと徳島経済は海によって関西経済と一定の隔たりができていた。ところが橋の開通により、神戸や大阪の商業と直接競合することになった。 さらに物流網のボトルネックが解消されたことで、徳島内に「地元外資本」による大型モールやコンビニが続々と開業。競争の緩い内需経済に慣れていた徳島市中心部商業は壊滅的な打撃を受けた。かつての藍染めのように地域外で稼げるような産業力も細っている。 本来、伝統行事は地域の稼ぎによって発展し、支えられるもの。ところが産業が衰退し、誰もが自分のお金を出すのではなく、行政からの補助金を当たり前のように期待するようになってしまった。 こうした局面でやるべきは、“賞味期限”が迫った利権をめぐる内輪もめではない。新たな時代に即した稼ぐ産業をつくること。それが地方創生において最も重要なことだ』、説得力ある主張で、その通りだ。

第三に、投資銀行家のぐっちーさんが2月24日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「人口減少=衰退」としか考えない残念な人たち 「日本の半分の人口」フランスは貧しいのか?」の3頁目までを紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/267553
・『今出ている「週刊東洋経済」の「地方反撃」(2月18日発売)は必読ですぞ。 「東洋経済オンライン」でも人気が高いまちビジネス事業家の木下斉君が中心になって地方再生を書いてくれています。またオガールベースの岡ちゃんこと、岡崎正信社長も出てきます。実はワタクシは当オンラインを含め、定期的に「地方再生のテーマを取り上げてくれ~」、と東洋経済さんにいつも強くプッシュしています』、オガールベースとは、ぐっちーさんが力を入れて支援している岩手県紫波町でのオガールプロジェクトの中心となる会社。下記リンクのように「暮らす、働く、学ぶ、集う、憩う、楽しむ」・・・・・・新しく豊かで魅力的な持続的に発展する街を目指している。
https://ogal-shiwa.com/project/about.php
・『税金が「地方経済の発展」の名の下に使われすぎている  というのも、この地方再生というテーマは通常の経済金融の出来事より地味に見えますが、実は直接皆様の税金が、しかもほぼノーチェックで投入されている事業であります。「地方再生」とさえ言えば完全に「ブラインド」で予算がついてしまい、それがいわば当たり前になっているに等しい、という恐ろしい世界がそこにはあるわけです。 「地方経済の発展」と称して、地元のネイルサロンの開設やその従業員の給与に至るまで補助金(税金)が付いてしまう現実を皆様ご存知ないのでは、と思うんですよね。それで中小企業経営と称して経営資源は使って、税金は納めない・・・これはどちらとも(地方の経営者もわれわれも)納税者として非常にまずいことではないのか、と思うわけであります。 それから、この地方再生にかかわっている人たちのほとんどは、内向きです。もちろん素晴らしい人もいるのですが、集まっている人たちも、ややマニアックな人が少なくありません。こちらの読者層のように、アンチも含め幅広い層にコンタクトが少ないわけです。 改革をする側の発信者たちも反省すべきところがあります。主戦場をフェイスブックなどに置いているので、完全な身内で「いいね、いいね」とかやっていて、「フォロワー数が600人もいるよ」などとやって自慢しあっている世界だったりします。そんな、お宅仲間に600人のフォロワーがいても、「趣味のサークル」としてみたら実に狭い世界に過ぎないわけです(海の向こうの人なら例えば3000万人とかだから)。ただ、話せば全員熱心に耳を傾けてくれるし、話せば「いいね、いいね」の嵐になるのでウケている、あるいは「人口に膾炙している意見だ」と勘違いすることになりかねません。 言っていることは150%正しい。間違っていない。しかし外の風に触れていないために、せっかくいいことを言ったり、やっていてもなんの発展性もないことになりかねません。さらに、それをどう広めていくか、という手段もノウハウもないと、折角のきっかけがあっても、後が続かず、結局立ち枯れてしまうものです。 やはり、地方の改革を志す人は手厳しいコメントが多くとも「東洋経済オンライン」、「週刊東洋経済」のようなところで、もまれないとだめだ、と思うわけですよ。「そんな言い方じゃわからんよ、伝わらんよ」ということがワタクシなんかから見ると多々あるわけで「井の中の蛙」ではあきまへん。 さて、われわれの主張の中で、これはワタクシぐっちーの日本経済そのものに対する主張でもあるわけですが、人口減少の問題が日本の場合には避けては通れないわけですね。その時に、日本全体で見ると、如何に出生率を伸ばすかとか挙句の果てにはついに移民だとか、という話になる』、「「地方経済の発展」と称して、地元のネイルサロンの開設やその従業員の給与に至るまで補助金(税金)が付いてしまう現実」とは、私も初めて知って、あきれた。「この地方再生にかかわっている人たちのほとんどは、内向きです」というのは想像通りで、これでは突破力に欠けるだろう。
・『「人口増の幻想」から、いいかげんに離れよ  つまり頭は「いかに人口を増やすか」に拘泥しており、これは地方になるともっと激しくなって、さらに如何に移住者を獲得するか、となってそのために一人300万円の補助金を出してみたり(これも3億円ならわかるんだけど、300万円を当てにしてくる人って、要するにそれすら稼げないという人しか来るわけないですよね。しかも2年とかの期限付きで・・・、ですよ)、とにかく税金の無駄遣いのオンパレードになる。 また、やれインバウンドだ、挙げ句の果てはB級グルメだ、ゆるキャラだとか、本当は如何に他の地域(他者)を出しぬくか、に注力しなきゃいけないのに、如何にみんなと同じことをやるかに注力し、そこに税金を投入していく。ゆるキャラも、B級グルメもどうなったか、なれの果てを見てほしいと思います。実際に、時事通信などの報道によると、2011年に始まった「ゆるキャラグランプリ」は終了が検討されているわけですね。残念ながら、みなさんの税金はすでに大量に投入されてしまっていますけど』、「移住者を獲得・・・一人300万円の補助金」、「ゆるキャラも、B級グルメもどうなったか、なれの果てを見てほしいと思います」、などは確かに税金の無駄使いでしかない。
・『われわれの主張は簡単です。「日本の人口なんて増えっこありません。国単位でも無理なので、地方単位ではもっと無理です・・・」って話をすると、読解力のない人はすぐ飛躍して、「君は経済成長なしに日本が生きていけると思っているのか!」、とけんかを売ってきます。 ワタクシが言いたいのは、人口が減少するという前提に立って、その中でできる経済成長を模索しなさい、これはやればできるでしょう、と言っているわけであって、実際にフランスのシャンパーニュにしても、カマンベールにしても、さらに言えば人口2万人弱のイタリアの町マラネッロにあるフェラーリにしたって、「つぶれそうな農村」みたいなところで作っているのに、彼らは世界中を相手にして、大金を稼いでいるという現実があるわけではないですか。 たとえ自分たちの地域の人口は増えなくても、世界のどこかで人口は必ず増えているし、金持ちも確実に増えているのです。それが日本国内、あるいはどこかの県にいないからといって成長できません、というのではあまりに知恵がないのではないか、ということなんですね。実際、この期に及んで、日本はまだ地方人口が増えるという前提で計画が遂行されている。しかし、ようやく無理なことがわかってきました。 ここで、東北の有力紙である「河北新報」の記事を、一部引用します。<縮小の先へ被災地と人口減>プロローグ/想定以上の減少市町村4割が展望見直し 前後しますが、この記事では、国の政策を解説しています。 [地方人口ビジョン]日本の人口の将来展望を示す国の長期ビジョンを参考に、都道府県と市区町村が2016年3月末までに作成。各自治体が同時にまとめる人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」の基礎資料となる。長期ビジョンは合計特殊出生率が40年に2.07程度に上昇すれば、60年に人口1億程度を維持できると想定。多くの自治体の地方人口ビジョンは国と同様の出生率向上に加え、移住者や定住者を増やすなどして人口流出を食い止めることを前提にしている。 しかし、現実はこうです。例えば河北新報社は東日本大震災で被害を受けた岩手・宮城・福島の3県42市町村の首長にアンケートを実施、その結果、約4割の17市町村が人口ビジョンの見直しにようやく着手した、という話です』、「多くの自治体の地方人口ビジョンは国と同様の出生率向上に加え、移住者や定住者を増やすなどして人口流出を食い止めることを前提にしている」というのは初耳だが、こんな非現実的な前提でビジョンを作っているとは驚きだ。東北地方の「17市町村が人口ビジョンの見直しにようやく着手した」とは、遅きに失するきらいがあるとはいえ、地に足が着いた動きだ。
・『日本の「半分」しかいないフランス人の生活水準は?  以下の話も良く話すのですが、フランスは日本の人口の約半分ちょっとで、GDPだってちょうど半分くらいですが、生活水準は日本の半分ですか?と聞きたいわけです。パリに行けばわかることですが、多くの人は午前中2時間くらい働いて、ランチでゆっくりワイン飲んで会話を楽しんで、17時には家に帰っています。朝9時に満員列車に揺られ、昼飯ワンコインランチ1時間とかでくそまずい弁当をかっこんで、帰りも1時間以上かけて帰って家に着いたら深夜でへとへと・・・・・・という東京ライフとどっちが過ごしやすいですか?いや、どっちがリッチですか?それでも東京だという人がいるなら出てきて欲しい。 少なくとも年収が3倍くらいあるなら東京でもいいかもしれないが、賃金は東京とパリはほぼ同じなので、それならワタクシはパリで生活したい。そうすると、結果的に世界の金持ちは黙っていても、税金を使わずともそういうライフスタイルを求めて勝手に集まってきて、勝手に納税して、勝手に消費税払って住んでくれるわけですね。補助金使ったり税金使ったりして人を誘致する、ってのがいかに無駄な話か、すぐわかるのではないでしょうかね。 しかしみなさんは、最初「ほんとかよ?」と思うでしょうね。つまり発信する側であるわれわれも、こういう話をきちんと自分たちの世界以外に発信できているとは言いかねるので、こういう機会に是非みなさんに読んで頂きたいと思うわけです。 個人的にはもうFBなんかで発信するのはやめて、こういう東洋経済さんのようなところで「他流試合」を挑む時期に来ているのではないかな、と思います。そのテーマとしての重要度に疑問の余地はありません。このまま地方が発展せずに「積み残される」のであれば日本の未来はないのです。 もし、日本がこのまま行ってしまい、こうした重要な問題が広く皆様に認識されることがないようであれば、このさき地方再生もくそもない、とワタクシは常々思っておりますが、如何ですか?いかにもともとは興味のない人を巻き込むか・・・というレベルまで物事は進んできている、と思っているところであります』、パリとの比較は筆のすべり過ぎの感もあるが、「補助金使ったり税金使ったりして人を誘致する、ってのがいかに無駄な話か」などその他の部分はその通りだ。これだけ問題が多い地方創生政策は、全面的な見直しが必要だ。
タグ:阿波おどり 東洋経済オンライン 岩手県紫波町 ぐっちーさん 地方創生政策 オガールプロジェクト 木下 斉 (その7)(地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ、 「阿波踊り」の再生策がまるで決め手を欠く理由 組織を複雑にしてもろくな結果は出ない、「人口減少=衰退」としか考えない残念な人たち 「日本の半分の人口」フランスは貧しいのか?) 「 地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ」 地方を視察するだけの「招かれざるヒマ人」が多すぎる 「招かれざる客」は大きく3つに分かれます 1.表敬訪問 (1時間以内) 2.情報交換(2時間以内) 「情報交換」ではなく、実態は「情報強奪」 3.視察見学(2時間以上) もっと悪質な動機としては毎年視察見学予算があるから、毎年どこかに「行かなくてはならない」から行く、というものです 団体旅行気分で視察見学に行く 時間や労力など、各地の膨大な現場のリソース(資源)を消耗します 早稲田商店会の時代から視察見学は、有料にしています 相当数の無駄な申請がなくなります 「ゴリ押し」を不可能にして「現場の消耗」を防げ 貴重な話を聞いたら、自分の地域に戻って実践を 訪ねる側の中にも「心ある人」が0.01%程度はいる タイムズスクエアのマネジメントオフィス 「日本人はよく来るのだが、話した内容がどう実践されたのか、全くフィードバックがない」 「 「阿波踊り」の再生策がまるで決め手を欠く理由 組織を複雑にしてもろくな結果は出ない」 「イベント地獄」 民間委託で複雑化する組織 阿波おどり実行委員会、その諮問機関である阿波おどり運営協議会の2層構造が存在する中で さらに運営を外注するという複雑な組織図が提案 問題解決を図るうえで組織を複雑にしてろくな結果が出ないのは、企業経営も地域経営も同様 背景には、衰退する徳島市の苦悩 化学染料の普及によって、藍染めは衰退 本州四国連絡橋の影響も大 徳島内に「地元外資本」による大型モールやコンビニが続々と開業。競争の緩い内需経済に慣れていた徳島市中心部商業は壊滅的な打撃 「「人口減少=衰退」としか考えない残念な人たち 「日本の半分の人口」フランスは貧しいのか?」 オガールベース 税金が「地方経済の発展」の名の下に使われすぎている 「地方経済の発展」と称して、地元のネイルサロンの開設やその従業員の給与に至るまで補助金(税金)が付いてしまう現実 地方再生にかかわっている人たちのほとんどは、内向きです 「人口増の幻想」から、いいかげんに離れよ 如何に移住者を獲得するか、となってそのために一人300万円の補助金 B級グルメだ、ゆるキャラだとか、本当は如何に他の地域(他者)を出しぬくか、に注力しなきゃいけないのに、如何にみんなと同じことをやるかに注力し、そこに税金を投入 ゆるキャラも、B級グルメもどうなったか、なれの果てを見てほしいと思います 人口が減少するという前提に立って、その中でできる経済成長を模索しなさい 「河北新報」 多くの自治体の地方人口ビジョンは国と同様の出生率向上に加え、移住者や定住者を増やすなどして人口流出を食い止めることを前提にしている 17市町村が人口ビジョンの見直しにようやく着手した 日本の「半分」しかいないフランス人の生活水準は? 補助金使ったり税金使ったりして人を誘致する、ってのがいかに無駄な話か
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ふるさと納税制度(その3)(ふるさと納税は、制度見直しでどう変わるか 野田総務相が自治体の競争過熱に「待った」、ふるさと納税の見直しは「愚策」 総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に、ふるさと納税「違反自治体」に寄付殺到!返礼品競争が制御不能に、泉佐野の100億円還元に「許せない」 地方同士の戦いへ) [経済政策]

ふるさと納税制度については、2016年7月6日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(ふるさと納税は、制度見直しでどう変わるか 野田総務相が自治体の競争過熱に「待った」、ふるさと納税の見直しは「愚策」 総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に、ふるさと納税「違反自治体」に寄付殺到!返礼品競争が制御不能に、泉佐野の100億円還元に「許せない」 地方同士の戦いへ)である。

先ずは、慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏が昨年9月17日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ふるさと納税は、制度見直しでどう変わるか 野田総務相が自治体の競争過熱に「待った」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/237838
・『9月11日、野田聖子総務相は「ふるさと納税」制度を見直す方針を発表した。地方税制を所管する総務省は、ふるさと納税で「返礼品の調達価格を寄付額の3割以下とする」とした通知を守らない自治体に対して、制度の対象外にできるよう、見直すことを検討するという。 ふるさと納税については、返礼品競争の過熱が以前から問題視されていた。本連載の「『ふるさと納税』、返礼品目的以外の活用法」でも触れたが、寄付金に対し返礼割合が3割を超える返礼品や地場産品以外の返礼品を送付している市区町村で、2018年8月までに見直す意向がなく、2017年度受入額が10億円以上の市区町村について、総務省が実名で公表。早急に是正を求めていた』、通知を守らない手前勝手な自治体に対して、制度の対象外にするというのは、当然の措置だろう。
・返礼品競争は、なぜ問題なのか  返礼割合が高いということは、ふるさと納税で寄付をした人にとってはお得なのだが、寄付をもらう自治体側からすると、それだけ収入が失われることを意味する。 自治体に寄付した金額から2000円を除いた分が、居住する自治体の住民税と国の所得税から控除され、結果的に税負担が相殺されるのが、ふるさと納税の仕組みだ。だから返礼割合が高いほど、どの自治体や国にも収入が入らないことになる。 返礼割合をどのぐらいにするかは、各自治体の判断で決められる。返礼割合を高くする自治体は、そのお得感に引き付けられて、ふるさと納税の受入額が増える。それに負けじと近隣の自治体が、返礼割合を上げたりすれば、まさに問題視されている返礼品競争をあおることになる。だから総務省は、返礼割合を下げるよう求めてきたのだ。 9月11日に野田総務相の方針表明と合わせ、「ふるさと納税に係る返礼品の見直し状況 についての調査結果 (平成30年9月1日時点)」が公表された。それによると、返礼割合3割超の返礼品を送付している自治体は、2016年度には1156団体と全体の約65%を占めていた。それが、返礼割合を3割以下とし、原則として地場産品とするよう求める総務相の通知を発出して以降、着実に減少、今年の6月には327団体まで減って、9月1日現在では246団体となった。 ただ、それでもまだ、246市町村が返礼割合3割超の返礼品を送付している。加えて、地場産品でない品物を返礼品としているのは、190市町村もあった。 そこで総務省は、通知では限界があるとみて、”より強い措置”を検討することを表明したのだ。ふるさと納税の返礼割合を、総務省が自治体に強制することはできない。とはいえ、どの寄付をふるさと納税の対象とするかを、国の法律で定めることはできる』、総務省が要請しても、返礼割合を高くしたままで、制度から大きく逸脱している自治体に対し、「伝家の宝刀」を抜くのは当然で、むしろ遅過ぎたぐらいだ。
・『通知を守らない自治体を控除対象から除外へ  そもそもふるさと納税制度は寄付税制の一環だ。寄付をすることは、社会的に貢献するものなら税金を払うのと同じ効能があるとみて、寄付をした分は所得税や住民税を払わなくてよいようにする、というのが寄付税制である。寄付ならどんな寄付でも、寄付税制の恩恵が受けられる、というわけではない。寄付税制の恩恵が受けられる寄付は法令で定められている。 そこで、総務省の通知を守らない自治体をふるさと納税の対象から外し、寄付した者がそうした自治体に寄付をしても住民税などの控除を受けられないようにする方向で、検討を進めたい意向である。 確かに、返礼割合3割超の返礼品を送付している自治体は、まだ残っていて、総務省の資料によると、10月末までに見直すとの意向を示した自治体を除いても174市町村あるという。とはいえ、返礼割合を3割以下にしている自治体は1600を超えており、通知を守っている自治体のほうが多い。 通知を守っている自治体からすれば、返礼割合を下げたために前の年より寄付額が減っていたりするのに、他方で通知を守っていない自治体は引き続き寄付額を多く集めているということなら、何のために通知を正直に守っているのかということになる。総務省も、そうしたことで、通知を守る自治体を不利にするわけにはいかない。これも、今回の制度見直しの引き金になっている。 今回の制度見直しには、副次的によい効果もあるだろう。これまで、どんな返礼品にするかや返礼割合については、地方議会の議決を経ずに首長や担当部局の裁量で決められた。その意味でふるさと納税の返礼品は、チェックが甘い仕組みであるといえる。 今回の見直しによって、ふるさと納税の適用を受けたいなら、返礼割合を3割以下にするよう求められるわけだから、3割以下になっていることを根拠をもって示さなければならないこととなる。その根拠は当然ながら、住民・国民に広く公表されることとなる。 そうすることで地方議会の議員も、ふるさと納税の返礼品の内容や返礼割合について、議会の場で質問などを通じて広く議論できるようになる。知事や市町村長は、返礼品について「やましいことがない」と、しっかりと議会で説明しなければならない。 これまで、寄付がいくら入ったかは議会にて予算や決算で示すことはあっても、返礼品のためにいくら使ったかを議会で説明する必要がなかった。返礼品は、寄付を受け取る手前で寄付者に渡すものであり、いったん収入として入った後で、議会での議決を経て執行する支出ではないからだ』、これまで返礼品については、「議会で説明する必要がなかった」というのは、確かに急ごしらえの制度の欠陥の1つだ。
・『ふるさと納税制度の透明化が進む可能性  とはいえ、今後自治体は、どんな返礼品にいくら使い、だから返礼割合が3割以下になり、ふるさと納税の適用が受けられる、と根拠をもって示さなければならない。そうなれば、ふるさと納税制度の透明化に寄与し、返礼品合戦の過熱を抑える効果以外の点で、副次的によい効果になる。 一方、返礼品に関心がある人からすれば、返礼割合が下がるとふるさと納税のお得感が減るかもしれないが、それだけ自分の寄付が寄付先の自治体で活用してもらえる面を、評価してもらえるとよいだろう。 ふるさと納税制度の見直しは、今年末までに与党税制調査会で議論され、早ければ2019年の通常国会に地方税法改正案を提出、可決されれば、4月から適用されることになる。ぜひ実のある制度に見直してもらいたい』、遅過ぎたきらいはあるが、きちんと見直しを成立させるべきだ。

次に、これに対する反対意見として、日経新聞出身の経済ジャーナリストの磯山 友幸氏が9月21日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「ふるさと納税の見直しは「愚策」 総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/238117/092000085/
・『野田聖子総務相が制度見直しを表明  野田聖子総務相が9月11日の記者会見で表明した「ふるさと納税」の制度見直し方針が、大きな波紋を呼んでいる。 「ふるさと納税制度は存続の危機にあります。このまま一部の地方団体による突出した対応が続けば、ふるさと納税に対するイメージが傷ついて、制度そのものが否定されるという不幸な結果を招くことになりかねません」 野田総務相はこう述べて、制度見直しの必要性を強調した。 野田氏が言う「突出した対応」というのは、一部の自治体が高額の返礼品を用意することで、巨額のふるさと納税(寄付金)を集めていること。昨年度に寄付受け入れ額トップに躍り出た大阪府泉佐野市は特設のふるさと納税サイトを設け、約1000種類もの返礼品を取りそろえ、135億円もの寄付を集めた。前年度に比べて100億円も増加した。 あたかも通信販売サイトのような泉佐野の返礼品サイトが人気を集めたのは、「泉州タオル」などの地場製品に限らず、近江牛や新潟産のコメ、北海道のいくら、ウナギなど全国の逸品を取りそろえたこと。食品だけでなく、ホテルの食事券や航空券が買えるポイント、日用雑貨など様々だ。 これまでも地元特産の牛肉や海産物、果物などを返礼品としていた自治体が寄付額上位に名を連ねていたが、泉佐野は「地元産」という枠を一気に取り払ったことで、返礼品を求める人たちの寄付を集めたのだ。 総務省は2017年4月と2018年4月に総務大臣名の通達を出し、寄付金に対する返礼品の調達額の割合を3割以下に抑えることや、地場産品でない返礼品を扱わないよう自治体に「通知」してきた。ところが、要請に応じないどころか、泉佐野のように「開き直る」ところまで出てきたことで、いよいよ規制に乗り出すことにした、というわけだ。 野田氏は会見で「これまでと同様に見直し要請を行うだけでは自発的な見直しが期待できない状況」だとして、「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する」としたのだ。 これに対して、地方自治体からは反発する声が上がっている。自治体が疑問視するのは、「調達額3割」の妥当性や、「地場産品」の定義である』、制度の恩恵を受けてきた地方自治体が反発するのは当然だが、その言い分をみてみよう。
・『「地場産品」の定義はどうなる?  調達額3割については、自治体がふるさと納税の返礼品用に地場産品を買い上げることで、産業振興につながっているのに、なぜ3割とするのか。寄付という税収の使い道を総務省がとやかく言うのは、そもそも地方自治の本旨に反するのではないか、というわけだ。 また、「地場産品」についてはその定義をどうするのか、という問題もある。地元に工場がある大手電機メーカーの製品は地場製品なのか、最終製品は米国製の電話機かもしれないが、その部品は地場の工場で作っている、といった主張もある。また、牛肉やうなぎなどでも、途中までは他地域や外国で育ったものもある。 総務省が一律に基準を押し付け、それに従わない自治体は制度から除外するという「上から目線」のやり方に反発する声も多い。 総務省はかねてから高額返礼品への批判を繰り返してきた。それがここへ来て強硬手段をちらつかせるようになったのには、明らかに総務省としての事情がある。 ふるさと納税の受け入れ額は2017年度で3653億円。2014年度は388億円だったので、この3年で10倍近くになった。ふるさと納税は2008年に導入されたが、時の総務大臣は菅義偉・現官房長官。菅氏の後押しで実現したが、当初から総務省自体は導入に消極的だったとされる。 ふるさと納税の発想の根源は、東京に一極集中している税収を地方に分散させることにある。東京に住んで働く人が自らの意思でふるさとに税の一部を納めるというものだった。最終的には寄付という形が取られたが、税収を納税者の意思で移動させることができると言う点では、当初の発想どおりになった。 もともと地域間の税収格差を調整する仕組みとして、地方交付税交付金制度がある。この分配は総務省が握っており、これが総務省が地方をコントロールする権益になっているのは間違いない事実だ。ふるさと納税で、納税者の意思が税収再分配に反映されるようになると、もともとの総務省の利権に穴が開く。 2008年にふるさと納税が導入された年はわずか81億円で、15兆円を超える地方交付税交付金からすれば微々たる金額だった。それが急激な伸びで無視できない存在になってきたのだ。2016年度の地方税収は39兆3924億円で、仮におおむねの上限とされる2割がふるさと納税で動いたとして8兆円になる。それから比べれば昨年の3653億円はまだまだごく一部ということだが、返礼品競争が激しさを増し、納税者の関心をひくことになれば、さらに爆発的にふるさと納税が増えることになる。そんな危機感を総務省は持っているのだろう』、確かに菅義偉・現官房長官に押し切られて制度を導入した総務省には、「もともとの総務省の利権に穴が開く」ので危機感を強めたのは事実だろう。「地場産品」の定義も難しいのもその通りだ。しかし、かといって制度を大きく逸脱した返礼品競争の放置を暗に主張している磯山氏の主張は、日経新聞記者出身とは思えない粗さが目立つ。ひょっとして菅義偉・現官房長官への「忖度」が働いているのではとすら思える。
・『地方の消費を下支えする効果は無視できない  では、本当に通達に従わない自治体を対象から除外するような立法が可能なのだろうか。仮に一部の自治体への寄付を控除対象として認めないとした場合、寄付する納税者の側に大混乱をもたらすに違いない。また「3割」や「地場産品」といったルールの具体的な基準を明記しないと、法律としては成り立たないだろう。 総務省は今回の「警告」によって多くの自治体が3割以下に返礼品の調達額を抑えたり、地場産品でないものの取り扱いを止めることを期待しているに違いない。11月に再度の調査を行うとしており、それまでに改善されれば、法改正の動きは立ち消えになるかもしれない。10月には内閣改造も予想されており、野田総務相の交代も噂される。 結局は、自治体に自制を促すための「警告」にとどまり、ふるさと納税の仕組みが大きく変わることはないだろう。 ただし、一方で、納税する側の意識変革も必要になるかもしれない。このふるさと納税が本当にその自治体を応援することになるのか、返礼品が魅力的かどうかだけでなく、税の使われ方として正しいかどうかも重要な判断基準にすべきだろう。 もっとも、高額返礼品人気は、低迷している地方の消費を下支えする効果があることも忘れてはいけない。その自治体に住んでいない人が返礼品を目的に寄付をすることで、その地域内で返礼品が買い上げられ、地域の「消費」が上向くことになる。一種の「インバウンド消費」である。 消費を盛り上げるために、むしろ返礼品の金額を引き上げて、地域での購入額を積み増すのも景気対策として意味があるのではないか。いったん税金として集めてそれを産業振興予算や景気対策などに配るよりも、ふるさと納税(寄付)というすぐに現金が入ってくるものを、地場の産業に回した方が即効性がある、とみることもできる。しかも、首長や議会などが補助金の助成先を決めるよりも、返礼品として人気のある商品の企業に直接恩恵が及ぶ方が、競争原理が働き、地域活性化に役立つとも考えられる。 災害が多発する中で、ふるさと納税の仕組みを活用して被災地を支援する取り組みも広がっている。そうしたふるさと納税には返礼品はなしというものも多い。返礼品がなくても、税金(寄付金)の使われ方が明確なものに対しては、応援しようと言う納税者も増えているということだろう。 ふるさと納税を巡る論議を、税金の使われ方をどう透明化し、そこに納税者の意思をどうやって反映させるかを考えるきっかけにすべきだろう。分配権限を握る総務省にとっては、ますますふるさと納税は目の上のたんこぶになっていくに違いない』、野田総務相の後任の大臣も同様の主張をしていり、「立ち消え」にはならなかったようだ。ふるさと納税の税収を大きく上げたところは、地場産品を殆ど取り入れてないので、「地方消費下支え効果」は期待できる筈もない。お粗末極まりない主張だが、参考までに紹介した次第である。

