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日銀の異次元緩和政策(その30)(日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言、骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む、参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定) [経済政策]

日銀の異次元緩和政策については、昨年8月10日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その30)(日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言、骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む、参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定)である。

先ずは、やや理論的だが、昨年9月26日付け東洋経済オンライン「日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは岩村氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/239310
・『自民党総裁選の討論会で、安倍晋三首相は日本銀行の異次元金融緩和について「何とか任期のうちにやり遂げたい」と初めて時期について言及し、注目を集めた。巨額の日銀の損失が予想される出口戦略について、どう道筋をつければよいのか。日本に初めて「物価水準の財政理論(FTPL)」を紹介し、積極的に金融政策への提言も行っている岩村充早稲田大学教授に具体的な日銀の出口対策を聞いた。 Q:日本銀行の量的金融緩和政策を理論面から支えてきた浜田宏一米イエール大学名誉教授が2016年にその理論に接して「目からウロコが落ちた」と語った「物価水準の財政理論」(FTPL、Fiscal Theory of the Price Level)。岩村先生は2000年ごろ、FTPLを日本に初めて紹介しましたね。 A:渡辺努一橋大学教授(当時、現在は東京大学教授)と一緒に日本のデフレを解明しようと試みているうちに、FTPLのような枠組みにたどり着いた。ただ、その頃は異端の説といった扱いで、なかなか真剣に取り上げてもらえなかった』、FTPLについては、2017年2月20日付けのこのブログで取上げたが、岩村氏が日本で最初に紹介したとは初めて知った。
・『FTPLによって、金融政策の限界は明らかだ  Q:簡単に言うと、FTPLとはどんなものですか。 A:物価水準がどう決まるのかという問題を解くとき、そこでの財政の役割を重視する理論だ。FTPLのポイントは、政府と中央銀行は財務的に不可分であることが貨幣価値の決定に影響を与えていると考えることだ。中央銀行は自国の政府が発行する国債を買い入れて貨幣を発行しているし、そもそも中央銀行の資本勘定は財政に帰属している。 現代の中央銀行は、国の有利子債務である国債を、無利子の銀行券その他のベースマネー(銀行券+中央銀行当座預金)に変換する社会的装置だ。政府と中央銀行を財務的に連結したものを「統合政府」と言うが、その統合政府の負債の大半は国債とベースマネーなのだから、これと統合政府の債務償還財源との資産負債バランスで物価水準が決まるはずというのがFTPLの出発点だ。 Q:「統合政府債務償還財源」というのは、聞き慣れない言葉ですね。 A:現在から将来にわたっての、税収その他の全財源から政府の支出を控除した残差についての人々の予想のことだ。だから、それには政府がその気になれば行える国有財産売却や歳出削減なども含まれる。重要なのは、この統合政府債務償還とは、貨幣価値で評価した名目額でなく、実物的な財やサービスつまり実質ベースで測った統合政府の「実力」への人々の評価であることだ。 Q:そして、FTPLは次のような簡単な式に表現されるわけですね。 A:P=(M+B)/S  P:物価水準 M:ベースマネー B:市中保有国債 S:統合政府債務償還財源 この式の意味は、長期的には、統合政府の負債(式の分子)と資産(式の分母)はバランスしなければならない。両者をバランスさせるように実質ベースの価値(式の分母)と名目ベースの価値(式の分子)との交換比率である貨幣価値が決まる。 つまりは、貨幣価値の逆数である物価水準が決まるということだ。たとえば、政府の国債発行が増えても、将来の増税や歳出削減などで財源(=統合政府債務償還財源)は確保されるだろうと人々が予想すれば、分子も分母も増えるため、物価は動かない。 Q:では、金融政策はこのFTPL式の中ではどこに登場するのですか。 A:分子の市中保有国債と統合政府債務償還財源は、現在から将来にわたっての割引現在価値で表現される。このうち市中保有国債の割引率に使われるのが名目金利であり、これは中央銀行の金融政策で決定される。