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リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) [金融]

今日は、リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待)を取上げよう。

先ずは、6月19日付けロイター「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-crypto-idJPKCN1TJ1WT
・『米フェイスブックは18日、仮想通貨(暗号資産)を使ったサービスを来年開始する計画を明らかにした。ソーシャルネットワーキングから電子商取引や国際決済の分野に進出する新たな動きとなる。 仮想通貨の名前は「リブラ」。世界中の消費者や企業間の取引をバックアップするほか、銀行口座を持たない消費者が金融サービスが受けられるようにしたい考えだ。 子会社「Calibra」を立ち上げ、同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるようにする。 フェイスブックによると、子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う。 子会社は、同意を得るか、必要とされる「限定的な場合」にのみ、フェイスブックや外部組織と顧客情報を共有するという。法執行手続きや治安上の問題などのケースが考えられる』、金融界やIT業界はこの話題で持ち切りのようだ。
・『大手各社がパートナーに  マーケティング資料や幹部らとのインタビューによると、フェイスブックは新デジタル通貨を管理する「リブラ協会」のパートナー28社と連携し、2020年上期に運用を開始する見通し。 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる。運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向だ。マスターカード幹部は、設立メンバーに金融機関は含まれていないが、複数行と加盟に関する話し合いをしていると説明した。 加盟には1000万ドル以上の出資が必要で、各社は重要決定に際し投票権を持つ。リブラ協会は、向こう数カ月中に私募で資金を調達する計画だ』、フェイスブック本体から切り離すため「リブラ協会」の形を取ったのだろう。その「パートナー」も錚々たる企業のようだ。
・『プライバシー・規制上の懸念  プロジェクトを巡り、消費者のプライバシーを巡る不安や規制上の障壁が難題として立ちはだかる可能性もある。 フランスのルメール経済・財務相はラジオインタビューで「フェイスブックはこうした取引手段で多数のデータを収集できるようになる。デジタル大手規制が必要という確信が強まりそうだ」と語った。主要7カ国(G7)の中央銀行トップらに対し、来月半ばまでに報告書作成を要請したことも明らかにした。 米議会上院銀行委員会のマーク・ワーナー議員(民主党)は、フェイスブックが交流サイトにおけるその規模を利用して、モバイル決済などの市場支配を達成しかねないと懸念を表明した。 欧州議会のマーカス・ファーバー議員(ドイツ)は声明で「フェイスブックが20億人の利用者を仮想通貨リスクにさらす場合、仮想通貨の適切な規制枠組みを巡り欧州委員会が作業に着手する根拠になる」と述べた。 イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は、欧州中央銀行(ECB)の会合で、フェイスブックの仮想通貨計画で想定される利便性に先入観を抱かない考えを示したが、実現すれば厳しい規制に直面する可能性も指摘した。 カーニー氏は「現代の世界で機能するものはすべて直ちにシステミックな性質を帯び、最高水準の規制対象にする必要が出てくる」と述べた。各規制当局が、資金洗浄やテロリスト資金調達対策の手順などを検証する必要性を唱えた。 ペイパル幹部はプロジェクトについて「非常に初期の段階」にとどまっていると強調。マスターカード幹部も運用開始までにすべきことは多いと指摘、規制上の障害があまりにも大きくなれば「運用を始めない可能性もある」と語った。 フェイスブック幹部らによると、仮想通貨計画を巡り米国などの規制当局とコンタクトしている。 米規制関係筋は、通貨の仕組みや既存規制制度の枠内におさまるのかが依然不透明と指摘した。 スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)は、リブラプロジェクトの立ち上げ担当者らと連絡を取っていると説明。規制上の認可手続きを進めているかなどについてはコメントしなかった。英金融規制当局はコメントを控えた』、7月19日付け日経新聞は「G7議長「リブラ 最高水準の規制を」と伝えるなど、規制当局の姿勢は極めて慎重なようだ。

次に、6月29日付けNewsweek日本版「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/06/post-12422_1.php
