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LIXIL問題(その2)(LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流、LIXIL問題 助言会社と海外投資家 かみ合わぬ争点) [企業経営]

LIXIL問題については、4月22日に取上げた。今月25日の株主総会を控えた今日は、(その2)(LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流、LIXIL問題 助言会社と海外投資家 かみ合わぬ争点)である。

先ずは、6月17日付け日経ビジネスオンライン「LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00133/?P=1
・『LIXILグループの前CEO・瀬戸欣哉氏の「辞めさせ方」を巡って大騒動が巻き起こっている。昨秋、創業家2代目・潮田洋一郎氏が主導して瀬戸氏を解任。その経緯が問題視された。両氏の確執の源流はどこにあり、社内で何が起きていたのか。 「LIXILになってから、いいことがない。常にゴタゴタばかりだ」 5月31日、東京湾を望む大型ホテル「グランドニッコー東京 台場」の宴会場は緊張感に包まれた。住設・建材大手LIXILグループの代理店が一堂に会する年次大会。集まったのはトイレなど水回り製品を扱う代理店オーナーだ。 代理店会の会長が約200人の参加者を代表し、コーポレートガバナンス(企業統治)を巡る同社の混乱に不満をぶちまけた。原因は、潮田洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)と、潮田氏が昨秋CEOから解任した瀬戸欣哉氏の対立。怒りの言葉を浴びた山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)は、厳しい表情でわびていたという。 その前週の23日、石川県金沢市の「ホテル日航金沢」ではサッシなど建材を扱う代理店の年次大会があった。そこでも微妙な空気が流れていた。 営業方針を説明したのは副社長の大坪一彦氏と、国内建材事業の責任者である吉田聡氏。大坪氏が強調した「シェア拡大」は潮田氏が瀬戸路線を否定するように掲げたものだ。一方、吉田氏が語ったのは利益重視の付加価値路線。瀬戸氏の経営方針の延長にある。 ある関係者は、「古くからのサッシの代理店にとって、吉田さんはある意味、裏切り者でしょう。これまでこの会社には、潮田体制にモノ申す人がほとんどいなかったから」と話す。 LIXILは、サッシなどを手掛ける旧トステムやトイレなどを扱う旧INAXなど住設5社が統合して2011年に誕生した会社が前身だ。旧INAX創業家の伊奈一族が経営への関与を薄める一方、旧トステム創業家2代目の潮田氏は絶大な権力を持ち続けてきた。その潮田氏が16年に“プロ経営者”として招聘したのが瀬戸氏だった。 潮田氏vs瀬戸氏。なぜ、LIXILのトップ人事を巡る対立が、得意先も巻き込んだ大騒動に発展したのか。確執の源流が、瀬戸氏の「辞めさせ方」だ』、代理店の年次大会で、「代理店会の会長が約200人の参加者を代表し、コーポレートガバナンス(企業統治)を巡る同社の混乱に不満をぶちまけた」というのは確かに異常事態だ。
・『突然の「解任」の通告  昨年10月27日、イタリアに滞在中だった瀬戸氏に、一本の電話がかかってきた。「これまで話してきた通り、自分がやりたいので辞めてほしい」 声の主は潮田氏。突然の「解任」の通告に瀬戸氏は「上半期の業績は悪かったが10月から業績は回復している。今辞めるのはあまりにも無責任だ」などと反論した。だが、潮田氏は「指名委員会の総意」だとして、最後は瀬戸氏が押し切られる形になった。 潮田氏が言う「指名委員会の総意」なるものは“作り物”だった。 前日の10月26日に緊急招集された指名委員会。自身もメンバーの一人である潮田氏は、10月19日の会食で「潮田さんがCEOを務めるなら私はいつでも身を引く」という瀬戸氏の発言があったなどと説明。