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中国経済(その4)(中国が経常赤字に転落 日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要、追いつめられた中国経済 2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く、中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由) [世界経済]

中国経済については、2016年9月7日に取上げたままだった。2年以上経った今日は、(その4)(中国が経常赤字に転落 日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要、追いつめられた中国経済 2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く、中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由)である。

先ずは、小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEOの小宮 一慶氏が昨年12月21日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「中国が経常赤字に転落、日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/011000037/122000049/?P=1
・『今年上半期、中国の経常収支が赤字に転落しました。中国国家外貨管理局が発表した2018年1~6月の経常収支は、283億ドル(約3兆1500億円)の赤字となりました。 経常収支とは、貿易収支・サービス収支・所得収支(海外から得た利子や配当など)を合計したもの。海外との総合的な取引状況を示します。これが赤字になったということは、海外から稼げなくなりつつあるということと同義です。これは中国経済には大きな問題となります。 2000年代から急成長を遂げ、世界第2位の経済大国に成長した中国が、なぜ今になって経常赤字に陥ったのか。日本への影響はどのように考えればいいのか。今回は、中国経済の現状と展望について考えます』、中国の経常収支赤字化は、確かに目をひく数字だった。
・『18年1~3月期、17年ぶりの経常赤字に  まずは、経常収支の中でも最も大きなウェイトを占める「貿易収支」の推移から見てみましょう。 貿易収支は大幅な黒字を続けています。2016年は5097億ドル(約57兆円)、2017年も4215億ドル(約47兆円)の黒字です。そのかなりの部分は対米黒字です。米国が不満を持つのも分かります。特にここ数カ月は、米中貿易摩擦による関税率の引き上げを見込んだ駆け込み需要が発生しており、中国側の貿易収支の黒字幅が増加しやすい傾向があります。 ところが、中国の経常収支は2018年1~3月におよそ17年ぶりの赤字に転落し、4~6月は黒字となったものの、1~6月では赤字となりました。 一体、何が原因だったのでしょうか。 経常収支は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支(海外からの金利や配当等)、第二次所得収支(政府開発援助や国際機関への分担金等)の合計です。 中国の内訳を見ますと、先ほども見たように貿易収支は順調ですが、それと同時に「サービス収支」の赤字が拡大しているのです。サービス収支の赤字は2010年あたりから増加し始め、季節要因によって貿易黒字が縮小した2018年1~3月にはカバーしきれず経常赤字になりました。 1~3月期は春節の時期が含まれているため、毎年、この四半期の貿易黒字は一時的に減る傾向がありますが、サービス収支赤字が拡大し続けていることには変わりありません。なぜでしょうか。 主な原因は、中国人による海外旅行の増加による「旅行収支」の悪化です。これは、旅行者の滞在先での宿泊費や交通費などが主なものです。中国からの海外旅行者の増加により、旅行収支の赤字が拡大しているというわけです。 中国経済が成長してくるにつれ国民の生活は豊かになり、海外への旅行熱が高まり、さらには、高品質な海外製品に対する需要が高まりました。税制上、輸入品よりも海外で購入した方が安いこともあり、海外旅行先で爆買いする中国人も多くいます。これらは経常収支の悪化をもたらすのです』、旅行収支赤字が主因であれば、対策は簡単だが、影響は日本にも及ぶ。
・『中国政府が旅行収支赤字を縮小しようとする可能性がある  日本経済もそんな中国人旅行客による恩恵を受けてきました。しかし、それもいつまで続くのかは分かりません。 というのは、中国政府がこの先、旅行収支赤字を縮小しようと動き出す可能性があるからです。 中国の成長率の推移を見ますと、かつては二ケタ成長を続けていましたが、直近の2018年7~9月期は前年同期比6.5%まで鈍化しています。今後は米中貿易摩擦の影響もありますから、ますます厳しい状況に陥るでしょう。長期的には、一人っ子政策の影響で労働力人口が長期的に減少しますから、これも経済成長を鈍化させます。このことは、中国の成長を見込んでの海外からの投資を鈍化させることにつながります。 その中で中国人旅行客が世界各国に旅行を続け、爆買いをすれば、経常収支を悪化させ、人民元売りが起こります。ただでさえ、国内経済の鈍化によって人民元安の傾向が続いている上に、海外旅行や爆買いの影響が重なるのです。 さらに、米中貿易摩擦によって貿易黒字が縮小していく可能性もあります。米国は、それを狙っているわけですからね。貿易黒字の縮小によって経常赤字が拡大すれば、人民元がますます下落し、下手をすれば暴落する可能性も否定できません。 中国政府としては、こういった状況を看過できるはずがありません。人民元安が進みすぎるのを防ぐため、せめて旅行収支赤字だけでも縮小して人民元安に歯止めをかけようと対策を打ち出す可能性は大いにあるでしょう。旅行そのものを規制すれば、当然、爆買いもなくなります。 そうなれば、日本経済への影響も避けられません。2017年の訪日客による消費額は、16年に比べて18%増加し約4兆4000億円に上り、5年連続で最高額を更新し続けています。中でも、中国人観光客による消費は約1兆7000億円と首位に位置しています。 消費額自体は4兆4000億円ですが、波及効果も加味すれば、GDPベースで約10兆円の経済効果があるとの見方もあります。 中国政府が旅行収支赤字の縮小を視野に入れ始めると、この莫大な観光収入が大幅に減少する可能性も少なくありません。 訪日客数の推移を見ますと、2018年8月は前年同月比4.1%増の257万8021人、9月は北海道での地震の影響もあり5.3%減の215万9600人、10月は1.8%増の264万600人となっています。2018年の訪日客数は3000万人を超えましたが、2017年は前年同月比で20%前後の伸びを維持していたことを考えますと、増加ペースが鈍化していると言えるでしょう。 中国政府が手を打ち始めたら、この伸びは止まるどころか、減少に転じる可能性もあります。台湾は反中国政権の影響もあり、中国本土からの旅行客が減少し、経済にも悪影響が出ています』、インバウンド・ブームについては、影の部分の指摘も増えていることから、「中国本土からの旅行客が減少」はやむを得ないことなのだろう。
・『東京のマンション投資、地方の観光地にも影響  さらに言えば、単純に旅行収支だけではなく、海外への投資、例えば不動産投資などを抑制することも考えられます。そうなると、中国人投資家による日本国内、特に東京都内のマンションへの投資、あるいは北海道などでの観光地への投資などに影響が出るでしょう。 しかもここへきて日本経済のトレンドが変わり始めています。2018年7~9月期のGDP実質成長率はマイナス2.5%(季節調整済み、年率換算)と、減少幅は前回の消費増税後の2014年4~6月期以来の大きさとなりました。2019年1月まで成長が続けば、戦後最長の景気拡大となると期待されていますが、その先は黄信号が灯っているのです。 ここで中国からの訪日客が急減するようなことがあれば、日本の景気に大きな影響があることは間違いありません。 米中貿易摩擦の解決の仕方にもよりますが、この先、中国の経常収支は悪化してゆく可能性があります。日本企業も中国を大きな市場としているところも多く、また、訪日客の動向によっては、日本への影響の度合いも大きく変わってきますので、注意が必要です』、既に弱まり始めている日本の景気をさらに下押ししたり、不動産市況に悪影響があることは覚悟する必要があるが、インバウンドに過度に依存した姿こそが異常なのであり、持続性ある成長路線に戻すためには、不可避なことであるように思う。

次に、元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島 香織氏が12月26日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「追いつめられた中国経済、2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/218009/122500193/?P=1
・『新華社が21日に報じたところによれば、19-21日に中央経済工作会議が開催された。中央委員会総会(四中全会、政治政策の決定を中央委員会によって可決する)を開かずに経済政策を決める中央経済工作会議を先に開くのはやはり異例だ。しかも、その直前に行われた改革開放40周年記念の習近平重要講話を仔細に読めば、経済の習近平路線は大きく変わりそうにない。中国の来年の経済動向を、習近平重要講話と中央経済工作会議の中身から占ってみたい』、これまでからバブルの歪みが指摘されてきた中国経済も、いよいよ「弾ける」とすれば、影響は深刻だ。
・『倒産500万件、失業200万人か  簡単に2018年の中国経済を概観すると、今年の経済鈍化は、庶民が肌身で切実に感じるレベルである。党大会後から始まった債務圧縮政策は中国の雇用を支えてきた民営中小零細企業を直撃、報道ベースでざっくり500万件が倒産し200万人が路頭に迷い、740万人の出稼ぎ者が都市部から農村に戻った。その原因を習近平路線にあるとする声は党内でも大きい。習近平の政策の一番強烈なところは「習近平を核心とする党中央」が一切を指導する独裁路線であり、株式市場も為替市場も民営企業も債務も、党(習近平の意向)が完璧にコントロールしてやろう、という点だ。そんなものを完璧にコントロールできる天才的指導者などいるか、という話だ。 これは鄧小平の改革開放路線(資本主義を経済の手段として容認し、経済活動については政治的制約を極限まで減らし、結果的に豊かになった企業家および中間層を党に取り込むことで共産党の権力を強くする)とは真逆。だから、習近平路線の呼び名は「逆走路線」あるいは「改毛超鄧」(毛沢東のやり方を改良して鄧小平を超越する)と表現される。 胡錦濤政権末期を振り返ると、鄧小平路線を長年継続してきた結果、(資本家を受け入れた)共産党の腐敗と風紀の乱れが激化し、貧富の差の拡大によって大衆の不満が膨らみ、経済が資本主義(自由主義)、政治が社会主義(全体主義)という不均衡によって、共産党は経済の資本主義化にブレーキをかけるか、政治の社会主義体制の看板を下ろすかの選択の岐路に立たされていた。この選択をできずにいた胡錦濤政権から、矛盾が極限まで膨らんだ状態の中国を受けついだ習近平政権は、高度経済成長の持続を諦め、成長減速を「新常態」(ニューノーマル)と受け入れて、経済構造の大改革を行うとした。だが、文革時代に思春期を過ごし、大した経験や知識をもたない習近平には参考となる政治家手本は毛沢東しかおらず、毛沢東のやり方を模倣する以外なかった。 結果として起きた現象を上げれば、安邦保険や海南航空集団といったメガ民営企業の事実上の国有化などによる民営企業のパニック、2015年上海“株災”から始まった中国株式市場の信用失墜、意見の対立する政治家、官僚排除による党内組織機能の硬直化やサボタージュ、中国製造2025(製造業の高度化)や一帯一路(国内余剰生産などの矛盾を国外に移転、拡大することによる問題解消を狙った中華式経済圏の拡大)といった戦略を中国の覇権主義台頭と警戒した米国との貿易戦争などが重なって、中国経済は急減速した。外資引き上げが加速し、キャピタルフライトはとどまらず、人民元は急落を続け、不動産バブル、地方債務ははじける寸前であり、社会消費の鈍化が目立つようになった』、改革開放以来の経済政策の流れが理解できたが、習近平にとっては、内憂外患の極致にあるようだ。
・『「鄧小平路線に戻すべき」との声も  2017年暮れごろから中国政府内の金融官僚たちは「ミンスキーモーメント」という言葉を口にし始めた。これを警戒し、習近平政権は金融バブル崩壊圧力を緩めるために2018年6月、P2P金融業者(ネットなどをプラットフォームに使った個人間融資)を選んで破綻させたのだが、大量の自殺者、失踪者が出て数百万単位の金融難民を出した苛酷なものだった。ネット上で怨嗟の声が渦巻き、習近平政権に対する大衆、特に中間層の敵意を形成することになった。しかも、P2Pを破綻させたところで、中国の巨大な金融破たんリスクが解消されるわけもなく、むしろ次はより大きなショックがくると国内外のアナリストたちは恐怖を感じるようになった。ここに、米国との貿易戦争が重なり、中国経済は改革開放以来、例をみないほどに追いつめられている。 党内では現状を改善するためには路線を旧鄧小平路線に戻すべきだと主張する声が強くなっていた。だが、習近平にとって旧鄧小平路線に戻ることは自身の敗北を認め、下手をすれば引退という形で責任を取らされる可能性があり、簡単には認められない。習近平は最終的にどうするのか、その答えが改革開放40周年記念日に行われた演説であった。 演説の内容を簡単にいえば、旧鄧小平路線には戻らない、という習近平の決意が打ち出されている。見出し的には「改革開放路線の継続宣言」と報じてるメディアもあるが、中身はあくまで習近平路線維持を押し通したものだった。鄧小平の言葉よりも毛沢東の言葉を多く引用しているし、なにより胡錦濤政権時代の2008年に行われた改革開放30周年記念行事には江沢民ら長老が勢ぞろいしたが、今回、長老連は軒並み欠席。現役指導部と習近平の取り巻きだけが参加した習近平独演ショーのようになっていた。 まず「党が一切を指導する」(経済、市場を含めた国家占有至上主義路線)の維持を繰り返した。 また中国を国際秩序の擁護者としながら、「中国人民にあごで偉そうに指図できる教師様はいない」と毛沢東風に語り、中国が目指すのは米国はじめ西洋社会が示す民主主義モデルではなく、中国が独自の道をいくのだと主張している。これは既存の国際秩序への挑戦姿勢と受け取れよう。米国を暗にさして「覇権主義と強権主義に旗幟鮮明に反対する」と牽制している。また国有経済優先姿勢も明確にし、「公有経済制はみじんもゆるがさない」としている。改革開放路線継続といいながら、実は逆走路線である。党内改革派からは鄧小平路線に回帰し、国際社会との融和・妥協点を探るべきだという意見が出ているが、それにも習近平はノーだということだ。 「改革すべきところ、改革できるところは必ず改革する、改革すべきでないところ、改革できないところは絶対改革しない」とのべているが、これは事実上の「これ以上改革開放しない」宣言といえるだろう。習近平の本音はもとのまま毛沢東時代逆走路線ということだ。とりあえず、鄧小平を少し持ち上げてみせるが、「できないものはできない」と、開き直ったようにもみえる。さらに一流の軍隊を作って中華民族の復興路線の後ろ盾とする社会主義現代強国化路線の堅持を訴えた。 また「党の集中統一指導により、我々は歴史の偉大なる転換を実現し、改革開放新時代と中華民族の偉大なる復興の新たな道のりを切り開くことができる。一連の重大なリスクの挑戦を受けて立つことができる。無限の艱難辛苦を克服し、変局、風波、洪水、パンデミック、地震、危機もろもろに対応でき防止できる能力がある。古臭くなった過去のやり方でもなく、旗印を安易に挿げ替えただけの邪道でもなく、ゆるぎない中国社会主義路線を堅持するのだ」と語っている』、「習近平の本音はもとのまま毛沢東時代逆走路線」とはいうものの、毛沢東時代とは比較にならないほど経済構造が複雑化したなかで、統制強化路線が機能するのだろうか。
・『「旗印を安易に挿げ替えた邪道」とは  「旗印を安易に挿げ替えた邪道」とは、経済の資本主義化を社会主義初級段階に言い換えて自由主義路線を推し進めた鄧小平を念頭に置いているとすれば、習近平の本音がどこにあるかは明らかだ。しかも、習近平が考えうるリスクの羅列の筆頭に「変局」「風波」が挙がっている。変局を直訳すれば非常事態だが、これには政治的意味が含まれており、革命や政変、戦争などを連想させる言葉である。風波は動乱、天安門事件のような社会や政治の動乱を差す言葉だ。習近平が自分の路線を押し通す先に、政変や動乱のリスクも想定しているともとれる。この重要講話を読む限り、習近平は妥協しないつもりであり、いざとなったら政変も動乱も受けてたつ、といわんばかりのやけっぱちで暴走気味であるとも受け取れるのではないか。 さて、この重要講話発表の翌日に中央経済工作会議が開催された。新華社によれば会議では「世界は百年に一度の大変局に直面している。変局中には危機と同時にチャンスが併存しており、これは中華民族の偉大なる復興に重大なチャンスをもたらす」と指摘されたという。ここでも、「変局」が意識されている。とにかく来年は、世界も中国も政治体制、経済や秩序のフレームワークが激変するような非常事態がおきうる危険な一年という意識がにじみでている。だから、経済工作会議の前に開かれた政治局会議で2019年、2020年経済成長目標は6.1%に設定すべしと提言された。今年の経済成長は6.6%前後の見込みで、それでも肌身に厳しい状況を感じるのだから、来年の厳しさは想像以上だろう。ちなみに国家統計局内の特別チームが内部報告用に取りまとめた統計によれば今年の本当の成長率は1.67%という(向松祚・人民大学貨幣研究所副所長、NYT)。 会議ではマクロ政策方針は積極財政、穏健通貨政策をとり、よりカウンターシクリカル(逆周期調節)な対応を強化する、とした。さらに積極財政を効果的にするために、大幅減税を実施し、地方政府の専項債権(インフラプロジェクトなどの資金調達のための特別債)規模を大幅に拡大させる、とした。同時に地方債務リスクを穏健に妥当にコントロールする。貨幣政策は適度に緩め、流動性を確保し貨幣政策メカニズムの改善を図りつつ、直接融資比重を上げて民営の中小零細企業の融資困難問題を解決するとした。穏当をキーワードにした慎重な政策で痛みを最小限にとどめるつもりなのか。 構造改革については、国有企業改革が首位におかれた。珍しく踏み込んできたと思える発言は「政企分開、政資分開と公平競争原則を堅持する。国有資本を強く優位に大きくし、企業を管理することから資本を管理することへの転換実現を加速する」とした点だ。国有企業の競争力を強化することを政策の基礎として、党と国有企業の関係を、あくまで国有資本の管理者として、企業自体の管理は政治と切り離す、という意味だとしたら、これは習近平路線の逆をいく話だ。しかも、「民営企業の発展を支持し、制度環境を法治化し、民営企業家人身の安全と財産の安全を保護する」としている。民営企業家の不審死、自殺が相次ぎ、不自然なやり方で民営企業の国有化を進めた、習近平のこれまでのやり方を改める、という意味にもとれる』、ここには触れられてないが、財政赤字はさらに大きく拡大し、中央銀行がそれを支えることになるのだろう。その場合、資本主義国であれば、インフレが激化するが、統計操作では、安倍政権より遥かに手慣れているので、そんな気配も見せないのだろう。不思議な国だ。
・『米中貿易戦争が再燃したら…  こうして見てみると、経済政策に関していえば、習近平路線と離れて独自に動きだしているように見える。だが改革開放記念演説に見た習近平の自分のやり方への執着をみれば、本当に経済工作会議のもとに打ち出された方針で運営されるのかも定かではない。そもそも、中央委員会総会によって次の5年の政策の大枠の方向性が可決されていないのだ。 ちなみに会議に国家副主席の王岐山が欠席したのは、党内で意見分裂があったからだ、という見方もあった。すでに中央委員でもない王岐山の欠席に意味があるかどうか別として、党内で習近平派とアンチ習近平派に分かれて、政策の方向性が紛糾しているという話は私も各方面から仄聞(そくぶん)している。習近平の権力への執念が経済政策の方向性の定まりがたさの原因とすると、今後の見通しは不確定きわまりない。しかも90日停戦を経て3月1日には、米国との貿易戦争が再燃するかもしれない。そうなれば、中国経済のハードランディング回避は難しくなろう。今年のP2P破綻のような選択的破綻でしのぐにしても、規模はリーマンショック級以上、という予想をいうアナリストたちは少なくない』、ただ、トランプも本格的な貿易戦争は望んでないと見られることから、貿易戦争再燃はかろうじて避けられるのではなかろうか。それでも、国内での歪み蓄積による経済悪化といったリスクは十分あり得るだろう。