・『メール感覚で決済できるステーブルコイン「リブラ」――強力な資源を武器にフェイスブックが金融サービス参入へ  フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の詳細を発表した。サービス開始は20年の予定。スポティファイやeベイ、マスターカード、ペイパルなど既に約30の企業が参画を表明し、個人間の送金や、商品やサービスの購入に使うことができる。 リブラのブロックチェーンの構築と運営は、スイスに本拠を置く非営利団体「リブラ協会」が行う。フェイスブックとは別の独立した組織で、さまざまな業界の企業が参加している。 フェイスブックの今回の発表は、仮想通貨への参入だけでなく、金融サービス企業になるという宣言でもある。 多くの仮想通貨と違って、リブラは投機資産ではなく決済手段として設計される。ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨は、日常の決済に使うことは難しい。理由の1つは、仮想通貨の価格が市場の需要によって決まり、乱高下することも珍しくないからだ。 それに対し、リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる。テザーなど米ドルに連動していると主張する仮想通貨もあるが、実際に巨額の「保証金」を保有していることが証明されていないとして、疑問視されている。一方でフェイスブックは、より実績のある企業で莫大な資源を持つ。 フェイスブックのメッセージアプリであるメッセンジャーやワッツアップにリブラ用のデジタルウォレットが組み込まれ、メッセージを送るように、瞬時に送金したり、米ドルなどの法定通貨に交換したりできる。手数料は、ほぼかからないとみられている(例えばビットコインは法定通貨への換金に数日かかり、5月のレートで1回当たり2.50ドルの手数料が要る)。 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入する。オンラインや個人間の売買のほか、サブスクリプション(定額利用)の支払いにも対応する計画で、信用枠の設定や口座の開設、融資などの仕組みも視野に入れている』、ビットコインなどの一般の仮想通貨と違って、価値が主要通貨にリンクしている「ステーブルコイン」というのは、利用者にとっては魅力的だろう。「融資などの仕組みも視野」というのも興味深い。
・『世界一危険な独占企業  ただし、安定していて利用しやすい仮想通貨は、仮想通貨本来の魅力に欠ける。 仮想通貨の基本は非中央集権型のネットワークだが、リブラのブロックチェーンはリブラ協会が管理する(ドラッグの売買など違法な目的で使われることを防ぐためでもある)。また、利用の際に身分証明が必要なことは、非中央集権型の通貨の利点である匿名性を排除する。 さらに、ブロックチェーンは基本的に、コンピューターをネットワークに接続して「ノード」になれば、誰でも取引の承認や追跡ができる。しかし、リブラのネットワークのノードになるためには、1000万ドル以上を出資してリブラ協会に加盟しなければならない。 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念もある。 「フェイスブックは世界で最も危険で無責任な独占企業だ。フェイスブックが世界的な通貨を設計して運営することを信頼するなど、正気の沙汰ではない」と、「フリーダム・フロム・フェイスブック」運動の共同設立者サラ・ミラーは声明で述べている。「米連邦取引委員会は、ブラックホールと化したこの企業が私たちの金融情報と通貨システムをのみ込む前に、分割させるべきだ」』、フェイスブックへの風当たりは世界的に強まっているだけに、規制当局は慎重にならざるを得ないだろう。

第三に、7月1日付けロイター「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-libra-regulator-idJPKCN1TW1KS
・『米フェイスブックは先に導入計画を発表した暗号資産(仮想通貨)「リブラ」について、1年以内に世界で正式通貨として認知されるようになると期待している。しかし各国の規制当局はリブラに対して、かつてない厳しい態度で臨む見通しだ。 ロイターはこの10日間に金融規制や金融技術、決済、仮想通貨など各分野の専門家十数人に取材したが、当局のソフトな対応を予想する声はほとんど聞かれなかった。 リブラ導入計画は発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた。 20カ国・地域の銀行監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)のクォールズ議長は先に、暗号資産の小売り販売決済における広範な利用には規制当局による世界規模の監視が不可欠との認識を示した。 反トラスト推進団体「オープン・マーケッツ・インスティテュート」のエグゼクティブディレクター、バリー・リン氏は「規制の観点からすれば全くの厄災だ。(フェイスブックは)世界中の規制当局から集中砲火を浴びている企業であり、事態は悪化するだけだ」と述べた。 リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある。 フェイスブックの子会社カリブラの広報担当者によると、同社は米国で金融取引の事業免許を申請し、米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)に登録した。カリブラはフェイスブックがリブラの取引を扱うために設立した子会社。 事情に詳しい関係者によると、カリブラはニューヨーク州金融サービス局から同州で仮想通貨事業を行う免許も申請した。英金融行動監視局(FCA)、イングランド銀行(英中銀)、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)もフェイスブックから接触があったことを明らかにした』、フェイスブックが「巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた」、というのは当然で、自業自得だろう。