指名委員会は瀬戸氏のCEO解任と潮田氏自身のCEO就任、並びに当時、社外取締役で指名委員会委員長だった米マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の山梨広一氏のCOO(最高執行責任者)就任を決めた。 本来なら、瀬戸氏の辞意を指名委員会として確認してしかるべきだが、そうした事実は見られない。潮田氏が瀬戸氏から聞いた「潮田氏がCEOを務めるなら身を引く」という発言が独り歩きし、最終的に10月31日の取締役会で瀬戸氏はCEOを解任されてしまう。 瀬戸氏はこの発言について、「雇われの身である“プロ経営者”としての信条」として周囲に語っていた事実は認める。だが、中期経営計画をスタートしてから半年しかたっておらず、業績を根拠にした議論も、瀬戸氏本人への辞意の確認も徹底されないまま、指名委員会は瀬戸氏解任を決めてしまった。その経緯がガバナンスの観点で極めて問題だと確信するにつれて、瀬戸氏は疑念と反発を強めていく。 その頃、機関投資家たちも動き出していた。12月、会社側は機関投資家向けの説明会を開催したが、納得しない海外の機関投資家が相次いで説明責任を果たすように要求。2019年1月には世界最大級の投資家である米ブラックロックが、突然のトップ交代や、指名委員でもあった潮田氏、山梨氏がそれぞれCEO、COOに就任したことの利益相反の可能性などについて説明を求める書簡を送り付けた。 LIXILの実質的な最大株主からの突き上げに、会社側に緊張が走った。さらに追い打ちをかけたのが、英マラソン・アセット・マネジメントら英米機関投資家4社の投資家連合の動きだ。 3月20日、英マラソンらは潮田氏、山梨氏の取締役からの解任を議案とする臨時株主総会の招集請求を会社側に送付。共同提案者には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から年金資産の運用を受託している米タイヨウ・パシフィック・パートナーズの名前もあった。普段は表に出て会社と対決することがない穏健な長期投資家たちからも「ノー」を突き付けられた。 瀬戸氏が退任してからLIXILの株価は年末までに2割以上下落し、ガバナンスを巡る問題が企業価値を大きく毀損したことを問題視した。「この状態を放置しては資金の出し手に説明がつかない」(マラソンの高野雅永氏)との危機感が、彼らを突き動かした。 ただ、請求するにもLIXIL株の3%以上の所有が必要だ。機関投資家4社が集まっても、足りない。どうするか。 マラソンの高野氏は愛知県常滑市に足を運んだ。旧トステムと並ぶもう一つの前身企業、旧INAXの創業の地である。面談の相手はLIXILの現任取締役で、旧INAX創業家の伊奈啓一郎氏。投資家連合が当てにしたのは、伊奈一族と伊奈家が株式を寄贈した常滑市が保有するLIXIL株だった。 伊奈氏は、同じく旧INAX出身で元社長の川本隆一氏と共に、瀬戸氏解任を決めた取締役会では反対票を投じていた。その後も、今回の瀬戸氏解任の経緯について異議を唱えてきたが、「常に多数決で負けてきた」という思いがある。投資家連合からの誘いに乗った』、緊急の指名委員会が潮田氏の一方的な説明だけで、海外出張中の「瀬戸氏の辞意」を確認せずに、その場で解任したというのは、余りに不自然で、潮田氏の言いなりだ。「瀬戸氏が退任してからLIXILの株価は年末までに2割以上下落し、ガバナンスを巡る問題が企業価値を大きく毀損した」とあっては、機関投資家4社が「旧INAX創業家の伊奈啓一郎氏」を巻き込んで、「潮田氏、山梨氏の取締役からの解任を議案とする臨時株主総会の招集請求」したのは、当然だろう。
・『会社側が解任請求を「無効化」  臨時総会を突き付けられた会社側は対応を迫られる。総会の会場は5月下旬に押さえた。だがこのまま臨時総会を開くわけにはいかない。投資家対策のアドバイザーを中心に票読みを進めると、投資家連合に分があったからだ。 4月18日、会社側は潮田氏が5月20日に取締役を辞任することを発表した。自ら辞することで、臨時総会で解任されることを回避した──。投資家連合や瀬戸氏らにはそう見えた。 その頃、「潮田さんは辞める理由を探していた」とあるLIXIL幹部が明かす。潮田氏からすれば、理由もなく辞めてはガバナンス不全を自ら認めることになる。それだけは避けたかったはずだ。 