第三に、ジャーナリストの姫田小夏氏が1月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/190528
・『実態と乖離した不動産価格の裏側  中国経済がおかしくなっている。「IT、製造業、不動産業で雇用削減」「消費が曲がり角」――年明け早々、日本経済新聞は中国経済の変調をこう報じた。中国の主要な経済紙を開いても、「債務危機」「連鎖破綻」「不良資産処理」など、先行きの不穏さを暗示する経済用語が目を引く。2019年の中国経済は見通しが悪い。 昨冬、筆者が訪れた上海の街は「真っ暗」だった。その元凶は不動産市況だろう。もとより上海では、マンションの乱開発と投機が生んだ「空室」が社会問題になっていたが、その数が激増し、夜間マンションにともる灯りが減ったのだ。 上海在住で複数の事業用マンションを持つ富裕層のひとりは「売りに出した住宅を見に来る客はいても契約には至りません」と語る。上海では2017年以降、住宅の中古市場が動かなくなった。 上海市黄浦区の不動産屋に張り出された住宅情報を見ると、1000万元台、2000万元台のマンションが目に付く。特別な仕様でも立地でもないごく普通の住宅だが、1億円はざら、2億円、3億円の高値がつくのだ。 その不動産屋の前に、近隣居住者とおぼしき老人が立っていたので話かけた。この老人は最近、所有していた物件を680万元(約1億1000万円)でやっとの思いで売却したという。このエリアでの成約額といえば680万元がせいぜいなのだ。2000万元越えの “バブル物件”など簡単には売れはしない。 その売却で手にしたお金は何に投資したのかと聞いたら、「借金返済ですべて消えてなくなった」と上海なまりの中国語で明かした。金融機関のみならず、親戚や友人から借りまくって買ったまではよかったが、老人の手元には何も残らなかったのだ。 インターネットでは「房奴」「車奴」など、「~奴」という言葉を見るようになった。住宅ローン、自動車ローン、カードローンを返せない個人が増えているのだ。中国人民銀行は2018年第3四半期末、クレジットカード支払いの不良債権(半年の遅延)額は880億元になったと発表した。2011年同期の106億元と比べると8倍以上の増加だ。 高額な負債を負った生活者は急増する中、中国では今、「個人破産制度を設けよ」という声が高まっている』、個人破産制度がないということは、返済できない個人はどうなってしまうのだろう。
・『改革開放のシンボル民営企業も八方ふさがり  中央政府は今、民営企業の救済と金融破綻の回避に必死だ。中国では企業の倒産が増えている。 中国の改革開放のシンボルとしての役割を背負った民営企業。その数は2017年末までに2726万社に増えた。これに「個体戸」と呼ばれる自営業を加えると、実に中国企業の95%が私企業で成り立っている計算になる。しかしこれら民営企業の多くは、経営コスト増、資金調達難、構造転換の困難という三重苦で経営難に直面している。 筆者は中国で、ある民営企業経営者と面会した。中国の民営企業トップ500の上位にランキングする、中国では有名なアパレル企業の経営陣である。 仮に彼を陳氏と呼ぶことにしよう。陳氏一族は浙江省温州市で、それぞれ工程ごとに独立したグループ会社を経営する同族企業だ。1970年代生まれの陳氏は、製造販売に従事し、全国チェーンを発展させた。そのブランド名は中国人なら誰もが知るところだが、中国の経営環境に対する陳氏の見通しは悲観的だ。 「生存競争があまりに激しい。中国では今、年商1億元規模の企業がバタバタと倒産しています。その原因の1つは、一瞬で価格の比較ができるネット販売。消費者は同じものなら少しでも安いものを選ぶため、競争力のない多くのアパレル工場がつぶれてしまったのです」 同社製品は「タオバオ」でも販売し、大きな商機につながったという。しかし、同時にこれがデフレを招き、2005年前後に高額衣料品の値段はどんどん落ちていった。 一方で、陳氏は経営環境を悲観するもう1つの要因を「信用破綻」だと指摘する。 「温州ではもともと『民間借貸』(個人や企業間での融資)が発達しており、銀行からの借り入れなしに独自に資金調達ができましたが、これが2011年に破綻してしまったのです」 この信用破綻は連鎖を呼び、陳氏のビジネスも一気に暗転した。自社ブランドを持ち、店舗展開を一気に加速させようとした矢先、店舗開発は行き詰まり、数億円の資金を投じて大量生産した商品は瞬く間に在庫の山と化した。その痛手は8年を経た現在も癒えてはいないという。その理由を陳氏は次のように語っている。 「2011年までは中央政府も『民間借貸』を認めていました。商業銀行が中小の民営企業に貸したがらない環境の中で、『民間借貸』は唯一の血流だったのです。けれども2011年に不動産バブルが崩壊すると、住宅を担保に高利で借り入れていた経営者はもはや夜逃げするしかありませんでした」「この破綻の元凶を『民間借貸』にあるとした中央政府は、その後の金融改革の中で、『民間貸借』を規制し、銀行融資を奨励するようになりました。しかし表向きの政策とは違い、銀行は貸したがらない。結局、資金が行き渡らず、多くの企業が今なお厳しい状況に置かれているのです」』、金融面の傷は極めて深そうだ。
・『信用破綻の元凶は不動産バブル崩壊  温州といえば、陳氏のように商才ある経営者を数多く輩出し、民間経済が発達した土地柄だ。改革開放の初期、軽工業が盛んだった温州は“脱国有”のモデル都市として注目を集めた。先に富んだ温州人たちは2000年代に入ると一早く沿海部の不動産に手を出した。地元温州のみならず、上海を含む中国各地の住宅価格は、彼らの大胆なマネーゲームで“身の丈”をはるかに超えるバブルと化した。 身から出た錆とはこのことである。バブル化した不動産市場に浙江省政府が購入を制限する「限購」を発令すると、市場は一気に冷えた。2011年、温州市では事実上、不動産バブルが崩壊した。買い手を市場に参入させないことでバブル抑制を試みたまではよかったが、その「劇薬」が、不動産価格の予想外のハードランディングを招いてしまい、不動産を担保に資金繰りをつけていた温州経済を破綻させてしまったのである。 2014年、筆者は不動産価格が激しく暴落した温州市を訪れた。その温州で目の当たりにしたのは、3年を経てもなお高止まりしたまま売れ残るマンションと、膨大な借金を抱えたまま経営者が戻らない工場だった。不動産価格が高騰したといわれる中心部の宿から見えるのは、数えるほどしか灯りがつかない真っ暗な高級住宅街だった。 さらにそれから4年経った2018年、温州は2019年明けの税率引き上げを前に“駆け込み特需”で製造業が活気づいていた。だが、温州を頻繁に訪れる日本人ビジネスマンによれば「温州経済は今なお暗中模索だ」という。 「温州経済は立ち直たっとは言い難い。抵当に押さえられたままの不動産も少なくありません。主力のアパレルや日用品などの産業も縮小し、次の産業は育っていないのが現状です」』、「「劇薬」が、不動産価格の予想外のハードランディングを招いてしまい」というのは、日本のバブル潰しで、不動産融資の総量規制導入で、不動産市場の崩壊、金融機関の不良債権問題深刻化を招いたオーバーキル策と似ている。
・『突き抜けた民営企業は一握り  日本でもその名をよく聞くアリババやテンセント、OPPOやシャオミなども民営企業だが、こうした“突き抜けた企業”は、実はほんの一握りだ。他方、シェアサイクルでも民営企業が大きなリードを見せたが、3年を経ずして参入企業の多くが消えた。「多産多死」で強者を生み出すのが中国流ともいえるが、上海在住の一部の消費者は「決断は大胆だが経営は問題が多い」と不安を隠さない。ちなみにシェアサイクルのofoは昨年日本から撤退したが、「その後日本支社と連絡がつかなくなった」と協力した自治体を困惑させている。 そんな民営企業に特効薬はないと踏んだのか、昨年、「私営経済退場論」「新公私合営論」といった論文が相次いで発表された。共産党の支配が強まる近年、これらは「中国を再び公有経済に戻すのか」という不安すら煽った。 民営企業は結局のところシャドーバンクから資金調達するしかなく、またしても借りた金の不良債権化が問題になっている。中国の有力経済紙「21世紀経済報道」は、「ここ数年の借り入れが返済期を迎えるが、返済できない企業は多い」、「違約に陥る民営企業が信用破綻を生んでいる」と報じる。 振り返れば2011年、中国のメディアはこぞって温州企業のこげつきと経営者の夜逃げを取り上げた。あれから8年を経た今、上海で感じるのは当時の“温州クラッシュ”の再現だ。 「政府がコントロールできる限りにおいてバブル崩壊はない」とする強気の中国だが、果たして市場は有効に制御されているといえるのだろうか。あるいは温州のバブル崩壊の検証を十分に行ったといえるのだろうか。もしかすると中国経済は今まさに、暗くて長いトンネルの入り口に立たされているのかもしれない』、不良債権といっても、その定義が緩く、処理も先送りが認められていれば、マイナス効果は裏で累積されるだけで、表に出てこない状態なのだろう。しかし、そうした危険な状態はやがて崩壊せざるを得ないが、現政権は先送りを優先するのだろう。
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株式・為替相場(その8)(円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移 その背景は、“下落相場入り”で迎える2019年 個人投資家は「買いのチャンス」か、2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ) [世界経済]

株式・為替相場については、世界同時株安(その7)として、2月16日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移 その背景は、“下落相場入り”で迎える2019年 個人投資家は「買いのチャンス」か、2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ)である。

先ずは、12月25日付けダイヤモンド・オンラインが米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を転載した「円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移、その背景は」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189430
・『ボラティリティが猛烈な勢いで復活している。そして混乱期に資産の逃避先になることが多い日本円は相変わらず弱い。 何が起きているのか  株や社債、そして商品(コモディティ)は今年そろって売られてきた。こうした市場では通常、安全資産とされる円がドルに対して上昇する。 S&P500種株価指数は9月20日につけた過去最高値から14.5%下落した。以来、リスクを回避したい投資家に人気の金は3.8%上昇している。一方、円は方向性を欠いている。 最近では1ドル=111.88円をつけた。これは、円がなお今年の安値圏にあることを意味する。先週1.6%上昇したにもかかわらずだ。 円が安全資産の地位を得た一因として、日本の超低金利を背景に、同国投資家が数年にわたって海外の株や債券をせっせと購入してきたことがある。そうした投資家は混乱時に海外資産を売って日本に還流させる傾向があるため、円が上昇する。  アナリストらはキャリートレードでの円人気にも言及している。これは新興国市場などで見られる高いリターンを狙い、借り入れをして資産を買う戦略だ。こうした取引から引き揚げる運用会社は円を買い戻さなければならず、円相場が上昇する』、今日の円相場は1ドル=110.57円と僅かながら円高気味だ。
・『それが意味すること  ドイツ銀行シンガポール支店のアジアマクロ戦略責任者サミーア・ゴエル氏は「ドル・円の今年の動きが奇妙で普通と違う」と述べた。 ゴエル氏らは今年の変則的な動きについて、いくらか説明はできるものの、安全資産という円の地位は長期的には変わらないと考えている。日本の多額の経常黒字などが根拠だ。 円は依然キャリートレードに使われているが、運用会社はユーロなど他の通貨に手を伸ばしている。そして日本の投資家はここ数週間、海外資産を売るのではなく買っている。株よりも債券に殺到してはいるが。 中央銀行の動きも背景となっている。連邦準備制度理事会(FRB)は19日に今年4回目となる利上げを決めた。 これに対し日本銀行は20日の会合で、超緩和的な金融政策を維持することを決定した。この違い――日米の政策金利の差がこれほど広がったことは10年以上なかった――は円に対するドル高を意味する。 日本では機械受注や工業生産といった経済指標がこのところ予想を下回っているため、一部の投資家は日銀による金融政策正常化が一段と遠のくと確信するかもしれない。アライアンス・バーンスタインのポートフォリオマネジャー、モーガン・ハーティング氏は「円に安全資産の性質を与えている要素が相殺される可能性がある」と述べた』、円が万一、安全資産の座からすべり落ちるようだと、一国だけ取り残された異次元緩和、財政赤字の大きさなどに焦点が当たって、一気に暴落し、異次元緩和の副作用といわれたリスクが顕在化し得る点には最大限の注意が必要だろう。

次に、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が12月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「“下落相場入り”で迎える2019年、個人投資家は「買いのチャンス」か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189582
・『少し早めの下落相場入り(先週から週明けにかけて、内外の株価が大きく下落した。米国、日本ともに代表的な株価指数は直近の高値から2割以上下落したので、株式市場関係者の慣例的定義によると「下落相場入り」だ。 率直に言うと、株価の本格的な下落は予想よりも少し早く現れた。ただし、意外感はあまりない。 今回の株価の下落要因とされている、米中貿易摩擦などを背景とした「世界景気の減速への懸念」も、米国FRB(連邦準備制度理事会)の金融引き締め継続も、あるいは来年秋に予定されている日本の消費税率引き上げや、五輪関連特需の息切れ懸念も、いずれも既に投資家の視野に入っていた材料だ。 株価が経済の動きに対して先取り気味に動くことを考えると、今回の株価下落を大いに意外だと思う市場関係者は少ないのではないか。 下落の原因の中で最も本質的な要因は、金融引き締めの継続に伴う米国の長短の金利上昇だ。金融引き締めによる金利の上昇は、いつかはリスク資産の価格下落をもたらすし、最終的に金融引き締めに勝てる上昇相場はない。 ただし、経験則的には長期金利で4%くらいの水準が、株式に対する債券の魅力が高まって株価下落のトリガーになるレベルであったものが、インフレ率が低下した今日の世界経済にあっては、3%近辺の米国長期国債利回りでも十分に高かったようだ』、「下落の原因の中で最も本質的な要因は、金融引き締めの継続に伴う米国の長短の金利上昇だ」、なるほど。
・『「バブル崩壊」ではなさそうだが  株価が下落局面入りした場合に、確認が必要なのは、それが本格的なバブル崩壊なのかどうかだ。 今のところ、リーマンショックに至ったサブプライム問題がはらんでいた米国の不動産バブルのような大物の歪みは、存在していないように見受けられる。 12月24日に米国のムニューシン財務長官が大手金融機関6社に対し、流動性の供給を念押ししたというニュースは、「どこかにヤバい金融機関でもあるのか?」との不安を喚起する逆効果的な情報発信だったが、現段階では危機が噂されるような大手金融機関はない。 大手の米銀は、十分な自己資本を備えているように思われる。問題があるとすると、例えば高いレバレッジを掛けて、信用度の低い債券に投資してサヤ抜きを狙うポジションを取っていたヘッジファンドのような主体が破綻することだろうか。 保有ポジションの投げ売りのようなことが起きると市場への影響が大きいし、ファンドの破綻が連鎖した場合に、大手金融機関に影響が及ぶ可能性がゼロではない。ゴールドマン・サックス出身のムニューシン氏がこうした情報をつかんで懸念しているというのであれば、投資家にとってはさらに気持ちの悪い局面が訪れそうだ。 ただし、大きな歪みがないとしても、現在の大統領がトランプ氏で、財務長官がこのムニューシン氏、さらにFRB議長がいかにも素人臭いパウエル氏という米国経済政策の布陣は、危機対応の点では不安が残る。 トランプ大統領は、パウエルFRB議長が普通のFRB議長のように、物価と雇用を見て小刻みに利上げを続けていることに不満を隠さない。トランプ氏が任命したスタッフがトランプ氏への忠誠よりも通常の職責を果たすことに対してトランプ氏が不満を持つ、というパターンは何度も繰り返されておなじみになっているが、FRB議長の解任は難しそうだ』、トランプにしてみれば、解任による巨大なリスクを取るよりも、株価下落の言い訳としてFRB議長を批判しているだけなのかも知れない。
・『市場の予想通りに、世界経済がやや減速するとすれば、物価に掛かる上昇圧力も収まるので、FRBは追加的な利上げをしなくても顔が立つようになる可能性があるが、パウエル氏にはそのような融通性はないかもしれない。現在予想されているように、来年あと2回利上げがあるとすると、株価の反転には時間がかかるかもしれない。 また、もう一方の経済的懸念である米中貿易摩擦は、トランプ大統領の政治的人気取りの手段であることに加えて、情報産業をめぐる米中の主導権争いの意味が出てきたので、簡単に収束しそうにない。 当面、中国側の方が影響は大きそうだが、中国経済の減速は世界景気を通じて米国企業の業績にも影響してくるので、世界の株式市場にとってリスク要因であり続けるだろう』、中国側は米中貿易摩擦に融和的姿勢を取り始めたようだが、問題が「情報産業をめぐる米中の主導権争い」にまで拡大してきたので、収束は確かに簡単ではなさそうだ。
・『株価水準そのものは高いのか  米国企業の株価はどうか。いわゆる「GAFA」の株価をPERで見ると、グーグルの親会社アルファベットが36.64倍、アップルが12.33倍、フェイスブックが18.7倍、アマゾンが75.3倍とまちまちである(いずれも米国版ヤフー・ファイナンスによる)。 率直に言って、いずれも「安くない」と思うが、「半値になれば十分安い」というくらいの株価なので、株価自体が大きなバブルを形成しているという印象はない。 では、日本の株価はどうか。 東証一部の株式の平均PERは12月25日の株価で計算すると、12倍を割り込んでいる。益利回りで8.5%以上あることになり、仮に来年の経済成長がマイナスに落ち込んでも「高くはない」というレベルにある。加重平均では年率2.5%を超える配当利回りから考えても株価は高くない。 ただし、今年の投資主体別の動きを大雑把に見ると、日銀が6兆円買ったが、外国人投資家が5兆円売り越した。株価動向に対して決定的だったのは、外国人の売りであり、今後の海外のマーケットで株式が売られると、日本株も連れ安する状況は続くだろう。 日銀のETF買いをどう評価するのかは、市場関係者の間でも意見の割れるところだろう。「日銀が買わなければ、もっと株価は安かったはずだ」という意見もあり、否定しきることは難しいが、さりとて日銀が買うから株価は上がるだろうとの印象は乏しい。 日銀の株式買いは、株価の大勢への影響は乏しく、個人投資家の押し目買いの機会を相当程度奪っただけではないかという意見があり、筆者も概ね同意する。現在の状況で日銀がETF買いから手を引くことは考えにくいが、あまりいい政策手段ではなかったとの印象を持っている』、「日銀の株式買いは、株価の大勢への影響は乏しく、個人投資家の押し目買いの機会を相当程度奪っただけ」との見方は、その通りなのかも知れない。
・『当面の投資方針はいかに  当面、(1)米国の金融引き締め政策継続、(2)米中貿易摩擦の緩和観測なし、(3)日本では消費増税予定、(4)欧州経済も不安定で、(5)世界経済の減速は新興国に悪影響、といった悪材料が実現レベルではまだ出尽くしていない感じだが、「予想」のレベルでは概ね織り込まれているように思われる。 特に、日本の株価は少なくとも「高過ぎる」ことはなさそうなので、今後、主に海外要因での下落があるとしても、下落した株価に対しては、「買いのチャンス」ではないかという視点から考えたい。 2018年は、つみたてNISAが始まり、iDeCo(個人型確定拠出年金)の口座数が100万口座を超えた。初心者の投資家がかなり増えたことになるが、こうした制度で投資をしている投資家は、積立投資で徐々に株式投資額を増やして長期で保有する投資家なので、積立投資を継続することでいいだろう。 これらの積立投資口座で、株式への投資比率に引き上げの余地がある投資家は、今後の株価下落を期待して、株式への投資比率を上げることも考慮に値するように思われる。 一方、通常の株式投資家は、当面、持ち株を維持しながら、「もう1割下がったら、買い増しする」という心積もりを持って、追加投資のチャンスをうかがうのがいいのではないか。 今回の株価下落は、米国の金融引き締めに伴う循環的なものであり、規模はそれほど大きくないはずだ。株式投資のコツは株価が下がったところで行うことにあるのだから、「買いチャンスを待つ」のが基本的な戦略になる。 一方、心配なのは不動産投資だ。経験則的には、株価が下落して数ヵ月後くらいに中古マンションの価格が下がる。マンション投資などのセールスを受けている方は、当面買いを見送る方がいいだろう。買いそうになっている方も、キャンセルが可能なら、いったんキャンセルが正解になる可能性があるように思う。 もちろん、株式も不動産も、投資は読者ご自身の判断で行ってほしい』、「特に、日本の株価は少なくとも「高過ぎる」ことはなさそうなので、今後、主に海外要因での下落があるとしても、下落した株価に対しては、「買いのチャンス」ではないか」との山崎氏の「ご宣託」は、個人的には嬉しいが、証券業界の一員の言い分として、割り引いて捉える必要もありそうだ。

第三に、財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏が12月29日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257942
・『世界的に株価が暴落している。アメリカの株価は、テクノロジーが中心のナスダック市場が高値から一時20%以上下落した。高値からの20%下落は一般的に弱気相場入りと呼ばれる。 それでも12月26日のアメリカの株式市場は、この大暴落の後を受けて大幅反発し、NYダウ工業株30種平均は史上初めて1日で1000ドル以上の上昇という記録的な上げ幅となったし、ナスダックも5%以上上昇した。27日もダウは下落後最終的には260ドル上昇したが、これで一息ついたのだろうか』、小幡 績氏の「ご宣託」はどんなものなのだろう。
・『暴落と「米中貿易戦争」「トランプ」は無関係  日本時間12月26日朝のメディアは25日の日本株の暴落を受けて、一般紙も含めて大騒ぎだった。彼らの解説は、背景にあるのは米中貿易戦争による世界景気減速懸念やドナルド・トランプ大統領の政治の不透明さによるものというものだった。 しかし、貿易戦争はずっと続いており、ここにきてむしろ解決へ向かうために中国側が譲歩する兆しもあり、暴落とは無関係のはずだ。また、トランプ大統領の政治的不透明さに関しては、メキシコ国境の壁を巡り議会の予算審議が難航し、政府機関の閉鎖などが起きている、ということがテレビの絵になりやすいため、主な理由の一つとして取り上げられているが、これも株価とはまったく関係がないはずだ。 一方、市場関係者のコメントとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の利上げ姿勢が問題であるとしている。「市場環境がこれだけ悪いのに、なぜ利上げを続けるのか?」という非難あるいは愚痴として報じられている。そこだけはトランプの主張と市場関係者の主張は一致しているようだ。 しかし、それ以外の点ではトランプ大統領の動きは、市場からは批判を浴びている。利上げは問題だが、FRB議長の解任検討は、市場を根底から壊す可能性のあるニュースだった。次は「スティーブン・ムニューシン財務長官の解任検討」だ。同氏が「株価急落対策委員会」のようなものを招集したという報道で下落が加速したこともあり、ある意味市場に寄った動きかもしれない。だが、いざ解任となれば経済の司令塔が不在になり、何もかも大混乱となる可能性もあり、結局市場は一瞬パニックになった。すでにジェームズ・マティス国防長官が政権中枢から去ることにより、「アメリカの外交、軍事戦略はついに破綻するのでは?」という恐怖が広がっている中で、「経済もか?」という恐怖感があった。 総合すると、一般メディアも市場関係者も、暴落の原因はトランプ大統領とFRBにあると非難しているが、これは全くの間違いだ。その証左は、12月26日にアメリカの株価が暴騰したことだ。26日にトランプ大統領の何が変わったか?FRBの姿勢に変化はあったのか?そんなニュースは一つもない。貿易戦争はすぐに大きく動くはずもない。 何もないのに株価は急激に回復した。暴騰した。これは何を意味するのか?この乱高下は、マーケットセンチメントが非常に怯えた状態になっているということを示しているということだ。 投資家たちが怯えていれば短期の仕掛けにもなすすべなく、恐怖から投売りをするか、怯えて凍り付いているしかない。だから、連日の下げになすすべもなく暴落が続いた。押し目買いの動きなどほとんどなく、反発の気配もなかった。 その一方で、反発の気配も全くなく、誰も買わなかったのに急激に反発した。それは一部のヘッジファンドしか買い上げた主体がいなかったのだ。マーケットが薄いから少しの買いで一気に上げることができる。下げたときは売りを膨らませ、段階的に買い戻しては売りを繰り返した。だから、朝方は少し反発して始まって、後場から大きく下げるということが繰り返されたのだ』、いつもながら小幡 績氏の解説は明快で、説得力がある。ヘッジファンドが買い上げの主体というのも、ありそうな話だ。
・『しかし、26日の回復は一気だった。象徴的なのは、アメリカ市場ではなく、日本市場だ。日経平均株価は朝方大幅反発で始まったのが、前場の後半から上げ幅を縮小していき、一時的にはマイナスにもなった。だがそこから引け際だけで先物は約400円も急回復したのだ。チャートの様相は異常で、少しの取引で一気に戻した。売りのときは枚数を膨らまし、鞘を少しずつ抜きながら利益を膨らませ、買い戻しのときは自作自演で損は出るが取引量は少ないので、利益の一部しか相殺されない。この異常な短時間の反発こそが、仕掛けであることを明確に物語っていると同時に、相場心理が弱気に傾いていることを表している』、行動ファイナンスの専門家らしい明快な分析だ。
・『もう一度必ず「仕掛け」が来て「成立する」はずだ  この一連の動きに対し、強気派たちは(要はマーケット関係者)、全員といっていいほど、「下げたのがそもそもの間違いで、取引がクリスマスで薄くなっているところへ、今年儲かっていないヘッジファンドが小遣い稼ぎのために暴れただけだ」、と偉そうに解説するだろう。 しかし、それは間違っている。ヘッジファンドの仕掛けが成功するということは、しかも暴落の仕掛けが成功するということは、あるいは暴落で仕掛けようとするということは、相場の心理が非常に弱っており、びくついているからなのだ。相場の心理が健全なら、そんな仕掛けは跳ね返されてしまうし、わざわざ損するリスクがあるような仕掛けはしない。 逆に、暴騰することもおかしい。普通なら心理が弱っているから戻してくれば安心してしまい、ナイーブな投資家なら買いをいれたりできない。恐怖は残ったまま、いや、むしろ一度暴落を目の当たりにし、さらに弱っているはずだ。結局大きく戻したのは、もう一度仕掛けるときに下落幅を確保しておくためのもので、暴落をむしろ仕掛けやすいのだ。したがって、もう一度同じ仕掛けが来る。成立する。 私は、今後、全体としては下落方向に向かいつつ、株価の乱高下が継続すると予想する。相場心理は何も改善していない。相場の恐怖はまだまだ続くのだ。これは静かなバブル崩壊局面の中の乱高下なのだ』、先の山崎氏の見方よりも、はるかに信頼性が高そうだ。2019年の株式相場動向には、大いに気をつける必要がありそうだ。
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世界同時株安(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋 トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける) [世界経済]

世界同時株安については、昨年2月16日に取上げたままであったが、今日は、(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける)である。