金融政策で物価水準を操作できる理由はここにある。 一方、分母の統合政府債務償還財源は実質ベースなので、割引率は自然利子率(実質金利)なのだが、この自然利子率は技術や人口動態などの基礎的条件で決まってしまう。分母は金融政策では操作できない外部条件なのだ。 Q:FTPL式の中で金融政策はどう作用するのですか。 A:中央銀行が名目金利を引き上げれば、割引率の増加で分子の市中保有国債現在価値は小さくなるため、物価水準は低下する。反対に、名目金利を引き下げれば物価水準は上昇するはずだが、名目金利にはゼロの下限があり、日銀はずっと以前からこの下限にぶつかっている。もはや日銀による金利操作では物価を上昇させられない。 Q:FTPLで考えると、日銀の量的緩和政策に効果がなかったことがわかるということですね。 A:先ほど言ったように日銀は金利操作による物価支持力を失っている。そこで始めた量的緩和とは、日銀が大規模に市中から国債を購入して、その分をベースマネーとして市場に供給することだが、分子のベースマネーをいくら増やしても、同じ額だけ分子の市中保有国債が減るので物価には意味がないことは明らかだろう』、「統合政府債務償還とは、貨幣価値で評価した名目額でなく、実物的な財やサービスつまり実質ベースで測った統合政府の「実力」への人々の評価であることだ」、というのはずいぶん難しい概念のようだ。
・『ヘリマネなら物価は上がるが、制御不能のリスクも  Q:逆にいうと、市中保有国債を減らさずにベースマネーを増やすことができれば、物価は上昇するということになりますね。 A:それが、俗に言う「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」だ。2003年にジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授が日本に提案した政府紙幣が典型例だろう。政府が将来的な回収への準備をせずに紙幣を刷ってばらまくなら、FTPL式の分子であるベースマネーだけを増やすことになるので物価は上昇する。 Q:FTPLでは、クリストファー・シムズ米プリンストン大学教授が日本に対し「インフレ目標が達成されるまで、消費増税と財政黒字化目標を凍結すると宣言したらどうか」と提案しましたが、どういう意味ですか。 A:これは、FTPL式の分母=統合政府債務償還財源の予想のほうに働きかけようとするものだ。ただ、このシムズ案がうまくいくかはいささか疑問だ。目標が達成されたら結局消費増税などが復活すると人々が考えれば、結局、統合政府債務償還財源への予想を変化させることはできないからだ。人々の期待に働きかける政策は難しい。 シムズ案以上に無理筋なのは、英国金融サービス機構(FSA)のアデル・ターナー元長官による、日銀保有国債の消却を行えという2016年の提案だ。彼は、日銀が持っている国債の一部をもともと存在しなかったことにして利払いも償還もやめてしまえと主張したわけだが、それをしても政府から日銀への元利払いが減る分、日銀からの国庫納付金が減るだけだ。それではヘリマネにすらなりそうもない。 Q:岩村教授は、日銀の量的緩和政策の出口について警鐘を鳴らしていますね。 A:日銀が保有する国債はすでに400兆円を超えたが、そのことは緩和終了時における金利上昇が、日銀保有国債の時価を大幅に下落させることを通じ、新たな危機を発生させてしまう可能性を示唆する。たとえば、日銀保有国債の金額が400兆円で、その元利収入見込額の加重平均期間が3年程度だとすれば、金利上昇幅がわずか0.5%でも現在価値損失額は6兆円、1.0%なら12兆円にもなる。一方、日銀の自己資本は8兆円ほどだから、日銀への信認は大きく傷付く。これが金融緩和の出口問題だ。 Q:インフレ目標に達しても、日銀が量的緩和を続けるという手はありますか。 A:異次元緩和で膨らみきったベースマネーを回収できないと思われてしまうリスクは無視しないほうがよい。いったん人々にそう思われるようになったら、その効果は回収のスケジュールがない政府紙幣の発行、つまりヘリマネと同じことになってしまう。ヘリマネの問題点は、それで生じた人々の期待が暴走すれば、制御の効かないインフレなど最悪の事態になる可能性があることだ。今の日本で必要なことは、期待の暴走が止められなくなることがないよう、いつでも日銀保有国債を市中に売却できるように準備をしておくことだ』、最後の部分はその通りだろう。