第三に、1月24日付けダイヤモンド・オンライン「ふるさと納税「違反自治体」に寄付殺到!返礼品競争が制御不能に」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/191745
・『『週刊ダイヤモンド』1月26日号の第1特集は「バラマキ7000億円を取り戻せ!!最新税攻略法」です。自分で選んだ自治体に寄附をすることができる、ふるさと納税。所得税や住民税の還付・控除が受けられるほか、豪華な返礼品が注目されていますが、競争が激しくなるにつれその返礼品が年々過激になってきています。そこで政府は、昨年一部“違反”自治体に自粛を求める通知を送りました。 「依然として一部団体で、返礼割合が高い返礼品をはじめ、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている状況が見受けられます」「仮にこのような状況が続けば、ふるさと納税制度全体に対する国民の信頼を損なうこととなります」 昨年4月、一部自治体で依然として続く過剰な返礼品競争をめぐって、自粛を求める通知を自治体に送った総務省。その後も過熱ぶりが一向に収まらない状況に業を煮やし、同年7月には(1)返礼割合が3割超、(2)地場産品ではない返礼品を送付している、(3)同年8月までに見直す意向がない――などとして、大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など12の自治体名の公表に踏み切った。 名指しされた自治体では、総務省の動向に一段と神経をとがらせているかに思えたが、実際には笑いが止まらなかったようだ。なぜなら、返礼割合が高いなどと総務省が全国に広く「宣伝」してくれたことで、一部の自治体では寄付が急増したからだ』、総務省の注意喚起が逆にPRになったとは皮肉だ。
・『その後、ついに総務省は通知に反する行為を続ける自治体を、寄付金控除の対象から外す方針を決定。今年6月以降は、違反する自治体にふるさと納税で寄付をしても控除を受けられなくなるよう、今春までに法改正することになり、泉佐野市をはじめ名指しされた自治体からは怨嗟の声が上がった。 一方で、控除対象を決める5月まではまだ猶予があるとみた自治体では、駆け込むようにして家電製品や金券を返礼品として大量投入したり、果ては監視の目をくぐり抜けようと「ゲリラサイト」を開設し、豪華な返礼品で寄付を集めるとすぐに消去したりと、やりたい放題だった』、駆け込む自治体が出たとは、自治体もしたたかだ。
・『総務省と自治体によるいたちごっこ 過剰返礼品  さらに、通知の抜け穴を探るような手法も登場している。食品などの返礼品と合わせて、寄付額に応じてインターネット通販大手のアマゾンの「ギフト券」を送り、実質的な返礼割合が3割を超えるようにするといった手法だ。 各自治体の返礼品を載せる一部のポータルサイトが、キャンペーンと称し自治体に知恵を付けて支援したこともあり、同手法は一気に拡散。昨年末に総務省が慌てふためき「不適切」と指導し、違反した自治体名を公表する結果となった。 これまでもポータルサイト上では、「ポイント還元10倍」などとして、寄付額に応じて独自のポイントを期間限定で付与するといったサービスが横行しており、ギフト券を規制したところで、もはやいたちごっこの状態といえる。 2000円を寄付するだけで豪華な返礼品を受け取れる制度は、納税者のみならず、返礼品を提供している地方の事業者にとっても恩恵が大きいが、制度のありようが問われているのも間違いない。(次頁に「ふるさと納税の概要」の図)』、「ギフト券」や「ポイントサービス」なども含め、無駄な実質的な返礼競争は法改正で止めさせるべきだろう。

第四に、2月18日付け日経ビジネスオンライン「泉佐野の100億円還元に「許せない」、地方同士の戦いへ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/021500093/
・『大阪府泉佐野市が打ち出した、ふるさと納税の寄付者にアマゾンのギフト券を配る「100億円還元」に対し、自治体の間で反発が強まっている。ふるさと納税の返礼品をめぐっては、これまで総務省と自治体、都市部の自治体と地方の自治体といった対立構図が目立っていた。ここに来て、地方の自治体同士の反目が鮮明になっている。 「あれでうちの税収も奪われるのは許しがたい」。ふるさと納税サイト運営のトラストバンクが13日に都内で開いた勉強会で、青森県三戸町の担当者が憤った。「アマゾン100億円還元」に対して「本来の行政がやるべきことでない」などと反発する声が相次いだ。 自分の選んだ自治体に寄付をすると、自己負担の2000円を超えた金額が上限付きで、所得税や住民税から控除されるふるさと納税は、2008年度にスタート。当初から高級和牛やカニといった、各自治体が寄付者に用意する豪華な返礼品で話題を集めていた。 制度は15年度に爆発的に広まった。納税先が5自治体以内であれば、確定申告をしなくても控除が受けられる「ワンストップ特例制度」の導入がきっかけだ。全国の寄付総額は前年度の388億円から1652億円にまで急増した。 返礼品競争も過熱し、地元に関係のない高級食材や家電製品、商品券などで寄付を集める自治体が増え、カタログギフトショッピングの様相に。地方の振興に資する寄付税制という本来の趣旨からは大きく逸脱していく。 当初は特産品に乏しい都市部の自治体に不満が募っていた。住民が地方にふるさと納税をすれば、自らの税収を奪われるのと同じだからだ。東京都世田谷区など都市部の自治体を中心に行き過ぎた返礼品競争に懸念の声が上がっていた。 その後、返礼品の充実に力を入れる自治体と、カタログギフトショッピングのようになった事態を重く見る総務省との対立が激しくなった。大臣名で返礼品の自粛を度々要請。調達費用を寄付額の3割以内に抑えることや、高額だったり換金性が高かったりするものなどを送らないよう求めてきた。 昨年末に決着した19年度税制改正では、ふるさと納税に初めて“規制”が導入されることになった。今年6月以降は、制度の趣旨に基づいたルールを守らない自治体は制度の対象外になる。泉佐野市の「100億円還元」は、閉店キャンペーンとうたっているように、まさに規制強化直前の駆け込みを狙ったもの。なりふりを構わない手法に反発は強まっており、地方対地方という新たな構図で軋轢を生んでいる』、「泉佐野市の「100億円還元」は、閉店キャンペーンとうたっている」とは、居直りの極致だ。外野席には面白くても、真面目にやっている自治体には腹立たしい限りだろう。確実に実効性ある法改正をしてもらいたいものだ。
タグ:泉佐野市 東洋経済オンライン ふるさと納税制度 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 磯山 友幸 土居 丈朗 (その3)(ふるさと納税は、制度見直しでどう変わるか 野田総務相が自治体の競争過熱に「待った」、ふるさと納税の見直しは「愚策」 総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に、ふるさと納税「違反自治体」に寄付殺到!返礼品競争が制御不能に、泉佐野の100億円還元に「許せない」 地方同士の戦いへ) 「ふるさと納税は、制度見直しでどう変わるか 野田総務相が自治体の競争過熱に「待った」」 野田聖子総務相は「ふるさと納税」制度を見直す方針を発表 返礼品競争の過熱が以前から問題視 返礼割合をどのぐらいにするかは、各自治体の判断で決められる 返礼割合3割超の返礼品を送付している自治体は 9月1日現在では246団体 地場産品でない品物を返礼品としているのは、190市町村 通知を守らない自治体を控除対象から除外へ 3割以下になっていることを根拠をもって示さなければならないこととなる 根拠は当然ながら、住民・国民に広く公表 知事や市町村長は、返礼品について「やましいことがない」と、しっかりと議会で説明しなければならない ふるさと納税制度の透明化が進む可能性 2019年の通常国会に地方税法改正案を提出 可決されれば、4月から適用 「ふるさと納税の見直しは「愚策」 総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に」 特設のふるさと納税サイトを設け、約1000種類もの返礼品を取りそろえ、135億円もの寄付を集めた。前年度に比べて100億円も増加した 「地場産品」の定義はどうなる? 総務大臣は菅義偉・現官房長官。菅氏の後押しで実現したが、当初から総務省自体は導入に消極的だった ふるさと納税で、納税者の意思が税収再分配に反映されるようになると、もともとの総務省の利権に穴が開く 地方の消費を下支えする効果は無視できない 違反自治体」に寄付殺到!返礼品競争が制御不能に」 礼割合が高いなどと総務省が全国に広く「宣伝」してくれたことで、一部の自治体では寄付が急増したからだ 通知に反する行為を続ける自治体を、寄付金控除の対象から外す方針 控除対象を決める5月まではまだ猶予があるとみた自治体では、駆け込むようにして家電製品や金券を返礼品として大量投入したり、果ては監視の目をくぐり抜けようと「ゲリラサイト」を開設し、豪華な返礼品で寄付を集めるとすぐに消去したりと、やりたい放題だった 総務省と自治体によるいたちごっこ 過剰返礼品 アマゾンの「ギフト券」を送り、実質的な返礼割合が3割を超えるようにするといった手法 独自のポイントを期間限定で付与するといったサービスが横行 「泉佐野の100億円還元に「許せない」、地方同士の戦いへ」 ここに来て、地方の自治体同士の反目が鮮明に 「あれでうちの税収も奪われるのは許しがたい」 制度は15年度に爆発的に広まった。納税先が5自治体以内であれば、確定申告をしなくても控除が受けられる「ワンストップ特例制度」の導入がきっかけだ 全国の寄付総額は前年度の388億円から1652億円にまで急増した 地元に関係のない高級食材や家電製品、商品券などで寄付を集める自治体が増え、カタログギフトショッピングの様相に 泉佐野市の「100億円還元」は、閉店キャンペーンとうたっている 規制強化直前の駆け込み
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日産ゴーン不正問題(その6)(会社を私物化するトップは どんなふうに組織を腐らせるのか、日産とルノー 「ゴーン後」巡る対立険しく 怒気を含んだ手紙と弁護士を介したやり取り、ルノーとの統合 日産の要請で阻止に動いた経産省) [企業経営]

日産ゴーン不正問題については、1月28日に取上げた。今日は、(その6)(会社を私物化するトップは どんなふうに組織を腐らせるのか、日産とルノー 「ゴーン後」巡る対立険しく 怒気を含んだ手紙と弁護士を介したやり取り、ルノーとの統合 日産の要請で阻止に動いた経産省)である。

先ずは、プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役の秋山進氏が2月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「会社を私物化するトップは、どんなふうに組織を腐らせるのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/192734
・『大昔のことだが、経営者の不正に関しては、忘れられない思い出がある。 あるグループ本社から依頼された仕事をしていたときに、予定にはなかったのだけれど、話の成り行きで、本社の人とともにある子会社を訪問することになった。先方は突然の訪問にもかかわらず対応してくれ、事業サイドの管理職数人と話をすることができた。そして、最後に財務経理担当者とも話をすることになった』、どんな展開になるのだろう。
・『内部告発の瞬間に立ち会った思い出  おずおずと部屋に入ってきた担当者だが、異様な雰囲気を身にまとい、目が血走っている。何かがおかしい、と思った。そして、名刺交換をした後に、私の話も聞かず「財務状況を説明させていただきます」と言って、貸借対照表(BS)を持ち出し、一つひとつの勘定科目を順に指さしながら、売掛金はこれこれの額で、と噛んで含めるように読み上げる。 わざわざ言われずとも、数字を見ればわかることなのだが、その行動には有無を言わせぬものがあったので、ただ黙って話を聞いていた。 しかし、短期貸付金のところで、それを指す担当者の指が、そして声が震えた。 えっ? この会社の規模からすると、明らかに釣り合わない額の貸付金。 「この貸付金って、何ですか」私は思わず尋ねた。担当者は一瞬安堵したように顔の緊張を解き、ちょっと間をおいてから、「私の口からは言えません」と言った。 それがきっかけとなり、いろいろと調査をすることになった。貸付先は社長であった。 残念なことに、その後、キックバック、トンネル会社を介在させての中抜き、個人的支出を会社の経費にする不正請求、その他あらゆる問題行為があることが判明した。さらに、それだけでは足りなくて会社からお金まで借りていたのである。 もともとグループ本社からしてみれば、金額的にも機能的にもそれほど重要性の高くない会社である。本社からたまに人は来ていたようだが、そのたびに社長自らが先頭に立ち特別の接待をして、“余計なこと”に興味を持たないように誘導していたそうだ。 特に社長は、財務経理担当者が単独で本社の人と会うことは絶対に許さなかったらしい。また今回も、担当者としては、たまたま社長の出張中に、本社からの依頼でやってきたコンサルタントに、「BSの勘定科目の数字を読み上げた」だけである。 そのときの担当者の異様な顔つきは忘れられない。自分の生殺与奪の権を握る社長を告発するというサラリーマン人生を懸けた勝負だったのだ。あくまで外部のコンサルタントが自発的に発見した(形式的にはそうである)ことにしてほしかったので、BSの項目を一つひとつ指さし確認していったのである。私は、その意を酌んで対処した』、子会社社長といえども、ここまで好き放題に出来たとは、本社のグリップも緩かったのだろう。
・『愛人と社長が会社を私物化した有名事件  30代以下の方はそもそも知らないと思うが、経営者の会社私物化においては「三越岡田事件」という有名な事件がある。1982年のことだから、35年以上前の話だ。ただ、古い話ではあっても、経営者の会社私物化の原型のような例であるので、少し詳しく語ってみたい。 この事件は、あの歴史と伝統のある三越百貨店が、社長である岡田茂氏とその愛人竹久みち氏によって蹂躙(じゅうりん)されていたのを、社外取締役のサポートを受けた社内取締役のクーデターによって、取締役会において社長を解任し、その後刑事告発したというものである。 事情は当時の顧問弁護士・河村貢氏の著書『解任』に詳しい。 まず、どれだけ社長が会社を私物化していたかというと、以下の通りだ。
 +愛人の会社を無理やり取引に介在させる(商品を海外から輸入する際、業務上の必要はまったくないにもかかわらず、愛人の会社(オリエント交易)を帳簿上介在させて口銭やコンサル料を支払う。輸入が増えると愛人の会社がもうかる仕組みなので、輸入商品がどんどん増加し、売れ残りが激増した。このほかにも愛人の設立した宝飾品ブランド「アクセサリーたけひさ」の商品を強引に三越に納入させ、利益供与を行う。自社の婦人服ブランド「カトリーヌ」の生地を輸入する際に、オリエント交易に口銭を払い、さらには服のデザイン料として製品価格の7%を愛人のペーパーカンパニーに支払う……など。)
 +取引業者に複数の家の費用を持たせる(三越がある業者に発注した建物や設備の増築工事などについて、その業者が請求した額が水増しされ、その水増し分が岡田氏の私邸の改築費に使われた。それとは別のマンション(愛人と使う目的)についても、癒着業者からクラブハウスを造るという名目で頭金を出させて購入し、さらには室内整備については出入り業者に突貫工事を強い、自分では工事費をほとんど払わなかった。結局、この業者は、三越からの注文の代金を水増ししてまかなったという。)
 +派手好きで、豪勢な社長室を造る(社長室といっても、本社のワンフロアを大きく占領し、ベッドルーム、シャワー、バス、トイレ、食堂、応接間、日本間、書斎などのある巨大なスペースである。さらに、岡田氏は自己顕示欲が強く、とにかく派手好きであった。これ自体は問題行為ではないが、招待客を1000人以上呼んでベルサイユ宮殿にて、パリ三越7周年記念パーティなども実施している。)
 +反社会的勢力からのたかりに遭う(ブラックジャーナリズムへのもみ消し依頼から、さらにもみ消し依頼した相手からもたかられることになり、金を吸い取られるようになる。また犯罪行為に加担した企業から、原野の土地(価値はほぼゼロ)を高額(4億8000万円)で購入することもあった。問題のある相手に何かを頼むと、弱みを握られ、後々もたかられ続ける。) これだけの問題がありながらも、反対派はどんどん左遷され、退社していくので自浄作用が働かない。経営幹部もすべて子飼いばかりになる。親衛隊が諜報活動を行い、反社長的な言動をしていないか目を光らせる。みじんでも反対派の兆候が見受けられればパージの対象となり、左遷される。悲しいことに、こういうトップになってから、一般の従業員の中にも、業者へのたかり行為を行う者があったようである。こんな状況下では、ばからしくてまじめに仕事をする気持ちがなくなってくるのだ。組織内部の倫理意識が崩壊しかけていた』、1982年といえば、バブル前だが、既に十分バブリーに振舞っていたようだ。現在と違って、百貨店が繁栄を謳歌していた時代だからこそ、可能だったともいえよう。
・『国益に反しなければ特捜を動かすのは難しい  そんななか、心ある役員と弁護士は、策を練り、社長の追い落としを計画する。当時彼らが方法として考えたのは以下の3つである。
 1.証拠を集め、司直の手に委ねる(検察が動いて逮捕、起訴するような事態になれば、それを契機に社長を解任することができるだろうという考えである。しかし、敵もさるもの。簡単に証拠は残さない。肝心なところは部下の名を使い、自分はタッチしていなかったかのような形をとる。問題のある取引は、海外を中心に一部の少数の腹心の社員などを使い、きわめて隠密裏に行われている。さらには有名企業とはいえ、しょせんは一営利企業のことだから、検察もそう簡単に動かない(実際に、東京地検特捜部にアプローチをしたが、「国益を損なう」ほどではないと判断されたのか、関心は持たれたものの、動いてくれなかった)。)
 2.少数株主主権による取締役解任の請求(これには不正行為の証拠が必要だ。しかし1と同じ理由で実際には証拠入手は難しい。)
 3.取締役会において、代表取締役と社長の職を解任し、何の権限も与えない(違法行為の有無にかかわらず、これならいつでもできる。いわゆるクーデターである。 そして3しかないという話になった。シナリオを作り、皆で練習して取締役会に臨んだ。解任提案に対して考えうるあらゆる反応、暴挙、妨害に備えて、幾重にも厳重な作戦だった。また事前にマスコミが嗅ぎつけてあわや計画が岡田に露呈しかけるという一幕もあった。そして、その提案の瞬間は、前出の本『解任』で、このように描かれている。〈昭和57年9月22日午前11時25分、取締役会の席上、突如杉田専務取締役から「岡田社長の社長と代表取締役の解任を提案いたします。賛成の方はご起立を願います」との提案が上程された。岡田社長を除く全取締役は、ただちに、「賛成!」の掛け声と共に一斉に起立した。この瞬間、十年間にわたって権勢をほしいままにした梟雄岡田茂もついにその座を追われたのである。〉 解任されたときの岡田社長は「なぜだ」と言い、この年、「なぜだ」という言葉が大流行したという。 その後岡田氏と、愛人竹久氏は罪を問われた。 岡田氏は約19億円の特別背任罪で起訴され、懲役3年6ヵ月の実刑判決が下った。上告中に本人が死去して、公訴棄却。 竹久氏も特別背任の共犯、ならびに所得税法違反で起訴され、最高裁まで争ったが、懲役2年6月、罰金6000万円の実刑判決が確定し、栃木刑務所で1年6ヵ月服役ののち病死した』、事件の概要は私もよく覚えているが、「東京地検特捜部にアプローチをした」というのは初耳だ。
・『絶対権力は絶対腐敗する  良からぬ業者ばかりが優遇され、主要な取引先が離反していったり、顧客からの信用がなくなっていったりするなか、このあと三越は社員たちの必死の努力で復活を遂げた。 顧問弁護士は、これらの問題がなぜ発生したかについて、「社長に権限が集中しすぎていたから」だと述べている。 絶対権力は絶対腐敗するのである。 そして、誰をトップにし、どう制御するかは絶対的に重要なことなのである。 岡田氏は、旧態依然とした三越にヤング向けの新しい風を入れて売り上げを増やしたという。マクドナルド第1号店は、このときの銀座三越内にできたものである。そして宣伝畑出身で、マスコミの操縦がうまく、一躍時代の寵児となった。その結果、社長になるのだが、売上増加といっても、その内実は店舗の売り場面積が増えた(増床)分の売上増にすぎないともいわれている。 また、なぜこのような人物がトップになったのか。 選んだのは前社長であるが、前社長も岡田氏にいろいろ問題があることは十分に理解していた(実際に岡田氏が役員のときに、本部の許可なしに契約行為をし、会社に損害を与えたことがある)。前社長が岡田氏に弱みを握られていたために、社長に指名せざるを得なかったという説もある。 いずれにしてもトップがこういう状況だと社員は悲劇である。 そんなにひどい会社なら、他社に転職すればいいではないかと言う人もいるだろう。しかし、それも話としてはわかるが、社員の立場から見ると強い説得力を持たない。自分の愛着のある組織のトップに、本来なるべきでない人がなったのであって、退出すべきは自分ではなく、トップなのである。 ちなみに冒頭の財務経理担当者も、三越のクーデターのリーダーも、しばらくして会社を離れることになった。正しいことをやったとの気持ちはあれど、自分の上にいた人間を葬った罪悪感にいたたまれなくなったのだ。 社員にこういう思いをさせてはいけない。そのためには、なんといってもこういうトップを選んではいけないし、そういう兆候が出てきたなら、たとえそれなりの功績があろうと、形式的に違法行為であろうとなかろうと、警告の上、最終的には排除することを考えなくてはならない』、「宣伝畑出身で、マスコミの操縦がうまく、一躍時代の寵児」、いまでいう「カリスマ経営者」存在だった。追い出した2人が、「自分の上にいた人間を葬った罪悪感にいたたまれなくなった」ので、会社を離れたとは悲劇だ。

次に、2月7日付けダイヤモンド・オンラインがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の記事を転載した「日産とルノー、「ゴーン後」巡る対立険しく 怒気を含んだ手紙と弁護士を介したやり取り、ゴーン前会長への継続調査であらわに」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/193317
・『日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告の捜査を巡る緊張感の高まりは、ルノーと日産の世界的なアライアンス強化の取り組みに影を落としている。 ルノーと日産はここ数週間、昨年11月19日のゴーン氏逮捕で失われたと両社の関係者が話す相互の信頼を取り戻すため、複数の手続きを進めている。ルノーと日産の会長を兼務していたゴーン被告が金融商品取引法違反の容疑で逮捕されるまで、日産は何カ月も極秘調査を行っていた。ゴーン被告はすべての容疑を否定している。 ルノーは先月、タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナール最高経営責任者(CEO)を新会長に起用すると発表。日産との関係見直しを委任した。新CEOにはティエリー・ボロレ副CEOを指名した。 日産は4月8日に開く臨時株主総会で、ゴーン被告に代わる取締役としてスナール氏を選任する見通しだ。 事情に詳しい複数の関係者は、こうした流れが日産とルノーの提携条件の再交渉へ向けた地ならしとなると話す。再交渉には、以前から提携でルノーを優位にしてきた株式保有比率の調整など、微妙な問題も含まれる。ルノーは売上高で日産を下回るが、日産株の43%を保有している。一方、日産は議決権のないルノー株15%を保有している。 ルノーの取締役会に近いある関係者は、「まずは信頼回復が必要だ」と語る。 日産の西川広人社長兼CEOは5日夜、臨時株主総会を開催することで、提携に関し「4月、5月と次のステップを議論できる」ようになると述べた。 提携が揺らげば両社ともに失うものは大きい。三菱自動車を含む3社のアライアンスは2017年、57億ユーロ(約7100億円)のコスト低減効果を生んだ。昨年、世界で販売された乗用車の9台につき1台はアライアンスが生産した』、コスト低減効果は、日産が新車開発をストップさせられていることで、水増しされている筈だ。
・『だが、ゴーン被告を巡る日産の調査継続や、それに対するルノーの懸念は、信頼回復の障害となっている。日産の内部調査の結果、過去8年の財務諸表で報酬を過少に報告したほか、個人的な金銭問題で支援を受けた知人のサウジアラビア人が所有する企業に対し、日産からの送金を手配した容疑で、東京地検がゴーン被告を起訴する道が開けた。 ゴーン被告は法廷で、確証も根拠もなく容疑にかけられていると主張した。 昨年のクリスマス直前、ルノーの担当弁護士らに日産の弁護士から説明が行われた。内情を知る関係者によると、日産の調査担当者らは、ルノー幹部への聴き取りや書類確認を行いたいと要請。これを受け、幹部が捜査に巻き込まれるリスクや、社外秘の資料が日本の当局の手に渡る可能性にルノー側は一段と懸念を募らせたという。 複数の関係者によるとルノーはその後、日産の弁護士に対し、調査の範囲や手法について質問する内容の82ページにわたる書類を送付。関係者の1人によると、ルノーは日産が社外秘資料を日本当局と共有したかや、日産の従業員が刑事免責の適用を受けるため当局と司法取引の合意に署名したかなどを知ろうとしたという。 日産の広報担当者は調査について「唯一意図しているのは真実を明らかにすること」だとし、関連事実を明らかにするため、常に提携相手とのオープンで率直な対話を歓迎していると述べた。 日産幹部は、日産がオランダにあるアライアンス統括会社「ルノー日産BV」に調査を広げた際、ルノーの対応は後ろ向きだったと指摘している。両社は先月、外部の監査法人を起用することで合意。ルノー日産BVが15~16年の直近2年に計上した年間約2000万ユーロのコンサルタント料について調べる予定だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。 ルノーの関係者は、統括会社の調査が適切に行われることを同社は望んでいるとしている』、ルノーが、日産と司法当局間のやり取りに神経を尖らせているのは、理解できる。
・『ルノーの弁護士らは1月16日、日産に書簡を送付。日産の法務室とCEOオフィスを統括するハリ・ナダ専務執行役員を巡る懸念を伝えた。書簡は、ナダ氏が捜査の根底に関わっていながら、ルノーと日産上層部の橋渡し役にとどまっていることについて、利益相反に直面する可能性がないかを問いただしている。 書簡はさらに、ナダ氏が日産と協力して上司に不利な証拠をひそかに集め、羽田空港でゴーン被告を逮捕する綿密な作戦の下地を整えていたと報じたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事を引用。 「ナダ氏は内部告発者の役割を果たしたとされる一方、日産を代表して当件に関与し続けており、(調査の)公正さと誠実さに関して極めて疑わしい問題をもたらす」との懸念を示した。WSJは書簡の抜粋を確認した。 ナダ氏からコメントは得られていない。日産の広報担当者は、ナダ氏がコメント要請に応じることはできないとした。 書簡によると、ナダ氏はつい先月4日にも、ルノー副CEOだったボロレ氏にメールを送信。日産でゴーン被告の側近を務めていたホセ・ムニョス氏が休職しているが、ルノー側から同氏に連絡を取ることは控えるよう要請していた。 ルノーは「こうした行動パターンは、日産による調査の動機と目的に疑問を生じさせる。調査は中立的な事実情報の収集活動というより、政治的な運動のように見える」と記した。 日産の広報担当者はルノーの懸念について、「すでに確認し、日産の外部弁護士を通じた口頭と書面による一連の返答で対応している」とし、日産は引き続き「関連するあらゆる法的および倫理的規定を順守する決意だ」と付け加えた』、ナダ専務執行役員はルノーから派遣されているにも拘らず、日産側についたことで、ルノーは怒り心頭なのだろう。ただ、「ルノー側から(ホセ・ムニョス氏)氏に連絡を取ることは控えるよう要請」、とはやり過ぎとの印象も受けた。