先ずは、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が2月8日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国の株式市場は2月5日、史上最大の下落を記録し、世界中を株安の連鎖に巻き込んだ。米国株の暴落は、雇用の拡大で賃金が予想以上に上がり、長期金利上昇を招いたのが直接の引き金だが、その背景には、トランプ大統領が打ち出した大規模減税、インフラ投資、さらには新たな核軍拡によって米国の財政赤字が拡大する危険が潜んでいることがある。
・いわば景気過熱と財政赤字拡大による「トランプ・バブル」の矛盾が露呈したとみておかなければならない。それは好調を維持してきた世界経済を混迷させ、リーマンショック後の超金融緩和からの出口戦略を進める米連邦準備理事会(FRB)をはじめ各国中央銀行の舵取りをむずかしくしかねない。
▽パウエルFRB新体制に試練
・トランプ大統領らしいのは、世界経済フォーラムのダボス会議や一般教書演説などで米株価の「記録更新」を繰り返し誇ってきたのに、「史上最大の下げ」には口をつぐんでいることだ。しかし、この米株価暴落でだれよりも衝撃を受けたのは、当のトランプ大統領より5日に就任したばかりの新任のパウエルFRB議長だろう。
・米国株の暴落は、FRBにパウエル新議長が登場するのを待っていたかのように起きた。1987年10月のブラックマンデー(米国株の暴落)はグリーンスパンFRB新議長に試練を与えたが、それでも議長就任から2カ月を経ていた。このコラムでパウエル氏とグリーンスパン氏の共通項を分析した(2017年11月7日付記事「FRB次期議長にグリーンスパンの教訓」参照)が、株価暴落が新議長就任を「直撃」することになるとは予想しなかった。
・グリーンスパン氏の場合は、このブラックマンデーを受けてウォール街の友人たちに電話をかけまくり、その実態を把握する。そして流動性供給によって危機を最小限に食い止めた。その実績は高く評価され「マエストロ」(巨匠)への道を歩むことになる。
・しかし、パウエル新議長の場合、対応はそう簡単ではない。議長宣誓式後のビデオメッセージで「用心深くあり続け、湧き起こるリスクに対処する用意がある」と述べているが、対応を誤れば、危機を増幅する恐れがある。
・すでに世界の先頭を切って出口戦略に乗り出しているFRBは、2018年中に3度の利上げを予定しているが、景気好転による物価上昇にはずみがつくようなら、利上げのテンポを速めなければならない。しかし、景気好転の証とはいえ長期金利上昇で市場が混乱するなら、利上げのテンポを緩めることも考えなければならなくなるだろう。エコノミスト出身ではないパウエル議長がこの微妙な舵取りを市場の反応も読みながら実行できるかどうかである。
▽大規模減税・インフラ投資で財政赤字拡大
・米国経済が好調であるおかげで雇用が拡大し賃金上昇が実現し、それが低位安定を続けてきた長期金利を上昇させたとすれば、「良い金利上昇」である。「健全な経済」の循環だといえる。むしろ景気が良くても長期金利がいつまでたっても上がらず、それが株高を招いてきたとすれば、その方が「いびつな経済」といえる。
・しかし、長期金利上昇が経済の好循環とは別の要因によってもたらされているとすれば、話は別である。トランプ政権が打ち出す経済戦略が米国に巨額の財政赤字を積み残すことが懸念される。巨額の財政赤字が長期金利上昇の背景にあるとすれば、「悪い金利上昇」というしかない。
・法人減税など大規模減税を柱とするトランプ税制改革によって、連邦政府債務は10年間に1兆ドル積み上がる見通しだ。さらにトランプ大統領は1.5兆ドルという戦後最大のインフラ投資計画を打ち出した。このままでは財政赤字の国内総生産(GDP)比は5%に近づき、連邦債務残高のGDP比は100%を超える恐れが出てきている。これはユーロ圏の問題国並みの危機レベルである。
▽核軍拡で財政赤字拡大に拍車
・さらに、問題なのはトランプ政権が核軍拡を軸に国防費増大を鮮明にしていることだ。オバマ前大統領が打ち出した「核兵器なき世界」への核軍縮路線を逆転させる危険な選択である。核戦略の指針となる「核体制の見直し」(NPR)は、核兵器の使用条件の緩和など核の役割拡大を打ち出した。爆発力を抑制した小型の核弾頭を開発するなど「使える核兵器」をめざしている。核抑止力を高めるのが狙いだが、トランプ政権の路線転換にロシアや中国は強く反発しており、核軍拡競争が再燃する危険がある。
・このトランプ政権の核軍拡は世界の安全保障環境を危険にさらすだけではなく、ただでさえ危機レベルに近づく米国の財政赤字をさらに拡大させる恐れがある。とくに冷戦期のような核軍拡競争に発展すれば、財政赤字に歯止めがきかなくなる。それは、米国の長期金利上昇を招き、世界の金融、為替市場を混乱させる要因になる。米の核戦略見直しは米株価暴落と連動したとみるべきだろう。
▽一時的調整か構造的矛盾か
・米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。
・合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう。
▽中央銀行が試される出口戦略
・米株価の暴落は、世界の市場を巻き込んだ。政策協調によって危機の拡散を防ぐのは当然だが、ここで重要なのは、FRBをはじめとする中央銀行が「政治との距離」を保ちながら出口戦略を実行できるかどうかである。 トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している。パウエルFRB議長はそのトランプ大統領に任命された「トランプ印」と受け止められている。そのために、もし本来必要な利上げを見送ることになれば、リスクがさらに高まることになる。パウエル議長が大統領とのあつれきを恐れず政策を実行できるかどうかで市場の信認が決まる。それこそが市場の安定につながる。
・FRBに続いて、出口戦略に動き出した欧州中央銀行(ECB)にも課題は多い。今年半ばに資産購入を終了できるか、利上げは来年半ばまで先送りできるかなどである。来年10月に任期満了を迎えるドラギ総裁は後任にタカ派のワイトマン独連銀総裁が浮上する中で、ユーロ危機を打開したときのような「ドラギ・マジック」を発揮できるかどうかである。ECBの場合、FRBとは逆にドイツを中心とする利上げ圧力にどう対応するかが問われるだろう。
▽日本が抱える複合リスク
・深刻なのは日本である。米国株の暴落を最もまともに受けたのは東京市場だった。東京市場はまるでニューヨーク市場の写真相場だった。そこには、日本が抱える財政と金融の複合リスクがある。 日本の財政赤字は先進国最悪であり、長期債務残高のGDP比は2.3倍に膨らんでいる。日銀の国債購入を通じて、膨らむ財政赤字がファイナンスされている状況だ。にもかかわらず、安倍晋三政権に危機感は乏しく、大甘である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標さえ先送りされている。このままで長期金利が上昇に転じれば、財政赤字は雪だるま式に膨らむ。
・黒田東彦総裁は近く任期満了を迎えるが、続投するかどうかは別にして、日銀総裁はこの財政危機について政治に直言できる人物でなければならならない。合わせて出口戦略について議論し、市場に織り込ませることも肝心だろう。 米国株の暴落は「対岸の火事」ではない。火の粉を払えば済む問題ではない。日本自身が複合リスクを直視すべきことを示唆している。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/020700053/?P=1

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が2月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・史上最高値を続けていたニューヨークダウ株平均が、2月に入って歴史的な大暴落を記録した。2月5日には、1日の下落幅では史上最大となる1175ドル(終値ベース、-4.60%)の大暴落を記録。その3日後の8日にも1033ドル(同、-4.15%)と暴落した。
・連日、史上最高値を更新し続けてきたものの金利が上昇しない「ゴルディロックス・マーケット(適温経済相場)」が、ここにきて大きく崩れ始めた。きっかけは、米国の長期金利急騰だと言われているが、むしろリーマン・ショック以来続いてきた中央銀行による金融緩和が招いた過剰流動性相場の崩壊シーンがいよいよ始まった、とみるべきなのかもしれない。 今回の世界同時株安の背景にあるもの、そしてこれからどうなるのかを検証してみたい。
▽金融引き締め観測+北朝鮮リスクか?
・リーマン・ショック時の最大下落幅が777ドル(2008年9月29日、-6.98%)だったことを考えると今回のニューヨークダウの下落幅はいずれも1000ドルを超えている。下落率では、まだリーマン級とは言えないが、株価が大きく上昇しているため、どうしても変動幅(ボラティリティ)は大きくなってしまう。 
・今回の株価急落の原因をどう見るか。少なくとも株価だけを見るとトランプ大統領誕生以来、続いてきたトランプラリーが名実ともに終了したとみていいのではないだろうか。1月30日に行われたトランプ大統領の一般教書演説では、大型減税の実現とインフラ整備の拡大をアピールした。しかし、金融マーケットはこれを今後の「金利上昇」のシナリオととらえて、長期金利が上昇し株価が大きく下落した。
・数値が高くなるほど投資家が相場の先行きに不安を持つと言われる「VIX(Volatility Index)指数」もハネ上がった。恐怖指数ともいわれるこの指数がハネ上がったことで、相場全体に悲観的な見方が多くなってきた。
・金利上昇が株価暴落につながるケースはよくあることで、1987年の「ブラックマンデー」や2000年の「ITバブル崩壊」も金利上昇が株価暴落の直接原因となった。ブラックマンデーやITバブル崩壊も、共に直近の「金融引き締め観測」が原因で株価が急落している。
・特に、ブラックマンデーは、米国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)議長にグリーンスパン氏が就任して2カ月の頃で、今回のパウエル新議長誕生直後のタイミングと似ている。さらに当時は、イランと米国の軍事衝突が懸念されていた時期でもある。
・不安になるのは、「100年に1度」と言われたリーマン・ショック級の株価暴落が再び襲うかもしれない、という恐怖だ。今回の株価暴落を、単なる一時的な調整局面とみていいのか。それとももっと構造的なものなのか。その部分をきちんと見極める必要があるだろう。
・ただでさえ、ITやAI(人工知能)、ロボティクス、フィンテック、仮想通貨といった時代の大きな変革期に差し掛かっている現在、そうした時代の変革を株式市場は取り込みながら、大きく株価を上げてきた。そんな時代の変化に対して、株価が大きく調整すれば変革のスピードも減速することになる。
・問題はなぜ金利が上昇してきたのかだ。ただでさえ景気がいいところに、トランプ政権が打ち出してきた経済政策は、大型減税やインフラ投資、軍事力増強といったインフレを招くような景気政策が並んだ。景気過熱=金利上昇圧力の高まりに投資家が警戒して利益確定を早めた、とみるのがいいだろう。しかし、そんな単純でわかりやすい説明だけで本当にいいのか……。そこに疑問が残る。
▽本質は「債券バブル崩壊」の前兆現象か?
・今回の株価暴落の原因をもう一度整理してみよう。大きく挙げて3つある。
 1. 長期金利の急騰……1月の米雇用統計の結果でもわかるように米国経済は好景気そのものだ。にもかかわらずトランプ政権が打ち出す大型減税やインフラ投資は、本来なら景気後退局面に打ち出す景気刺激策と言っていい。当然、インフレ懸念が出て金利が上昇。FRB理事の中には、2018年中にさらに3~4回の利上げが必要という発言も出てきた。  金利上昇は債券価格の下落を意味するものだが、株式市場にとってはマイナス材料で、その目安は3%と言われる。長期金利が3%を超えると、資金が株式市場からより安全性の高い債券市場に移動を開始するために、株式は売られやすくなる。現在、10年物米国国債の金利は2.857%(2月9日現在)。株式市場が金利上昇によって売られやすくなる水準まであと一歩というところだ。
 2. 北朝鮮による地政学リスクの高まり……トランプ大統領が読めない政治家であり、しかも気まぐれであることから「米朝開戦」のリスクが依然として続いている。平昌五輪で、韓国と北朝鮮が融和ムードを演出しているものの、北朝鮮が米国に届く核ミサイル開発を続けていることは事実だ。「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という投資格言があるが、米国本土にも届く核ミサイルや潜水艦から発射されるミサイルの開発によって、北朝鮮リスクは米国市場にとって「近くの戦争」になってしまった。
 3. 過剰流動性を招いた「緩和マネー」バブル……リーマン・ショック以降、各国の中央銀行は競ってゼロ金利、マイナス金利、量的緩和策を実行してきた。ここにきて米国が金利を引き上げ始め、欧州のECB(欧州中央銀行)やBOE(イングランド銀行)なども、量的緩和の縮小や金利引き上げの金融政策に転換を始めている。 「現在の金融緩和策を継続する」と言いながらも、実質的にはテーパリング(量的緩和の縮小)をこっそりやり始めている日本のような国もあるが、いずれにしても世界中にバラまかれた緩和マネーが縮小の方向に向かっている、と言っていい。
・緩和マネーの過剰流動性が原因で、株式市場をはじめとして債券や原油、不動産、金、仮想通貨といった資産に資金がバラまかれて、大きなバブルをつくっていたと考えることもできる。リスクマネーと呼ばれる潤沢なマネーが、世界中の金融市場に流れ込んだわけだ。
・そしていま、この緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる。 これら緩和マネーの縮小によっていったい何が起こるのか。
・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ。緩和10年で膨れに膨れ上がった債券市場はここにきて大きく動き始めている。 グリーンスパン元FRB議長も、「本当のバブルは株ではなく債券」とコメントしているように、債券バブルがここ10年間の過剰流動性相場の最たる懸念材料と言っていいのかもしれない。いわゆる「緩和マネーバブル」は、株式よりもむしろ債券市場にある、というわけだ。
▽500年の歴史を持つ債券バブルの崩壊が招く悲劇か?
・ブルームバーグTVは、2017年11月9日の番組で「債券には500年以上の歴史:市場規模は過去最大に」として、米国の債券市場がいまや40兆ドルに達し、株式市場の時価総額30兆ドルを10兆ドルも上回っており、史上最高になっていると指摘している。 ちなみに、リーマン・ショック翌年、2009年末の米国の債券残高総額は約31兆ドル(米国Asset Allocation Advisor社調べ、2009年末調査、以下同)、株式市場は時価総額で14兆ドルで、両市場を合わせた世界の合計は126兆ドルだった。
・統一されたデータがないため、はっきりした数字はわからないが、2009年末の世界の債券残高総額は82兆ドル、2012年末には100兆ドルを超えて、2017年には170兆ドル前後に達しているという報道もある。この8年で2倍に拡大したことになる。
・債券バブルの崩壊は、簡単に言えば金利の急騰を招く。リーマン・ショックからの立ち直りを早めるあまり、この10年、世界は米国FRBの「非伝統的金融緩和」に始まり、日本銀行の「異次元緩和」など、やや強引と思えるような金融緩和を実施してきた。その緩和マネーの行き着く先で最も多かったのが債券と考えていい。
・14世紀のイタリア・フィレンツェが発祥の地と言われる債券の歴史の中で、初めてマイナス金利や非伝統的、異次元の量的緩和が実施され、世界中で金利のほとんどつかない債券が発行され、流通したわけだ。
・一部では「現在の経済は株ではなく債券が動かしている」とも評されている。この歴史ある債券市場を、景気後退を避けるために無理やりバブルをつくったのが、この10年の歴史だったと考えていいだろう。 そしていま、この債券バブルが弾けようとしている可能性がある。
・問題は、この債券市場のバブルが崩壊したとき、どんな影響が出てくるのかだ。とりあえず、金利上昇によって、株式市場が暴落の危機にさらされることがわかったが、この程度の影響で済むのか。そのあたりの見極めを誤ると大変なことになるのかもしれない。
▽米国よりもっと怖い日本の債券バブル崩壊?
・債券バブル崩壊によって何が起こるのか。最もわかりやすいのは、金利が高騰(債券価格は下落)して株式市場が下落する、というメカニズム。そのほかにも為替市場で金利が上昇する通貨の変動幅が大きくなるなど、さまざまな弊害がもたらされてくる。
・たとえば、1994年のメキシコ危機は米国の利上げによって資金が米国に流失し、通貨のペソが暴落。通貨の暴落をきっかけにメキシコが急激なインフレや失業率の悪化に陥っている。 同様に、1997年に起きたアジア通貨危機も、米国の金利上昇と直接の関係はないが、米ドルとリンクしていた通貨が売り浴びせられて下落。タイ、インドネシア、マレーシア、韓国といったアジア諸国の通貨が売られて経済危機が起きた。
・要するに、米国の株価が下落したのは「債券バブル崩壊」の前兆である可能性があるということだ。そういう意味では、今後起こることに注視する必要がある。もともとリーマン・ショックは米国が発生源であり、その対応も早かった。したがって、相場の歪みが現れるのも米国が真っ先になる可能性が高い。
・そのシナリオとは何か。残念ながら、未来のことは誰にもわからないが、これまでの歴史を繰り返すとすれば、いくつかのシナリオは想定できる。たとえば――  ➀米国の金利の引き上げが続く  ➁ドル高傾向が強まる  ③株価は調整局面を繰り返す  ④新興国で通貨下落による経済危機が頻発する  ⑤不動産価格、資源価格、仮想通貨などの価格が低迷する  ⑥地政学リスクがいま以上に高まる 
・債券バブルの崩壊によって日本に何がもたらされるか。日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ。たとえば、株式市場と債券市場の比率を見ると、先進国の平均では株式、民間債券、政府債券の比率がほぼ同程度だが、日本の場合は全体の6割以上が政府債券によって占められている。
・それだけ、日本国債の発行比率が高いことを意味しているわけだが、ある意味で日本は歪んだ証券市場と言っていい。言い換えれば、“政府債券バブル”がずっと続いてきたことを示している。 世界の債券バブルが崩壊すれば、日本の政府債券バブルも崩れる可能性が高まる。実際、このところの株価急落で、本来であればもっと円が買われて円高になるのが普通だが、為替市場があまり反応していない。さすがにここにきて1ドル=106円台にまで円高が進んできたが、米国の債券市場で起きていることの影響が、日本でも起きつつあるのかもしれない。 債券バブルの崩壊という事態が訪れないことを祈るばかりだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/208813

第一の記事で、 『パウエルFRB新体制に試練』、というのは、 『トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している』、だけに厳しい試練だ。  『米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。 合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう』、ということは構造的調整とみていることになる。 『日本が抱える財政と金融の複合リスク』、は本当に深刻だ。黒田総裁の続投が決まったようだが、彼にきちんと「落とし前」をつけてもらう必要がある。
第二の記事で、 『緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる・・・・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ』、 『日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ』、と日本の影響は深刻だが、異次元緩和により日銀が国債市場のマーケットメカニズムを利かなくしているだけに、市場の膨大な売り圧力に、日銀が買いオペでどこまで対抗できるかが見物だ。
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韓国(財閥問題)(その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) [世界経済]

韓国(財閥問題)については、10月2日に取上げたが、今日は、(その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) である。

先ずは、闇株新聞が10月13日付けで掲載した「正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子」を紹介しよう。
・世界にはヘッジファンドとかLBOファンドとか、あるいはアクティビストとか、いわゆる「著名ファンド」が数多くあると思われていますが、その実態は玉石混交というより本物はごく一部です。 そもそもこれらのファンドをカテゴリーに分類することもあまり意味がありませんが、ヘッジファンドの主催者では、世界最大のマクロ型ヘッジファンド・ブリッジウォーターのレイモンド・ダリオ、2年連続で個人所得No.1となったシタデルのケネス・グリフィン、ディストレスの雄・アパルーサのデビッド・テッパー、それにクォンツの雄・ルネッサンス・テクノロジーのジェイムス・シモンズあたりが数少ない「本物」です。 LBOファンドでは、KKR、カーライル、ブラックストーンが御三家で(あとはかなり実力が落ちます)、またアクティビストといっても所詮は会社資産をかすめ取ろうとしているだけで「本物」はいません。
・ところが昨年からサムスングループに狙いを定めているエリオット・マネジメントを主宰するポール・シンガーは、あまり活動を自ら喧噪しないため日本での知名度は落ちますが、間違いなく「本物」で正真正銘の「ワル」です。 「ワル」と言っても反社会勢力というような意味ではなく、ちょっと常人では思いつかないところに狙いを定め、絶対不可能に見える要求を繰り出し、それを何年かけてでも成功させるという意味で、どちらかといえば「誉め言葉」です。
・そのポール・シンガーが、10月5日にエリオット傘下の2つのファンド名でサムスン取締役会に公開書簡を送付し、合理化と2社への会社分割(持ち株会社と事業会社への分割)を要請するとともに、30兆ウォン(2兆8000億円)の特別配当支払いや事業会社のナスダック市場への二重上場、さらに取締役会に3名の社外取締役を加えることによるガバナンス改善などを求めました。
・エリオットは昨年(2015年)7月にも、サムスングループの実質持ち株会社である第一毛織とサムスン物産の合併を承認する臨時株主総会を差し止めたのですが、ソウル中央地裁民事部は「当然のように」サムスン寄りの判断で、エリオットの差し止めを却下していました。
・今回の要求も、サムスンに限らず複雑怪奇な韓国財閥の資本関係を解消させて経営の透明性と時価総額の増大を目論んだもので、いよいよ中核企業のサムスン電子に狙いを定めたことになります。 また今回の公開書簡は、そのサムスン電子の臨時株主総会が10月27日に開催される直前であり、たまたまかもしれませんが10月11日には火を噴いたギャラクシーノート7の生産と販売の中止を発表したタイミングも捉えたものとなりました。
・サムスン電子の臨時株主総会は、李健熙会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を登記理事(取締役のこと)に選任するためのものです。またギャラクシーノート7の生産・販売中止を受けてサムスン電子の株価は153万ウォン(10月12日終値)と、10月7日の170万ウォンから1割下落しており、時価総額も2120億ドル(22兆円)と日本最大のトヨタ自動車(19.9兆円)が迫っています。
・さてそんなエリオットですが、グループ全体でサムスン電子株を0.62%保有しているだけです。いくらサムスン電子の外国人持ち株比率が50%をこえており、他の外国人株主の賛同をアテにしているとしても「勝ち目はないだろう?」と思われますが、そこは正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーの深謀遠慮は想像がつきません。
・何しろポール・シンガーといえば、2001年にデフォルトしたアルゼンチンの93%の国債保有者が75%の債権カットを呑んだにもかかわらず、わずか額面の数%で買ったアルゼンチン国債の満額元本と利息合計・13億3000万ドルの支払いを求め、何と債権カットを呑んだ投資家への弁済の差し止めを求めてNY地裁に提訴していました。 「そんな無茶な」と思っていたら、何と2012年11月にNY地裁が満額支払いと他の投資家への支払いを差し止める判決を下し、さらに何と2014年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申し立てを却下し、ポール・シンガーは巨額の(全体で24億ドルだったようです)利益を得てしまいました。
・2014年7月29日付け「アルゼンチンがなぜデフォルトするのか?」に書いてありますが、こんな正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーがサムスン電子(あるいはサムスングループ全体)に狙いを定めたことになります。 今後の展開に注目すべきと考えます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1847.html