LIXILは潮田氏の辞任を発表したのと同じ日、業績の大幅下方修正を発表した。11年に買収したイタリアの建材子会社ペルマスティリーザの巨額損失が原因で、19年3月期、LIXILは522億円の最終赤字に沈んだ。 「私の記憶の限り最大の赤字。一義的な責任はCEOだった瀬戸さんにある。ただ、任命したのは当時、指名委員会のメンバーで取締役会議長だった私。瀬戸さんを招いたのは取締役を続けてきた38年間で最大の失敗だった」 潮田氏は自らの辞任の理由を任命責任だと説明した。潮田氏だけでなく、山梨氏も6月の定時株主総会で取締役を退任すると表明。臨時総会を開催する意義を失った投資家連合は5月9日、招集請求を取り下げるしかなかった。 株主からの解任請求をかわした潮田氏と山梨氏。だが、社内にも瀬戸氏解任に対する不満がくすぶっていた。 4月下旬。2カ月後の定時株主総会に諮る取締役候補を決める指名委員会宛に意見書が届いた。瀬戸氏解任後の潮田・山梨体制を痛烈に批判する内容だ。 「潮田さんのビジョンは(中略)全てのステークホルダーにとっても有害」「山梨さんは常に潮田さんの考えに沿って仕事を執行」「山梨さんと仕事をする時に感じることは、決断をしてくれない、立場を常に変える、不誠実で不透明な経営姿勢」「山梨さんもしくは潮田さんの影響を受けた人間が経営することになれば、LIXIL Groupは遠からず経営不全で立ち行かなくなります」 意見書を出したのは、上級執行役ら14人で構成される「ビジネスボード」のメンバーのうち10人。現場を取り仕切る幹部の多くが、潮田・山梨体制に不満を鬱積させていた。それは瀬戸氏が4月5日に定時総会向けに株主提案した、瀬戸氏自身を含む8人の次期取締役候補を暗に支持する内容ともいえた』、臨時総会の「票読みを進めると、投資家連合に分があった」ので、潮田氏と山梨氏が辞任で「解任請求をかわした」だけでなく、イタリアの建材子会社の巨額損失で522億円の最終赤字と業績下方修正し、潮田氏は自らの辞任の理由を任命責任だと説明するとは、本当に巧みだ。「上級執行役ら14人で構成される「ビジネスボード」のメンバーのうち10人」が「潮田・山梨体制を痛烈に批判する」意見書を出したというのは、通常の組織ではあり得ないような勇気ある行動だ。負ければクビになることを覚悟の上なのだろう。
・『会社側「けんか両成敗」を主張  この時の指名委員会の委員長は英経営者協会会長などを歴任した社外取締役のバーバラ・ジャッジ氏。瀬戸氏解任を決めた当時の指名委員の一人だが、瀬戸氏を支持する上級執行役や機関投資家らは瀬戸氏の株主提案を取り入れるのではといちるの望みをかけていた。ジャッジ氏自身、「定時総会後も取締役として残る意欲が満々だった」と複数の関係者は証言する。 だが、5月13日、会社側が発表した取締役候補の中にジャッジ氏の名前はなかった。ジャッジ氏は記者会見に出席する予定だったが、代わりに現れた取締役の菊地義信氏は、「委員長はジャッジだが、日本語での微妙なニュアンスもあるので私から」と説明した。 菊地氏は潮田氏と山梨氏がCEOとCOOに就き、指名委員から外れたのを機に、委員会のメンバーに入った一人。旧トステム創業者の潮田健次郎氏の時代から潮田氏を支えてきた人物だ。 前日の指名委員会では激論が交わされたようだ。ジャッジ氏と菊地氏が候補者案で対立したとの見方もある。主導権争いに敗れたのか、関係者によるとジャッジ氏は指名委員会名での発表文書について、「これは私ではなく菊地氏が作った」と発言していたという。 候補者リストからはジャッジ氏のみならず、全ての現任取締役が外れていた。菊地氏は「取締役を一新することが経営の健全化につながる」と強調したが、あるLIXIL幹部は「指名委員会の議論はどこかで『けんか両成敗』の考えが優勢になったのだろう」と推測する。 こちらは現任取締役を外した。そちらも現任取締役は外れるべきだ──。瀬戸氏自身のほか伊奈氏、川本氏の現任取締役が候補に名を連ねる瀬戸氏側の提案を強烈にけん制した形だ。 もっとも、会社側の取締役候補選びには急ごしらえ感が否めない。 発表された候補は8人。その中に、瀬戸氏側候補である前最高裁判所判事の鬼丸かおる氏と、元あずさ監査法人副理事長の鈴木輝夫氏の名前があった。