第三に、2月16日付けウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙「ルノーとの統合、日産の要請で阻止に動いた経産省」を紹介しよう。
https://jp.wsj.com/articles/SB10886840321533823612304585126052098443576
・『日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が逮捕される数カ月前、日本政府は日産とルノーの統合を検討する協議に介入していた。協議を知る関係者が明らかにした。 日産経営陣は当初、ゴーン被告が主導していた統合提案を退けるため、経済産業省に助けを求めた。だが経営陣の支援要請は裏目に出た。関係者によると、経産省は要請を受け、自らが統合協議を統括する役割を担う内容の合意書を作成したからだ。日産はこれを過度の干渉と受け止めた。 日本政府による介入の経緯は、統合関係の強化を推し進めていたゴーン被告に対し日産が調査を開始するわずか数週間前に、国際的な緊張が高まっていたことを示している。 日産・ルノー連合の将来についての協議を巡り、日本政府の直接的な関与はこれまで報じられていなかった。政府は表向きは、連合の将来は両社が決める問題だとしているが、そうした建前とは矛盾する事実が明らかになった格好だ。政府の関与はまた、両社の相違を浮き彫りにしている。日産とルノーの会長を兼務していたゴーン被告の逮捕と解任に至るまでの数カ月、両社の溝は深まっていた。 日産が日本政府に異例の支援要請をしたことは、同社幹部が統合を巡りフランス側からの強い圧力を感じていた証しでもある。 経産省の自動車業界担当者は、外交交渉についてはコメントできないとしながらも、日本政府は常に、提携問題はあらゆる関係者に受け入れられる方法で両社が解決すべきとの考えだと説明。日産とルノーの協議に介入したり、両社に指示を出したりする意向はないと述べた。 日産はコメントを控えた。 世耕弘成経済産業相は11月27日の記者会見で、日本とフランスの政府は役割が異なると明言した。仏政府はルノーの筆頭株主で、日産との交渉にも代表を送り込んでいる。 世耕氏は「われわれは株主でもない。人事やガバナンスを含めて各企業のことに政府が口を出すべきではないと考えている」とし、日産・ルノー連合の先行きについては「民間企業の問題」との認識を示した。 協議に詳しい関係者によると、日本政府は昨夏にかけての数週間、仏政府の対抗勢力として立ち回ろうと努めていた。 仏政府はそれより数カ月早く、ルノーの筆頭株主として、提携を「不可逆的」なものにするようゴーン被告に公に指示していた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今週、両社の協議が4月下旬に険しさを増していたと報じた。日産幹部が当時の協議で、仏政府保有のルノー株を管理する仏国家出資庁(APE)に対し、日産が完全統合に反対であることを伝えたためだ。 APEはコメントを控えた。 日産幹部は以前から統合案に反対し、株式の持ち合い比率の再調整を求めていた。 関係者によると、日産は経産省に支援を求めたが、それが図らずも協議への政府介入に道を開くこととなった。 経産省はルノーの提携強化案について、日産の意志決定に一切の影響力を持たない単なる選択肢として扱う合意案を起草した。草案は日仏両政府が署名する形式だった。 この草案が日産関係者にとって想定外だったのは、仏政府が提携に影響する提案をする場合、仏当局者から日本の当局へ通知するよう求める内容だったからだ。経産省はこの草案によって、関係者間の円滑なコミュニケーションと意志決定の促進を目指していたという。 関係者によると、仏政府が5月に草案について議論したと日産は述べている。仏政府から返答があったかは不明だ。 経産省の関係者は草案については何ら認識していないと述べた。また、一般論として、ルノーがなんと言おうとも、日産が自ら決断を下す権限を持つことを主張するのはごく当然だとの見方を示した。日本政府としては各関係者が密に話し合い情報を共有するよう促しているとも語った。 フランス経済省はコメント要請に応じていない。 関係者によると、日産幹部はこの草案を巡り、社内運営に対する政府の過度な干渉を確約することにならないか議論していた。 日産の最高経営責任者(CEO)オフィスを統括するハリ・ナダ専務執行役員も議論に加わっていたという。WSJは12月、ゴーン被告の逮捕につながった捜査でナダ氏が重要な役割を果たしたと報じた。 日産はナダ氏がコメント要請に応じることはできないとしている。 ルノーの広報担当者はコメントを控えた』、「経産省は要請を受け、自らが統合協議を統括する役割を担う内容の合意書を作成したからだ。日産はこれを過度の干渉と受け止めた」トイウスクープは衝撃だ。現在でこそ、経産省は不介入の姿勢を装っているが、その前には、徹底介入しようとしていたとは、こうした介入が好きな経産省らしい動きだった。しかに、逆に日産側から警戒されて流れたとは、経産省の力も地に落ちたようだ。
ゴーン氏の身柄拘束はまだ続いているようだが、自白しない限り身柄拘束という非人道的な日本の刑事法制に対する海外からの批判は続いているようだ。特捜部はいつまで身柄拘束を続けるつもりなのだろうか。 
タグ:ルノー カルロス・ゴーン ウォール・ストリート・ジャーナル ダイヤモンド・オンライン 秋山進 日産ゴーン不正問題 (その6)(会社を私物化するトップは どんなふうに組織を腐らせるのか、日産とルノー 「ゴーン後」巡る対立険しく 怒気を含んだ手紙と弁護士を介したやり取り、ルノーとの統合 日産の要請で阻止に動いた経産省) 「会社を私物化するトップは、どんなふうに組織を腐らせるのか」 内部告発の瞬間に立ち会った思い出 貸付先は社長であった。 残念なことに、その後、キックバック、トンネル会社を介在させての中抜き、個人的支出を会社の経費にする不正請求、その他あらゆる問題行為があることが判明した。さらに、それだけでは足りなくて会社からお金まで借りていたのである 愛人と社長が会社を私物化した有名事件 三越岡田事件 社外取締役のサポートを受けた社内取締役のクーデターによって、取締役会において社長を解任し、その後刑事告発 国益に反しなければ特捜を動かすのは難しい 絶対権力は絶対腐敗する 「日産とルノー、「ゴーン後」巡る対立険しく 怒気を含んだ手紙と弁護士を介したやり取り、ゴーン前会長への継続調査であらわに」 西川広人社長兼CEO 3社のアライアンスは2017年、57億ユーロ(約7100億円)のコスト低減効果を生んだ ゴーン被告を巡る日産の調査継続や、それに対するルノーの懸念は、信頼回復の障害となっている ハリ・ナダ専務執行役員 ナダ氏は内部告発者の役割を果たしたとされる一方、日産を代表して当件に関与し続けており、(調査の)公正さと誠実さに関して極めて疑わしい問題をもたらす」との懸念 「ルノーとの統合、日産の要請で阻止に動いた経産省」 経産省は要請を受け、自らが統合協議を統括する役割を担う内容の合意書を作成したからだ。日産はこれを過度の干渉と受け止めた
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安倍外交(その5)(「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想、国内向けに大嘘を垂れ流す安倍晋三の二枚舌外交はガキの使い以下、安倍首相、「トランプ氏をノーベル賞に」の波紋 ご機嫌取りか、それとも「有効な外交戦術」か) [外交]

安倍外交については、昨年5月22日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想、国内向けに大嘘を垂れ流す安倍晋三の二枚舌外交はガキの使い以下、安倍首相、「トランプ氏をノーベル賞に」の波紋 ご機嫌取りか、それとも「有効な外交戦術」か)である。

先ずは、昨年5月7日付け東洋経済オンラインが掲載した政治学者の白井聡氏へのインタビュー「「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは白井氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/217713
・『自発的な対米従属を続ける、世界に類のない不思議の国・日本。この呪縛を解くカギは国体にあるという。『国体論』を書いた京都精華大学人文学部専任講師の白井聡氏に詳しく聞いた』、『国体論』の現代風の解釈はどんなものなのだろう。
・『日本の行き詰まった状況を説明  Q:なぜ今、国体論なのですか。 A:今の日本の行き詰まった状況を首尾一貫して説明しうる、最有力の概念が国体なのだと考えている。 失われた20年あるいは30年といわれるように、日本が長い停滞から抜け出せないのは、なぜなのか。「国体化」した対米従属が社会をむしばんでいるからだ。世界に類を見ない歪(いびつ)な形で、つまりその支配の事実を否認しつつ対米従属をしていることが、社会を腐らせた。 Q:米国に妄想を抱きつつですか。 A:米国は日本を愛しているとの妄想に戦後日本の体制は依存している。それは、言葉遣いに端的に表れる。代表的なのがトモダチ作戦や思いやり予算。情緒的な言葉遣いが日米関係の公的な場でも多用される。日米関係は特別であり、打算的な関係で仲よくしているのではなく、真の友情に基づいているとのイメージをまき散らす』、「「国体化」した対米従属が社会をむしばんでいる」との指摘には、納得できる点が多い。
・『Q:「米国崇拝」と「天皇崇敬」に相似性があると。 A:「戦前の国体」における天皇と臣民の関係に、日米関係が似てきた。大日本帝国においては、神の子孫である天皇が国民を赤子として慈しみ、愛してくれている、何とありがたいことか、だから天皇陛下のために死ぬのは当然であり、日本人の幸福だ、という「世界観」が国民に強制されていた。 Q:それが「戦前の国体=天皇」から「戦後の国体=米国」へ移行したのですか。 A:「戦前の国体」は1945年の敗戦で壊されながらも、米国を頂点にする「戦後の国体」として再建された。日本は米国の懐に抱かれているというイメージが形作られ、世界に類を見ない日本の対米従属の特殊性が生まれた。愛されているという妄想に基づいて米国に従属している国は日本以外にない。  Q:好んで従属? A:ほかの国は遺憾なことだと感じ、少しでも自由になりたいという意思を持っている。ところが、平均的な日本人にはそういう認識も意思も皆無だ』、説得力に富んだ、興味深い指摘だ。
・『一昨年末に訪日したプーチン大統領にもズバリ言われている。独立国でありたいという意思ぐらいは持っているのかと。意思さえもないのではないか。そういう国とは領土問題などまじめに交渉できない、と彼は示唆した。 結果、ロシアは返還する意向だった歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)にまで開発の手を伸ばすと最近言い出した。敬意を払うに値しない属国だと見切られている。こんな無残な状態を作り出しているのが、対米従属を中核にした統治システム「戦後の国体」だ』、北方領土交渉の難航にも影響しているというのは、確かにその通りだろう。
・『Q:本書を今上天皇の「お言葉」から始めています。 A:「戦後の国体」は、事実上、ワシントンをピラミッドの頂点に置くシステムだ。今日、米国が日本人にとって精神的な権威にもなっている。そのとき日本の天皇の存在には何の意味があるか。もういらないということになる。日本人は気づかないままに、そういう精神状況を作ってしまった。そんな状況下で「お言葉」は発せられた』、天皇の「お言葉」の意味など考えたこともなかったが、どういう意味なのだろう。
・『対米従属問題は天皇制に行き着く  「お言葉」の中で、天皇とは単に日本国の象徴ではなく、国民統合の象徴だと何度も強調された。それは現に統合が崩れているからだ。仮に日本国民が統合を維持ないし再建する意思をもはや持たないのならば、統合の象徴もありえない。もう一度現在の統合の状態を見つめてほしいという呼びかけでもあったと考えられる。 Q:統合が壊れているとの認識が前提なのですね。 A:「失われた時代」によって社会が疲弊し、統合は壊れた。そこから再起できないのは、社会構造の歪みのためであり、その歪みは「戦後の国体」によってもたらされている。だから、「お言葉」は天皇自身による天皇制批判でもあった。 日本の対米従属の特殊性の問題は天皇制の問題に行き着くと『永続敗戦論』以来考えてきた。米国が“天皇化”すれば、日本の天皇の居場所はどこにあるのかが、必然的に問題になる。そんな状況が表面化してきた中で、「お言葉」は出てきた。思い切った行動には驚きもしたが、同時に、起こるべくして起こったとも思っている。 Q:驚きとは。 A:内容は考え抜かれたものだった。戦後の天皇制、あるいは民主主義社会における君主制一般が、今後の社会の中でどのような形でポジティブな意味で存続できるのか。そこまでを射程に入れた思い切った発言だった。言葉は穏やかなのだが、にじみ出る雰囲気から何か非常に激しいものを感じた。その激しさはたぶん現状への憤りではなかったか。天皇の言葉が特別な重みを持ってしまうのは、今が歴史的に見て国難の時代だからだ』、「「失われた時代」によって社会が疲弊し、統合は壊れた。そこから再起できないのは、社会構造の歪みのためであり、その歪みは「戦後の国体」によってもたらされている」との解釈は、なるほどと納得させられた。
・『日本には独立する意思が足りない  Q:「戦後の国体」は日米安全保障体制が裏打ちしている? A:「戦後の国体」の物理的基礎は日米安保体制にある。だが、軍事的属国化が奇形的な対米従属を必然化するわけではない。たとえば同じく敗戦国のドイツは、主体性を保っている。日本の対米従属の本質は、独立国たらんとする意思がないことだ。意思がないのは、従属していると思っていないからだ。 従属を無意識下に追いやったのは、あの戦争の死者に対するやましさゆえかもしれない。鬼畜米英、一億火の玉と言っていたのに、スムーズに米国の占領を受け入れた。その変節を正当化する物語が必要とされた。米国と対立して殺し合いをしたのは「不幸な誤解」だった。 マッカーサーはじめ米国人は私たちに敬愛の念を持っている。戦争は一部の頭のおかしい軍人がしたことだから、私たちは変節していない──そういうストーリーが無意識的に形成された。 Q:日本人には今や国家観も乏しいのですか。 A:国家も人間組織の一つだが、ほかの組織との決定的違いは、暴力行使の権限を持っていることだ。言い換えれば、国家から「暴力」、つまり警察と軍隊を引き去ると国家ではなくなる。 ところが、日本人で国家の本質は暴力だと理解している人は少ない。国家とは本来恐ろしいものなのだ。だが日本人は、国家は優しく包み込んでくれるものだと思っている。国体というと、何かおどろおどろしいイメージを想起させ、戦前の怖い国家体制を連想させるかもしれないが、むしろだからこそ、思い出さなければならない』、「鬼畜米英、一億火の玉と言っていたのに、スムーズに米国の占領を受け入れた。その変節を正当化する物語が必要とされた・・・戦争は一部の頭のおかしい軍人がしたことだから、私たちは変節していない──そういうストーリーが無意識的に形成された』、「国家とは本来恐ろしいものなのだ。だが日本人は、国家は優しく包み込んでくれるものだと思っている。国体というと、何かおどろおどろしいイメージを想起させ、戦前の怖い国家体制を連想させるかもしれないが、むしろだからこそ、思い出さなければならない」などの鋭い指摘には、完全に脱帽である。対米従属の深い意味が理解できた気がする。

次に、スタイリストのきっこ氏が9月17日付け同氏のブログに掲載した「国内向けに大嘘を垂れ流す安倍晋三の二枚舌外交はガキの使い以下」を紹介しよう。
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2018/09/post-9956.html
・『今から70年以上前の第二次世界大戦の末期、前線から届く報告は日本軍の壊滅的な惨敗ばかりだったが、日本政府は「今日もまた日本軍が米国の戦艦を撃沈した」「今日もまた日本軍が勝った」と大嘘の大本営発表を繰り返して日本国民を騙し続けた挙句、とうとう広島と長崎に原子爆弾を投下させてしまった。そして、これと同じことをしているのが、現在の日本の総理大臣である安倍晋三という前代未聞の大嘘つきだ。 わずか1カ月の間に、西日本の豪雨災害、関西の台風災害、北海道の地震災害と、日本列島は南から北まで激甚災害に見舞われたのにも関わらず、災害対策など二の次で「カジノ法案」を強行採決し、「赤坂自民亭」で宴会に興じ、夏休みまで取ってゴルフ三昧を楽しんでいた安倍晋三は、ようやく夏休みが終わって自民党総裁選での石破茂との討論を行なうと思ったとたん、できる限り石破茂との討論の回数を減らしてボロが出ないようにするため、そして、「外交の安倍」をアピールするため、トットとロシアへの外遊へ旅立ってしまった』、確かにあの時の安倍首相の対応は、驚くほど酷かったが、コントロールされたマスコミからは批判の声が出なかったようだ。
・『しかし、この浅はかな行動が、より安倍晋三の無能ぶりを日本国民にアピールすることになってしまったのだ。安倍晋三がロシア訪問の大義名分に利用した極東ウラジオストクでの国際会議「東方経済フォーラム」で、9月10日、ロシアのプーチン大統領は、こともあろうに「前提条件なしの年内の平和条約締結」を提案してしまったのだ。「北方四島のうち二島を返還するから平和条約を締結しよう」と言うのなら分かるが、「前提条件なしの平和条約締結」と言うことは、北朝鮮に対して「拉致被害者を1人も返してもらっていないのに先に10兆円支払う」と言っているようなものだ。 そして、プーチン大統領が大衆の面前でここまで一方的なことを言い出したのにも関わらず、安倍晋三はまったく反論できず、溶けたローソクのようなバカヅラを下げてヘラヘラと笑い続けていたのだ。映像を観ると、安倍晋三が発言できるチャンスは少なくとも5回以上はあったのに、ここまで一方的なことを言われながら、安倍晋三はただの一度も反論できなかったのだ。この情けない安倍晋三の対応に対して、日本では野党だけでなく自民党内部からも疑問の声が相次ぎ、自民党総裁選を戦っている石破茂も厳しく批判した。 そして、こうした多くの批判を受けて、安倍晋三は、16日のNHKの番組で、プーチン大統領が「前提条件なしの年内の平和条約締結」を提案した後、映像に映っていない場所で2人でやりとりを交わし、きちんと「北方領土問題を解決した上で平和条約を締結するのが日本の原則」だと直接反論したと述べたのだ。しかし、その直後、ロシア政府のペスコフ大統領報道官が、ロシア国営テレビのインタビューで、「プーチン大統領が前提条件なしの年内の日本との平和条約締結を安倍晋三首相に提案した時、安倍首相本人からは何の反応もなかった」と証言した今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?』、安倍首相に弁明させたNHKも御用機関ぶりを発揮したが、直ぐにロシア側から弁明を否定されたのは、確かにこれほどみっともないこともないだろうという珍事だった。
・『‥‥そんなワケで、今回の問題を分かりやすく時系列でマトメてみると、次のようになる。 9月10日 プーチン大統領がロシアが国際会議「東方経済フォーラム」で突然、「前提条件なしの年内の平和条約締結」を安倍晋三に対して提案したが、安倍晋三はヘラヘラと笑っているだけで反論のチャンスが何度もあったのにも関わらず、まったく反論しなかった。そして、それがそのまま日本でも報じられた。 9月11日、日本の野党から安倍晋三に対する厳しい批判の声が相次ぎ、与党内部からも疑問の声が出始める。 9月12日、菅義偉官房長官が記者会見で「両首脳間で、そのような発言があったということは承知していない」とお得意の知らぬ存ぜぬでゴマカシた上、「政府としては北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針に変わりはない」などと従来の世迷言を繰り返してお茶を濁した。 9月13日~15日、与野党だけでなく安倍政権を支持する保守層からも批判の声が広まり始めた。 9月16日、安倍晋三はNHKの番組で、プーチン大統領と2人でやりとりを交わし、きちんと「北方領土問題を解決した上で平和条約を締結するのが日本の原則」だと直接反論したと述べた。しかし、その直後、ロシア政府のペスコフ大統領報道官が「プーチン大統領が前提条件なしの年内の日本との平和条約締結を安倍晋三首相に提案した時、安倍首相本人からは何の反応もなかった」と証言したため、安倍晋三かロシア政府のどちらかが大嘘をついていることが確定した』、安倍政権の嘘は、あらゆる局面で多用されているだけに、もはや「方便」の域を通り越して、国民の政治不信を「政治的無関心」に向かわせる懸念も強い。
・『‥‥そんなワケで、皆さん、このパターンって、ナニゲにデジャヴー感を覚えない?そう、わずか3カ月前の今年6月、沖縄県の海上に米軍の戦闘機F15が墜落事故を起こした時のことだ。今年6月11日午前6時25分ごろ、沖縄県沖那覇市の南約80キロの海上で、飛行訓練中だった米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機1機が墜落し、パイロットは緊急脱出して無事だったが、すぐ近くには操業中の漁船があり、一歩間違えれば大事故になっていた。 沖縄県では、この事故の半年前の2017年12月にも普天間の小学校の校庭に米軍ヘリの窓が落下する事故が起こっていたため、沖縄県民からも野党からも厳しい批判が相次いだが、米軍は事故の3日後から飛行訓練を再開した。そのため、F15墜落事故から2週間後の6月25日の参院予算委員会で、野党が政府の姿勢を厳しく問い質すと、安倍晋三は今回の墜落事故を受けて「米軍司令部に飛行停止を申し入れた」と答弁したのだ。 しかし、その翌26日、在日米軍司令部は公式リリースとして「日本政府から飛行停止の申し入れは受けていない。日本政府から要請されたのは再発防止の申し入れだけだ」と発表した。つまり、安倍晋三か米軍のどちらかが大嘘をついていたことになる。そして、翌27日の党首討論で立憲民主党から「25日の首相答弁が米軍の公式リリースと食い違っている」ことを追及された安倍晋三は、恥も外聞もなく、こう言い放ったのだ。 「我々が再発防止の申し入れを行ない、その結果、点検のために2日間だが飛行が停止されたのだから、結果的に飛行停止を申し入れたことになる」‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!なんだこの屁理屈は?いくら国民から直敵的に選ばれた総理大臣でないとは言え、これが仮にも一国の総理大臣の答弁か?あたしには、百歩ゆずっても宿題を忘れた小学1年生のイイワケにしか聞こえなかった』、この記事で事件を思い出したが、「宿題を忘れた小学1年生のイイワケにしか聞こえなかった」とは上手い表現だ。
・『‥‥そんなワケで、「外交の安倍」という呼び名を正確に説明すると、「外交で何の成果も挙げられない無能ぶりをゴマカして支持率をキープするために、国内向けに大嘘の報道を繰り返しているペテン師の安倍」の略ということになる。その分かりやすい例が、アメリカが脱退して12カ国が11カ国になってしまった「TPP」だ。11カ国になってしまったために、安倍政権は「TPP-11」などというアホ丸出しなネーミングで目くらましをしているけど、そもそもがアルゼンチンのブエノスアイレスなどの国際舞台で「アメリカ抜きのTPPなど意味がない」と連呼して来たのは、安倍晋三その人なのだ。 そして、最大の参加国だったアメリカが脱退して何の意味もなくなってしまった「TPP」などに未だにしがみつき、自分の外交成果としてアピールしたい安倍晋三は、2017年11月上旬、「TPP」を担当する茂木敏充経済再生担当相を引き連れて参加したベトナムはダナンでの「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」で、またまた国内向けに大嘘を炸裂させたのだ。この時の日程は、まず参加11カ国の担当大臣らが会議を行ない、ここで一定の合意を得られれば首脳会議へ進むという流れだった。 そして、最初の会議では、日本を含む10カ国の担当大臣が「TPP-11」の大筋合意に前向きな姿勢を見せたが、カナダから参加していたフランソワフィリップ・シャンパーニュ国際貿易相だけが「現時点では大筋合意はできない」と反対した。カナダはメキシコとともにアメリカとの「北米自由貿易協定(NAFTA)」を進めているところだったので、先に「TPP」に合意してしまうとアメリカとの交渉が不利になるめため、トルドー首相の指示で「現時点では大筋合意しない」ということが事前に決められていたのだ。 それなのに、安倍晋三は、日本から同行した記者団を集め、茂木担当相に「11カ国が大筋合意した」と大嘘の発表をさせたのだ。ベトナムとともに共同議長をつとめる安倍晋三にとって、この「APEC」で一定の成果を挙げることは日本国内向けに大きな意味を持ち、自身の支持率にも影響がある。そのため、安倍晋三は、「どうせベトナムでの会議の内容など日本人には分からないだろう」とタカをくくり、子分の茂木担当相に大嘘の発表をさせ、日本国内に大嘘のニュースを流させたのだ。 しかし、今は12年前の第1次安倍政権の時代とは違って、各国の首脳や閣僚が普通にツイッターなどのSNSをやっている時代だ。日本国内の全メディアがいっせいに流した「TPP-11に11カ国が大筋合意した」というフェイク・ニュースは、すぐに全世界へ配信されてしまい、カナダ政府は大激怒してしまった。そして、カナダのシャンパーニュ国際貿易相は、その日のうちに自身のツイッターで「11カ国がTPPに大筋合意したなどいう報道が一部で出ているが、TPPは大筋合意などに至っていない」とツイートし、トルドー首相もカンカンに怒ってしまったのだ。 あたしは、参加11カ国の主要メディアの報道をすべてチェキしたけど、「大筋合意に達した」などと大嘘を垂れ流していたのは日本のメディアだけで、日本以外の10カ国の主要メディアは、すべて「カナダが反対したため大筋合意には至らなかった」と正確に報じていた。それなのに、日本だけは安倍晋三の指示で、大嘘のフェイク・ニュースを国内向けに報じさせていたのだ。そして、各国のメディアが「今回の日本の報道は完全に勇み足だ」と批判する中、次に安倍晋三がやったことは、急遽、トルドー首相との二国間の首脳会談をブッキングさせ、その場で何とかトルドー首相を説得しようという悪あがきだった。ま、ここまではともかくとして、最悪だったのが、安倍晋三は、まだトルドー首相との首脳会談が行なわれていない段階で、これまた子分の茂木担当相を使って、同行の日本の記者団に「安倍首相がトルドー首相を説得してTPP-11の大筋合意に至った」という大嘘を日本国内向けに報じさせたのだ。もはや「振り込め詐欺」よりも悪質だろう。 しかし、あまりにもデタラメな安倍晋三のやり方に怒りが収まらなかったトルドー首相は、「とても日本と首脳会談など行なえる段階ではない!」と吐き捨ててカナダに帰ってしまった。すると、またまた茂木担当相が、同行の日本の記者団に対して、「首脳会談は中止になったが、閣僚同士の大筋合意は確認できたので、後は各国がそれぞれ持ち帰って進めていく」などと大嘘をついてゴマカシたのだ』、本件は初耳だが、「日本だけは安倍晋三の指示で、大嘘のフェイク・ニュースを国内向けに報じさせていた」という日本のマスコミの姿勢は、いつものことながら、腹立たしい限りだ。
・『‥‥そんなワケで、どうせ日本人は海外の報道なんか見ていないとタカをくくり、日本国内向けにメディアを利用して大嘘を垂れ流して自分の支持率を守り続ける安倍晋三のこういうやり方って、皆さん、どう思う?たとえば、これは小さいネタだけど、今年の4月28日のこと、首相官邸の公式HPに「安倍首相は午後10時33分から約30分間、トランプ米大統領と電話会談し、北朝鮮の対策について緊密に連携した」などと大々的に発表し、新聞各紙の「首相動静」にも同様の内容を掲載させた。 でも、ツイッター狂いのトランプ大統領は、この日、日本時間の午後10時45分に「安倍と電話会談をした」と過去形でツイートしているのだ。普通に考えれば、同盟国の首相と電話会談中にツイッターに投稿などするワケがないし、もしも投稿するなら、過去形ではなく「安倍と電話会談中だ」と現在進行形でツイートするだろう。つまり、これは、安倍晋三との電話はわずか10分ほどで切り、それからツイートしたことになる。 だけど、首相官邸としては、いかに安倍晋三がトランプ大統領と緊密に連携して北朝鮮問題に適切に対応しているかということを国内向けにアピールすることこそが最優先課題なので、さすがに「12分の電話会談」などとは発表できない。そこで「約30分」などと盛りに盛った嘘を発表し、あたかも時間を掛けて重要な会話をしたかのように国民を騙したのだ。何というセコさだろう?』、これは首相補佐官連中の悪巧みなのだろうだが、「何というセコさだろう?」とは言い得て妙だ。
・『‥そんなワケで、森友学園疑惑や加計学園疑惑、公文書改竄疑惑から火炎瓶疑惑に至るまで、国内での数々の疑惑から国民の目をそらすために、「困った時の外交アピール」と言うワケで、安倍晋三は23日から5日間も訪米し、10月には中国を訪問して習近平国家主席との首脳会談までブッキングしている。20日が自民党総裁選の投開票日なのだから、その直後の訪米や訪中は「三選ありき」の余裕の表われだろう。でも、これまで22回もプーチン大統領と首脳会談を繰り返してきて、そのたびに何十億円、何百億円、何千億円という莫大な上納金を支払い続けて来たのに、その結果が「前提条件なしの平和条約締結」に「NO!」と言うこともできない無能外交なのだから、こんなの「ガキの使い」以下じゃねえか!‥‥なんて思った今日この頃なのだ』、「外交の安倍」の正体をここまで見事に暴いたきっこ氏はさすがだ。