・『フェイスブックはジュネーブに主要な提携先と協力して新通貨を管理して準備を保有する組織も作った。 フェイスブックは2020年上半期に制度全体を立ち上げ、いずれはローンなど幅広い金融サービスを提供する計画だ。 ベンチャーキャピタル会社アンセミスのショーン・パーク最高投資責任者(CIO)は「フェイスブックがどこででもフリーパスを手に入れることはない。同社は世界的な業務展開を目指しており、世界中のさまざまな規制当局から、文字通り数百、あるいは数千単位の事業免許を手に入れる必要があるだろう」と述べた。 中銀や市場監視当局、消費者保護当局、資金洗浄や脱税などを防止する機関に加えて、決済ネットワークを構築すれば国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない。また、個人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている。 米商品先物取引委員会(CFTC)の元幹部でコンサルタント会社を経営するジェフ・バンドマン氏は「新たな規制当局(と対峙する)という観点だけでみても、状況はまったく変わる」と話した。 24億人のユーザーを抱えるフェイスブックは金融サービスへの進出で得られるかもしれない見返りを考えて、あえて困難に挑もうとしているようだ。 しかし利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない。社内に法令順守の枠組みを整え、違法取引を監視するスタッフを置く必要があるだろう。例えば送金サービス大手ウエスタン・ユニオン(WU.N)の広報担当者によると、同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドルに上るという』、規制対応には膨大なコストが必要なようだ。

第四に、積極論の立場から、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/209594
・『「リブラこそが正義!」ではないか  「金融ビジネスにあって、リブラこそが正義だ!」と一回言ってみよう。 ユーザーにとって、割合に安定した価値のやりとりを、国境を越えて安価かつ簡単に行うことができるのだとすると大変便利だ。「消費者の経済厚生の増大」を社会の経済的価値判断の基準とするなら、米フェイスブックがサービス開始を目指す独自のデジタル通貨「リブラ」の方向性はビジネスとして正義だと考えるべきだろう。 もちろん、現実問題として、フェイスブックが信頼に足るのかという問題はある。俗に「GAFA」と称される巨大IT企業の中でも、これまでのところ、個人情報の漏えい問題があったり、会員の個人データを実質的に売るようなビジネスを行っている疑いを持たれたり、フェイスブックは相対的に「行儀が悪い」と思われがちな、信頼というイメージから遠い企業であった。これは、目下の同社に「徳」が欠けているとでもいうしかない経営上の力不足だが、改心は可能だ。今後、同社が適切にリブラを運営し、それが顧客にとって便利ならそれでいいではないか』、「行儀が悪い」フェイスブックも、「改心は可能だ」というのは楽観的に過ぎるような気がする。
・『規制当局の警戒は「半分怪しい」  そのように筆者が思うのは、各国の中央銀行や金融監督当局がリブラに対してあまりに警戒的であることを「半分怪しい」と思うからだ。 国際的な広がりと多くの会員を持つフェイスブックが、通貨のような支払い手段をビジネス化することの影響は大きいかもしれない。何らかの状況にあって、金融システムやひいては経済に対して混乱が及ぶ可能性について、各国の中央銀行や金融監督当局が心配するのは正しいことだ。この点は認めよう。 しかし彼らは、既存の主に銀行システムが顧客に不便を強いて(銀行の支店の窓口に行くと「実感」できるはずだ)、たかだか送金や外国為替のような単純なサービスに対して、高い手数料を取っていることをどう考えているのだろうか。 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか。今のところ、既存の民間金融機関は、リブラについて奇妙なくらい静かだ。せいぜい「マネーロンダリングに利用される可能性が懸念される」というくらいの、さまつなことしか言わない』、「規制当局の警戒は「半分怪しい」、というのは確かにその通りだろう。
