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M&A(ライザップ)(瀬戸社長「M&A 手段が目的になっていた」 大幅下方修正のRIZAPグループ・瀬戸健氏に聞く、ライザップを追い込んだ、CD「新星堂」の不振 経営不振が経営不振を呼び込む負の連鎖構造) [企業経営]

今日は、M&A(ライザップ)(瀬戸社長「M&A 手段が目的になっていた」 大幅下方修正のRIZAPグループ・瀬戸健氏に聞く、ライザップを追い込んだ、CD「新星堂」の不振 経営不振が経営不振を呼び込む負の連鎖構造)を取上げよう。

先ずは、昨年11月16日付け日経ビジネスオンラインが掲載したライザップ瀬戸社長へのインタビュー「瀬戸社長「M&A、手段が目的になっていた」 大幅下方修正のRIZAPグループ・瀬戸健氏に聞く」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/110879/111500902/?P=1
・『急成長していたRIZAPグループが突然、159億円の最終利益を見込んでいた2019年3月期予想を70億円の赤字に大幅下方修正した。プロ経営者として知られる前カルビー会長兼CEO(最高経営責任者)、松本晃氏をCOO(最高執行責任者)に招いたが、社内では古参の経営幹部と意見が対立していた。何が起きているのか。宣言した構造改革をどう進め、再生するのか。瀬戸健社長に聞いた。 Q:6月まで増益としていた今期予想を第二四半期決算で突然、最終赤字に大幅下方修正しました。なぜ大きく変わったのですか。 瀬戸健氏(以下、瀬戸):例えば業績が大きく悪化した子会社のワンダーコーポレーションは今年3月に買収した際にはもっとうまくいくと思っていました。ところが、始めて見ると計画通りにはいかなくなってきました。(第二四半期では)毎週のように売上高が落ち、利益も計画通りにはいかないと分かりました。 実はワンダーコーポレーションが販売するCDは、このまま持っていても売れる見込みがないとして最後は1枚1円で評価し直しました。それでワンダーだけで商品評価損など計39億円の構造改革費用を計上しましたが、決算発表の当日まで同社の幹部は「そこまでしなくても」と“反対”したほどです。 そのほか、非上場の理美容品販売、ジャパンゲートウェイも多額の宣伝費をかけたけども売れ行きは伸びず、これも修正せざるを得ないとなりました。そんな判断の積み上げです』、いくら新興企業とはいえ、2019年3月期最終利益の予想を159億円の黒字から、70億円の赤字に下方修正したのには驚かされた。一体、何があったのだろう。
・『「事業再生」より「落ち込み」スピードの方が速かった  Q:大幅な下方修正はいつ判断したのですか。 瀬戸:業績が計画ほどのびないようだと見えても、自分としては最初は前期並みの営業利益136億円は維持できると思っていました。それが途中で50億円になり、ゼロになり、最後は赤字に踏み込まなければならないとなりました。その意味では段々に判断したということです。 Q:ワンダーコーポレーションがCD販売の不振などで業績が低迷したように、市場としてそもそも縮小する分野の企業をいくつも買収しています。業績悪化は元々、避けがたかったのではないですか。 瀬戸:我々は買収した後に既存の事業を立て直したり、既にグループ化した企業の事業で再生したものをそこに移したりするといった形で再建を図ってきました。その再生のスピードよりも既存事業の落ち込みの方が速かった。この大幅な下方修正はそうしたことの結果です。本当に申し訳ないと思っています。 Q:それら企業の中には買収価格が会社の正味資産である純資産(総資産から負債を差し引いたもの)を下回るところがかなりありました。会計上その差額は「負ののれん」として利益計上できます。その比率は前期の営業利益の54%を占めるほどです。それを狙ったのではないですか。 瀬戸:そうではありません。私が当社を創業したころ、食べ続けるとダイエット効果があるという豆乳おからクッキーを開発し、大ヒットしました。一時は売上高が100億円を超えるほどになりましたが、類似品が出てきたことなどでその後2年ほどの間に10億円まで落ちるという経験をしています。さらにその後、美顔器を開発している企業を買収したところ、それが当たってなんとか一息つきました。 売上高や利益はそれくらい変動する。だからそれらを見る損益計算書(P/L)だけを意識していてはだめだと思ったのです。純資産を含む貸借対照表(B/S)を重視し始めたのはそれからです。負ののれんというより純資産を活用し、その不振企業を再生して、RIZAPグループとして成長しようと考えたのです』、これまではボロ企業を簿価より安く買収して、「負ののれん」として購入時に一括して利益計上できるという錬金術を利用して利益を膨らませていたことになる。「前期の営業利益の54%を占めるほど」というのは非常に大きい。
・『「松本さんは中長期の視点」  Q:買収を繰り返し、グループ企業は85社にも上っています。人材面から見てもスピード感をもって再生するのは難しかったのではないですか。 瀬戸:それは否定できません。株主の期待もあります。2021年3月期に売上高3000億円、営業利益350億円を掲げた「コミット2020」などを公表していますが、そうした成長目標に向けた手段が目的のようになってしまったのかもしれません。 だからM&A(合併・買収)はいったん止めて、構造改革を優先することにしました。 Q:カルビーの前会長兼CEOで、瀬戸さん自身が6月に招聘した松本晃氏は構造改革を先行するよう主張したが、なかなかその通りにならなかったと聞きます。 瀬戸:松本さんは中長期的な視点から何をすべきかを言われた。一方で私は今期についてもどうするかを考えなくてはいけない。長期も短期も両方大切です。両方考えないといけないのですが、なかなかすぐにはいかなかった面はあるかもしれません。先ほどお話ししたように私自身、これまでの段階で「まだ大丈夫では」と思ったこともあります。 (役員の間で松本氏の方針に反対もあったが)私は別に対立とは思いません。いい議論だったと思います。10月に松本さんはCOOを外れましたが、これはマネジメント全般より、構造改革に集中して貰うためです』、「買収を繰り返し、グループ企業は85社にも上っています」というのは、「再生」などは真剣に考えてなかった証拠だ。だからこそ、招聘した松本氏を遠ざけることになったのだろう。
・『買収企業を再生して「シナジー」を効かせる  Q:松本さんはまだ現職にとどまって改革を続けるのですか。 瀬戸:そうです。今回も大きな力になったと思います。ガバナンス(企業統治)についても意見を貰いました。1人の役員が何社も担当するようなことをしても集中できない、当事者意識が希薄になるといったことを言われましたが、その通りでした。 (今は社外活動もあり、松本氏はRIZAPに毎日来ているわけではないが)当社で働いている時間ではなく、どんなインプットをして貰い、アウトプットを我々とともに出すかが全てです。そうしていきたい。 Q:14日の記者会見では、買収した企業の売却も含め、フィットネス事業を中心とした本業に集中すると表明しました。しかし、フリーペーパーや和装品、戸建て住宅など、買収した企業の中にはどのように本業とシナジー(相互作用)を効かせていくのか見えにくいものもあります。 瀬戸:まずグループ企業個々の力を引き上げることだと思います。事業を強くして、その中からよりいいものを選び出してRIZAP本体とのシナジーを効かせていく。そんなイメージでしょうか。 フランスの有名アパレルブランド会社は、不振企業を含め多数のアパレル会社を買収し、再生して力が本当に上がったところをそのブランドと並べて売るといいます。それと似たような考え方です。 Q:構造改革が一段落した後、負ののれんのある企業を主として買収する従来のM&Aはやめるのですか。 瀬戸:必ずしもそういうわけではありません。その時々の状況で判断していくつもりです』「、買収企業を再生して「シナジー」を効かせる」のが可能な子会社はそれほどあるのだろうか、再生させる人材も大丈夫なのだろうか。最近は「結果にコミットする」との有名なテレビCMも少なくなったような気がするが、本業のボディメイクの方が順調なようだが、錬金術が限界を迎えた割には、瀬戸社長は依然強気なようだ。

次に、12月8日付け東洋経済オンライン「ライザップを追い込んだ、CD「新星堂」の不振 経営不振が経営不振を呼び込む負の連鎖構造」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/253950
・『株価は4割も下落、もはや往時の勢いは見られない――。 11月14日、RIZAPグループは2019年3月期の業績見通しを下方修正、営業利益を230億円の黒字から、33億円の赤字に、一気に引き下げた。 会社側の説明によれば従来の見通しに対して、①新規M&Aの凍結で103億円、②構造改革関連費用等を含む非経常的損失が83億円、③買収企業の経営再建遅れ分が71億――などが下振れの要因になっているという。 ②の「主犯」となったのが、RIZAPグループが2018年3月に買収したワンダーコーポレーションだ。わずか半年で39億円の損失を垂れ流す結果となった。 なお、IFRS(国際会計基準)を採用しているRIZAPグループでは、構造改革費用は営業経費に計上されるが、日本基準のワンダーコーポレーションでは特損処理される。ワンダーコーポレーションは同日、39億円の特損計上に伴う純損益の下方修正を発表した』、本日の株価は247円と、ピークの1500円の1/6と低迷するのも当然だろう。
・『ワンダーは5期連続で最終赤字  ワンダーコーポレーションは、ゲームや音楽・映像ソフト、書籍、文具など物販の「ワンダーGOO(グー)」、中古ブランド品などの買い取り販売の「REX(レックス)」、音楽・映像ソフト販売の「新星堂」の3つの業態のほか、TSUTAYAのフランチャイズ事業も手がけ、全国に300以上の店舗がある。 ワンダーコーポレーションはもともと、北関東を中心に展開しているスーパー・カスミの家電製品部門を分離独立させる形で1988年3月に設立された。その後、パソコンやゲームソフト、音楽ソフト、書籍などに取扱品を拡大、2004年10月に旧制度下で店頭公開した。 その後は4年ほど右肩上がりの成長を続け、リーマンショック直前の2008年2月期に20億円の営業利益を計上した。だが、翌期以降は反転。2016年2月期、2017年2月期は2期連続で営業赤字に沈んだ。 低水準の営業損益に加え、それが理由となって店舗の減損計上も余儀なくされる。その結果が4期連続(今期も含めれば5期)の最終赤字だ。再建に手を焼いたカスミは売却先を模索。結果、2018年3月にRIZAPグループが傘下に収めた格好だ。 RIZAPの減量ジムは売上高が年間300億円に満たないのに対し、ワンダーコーポレーションは同700億円を超える。グループの主力企業といってもいい。 その業績低迷最大の原因と言えるのが、2013年2月に買収した新星堂である。 ワンダーコーポレーションが業態別にセグメント開示を始めたのは2011年2月期から。物販のGOOの売上高は612億円あったが、翌期以降減収に転じ、直近の2018年2月期は380億円にまで減っている。 そこでワンダーコーポレーションは、2012年4月以降、M&Aによる外部成長路線に舵を切った。TSUTAYAのFC事業を手がけるサンレジャーを買収し、TSUTAYA事業に参入すると、翌2013年2月には経営不振にあえぎ、債務超過に転落していた老舗レコードショップチェーンの新星堂を買収した』、「ワンダーコーポレーション」もRIZAP同様に、M&Aで外部成長する、しかもどうやら売上高を膨らますことにも狙いがあったようだ。
・『獅子身中の虫となった新星堂  売上高は600億円台から800億円台にハネ上がったものの、これ以降、新星堂は「獅子身中の虫」さながらのやっかいな存在になっていく。TSUTAYAはそれなりに貢献しているが、新星堂は買収以来、一度も決算短信に記載のセグメント利益が黒字化したことがないのだ。 業界団体の統計によれば、CDなどの音楽ソフトの生産金額は1998年の6074億円、DVDなど映像ソフトの販売は2004年の3753億円をピークに、2017年に音楽ソフトは2320億円、映像ソフトは1876億円まで縮小している。 ワンダーコーポレーションは衰退の一途をたどる業界に身を置く企業の再生に挑んだことになる。だが結果は厳しかった。 買収当時155カ所あった店舗は現在では103カ所に減少。さらに自社に新星堂を吸収合併することで、本部経費の削減を進めた。買収から5年以上が経過しながら、セグメント損益は1度も黒字化に至っていない。 GOOの売上高の減少が続いている理由は何か。年によってゲームや音楽、映像ソフトにヒットが出たり出なかったりといった個別要因が積み重なりながら、全体として漸減トレンドが続いてきた。 得意としてきたゲーム、音楽・映像ソフトや漫画本がデジタルに置き代わり、ネット通販も普及していく中で、「リアル店舗でしか提供できないサービスを実現できていない」(ワンダーコーポレーション)ことが原因だ。 こうしたGOOの収益力低下に新星堂の赤字が加わったことが、ここ数年の業績低迷の根本原因と言っていい。 一部誤解を生んでいるが、ワンダーは棚卸し評価損の計上基準を今回変更したわけではない。1年間売れなければ50%、2年間売れなければ1%に切り下げる基準で、毎月評価を見直している。 構造改革費用の資金使途にも一部誤解がある。GOOの店舗は、500坪以上の大型店の中に、音楽・映像ソフト、ゲーム、書籍、文具などの売り場を設ける複合店。TSUTAYAやREXを入れている店もある』、確かに「新星堂は「獅子身中の虫」さながらのやっかいな存在に」なったようだ。
・『構造改革費用の中身は  市場が縮小する音楽・映像ソフトの売り場は圧縮し、空いたスペースにスターバックスなどのカフェやファミリーマートといったコンビニ、ベーカリーショップ、スポーツジムや英会話教室など、集客力があるテナントを誘致する施策を進めている。 既存の売り場を縮小すれば、そこで使用していた什器備品は除却、商品は廃棄の対象になる。音楽・映像ソフトは再販売価格維持制度に守られているので返品は可能だが、全商品が無条件で返品できるわけではない。 返品可能な量は年間の仕入れ額にスライドするので、近年のように仕入れを絞り込んでいると、返品できずに廃棄対象になる商品も少なからず出てくる。 簿価は切り下げていても、廃棄にはコストがかかるため、将来、既存の売り場を縮小する際に発生するであろう除却損、商品廃棄損を試算し、積み上げた額が39億円。この中には、さらに加速化する新星堂の不採算店のスクラップで発生する除却損、商品廃棄損も含まれている。 従って、「テナントの入れ替えが発生する都度、そこにかかるコストが引当金から取り崩されるので、テナントへの転換に伴う損失は基本的に発生しない」(ワンダーコーポレーション)。見方を変えれば、テナントの転換が発生しない限り、今回計上した引当金の取り崩しも発生しない。 つまり、在庫評価損を計上するわけではないので、今期の在庫商品が来期以降売れても売上総利益率を劇的に引き上げるということもない。 ワンダーコーポレーションを悩ませる新星堂だが、今や同社ごと飲み込んだRIZAPグループをも悩ませる。新星堂をRIZAPは再生させることができるのか。茨の道が続くことは間違いない』、RIZAPは「東証1部市場への鞍替え」を目指しているようだが、こんな有様では先送りせざるを得ないだろう。「負ののれん」を狙ったM&A戦略の「落とし穴」からの脱出は容易ではなさそうだ。
明日は、M&A(コクヨVSぺんてる)を取上げる予定である。
タグ:東洋経済オンライン M&A 日経ビジネスオンライン ライザップ (瀬戸社長「M&A 手段が目的になっていた」 大幅下方修正のRIZAPグループ・瀬戸健氏に聞く、ライザップを追い込んだ、CD「新星堂」の不振 経営不振が経営不振を呼び込む負の連鎖構造) 「瀬戸社長「M&A、手段が目的になっていた」 大幅下方修正のRIZAPグループ・瀬戸健氏に聞く」 59億円の最終利益を見込んでいた2019年3月期予想を70億円の赤字に大幅下方修正 ワンダーだけで商品評価損など計39億円の構造改革費用を計上 「事業再生」より「落ち込み」スピードの方が速かった 会計上その差額は「負ののれん」として利益計上できます。その比率は前期の営業利益の54%を占めるほどです M&A(合併・買収)はいったん止めて、構造改革を優先 買収を繰り返し、グループ企業は85社 買収企業を再生して「シナジー」を効かせる 「結果にコミットする」との有名なテレビCM 「ライザップを追い込んだ、CD「新星堂」の不振 経営不振が経営不振を呼び込む負の連鎖構造」 本日の株価は247円と、ピークの1500円の1/6と低迷 ワンダーは5期連続で最終赤字 RIZAPの減量ジムは売上高が年間300億円に満たないのに対し、ワンダーコーポレーションは同700億円を超える 獅子身中の虫となった新星堂 「東証1部市場への鞍替え」
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日本の政治情勢(その31)(安倍首相、「祝賀てんこ盛り」で政権浮揚の思惑 夏の参院選は改選過半数の63議席超えも、自民党の「外交青書」批判 何が時代錯誤か 「憂さ晴らし」の場と化す自民党内部の議論、過渡期の日本 アメリカから見た安倍政権とその後) [国内政治]

日本の政治情勢については、4月12日に取上げた。今日は、(その31)(安倍首相、「祝賀てんこ盛り」で政権浮揚の思惑 夏の参院選は改選過半数の63議席超えも、自民党の「外交青書」批判 何が時代錯誤か 「憂さ晴らし」の場と化す自民党内部の議論、過渡期の日本 アメリカから見た安倍政権とその後)である。

先ずは、政治ジャーナリストの泉 宏氏が4月26日付け東洋経済オンラインに寄稿した「安倍首相、「祝賀てんこ盛り」で政権浮揚の思惑 夏の参院選は改選過半数の63議席超えも」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/278695
・『令和新時代スタートまで1週間を切る中、統一地方選を終えて欧米での首脳外交にいそしむ安倍晋三首相の表情には余裕と自信がにじんでいる。 統一地方選の焦点となった大阪ダブル(府知事・市長)選と衆院2補選での手痛い敗北も「地域の特殊事情」と見切り、全体では自民党が堅調だったことから夏の参院選に手ごたえを感じているからだ。新元号決定や新紙幣の発表、10連休真っただ中の歴史的な皇位継承行事も、首相サイドが巧妙に設定した政権浮揚戦略の一環とみられている。列島全体での“令和フィーバー”も思惑通りといえそうだ』、「首相サイドが巧妙に設定した政権浮揚戦略」は確かに見事に効を奏しているようだ。
・『自民党の補欠選挙連勝はストップした  参院選の行方を占う統一地方選は、前半戦(4月7日)の焦点である大阪府知事・市長選で大阪維新の会が圧勝。さらに、後半戦(4月21日)の衆院大阪12区、同沖縄3区の両補欠選挙でも、それぞれ維新、野党系候補が勝利し、第2次安倍政権発足前から続いてきた自民党の衆参補選連勝もストップした。 こうした選挙結果について、多くのメデイアは「政権に打撃」「参院選に暗雲」などと書き立て、安倍首相は22日午前、「残念な結果になった。いま一度、身を引き締めなければならない」と殊勝な表情で語った。菅義偉官房長官は同日昼の政府・与党協議会で「首相から指示もあったので、緊張感を持ってやっていく」と述べ、選挙戦の司令塔だった二階俊博自民党幹事長も記者会見で「選挙結果を反省材料に次なる戦いに挑み、勝利で屈辱を晴らしたい」と態勢立て直しへの決意を表明した。 ただ、安倍首相は22日昼前には昭恵夫人を伴って新しい政府専用機でフランスに向けて飛び立った。搭乗時は黒いワンピース姿だった昭恵夫人はフランス到着時には明るいクリーム色のスーツに着替え、首相も空港に出迎えた要人たちと満面の笑みで握手するなど心機一転ぶりが際立った。 統一地方選の最中には塚田一郎国土交通副大臣、桜田義孝五輪担当相が相次いで辞任に追い込まれ、首相の任命責任も厳しく問われた。にもかかわらず、新元号決定以来の内閣支持率は上昇傾向が続いている。安倍首相や政府与党幹部が「危機は一過性」(自民幹部)と余裕を見せるのは、夏までの「巧妙な政治日程づくり」(自民長老)が背景にあるとみられる。 そもそも、歴史的な皇位継承行事を軸とする10連休を設定したのは安倍政権だ。4月30日の天皇退位、翌5月1日の新天皇即位と、令和への改元で国民の間に令和フィーバーを巻き起こし、それまでの政権不祥事などを一気に過去のものしようとの思惑は「今のところ図に当たっている」(自民幹部)のは間違いない。自民幹部も3月下旬に「もし、統一地方選が政権にとって厳しい結果になっても、祝賀ムードで内閣支持率も上がり、後半国会での与野党攻防も主導権を握れる」と自信を示していた。 皇位継承行事以降も、5月25日には新天皇が迎える初の国賓としてアメリカのトランプ大統領が来日する。4日間の滞在中、新天皇との会見や日米首脳会談、さらには大相撲観戦、安倍首相との3度目のゴルフ対決と盛りだくさんの外交行事が予定されている。 6月28、29日には、日本初開催となる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を大阪で開かれる。G20にはトランプ大統領ら主要7カ国(G7)首脳に加え、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も参加予定で、首相は首脳会議の前後に日米、日中、日ロという重要な首脳外交をこなして内外に安倍外交をアピールするとみられる』、トランプ来日でも、難題の貿易問題は参院選後の8月に先送りしたのも、敵ながら「あっぱれ」という他ない。
・『かすむ与野党攻防、薄れる野党の存在感  こうした政治・外交日程は、昨年から首相の意を受けて政府部内で組み立てられたもので、自民党総裁3選後の最大の関門となる参院選に向けて、政権として弾みをつける狙いは明らかだ。令和新時代の祝賀ムードと華やかな首脳外交で盛り上げれば、終盤国会での与野党攻防はかすみ、野党の存在感も薄れるのは確実だ。 その一方で、衆院補選などを除けば統一選全体では自民党が優勢だったことで、政府与党幹部の間でも「これまでの亥年選挙の恐怖は薄れている」(自民選対)のが現状だ。統一選の結果を参院選に当てはめた一部メディアの試算では、自民党は改選過半数の63議席を超える可能性も指摘されており、首相サイドでも「12年前のような参院選惨敗はありえない」(細田派幹部)との安堵感が広がる。 巧妙な日程設定のポイントとなった4月1日の新元号発表も、党内保守派の反発を押さえて首相が決断したとされる。首相サイドの期待通り、「令和」が発表されたとたん、列島は大騒ぎとなり、内閣支持率も上昇した。さらに、令和の額を掲げた菅義偉官房長官は「ポスト安倍の最有力候補」との声も上がるなど一躍、時の人となった。 さらに、首相の盟友の麻生太郎副総理兼財務相が4月9日に発表した新紙幣発行とデザインのお披露目も国民的話題となった。5年後に1万円、5千円、千円の3種類のお札(日本銀行券)と500円硬貨を発行する計画で、紙幣の一新は2004年以来20年ぶりとなる。首相と麻生氏が極秘で進めてきたとされ、麻生氏は「たまたま新元号決定などと重なった」と説明したが、与党内でも「祝賀ムードをさらに盛り上げる材料になった」(閣僚経験者)との声が相次いだ。 10日午後に国立劇場で開催された「天皇陛下即位30年奉祝感謝の集い」も祝賀ムード盛り上げに一役買った。超党派議員連盟と民間有志の共催となっているが、主導したのは首相に近い自民党の保守派議員とされる。映画監督の北野武さんら各界のスターが招かれる一方、野党各党幹部も参加し、「政権浮揚の企画の添え物にされた格好」(立憲民主幹部)だ。首相は祝辞で「国民に常に寄り添ってこられた両陛下のお姿を胸に刻みながら、誇りある日本の輝かしい未来をつくり上げていく」と令和時代も引き続き政権を担う意欲を強調したが、野党からは「祝賀ムードに便乗して、祝賀のてんこ盛りみたいな雰囲気を醸し出そうとしている」(国民民主党の玉木雄一郎代表)など疑問の声が相次いだ。 さらに、その週末の13日午前には、毎年恒例の首相主催「桜を見る会」が新宿御苑で開催された。平成最後となる同会には多数の有名芸能人ら約1万8200人が出席。満開となった八重桜の下であいさつした首相は「平成を名残惜しむか八重桜」「新しき御代ことほぎて八重桜」の2句を得意満面で披露したうえで、新元号の典拠となった「万葉集」の「梅花の歌」にも言及し、「皆さん一人ひとりがそれぞれの花を咲き誇らせることができる、そういう時代を一緒につくっていこう」と参加者に呼びかけた』、「同日選挙」狙いで、衆院の「解散風」を吹かせるという脅しで、野党を震え上がらせているるのも、巧みだ。
・『「やってる感」満載だが「やりすぎ」批判も  ただ、こうした新元号決定以来の一連の行事設定については、政界でも「政権が得意とする『やってる感』満載だが内容は空疎」(首相経験者)との指摘がある。5月下旬以降の外交日程も含めて「なりふり構わない参院選前の政権浮揚戦略は異様」(自民長老)への批判も少なくない。与党内にも「余りやりすぎると国民の反感を買い、参院選での失速にもつながりかねない」(公明幹部)との懸念が広がる。 首相は23日、最初の訪問国のフランスでマクロン大統領と会談した後、イタリア入りし、24日には日伊首脳会談を行うなど精力的に安倍外交を展開している。ただ、今回の欧米歴訪の最大の焦点は日米貿易摩擦がテーマとなる27日の日米首脳会談だ。首相はトランプ大統領との親密な関係を利用して自動車関税などのアメリカ側の要求を跳ね返したい考えだ。 ただ、アメリカ側の厳しい要求に屈するようだと、「巧妙に組み立てた政治外交日程が最後で台無しになる」(自民幹部)との不安も残る。カナダ訪問を経て天皇退位前日の29日の帰国時に、首相が晴れやかな表情で「空飛ぶ官邸」と呼ばれる新専用機から降り立つことができるか、なお予断を許さない』、「政権が得意とする『やってる感』満載だが内容は空疎」とは言い得て妙だ。日米首脳会談では前述のように、「日米貿易摩擦」を巧みに先送りしたことで、『やってる感』をさらに増したようだ。