第三に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が2月22日付け東洋経済オンラインに寄稿した「安倍首相、「トランプ氏をノーベル賞に」の波紋 ご機嫌取りか、それとも「有効な外交戦術」か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/267059
・『アメリカのトランプ大統領が安倍晋三首相からノーベル平和賞に推薦されたと自慢したことが国内外に複雑な波紋を広げている。 統計不正問題で揺れる国会でも、野党側は早速「恥さらし」などと首相を批判。与党内からも疑問の声が出ている。首相とトランプ氏は「世界が認める親密な関係」(外務省幹部)ではあるが、今回のトランプ氏の軽口を受けて、海外メディアの多くは「やはり安倍首相はトランプ大統領の“ポチ”(愛犬)だった」と揶揄した。ただ、外交専門家の中には「安倍流の強かな猛獣使い外交」と評価する声も出ており、当分は国際社会で格好の話題となりそうだ。 事の発端は15日のホワイトハウスでのトランプ大統領の記者会見だった。内外の課題に言及する中で、トランプ氏は、安倍首相から5ページの推薦状のコピーを手渡され、「日本を代表して謹んであなたを推薦する」と伝えられたと得意げに説明した。2月27、28両日には2回目の米朝首脳会談がベトナム・ハノイで開催される。関係各国の外交関係者の間でも「トランプ氏は米朝会談での合意に前のめりの証拠では」などと想定外のトランプ発言に揣摩臆測が広がっている』、「外交専門家の中には「安倍流の強かな猛獣使い外交」と評価する声も出ており」、と安倍首相への単なる「お追従」をわざわざ記載したのは、バランスを取るためとはいえ、見え透いている。
・『推薦は「恥ずかしいほどの対米追従」  一方、18日の衆院予算委員会で野党側はトランプ発言の真偽をただした。安倍首相は「ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしないのがルールなので、コメントは差し控えたい」としながらも、「事実ではないと言っているのではない」と、歯切れの悪い答弁を繰り返した。 野党側は、国際社会で批判を浴びた中距離核戦力(INF)全廃条約破棄やイラン核合意離脱などのトランプ外交を指摘して、「(平和賞の)推薦はあり得ない。恥ずかしいほどの対米追従で国益を損なう」などと攻撃した。安倍首相は「(トランプ大統領は)北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応している。拉致問題の解決にも積極的に協力していただいている」と反論。「アメリカは日本にとって唯一の同盟国であり、一定の敬意は払うべきだ」などと声を荒げる一幕もあった。 政府内でも河野太郎外相が19日の記者会見で、「米朝のプロセスがさらに進み、北朝鮮が非核化、ミサイル放棄を実現した場合には、トランプ氏は平和賞に値するのではないか」と間接的に首相を擁護した。ただ、自民党内では「日本はトランプ氏にいいように利用されていると、国際社会で受け止められかねない」(長老)との懸念も相次いだ。 昨年6月の歴史的な米朝首脳会談の前後から、トランプ大統領は地方遊説の場などで「ノーベル平和賞」に言及し、支持者が「ノーベル、ノーベル」と連呼する場面もあった。今回のトランプ発言も「お得意の自慢話の延長線上のもの」(外務省幹部)とみられている。外務省筋によれば米朝首脳会談後にアメリカ側から「推薦してほしい」との打診があり、安倍首相がそれに応じて推薦状を送ったとされる。ノーベル賞の推薦は各国元首や国会議員、大学教授、受賞経験者らに資格があり、毎年2月が締め切りとなっている。 安倍首相の推薦理由について、トランプ氏は「日本の領土を飛び越えるようなミサイルが発射されていたが、いまは突如として日本人は安心を実感しているからだ」と解説した。このトランプ発言に欧米メディアはすぐさま飛びついたが、トランプ氏に批判的とされる米有力紙はコラムの中で「本当に安倍首相は推薦したのか、トランプ氏が安倍氏と文在寅韓国大統領を混同しているのでは」と憶測するなど懐疑的な報道も目立った。 一方、安倍政権に批判的な朝日新聞は18日付けのコラム「天声人語」で、「ノーベル賞級のお追従」とのタイトルで「賢く断る手立てはなかったのか」「いかにも外聞が悪い」などと安倍首相の対応を非難した。 これに対し、首相支持派とされる産経新聞は20日付けのコラム「産経抄」で「(トランプ氏を)賞にふさわしいと考える人は多くないだろう」としたうえで、「(推薦を頼まれれば)日本の国益のために、同盟関係にある超大国の力を徹底的に利用するのは当然」と安倍首相を擁護してみせた。その上で、「天声人語」の「賢く断る手立て」に絡めて「どんな手立てがあるのか、ぜひ、教えて欲しい」と揶揄した』、ミサイル問題でも、トランプが関心ある長距離だけ廃棄して、中単距離は残り、日本への脅威はなくならないとも見方もあるように、米朝会談、さらには日米間の貿易交渉の結果を見ずに、単に2月末の締め切りだけで、推薦したというのは拙速の極みだ。「ノーベル賞級のお追従」とは言い得て妙だ。
・『米国追随か、対米自立外交か  ここにきて、日米関係は貿易交渉などで厳しさを増している。ただ、事務レベルでの交渉担当者は「日米両首脳の極めて親密な関係が、危機を防ぐ最大の武器」(経済産業省幹部)と強調する。一部メディアの「盲目的な米国追随」「トランプ氏のご機嫌取り」などの批判についても、政府側は「首相は自由貿易、パリ協定、イラン核合意など重要な外交案件でトランプ氏と違う立場を堅持しており、まさに対米自立外交だ」(官邸筋)と反論する。 今回の突然のトランプ発言に首相サイドは「4月1日だったら、みんなエイプリルフールだと思ったのだろうが…」と困惑を隠さない。ただ、自民党の外相経験者は「アメリカの大統領がどんな人物であろうと、日本の首相は個人的にも信頼関係構築に努力するのは当然。その延長線上でのノーベル賞推薦も有効な外交戦術ともいえる」と評価する。 15日の会見でトランプ氏は、「おそらく受賞しないだろうが、それで構わない」と笑顔で語ったとされる。「来年の大統領選をにらんだトランプ流の自己宣伝」(外務省幹部)というわけだ。アメリカの事情通の間でも「今年秋にノーベル平和賞を逃せば『ノーベル賞はフェイクだ』と言って、逆に支持者の喝采を浴びるのが狙い」との見方がもっぱらだ。 一方、今回の騒ぎについて、与党内では「日米の親密な関係の象徴でもあり、首相への注目度が上がれば、いろいろな批判も帳消しになる」と参院選などへの影響を懸念する声は少ない。さらに「ここでトランプ氏を推薦すれば、首相が日ロ平和条約交渉で合意にこぎ着けた時に、トランプ氏が平和賞の推薦人になってくれるはず」(細田派幹部)とのやや手前勝手な期待を口にする向きもある。 こうしてみると、今回のノーベル平和賞推薦騒動は「トランプ氏という異形のアメリカ大統領の自作自演の喜劇」(外務省幹部)ともいえる。このため自民党内でも「野党などが攻撃しても、国際社会における首相の存在感を際立たせるだけ」(長老)との見方も少なくない』、「国際社会における首相の存在感を際立たせる」との見方は、「国際社会から揶揄」されている以上、マイナスに際立たせるだけだろう。
タグ:きっこ 東洋経済オンライン 安倍外交 白井聡 同氏のブログ 泉 宏 (その5)(「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想、国内向けに大嘘を垂れ流す安倍晋三の二枚舌外交はガキの使い以下、安倍首相、「トランプ氏をノーベル賞に」の波紋 ご機嫌取りか、それとも「有効な外交戦術」か) 「「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想」 『国体論』 日本の行き詰まった状況を説明 「国体化」した対米従属が社会をむしばんでいるから 日米関係は特別であり、打算的な関係で仲よくしているのではなく、真の友情に基づいているとのイメージをまき散らす 「米国崇拝」と「天皇崇敬」に相似性 「戦前の国体=天皇」から「戦後の国体=米国」へ移行 プーチン大統領にもズバリ言われている。独立国でありたいという意思ぐらいは持っているのかと そういう国とは領土問題などまじめに交渉できない、と彼は示唆 「戦後の国体」は、事実上、ワシントンをピラミッドの頂点に置くシステム 天皇の「お言葉」 対米従属問題は天皇制に行き着く 「失われた時代」によって社会が疲弊し、統合は壊れた。そこから再起できないのは、社会構造の歪みのためであり、その歪みは「戦後の国体」によってもたらされている 日本には独立する意思が足りない 鬼畜米英、一億火の玉と言っていたのに、スムーズに米国の占領を受け入れた。その変節を正当化する物語が必要とされた。米国と対立して殺し合いをしたのは「不幸な誤解」だった。 マッカーサーはじめ米国人は私たちに敬愛の念を持っている。戦争は一部の頭のおかしい軍人がしたことだから、私たちは変節していない──そういうストーリーが無意識的に形成された 「国内向けに大嘘を垂れ流す安倍晋三の二枚舌外交はガキの使い以下」 災害対策など二の次で「カジノ法案」を強行採決し、「赤坂自民亭」で宴会に興じ、夏休みまで取ってゴルフ三昧を楽しんでいた 「東方経済フォーラム」 プーチン大統領は、こともあろうに「前提条件なしの年内の平和条約締結」を提案してしまったのだ 安倍晋三はまったく反論できず、溶けたローソクのようなバカヅラを下げてヘラヘラと笑い続けていたのだ た多くの批判を受けて、安倍晋三は、16日のNHKの番組で、プーチン大統領が「前提条件なしの年内の平和条約締結」を提案した後、映像に映っていない場所で2人でやりとりを交わし、きちんと「北方領土問題を解決した上で平和条約を締結するのが日本の原則」だと直接反論したと述べた 直後、ロシア政府のペスコフ大統領報道官が、ロシア国営テレビのインタビューで、「プーチン大統領が前提条件なしの年内の日本との平和条約締結を安倍晋三首相に提案した時、安倍首相本人からは何の反応もなかった」と証言 今年6月、沖縄県の海上に米軍の戦闘機F15が墜落事故を起こした時 安倍晋三は今回の墜落事故を受けて「米軍司令部に飛行停止を申し入れた」と答弁 在日米軍司令部は公式リリースとして「日本政府から飛行停止の申し入れは受けていない。日本政府から要請されたのは再発防止の申し入れだけだ」と発表 宿題を忘れた小学1年生のイイワケにしか聞こえなかった 「外交の安倍」 国際舞台で「アメリカ抜きのTPPなど意味がない」と連呼して来たのは、安倍晋三その人 ダナンでの「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」で、またまた国内向けに大嘘を炸裂 カナダから参加していたフランソワフィリップ・シャンパーニュ国際貿易相だけが「現時点では大筋合意はできない」と反対 安倍晋三は、日本から同行した記者団を集め、茂木担当相に「11カ国が大筋合意した」と大嘘の発表をさせた カナダ政府は大激怒 トルドー首相もカンカンに怒ってしまった 日本だけは安倍晋三の指示で、大嘘のフェイク・ニュースを国内向けに報じさせていたのだ トルドー首相との首脳会談が行なわれていない段階で、これまた子分の茂木担当相を使って、同行の日本の記者団に「安倍首相がトルドー首相を説得してTPP-11の大筋合意に至った」という大嘘を日本国内向けに報じさせた どうせ日本人は海外の報道なんか見ていないとタカをくくり、日本国内向けにメディアを利用して大嘘を垂れ流して自分の支持率を守り続ける安倍晋三のこういうやり方 安倍首相は午後10時33分から約30分間、トランプ米大統領と電話会談 安倍晋三との電話はわずか10分ほどで切り、それからツイートしたことになる 22回もプーチン大統領と首脳会談を繰り返してきて、そのたびに何十億円、何百億円、何千億円という莫大な上納金を支払い続けて来たのに、その結果が「前提条件なしの平和条約締結」に「NO!」と言うこともできない無能外交 「安倍首相、「トランプ氏をノーベル賞に」の波紋 ご機嫌取りか、それとも「有効な外交戦術」か」 トランプ大統領が安倍晋三首相からノーベル平和賞に推薦されたと自慢 「やはり安倍首相はトランプ大統領の“ポチ”(愛犬)だった」と揶揄 推薦は「恥ずかしいほどの対米追従」 「ノーベル賞級のお追従」 米国追随か、対米自立外交か
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小売業(一般)(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) [産業動向]

小売業(一般)については、昨年10月13日に取上げた。今日は、(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状)である。

先ずは、昨年10月25日付け日経ビジネスオンライン「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/article/report/20150303/278209/081700028/?P=1
・『マツモトキヨシなどを抑えてドラッグストア首位に立つウエルシアが事業モデルの変革を急ぐ。郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く。ウエルシアがけん引する形で、ドラッグストアの市場規模はさらに拡大し、コンビニに肉薄する可能性もある。 7月下旬の平日、正午を過ぎたころから、東京都千代田区のオフィス街にあるガラス張りの店に続々と客が入っていく。入り口の近くには、ペットボトル入りの飲料が並び、2台のワゴンには弁当類が30食ほど積まれていた。セルフサービスのいれたてコーヒーのマシンや銀行のATMもある。そして24時間営業だ。ほとんどコンビニエンスストアの機能を満たしているが、最大の違いは、店頭に掲げられた「薬」という大きな表示。大衆薬だけでなく、病院からの処方箋も受け付ける。 昼休みに訪れた20代の会社員の女性は、「弁当もあるし、日焼け止めなどコスメも充実していて便利」と話した。 この店を経営するウエルシアホールディングス(HD)は2017年度の売上高が6953億円。ツルハホールディングスの追い上げをかわして、2期連続で業界首位を守った。関東を中心に、28都府県で1747店舗(18年5月末時点)を展開する。 そんなドラッグストア最大手が今、ビジネスモデルの大転換に挑んでいる。 埼玉県が発祥のウエルシアはこれまで主にロードサイドなどに、600~1000m2程度の広い売り場を備える郊外型店舗を運営してきた。 だが最近、冒頭の神田小川町店のような小型の店舗を都市部に積極的に出し始めた。今後、人口減少が加速することを見越し、人口の厚い都市部でも店舗網を広げる必要があるとの判断だ。 都市部で最も存在感のある小売業といえばコンビニだ。ウエルシアとは企業規模も圧倒的な差がある。セブン-イレブン・ジャパンの17年度のチェーン全体の売上高は4兆6781億円、店舗数は2万260店。それぞれウエルシアのおよそ7倍、12倍という規模だ。 コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある。ウエルシアは3つの弱点を巧みに突く』、確かに最近は東京でもドラッグストアの出店が目立つ。
・『時給は2割以上も高く  1つ目は価格だ。都内の住宅密集地にある板橋赤塚店。平日の昼下がりに、子連れの主婦や中高年の女性客が集まっていたのは、店の奥にある食品コーナーだ。もともとドラッグストアは、トイレットペーパーなど日用雑貨の安値販売には定評があるが、ウエルシアは食品を低価格販売することで、コンビニやスーパーから顧客を奪っている。 納豆3パック85円、卵10個入り138円なども安いが、ナショナルブランド商品で見ると、コンビニとの価格差は明らかだ。例えば、伊藤園「お~いお茶」のペットボトル入り飲料は、ウエルシアが78円(525ミリリットル)だったのに対して、近隣のセブンイレブンは120円(600ミリリットル)。明治のラクトアイス「エッセル スーパーカップ」はウエルシアが108円で、セブンイレブンでは130円だった。 コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ。パート・アルバイトを集めにくいのは、多くの小売業に共通する悩みではあるが、特にコンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素となる。それぞれの加盟店は経営体力がさほど強くはなく、損益ギリギリで運営しているところもある。バイト募集にかける経費や時給の設定などにも限界がある。 その点、ウエルシアは直営店である強みを発揮しやすい。例えば、24時間営業のウエルシア板橋赤塚店の深夜帯の時給は1513円。すぐそばにあるセブンイレブンが約1200円であるのに比べて2割以上も高い。コンビニより売り場が広く、夜間も4~5人で運営するため、女性でも安心して働ける。「近隣に住む主婦が子どもを寝かしつけた後で勤務するというケースも珍しくない」(同店の尾原亮店長)』、2割以上も高い時給を出せる収益力もあるのだろう。さらに、比較的高給の薬剤師を雇っていることも影響しているのだろう。
・『薬と化粧品が“安売りの原資”  食品を格安で販売したり、アルバイトを高い時給で雇ったりできるのは、コンビニにはない医薬品を高い利益率で販売できるという強みがあるからだ。ウエルシアの品目別の売上高粗利益率を見ると、大衆薬と処方箋調剤がともに40%弱と極めて高い。そして見逃せないのが、化粧品も33%という安定した粗利率があることだ。中高年女性をターゲットとした、1万円前後の高価格の化粧品も珍しくない。薬と化粧品を合わせて、売上高の5割強を占める。こうした盤石な収益源があるから、その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができるのだ。 粗利率が20%の食品は、集客のために重要だが、もともと事業の主軸ではないので、極言すれば商品によっては「利益度外視」で売っても経営の屋台骨は揺るがない。ここがコンビニやスーパーと大きく違う。 コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している。併せて栄養士の採用に力を入れており、高齢者が健康相談できる「かかりつけ薬局」の役割を担う。ドラッグストア業界では24時間営業は珍しいが、ウエルシアではすでに145店舗に上り、今後、全店舗の2割を目標に拡大する。 24時間営業は住民の信頼を得るだけでなく、売り上げにも貢献する。都市型店舗の神田小川町店は、1日に来店する客数のうち約20%は深夜帯に来店するという。 「ウエルシアは食品や深夜営業の拡充により来店頻度を高め、処方箋調剤を備えて固定客を増やした。それにより、他企業に先駆けて、人口1万人程度の小商圏でも採算が取りやすくなっている」。いちよし経済研究所の柳平孝主任研究員はそう分析する。 小商圏でも商売が成り立つということは、例えば小売店がぶつかり合う激戦区のすき間に出店が可能で、出店余地は広がることになる。柳平氏によると、90年代ごろ、ドラッグストアは人口3万~5万人という大きな商圏で事業展開をしていたという。つまりウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げていることになる。 ここ数年の成長ペースがそれを反映している。18年度(予想)までの3期の平均でみると、ウエルシアの増収率は年14%。セブンイレブンのチェーン売上高伸び率は16年度に5%、17年度は4%にとどまり、勢いの差は明らかだ。 日本チェーンドラッグストア協会と日本フランチャイズチェーン協会の調査結果で17年度の両業界の市場規模を比べると、ドラッグストアは6兆8500億円、コンビニは10兆7000億円だった。まだ4兆円ほど差があるが、ウエルシアなど大手がけん引してドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明。近い将来、市場規模は肉薄する可能性がある』、大衆薬、処方箋調剤、化粧品という粗利益率の高い商品があるというのは、確かに大きな強みだろう。
・『イオンにとって大きな財産  ウエルシアの前身、グリーンクロス・コアは00年に、ジャスコ(現イオン)と資本業務提携した。そして14年11月、上場は維持しながらも、イオンの連結子会社になった。イオンにとってウエルシアを子会社に取り込んだ意味は大きい。連結業績への貢献はもちろんのこと、イオンが手薄な都市部を攻略する上で、競争力のあるウエルシアの店舗は大きな財産といえる。ライバルであるセブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブンを持つ一方で、有力なドラッグストアを子会社として持っていないからだ。 もっともウエルシアが、コンビニと比べて劣る点は当然ある。そこに対しては、他社の力を借りるなど、正面からは戦わないしたたかさも見せる。 例えば、コンビニの生命線である弁当。ウエルシアは、イオングループに属する弁当店チェーン、オリジン東秀から一部店舗で供給を受けている。「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」というのが池野隆光会長の持論だ。北海道が地盤のコンビニ、セイコーマートからも弁当を調達してないいる。 コンビニが得意とするPB(プライベートブランド)開発でも、同じ土俵では戦わず、「健康・高齢化対応」の商品を軸に据える。8月に発売した「カラダきらめく甘酒アミノプラス」は、近畿大学と共同開発。“飲む点滴”といわれ近年マーケットが拡大している甘酒に、筋力に関わる栄養成分を添加したものだ。 18年度には前期実績108店舗を上回る127店舗の新規出店を計画するが、物件の確保は容易ではない。「コンビニや他の小売業との争奪戦が起きている」(水野秀晴社長)という。もともと店舗開発担当者は4~5人しかいなかったが、M&A(合併・買収)を実施した先の人材も加わり、開発部隊は5~6倍に増えた。都市型店舗の出店には3人を専任で就けている。 「セブンイレブンとアマゾンだけでは生活者のニーズは満たせない。当社の存在意義は必ずある」と話す池野会長。圧倒的に見える巨人とも戦うすべがあることを証明しようとしている』、大きくなると何でもやりたがる経営者が多いなかで、「自前の論理に経営の軸足を置かないことが大切」との経営哲学は、大したものだ。今後の展開を注視していきたい。

次に、流通ジャーナリストの森山真二氏が2月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194412
・『ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテホールディングス)は東南アジアでシンガポール、今年オープン予定のタイに続いて台湾や、香港にも進出する。社名をグローバル企業らしく変更したり、引退したはずだった創業者の安田隆夫氏が取締役に復帰したりと海外展開の準備に動いていたパンパシHDだが、ついに海外攻略に本格的に動き出す。ドンキ流は海外で通用するか』、社名が「パン・パシフィック・インターナショナル」となっているのであれば、海外展開への思いは相当強いのだろう。
・『海外事業拡大構想を明らかにしたパンパシHD  パンパシHDは、2月の決算説明会で大原孝治社長が現在、約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく」と発言、海外事業拡大構想を明らかにしている。 パンパシHDでは、すでに米国ハワイやカリフォルニア州でM&A(企業の合併・買収)により展開している店舗が38店舗あるし、17年12月にはシンガポールに「DONDONDONKI(ドンドンドンキ)」1号店を開業し現在3店舗がある。 しかも創業者で創業会長の安田隆夫氏は「シンガポールに住居を構えている」(パンパシHD関係者)といい、今年非常勤の取締役に復帰し、いよいよ社名通り「環太平洋」攻略作戦が始まる格好だ。 今年6月にはタイにも店舗を開業する準備を進めている上、香港でも店舗を開業することが明らかになっている。香港のメディアが伝えているところによると、すでにドンキは香港で店舗開業に向け、スタッフの採用を開始しているという。 米国、シンガポール、タイ、香港に加え、ユニー・ファミリーマートHDの高柳社長は台湾で、ファミマの運営会社とパンパシHDで合弁会社を設立して店舗展開を始める意向も明らかにしている。 シンガポールや米国での展開で好感触をつかんでいるのだろう。まさに一気に海外展開を進める格好だ。 ユニファミマによるTOB(株式の公開買い付け)は不調に終わっているが、パンパシHDがユニファミマから資本を受け入れることにしたのは7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだったとみられている。 TPP(環太平洋経済連携協定)11や、日欧EPA(経済連携協定)の発効で巨大貿易圏が誕生する中で、ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する。今はそんな絵姿が描ける絶好の機会であるのは確かだ』、「巨大貿易圏が誕生」とはいっても、それと地域特性が強いとされる小売業の展開は関係が薄いような気もする。「そんな絵姿」が捕らぬ狸の皮算用にならなければいいのだが・・・。
・『海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか  果たして海外でドンキのあの「世界観」は受け入れられるだろうか。世界を見渡してもドンキのように、売り場自体がエンターテインメント性を持っているチェーンはない。 米国でも店舗といえばチェーンストア理論のお手本のような品ぞろえの仕方、オペレーションが多い。強いていえば、米国ではドンキはディスカウントストアというよりもバラエティショップに近い感じに映っているとみられる。 しかし、猥雑(わいざつ)でどんな商品が出てくるのか分からない。チープな商品から、高級ブランド品まで雑多な品ぞろえでジャングルのような店作りに「ワクワクドキドキ」するのは万国共通なのかもしれない。 すでにオープンしているシンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ。ただ、派手なPOP(店内広告物)や、商品政策は変わりない。 シンガポールの店はどちらかというと刺し身やすし、生鮮食品が充実している。また日本でインバウンド(訪日)客に人気のある菓子なども充実しているといったところだろうか。 シンガポール在住の日系人もターゲットにしているというが、現地の顧客を取り込む嗜好(しこう)的な仕掛けもみられるという。 パンパシHDは国内ではドラッグストア大手のマツモトキヨシHDと同じように訪日外国人の取り込みに力を入れてきた。 ドン・キホーテの店舗の前には、中華系などインバウンド客を乗せてきた観光バスが止まり、多くの客が店舗に吸い込まれていく姿をよく目にする。 同社は流通業界の中でもインバウンド需要を取り込んでいる1社で、インバウンドの免税売上高が今期(19年6月期)中に全体の10%程度(1000億円)に到達するとみている。 免税売上高が高い三越伊勢丹HDや、マツキヨの今期(19年3月期)の実績を見ないと何とも言えないが、今年か来年には流通でインバウンド売上高トップになる可能性も高い。 つまり日本に観光に来てドンキ店舗を利用した外国人客は、自国に帰ってドンキを再び利用するという図式を描いているとみて間違いない。 まさに海外店舗は日本の店舗にインバウンド客を引き付ける呼び水の役割を果たすことになるのだろうし、逆に日本でドンキを利用したインバウンド客が自国でドンキの店舗をまた利用するという循環も期待できるわけだ』、もうショッピングに興味を失った私にとっては、ドンキの店は「ワクワクドキドキ」するどころか、一刻も早く出たいと思ってしまうが、若い人にとっては魅力があるのだろう。ただ、「シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ」というように、地域による嗜好の違いを乗り越えて、「ドンキの「世界観」が受け入れられるか」は疑問だ。
・『パンパシHDが海外展開を急ぐ理由  パンパシHDはなぜ、こうも海外展開を急ぐのか。 それは日本国内の動向もある。 パンパシHDはユニーの売上高約6700億円を加え約1兆6000億円という規模になる。旧ドンキホーテHD分の売上高だけでも1兆円企業。イオン、セブン&アイHD、ユニクロを展開するファーストリテイリングに続く流通業界第4位に浮上している。 しかし、規模は拡大したが既存店の伸び率は鈍化傾向である。19年6月期の第2四半期(18年7月から12月)の既存店の伸び率は0.6%増にとどまっている。 しかも客数の前年比では前年割れも散見されるようになっており、これまで既存店も比較的高い成長が続いてきたが、低成長時代に入ってきているのだ。 ドンキの店舗も全国に約400店、取り込んだユニーの店舗を合わせると700店近くにもなる。しかもユニーの店舗を「ドン・キホーテ」に業態転換する。 これだけ店舗が行き渡ると、ドンキを複数回使ったという人も増え、ドンキの商品政策はこんな感じというイメージを持っており、「何が出てくるか分からない」という“新鮮味”も薄らいでくる。 ドンキは生鮮食品や総菜などを導入し、“日常使いの店舗”へと方向転換を図っているが、海外での展開を急ぐ理由は、そんな国内での安定成長をにらんだ新戦略といえる。パンパシの新たな挑戦が始まる』、国内での伸び悩みを海外展開でカバーしようとの狙いが、果たして上手くいくのか、注視したい。