・『マネーを散布するが、回収も可能にしておく  Q:具体的な準備として、岩村教授は、日銀保有国債の変動利付き国債への転換と、新規発行国債の日銀引き受けとを提案していますね。これはどういう意味ですか。 A:ヒントにしたのは、新規発行国債は日銀が引き受けてしまい、日銀は市場の状況を見て保有国債を売却していくという戦前の高橋財政のスキームだ。ただし、今それを参照するなら、日銀が保有することになる国債の法的性格は工夫して、それが日銀の金庫の中にある間は「無利子の永久国債」とする一方、それを日銀が売却した後では、「変動利付きの国債」として利払いを復活させるというのが提案の骨子だ。 このほうが、政策メッセージとして明確だし期待暴走のリスクも制御できる。形式上、国債は市中消化されるが、その後は日銀がほぼ自動的に買い入れるという今の状況は、国民の眼を欺くものだ。 Q:大胆な政策であり、批判も起きそうです。 A:回収の見通しなきマネー供給はヘリマネと同じことだ。異次元緩和にしてもヘリマネにしても、そのいけないところは、往路(マネーの散布)はあっても復路(マネーの回収)の設計がないことだ。大事なのは、政策がヘリマネかどうかという分類学ではなく、その効果とリスクについての具体的な見極めだ。 2003年にベン・バーナンキ元FRB(米国連邦準備制度理事会)議長も変動利付き債への転換を提言したことがあった。異次元的な量的緩和に踏み込む前の日本への提言として必要だったかどうか別として、大規模緩和後の出口リスク対策としてなら理に適った議論だったと思っている』、日銀が「無利子の永久国債」を引き受け、「日銀が売却した後では、「変動利付きの国債」として利払いを復活させる」、というのは「戦前の高橋財政のスキーム」らしいが、日銀による売却時に、利払い義務を負う財務省が関与できないというのは、いささか不自然で、国債管理政策上も問題がありそうだ。「異次元緩和にしてもヘリマネにしても、そのいけないところは、往路(マネーの散布)はあっても復路(マネーの回収)の設計がないことだ」、というのはその通りだ。
・『市場の受け止め方は不確実、両方の動きに備えよ  Q:変動利付債への転換は、政府の財政規律にも影響を与えそうですね。 A:少なくとも「今は金利が安いから借り得だ」的な財政拡張論は抑制されるだろう。長期的には財政規律にプラスになる面もあるはずだ。 Q:仮に、変動利付き債への転換を発表するときは工夫が必要ともおっしゃっていますね。 A:今の日銀自身による出口論の封印にも同じことが言えるが、いくら日銀が、「復路もちゃんと考えている。それで適切かつ大胆に金融政策を運営するのだ」などと説明しても、それを受けたマーケットのセンチメントが、緩和という方向に大揺れするか、引き締め準備と受け取られるかは、不確実だ。私が、日銀保有国債の変動利付き債への転換と新規発行国債の日銀引き受けとをセットで行うことを提案しているのは、政策運営というものは、アクセルとブレーキの両方を備えるべきと思うからだ。 Q:ドル金利上昇で新興国通貨が下落したり、トランプ米大統領の貿易戦争が先鋭化したりと世界経済の先行きが不透明になっています。 A:米中対立による株価急落や南米諸国の財政破綻で次の危機があるかもしれない。そのとき、円の価値や物価期待がインフレ、デフレのどちら方向に動くかは不明だ。リーマンショックのときは円高、デフレ方向に動いたため、みんなは次も同じことが起きると考えているようだが、はたしてどうか。リーマンショックの時に円の価値が上がった理由だって、理論として完全に解析されているわけではない。今度危機が来たときに、日本政府の長期的な支払い能力が傷つくと予想されれば、円安、インフレ方向に動くこともありうる。 Q:日銀は金融政策の「のりしろ」、つまり景気が悪くなったときの政策余地がないと指摘されています。 A:だからこそ、ヘリマネとセットでの変動利付き債への転換を提案している。仮に円高、デフレ方向へのショックであれば、日銀はヘリマネ的な政策に追い込まれるだろう。変動利付き債転換で復路の設計ができていれば、それでもリスクは小さくなる。逆に、円安、インフレ方向へのショックなら、物価が上昇するため、日銀は量的緩和をやめ、マネーの回収に乗り出さねばならない。どちらになっても往路復路両方の設計があることが重要だ』、「政策運営というものは、アクセルとブレーキの両方を備えるべきと思う」、というのは日銀出身の学者らしい実務的で誠実な姿勢である。

次に、早稲田大学政治経済学術院名誉教授の藪下 史郎氏が6月12日付け東洋経済オンラインに掲載した「骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/285155
・『現在、日本はじめ世界の先進諸国は一様に異常な経済状況に直面している。ゼロないしマイナスの金利、天文学的とも言うべき金融の量的緩和にもかかわらず、多くの経済はいまだ力強い回復を取り戻せていない。 なぜバブル崩壊後の経済が長期不況に苦しまなければならないのか。なぜ伝統的な金融政策はそうした不況に対して総じて無力なのか。なぜ財政赤字が拡大しているのに長期金利が低下するのか。 こうした疑問に答える書として、リチャード・クー氏の新刊『「追われる国」の経済学』が高い評価を受けている。経済学の重鎮である藪下史郎氏が、クー氏が展開している経済理論の本質について読み解く』、クー氏はアメリカ国籍で野村総合研究所のチーフエコノミスト(Wikipedia)。かつては、経済誌に活発に寄稿していたが、現在も野村総研で活躍しているようだ。