次に、東洋大学教授の薬師寺 克行氏が5月22日付け東洋経済オンラインに寄稿した「自民党の「外交青書」批判、何が時代錯誤か 「憂さ晴らし」の場と化す自民党内部の議論」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/282463
・『外務省が毎年、発行している書籍に『外交青書』がある。 過去1年間の首脳会談や国際会議などの成果をはじめとする日本外交の記録とともに、国際情勢についての分析も書かれている。同じような書籍を他の官庁では「白書」として発行しているが、外務省だけは1957年の創刊号の表紙が青色だったため「青書」と呼んでいる。世間にはあまりなじみのないものだが、日ごろマスコミにほとんど登場することのない国についても紹介があり、結構便利である。 この『外交青書』が珍しく自民党内で批判にさらされている。「青書」は毎年、発行前に自民党の政務調査会や総務会での了承が慣例となっている。今年も5月初め、自民党の外交部会で2019年版の要旨を説明したが、出席議員から批判が出たのだ』、確かに珍しいことだ。
・『「北方領土は日本に帰属する」を削除  問題になったのは北方領土問題についての記述だった。2018年版には「北方領土問題は日露間の最大の懸案であり、北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場」と書かれていた。2019年版では、この部分から「北方四島は日本に帰属する」が削除された。 そこで出席議員から「ロシアから文句を言われ、自発的に日本の基本原則を捨てた」「基本原則は忘れてはいけない」などという批判が相次いだのである。 説明役の外務省幹部は「安倍晋三首相や河野太郎外相の国会答弁などを踏まえて、この書きぶりにした」と応じたが、議員らは納得しなかったようで、後日、岸田文雄政調会長が党の総務会で「今回の対応は納得しうるものではない」「他国に間違った受け止め方をされるおそれもある」などと批判し、外交部会で引き続き議論するよう指示したという。 日ロ間で平和条約に関する交渉が行われる中、確かに北方領土問題に関する安倍首相や河野外相の言動は大きく変わった。かつて日本政府は北方領土について「ソ連が不法に占拠した」「わが国固有の領土である」など強い調子で表現するとともに、旧ソ連やロシアの対応を批判してきた。しかし、日ロ間で平和条約交渉が始まると、安倍首相らのトーンが穏やかなものに変わった。交渉当事者としては自然な対応だろう。 そして、過去1年間の外交を記録するという『外交青書』の趣旨から言えば、首相や外相の発言に沿った内容を記録するのは当然なことでもある。しかし、威勢のいい自民党議員からすると、それが物足りないのである。ロシア側が「日露間の領土問題はない」などと過去の主張を蒸し返しているだけに、日本政府も負けずに強い姿勢で臨めと言いたいのだろう。 過去の『外交青書』を見ると、北方領土問題に関する記述は日ソ(日ロ)関係や国際情勢の変化に合わせて頻繁に変わっている。冷戦時代、日ソ間で首脳会談や外相会談などの人的交流はほとんど行われておらず、書簡のやり取りなどが中心だった』、「自民党の外交部会の出席議員」だけでなく、岸田文雄政調会長までもが、安倍首相ではなく、外務省官僚に矛先を向けるとは、情けない話だ。
・『交渉の進展とともに、記述は抽象的に  1961年の「青書」には、日米安保条約改定を批判するフルシチョフ首相と池田勇人首相との間で数回にわたってやり取りされた書簡の全文が載っており、専門家にとってもなかなか読み応えがある内容となっている。「外交」が成り立っていないため、逆に「青書」で書簡まで公表できた。 ゴルバチョフ書記長(のちに大統領)が登場した冷戦末期あたりから、海部、細川、橋本、小渕、森、小泉首相らと日ロ間の首脳会談が実現し、協議の内容も外交交渉らしくなってきた。それに合わせて「青書」には会談内容の記録などが書かれてきたが、交渉が進めば進むほど公表できる部分が減ってきたことを反映して、記述は抽象的で簡素なものになっていった。それと同時に、強硬論を含めた日本の主張や立場を、いちいち念を押して記述することもなかった。 日本の立場については、2000年代初めのころは、「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結」することと、「日露関係の完全な正常化」「日露間でのさまざまな分野における協力と関係強化」が併記されていた。2005年以降は「日本固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、これにより日露関係を完全に正常化するという一貫した方針を維持」という表現となった。そして、第2次安倍政権以降は2018年版まで、「北方領土問題は日露間の最大の懸案であり、北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場」という表現が続いていた。 こうした経緯を見ると、2019年版で「北方四島は日本に帰属する」という部分を削除するというのは確かに大きな変化である。しかし、現在進行中の日ロ間の交渉はまさにこの部分が最大の焦点であり、ラブロフ外相らロシア側が繰り返し日本の主張を批判しているのもこの部分である。 ほかにも2018年版の「四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した基本方針の下、ロシアとの間で精力的に交渉を行っている」という部分は、2019年版の要約版では「領土問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいる」と変更されている。 「四島の帰属の問題」という表現を「領土問題」に変えたのも、「北方四島は日本に帰属する」という表現の削除と同じで、ロシア側の反発を買うことを避けるための配慮であることは間違いない』、ただ、「四島」を外すのはともかく、「ロシア側の反発」を理由に「青書」の記載まで変えるというのは違和感を感じる。
・『自民党部会は議員の不満のはけ口に  ただ、北方領土問題に対するロシア側の強硬な姿勢に変化はなく、日ロ交渉が順調に進んでいるとはとてもいえない状況にある。「青書」の表現を穏便なものに変えたからといって、ロシア側の対応が柔軟になることはまったく期待できないだろう。 外務省の幹部は筆者に対し、「ラブロフ外相らロシア政府は、記者会見などの場で日本政府批判や強硬論を繰り返している。しかし、肝心なのはロシアとの交渉で結果を出すことである。外野席の雑音はできるだけ耳に入れないようにしている」と語ってくれたことがある。 私が疑問に思うのは岸田政調会長をはじめとする自民党議員の対応である。政府の重要政策を説明する場でもある自民党の部会には首相や閣僚は出席しない。説明役はもっぱら各省の局長ら幹部だ。部会は議員らが政府の説明に対して、批判したり注文をつける場になっているのだが、しばしば不満のはけ口になっているのだ。 とくに最近の外交部会の荒れようは目を覆いたくなるものがある。日ロ関係だけではない。関係悪化に歯止めのかからない日韓関係についても出席議員から、外務省幹部らに「弱腰外交だ」「どこの国の官僚だ」「韓国とは国交を断絶すべきだ」などという罵詈(ばり)雑言に近い言葉が繰り返し浴びせられている。 日ロや日韓関係をはじめ主要外交政策決定の責任者は外相であり首相である。官僚は「政治主導」の名の下、その指示に従って政策をつくり上げていく。政策に不満があるのなら官僚いじめで満足するのではなく、同じ政治家である首相や外相を相手に議論することが筋であろう。 また追求する場も、非公開の党の部会や総務会ではなく、国会の本会議や予算委員会、外務委員会など公開の場で堂々とやればいい。ところが自民党議員は、審議促進などを理由に国会ではできるだけ質問をしない。その代わりに部会などで官僚にクレームをつける』、「政策に不満があるのなら官僚いじめで満足するのではなく、同じ政治家である首相や外相を相手に議論することが筋」、というのはその通りだ。
・『「族議員」から「官邸主導」へ  この構図は「自社55年体制」時代から半世紀以上にわたってまったく変わっていない。今と異なり、官僚が実質的に政策決定の主導権を握っていた時代には、特定分野に力を持つ「族議員」が各省幹部と協議し、特定団体の要求を押し込むなど不透明な政策決定が行われていた。 時代が変わり族議員という言葉も聞かれなくなり、逆に「安倍一強」「官邸主導」といわれている。主要政策決定過程において官僚機構の力が衰退し、自民党政調の影響力が抑え込まれ、首相や閣僚の力が圧倒的に強くなっている。 にもかかわらず自民党は相変わらず部会を開き、官僚を党の会議に呼びつけて、罵詈雑言を浴びせて憂さを晴らしている。自民党の党内議論が不活発になっているといわれて久しいが、こんなことを続けていたのでは、国会議員の政策力は向上しないであろう』、「官邸主導」のなかで、国会議員の声を如何に吸収していくか、自民党も真剣に考え直すべきなのだろう。

第三に、在米作家の冷泉彰彦氏が4月27日付けのメールマガジンJMMに掲載した「過渡期の日本、アメリカから見た安倍政権とその後」を紹介しよう。
・『2010年代も末となり、2020年代が接近してきた中で、安倍政権は日本の現代史においては珍しいほどの長期政権化してきました。その現状と、その後について考える前に、政権の性格について一つの指摘をしておきたいと思います。 意外に思われる方も多いかもしれませんが、海外、特にアメリカから見れば安倍政権というのは、まぶしいほどの中道左派政権に見えます。トランプが「アメリカ・ファースト」と叫び、英国では破壊衝動のような「BREXIT」への国民投票結果で政府が迷走、欧州大陸では移民排斥の動きが出てきた、そんな2010年代末の現在、安倍政権の日本では、 1)移民受け入れ拡大を決定し実施。 2)ロシアとの領土外交で敵視を弱めた。 3)北朝鮮への敵視もやや弱めつつある。 4)中国との関係を良好に維持し、更に緊密にしようとしている。 5)結果オーライではなかったが、朴政権との日韓合意に踏み込んだ。 6)トランプ政権に対する国益防衛を行いつつ、G6諸国とも関係は良好。 7)経済では緊縮どころか、強い緩和政策と公共投資を継続。 8)減税ではなく増税に舵を取りつつ、財政規律も一応考えている。 9)譲位や元号の事前発表などに反対する右派を抑え込んだ。 というような政策が進められています。そのどれを取っても、中道から中道左派政策であり、2019年の世界では、特に主要国の間では全く実現不可能な内容です(9番目はさておき)。どうして不可能かというと、ネットを含めて世論が感情論に動かされる時代にあって、こうした中道左派的、あるいは国際協調的な政策は世論に押し潰されがちであるからです』、「海外、特にアメリカから見れば安倍政権というのは、まぶしいほどの中道左派政権に見えます」、というのは全く意外だったが、よくよく考えるとそうなのかも知れない。
・『では、どうして安倍政権はそのような政策を推進することが可能なのでしょうか? 2つ理由があると思います。 1つは、安倍総理自身は「保守派」だというイメージが定着しているという問題です。イデオロギー的には保守派であり、知識人ではなく庶民であり、エリートではなく若い時は学業に苦労した人物だということで、保守派の世論から支持を受けています。その安倍政権が実行する政策ですから、保守派からは大きな反対を受けないわけです。 2つ目は、そのイデオロギーの中身です。アメリカのイデオロギー論争といえば、例えば保守派の主張というのは「同性婚や妊娠中絶を違憲にしよう」とか「全国で連射ライフルの携行誇示権をよこせ」、「健康は自己責任だから皆保険制度は潰せ」「不法移民は家族バラバラにして追放せよ」といった、メッセージ性だけでなく、実現すると大変な問題を引き起こす具体的な主張が多いわけです。 つまり、国内に暮らす別のグループの人々の生活や安全を壊すような、つまり左右対立で国内を引き裂くような「危険な」主張が論点です。従って、こうした保守派の主張に対しては、リベラルの側の防戦も切実なものとなります。 ですが、日本の場合はほとんどが「歴史認識」という分野にイデオロギー論争が封じ込まれています。勿論、排外という姿勢もありますが、これも移民への嫌悪というよりも核にあるのは歴史に絡む印象論です。とにかくイデオロギー論争といっても「歴史」の問題で対立を通じた自己表現や自己顕示をしていれば済む、これは保守派だけでなく、左派にも言えることです。 エネルギーの問題も論争の焦点になりますが、これは同じ意見が左右に広がりを持っているために、左右対立の激化要因としては限定的です。 勿論、歴史に関する議論が関係する中で、安倍政権にしても日韓関係だけは、日韓合意がうまくいかなかったなど、結果は出ていないわけですが、それ以外の問題、例えば移民や国際協調外交、あるいは金融緩和政策などで保守派が足を引っ張ることは極めて限られているようです』、確かに「アメリカのイデオロギー論争」に比べれば、「日本の場合はほとんどが「歴史認識」という分野にイデオロギー論争が封じ込まれています」、というのは大筋ではその通りだが、日本でも安全保障の問題には「イデオロギー論争」がまだ強く残っているのではなかろうか。
・『この2つのメカニズムが「2010年代の世界においては奇跡」というべき中道左派政策を実現させているのだと思います。 ちなみに、日本の場合は、野党の方はどうかというと、 1)既得権益を敵視して小さな政府を志向する。 2)強い円を志向して金融緩和に反対。 3)増税にも反対。 ということで、イメージはハト派かもしれませんが、政策的には都市型富裕層の利害代表としてタカ派政策を掲げていると言えます。日本の文脈では左でも、世界的な標準からは極右と言ってもいいでしょう。 ということで、日本では「左右対立がねじれて」いるという全体像がある中で、安倍政権は「イメージは保守」「やっていることは堂々たる中道左派」という矛盾を抱えているわけです。 この矛盾は危険なものなのでしょうか? 政治というのは現実論だという前提でいえば、「安定を実現しているから危険ではない」という指摘ができます』、「日本では「左右対立がねじれて」いるという全体像がある中で、安倍政権は「イメージは保守」「やっていることは堂々たる中道左派」という矛盾を抱えているわけです」との指摘は、意外性があるが、その通りなのかも知れない。
・『一方で、永続性や他の政治家による再現性があるのかというと、それは違うと思います。次に政権を担う政治家は、安倍総理のような芸当はできずに、保守派世論に翻弄されて最善手から外れていくのではないかという不安感がどうしても拭えません。 特に、国際協調派のような言動を続けている人物に限って、反対方向へ国家を引きずる危険性をどうしても感じてしまうのです。 ここへ来て、大阪の首長選や、衆院補選2選挙区など、与党の敗北が続いています。 これに対して「長期政権への飽き」ということが言われています。この点に関しては、「飽きた」とか「長すぎて本人はともかく周囲に腐敗がありそうだ」という感覚で政権をスイッチするというのは、ダイレクトな政権交代ではなくても、自民党内での総裁の辞任と交代を促すという意味では、過去に何度も繰り返されて来ました。 これに加えて、現在の日本の世相に流れているのは、「その次の時代」への不安感という深層心理かもしれません。それが屈折した心情として「長期政権への飽き」という形で析出して来ているのかもしれません。 だとしたら、安倍政権は「怖いからダブル選」とか「怖いから税率据え置き」というような「ブレ」た行動を行って、世論の不安感を煽るのは危険であるように思います。もっと堂々とした姿勢で「参院シングル選挙+税率は10%に予定通り」という姿勢で臨む方がはるかに結果としての「当面の政局」は安定するのではないでしょうか』、なるほど、そうなのかも知れない。
・『そうではあるのですが、やがて政権には終焉の時がやって来ます。それは時間の問題であり、人材ということでも政策ということでも「次」を考えておかねばならない、 そんな時期に来ていると思います。 残念ながら、安倍政権の最大の弱点は、吉田学校や佐藤学校のように、次世代を鍛えるというメカニズムを持たなかったということです。同時に、現在の野党には政策も人材も、代替となる用意はありません。ですから、日本の「次」については、有権者が先にどんどん考えて行くことが必要になっているのだと思います。 その「次の時代」ということですが、次のような論点が必要ではないかと思います。 1)安倍政権ができなかったのは「第3の矢」です。規制緩和により、人材を流動化し、国際労働市場へアクセスすることで、最先端の人材と技術を呼び返して、高付加価値経済の流出に歯止めをかける政策が必要です。 2)国内にリスクマネーがなく、かといって国外からリスクマネーを引っ張るノウハウが足りないことが、経済の衰退に拍車をかけています。国境を超えた資本取引における自由度を更に拡大することで、この問題の解決を探る必要はあると思います。 3)移民流入に伴い、受け皿となる移民の人権保護、受け入れ側の日本人コミュニティの変革などが遅れています。移民政策が時期尚早だなどと反対するのではなく、打つべき手を示してスピード感を見せることが大事ではないでしょうか。 4)移民問題については、なし崩し的に進めれば日本は多言語国家となり、そのコストが移民の効果を相殺してしまいます。一つの中間案として、英語の公用語化を進めて、英語話者の移民を優先して入れるという工夫も一考に値するように思います。 5)地方に関しては、多様性とか先進性、生産性ということでは、東京でも十分に遅れているのに、それより遅れているようでは救われません。反対に、日本全体や東京の遅れに先行して、改革を行う地方が出てくること、それが大切だと思います。改革というのは、GDP、特に一人あたりのGDPをプラスに転じるということです。 6)環境政策に関しては、世論が排出ガスの問題よりも、原子力の平和利用に対する恐怖感に心を奪われている中で、全く進展が見られなくなりました。これを何とか、平常に戻して国際社会と地球全体の問題を協議できる政権が必要です。 7)日米関係ということでは、遅くとも2024年には相当に左派の政権がホワイトハウスに登場する可能性があります。こちらとの協調ということも、視野に入れつつ政策ならびに人材を考え始めないといけないと思います。 人口減や国際競争力低下など、構造的な問題を抱える日本は過渡期に来ています。 現状の安倍政権は、国内での引き裂かれたイメージの一方で、国外からは落ち着いた中道左派政権に見えます。その政局は当面安定させるべきですが、中期的にはその「次」を考えることで、過渡期の日本を考える時期に来ていると思います』、論点のうち違和感があるのは以下の通り。1)の「人材を流動化」には、日本の圧倒的に弱い労組を前提にすると、時期尚早だと思う。「2)国内にリスクマネーがなく、かといって国外からリスクマネーを引っ張るノウハウが足りないことが、経済の衰退に拍車」、はリスクマネーの問題ではなく、経営者が余りにリスク回避型になっていることが問題だと思う。3)移民問題では、移民に頼るべきではなく、女性や高齢者の活用、AIやIOTなどによる省力化投資が基本だと思う。4)は必要ない。6)「世論が排出ガスの問題よりも、原子力の平和利用に対する恐怖感に心を奪われて」というのは、原発事故の原因・責任を明確化しないままで、原発推進に切り替えるのには反対だ。5)、7)はその通りだろう。いずれにしても、アメリカの視点からみた安倍政権への評価には、意外性があって、大いに考えさせられた。
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維新の会(その1)(大阪ダブル選 維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」、戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか 自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし、現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり、社会のダニが結集した日本維新の会はすみやかに解散すべき) [国内政治]

今日は、維新の会(その1)(大阪ダブル選 維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」、戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか 自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし、現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり、社会のダニが結集した日本維新の会はすみやかに解散すべき)を取上げよう。

先ずは、フリージャーナリストの鈴木 哲夫氏が4月8日付け現代ビジネスに寄稿した「大阪ダブル選、維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」 今後も政争が繰り返されるのか?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63991
・『大阪の未来は、これで変わるのか  大阪府知事だった松井一郎氏が大阪市長選に、大阪市長だった吉村洋文氏が大阪府知事選に出馬するーーそんな異例の「ダブル選挙」そして「クロス選挙」として注目を集めた、大阪府知事・市長選挙が4月7日、投開票された。 蓋を開けてみれば、結果は松井・吉村両氏の圧勝。自民党・公明党、共産党は陣営の違いを超えて足並みをそろえ、大阪維新の会の勢いを止めようとしたが、力及ばなかった。結党から9年、大阪における維新支持の底堅さが証明された。 ただおそらく、関西以外に住む読者にとっては、今回の選挙に関して「そもそも、なぜ府知事と市長のダブル選となったのか」「大阪都構想との絡みはどうなっているのか」といった、根本の部分からして「今ひとつよくわからない」というのが本音ではないだろうか。 そこで本稿では、今回の大阪における選挙がいったいどのような経緯で戦われたか、そして大阪の未来にどのような影響を与えるのかについて、現場で筆者が得た情報を総合しつつ解説したい』、大阪の事情に疎い私には有難い。
・『ダブル選を招いた「維新・公明のバーター」  松井氏と吉村氏の任期満了は、本来であればそれぞれ今年の11月と12月だった。府知事と市長のポストをいったん辞し、府議選・市議選が行われるこの4月の統一地方選に合わせて選挙を行い、両者が入れ替わる形で出馬すると正式に表明したのが3月上旬のことだ。 大阪維新の会は、今回の選挙を「大阪都構想への再チャレンジ」を大義に掲げて戦った。松井・吉村両氏の辞職と出馬は、都構想という旗印を明確にするとともに、大阪府民・市民に維新の政治の「信を問う」という、国政でいうところの解散総選挙的な色合いをもつものだったといえる。 そもそも大阪都構想は、2015年5月に大阪市で行われた住民投票において否決され、一度廃案となった政策である。松井氏と吉村氏は、同年11月に行われた府知事選と市長選において、その復活と住民投票の再実施を目玉として掲げ、当選した経緯がある。 住民投票の再実施には、府議会と大阪市議会の双方で過半数の賛成を得なければならない。ところが、大阪維新の会は前回の府議選・市議選で、ともに単独過半数の議席を確保できていなかった。 そこで、彼らが目をつけたのが公明党である。押さえておかねばならないのは、国政選挙との兼ね合いだ。 衆議院の大阪選挙区の現職議員を見ると、公明党が現在4議席を占めている。周知の通り、衆院選において比例区を主戦場とする公明党にとって、この4選挙区は貴重である。公明党の内部では「常勝関西」と呼び習わされているが、その本丸である大阪は長年彼らの牙城であり続けてきた。 しかし維新の勢力が大阪に根付き始めたことによって、その「常勝」の構図にも陰りが見えるようになった。維新の側が、「衆院選で公明党候補に対する『刺客』を擁立するかしないかが、公明党との強力な交渉材料になる」と考えるのは必然だ。 そこで維新は、公明党に「次の総選挙では対抗馬を立てないから、その代わりに大阪都構想の実現に協力してくれないか」と持ちかけた。維新に加えて公明党が都構想賛成に回れば、府議会・市議会で過半数を確保し、住民投票を再び実施できるようになる。公明党はこの申し出をいったん飲み、両者は2019年末までに住民投票を行う方針で、昨年春には合意文書までまとめていた。 とはいえ、次回の衆院選の際に維新の党勢がどうなっているかなど、本質的には予測がつかない。「選挙をバーターの材料にするのは、リスクが大きい」との声も公明党内部には根強かった。また、そもそも公明党が、それまで都構想に党として強硬に反対していたことも、一層の混乱を招くことになった。 結局、公明党内部はまとまり切らず、住民投票実施の期日確定を迫る維新に対して、態度を曖昧にし続けた。そして昨年12月、煮え切らない公明党に、ついに維新側が激怒。松井氏が記者会見を開いて合意文書を公開し、「約束が違う」とぶちまける展開となった。 つまり、今回のダブル選挙が勃発した背後には、都構想と衆院の議席をバーターするという、維新・公明の間の政局があったわけだ』、「大阪都構想は、2015年5月に大阪市で行われた住民投票において否決され、一度廃案となった政策」、にも拘らず、「ダブル選」で圧勝したのは理解に苦しむ。公明党の苦しい事情は理解できるが、節操のなさには呆れる。
・『なぜ松井・吉村は勝ったのか  このようなゴタゴタを目の当たりにしてきた大阪の有権者には、3月に松井・吉村両氏が辞任した当初、「いったい何のためのクロス選なのか?」と疑問を抱く人も多かった。選挙戦の序盤で行われた世論調査で、自民党の大阪市長候補・柳本顕氏がリードを見せていたのも、そうした疑念を反映してのことだっただろう。 しかし、投開票日が近づくにつれて維新が徐々に盛り返し、結果としてその支持の底堅さを見せつける展開となった。維新の主な勝因は、やはり依然として、彼らが若年層と無党派層からの根強い人気を確保していたことだと考えられる。 あくまで結果論ではあるが、この数年間で景気が上向いたことの恩恵は大阪にも及んでいる。加えて子育て支援の拡充、また公務員の人員削減などの行政改革といったわかりやすい政策も、2008年の橋下徹氏の大阪府知事当選以来、維新系勢力が11年にわたって大阪政治を担う中で、多少なりとも進みつつあるといえる。 「維新のおかげで、なんとなくよくなっている」という感覚が、その本当の理由はさておき、大阪の若年層・無党派層の間では広がっているのである。 選挙のテクニックという面から言っても、結果的には府知事と市長の辞職・再出馬が効いたといえる。「都構想実現をかけた戦い」であることを両者が首を賭けてアピールし、イシューを絞ったことで、維新が得意とする「改革派 vs. 抵抗勢力」の構図を作り出し、戦いを有利に運ぶことができたからだ』、「自民党の大阪市長候補・柳本顕氏がリードを見せていた」ので、私は今度こそ、維新は負けると思っていたのだが、「若年層と無党派層からの根強い人気を確保」、「維新のおかげで、なんとなくよくなっている」などは、依然として理解不能だ。
・『結局、無意味な選挙だった?  しかし再三述べてきた通り、今回の選挙で真に大阪の未来を左右するのは、実は首長選挙ではなく、都構想に向けた住民投票の成否を握る府議会・市議会選挙だった。 今回、維新は両議会選挙で過半数の候補者を立てたものの、準備不足が否めなかった。一人区が多い府議選については、一騎打ちを得意とする維新が有利に戦ったが、中選挙区制の市議選では苦戦。選挙戦でも、市長選に出馬した松井氏のみならず、府知事選に出るはずの吉村氏まで、ほとんど大阪市内だけで活動していたほどだ。 最終的に、維新は大阪府議会では大きく議席を伸ばしたものの、大阪市議会で過半数を確保できなかった。つまり、都構想実現のためには、今後再び他党の協力を取り付けなければならないということだ。 そのとき自民党や共産党が交渉先として浮上することは、まずあり得ない。結局のところ、また公明党との協力を模索することになるだろう。そうだとすれば、維新が「公明党の協力を得ずに都構想への道を開く」ことを目指して行ったはずの今回の「ダブル・クロス選挙」が、いったい何のためのものだったのかわからなくなってしまう。 橋下氏は、今年1月にテレビ番組に出演した際、「(次の衆議院総選挙で)公明党の選挙区に(維新から)2人が出て倒しに行く」との観測を披露している。しかし、再び維新と公明の政争が繰り返されるとすれば、振り回されるのは大阪の有権者であることを指摘しておきたい。 一方で、最後に少し私見を述べれば、都構想や道州制をはじめ、維新が掲げるような地方自治改革や見直しの動きそのものは、令和の時代に日本という国の構造が大きく変わる中で、これから全国的にも議論する必要が出てくるだろう。 東京のマスコミには、大阪都構想を「ローカルな話題にすぎない」と過小評価する向きもあるが、実は大阪のおかれた状況は、全国の他の自治体にとってもひとつの先例になる可能性が十分にある。今回の選挙を「コップの中の争い」と看過するのは早計である』、私自身は「都構想や道州制」は無意味だと思っているが、公明党がまたもや「台風の目」になるとは、公明党支持者も呆れているのではなかろうか。

次に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が5月18日付け東洋経済オンラインに寄稿した「戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか 自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/282029
・『北方領土返還問題に絡めて「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員  大阪19区、日本維新の会から除名)が議員辞職に抵抗している。 今回の丸山氏の言動には、与野党を問わず「完全に一線を超えている」「国会議員として非常識極まりない」などと非難ごうごうで、議員辞職を求める声が支配的だが、当の丸山氏は「辞職拒否」を貫く構えだ』、国会議員、しかも経産省出身のエリートがこのような発言をしたとは、右傾化への潮流も極まれりだ。
・『丸山氏本人は「居座り」を宣言  維新の松井一郎代表(大阪市長)は「早急に潔く身を処すべきだ」と語気を強めるが、丸山氏は自らのツイッターで「(辞職勧告決議案が)可決されようがされまいが、任期を全うする」と居座りを宣言した。 決議可決でも丸山氏が議員を辞めなければ、同氏への議員歳費支給など多額の税金投入を余儀なくされる。同氏は「今後も政策実現に邁進する」と主張しているが、「誰も彼の政策提案など受け入れないはずで、税金泥棒のそしりは免れない」(維新幹部)のが実情だ。このため、国民の激しい批判の中で、決議案が宙ぶらりんとなれば「暴言議員の始末もできない国権の最高機関」(有識者)として国会の機能不全も問われそうだ。 多くの国民を唖然とさせる「戦争」発言が飛び出したのは11日。丸山氏は北方四島ビザなし交流の訪問団に、衆院沖縄北方問題特別委員会の委員として参加した。一連の公式行事が終わった同夜、国後島の施設「友好の家」での懇親会中に、元国後島民の大塚小彌太団長に対し、いきなり「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問。「戦争はすべきではない」と困惑する団長に、「戦争しないとどうしようもない」などの発言を投げつけた。丸山氏は酒に酔っており、その後も大声を出し続けたとされる。 現場に居合わせた訪問団員らから抗議を受けた丸山氏は、北海道・根室港に戻った13日の記者会見で「団長に考えを尋ねただけだ」と釈明。騒ぎが拡大した同日深夜には「心から今回の発言について謝罪し、撤回する」と頭を下げた。ただ、議員辞職については「党と相談する」とかわし、翌日には維新に離党届を提出した。 突然の暴言騒ぎに巻き込まれた維新は、14日に代表の松井氏が「議員辞職は当たり前」などと発言し、同党は離党届を受理せず丸山氏を除名処分とした。15日午後に日本記者クラブで記者会見した松井氏は、丸山氏の議員辞職について「組織としては権限がない。最終的には本人の判断」としたうえで、「政治家の身分がよすぎるため、一度当選すれば(議席を)手放すことはしない」と国会議員の待遇の良さが辞職しない原因との見解も示した。 「国益を損なう発言」と批判しながらも、自民党が決議案採決に難色を示すのは、可決しても実効性がないとの理由もある。衆院に提出された議員辞職決議案が本会議で可決されたのは過去に3例あるが、逮捕や起訴など刑事責任を問われたケースばかり。しかも、可決された決議に法的拘束力がないこともあって、いずれも当該議員は議員辞職を拒否している。今回のように「犯罪行為ではない不適切な発言で議員辞職決議案を提出、可決するのは前例がなく、単なるパフォーマンスに過ぎない」(自民国対)というのが自民の言い分だ』、「議員辞職決議案が本会議で可決されたのは過去に3例あるが、逮捕や起訴など刑事責任を問われたケースばかり」、「いずれも当該議員は議員辞職を拒否している」というのでは、「単なるパフォーマンスに過ぎない」との自民党の言い分も、自らへのハネ返りを恐れてなのだろう。
・『決議案に賛成せざるを得ない自民党  さらに、先の桜田義孝氏の五輪担当相辞任など、自民議員が失言や暴言で閣僚辞任に追い込まれた場合、自民党はいずれも野党側からの議員辞職要求を拒んできた。「今回、国会外での発言内容などを理由に辞職勧告決議を可決すれば、失言議員への責任追及の前例となり、乱用の恐れも出てくる」(自民幹部)というわけだ。 ただ、野党が提出した決議案の採決を自民が拒否するか、採決しても反対か棄権すれば「丸山氏の発言を容認するのかと、国民が猛反発する」(閣僚経験者)のは間違いない。維新の松井氏も「提出できれば自民も賛成せざるを得ない」と指摘する。にも関わらず、「自民は今国会で決議案を棚ざらしにして、廃案を狙うのでは」(国民民主国対)との見方もある。 こうした与野党調整の難航を見透かしたように、騒動後に国会から姿を消した丸山氏は、15日夕刻にツイッターで「憲政史上例を見ない、言論の府が自らの首を絞める辞職勧告決議案かと。提出され審議されるなら、こちらも相応の反論や弁明を行います」などと、議員としての居座りを宣言した。 確かに、過去の例と同様に辞職を拒否し続ければ、衆院が解散されない限り、丸山氏の議員としての身分は保障される。その場合、無所属でも議員歳費やボーナスに文書通信交通滞在費や秘書手当などが規定どおり支給されるため、「支給総額は最大で年間7000万円近くになる」(衆院関係者)という。 維新では過去に党を除名されても議員を続けた上西小百合元衆院議員(現在はタレント)の例がある。同氏は2012年暮れの衆院選で初当選し、その特異な言動で「浪速のエリカ様」などと話題を振りまいた。2015年3月に「体調不良」を理由に衆議院本会議を欠席した際、本会議前日に居酒屋やショーパブをはしごしていたことや男性秘書と不倫温泉旅行に出かけていたことが週刊誌などで報じられ、国会でも騒ぎとなった。 同氏は「不倫旅行はデマによる中傷」などと反発したが、維新の創業者で当時は党最高顧問だった橋下徹元大阪市長が、「国会欠席前日に居酒屋とショーパブに行ったことは議員としてアウト」と強く議員辞職を促した。しかし、上西氏は「法に触れない限りは議員の身分は奪われない」と拒否して除名処分となり、2017年秋の衆院解散まで無所属の議員として過ごした。 約2年半の無所属議員時代、上西氏は表舞台で政治活動をほとんどせず、「億を超える貯金ができたのでは」(維新若手)などと揶揄された。このため、今回丸山氏が議員を続ければ「歳費などの大半が丸儲けになる」(同)との見方も少なくない。自民党からも「首相が衆院解散をしなければ上西氏のケースと同じことが起こる」(国対幹部)との声が出ている』、「支給総額は最大で年間7000万円近くになる」というのは腹立たしい限りだ。
・『元キャリア官僚の橋下チルドレン  丸山氏は大阪生まれで、東大経済学部から経産省に入省した元キャリア官僚。約3年で経産省を退官し、松下政経塾を経て、2012年の衆院選にいわゆる「橋下チルドレン」として維新から出馬して28歳の最年少で初当選した。現在3期目だが、その経歴から「政策通で維新のホープ」(維新若手)との見方もあった。 ただ、飲酒による一般人への暴行事件や、2017年衆院選後に党代表選実施を主張し、橋下氏の怒りを買って離党騒動を起こすなど、「異常な行動」(維新幹部)も目立っていた。維新は4月の大阪府知事・市長の「ダブル選」と衆院大阪12区補選に圧勝して、念願の大阪都構想実現に道筋をつけたばかり。今回の丸山氏の言動は「維新のイメージダウンにつながり、参院選にも悪影響が出る」(維新幹部)ことを懸念している。だからこそ、松井氏らが先頭に立って議員辞職の旗を振ったのだ。 16日の衆院議院運営委員会理事会では、立憲民主党が辞職勧告決議の検討を求めたが、自民党は「対応を協議中」とかわした。与党は辞職勧告の「基準を緩める」ことに慎重で、公明党も「丸山氏は辞めるべきだが、感情論でやるべきではない」(国対幹部)との立場からだ。このため、決議案提出を受けた週明けの議運委理事会で調整難航は避けられそうもない。そうした中、野党の一部からは「憲法や国会法に基づく懲罰」を求める案も出ている。懲罰なら除名や登院停止など罰則を伴うからだが、こうしたことも与野党協議の迷走につながっている。 当の丸山氏は依然としてツイッターでの抵抗を続けているため、与野党双方の苛立ちも募る一方だ。ただ、騒動の「当事者」とされる維新は丸山氏の説得もできずに「飼い犬に手を噛まれて、勢いがそがれた」(幹部)と嘆くばかり。その一方で、自民は“ブーメラン”を恐れて右往左往し、それを見透かした丸山氏が居座り決め込むという奇妙な構図だ。 永田町では、「こんな状況を続ければ、令和新時代の道筋を決める夏の政治決戦に向けて、国民の政治不信が強まるばかり」(首相経験者)との声も広がり、国民も納得する問題決着への道筋はまだ見えてこない』、私自身は丸山氏が自ら辞職しない限り、如何に不適切な言動があったとしても、「「憲法や国会法に基づく懲罰」を求める案」で国会議員の職を強制的に奪うことには反対である。というのは、選挙民から選ばれた議員の職を、国会の多数の力で奪うことになれば、民主主義の基盤を揺るがす前例を作ることになるからだ。仮に極左的な議員がいたとして、彼を国会の多数の力で辞職させるということにもなりかねない。ここは冷静な論議が求められるところだ。