次に、11月4日付けダイヤモンド・オンライン「韓国経済を震撼させる「Galaxy Note7」発火事故 事態はもはや“IT立国”の信用問題に」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・サムスン電子が満を持して発売した「Galaxy Note7」に、原因不明の発火事故が相次いだ。これにより同社の業績が大きく落ち込んだことはもちろん、「Galaxy」は、IT関連製品・サービスの輸出を国の一大産業と位置付ける韓国の代表ブランドだけに、韓国経済全体への大打撃が懸念されている。
▽いまだ正確な原因不明のGalaxy Note7発火事故
・まさか、自分が人生初の予約購入までして手に入れたスマートフォンが、ネット上で「時限爆弾」と揶揄されることになるとは。 今年8月、歴代「Galaxy」シリーズので中でも、機能性やデザイン性のどれを取っても有数の作になるだろうといわれ、鳴り物入りで発売されたサムスン電子の「Galaxy Note7」が突然発火する事故が相次ぎ、2度のリコールが行われるという事態に至った。
・9月2日には出荷が停止されたが、この時点ですでに250万台が市場に出回っており、同社では、これらを全てリコール対象とすると共に、発火の原因はバッテリーにあるとして、別メーカーのバッテリーを実装した同端末との交換を行った。 しかしその後、バッテリーを入れ替えた端末でも発火事故が続いたため、同社は10月に入り、韓国とアメリカで製造販売を中止。日本やヨーロッパなどでの発売も見送りとなった。
・本稿を執筆中の10月26日時点でも、発火原因は一向に不明のままだ。この事態に、政府機関である韓国産業技術試験院、国家技術標準院も調査に乗り出した。これらの調査過程では、バッテリーだけでなく、アプリケーションプロセッサや端末設計自体など、あらゆる不具合の可能性が取りざたされている。
・実際、発火事故が起きる前からサムスン電子のホームページには、「Galaxy Note7」に関しての色々な不具合が書き込まれていた。代表的なものが「充電中の過熱」と「急速な放電」である。 「ワイヤレス充電すると充電しても、かえってバッテリー残量が減る」「100%充電しても数分後には30%まで落ちる」「ゲームも動画も利用していないのにバッテリーの減りが激しすぎる」「充電を始めると怖いほどバッテリーのところが熱くなる」――などなど。
・私の場合、リコールのために3度もサムスン電子のサービスセンターを訪問し、新しい端末が届くまでの1週間ほどは端末が使えなかった。
▽リコールや損害賠償請求 サムスン電子に大打撃
・そこまでして交換した新しい「Galaxy Note7」だったが、結局、バッテリーが過熱することもなく充電にも問題はなかった。しかし、巷間いわれているように、万一発火すると自分がケガすることはもとより周りの人に迷惑を掛けてしまうことになる。そうなっては一大事だ。 そんなこんなで、しぶしぶながら私は「Galaxy Note7」を捨て、「Galaxy S7」に機種変更した。ところが、韓国国内で販売された約55万台の「Galaxy Note7」のうち、回収されたのはわずか10%程度で、残りの約50万台近くが、いまだに国内のどこかで使われているというではないか。ちなみにアメリカでは、まだ100万台ほどがそのまま使われているそうだ。
・その一方で、訴訟を起こすユーザーもいる。10月24日、韓国で「Galaxy Note7」の購入者527人が、サムスン電子を相手に損害賠償を求める訴訟を起こした。購入者らは、端末交換や払い戻しのためにセンターを訪問した際の交通費や製品使用に伴う不安などの損害賠償金として、1人当たり50万ウォン(≒4万6000円)を要求している。
・10月18日には、アメリカニュージャージー州でも、「Galaxy Note7」を購入したユーザー3人がサムスン電子米国法人を相手に損害賠償訴訟を起こした。 発火の恐れがあるとして何週間も電源を切ったまま端末を使えなかったにも関わらず、端末の月賦と通信料を払い続けなければならなかったこと、端末の交換がスムーズに行われずユーザーを危険にさらしたことを賠償すべきと主張した。 このアメリカでの訴訟は、原告が勝訴すれば他の購入者も賠償金を得られる集団訴訟であるため、サムスンが負ければ莫大な賠償金が必要となるだろう。
・「Galaxy Note7」の製造販売中止で、サムスン電子の経営実績は急速な落ち込みを見せる。同社が公式に発表した「Galaxy Note7」関連の損失だけで7兆ウォン(≒6426億円)を超えるからだ。 同社が10月12日発表した、2016年7~9月の暫定業績によると、売上は前年同期比9.06%減の47兆ウォン(≒4兆3158億円)、営業利益は、前年同期比29.63%減の5兆2000億ウォン(≒4775億円)である。
▽事態はもはや国レベル 経済減速に追い打ちか
・「Galaxy Note7」の生産台数は推定で430万台(このうち韓国とアメリカでの販売台数は約250万台)なので、これを全て廃棄すれば相当な損失になる。 加えて、協力会社が生産途中だった「Galaxy Note7」の部品や、部品を生産するために購入した原材料も全てサムスン電子が買い取ることになった。韓国国内のサムスン電子スマートフォン製造関連協力会社は、中小企業を中心に1000社近くある。「Galaxy Note7」の製造中止で無期限休業した会社もあると報じられているほど、その打撃は大きい。
・実は、日本の大手企業にも「Galaxy Note7」向けの部品を同社に供給している企業は少なからずあるため、今回の事態は、日本としても決して他人ごとではない。
・何よりも、「Galaxy」ブランドのイメージダウンは大きな痛手だろう。特に、「Note7」は、サムスン電子としても前作の「Note5」や「S6」よりも遥かに力を入れて世に送り出した自慢のスマートフォンで、ファンを中心に購入予約が殺到するほどマーケットの期待も大きかった。 それが、まさかの原因不明の発火事故である。その打撃は損失金額以上に大きいはずだ。
・サムスン電子は今回のリコールを機に、製品の安全性強化のため、品質点検プロセスを全て見直すと発表した。どのように見直すのか、具体的な実行計画はまだ発表されてないが、まずは「Galaxy Note7」の発火原因を究明し、スマートフォンビジネスを担う無線事業部をはじめ、全社の業務プロセスを見直すとしている。
・同社はスマートフォンの販売台数では世界1位(営業利益ではアップルが世界1位)であり、今まで年間3億台を超えるスマートフォンを販売してきた。これは当然、韓国経済にも大きな影響を与える。 未来創造科学部(「部」は日本の「省」)のデータによると、2016年9月の韓国のICT産業全体の輸出額は145億3000万ドル、輸入額は73億4000万ドルで、71億9000万ドルの黒字だったが、携帯電話端末の完成品と部品の輸出額は18億7000万ドルで、前年同月比33.8%の減となった。
・韓国では今回の発火事件によって韓国産携帯電話全体のイメージが悪くなり、輸出がさらに冷え込むのではないかと深刻に懸念する声もある。 その一方でサムスン電子は、2017年春リリース予定の新機種「Galaxy S8」の話題を広げようとしているが、その前に、今回の発火原因を究明することが先決である。
http://diamond.jp/articles/-/106472

第三に、11月1日付けダイヤモンド・オンライン「ロッテのずさんな内情を暴露、覆面座談会で不安と怒り大爆発!「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より」を紹介しよう(▽は小見出し、──は聞き手の質問)。
・昨年初からのお家騒動に裏金疑惑が拍車を掛け、不安を抱えるロッテ社員たち。社内では恐怖政治がはびこり、多くの社員が萎縮しているという。一連の騒動を、社内から冷静に観察してきた日本の現役社員が、ロッテの内情をぶちまけた。(対談内容を本誌編集部で再編集・「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より
▽社員食堂に響くみんなのうた
──お家騒動に裏金疑惑。明るい話がありません。今、社内はどんな雰囲気ですか。
A氏そりゃあもう、不安だらけ。一連の騒動が自分の会社のことだと信じたくない。もう悲しいというか情けないというか。
B氏ほとんどの社員が同じ気持ちだろうね。でも、驚くことに社内では誰も騒動について触れない。皆が何事もなかったかのように、ただ黙々と働いている。現経営陣にビビっているわけだけど、シュールな光景だね、あれは。
A氏そもそも、ここまで世間を騒がせておいて、経営陣がお家騒動や検察の捜査に関して社員に説明しないのがおかしい。取締役たちの「われわれは知りません」という態度は本当にあり得ない。
C氏そういえば、昭夫さんの逮捕状請求が行われた9月末ごろからかな。新宿本社の食堂にあるテレビのチャンネルが、それまでのNHKから急に教育テレビになったよね。当時はテレビでロッテの話題が多かったから、社員に見せないようにしたんだろうけど、「おお、こうきたか」と思わず笑いそうになったよ。サラリーマンが昼飯食いながら「みんなのうた」とか見てるからね(笑)。
D氏それは取締役からの「ロッテは子供向けのお菓子を作っているんだから、少しは童謡も勉強しなさい」というありがたき訓示でしょ。違うか(一同爆笑)。
B氏テレビも見られないし説明もないから、社員は状況を全部Yahoo!ニュースで知る。韓国ロッテの李仁源副会長の自殺報道が流れたときは、社内もザワついて、もうロッテは駄目なんじゃないかと本気で思ったよ。
A氏こんな状況だから、当然、会社を去る者も出てくる。私の部下も最近、優秀なのが複数人辞めてしまった。どうやらうちは今、競合メーカーの草刈り場になっているらしい。「ロッテから根こそぎエース級社員を取れ」って。
D氏今年の新卒内定者も2割が辞退したみたいだしね。銀行から来た佃社長と小林副社長はお菓子やアイス事業についてよく理解していないから、経営に軸がない。
B氏それどころかマイナスでしょ。佃社長の趣味が植物観賞なのは社内で有名だけど、昨年6月に浦和工場が竣工したとき、工場の敷地内に総額1500万円掛けてヤシの木を植えたんだよ。最初はコケモモがいいって言っていたみたいだけど、あれは虫害がひどい。だから害が少ないヤシになった。食品工場に虫害のある植物を植えるという発想が理解できない。
D氏武雄総括会長が主導していたころは、いつでもベンチャー企業のような気持ちで商品開発にしてもチャレンジさせてくれた。彼は「できません」という言葉が嫌いで、本気で挑戦した社員には責任を問わなかった。でも今の経営陣は責任のなすり合い。特に佃社長と小林副社長は自分の失敗を人のせいにするから、いつ飛び火してくるか気が気じゃないよ。
C氏実はあの2人も仲が悪い。小林副社長は社長の座を狙っていて、佃社長と争っている。そのためには、昭夫さんに気に入られる必要があるから、2人とも失敗を認めたりしない。
▽短気で激高型の昭夫さん 人が良すぎる宏之さん
──昭夫会長の人柄は?
A氏一言で表現すれば、短気で激高型。1990年代の後半は日本で事業会社を見ていて、そのときも評判は良くなかった。例えばロッテリアの社長時代は、エース級の社員を本社から引き抜いた。でも結局5年の間に、課長以上のほとんどの管理職が依願退職や左遷で複数回入れ替わったよね。周りはあきれてた。
D氏韓国では日本よりも長男が大切にされるでしょ。武雄総括会長の場合も例に漏れず、宏之さんをかわいがっていたし、多くの社員は少なくとも日本は宏之さんに継がせるんだろうなと思っていた。昭夫さんもそれは感じていただろうから、成果を挙げることで覆そうと背伸びしたんじゃないかな。
B氏そういう意味では、昭夫さんってかわいそうなところもあるよね。
C氏ただ、宏之さんを追い出したのは強引過ぎた。とにかく権威とか名誉とか、そういうものに対する執着がすごいんだよ。会議の席でも、成功は自分の功績にするからね。ファッションもブランド物ばかりだし。
A氏宏之さんは、昭夫さんとは対照的にブランド物とか全く興味ない。かばんも安そうだし、物欲とかないんだろうね(笑)。
B氏とにかく人が良過ぎるんだよ。人をだましたり、裏切ったりする人間じゃないだけに、経営権争いが起こるなんて夢にも思ってなかったんだろ。だから気付けば周りにまんまとはめられて追い出された。
A氏ある意味、経営権争いは、宏之さんの甘さが招いた悲劇ともいえる。ただ、彼は穏やかな割に頑固だから、いつまでも争いを諦めない。周りからの評価を気にしない頑固者が戦ったら、実は最強かもしれない。
D氏昭夫さんはお家騒動にも平気なふりをしているけど、実際は“最恐”の存在だろうね(笑)。
▽宏之派は左遷される 完全な恐怖政治
──これからロッテはどうなるべきなんでしょう。
B氏日本ロッテの社員の大半は宏之派。ただ、この際どっちが勝つかより、とにかく現経営陣を追い出してほしい。ロッテは武雄体制の下、長期利益を重視して慎重に成長してきた。でも、今の経営陣は武雄体制で避けてきた大手コンビニエンスストアのプライベートブランド製品を看板ブランドの「ガーナ」で開発したり、短期利益の確保に動いていて心配だよ。
C氏社員に佃社長と小林副社長に対する忠誠心はない。われわれはあくまで武雄総括会長をはじめとする重光家に仕えているわけで、われわれ社員のマインドはまだ「武雄商店」だよね。
D氏古いといわれればそれまでだけど、創業家の総意なく佃社長らに仕えろと言われても気持ちがついていかない。
A氏でもさ、株主総会で鍵を握る従業員持株会はなかなか動きそうにないね。
B氏法的には株主総会で持ち株会員の個別投票もできるみたいだけど、誰が宏之さんに投票したかがバレる仕組みになっていて、怖くて誰もできないみたい。
C氏実際に、宏之派だとバレた人は、優秀であっても地方やグループ会社に左遷されているもんね。完全な恐怖政治だよ。
D氏最近は、毎月21日に発令される人事異動で不可解な内容が多い。全く優秀じゃない人が、いきなり昇進したり。人事を見て皆、鼻で笑ってるよ。ああ、あいつも落ちたかって。
A氏従業員持株会も経営陣の脅しに抵抗できないでいる。今年、退職者分株式の配分先を新規募集したでしょ。抽選で行われているという体だけど、10月初旬の発表を見ると、宏之派とおぼしき社員は誰も当選していない。
D氏従業員持株会も経営陣の息が掛かった会員がどんどん増えていく。130人の会員は6兆円の巨大財閥の命運を握っているんだから、もっと真剣に考えないと駄目だよ。彼ら一人一人の決断が全社員とその家族の生活を変える。恐怖政治の下で我慢し続けるか、武雄商店に戻って再出発するか。答えは明白でしょ。
http://diamond.jp/articles/-/106395

闇株新聞の記事にある ポール・シンガーがデフォルトしたアルゼンチンの国債をわずか額面の数%で買って、満額での償還を要求、米国最高裁もこれ認めた出来事は、米国の裁判制度もいいかげんだと驚いた記憶がある。サムスン電子がそうした悪どい「ワル」に狙われたとは、今後の展開が注目される。サムスン電子は半導体部門は堅調のようだが、11月5日付け日経新聞によれば、米で280万台の洗濯機リコールを命じられたようだ。
第二の記事のギャラクシー発火問題は、今だに原因が不明のようだ。250万台販売したうち、未回収なのが韓国で50万台、米国では100万台も残っているとは大変だ。世界一のスマホメーカーがつまずいたのに、アップルは恩恵を受けるが、日本の大手メーカーには出る幕がないというのも寂しい話だ。「ガラパゴス化」のツケが出ているのだろうか。
ロッテの記事には、創業家の3人が在宅起訴された件については、一切、触れられてないのが玉にキズだ。お家騒動で内部情報が検察に流出したとも言われているが、この座談会に出席したロッテ社員たちは、韓国の裁判はどうとでもなると思っているのだろうか。それにしても、銀行から来た佃社長と小林副社長の評判の悪さにも驚かされる。
韓国は大統領も辞任の一歩前まで追い込まれている。そろそろ、日韓スワップ協定で、万一の備えをした方がよいのではなかろうか。
タグ:韓国 ダイヤモンド・オンライン 闇株新聞 Galaxy Note7 (財閥問題) (その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) 正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子 エリオット・マネジメント ポール・シンガー サムスン取締役会に公開書簡 合理化と2社への会社分割(持ち株会社と事業会社への分割)を要請 30兆ウォン(2兆8000億円)の特別配当支払いや事業会社のナスダック市場への二重上場、さらに取締役会に3名の社外取締役を加えることによるガバナンス改善などを求めました アルゼンチンの93%の国債保有者が75%の債権カットを呑んだにもかかわらず、わずか額面の数%で買ったアルゼンチン国債の満額元本と利息合計・13億3000万ドルの支払いを求め NY地裁が満額支払いと他の投資家への支払いを差し止める判決を下し、さらに何と2014年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申し立てを却下し、ポール・シンガーは巨額の(全体で24億ドルだったようです)利益を得てしまいました 韓国経済を震撼させる「Galaxy Note7」発火事故 事態はもはや“IT立国”の信用問題に 原因不明の発火事故 韓国経済全体への大打撃 250万台が市場に出回っており バッテリーを入れ替えた端末でも発火事故が続いたため、同社は10月に入り、韓国とアメリカで製造販売を中止 発火原因は一向に不明のままだ リコールや損害賠償請求 サムスン電子に大打撃 韓国国内 約50万台近くが、いまだに国内のどこかで使われているというではないか アメリカでは、まだ100万台ほどがそのまま使われているそうだ 訴訟を起こすユーザーもいる 日本の大手企業にも「Galaxy Note7」向けの部品を同社に供給している企業は少なからずあるため、今回の事態は、日本としても決して他人ごとではない 「Galaxy」ブランドのイメージダウンは大きな痛手 ロッテのずさんな内情を暴露、覆面座談会で不安と怒り大爆発!「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より 日本の現役社員が、ロッテの内情をぶちまけた 経営陣がお家騒動や検察の捜査に関して社員に説明しないのがおかしい 競合メーカーの草刈り場になっているらしい。「ロッテから根こそぎエース級社員を取れ」って 新卒内定者も2割が辞退 銀行から来た佃社長と小林副社長はお菓子やアイス事業についてよく理解していないから、経営に軸がない 短気で激高型の昭夫さん 人が良すぎる宏之さん 日本ロッテの社員の大半は宏之派
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ドイツ銀行はどうしたのか?(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 [世界経済]

ドイツ銀行はどうしたのか?については、3月11日に取上げた。その後も、株価暴落が続く今日は、(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 である。

先ずは、9月29日付け日刊ゲンダイ「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」」を紹介しよう。
・“Dショック”に襲われる――。兜町が震撼している。Dは『Deutsche Bank』のことで、ドイツ銀行を指す。  「ここへきてドイツ銀行の経営不安説が急浮上しています。米国の住宅担保ローンに絡む不正販売を巡って、米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています。簡単に払える金額ではないので、経営危機説が流れているのです」(金融関係者)
・ドイツのメディアは、メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない」とコメントしたと報じた。これで危機説の真実味が一気に増し、同行の株価は暴落。26日に過去最安値を更新した。 「現在、市場の懸念は“ABCDショック”です。Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生、Bは英国のEU離脱(Brexit)、Cはチャイナ(China)の景気減速、そしてDのドイツ銀行です。今まさに、Dショックの深刻度が増してきたのです」(株式評論家の杉村富生氏)
・ドイツ銀行は住宅担保ローンに関わる引当金を約50億ドル積み立てているといわれるが、米国が求める140億ドルには程遠い。しかもドイツ政府の支援が期待できなとなれば、市場は破綻を想定し始める。  「本当に経営破綻なんて事態になったら、世界は金融パニックに陥ります。日経平均は2000~3000円、いや、それ以上に暴落する恐れがあります」(株式評論家の倉多慎之助氏)
・驚愕の予測がある。未曽有の金融危機を招いた2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円と度肝を抜いたが、ドイツ銀行はもっと上を行くというのだ。ドイツ銀行の負債総額は260兆円に達するといわれる。実にリーマン・ブラザーズの4倍近い。 「リーマン・ショックの再来ではすまない規模のショックが世界経済を襲うことになります。ドイツ銀行の次に破綻するのはどこかが焦点となり、金融市場は機能不全となりかねません」(杉村富生氏)
・ドイツ2位の銀行「コメルツ」やイタリアの金融機関に連鎖破綻の懸念があると市場は危惧する。スイス大手の「クレディスイス」が危なくなるという見方も水面下では流れる。 “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190663

次に、闇株新聞が9月28日付けで掲載した「ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか?」を紹介しよう。
・ドイツ銀行の株価が急落しています。欧州時間で本日(9月27日)昼過ぎには一時10.19ユーロと、昨年末の22.52ユーロから半値以下になり、時価総額も140億ユーロ(1.6兆円)しかありません。 ちなみにDAXが史上最高値(12374)となった2015年4月10日の32.26ユーロから3分の1以下であり、リーマンショック時はもちろん1999年のユーロ導入時以来の安値を更新しています。
・直接のきっかけは9月16日に米国司法省が、2005~2007年当時のMBS(住宅ローン担保証券)不正販売に対してドイツ銀行に、現在の時価総額に近い140億ドル(1.4兆円)の巨額和解金を要求したため、株価が一時9%以上の下落となり11.98ユーロ(終値)となっていました。
・このMBS不正販売とは、そもそも米国が一時国有化したFNMAとFHLMC(下記の私のコメント欄で説明)が組成した(保証もしていた)不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化したもので、その最大の販売先もFNMAとFHLMCだったところ「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」のことです。
・しかし米国大手金融機関はとっくに諦めて、バンカメ(メリルリンチ)が166億ドル、JPモルガンが130億ドル、シティバンクが70億ドルなどの巨額和解金を支払っています。 別に米国でMBSを大々的に販売していたわけでもないドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字で、同じ海外金融機関の和解金ではHSBCが6億ドル、野村証券が11億ドル(まだ係争中のはず)と1桁以上も少なくなっています。
・つまりドイツ銀行は米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」があり、それも含めた懲罰的な意味合いのような気もします。 それに加えて昨日(9月26日)には、メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定しました。もっともギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません。
・ドイツ銀行も「自力で問題を解決する」と精一杯の意地を表明しましたが、それで本日の株価続落となっています。
・さてドイツ銀行の危機は今に始まったわけではなく、本年1月28日には2015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字だったと公表し、それに中国ショックが重なった2月10日には13.68ユーロまで下落していました。 この時はドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本がドイツGDPの20倍をこえる75兆ドルもあると囁かれていました。この数字は直近でも55兆ユーロ(62兆ドル)のようで、あまり改善しているようにも見えません。
・また2月当時は46億ユーロ(当時の為替で5800億円)ものCoCo債(偶発転換社債、ドイツ銀行の自己資本が減少すると強制的に元本が召し上げられるシロモノ)が発行されており、その価格も額面の7割以下になり市場を不安にさせていました。 現在は当然にもっと悲惨な状況になっているはずですが、情報がありません。たぶん世界中からビットが消えているのでしょう。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです。
・さてだいたいこういう時期には大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです。ドイツ銀行の格付けはMoody’sが本年5月にBaa2に格下げしていますが、これは無担保優先債の格付けで一般的な長期預金格付けはA3であり、実感では「かなり高い」と感じます。 近いうちにMoody’sお得意の「ヒステリック」な格下げが繰り返され、パニックを拡大させるような気がします。
・さてかつての名門銀行だったドイツ銀行が、なぜこのようにボロボロになってしまったのでしょう?これは(ドイツ銀行だけに限りませんが)1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです。
・このMBS不正販売や、デリバティブ想定元本の天文学的拡大だけに限らず、世界中で発生したLIBOR不正操作なども、すべてこの背伸びした投資銀行業務の爪痕となります。 冗談ではなく今後のドイツ銀行を巡る状況によっては、欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1836.html

第三に、本日付けロイター「米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道」を紹介しよう。
・米司法省はドイツ銀行に科すモーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐる罰金について、当初科すとしていた最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている。AFPが30日、関係筋の話として報じた。AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性がある。ただ関係筋は罰金の最終的な額は若干変わる可能性があるとも話したとしている。
・ドイツ銀はこの報道についてコメントを控えている。米司法省のほか、ドイツ財務省もコメントを控えている。  ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復し、前日終値比6.39%高の11.57ユーロで取引を終えた。ドイツ銀の米預託証券(ADR)は大商いのなか、米市場午後の取引で約14.9%高の13.19ドル近辺で推移。一時は13.28ドルまで上げた。
http://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-doj-idJPKCN12029G