8人一括の選任を目指す瀬戸氏らは、これを「分断工作」と捉えた。 実は発表前日の夜、瀬戸氏に会社側から、鬼丸氏と鈴木氏を候補にするから伝えてほしいというメールが届いている。「事前に承諾もなく連絡先も知らないとはあまりにも不誠実」。鬼丸氏と鈴木氏は猛抗議するも会社側は無視、最終的に「会社提案・株主提案」として招集通知に記載してしまう。 さらに、発表後にコニカミノルタ取締役会議長の松崎正年氏、元米国務省のカート・キャンベル氏をバラバラと候補に追加している。「分断工作」の次は「多数派工作」か。会社側の取締役選定の経緯について、ジャッジ氏は「今期で取締役を退任するので取材には応じられない」と口を閉ざす』、「指名委員会の委員長は英経営者協会会長などを歴任した社外取締役のバーバラ・ジャッジ氏」とは権威付けのための大物だが、「激論が交わされた」とはいえ、結局は丸め込まれてしまったようだ。「「今期で取締役を退任するので取材には応じられない」と口を閉ざす」のはやむを得ないだろう。
・『「会長案件だ。文句あるか」  機関投資家や上級執行役はなぜ潮田氏への反発を強めるのか。それは、潮田氏がLIXIL株の約3%しか保有していないのに、会社のオーナーであるかのごとく振る舞い、合理的な経営判断を妨げてきたとみているからだ。 その象徴が、潮田氏が検討していたMBO(経営陣が参加する買収)とシンガポールへの本社移転だ。西村あさひ法律事務所が作成した瀬戸氏解任の経緯に関する調査報告書には、開示文書ではカットされた部分に、この案を巡り両氏が対立した様子が記されている。 潮田氏によるシンガポールへの本社移転構想は、社内の幹部や金融機関のM&A(合併・買収)担当者らにとっては、半ば公然の秘密だった。日本の将来に懐疑的な潮田氏はシンガポールに移住しており、本社移転を「潮田氏の相続税対策ではないか」と周囲は見ていた。売上高の約7割を国内に依存する同社にとって、移転構想は合理性に乏しく国内の取引先などの反発も必至だ。 それでも潮田氏は本気だったようだ。昨年8月、他の取締役メンバーとともにシンガポール証券取引所などを訪問している。関係者の一人は、「取締役とCEOから退いても、潮田さんは諦めないだろう。シンガポール系や中国系なども含め、買収資金を出そうというファンドはいくらでもいる」と話す。 潮田氏が自ら辞任する理由として挙げた業績悪化の主因、ペルマをはじめとする多くのM&Aも、潮田氏が主導したものだ。ある関係者は「砂糖に群がるアリのごとく内外の投資銀行が手数料目当てで潮田会長に様々な案件を持ち込んでいた。投資を正当化する資料作りに憤慨する社員もいたが、やがて罪悪感は薄れ、『これは会長案件だ。文句あるのか』『俺の仕事は買収することだ。止められるなら止めてみろ』とまで言う者もいた」という。 「とにかく買うことが目的となり、買収後にバッドニュースが出ても積極的に社内で共有されることはなく、現地の放漫経営を許してきた」(LIXIL幹部)。ペルマの巨額損失はその結果だ。 瀬戸氏はこうした状況に社長就任当初から警鐘を鳴らし、16年5月ごろからペルマ売却について取締役会メンバーに非公式に打診し始めている。だが、潮田氏と旧トステム出身の取締役は瀬戸氏の提案に反発。最終的には社外取締役が売却プロセスの開始に理解を示し、中国企業への売却という形で瀬戸氏の考えは実行されることになった。 瀬戸氏の不運は18年10月中旬、米当局がペルマの中国企業への売却を承認しなかったことだ。瀬戸氏解任が10月31日。11月27日にペルマの売却断念が発表された。そもそも潮田氏はペルマを中核事業として育てたいという考えを当初から示しており、辞任会見でも「宝石を石ころにした」と瀬戸氏を批判し、その執着ぶりを露呈している』、事業のベースは日本にあるのに、「潮田氏の相続税対策」で本社のシンガポール移転のためのMBOを検討するとは、公私混同も極まれりだ。瀬戸氏がペルマ売却に向け動いたというのは、最終的に米当局による売却の不承認とはなったが、正しい方向だったのだろう。潮田氏が「宝石を石ころにした」と瀬戸氏を批判したとは、飛んでもない言いがかりだ。