第三に、元外交官で外交評論家の孫崎享氏が5月24日付け日刊ゲンダイに寄稿した「現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254498
・『今の日本は現職の国会議員が戦争を促す発言をする国になった。 北方4島ビザなし交流の訪問団の一員として同行した日本維新の会(発言当時)の丸山穂高衆院議員のことである。あらためて彼と元島民とのやりとりを振り返りたい。 丸山「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか? 反対ですか?」 元島民「戦争で?」 丸山「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?」 元島民「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」 丸山「でも取り返せないですよね?」 元島民「いや、戦争はすべきではない」 丸山「戦争しないとどうしようもなくないですか?」 こうした意見は今や丸山議員に限らない。 ネットの反応をみると、〈もう一回ロシアと戦争して勝って、日本領土を取り戻すのは当たり前なのだ〉〈不法占拠された領土を取り返すのは戦争しかないんだけど〉〈失った領土は戦争で取り戻すのが基本です。歴史が証明している〉など肯定的な書き込みが少なくない。 なぜ、こうした意見が出てくるのか。背景には先の戦争の総括が行われていないことがある。 米国のある軍事専門家はこう言っていた。 「日本が1941年に下した米国攻撃の決断は全く合理性に欠け、ほとんど自殺行為であったと考えられる。米国は日本の10倍の工業生産力を持っていた。もちろん、日本が米国本土を攻撃することは出来るものではない。そんな国と戦って日本は勝算があると考えたのだろうか。太平洋方面で我が国と戦えば負けることは分かり切ったことだった」』、丸山議員を支持する声がネットを中心に出てくる「背景には先の戦争の総括が行われていないことがある」というのはその通りだろう。
・『勇ましいことを言ったつもりの丸山議員は今、ロシアと戦争しても勝てると思っているのだろうか。兵力の差は第2次大戦前の日米格差どころではない。日本がロシアに戦争を仕掛ければ、日本は瞬時に消滅する。防ぐ手段は日本には全くない。 私は今、日本について外国人が過去にどんな発言をしていたのかを調べているが、ロシアの文豪・トルストイは日露戦争勃発後、英国のロンドン・タイムズ紙に「日露戦争論」を発表。こう書いていた。〈戦争(日露戦争)はまたも起こった。(中略)知識人が先頭に立ち人々を誘導している。知識人は戦争の危険を冒さずに他人を扇動することのみに努め、不幸で愚かな兄弟、同胞を戦場に送り込んでいる〉 自衛隊を戦争に使いたいと主張している人々は、自らが戦場に行くことを考えていない。政治的利益のために戦争を煽っているだけだ』、「勇ましいことを言ったつもりの丸山議員は今、ロシアと戦争しても勝てると思っているのだろうか」、というのはその通りだ。軍事優先の現実主義者を装いながら、軍事的現実は全く理解してないのはお粗末極まりない。

第四に、作家の適菜収氏が5月25日付け日刊ゲンダイに寄稿した「社会のダニが結集した日本維新の会はすみやかに解散すべき」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254616
・『日本維新の会の衆院議員丸山穂高が、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行。国後島の宿舎で大酒を飲んで騒いだ揚げ句、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか?」「ロシアが混乱しているときに取り返すのはOKですか?」と質問。団長がロシアと戦争をするべきではないと答えると、「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と畳みかけた。 元島民らは抗議。ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。丸山は「賛成か反対かを聞いただけ」「それに対して何をダメだとおっしゃっているのかよくわからないです」とごまかそうとしたが、「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と言い切ったのである。 維新代表の松井一郎は当初「言論の自由」などと与太を飛ばしていたが、騒ぎが広がると丸山を党から除名。「議員辞職すべき」「有権者からは日本維新はバカな議員がいるんだなと、ご批判いただくことになる」と言いだした。いや、「維新にはバカしかいない」の間違いだろう』、「維新代表の松井一郎は当初「言論の自由」などと与太を飛ばしていたが、騒ぎが広がると丸山を党から除名」、いかにも松井一郎氏らしい日和見的姿勢だ。
・『周辺のネトウヨ連中は、テレビ朝日が発言を「こっそり録音」し、その一部を切り取ってさらしたというデマを拡散。実際には団長が取材を受けているところに丸山が乱入したのだが、程度の低いデマゴーグの行動パターンはある意味安定している。 立憲民主党など野党6党派は議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出。丸山は「言論府が自らの首を絞める行為に等しい」と議員辞職を拒否したが、憲法に反する発言を言論府が放置することこそ自らの首を絞める行為に等しいのにね。 国会でも挙動不審。他の議員にむやみに噛みつくと思っていたら、2015年には酒に酔って一般人に物理的に噛みついていた。これが問題になると、「今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません」と述べ、再度飲酒した場合は議員辞職する意向を示したが、今回、有権者との約束を見事に破り、完全に開き直ったわけだ。 元大阪市長の橋下徹は「このような国会議員を誕生させたのは僕の責任」とツイート。そのとおりだ。丸山はロシアを挑発し、1億2000万人の日本国民の生命を危険にさらした。社会のダニを結集させた責任を取り、維新の会はすみやかに解党・解散すべきだ』、森友学園問題も、発端は松井一郎前大阪府知事だ。府の私学審議会が学園の財務基盤の弱さで継続審議にしたものを、ツルの一声で覆し、認可させた張本人である。「維新の会はすみやかに解党・解散すべきだ」との主張には大賛成だ。 
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 継続審議 維新の会 現代ビジネス 孫崎享 適菜収 泉 宏 (その1)(大阪ダブル選 維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」、戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか 自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし、現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり、社会のダニが結集した日本維新の会はすみやかに解散すべき) 鈴木 哲夫 「大阪ダブル選、維新コンビが圧勝した理由と「それでも消えない不安」 今後も政争が繰り返されるのか?」 「ダブル選挙」 結果は松井・吉村両氏の圧勝 ダブル選を招いた「維新・公明のバーター」 「大阪都構想への再チャレンジ」を大義に掲げて戦った 住民投票において否決され、一度廃案となった政策 大阪維新の会は前回の府議選・市議選で、ともに単独過半数の議席を確保できていなかった 維新は、公明党に「次の総選挙では対抗馬を立てないから、その代わりに大阪都構想の実現に協力してくれないか」と持ちかけた 公明党はこの申し出をいったん飲み、両者は2019年末までに住民投票を行う方針で、昨年春には合意文書 煮え切らない公明党に、ついに維新側が激怒。松井氏が記者会見を開いて合意文書を公開し、「約束が違う」とぶちまける展開 なぜ松井・吉村は勝ったのか 投開票日が近づくにつれて維新が徐々に盛り返し、結果としてその支持の底堅さを見せつける展開 主な勝因は、やはり依然として、彼らが若年層と無党派層からの根強い人気を確保していたこと 維新は大阪府議会では大きく議席を伸ばしたものの、大阪市議会で過半数を確保できなかった 結局のところ、また公明党との協力を模索することになるだろう 「戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか 自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし」 北方領土返還問題に絡めて「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員 丸山氏本人は「居座り」を宣言 衆院に提出された議員辞職決議案が本会議で可決されたのは過去に3例あるが、逮捕や起訴など刑事責任を問われたケースばかり いずれも当該議員は議員辞職を拒否している 決議案に賛成せざるを得ない自民党 自民は今国会で決議案を棚ざらしにして、廃案を狙うのでは 支給総額は最大で年間7000万円近くになる 元キャリア官僚の橋下チルドレン 「現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり」 背景には先の戦争の総括が行われていないことがある 勇ましいことを言ったつもりの丸山議員は今、ロシアと戦争しても勝てると思っているのだろうか 「社会のダニが結集した日本維新の会はすみやかに解散すべき」 維新代表の松井一郎は当初「言論の自由」などと与太を飛ばしていたが、騒ぎが広がると丸山を党から除名 橋下徹は「このような国会議員を誕生させたのは僕の責任」とツイート 維新の会はすみやかに解党・解散すべきだ 森友学園問題も、発端は松井一郎前大阪府知事だ 私学審議会 ツルの一声で覆し、認可させた張本人
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幼児(児童)虐待(その4)(娘を性的暴行の父に無罪判決 識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」、なぜ 娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす 実父の性暴力に抵抗できない理由、焦点:傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護、心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”、傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護) [社会]

幼児(児童)虐待については、3月31日に取上げた。今日は、(その4)(娘を性的暴行の父に無罪判決 識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」、なぜ 娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす 実父の性暴力に抵抗できない理由、焦点:傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護、心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”、傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護)である。

先ずは、4月18日付けデイリー新潮「娘を性的暴行の父に無罪判決、識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/04180800/?all=1&page=1
・『名古屋地方裁判所岡崎支部の裁判官・鵜飼祐充(うかいひろみつ)裁判長(59)が下した「無罪判決」が世間で物議を醸している。当時19歳だった被害女性が、被告人である実の父親によって性行為を強要された2年前の“事件”をめぐるこの裁判。判決文の内容に基づく詳細は別掲「娘を性のはけ口にした父がまさかの無罪! 判決文に見る「鬼畜の所業」」記事を参照頂きたいが、被害者は中学2年生から性的虐待を受け続けてきたという。 「法律を杓子定規に解釈すると、おかしなことが起きるという典型です。性犯罪のみならず、人が犯罪者に直面し要求されれば、怖くて抵抗できないということは多々あります。例えば金を出せ、と脅されて被害者が応じたからといって、それを自主的に渡したというのは無理があるでしょう。それと同じで被害者の女の子も、普段からずっと家庭という逃げ出すことのできない場での暴力下に置かれていたわけで、目の前で起こる出来事に対して、拒む、拒まないという選択ができる状況にはなかった、と考えるのが普通でしょう」と言うのは、評論家の呉智英氏。そんな状況に置かれてもなお、親の圧力の下から逃げられると裁判官が考えたのなら、あまりに的外れな判決だと呉氏は続ける。 「この判決を受けて、バカな親が調子にのって子供に性暴力を加えないか心配です。この裁判官には、世の中の実態を見る眼がなかったのではないでしょうか」。 改めて無罪を勝ち取った父親の代理人を務める弁護士に訊いてみると、 「刑事裁判は、被告人が道義的にどうかという問題を議論する場ではなく、犯罪そのものが成立するかどうかを審議する場所です。世間、社会一般から見て被告人を罰するべきだという意見があるからといって、『そういう意見が大勢を占めているので、あなたを犯罪者として罰します』ということになれば、裁判も何もいらなくなってしまう。『疑わしきは被告人の利益とする』という大原則に基づいた判断を、裁判所はされたのだと思います」 “大原則”に基づくという意味では、鵜飼裁判長は過去に何度も無罪判決を出すことで、界隈では知られた存在だった』、私も新聞記事で読んだ時には、腹が立った。しかし、法律の厳格な解釈は裁判官としては当然のことで、この問題は抜け穴を許す刑法の規定そのものにあると思うようになった。
・『やりたい放題  社会部記者が言うには、「この10年余りで少なくとも7件の無罪判決にかかわっていますが、最も注目を浴びたのは2015年の事件です。当時、全国最年少首長として注目を浴びていた、岐阜県美濃加茂市長が収賄などの疑いで逮捕されましたが、鵜飼さんが担当した一審の名古屋地裁は証人の証言を信用せず、無罪を言い渡したのです。ところが高裁では逆転有罪、最終的には最高裁が上告を棄却して有罪が確定しました」 日本における刑事裁判の有罪率は、99・9%。諸外国と比較しても異常に高く、テレビドラマのタイトルにもなるほどで、起訴されてしまえば裁判官はほぼ「有罪判決」を下す。その現実が、冤罪事件を生み出しているとの指摘もあって社会問題となってはいるものの、今回のような法の解釈に拘泥した「無罪判決」を、世間は望んでいるだろうか。 「日本の裁判官は守られすぎていると感じます」と嘆くのは、刑事法学が専門で常磐大学元学長の諸澤英道氏である。 「この件では、あまりに常識的な感覚を欠く判決を下す裁判官だと言わざるを得ませんが、日本はいったん任用されたら定年まで勤め上げることが可能なんです。海外ではだいたい5年、10年と任期が区切られ、再任用の際にはどういった考え方を持っているか、過去の判決を含めて厳しくチェックされます。けれど、日本は『裁判官の独立』という名の下に、上の者が下を指導することはほとんどない。それをいいことに一部の裁判官は野放しにされやりたい放題で、最近だとSNS上にブリーフ姿を投稿した方もいましたが、戒告処分に止まっている。ネット社会になり、様々な情報が広く公開された今こそ、一般の人々がおかしいと思ったらどんどん声を上げ、裁判官の見識を問う必要があるのではないでしょうか」 検察は判決を不服として控訴に踏み切ったが、次の裁判長殿は大丈夫だろうか』、美濃加茂市長問題については、主任弁護人の郷原信郎氏の見解をこのブログの2016年12月3日付けで紹介したが、名古屋地裁の無罪判決は当然で、むしろ問題は控訴審以降にあるようだ。「今回のような法の解釈に拘泥した「無罪判決」を、世間は望んでいるだろうか」というのは言い過ぎで、人民裁判をせよと主張しているのに近く、法治国家を否定するものなのではなかろうか。やはり、刑法改正という本筋でいくべきだろう。

次に、これに関連して、4月20日付けダイヤモンド・オンラインがAERAdot.記事を転載した「なぜ、娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす、実父の性暴力に抵抗できない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200239
・『2019年3月26日、実の娘(当時19)と性交したとして準強制性交等罪に問われていた男性被告に、一審・名古屋地裁岡崎支部は無罪判決を言い渡した。公判において、男性被告の弁護側は「娘は抵抗できない状態になく、性交にも同意があった」と主張していたという。 同じく実父により、13歳から7年間にわたって性暴力を受けていた女性がいる。性暴力被害者支援看護師として活動をする山本潤さんだ。山本さん自身も、状況的に抵抗が困難だったわけではないようにみえるにもかかわらず、被害に遭っているときは、父親に抵抗することが適わなかった。それは、なぜだったのか? 被害者だからこそわかる当時の心境を『13歳、「私」をなくした私』(朝日新聞出版)から紹介する』、興味深そうだ。
・『あのことは私に何の影響も与えていない。そんなにひどいことはされていない、性被害であるはずがない。私は大丈夫、そう思いたかった。 その一方で、こんな目に遭っているのは私だけだとも思っていた。それに、もし私が父親から性的に触られたことがある人間だと知られたら、そんな異常な体験をした私は、石もて追われると信じ込んでいた。 なぜ逃げられなかった? 30代半ばに「トラウマ」という概念を学んでようやく、父のしたことがなぜそれほどまでに私を損ない、人生に大きな影響を与えるのかそのメカニズムを理解できたと思う。 トラウマになるような「死ぬかもしれない」と思わされる出来事に遭遇すると、人間の身体は生き残ることに全てを集中させる。脳のスイッチが切り替わり、人間がサバンナにいたころから用いてきた生き残り戦略が優先されるのだ。 そして逃げることも戦うこともできないとき、もう一つの自衛策としてフリーズ(凍りつき)が起こる。医学生物物理学博士で心理学博士であるピーター・リヴァイン氏は、フリーズ(凍りつき)も逃走や戦闘と同じように、生き残るためには普遍的で基本的なものだと述べている。 もし、サバンナでインパラがチーターに襲われ逃げられなかったとしたら、その土壇場でフリーズ(凍りつき)が起こる。インパラは地面に倒れこむ。それは、死んだふりをしているように見えるかもしれない。しかし実際には変性意識状態に入り、痛覚や知覚などの全ての感覚を下げ、チーターの鋭い歯や爪で引き裂かれている間、苦しまずにすむようにしているのだ。 この文章を読んだとき、野生動物は噛まれているときも痛そうな顔をしないと聞くが、こういうことが起こっているのかと感じた。 怖い気持ちが強すぎて、当時の私は抵抗することもできず凍りついていた。 その恐怖のエネルギーと痛みは私の身体にずっと残っている。 私はもう安全な場所にいるのに、被害のことを思い出したり考えたりするだけであのころに引き戻されて、息ができなくなったり、泣きそうになったり、体が震えだしたり、気分が悪くなったりする。 それは日常生活全般に及んでいて、性被害のニュースに触れたり、父と同じような体格や年齢、言動をする男性に接したりすることで心臓が喉元にせりあがってくるような気持ちになり、動悸や息切れに襲われることがよく起こった。 それでも、性被害のニュースなどには注目せずにはいられない強い引力を感じることもある。そうやって引きつけられてはダメージを受ける。その繰り返しだった。 だからこそ、普段は考えないように感じないようにし、男性にもなるべく近づかないようにして過ごしていた。それでも、症状は漏れ出てくる』、「生き残り戦略が優先」、「フリーズ」などは筆者が出来るだけ客観視しようとした指摘は、説得力がある。
・『「私」をなくした私  被害を受けている間は、戦場にいるようなものだと思う。どうすれば逃れられるのか、これ以上ダメージを受けないためにはどうすればいいのか。 体は硬直し思考はすごい勢いで回転するけれど、空転しているだけでどうにもならない。頭では動かなければと思うけれど、筋肉は強張り、夢の中にいるように身体は思い通りにならない。心臓は早鐘のように打ち出し、呼吸は浅いのに拍動が2倍にも3倍にも大きく感じられる。 そんな緊張状態の中で、全身から血の気が引き、その血液がすとんと足元に落ち手足が硬直して冷たくなるのを感じる――。 こんな戦場からやっと逃げてこられたそのとき、逃げてきた自分の手や足がないことに気づいたとしたら……。自分の身体に大きな損失があるなんて、誰でも思いたくない。 私がなくしてしまったのは、自分自身だった。空が美しいと思えたり、季節の移り変わりを感じたり、好きな人に胸をときめかせる時間の代わりに私が得たのは、何を見ても無感覚で空っぽな感情、男性というだけで恐怖心がわき上がってくる心、自分が生きているかも死んでいるのかもわからない凍りついた感覚だった。 失ったものの大きさや、自分の歪んだ認識、生活のしづらさに気がつきながらも、なお被害を認めることはできないのだった。 しかし症状が出てきた以上、全てを遮断していた状態には戻れなかった。力がなくても前に進むしかない。 でも、それは痛みと向き合うことだった』、被害者のトラウマは本当に深そうで、心から同情したい。ただ、前述のような刑法改正は、急務といえる。

第三に、5月16日付け日刊ゲンダイ「心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/253897
・『父親の虐待で死亡したとされる千葉県野田市の小学4年、栗原心愛さん(当時10)が、父親から性的虐待まで受けていた疑いが浮上した。14日の朝日新聞が伝えたもので、心愛さんが怖がっていたにもかかわらず、県柏児童相談所は保護の解除を決定したという。 記事によると、心愛さんは2017年11~12月、柏児相に保護されている期間中、医師や職員らに「パパが急にズボンを下ろしてきた。パンツも脱げて『やめてよ』と言ってすぐに上げたら、パパから『そんなこと言うとバレるだろ』と言われた」と打ち明けた。医師は「暴力行為だけではなく、性的虐待を含み、(心愛さんの)恐怖心はかなり強い」との所見をまとめていた。 この内容は同年12月27日に柏児相の援助方針会議で共有されながら、この会議で心愛さんの一時保護が解除された。心愛さんは親族宅で暮らすことになり、その後、父親の勇一郎被告(41)に引き取られ、今年1月、浴室で死亡した。 「これまで『お父さんにぼう力を受けています』と書かれた心愛さんのアンケートのコピーを野田市の職員が勇一郎に渡すなど行政は失点続き。今度は柏児相の重大な判断ミスが発覚したわけです」(捜査事情通)』、「柏児相の援助方針会議」で「心愛さんの一時保護が解除された」事情は是非、知りたいところだ。
・『二言目には「検証委員会で調べている」  柏児相を管轄する千葉県に電話したところ、以下の回答だった。 「今回の記事は朝日新聞が一方的に報じたのであり、県が正式にコメントしたわけではありません。県としては2月に第三者による検証委員会を立ち上げ、2月と3月に1回ずつ問題の具体的な検証をしています。性的な虐待などはセンシティブな個人情報なので慎重に取り扱わなければなりません。朝日が報じた性的な虐待があったかどうかは検証委員会が調べているので回答できません」(児童家庭課の担当者) 児相には非常勤の医師が数人いるが、誰が心愛さんを診察したのかも「検証委員会が検証していることなので分かりません」とのことだった。 「野田市は3月に職員ら12人を処分したけど、千葉県はまだ処分ゼロ。嵐をやり過ごそうとしているようです」とは地元のジャーナリストだ。 「アンケートを勇一郎に見せた件もマスコミの取材によって明らかになった。千葉県が自分から公表したことはひとつもありません。柏児相は当初は取材に応じてくれましたが、事態が深刻化すると『県に聞いて欲しい』と言うようになった。検証委員会が調べていると言い張っていますが、都合の悪い事実を隠し通す口実にしているとしか思えません」(地元のジャーナリスト) まさに隠蔽体質。亡くなった心愛さんが気の毒だ』、「第三者による検証委員会」が現在のところ言い訳の材料になっているようだが、報告書では問題点を掘り下げ、再発防止に役立つものをまとめてもらいたものだ。