・『リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く  もちろん、マネーロンダリングは大きな問題だが、マネロンの温床ともいうべき高額紙幣の流通を放置しておいて、ブロックチェーンに取引の記録が全て残るはずのリブラを「黒通貨」扱いするのは、バランスを欠いているのではないか。 各国の金融規制当局がリブラに対して警戒的に振る舞うことの少なくとも一部の背景には、既存の金融ビジネスの利益の代弁があるのではないか。 なお、各国の当局者の中でも米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のリブラに対する厳しい姿勢が特に目立つ。「リブラ協会」はスイスに置かれるらしいが、フェイスブックは米国の企業なので応援しても良さそうなものだ。しかし、仮にリブラが世界的に普及すると、国際的な決済にあって米国のマネーセンター・バンクがスルーされるようになる可能性があるし、ひいては米ドルの基軸通貨としての特権的な地位が弱体化する可能性があるということだろうか。 もちろん、そうなることがいいのか悪いのかは、最終的に世界の消費者の経済厚生で判断すべき問題だ。繰り返すが、消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義なのだ。 将来の世界の人々にとって、米ドルよりもリブラの方が便利で、同時に十分信頼できる支払いと価値の保蔵の手段になる可能性はゼロではない。その状態を邪魔するのではなくて、実現するために何が必要かを考える方が前向きだし、夢がある』、「消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義」、と主張するが、「取引が安全に行われること」も重要な要素の筈だ。第三の記事で、規制対応にはコストがかかることも明らかだ。
・『興味深いのはリブラに金利が付かないこと  そもそも、リブラは通貨なのか。当初は「仮想通貨」と呼ばれていたが最近呼称が変わった「暗号資産」なのか。正式な呼び方や課税の問題(それぞれ重要な場合もある)は、今のところ各国の政府と議会が決める問題となる。 現状では、技術的には暗号資産だが、経済的な実体は通貨に近いものになるのではないかという印象だ。 現在発表されている構想では、リブラが発行される際に、リブラ協会が先進国通貨建ての安全資産(銀行預金や短期国債など)を持つことになっている。どのような通貨とリブラが交換されるかにもよるが、複数の通貨のバスケットに価値が連動する国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)をブロックチェーン化して決済に利用できるようにしたものだと考えるのが実体に近いように思われる。イメージは「スマートフォンにチャージできるSDR」か。なかなか魅力的ではないか。 少々興味深いポイントは、リブラ協会はリブラに金利を付さないとしていることだ。預け入れられたハードカレンシー(決済通貨)建て資産が生む金利はリブラの運営コストに充てられて、余剰があれば協会員に分配されることになるようだ。 現在のような超低金利の状況下では大きな問題にならないかもしれないが、将来金利が上昇してきた場合には、既存の各国通貨建ての資産に対する保有動機が相対的に高まるはずであり、既存通貨の金利変動に伴って、リブラと既存通貨建ての資産との間で資金移動が起こるはず。金利を通じて各国通貨とリブラとの間で調節が行われると考えることもできるが、将来の金利環境によっては、リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる。 また、リブラの利用者同士で、リブラ建ての資金の貸し借りが発生する可能性があり、この際にはどのような金利が形成されるのだろうか。後述のようにフェイスブック自身がリブラ建ての融資に乗り出すのは「やり過ぎ」だと考えるが、民間でリブラ建ての融資が起こるかどうか、この場合の信用創造の効果がどうなるかは興味深い問題だ』、「スマートフォンにチャージできるSDR」とは言い得て妙だ。ただ、「リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる」、というのは間違いだ。リブラには、それを構成している各国通貨の金利の合成値になっている筈であり、「リブラの金利調節」は必要ないからだ。
・『フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか  さて、長期的に考えると既存の金融機関からみたリブラの最大の脅威は、決済に付随する取引のデータを奪われることだろう。 今まで預金口座の決済を通じて持っていた企業や個人の経済行動に関するデータが、リブラ決済が増えると銀行の手元には存在しなくなる。キャッシュレス決済の普及にもいえることだが、銀行は、せいぜい決済業者と個人や決済業者同士の帳尻を処理するだけの情報貧者に陥る可能性がある。 情報を誰が持つかという争いについては、既に勝負の帰趨は明らかなのではないだろうか。個別にIT企業化できる銀行が一部にあるかもしれないが、コストや規制、経営者の能力などを考えると、既存の銀行の側には競争力がありそうにない。 もっとも、あのフェイスブックにリブラから得る情報をどこまで利用することを許すのかは、社会的に難しく、同時に興味深い問題だ。 今のところ同社は、リブラの利用者に関して厳密な本人確認を行わないつもりのようだが、この方針には少々疑問がある。個人データの利用に関して信用が乏しい同社なので、利用者の個人を特定しないことを訴えるつもりなのかもしれないが、たぶん方針を転換する方がいい。社会的なインフラである既存の通貨を信用の根拠となる資産として利用する以上、社会の側が要請するルールに合わせるべきだろう。 金融取引は実名であるべきだし、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も特に匿名を趣旨とするもの以外は、実名で本人が確認できることを原則とする方がいいと筆者は考えている。フェイスブックの規模で全ての会員に実名を要求するのは難しいかもしれないが、リブラは実名化推進のきっかけにできるのではないか』、「実名化推進」自体については私も賛成だ。