・『形だけのガバナンス先進企業  瀬戸氏は当初、ガバナンスに潮田氏が大きな影響力を及ぼしていることを容認していた節がある。かつて、「創業家かどうかは関係なく、取締役の役割は経営者を交代させること。潮田さんの姿勢は、まさにそれだ」と語っていた。 ただし、それは正しい意思決定のプロセスが機能することが前提だった。LIXILは、社外取締役が半数以上を占める指名委員会が、取締役候補やCEOの後継計画を決める「指名委員会等設置会社」である。経営の「監督」と「執行」が明確に分かれ、株式会社の形態の中で最もガバナンスが利く体制とされる。だが、LIXILの実態は違った。 旧トステム出身のある幹部は、「(創業者の潮田)健次郎さんの思いを忠実に、早く実行する社員が評価されてきた。洋一郎さんは健次郎さんほど事業へのこだわりはないが、その社風は今も残り続けている」と打ち明ける。 会社側と瀬戸氏側の取締役候補はともに、「潮田氏の影響力を排除する」と強調している。会社側は社外取締役から暫定CEOを選ぶと表明し、瀬戸氏は自らのCEO復帰に意欲を示す。 6月4日、瀬戸氏ら株主提案者は東京地方裁判所に6月25日の定時総会の決議などをチェックする総会検査役の選任を申し立てた。定時総会は事実上の「政権選択の場」。LIXILの今後のガバナンスの行方を決定づけるものになる』、定時総会の行方は大いに注目される。
・『制約条件作る「忖度」を排除する:前CEO 瀬戸 欣哉氏  なぜ私が今回、個人としてここまで会社と戦っているのか。それはこれまで、LIXILグループで働く皆さんに、「Do The Right Thing(正しいことをしよう)」と言ってきたのに、今回の問題を見過ごしたら、言ってきたことがウソになるからだ。 経営は、全ての選択肢の中から一番いいものを選んで初めて、それなりの結果が出る。日本的な忖度の問題は、選択肢を限定する制約条件を作ってしまうことだ。特に、経営の一線から離れた昔の実力者が権力を握っている場合は、今の現場を知らないから良い結果を出せる蓋然性が少ない。 失敗しても自分で立て直せるのならいいが、取り巻きの人間が忖度して「うまくいっています」と報告する状況では、軌道修正が遅れる。実際、ペルマスティリーザの場合もそうだった。 会社側の取締役候補は全員新任で、その中の社外取締役から暫定CEOを選ぶという。兼職が多い方もいて、本気でLIXILの経営に時間を割けるのだろうか。大事な会社を実験台にされてはたまらない』、もっともな主張だ。
・『指名委員会、運用間違えば暴走:コニカミノルタ取締役会議長 松崎 正年氏  LIXILグループが採用している「指名委員会等設置会社」という体制は、どんな力のある人でも社外取締役にチェックされるというメリットがある。ただし、どんな人を社外取締役に選ぶかが重要で、数をそろえたり、多様性に配慮したりするだけでは機能しない。逆に、運用を間違えれば、権限が大きいだけに指名委員会は暴走する。それが最大のデメリットで、今回の件(瀬戸氏解任の経緯)はそれを示している。 会社にとって一番大切なことは、持続的な成長をすることだ。そのためにはトップがチェックされる仕組みが欠かせない。人によっては軌道を外す場合があり、そんな時に「殿、ちょっとお待ちください」と止めるのが社外取締役の役割だ。今回のLIXILのように創業家が影響力を発揮しようとしても、ちゃんとした社外取締役がいればここまでの騒動にならなかったはずである。 社外取締役は、常に「職業的懐疑心」を持たなければならない。LIXILの場合、創業家の影響は明らかに注意が必要で、それを排除するのが私の役目だ』、指名委員会がまともに運営されるか否かを注視していきたい。

次に、6月14日付け日経ビジネスオンライン「LIXIL問題、助言会社と海外投資家、かみ合わぬ争点」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/061400023/?P=1