第四に、5月26日付けロイター「焦点:傷ついた子どもをどう守るか、問われる日本の児童養護」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/japan-children-institutions-idJPKCN1SU0ZN
・『クリスマスパーティーだと言われて児童福祉司に連れていかれた場所は、子ども約60人が暮らす、和歌山県の町にある児童養護施設だった。森谷美和さんが、6才のときのことだ。 「パーティー」だったはずの訪問は、母親から離れて8年以上過ごす長期の入所になった。長年にわたる孤独感、いじめ、そして心の傷との闘いの始まりだった。 自分がどうして施設に預けられたのか、美和さんが具体的な理由を知ることはなかった。分かっているのは、行政が、家族といるよりも施設に預けた方がよいと判断したということだけだ。 統計によると、虐待、ネグレクトやその他の理由で親元にいられない子どもたちの大半を里親に預ける多くの先進国と違い、日本ではそのような子どもたち3万8000人の8割以上が里親ではなく養護施設に預けられている。 いったん施設に入った子どもたちの約7人に1人は、10年以上をそこで過ごすことになる。子どもたちは家族的な環境の中で育成されるべき、という国連ガイドラインからは程遠い。 児童虐待による複数の死亡事例が社会の注目を集めたことにより、政府は子どもを保護する取り組みを優先政策課題として進めている。各都道府県は、来年3月までに事態を改善する新たな計画を立てるよう求められている。 政府は2018年夏、おおむね7年以内に保護が必要な未就学児の75%を里親に預けること、および特別養子縁組の成立件数を5年以内に倍増させて、年間1000件以上とする方針を示した。 第2次世界大戦後、日本では行き場をなくした孤児たちを保護するために数百の施設が設置された。以降、国による児童の養護は主にそれらの施設が担うようになった。現在、約600の児童養護施設がある。 児童養護施設は多くの子どもたちを救ってきたが、その多くは20人以上の児童を抱える大所帯であることを考えると、健全な家庭環境に代わる存在とは言い難い、と専門家らは指摘する。厚生労働省が4月に発表した調査では、施設では子ども間の「性的な問題」が多数発生していることがわかった。 子どもの権利保障に取り組んできた塩崎恭久・元厚生労働相はロイターの取材に対し、「みんな子どもが大事だといっているが、子どもはいつも後回しで、大人中心。そこを変えなくてはいけない」と語る』、「8割以上が里親ではなく養護施設に預けられている」、「いったん施設に入った子どもたちの約7人に1人は、10年以上をそこで過ごすことになる」、「子ども間の「性的な問題」が多数発生」などは薄ら寒い状況のようだ。
・『逃げ場がない  美和さんは23才になった。和歌山県の「こばと学園」に入った当初は、母親が恋しくて何日も泣き続けたという。しかし泣いても家には帰れないことを悟ったとき、美和さんはあきらめ、泣くのをやめた。 「それを大人は、子どもが慣れたと勘違いする。それは大間違いだ」 一部のスタッフは親切だったという。しかし、施設では新しい職員が現れたかと思うと、前触れもなく突然いなくなった。子どもたちは常にいじめっ子におびえ、厳しく叱責する大人たちを恐れた。 美和さんは「学校のいじめと違って、一緒に住んでいるから逃げ場がない」と語った。 社会的養護下にいる子どもを40年近くケアしてきた臨床心理士の西澤哲・山梨県立大教授は、非養育的な環境の施設で育った子供たちは、発達トラウマ障害を抱える可能性があると指摘する。 西澤教授は、こうした環境では「自分が守られているという安心感が得られない」と指摘する。子どもの場合は自己調節能力が育たず、少しでも気に入らないことがあれば大暴れをしてしまうという。 「不快感があるとそれをコントロールできなくなり、それを鎮めようとして自傷行為をしてしまう。人との関係がぐちゃぐちゃになってしまう」』、「「不快感があるとそれをコントロールできなくなり、それを鎮めようとして自傷行為をしてしまう」というのは恐ろしいことだ。そうした劣悪な環境に、10年以上もいたら、まともな大人としての成長は覚束ないだろう。
・『眠れない夜  美和さんはこうした症状の多くを体験している。何度となく電話番号を変えて知人との関係を断ったり、時にアパートの部屋にあるものを破壊したくなったりする。手首には自傷行為の跡が残っている。 しかし、施設の中ではまだ恵まれていた方だと美和さんは考えている。他の児童と違い、美和さんはやがて母親と週末や長期休暇を過ごすようになったからだ。中には、ほとんど、もしくは全く両親に会わない子どもたちもいる。 美和さんは自分がなぜこばと学園で暮らし始めたのか知らず、聞こうと思ったこともなかった。気になり始めたのは、ここ半年ほどのことだ。 母親は、施設で暮らすほうが美和さんのためだと児童福祉司に説得されたと明かした。母親は美和さんの小学校入学手続きをしなかったため、養育能力に欠けていると判断されたという。 今年2月、美和さんは自分のケースワークの個人情報開示請求をした。開示された276ページのファイルからは、美和さんの父親を含むパートナーの男性から離れて暮らすために仕事と住居を探す必要があった母親と、そのために美和さんを誰かに預ける必要があった苦しい状況が見て取れた。 開示情報からは、児童福祉司が美和さんをできるだけ早期に親元に戻そうとする様子は全くうかがえない。美和さんは、幼少時に児童福祉司が訪ねてきた記憶が一切ないが、それはケースワークに残された記録と合致している。 これは、制度上の問題を指摘する人々が挙げる代表的な問題点だ。児童福祉司は多忙を極めており、子どもの最善の利益を目指して決定を下すための専門知識も欠けているという。 塩崎氏は、児童福祉司の増員と国家資格化を目指しているが、人材・財源が不足しているとして反対する意見も根強い。 美和さんの精神的な状態についての記載は、彼女が10代になるまでほとんど記録に残っていない。 2008年になると、美和さんは夜眠ることが困難になった。ほどなく、社会性やコミュニケーション能力の発達が遅れる広汎性発達障害(PDD)と診断され、1年後には抗うつ薬のパキシルが処方された、とケースワークには記されている。 児童相談所が美和さんを母親の元に帰したとき、美和さんは15才になっていた。 ロイターは和歌山県の児童相談所とこばと学園に取材を申し込んだが、守秘義務により応じられないとの回答だった』、「児童福祉司の増員と国家資格化を目指しているが、人材・財源が不足しているとして反対する意見も根強い」というのは、人材・財源をどう確保するかを考えるべきで、反対する理由にはならない筈だ。
・『限られた退所後の選択肢  東京都の調査によると、子どもたちが18才を迎え、施設を出た後に最も悩まされるのが孤独感と経済的な問題だ。大学などに進学する人は3分の1で、全国の進学率約80%とは対照的だ。 選択肢が乏しい中、退所した元児童たちの1割は寮付きの職場を選ぶ。離職率は高く、1割は生活保護を受け、中にはホームレスになる人もいる。 社会的コストが増大する中、政府は各都道府県に、来年3月までに、家庭養育を中心とした環境で子どもたちをケアするための新たな計画の策定を求めている。里親や特別養子縁組の希望者の募集拡大や、施設の小規模化も含まれる。 塩崎氏は、親だけでなく、子どもにも権利があることを明確に定めた2016年の児童福祉法改正に関わった。同氏は、「法律や制度は変えた。問題は、実態が変わるかだ」と語る。 社会的養護が必要な児童を長く養育してきた関係者らは、問題解決は容易ではないと指摘する。 この国で過去20年に児童虐待の件数が10倍以上に増えたことを考えれば、最も弱い存在である子どもたちを守る力がこの社会にあるのか疑問だと、彼らは言う。 京都府にある児童養護施設、舞鶴学園の施設長で、全国児童養護施設協議会会長の桑原教修氏は、「個人的には、もっと早くそういう(家庭的な環境での養育を目指す)方向に行くべきだったと思う。(1994年の)子どもの権利条約批准からこれほど時間が経ったのに何をしていたのか」と、政府の対応を批判した。 桑原氏は、家庭ベースでの子どものケアに異論はないという。しかし、増え続ける、複雑な心の問題を抱えた虐待被害児のケアをしていくことがどれだけ難しいかは、半世紀以上にわたり同施設で児童の育成に関わってきた経験から理解しているという。 「家庭が脆弱になって、養育能力が破綻しかけている。もっと丁寧に時間を割かなくては。子どもは、物ではないのだから」』、塩崎氏による「法律や制度は変えた。問題は、実態が変わるかだ」との主張は無責任そのものだ。有力与党議員として、予算措置や執行状況の監視をしていなかったことになる筈だ。「家庭が脆弱になって、養育能力が破綻しかけている」のであれば、特別養子縁組や児童養護施設での保護の対象者は飛躍的に増加する可能性がある。先ずは、政府が決定した支援強化策の着実な実行を期待したい。
タグ:ロイター 無罪判決 やりたい放題 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン デイリー新潮 郷原信郎氏 AERAdot. 幼児(児童)虐待 (その4)(娘を性的暴行の父に無罪判決 識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」、なぜ 娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす 実父の性暴力に抵抗できない理由、焦点:傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護、心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”、傷ついた子どもをどう守るか 問われる日本の児童養護) 「娘を性的暴行の父に無罪判決、識者からも疑問の声「常識的な感覚を欠く」」 当時19歳だった被害女性が、被告人である実の父親によって性行為を強要された2年前の“事件”をめぐるこの裁判 今回のような法の解釈に拘泥した「無罪判決」を、世間は望んでいるだろうか 検察は判決を不服として控訴に踏み切った 美濃加茂市長問題 刑法改正という本筋でいくべきだろう 「なぜ、娘と性交で「無罪」なのか?被害者が明かす、実父の性暴力に抵抗できない理由」 同じく実父により、13歳から7年間にわたって性暴力を受けていた女性 性暴力被害者支援看護師 山本潤さん 『13歳、「私」をなくした私』(朝日新聞出版)から紹介する』 トラウマになるような「死ぬかもしれない」と思わされる出来事に遭遇すると、人間の身体は生き残ることに全てを集中させる 生き残り戦略が優先 そして逃げることも戦うこともできないとき、もう一つの自衛策としてフリーズ(凍りつき)が起こる 私がなくしてしまったのは、自分自身だった。空が美しいと思えたり、季節の移り変わりを感じたり、好きな人に胸をときめかせる時間の代わりに私が得たのは、何を見ても無感覚で空っぽな感情、男性というだけで恐怖心がわき上がってくる心、自分が生きているかも死んでいるのかもわからない凍りついた感覚だった 「心愛さん事件 性的虐待疑惑で分かった千葉県の“隠蔽体質”」 栗原心愛さん 医師は「暴力行為だけではなく、性的虐待を含み、(心愛さんの)恐怖心はかなり強い」との所見をまとめていた 柏児相の援助方針会議で共有されながら、この会議で心愛さんの一時保護が解除された 二言目には「検証委員会で調べている」 県としては2月に第三者による検証委員会を立ち上げ 「焦点:傷ついた子どもをどう守るか、問われる日本の児童養護」 森谷美和さん 8割以上が里親ではなく養護施設に預けられている いったん施設に入った子どもたちの約7人に1人は、10年以上をそこで過ごすことになる 子どもたちは家族的な環境の中で育成されるべき、という国連ガイドラインからは程遠い 約600の児童養護施設 その多くは20人以上の児童を抱える大所帯 施設では子ども間の「性的な問題」が多数発生 逃げ場がない 児童福祉司は多忙を極めており、子どもの最善の利益を目指して決定を下すための専門知識も欠けている 塩崎氏は、児童福祉司の増員と国家資格化を目指している 人材・財源が不足しているとして反対する意見も根強い 限られた退所後の選択肢 「法律や制度は変えた。問題は、実態が変わるかだ」 家庭が脆弱になって、養育能力が破綻しかけている
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司法の歪み(その12)(「ミヤネ屋」の安倍応援団コメンテーター・野村修也弁護士が弁護士会から懲戒処分! 同じ案件で橋下徹にも懲戒請求、「正義の抜け殻」と化した検察官~国循事件控訴審 検察「弁論放棄」が意味するもの、ゴーン被告と森友学園元理事長夫妻の保釈の違いに変わらぬ日本人の白人崇拝が表れている) [社会]

司法の歪みについては、昨年11月4日に取上げた。今日は、(その12)(「ミヤネ屋」の安倍応援団コメンテーター・野村修也弁護士が弁護士会から懲戒処分! 同じ案件で橋下徹にも懲戒請求、「正義の抜け殻」と化した検察官~国循事件控訴審 検察「弁論放棄」が意味するもの、ゴーン被告と森友学園元理事長夫妻の保釈の違いに変わらぬ日本人の白人崇拝が表れている)である。

まずは、昨年7月22日付けLITERA「「ミヤネ屋」の安倍応援団コメンテーター・野村修也弁護士が弁護士会から懲戒処分! 同じ案件で橋下徹にも懲戒請求」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2018/07/post-4141.html
・『『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)などへの出演でも知られる野村修也弁護士が、17日、所属する第二東京弁護士会から業務停止1カ月の懲戒処分を受けた。 野村弁護士といえば、コメンテーターとして出演しているワイドショーや情報番組では大阪維新の会や安倍政権を擁護・応援する主張が目立つが、これまで金融庁顧問や総務省顧問、厚労省顧問、司法試験考査委員、福島原発事故調査委員会委員など数々の政府機関の公職に就任。2012年1月から同年4月にかけては当時の橋下徹大阪市長の任命で大阪市の特別顧問を務めていた。 野村氏は大阪市特別顧問時代の2012年2月、市職員に対し労働組合に関するアンケート調査を実施。橋下市長らは表向き「市職員による不祥事の究明」などと建前を並べたが、実際には関係者から「思想調査だ」「労組つぶし」という批判の声があがり、内容や調査方法が思想信条の自由を侵害しているなどとして、野村氏に対する懲戒請求がなされていた。 今回、第二東京弁護士会は、野村氏が責任者として行なったアンケートの複数の項目について、職員の政治活動の自由や団結権、プライバシー権などの基本的人権を侵害したと認定。弁護士の「品位を失うべき非行」にあたるとして業務停止1カ月の懲戒処分を下した。 野村氏は日弁連に不服を申し立てるとしている。また、19日にはTwitterにも反論を投稿。〈私が調査した大阪市役所の職員による不正行為の実態については、大阪市のHPに掲載中の報告書をご覧下さい。なお、指摘した問題点は直ちに大阪市自身の手で改善され、市役所内部に新たな規律が設けられるとともに、不当な便宜供与等に対する無駄な税金の支出が解消されました〉と主張した。 しかし、野村氏に対する懲戒処分は、客観的に見ても極めて妥当なものだ。そもそも、野村氏がどれだけ「成果」をアピールしようが、すでに明らかになっているアンケート調査の違法性はいささかも減じない。むしろ、この問題が6年前に起きたことを考えれば、懲戒処分は遅きに失したと言うべきだろう。 念のため経緯を振り返っておこう。問題のアンケート調査は、橋下市長の指示で野村氏が仕切る第三者調査チームが行ったもので、教員をのぞく市の職員約3万4千人全員が対象とされた。当時、流出したアンケート書類がネット上にアップされたのだが、そこには「橋下徹」との大きな署名つきで〈任意の調査ではありません。市長の業務命令として、全職員に真実を正確に回答していただくことを求めます〉〈正確な回答がなされない場合には処分の対象になります〉などと記されていた。 質問は、大阪市の労働条件に関する組合活動への参加したことがあるか、組合幹部は職場で優遇されていると思うか、組合に加入しないことによる不利益はどのようなものがあると思うか、などの22項目。また電話やファクス等による密告まで呼びかけられていた。 言うまでもなく、労働組合への支配介入は労働組合法違反の不当労働行為であり、憲法で保障されている団結権等の侵害だ。政治的思想について告白を強制するのは思想及び良心の自由の侵害にあたる。また、こうした憲法違反のアンケートを強制し、組合員をあぶり出しながら、さらに回答しない場合は処分すると恫喝する行為も労組法違反の不利益取扱である。極めて悪質な「思想調査」以外のなにものでもない。 実際、橋下市長と野村氏によるアンケート調査に対しては、日弁連が即座の調査中止を求める会長声明を出し、大阪府労働委員会や中央労働委員会も不当労働行為と認定。裁判所も違法の判断をくだしている。たとえば、市職員とOB合わせて59名が大阪市を相手取り損害賠償を求めた裁判では、一審、二審ともにアンケートの一部を「職員の団結権やプライバシーを侵害し違法」と認定した(2016年に市側が上告せず高裁判決が確定)』、「橋下市長と野村氏によるアンケート調査」は、弁護士資格を持つ2人がやったとは思えないほど、違法性極まるもので、「この問題が6年前に起きたことを考えれば、懲戒処分は遅きに失したと言うべき」というのはその通りだ。「数々の政府機関の公職に就任」している「野村修也弁護士」にしては、お粗末だ。野村氏の不服申し立ては却下され、日弁連は11月1日付けで「懲戒処分の公告」を行った。
・『懲戒理由になった思想調査の責任者、橋下徹・元大阪市長にも懲戒請求  つまるところ、法曹界や労働界の勧告のみならず、司法判断を鑑みても、野村氏への懲戒処分は当然としか言いようがないのだが、もうひとつ、忘れてはならないのは、橋下元市長の責任だ。 前述の通り、アンケート調査を指示したのは当時の橋下市長であり、「正確な回答がなされない場合には処分の対象になる」と恫喝した書面にも橋下氏の自筆サインが付されていた。市行政の長として違法な業務命令を下していた責任者なのである。 橋下氏は現在までに、野村弁護士の懲戒処分についてメディアでコメントをしていない。一方で、Twitterでは、前述の野村氏の反論ツイートや、〈弁護士会の「品位」って何だ?〉などと処分を批判した吉村洋文大阪市長のツイートをリツイートしているのだが、実は、橋下氏に対しても、市長時代のアンケート調査の問題に関連した懲戒請求がなされている。 「懲戒請求があると、まず弁護士会内の綱紀委員会が調査をして、そこで審査すべきと判断されれば、懲戒委員会に回されて結論が下されます。橋下氏についてはアンケート調査をめぐる言動の違法性や弁護士職務基本規定に反しているとの指摘があり、2013年10月に懲戒請求が申し立てられていました。昨年11月には綱紀委員会の議決を経て、懲戒委員会へかけられています。野村氏への処分の程度を考慮すれば、橋下氏に対しても数カ月のうちになんらかの処分が下される可能性がある」(全国紙司法担当記者) 実際、今年1月2日にはNHKが〈アンケート調査が不当労働行為とされたのに橋下氏が決定に従わず、「市の公務員は何百人もクビですよ」などと発言したとして、弁護士会が懲戒処分を検討する方針を決めた〉と報道。大阪弁護士会が「弁護士としての品位を失う行為だ」として処分を検討する方針を決めたことが関係者への取材で分かった、と伝えている。 橋下氏が所属する大阪弁護士会は、本サイトの取材に対し「原則としてこちらからは懲戒請求の有無は公開しておりせん」としつつ、「所属弁護士に業務停止以上の重たい処分を下した場合には発表いたします」(委員会部担当者)と回答した』、10月12日付けの橋下徹ツイッターによれば、「結果は非行事実は全くなし」、「この件は、野村さんに全て責任をかぶせる形となり、すみません。野村さんの調査がどれだけ大阪市政改革に役立ったか。野村さんを処分した弁護士会の判断はおかしい」としているが、処分に至らなかった理由は不明だ。素人目には、橋下氏の方が悪質のようだが、何故なのだろう。
https://twilog.org/hashimoto_lo/month-1810/2
・『維新タブー? NHKが野村弁護士の懲戒を全国ニュースでボツに  いずれにしても、大阪市特別顧問であった野村弁護士への業務停止処分が公表されたいま、橋下元市長に関してもそう遠くない時期、何らかの発表があってもおかしくないが、そんななかで気になるのはマスコミの動向だ。 本サイトでは何度も指摘しているように、マスコミの一部ではいまだに“維新タブー”とも呼ぶべき橋下氏らに対する忖度が存在する。事実、野村氏についても、今回の処分を事前にキャッチしたスクープが潰されかけていた。 NHKは今年6月7日、野村氏に関して懲戒委員会で処分の検討が始まったことを大阪ローカルで報道していた。事実上、懲戒処分が下されることをすっぱ抜いたスクープだったが、しかし、全国的にはほとんど知られることはなかった。なぜか。 「野村弁護士に対する懲戒処分検討のスクープは大阪放送局によるもの。NHKでは地方の報道は一度、東京の『ネットワーク』と呼ばれる部署に集められ、ここで全国放送するかどうかが判断されるのですが、くだんのスクープは大阪側から全国放送のオファーがあったにもかかわらず、不可解にも東京側が撥ねてしまった。表向き『弁護士の懲戒処分はよほどのことがないかぎりニュースにしない』などと理由づけしたようですが、野村弁護士はメディアにも頻繁に登場し、数多くの公職を歴任してきた公人。普通の弁護士とはわけがちがう。首をかしげざるをえません」(NHK関係者) 政治的な睨みの厳しい東京で、NHK上層部による何らかの圧力や忖度が働いたとしか思えないが、いずれにせよ、野村氏の懲戒処分発表によって、数カ月のうちに橋下氏へも業務停止以上の処分が出るのではと推測する関係者は少なくない。マスメディアは問題の本質をしっかりと伝えられるのだろうか。その行方にも注目したいところだ』、NHKが「大阪側から全国放送のオファーがあったにもかかわらず、不可解にも東京側が撥ねてしまった」というのは、いくら「弁護士の懲戒処分はよほどのことがないかぎりニュースにしない」とはいえ、通常よくある勝訴のカネをネコババしたような下らない処分ではない。やはり「“維新タブー”とも呼ぶべき橋下氏らに対する忖度が存在」』、というのは情けない。

次に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が4月19日付け同氏のブログに掲載した「「正義の抜け殻」と化した検察官~国循事件控訴審、検察「弁論放棄」が意味するもの」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/04/19/%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%8A%9C%E3%81%91%E6%AE%BB%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%9F%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%AE%98%EF%BD%9E%E5%9B%BD%E5%BE%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E6%8E%A7%E8%A8%B4/
・『4月16日、大阪地検特捜部が、国立循環器病研究センター(以下、「国循」)の元医療情報部長の桑田成規氏を逮捕・起訴した「国循事件」の控訴審第2回公判期日が開かれ、最終弁論が行われて結審した。判決は、7月30日午前10時半に言い渡される。 私は、大阪地裁での一審で、桑田氏に対して、懲役2年執行猶予4年の有罪判決が言い渡された後に、控訴審での主任弁護人を受任した。控訴趣意書を提出した時には・・・と題する記事で、この事件の内容や捜査、公判の経過を伝えてきた。 厚労省現職局長の村木厚子氏を逮捕・起訴した事件で無罪判決が出た直後に、主任検察官による「証拠改ざん」が発覚し、厳しい非難にさらされ信頼を失墜した大阪地検特捜部が、その不祥事以降、初めて着手した本格的な「検察独自捜査」が、この国循事件だった。組織の信頼回復をめざし、取り組んだ事件だったはずだ。 しかし、この事件の捜査、公判において明らかになったのは、まさに、誇りも矜持も失った「抜け殻」のような検察官の姿だった』、どういうことなのだろう。
・『事件の発端  国循の情報システムの受託は、従来からN社が独占しており、運用・保守体制は極めて杜撰な状態で、無駄に高額の委託費が費やされ、国循は、当時、必須であった電子カルテのシステム導入も実現できていなかった。そのような国循の医療情報部長に就任した桑田氏は、電子カルテシステムを短期間で導入するなど、大きな功績を挙げたが、それは、多くの業務の委託先がN社から新規参入のD社に変わり、同社が従前のN社より優れた技術で対応したことによるところも大きかった。しかし、国循からの受託業務の多くを失ったN社、そして同社との緊密な結びつきの下で国循の情報ネットワーク管理を担当してきた前任者等からは、快く思われていなかった。 平成26年2月4日、大阪地検特捜部は、公契約関係競売等妨害罪等の容疑で、国循及びD社の事務所等に対して捜索差押を行い、強制捜査に着手した。同特捜部の意図は、両者間の贈収賄事件等の立件にあったものと思われるが、被告人両名には、業務外の個人的な関係があるわけではなく、問題にされるような金銭の授受も、接待供応の事実もなかったので、立件は不発に終わった。 しかし、同年11月18日、桑田氏は、官製談合防止法違反等の事実で逮捕された。国循に対する強制捜査で得られた証拠・資料の中から、形式上、同法8条の入札等の「公正を害すべき行為」に該当し得る行為を抽出して無理やり仕立て上げられたのが、本件各公訴事実であった』、「国循の情報ネットワーク管理」の立場からは、D社に変えたことは正解だったが、N社や前任者の恨みを買ったのだろう。
・『桑田氏のいかなる行為が犯罪に問われたのか  桑田氏は、業者間の談合に関わったものではなく、D社から賄賂を受け取ったものでも、供応接待を受けたものでもない。使い込みをしたわけでもなかった。問われた罪は、官製談合防止法8条違反の「公の入札等の公正を害する行為」だった。医療情報部長として国循の情報システムの発注に関与する中で、「D社が初めてシステムの管理業務の入札に参加した際、業務の体制表をメールでD社に送付した行為」「D社受注の翌年の入札で仕様書に新たな条項を加えた行為」などの行為が、同法違反に当たるとされたものであった。 一審で最大の争点とされたのが、「桑田氏が、業務体制表のメール送付の際に、当該入札の年度の業務体制表と認識していたのか、前年度の体制表だと認識していたのか」という点であった。前年度の体制表を送付した認識しかなかった桑田氏は、当該年度の体制表とは認識せずメール送付したと訴え続けた。それを理由に、「全面無罪」を主張し、多くの支援者にも支えられて「冤罪」を訴えてきた。2年にわたる審理で、多数の証人の尋問、被告人質問が行われ膨大な時間が費やされたが、検察官は、国循の多数の職員の証言や物証等から、認識があったことを立証し、その検察官の主張が全面的に認められた。 その結果、桑田氏は、執行猶予付きとは言え、公務員にとって致命的ともいえる「懲役刑」の有罪判決を受けたのである。 桑田氏は、国循の医療情報部長就任以来、国循の情報システムの効率化、高度化のために寝食をも忘れ、誠心誠意、その職務に打ち込んできた。国循という大規模医療機関に、難航していた電子カルテシステムの導入も早期に成し遂げ、患者や、そこで働く職員に多大な貢献をしたことは、一審で証言台に立った国循幹部や多くの専門家が認めるところであり、検察官もこれを認めている。 その桑田氏が、医療情報部長としてシステム発注に関して行った行為が、果たして、官製談合防止法という法律に違反する違法行為なのか、「公正を害した」として処罰されるような犯罪行為なのか、まさに、それをどう「評価」するかが、この事件の最大の争点だった』、検察側主張は、単なるいいがかりとしか思えないような代物だ。
・『官製談合防止法とは  同法は、官製談合に対する社会的批判の高まりの中で、議員立法により、談合自体に関わる行為のみならず、発注者側公務員の一定の範囲の行為が「公正を害する行為」として処罰の対象とされたものだ。同法の禁止規定は、公共調達に関わる公務員全体に対して向けられる規範である。そのような特殊な背景の下で制定された特殊な法律なのであり、犯罪構成要件の「入札等の公正を害すべき行為」の文言も抽象的で解釈に幅があり得るが、その罰則適用は、発注に関わるすべての公務員に影響を及ぼす。法律の立法経緯、立法の趣旨、実務の運用状況を踏まえて判断する必要があり、それらに精通する専門家の意見を聞くことが重要だ。 当控訴審において、必要であれば、専門家証人として証言台に立つことも了承し、この分野の専門家として詳細な意見書を提出したのが上智大学の楠茂樹教授であった。同教授は、経済法学者で、公共調達法制の数少ない専門家であり、官製談合防止法の立法経緯にも精通し、数多くの官公庁・地方自治体の公共調達改革や、契約監視委員会の委員長、委員を務め、監視実務等についても豊富な経験を有する。官製談合防止法等の公共調達法制に関する多数の著書もある』、控訴審では最適の権威を引っ張り出すころに成功したようだ。
・『控訴審での最大の争点  一審で有罪判決を受けた後、桑田氏は、自らが行った行為が、官製談合防止法違反として処罰されるような行為なのかどうかについて、楠教授に意見を求めた。同教授の意見は、桑田氏にとって、ある意味では、大変厳しいものであった。 一審で最大の争点とされた「業務体制表の送付」に関して、「仮に前年度の業務体制表と認識していたとしても、正規の手続を経ず入札参加者に情報提供したことについて、形式上は犯罪が成立することは否定できない」というのが楠教授の意見であった。 しかし、起訴事実のうちの1つの事実について、「形式上犯罪が成立する」と言っても、それは、桑田氏の行為を、官製談合防止法違反として処罰することが正当だとするものでは決してなかった。楠教授から提出された意見書(以下、「楠意見書」)では、弁護人からの質問に答え、本件において法令解釈上のポイントとなる点について、判例・通説の見解及び官製談合防止法の合理的な解釈に基づく見解が示されており、原判決と検察官の主張には法令解釈の重大な誤りが多々あること、桑田氏の行為が、同法違反として処罰されるべき行為では全くないことが明快に論証されていた。 桑田氏は、この楠教授の意見を受け入れ、控訴審においては、全面無罪の主張を行わず、一つの事実についてのみ有罪を認める苦渋の決断をした。それは、一審を通じて、多くの人の支援活動を受けて行ってきた「冤罪」の訴えを一部取り下げるものだったが、他の事実については無罪を主張し、全体として、凡そ刑事事件として取り上げるべきではない事案を無理矢理刑事事件として仕立て上げた検察を厳しく批判する控訴趣意書を提出した』、桑田氏の主張は、「肉を切らせて骨を断つ」というような高等戦術のようだ。
・『楠意見書への検察官の対応の迷走  こうして、当控訴審では、桑田氏が国循の医療情報部長として行った対応が、官製談合防止法違反として処罰されるべき行為なのかという違法性の評価が争点になった。 その点に関する控訴審の審理で最大の焦点になったのが、弁護側が証拠請求した上智大学法科大学院の楠茂樹教授の意見書の取扱いだった。 発注において設定される仕様書に「新たな条項」を追加する行為の違法性について、一審判決が、 特定の業者にとって当該入札を有利にし、又は、特定の業者にとって当該入札を不利にする目的をもって、現にそのような効果を生じさせ得る仕様書の条項が作成されたのであれば、当該条項が調達の目的達成に不可欠であるという事情のない限り、(官製談合防止法違反の「公の入札等の公正を害する行為」に該当する)と判示していたのに対して、楠意見書は、 ある条件を設定すれば、特定の業者が競争上有利になると予想される場合、これは財務会計法令上問題か。確かに、「競争性の確保」という観点のみを切り取っていえば、問題であるように思える。しかし、おおよそあらゆる公共調達において何らかの調達対象について有利・不利があるのであって、これを問題視してしまえば、多くの公共調達が機能不全に陥ってしまう。重要なのは競争性の制約に見合った条件の設定なのか、という点であって、有利・不利の存在それ自体ではない。等と述べている。 楠意見書の見解を前提にすれば、一審判決の法令解釈の誤りは明らかだった。 しかし、このような楠意見書への検察官の対応は、混乱・迷走を続け、最後は「反論」の放棄に終わった。 弁護人が、楠意見書の取調べ請求を行ったのに対して、検察官は、答弁書提出後に、口頭で、「不必要・不同意」との意見を伝えてきた。しかし、楠意見書は、入札談合等関与行為防止法の罰則を適用する前提として必要となる同法の解釈適用及び入札契約制度についての文献等に基づく客観的な記述が中心とされ、その中で同教授自身の経験に基づく見解も述べられているのである。弁護人は、少なくとも客観的な記述については、不同意にする理由はないはずだとして、楠教授の見解の部分を不同意とするのであれば、その部分に限定して、部分不同意にするよう求めた。 すると、検察官は、第1回公判期日で、一転して、楠意見書の取調べに「同意」した上、ほぼ全体について「信用性を争う」などとしてきた。「公共調達法制の第一人者である楠教授の意見が『信用できない』というのか」と釈明を求めたところ、「意見書とは意見・見解を異にするという趣旨だ」と釈明した。 そこで、弁護人は、第2回公判期日において、検察官が楠意見書と意見を異にする」というのであれば、同意見書のうち、どの部分について、どのように意見を異にするのかを明確にすべきだと重ねて釈明を求めた。しかし、検察官は、その「異なる見解」の内容は全く明らかにしなかった。 このような検察官の対応のため、一審判決や検察官の主張の法令解釈と楠意見書との見解の相違が曖昧で、法令解釈上の争点が明確にならなかった。そこで、弁護人は、急遽、楠教授に原判決や検察官の書面を提示し、法令解釈の相違点を明確にする補充意見書の作成を依頼し、取調べ請求した。 その補充意見書では、検察官の答弁書等における主張は、入札談合等関与行為防止法第8条の立法趣旨、背任罪との関係、「保護法益」、危険犯としての性格においても、「入札等の公正を害すべき行為」の解釈についても、楠意見書とほとんど同じである一方で、個別論に関しては、全く異なった法令解釈が示されている。その理由・根拠は、検察官の書面に書かれていないため判然としないが、いずれにせよ、検察官答弁書等の法令解釈には明らかに不合理な点があり、大阪地裁判決にも同様の問題があると言わざるを得ない。と結論づけている』、「検察官は、その「異なる見解」の内容は全く明らかにしなかった」というのは卑怯だ。楠教授から「補充意見書」を出してもらったという郷原氏の戦術はさすがだ。
・『補充意見書への検察官の対応  楠意見書は、検察官の法令解釈を「不合理」で理由・根拠が判然としないと指摘している。その楠意見書を「同意」し、具体的な反論は全く行わず、その上で、検察官は、「原判決の認定判断に誤りはないと考えており、同補充意見書の内容は、独自の見解にすぎず、従前の判例実務ともかい離するものであって、検察官においてそのようには解釈していない。」などと言ってきた。 しかし、官製談合防止法を含む公共調達法制の研究及び入札監視実務に関しては第一人者である楠教授の見解を「独自の見解」と言うのであれば、「独自ではない見解」は、一体どこにあるのだろうか。 しかも、検察官は、楠意見書が「判例実務ともかい離する」としているが、検察官が挙げる「判例」というのが本件とは全く異なる事案であることは、弁護人が既に詳細に指摘していた。刑事事件すべてを検索可能な検察官が、弁護人の意見書に反論すべく、判例集未搭載の下級審裁判例まで検索し、可能な限り同種事例を収集した結果、本件に相対的に近い事例として抽出された結果が、それらの裁判例だけだったのである。 そのことは、本件と同様の行為が刑事事件として摘発された例は皆無であることを裏付けるものだった。桑田氏の行為のうち、形式上犯罪の成立を否定できない点についても、せいぜい「注意」の対象となる程度で、凡そ刑事事件として取り上げるべき行為ではないというのが楠意見書の見解だったが、それが、検察官の判例検索によって裏付けられたのである』、論争から逃げた検察のやり方は卑怯だ。
・『最終弁論での検察官の「沈黙」  第2回公判期日での最終弁論で、弁護人は、このような検察官の対応について、「本件に関する検察官の主張は、完全に破綻・崩壊していると言わざるを得ず、それにより、検察官の法令解釈に全面的に依拠する原判決の法令解釈の誤りも明白になった」と指摘し、起訴された2つの事実については無罪、残り一つについても、「本来、刑事事件として立件されるような事件では全くなく、立件されたとしても、起訴猶予とされるのが当然であって、検察官が訴追裁量を誤り、起訴した本件に対する被告人桑田の量刑としては、少額の罰金刑が相当であることは明らかであり、罰金刑の執行猶予とすべき」と主張して、最終弁論を締めくくった。 それに対して、検察官は、弁論を全く行わず、「沈黙」した。 国循事件は、不祥事以来初の本格的検察独自捜査事件で、贈収賄事件の立件を目論んで強制捜査に着手し、その目論見が完全に外れた大阪地検特捜部が、健全な常識を備えていれば、凡そ刑事事件にすべきではないとわかるはずの桑田氏の行為を、無理矢理刑事事件に仕立て上げたものだ。不当な強制捜査着手や起訴に対して組織的なチェックが働かなかった。そればかりか、2年にもわたる審理に膨大なコストをかけて、桑田氏を有罪にすることにこだわり、一審裁判所は検察官の主張を丸呑みした。 そして、控訴審に至り、ようやく、公共調達法制の専門家の楠教授の意見書に基づき、官製談合防止法違反事件としての本質に関わる主張が行われるや、検察官は、その主張に目を背け、「見解を異にする」と譫言のように述べつつ、具体的な反論を回避し、最終弁論期日には、弁護人の主張に対する反論すら「放棄」し、控訴審が終結したのである』、「最終弁論での検察官の「沈黙」」するとは、責任放棄で異常事態という他ないようだ。
・『本件が、官公庁・自治体の職員全体に与える「重大な影響」  この事件で、官製談合防止法違反で桑田氏を逮捕し、起訴したのは、大阪地検特捜部、つまり、検察であって、警察でも、他の捜査機関でもない。その法律の解釈や犯罪の該当性・違法性の評価が問題になっているのであるから、その議論を堂々と受けて立つのが当然ではないか。検察官は、なぜ、その議論から逃げるのか。このような無責任極まりない、まさに法廷で関西ならではの「ボケ」を演じているようにも思える検察官の対応は、官製談合防止法違反としての解釈・運用論に焦点が当たらないようにする「策略」である可能性もある。万が一、裁判所が、その「策略」に乗り、同法の法令解釈の誤りに関する弁護人の主張や楠意見書に反応せず、一審判決の判断をそのまま確定させてしまうようなことが起きた場合には、世の中に、重大な悪影響が生じることになりかねない。 官製談合防止法は、公契約に関わる職員すべてに関わる規範だ。 桑田氏も、国循の医療情報部長として、医療情報システムの構築・運用を担当する立場で、国循と業者との契約に関わっただけであり、「契約担当者」ではなかった。官公庁・自治体の職員のほとんどが、何らかの形で公契約に関わっているのである。もし、桑田氏のように、契約の目的実現のために、契約条件が適切に設定されるよう「当然の努力」を行うことが、「不可欠ではない条件を設定して公の入札等の公正を害した」として、官製談合防止法違反の犯罪に問われるとすると、それは、誠実に真剣に職務に取り組む官公庁・自治体の職員全体に、重大な影響を与えることになりかねないのである。 楠教授は、控訴審終結後に桑田氏と弁護人が記者会見を開くと聞いて、メッセージを送ってきた。その最後で、以下のように述べている。本件は公共調達の世界においても官製談合防止法の世界においても、極めて注目される重大な先例となるだろう。学術界のみならず司法界でも多くの関係者が今後論じ続けることとなろう。大阪高裁にはどうか、以上の問題を意識した上で、法の番人として適切な判断を下してもらいたい』、「法廷で関西ならではの「ボケ」を演じているようにも思える検察官の対応は、官製談合防止法違反としての解釈・運用論に焦点が当たらないようにする「策略」である可能性もある」、というのはありそうな話だ。最終の判決については、ネット検索した限りではまだ出てないようだ。大阪高裁はどのような判決を下すのだろうか。