・『金融政策が無力な理由  『「追われる国」の経済学』(以下、本書)で展開される議論の基礎となるクー氏の日本経済の捉え方は、以下のようにまとめることができるだろう。 資金の主たる借り手は民間企業であるが、高度成長期においては設備投資のための資金需要が旺盛であり、とくにアメリカなどの先進国の後を追う形で投資を拡大するため資金需要も増加した。そのときには物価・賃金も上昇してきた。この期間を黄金時代と呼んでいるが、日本は成熟経済であった。 しかし、物価・賃金の上昇と新興国による追い上げによって、日本経済の国際競争力が低下し、市場が奪われることになる。その結果、企業にとって投資機会が減少することによって、企業による資金需要がなくなる。すなわち、日本が追われる国になってしまい、資金の借り手の多い成熟経済から借り手のいない状況に変わってしまった。 さらに、クー氏が強調するのは、バブル崩壊による企業のバランスシートの悪化と企業行動の変化である。従来の経済学が前提とする企業は、利潤最大化に基づき投資と資金需要を決定したが、バランスシートが悪化した企業はそうでなく、債務の最小化、すなわちバランスシートの改善を目指して借金をできるだけ早く返済しようとする。 企業経営者にとっては、バランスシートの悪化で資金調達に苦労した経験がトラウマとして残り、利益最大化から債務最小化に企業行動が変化したために、資金需要がなくなったと主張している。 しかし、バランスシート問題を抱えた企業が債務を削減することが、企業の利益最大化原理の変更を必ずしも意味するものではない。すなわち、バランスシートが悪化した経営状況での資金調達コストや倒産リスクを考慮に入れると、投資収益との比較で債務減少が利益最大化にかなうものであり、債務削減は利益最大化行動の合理的決定の結果であると考えられるのではなかろうか。 こうした経済状況すなわちバランスシート不況では、ゼロ金利という超低金利の下でも、企業による資金需要がなくなるのである。 日本経済は現在こうした状況にあるため、従来の経済学に基づいた低金利政策は、バランスシート不況から脱却するためには無力であると、クー氏は主張する。黄金期で資金需要がある成熟経済には従来の金融政策が有効であるとしても、現在日本経済が直面している状況では無効であることを政策当局者や多くのエコノミストは理解していないと批判する。 すなわち、企業等の資金需要のある経済での金融政策は、中央銀行のマネタリーベース供給と銀行貸し付けによる信用創造を通じてマネーサプライを変化させ、実質金利をコントロールし景気調整を行う。しかしバランスシート不況の下では、企業の資金需要がないため、銀行信用を通じた貨幣乗数効果が働かない。そのため金融緩和政策はマネーサプライを増加させることができず、期待したような効果を及ぼさないのである。 金融政策が有効でなくなったときのマクロ経済政策として財政支出の増加を提言したのはケインズである。 ケインズ経済学では、失業の存在する経済不況の下で市場金利がゼロに近づき流動性のわなに陥った経済状況では、マネーサプライを増加させたとしても金利を低下させることができない。そのため金融政策は無効になり、有効需要を増加させることができなくなる。それに代わり、政府が財政支出を増加させると、有効需要に直接影響を及ぼし、その効果が国民所得、そして消費に波及し、乗数効果を通じて景気を刺激するとした。 こうしたケインズ政策に対して、ミルトン・フリードマン等のマネタリストは、財政支出による景気刺激策は有効でないと反論し、また多くのエコノミストも、財政支出のための政府の資金調達は、民間投資資金と競争的になるため、市場金利を上昇させるなどクラウディングアウト効果が働くため、乗数効果も小さいと主張してきた』、ケインジアンらしい主張だ。
・『景気対策の中心は財政政策に  クー氏は、民間企業の投資意欲が旺盛であり資金需要が大きい経済状況では、景気調整は財政政策よりも金融政策で行うべきであり、政府の資金需要が民間投資を押しのけるとしている。しかし民間の資金需要がない状況では、ノーマルの経済状況に回復させるためには、公共投資に依存するしかないと主張する。 経済が被追国になってしまったときには、魅力的な民間投資が見いだせない状況にあるため、経済を成長過程に戻すには社会収益率の高い公的投資に財政資金を回す必要がある。公共投資は、民間の私的投資と異なり、社会資本、教育制度の充実など、多くの企業の生産性を高め経済全体に外部性が及ぶことになる。 ただし、どのような公共投資を行うかは難しい課題であるため、一部集団のための利益誘導型政府支出にならないように独立した財政委員会を設立し、専門的技術・知識を有する委員によって、適切な公共事業プロジェクトを探すことが重要であるとしている。 こうした有能なスタッフからなる独立財政委員会の設立は容易なことでないように思われるが、超低金利のバランスシート不況の下では、その金利水準を上回る社会的収益率をもたらす公共事業プロジェクトを見いだすことができるだろうと、クー氏は比較的楽観的である。 クー氏の、こうした提言は、アベノミクスの第3の矢である成長戦略に密接に関係するものである。さらに、減税と規制緩和により、イノベーション、新規企業により構造改革を推進することを提言している。さらには、一般教育の充実など大学教育の改善などが、被追国の日本にとって不可欠であるとしている。 またこうした構造改革が成功し、資金需要が旺盛になる成熟経済に戻るまでには10年以上待たなければならないと予測している。これは、アベノミクスが成功したかどうかを判断できるのは安倍政権後であるということを意味している』、「その金利水準を上回る社会的収益率をもたらす公共事業プロジェクトを見いだすことができるだろう」、というのは確かに「楽観的」過ぎる。