・『議決権行使助言会社大手の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスの2社が、ガバナンス問題で混乱が続いているLIXILグループの定時株主総会における議決権行使の推奨を投資家向けに示した。取締役選任議案について、いずれも、昨秋CEO(最高経営責任者)から解任され、会社側と対立する瀬戸欣哉氏に対して厳しい内容になっている。瀬戸氏らは自らを含む8人の取締役候補を株主提案しているが、ISSとグラスルイスは瀬戸氏自身の取締役再任に「反対」を推奨した。 一方、瀬戸氏を支持する海外機関投資家からは、助言会社とは逆に会社提案の取締役候補に「反対」を表明する声が相次いでいる。会社側に反対を表明しているのは、潮田洋一郎会長兼CEOと山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)の取締役解任を目指して臨時株主総会の招集請求をした英ポーラー・キャピタル・ホールディングスと英マラソン・アセット・マネジメントのほか、オーストラリアのプラチナム・アセット・マネジメント。アクティビスト(物言う株主)ではない長期投資家が株主総会前に議決権行使の立場を表明することは極めて異例だ。 助言会社と瀬戸氏支持を表明した機関投資家の論点は食い違いがあり、6月25日に迫る定時株主総会を前に混迷度合いを深めている。 定時総会には、瀬戸氏が自身を含む取締役候補8人を株主提案した。このうち、鬼丸かおる氏、鈴木輝夫氏の2人は会社側の候補者にもなっている。これにより、会社側の独自候補8人(第1号議案)、会社側と瀬戸氏側の共通候補2人(第2号議案)、瀬戸氏側の独自候補6人(第3号議案)が、株主からの信任を競い合う構図になっている。 ISSは、候補者一人ひとりについて「賛成」「反対」を判断。会社側6人、共通候補2人、瀬戸氏側2人に賛成を推奨し、瀬戸氏について反対を推奨した。共通候補の鬼丸氏、鈴木氏は会社側の候補になることを承諾しておらず、実質的に会社側6人に対し、瀬戸氏側4人となり、仮にこのメンバーで取締役会が構成されると、会社側が過半数を握ることになる。 ISSは、社外取締役候補についてはLIXILと取引がある金融機関の出身者や関係者に反対を推奨したほか、CEOなど経営の経験を重視。企業経営の経験者が多い会社側が有利となった。瀬戸氏側がLIXILと2015年から多額のコンサルティング契約があったとして独立性の問題点を指摘した米国務省出身のカート・キャンベル氏については、「唯一の外国人で企業の経営の知見を生かせる」として賛成を推奨した』、海外機関投資家は瀬戸氏側支持しているのに、彼らにアドバイスする「議決権行使助言会社大手」2社が概ね会社側支持と、見方が大きく食い違ったのは珍しい。
・『ISS:瀬戸氏、取締役はノーだがCEOはあり 他方、社内取締役候補については、瀬戸氏のほか、LIXILの前身会社の1つである旧INAX出身で現取締役の川本隆一氏、旧トステム出身で国内の建材事業責任者の吉田聡氏の3人に反対を推奨した。川本氏、吉田氏を反対したのは、取締役にならなくても知見は生かせるというのがその理由だ。 瀬戸氏については、「解任プロセスには明らかに不備があった」と認めつつ、「株価の下落は瀬戸氏が辞任したことに対する市場のネガティブな反応」などと瀬戸氏の経営手腕に一定の評価をしている。ところが、「瀬戸氏の能力が解任の正当な理由であるという見解を完全に排除することはできない」として、最終的には反対を推奨した。ただ、新たな取締役会がもう一度、瀬戸氏の能力が解任の理由として正当だったかを精査し、正当でなかったならば再びCEOに任命することも検討に値するという見方も示している。 ISSは、取締役会の構成としては、社外取締役8人、社内取締役2人が適当だとした。社内取締役は、会社側からは唯一の社内候補であるLIXILグループ副社長で中核子会社LIXIL社長兼COOの大坪一彦氏、瀬戸氏側からは現任取締役でLIXILの前身会社の1社である旧INAX創業家の伊奈啓一郎氏を推薦した』、「瀬戸氏」への姿勢は分かり難い。