第三に、作家の橘玲氏が5月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「ゴーン被告と森友学園元理事長夫妻の保釈の違いに変わらぬ日本人の白人崇拝が表れている【橘玲の日々刻々】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/203106
・『二度目の逮捕をされた日産の元会長カルロス・ゴーン被告に対し、東京地裁は検察の強い反対にもかかわらず再保釈を認める決定をしました。「10連休」直前の4月25日のことですから、「祝日で取り調べもないのに不当に被告を勾留している」との海外からの批判を避けるための、当初からの規定路線だったのでしょう。 この決定に対して検察幹部は「裁判所は完全にひよっている」と怒っていますが、その検察にしても、取り調べに弁護士の立ち合いを認めていないことについて、「それぞれの国にそれぞれの歴史や法制度があり、自分の国と異なることを理由に批判するのは妥当ではない」という「排外主義」的な言い訳をしたあと、ひたすら沈黙を守っています。その代わり、日本のメディアにさかんに捜査情報をリークして自分たちに有利な世論をつくろうとしているのですから、立派なことをいえる立場ではありません』、検察側の「捜査情報をリーク」による世論誘導は、厳密に言えば、公務員の守秘義務違反に相当する筈だ。
・『今回の再保釈で誰もが思い出すのは、森友学園事件で逮捕された元理事長夫妻でしょう。 大量の報道によって2人の顔は日本じゅうに知れ渡っており逃亡はほぼ不可能で、徹底した捜査で隠蔽すべき証拠もなくなっていました。それにもかかわらず、否認を理由に10カ月も長期勾留されたのです。 ゴーン被告には海外逃亡に必要な資金も語学力もネットワークもあり、事件の複雑さを考えれば隠滅すべき証拠や口裏合わせが必要な証人がいることもじゅうぶんに考えられます。再逮捕後は、すべての容疑を否認し黙秘してもいます。 だとしたら、ゴーン被告と森友学園の元理事長でいったい何がちがうのでしょうか。 それはもちろん、「国籍」と「人種」です。 だれもがうすうす気づいているように、裁判所の判断は、「日本人ならなにをしてもいいが(著名な)外国人はマズい」であり、「欧米の白人は特別扱い」ということです。なんのことはない、この国の「欧米(白人)崇拝」は明治の鹿鳴館時代からなにひとつ変わってはいないのです』、みっともないが、その通りだ。
・『リチャード・アーミテージ氏はアメリカの対日政策に大きな影響力を行使しましたが、そのインタビューで「自民党の政治家が、「アーミテージさん、ガイアツをお願いします」とやってくるので閉口した」と語っていてびっくりしたことがあります。自分たちで改革案を出すと叩かれるので、「アメリカにいわれて仕方なくやる」という話にするためだそうです。アーミテージ氏はリアリストなので、アメリカの国益に合致すれば引き受けていたようですが。 こうして、「日本はなにもかもアメリカの言いなりだ」と怒るひとたちが出てきました。しかし実態は、「外圧でしか改革を進められない」ということだったのです。なぜなら国民の政治不信が強く、政治家の言葉など誰もまともに聞かないから。 そう考えれば、今回の「外圧」にも意味はあります。これからは日本人の被疑者も、「ゴーンは保釈されてなぜ自分は勾留されるのか」と堂々といえるからです。 こうして「中世の魔女裁判」と揶揄された日本の司法も、すこしずつ「近代」に向けて進みはじめるのでしょう。まあ、たんなる希望的観測ですが』、アーミテージ氏は「ジャパン・ハンドラー」とも呼ばれたほど影響力があった。「日本の司法も、すこしずつ「近代」に向けて進みはじめる」、ようになってほしいものだ。
タグ:橘玲 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン 強制捜査 国立循環器病研究センター 大阪地検特捜部 litera 同氏のブログ 司法の歪み (その12)(「ミヤネ屋」の安倍応援団コメンテーター・野村修也弁護士が弁護士会から懲戒処分! 同じ案件で橋下徹にも懲戒請求、「正義の抜け殻」と化した検察官~国循事件控訴審 検察「弁論放棄」が意味するもの、ゴーン被告と森友学園元理事長夫妻の保釈の違いに変わらぬ日本人の白人崇拝が表れている) 「「ミヤネ屋」の安倍応援団コメンテーター・野村修也弁護士が弁護士会から懲戒処分! 同じ案件で橋下徹にも懲戒請求」 野村修也弁護士 弁護士会から業務停止1カ月の懲戒処分 数々の政府機関の公職に就任 橋下徹大阪市長の任命で大阪市の特別顧問 市職員に対し労働組合に関するアンケート調査を実施 内容や調査方法が思想信条の自由を侵害しているなどとして、野村氏に対する懲戒請求 職員の政治活動の自由や団結権、プライバシー権などの基本的人権を侵害したと認定 弁護士の「品位を失うべき非行」にあたるとして業務停止1カ月の懲戒処分 不服を申し立てる 橋下市長の指示で野村氏が仕切る第三者調査チームが行ったもの 市の職員約3万4千人全員が対象 正確な回答がなされない場合には処分の対象になります 労働組合への支配介入は労働組合法違反の不当労働行為であり、憲法で保障されている団結権等の侵害だ。政治的思想について告白を強制するのは思想及び良心の自由の侵害にあたる 回答しない場合は処分すると恫喝する行為も労組法違反の不利益取扱 大阪府労働委員会や中央労働委員会も不当労働行為と認定 裁判所も違法の判断 懲戒理由になった思想調査の責任者、橋下徹・元大阪市長にも懲戒請求 橋下徹ツイッター 「結果は非行事実は全くなし」 この件は、野村さんに全て責任をかぶせる形となり、すみません。野村さんの調査がどれだけ大阪市政改革に役立ったか。野村さんを処分した弁護士会の判断はおかしい NHKは今年6月7日、野村氏に関して懲戒委員会で処分の検討が始まったことを大阪ローカルで報道 くだんのスクープは大阪側から全国放送のオファーがあったにもかかわらず、不可解にも東京側が撥ねてしまった “維新タブー”とも呼ぶべき橋下氏らに対する忖度が存在 「「正義の抜け殻」と化した検察官~国循事件控訴審、検察「弁論放棄」が意味するもの」 元医療情報部長の桑田成規氏を逮捕・起訴した「国循事件」 大阪地裁での一審で、桑田氏に対して、懲役2年執行猶予4年の有罪判決が言い渡された後に、控訴審での主任弁護人を受任 「検察独自捜査」 誇りも矜持も失った「抜け殻」のような検察官の姿 事件の発端 従来からN社が独占 桑田氏は、電子カルテシステムを短期間で導入するなど、大きな功績を挙げたが、それは、多くの業務の委託先がN社から新規参入のD社に変わり、同社が従前のN社より優れた技術で対応したことによるところも大きかった 問題にされるような金銭の授受も、接待供応の事実もなかったので、立件は不発に終わった 桑田氏は、官製談合防止法違反等の事実で逮捕された。国循に対する強制捜査で得られた証拠・資料の中から、形式上、同法8条の入札等の「公正を害すべき行為」に該当し得る行為を抽出して無理やり仕立て上げられたのが、本件各公訴事実であった 桑田氏のいかなる行為が犯罪に問われたのか 官製談合防止法とは 控訴審での最大の争点 上智大学の楠茂樹教授 経済法学者で、公共調達法制の数少ない専門家であり、官製談合防止法の立法経緯にも精通し、数多くの官公庁・地方自治体の公共調達改革や、契約監視委員会の委員長、委員を務め、監視実務等についても豊富な経験を有する 「冤罪」の訴えを一部取り下げるものだったが、他の事実については無罪を主張し、全体として、凡そ刑事事件として取り上げるべきではない事案を無理矢理刑事事件として仕立て上げた検察を厳しく批判する控訴趣意書を提出 楠意見書への検察官の対応の迷走 補充意見書への検察官の対応 楠意見書を「同意」し、具体的な反論は全く行わず、その上で、検察官は、「原判決の認定判断に誤りはないと考えており、同補充意見書の内容は、独自の見解にすぎず、従前の判例実務ともかい離するものであって、検察官においてそのようには解釈していない。」などと言ってきた。 最終弁論での検察官の「沈黙」 本件が、官公庁・自治体の職員全体に与える「重大な影響」 「ゴーン被告と森友学園元理事長夫妻の保釈の違いに変わらぬ日本人の白人崇拝が表れている【橘玲の日々刻々】」 ゴーン被告に対し、東京地裁は検察の強い反対にもかかわらず再保釈を認める決定 検察にしても 「排外主義」的な言い訳をしたあと、ひたすら沈黙を守っています。その代わり、日本のメディアにさかんに捜査情報をリークして自分たちに有利な世論をつくろうとしている 森友学園事件で逮捕された元理事長夫妻 否認を理由に10カ月も長期勾留 何がちがうのでしょうか。 それはもちろん、「国籍」と「人種」です 「欧米(白人)崇拝」 「外圧でしか改革を進められない」 「中世の魔女裁判」と揶揄された日本の司法も、すこしずつ「近代」に向けて進みはじめるのでしょう まあ、たんなる希望的観測ですが
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ZOZO問題(その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる) [産業動向]

昨日のECに続いて、今日は、話題になっている ZOZO問題(その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる)を取上げよう。

先ずは、2月2日付けダイヤモンド・オンライン「前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/192855
・『水玉模様のZOZOSUITをテコにしたプライベートブランド事業が不発に終わり、決算予想の下方修正を迫られたZOZO。前澤友作社長は、順調に伸びているEC事業で年末からあらわになった“ZOZO離れ”の火消しに躍起だが、出店者側の不満はくすぶっている。 「1255ショップ中、42ショップ」――。1月31日に2019年3月期第3四半期決算を発表したZOZOの前澤友作社長は、同社が運営するECサイト「ZOZOTOWN」で昨年末に始めた、定額の有料会員が10%割引となるサービス「ZOZOARIGATO」を受けて、昨年末から年明けにかけて大きく報じられたオンワードホールディングス(HD)のように、値下げを嫌って店舗の撤退や販売停止など、いわゆる「ZOZO離れ」をした同日時点の店舗数をわざわざ冒頭のように、アナリスト説明会の場で明らかにしたのだ。 前澤社長は「ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%。メディアの論調は大丈夫かというものでしたが、業績に与える影響は極めて軽微」と説明。「オンワードHDの取扱高への影響は0.5%」と付け加えるのも忘れなかった。 同社は、顧客に無料配布した水玉模様の体形計測用スーツ「ZOZOSUIT」の費用や、これを用いて購入するプライベートブランド(PB)商品の販売不振により、今期通期の連結売上高予想を19.7%減の1180億円、当期純利益も36.4%減の178億円に下方修正した。一連のZOZOSUITやPB事業による赤字額は、125億円に上る』、「「ZOZO離れ」をした」のは、「「ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%」というのであれば、確かに影響は軽微ともいえる。
・『「実るほど首を垂れる…」の指摘に前澤社長は  そんな中でZOZOARIGATOのスタートは取扱高の増加に貢献しており、前澤社長は「これは良いニュース」と胸を張ったのだ。 しかしそんな姿勢に、出席したアナリストからすかさずツッコミが入った。 例えばドイツ証券の風早隆弘調査副本部長は、ZOZOTOWN事業が出店者であるアパレルメーカーやセレクトショップとの信頼関係によって成り立っているとしたうえで「(撤退店舗数が)取扱高に占める割合が少ないからいいという問題ではない。『実るほど首を垂れる稲穂かな』と言う。今後、彼らとどのようにコミュニケーションをとるのか」と質問した。 前澤社長は撤退を「遺憾で悲しく思う」としながらも、「リアルのショッピングビルは、カードを持っていると何%オフとやっている。なぜ今まで(ZOZOで)やって来なかったのか、という声もあるくらいだ」と反論。 もっとも「ルミネカードで10%オフ」は年数回の期間限定であり、通常時のルミネカード会員の割引は5%オフだが、それはさておく。 前澤社長はZOZOARIGATOの値下げの原資をZOZOが負担していることから「出店者が負担する(値引きの)クーポンよりもいい、との(出店者からの)声もいただく」と強調。値下げのイメージを嫌う出店者については、ZOZOTOWN上で10%値下げ後の価格を表示しないようにできる仕組みを2月中に導入するなどの配慮を示し「ブランド(出店者)の意見に沿う収束モードになっている」と話した。 果たしてそうか』、真相を知りたい。
・『突然、二者択一を迫られたアパレル  「かなり突然で、トップダウンで来た感じがした」――。あるオンワード首脳は、昨年ZOZOからもたらされた、ZOZOARIGATOに参加するか、ZOZOTOWNから撤退するかの二者択一の要請について、こう振り返る。 恒常的な値下げというZOZOARIGATOの仕組みに加え、こうした高圧的とも取れる姿勢がオンワード以外のアパレル各社の反感を買った可能性は想像に難くない。 現時点でZOZOから撤退していないある有力セレクトショップ首脳も本誌の取材に、こうしたZOZOの姿勢を批判し「これからZOZO離れは確実に広がっていく」と言い切った。 ZOZOと出店者の関係については、最盛期の総合スーパーによる値下げ販売でメーカー側が疲弊しつつも、売り上げ確保のために商品を納めざるを得ない構図に例える見方がある。売り上げ減、利益率の低下に悩むアパレル業界で“ZOZO依存”から抜けられないアパレルは少なくないだろう。 しかし、やや異なる問題も生じている。オンワードHDなど強い経営基盤を持つ一部のアパレルやセレクトショップは、自社ECの黎明期こそサイト構築から物流までZOZOの支援を受けていたが、その間に人材やシステムに投資し、ノウハウを吸収して、今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている。そんな中、ZOZOTOWNで自社の商品を恒常的に値下げされれば、利幅の大きい自社ECから客を奪われるため看過できない』、確かに、「今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている」ような有力アパレルが離れていくのは当然だろう。
・『ZOZOより値下げで「客が流れる」と前澤社長  一方で前澤社長によると、自社ECでZOZOTOWNよりも安く売っている出店者もいるといい「うちからお客さまが流れる」と懸念を示した。出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めたのだ。 セレクトショップの雄であり、ZOZOTOWNの草創期に出店してむしろZOZOの成長を支えたともいえるユナイテッドアローズは、今なおZOZOの支援で自社ECを運営しているが「最近では低価格の商品しかZOZOTOWNに出していない」(アパレル業界関係者)と言われており、やはり距離が感じられる。 「自社で顧客を囲い込みたいという出店者とはいつか、意見の相違が出る。今後の方向性を考えるいいきっかけになったと思う」――。前澤社長はこんなドライな感想も口にした。 さしあたり取扱高を伸ばしているZOZOTOWNだが、ほころびの予兆は消えない。第二の成長の柱となるはずだったPBが「最低でも収支トントンの低リスク中リターン事業へ」(ZOZOの決算説明会補足資料)と一旦縮小を余儀なくされた中、主力事業であるZOZOTOWNでどのような戦略を打ち出すのだろうか』、「出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めたのだ」、であれば今後の成長戦略が大いに注目される。

次に、2月14日付けデイリー新潮「背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況、実際は“赤字14億円”!?」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/02140802/?all=1&page=1
・『ファッション通販ZOZOの前澤友作社長(43)にとって会社は打ち出の小槌だ。女優との交際、月旅行、1億円ばら撒きの話題で株価を背伸びさせ、持ち株を売却しては遊ぶ金に。しかし、テナントの離脱や下方修正で株価は更に下げ基調。錬金術の仕掛けがバレ始めた。 去る1月31日発表のZOZOの決算。通期の連結経常利益は従来予想の400億円から265億円に下方修正し、今期の年間配当を36円から24円へ大幅に減額した。その後の説明会に、前澤社長はシャツにニットを重ねた出で立ちで現れ、殊勝な態度に終始。ツイッターでも、誤算があったことを認めた。 翌2月1日の市場では、前日終値2193円から10%超の下げ幅となる1971円をつけたものの、地合いがさほど悪くないことも幸いし、5%弱安まで戻して引けた。時価総額にして6830億円余。それでも、昨年7月の最高値4875円からの下落トレンドが反転する兆しは窺えない』、確かにZOZOや前澤社長は話題性十分のようだ。
・『ZOZOの経営はどういう状況なのか。 「今回の第3四半期の決算短信を見ると、ZOZOは136億円の純利益を上げています。しかし、ちゃんと決算をすると実際には黒字の状態にあるとは言えなくなる。もともと、ZOZOは財務的にはとても健全な会社でした。在庫をほとんど持たず、売掛金も短期間で回収できていました。ところが、新規に始めたプライベートブランド事業などがうまくいかなかったのでしょう。昨年から急激に財務体質が悪くなっています」と話すのは、会計評論家の細野祐二氏。大手監査法人の代表社員を務めていた2004年、粉飾決算事件に関与したとして、東京地検特捜部に逮捕・起訴された。目下、上場企業全ての財務諸表を見て、投資家への啓蒙活動を展開する。 ZOZOで目につくのは営業キャッシュフローの悪化。仕入れや製造、販売など、利益を得るための活動が目減りしていると想定されるのだ。 「今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていないので、昨年10月に公表された第2四半期の報告書の数字を元に第3四半期の営業キャッシュフローを試算すると、約40億円になります。最初に触れたように利益は136億円。つまり、だいたい96億円の現金が入金されないままになっているわけです」(細野氏) そのカネは在庫と売掛金に化けてしまった。 「元々ZOZOは売掛金の入金が早く、昨年3月期では売掛金は253億円でした。しかし、今期は387億円。前年度から134億円増えた。要するに、売掛金の回収に時間がかかるようになってしまったのです。私の計算によると、これまでは売掛金を回収するのにかけた時間は3カ月間ほどで済んでいたのですが、今期はそれが5カ月間まで延びている。つまり、差し引き2カ月の間、回収できていない売掛金があり、不良債権化していると言えます。私は、その金額がだいたい100億円に達していると見積もっています」(同) 同様に在庫の回転率も非常に悪化している。自社で商品を生産していなかったから在庫はほぼ0だったのに、今期は一転64億円にまで増えた。1カ月で約50億円の過剰な在庫を抱えている計算になるという』、「今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていない」というのは、仮に「都合が悪いから」見送ったというのであれば大問題だが、問題視されてないようなので、何か然るべき理由があるのだろう。
・『実際は14億円の赤字?  「以上の試算を踏まえますと……」と細野氏は続ける。 「不良資産は合計で150億円ほどになる見込みです。136億円の純利益というのはある意味で見せかけの数字であり、実際は、14億円の赤字であると言えるのです。この会社は本来は資金繰りがとても良い会社であって、新規事業に手を出す前は、基本的には無借金経営でした。ところが、第2四半期に銀行から240億円を借り入れて自社株を600万株購入しました。その結果、前年度は408億円あった自己資本が201億円にまで減ってしまったのです。はっきり言って、資本はスカスカの状態。実際には赤字の状態なんですから、これを放置すれば、そう遠くない時期に債務超過に陥ってしまう恐れもあります。監査法人が決算上の問題を指摘しなければいけないのですが……」 銀行借り入れの事実は財務諸表に記載されている通りだし、大量保有変更報告書からも、前澤社長は昨年5月23日、600万株を市場外でZOZOに対して売却していることがわかる。前日22日の終値などから計算すると、前澤社長は税金は別にして240億円ほどを手にしたことになる。 細野氏の言うように「資本はスカスカ」になるにも拘らず、会社は借金をし、前澤社長から株を買い取った。それはなぜか。株式ストラテジストの中西文行氏は、 「オーナー会社の場合、社長が株を売るというのは、通常負のイメージです。自分の会社が成長するなら売る必要はありません。前澤さんが売ったところを見ると“さもしいのかな”というイメージを持ちました。経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている。マーケットに売ってしまうと株価が下がりますから、市場外買い付けで一発で買って貰ったということです」と斟酌し、こう難じる。「240億なんて大金、普通の人は一生かかっても稼げませんから。それを、たった1年で給料とは別に懐に入れておけるんです。万が一、会社の経営が傾いて株価が下落すると、自社株を売っても入る金は減りますから、高いうちに換金したと言える。宇宙旅行のように、個人で必要な資金があるんじゃないですか。悪く言うと、企業の私物化もいいところですよね。ZOZOは前澤さんにとって金のなる木のようなもので、大幅な株式分割もやらせて、自分の持ち株をどんどん増やしてきた。もちろん、その根底には、会社の規模が拡大しているということはあるにせよ……」』、「経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている」、前澤社長の保有自社株の売却は、「“さもしいのかな”」というより”さもしい”行為そのものだ。
・『下落を察知していた?  「カタログ通販なども含め、アパレルで自社ブランドが成功しているという話は聞きません。ZOZOは仕入れて売るそれまでのスタイルでの成長は覚束ない、ピークに来たと思ったのでしょう。新たなことをやらないと売り上げが伸びず、また利益を上げるためには、より利益率の高いプライベートブランドを立ち上げる必要があったのです」という中西氏の評価を、先の細野氏はこんな風に受ける。 「前澤さんは、そのプライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた。これまでは、どこでも買えるものをブームに乗って売っていただけの話。今のこの決算ならば、銀行はもっとお金を貸すはずです。決算上は一応、黒字なわけですから。場合によっては、株価を維持するためにもっと銀行から金を借りて自社株を買うことになる可能性もあるでしょう」 ――株価上昇に寄与しない情報を前澤社長が積極的に広報することはない。公開された資料であっても、プロの目に委ねなければベールの存在に気づくことはなく、それに覆われた実態は判然としないものだ。今回、本稿は専門家の慧眼で無理な背伸びを浮彫りにした次第である』、前澤社長が「プライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた」ので、自社株240億円を結果的に「売り逃げた」形になったのは、極めて問題だ。上場企業の経営者に「あるまじき」行動なのではなかろうか。