・『ヨーロッパ諸国が抱える財政問題  被追国になったのは日本だけでなく、所得の伸び悩みが続いているヨーロッパ諸国も同じであるとしている。また、EU諸国がバランスシート不況に陥っているにもかかわらず、ヨーロッパの金融当局とエコノミストが、そのことを認識せず、黄金期の経験と従来の経済学に基づき低金利政策を推し進めていると、クー氏は批判している。 こうした不況には財政政策で対応すべきであるが、EUの財政赤字に関する規定によって各国がそうした財政政策を実行することができなくなっていると指摘している。 経済発展の過程で多くの国が被追国になるが、これから中国も同じようにルイスの転換点(注:工業化の過程で農業部門の余剰労働力が底を突く時点のこと)を迎えた後にどうなるのかは興味深い点である。ルイスの転換点を越えたアメリカが、なぜ現在でも日欧諸国よりも高い成長を遂げているかを知るのも、日本経済の将来を考えるうえで重要である。 これまでは、資金の借り手がある経済とない経済についての議論であったが、クー氏は資金の供給サイドについても貸し手がいる状況といない状況とを区別している。 貸し手がいない状況とは、金融機関の不健全化によって貸し渋りなどで資金供給が行われなくなる状況である。これもバブル崩壊の結果、不良債権の発生とその累積は、金融機関にバランスシート問題を引き起こしたため、貸付資金の回収や貸し渋りが行われた。 こうした金融機関の不健全化は、金融システム全体の不安定性をもたらす可能性がある。ある銀行のバランスシートや流動性の悪化が、健全な銀行にも信用不安を波及させ、銀行全体の持つ決済機能や貸し付け機能が破綻してしまう。 このように、銀行システム全体では銀行間で外部性が存在する。そのためシステミック・リスクを回避するためには、銀行への公的資金の投入などの金融当局による介入によって、信用不安が他金融機関に波及しシステム全体に広がるのを素早く阻止しなければならない』、一般論としては異論はないが、現在の銀行システムは不良債権問題は終了し、異次元緩和による超低金利により不安定化していると捉えるべきだろう。
・『過去の奴隷になってはならない  このように、外部性が存在するときには、それがプラスの場合でもマイナスの場合でも、市場に任せるのではなく、果敢な政府介入が必要になる。さらに、グローバリズムが進む世界経済で資本移動の自由化が、新自由主義の主張するようなプラスの結果をもたらしていない点でも、すべて市場メカニズムにまかせるという市場原理主義ではなく、現実主義的な政策が欠かせないのである。 主義・原理にむやみに従うのでなく、現実経済の動きを見て政策運営を行う必要があるとするのが、クー氏のメイン・メッセージの1つである。 クー氏は、日銀政策当局者、欧州中央銀行さらに多くのエコノミストは、彼らが学んだ経済学に基づく政策を遂行しており、現実の経済が変化したことを認識していないと批判している。この批判は、「どのような知的影響とも無縁であると自ら信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である」という、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』の一文を思い出させる。 本書の訳文は大変読みやすい。本書は多くの読者に対して、失われた20年と揶揄される日本経済やその将来を考える際などに多くの示唆を与えてくれるものである』、「すべて市場メカニズムにまかせるという市場原理主義ではなく、現実主義的な政策が欠かせない」、「日銀政策当局者、欧州中央銀行さらに多くのエコノミストは・・・現実の経済が変化したことを認識していないと批判」、などはその通りだろう。

第三に、7月11日付けJBPressが元ロイター記者で金融ジャーナリストの鷲尾香一氏による新潮社フォーサイト記事を転載した「参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56961