日刊ゲンダイがドイツ銀行の負債総額を、米金融危機で破綻した投資銀行のリーマン・ブラザーズと比較しているのはナンセンスだ。本来の投資銀行は、資産・負債を余り持たないのが一般的で、商業銀行が中心のドイツ銀行は大きくなるのは当然のことだ。
闇株新聞の記事を若干、補足しておこう。米国のFNMA、FHLMCは、各々、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)、フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)と呼ばれる住宅金融会社である。これらが、モーゲッジバンク(住宅金融専門業者)や米銀が組成した住宅ローンを買い取り、證券化したMBSをドイツ銀行や米銀などが購入してさらに證券化して、CDO(債務担保証券)として売却したのを、住宅金融会社が資産運用のために購入したという構図である。もともとは自分たちが保有していたのだから、リスクなどは分かり切っている筈だという趣旨で書かれているが、これは闇株新聞にしては珍しい誤解である。證券化を二次、三次と繰り返すうちに、リスクの特性は当初のものとは大きく異なってしまうので、FNMA、FHLMCといえどもリスクの特性は本当のところでは把握できないというのが、金融危機での教訓の1つだった。ドイツ銀行が発行したCoCo債が、『日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです』、との指摘は同感だ。『メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定』した理由は、闇株新聞が指摘したもの以外にも、米国当局との罰金引下げ交渉の途中で、公的支援を表明してしまえば、米国当局に塩を送ってしまうからと、考えるべきだろう。引下げ交渉がドイツ銀行不利になれば、CoCo債などで吸収できない部分はやはり公的支援をせざるを得ないのではなかろうか。
幸い、ロイターが、フランスの通信社AFP伝として罰金半減で合意する可能性が出てきたという記事は、まだ確定はしていないにせよ、一安心させる材料だ。引下げ交渉の最終的な結果に注目したい。
タグ:ロイター バンカメ 日刊ゲンダイ 闇株新聞 coco債 ドイツ銀行はどうしたのか? (その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」 兜町が震撼 Deutsche Bank 米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない 株価は暴落 Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生 Bは英国のEU離脱(Brexit)、 Cはチャイナ(China)の景気減速 Dのドイツ銀行 引当金を約50億ドル 市場は破綻を想定 ドイツ銀行の負債総額は260兆円に リーマン・ブラザーズの4倍近い “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか? FNMA FHLMC 不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化 最大の販売先もFNMAとFHLMC 「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」 166億ドル JPモルガンが130億ドル シティバンクが70億ドル 巨額和解金 ドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字 米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」 それも含めた懲罰的な意味合いのような ギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません ドイツ銀行の危機 015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字 ドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本 ドイツGDPの20倍をこえる75兆ドル その価格も額面の7割以下になり 。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです 大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです 1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです MBS不正販売 デリバティブ想定元本の天文学的拡大 世界中で発生したLIBOR不正操作 背伸びした投資銀行業務の爪痕 欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります 米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道 AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性 最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復
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中国経済(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 [世界経済]

中国経済については、昨年12月17日に取上げたが、今日は、(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 である。

先ずは、中国出身の作家・ジャーナリストの莫 邦富氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。
・そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。
・さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。  経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。
▽ゴーストタウン化する高層ニュータウン
・蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。
・4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。 新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。
・それから4年後、ここは相変わらず土地はあるが人影はまばらで、空き家のままの建物がブラックホールのように蘭州新区の未来を飲みこんでいるように見える。 蘭州新区のマンション価格は1平方メートルあたり4000元(約6万1000円)前後で、蘭州市内と比べると5割近く安いという。だがそれでも新区はやはりマンション購入者を引きつけることができない。 市街地から離れていて不便、というのが蘭州市民の新区に対する第一印象である。都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり、計画中の地下鉄5号線が新区に通じる予定だが具体的な着工時期は未定だ。
・蘭州新区の広々とした道路を車で走ると、通行人はほとんど見かけない。まるで巨大な工事現場のように、内部が空っぽのマンションやタワークレーンが到るところに見られ、削られた小山が岩肌をむき出しにし、路傍には建築ゴミが積まれている。夜になると、立退き者用住宅である彩虹城と蘭石集団の従業員用住宅以外、大部分のマンションは真っ暗である。
▽工業生産額は当初予想の10分の1
・新区で指折りの有名デベロッパーである碧桂園は、城市花園という開発プロジェクトを手掛けたが、現在引くに引けない状況にある。城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である。
・地元の開発業者はさらに厳しい状況で、新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後である。遠東錦繍華府のように、価格が1平方メートルあたり2400元(約3万6000円)で、全634戸のうち36戸しか売れていないところも現れた。価格が1平方メートルあたり8600元(約13万1000円)の朱雀湖別墅はなんと販売数ゼロである。
・蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。 低迷する住宅市場は不動産業者に多大な資金的圧力をもたらしている。工事の中止も珍しいことではない。すでに撤退した企業も出ている。
・蘭州新区管理委員会関係者が語ったところによると、今後アウトレットなどの複合商業施設が続々と開業予定だが、こうしたプロジェクトもまた同じような運命をたどる可能性があるという。
・「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
▽2014年以降、乱立した国家級経済開発新区
・現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。 計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
・その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
・蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。 1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。蘭州新区はまさにその後者に属している。
・経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?
http://diamond.jp/articles/-/99173

次に、在北京ジャーナリストの陳言氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。 この30.6%という数値は何を意味しているのか?今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。
・少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。
▽喜べない上海の財政収入の増加
・問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。 人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。
・一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。 経済を牽引する3つの原動力を見ると、今年の1月から5月まで上海の輸出入増加率はマイナスで、固定資産投資増加率は8.0%(工業投資はマイナス)、そして小売総額の増加率は7.1%だった。まさに「可もなく不可もなし」という表現がよく似合う状況だ。
・上海はどうやって財政収入の激増を達成することができたのか?その答えは、上海の経済構造から見出すことができる。すでに定着している印象として、上海は中国で最大の工業都市と見なされているが、今日の上海経済において工業が占める割合は今や3分の1以下で、サービス業が全体の3分の2以上(67.8%)を占めている。また財政収入の構造から見ると、上海の経済力に対するサービス業の貢献度はすでに80%を上回っている。
・では、その上海のサービス業界で納税力が最も高いのはどの業種なのか。それは、金融業と不動産業である。上海市の公式サイトに掲載されたデータによると、不動産、卸売・小売、金融、ビジネスサービス、交通・運輸という五つの業種だけで、地方財政収入全体の60%以上を占めている。
・それゆえ、一般の人々からすれば今日の上海経済は、鋼鉄や自動車、設備製造などの従来型産業が不振にあえいでいる一方で、金融と不動産が大盛況といういわゆる「氷火両重天(両極端のものが混在する)」の状態にある。 昨年、上海の金融業における付加価値額は4052億2300万元に達し、前年比で22.9%も増加した。 昨年、上海金融市場の取引総額は1463兆元に達し、前年の2倍と激増、証券市場の株式取引額は世界第2位となった。 昨年末から今年上半期までに、上海の住宅価格上昇率は深センを抜いて全国でトップとなった。今年上半期、上海の不動産投資額は工業投資とインフラ投資を足した額の2倍を上回り、固定資産投資総額の62%を占めている。
・明らかに、上海の財政収入の激増は深センと同様、金融市場と不動産市場における盛んな取引に依存したものであり、現地の実体経済はいかなる貢献もしていない。北京、広州、杭州などの主要都市には証券取引所がない上に、巨額の資金を呼び寄せる投機的な不動産市場もないため、当然ながら財政収入の増加において上海と深センには遠く及ばない。
▽元気があるのは金融と不動産だけ
・上海とは対照的に、深センにはとにもかくにも安定かつ程よく成長している実体経済があり、特に先端製造業は好調を維持している。それゆえ、上海経済のバーチャル化はとりわけ顕著だ。上海はすでに上海人のための上海ではなく、全国ひいては世界中の資本のための上海となっている。 同市で大盛況の金融と不動産は、もはや現地の経済と住民にとってあまり縁のないものとなっているばかりか、全国的なバブル経済の影を感じさせる。これこそ、中国経済の最も華やかかつ最も非現実的な一面だ。
・この点において、上海経済はいわば中国経済の現状をそのまま反映した縮図である。米国の経済誌『フォーチュン』に掲載されたデータによると、中国の上位企業500社(営業収入で判定)の中で、最も収入の高い上位40社のうち、24社は金融業界の企業となっている。 これらの金融企業の規模は他者を寄せ付けないばかりか、財務指標においても優位を保っている。商業銀行の純利益だけで、これら500社中の黒字企業の44.3%を占めている。そして、最も赤字を計上している企業53社のうち、IT企業3社以外はみな従来型産業の業界に属しており、特に鉄鋼とエネルギー業界の企業が多い。
・実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況は、全国的な状況と上海の現状に見られる驚くべき一致である。中国経済に関して、『フォーチュン』誌は次のような懸念を示している。「金融業の大盛況は、中国経済のモデルチェンジおよびグレードアップによる必然的な現象である一方で、もし金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ」。
・上海と深センの財政収入の激増、そして不動産市場の大盛況は、政府や金融・不動産投資家に手厚い利益をもたらしたとはいえ、その代償として全国的な金融バブルとその崩壊を招くかもしれない。しかし、その代償を負うのはバブルから利益を手にする者たちではなく、バブルに苦しめられる一般中国市民たちなのだ。
▽注目される東北特殊鋼のデフォルト
・最近、東北特殊鋼グループ(本社・大連)のデフォルト(債務不履行)問題が、債券市場および金融市場全体の一大事になっている。今回のデフォルトは、地方の国有企業のデフォルトの先駆けというだけではなく、空前の規模だということだ。 2016年3月28日から4ヵ月の間に東北特鋼関連のデフォルトは7件あり、金額は47.7億元(約700億円)に及ぶ。東北特鋼が債権者に対して債務を株式に転換する「債務株式化」をしないと約束して、まだ1ヵ月余しかたっていないが、同特鋼は再び、一方的に「債務株式化」を通じて苦境脱出を計画し始め、市場に恐慌を引き起こしている。
・東北特鋼のデフォルトは、債券市場の持続的なデフォルト発生という大きな背景の下で発生した。これまで、中国における債券デフォルトの発生率は概ね低かった。しかし、生産能力過剰企業の製品需要が急速に低下し、加えて国有企業の改革を強化するために、政府当局は多数の「ゾンビ企業」の閉鎖に力を入れ、デフォルトはますます当たり前の行為になってきた。統計によると、今年上半期、国内非金融系企業のデフォルトは30件発生し、昨年の全件数を上回った。
・地方の国有企業のデフォルトが極めて危険なのは、それが工業部門の債務問題を金融システムに伝染させるからだ。すでに中国の金融システムにおける不良債権問題は、非常に深刻化している。工業企業、金融企業と投資家の間でいかにリスク分担をするかが、かなり緊迫した問題になっている。こうした背景の下で、いかにして東北特鋼問題を処理するかは、他の債券デフォルト処理に対するモデルとなろう。
・東北特鋼のデフォルト問題をどのような状況下で処理できるのかということが、問題解決の鍵である。まず、破産による清算は論外だろう。遼寧省の数少ない中核企業として、破産に踏み切ると、東北地区に国有企業破産の潮流と職工失業の潮流を作りだしてしまい、さらに社会不安を引き起こすことにもなり、中央政府、遼寧省政府ともにこの手法を採るのは明らかに不可能である。
・東北特鋼について言えば、最も現実的で、最も頼りになる解決策は、やはり債務の株式化である。 しかし、債務株式化は東北特鋼の債券所有者の猛反対にあっている。債券所有者は地方政府の介入を求め、東北特鋼の代わりに債務の大部分を返済するよう求めているが、実際には全く現実的ではなく、地方政府がこの要求をのむわけがない。
・表面上、中国の金融、不動産業は、収益がたいへん高いが、実業経済の衰退が続く中で、果たしてこの金融、不動産の景気は維持されるだろうか。国の投資以外に、民間の投資がめっきりと衰退していき、国営企業の改革はほとんど進まず、また道路、教育、病院、介護などの成長分野では、国営企業の独占を少しも緩和しないままでは、金融、不動産業の収益の減退も、目前に迫っているように思われる。
http://diamond.jp/articles/-/99170

第三に、9月6日付けダイヤモンド・オンライン「中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今年に入り、中国では社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増し、金融不安が高まっている。日本総研の試算によれば、推定不良債権は公式統計の10倍に達する。昨年来、小規模な取り付け騒ぎも発生している。金融危機かはたまた問題先送りによる長期停滞か。中国経済の綱渡りが続く。(「週刊ダイヤモンド」編集部原 英次郎)
・この数年にわたり、中国の不良債権問題はいつ爆発するか分からない時限爆弾として、最大の懸念材料となってきた。最近の焦点は、債券(社債)市場におけるデフォルト(債務不履行)の増加。日本総合研究所の関辰一副主任研究員によれば「デフォルトの件数は、前年の倍の勢いで増えている」。 このため金融システム不安にまでつながるのではとの懸念も高まっている。背景には、中国の不良債権の全体像が不透明であるという根本的な問題が潜む。関氏の推計によれば、潜在不良債権比率は公式統計の5倍、不良債権の規模は公式統計の10倍にも達する。
・この数年、中国では企業債務残高が急膨張している。2015年末の非金融企業の債務残高は約115.5兆元(15年の平均レート1元=19.4円換算で約2241兆円)で、わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る(図参照)。
・このうち潜在的な不良債権はどうなっているのか。関氏は広義の営業キャッシュフローであるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が、支払利息を下回っている企業の借入金を不良債権と定義して、潜在不良債権比率を推計している。 借入金および支払利息のある上場企業2327社について試算したのが、下表である。15年末で「潜在的に危険な企業」数は223社あり、その借入金の合計は7367億元。2327社の借入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6%となる。中国の金融当局、中国銀行業監督管理委員会によれば、同時期の不良債権比率は1.7%となっているから、その5倍に達する水準だ。
・問題はこれにとどまらない。公式統計にはオフバランス(簿外)の融資、いわゆるシャドーバンキングが含まれていないからだ。シャドーバンキングとは銀行融資以外のルートで、資金を仲介することを指す。中小の不動産業の主な資金源にもなっている。 関氏によれば、銀行の理財商品と委託融資、信託会社の信託融資の三つを合わせたシャドーバンキングの合計は、15年末で49.1兆元になる。これに銀行のオンバランスの融資95.8兆元を加えると、与信総額は144.9兆元。8.6%が不良債権と仮定すると、その残高は約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する。
▽金融危機か先送りかそれとも外科手術 綱渡りの対応が続く
・今後、不良債権問題には、三つのシナリオが考えられるだろう。 第1が最も悲観的なシナリオ。金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る。昨年来、すでに小規模な金融機関の破綻や取り付け騒ぎも発生している。
・第2が外科手術。政府が主導して一気に不良債権を損失処理し、公的資金を投入して損失を穴埋めすると同時に、業績不振企業の淘汰・再編成という構造改革を進める。この場合、一時的に景気は大きく後退し、失業者も増えるが、その後の回復は早いだろう。 ただし、推定不良債権12.5兆元に対して、15年末の銀行の貸倒引当金はわずか2.3兆元で、その差は10.2兆元もある。これに対して、15年の中央政府の財政収入は6.9兆元、地方政府は8.3兆元。不良債権の財政収入に対する規模は大きい。
・第3が先送り戦略。追加融資をしながら企業を延命させつつ、景気回復によって不良債権を減らしていくという戦略だ。
・実現性の高いシナリオは順に第3→第1→第2か。バブル崩壊後の日本も1990年代初めから第3の対応を採ったが、景気は回復せず不良債権が増大を続け、97年、98年の金融危機の発生、その後の長期停滞へと突入していった。 中国の習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立があるといわれる。政権内部の路線対立をはらみながら、不良債権処理は綱渡りの対応が続く。
http://diamond.jp/articles/-/100945

第一の記事で、『城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である』、『新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートル』、というのでは、見るも無残な不動産開発バブルの崩壊ぶりである。
第二の記事にある、『上海の財政収入の激増』、は金融機関がまだ不良債権の処理をする前だからこその現象だろう。今後、処理に向かえば、収入も激減する筈である。東北特鋼のデフォルト問題は、不動産開発ではなく、通常の実業部分での過剰投資が要因と思われるが、債務株式化での処理は余りに安易である。中国の会計基準がどうなっているかは分からないが、貸出債権を株式に振り替えさせられた金融機関側で、価値の差額に損失を計上するという先進国のようなルールは、恐らく存在しないか、あっても適用しないのではなかろうか。とすれば、不良債権が、貸出債権から株式に移っただけとなり、何ら問題解決にはならない筈だ。
第三の記事で、シャドーバンキングを含めた不良債権残高が、『約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する』というのは、やはり絶対絶命の状態だ。これまでから採ってきた『先送り戦略』もいよいよ限界なのかも知れない。ただ、『外科手術』をするにしても、経済・社会の混乱を抑えて「軟着陸」してもらいたいものだ。
タグ:時限爆弾 債務の株式化 中国経済 ダイヤモンド・オンライン シャドーバンキング 莫 邦富 (その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態 蘭州新城 ゾンビ企業を問題にしている ゴーストタウン化する高層ニュータウン 都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり 工業生産額は当初予想の10分の1 城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割 新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後 新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという 2014年以降、乱立した国家級経済開発新区 蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台 陳言 中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相 上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった サービス業が全体の3分の2以上(67.8%) 納税力が最も高いのはどの業種なのか。それは、金融業と不動産業 元気があるのは金融と不動産だけ 実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況 金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ 注目される東北特殊鋼のデフォルト 中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増 日本総研の試算 推定不良債権は公式統計の10倍 企業債務残高が急膨張 わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る 潜在的に危険な企業」数は223社 入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6% 与信総額は144.9兆元。8.6%が不良債権と仮定すると、その残高は約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する 三つのシナリオ 第1が最も悲観的なシナリオ。金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る 第2が外科手術 第3が先送り戦略 習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立
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イタリア金融危機(英国のEU離脱の国民投票のデジャブ?) [世界経済]

今日は、イタリア金融危機(英国のEU離脱の国民投票のデジャブ?) を取上げよう。

先ずは、7月30日付けロイター「欧州銀ストレステストでモンテ・パスキ最悪、直前に再建案発表」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・欧州銀行監督機構(EBA)は29日、銀行51行を対象とした健全性審査(ストレステスト)の結果を公表した。審査では経済へのショックが3年間続いた場合の各行の中核的自己資本(コアティア1)比率を試算。結果はイタリアの大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)がマイナス2.44%で最下位だったほか、アイルランド、スペイン、オーストリアの銀行も下位に並んだ。
・EBAのエンリア会長は声明で「これまでに相当程度、資本を積み増す動きがみられたが、健全だと宣言できるまでには至っていない」と指摘。「取り組む課題は依然として残っている」との認識を示した。 今回の審査では、合格、不合格の判定は行わなかったが、アナリストは昨年の基準(5.5%)を目安と見ている。モンテ・パスキのほか、アライド・アイリッシュ銀行がこの目安に届かなかった。
・7%を維持できる銀行数も注目されていた。スペインのバンコ・ポピュラール、アイルランド銀行、オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナル(RBI)は6.62%、6.15%、6.12%といずれも7%を下回った。 また下位12行には伊ウニクレディト、ドイツ銀、独コメルツ銀、英バークレイズなども含まれている。
▽モンテ・パスキ、再建計画発表
・モンテ・パスキはストレステストの結果発表直前に、資本増強や不良債権売却を柱とする再建計画を発表した。再建計画の下、モンテ・パスキは総額50億ユーロの増資を実施するほか、92億ユーロ(103億ドル)の不良債権を売却する。 ウニクレディトは、当局とも協力しながらさらなる対応が必要かどうか見極めたいとしている。アライド・アイリッシュ銀行は根本的な再建策をすでに打ち出しており、現在は持続的な黒字の状態と説明した。
・PwCのアンソニー・クルイジンガ氏は「個別行の成績を見ると確かに悪い内容だが、全体としては、欧州の銀行は危機再発に対して耐性を持っていることが示され、一定の安心材料になった」と指摘した。 KPMGのスティーブン・ホール氏は「欧州の銀行の損失吸収能力が以前よりは高まったことが示されたが、収益性や投資家の銀行株への投資意欲をめぐっては、明らかに懸念が残る」との見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/europ-stresstest-idJPKCN1092OE