第三に、ZOZOを支援する立場から、経営戦略コンサルタントの鈴木 貴博氏が5月21日付け現代ビジネスに寄稿した「前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで、もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63530
・『「ZOZO離れ」と「ZOZO離れない」  「ZOZO離れ」が経済ニュース的には話題のワードになっています。 ZOZOの株価は昨年7月の高値4875円から急落し、今年2月には1621円と一時3分の1で下落しました。この間、大手アパレルのユナイテッドアローズが自社ECの運営をZOZOから切り替え、12月にオンワードがZOZOでの販売中止を決定。ジーンズのライトオンもZOZOからの撤退を決めるなど、大手アパレルがZOZO離れをつぎつぎと表明しました。 背景としてはこれらのアパレルのブランド方針と相反するとされる安売り施策の「ZOZOアリガトウ」のスタートや、競合するPB商品への進出などが原因だとされています。前澤友作社長の炎上しやすいキャラクターともあいまって、メディアは一斉にこの苦境を書きたてている一方、消費者としてZOZOはいったいどうなってしまうのか心配されている方も多いかもしれません。果たしてZOZOはこのまま失速していってしまうのでしょうか。 結論を先取りすると、じつはZOZOはそう簡単には崩壊しません。今回の記事ではすでにたくさん報道されているZOZO離れを引き起こしている事象とは逆の、「ZOZO離れない」方向に働く別の力について詳しく書いてみたいと思います。そのうえでなぜZOZOが崩壊に向かわないのか、その理由をまとめてみたいと思います。 さてこの「ZOZO離れない」という力とはいったい何でしょう。その正体はプラットフォームの引力です。 ZOZOTOWNはひとことで言えば数千万人規模の顧客と、多数のアパレルメーカーが集まる市場です。主要なアパレルが参加していて、同時に日本最大級の顧客が集まっているから、どちらにとっても非常に便利な場所になっている。これがプラットフォームです。 他にも読者のみなさんがよくお使いの食べログ(飲食店)や楽天トラベル(旅行)、ホットペッパービューティー(美容)といったサービスも同じメカニズムのプラットフォームビジネスです。 このプラットフォームビジネスには一般のビジネスとは違う、経済メカニズムが働きます。たとえて言えば太陽系で普通に見られるニュートン力学が、ブラックホールのような巨大な重力場の近くではゆがんでしまいアインシュタイン力学でないと説明できないのと同じような話です。 私はコンサルタントとしては大手プラットフォームの経営戦略をずいぶんいろいろと経験してきました。その経験で言うと、プラットフォームというものはなかなか簡単には崩壊させることができない性質を持っています』、本当だろうか。言い分を読んでみよう。
・『プラットフォームの宿命  普通の星系では惑星が離れていくとともに星系が崩壊するような現象でも、プラットフォームでは逆の現象が起きることすらあります。実際の例を示しながら、ZOZOの未来に置き換えてそのメカニズムを解説してみたいと思います。 まず第一に「プラットフォームが顧客企業を怒らせる」といったことは、過去の歴史上何度も起きていることです。ZOZOだけが失敗してZOZO離れを誘発しているわけではありません。 たとえば楽天トラベルは、民泊が盛んになってきたことをビジネスチャンスととらえ2018年秋に民泊施設を楽天トラベルに掲載開始すると発表しました。グループ会社で民泊を扱う楽天LIFULL STAYがライバルであるAirbnbを追撃するためには有効な戦略だと考えたわけですが、当然のことながらホテル・旅館業界はこの楽天トラベルの方針に反発しました。 このような現象はプラットフォームの宿命です。 プラットフォームの運営企業がプラットフォームに参加する企業を怒らせる現象は、プラットフォームあるあるといっていいぐらい頻繁に起きます。理由はプラットフォーム企業が成長するためには、どこかで取引条件をプラットフォーム側に有利に変更していかなければいけないからです。 そういった施策は常にプラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢を起こします。ZOZOは企業としての弱点としては、こういった施策を顧客企業に呑ませることが上手くないようで、それが今回のような騒動を起こしているのですが、いずれにしてもひとつめのポイントは「これはよくあることだ」ということです。 次にプラットフォームに怒りを表明した企業についてですが、いろいろあっても最終的にプラットフォームを全面的に離脱する会社は多くはならないという結果になります』、確かに、「プラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢」は、大いにありそうな話だ。さすがプラットフォーム企業へのコンサルティング経験のある筆者だけある。
・『秘密の会合  もちろん力のあるメーカーや飲食店などでプラットフォームと決別する企業は出てきますが、多くのプラットフォーム参加企業はそのプラットフォームの顧客引力のせいで離れられないものなのです。 そしてプラットフォームは顧客企業に対して、不満を起こした原因施策について詫びることが通例です。不明を詫びた上で、顧客企業がもっと儲かるような新しい機能やキャンペーンを提示することで顧客を懐柔する。すると顧客企業はさらにプラットフォームから離れることができなくなる。そういった現象が繰り返されます。 三番目に、このような現象を繰り返しながらプラットフォームはその引力をさらに強めていくものです。引力が強くなるにつれて、今よりももっとたくさんの顧客企業がプラットフォームを悪く思うようになっていきます。 これはある業界をほぼ完全に支配する状況になったプラットフォーム運営企業から聞いた話ですが、その業界には主だった顧客企業が集まる秘密の会合があるそうです。その会の名前は「プラットフォームのない世界」といって、メンバーが集まってはプラットフォームの悪口を言い合うだけの負け犬の遠吠えのような会が繰り返されているといいます。 このようにプラットフォームというものは、顧客と軋轢を繰り返しながら、結局はその巨大な集客力を力に業界を支配していくもので、それを壊すことは非常に難しいものなのです。 さてZOZOの場合はというと、もともと顧客企業である大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です。ただのプラットフォームではなく、他の競合がマネできない強みを持っている。ここにひとつの優位性があり、ZOZOの崩壊をさらに難しいものにしています。 さらに10代から30代の女性を中心としたカスタマー(消費者)からダントツに支持されている。この強みはなかなか揺らぐことはありません。 ただこれは前澤友作社長のクセだと思うのですが、プラットフォームでありながら、過度に消費者の側の肩を持つ傾向がある』、ZOZOが「大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です」というのは、確かに強みだろう。
・『ZOZOはそう簡単に崩壊できない  たぶん社長の周囲にもそのような社風が好きな人材が集まっている。その分、他のプラットフォームのように、二枚舌を使い分けて顧客企業を懐柔する能力が高くない。ないしはそういったオトナの経営に興味がないのかもしれません。 そのことと前澤社長の特異なキャラクターとがあいまって、マスコミからは恰好の炎上の対象になっている。ただそこはこの問題の本質ではありません。 本質はZOZOTOWNの実態が強大なプラットフォームであり、かつ消費者が強くそのプラットフォームを支持しているという点です。 ですからこの後、よほど大きな失策をしない限りは「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き、思ったほどZOZOは痛手を受けないという結果になると思われます。 あくまで実経験をふまえた経営コンサルタントとしての分析ではありますが、ZOZOTOWNが崩壊するのはそれほど簡単ではないということです』、ZOZOと他のプラットフォームの比較は一言簡単に触れられているだけなので、本当に「「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き」、かどうかは即断できないような気がする。ただ、有力そうな1つの参考意見であることは確かなようだ。
タグ:ユナイテッドアローズ ZOZOTOWN ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス デイリー新潮 ZOZO問題 (その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる) 「前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情」 プライベートブランド事業が不発 出店者側の不満はくすぶっている 定額の有料会員が10%割引となるサービス「ZOZOARIGATO」 値下げを嫌って店舗の撤退や販売停止など、いわゆる「ZOZO離れ」 ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%。メディアの論調は大丈夫かというものでしたが、業績に与える影響は極めて軽微 今期通期の連結売上高予想を19.7%減の1180億円、当期純利益も36.4%減の178億円に下方修正 突然、二者択一を迫られたアパレル 高圧的とも取れる姿勢がオンワード以外のアパレル各社の反感を買った可能性 今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている 自社ECでZOZOTOWNよりも安く売っている出店者もいるといい「うちからお客さまが流れる」と懸念を 最近では低価格の商品しかZOZOTOWNに出していない 出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めた 「背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況、実際は“赤字14億円”!?」 第3四半期の決算短信 昨年から急激に財務体質が悪くなっています 会計評論家の細野祐二氏 目につくのは営業キャッシュフローの悪化 今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていない 差し引き2カ月の間、回収できていない売掛金があり、不良債権化 在庫の回転率も非常に悪化 実際は14億円の赤字? 第2四半期に銀行から240億円を借り入れて自社株を600万株購入 前年度は408億円あった自己資本が201億円にまで減ってしまった 資本はスカスカの状態 そう遠くない時期に債務超過に陥ってしまう恐れも 前澤社長は税金は別にして240億円ほどを手にしたことに オーナー会社の場合、社長が株を売るというのは、通常負のイメージです 前澤さんが売ったところを見ると“さもしいのかな”というイメージを持ちました。 経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている 高いうちに換金 企業の私物化もいいところですよね ZOZOは前澤さんにとって金のなる木のようなもので、大幅な株式分割もやらせて、自分の持ち株をどんどん増やしてきた 下落を察知していた? 前澤さんは、そのプライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた 自社株240億円を結果的に「売り逃げた」形になったのは、極めて問題だ 鈴木 貴博 「前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで、もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる」 「ZOZO離れ」と「ZOZO離れない」 ZOZOはそう簡単には崩壊しません プラットフォームビジネスには一般のビジネスとは違う、経済メカニズムが働きます プラットフォームの宿命 プラットフォーム企業が成長するためには、どこかで取引条件をプラットフォーム側に有利に変更していかなければいけないから 常にプラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢を起こします 多くのプラットフォーム参加企業はそのプラットフォームの顧客引力のせいで離れられない プラットフォームというものは、顧客と軋轢を繰り返しながら、結局はその巨大な集客力を力に業界を支配していくもので、それを壊すことは非常に難しいものなのです もともと顧客企業である大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です ただのプラットフォームではなく、他の競合がマネできない強みを持っている ZOZOはそう簡単に崩壊できない 本質はZOZOTOWNの実態が強大なプラットフォームであり、かつ消費者が強くそのプラットフォームを支持している よほど大きな失策をしない限りは「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き、思ったほどZOZOは痛手を受けないという結果になると思われます
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EC(電子商取引)(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年3月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』)である。

先ずは、法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が昨年10月23日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182900
・『破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻  10月15日、米小売り大手のシアーズ・ホールディングスが米連邦破産法11条(通称チャプターイレブン、日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。 著名経営学者のドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者であった。そのシアーズが破綻に追い込まれた。 驚きとともに時代の変遷を感じざるを得ない。 同社は“シアーズ・ローバック”の商標で知られていた。シアーズ・ローバックは、19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした。新しい市場を自ら開拓し、その需要を取り込むために新しい商品や組織、生産プロセスの整備を行った。重要だったことは、当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めたことだ。 ところが、1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった。特に大きかったのが、IT先端技術の普及だ。消費者は同社の店舗で買い物を行うよりも、アマゾンのEC(電子商取引)プラットフォームでの消費を選んだ。その方が便利だからだ。 それに加え、経営者の問題も見逃せない。特にファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた。かつて栄華を極めたシアーズの経営破綻は、イノベーションの重要性と経営者に求められる根源的な資質を考える格好のケーススタディの一つと言ってもよいかもしれない』、「ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた」というのは確かに致命的だが、現在ではファンドもその業界のプロを経営者に送り込むファンドもあるようだ。
・『かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ  1886年に創業したシアーズは、当時急速に発展しつつあった鉄道や郵便という新しい要素を用いることで、物流ネットワークが浸透していなかった農村の需要を開拓した。これは、既存の要素と新しい要素を結合し、新商品や新しい販売チャネルなどを生み出すという“イノベーション”の好例だ。 19世紀、米国の農村では自給自足を主に日々の生活が営まれていた。都市部では個人商店などが日常の生活を支えつつあったが、農村はそうした経済圏から孤立していた。シアーズはそこに目をつけた。同社は、市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた。 また、シアーズは顧客満足を高めることに徹底的にこだわった。「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミットした。それは農村の人々からの信頼を獲得するために欠かせない要素だった。 カタログには衣類から農作業の道具、農村で簡単に手に入らない楽器までが掲載された。その結果、当時の米国農村地帯の生活環境は激変した。シアーズは米国の農村に、気に入った商品を買い、使う楽しみを提供した。シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられたのである。 20世紀初頭、米国では基本的なインフラ整備が進んだ。それに伴い経済は成長し、中間層の厚みが増した。T型フォードの普及によって、農村から都市への移動も容易になった。農村は孤立した存在ではなくなった。都市の人口は増加した。この環境変化を受けて、シアーズは更なるイノベーションを進めた。 それが、通販から小売業へのビジネスモデルの転換だった。小売業では、店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた。これが同社の成長を支えるとともに、米国の流通業界に大きな影響を与えた。シアーズは米国の物流・小売業界の革命児だったのである』、「通販」の確立、さらに「小売業へのビジネスモデルの転換」と、確かに「米国の物流・小売業界の革命児」だったようだ。
・『社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭  1980年代以降、シアーズの成長には陰りが見え始めた。ライバルであるウォルマートが“エブリデーロープライス”を掲げ、安売り戦略を強化してシェアを伸ばしたことはその一因だ。2000年代に入ると、ネットワークテクノロジーを駆使してアマゾンがECを世界に浸透させた。 19世紀終盤から20世紀中盤にかけて米国の物流業と小売業を牽引したシアーズは、21世紀型の物流革命を目指すアマゾンの取り組みに対応できなかった。それは、シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかったことを意味する。同社は店舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖された。当時の同社には、ITネットワークと自社の強みであるカタログ通販を融合させる発想がなかった。 この意思決定はシアーズのアイデンティティー喪失につながったといってよい。多くの消費者がシアーズに求めたのは、自宅でカタログに掲載されている商品を使うシーンを思い描き、イメージした暮らしを実現することだった。カタログ通販の停止によって、シアーズは顧客のロイヤルティ(信頼、愛着)を失ったともいえる。その結果、同社は特徴のない小売企業になった。 これに対して、アマゾンは独自の物流網を整備して消費者の支持を獲得してきた。ネット上で商品を注文し支払いを完了することはできる。その上で商品を手にして実際に使うためには、効率的な物流ネットワークが必要だ。スマートフォンなどのデバイスを駆使し、アマゾンはネット空間と消費の現場を円滑につなげることを目指している。この快適さ、便利さこそがアマゾンユーザーの増加を支えている。この結果、消費の場が店舗からネット空間に移行し、米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った。 一方、ホームデポのように店舗での消費体験を演出することで成長を維持する小売企業もある。要は、アマゾンにはない消費体験を創造できるか否かが企業の存続を分ける。それが経営者の腕の見せ所だ。シアーズが行き詰まったのは、経営者に自社の強みを十分に生かし、ネットワークテクノロジーという新しい要素と既存ビジネスを結合させる発想がなかったためと考えられる』、素人目には、ECと相性が良さそうな「カタログ通販」を捨てたのは、IT技術がなかったとはいえ、もったいなく、戦略上の失敗だったような気がする。
・『本当の小売業を知らないファンド出身経営者  2005年、シアーズはエドワード・ランパート現会長が率いる投資ファンド傘下に入った。これは、シアーズの凋落を加速させた要因と考えられる。 金融ビジネスと、顧客との関係性を重視する小売業の発想は根本的に異なる。金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ。 一方、小売業における顧客との関係構築には、終わりがない。それは永続的に続く。この点が決定的に違う。 ランパート氏の経営の下、シアーズの店舗では雨漏りやエレベーターの故障が放置されていたという。これは小売企業としてありえない。同社は、顧客に買い物をする喜びを提供するスピリットを失い、顧客の気持ちがわからない企業になってしまった。2016年に入りランパート氏はIT先端技術の導入の重要性に言及し、翌年には自社の家電製品をアマゾン経由で販売し始めたが、これは遅すぎた。 ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった。IT先端技術の実用化を受けて、経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった。これは、経営者として致命的だ。 企業の存続に必要な要素は、環境の変化に適応する能力だ。正しいもの、強いものが生き残るわけではない。変化に適応できたものが生き残る。そのためには、新しい取り組み=イノベーションが欠かせない。 例えば、シアーズの商品に愛着を持つシニア世代にアマゾンのダッシュボタンを提供することは、顧客との関係性維持につながった可能性がある。それはIT機器を操作する際に感じるストレス軽減にもなる。そうした新しい取り組みが検討されてもよかった。 アマゾンの成長はシアーズの競争力を低下させた一因ではある。だが、それがすべてではない。シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かったことは見逃せない。それが、経営環境の変化に対応する能力を奪ってしまったのかもしれない』、ランパート氏だけでなく、出身ファンドも知恵を絞った筈だが、「経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった」というのは致命的で、気付いた時には既に「とき遅し」だったのだろう。

次に、富士通出身でデジタルシフトウェーブ代表取締役社長の鈴木 康弘氏が12月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189281
・『レビュー  2017年9月、アメリカの玩具販売大手「トイザらス」が経営破綻に陥った。「アマゾン・エフェクト」を象徴するできごとである。 アマゾン・エフェクトとはなにか。これは、ネット通販「アマゾン・ドット・コム」が進出する業界で、その影響を受け、業績や株価の低迷に悩む企業が増えている現象を指す。影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。そして、多くの企業がトイザらスのように追い詰められている。 また、2017年8月、アメリカを代表する高級食品スーパー「ホールフーズ」をアマゾンが買収した。商品調達も管理も高度なオペレーションが求められる、リアルな生鮮食料品の店舗にアマゾンが進出したと、大きな話題となった。そればかりではない。競争が激化する懸念から、競合の食品スーパー各社の株価が軒並み下落した。こうして業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」とも呼ばれる。 こうしたできごとを、日本企業の多くは「流通業界の嵐」などと、対岸の火事のように眺めていないだろうか。アマゾン・エフェクトの背後には、デジタルがもたらすビジネスの本質的変化がある。本書『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』の著者は、この「デジタルシフト」の脅威に気づかないまま、20世紀のビジネスモデルを引きずる日本企業に警鐘を鳴らす。日本でいち早くアマゾン・エフェクトに対峙した著者の危機感は強い。デジタルシフト危機への対処法にぜひ耳を傾けたい』、興味深そうだ。
・『本書の要点  (1)多くの業種の既存の秩序を崩す「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている。 (2)デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放する。それをビジネスのチャンスにするために、日本企業はIT人材の育成を急がなければならない。 (3)今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく。その先頭を切っているのがアマゾンである』、なるほど。
・『要約本文 ◆アマゾン・ショック ◇日本に押し寄せる4つのショック  いま日本に4つのショックが押し寄せているという。 1つ目は、アマゾン・ショックである。書籍や音楽ソフトに限らず、ファッションや生鮮品宅配サービスにおいても、アマゾンの進出は、業界の既存の秩序を揺り動かし、地殻変動を引き起こす。 2つ目は、クラウド・ショックである。以前であれば、開発・導入に1億円、メンテナンスに月々百万円をかけていたシステムが、いまではクラウトサービスを使えば、月額の使用料数百円ですんでしまう。このクラウドの分野で圧倒的なシェアを誇るのは、やはりアマゾンである。 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショックである。すべてのものがインターネットでつながるIoTによって、膨大なデータが蓄積され、それをAIが解析する。アマゾンはデータを制することにより、差別化を図ったサービスを顧客に提供し、ネットとリアルの両面から覇権を握ろうとしている。 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショックである。今後は、各企業が自前でシステムを開発できることが、スピード・コストの両方の視点からも必要となる。いかに社内にIT人材を確保できるかが競争力を左右する。しかし、そのことに気づいて、社内の人材教育を強化している日本企業は少ない。 いま日本に押し寄せている4つのショックのいずれを見ても、その背後にはアマゾンの姿がある』、確かに「4つのショック」のいずれにおいても、アマゾンの存在感は圧倒的だ。
・『◇ネットとリアルの融合  ネットとリアル(実際の店舗)のシームレスな融合を意味する「オムニチャネル」。この概念は、アメリカの大手百貨店メイシーズが2011年に使用したのが始まりである。オムニとは「すべて」を意味する。そしてオムニチャネルとは、ネットとリアル、すべての顧客接点を連動させて顧客にアプローチする方法である。 著者はかつて、セブン&アイ・ホールディングスからオムニチャネルを立ち上げた経験がある(2015年11月)。そのときに強烈に意識したのがアマゾンの存在であった。著者の陣営は、リアルの店舗からネットに世界を広げた。一方、当時のアマゾンは、ネットからリアルの世界への進出をたくらんでいた。 ここで著者は大きな壁にぶちあたった。リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。日本の流通関係者のなかには、アメリカでのアマゾンの躍進についてこうした考えがあった。「国土が広く、もともと通販文化があったから、アマゾンはうまくいく」「日本は国土が小さいから大丈夫」。そして、店舗で買えるのと同じものが、時間や場所に関わりなくネットで注文できれば、利用者にとっての利便性が増したと考える。それ以上発想が広がらないことが、後に大きな制約となった』、確かにセブン&アイの「オムニチャネル」は、「大きな壁にぶちあたった」ためか、鳴かず飛ばずだったようだ。
・『◇アマゾン・ブックスの風景  では、アマゾンによるリアルな店舗はどのようなものか。アメリカで展開している書店販売のリアル店舗、「アマゾン・ブックス」を見てみよう。店舗を視察した著者によると、その特長は商品を絞り込み、圧倒的に在庫が少ないことにある。 それを可能にしているのが「フルフィルメントセンター」と呼ばれる巨大な物流拠点だ。この拠点は、ネットで販売する商品のために膨大な在庫を保管している。店舗のバックヤードが倉庫も兼ねているような既存の書店と比べて、ストックできる品数は桁違いに多い。リアル店舗のアマゾン・ブックスには、そのなかから売れ筋や目を引く商品を選んで並べるというわけだ。 日本の書店に一般的な、本の背表紙を表に向けて並べる「背差し」は一冊もない。すべての本が、表紙を正面に向ける「面陳列」「面展示」である。そのため、一冊一冊の魅力がストレートに伝わってくる。 そこではネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング)、店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング)。読みたい本が店頭になければ、アマゾンストアで検索して注文すればいい』、家電量販店は、顧客が来店して商品を見て、店員から説明を受けても、注文はアマゾンでやるというのも、典型的な「ショールーミング」で、小売店泣かせだ。
・『【必読ポイント!】◆デジタルシフト◇アマゾン・エフェクトの本質とはなにか  アマゾンが引き起こしている変化の本質はなにだろうか。それは、アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」である。つまり、人々は「時間」「距離」「量」「方向」の制約から解放される。 ネット上では24時間いつでも、世界中のどこでも買い物ができる。売り手は数量にしばられることなく、いくらでも商品の情報を掲載できる。売り手と買い手は、インタラクティブにコミュニケーションをとれる。 歴史を振り返れば、人類は制約から解放される世界を自らつくりだしてきた。この観点に立つと、デジタルシフトは必然の流れといえるだろう』、その通りだろう。
。『◇クラウドという衝撃  2000年代半ばより、デジタルシフトに拍車をかけているのが「クラウド」である。クラウドとは、インターネットを経由し、さまざまなITのリソースをオンデマンドで利用できるサービスである。たとえば、コンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションなどだ。 昔は水を手に入れるために、各家庭が庭に井戸を掘っていた。これに対して、いまではコンピュータ・ネットワークに蛇口をつければ水が出るようになった。クラウドはこうした状況にたとえられる。しかも圧倒的に安価にサービスを利用できる。 その結果、井戸を掘ること、つまりITインフラの構築と保守という力仕事は、人に任せればよくなった。そして、クラウドを活用したビジネスアイデアで勝負する時代が到来したのだ』、日本企業は自社保有にこだわり、「クラウド」活用で遅れを取った筈だ。
・『◇カスタマーファースト思考  こうしたITがもたらすビジネスの変化を、著者は3つの思考の変遷として説明する。 「レガシーファースト思考」:アナログで行ってきた業務のレガシー(旧来の遺産・遺物)をそのまま引き継ぎつつ、効率化を図るためにITを活用する。20世紀的なコンピュータの使い方である。 「ネットファースト思考」:インターネットというインフラを中心に置き、そこでユーザーの利便性や満足度を高めるサービスを提供する。ネット通販やSNSがこれに当たる。 「カスタマーファースト思考」:顧客を中心に置き、ネットもリアルも、すべてのインフラを駆使して、最高のカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供する。今後はITの位置づけを、カスタマーファースト思考に大きく転換する必要がある。そして、その先頭を走っているのがアマゾンだ。 社会のデジタルシフトが進み、デジタルの力で個々人の購買行動のデータを収集できるようになった。その満足度を測定することで、アマゾンはカスタマーファースト戦略を加速させている』、日本企業は「レガシーファースト思考」に囚われているところが多いようだ。
・『◇「棚発想」から「事典発想」へ  流通業に限らず、多くの業態では、ネットとリアル、Eコマースとリアル店舗がシームレスに融合されるオムニチャネルの形態に行きつくだろう。その際、品ぞろえについては、「棚発想」から「事典発想」へと転換が求められる。 これまでリアル店舗では、売り場に商品分類ごとの棚があった。売り場面積にしばられ、取引先に依存した自分の経験ベースの品ぞろえが一般的だった。しかしオムニチャネルになると、マーケット全体を俯瞰することが重要となる。そして、まるで百科事典を編集するような発想で商品カテゴリーを分類し、顧客のニーズに合わせて商品を並べていくことが可能になる』、「事典発想」は制約が少なくなるとはいえ、優れた発想力が求められそうだ。
・『◆日本企業の現状◇まだまだ厚いレガシーの壁  残念ながら、こうしたデジタルシフトの本質を理解している日本の経営者は少ない。IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった。次に「ITを活用したビジネスモデル変革」「新たな技術/製品/サービス利用」「ITによる顧客行動/市場分析強化」が続く。それに対して日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している。 アメリカ企業は、ITにより新しい価値を生み出そうという「攻めのIT投資」を推進している。しかし日本企業の多くは、「守りのIT投資」にばかり目が向いており、レガシーファースト思考のままだといえる』、「日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している」というのは、時代に乗り遅れたことが丸出しで、恥ずかしい限りだ。
・『◇日本企業におけるIT戦略の欠如  アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない。日本企業では、システム開発はアウトソーシングが当たり前である。 ITを効率化の手段と考えれば、外注が妥当といえよう。しかし、自らのビジネスモデルを変え、ネットとリアルをつないで新しい価値を顧客に提供するというカスタマーファースト思考で考えればどうか。積極的に自社内でシステムを開発し、運営できる体制の構築が重要だと気づくはずだ。 しかし、日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ』、「アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており」、「日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ」というのでは、日本企業が追い着くのは、当面、困難だろう。
・『◇デジタルのHOWを体感する  こうした現状をどうすれば変えられるのか。核心は教育にあると著者は考えている。アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている。ITのスキルを培うことが、個人の将来のみならず国の未来にとっても重要だと認識しているためだ。 ポイントは、デジタルのような新しい技術の場合、HOW(どのように)を知らないと、WHAT(何を)と、なぜそれをするのかというWHY(なぜ)の発想が難しいという点である。すべてのビジネスパースンがプログラマーになる必要はない。しかし、デジタルのHOWを体感的に理解することが、新しい時代のビジネスモデルを創造するためには欠かせないといえる』、日本では来年から小学校でプログラミング教育が必修となるようだが、こんな形式的なことよりも、アメリカの「コンピュータ・サイエンス教育週間」の方がはるかに効果的だろう。文科省や政治家が如何に何も解っていないかを如実に示しているようだ。
・『一読のすすめ  日本企業の経営者の大半は、アナログベースでキャリアを築いてきた世代だろう。それゆえデジタルの役割について、頭ではわかっていても感覚的に理解できていない、つまり肚落ちしていないという面があるだろう。本書はそうした方にとって、とっつきやすい「デジタルシフトを見据えたビジネス」の入門書といえるのではないか。本書を通じて、アマゾン・エフェクトの波にさらされている日本企業の現状・課題をいま一度俯瞰し、次なる一歩を考えていただきたい。最後の「著者情報」は省略』、この記事を読んできた限りでは、問題点を把握はしっかりして信頼に足るようだ。時間が出来たら、読んでみたい。
タグ:EC セブン&アイ 電子商取引 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 (その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) 「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」 破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻 ドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者 “シアーズ・ローバック”の商標 19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした 当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めた 1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた 市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた 「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミット シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられた 通販から小売業へのビジネスモデルの転換 店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた 社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭 シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかった 舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖 米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った 本当の小売業を知らないファンド出身経営者 金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かった 鈴木 康弘 「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」 「アマゾン・エフェクト」 影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ 多くの企業がトイザらスのように追い詰められている 業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』 日本企業に警鐘 「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放 今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく 日本に押し寄せる4つのショック 1つ目は、アマゾン・ショック 2つ目は、クラウド・ショック 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショック 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショック ネットとリアルの融合 「オムニチャネル」 リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。 アマゾン・ブックスの風景 ネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング) 店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング) アマゾン・エフェクトの本質とはなにか アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」 クラウドという衝撃 カスタマーファースト思考 「レガシーファースト思考」 「ネットファースト思考」 「カスタマーファースト思考」 「棚発想」から「事典発想」へ まだまだ厚いレガシーの壁 IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった 日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出 日本企業におけるIT戦略の欠如 メリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している 日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない 日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている デジタルのHOWを体感する アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている
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決済(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) [金融]

決済については、2月15日に取上げた。今日は、(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意)である。なおタイトルから「システム」を外した。

先ずは、3月4日付けダイヤモンド・オンライン「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195679
・『乱立するQR決済市場にプレーヤーがまた一人加わった。 フリーマーケットアプリのメルカリは、モバイル決済サービス「メルペイ」の提供を始める。メルカリでの物品の販売によって得た収益をそのまま店舗での決済に利用できるようにすることで、入金や新規登録の手間を省くなど他社と差別化。1200万人に上るメルカリの巨大な顧客基盤を生かし、後発からのロケットスタートをもくろむ。 モバイル決済では、楽天の「楽天ペイ」やヤフーとソフトバンクが手掛ける「ペイペイ」、LINEの「LINEペイ」など、あまたのサービスがしのぎを削っている。経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標を打ち出すなど、国や世論の後押しもあって、各社が商機をにらんでいる。 だが、市場活況の陰で、実際にサービスを利用する現場では混乱も起きている。 「モバイルなどキャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ」と、ある外食企業の関係者は嘆く。 飲食店や小売店では、キャッシュレス決済が導入されると、会計時間の短縮やレジ締め作業の簡素化が可能になるので、大きな省力化になると期待が高まっていた。 だが、現状では生き残るサービスが定まらないので、多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている』、政府が消費増税対策として、クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元、総財源として1.5兆円、を打ち出したことが、決済を巡る競争を激化させている。
・『導入自体が目的化  決済仕様の乱立は、業界全体の普及を阻むボトルネックの一つだ。もちろん、決済サービス各社にも危機感があり、規格の統一に向けた動きが加速してはいる。 キャッシュレス推進協議会では、QRコード規格の標準化を目指し、18年度中にガイドラインの公表を計画する。また、ジェーシービーは自社開発した統一規格の「スマートコード」を提供し、メルペイとの提携を発表した。 一方で、モバイル決済の課題はより根本的なところにもある。 「国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」と、モバイルオーダー決済サービスを展開するShowcase Gigの新田剛史代表は指摘する。 モバイル決済は本来、事前注文と決済をひも付けることで生まれる接客の省人化や、顧客情報に基づいた販売促進などの活用への効果が大きい。だが、足元では各決済事業者の広告合戦といった“パワーゲーム”の様相を呈しており、本来の視点は軽視されがちだ。 キャッシュレスを真に根付かせるためには、単なる決済手段にとどまらない“その先”を見据える必要がある』、「導入自体が目的化」、「省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」というのは本末転倒だ。