・『政府と日本銀行の軋轢が深まっている。 安倍晋三首相が6月10日、参議院決算委員会での答弁で「金融政策は目的をすでに達成している」と発言。アベノミクスの原動力ともなっていた、日銀の金融緩和政策の必要性を、ここにきて首相自らが否定する見解を示した。 これに対して、日銀内部では、「まったく想定していなかった発言」「日銀が進める金融緩和政策に対して、政府が梯子を外した」「安倍首相は本気でデフレ経済からの脱却を目指しているのか」などの声が上がった。 安倍会首相の発言は国民民主党所属の大塚耕平議員への答弁で、「日本銀行の2%の物価安定目標は一応の目的だが、本当の目的は雇用に働きかけ、完全雇用を目指していくこと。その意味で、金融政策は目標をすでに達成している」とした。 周知のとおり、そもそも、2012年12月に発足した第2次安倍政権で経済政策「アベノミクス」を打ち出し、金融政策・財政政策・成長戦略の「3本の矢」を政策の柱として、2%の物価安定目標に強力な金融緩和政策を行うように日銀に要請したのは、ほかならぬ安倍首相だった。 強力な金融緩和政策を実施するために、黒田東彦氏を日本銀行総裁に登用し、金利の引き下げや財政支出の拡大などにより景気を刺激し、景気回復を図る「リフレ(リフレーション)政策」に踏み出した張本人にもかかわらず、「日銀の金融政策は目的を達成した」と発言したのだから、日銀の受けた衝撃は大きかった』、安倍首相の発言は、まさに「日銀が進める金融緩和政策に対して、政府が梯子を外した」ことに他ならない。全く無責任極まる姿勢だ。
・『「出口戦略」容認のシグナルを意味する  この安倍首相の発言を分析すると、ある意図が浮かび上がる。 「物価安定目標は一応の目的」とし、「本当の目的は完全雇用」と位置付けているということは、つまり、アベノミクスの本当の目的は完全雇用であり、2%の物価安定目標ではないと定義したことになるのだ。それは、「金融政策は目的をすでに達成している」以上、金融緩和政策の正常化(いわゆる出口戦略)の開始を容認するというシグナルを意味しているのではないか。 この点について、安倍首相は先の国会答弁で、「それ以上の出口戦略云々については、日本銀行に任せたい」と明言を避けたが、安倍首相が日銀の金融緩和政策を重視していないのは明らかだ。 だが、そもそも日銀自身の金融政策目標に「雇用」は含まれていない。日銀に金融緩和政策を実施させることの「本当の目的は完全雇用」とは、安倍首相自身もこれまで一度も発言したことがなく、いかにも後付けのように聞こえる。 事実、日本銀行法の第2条では、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」とされており、“雇用の雇の字”も出てこない。 さらに問題なのは、第2次安倍政権と日銀の間で2013年1月22日に交わされた「政府・日本銀行の共同声明」の存在だ。 同声明には、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」ことが明記され、この目標達成にあたって、「政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組む」ことが宣言されており、政府と日銀の政策連携の合意文書と位置付けられている。 もし、2%の物価安定目標を放棄するのであれば、同文書を改訂するか、破棄する必要がある。もちろん、2%の物価安定目標を達成する前に、金融緩和政策の出口戦略を行うのであれば、同文書の改訂か、破棄が必要というのは、学者や学識経験者、金融実務家の間で言われていることでもある。 つまり、この文書がある以上、いくら安倍首相が「金融政策は目的をすでに達成している」と言っても、日銀は簡単に金融緩和政策の出口戦略に踏み出すわけにはいかないのだ。同文書の改訂か破棄をしないままで、日銀が出口戦略に踏み出せば、それは政府との政策連携の合意を日銀が反故にしたことになるからだ』、安倍首相は口頭での発言だけでなく、「政府と日銀の政策連携の合意文書」の「改訂か破棄」にも踏み込むべきだ。マスコミもこの点を追求すべきだ。
・『簡単に出口戦略に踏み出すわけにいかない理由  だが、安倍首相が日銀の金融緩和政策に重きを置かなくなっているのは、実は今に始まったことではない。 2018年9月14日に行われた自民党総裁選の討論会で、安倍首相は「異次元ではあるがやるべきことをやった。でも、ずっとやってよいとはまったく思っていない」と、日銀の金融緩和政策(いわゆる異次元緩和)について述べ、さらに、「よい形で経済が成長してきている中で、私の任期(2021年9月)のうちにやり遂げたい」と発言している。その後、麻生太郎財務相も「こだわりすぎるとおかしくなる」と発言しており、要するにすでに、政府は日銀の金融緩和政策に見切りを付けていたのだ。これについては、新潮社フォーサイト2018年10月18日の拙稿「カウントダウンが始まった『リフレ政策』終わりの始まり」を参考にしていただきたい。 いわば、政府から“三行半”を突き付けられた格好の日銀だが、“はいそうですか”と簡単に出口戦略に踏み出すわけにいかないのは、前述した政府との合意文書の存在だけが理由にあるわけではない。 そこには、「中央銀行の独立性とプライド」もさることながら、リフレ派で構成され“リフレ政策執行部”と揶揄される日銀の金融政策決定会合メンバー(審議委員など)の存在がある。2%の物価安定目標という“錦の御旗”を降ろし、金融緩和政策の出口戦略を開始すれば、それはリフレ派が自らの敗北を認めたことになるからだ。 