次に、イタリアの不良債権問題をより幅広い角度から分析したものとして、三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティング(MURC)の7月26日付けレポート「ギリシャ危機に隠れていたイタリアの不良債権問題~欧州金融不安を回避するために求められる柔軟な対応~」の詳細版の2頁目以降を紹介しよう。
1.14 年秋頃から燻ぶり始めたイタリアの不良債権問題
・足元でイタリアの不良債権問題に注目が集まっている。そもそもこの問題は、14 年10 月にEU(欧州連合)が公表した銀行のストレステスト(健全性検査)の結果の中で、第三位のモンテ・パスキと中堅のバンカ・カリジェの資本不足が指摘された頃から燻ぶり始めていた。その後、ギリシャの経済危機やユーロ圏離脱騒動などを受けてこの問題に対する投資家の関心は薄らいだものの、事態は着実に悪化していた。
・BOI(イタリア中央銀行)によれば、16 年3 月時点においてイタリアの銀行とCDP(預託貸付公庫)が抱える不良債権の金額は3,331.6 億ユーロに上り、貸付金残高に占める不良債権比率は実に16.4%に達している。さらに不良債権の構成を見ると、その大半(58.8%)が破綻先であり、回収が見込めない債権である。
・国際比較の観点から見ても、イタリアの不良債権問題は深刻である。IMF(国際通貨基金)の『国際金融安定性報告書』によれば、15 年末のイタリアの不良債権比率(対貸付金残高比率)は18.0%とキプロスとギリシャに次ぐ高水準である(図表1)。経済規模が同程度で同様に不良債権問題が深刻化していたスペインでさえ、最悪期(13 年末)の不良債権比率は9.4%である。このことからも、イタリアの問題の深刻さがうかがえる。
・こうした問題の悪化を受けて、16 年4 月、不良債権の政策的処理を進めるための基金である「アトランテ」が、官民の共同出資によって設立された。もっとも、その資金規模(42.5 億ユーロ)では事態の改善には不十分ではないかと、投資家は不信感を徐々に高めていった。こうした中で、英国の国民投票を受けてリスク回避志向を強めた投資家が、次の火種になり得る要因として、イタリアの不良債権問題に再びフォーカスを当てたのである。
2.問題をエスカレートさせたガバナンスの弱さ
・不良債権問題がエスカレートした背景には、第一にイタリア景気の悪化がある。イタリアの実質経済成長率は12年から3年間マイナスが続いた。こうした景気悪化を受けて融資先の資金繰りが悪化したことが、多額の不良債権が生じる直接的な要因になった。
・もっとも景気の悪化だけでは、イタリアの不良債権問題が深刻化した理由を説明することはできない。より構造的な問題として、特有の所有形態に基づく銀行のガバナンスの弱さという論点がある。不良債権問題の象徴的存在であるモンテ・パスキなど大手行の多くは、90年代初めに民営化が進められた旧国営銀行にその源流がある。この民営化に際して、当時のイタリア政府は「財団(Fondazioni)」と呼ばれる非営利団体の設立し、それを完全民営化までの株式の時限的な受け皿として機能させようとした。その後の法改正(94 年銀行法、98 年シアンピ法)で財団の機能縮小が図られたりしたものの、実態としては特定の有力財団が複数の銀行の有力株主として今でも機能している(図表2)。
・こうした財団は、銀行による出資要請に応じる等して銀行財務の安定化に貢献した。反面で、銀行の取締役会や監査役会に多くの役員を送り込み、銀行経営に強い影響を与えてきた。Jassaud(2014)によると、イタリア最大の金融機関であるウニクレディットの場合、13年5月時点において、財団形式を採る投資家が保有する同行の株式は9%に過ぎなかった。にもかかわらず、財団形式を採る投資家からは取締役会の役員の84%が選出されていた(図表3)。なお財団は、単一の銀行のみならず複数の銀行に対して出資をするとともに、出資先の銀行間でも株を持ち合うなどして複雑な所有関係も構築していた。そしてこうした財団は、地方の政治勢力とも近く、ゆえに縁故に基づく融資も横行していたとされる。債権の回収可能性よりも融資先との地縁や血縁を優先する銀行の経営体質をもたらしたガバナンスの弱さが、不良債権問題をエスカレートさせたと考えられる。
・加えて、イタリアの不良債権問題の難しさは、こうしたガバナンスの弱さを反映するように、企業向けローンで事態が深刻化しているということにある(図表4)。問題が最も深刻なモンテ・パスキの『年次報告書』によると、15年時点における企業向けローンの不良債権比率は実に31.0%にも上っている。図表5は、産業部門ごとの不良債権比率を足元のイタリア(16年3月)と最悪期のスペイン(13年12月)とで比較したものである。スペインと比較した場合、イタリアでは製造業や建設業の不良債権比率が高いという特徴がある。
・スペインの不良債権問題は、基本的には住宅・建設バブルの崩壊に伴うものであった。そのため、市況が回復すれば不良債権が処理しやすい構造であった。また住宅ローンや建設ローンの担い手が貯蓄銀行(カハ)に限定されており、一般の商業銀行は財務体質の悪化は軽かった。他方でイタリアでは、製造業の不良債権比率の高さが物語るように、不良債権問題が産業全体に拡散している。
・さらにイタリアの場合、その産業構造を考慮に入れれば、企業向けローンは中小企業向けが圧倒的な割合を占めていると推察される。1件当たりの融資金額が小さいことや、利害関係者の数が多く調整が難航することから、不良債権の回収はスペイン以上に困難であると考えられる。事実、BOIの調査(Carpinelli et al, 2016)によれば、2011年から14年の間に銀行が行った不良債権処理26万件のうち、清算が91.9%(金額ベースでは74.0%)に上り、再建は8.1%(同26.0%)にとどまっている。
3.政治問題化する不良債権問題
・イタリアの不良債権問題は極めて深刻であり、銀行単位での処理には限界がある。アトランテなどバッドバンクの資金規模を拡充し、銀行からとりあえず不良債権を切り離す必要がある。銀行のガバナンスの改善も当然必要であるが、それは中長期的な課題と言えよう。
・バットバンクの資金を積み増すためには、イタリア政府による追加的な財政出動が必要になる。ただ健全財政路線を堅持したいEUにしてみれば、追加的な財政出動は容易には受け入れ難い。他方で政府としては、IMFからの指摘を受けたこともあり、銀行の資本体力を強化するために公的資金注入(ベイルアウト)を実施したいところである。もっとも、徒なベイルアウトはEUのBRRD(銀行再生・破たん処理指令)で定められたベイルイン(預金者や投資家、銀行自身が経営再建のために損失を負担すること)の原則に反する。仮に例外規定(32条4項)が認められてベイルアウトが可能になっても、今後の財政運営へ対するEUの干渉は強まるだろう。
・こうした中で警戒されることは、不良債権処理を巡りEUからイタリア政府への干渉が強まることで、イタリア国内における政治不安が強まってしまう危険性である。EU各国では反EU反緊縮の流れの中で民族政党が勢力を増しているが、イタリアでもそれは同様であり、極右の「五つ星運動」が台頭している。五つ星運動の支持率はレンツィ首相が率いる与党民主党の支持率に拮抗しており、また16年6月にはローマ市長選で五つ星運動の候補が勝利した。
・イタリアでは16年10月、上院の権限を縮小することの是非を問う国民投票が行われる。レンツィ首相は下院に優先権を与えることで政権が安定すると主張している。もっとも、この国民投票が首相への信認投票という性格を強めている。こうした中で、不良債権処理を巡るイタリアとEUとのやり取りは国民投票に大きな影響を与えよう。首相がEUに対して弱腰の対応を取れば、支持率はさらに低下し、国民投票で提案が否決されるかもしれない。提案が否決された場合、首相は辞職する方針を示している。そうなれば政局が一気に不安定化する。
・なおベイルインが適用された場合も、政治不安が深刻化してしまう恐れがある点にも留意しなければならない。日米独と比較すると明らかなように、イタリアの銀行は債券による資金調達の比率が高いが、これは一般の預金者が銀行債を購入しているからでもある(図表6)。したがって、ベイルインに伴い銀行債を保有している一般の預金者にも損失負担を迫られることになる。そのため、レンツィ政権やEUに対する有権者の不満が高まり、それがさらに民族政党の台頭を許すことになりかねない。
4.欧州金融不安につながるリスクも
・さらに警戒されることは、イタリアの不良債権問題が本格的な銀行不安に転じて、欧州の金融システム不安につながるリスクである。ドイツ銀行など経営不安がささやかれている銀行を中心に資金繰りが悪化し、金融不安の波がユーロ圏に広がる可能性もある。ECB(欧州中央銀行)による金融緩和の限界が意識される中で、公的資金注入など財政による金融システム安定化政策が弾力的に行われないならば、欧州の金融システムは危機的状態に陥るかもしれない。
・さらにイタリアの不良債権問題が中東欧の金融システム不安につながり、それがさらにユーロ圏の金融システムを動揺させるという経路も懸念される。イタリア首位のウニクレディットは、傘下のHVB、バンク・オーストリアを通じて中東欧向けに多額のエクスポージャーを抱えている。第二位のインテーザ・サンパオロも、ウニクレディット程ではないにせよ、中東欧向け事業を営んでいる。イタリア本国で資金繰りが悪化した場合、ウニクレディットやインテーザ・サンパオロの中東欧向け事業に悪影響が及ぶ可能性が高い。なお中東欧には、イタリア以外にもドイツやオーストリア、フランスの大手銀行も進出し、事業を営んでいる。そのため、中東欧で金融システム不安が生じれば、自ずとユーロ圏の金融システムの安定性が脅かされる構造になっている。
・こうした最悪のシナリオを回避するためには、イタリア政府が不良債権処理や公的資金注入をより弾力的に行えるよう、EUが歩み寄る必要があるだろう。ユーロ圏第三位の大国であるイタリアで銀行不安が生じている事実を勘案し、EUには原理原則にとらわれない柔軟な対応が求められる。
http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/research/report_160726.pdf

ロイターの単なるニュースだけでは、問題の経緯や背景が分からないが、MURCのレポートは要領よくまとめている。『IMFの『国際金融安定性報告書』によれば、15 年末のイタリアの不良債権比率(対貸付金残高比率)は18.0%とキプロスとギリシャに次ぐ高水準である』、というのは、イタリアの金融システム全体としても確かに深刻な事態だ。しかも、『完全民営化までの株式の時限的な受け皿として機能させようとした』「財団」が、『複数の銀行の有力株主として今でも機能している』、『債権の回収可能性よりも融資先との地縁や血縁を優先する銀行の経営体質といったガバナンス構造の弱さ』、は否定すべくもない。しかも、『製造業の不良債権比率の高さが物語るように、不良債権問題が産業全体に拡散している』のでは、処理は簡単ではない。
ベイルインについては、『イタリアの銀行債は機関投資家だけでなく、多くの個人投資家が保有している。昨年末にイタリアの地銀の破綻処理を行った際には、新たな破綻処理ルールの開始に先駆けてベイルイン原則を適用したところ、巨額の損失を被った年金生活者が自ら命を絶つ悲劇を招いた』(第一生命経済研究所、EU Trends 7月6日)、といった事情を踏まえれば、原則を棚上げにして、やはり公的資金注入(ベイルアウト)せざるを得ないだろう。まして、『16年10月、上院の権限を縮小することの是非を問う国民投票が行われる・・・この国民投票が首相への信認投票という性格を強めている。こうした中で、不良債権処理を巡るイタリアとEUとのやり取りは国民投票に大きな影響を与えよう。首相がEUに対して弱腰の対応を取れば、支持率はさらに低下し、国民投票で提案が否決されるかもしれない。提案が否決された場合、首相は辞職する方針を示している。そうなれば政局が一気に不安定化する』、というのはまるで英国のEU離脱の国民投票のデジャブというのは、言い過ぎだろうか。唯一の幸いの綱は、元イタリア中央銀行総裁で、現在は欧州中央銀行(今日は、イタリア金融危機(英国のEU離脱の国民投票のデジャブ?) を取上げよう。

先ずは、7月30日付けロイター「欧州銀ストレステストでモンテ・パスキ最悪、直前に再建案発表」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・欧州銀行監督機構(EBA)は29日、銀行51行を対象とした健全性審査(ストレステスト)の結果を公表した。審査では経済へのショックが3年間続いた場合の各行の中核的自己資本(コアティア1)比率を試算。結果はイタリアの大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)がマイナス2.44%で最下位だったほか、アイルランド、スペイン、オーストリアの銀行も下位に並んだ。
・EBAのエンリア会長は声明で「これまでに相当程度、資本を積み増す動きがみられたが、健全だと宣言できるまでには至っていない」と指摘。「取り組む課題は依然として残っている」との認識を示した。 今回の審査では、合格、不合格の判定は行わなかったが、アナリストは昨年の基準(5.5%)を目安と見ている。モンテ・パスキのほか、アライド・アイリッシュ銀行がこの目安に届かなかった。
・7%を維持できる銀行数も注目されていた。スペインのバンコ・ポピュラール、アイルランド銀行、オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナル(RBI)は6.62%、6.15%、6.12%といずれも7%を下回った。 また下位12行には伊ウニクレディト、ドイツ銀、独コメルツ銀、英バークレイズなども含まれている。
▽モンテ・パスキ、再建計画発表
・モンテ・パスキはストレステストの結果発表直前に、資本増強や不良債権売却を柱とする再建計画を発表した。再建計画の下、モンテ・パスキは総額50億ユーロの増資を実施するほか、92億ユーロ(103億ドル)の不良債権を売却する。 ウニクレディトは、当局とも協力しながらさらなる対応が必要かどうか見極めたいとしている。アライド・アイリッシュ銀行は根本的な再建策をすでに打ち出しており、現在は持続的な黒字の状態と説明した。
・PwCのアンソニー・クルイジンガ氏は「個別行の成績を見ると確かに悪い内容だが、全体としては、欧州の銀行は危機再発に対して耐性を持っていることが示され、一定の安心材料になった」と指摘した。 KPMGのスティーブン・ホール氏は「欧州の銀行の損失吸収能力が以前よりは高まったことが示されたが、収益性や投資家の銀行株への投資意欲をめぐっては、明らかに懸念が残る」との見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/europ-stresstest-idJPKCN1092OE

次に、イタリアの不良債権問題をより幅広い角度から分析したものとして、三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティング(MURC)の7月26日付けレポート「ギリシャ危機に隠れていたイタリアの不良債権問題~欧州金融不安を回避するために求められる柔軟な対応~」の詳細版の2頁目以降を紹介しよう。
1.14 年秋頃から燻ぶり始めたイタリアの不良債権問題
・足元でイタリアの不良債権問題に注目が集まっている。そもそもこの問題は、14 年10 月にEU(欧州連合)が公表した銀行のストレステスト(健全性検査)の結果の中で、第三位のモンテ・パスキと中堅のバンカ・カリジェの資本不足が指摘された頃から燻ぶり始めていた。その後、ギリシャの経済危機やユーロ圏離脱騒動などを受けてこの問題に対する投資家の関心は薄らいだものの、事態は着実に悪化していた。
・BOI(イタリア中央銀行)によれば、16 年3 月時点においてイタリアの銀行とCDP(預託貸付公庫)が抱える不良債権の金額は3,331.6 億ユーロに上り、貸付金残高に占める不良債権比率は実に16.4%に達している。さらに不良債権の構成を見ると、その大半(58.8%)が破綻先であり、回収が見込めない債権である。
・国際比較の観点から見ても、イタリアの不良債権問題は深刻である。IMF(国際通貨基金)の『国際金融安定性報告書』によれば、15 年末のイタリアの不良債権比率(対貸付金残高比率)は18.0%とキプロスとギリシャに次ぐ高水準である(図表1)。経済規模が同程度で同様に不良債権問題が深刻化していたスペインでさえ、最悪期(13 年末)の不良債権比率は9.4%である。このことからも、イタリアの問題の深刻さがうかがえる。
・こうした問題の悪化を受けて、16 年4 月、不良債権の政策的処理を進めるための基金である「アトランテ」が、官民の共同出資によって設立された。もっとも、その資金規模(42.5 億ユーロ)では事態の改善には不十分ではないかと、投資家は不信感を徐々に高めていった。こうした中で、英国の国民投票を受けてリスク回避志向を強めた投資家が、次の火種になり得る要因として、イタリアの不良債権問題に再びフォーカスを当てたのである。
2.問題をエスカレートさせたガバナンスの弱さ
・不良債権問題がエスカレートした背景には、第一にイタリア景気の悪化がある。イタリアの実質経済成長率は12年から3年間マイナスが続いた。こうした景気悪化を受けて融資先の資金繰りが悪化したことが、多額の不良債権が生じる直接的な要因になった。
・もっとも景気の悪化だけでは、イタリアの不良債権問題が深刻化した理由を説明することはできない。より構造的な問題として、特有の所有形態に基づく銀行のガバナンスの弱さという論点がある。不良債権問題の象徴的存在であるモンテ・パスキなど大手行の多くは、90年代初めに民営化が進められた旧国営銀行にその源流がある。この民営化に際して、当時のイタリア政府は「財団(Fondazioni)」と呼ばれる非営利団体の設立し、それを完全民営化までの株式の時限的な受け皿として機能させようとした。その後の法改正(94 年銀行法、98 年シアンピ法)で財団の機能縮小が図られたりしたものの、実態としては特定の有力財団が複数の銀行の有力株主として今でも機能している(図表2)。
・こうした財団は、銀行による出資要請に応じる等して銀行財務の安定化に貢献した。反面で、銀行の取締役会や監査役会に多くの役員を送り込み、銀行経営に強い影響を与えてきた。Jassaud(2014)によると、イタリア最大の金融機関であるウニクレディットの場合、13年5月時点において、財団形式を採る投資家が保有する同行の株式は9%に過ぎなかった。にもかかわらず、財団形式を採る投資家からは取締役会の役員の84%が選出されていた(図表3)。なお財団は、単一の銀行のみならず複数の銀行に対して出資をするとともに、出資先の銀行間でも株を持ち合うなどして複雑な所有関係も構築していた。そしてこうした財団は、地方の政治勢力とも近く、ゆえに縁故に基づく融資も横行していたとされる。債権の回収可能性よりも融資先との地縁や血縁を優先する銀行の経営体質をもたらしたガバナンスの弱さが、不良債権問題をエスカレートさせたと考えられる。
・加えて、イタリアの不良債権問題の難しさは、こうしたガバナンスの弱さを反映するように、企業向けローンで事態が深刻化しているということにある(図表4)。問題が最も深刻なモンテ・パスキの『年次報告書』によると、15年時点における企業向けローンの不良債権比率は実に31.0%にも上っている。図表5は、産業部門ごとの不良債権比率を足元のイタリア(16年3月)と最悪期のスペイン(13年12月)とで比較したものである。スペインと比較した場合、イタリアでは製造業や建設業の不良債権比率が高いという特徴がある。
・スペインの不良債権問題は、基本的には住宅・建設バブルの崩壊に伴うものであった。そのため、市況が回復すれば不良債権が処理しやすい構造であった。また住宅ローンや建設ローンの担い手が貯蓄銀行(カハ)に限定されており、一般の商業銀行は財務体質の悪化は軽かった。他方でイタリアでは、製造業の不良債権比率の高さが物語るように、不良債権問題が産業全体に拡散している。
・さらにイタリアの場合、その産業構造を考慮に入れれば、企業向けローンは中小企業向けが圧倒的な割合を占めていると推察される。1件当たりの融資金額が小さいことや、利害関係者の数が多く調整が難航することから、不良債権の回収はスペイン以上に困難であると考えられる。事実、BOIの調査(Carpinelli et al, 2016)によれば、2011年から14年の間に銀行が行った不良債権処理26万件のうち、清算が91.9%(金額ベースでは74.0%)に上り、再建は8.1%(同26.0%)にとどまっている。
3.政治問題化する不良債権問題
・イタリアの不良債権問題は極めて深刻であり、銀行単位での処理には限界がある。アトランテなどバッドバンクの資金規模を拡充し、銀行からとりあえず不良債権を切り離す必要がある。銀行のガバナンスの改善も当然必要であるが、それは中長期的な課題と言えよう。
・バットバンクの資金を積み増すためには、イタリア政府による追加的な財政出動が必要になる。ただ健全財政路線を堅持したいEUにしてみれば、追加的な財政出動は容易には受け入れ難い。他方で政府としては、IMFからの指摘を受けたこともあり、銀行の資本体力を強化するために公的資金注入(ベイルアウト)を実施したいところである。もっとも、徒なベイルアウトはEUのBRRD(銀行再生・破たん処理指令)で定められたベイルイン(預金者や投資家、銀行自身が経営再建のために損失を負担すること)の原則に反する。仮に例外規定(32条4項)が認められてベイルアウトが可能になっても、今後の財政運営へ対するEUの干渉は強まるだろう。
・こうした中で警戒されることは、不良債権処理を巡りEUからイタリア政府への干渉が強まることで、イタリア国内における政治不安が強まってしまう危険性である。EU各国では反EU反緊縮の流れの中で民族政党が勢力を増しているが、イタリアでもそれは同様であり、極右の「五つ星運動」が台頭している。五つ星運動の支持率はレンツィ首相が率いる与党民主党の支持率に拮抗しており、また16年6月にはローマ市長選で五つ星運動の候補が勝利した。
・イタリアでは16年10月、上院の権限を縮小することの是非を問う国民投票が行われる。レンツィ首相は下院に優先権を与えることで政権が安定すると主張している。もっとも、この国民投票が首相への信認投票という性格を強めている。こうした中で、不良債権処理を巡るイタリアとEUとのやり取りは国民投票に大きな影響を与えよう。首相がEUに対して弱腰の対応を取れば、支持率はさらに低下し、国民投票で提案が否決されるかもしれない。提案が否決された場合、首相は辞職する方針を示している。そうなれば政局が一気に不安定化する。
・なおベイルインが適用された場合も、政治不安が深刻化してしまう恐れがある点にも留意しなければならない。日米独と比較すると明らかなように、イタリアの銀行は債券による資金調達の比率が高いが、これは一般の預金者が銀行債を購入しているからでもある(図表6)。したがって、ベイルインに伴い銀行債を保有している一般の預金者にも損失負担を迫られることになる。そのため、レンツィ政権やEUに対する有権者の不満が高まり、それがさらに民族政党の台頭を許すことになりかねない。
4.欧州金融不安につながるリスクも
・さらに警戒されることは、イタリアの不良債権問題が本格的な銀行不安に転じて、欧州の金融システム不安につながるリスクである。ドイツ銀行など経営不安がささやかれている銀行を中心に資金繰りが悪化し、金融不安の波がユーロ圏に広がる可能性もある。ECB(欧州中央銀行)による金融緩和の限界が意識される中で、公的資金注入など財政による金融システム安定化政策が弾力的に行われないならば、欧州の金融システムは危機的状態に陥るかもしれない。
・さらにイタリアの不良債権問題が中東欧の金融システム不安につながり、それがさらにユーロ圏の金融システムを動揺させるという経路も懸念される。イタリア首位のウニクレディットは、傘下のHVB、バンク・オーストリアを通じて中東欧向けに多額のエクスポージャーを抱えている。第二位のインテーザ・サンパオロも、ウニクレディット程ではないにせよ、中東欧向け事業を営んでいる。イタリア本国で資金繰りが悪化した場合、ウニクレディットやインテーザ・サンパオロの中東欧向け事業に悪影響が及ぶ可能性が高い。なお中東欧には、イタリア以外にもドイツやオーストリア、フランスの大手銀行も進出し、事業を営んでいる。そのため、中東欧で金融システム不安が生じれば、自ずとユーロ圏の金融システムの安定性が脅かされる構造になっている。
・こうした最悪のシナリオを回避するためには、イタリア政府が不良債権処理や公的資金注入をより弾力的に行えるよう、EUが歩み寄る必要があるだろう。ユーロ圏第三位の大国であるイタリアで銀行不安が生じている事実を勘案し、EUには原理原則にとらわれない柔軟な対応が求められる。
http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/research/report_160726.pdf