次に、3月5日付けダイヤモンド・オンラインが米紙WSJ記事を転載した「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195906
・『いつもはテクノロジー先進国として中国のモデルとなっている日本だが、キャッシュレス決済は中国から学んでいる。 日本では昔ながらの現金決済が主流だ。しかし旅先でもスマートフォンでの支払いを望む中国人観光客が押し寄せ、変化が起き始めている。日本のインターネット企業は電子決済の普及を加速させようと、アリババグループのアント・フィナンシャル・サービス・グループやテンセントホールディングスなど、中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携を進めている。 このように、拡大を続ける中国の経済力はあからさまな圧力を使わず、先例を見せることで日本に影響を及ぼしている。一方で、アップルペイやアマゾンペイなど米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない。 東京で学ぶ中国人学生の林暉揚さん(24)は「中国ではなんでも電子決済できる。だから、日本に来た(ばかりの頃は)なぜ現金を使わなければならないのかと文句を言ったことがある」と話す。「今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している」 日本の年間家計支出額は3兆ドル(約335兆円)近くに上る。決済でわずかでもシェアを確保できれば大きな利益が期待できる。安倍晋三首相はカードかスマートフォンで支払う消費者に最大で購入額の5%を還元する計画を示しており、電子決済ビジネスへの新規参入が進んでいる。 決済会社や電子マネー企業は日本が中国のように現金決済から一気にスマホ決済に移行することを期待している。入手可能な最新のデータである2016年の政府の推計によると、日本では消費者による支払いのうち、クレジットカードやデビットカードによる支払はおよそ5件に1件にとどまった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、米国ではほぼ半数がカード払いだ。日本でクレジットカードの利用率が低いのは消費者がプライバシーの侵害を懸念していることに加え、企業が手数料を払いたがらないからだ。 決済で最大の課題は好循環――店がある決済手段を採用するのは消費者が利用しているからで、消費者は店がその決済手段を受け付けることを知っているから利用する――を生み出すことだ。 そこで出番となるのが中国人観光客だ。2018年には800万人を超える中国人が日本を訪問した。その多くが持つスマホには支付宝(アリペイ)やテンセントの微信支付(ウィーチャットペイ)など、銀行口座とつながった決済アプリが入っている。日本での消費額が140億ドルに上る中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている』、「中国人観光客」が「小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている」というのは皮肉なことだ。
・『日米消費者の決済手段の比較  日本のインターネット企業はヤフー・ジャパンやメッセージアプリのラインなどなじみのある国内のインターネットブランドと関連する決済アプリを導入することで国内消費者による利用を促したい考えだ。 ラインとテンセントの提携では、店側はQRコードを読み取る専用端末を導入するか読み取り用のアプリを利用すれば、ラインペイのユーザーとウィーチャットペイを利用する中国人客のどちらにも対応できる。 日本の決済アプリ「ペイペイ」とアリペイも同様に提携、店は両方のアプリを受け付けることが可能になった。ペイペイはヤフー・ジャパンとソフトバンクグループが日本の消費者向けに導入したアプリで、最近ではローソンと契約、約1万5000店舗に導入される予定だ。 アリペイとウィーチャットペイは米国で現地の決済処理会社と組んでおり、日本でも同様の手法を採用した。アリペイは2017年、ファーストデータと提携、クレジットカード処理の共通のプラットフォームを利用する米国企業は簡単に決済手段としてアリペイを追加できるようになった。ドラッグストアチェーン大手のウォルグリーンズは米国内の7000以上の店舗でアリペイを受け付ける方針を発表した。 日本の消費者のプライバシー懸念はスマホ決済にも及んでおり、キャッシュレス決済の普及までには障害が残っている。国内第3位の銀行を傘下に持つみずほフィナンシャルグループがアリペイや同じく中国の銀聯(ユニオンペイ)と決済アプリで提携する計画を発表した際には、ユーザーのプライバシーが中国政府に漏れることはないと保証することを余儀なくされた。 みずほフィナンシャルグループの山田大介専務執行役員は先月の記者会見で「情報が日本から出ていくのではないかとか、日本の情報が中国に行ってしまうのではないかとか、いろいろなところから意見があった」が、そうしたことは不可能で、心配する必要はないと述べた。 課題は他にもある。消費者にはさまざまな決済手段の中から利用する手段を選んでもらう必要があり、小売業者に対してはスタッフの研修と機器に投資するよう説得しなければならない。 安倍政権は日本が中国に後れを取っていることを認識しており、脱税対策も兼ねて、キャッシュレス決済比率を現在の2倍の40%まで増やすという目標を掲げている。 政府は消費税を8%から10%に引き上げる今年10月1日から、中小小売業者でスマホやクレジットカードなど現金以外で代金を支払った場合、購入額の最大5%を還元する方針だ。消費増税による景気後退のリスクを減らすことが目的で9カ月間実施する。実施には25億ドル超の費用がかかる。 UBSのアナリスト、居林通氏はキャッシュレス決済について、政府が補助金を出す唯一の決済であると指摘、 政府による還元が日本がキャッシュレス決済に向かうターニングポイントになると話した』、政府による「5%を還元」策は、消費増税対策に名を借りたキャッシュレス決済推進策だが、私はいささかや過ぎではないかと思う。

第三に、4月13日付けダイヤモンド・オンライン「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199724
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に  何か商品を買おうと思った時に、まずはネットで検索するのが習慣になっている人が、最近は多いのではないだろうか。 かく言う私もそうだ。先日も、ある商品を買ってみようと思い立ち、グーグルの検索窓に商品名を打ち込んだ。そして、その商品を扱っている複数のネットショップを閲覧し、価格を比較した。結局、その時は購入には至らなかった。 ところが、しばらくしてフェイスブックを眺めていたら、私のタイムラインに、その商品や関連商品に関する広告がひんぱんに表示されるようになった。 きっと多くの人が、同じような経験をしているはずだ。 私の場合、表示された広告は楽天市場が出広したものだった。確かに閲覧したサイトの中に楽天市場もあった。だが、楽天グループのサイトに広告が表示されるのは、まだわかる。だが、私が見ているのはフェイスブックのタイムラインだ。つまりこれは、少なくとも閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されていることを意味している。 私自身は、こうした広告を「便利」と感じる方だ。インターネットによる生活の利便性向上の1つだと思うからだ。しかし、個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない。 例えば、これがリアルな生活の場面にまで広がったらどうだろう。デパートなどの実店舗で、ネットで検索や閲覧をせずに購入した商品の広告が、SNSの画面にタイミングよく表示されたら、さすがの私でもうす気味悪いと感じるかもしれない。日常の行動がすべて監視されているような気がするからだ。 いま日本政府は、経済成長のエンジンの1つとして「キャッシュレス化」の方針を掲げている。実は、このキャッシュレス化が、上記の「監視されているかのような気味の悪さ」を現実にしそうなのだ。 リアル店舗で現金を使う分には、店員に話したり、会員登録などをしたりしない限り、名前や住所、連絡先、これまでの購入履歴といった個人情報が「売る側」に渡ることは、ほとんどない。しかし、キャッシュレス決済の場合、金融口座やクレジットカードに登録してある個人情報がオンラインで決済業者や店舗に流れる。 つまりキャッシュレス化が進めば進むほど、多くの人の日常的な購買行動がネットに流れ、データ化される。果たして、これを「便利」の一言で片付けてよいものだろうか。 本書『キャッシュレス覇権戦争』は、日本で進行中のキャッシュレス化の現状を整理した上で、それが私たちの生活に及ぼす影響や、新たに生じる課題について論じている。 著者は、『Suicaが世界を制覇する』(朝日新書)などの著書がある消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏。流通、情報通信、金融分野を中心に活動し、現在はNPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長も務める。特にクレジットカードについては30年にわたり取材を続けている第一人者だ』、「個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない」、私は「気味の悪さを感じる」ほうだ。
・『火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い  キャッシュレス化は中国や韓国、北欧などで先行しており、日本は後れを取っている。特に中国では、ネット通販大手アリババの「アリペイ」や、メッセンジャーアプリで成功したテンセントの「ウィーチャットペイ」などの普及が著しい。 これらはQRコードを顧客がスマホで読み取るだけで決済が可能。機器を導入する必要がないため、店舗側の導入が一気に広がった。 よって、こうした気軽なスマホ決済がキャッシュレス化の導線になるのは間違いなく、ここにきて日本でも同様の新しい決済サービスが、雨後のたけのこのように多業種から次々と登場している。 例えば、携帯事業者系ではdocomoの「d払い」やauの「au PAY」、ソフトバンクとヤフー共同出資による「PayPay(ペイペイ)」、ITサービス系では「LINE Pay」「楽天ペイ」「Amazon Pay」、コンビニ系では現時点で「ローソンスマホレジ」がスタートしている。 また、メルカリの「メルペイ」、モバイル決済ベンチャーによる「Origami Pay」など、ベンチャー企業も参入。いささか多すぎるほどのスマホ決済サービスが、ユーザー獲得にしのぎを削る。 日本能率協会総合研究所の予測によれば、国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する。この「8兆円市場」でシェアを獲得しようと、決済事業者同士の熾烈な「覇権戦争」が繰り広げられているのだ。 その競争の激しさを象徴する出来事の1つに、昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」がある。 これは、2018年12月4日にスタートしたQRコードを使った決済サービス「ペイペイ」を運営するPayPay株式会社が仕掛けた「『100億円あげちゃう』キャンペーン」をめぐる騒動である。 このキャンペーン期間中は、1人5万円を上限に、支払額の20%相当が利用者に還元されるほか、何度かに1回は全額がキャッシュバックされた。還元される総額は100億円。何とも大胆な大盤振る舞いだが、8兆円市場を考えれば、100億円など取るに足らないと、PayPayは考えたのだろう。 周知の通り、このキャンペーンには短期間に顧客が殺到。あっという間に100億円を使いきり、最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了してしまった。 今後は、他社も多様なキャンペーンでシェア獲得を狙うはずだ。プレイヤーが出そろえば、覇権戦争はさらに激しくなる』、「『100億円あげちゃう』キャンペーン」は、あれだけ大騒ぎになったので、広告効果を考えれば、安いものかも知れない。
・『自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も  岩田氏は、キャッシュレス社会が「データ監視社会」につながると指摘する。キャッシュレス決済が普及することで、「誰が・いつ・どこで・何を・いくらで・どれだけ買ったか」といった情報が、私たちの知らないうちに勝手に収集・分析される社会になるというのだ。 では、「勝手に」データを収集されない方法はあるのだろうか。 その点に関して岩田氏は、2018年5月18日にEU(欧州連合)が施行した法律「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」を紹介している。 GDPRは、EU28ヵ国にノルウェーなど3ヵ国を加えたEEA(欧州経済領域)でビジネスを展開する企業に適用される。EEA31ヵ国に所在するすべての個人データを圏外に持ち出すことが原則禁止されるのだが、重要なポイントは、各個人が自らの個人情報をコントロールする「データポータビリティ権」が保証されることだ。 実は日本でも同様の取り組みが進められているのをご存じだろうか。本書でも紹介されている「情報銀行」の構想だ。 政府主導で進行中のこの構想は、情報銀行が個人の購買履歴、家計収支、健康情報といった多様なデータを個人から預かり、一元管理するものだ。そうした情報がほしい企業には、データの所有者である個人の意向を確かめた上で、情報銀行が提供する。 さらに情報銀行にデータを預ける個人は、それをどの企業に、どういう個人情報を提供するか、細かく指定できるようになるという。つまり、「サイトの閲覧履歴を楽天には提供してもいいが、フェイスブックには渡さないでほしい」といった、個人情報提供をコントロールすることが可能になる。 このようにネットの利便性を享受しながらも、必要なプライバシーを守るためのルールづくりは、確実に進められているようだ。 だが、利便性と個人情報保護の両立は、完全なトレードオフではないものの、なかなか一筋縄にはいかない。 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる。 例えばDuck Duck Goでは、検索結果の表示順に過去の検索履歴やユーザーの指向などが勘案されない。そのため、自分にとって無駄な情報が上位に来ることがあるので、役立つ情報にたどり着くのに、余計な手間と時間がかかる。 シンプルな表示に最初はすがすがしさを感じるのだが、だんだん不便さがつのり、正直イライラしてくる。 これからのインターネットを利用したイノベーションに、個人情報の収集と流通に関する検討が欠かせなくなるのは間違いないだろう。利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 本書では、キャッシュレス化による利便性と、個人情報保護に関する課題の両面からの議論が、わかりやすく整理されている。企業と個人の双方が個人情報を上手にコントロールしながら、より便利な社会を築くために何が必要か、本書を参考に、しっかりと考えてみたい』、「情報銀行」は果たして定着するのだろうか、しばらく様子を見る必要がある。「「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる」、「利便性とプライバシーのバランス」は難しい課題のようだ。

第四に、4月29日付けZAKZAK「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/190429/eco1904290003-n1.html
・『急速に普及するキャッシュレス決済だが、思わぬ落とし穴がある。交通系ICカードやバーコード決済などにお金をチャージしたまま一定期間利用せずに放置すると、権利が失効し、残高が「0」になるケースがあるというのだ。こうした対応の中身は、別表のように、サービスを提供する会社によって大きく異なる。あなたの電子マネーは大丈夫? バーコード決済の新興勢力で、100億円の「バラマキキャンペーン」を2度にわたり実施している「PayPay(ペイペイ)」。その利用規約をみると、失効までの期間が「2年」と書かれている。ペイペイ広報室は、「現在は最後に残高の増減があった日から2年となっているが、5月中旬に5年へと延長する予定だ」と話した。 同社広報室によると、銀行口座からペイペイにいったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない。失効した残高は同社の雑収入になるという。 一般に現金を電子マネーにチャージするのは「前払式支払手段」と呼ばれ、事業者は資金決済法に基づいて約款や利用規約などを設けている。事業者によって違いはあるが、カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する。 前出のペイペイ広報室は、「前払式支払手段は商品券と似た意味合いで、商品券と同じように有効期限がある」と説明した。 スマホ決済でペイペイと競合する「LINE Pay(ラインペイ)」も失効までの期間は5年。同社広報は「サービスの建て付け上(預貯金と異なり)一生お預かりすることができかねる」と回答した。同社の場合、216円の手数料が掛かるが、換金は可能だという』、ペイペイやラインペイなどは前払式支払手段で、「カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する」、ペイペイは換金不可能というのは初めて知った。
・『いち早く定着している交通系電子マネーはどうか。JR東日本が発行する「Suica(スイカ)」は、最後の利用から失効までの期間が10年だ。同社はその理由を「お客さまの利用履歴などの情報が入っているため、10年以上たつとその情報が入った磁気をうまく読み取れなくなる恐れがある。安定的にサービスをご提供するため、期間を設けている」と回答した。 ただ、残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 JR西日本の「ICOCA(イコカ)」も、約款に10年が失効の期限とあるが、同社広報部によると、それ以降でも問題なく利用可能だという。 鉄道27事業者、バス76事業者が導入している「PASMO(パスモ)」も失効までの期間が10年だ。規約には、失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」と記載されている。 失効した残高はどうなるのか。今期のパスモ広報幹事を務める京成電鉄は、「企業会計規則に基づいて適切に処理している」との回答だった。 なぜ各社のサービスによってここまでも差が生まれてしまうのか。資金決済法には有効期限に関する記載はなく、事業者が電子マネーの価値を担保し続ける必要はないのだという。 電子マネーの失効の期限に関しては、国民生活センターにもトラブルが報告されている。記念の交通系カードを大切に保管しておいた20代男性は、いざ使おうとしたところ有効期限が過ぎており、4000円のチャージ金額が戻ってこなかった。 50代女性の場合、娘からもらった交通系カードを利用しようとしたところ、期限が過ぎており、数千円が戻ってこなかったという。 同センターはホームページで、「購入する電子マネーに有効期限があるかどうかよく確認し、有効期限がある場合はいつまで利用できるのか必ず確認しましょう」と注意喚起している。 一方で流通系の「nanaco(ナナコ)」、「WAON(ワオン)」さらには、ネット系の「楽天Edy(エディ)」では約款や利用規約に残高の失効期間を設けていない。 新規で電子マネーを購入する場合や、家でICカードが眠っている場合などは注意したい』、交通系電子マネーでは、SuicaやICOCAは、「最後の利用から失効までの期間が10年」だが、その後も「残されたお金を新しいカードへと移すことができる」。他方、失効後は、返還請求できないのも初めて知った。同じ交通系電子マネーといっても、発行体によって扱いが違うようだ。いずれにしても、「失効」には気を付ける必要がありそうだ。
タグ:suica 決済 QRコード PASMO ICOCA ZAKZAK スマホ ダイヤモンド・オンライン メルカリ 消費増税対策 ペイペイ ラインペイ 米紙WSJ (その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) 「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」 「メルペイ」 「楽天ペイ」 「ペイペイ」 「LINEペイ」 経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標 実際にサービスを利用する現場では混乱も キャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ 多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元 国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている 「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」 キャッシュレス決済は中国から学んでいる 中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携 米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない 今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している 中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている 日米消費者の決済手段の比較 「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」 キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に 閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されている 個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない 『キャッシュレス覇権戦争』 岩田昭男氏 火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い 国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する 昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」 『100億円あげちゃう』キャンペーン 還元される総額は100億円 最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了 自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も GDPR 「情報銀行」 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる 利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」 失効までの期間が「2年」 5月中旬に5年へと延長する予定だ いったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない 失効までの期間は5年 換金は可能 交通系電子マネー 最後の利用から失効までの期間が10年 残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」
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メディア(その14)(小田嶋氏:「迷惑をかけた」の半分以上は) [メディア]

メディアについては、3月1日に取上げた。今日は、(その14)(小田嶋氏:「迷惑をかけた」の半分以上は)である。

コラムニストの小田嶋 隆氏が3月15日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「迷惑をかけた」の半分以上は」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00011/?P=1
・『ミュージシャンで俳優のピエール瀧さんがコカインを使用したとして逮捕された。 逮捕されたということは、ここから先は、「ピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)=東京都世田谷区」といったあたりの主語を使って原稿を書き進めるべきなのだろうか。 なんということだ。 最初の、主語の選び方の時点で気持が萎えはじめている。 個人的に、平成の30年間は、この種の事件に関連する原稿を書くに当たって、メディア横断的な横並び圧力が強まり続けてきた30年だったと感じている。特に、犯罪に関わった人間を扱う際の主語や敬称の使用法がやたらと面倒くさくなった。 なんというのか、 「主語の運用において、礼法に則った書き方を採用していない書き手は信用に値しません」 みたいな、七面倒臭いマナーが、業界標準として定着してしまった感じを抱いている。 「ハンコを押す時には、相手の名前に向かって軽く頭を下げる角度で押印するのがビジネスマナーの基本です」 みたいな、どこのマナー講師が発明したのかよくわからない原則が、いつの間にかオフィスの定番マナーになりおおせているのと同じく、記事の書き方に関しても、この半世紀の間に、不可解な決まりごとが増えているということだ』、言われてみれば、確かにその通りで、読み手からみても、同調圧力の強さには不気味さを感じる。
・『私がライターとして雑誌に文章を書き始めた1980年代当時は、タレント、政治家、一般人、容疑者、肉親、友人、被告、受刑者などなど、どんな立場のどんな人物についてであれ、あらかじめ定型的な表記法が定められていたりはしなかった。私自身、その時々の気分次第で、犯人と名指しされている人間を「さん」付けで呼ぶケースもあれば、政治家を呼び捨てにした主語で原稿を書くこともあった。それで誰に文句を言われたこともない。 というよりも名乗る時の主語が、「私」だったり「おいら」だったりするのが、本人の勝手であるのと同様の理路において、文章の中に登場する人物のうちの誰に「さん」を付けて、誰を呼び捨てにするのかは、書き手の裁量に委ねられていた。別の言い方をするのなら、敬語敬称の運用法も含めて、すべては個人の「文体」とみなされていたということでもある。 それが、ある時期から新聞記事の中で 「○○容疑者」「○○被告」「○○受刑者」という書き方が作法として定着し、さらに 「○○司会者」「○○メンバー」といった、一見ニュートラルに見える肩書無効化のための呼称までもが発明されるに及んで、文章の中に登場する人物への呼びかけ方は、独自の意味を獲得するに至った。 つまり、 「誰をさん付けで呼び、誰を呼び捨てにするのかによって、書き手のスタンスや立場が計測されるようになった」ということだ。 これは、著しく窮屈なことでもあれば、一面理不尽なことでもある。 というのも、書き手から見た文章中の登場人物への距離なり感情なりを示す手がかりである「呼びかけ方」は、必ずしも世間におけるその人物の序列や評価と一致しているわけではないからだ。ついでに申せば、犯罪者への共感であれ、国民的英雄への反感であれ、ひとつの完結した文章の中で表現されることは、本来、書き手の自由意志に委ねられている。 早い話、どれほどトチ狂った言動を繰り返しているのだとしても、私にとってルー・リード(注)先生はルー・リード先生だし、世間がどんなに尊敬しているのだとしても、大嫌いな○○を「さん」付けで呼ぶのはまっぴらごめんだということだ』、その通りだ。(注)ルー・リード:アメリカのロックなどのミュージシャン。
・『今回、私が、本題に入る前に、敬称の有無や種類のような表現の細部にこだわってみせているのは、ピエール瀧氏について、私がどんな感情なり見解を書くことになるのかは、私が自分の原稿の中で彼をどんな名前で呼ぶのかということとに深く関連していることを、強く自覚しているからだ。 「ピエール瀧容疑者」という主語を使ってしまったが最後、その後の部分で私がどんなに真摯な共感を表明したのだとしても、それらは言葉どおりには響かない。 「ピエール瀧容疑者よ。私はあなたの自在なトークが大好きでした」と、こんな書き方で、いったい何が伝わるというのだろうか。 新聞や雑誌のような媒体が、特定の人物について呼称なり表記の統一を要求したがるようになったのは、おそらく単に、メディアとしての統一性を確保したいからに過ぎない。彼らとて、犯罪の容疑者である人物に対して、共感を抱いたり好意を持つことを一律に禁じようとしているわけではないはずだ。 しかし、表記の統一がもたらす効果について言うなら、それはまた別だ。 ある人物について呼称を統一することは、その人物への感情の向けられ方を定型化せずにはおかない。 書き手の立場からすれば、「容疑者」と表記した人物については、その呼称にふさわしい書き方でしか描写できなくなってしまう。 これは、なんでもないことのようだが、実は、とんでもないことだ。 なんとなれば、「容疑者」なり「受刑者」なりという呼称は、一個の人間から人間性を剥奪するスティグマ(烙印)として機能するはずだからだ』、「呼称」の意味を改めて深く考えさせられた。
・『事件が発覚した一昨日の深夜以来、テレビの情報番組は、ひたすらにピエール瀧氏が犯した犯罪の深刻さを強調し続けている。 テレビの画面を見ていて私が感じるのは、彼が犯したとされる 「罪」のかなりの部分が、メディアによってアンプリファイ(増幅)された 「騒動」だということだ。 瀧氏が、報道されている通りに、違法な薬物を使用していたのであれば、そのこと自体は、無論のこと犯罪だ。 その点については、ご本人も認めている。 しかしながら、午前中から夕方にかけての時間枠の長い情報番組が、何度も何度も繰り返し繰り返し同じ映像を使い回ししながら、しきりに強調し続けているのは、瀧氏のかかわった仕事が、次々と配信停止になり、あるいは発売中止や公演停止に追い込まれ、店頭から回収され、一緒に働いていた仲間の努力が水泡に帰し、貧しい劇団員たちの収入が途絶え、損害が発生し、関係者が事態収拾に走り回り、事務所の人間が頭を下げ、相棒が涙を流し、ファンが落胆し、テレビ司会者が「裏切られた」と訴えている経緯や展開だったりするわけなのだが、それもこれも、結局のところ「メディアの主導によって引き起こされている事件の余波」によるものだ。 もちろん、最も根本的な部分の原因は、瀧氏の不適切な行動にある。 このことははっきりしている。 しかし、火種を大きくし、見出しの級数を拡大し、関係者に対応を問い合わせしまくり、肉親に直撃取材を試み、ファンにコメントを求めているのは、テレビ局のスタッフでありスポーツ新聞の記者たちだ。 そもそも、映画会社が配信を断念し、ゲーム制作会社が販売を延期し、放送局が収録済みの番組のネット配信を引き上げるに至った理由は、消費者による問い合わせや抗議の声が拡大し、現場のスタッフが縮み上がったからなのだが、その問い合わせや抗議のネタ元となった騒動の拡大を煽ったのは、ほかならぬテレビの情報番組だったりしている。 ということは、10億円以上と言われている賠償額をより大きくすることでニュースバリューの引き上げにかかっているのは、実は彼らメディアの人間たちであり、結局のところ、われわれが真っ昼間のテレビの画面上で見せられているのは、進行中のメディアによるマッチポンプだということだ。 「世間をお騒がせして申し訳ない」という、不祥事に関連した有名人が謝罪する時に吐き出す定型句が、はからずも示唆しているのは、 「騒いでる世間って、要するにあんたたちメディアのことだよね」ということだったりする。 つまり、「迷惑をかけた」と、タレントさんが謝罪する時の具体的な「迷惑」のうちの半分以上は、メディアが自作しているということだ。なにしろ彼らは、騒動が鎮火しそうになる度に新たな燃料を投下して、コンテンツの延命化を図っている。 というのも、彼らにとっては、誰かの迷惑のタネを生産し続けることが自分たちの商売の前提だからだ』、「われわれが真っ昼間のテレビの画面上で見せられているのは、進行中のメディアによるマッチポンプだ」とは言い得て妙だ。「彼らにとっては、誰かの迷惑のタネを生産し続けることが自分たちの商売の前提だからだ」、メディアもずいぶん罪作りなことをしているようだ。
・『さらに言えば、メディアは、自分たちが騒ぎを起こしている理由すら自作している。 この理屈はちょっとわかりにくいかもしれない。 説明すれば以下のようなことだ。 彼らは、薬物事犯が極めて反社会的かつ破廉恥な犯罪であり、その罪を犯した人間を断罪し追及することこそが自分たちメディアの使命であるという意味の宣伝を繰り返している。 で、彼らは、違法薬物が人間の精神を蝕む悪魔の粉であり、反社会的組織の資金源でもある旨を、深い事情を知らない視聴者に向けて啓蒙することが自分たちに与えられた神聖な役割であることをアピールしている。 要するに、テレビの関係者としては、自分たちが、この種の薬物事犯の報道を大きく扱う理由は、VTRの尺を稼ぐためでもなければ、視聴者の注意を惹くためでもなく、ただただ「社会のため」だということを強調しているわけだ。 でも、本当のところ、彼らは、騒ぎが起こったから報道しているのではない。 どちらかといえば、メディアが寄ってたかって報道していることで騒ぎが発生していると言った方が実態に近い。 しかも彼らは、瀧氏の関わった作品が次々とお蔵入りになっているプロセスを粛々と伝えているそのニュースの背景映像として、瀧氏のコンサート映像を流し続けている。 瀧氏が映りこんでいる映像の販売や配信については、不謹慎だからという理由で自粛させておいて、自分たちは瀧氏の映像を間断なく再生し続けているわけだ。 無論、彼らには彼らの理屈があって、薬物犯罪の容疑者を断罪する文脈の中で、その容疑者が過去に関わった映像を流すことは何ら問題ないとか、そういう話になるのだろう。 違法薬物の使用なり所持が発覚すると、その瞬間から苛烈な吊し上げ報道が展開され、あらゆる関連作品が自粛の波に飲み込まれることは、誰であれ制作物に関わっている21世紀の人間であれば、ある程度あらかじめ承知していることだ。 そういう意味で、メディアによるリンチ報道は、未体験の人間を薬物の誘惑から遠ざける役割を果たしていると思う。 私自身、「幻覚」だとか「多幸感」だとかみたいな言葉を繰り返し聞かされているうちに、試してみたいと思う瞬間が無いわけでもないのだが、のりピーや瀧さんの扱われ方の残酷さを見ていると、とてもではないが、いまさらハイエナのエサに手を出す気持にはなれない。 違法薬物への入り口を塞ぐ意味で貢献しているのだとしても、薬物からの出口というのか、依存症に陥った人間を更生に導く意味では、現状のメディア・スクラムは、逆効果しかもたらしていない。 ひそかに薬物を使っている人間にとっては、薬物摂取の習慣をなんとしてでも隠蔽する理由になるだろうし、現実問題として、内心で薬物依存からの脱却を願っていたとしても、断薬への道を歩み始める手前の段階に 「人間やめますか」のハードルが課されている現況はどうにもキツすぎる』、「メディアによるリンチ報道は、未体験の人間を薬物の誘惑から遠ざける役割を果たしている」、しかし、「依存症に陥った人間を更生に導く意味では、現状のメディア・スクラムは、逆効果しかもたらしていない」というのはかなり深い分析だ。
・『最後に、断酒中のアルコール依存症患者としての立場からの言葉を残しておきたい。 断酒には(あるいは断薬にも)ある頑強な逆説がかかわっている。 この逆説は、とても説明しにくい。 他人に説明しにくいくらいだから、本人にとっても極めてわかりにくいのだが、なんとか説明してみる。 以下、ややこしい話になると思うが、なんとかついてきてほしい。 アルコール依存者の自助組織であるAA( Alcoholics Anonymous =直訳は「匿名のアルコール依存症者たち」)では、伝統的にアルコール依存からの回復の手順として「12ステップのプログラム」と呼ばれるものが伝えられている。 ウィキペディアの項目が比較的よく整理されているので、興味のある向きは参照してみてほしい。 これは、薬物やギャンブルなどの依存症にも適用されている有用な手法なのだが、当事者にとって(特にわれわれのような一神教の信仰を持っていない日本人にとって)最初の2つのステップが難物だ。しかも、この最初の関門を突破しないとその先の回復のステップを進むことができない仕様になっている。 念のために列挙してみると、以下のような文言だ。 1.私たちはアルコールに対して無力(powerless)であることを自覚した(admitted)-自分自身の生活がコントロール不能(unmanageable)である。 2.偉大なパワー(Power greater)が、私たちを正気に戻してくれると考えるようになった。 1で言っていることはつまり「自力では酒をやめられないこと」を認めることではじめて、「酒をやめるためのスタートライン」に立つことができるということだ。 全体としては「自分の無力さを自覚することではじめて再出発できる」というお話なのだが、この理屈には「自己放棄による再出発」というかなりあからさまなダブル・バインド(注)が介在している。それがどうしても腑に落ちない。だって、再出発する当の本人が自分自身を信用しないでどうする? と、どうしてもそう思えてしまうからだ。 ジョンレノンの「HOW」という歌の最初の一行は、 " How can I go forward when I don't know which way I'm facing?" と歌いはじめられている。私はこのフレーズを思い出したものだった。 「自分がどの道を歩いているのかもわからないで、どうして前に進むことができるだろう?」 その通りだ。自分を信じない人間が、どうやって自分をいましめることができるんだ? で、その答えが、2番めの、「大いなる力」というわけなのだが、これが、モロにキリスト教の「神」っぽくて、普通に育った日本人の私には、やはり受け入れがたい。 率直に言えば「うそつけ」「だまされてたまるもんか」とそう思えるわけだ。実のところ、私はいまでもちょっとそう思っている。 ただ、この二つのステップの絶妙なところは、「自分の(アルコールに対する)無力さ」という依存症の本態を、これ以上ないシンプルな言葉で言い当てているところだ。 多くのアルコール依存者が断酒に失敗するのは、 「自力で」「気力で」「強い意志の力で」アルコールなり薬物なりへの欲望をねじふせようとするところにある。 これをやると、遅かれ早かれいずれ忍耐が決壊するポイントに到達する。 我慢には、限界がある。 限界までは我慢できるけれど、限界が来たら、我慢はやぶれる。当たり前の話なのだが、この当たり前のところがなかなか理解できない』、なるほど。
(注)ダブル・バインド:ある人が、メッセージとメタメッセージ(メッセージは伝えるべき本来の意味を超えて別の意味を伝えるようになっていること)が矛盾するコミュニケーション状況におかれること(Wikipedia)。
・『薬物使用者を断罪する報道を見ていると、いずれも、依存症患者を 「我慢の足りない人」「自己制御のできていない人間」「自分に甘えている人」というふうに規定するドグマから一歩も外に出ていない。 違法の薬物に手を出して、それをどうしてもやめることができずに、いずれ発覚したらすべてを失うことをよく理解しているのに、それでもやっぱり常習的に使用することを断念できずにいたのは、意志が弱いとか見通しが甘いとか、そういう話ではない。 病気だったということだ。 病気だということの意味は、自力では治せないということでもあれば、自分を責めても仕方がないということでもあれば、治療法については他人の力を借りなければならないということでもある。 依存症患者が陥りがちなループから逃れることがまず最初の課題だということでもある。 そのループとは、 +自分は誰よりも酒(あるいはクスリ)を理解している。 +自分ほど自分を理解している人間はいない。 +自分は自分をコントロールできている。 +酒(クスリ)は、時に自分を失わせるが、その酒(クスリ)を自分は自分の意思で制御している。 +ということは自分は酒(クスリ)を通して自分をコントロールできている。 みたいな奇妙な理屈なのだが、これは、酒(あるいはクスリ)とセットになると無敵の自己弁護になる。 この境地から外に出ることが、つまり、自分の無力さを自覚することになるわけだ。 わかりにくい話をしてしまった』、さすが、アルコール依存症に苦しんだ小田嶋氏だけある。
・『ピエール瀧さんとは3度ほど同席させてもらったことがある。その都度、心底から愉快な時間を過ごすことができたと思っている。とても感謝している。 私の知る限り、どの芸人さんやタレントさんと比べても、あんなに爆発的に面白い人はほかにいない。 無論、個々の芸人さんたちとて、本筋の芸を演じる時には、見事な面白さを発揮してくれる。そのことはよくわかっている。 でも、瀧さんは、私がこれまでの人生でナマで話した人の中で、誰よりも素の会話の面白い人だった。これは自分の中では動かない事実だ。 その面白さがクスリの作用だったとは私は考えていない。 クスリや酒は、気分を動せても、アタマの中身そのものを変えることはできない。 そのアタマの中身の素晴らしさをもう一度取り戻すためにも、ぜひ断薬してほしいと思っている』、私はピエール瀧のことは殆ど知らないが、小田嶋氏がここまで褒めるのであれば、それなりの人物なのだろう。再起を期待したい。
タグ:メディア 日経ビジネスオンライン 小田嶋 隆 (その14)(小田嶋氏:「迷惑をかけた」の半分以上は) 「「迷惑をかけた」の半分以上は」 ピエール瀧さんがコカインを使用したとして逮捕 平成の30年間は、この種の事件に関連する原稿を書くに当たって、メディア横断的な横並び圧力が強まり続けてきた30年だったと感じている 主語の運用において、礼法に則った書き方を採用していない書き手は信用に値しません」 みたいな、七面倒臭いマナーが、業界標準として定着してしまった感じ 誰をさん付けで呼び、誰を呼び捨てにするのかによって、書き手のスタンスや立場が計測されるようになった 書き手から見た文章中の登場人物への距離なり感情なりを示す手がかりである「呼びかけ方」は、必ずしも世間におけるその人物の序列や評価と一致しているわけではない 「ピエール瀧容疑者」という主語を使ってしまったが最後、その後の部分で私がどんなに真摯な共感を表明したのだとしても、それらは言葉どおりには響かない 新聞や雑誌のような媒体が、特定の人物について呼称なり表記の統一を要求したがるようになったのは、おそらく単に、メディアとしての統一性を確保したいからに過ぎない ある人物について呼称を統一することは、その人物への感情の向けられ方を定型化せずにはおかない 彼が犯したとされる 「罪」のかなりの部分が、メディアによってアンプリファイ(増幅)された 「騒動」 「メディアの主導によって引き起こされている事件の余波」 結局のところ、われわれが真っ昼間のテレビの画面上で見せられているのは、進行中のメディアによるマッチポンプだということだ メディアは、自分たちが騒ぎを起こしている理由すら自作している 物事犯が極めて反社会的かつ破廉恥な犯罪であり、その罪を犯した人間を断罪し追及することこそが自分たちメディアの使命であるという意味の宣伝を繰り返している メディアが寄ってたかって報道していることで騒ぎが発生していると言った方が実態に近い メディアによるリンチ報道は、未体験の人間を薬物の誘惑から遠ざける役割を果たしていると思う 依存症に陥った人間を更生に導く意味では、現状のメディア・スクラムは、逆効果しかもたらしていない 断酒中のアルコール依存症患者としての立場 アルコール依存者の自助組織であるAA( Alcoholics Anonymous 伝統的にアルコール依存からの回復の手順として「12ステップのプログラム」 1.私たちはアルコールに対して無力(powerless)であることを自覚した(admitted)-自分自身の生活がコントロール不能(unmanageable)である 2.偉大なパワー(Power greater)が、私たちを正気に戻してくれると考えるようになった 常習的に使用することを断念できずにいたのは、意志が弱いとか見通しが甘いとか、そういう話ではない。 病気だったということだ
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ネットビジネス(その6)(“ぐるなび離れ”が飲食店で進む グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル、グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図、「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う 海外ネット事情) [産業動向]