安倍首相の「金融政策は目的をすでに達成している」との発言から10日後の6月20日、日銀の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は2%物価安定目標に向けた勢いが損なわれれば、「ちゅうちょなく追加緩和を検討していく」と強気の構えを見せた。 その上で、政府との政策協調について黒田総裁は、「中央銀行は財政赤字の穴埋めをする財政ファイナンスではない」とクギを刺したうえで、「仮に政府が国債を増発して歳出を増やしても金利は上がらないようにしている」と述べ、財政支出の拡大による国債の増発に対応していく意向を示した。さらに、それが、「結果的に財政と金融政策のポリシーミックス(政策協調)になりうる」と、政府に寄り添う姿勢を強調した。まるで、“浮気癖のある亭主(安倍首相)”を“健気に支える妻(黒田総裁)”とでも言えそうな関係ではないか』、「“リフレ政策執行部”」も、元々は安倍政権が両院の同意を得て任命したものだ。黒田総裁がこの段階になっても「府に寄り添う姿勢を強調」したとは、「御殿女中」の面目躍如だ。
・『日銀に、トランプ大統領という「援軍」  政府から冷たい態度をとられている日銀だが、思わぬ援軍が意外な方面から現れた。誰あろう、ドナルド・トランプ米国大統領だ。 2020年の再選を目指しているトランプ大統領は、景気底上げのため「1%程度の利下げ」をFRB(連邦準備制度理事会)に求め、政治的圧力を強めている。得意のツイッターで連日ジェローム・パウエルFRB議長の個人攻撃も繰り返している。 確かに、世界経済に陰りが見えていることも事実だ。日銀の金融政策決定会合の前日の6月19日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利の据え置きを決定したが、その後の記者会見でパウエル議長は、「世界景気の力強さに懸念が生じている。多くのメンバーが金融緩和の必然性が高まっていると考えている」と述べ、利下げに転じる可能性を強く示唆した。 実際、米国対中国の貿易戦争が大きく影響し、米国の主要経済指標には悪化が目立っている。自らが仕掛けた対中戦争でありながら、その結果で自国経済に陰りが見え始めるや、トランプ米大統領は7月のFOMCで金融緩和政策への転換を図るように繰り返し圧力をかけ、パウエル議長を理事に降格させる可能性までほのめかしている。 パウエル議長が利下げに傾く背景には、2020年にトランプ大統領が再選すれば、2022年に任期の切れるパウエル議長が解任され、その後任にトランプ大統領の“意のままに動く人物”が座り、FRBの独立性にとって危機的な状況が生まれることへの懸念もあるのだろう。7月のFOMCで利下げが実施される公算は高い。 米国では金融政策の正常化に向け、2015年末以降に9回の利上げを実施しており、ECB(欧州中央銀行)も金融政策の正常化を打ち出していた。それがここにきて、米国は金融緩和政策への転換、ECBは政策の先行き指針を変更し、年内の利上げを断念している。 金融緩和政策から金融政策の正常化という世界的な流れの中で、“1人取り残されて”金融緩和政策を継続している日銀にとって、世界経済の悪化懸念、トランプ米大統領の利下げ要求は、再び金融緩和へと戻りつつある世界の潮流に乗り、日銀の金融政策の正当性を主張するための“神風が吹いた”ようなものと言えよう』、日銀にとっては「“神風が吹いた”ようなもの」なのかも知れないが、超低金利の是正を密かに期待していた銀行にとっては”悪夢”が続くことになる。
・『政策の失敗を選挙の争点とされたくない  自民党関係者は、「金融庁による老後には2000万円の資金が必要という金融庁の報告書の問題があったが、すでに突入した参院選挙で国民生活に関わる政府の失策が争点となることは避けなければならない」と危機感を示す。 安倍首相が要請し、日銀が進める金融緩和政策では、低金利政策による利ザヤの縮小により、銀行の収益が急激に悪化するなど様々な副作用が出ている。安倍首相が出口戦略をチラつかせた背景には、政策の失敗を選挙の争点として追及されたくないとの気持ちの表れであることは明らかだ。 だが、6年もの間、2%の物価安定目標を目的に政府と日銀が政策連携として実施してきている金融緩和政策を、安倍首相の「金融政策は目的をすでに達成している」との一言で片づけるのは、あまりにも無責任というほかない。 せっかくの国政選挙である。政府には、国民に対して説明する義務と責任がある』、安倍政権は、「国民に対して説明する義務と責任」とはどうやら無縁のようだが、少なくとも金融政策に関しては、きちんと果たしてもらいたいものだ。