第三に、ジャーナリストの紅林健太郎氏が1月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/190209
・『主要な駅前の商店街や再開発ビルで必ず目に入るのは、さまざまなフランチャイズショップ(FC)だ。 ハンバーガーショップなどの飲食店から、最近では塾やレンタルショップ、クリーニング店など業種も大幅に広がり、業界の売り上げは過去最高、FCの数もこの8年間、増え続けている。 だが、“隆盛”の陰で、加盟店が店じまいしたりオーナーが代わったりした例は後を絶たないのだ。なぜなのか』、FCビジネスは確かにサービス分野にまで広がってきたようだ。
・『「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い  中部地方で約1年前まで、ビルの窓ふきなどの清掃サービスをするFCの加盟店だった店もその1つだ。 オーナーだった男性は、2016年にFCの本部に加盟金200万円を払って、自宅がある市の郊外に出店した。 本部からは「毎月100万円ぐらいの売り上げは出る」と勧誘され、「それなら十分、食べていけそう」と算段した。 だが、始めて1年を過ぎても実際の売り上げは60万円にもならない月が続いた。人件費やFC本部への月5万円のロイヤリティーなどを支払うと、手元に残る利益は月10万円から20万円。生活するのもやっとだった。 開業して半年ほどたったころからは、ロイヤリティーの支払いを滞納するようになった。実際、払う余裕がなかったのと、契約前に本部から聞かされた話が違い、「だまされた」との思いもあったからだ。 本部からは催促状が2ヵ月ごとに届いた。滞納が何ヵ月か続くと、一部を払い、また督促状がたまると少し払うという繰り返しだったが、2017年半ばには、FCの本部から、「契約違反で、加盟店をやめてもらう」という内容の内容証明郵便が届いたという。 男性は「本部からウソの売り上げ予測を示され、契約させられた。訴訟も考えた」。だが弁護士費用を工面するあてもなく、結局、加盟店をやめた。 この話を聞くと、一見、男性側に非があるとも思えるが、FCの本部にこうした形で勧誘されて加盟店になったものの、話の通りにはならず、だまされた思いで退場する例は氷山の一角のようだ』、こうしたトラブルは確かに多そうだ。
・『この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える  FC本部と加盟店の間で契約や金銭を巡るトラブルでの裁判はこの5年で300件近くに及ぶ。 これまで多かったコンビニなどのほかに、最近はそれ以外の外食やサービス業でも目立つようになっている。 では、どんなケースで本部と加盟店は対立に至るのか。 この問題に詳しい弁護士の話では、FC本部と加盟店が訴訟に至る原因はだいたい2つに集約される。 加盟店がFC本部を訴える場合は、契約前に示された売り上げ予想が現実と大きく違っていたことを問う場合が多い。 前述のように、例えば、「月150万円は売り上げが出る」と、本部から言われて、契約し、加盟料を百数十万円払うが、実際に営業を始めてみると、毎月の売り上げがその2分の1や3分の1にも満たない、というケースだ。 ほかにも「約束された本部の支援が全くなかった」ことを問題にした訴訟もある。 一方、FC本部が加盟店を訴えるケースは、毎月の売り上げに応じたり、定額で決められたりしたロイヤリティーの支払いがなかったり、加盟をやめた後も、同じ場所で営業を続けて「ライバル店」になったりしているのを契約違反で訴えるケースだ。 この2つのケースは、実はその根っこのところで結びついていることも多い。 つまり、加盟店の売り上げが順調であれば、トラブルにはなりにくく、トラブルが起きるのは、加盟店の経営がうまく行かず、その原因や責任を求める過程で起きることが多いのだ。 FCがさまざまな業種で急増するなかで、おのずとパイの奪い合いになり、本部側から強引な勧誘が繰り返される一方で、売り上げが伸びない加盟店が続出するというわけだ』、「トラブルでの裁判はこの5年で300件近く」というのは、少ない気もするが、これは氷山の一角に過ぎず、「泣き寝入り」が多いのだろう。FC本部からみれば、加盟店獲得で加盟料を獲得できるので、甘い話で騙すのは当然、あり得る話だ。
・『トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店  では、こうしたトラブルが起きた時、どちらが有利なのだろうか。FC訴訟を担当する弁護士によると、多くの場合は、FC本部側だという。 まず、言えるのは、本部側は加盟店とのこうしたトラブルに慣れっこになっていて、経験を重ねているということだ。 FC本部と加盟店の間のトラブルは「古くて新しい問題」だが、元加盟店のオーナーによると、「FCの本部側は、トラブルが訴訟に発展しにくいように、訴訟になっても勝てるように、契約を少しずつ変えてきている」と話す。 例えば、契約書では、加盟店が順守しなければならない義務の記述が多く、本部はなるべく責任が問われないような記述にするなど、契約を本部に有利にする方法や訴訟への対応の仕方を学んできているという。 最近、増えてきているFCがどこも似たような契約書になっているのも、加盟店から訴えられても負けないよう先発組のFCが作り上げてきた条文をまねているからだという。 住宅の改築・修繕を手がけるFCの元幹部は「加盟契約書の作り方は、金券ショップを運営する古美術品などを販売する FCの業者から教えてもらった」と話す。 一方で、加盟店のオーナーには、勤めていた会社の倒産や脱サラをきっかけに初めてFCの世界に足を踏み入れる人も多い。 「契約書をきちんと読み、条文をしっかり理解してハンコを押す人はわずかだ」と、元加盟店のオーナーは話す。 最初からFCの軒先を借りるつもりの“素人”の加盟店には、契約書が「本部に有利な内容」かすらも、わからないまま契約を結ぶ人も少なくない。 しかも裁判の経験はない人がほとんどなので、本部に訴訟をちらつかされたりすると、オーナーたちはオロオロしてしまうという』、加盟店のオーナーとFC本部との間の情報ギャップは、極めて大きいのに、FC本部側に明確な説明責任が実効性ある形で課されてない現状には大きな問題がある。
・『加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定  こうして不利な立場に置かれがちな加盟店がFC本部に対抗するための法律は一応あるが、罰則規定がなかったり、規制対象のFCが限られていたりで、機能しているとは言い難い。 例えば、FC本部が加盟勧誘の際、「売り上げ予想の虚偽表示」などの行為を規制する法律の1つに、独占禁止法がある。 2002年に公正取引委員会が公表した「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針では、加盟店との契約にあたっての重要事項など8項目が挙げられた。 その中で「本部が加盟者の募集にあたり、重要な事項について十分な開示を行わず、または虚偽、もしくは誇大な開示を行い、実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良または有利であると誤認させ、自己と取引するよう不当に誘引する場合には、不公正な取引方法の『ぎまん的顧客誘引』に該当する」と記された。 この指針は2000 年前後にコンビニなどで、本部と加盟店の間でのトラブルが多発したのを受けて作られ、 FC業界の中では「独禁法ガイドライン」と呼ばれ、つとに知られる。 だが、実は、これには罰則はなく、これまでこうした勧誘そのものが独禁法違反として摘発や処分を受けたことはない。 フランチャイズを規制する法律はもう1つある。中小小売商業振興法だ。 この法律は、「商店街や店の集団化・共同店舗等の事業を円滑にし、整備を通じ、中小小売商業の経営を近代化する」狙いで作られ(1973年施行)たが、FCを「特定連鎖化事業」(11条)と定めている。 同法も02年に施行規則が改正され、FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた。 加盟店との訴訟やトラブルが起きているかどうかは、加盟店の増減や裁判の数である程度わかるということで、開示が義務付けられたものだ。 しかし、同法律でも本部が提示する「売り上げ予測」などの加盟店への勧誘については特に規制は設けられていない。 「FC事業の活力をそぐ」という理由で、当時、業界が反対したからだといわれている。 しかも、FCのうちこの法律の対象になるのは、コンビになどの「小売」と、ファミレスなどの「飲食業」のFCに限られ、最近、増えている美容院や塾など「サービス業」のFCは適用対象になっていない。 こうしたこともあって、FC訴訟を担当する弁護士によると、加盟店がFC本部の行為を裁判で問おうと訴訟を起こしても、和解した場合を除けば、判決が出た訴訟のうちの多くは、本部側が勝訴しているのだという』、FC加盟店側も政治力を持つためには、FC加盟店協会の発言力を強化すべきだろう。
・『加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を  FC本部と加盟店の間は、本部(事業者)が加盟店(事業者)に販売権を与える事業者同士の契約関係で成り立つ。 だがこうした事情もあって、多くの場合は、加盟店は本部の言うことに従わざるを得ない契約内容に縛られ、その契約書があるがために、訴訟でも不利な結果を強いられているのが実態のようだ。 最近はそうした本部の立場上の有利さを悪用して、いい加減なFC本部を立ち上げ、加盟金をだまし取ろうとする会社も業界に紛れ込んできているという。 これら悪質なFCの被害に遭った加盟店オーナーから相談を受けた弁護士によると、最近でもこんなケースがあったという。 エステを展開するあるFCの本部から勧誘を受けたというが、契約前に示された売り上げ予想は、実際に開業した後の売り上げの5倍の数字だった。 「『絶対にもうかる』と繰り返し、『お客はひっきりなしに来る。とにかくやってみたらわかる』『我々本部が完全バックアップする』と、強引に加盟を迫られた」という 。 しかし、加盟金を払い開業したものの、売り上げは低迷し、本部からも支援は全くないまま、数ヵ月で店を閉めた。 こうした業者はもともと「加盟金狙い」だから、金があると見ると、法外な額の加盟金を要求する。この弁護士によると、1000万円単位の加盟金を払わせたFCもあったという。 また FC業界に精通した事情通によると、こうした詐欺的FCの中には「加盟金を取れそうな人に近づき、加盟金を取れるだけ取ったら、事務所なども引き払って姿を消す業者もある。そもそも本部の事務所を最初から設けない業者まである」という。 FCにだまされて訴訟に訴えようにも弁護士費用も残らず、“泣き寝入り”せざるを得ない状態で業界から消えていく加盟店もあるのだ。 日本フランチャイズチェーン協会がまとめた調査では、2017年度のFC数は1339チェーン。8年連続の増加で、売上高は25兆5598億円と過去最高だ。 米国発祥のFCはいまや日本にすっかり定着、街角にはFCの店はあふれているが、その裏で、少なくはない「泣き寝入り加盟店」がいることも忘れてはならないだろう。 FC加盟店協会や法曹界の一部は、FC業界だけを規制する独自の法律の整備を求めてきた。 本部に対し弱い立場にある加盟店を、いわば「消費者」と同様に考え、フランチャイズへの加盟解約をクーリングオフできる仕組みを導入することや、ロイヤリティーに一定の規制をすることなどが、要望として挙げられている。 FCでは日本より後発組の豪州では加盟店を消費者として保護し、クーリングオフ制度が採り入れられている。 だが、コンビニや飲食などを運営するなど大手FCの幹部の中には、FC本部と加盟店は「事業者同士、あくまで対等の関係」にあるとし、「契約の自由」を盾に“規制強化”に反対する声が依然として多いと言う。 だが、FCの健全な発展を考えれば、FCの健全化法を議論すべき時だろう』、FC契約の実効性が分かるためにはある程度の期間が必要なので、単純なクーリングオフ制度は馴染み難いだろう。それよりも、加盟店側のリスクを本部も一定程度シェアするような契約にすれば、詐欺的FCに対する抑止力になるのではなかろうか。ただ、FC本部の方ばかりを向いた自民党政権には、残念ながら余り期待できないだろう。
タグ:シンガポール 独占禁止法 ドン・キホーテ 小売業 ウエルシア 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 森山真二 (一般) (その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) 「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」 ドラッグストア首位 郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある 1つ目は価格だ コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ コンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素 時給は2割以上も高く 薬と化粧品が“安売りの原資” 医薬品を高い利益率で販売できるという強み 化粧品も33%という安定した粗利率がある その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができる コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している ウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げている ドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明 イオンにとって大きな財産 「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」 「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく 7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだった ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する 海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ パンパシHDが海外展開を急ぐ理由 紅林健太郎 「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」 「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店 加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定 フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針 独禁法ガイドライン 中小小売商業振興法 FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた 加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を
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幼児(児童)虐待(その2)(小4女児死亡事件 「個人情報」の”法令遵守”が市教委の対応の誤りを招いた、「親の苦情と戦えない」小さな命を救えなかった虐待現場の叫び、(必読)千葉小4虐待死「最悪の結末」児童相談所はなぜ誤った判断をしたのか 悲惨な事件を繰り返さないために) [社会]

幼児(児童)虐待については、昨年7月9日に取上げた。今日は、(その2)(小4女児死亡事件 「個人情報」の”法令遵守”が市教委の対応の誤りを招いた、「親の苦情と戦えない」小さな命を救えなかった虐待現場の叫び、(必読)千葉小4虐待死「最悪の結末」児童相談所はなぜ誤った判断をしたのか 悲惨な事件を繰り返さないために)である。事件についての散発的な報道では疑問が多く残っていたが、3つの記事ともこれを解きほぐしてくれた。特に、3番目は必読である。

先ずは、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が2月3日付け同氏のブログに掲載した「小4女児死亡事件、「個人情報」の”法令遵守”が市教委の対応の誤りを招いた」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/02/03/%E5%B0%8F4%E5%A5%B3%E5%85%90%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%80%81%E3%80%8C%E5%80%8B%E4%BA%BA%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BB%A4%E9%81%B5%E5%AE%88-%E3%81%8C/
・『千葉県野田市の小学4年女児(栗原心愛さん)が自宅で死亡し、父親(栗原勇一郎容疑者)が傷害で逮捕された事件に関して、市教委が、女児が父親からの「いじめ」を訴えたアンケートのコピーを栗原容疑者に渡していたことで、厳しい批判を浴びている。 この問題は、市教委が、アンケートの記載内容を「個人情報」ととらえ、個人情報保護に関する法令・条例等の「法令上の判断」に偏りすぎた対応をした結果、女児の生命を守ることができなかったと見ることができる。その意味では、法令に基づく対応、つまり「法令遵守」ではなく、子供の生命を守るという「社会的要請」に応えるための対応に徹するべきだったと言える』、郷原氏の有名な自論だ。
・『15年程前の2004年、桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センターを設立し、本格的にコンプライアンスに関する活動を始めて以来、ずっと強調してきたのが、「コンプライアンスを“法令遵守”ではなく“社会的要請に応えること”ととらえなければならない」ということであった。とりわけ、「個人情報保護」に関する「法令遵守」は、人の生命に関わる重大な場面において、「社会的要請に反する事態」を引き起こす。 コンプライアンス研究センターの設置直後に発生した、戦後最大の鉄道事故、福知山線脱線事故の際に起きた「個人情報保護法」の「法令遵守」の事例について、【「法令遵守」が日本を滅ぼす】(新潮新書:2007年)で、以下のように述べている。法令規則の方ばかり見て、その背後にどんな社会的要請があるかということを考えないで対応すると、法令は遵守しているけれども社会的要請には反しているということが生じるわけです。その典型的な例が、JR福知山線の脱線事故の際に、被害者の家族が医療機関に肉親の安否を問い合わせたのに対して、医療機関側が個人情報保護法を楯にとって回答を拒絶したという問題です。個人情報保護法が何のためにあるのかということを考えてみると、その背景には、近年の急速な情報化社会の進展があります。今の社会では、情報は大変な価値があります。それを適切に使えば、個人に非常に大きなメリットをもたらしますが、逆に、個人に関する情報が勝手に他人に転用されたり流用されたりすると、本人にとんでもない損害を与える恐れがあります。ですから、個人情報を大切にし、十分に活用するために、情報が悪用されることを防止する必要があります。そこで、個人情報を取扱う事業者に、情報の管理や保護を求めている、それが個人情報保護法です。 あの脱線事故の際、電車が折り重なってマンションに突っ込んでいる悲惨な事故をテレビで目の当たりにして、自分の肉親が電車の中に閉じ込められているのではないか、病院に担ぎ込まれて苦しんでいるのではないかと心配する家族にとって、肉親の安否情報こそが、あらゆる個人情報の中でも、最も重要で大切なものではないかと思います。ですから、事故後の肉親の安否問い合わせに対して、迅速に、的確に情報を伝えてあげることこそが、個人情報保護法の背後にある社会的要請に応えることだったのです。 しかし、あのとき多くの医療機関の担当者の目の前には「個人情報保護法マニュアル」があったのでしょう。そこには、個人情報に当たる医療情報は他人には回答してはいけないと書いてあったので、その通りに対応し回答を拒絶したのです。担当者には、「法令遵守」ということばかりが頭にあって、法の背後にある社会的要請など見えていなかったのです』、その通りで、個人情報保護法の絶対視は困ったものだ。
・『このようにいうと、個人情報保護法に詳しい内閣府の担当者や弁護士さんから、「何条何項但書には、そのような場合には提供してもいいということが書いてある。単なる勉強不足だ。」と言われるかも知れません。しかし、そういう法律の勉強をしていないと適切な判断ができないことなのでしょうか。大切なことは、細かい条文がどうなっているなどということを考える前に、人間としての常識にしたがって行動することです。そうすれば、社会的要請に応えることができるはずです。 本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界です』、「本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界です」というのは、痛烈な「法令遵守」主義批判だ。
・『「いじめ」のアンケートでの父親から虐待を受けていた女児の「先生どうにかなりませんか」という“叫び”を、「個人情報」の問題と考えてしまったところに、市教委の対応の根本的な誤りがあった。 1月31日付け朝日記事【「父の恫喝に屈した」市教委がアンケート渡す 小4死亡】や、翌2月1日に野田市が公表したアンケート内容などを総合すると、アンケートのコピーを父親に渡すまでの経過は、以下のように整理できる。
(1)2017年11月6日、(冒頭に「ひみつをまもりますので、しょうじきにこたえてください」と書かれている)「いじめ」に関するアンケート調査に、女児が「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」と記入し、「父親によるいじめ」を訴える。
(2)女児は、約50日間、児童相談所(以下、「児相」)に一時保護された後、12月27日に両親の元へ返される。
(3)2018年1月12日、父親と母親とが、学校、市教委指導課が今後の対応を話し合った際、父親が、アンケートのコピーを渡すよう強く要求。
(4)それに対して、市教委は「個人情報であり、本人の同意がない」との理由で拒否。
(5)1月15日に、父親と母親が「子供の字で書かれた同意書」を持参して、アンケートのコピーを渡すよう要求。
(6)女児に確認せず、市教委担当課長の判断でコピーを渡す。
(7)アンケートには自筆の書き込み以外に、担任だった女性教諭が聞き取りした「なぐられる10回(こぶし)」「きのうのたたかれたあたま、せなか、首をけられて今もいたい」「口をふさいで、ゆかにおしつける」「おきなわでは、お母さんがやられていた」といった内容も書き込まれていたが、この教諭の書き込みは消して渡した。
 上記朝日記事は、この経過に関して、以下のように述べている。この頃、学校は保護者への情報開示などを求める念書も要求され、栗原容疑者に渡していた。心愛さんは18日に市内の別の学校に転校。2回あったアンケートでいじめを訴えることはなかった。矢部課長は「(12日の面会で担当者が)大きな声で恫喝され、威圧的な態度に恐怖を感じ、強い要求に屈してしまった。その後、どのような影響が出るか、心にひっかかりながらも渡してしまった」と話した。その後、関係機関が参加する2月20日の「要保護児童対策地域協議会」の実務者会議でコピーを渡したことを報告する資料が配られたが、市の担当課も柏児相も特に対応を取らなかった。市や市教委の幹部は事件後に知ったという。市は情報公開条例に違反する恐れがあるとして、関係者を処分する方針だ』、市教委が「威圧的な態度に恐怖を感じ、強い要求に屈してしまった」というのは情けない限りだが、ありそうな話ではある。
・『個人情報保護の問題なのか  (3)の父親と母親の女児のアンケート回答の開示要求に対して、市教委の当初の対応は、(4)の「個人情報」を理由に拒否するというものだったが、その拒絶理由に対しては、(5)で両親が「本人の同意書」を持参したために、「個人情報」を理由に拒絶できないと考え、父親にコピーを渡すという(6)の事態に至った。しかも、上記朝日記事によれば、現時点においても、野田市は、市教委の対応が「情報公開条例に違反する恐れがある」と判断しているようだ。 しかし、そもそも、女児のアンケートの記述は、「個人情報保護」の問題なのだろうか。個人情報保護に関する法令上の対応を行おうとしたこと自体が間違いだったのではないか。 アンケートは、学校内での「いじめ」について行われたものであり、一般的には、アンケート中の「いじめ」記載については、その子供の親は、「被害者側の立場」だ。アンケートが目的としている学校内での「いじめ」の問題について、子供の親に対して、子供の回答を見せるよう要求されて拒絶することは、もともと想定されていない。ところが、問題のアンケートの記述は、女児の「父親によるいじめ」を内容とするものであり、父親は加害者の立場だ。「個人情報」だからではなく、そもそも、その女児の記述内容の性格上、父親は、絶対にその事実を開示してはならない相手方だったはずだ。「訴訟を起こす」とまで言って開示を強く要求してきた父親に対して、「個人情報」を理由とする以外に拒絶する理由がないと判断したこと自体が間違っていたというべきだろう』、いくら「子供の字で書かれた同意書」があるからといって、加害者に開示するとは、信じられないようなお粗末な対応だ。
・『今回の問題は、アンケートに女児が書いた「父親の虐待」についての「情報」について、それがどのような意味を持ち、どのような方向で活用されるべきものなのか、ということを考えるべきだった。「父親から虐待を受けていることの叫び」としての「情報」を社会としてどのように受け止め、どのように対応すべきなのかという視点から考えるべきだったといえる。それを、個人情報の一般的取扱いに関する「情報の提供や公開」ついての法令・規則に基づいて判断したことに根本的な問題があった。まさに「悪しき“法令遵守”」の最たるものである。市教委としては、アンケートの目的からして、そもそも開示すべきではない情報と判断をして開示を拒絶すべきだった』、説得力溢れた主張で、その通りだ。
・『児童相談所との関係  しかし、日常的に法令に基づいて業務を行うこととされている市教委という公務員の立場からは、「法令遵守」的対応に陥って、かえって、「社会の要請」に反してしまうということは、官公庁や自治体において、しばしば起きる問題である。児童虐待問題に対して、「社会の要請に応える」という方向での十分な対応が行えなかったことについて、市教委の担当者を一方的に非難批判することが適切とは思えない。 上記朝日の記事に書かれている2月20日の「要保護児童対策地域協議会」の実務者会議で何の意見も出されていないということも、市教委の担当者個人の問題ではないことを示していると言えよう。 そこで重要なことは、(1)のアンケートの自由記述での女児の「いじめの訴え」と、教師が聞き取った虐待の事実が児相に通報され、それによって、(2)の一時保護の措置がとられた時点から、少なくとも、この児童虐待問題は「児相マター」になっているということだ。12月27日に一時保護は解除になっているが、それは児相のどのような判断によるものだったのか。「虐待の危険性が低下した」と判断したのだろうか。しかし、いずれにしても、児相としては、その後も、父親による女児に対する虐待の有無を引き続き注意深く見守っていく必要があったはずだ。 (2)の児相の一時保護のきっかけとなったのは(1)の女児のアンケートへの記述だったわけだが、それが、何らかの事情で父親が知るところとなり、だからこそ、年明けから、父親は(3)の開示要求の行動を起こしたと考えられる。なぜ、アンケートのことが父親に知られてしまったのか。 そして、(3)~(5)に至る父親からの執拗なまでのアンケートの開示要求を、児相は把握していたのだろうか。市教委の側は、コピーを渡す判断をする際に、児相に相談をしなかったのだろうか。上記の「要保護児童対策地域協議会」には、児童相談所の関係者も参加していたのではなかろうか。そこで女児の父親にコピーを渡したことを報告する資料が配られたのに意見が出なかったのは、その時点では、コピーを渡すことが特に問題はなかったとの判断を児相側も共有していたということではないか。 本来、個別の児童虐待への対応に関して専門的な知見を持っているのは児童相談所であり、既に「児相マター」になっている今回の虐待問題については、児相が積極的に対応することが何より重要だったはずだ。市教委の対応に問題がなかったとは決して言えないが、児相の対応と切り離して市教委側の対応に焦点を当てて一方的に非難することが適切とは思えない。 市教委の対応に関しては、公表されたアンケートの内容の中に教師が聞き取った「虐待」の具体的内容が書き込まれていると報じられる一方で、父親にコピーを渡す際に、その部分は消して、女児自身が書いた自由記述だけにして渡したことはほとんど報じられていない。そのため、女児が教師に訴えた虐待内容も含めて、父親に開示したように認識されている。 女児が児相に一時保護された直接の理由となったのは、教師の聞き取りで女児が「虐待」について話したことだったはずだ。その点を隠して開示したというのは、市教委側の一応の配慮と評価する余地もある。教師が聞き取った虐待の具体的事実も含めてアンケートのコピーを渡したかのように誤解される報道は適切ではない』、市教委の対応よりも児相の対応により問題がったとする郷原氏の判断は、妥当だ。
・『アンケートのコピーを渡したことの虐待への影響  もう一つ重要なことは、アンケートのコピーを渡したのは、昨年の1月のことであり、女児が死亡したのは1年後の今年1月だということだ。しかも、現時点の父親の逮捕罪名は「傷害」であり、虐待と女児の死亡との因果関係も明らかになっていない。アンケートのコピーを渡したことが、その後、父親の虐待にどのような影響を与えたのかは、現時点では明らかになっていないのである。 コピーを渡す行為が適切ではないとの評価が変わるものではないが、それが重大な結果につながったのかどうかは、逮捕された父親の刑事事件の裁判の中で明らかになることだ。市教委の対応の拙さだけに注目するのではなく、「子供の生命を守る」という社会の要請に応えるために、虐待を受けている子供の叫びを、関係機関がどのように受け止め、どのように連携して対応すべきかを、改めて考えるべきだ。 今回のアンケートのコピーの問題に関して、野田市には、1日800件を超える抗議の電話が殺到していると報じられている。 しかし、今回の市教委の対応は、「法令遵守」による対応で「社会的要請」に反してしまった典型例であり、官公庁、自治体が陥りがちな「コンプライアンスの誤り」と言える。児相等の対応と切り離して、市教委の対応だけに焦点を当てて非難するのは適切ではない。ましてや、市教委の対応によって女児の命が奪われたかのような短絡的なとらえ方をすべきではない。むしろ、今回の問題を、自治体としての取組みを抜本的に見直す契機とすべきだ』、郷原氏らしい冷静な主張で、全面的に賛成だ。