・『グラスルイス:社外取締役は多いほどいい  もう1つの助言会社であるグラスルイスは、基本的に会社側の提案に賛成、瀬戸氏側の提案に反対、という判断を示した。その根拠は、瀬戸氏側の株主提案は当初、機関投資家連合による潮田氏と山梨氏の解任請求を補完することが目的で、潮田氏が既に取締役から辞任し、山梨氏も定時総会をもって退任することになった今、その役割を終えているというものだ。 また、会社提案を支持する基本的な背景として、「社外取締役の構成比率は高い方が良い」とするグラスルイスの考えがある。レポートにも、「圧倒的多数を社外取締役が占める取締役会の構成は、先進国でベストプラクティスとして広く受け入れられており、日本政府のコーポレートガバナンス改革の方向性とも合致している」と記述。9割を社外取締役が占める会社提案を「日本では比較的先進的で、長期的に株主に有益」と評価した。 他方、瀬戸氏については、業績や株価を分析したうえで、「瀬戸氏を含む現在のリーダーシップチームには、利益目標の未達や株主価値を損ねた責任がある」とした。さらに、会社側の候補者が経営の監督を強調している中、瀬戸氏側の候補者には現任の社内取締役が複数含まれていることから、従来の固定観念に基づいて経営するのではないかとの懸念を示した。 ISSもグラスルイスも、助言会社として信じる「良いガバナンス」としての基準を重視して判断している。社外取締役候補者の独立性を精査して一人ひとり判断したり、社外取締役の比率を重視したりしているのは、その表れだろう。会社側はISSの判断について、「大勢としては当社取締役会及び指名委員会の考え方が支持された」とコメントを発表している。 会社側関係者によると、ISSとグラスルイスが会社側に有利な判断を示したことで、安堵感が漂っているという。また、ある国内機関投資家は「ISSとグラスルイスの判断を見て安心した。これで会社提案に賛成してもたたかれないですむ」と話す。 だが、こうした助言会社の姿勢に、瀬戸氏は次のような疑問を呈する。 「ISSは、CEOとしての私の能力を分析して一定の評価をしているように読めるのに、結論では取締役に推奨しないとなっている。判断を避けているという印象を受ける」「グラスルイスについては、会社提案は独立性が高いと言いながら、会社側の現任の社内取締役が助言役として残ることを示唆している。それこそ、私たちが懸念している潮田氏や山梨氏の影響力が残る事態だ」「会社側は暫定CEOを選ぶとしているが、それは問題の先送り。表面的なガバナンスの形にこだわり、経営の実効性に配慮してもらえなかったのは残念」』、「ある国内機関投資家は「ISSとグラスルイスの判断を見て安心した。これで会社提案に賛成してもたたかれないですむ」と話す」、やはり国内機関投資家にとっては、「会社提案に賛成」するいい口実を与えたようだ。
・『海外投資家、瀬戸氏側支持を表明  こうした助言会社の判断は、LIXILのガバナンス不全を問題視してきた海外機関投資家の論点ともかみ合っていない。 会社側候補(第1号議案)に反対をした、LIXILの約4.42%の議決権を保有するプラチナムのポートフォリオ・マネジャーのクレイ・スモリンスキー氏は、次のように判断基準を説明する。 「会社側の候補者は、瀬戸氏解任に賛成した取締役たちに選ばれており、公平性に疑問がある。瀬戸氏解任のプロセスに問題があったことは、外部の弁護士に依頼した調査・検証結果の報告書でも明らかになっているのに、会社側の候補者を選んだ取締役たちは何も行動を起こさなかった」「会社側の候補者は、潮田氏、山梨氏が取締役に残っているとき、しかも、それぞれCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)であるときに選ばれている。選定過程で、両氏の影響力があった可能性を否定できない」「会社側に瀬戸氏解任の経緯を詳細に説明するように求める書簡を送ったのに返事がなかった。投資家とのコミュニケーションを軽視している」「株主提案の方が経営方針が具体的。瀬戸氏は工具のネット販売MonotaRO(モノタロウ)の創業経験やLIXILの事業に対する深い理解があり、事業計画もしっかりしている」「会社側は暫定CEOの下でCEOを選ぶと言っているが、『選ぶ』ということを表明しただけで具体性に欠ける。会社側は潮田氏の影響力を排除すると言うが、であればなぜ、瀬戸氏に任せようとせず、瀬戸氏らの株主提案を排除するのか。『喧嘩両成敗』という発想も的外れだ。瀬戸氏側はガバナンスにおける不適切な行動を見過ごすまいと、正しい行動を起こした」「上級執行役ら『ビジネスボード』のメンバー14人中10人が、瀬戸氏と業務の執行を続けたいと連名で訴えた書簡は極めて重く、彼らの意見を重視した」 臨時総会を請求したマラソンは6月14日、声明を発表。