ロイターの単なるニュースだけでは、問題の経緯や背景が分からないが、MURCのレポートは要領よくまとめている。『IMFの『国際金融安定性報告書』によれば、15 年末のイタリアの不良債権比率(対貸付金残高比率)は18.0%とキプロスとギリシャに次ぐ高水準である』、というのは、イタリアの金融システム全体としても確かに深刻な事態だ。しかも、『完全民営化までの株式の時限的な受け皿として機能させようとした』「財団」が、『複数の銀行の有力株主として今でも機能している』、『債権の回収可能性よりも融資先との地縁や血縁を優先する銀行の経営体質といったガバナンス構造の弱さ』、は否定すべくもない。しかも、『製造業の不良債権比率の高さが物語るように、不良債権問題が産業全体に拡散している』のでは、処理は簡単ではない。
ベイルインについては、『イタリアの銀行債は機関投資家だけでなく、多くの個人投資家が保有している。昨年末にイタリアの地銀の破綻処理を行った際には、新たな破綻処理ルールの開始に先駆けてベイルイン原則を適用したところ、巨額の損失を被った年金生活者が自ら命を絶つ悲劇を招いた』(第一生命経済研究所、EU Trends 7月6日)、といった事情を踏まえれば、原則を棚上げにして、やはり公的資金注入(ベイルアウト)せざるを得ないだろう。まして、『16年10月、上院の権限を縮小することの是非を問う国民投票が行われる・・・この国民投票が首相への信認投票という性格を強めている。こうした中で、不良債権処理を巡るイタリアとEUとのやり取りは国民投票に大きな影響を与えよう。首相がEUに対して弱腰の対応を取れば、支持率はさらに低下し、国民投票で提案が否決されるかもしれない。提案が否決された場合、首相は辞職する方針を示している。そうなれば政局が一気に不安定化する』、というのはまるで英国のEU離脱の国民投票のデジャブというのは、言い過ぎだろうか。唯一の幸いの綱は、元イタリア中央銀行総裁で、現在は欧州中央銀行(ECB)総裁となっているマリオ・ドラギ氏の存在だ。レンツィ首相と密かに連絡を取りながら、有効な策を練っていることに期待したい。
タグ:ロイター 最下位 ストレステスト アトランテ イタリア金融危機 (英国のEU離脱の国民投票のデジャブ?) 欧州銀ストレステストでモンテ・パスキ最悪、直前に再建案発表 欧州銀行監督機構(EBA) モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ) 再建計画発表 総額50億ユーロの増資 92億ユーロ(103億ドル)の不良債権を売却 三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティング(MURC ギリシャ危機に隠れていたイタリアの不良債権問題~欧州金融不安を回避するために求められる柔軟な対応~ 14 年10 月 IMF(国際通貨基金) 『国際金融安定性報告書』 イタリアの不良債権比率(対貸付金残高比率)は18.0%とキプロスとギリシャに次ぐ高水準である 不良債権の政策的処理を進めるための基金 官民の共同出資 ガバナンスの弱さ 90年代初めに民営化が進められた旧国営銀行にその源流 「財団(Fondazioni)」と呼ばれる非営利団体の設立し、それを完全民営化までの株式の時限的な受け皿として機能させようとした 特定の有力財団が複数の銀行の有力株主として今でも機能している ウニクレディット 財団形式を採る投資家が保有する同行の株式は9% 取締役会の役員の84%が選出 財団は、地方の政治勢力とも近く、ゆえに縁故に基づく融資も横行 債権の回収可能性よりも融資先との地縁や血縁を優先する銀行の経営体質をもたらしたガバナンスの弱さが、不良債権問題をエスカレートさせたと考えられる スペインと比較した場合、イタリアでは製造業や建設業の不良債権比率が高いという特徴 銀行の資本体力を強化するために公的資金注入(ベイルアウト)を実施したいところである EUのBRRD(銀行再生・破たん処理指令)で定められたベイルイン(預金者や投資家、銀行自身が経営再建のために損失を負担すること)の原則に反する 後の財政運営へ対するEUの干渉は強まるだろう 極右の「五つ星運動」が台頭 16年10月、上院の権限を縮小することの是非を問う国民投票 この国民投票が首相への信認投票という性格を強めている 案が否決された場合、首相は辞職する方針を示している。そうなれば政局が一気に不安定化する イタリアの不良債権問題が本格的な銀行不安に転じて、欧州の金融システム不安につながるリスク イタリア政府が不良債権処理や公的資金注入をより弾力的に行えるよう、EUが歩み寄る必要 ECB)総裁
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英国EU離脱問題(その4)小田嶋流感慨 [世界経済]

今日は更新を休む予定だったが、小田嶋氏のコラムが面白かったので、急遽、英国EU離脱問題(その4)小田嶋流感慨 として取上げたい。なお、英国EU離脱問題は、6月25日にも取上げた。

コラムニストの小田嶋隆氏が7月1日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「“良識ある”民主主義の愚かな決定」を紹介しよう。
・英国がEUから離脱する、と、国民投票で決まった。 なんと言っていいのやら。適切な言葉が見つからない。 Webを掘り進めて、各メディアに掲載されている解説記事を読んで、内外の有識者のコメントに耳を傾ければ傾けるほど、何が起こっているのかがわからなくなる。
・「何を言ってるんだ。結論は極めてシンプルじゃないか」 と言う人がたくさんいることは知っている。 そういうふうに自信を持って断言できるタイプの人は、おそらく日本で同じような国民投票が行われることがあったのだとしても、同じように自信に満ちた態度で一方の結論を選ぶのだろう。
・私はそういうタイプではない。 わからないことはわからない。 しかも、直感で理解できないことについては、考えれば考えるほどわからなくなる。昔からそういうことになっている。 なので、現時点では、英国のEU離脱そのものについて何かを言おうとは思っていない。 どちらかといえば、彼の地の国民投票がEU離脱を選択する結果に落着したことへの、内外の反響から浮かび上がってくる感慨についてあれこれ書いてみたいと思っている。
・まずひとつ目は、今回の投票結果を踏まえて「ポピュリズムの怖さ」という言い方が蔓延していることの不気味さについてだ。 もう少し詳しく言うと、ここしばらく、メディアに載る記事やテレビの中で紹介されるコメントの中で「民主主義」という言葉と「ポピュリズム」という言葉が、無造作に使い分けられている感じがして、そのことがずっと気になっているということだ。
・なんというのか、投票や世論調査の結果で、望ましくない結果が出た場合に、その結果をもたらした調査の過程や投票の背景を「ポピュリズム」という言葉で分析している同じ人間が、望ましい投票結果については、「民主主義の勝利」「民意の重い選択」という言葉でそれを賞賛している感じがしているわけです。 悪い結果はポピュリズムの作用で、良い結果は民主主義の成果だと言っているその人たちの中で、両者の区別はついているのだろうか。区別がついているのだとして、その区別の根拠は、自分にとっての結果の好ましさ以外に、何があるのだろうか。
・「民主主義」と「ポピュリズム」を分かつものの正体について、はっきりとした言葉で言及している人は少ない。 実際、メディアを通してものを言う人間にとって、このあたりの議論は墓穴になりかねない。 なんとなれば、「民意」や「民主主義」とされているものについてうっかりものを言うと、「愚民蔑視」「大衆蔑視」「選民思想」と決めつけられてしまうからだ。
・なので、多少とも世間知を持った人々は、通常、民意や民主主義や投票結果に苦言を呈する時には、「ポピュリズム」という言葉を使う。そう言っておけば、少なくとも表面上は、民主主義を批判したことにならず、その主体である民意を否定したことにもならないからだ。 マズいステーキを食べさせられた客が、それまで「熟成」と言っていた言葉を翻して、「鮮度」という言い方でシェフを罵倒する態度に似ていると言えば似ている。
・民主主義自体を、直接マナイタに載せる論者もいると言えばいる。 舛添要一前都知事がテレビのワイドショーや週刊誌上で総叩きに遭っていたタイミングの6月16日に、古市憲寿という社会学者が、以下のような一連のツイートを配信している。
・《舛添騒動を見ていて浮かんでくる言葉は「これが民主主義だ」。メディアスクラムはある面では事実だけど、それが視聴率や部数を稼ぐのも事実。メディアはみんなが見たいものを伝えてきただけ。そう、これが民主主義だ。》 《まあだから、都知事選にまた50億円かかるのも、次の知事ももしかしたらまた2年くらいで辞めて50億円かかるのも、そのときワイドショーで「舛添さんのほうがよかった」みたいな声があがるのも、まあ仕方ないと思いますよ。これが民主主義だから。》 《小さな悪が吊るされる炎上社会がどうなのという話もあるけど、それは裏を返せば社会を揺るがすような大事件がこの数年起きていないということでもある。当事者にとっては凄惨で辛くても、サリン事件や311並みの事件や災害が起こってないから、小さな悪が標的にされるわけで。》 《どんな社会にもお祭りは必要で、確かに舛添さんによってここしばらく社会は一つになってたもんなー。誰とでとその話題ができるという意味で。》
・古市氏の中に、字義通りに受け取れる内容以外のどんな意図があったのかは私の知るところではないのだが、一読者として、一連のツイートの行間から大衆蔑視のニュアンスを感じ取らないでいることはむずかしい。 書いてある通りのことを素直に読むと、古市氏は、 「舛添騒動を愚劣だとか言ってるインテリの皆さんは民主主義をやたらと称揚している人たちでもあるわけだけど、でも、舛添さんみたいな人をリンチにかけて楽しむことこそがあなたたちの大好きな民主主義の実相なんじゃないの?」 的なぶっちゃけ発言をカマすことで、世間の有識者から一本取ったつもりでいるかに見える。
・「いや、いくらなんでもそこまでバカじゃないだろ」 「中学二年生のシニカルなオレ様カコイイ日記じゃあるまいし」 「社会を嘲笑する社会学者って、動物虐待をやらかす動物学者より始末に負えないぞ」 「深読みする必要ないだろ。一段高いところに立ったものの言い方をしてみたかったってだけだよ」 あえて親切な読み方をすればだが、古市氏は、「民主主義」という言葉が聖域化している現状を揶揄する意味をこめて、あえて「ポピュリズム」という言葉を使わずに、民主主義の危うさを指摘したのかもしれない。
・「民主主義民主主義ってあんたたちは宗教みたいにありがたがっているけど、君らの言う民主主義っていうのは、まさに舛添リンチ報道を主導しているこれのことだよ」  と。 とすれば、その見方には一理あると思う。 たしかに、民主主義は万能ではない。うっかりすると典型的なポピュリズムに陥る。そうでなくても、常に正しい選択をしているわけではない。むしろ結果から見て、誤った選択肢を選ぶケースの方が多いのかもしれない。
・とはいえ、時に誤った選択をし、少なからぬケースで感情にかられた決断に傾くのではあっても、それでも民主主義は、権力の暴走への安全弁として、確保しておかなければならない最後の砦ではある。 賢明で寛大で隅々まで目の届く独裁者が下す決断の方が、素早く、合理的で、なおかつ多くの場合正しいのだとしても、権力が属人的な振る舞い方をすることの危険性は、やはり無視できないからだ。
・私が、いまここで、民主主義について、教科書に載っているみたいなきれいごとを並べ立てていることに関して 「なにをいまさら」 「お花畑チューリップ帽子演説おつかれ」 「はいはい、民主主義サイコーね」 「ソレ、デモクラ音頭でタコ踊りったらアヒャヒャノヒャ」 「こいつのお説教が終わったら起こしてくれ」 的な反応を示している読者は、少なくないはずだ。 彼らは「きれいごと」がきらいだ。
・そして、その「きれいごと」が大嫌いな彼らにとって、ユナイテッド・キングダムでこのたび起こっている出来事の一部始終は、民主主義というきれいごとがまさにその馬脚をあらわしている意味で一大痛快事ということになる。
・私が憂慮しているのはそこだ。 EU統合の理念が傷ついたことも問題なら、連合王国の枠組みが崩壊の危機に瀕していることも大問題だし、それらとは別に世界経済がこの先しばらくの間混乱しつづけるであろうことも、大変に心配な事態ではある。
・ただ、私は、そうした表面上の影響よりも、今回の国民投票を通じて、「民主主義」という看板への信頼が毀損されたことが思いの外大きな損失で、今後、このことは、民主主義を軽んじることになるわれわれ自身へのしっぺ返しとして静かに進行するのだろうと思っている。
・民主主義のような理念は、それが万人に信頼されることによってはじめて正しく機能する設定になっている。 その運用のされ方は、不換紙幣が信用によってその価値を保っている姿に似ている。 説明する。  日本銀行が発行している貨幣(紙幣)は、日銀を含む金融システムへの絶対の信頼を前提としてその価値を維持している。たとえば、日銀が消費税込みの108円硬貨だとか1万800円紙幣を発行するみたいな頭の悪い施策を連発して、信頼を失ったら、貨幣は貨幣としての価値を失うことになり、経済システムはその日から機能しなくなるだろう。
・同じように、デモクラシーを基本に据えた統治システムも、民主主義的な選択という最も根本的なところについて、われわれが疑念を持ちはじめるや、その安定性を減ずることになる。 国民投票によって「愚かな」(少なくともそう見える)決断を下してしまったのが、ほかでもないわが国の議会制民主主義のモデルとなった国である英国であった点もなかなか痛い。
・ネットの書き込みを見ると、英国の投票結果を見て勝ち誇っている人々がたくさんいることがわかる。 彼らは一体何に勝ったのだろうか。 たぶん、「良識」に、だ。 いけ好かないインテリや、いい子ちゃんぶりっ子のマスコミの連中が二言目には説教ったらしく振り回している伝家の宝刀たる民主主義がものの見事にやらかしたのだから、これが痛快でないはずがない。
・「おお、民主主義やるじゃないか」 「まったく民意さんったらお茶目なんだからぁw」 「昨晩からUK祭りで寝てません。楽しすぎます」 という感じの彼らのはしゃぎっぷりは、必ずしも対岸の火事だからという理由だけで亢進しているものではない。 彼らは、自分たちの嫌いな「良識派」や「インテリ」や「マスコミ」や「おサヨクさま」がうろたえる事態なら、なんであれ歓迎するのだ。
・民主主義の根幹を支える「民意」の一部には、常に破滅を志向する人々の呪詛が含まれている。 「ざまあみろ」 「そらみたことか」 という、見物人を喜ばせる誰かの転落は、どんな場合にでも一部の人々を狂喜させる。
・舛添騒動に寄せられた古市氏のツイートの中にも、そのことを指摘した部分があったのだが、ここで大切なのは、 「どんな社会にもお祭りは必要で、確かに舛添さんによってここしばらく社会は一つになってたもんなー」 と、クールに指摘しているこの言葉自体が、実は生け贄を屠る「祭り」の一部分になっていることだ。結局、彼のツイートは 「ボクは、そこいらへんの良識派なんかじゃないよー」  という、半笑いのマニフェストを含んでいるわけで、「祭り」には、この種の自己肯定が欠かせなかったりする。 で、その「祭り」が、民意の中で一定以上の影響力を持つに至った時、民主主義は自壊する。
・古市氏の一連のツイートは、舛添リンチ報道を揶揄するとともに、そのリンチ報道の非道を嘆いてみせる良識派の言いざまをも嘲笑している点で、二重の意味の呪詛を含んでいる。 そして、これら「祭り」全般に見られる「呪詛」(他人の不幸を望み、他人の失敗を嗤う心情)こそが、現代のポピュリズムを、単なる人気者万歳の脳天気なものから、より悪質なものへ変化せしめた正体なのだ。
・今回、いわゆる有識者のコメントの中にも「ポピュリズム」批判を通じて、「民主主義」への疑念を示唆するものがいくつか見られる。 特にワンイシューについて直接国民の声を聴く制度である「国民投票」には、数多くの疑問の声が寄せられた。「祭り」全般に見られる「呪詛」(他人の不幸を望み、他人の失敗を嗤う心情)こそが、現代のポピュリズムを、単なる人気者万歳の脳天気なものから、より悪質なものへ変化せしめた正体なのだ
・私自身、二者択一の選択を迫るタイプの国民投票(住民投票)は、
 1.投票者(国民や住民)の感情を煽る政治宣伝が横行する。
 2.議論が単純化し、両極化し、敵対化し、相互不信化する。
 3.投票が終わった後に、分断と対立が尾を引く。
 4.現状維持と改革の二つの選択肢が提示された場合、現状維持を求める人々よりも、改革を志向する人々の方がより高い確率で投票所に足を運ぶことになる。
 5.ワンイシューの課題とは別の理由で、単に現状への不満のはけ口として現状否定の結論を選ぶ有権者が一定数現れる。
 といった理由から、穏当な結果に落着しにくいと考えている。その意味では、安易な国民投票(住民投票)の乱発には賛成したくないと思っている。 だが、それはそれとして、私は、英国の結果を見たネット民が、英国民を嘲笑し、民主主義の敗北に快哉を叫ぶ姿に、とても「いやな感じ」をおぼえている。彼らが愚民を罵倒し、低学歴を揶揄し、貧困層を攻撃し、移民に対して残酷な言葉を投げかけているのを眺めながら、民主主義が後退している実感を拭い得なくなっていると言っても良い。
・民主主義を無効化するのが愚民の存在である点については、彼らの言う通りだ。 たしかに、愚民による民意が政策を動かすに足る力を持った時、民主主義は衆愚政治に姿を変えるのだろう。 
・もう一歩踏み込んだ言い方をするなら、愚民とは愚民を蔑視している当の本人を指す言葉だということになる。 「愚民どもに政治の実権を握らせてたまるものか」 「愚民を排除しないとこの国は滅亡する」 というこれらの言葉の「愚民」を「移民」に入れ換えても、スローガンの意図はほぼ変わらない。そして、このスローガンは、世界中の街角で叫ばれ始めている。
・英国で起こった今回の出来事を、私は、終始、「もしうちの国で同じようなことが起こったら」という目で見ていた。 で、投票の結果を確認した上で、現在私が抱いている感慨は、大変に暗いものだ。 英国をはじめとするヨーロッパ諸国と比べて、移民がもたらす摩擦や軋轢が圧倒的に少ないわが国において、排外的な活動が一定の支持を集めているというこのことだけを見ても、私は、近い将来、この国で実施されるかもしれない国民投票の結果を楽観できない。当然だ。私たちの国には愚民を排撃しようとする人間が多すぎる。 そして彼らの数が増えた結果も、まごうかたなき「民主主義による決定」だ。
・とりあえずは、東京都知事選に立候補している有名な排外主義者がどの程度の票を集めるのかを注目している。 票数によっては、荒川の向こう側に移住することも検討しなければならないと思っている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/063000049/?rt=nocnt

小田嶋氏が指摘するように、『「民意」や「民主主義」とされているものについてうっかりものを言うと、「愚民蔑視」「大衆蔑視」「選民思想」と決めつけられてしまう』ので、『多少とも世間知を持った人々は、通常、民意や民主主義や投票結果に苦言を呈する時には、「ポピュリズム」という言葉を使う』、というのは、初めて気づかされたが、確かにその通りだ。
『時に誤った選択をし、少なからぬケースで感情にかられた決断に傾くのではあっても、それでも民主主義は、権力の暴走への安全弁として、確保しておかなければならない最後の砦ではある』、もその通りだと思う。『今回の国民投票を通じて、「民主主義」という看板への信頼が毀損されたことが思いの外大きな損失で、今後、このことは、民主主義を軽んじることになるわれわれ自身へのしっぺ返しとして静かに進行するのだろうと思っている』、は大いに噛み締める必要がある。
民主主義の理念の機能を、「不換紙幣が信用によってその価値を保っている姿に似ている」というのも、面白い比喩だ。ただ、小田嶋氏は指摘してないが、日銀が異次元緩和によって「信用」の基盤を自ら危うくしていることは、このブログで繰り返し指摘してきた。
『民主主義の根幹を支える「民意」の一部には、常に破滅を志向する人々の呪詛が含まれている』、『「祭り」全般に見られる「呪詛」(他人の不幸を望み、他人の失敗を嗤う心情)こそが、現代のポピュリズムを、単なる人気者万歳の脳天気なものから、より悪質なものへ変化せしめた正体なのだ』、も鋭い指摘だ。『安易な国民投票(住民投票)の乱発には賛成したくない』も同感である。『愚民とは愚民を蔑視している当の本人を指す言葉』も深い洞察で、参考になった。
明日は、この問題を経済学的、社会心理学的角度から分析した記事を紹介したい。
タグ:英国 民主主義 小田嶋隆 日経ビジネスオンライン 古市憲寿 EU離脱問題 (その4)小田嶋流感慨 良識ある”民主主義の愚かな決定 直感で理解できないことについては、考えれば考えるほどわからなくなる 内外の反響から浮かび上がってくる感慨 「ポピュリズムの怖さ」という言い方が蔓延していることの不気味さ 、「民意」や「民主主義」とされているものについてうっかりものを言うと、「愚民蔑視」「大衆蔑視」「選民思想」と決めつけられてしまう 多少とも世間知を持った人々は、通常、民意や民主主義や投票結果に苦言を呈する時には、「ポピュリズム」という言葉を使う 舛添要一前都知事 時に誤った選択をし、少なからぬケースで感情にかられた決断に傾くのではあっても、それでも民主主義は、権力の暴走への安全弁として、確保しておかなければならない最後の砦 「きれいごと」が大嫌いな彼らにとって、ユナイテッド・キングダムでこのたび起こっている出来事の一部始終は、民主主義というきれいごとがまさにその馬脚をあらわしている意味で一大痛快事 今回の国民投票を通じて、「民主主義」という看板への信頼が毀損されたことが思いの外大きな損失で、今後、このことは、民主主義を軽んじることになるわれわれ自身へのしっぺ返しとして静かに進行するのだろうと思っている 万人に信頼されることによってはじめて正しく機能する設定 不換紙幣が信用によってその価値を保っている姿に似ている 国民投票によって「愚かな」(少なくともそう見える)決断を下してしまったのが、ほかでもないわが国の議会制民主主義のモデルとなった国である英国であった点もなかなか痛い 民主主義の根幹を支える「民意」の一部には、常に破滅を志向する人々の呪詛が含まれている 「ポピュリズム」批判を通じて、「民主主義」への疑念を示唆 安易な国民投票(住民投票)の乱発には賛成したくないと思っている 愚民とは愚民を蔑視している当の本人を指す言葉 私たちの国には愚民を排撃しようとする人間が多すぎる。 そして彼らの数が増えた結果も、まごうかたなき「民主主義による決定」
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人民元国際化問題(その3)IMFのSDRへの採用決定後の大混乱 [世界経済]