ネットビジネスについては、昨年9月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(“ぐるなび離れ”が飲食店で進む グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル、グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図、「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う 海外ネット事情)である。

先ずは、昨年11月13日付けダイヤモンド・オンライン「“ぐるなび離れ”が飲食店で進む、グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185209
・『週刊ダイヤモンド2018年11月17日号は「お得×旨い×テック 外食新格付け」です。今、外食産業はITやテクノロジーの浸透で環境が激変しています。そんな中で生き残る外食チェーンはどこか、取材を通して探りました。そんな業界の最先端事情が満載の本特集から、飲食店と「食べログ」や「ぐるなび」などのグルメメディアの関係についてのレポートを、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。 「ぐるなびへの広告費用をかなり減らした。だって、効果がないんだもの」。ある飲食店経営者は冷めた表情で言い放った。 業績で堅調な食べログとは対照的に、ぐるなびは今期、2期連続の減収減益を見込むなど振るわない。その要因として指摘されているのが、送客力というメディアパワーが落ちたことによる、飲食店からの“切り捨て”だ。 消費者の情報取得ルートが多様化する中で、飲食店側も販売促進の手段を多様化させてきている。 フェイスブックやインスタグラムといったSNSが浸透し、飲食店が自ら販促を仕掛けるルートが生まれた。オウンドメディアと呼ばれる自前のサイトの強化も進む。 「予約者の情報は、基本的にグルメサイトのものであり、オウンドメディアを強化しない限り、例えば予約者にメールマガジンを送るといった販促も難しい」と顧客管理システムを提供するTableCheckの谷口優代表。ブランド力を高めてリピーターを増やしていくためには、オウンド化の実行が必然ともいえるのだ。 従来はある程度成果が不透明でもグルメメディアに“お任せ”していたものが、人件費など種々のコストの高騰もあり、そうした意識を持つ飲食店では一斉にグルメメディアの費用対効果をシビアに見直し始めている。 宿泊業で自社サイト予約のベストレート(最低価格)保証が主流となっているように、グルメサイトによらない販促はますます加速していくだろう』、「グルメサイト」から「オウンドメディア」への流れがあり、前者のなかでは、「ぐるなび」が「食べログ」に食われているようだ。ただ、私の実感からすると、「食べログ」は信頼性に欠けるような気がしている。
・『販促費捻出のため食材・人件費削減 常連客つかぬ必然  そもそも、グルメメディアを頼った集客は、従来致命的な問題点を抱える。販促のターゲットがリピーターではなく、新規客に偏っていることだ。 本来、店舗はリピーターを重視しファンをつくりたい。だが、グルメメディアにとっては、自社メディアを経由しないリピーターが増えれば、送客手数料が減り費用対効果が見直されるなど収益が減る。 つまり、飲食店とグルメメディアの利害関係は根本的に相いれないものだ。それでも店舗側は新規送客という“麻薬”から抜け出せずにきた。 例えば、ぐるなびでは、通常の基本料金(正会員で月5万円~)に加えて、表示順位を上げるためのオプションや、特集(「忘年会」や「ビールがうまい」などといったテーマ別の紹介ページ)に掲載するための費用などが掛かる。上位に表示させるためには当然、多くのカネが要る。 激戦区の東京・新宿などでは、「新宿 居酒屋」といった具合に検索して上位に表示されるのは、「月額で50万円は支払っているような店舗がほとんど」(関係者)だという。表示順位が下がれば(一般に3ページ目以降の表示順は集客効果が薄いといわれる)客足が止まるのだから、莫大な販促費を掛けざるを得ない。 こうしてグルメメディアが新規客、つまり“いちげんさん”を集めることで何が起きるか。 新規客を常連に変えるために、店側は味や雰囲気といった魅力で引き付けなくてはいけない。しかし、「少ない利益の中で販促費を掛けようと思ったら、人件費や食材費を削るしかなくなる。つまり、サービスも味も悪い店になっていく」と別の飲食店経営者。「新規を集めたところで、そんなお店にもう一度来ようなんてならない…」とため息をつく。 グルメサイトを絶てば新規送客が減るので、サイトへの費用を掛けざるを得ない。でも、集まった客を常連客にできない。だから、また新規客を集めるために費用を掛ける。そんな負のスパイラルに陥るのだ』、「飲食店とグルメメディアの利害関係は根本的に相いれないものだ」、「グルメメディアが新規客、つまり“いちげんさん”を集めることで何が起きるか。 新規客を常連に変えるために、店側は味や雰囲気といった魅力で引き付けなくてはいけない。しかし、「少ない利益の中で販促費を掛けようと思ったら、人件費や食材費を削るしかなくなる。つまり、サービスも味も悪い店になっていく」、「グルメサイトを絶てば新規送客が減るので、サイトへの費用を掛けざるを得ない。でも、集まった客を常連客にできない。だから、また新規客を集めるために費用を掛ける。そんな負のスパイラルに陥るのだ」、とは確かに難しいバランスの問題だ。
・『飲食店が生き残るにはどうしたらいいのか。 まずリピーターを増やせるような魅力的な店をつ
くる。つまり、業態の力を上げることだ。その上で、グルメサイトの言いなりにならない独自の販促を積極的に仕掛け、費用対効果を見極めながら、グルメメディアを使いこなす。 そのときに必要なのは、ITなどのテクノロジーにリテラシーを持ち、販促手段や店舗における生産性向上の取り組みにおいてこれを味方につけることだ。 変化を厭う飲食店は少なくない。しかし、あらゆる産業が“テック”による構造変化に直面しており、飲食だけが例外であるはずはない。変えようとする意思と実行力が外食産業の経営者、幹部に求められている』、その通りなのだろうが、実際には難しいのに、単に修辞上で逃げた印象も受ける。

次に、4月9日付けダイヤモンド・オンライン「グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199084
・『「駐車場が道路になった」「自宅がいつの間にか美容院になっていた」「バス停が消えた」――。3月末に起こった“グーグルマップ”ショック。騒動の裏にはデジタル事業の覇権争いを左右する位置情報データをめぐる各陣営のつばぜり合いが垣間見える。 グーグルマップの下から「ZENRIN」の文字が消えた3月25日。グーグルへのデータ提供契約が終了し、同時にグーグルマップのさまざまな不具合が騒ぎとなる中、ゼンリンの株価は一時、前日比で500円も下落しストップ安となった。 マップといえば、2012年のアップルマップ騒動が記憶に新しい。同社が地図をグーグルマップから独自開発のものに切り替えた途端、実在しない地名が表示されるなどの不具合が相次ぎ、世界的な騒ぎとなったのだ。 そもそも、デジタル地図とはどのように作られるのだろうか。 自治体や国などの公的機関が測量したデータを基に、人手を使ってより細部の情報を調べるのが地図調製企業だ。日本でデジタル地図データを扱うのは、最大手のゼンリン、パイオニア子会社のインクリメントP、昭文社、トヨタグループのトヨタマップマスターの4社がメイン。世界でも大手はオランダのテレアトラス、米国のナブテック(現ヒアー)しかない業界だ。グーグルなどのプラットフォーマーは、これまでこうした地図調製企業から地図データを買って使用してきた。 しかし、こうしたビジネスモデルは変わりつつある。その典型が、08年にグーグル社内で秘密裏に始まった「グラウンド・トゥルースプロジェクト」だ。 真の地理情報、という意味のこのプロジェクトは、グーグルが世界で撮りためたグーグルストリートビューやグーグルアースなどの画像データから地図を自動生成するもの。さらに、ユーザーが経路検索を行ったデータから地図を自動生成することも可能になった。今回、日常的に通り抜ける道として利用されてしまっているコンビニエンスストアの駐車場が“道”と認識されたのは、まさにこのためだ。 グラウンド・トゥルースプロジェクトの成果は09年から世界のグーグルマップで順次採用されているが、複雑な地図データが求められる日本がほぼ最後となった形だ。今回、道路網の作成は自動化されたものの、地図に必要な施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用されたようだ」(地図市場に詳しい青山学院大学の古橋大地教授)。とはいえ、グーグルは「ローカルガイド」など、地点施設の情報をユーザーに投稿させるサービスを持っている。地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題だ。 グーグルが今、地図の内製化を進めているのは、地図調製企業に数十億ドルの規模に及ぶ利用料を払わずとも、自社が蓄積した情報で、地図を自動生成することが技術的に可能になったからだ。 不具合の修正や地図情報の更新も、ユーザーからの通報を自動で反映するシステムで迅速に行われる。現に、新グーグルマップの不具合はかなりのスピードで修正されており、アップルマップ騒動に比べるとはるかに速く収束に向かっている。 内製化された地図データは今後、位置情報と連動するサービスにおける武器として活用できる』、「施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用」されたが、「地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題」のようだ。グーグルは「ストリートビュー」や「グーグルアース」などに膨大な投資をしてきただけに、全てを自前で済ませたいのだろう。
・『グーグルと袂分かちライバル陣営に参加 したたかなゼンリン  一方、対抗馬も頭角を現している。米マイクロソフトやフェイスブック、日立製作所やトヨタ自動車、ソフトバンクグループなどの日本企業、それにエアビーアンドビー、ウーバー、テスラなどの米テック企業――これらの企業がある共通項でつながりつつある。 オープンストリートマップ(OSM)。ユーザーが地図作りを行う世界的なプロジェクトで、いわば“地図のウィキペディア”だ。04年から英国で始まったものだが、このデータを利用する企業数はすでに数百社に上る。 地図をベースにした位置情報やナビゲーションなどのサービスは、今後の自動運転やMaaS(移動サービス)の根幹であり、戦略上これをグーグルに握られたくない企業が急増しているのだ。 このOSMを基盤に地図サービスを提供する企業として、急速に力を付けているのが、米マップボックスだ。テスラのナビゲーションシステムを担当し、17年にはソフトバンクグループが約180億円を出資。さらに、ソフトバンクグループがトヨタ自動車と共同で立ち上げる次世代MaaSにもその技術が使われるとみられている。 実は、一見グーグルから“切られた”ゼンリンは、ほぼ同じタイミングでマップボックスと提携した。ゼンリンは、トヨタ自動車などが出資するダイナミックマップ基盤にも参加し、米ゼネラル・モーターズ系地図企業の買収にも動いている。 盤石に見えたグーグルマップ1強という“地図”は、実は流動的だ。その覇権を握る勝者は、いまだ見えない』、確かに「地図をベースにした位置情報やナビゲーションなどのサービスは、今後のは、自動運転やMaaSの根幹であり、戦略上これをグーグルに握られたくない企業が急増している」、という意味では、グーグルVSその他の覇権争いは大いに注目される。

第三に、サイバーエージェント次世代生活研究所・所長の原田 曜平氏が5月9日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う、海外ネット事情」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/277993
・『1981~1996年の間に生まれた、ミレニアル世代と呼ばれる若者たち。人口が多く、デジタルネイティブといった特徴を持つ彼らはいったい今、どんなことを考えているのか? そこで今回、コロンビア大学の学生を中心としたミレニアル世代の若者たちと座談会を行い、アメリカの若者の変わりゆく価値観や実態について議論を行った。 彼らはアメリカのトップクラスに位置する大学の学生らであり、かつ、ニューヨークという超リベラルな土地に住んでいる。つまり、ある意味で偏った層の若者たちだ。しかし同時に、彼らがアメリカの未来の知識階層になり、影響力を持っていくだろうことも事実だ。 前回記事に続く今回記事では、彼らの価値観やライフスタイルについて探っていく』、興味深そうだ。
・『世界の若者が均質化し始めているワケ  原田:僕はここ10年近くグローバルで、とくにこの数年、アメリカやヨーロッパで若者に対する調査を行って来たけど、年々本当にグローバルなマーケティング調査がしやすい時代になってきていると実感しています。 以前は「今、どんなドラマがはやっているの?」なんてところから現地の若者に聞いて、そのドラマの内容の詳細を事細かに聞かないといけなかった。でも、ここ数年は、「今、Netflix(ネットフリックス)で何見てるの?」と聞いて、「ああ、あれね」なんていうやり取りで済んでしまうようになった。 このように、今、世界の若者の間で Netflixユーザーが増え、国が違えど同じコンテンツを見るようになってきています。また、ほかにも主にスマホのアプリやSNSを中心に、世界の若者が画一的な行動をとるようになり、結果、世界の若者が均質化し始めています。 だから、少なくとも対象が若者である場合、グローバルでマーケティングが大変しやすくなってきているわけですが、反面、世界の若者の間で多様性が減ってしまっているとも言えます。 さて、皆さんはやっぱりNetflix を見ていますか? 一同:もちろん!100%の若者が見ているよ! テイラー:120%よ! 原田:日本でも若者のテレビ離れと言われて久しく経ちます。僕の実感では、とくに今の高校生あたりから本当に深刻になってきていると感じています。数年前まではなんだかんだ言って、高校生までは時計代わりに朝にテレビをつけたり、テレビを見る生活が染みついていた。 時間が自由になる大学生あたりになると、家にいないようになったりしてテレビからいったん離れるんだけど、社会人になると朝早く起きる規則正しい生活になるからテレビ生活に戻る、というサイクルが根付いていました。 が、本当に今の高校生あたりからは、時計代わりにさえテレビをつけない子も増えてきているし、新大学生の都会での一人暮らしでテレビを買わないという子も増えてきた。彼ら世代は小さい頃からスマホへの依存が強く、暇な時間はYouTubeやYouTuberや、SNSやアベマTVの恋愛リアリティーショーを見ている子が非常に多くなっています。 過去のメディアの歴史を見ても、若いときになじまなかったメディアは、その後、中高年になった後にその人になじむようになることは本当に難しい。アメリカ人にはきっと理解できないほど、日本は高齢化が進んでいるので、テレビで人口の少ない若者をターゲットにしたコンテンツが大変作り難くなっており、だから若者がよりテレビを見なくなり……という負のスパイラルに完全に陥ってきていると思います。 本当は視聴率を昔ほどとれなくても、若者はそのメディアの未来の中心顧客だと捉え、若者向け番組を意思を持って作っていくべきだと思うんだけども。 そしてこれは、テレビに限らず、超高齢化マーケットだらけの多くの日本企業に同じく当てはまる大きな問題なんです。どの業界も、高齢社会に引きずられて若者を見捨てると、彼らが中高年になったときに振り向いてもらえなくなります。ビールが苦いと、苦手なままで20代を過ごした若者が、30代になってから急にビールを飲み始める確率は高くありません。 話を戻しますが、ちなみに日本でもとくにここ数カ月、Netflixユーザーはかなり増えてきているようです。でも、一説によると中年男性が中心で増加していると聞いたけれど。やっぱり、アメリカの若者の間でNetflixはすごいんだ?』、かつては音楽や映画を通じて均質化したが、現在ではネットを通じて均質化の度合いを深めているのかも知れない。
・『国境を越えて番組が見られているNetflix人気  一同:Netflix の「ストレンジャー・シングス」や「ブラック・ミラー」は多くの若者が見ていると思います。「テラスハウス」を見ている人も結構多いですよ。 原田:日本のフジテレビ制作のコンテンツであるテラスハウスも、アメリカの若者が見ているんだ?テラハメンバーがよく海外を歩いていると、街で声をかけられるというエピソードを番組の中で話しているけど、実際の話なんだね。 こんまりさんもNetflixによってアメリカで大ブレイクしているし、日本企業はグローバルなマーケティング活動において、もっとNetflixを有効活用すべきかもしれないね。Amazon Prime(アマゾンプライム)やHulu(フールー)はどうですか? イラーナ:Huluは広告が入っているから嫌です。 エレン:Amazon Primeは会員になっているけど、あくまでアマゾンの買い物用に会員になったのであって映画は見ません。 一同:皆、Netflixの使い方に慣れちゃっているから、ほかのモノはあまり……。 原田:なるほど、Netflix一極集中に向かっているのかもしれないね。じゃあ、話題をSNSに変えよう。日本のニュースでよくアメリカの若者の間でフェイスブック離れが進んでいるというものを目にしますが、実際はどうなんですか? アダム:個人情報の流出で、かなりフェイスブック離れが加速化したように思います。僕はフェイスブックをSNS機能に使うというより、ニュースを見る場にしています。 キャリス:私はもう投稿はしなくなっていて、イベント情報の詳細や、学生グループの情報を得るためだけに使っています。 通訳:学生たちの中には、政治に関する個人的な見解や政治に関するニュースや記事をあげている人もいて、それがタイムラインにたくさん挙がってくるのが嫌だという話も学生たちからよく聞きます。 原田:まあ、学生たちがSNS上で政治談義をしている点は日本も見習ったほうがいいですけどね。日本の学生たちはツイッターにネタを載せるか、インスタに映え写真を載せることに躍起になっていて、SNS上での政治談義などほぼありませんから。 エレン:おばあちゃんがフェイスブックを使っているから、そのやり取りにだけ使っています。自発的に投稿することはありませんね。 アラン:周りの同世代を見ていると、メッセンジャー機能だけ使っている人がいちばん多いように思います。 ヨータム:僕は友達の情報を収集する場として使っていて、自分で投稿することはありません』、「個人情報の流出で、かなりフェイスブック離れが加速化」、「メッセンジャー機能だけ使っている人がいちばん多い」、「学生たちがSNS上で政治談義をしている」などは参考になった。
・『日本の若者にはフェイスブックは「冠婚葬祭メディア」  原田:日本でもフェイスブックは若者の間で「冠婚葬祭メディア」なんて言われ方をすることもあるようで、要は、おじさんたちが熱心に書き込みを行っている中、若者たちは登録はするものの、人生の大きな転機があるときにだけ書き込みをするようになっている、ということらしいです。アメリカの若者の間では、ニュースを見る場とメッセンジャー機能に集約され始めているのは面白い違いかもしれませんね。 では、日本の若者の間では加工アプリとして使われることもあるSnapchat(スナップチャット)はどうだろう? アンナ:暇つぶしで、ごくたまにいじるくらいかな。 エレン:私たち世代より若い世代がやっているイメージだわ。 キャリス:3、4年前は大学生も使っていましたが、今はもっと若い子たちが使うようになっているイメージです。 原田:Snapchat(以下、スナチャ)は世界でちょっと伸び悩んでいたんだけど、4月23日の同社の発表によると1日当たりのアクティブユーザー数が世界で1億9000万人に増加したようだね。君たちの話を聞くと、アメリカではより若年化し始めたのかもしれないね。 ちなみに、ストーリーという「消える画像・動画」は、日本の若者はインスタグラムで熱心に使うようになっているけど、もともとはスナチャにあった機能をインスタが真似たんだよね。日本はスナチャが普及する前にインスタにこの機能が搭載されてしまったから、インスタのこの機能が若者の間で浸透した。 一応グローバルなメディアになったと言われているTikTok(ティックトック)はどうだろう?日本と中国ではやっていることは間違いないのだけど。 一同:(笑)。 キャリス:1回だけ使ったことがあるけど、それから1回も使ってないわ。 アンナ:聞いたこともないわ。 ヨータム:最近、ネット広告でよくこのアプリの広告を見るようになったけど、周りの友達で使っている人を見たことがないし、ほとんどの人が知らないのでは?ひょっとしたら、私たちよりもっと若い10代くらいの間ではやっている可能性はあるけど……』、「日本の若者にはフェイスブックは「冠婚葬祭メディア」」には笑いを禁じ得なかった。
・『今後、日本の就活でも利用すべきSNSとは  原田:熱心に使っている若者が多いのは、主に日本と中国だけなのかなあ。先日、上海に行って若者たちにインタビューしてきたら、上海の子たちは結構、積極的に使っていました。じゃあ、日本ではあまり普及していないと言われる、海外ではインターンや企業の採用などに使われているSNSのLinkedin(リンクトイン)は? キャリス:最近消したわ。アーティストなどフリーランスの人に興味があるので、私にとっては何のコネクションにもなりませんでした。あと、学内の学生で私が知らない人から就職活動についてアプローチがあり、面倒だったこともやめた理由としては大きいです。 原田:日本の大学生も、この数年で本当にインターンシップをやるようになってきているし、先日、経団連が新卒一括採用をやめると宣言したので、学生たちは大学にいる間、ずっと就活をすることになっていくと思うので、そろそろこうした類いのSNSが普及し始めてもいいタイミングにはなってきているんですけどね。 では、ツイッターはどうかな?ツイッターは日本ではうまくいっているけど、本国アメリカではあまりうまくいっていない、というニュースを日本でしばしば見かけます。僕が数年前にニューヨークとロサンゼルスで行った若者調査では、ツイッターをやっている子がかなり少なかったことを覚えているけど、今はどうなんだろう? エレン:私は毎日投稿しているわ。以前、仕事の情報収集にも使っていたわ。でも、周りのほかの同世代はやっていない。 ヨータム:何年も前に数週間試したことがあるけど、すぐにやめました。 アンナ:人間、そんなに言いたいことってないわ。だから、やる理由がない。 原田:確かに普通の人間には、そんなに発信したいことってないかもしれないね(笑)。それに英語だとつぶやける言葉数も限られるしね。漢字のある日本のほうが、そもそもメディアとして親和性が高いのかもしれないね。俳句の国だし、短文にもともと慣れているのかもしれない。 日本の高校生にインタビューすると、インスタグラムでストーリー機能ができてから、それがツイッターのつぶやきに似ている機能だから、ツイッター離れが進んできている、なんて話も聞いたりするようにはなりましたが。 でも、日本のテレビはトランプ大統領がツイッターで何かをつぶやくと、すぐにそれをあたかもアメリカで大きな影響を与えているように報じるのだけど、それは日本でツイッターの影響力が大きいからかもしれない。 アメリカ社会では全体的に、少なくとも若者たちについてはツイッターの影響力は減ってきているから、ことさらにトランプ大統領のツイッターでの発言を大きく報じるのは、客観的な報道とは言えない可能性もあるかもしれないね』、ツイッターについて、「人間、そんなに言いたいことってないわ。だから、やる理由がない」、「英語だとつぶやける言葉数も限られるしね。漢字のある日本のほうが、そもそもメディアとして親和性が高いのかもしれないね。俳句の国だし、短文にもともと慣れているのかもしれない」、「ことさらにトランプ大統領のツイッターでの発言を大きく報じるのは、客観的な報道とは言えない可能性もあるかもしれないね」、などの見方には納得させられた。
・『報道ニュースを若者にどう届けていくべきか  ところで、先ほど、フェイスブックでニュースを読む、という人がいたけど、ほかの人はニュースはどこから得ているの? アンナ:iPhoneのニュースアプリで見ているわ。(注:iPhoneのニュースアプリで数百という新聞や雑誌、インターネットニュースメディアの記事を読むことができる。好きなメディアやテーマを登録しておけばそのニュースがニュースフィードにどんどん上がってくる) エレン:ツイッターとニューヨークタイムスでニュースを読みます。 538という政治的なサイトを見ている若者も中にはいます。 原田:日本の若者もそうだけど、アメリカの若者もあまりニュースは見ていなさそうだね。報道ニュースを若者たちにどう届けていくかというテーマは、世界中のメディアにとって、本当に大きな問題になってきていますね』、日本のネットでの”炎上”や”祭り”などの傾向が、アメリカでどうなっているかも知りたいところだ。続編で出てくればいいいのだが・・・。
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