その中で「(臨時総会の請求を取り下げた)後の会社側の対応や言動は株主の不信感を増幅するものでした。(中略)むしろ会社側からは株主に対して敵対的な言動が繰り返されました」「今回の会社提案(第1号議案)の取締役候補は、(中略)マラソンを含めて指名委員と面談した株主が望んだものとはほど遠い」「前CEOの瀬戸氏による経営が市場の評価を得ていたことは、突然のCEO交代後の株価下落を見ても明らか」と、怒りをあらわにしている。ポーラー・キャピタルも、同様の声明を11日に発表している』、「海外投資家、瀬戸氏側支持」の声明は、もっともだ。
・『両陣営で取締役会を構成したら混乱は長期化  助言会社が、自ら信じる「ガバナンスの形式」から会社側と瀬戸氏側の候補者の賛否を判断しているのに対し、これらの機関投資家は、会社側の次期取締役候補の選定プロセスや瀬戸氏側候補に対する敵対的な姿勢なども含め、株主に対する不誠実な対応を問題視している。 会社側が瀬戸氏側の候補者を排除しようと対決姿勢を示している以上、両陣営からの候補者がが取締役会を一緒に構成したら混乱を招くのは必至だ。関係者の中には、瀬戸氏側が負けたら、瀬戸氏を支持してきた機関投資家が株を売却して株価がさらに下がり、アクティビストにつけ入られるのではないかと懸念する声も聞かれる。 助言会社の判断が出たことで、多くの機関投資家会社が会社側か、瀬戸氏側か、どちらを支持するのか最終判断をするとみられる。株主総会は6月25日。いよいよ、大詰めを迎える』、「議決権行使助言会社大手」が概ね会社側を支持し、国内の機関投資家などに影響を及ぼすとみられるだけに、瀬戸氏側は苦戦する可能性もある。どういう結果になるかはともかく、注目点ではある。
タグ:日経ビジネスオンライン LIXIL問題 (その2)(LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流、LIXIL問題 助言会社と海外投資家 かみ合わぬ争点) 「LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流」 前CEO・瀬戸欣哉氏の「辞めさせ方」を巡って大騒動 建材を扱う代理店の年次大会 代理店が一堂に会する年次大会 同社の混乱に不満をぶちまけた 突然の「解任」の通告 本来なら、瀬戸氏の辞意を指名委員会として確認してしかるべきだが、そうした事実は見られない 瀬戸氏が退任してからLIXILの株価は年末までに2割以上下落 伊奈氏は、同じく旧INAX出身で元社長の川本隆一氏と共に、瀬戸氏解任を決めた取締役会では反対票を投じていた。その後も、今回の瀬戸氏解任の経緯について異議を唱えてきたが、「常に多数決で負けてきた」という思いがある。投資家連合からの誘いに乗った 会社側が解任請求を「無効化」 会社側「けんか両成敗」を主張 指名委員会の委員長は英経営者協会会長などを歴任した社外取締役のバーバラ・ジャッジ氏 指名委員会では激論が交わされたようだ 「会長案件だ。文句あるか」 潮田氏が検討していたMBO シンガポールへの本社移転 「潮田氏の相続税対策ではないか」と周囲は見ていた 売上高の約7割を国内に依存 移転構想は合理性に乏しく国内の取引先などの反発も必至 買うことが目的となり、買収後にバッドニュースが出ても積極的に社内で共有されることはなく、現地の放漫経営を許してきた ペルマの巨額損失はその結果だ 瀬戸氏の不運は18年10月中旬、米当局がペルマの中国企業への売却を承認しなかったことだ 「宝石を石ころにした」と瀬戸氏を批判 形だけのガバナンス先進企業 制約条件作る「忖度」を排除する:前CEO 瀬戸 欣哉氏 指名委員会、運用間違えば暴走:コニカミノルタ取締役会議長 松崎 正年氏 「LIXIL問題、助言会社と海外投資家、かみ合わぬ争点」 議決権行使助言会社大手 会社側と対立する瀬戸欣哉氏に対して厳しい内容 ISS:瀬戸氏、取締役はノーだがCEOはあり グラスルイス:社外取締役は多いほどいい 海外投資家、瀬戸氏側支持を表明 両陣営で取締役会を構成したら混乱は長期化
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