次に、児童相談所の立場から心理カウンセラーで元児童心理司の山脇由貴子氏が2月17日付けironnaに寄稿した「「親の苦情と戦えない」小さな命を救えなかった虐待現場の叫び」を紹介しよう。
https://ironna.jp/article/11907?p=1
・『千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さんが自宅浴室で死亡し、両親が傷害容疑で逮捕される事件が起きてしまった。この事件の経過を分析すると、「事件を防ぐことができた」「救える命だった」と私は確信する。本稿では、今後二度と同じような事件が起きないためにも、今回の事件での児童相談所や学校、教育委員会など各機関の問題点を検証したい』、より現場に密着したレポートも貴重だ。
・『きっかけは、心愛さんの通う小学校が2017年11月6日に実施した、いじめに関するアンケートだ。心愛さんは、氏名を記入した上で「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」と答え、父親からの虐待を訴えたのである。 学校は翌日、当時の担任が心愛さんから聞き取りした上で千葉県柏児童相談所に通告、通告を受けた児童相談所も一時保護を決定した。ここまでは良い対応だったといえる。 問題はその後だ。一時保護した児童相談所は今年1月28日に記者会見しているが、17年12月27日に行った一時保護解除の判断について「重篤な虐待ではないと思い込んでいた」と述べている。児童相談所はなぜ「重篤な虐待ではない」と判断したのだろうか。 アンケートには、本人の訴え以外にも、担任が聞き取ったメモ書きが残っていた。そこには「叩かれる」「首を蹴られる」「口をふさがれる」「こぶしで10回頭を叩かれる」といった内容が書かれており、明らかに重篤な虐待といえる。 さらに、児童相談所は一時保護中に、心愛さん本人からも虐待について聞き取りしていると考えられる。加えて、心理の専門家が心愛さんの「心の傷」の度合いなども検査しているはずだ。 学校で虐待について話すことができた子供だから、児童相談所で話していないとは考えづらい。その内容について一切公表されていないが、「重篤な虐待ではない」という判断から分かるのは、「心愛さんの訴えをなかったことにした」ということである。結局、児童相談所は、最終的に父親からの恫喝(どうかつ)に負け、心愛さんを帰してしまったのだろう。 私も、児童相談所に児童心理司として勤務していたころ、虐待を受けて来た子供に対して、聞き取りや心理テストを数多く行ってきた。子供からの聞き取り内容は最優先であり、子供が「父親が怖い」と言えば、会わせることはしなかった。 今回の事件では、心愛さんを児童相談所が一時保護した際に、医師が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがあると診断していた、という報道もある。虐待によって心に傷を負った子供を、家に帰すことなんて考えられるはずはない』、児童相談所の対応の真相はいまだ不明な点が多い。
・『17年12月、児童相談所が一時保護を解除した際に、父方の親族に帰すことを条件にしたのも問題の一つだ。自宅ではないといえども、父方である以上、父親の味方である可能性が高い。その場に心愛さんを帰せば、すぐに父親の所に戻されることは容易に想像できる。 実際、児童相談所は会見で「2カ月程度で自宅に戻す予定だった」と述べている。しかし、その戻し方も問題だ。 昨年2月26日、児童相談所は親族宅から自宅に戻すかどうか判断するために父親と面談したとき、父親から心愛さんが書いたという手紙を見せられている。だが、文面を見て「おそらく父親に書かされたのだろう」と認識しながらも、父親が心愛さんを家に連れて帰るのを許してしまったのである。 そもそも、父親は一貫して虐待を認めていない。前述の通り、「重篤な虐待ではない」と判断して一時保護を解除し、父方の親族宅に帰した時点で不適切である。ましてや、父親の要求に従って自宅に戻すなど、絶対にあってはならないことだ。虐待だけでなく、ドメスティック・バイオレンス(DV)もある家庭だったからである。 この時、父親は児童相談所に対して「これ以上引っかき回すな」と言っており、児童相談所による今後の関わりを一切拒絶している。児童相談所の役割とは、虐待再発を防ぐために、定期的に家庭訪問し、親子の様子を確認しながら、学校訪問も重ね、子供の本心を聞くことにある。 その児童相談所の指導に「従わない」と父親は言っているのだから、父親の要求の全てを、児童相談所は拒絶しなくてはならなかったのだ。だが実際は、父親との面会以降、児童相談所は自宅訪問せずに、心愛さんを「放置」している』、説得力ある正論である。
・『心愛さんが自宅に戻った後の昨年3月19日、児童相談所は学校で心愛さんに会い、手紙は「父親に書かされた」と打ち明けられ、自分の意思で書いたものではないことを確認している。ただ、この時に、本人からの虐待の訴えがなければ、一時保護は難しいだろう。 しかし、それでも児童相談所は定期的に会いに行かなければならなかった。もし叩かれているのなら、「今度は必ずあなたを守る」「絶対に家に帰さない」と心愛さんに伝え続け、そして訴えの機会を待ち、保護すべきだった。 厚生労働省は児童相談所運営指針で、児童相談所が親の同意なく子供を一時保護する権限を有するという方針を掲げている。とはいえ、同意もなしに学校や保育園から子供を保護するわけだから、親が激高するのも当然だ。私も親権者から「訴えてやる」と何度も言われたり、「つきまとって人生滅茶苦茶にしてやる」と脅されたこともある。 時には親と敵対してでも子供を守るのは児童相談所の責任だが、職員も人間である以上、脅しや恫喝に恐怖を感じるのは無理からぬ話だ。私自身も「全く怖くなかった」と言えば嘘になるし、恐怖心を抱いたことは多々あった。本当に後をつけられているのではないか、と家への帰り道に不安になったこともある。 それでも戦わなくてはならないのだが、経験の浅い同僚の児童福祉司が親との面談で恐怖心を抱き、本当に辞めようかと悩んでいた姿を見たことがある。激しい攻撃をしてくる親と「もう関わりたくない」「あの父親には二度と会いたくない」と思ってしまう福祉司もいた。 一度でもそのように思ってしまうと、子供に会って、虐待が再発していないかどうか確認をすることもためらわれてしまう。児童福祉司は裁量が大きい分、心理的な負担も大きい。その負担の大きさもこの事件の原因の一つと言えるだろう』、児童福祉司の仕事がこんなにも大変というのを、初めて知った。
・『むろん、不適切な対応だったのは児童相談所だけではない。昨年1月15日に野田市教育委員会が、心愛さんが虐待を訴えたアンケートのコピーを父親に渡してしまったのも大きな問題だ。同市は、情報公開条例違反に当たり、関係者の処分を検討しているという。 だが、それ以前にアンケートを渡してしまえば、虐待が再発・エスカレートすることは、当然予測できたはずだ。それなのに、市教委の担当者は「威圧的な態度に恐怖を感じた」と述べており、つまりは父親の攻撃に屈した、ということだ。自分の身を守るために、心愛さんを「犠牲」にしたということになる。クレーム対応の知識がなさ過ぎるとしか言いようがない。 しかしながら、学校も児童相談所と同様、親との信頼関係を維持しなくてはならないため、「クレームに断固として戦う」という慣習がないのも事実である。私も、児童心理司時代に、学校から「親のクレームに困っている」という相談を何度も受けたことがある。 本来、学校や教育委は一時保護に関するクレームを引き受ける必要はない。一時保護の決定を児童相談所が行うのは、児童虐待防止法で定められている通りだ。 そこで私は、「一時保護に対する不満は児童相談所に言ってください」と学校から親に伝えてもらうようにお願いすることで対応していた。学校や教師を児童相談所が守らなければ、学校は虐待に関する通告をためらってしまうかもしれない。 そして、学校と児童相談所の連携が不十分だったことも大きな問題だ。心愛さんは冬休み明けの今年1月7日から小学校を欠席し、父親から学校に「沖縄の妻の実家にいるために休む」と連絡があったという。 父親の虐待が疑われる子供に対しては、夏休みや冬休み、長期休暇後の欠席を絶対に放置してはいけない。長期休暇中は、虐待がエスカレートするリスクが非常に高いからである。 「欠席の理由は傷やあざを隠すためかもしれない」と常に疑いの目を持つことが必要だ。子供が長期休暇明けに欠席した場合、学校は直ちに児童相談所に連絡すべきであり、児童相談所はすぐに姿を確認しなければならない。 もし、父親から「沖縄の母方親族の所にいる」と言われたら、児童相談所は沖縄の児童相談所に心愛さんの確認を依頼すべきだった。「親族宅にいる」「親族の具合が悪い」というのは虐待加害者が子供の姿を見せないために使う常套(じょうとう)句である。その言葉を疑い、沖縄での確認、そして家庭訪問を行っていれば、心愛さんの命は助かったかもしれない』、児童福祉司の経験豊富な筆者ならではの説得力ある指摘だ。
・『この事件は、児童相談所も学校も市教委も、全ての組織が父親の攻撃に屈し、言いなりになってしまったために起こった事件といえるだろう。学校や市教委にも問題はあるが、子供を虐待から守る権限は児童相談所にしかなく、その責任は重い。 同様の事件を繰り返さないように、児童相談所の改革は必須の課題だ。特に求められるのが児童福祉司の育成だ。警察や国税専門官、家庭裁判所調査官のように、年単位の研修期間を経て、児童福祉司として児童相談所に配属されるシステムを作る必要がある。 虐待する親の心理をはじめ、親との面接や子供からの聞き取りスキル、攻撃してくる親への対応を丹念に学ぶ。さらに、先輩福祉司の面接や訪問に同行し、失敗も成功も全て目の当たりにしながら、現場での判断の仕方を学んだ上で、現場に立つ。 子供の命、そして家族の人生の責任を負う仕事だから、専門家としての育成は急務である。また、福祉司本人にとっても、最初の着任前に知識とスキルが身に付いていれば、負担も減るはずだ。 また、現在の児童相談所は、子供を親から強権的に保護する役割と、親との信頼関係を築きながら子供を家に帰す役割、という矛盾する業務を行っている。しかも、この二つの役割を一人の児童福祉司が担当している。 そこで、虐待の再発可能性を疑い続けるチームと、親との信頼関係をもとに話し合いを続けるチームを分ける。自治体によっては既に実施されている役割分担を、全国的に広げることも重要だ。 児童相談所は子供を守るための強い権限を持っている。それでも救えない子供がいる。 安倍晋三首相は、2019年度に児童相談所の専門職員を1千人増員して、5千人体制に拡充する方針を打ち出したが、今まで繰り返されてきた強化策ではなく、児童相談所という組織そのものの変革が必要である。何より、この事件の問題点を丁寧に検証し、幼い命を救うことができるように、全国の児童相談所で共有することが求められる』、「虐待の再発可能性を疑い続けるチームと、親との信頼関係をもとに話し合いを続けるチームを分ける。自治体によっては既に実施されている役割分担を、全国的に広げることも重要だ」というのは、極めて重要で実効性ある提言だ。ただ、NHKニュース9では、この点が取り上げられ、登場した児童相談所所長は、チームを分けても、親とのコミュニケーションにはハードルが高く、円滑化にはかなりの年月が必要で、決して万能薬ではない旨を説明していた。確かに、これといった万能薬などはないのかも知れない。

第三に、筑波大学教授(臨床心理学・犯罪心理学)の原田 隆之氏が2月11日付け現代ビジネスに寄稿した「千葉小4虐待死「最悪の結末」児童相談所はなぜ誤った判断をしたのか 悲惨な事件を繰り返さないために」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59827
・『繰り返される児童虐待  千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛(みあ)さんが、今年1月父親からの虐待で死亡したことが報じられた。この事件で、父親ばかりか母親までもが逮捕された。 そしてこの問題は、国会でも取り上げられただけでなく、一連の虐待事件を受けて、国連子どもの権利委員会からも児童虐待対策の強化が勧告されるまでの事態に至っている。 小さな子どもが真冬のさなかに冷水を浴びせられ、死亡に至るほどの暴行を受けたという事実だけでも言いようのない怒りと悲しみを覚えるが、毎日のように「新事実」が報道されるたびに、嫌というほど暗澹たる気持ちにされられる。 たとえば、心愛さんが被害を訴えた「アンケート」を教育委員会が父親に見せたこと、親が虐待の様子を動画で記録していたこと、さらには肺の中から水が検出されたことなど、次から次へと痛ましい事実が明るみに出ている。 こうした一連の「新事実」のなかで、私がとても気になっているのは、児童相談所の杜撰な対応とその判断の決定的な誤りについてである。 児童相談所は、当初心愛さんを家族から離して一時保護をしていたが、その後措置は解除され、いったんは親族の元で暮らしていた。そして、昨年2月に父親のいる自宅へと戻されている。 その際、児童相談所が実施した「リスクアセスメント」では、虐待のリスクが上昇していたにもかかわらず、児相は父親の元に戻す判断をしていたという。 なぜこのような誤った判断をし、その結果、心愛さんを死に至らしめるという最悪の結末となってしまったのだろうか』、まず児童相談所の対応を問題視したのは、さすがだ。
・『リスクアセスメントとは  児童相談所の業務において、「リスク」のアセスメントは最も重要な専門判断の1つである。つまり、その親や家庭が子どもに虐待をする危険性(リスク)がどれくらいあるのかという判断をすることは、その後の対応や措置の重要な根拠となる。 このような判断を下すには、主に2つの方法がある。 1つは、専門家が養育者や子ども本人などとの面接などを通して得られた情報を基に、専門家としての判断、そして機関における会議の結果によって下される判断である。これを「臨床判断」「コンセンサスに基づく意思決定」などと呼ぶ。 今回も、児童相談所の職員による会議の結果、父親の元に返すという判断がなされたと報じられている。ただし、会議録は杜撰なものしか残されておらず、児童福祉司の意見書も添付されていないという重大な瑕疵があった。 一方、リスクアセスメントツールを用いて、統計的なデータに基づいた判断をする方法もある。 これは、これまでの膨大な研究結果を基にして、虐待に関連のある要因を統計的に導き出し、それをチェックリストのようにした「ツール」を用いるものである。 そして、当該の家庭や養育者、子どもにそれらが当てはまるかどうかを綿密にチェックしながら、リスクスコアを導き出す。 厚生労働省による「共通リスクアセスメントツール」には、「虐待の状況」「子どもの状況」「世帯の状況」「保護者の状況」「その他」の5つのカテゴリーがあり、たとえば「保護者」のカテゴリーでは「虐待の認識」(認めているかどうか、しつけであると正当化をしていないか)、「困り感・改善意欲」などを判断してチェックされる。 いずれも、ほぼ客観的に判断できる項目であるので、一定の訓練を受けてさえいれば、誰が実施しても正確にリスクを判断することができる。 今回の件でも、類似のリスクアセスメントツールが用いられ、その結果以前よりもリスクスコアが上昇していたことがわかったが、先述のとおりその事実にもかかわらず、児相の会議は父親の元に返すという判断をしたということである。つまり、客観的なリスク指標よりも、「専門家の臨床判断」を優先したことになる』、こうした事情を知りたいものだ。
・『専門家の陥穽  最近の心理学では、人間の判断・意思決定における誤りに関する研究が注目を集めている。その嚆矢となったのは、ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンの一連の研究である。 それまで、人間の意思決定はおおむね合理的なもので、感情にかき乱されたり、アルコールや薬物、精神障害などの影響を受けたりしない限り、信頼できると考えられていた。 しかし、カーネマンが明らかにしたことは、人間の意思決定には、系統的なエラーが数多くあるため、それを安易に信頼することは危険だということであった。 よくみられる判断の偏りを「バイアス」と呼び、緻密な分析を経ない「手抜き」の意思決定を「ヒューリスティック」と呼ぶ。 たとえば、代表的なバイアスに「確証バイアス」がある。これは、自分が従前から抱いている考えに見合った情報だけを取り込み、それに反した情報を無意識的にスルーしてしまうことをいう。 今回のケースにおいても、「父親がうるさいから心愛さんを家に帰したい」という気持ちがあれば、それが危険であることを示すどんな情報があっても、それらを無視してしまったということはないだろうか。 また、最も頻繁に起こるヒューリスティックの1つとして、「利用可能性ヒューリスティック」がある。これは、簡単に手に入った情報だけを基にして判断を下すことである。 今回のケースでは、「父親にやや態度の変化があった」「父親が強く要求している」などの表層的な情報だけにとらわれて、その他の多くの情報を考慮に入れることを「手抜き」してしまったのではないだろうか。 このように、思考のエラー、意思決定の誤りは、誰にでも起こりうるもので、もちろん専門家とて例外ではない。「専門家は間違わない」「専門家の判断は正確だ」という考え自体が既に間違っている。 また、専門家の合議による「コンセンサスに基づく意思決定」なら安心かというとそうでもない。とかく集団思考は、これまた「同調圧力」など独特のエラーが起こりやすいことがわかっている。 こうした事実を背景にして、重要な判断や意思決定において、「専門家による臨床判断」「コンセンサスに基づく意思決定」を排して、より正確で間違いの少ない意思決定をしようとするのが「エビデンスに基づく意思決定」である。 これは、客観的なデータ、それも質の高い研究の積み重ねや統計から得られたデータに基づいて、意思決定をしようとするものである。 リスクアセスメントツールによるリスク判断も、エビデンスに基づく意思決定の一形態であるといえる』、「確証バイアス」や「利用可能性ヒューリスティック」、さらに集団思考での「同調圧力」、などは今回の意志決定の不思議さを見事に解きほぐしてくれた。さすが心理学の専門家だけある。
・『専門家判断か、エビデンスか  ここまでの話で、「専門家による臨床判断」と「エビデンスに基づく意思決定」とどちらがより正確で、信頼すべきかはおわかりいただけたかと思う。 しかし、これについてもその優劣を主観的かつ安易に判断することは危険である。どちらがより正確かを、データに基づいて知ることが重要である。 児童虐待のリスクについて、専門家判断とエビデンスに基づく判断の正確性を検討した研究は数多くある。そして、そのほとんどが、エビデンスに基づく判断(つまりリスクアセスメントツールの活用)の優位性を明確に示している。 さらに、児童虐待に限定せず、メンタルヘルス分野での過去56年間にわたる研究の蓄積をまとめた大規模研究(メタアナリシス)もなされている。 その結果を見ても、優劣は明白で、統計的手法に頼ったほうが、正確性は最も控え目に見積もっても13%上昇し、専門家判断より有意に優れていた。 一方、専門家判断の正確性は50%を切っており、これは当てずっぽうを言うのより劣るレベルである。たとえば、「虐待をする」「しない」の判断は、当てずっぽうを言っても50%の確率で当たるからだ。 なぜ専門家の判断は当てにならないのか。 これについても、いくつかの研究があるが、そこで明らかになったことは,専門家判断は,専門家が元来有している態度(たとえば、「子どもは家庭で親と一緒に暮らすのが一番幸せである」など)にきわめて影響を受けやすいということであった。これは、カーネマンが言った通りの結果であり、明白な「確証バイアス」である。 今回の一番の問題は、貴重なリスクアセスメントの結果を、わずかな数の「専門家」の会議によるコンセンサスとやらで、軽々と覆したことである。 これは、傲慢もいいところである。専門家であるなら、まず研究とデータの前に謙虚でなければならない。 もちろん、リスクアセスメントツールも100%の正確性を保証するものではないし、機械的に判断することには慎重である必要がある。ツールの穴を埋めるのは、専門家の面接や臨床判断ということになる。 とはいえ、客観的なアセスメントの結果を覆すには、相当の重大な根拠がなくてはならない。父親の脅しなどが根拠にならないのは言うまでもない。 実際、厚生労働省も「子ども虐待対応の手引き」において、以下のように明確に述べている(強調引用者)。 「保護の要否判断については、担当児童福祉司個人の判断であってはならず、所内会議等を通じた機関決定は無論のこと、外部との連携も含め、できる限り客観的で合理的な判断をしなければならない。そのためには、系統的かつ専門的な情報収集と情報整理、そして情報評価が必要である。 具体的には、判断の客観性、的確性を高めるため、あらかじめ用意されたリスク度判定のための客観的尺度(リスクアセスメント基準)に照らし合わせて緊急介入の必要性や緊急保護の要否判断等を行うことにより、対応の遅れや判断の躊躇等を防止し、児童福祉の専門機関としての客観的な判断を定着させなければならない」』、「専門家判断の正確性は50%を切っており、これは当てずっぽうを言うのより劣るレベルである」というのには驚かされた。確かに、専門家が「確証バイアス」の影響を受ければそうなるのだろう。
・『今後のために  相次ぐ悲惨な事件を受けて、政府は関係閣僚会議を開き、児童福祉司の増員や対策の強化を決定した。 しかし、人を増やせばよい、制度が厳格になればよいというものではない。増えた人員でつまらない会議を重ねて、間違った意思決定をするのでは、しないほうがましだ。当てずっぽうの判断のほうがまだ当たるのだから。 専門家はとかく「臨床判断」をするのが好きで、データやツールで「機械的に」意思決定をすることを嫌う。チェックリストのようなもので、簡単にわかってしまえば、自分の存在意義や専門性が脅かされることを恐れるからだ。 しかし、リスクアセスメントツールは、見かけは1枚の紙切れかもしれないが、その背後には何十年にも及ぶ膨大な研究の積み重ねがある。 たった1人や数人の「専門家」が偉そうにしても、到底及びもつかなない知の集積なのだということを忘れてはならない。 ある地方の児童相談所のリスクアセスメントツールのマニュアルには、ご丁寧に「リスクアセスメントの指標の数に頼りすぎないこと」との注釈が付されている。もちろん、機械的にスコアだけを根拠にすることは慎むべきである。 また、自分たちのツールに自信がないのであれば、精度を高めるための研究開発をすべきである。海外のツールには、90%の精度を誇るものもある。 したがって、精度の高いツールを開発したうえで、注釈を付けるならば「リスクアセスメントの指標の数を軽視しないこと」、そして「根拠の薄弱な臨床判断を控えること」とすべきであろう。 児童福祉司が1,000人増えるのは結構だが、やはり人間1人1人の力には限界がある。しかし、ニュートンが述べたように、過去の研究の蓄積を活用することは、「巨人の肩の上に立つ」のと同じで、われわれの限界を超えた大きな視野と力を与えてくれる。 今回はアセスメントに関するエビデンスについて述べたが、これは予防や介入に関しても同じである。 悲惨な事件を繰り返さないために、子どもの福祉に携わる専門家には、ぜひ子どもを守るためのエビデンスを活用し、千人、万人の巨人になっていただきたいと切に願うばかりである』、「ニュートンが述べたように、過去の研究の蓄積を活用することは、「巨人の肩の上に立つ」のと同じで、われわれの限界を超えた大きな視野と力を与えてくれる」というのは、さすがニュートンで、正論だ。児童福祉司もリスクアセスメントツールをもっと重視してもらいたいものだ。
タグ:幼児 虐待 児童 リスクアセスメント 郷原信郎 現代ビジネス ダニエル・カーネマン 山脇由貴子 同氏のブログ 原田 隆之 iRONNA (その2)(小4女児死亡事件 「個人情報」の”法令遵守”が市教委の対応の誤りを招いた、「親の苦情と戦えない」小さな命を救えなかった虐待現場の叫び、(必読)千葉小4虐待死「最悪の結末」児童相談所はなぜ誤った判断をしたのか 悲惨な事件を繰り返さないために) 「小4女児死亡事件、「個人情報」の”法令遵守”が市教委の対応の誤りを招いた」 この問題は、市教委が、アンケートの記載内容を「個人情報」ととらえ、個人情報保護に関する法令・条例等の「法令上の判断」に偏りすぎた対応をした結果、女児の生命を守ることができなかったと見ることができる 法令に基づく対応、つまり「法令遵守」ではなく、子供の生命を守るという「社会的要請」に応えるための対応に徹するべきだった 福知山線脱線事故の際に起きた「個人情報保護法」の「法令遵守」の事例 被害者の家族が医療機関に肉親の安否を問い合わせたのに対して、医療機関側が個人情報保護法を楯にとって回答を拒絶 肉親の安否情報こそが、あらゆる個人情報の中でも、最も重要で大切なものではないかと思います。ですから、事故後の肉親の安否問い合わせに対して、迅速に、的確に情報を伝えてあげることこそが、個人情報保護法の背後にある社会的要請に応えることだった 本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界です 大きな声で恫喝され、威圧的な態度に恐怖を感じ、強い要求に屈してしまった 個人情報保護の問題なのか 個人情報保護に関する法令上の対応を行おうとしたこと自体が間違いだった 父親は加害者の立場だ。「個人情報」だからではなく、そもそも、その女児の記述内容の性格上、父親は、絶対にその事実を開示してはならない相手方だったはずだ 「訴訟を起こす」とまで言って開示を強く要求してきた父親に対して、「個人情報」を理由とする以外に拒絶する理由がないと判断したこと自体が間違っていたというべきだろう 「悪しき“法令遵守”」の最たるもの 一時保護の措置がとられた時点から、少なくとも、この児童虐待問題は「児相マター」になっている 本来、個別の児童虐待への対応に関して専門的な知見を持っているのは児童相談所であり、既に「児相マター」になっている今回の虐待問題については、児相が積極的に対応することが何より重要だったはずだ アンケートのコピーを渡したことの虐待への影響 「「親の苦情と戦えない」小さな命を救えなかった虐待現場の叫び」 児童相談所はなぜ「重篤な虐待ではない」と判断したのだろうか 児童相談所は一時保護中に、心愛さん本人からも虐待について聞き取りしていると考えられる。加えて、心理の専門家が心愛さんの「心の傷」の度合いなども検査しているはずだ 「重篤な虐待ではない」という判断から分かるのは、「心愛さんの訴えをなかったことにした」ということである。結局、児童相談所は、最終的に父親からの恫喝(どうかつ)に負け、心愛さんを帰してしまったのだろう 一時保護を解除した際に、父方の親族に帰すことを条件にしたのも問題の一つ 児童相談所の指導に「従わない」と父親は言っているのだから、父親の要求の全てを、児童相談所は拒絶しなくてはならなかったのだ 児童相談所は定期的に会いに行かなければならなかった 時には親と敵対してでも子供を守るのは児童相談所の責任だが、職員も人間である以上、脅しや恫喝に恐怖を感じるのは無理からぬ話だ 激しい攻撃をしてくる親と「もう関わりたくない」「あの父親には二度と会いたくない」と思ってしまう福祉司もいた。 一度でもそのように思ってしまうと、子供に会って、虐待が再発していないかどうか確認をすることもためらわれてしまう。児童福祉司は裁量が大きい分、心理的な負担も大きい。その負担の大きさもこの事件の原因の一つと言えるだろう 学校や教師を児童相談所が守らなければ、学校は虐待に関する通告をためらってしまうかもしれない 児童相談所も学校も市教委も、全ての組織が父親の攻撃に屈し、言いなりになってしまったために起こった事件 現在の児童相談所は、子供を親から強権的に保護する役割と、親との信頼関係を築きながら子供を家に帰す役割、という矛盾する業務を行っている 虐待の再発可能性を疑い続けるチームと、親との信頼関係をもとに話し合いを続けるチームを分ける 「千葉小4虐待死「最悪の結末」児童相談所はなぜ誤った判断をしたのか 悲惨な事件を繰り返さないために」 繰り返される児童虐待 リスクアセスメントとは つは、専門家が養育者や子ども本人などとの面接などを通して得られた情報を基に、専門家としての判断、そして機関における会議の結果によって下される判断である。これを「臨床判断」「コンセンサスに基づく意思決定」 リスクアセスメントツールを用いて、統計的なデータに基づいた判断をする方法もある 客観的なリスク指標よりも、「専門家の臨床判断」を優先したことになる 専門家の陥穽 人間の意思決定には、系統的なエラーが数多くあるため、それを安易に信頼することは危険 よくみられる判断の偏りを「バイアス」 「手抜き」の意思決定を「ヒューリスティック」 「確証バイアス」 「利用可能性ヒューリスティック」 集団思考は、これまた「同調圧力」など独特のエラーが起こりやすい 「専門家は間違わない」「専門家の判断は正確だ」という考え自体が既に間違っている 「エビデンスに基づく意思決定」 専門家判断か、エビデンスか 統計的手法に頼ったほうが、正確性は最も控え目に見積もっても13%上昇し、専門家判断より有意に優れていた 専門家判断の正確性は50%を切っており、これは当てずっぽうを言うのより劣るレベルである 専門家判断は,専門家が元来有している態度 にきわめて影響を受けやすい ニュートンが述べたように、過去の研究の蓄積を活用することは、「巨人の肩の上に立つ」のと同じで、われわれの限界を超えた大きな視野と力を与えてくれる
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日本・ロシア関係(その7)北方領土5(小田嶋氏:人生がときめく「選択と集中」) [外交]