・『特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた  大多数のユーザーにとってリブラの利用が手軽であることはいいことだが、マネーロンダリング対策はもちろん必要だし、誰が誰にいくらの「お金=価値」をやり取りしているのかについては、正確に把握するべきだろう。リブラの利用者には、厳しい本人確認を行うべきだ。ただし、フェイスブックが持つ実名にリンクしたデータの利用に関してはルールと監督の仕組みをはっきりさせるべきだ。 実名にリンクした決済データを、フェイスブックがビジネスに利用することについてどの程度認めるのかは難しい問題だ。仮に、金融商品や物品の販売に自由に利用できるとすると、あまりにも強力なビジネス主体ができそうだ。 また、フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある。 現状では、個人のリブラの取引データを陰で通販業者に売るようなビジネスを行うのは汚な過ぎる。将来、フェイスブックがリブラを通じて持ったデータを活用することを全面的に禁ずるところまでは必要ないと思うが、データの取引に透明性を担保する何らかの仕組みが必要だろう。 他方、送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい。 リブラは金融ビジネスの世直しにはいい刺激になるのではないだろうか。リブラの可能性について考えると、既存の金融ビジネスが本来やるべきだった(もう過去形で問題なかろう)ことが多数浮かび上がってくる。彼らは、特権的な地位と、過大な手数料収入に安住し過ぎていた。 リブラを検討するに当たっては、金融規制や既存のビジネスとの関係だけでなく、もっと利用者の利益の視点に立つべきではないだろうか』、「フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある」、というのはその通りだ。「送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい」というのは、「安全性を確保できる限り」という条件付きで賛成だ。ただ、いずれにしろ、規制当局の姿勢はもっと厳しいので、山崎氏の主張は理想論に近いのだろう。 
タグ:ロイター リブラ ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 山崎 元 フェイスブックの暗号資産 (フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) 「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」 来年開始する計画 子会社「Calibra」 同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるように 子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う 大手各社がパートナーに パートナー28社 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる 運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向 加盟には1000万ドル以上の出資が必要 重要決定に際し投票権 プライバシー・規制上の懸念 「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」 リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入 世界一危険な独占企業 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念も 「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」 発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある 国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない 人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている 利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない ウエスタン・ユニオン 同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドル 「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」 「リブラこそが正義!」ではないか 規制当局の警戒は「半分怪しい」 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く 興味深いのはリブラに金利が付かないこと フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか 特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた
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