タグ:東洋経済オンライン リチャード・クー JBPRESS 黒田総裁 異次元緩和政策 藪下 史郎 新潮社フォーサイト 日銀の (その30)(日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言、骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む、参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定) 「日銀保有の国債を変動利付きにすべき理由 岩村充・早大教授が出口への準備策を提言」 物価水準の財政理論(FTPL) 岩村充早稲田大学教授 FTPLによって、金融政策の限界は明らかだ FTPLのポイントは、政府と中央銀行は財務的に不可分であることが貨幣価値の決定に影響を与えていると考えることだ 政府と中央銀行を財務的に連結したものを「統合政府」と言うが、その統合政府の負債の大半は国債とベースマネーなのだから、これと統合政府の債務償還財源との資産負債バランスで物価水準が決まるはずというのがFTPLの出発点 統合政府債務償還財源 貨幣価値で評価した名目額でなく、実物的な財やサービスつまり実質ベースで測った統合政府の「実力」への人々の評価である ヘリマネなら物価は上がるが、制御不能のリスクも クリストファー・シムズ米プリンストン大学教授 日本に対し「インフレ目標が達成されるまで、消費増税と財政黒字化目標を凍結すると宣言したらどうか」と提案 これは、FTPL式の分母=統合政府債務償還財源の予想のほうに働きかけようとするもの 日銀が保有する国債はすでに400兆円を超えたが、そのことは緩和終了時における金利上昇が、日銀保有国債の時価を大幅に下落させることを通じ、新たな危機を発生させてしまう可能性を示唆 ヘリマネの問題点は、それで生じた人々の期待が暴走すれば、制御の効かないインフレなど最悪の事態になる可能性があること 今の日本で必要なことは、期待の暴走が止められなくなることがないよう、いつでも日銀保有国債を市中に売却できるように準備をしておくことだ マネーを散布するが、回収も可能にしておく 新規発行国債は日銀が引き受けてしまい、日銀は市場の状況を見て保有国債を売却していくという戦前の高橋財政のスキーム 日銀の金庫の中にある間は「無利子の永久国債」とする一方、それを日銀が売却した後では、「変動利付きの国債」として利払いを復活させる 異次元緩和にしてもヘリマネにしても、そのいけないところは、往路(マネーの散布)はあっても復路(マネーの回収)の設計がないことだ 市場の受け止め方は不確実、両方の動きに備えよ 政策運営というものは、アクセルとブレーキの両方を備えるべき 「骨太解説「日本の金融政策」がかくも無力なワケ 経済学の重鎮が「追われる国の経済学」を読む」 『「追われる国」の経済学』 金融政策が無力な理由 日本が追われる国になってしまい、資金の借り手の多い成熟経済から借り手のいない状況に変わってしまった バブル崩壊による企業のバランスシートの悪化と企業行動の変化 景気対策の中心は財政政策に 民間の資金需要がない状況では、ノーマルの経済状況に回復させるためには、公共投資に依存するしかないと主張 一部集団のための利益誘導型政府支出にならないように独立した財政委員会を設立し、専門的技術・知識を有する委員によって、適切な公共事業プロジェクトを探すことが重要である ヨーロッパ諸国が抱える財政問題 EUの財政赤字に関する規定によって各国がそうした財政政策を実行することができなくなっていると指摘 過去の奴隷になってはならない すべて市場メカニズムにまかせるという市場原理主義ではなく、現実主義的な政策が欠かせない 「どのような知的影響とも無縁であると自ら信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である」 鷲尾香一 「参院選直前に日銀の梯子を外した安倍首相の無責任 政府と日銀が実施してきた金融緩和政策の必要性を否定」 安倍晋三首相が6月10日、参議院決算委員会での答弁で「金融政策は目的をすでに達成している」と発言 アベノミクスの原動力ともなっていた、日銀の金融緩和政策の必要性を、ここにきて首相自らが否定する見解を示した 「日銀が進める金融緩和政策に対して、政府が梯子を外した」 日本銀行の2%の物価安定目標は一応の目的だが、本当の目的は雇用に働きかけ、完全雇用を目指していくこと。その意味で、金融政策は目標をすでに達成している 2%の物価安定目標に強力な金融緩和政策を行うように日銀に要請したのは、ほかならぬ安倍首相 「出口戦略」容認のシグナルを意味する アベノミクスの本当の目的は完全雇用であり、2%の物価安定目標ではないと定義したことになるのだ。それは、「金融政策は目的をすでに達成している」以上、金融緩和政策の正常化(いわゆる出口戦略)の開始を容認するというシグナルを意味 「政府・日本銀行の共同声明」 「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」ことが明記 金融緩和政策の出口戦略を行うのであれば、同文書の改訂か、破棄が必要 簡単に出口戦略に踏み出すわけにいかない理由 リフレ派で構成され“リフレ政策執行部”と揶揄される日銀の金融政策決定会合メンバー(審議委員など)の存在 政府に寄り添う姿勢を強調 日銀に、トランプ大統領という「援軍」 政策の失敗を選挙の争点とされたくない 政府には、国民に対して説明する義務と責任がある
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