昨日に続いて、日本・ロシア関係(その7)北方領土5(小田嶋氏:人生がときめく「選択と集中」)を取上げよう。

コラムニストの小田嶋 隆氏が2月8日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「人生がときめく「選択と集中」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00005/?P=1
・『本日(とはつまり「原稿を書いている当日」という意味で、記事の公開日から遡れば「昨日」に当たる)2月7日は「北方領土の日」なのだそうだ。 この日を「北方領土の日」に定めたことについて、内閣府のホームページは《2月7日は「北方領土の日」です。1855年のこの日に、日魯通好条約が調印されたことにちなみ、北方領土返還要求運動の全国的な盛り上がりを図るために設定されました。毎年、「北方領土返還要求全国大会」が、東京で開催されるほか、この日を中心として全国各地で講演会やパネル展、返還実現のための署名活動などさまざまな取組が行われています。》と説明している。 該当ページのリンクをたどって行くと、1981年1月6日に閣議了解した「『北方領土の日』について」と題するPDF文書に行き当たる。 その閣議了解の中の「『北方領土の日』設定の理由書」の冒頭では 「我が国の固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島は、戦後35年を経過した今日、なおソ連の不当な占拠下にある。」と、北方四島を「わが国固有の領土」とする政府の公式見解が述べられている。 なるほど。 もしかすると、このリンク先のPDF文書は、いずれ、遠くない将来、消去されることになるかもしれない。 私は自分のハードディスクに保管した。 こうしておけば、少なくとも2019年2月7日の時点で、1981年1月6日の閣議了解書が内閣府のホームページ上に掲載されていた事実を、記録として確定しておくことができる。 私たちは、行政機関が作成・保管している文書や統計が、いつ、どんな形で失われ、あるいは改竄されるのかわからない不確かな時代の中で暮らしている。いま見ている文書にしたところで、それが永遠に見たとおりの形でその場所にあるのかどうかは、保証の限りではない。 とすれば、いま起こっている出来事を正確な歴史資料として後世に残すために、われわれは、自分が制作に関わった文書や閲覧した統計資料を、個人の責任において、できる限り網羅的に保管する覚悟を持たなければならない』、確かに安倍政権の「公文書」の扱いは、「ご都合主義的」で信頼とは無縁なので、自己責任で保管せざるを得ないというのは、腹立たしい限りだ。
・『聞けば「ときめかないブツや記録はすみやかに廃棄するべきだ」とするわが国発の身辺整理哲学が全米で大人気を博しているのだそうだが、私の立場は違う。ときめきや胸の高鳴りを一切もたらさない、どうにも不快で重苦しい記録や物品をこそ、むしろ、われわれは心して保管せねばならない。でないと、自分たちがいま直面し、経験している現実や事件は、近未来の愚かな人々の恣意によって歪められ、あるいは消去されることになる。そういう歴史改竄を許してはならない。 北方四島は、この先5年か10年のうちに、そもそも存在していなかったことにされるのかもしれない。 折も折、北方領土に関する政府の公式見解は、2019年の「北方領土の日」を迎えたいま、微妙に揺れ動いている。 1月30日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表が「北方領土は『日本固有の領土』か」と問いかけると、首相は「我が国が主権を有する」と繰り返すだけだった。翌31日に「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦代表が「ロシアによる不法占拠との立場に変わりはないか。昨日はぼそぼそ言って聞こえなかった」と追及した時も、答弁内容は同じだった。 この間のやりとりについては、毎日新聞が『安倍首相 北方四島、「固有の領土」避ける 露の態度硬化を懸念 代表質問答弁』という見出しで2月2日付で記事化している。 状況は、参議院に舞台を移しても変わっていない。 というよりも、「北方領土の日」を控えて、政府の立場はさらに後退しているかに見える。 6日参院予算委員会において、国民民主党の大塚耕平代表代行が、北方領土についての政府の見解を質すなかで、「『固有の領土』という言葉を使ってご答弁いただけませんでしょうか?」という言い方で首相に質問をぶつけている。 これに対して首相は、「えー、その、政府の立場としてはですね、えー、ま、北方領土についてはですね……北方の島々には……わが国の主権……北方領土の島々は、わが国が主権を有する島々である、という立場でございます」と、言を左右にしつつ「固有の領土」というフレーズを口に出すことを避けた。 答弁を受けて、大塚氏は「あの、固有の領土という言葉は使えなくなったのでしょうか?」と問い詰めたのだが、首相は「これはですね。あの、これはもう、この国会では、こういう、この答弁を、させて、一貫させていただいていますが、あー、北方領土はですね、わが国が主権を有する島々である、ま、この立場、この立場には変わりがないということを、申し上げているところでございます」とさらにシドロモドロな答弁で応接している。 首相が北方領土に関して「日本固有の領土」というこれまでの政府見解通りの言い方で言及することを避けている理由は、日経新聞の記事が書いている通り、日露平和条約の締結を前にロシア側を刺激することを避けたい思惑があるからなのだろう。そして、そのまた背景には、2009年に麻生太郎首相(当時)が「不法占拠」という言葉を使って、ロシアとの関係が悪化した時の記憶があずかっていたりもするはずだ』、「ロシア側を刺激することを避けたい思惑」があるのであれば、その旨を堂々と答弁して、説明責任を果たすべきだ。
・『それにしても、こんなあからさまなハシゴの外し方があって良いものなのだろうか。 いくらなんでも、手のひらを返すにしても、あんまり露骨なやりざまではないか。 これまで、政権発足以来、25回逢瀬を重ねてきたウラジーミルとシンゾーによる「個人的な関係」の結果がこれなのだとすると、いったい安倍外交とは何だったのかという話でもある。 とにかく、どういう結果がもたらされるのであれ、せめて、説明だけはきちんとしてもらわないと困る。 別に私が困ったからといって、誰も困らないとは思うが。 北海道新聞が伝えているところによれば、ここへ来て、地元の返還運動もトーンダウンしている。 記事は以下のように伝えている。《根室管内1市4町でつくる北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会(北隣協)の会長を務める石垣雅敏・根室市長は29日、2月7日に同市内で開かれる「北方領土の日」根室管内住民大会(北隣協主催)で、鉢巻きの文言を例年の「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を!」「北方領土問題の早期解決を!」に変える方針を明らかにした。-略-》 どこからどういう指示があって、たすきの文言が腰砕けのスローガンに化けたのかは、1000キロ離れた関東地方で暮らす私には、ほとんどまったく想像すらできない種類の変化だ。 が、とにかく、地元の人たちはすでに「返せ」という文字を使わなくなっている。 この事実を、どう解釈したら良いのだろうか』、「北方領土の日」根室管内住民大会のスローガンまで書き換えさせるとは、ずいぶん手際が良いようだ。
・『遠く昭和の時代を振り返るに、北方領土の問題をことあるごとに強調してやまなかったのは、どちらかといえば「右派」と見なされる人々だった。 北方領土の返還が国民の悲願であり、戦争によって失われた国土を取り戻すことが果たされない限り、真の「戦後」はやって来ないというのが、彼らの主張で、ということはつまり、ロシア(長らく「ソ連」と呼ばれていた)との戦争は、いまだに終わっていないというのが、対ソ強硬派の右翼を自称する人々の変わらぬ主張だった。 ところが、戦後70余年、一貫して北方領土の返還を叫び続けてきたその右派の人々が、どうしたわけなのか、地元の返還運動推進者同様、突然、「返せ」という言葉を口にしなくなっている。 ずいぶん前からなんとなく思っていたことだが、もはや個々のイシューについて「右派」とか「左派」という分け方をすること自体が無意味になってきている。 というよりも、「右派」にも「左派」にも、固有の思想や主張があるわけではなくて、単に政権に対する態度の違いが両者を右と左のポジションにより分けているだけだと言うべきなのかもしれない。 昨今の右派は、政府の方針を追認するばかりで、政権の態度次第では、領土保全という自分たちの最も根源的な主張すら放棄しかねない人々であるように見える。 同じことは左派にも言える。 自民党が北方領土返還を声高に叫んでいた昭和の時代、わが国の左派陣営は、区々たる土地の帰趨よりも、むしろ隣国との友好的な関係の構築を主張していたものだった。それが、敵方の政党が領土問題で腰の引けた態度を取りはじめるや、にわかに 「北方領土はわが国固有の領土ではないのか!」などと、往年の右翼もかくやの大音声で呼ばわっていたりする。 要するに、両者とも定見があるわけではなくて、単に政策を支持したり攻撃したりするために、その時々の主張を入れ替えている。 バカな話だ。 国土の防衛と領土の保全に固執する伝統右翼の人々がここ最近の北方領土をめぐるやりとりをどんなふうに受け止めているのかについては、実は、私は、確かな情報を持っていない』、右翼の宣伝カーには北方領土返還ののぼりが必ず立っていたものだが、これまでなくなっているのだろうか。
・『たぶん、怒っているに違いないとは思うのだが、その怒りを彼らがどういう形で表明して、どういう行動に結びつけるつもりでいるのか、そこのところがわからないということだ。 ただ、少なくとも、インターネット普及後に勢力を拡大しているJ-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ)をはじめとするいわゆる「ネット保守」の面々が、北方領土の返還に冷淡であることは、様々な経路を通じてすでに確認している。 要するに、政権擁護派の人たちは、北方領土の返還そのものよりも、当面は政権の邪魔をしないことの方を重視しているということだ。 一方、政権不支持派の人々は、これまでたいして興味を示していなかった北方領土の話をしきりに持ち出すようになっている。 ということはつまり、右派と左派が対立しているというよりは、単に政権支持派と不支持派が互いの悪口を言い合っているだけの話で、対韓国や対ロシアの外交に関しても、要するに政府がどういう態度を取っているのかに沿ってそれぞれがポジショントークを展開しているだけの話に見える。 問題は、そのポジショントークの中身ではない。 領土が戻ってくるかどうかですらない。 最も大切なポイントは、政府が、領土問題の交渉や基地問題の先行きについて、国民に対して誠実に説明する気持ちを持っているのかどうかだ』、安倍政権は国民への説明義務など果たす気はさらさらないようだ。
・『で、私の思うに、政府は、沖縄と北海道を見捨てるつもりでいる。そのことが、領土や基地へのぞんざいな対応から伝わってくる。 バブル崩壊からこっち、「選択と集中」という経営用語が幅をきかせていた一時期があった。 この言葉は、政府が招集する有識者会議やその彼らが作るPDF書類の中でも連呼されていた。 乱暴な言い方をすれば、「選択と集中」は、「採算部門にだけ資金を集中して、非採算部門は切り捨てようではありませんか」というお話で、企業がコストカットを断行する局面では有効なスローガンではあったものの、行政の用語としてそのまま援用するにはあまりにも無慈悲な概念だった。 「選択と集中」において困難なのは、何を選択してどこに集中するのかの見極めで、というのも、どれが有望で、どの部分が滅びゆく非採算部門であるのかは、実のところ経営者にもわかるはずがない話だったからだ。 見捨てられかけた研究分野がある日会社を救う新商品を生み出したというのは、さして珍しい話ではないし、飛ぶ鳥を落とす勢いだった収益部門がなにかのタイミングで突然お荷物に化ける式のエピソードも、企業の歴史の中ではごくありふれた出来事だったりする。 とすれば「選択と集中」は、言ってみれば、「当たる馬券だけを買う」と言ってるのとそんなに変わらない未来予測が必ず当たる前提で持ち出されている資金の振り分けの話であるわけで、だとすれば、そんな乱暴な方針は、倒産を目前とした企業のやぶれかぶれのコストカットの手法としてしか使えないはずなのだ』、一時もてはやされた「選択と集中」についての小田嶋氏の指摘は的確だ。
・『その「選択と集中」なるバブル崩壊後の日本経済が生み出した強迫観念が、国策に適用されている事例が、沖縄の基地移転と北海道の領土切り捨てだと、いささか乱暴だが、私はそう考えている。 実際北海道では、インフラの維持さえ難しくなってきている。 鉄道は廃線続きだし、電力も道路ももはやギリギリのところで我慢するほかにどうしようもない。 こんな時に、領土が戻ってきたからといって、いったい誰がそんな寒い島のインフラを整え、誰が住み、誰が産業を起こし、誰が政治を実行するというのだ? ってな調子で、地元の人々はともかく、中央の政府の人間は、もはやたいして返還を望んでいない。私にはそういうふうに見える。 で、バブル崩壊後の左前企業と同じように、「選択と集中」を掲げながら、その実首切りと部門切り離しと、事業縮小に舵を切る。 ありそうな展開だ』、「「選択と集中」なる・・・強迫観念が、国策に適用されている事例が、「沖縄の基地移転と北海道の領土切り捨て」」、鋭い指摘だ。それぞれの地方でも、周辺部を切り捨てて、中心部に人を集めようという「コンパクトシティ」構想も、まことしやかに語られているようだ。
・『ともあれ、領土問題は一朝一夕に解決できるものではない。 それはよくわかっている。 ただ、われわれがこれから直面せねばならない現実が、本来一朝一夕には解決できるはずのない問題を一朝一夕にしようとした人間がもたらした事態である可能性については、そろそろ考慮しはじめてかなければならない。 どうにも解決のめどが立たないケースでは、オホーツクのタラバガニとジャンケンをして決めるという最後の手段が考えられる。 その場合、政府の代表としてカニとジャンケンをする選手として誰を派遣するのかが問題になるわけだが、個人的な見解を述べるなら、安倍さんと河野さんはやめた方が良いのではないかと思っている』、「タラバガニとジャンケン」で締めるとは、さすがだ。
タグ:日経ビジネスオンライン 日本・ロシア関係 小田嶋 隆 (その7)北方領土5(小田嶋氏:人生がときめく「選択と集中」) 「人生がときめく「選択と集中」」 「北方領土の日」 内閣府のホームページ 閣議了解 北方四島を「わが国固有の領土」とする政府の公式見解が述べられている 行政機関が作成・保管している文書や統計が、いつ、どんな形で失われ、あるいは改竄されるのかわからない不確かな時代の中で暮らしている 「ときめかないブツや記録はすみやかに廃棄するべきだ」 わが国発の身辺整理哲学 全米で大人気 政府の公式見解は、2019年の「北方領土の日」を迎えたいま、微妙に揺れ動いている 枝野幸男代表が「北方領土は『日本固有の領土』か」と問いかけると、首相は「我が国が主権を有する」と繰り返すだけだった 大塚耕平代表代行が、北方領土についての政府の見解を質すなかで、「『固有の領土』という言葉を使ってご答弁いただけませんでしょうか?」という言い方で首相に質問 首相は「これはですね。あの、これはもう、この国会では、こういう、この答弁を、させて、一貫させていただいていますが、あー、北方領土はですね、わが国が主権を有する島々である、ま、この立場、この立場には変わりがないということを、申し上げているところでございます」とさらにシドロモドロな答弁で応接 25回逢瀬を重ねてきたウラジーミルとシンゾーによる「個人的な関係」の結果がこれなのだ 地元の返還運動もトーンダウン 例年の「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を!」「北方領土問題の早期解決を!」に変える方針 北方領土の問題をことあるごとに強調してやまなかったのは、どちらかといえば「右派」と見なされる人々 「右派」にも「左派」にも、固有の思想や主張があるわけではなくて、単に政権に対する態度の違いが両者を右と左のポジションにより分けているだけだと言うべきなのかもしれない 政権擁護派の人たちは、北方領土の返還そのものよりも、当面は政権の邪魔をしないことの方を重視 最も大切なポイントは、政府が、領土問題の交渉や基地問題の先行きについて、国民に対して誠実に説明する気持ちを持っているのかどうかだ 政府は、沖縄と北海道を見捨てるつもりでいる 「選択と集中」 見捨てられかけた研究分野がある日会社を救う新商品を生み出したというのは、さして珍しい話ではないし、飛ぶ鳥を落とす勢いだった収益部門がなにかのタイミングで突然お荷物に化ける式のエピソードも、企業の歴史の中ではごくありふれた出来事だったりする 国策に適用 沖縄の基地移転と北海道の領土切り捨て 北海道では、インフラの維持さえ難しくなってきている
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日本・ロシア関係(その6)北方領土4(北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い、裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交、会談のたび経済支援…安倍首相が陥ったプーチン“無間地獄”、プーチン激怒 安倍演説「打倒ロシア」号令短歌を引用の愚) [外交]

日本・ロシア関係については、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その6)北方領土4(北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い、裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交、会談のたび経済支援…安倍首相が陥ったプーチン“無間地獄”、プーチン激怒 安倍演説「打倒ロシア」号令短歌を引用の愚)である。

先ずは、在米作家の冷泉彰彦氏が1月14日付けNewsweek日本版に寄稿した「北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/01/post-1057_1.php
・『日ロ交渉でロシアは、第二次大戦の結果として北方領土がロシア領になったと認めさせたいようだが、その理屈には根拠がない  領土問題の前進と、平和条約締結を目指した日本とロシアの交渉において、歴史認識の問題があらためて取り上げられています。ロシアが「第二次大戦の結果として南千島はロシアのものになった」ということを「日本に同意させたい」と躍起になっているからです。 この点については、毅然として反論すべきです。何故ならば、このロシアの論法は二重三重に間違っているからです』、その根拠を知りたいところだ。
・『まず、日本は第二次大戦を戦いました。これは動かし難い事実です。ですが、ロシアは違います。第二次大戦を戦ったのはソビエト社会主義共和国連邦でした。マルクス・レーニン主義を口実とした独裁政権であり、民主主義を否定するということから、現在のロシア連邦共和国とは似ても似つかぬ別の国でした。 もちろん、ソ連の崩壊に伴って、昔のソ連を構成していたロシア共和国が現在のロシアに変わっているわけですし、領土や住民については継続性があります。ですが、国のかたちとしては全く別です。確かに最近のロシアは、ソ連時代の国歌を採用したり(歌詞は変わっていますが)、昔アメリカと冷戦を戦ったソ連時代へのノスタルジーを感じる動きがあるのは事実です。 ですが、ロシアとソ連は別の国です。特に日本との関係ということであれば、ロシアは親日国家ですが、ソ連は冷戦のために日本とは軍事的に敵対していたわけですから全く別です。ですから、ソ連が第二次大戦で大きな被害を受けたからと言って、その代償として北方領土を占領したということまで、現在のロシアがそのまま継承する筋合いはないのです』、ロシアとソ連が「国のかたちとしては全く別」だから、「現在のロシアがそのまま継承する筋合いはない」というのには、いささか違和感を感じる。
・『仮に百歩譲って、ロシアが第二次大戦におけるソビエト連邦の被害と、その代償を要求する権利を有しているとしても、そもそも第二次大戦を通じて日本とソ連は戦火を交えてはいません。日ソ間には日ソ中立条約があり、独ソ戦が始まってからも、日独の同盟関係から日本がソ連と交戦するということはありませんでした。 それどころか、1945年の戦争末期には日本政府の一部はソ連の仲介による連合国との和平ができないか、真剣に交渉をしていたぐらいです。もちろん、その一方でスターリンのソ連は、ヤルタ協定などで対日宣戦を他の連合国に根回ししていたわけですが、その事実は日本としては認識していませんでした。 この点については、北欧で諜報活動をしていた小野寺信(まこと)陸軍少将が独自の情報網で察知して東京に警告を送っていたのですが、東京の政府は「ソ連の仲介による和平」に賭けてしまっていて、小野寺情報を無視してしまったというミスはありました。ですが、少なくとも日ソ中立条約について、一方の当事者である日本は1946年まで有効と信じていたという事実は重たいと思います。 いずれにしても、日ソ中立条約があり和平の仲介を依頼していた以上は、第二次大戦における日ソは友好国でこそあれ、互いに交戦国ではありませんでした。ですから、日本としては、独ソ戦の被害に対する懲罰として領土割譲要求をされても、受け入れる根拠はないのです。 それどころか、1945年の8月15日に日本がポツダム宣言を受諾し(連合国側への通告は14日)、陸海軍の無条件降伏を行った、つまり日本としては第二次大戦が終わったと認識した後で、ソ連は南樺太と千島の占領という軍事作戦を敢行しました。(満州方面では8月9日より戦闘開始)これは日本側からみれば、第二次大戦の一部とはみなせない、一方的なものであったと言えます』、小野寺氏の警告を無視して「和平の仲介を依頼」というのは、日本の馬鹿さを物語るものだ。「ソ連は、ヤルタ協定などで対日宣戦を他の連合国に根回ししていた」とあるが、対日戦の早期終結を目指したアメリカ側の要請に応じたとの説も有力だ。「日本側からみれば、第二次大戦の一部とはみなせない、一方的なものであったと言えます」というのはその通りだが、ソ連側からみれば、対日戦も第二次大戦の一部となるので、立場により見方が逆転するようだ。
・『その後、1956年には鳩山一郎内閣において、河野一郎農林大臣(現在の河野太郎外相の祖父)が対ソ交渉を行い、日ソ共同宣言に合意して日ソの国交が回復しています。この日ソ共同宣言では「戦争状態の終結」が合意されていますが、日本としては、この戦争状態の終結というのが「第二次大戦」だということは認めていません。あくまで日ソ中立条約が有効であるにも関わらず一方的に行われた戦闘行為であり、それによって発生した対立という考え方を取っています』、共同宣言上で明確に記載されていない以上、それはあくまで日本側の解釈に過ぎず、ロシア側には通用しないだろう。
・『このように、ロシアの言う「第二次大戦の結果として南千島がロシアのものになった」というストーリーは、二重三重に根拠が崩れていますし、日本としてそのような主張は一度も認めたことはありません。 では、プーチン政権は「大変な悪意を込めて」こうした主張をしているのかというと、それも違うと思います。あくまで交渉のカード、言葉のゲームとして持ち出しているのであって、むしろ堂々と否定することで対等の舌戦、論理戦に持ち込めばいいのではないかと思われます』、「舌戦、論理戦」は大いにやるべきだが、残念ながらどうみても日本側に「勝ち目」はなさそうだ。

次に、1月15日付け日刊ゲンダイ「裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/245483
・『「平和条約問題に関する協議を開始する」――。ロシアのラブロフ外相がこう宣言し、14日河野外相との間で、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉の協議がスタートした。 ラブロフ外相は冒頭から「合意を歪曲したり一方的な発言をしない」と牽制モードだったが、それ以上に驚いたのは、外相会談の前にロシア側が国営テレビで、「日本側が共同記者会見を拒否した」と暴露し、批判したことだ。日本政府は否定しているが、どちらが真実だとしても、こうした裏交渉は、外交の場では明らかにしないのが礼儀じゃないのか。 来週22日に安倍首相が訪ロしてプーチン大統領と首脳会談が行われるというのに、ロシア側の態度は硬化の一途だ。先週は、「北方領土のロシア住民に日本への帰属が変わることを理解してもらう」とした安倍発言を問題視し、日本の駐ロシア大使を呼びつけて抗議までした。そして今度は公の電波で「共同会見を拒否」と日本に赤っ恥までかかせたのである』、まだ返還されてもいない段階での安倍発言は、どうみても「フライング」で、事態をこじらせるだけだろう。こんな暴言を許した官邸スタッフのセンスのなさには驚くほかない。しかし、日本側が「共同会見を拒否」したとは、よほど自信がないのだろうか。
・『忠誠心を試されている  「完全に主導権を握られてしまいました。ロシアはやりたい放題です。中国や北朝鮮だけでなく、韓国とも関係が悪化している日本の足元を見ている。どこまでロシアに付いてくるのか、忠誠心を見せるのか試している。『大使を呼び出し抗議しても、反応することなく、外相も首相も訪ロしてくる。まだまだ大丈夫』というところでしょう」(筑波大教授・中村逸郎氏=ロシア政治) ここへきてロシアでは北方領土問題に関する報道が増えているという。旧ソ連時代から人気の大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は10日、日本についてこんな皮肉を記事にした。〈プーチン大統領は安倍首相の大好物をテーブルに置いて、安倍首相が食べようとしたところ、さっと持ち去った。ただ持ち去るだけではなく、氷水をぶっかけて持ち去った〉 「記事を読んだロシア人の友人から、『プーチン大統領のやり方はあまりにひどい』と連絡をもらいました。今の安倍首相はロシア人から見ても哀れな姿だということ。過去にロシアの報道で、日本を批判する記事はありましたが、同情されることはなかった。ここまでバカにするとは、主権を持った国に対する態度ではありませんよ」(中村逸郎氏) それでも安倍首相はプーチン大統領にへりくだるのか。それで北方領土は帰ってくるのか』、二島返還すら怪しくなっているのに、ここまで馬鹿にされても「へりくだる」だけとは、先ずは「外交の」安倍の名前を返上すべきだろう。

第三に、1月26日付け日刊ゲンダイ「会談のたび経済支援…安倍首相が陥ったプーチン“無間地獄”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246209
・『「日ロ平和条約締結に全力を尽くす」と息巻いて25回目の日ロ首脳会談に向かった安倍首相は24日、手ぶらで帰国した。それでも大手メディアは「北方領土問題を含む平和条約締結交渉の加速で一致」などと持ち上げているが、安倍首相が「招かれざる客」だったことは明らかだ。やはりと言うべきか、今回もカネをせびられている。 安倍首相は民間企業トップらを同行する計画だったが、ロシア側が拒否。 会談後の共同記者発表で安倍首相が「6月にウラジーミルをG20サミットにお招きします」などと発言し、プーチン大統領との緊密関係をアピールした瞬間、ラブロフ外相は呆れたようなしかめっ面。記者発表を終えた安倍首相とプーチンが握手を交わしたシーンでは、日本側が拍手で盛り上げようとしたにもかかわらず、ロシア側は棒立ちだった。 筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)は言う。「ロシア側の姿勢を象徴していたのが、ラブロフ外相の表情です。〈本気で言っているのか? まだ事態を楽観視しているのか?〉と言わんばかりでした。ロシア側は2014年のクリミア併合に端を発した対ロ経済制裁に同調しながら、ロシアの言うがままに経済支援に応じる支離滅裂な対応に不信感を強めている。昨年9月にプーチン大統領が〈前提なしの平和条約締結〉を持ち出したのは、さらなる経済協力を引き出す口実に過ぎず、1島たりとも北方領土を返還する考えはありません。それなのに、ノコノコやって来る安倍首相に半ばゲンナリで、来るからには相応の手土産を持ってこいというスタンスなのです」』、日ロ首脳会談についての大手メディア報道は、まるで大本営発表以外の何物でもない。ラブロフ外相があきれたのも頷ける。きっと、「底抜けの馬鹿者」と思われたのだろう。
・『貿易額の引き上げをのまされる  安倍首相は勝手に任期中の領土問題解決を宣言し、交渉期限を設定。プーチンとの会談頻度は加速度的に増えたが、経済支援もうなぎ上り。プーチンのホームに飛び込んで交渉前進を試みるたびに、カネを分捕られる構図が出来上がっている。 16年5月にソチで開かれた13回目の会談では「新しいアプローチ」で合意するため、日本側が3000億円規模を拠出する共同経済活動を提案。昨年9月のウラジオストクでの22回目の会談では、共同経済活動で優先的に取り組む5項目の事業に関する行程表をまとめた。 そして今回はプーチンに「経済環境において十分な潜在力が活用されていない」とねじ込まれ、貿易額を今後数年以内に少なくとも1.5倍の300億ドル(約3・3兆円)への引き上げをのまされた。LNG(液化天然ガス)や木材などの天然資源を売り込むという。 「経済制裁の影響でロシア経済はガタガタになり、財政赤字の補填に使っていた予備基金もすでにカツカツです。安倍首相は今春にも再訪ロを検討しているようですが、相当の手土産を持参しない限り、プーチン大統領は応じないでしょう」(中村逸郎氏) 北方領土問題は4島返還を2島返還に後退させた揚げ句、プラスアルファどころかマイナスアルファの様相だ。プーチンから絶縁され、仕切り直しがベストシナリオかもしれない』、「安倍首相は勝手に任期中の領土問題解決を宣言し、交渉期限を設定」した手前、楽観的に振舞っているのかも知れないが、これでは足元を見られて吹っ掛けられるだけだろう。

第四に、1月31日付け日刊ゲンダイ「プーチン激怒 安倍演説「打倒ロシア」号令短歌を引用の愚」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246506
・『どうして、このタイミングで、この短歌なのか。安倍首相が施政方針演説で引用した短歌が、問題になり始めている。短歌は日露戦争中、明治天皇が国民に勇気ある戦いを呼びかけたものだ。しかし、日露戦争は日本にとっては栄光の歴史でも、ロシアにとっては屈辱的な敗戦の歴史である。よりによって、今月22日、安倍首相はプーチン大統領と会談したばかり。ロシア国民が触れられたくない歴史に触れたことで、プーチン大統領を刺激したのは間違いない。 安倍首相の“間抜けな引用”は、今回が初めてじゃない。昨年9月の総裁選の時も、「薩摩と長州で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」と、鹿児島県をヨイショし、わざわざ桜島をバックに出馬を表明しながら、「我が胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山」と、幕末の志士が薩摩への失望を詠んだ歌を引用している。どうやら、歌の意味を知らずに「桜島」という単語で選んだらしく、無教養ぶりを露呈した。 今回は無教養で済まない。 「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」――。安倍首相が引用したのは明治天皇が詠んだ歌。「日本人の大和魂の勇ましさは、(平時では現れなくても)何か起こった時こそ現れるものだ」という意味で、日露戦争真っただ中の1904年に詠まれた。進行中の日露戦争に向けて、国民を鼓舞激励する天皇の「打倒ロシア」の号令なのだ。 日本は大国ロシアを破り、ロシアから南樺太(サハリン島南部)などを奪っている。安倍首相は、日露戦争が大好きらしく、2015年の「戦後70年談話」でも、「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」と語っている。しかし、ロシアにとっては目を背けたい黒星だ。 筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)が言う。「どうして、北方領土問題が難航するこのタイミングで、“対露戦争”に号令をかける意味の短歌を引用したのか理解に苦しみます。ロシアに押されっぱなしの安倍首相は、国内向けのアピールを込めたのかもしれませんが、ロシアは戦争を仕掛けられたと受け止めるはずです。怒ったプーチン大統領は6月の大阪G20をボイコットするかもしれません。ロシアにとって日露戦争は、アジアの後進国に負けて、サハリンという領土まで奪われた屈辱の戦いですからね。第2次大戦後、ロシアが北方領土を占領し、その後も引き渡しに応じないのは、日露戦争の仕返しとの意味もあるのです」 年頭会見でも、安倍首相は北方領土で暮らす住民の「帰属問題」を持ち出しロシア国民を怒らせた。外交のイロハが分かっていない』、安倍首相に「外交センス」が全くないことを露呈したエピソードだが、見逃した官邸スタッフの見識も信じられない酷さだ。これでは、北方領土返還はますます遠のくだけだろう。
タグ:ラブロフ外相 日刊ゲンダイ 冷泉彰彦 日ロ首脳会談 ヤルタ協定 Newsweek日本版 日本・ロシア関係 (その6)北方領土4(北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い、裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交、会談のたび経済支援…安倍首相が陥ったプーチン“無間地獄”、プーチン激怒 安倍演説「打倒ロシア」号令短歌を引用の愚) 「北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い」 ソ連の崩壊に伴って、昔のソ連を構成していたロシア共和国が現在のロシアに変わっているわけですし、領土や住民については継続性があります ですが、国のかたちとしては全く別です ソ連が第二次大戦で大きな被害を受けたからと言って、その代償として北方領土を占領したということまで、現在のロシアがそのまま継承する筋合いはないのです 第二次大戦を通じて日本とソ連は戦火を交えてはいません 小野寺信(まこと)陸軍少将が独自の情報網で察知して東京に警告 東京の政府は「ソ連の仲介による和平」に賭けてしまっていて、小野寺情報を無視してしまったというミス 独ソ戦の被害に対する懲罰として領土割譲要求をされても、受け入れる根拠はない 日本としては第二次大戦が終わったと認識した後で、ソ連は南樺太と千島の占領という軍事作戦を敢行しました。(満州方面では8月9日より戦闘開始)これは日本側からみれば、第二次大戦の一部とはみなせない、一方的なものであったと言えます 日ソ共同宣言では「戦争状態の終結」が合意されていますが、日本としては、この戦争状態の終結というのが「第二次大戦」だということは認めていません あくまで日ソ中立条約が有効であるにも関わらず一方的に行われた戦闘行為であり、それによって発生した対立という考え方を取っています ロシアの言う「第二次大戦の結果として南千島がロシアのものになった」というストーリーは、二重三重に根拠が崩れています 堂々と否定することで対等の舌戦、論理戦に持ち込めばいいのではないかと思われます 「裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交」 河野外相との間で、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉の協議 「日本側が共同記者会見を拒否した」と暴露 裏交渉は、外交の場では明らかにしないのが礼儀じゃないのか 「北方領土のロシア住民に日本への帰属が変わることを理解してもらう」とした安倍発言を問題視し、日本の駐ロシア大使を呼びつけて抗議 完全に主導権を握られてしまいました。ロシアはやりたい放題です 中国や北朝鮮だけでなく、韓国とも関係が悪化している日本の足元を見ている。どこまでロシアに付いてくるのか、忠誠心を見せるのか試している プーチン大統領は安倍首相の大好物をテーブルに置いて、安倍首相が食べようとしたところ、さっと持ち去った。ただ持ち去るだけではなく、氷水をぶっかけて持ち去った 「会談のたび経済支援…安倍首相が陥ったプーチン“無間地獄”」 手ぶらで帰国 大手メディアは「北方領土問題を含む平和条約締結交渉の加速で一致」などと持ち上げているが、安倍首相が「招かれざる客」だったことは明らかだ 今回もカネをせびられている ラブロフ外相の表情です。〈本気で言っているのか? まだ事態を楽観視しているのか?〉と言わんばかりでした 対ロ経済制裁に同調しながら、ロシアの言うがままに経済支援に応じる支離滅裂な対応に不信感を強めている 1島たりとも北方領土を返還する考えはありません 来るからには相応の手土産を持ってこいというスタンスなのです 貿易額の引き上げをのまされる 今回はプーチンに「経済環境において十分な潜在力が活用されていない」とねじ込まれ、貿易額を今後数年以内に少なくとも1.5倍の300億ドル(約3・3兆円)への引き上げをのまされた 「プーチン激怒 安倍演説「打倒ロシア」号令短歌を引用の愚」 施政方針演説で引用した短歌が、問題になり始めている。短歌は日露戦争中、明治天皇が国民に勇気ある戦いを呼びかけたものだ 日露戦争は日本にとっては栄光の歴史でも、ロシアにとっては屈辱的な敗戦の歴史 「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」 日本人の大和魂の勇ましさは、(平時では現れなくても)何か起こった時こそ現れるものだ」という意味で、日露戦争真っただ中の1904年に詠まれた 日露戦争に向けて、国民を鼓舞激励する天皇の「打倒ロシア」の号令 安倍首相は、国内向けのアピールを込めたのかもしれませんが、ロシアは戦争を仕掛けられたと受け止めるはずです 年頭会見でも、安倍首相は北方領土で暮らす住民の「帰属問題」を持ち出しロシア国民を怒らせた
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メディア(その12)(佐藤優が指摘する記者クラブと官僚のズブズブ関係 「情報がゆがめられている」のが基本、この10年で1000万部減…日本の新聞に再生の芽はあるか 鍵をにぎるのはエンジニアだ!) [メディア]

メディアについては、2月7日に取上げた。今日は、(その12)(佐藤優が指摘する記者クラブと官僚のズブズブ関係 「情報がゆがめられている」のが基本、この10年で1000万部減…日本の新聞に再生の芽はあるか 鍵をにぎるのはエンジニアだ!)である。

先ずは、1月9日付けAERAdot.が掲載した元外務省専門調査官の佐藤優氏とジャーナリストの津田大介氏の対談「佐藤優が指摘する記者クラブと官僚のズブズブ関係 「情報がゆがめられている」のが基本 <×津田大介対談>」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2019010800035.html?page=1
・『2018年11月、朝日新書より佐藤優さんが『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』を、津田大介さんが『情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー』を上梓。それを記念した対談イベント「情報戦争の黒幕~その視線の先に迫る」が開催された(2018年12月9日)。同イベントでは、“情報”を専門的に分析する両者が、外交の力関係からマスコミと官僚の癒着、沖縄に関する問題まで、幅広い話題を闊達に論議。その一部を紹介する』、興味深そうだ。
・『北方領土問題について  佐藤:外交というのは、ニュートンの古典力学が作用する世界です。結局、力の均衡によって国際関係は動いている。 津田:日本とロシアとの間でも、そういう力関係があったんですか。 佐藤:2001年、森喜朗首相は、北方領土に関して「2+2」方式の解決を想定していました。歯舞群島・色丹島を、まず日本に返させる。その後、国後・択捉の住民たちは、色丹島の環境が良くなっていることに気づき、日本を選択するだろう。こういうシナリオだったわけです。 津田:なるほど。 佐藤:今、この方式は不可能です。なぜなら、2012年にプーチンが第四代ロシア大統領に就任して以降、端的にいえば、国後島と択捉島を領土交渉の対象にしないという態度をとっているからです。さらに、2001年時点のロシアと日本の力関係が変化しています。日本の国力は残念ながら弱くなって、ロシアは強くなっている。だから均衡点が変わってきます。他方、1956年の時点のソ連と日本の力関係と比すると、相対的に日本の力は強くなっている。だから、1956年以上、2001年未満で落ち着くわけです。同じように、領土ほか外交問題を抱える韓国との力関係を考えると、日本は韓国にだいぶ追いつかれている。その結果として、1965年の日韓基本条約をある意味では不平等条約のように感じられるのでしょう。現在、それをやり直したいという意見が起こっているんです。 津田:外交においては、力関係が重要なファクターというわけですね。 佐藤:その通りです。力関係は変化し、ある地点で均衡します。日本が均衡点を探る中で、アメリカの影響力が後退して、中国と北朝鮮と韓国が連携することで、現在、北緯三八度付近にある対立線が対馬に下がってくるわけですね。では、日本がカウンターバランスをどこにとるのかというと、ロシアしかありません。それが、対米従属的な安倍政権が、ロシアとの関係を改善する大きなゲームチェンジをしている理由です。 津田:そうなると、外務省内の担当部署間での力関係も大きく変わってきそうですね。 佐藤:その意味においては、外務省はもう完全に思考放棄状態で、疲れ切っています。一方で元気があるのは、経産省と警察庁。さらに、経産出身、警察出身で、内閣官房、さらに内閣府の一部の官僚たちが集まり、権力の中枢をつくっているわけですよ。そういう人たちを、私は著書の中で、「第二官僚」と位置づけました。単純に保守とかリベラルとかで分けられない不思議な政策を取っている人たちです。 津田:それが、今の政権の強みにもなっているということでしょうね。 佐藤:強みになっていると同時に、常にリスクをはらんでいます。例えば今回の入管法の改正などは、右派も左派も喜ばない、両方から挟まれた法律になっています』、北方領土問題はメディアとは無関係だが、興味深そうなのでこの部分も紹介する次第だ。「外務省はもう完全に思考放棄状態」で、「経産省と警察庁。さらに、経産出身、警察出身で、内閣官房、さらに内閣府の一部の官僚たちが集まり、権力の中枢をつくっている(「第二官僚」)」との佐藤氏の指摘はなるほどと納得した。
・『資本の論理でゆがめられる情報  津田:国が情報を統制するという観点からは、最近「シャープパワー」という言葉が注目されています。武力を使わずに、フェイクニュースなどの工作活動で他国に影響を与える力です。権力が一極集中している国では、ネットを使った世論工作活動が容易なので、中国や東南アジアの為政者たちはそれなりに効果を挙げている、と言われています。その状況はロシアも同じでしょうか。 佐藤:必ずしもそうではありません。ロシアは帝国。だから、情報はすべて政府の掌中にあるため、すべてをカッチリと管理しようとしないんです。情報専門の特別予備役があちらこちらにいますし、通信網も事実上、一社が握っています。オペレーターもFSB(連邦保安庁=秘密警察)で訓練を受けた人間しかいません。すべての根っこを握っているから、ターゲットを決めて、そいつだけ見ているわけです』、「ロシアは帝国。だから、情報はすべて政府の掌中にあるため、すべてをカッチリと管理しようとしない」というのは、予想外の指摘だが、言われてみればその通りなのだろう。
・『津田:プラグマティズムで運用しているんですね。今回の著作『情報戦争を生き抜く』で詳しく書きましたが、中国では、そもそも情報が政府によってゆがめられているので、フェイクニュース、あるいはヘイトスピーチの問題は、基本的に起きていないんです。中国のウェイボーなどのSNSでも同様の状況です。皮肉なことに、「インターネットのあるべき姿」が実は中国にあるんじゃないか、と思えるような現実があります。そう考えると、ネットの情報汚染は、GAFA(グーグル<Google>、アップル<Apple>、フェースブック<Facebook>、アマゾン<Amazon>)などを中心にした企業の“カネ儲けのためのビジネス”から起きているのではないか、と感じます。 佐藤:それでおこったのが、トランプ大統領をめぐる“ロシアゲート”問題。ロシアは国家として関与していないことは、プーチンとトランプの首脳会談からもうかがうことができました。おそらく、トランプ陣営の誰かが情報操作を依頼した際、いくつかの会社を経由して、実行にあたったのがたまたまロシア人だったのではないかと思います。 津田:なるほど。つまり、カネ儲けのために情報操作をしている奴らがいるということですね。思想闘争ではなく、実利なんですね』、「ネットの情報汚染は、GAFA・・・などを中心にした企業の“カネ儲けのためのビジネス”から起きているのではないか、と感じます」との津田氏の指摘も興味深い。「ロシアゲート”問題。ロシアは国家として関与していない」との佐藤氏の指摘も意外性があって面白い。
・『日本の問題点はメディアと官僚の距離  津田:日本の現状についてはどうでしょう。インターネットでは、政府や自民党は、広告会社などを通じて世論工作をしようとしているという指摘もあります。でも実際、そんな大それたことは為されていないと僕は思うんです。 佐藤:同感です。それよりも、官僚は、記者とのやり取りのなかで直接情報を工作しています。 津田:そうか。記者クラブあるいはメディア全体にそもそも、「情報がゆがめられる」という土壌があるんでしょうね。 佐藤:官僚は、記者クラブにいる記者たちを、与党側と野党側に分けます。そして、与党側には積極的に情報を与え、野党側は日干しにすると。その一方で、報償費などをエサにして、与党側に引きずり込もうとするんです。 津田:なるほどね。つまり、ネットを巡る政治的な情報工作は当然憂慮すべき存在と考えていますが、それ以前に、まずマスメディアから発信される“世論”自体が、記者クラブの取材時点でねじ曲がっているわけですね。 佐藤:それが日本の一つの“文化”なわけです』、「記者クラブあるいはメディア全体にそもそも、「情報がゆがめられる」という土壌がある」、「マスメディアから発信される“世論”自体が、記者クラブの取材時点でねじ曲がっている」などというのは厳しい指摘だ。

次に、メディア研究者の下山 進氏が2月9日付け現代ビジネスに寄稿した「この10年で1000万部減…日本の新聞に再生の芽はあるか 鍵をにぎるのはエンジニアだ!」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59536
・『「1999年の刊行当時、日本人にかくも壮大かつ重厚なノンフィクションが書けるのかと驚嘆したものだ」と若田部昌澄(現日銀副総裁)が、2017年9月に評したノンフィクション『勝負の分かれ目』の電子版が出る(文庫も2月20日に重版出来)。 技術と市場経済の変化がメディアを否応なく変えていく様を重層的に描いた同書は、インターネットの到来以降、臨界点に達している新聞・出版の紙メディアの現在の危機的状況とあいまって、20年ぶりの評価をうけている。著者の下山進氏が、この20年のメディアの大変化について記した電子版特別付録を公開する』、興味深そうだ。
・『「破壊的縮小」が進行中  1999年末に発表した『勝負の分かれ目』という本のエピローグにこんなことを私は書いていた。〈日本のマスコミ全体に目を移せば、新聞や放送はそれぞれ再販制度、放送法などの規制に守られて業界内での格差はあるにせよ、とりあえず安泰であるかに見える。しかし、この変化の波(すでに70年代に日本の製造業は経験し、90年代に日本の金融業は経験している)は、やがてこうした太平の惰眠を貪り、旧来の方法を墨守している新聞や放送界にもやってくるだろう〉 2017年7月、日本新聞協会のデータを調べてみて驚いた。その変化の波はすでに日本の新聞を直撃していたのである。 2006年には5231万部あった新聞の総部数はこの10年で約1000万部失われ、売り上げベースで、5648億円の減収となっていた。 これは破壊的縮小と言っていい。 さらにNHK放送文化研究所の5年ごとの国民生活時間調査を1975年から追っていくと、この変化は将来も加速度的に進むことがわかった。 新聞は現在60代、70代の世代が20代、30代のころからもっとも購読率が高く、それが、ずっと続いてきた。2015年の最新調査では、10代男性で新聞を1日15分以上読む人の割合はわずか4%、20代でも8%、30代でようやく10%というありさまだ。 現在の60代、70代が健康寿命に達する時に新聞の宅配は入院止め、介護止めという状態になる。「あと5年で、さらに1000万部の紙の部数が失われ、10年では半減するだろう」とは、ある大手紙の先進的な幹部の予測だ』、主要読者が、「現在60代、70代の世代」であれば、確かに将来性はない。
・『ヤフー・ジャパンからの示唆  こうした変化は、もちろんインターネットという技術革新の結果やってきた。新聞や出版・放送は、言語の障壁があるので金融業や製造業のような競争にさらされないと1990年代までは考えられていたが、それを楽々と超えてやってきたことになる。 たとえばヤフー・ジャパンが創業されたのはたかだか96年4月のことだった。ロイタージャパンからの配信をうけてヤフーニュースを始めたのは96年7月である。 井上雅博代表取締役社長(2012年6月まで)の「うちは独自コンテンツを作って流すということはしない。どことも等分につきあって、ポータルに徹する」という経営方針のもと、日経を除くほとんどの新聞社からニュース配信をうけプラットフォームとして成長した。 06年には1737億円だった売り上げは、通販会社等の買収があるとはいえ、16年には8537億円にまでなった。この10年で新聞業界全体が失った売り上げを上回る額の増収をたった1社であげたことになる。 新聞各社が業界組合方式でポータルをつくりヤフーへの対抗軸となろうとした「あらたにす」も失敗に終わり、新聞各社は今、打つ手がないように見える。 生き残るためのヒント、成長するためのヒントはどこにあるのだろうか? 「ニューヨーク・タイムズが紙からデジタルへの体質転換をこの5年で見事に行なった。それを研究すればよいのではないか?」とはヤフー執行役員の片岡裕さんのアドバイスだった』、「あらたにす」という試みがあったが、失敗したとは初耳だ。
・『必読のタイムズ社内調査  「Newspaper is dead!」『CIA秘録』で全米図書賞を受賞したニューヨーク・タイムズの調査報道記者ティム・ワイナーを、担当編集者として2008年11月に日本に招聘したときに、ワイナーが吐き捨てるようにして言った言葉だ。 リーマンショックの後、ニューヨーク・タイムズの広告収入は激減、資金ショートをおこしかかり倒産寸前。カルロス・スリムというメキシコの大富豪に、6.4%の株を買ってもらい、さらに2億5000万ドルの融資をうけて急場をしのいだ。そうした状況の中ワイナーはタイムズの将来を悲観していた。 しかしタイムズは、血の滲むような努力の末に、体質転換をなしとげたのである。そのポイントは、「紙の新聞を発行していた会社」から「紙の新聞も発行している会社」への移行だ。 11年に有料電子版を始めたニューヨーク・タイムズは、しかし14年の時点でも電子版の伸びはゆっくりとしたペースだった。 それを変えたのが、14年の「Times Innovation Report」だ。社内の有志が、社主の息子であるアーサー・グレッグ・サルツバーガーの許可を得て8人による調査チームをたちあげ、半年にわたって社内外500人以上に取材し書き上げた97ページにわたる社内文書だ』、有料電子版だけでは駄目で、調査チームが半年にわたって取材し書き上げたレポートが変身のきっかけになったというのは、確かに「血の滲むような努力」のたまものだ。
・『メディア史上の最重要文書  日本の新聞人は必読。 文書は、いまだにタイムズが、紙の新聞を毎朝出すことを前提として全ての社内組織がまわっていることを具体的にあげてゆき、それを「ウェブにタイムズのニュースを出すこと」を中心に組み換える必要性を訴えるものだった。〈タイムズでは、記事が紙の新聞に掲載された時仕事が終わると考える。ハフィントンポストでは、記事がウェブにアップした時に始まると考える〉 当時、タイムズは、電子版を始めているにもかかわらず、エンジニアが次々にバズフィードなど新興メディアに抜けていっていたが、その原因についても追及していた。
 +技術部門の人事が、エンジニアリングやウェブがわからない編集局から来た人間によって行なわれていること
 +編集局の人間が「業務部門とは一線を画す」という意識のもと、エンジニアと相談をする社内的な空気になっていなかったこと
 +技術の部署の仕事が、ウェブでの創造的なニュースの表現方法を共につくりあげるというところになく、ウェブニュースの不具合の「解決役」として出入りの業者のような扱われ方をしていること
等々が細かく具体的に指摘されている。 紙からデジタルへ、社内機構や採用にいたるまで変えていかなくては、タイムズは生き残れない、とする社内文書は外部にリークされ、バズフィードが「メディア史上もっとも重要な文書」として報じた。 このレポートが出るとほぼ同時に、女性の編集局長だったジル・アブラムソンは更迭(解雇)され、デジタルを社の中心にする機構改革が社内で始まった』、「紙からデジタルへ」の転換には、確かに「社内機構や採用にいたるまで変えて」いく、つまり社内の風土を大転換する必要があったのだろう。
・『デジタル有料読者を第一に  そして3年後、今度は経営陣公認のもとで再調査が行なわれ、その結果は「ニューヨーク・タイムズ2020」(17年1月)としてまとまった。 ここでは、3年前と比べてさらにはっきりと問題意識が整理されている。 3年前には、バズフィードやハフィントンポストなど無料広告モデルのメディアを競争相手として分析していたが、この17年のレポートでは、その骨子を、「我々は、有料講読第一(Subscription First)のビジネスの上になりたっている」としたのだ。 〈クリックの数を稼ぎ、低いマージンの広告料金をとるのではない。ページビューレースにも参加はしない。強いジャーナリズムを提供することで数百万人の世界中の人が、お金を払おうとすること、そのことにこそ、ニューヨーク・タイムズの合理的なビジネス戦略はあるのだ〉 デジタル有料版にいかに読者を囲い込んでいくか、そのためにどんな工夫が考えられるかがそこには綴られていた。 タイムズが、1970年代に、ニューヨーカーなどの雑誌のフィーチャーストーリーの成功を見て、それまでの「記録の新聞」から新聞でも魅力的なフィーチャーストーリーをとりいれていったことは「イノベーションレポート」であげられていたが、ウェブ上で動画やチャートなどを使ったまったく新しいニュースの伝え方がある、としてその社内教育を提案するなどしている。 このレポートが出た2017年、タイムズはこれまでタイムズがやらなかったような攻撃的な調査報道を、セクハラの分野で連打する。 ひとつはフォックスニュースのアンカー、ビル・オライリーのセクハラ。1300万ドルが口止めのために女性たちに支払われたことを暴露。オライリーはタイムズの報道で職を追われる(調査期間8ヵ月)。 次がシリコンバレーの複数のベンチャーキャピタリストのセクハラ。 そして10月5日に最初の記事が出たハリウッドの実力派プロデューサー、ウェインスタインの30年以上にわたるセクハラとそのもみけしの告発だ(2人の女性記者が4ヵ月かけた)。 しかもこれらの報道をたんに電子有料版で流すだけでなく、SNS等を使って積極的に拡散させ、読者にペイウォールを超えさせた。そして初報だけでなくオピニオン面で被害をうけた女性が原稿を寄せるなど、さまざまな形で進展していく形をとったのである。 17年の第3四半期のタイムズの投資家向けの発表によれば、その結果、タイムズの有料電子版オンリーの契約者数は、248万7000部にまで伸びた。16年の第3四半期の終った時点では、156万3000の契約者数だったから、実に1年で100万人の読者を上乗せしたことになる。最新の2018年第3四半期の数字では309万5000部を記録している。 タイムズは紙の部数は、平日で57万1500部、日曜版が108万5700部だから、有料電子版で読む人のほうがはるかに多いことになる。 「欧米の新聞が次々に倒産しているのは、収入源の7、8割が広告収入で、不況時には企業出稿が大幅に減るからだ」と言う日本の新聞人がいるが、タイムズは、有料電子版の始まった12年には、購読料収入が広告料収入を上回り、現在の収益構造では、購読料収入が61%を占めるまでになっている。 ニューヨーク・タイムズの09年以降の売り上げをみていくと、ほぼ横ばいで推移している。紙の広告料収入は下がりつづけているので、電子に置き換える努力をしなければ、ワイナーが悲観したような将来がタイムズには待っていたことになる』、「14年の「Times Innovation Report」」だけでなく、さらに17年に「ニューヨーク・タイムズ2020」で徹底的に再調査するとは大したものだ。「これまでタイムズがやらなかったような攻撃的な調査報道を、セクハラの分野で連打」した結果、部数を飛躍的に伸ばしたとは、まさに絵に描いたようなサクセス・ストーリーだ。
・『生き残りの解を学生と探る  日本の全国紙には津々浦々にまではりめぐらされた販売店網がある。この販売店網に支えられた宅配制度によって世界一の部数をほこる新聞が可能になった。 しかし、現在は逆にこのイノベーションが、デジタル化にブレーキをかける「イノベーションのジレンマ」となっている。 紙を中心として新聞業を成り立たせていくのは将来的には難しいことだけは、はっきりしていると思う。 ではどうしたらよいのか? 私は、2018年4月から慶應義塾大学環境情報学部、総合政策学部に講座を持ち、学生と一緒に、「今後生き残っていくメディアの条件」を、調査し考えていくことにした。 慶應のこのふたつの学部(慶應SFC)は、教授陣の半数が工学系で、学生はエンジニアリングと文科系科目の両方を学ぶという非常にユニークな学部だ。 「エンジニアと編集の有機的な融合なくしては、新たな道は開けない」 これは、グーグルがなぜ旧メディアを一掃するような破壊力をもったかを描いた『グーグル秘録』の著者で「ニューヨーク」誌のメディア専門記者ケン・オーレッタが来日の際に繰り返し私に言っていた言葉だった。 ならば、これからのメディアを担うであろう世代でエンジニアリングを学ぶ若者たちにその解を探してもらうのも面白いのではないか。 「2050年のメディア」と題するそのプロジェクトが、「イノベーションレポート」がニューヨーク・タイムズの体質転換に果たしたような役割を、日本の新聞社に対して担ってくれればよい、と考えている。 日本の新聞各社の協力を願うや切』、慶應SFCで「2050年のメディア」と題するそのプロジェクトをやっているとは、面白い試みだ。日本の新聞社は各社ともその成果を心待ちにしていることだろう。
タグ:メディア 現代ビジネス 慶應SFC AERAdot (その12)(佐藤優が指摘する記者クラブと官僚のズブズブ関係 「情報がゆがめられている」のが基本、この10年で1000万部減…日本の新聞に再生の芽はあるか 鍵をにぎるのはエンジニアだ!) 「佐藤優が指摘する記者クラブと官僚のズブズブ関係 「情報がゆがめられている」のが基本 <×津田大介対談>」 佐藤優さんが『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 田大介さんが『情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー』 対談イベント「情報戦争の黒幕~その視線の先に迫る」 北方領土問題について 中国と北朝鮮と韓国が連携することで、現在、北緯三八度付近にある対立線が対馬に下がってくる 日本がカウンターバランスをどこにとるのかというと、ロシアしかありません。それが、対米従属的な安倍政権が、ロシアとの関係を改善する大きなゲームチェンジをしている理由 外務省はもう完全に思考放棄状態で、疲れ切っています 元気があるのは、経産省と警察庁。さらに、経産出身、警察出身で、内閣官房、さらに内閣府の一部の官僚たちが集まり、権力の中枢をつくっているわけですよ。そういう人たちを、私は著書の中で、「第二官僚」と位置づけました 資本の論理でゆがめられる情報 ロシアは帝国。だから、情報はすべて政府の掌中にあるため、すべてをカッチリと管理しようとしないんです 中国では、そもそも情報が政府によってゆがめられているので、フェイクニュース、あるいはヘイトスピーチの問題は、基本的に起きていないんです ネットの情報汚染は、GAFA などを中心にした企業の“カネ儲けのためのビジネス”から起きているのではないか、と感じます “ロシアゲート”問題。ロシアは国家として関与していないことは、プーチンとトランプの首脳会談からもうかがうことができました 日本の問題点はメディアと官僚の距離 記者クラブあるいはメディア全体にそもそも、「情報がゆがめられる」という土壌がある マスメディアから発信される“世論”自体が、記者クラブの取材時点でねじ曲がっている 下山 進 「この10年で1000万部減…日本の新聞に再生の芽はあるか 鍵をにぎるのはエンジニアだ!」 『勝負の分かれ目』 「破壊的縮小」が進行中 2006年には5231万部あった新聞の総部数はこの10年で約1000万部失われ、売り上げベースで、5648億円の減収 新聞は現在60代、70代の世代が20代、30代のころからもっとも購読率が高く、それが、ずっと続いてきた 2015年の最新調査では、10代男性で新聞を1日15分以上読む人の割合はわずか4%、20代でも8%、30代でようやく10%というありさまだ あと5年で、さらに1000万部の紙の部数が失われ、10年では半減するだろう ヤフー・ジャパンからの示唆 新聞各社が業界組合方式でポータルをつくりヤフーへの対抗軸となろうとした「あらたにす」も失敗に終わり 必読のタイムズ社内調査 タイムズは、血の滲むような努力の末に、体質転換をなしとげた 「紙の新聞を発行していた会社」から「紙の新聞も発行している会社」への移行 14年の「Times Innovation Report」 8人による調査チームをたちあげ、半年にわたって社内外500人以上に取材し書き上げた97ページにわたる社内文書だ メディア史上の最重要文書 紙からデジタルへ、社内機構や採用にいたるまで変えていかなくては、タイムズは生き残れない、とする社内文書 デジタル有料読者を第一に 3年後、今度は経営陣公認のもとで再調査が行なわれ、その結果は「ニューヨーク・タイムズ2020」(17年1月)としてまとまった。 クリックの数を稼ぎ、低いマージンの広告料金をとるのではない。ページビューレースにも参加はしない。強いジャーナリズムを提供することで数百万人の世界中の人が、お金を払おうとすること、そのことにこそ、ニューヨーク・タイムズの合理的なビジネス戦略はあるのだ 「記録の新聞」から新聞でも魅力的なフィーチャーストーリーをとりいれていった これまでタイムズがやらなかったような攻撃的な調査報道を、セクハラの分野で連打する タイムズの有料電子版オンリーの契約者数は、248万7000部にまで伸びた。16年の第3四半期の終った時点では、156万3000の契約者数だったから、実に1年で100万人の読者を上乗せ 生き残りの解を学生と探る 教授陣の半数が工学系で、学生はエンジニアリングと文科系科目の両方を学ぶという非常にユニークな学部 「エンジニアと編集の有機的な融合なくしては、新たな道は開けない」 「2050年のメディア」と題するそのプロジェクト
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