人民元国際化問題については、昨年12月2日に取上げたが、今日は、 (その3)IMFのSDRへの採用決定後の大混乱 である。

先ずは、ニッセイ基礎研究所専務理事の櫨 浩一氏が、1月17日付け東洋経済オンラインに寄稿した「試練に直面する中国人民元 1914年のドル危機と比べてみる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・人民元はIMF(国際通貨基金)が創設した国際準備資産であるSDR(特別引出権)に採用されて、主要国際通貨への道を歩み始めた。ところが、いきなり困難な状況に直面している。
・IMFは2015年11月30日に、SDRの価値を決める通貨に人民元を加えることを決定した。SDRの通貨バスケットはユーロが創設されてから、米ドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨で構成されてきた。 構成比は5年毎に見直されているが、今回は新しい通貨を加えるため、通常2016年1月に行われる変更を9カ月遅らせて10月から実施することとなった。人民元の構成比は10.92%で、日本円の8.33%を上回り、米ドル、ユーロに次ぐ重要通貨となった。
・人口規模が約13億人と米国(約3億人)の4倍以上もある中国は、将来、経済規模が米国を大きく上回ることが予想され、人民元が米ドルの基軸通貨としての地位を脅かす存在となる可能性もある。
・しかし、今年に入って上海株式市場では株価が再び大きく下落し、人民元の下落傾向が続いていることから、中国経済や人民元の先行きには悲観的な見方も出てきている。
▽1914年のドル危機
・米ドルの基軸通貨としての地位は、第二次世界大戦後に、ドルが金との交換性を維持し、基本的に各国通貨はドルとの交換率を一定に保つという、ブレトンウッズ体制ができたことで確立した。
・ドルの国際的地位は、第一次世界大戦時に米国が対外債務国から対外債権国となったことで著しく高まった。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間は、ドルとポンドが同時に基軸通貨として存在していたとされている。第一次世界大戦がきっかけでドルの国際的な地位は一気に高まることになったが、シルバーの「ワシントンがウォール街を閉鎖した日」(※)によると、その過程はそう簡単なものではなかったことが分かる。
・1914年7月末にオーストリアがセルビアに対して宣戦布告して第一次世界大戦がはじまった。この際に筆者は安全資産であるドルに資金が流入したのだと思っていたが、実は逆に米国は通貨危機に襲われている。米国のマカドゥー財務長官の圧力によって、8月1日にニューヨーク証券取引所は閉鎖され、閉鎖はその後4か月も続いた。
・そのころの米国は対外債務国で、欧州、特に英国が大量の米株を保有していた。戦費調達のために欧州各国は、米企業の株を売って得たドルをポンドに交換しようとするので、ドルには著しい下落圧力がかかった。交換できる金の量から計算すると、1ポンド=4.8665ドルのはずだが、8月末頃には1ポンド=5.05ドルを超えるドル安となった。
▽金本位制の問題点
・当時は金本位制であったため、ドルがポンドに対して大きく下落すると、ドルを金と交換して輸送することで大きな利益を得ることができた。米国からは大量の金が流出し、ドルと金の交換性を維持できなくなる危険が高まった。証券取引所の閉鎖は、海外投資家が株を売却して金を米国から流出させないための手段だった。
・もっと深刻なのは、米国がロンドン市場で調達していた資金の返済が、ポンドの調達ができずに返済不能に陥る危険が高まったことだ。特に問題だったのは、米国を代表する都市であるニューヨーク市が発行していたポンド建て債券の償還資金の手当てで、失敗すれば米国の信用が崩壊する恐れがあった。
・金本位制のもとでは、金が海外に流出すると自国通貨と金の交換性を維持することが困難になり、金融を引き締めざるを得なくなって国内の流動性不安が起こってしまった。また、1914年の通貨危機が発生した時点では、米国ではまだ連邦準備制度が稼働していなかった。法律が1913年末にできたばかりだった。
・現在では主要国で金本位制を採用している国は一つもないし、中国も含めて中央銀行が機能している。蛇足ながら、中央銀行の存在ということが問題となるのは、ユーロ圏全体で中央銀行がひとつしかないギリシャやスペイン、ポルトガルといった欧州の債務危機の場合である。
・しかし、金本位制を廃止し中央銀行が整備されても、当時の米国のように外貨が調達できなくなって債務の返済が不能になるというリスクは残っている。中国の外貨準備は2014年6月には3兆9900億ドルに達していたが、2015年12月末には3兆3300億ドルにまで減少したことで、金融市場の不安は高まった。
・1997年のアジア通貨危機の反省として、各国が事実上自国通貨価値をドルに対して固定していたことが原因の一つとしてあげられる。各国が為替レートをコントロールすることを諦めれば問題は生じないという意見もあるが、為替レートの大幅な変動による経済活動の混乱や信認の低下は避けられないだろう。
▽危機対応の出口を用意
・1914年の米国は、ドルの信認を守るために建前上は金との交換性を維持しながら、株式市場を閉鎖してしまうなど、実際には保有している金の流出を抑えた。マカドゥー財務長官は、ポンド不足の抜本的な解決策として、大量の商船を調達して農産物を欧州に輸出することでポンドを入手することを考える。ドイツのUボートによる攻撃で商船の被害が大きかったことから、財務省に戦争危険保険局を設けて民間の輸出をサポートしようとした。
・1ポンドが5ドルを超えるドル安となっていた為替レートは、1914年末には4.85ドル程度にまで上昇して、米国は金本位制を維持するという賭けに勝つ。ニューヨーク株式市場は再開されて、ドルは国際的な信認を得ることに成功した。マカドゥー財務長官の成功は、大胆な危機対応を行ったことだけでなく、出口戦略もちゃんと用意していたことが原因ではないだろうか。
・シルバーは、1914年の通貨危機に際し、マカドゥー財務長官が民間金融機関の協力を得てうまく乗り切ったことで、ドルの国際的信認は著しく高まって、ポンドからドルへの基軸通貨の交代は加速したと評価している。中国が現在の金融市場の混乱をうまく処理できるかどうかは、人民元が主要国際通貨となるために、極めて重要なことである。
・現在人民元が置かれている状況は、第一次世界大戦によって通貨危機に見舞われたドルと比べてどうだろうか。 第一次世界大戦が起こった時点では、既に米国経済が英国から世界一の座を奪ってからかなりの年月が経っていた。一方、現時点では中国の経済規模は米国の3分の2程度にとどまっている。これまでのような高い経済成長は無理でも、先進諸国の所得水準に追いつくまでは先進諸国に比べて高めの成長ができる可能性は高い。
・いずれ中国経済が世界一の規模になるのは自然なことだが、米国を経済規模の面で大きく引き離すことで人民元がドルの地位を脅かすには、まだ時間がかかるだろう。第一次世界大戦や第二次世界大戦のような劇的な事件が原因となって基軸通貨の交代を引き起こすということも予想し難い。
・当時の米国よりも現在の中国のほうが状況がよいこともある。1914年時点では米国はまだ対外債務国だったが、2016年末時点で中国は214兆円(約1.8兆ドル)の対外純資産を保有しており、これは日本の376兆円(約3.1兆ドル)に次ぐ規模だ。2016年末時点で、米国は対外純債務国となっており純債務の規模は844兆円(約7兆ドル)にも上る。
▽経常収支黒字で外貨準備も厚い
・IMFの予測によれば、今後も中国の経常収支は黒字が続く一方、米国は大幅な経常収支赤字が続くとみられている(図表)。中国の経常収支黒字は純資産を増加させ、米国の赤字は純債務の累積に繋がって、中国の純資産と米国の純債務の差は拡大を続けていくことになる。
・昨年来中国の株価は大きく下落しており、海外からの資金流入が止まって人民元が下落するなど、中国経済は1900年代初頭の米国のような困難に直面している。しかし、マカドゥー財務長官が苦心した外貨の獲得(=経常収支の黒字)という出口戦略は、中国の場合には初めから用意されている。
・2016年末時点で、中国の対外純資産が1.8兆ドルだったのに対して外貨準備が4兆ドル近くもあったということは、民間部門はかなりの債務超過のはずだ。これは、海外への資金流出が続き金融市場も不安定だという状態を改善するには、政府が動くしかないということを意味しているだろう。人民元への信認を維持しようとするのであれば、第一次世界大戦に直面したマカドゥー財務長官とは違う意味で、政府の大胆な行動が必要になるだろう。
・一方、人民元が下落すれば経常収支の黒字は拡大しやすく、対外純資産の蓄積が進む。SDRへの採用で手にした元への信認が大きく傷つくことにはなるが、元安を容認することも考えられる。中国が、主要国際通貨への道を急ぐのか、大きく遠回りでも安全な道を選ぶのか、注目される。
http://toyokeizai.net/articles/-/100654

次に、経済産業研究所上席研究員の藤 和彦氏が、 4月8日付けJBPressに寄稿した「人民元の国際化で中国は世界のマネロンセンターに 「野望」を取り下げて資本規制の強化に戻るべき?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「中国からの資本流出は緩和しつつある」3月20日、中国人民銀行の周小川総裁は北京で開催された国際フォーラムで改めて国内外の投資家の不安払拭を図った。 2月の外貨準備高の減少ペース(286億ドル減)は、たしかに1月(995億ドル減)と比べると鈍化していた。また、人民元の対ドルレートが安定を取り戻しつつあるとの観測も出始めていた。
▽危機的状況の中、トービン税導入案を検討
・だが、3月末に人民銀行が商業銀行との間の「先物・先渡し(デリバテイブ)取引」における外国通貨の売り持ち高を公表した(289億ドル相当)ところ、人民銀行の2月の為替介入の規模が市場の予想に比べてはるかに大規模だったことが判明した(4月1日付ブルームバーグ)。
・デリバテイブ取引では、相手先(商業銀行)に米ドルの現金を渡すのが数カ月先の契約満期を迎えてからになる。その間、人民銀行は米ドルを温存し、外貨準備を減らさずに済むというメリットがある。しかし人民銀行が結んだ契約の満期が到来すれば、外貨準備は大幅に減少する。数カ月後にはデリバテイブでごまかした分も上乗せされるため、外貨準備はこれまで以上のペースで減少するだろう。
・国際通貨基金(IMF)の指針によれば、中国の外貨準備の必要水準は2.8兆ドルである(3月31日付日本経済新聞)。2月の外貨準備高は3.2兆ドルであり、このままのペースで減少すれば今年夏までにその水準に達してしまう。
・危機的な状況に追い込まれた人民銀行は、3月に入り外国為替取引に課税する規定の草案をまとめた(3月15日付ブルームバーグ)。 外為取引への課税は、1972年に提唱した米国の経済学者の故ジェームズ・トービン氏にちなんで「トービン税」と呼ばれることが多い。このトービン税の導入は、人民元安を見込んだ投機的取引を防ぐために中国当局がこれまで講じてきた措置の中で、最も強力なものとなる。
・ただし、トービン税の導入には中央政府の承認が必要で、導入時期も明らかではない。世界を見渡してもこの措置が成功した事例はほとんどなく、人民元を国際的な準備通貨にするという周小川総裁自らの計画に大きな妨げとなる可能性が高い。
・国際金融資本の圧力を弱めようとするために編み出された苦肉の策だろうが、「生兵法は怪我の元」になりかねない。
▽あの手この手で資金を国外に
・敵は外ばかりではない。海外との人脈が多い中国人があらゆる手段を使って資金を国外に移す方策を講じている。 2月は香港からの輸入が前年比で89%増加したが、その主な要因は、企業が実際の輸入額を大きく上回る額を海外に支払っていることにあるようだ(3月9日付ブルームバーグ)。人民元下落が続くとの懸念から、貿易インボイス(送り状)の金額を水増しすることにより、中国政府の資本規制を回避し資金を海外に移しているのだ。
・香港の保険商品購入を通して資金を海外に持ち出す動きも活発化している(3月29日付ブルームバーグ)。クレジットカードによる保険商品購入を抑制するため、中国当局は2月以降1回あたりの取引の上限を5000USドルに定めたが、電子送金を介さずに何回も決済端末を通すやり方が早速登場するなど、新規制の有効性が揺らいでいるという。
・マネーロンダリング(マネロン)対策の厳しさから、銀行口座の新規開設が困難な米国で、中国人が「口座開設ツアー」を組んで次々と押しかけるという現象も起きている(4月1日付ニューズウィーク)。 米国ではテロリストや麻薬組織からの資金流入に厳重な監視の目を光らせているため、外国人(非居住者)による新規の銀行口座の開設数は減少傾向にある。このような状況にもかかわらず、「シカゴのチャイナタウンにある複数の華僑系銀行では中国のパスポートさえ持参すれば、その場で簡単に銀行口座を開設できる」と言われ、連日中国からの観光客が殺到しているという。
・また、豪州では、一人っ子政策で登場した「小皇帝」たちが高額な住宅を購入するために中国に住む両親から資金援助を受けるケースが急増しているという(3月31日付ブルームバーグ)。資金を海外へ移す新手の手法だろう。
▽売掛債権の回収遅延が大きな問題に
・マネロンまがいの手法が跋扈する中で、人民銀行は人民元安を阻止するために悪戦苦闘している。だが、そもそも通貨の価値は当該国のファンダメンタルズに依存する。中国経済そのものが駄目になっては、人民銀行が孤軍奮闘しても「焼け石に水」である。
・ここに来て、中国経済に対する懸念はより深刻さを増している。 米経済誌フォーブス(電子版、3月28日付)は、今後1~3年以内に債務危機に陥る確率が最も高い国に中国を選んだ。中国の債務残高は2008年から2015年6月までの7年半で65兆元(約1100兆円)も増加した(国際決済銀行)が、この間にGDPは36兆元しか増加していない。
・かつて日本の銀行貸出残高はバブル期にGDP比で30%増加し、その後約130兆円(当時のGDPの3割)が発生した。中国の銀行貸出残高は2007年からGDP比で30%増加しているため、日本の場合と同様に増加分のほぼ全額(約430兆円)が不良債権化するとの予測がある(富国生命保険株式部参与の市岡繁男氏)。
・不良債権問題の顕在化は、利払い不能などの資金繰りの悪化から生ずることが多い。中国では売掛債権の回収遅延が大きな問題として浮上している(3月21日付ブルームバーグ)ことが気にかかる。  ブルームバーグによると、販売完了から現金回収までの期間を示す売掛債権回転日数は中国では83日となり、1999年以来の長さになっている。国有企業の売掛金残高は「過去2年間で23%増の約5900億ドルに膨らんだ」。この額は台湾のGDPを上回る。売掛金を現金化できない企業は、ネット経由のP2P金融など高コストでリスクの高い貸し手に頼らざるを得ない(3月24日付ロイター)。資金の海外流出の拡大が、事態をより一層悪化させていることは間違いない。
・1999年と言えば、朱鎔基首相(当時)が改革に大ナタを振るい、国有企業数千社が倒産した時代だった。当時中国のGDPは日本の5分の1だったため、世界経済に与える影響は限定的だったが、今や世界第2位の経済規模となった中国が崩壊すれば、世界経済に与える影響は計り知れない。
▽「メイド・イン・チャイナ」はもはや安くない
・安価な労働力という中国経済躍進の神話も今や昔となっている。昨年の中国都市部の就業者数の伸びは2年連続で2.8%にとどまり、過去20年で最低となった。
・英民間研究機関のオックスフォードエコノミクスは3月17日、「中国の製造業のコストが米国と同水準になった」という衝撃的な調査結果を発表した。 それによれば、中国の人件費そのものは日米を下回っているが、中国の生産性が低いために「米国が1ドルで生産できるものが、中国では96セントもかかっている」という。米共和党の大統領候補指名を争うトランプ氏は「中国が為替操作と一方的な貿易政策を通じて米国の中流層を苦境に追いやっている」と非難しているが、トランプ氏が言うほど「メイド・イン・チャイナ」はもはや安くない。
・この調査結果を知った中国メデイアは、中核的な産業である製造業が競争力を失われつつあることに危機感を露わにしている。野放図な拡大政策を長期間にわたり実施したことで、人件費の高騰に加え不動産価格の高騰などが招いた製造コストの急上昇は、朱鎔基の時のように「痛みを伴う」構造改革を断行するしかない。
・だが、構造改革を実施するには、はなはだタイミングが悪い。2009年の世界的な金融危機後に始まった中国の人件費の急激な伸びが、景気減速に伴い鈍り始めたからだ。
・中国当局は、石炭や鉄鋼分野の国有企業を改革する過程で発生する数百万人規模の余剰人員を農業や林業、公共サービス部門へ配置転換しようとしている。だが、配置転換により賃金が下がることは避けられない。これにより労働者の購買力が低下するため、経済を消費主導型へ移行させるという政府の方針にとって猛烈な逆風となる。
・このような状況では果断なる構造改革は極めて困難だ。だが、これを実現しないと「製造業」という金の卵を台無しにしてしまう。
▽「人民元の国際化」という野望は時期尚早?
・フィナンシャルタイムズによれば、今年に入って3月16日までに中国資本が「海外企業狩り」に使った金額は1020億ドルに達し、昨年1年間の金額(1060億ドル)に肉薄している。世界全体のM&A総額が減少する中で中国企業だけが突出している。
・「進撃のチャイナマネー」と言いたいところだが、中国経済の破綻を目の前に「チャイナマネーのエクソダス(脱出)」が起きているととらえた方が実態に近いのではないだろうか。
・人民銀行の周総裁が人民元の国際化が進まない状況に苛立ちを示していることとは裏腹に、中国の資本規制が緩和されるにつれて、「中国は世界の犯罪組織のマネーロンダリングセンター」(3月28日米AP)との評判が急速に高まり、欧米各国がこぞって調査の強化に乗り出している。その状況は皮肉以外のなにものではない。
・中国経済のバブル崩壊を防ぐためにも、世界の治安を改善するためにも、中国政府は「人民元の国際化」という時期尚早の野望を一刻も早く取り下げ、資本規制の強化に戻るべきではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46533

櫨氏の記事で、米国でも1914に通貨危機があり、「ニューヨーク市が発行していたポンド建て債券の償還資金の手当てで、失敗すれば米国の信用が崩壊する恐れがあった」ところまで追い込まれたとの指摘は、興味深い。通貨の国際化は一本調子にはいかないようだ。中国は、こうした危機的状況で、「トービン税導入案を検討」しているらしいが、この際は、面子を捨てて、「大きく遠回りでも安全な道を選ぶ」方が賢明だろう。
藤氏の記事のなかでは、米経済誌フォーブスが、「今後1~3年以内に債務危機に陥る確率が最も高い国に中国を選んだ」ようだが、「やはりそうか」といった感を強くした。『中国経済の破綻を目の前に「チャイナマネーのエクソダス(脱出)」が起きているととらえた方が実態に近いのではないだろうか』ということであれば、上述の「大きく遠回りでも安全な道」として、「資本規制の強化に戻るべきではないだろうか」はうなずける。さあ、中国の習政権の判断やいかに。
タグ:金本位制 東洋経済オンライン SDR JBPRESS 櫨 浩一 人民元国際化問題 (その3)IMFのSDRへの採用決定後の大混乱 試練に直面する中国人民元 1914年のドル危機と比べてみる 主要国際通貨への道を歩み始めた いきなり困難な状況に直面 1914年のドル危機 米国は通貨危機に襲われている ニューヨーク証券取引所は閉鎖 戦費調達のために欧州各国は、米企業の株を売って得たドルをポンドに交換しようとするので、ドルには著しい下落圧力 米国からは大量の金が流出し、ドルと金の交換性を維持できなくなる危険 ニューヨーク市が発行していたポンド建て債券の償還資金の手当てで、失敗すれば米国の信用が崩壊する恐れ マカドゥー財務長官 ポンド不足の抜本的な解決策として、大量の商船を調達して農産物を欧州に輸出することでポンドを入手することを考える 民間の輸出をサポート 人民元が下落すれば経常収支の黒字は拡大しやすく、対外純資産の蓄積が進む SDRへの採用で手にした元への信認が大きく傷つくことにはなるが、元安を容認することも考えられる 主要国際通貨への道を急ぐのか 遠回りでも安全な道を選ぶのか 藤 和彦 人民元の国際化で中国は世界のマネロンセンターに 「野望」を取り下げて資本規制の強化に戻るべき? トービン税導入案を検討 数カ月後にはデリバテイブでごまかした分も上乗せされるため、外貨準備はこれまで以上のペースで減少 (IMF)の指針 中国の外貨準備の必要水準は2.8兆ドル 2月の外貨準備高は3.2兆ドル このままのペースで減少すれば今年夏までにその水準に達してしまう 外国為替取引に課税する規定の草案 人民元を国際的な準備通貨にするという周小川総裁自らの計画に大きな妨げとなる可能性が高い あの手この手で資金を国外に 売掛債権の回収遅延が大きな問題に 不良債権問題の顕在化 「メイド・イン・チャイナ」はもはや安くない 米経済誌フォーブス(電子版、3月28日付)は、今後1~3年以内に債務危機に陥る確率が最も高い国に中国を選んだ 構造改革を実施するには、はなはだタイミングが悪い 経済を消費主導型へ移行させるという政府の方針にとって猛烈な逆風 「人民元の国際化」という野望は時期尚早? 「人民元の国際化」という時期尚早の野望を一刻も早く取り下げ 資本規制の強化に戻るべき
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ドイツ銀行はどうしたのか?(その2)ドイツ銀シニア債買い戻し、元凶の「AT1債」とは [世界経済]

ドイツ銀行はどうしたのか?については、2月11日に取上げたが、今日は (その2)ドイツ銀シニア債買い戻し、元凶の「AT1債」とは である。

先ずは、Neil Unmack氏が2月15日付けロイターに寄稿した「コラム:ドイツ銀シニア債買い戻し、投資家が断るべき理由」を紹介しよう。
・ドイツ銀行が投資家に対して、絶対断るべきであるような提案をしている。同行は12日、50億ドル相当の無担保シニア債を公開入札で買い戻すと発表した。買い戻しが大規模になれば、ドイツ銀には自由に使える資本が多くなる。
・しかし同時に同行の存続性に関して投資家が確信を持てないことを示す恐れがある。シニア債の価格が今後反発する可能性を考えれば、投資家は買い戻しに応じずに様子を見た方が得策だろう。
・銀行が債券を買い戻す理由は多々ある。ドイツ銀の場合は強気のメッセージを発信したいという思いと、ちょうど良い機会がめぐってきたことが重なった。世界経済の先行き懸念や、同行が自己資本強化のために発行した債券の一部について利払いを中止するのではないかとの観測から、シニア債は価格が急落した。これに対してクライアン共同最高経営責任者(CEO)は、経営基盤が頑健だと強調した。
・ドイツ銀はこれらのシニア債を買い戻すことで多少の利益を得られる。一部のシニア債の利回りが高水準、つまり価格が額面を下回って推移しているからだ。投資家としても、ドイツ銀が取引実勢に色を付けた買い取り価格を提示したという点で、悪くない話に見えるかもしれない。例えば2021年償還債は11日時点で額面の約92%の価格で推移していたが、提示額は額面の94.4%となっている。
・それでも投資家がここで売ってしまうのは、かなり近視眼的な取引になるだろう。1週間前、同じ債券は額面の97%前後だった。
・今の市場環境では大規模な債券の取引が難しく、一部の資産運用会社が資金流出に苦しんでいることも、投資家にとっては売るべき理由になる。だがもしもドイツ銀への信頼を持っていて、2週間前に比べて経営の存続に疑いを強める根拠はないとするなら、シニア債は同行の買い戻し提示額などすぐに上回る価格になるとみるべきだ。
・ドイツ銀と債券保有者双方にとって最適な結果は、買い戻しが低調な規模にとどまることだろう。 それはつまり、債券保有者は現在の市場価格が示唆しているよりもドイツ銀を信頼している証しとなる。シニア債の買い戻しというのは論理的には妥当な動きだが、今回のケースでは買い戻しが予定額に達しないことこそが好結果と言えるかもしれない。
http://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-bonds-breakingviews-idJPKCN0VO02L?pageNumber=1

次に、2月26日付け日経ビジネスオンライン「欧州銀行を襲った信用不安の元凶「AT1債」とは ビジネスモデルを変えられなかったツケ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2月16日から日本銀行が導入したマイナス金利は、事前の予想を覆すイベントであり、その政策効果を見極めるためには当面の時間が必要だろう。その将来を考える上で参考になりそうな欧州では、マイナス金利の実施からすでに1年以上が経過するが、必ずしも中銀の思惑通りの政策効果が現れている訳ではない。むしろ銀行セクターの減益や赤字決算を契機に、マイナス金利が銀行収益を著しく悪化させたという見方が再び強まっている。
・まず、マイナス金利が欧州金融機関にもたらした影響について振り返っておこう。 ユーロ圏の銀行においてマイナス金利の導入以降、貸出で伸びているのは家計向け貸出の殆どを占める住宅ローンであり、法人向けは伸び悩みを見せているのが現状だ。さらに家計の金融資産に占める有価証券投資比率を確認しても、マイナス金利が導入された2014年6月の前後1年間に大きなポートフォリオリバランスは無く、個人が積極的に預金から投資へシフトする様子は確認されていない(2013年第2Q:29.5%、2014年第2Q:29.8%、2015年第3Q:29.3%)。
・むしろ個人や企業は、マイナス金利導入以降、見通しの不透明さからキャッシュを保持したいというインセンティブが強くなったといわれる。
▽スイスでは法人・富裕層から利子徴収を開始
・マイナス金利導入国の1つであるスイスでは、銀行の資金利ざやの低下に何とか対応するため、大手行を中心に法人預金・富裕層向け預金の利子徴収を開始するケースも散見される。
・その一方、中小規模の銀行は苦しくても他行よりも有利な預金金利を設定し、預金獲得競争を実施せざるを得ない。コストを強いられる分、経営体力が低下していることに違いないが、マイナス金利導入以降も大手行の預金量は減少傾向にある一方、地域金融機関の預金量は逆に増加するなどの状況も確認されている。
・スイスの銀行セクターはもともと住宅ローン貸出の占める割合が大きく、マイナス金利は住宅価格をさらに押し上げた要因になったといわれている。かつては、低金利・ユーロペッグを背景に、スイスフラン建ての住宅ローンが東欧諸国(ハンガリー、ポーランド等)などにおいても広く利用されていたなど、その認知度は自国に留まらない。
・さらに、スイスと同様にデンマークやスウェーデンも住宅ローン貸出が急増しており、マイナス金利継続が住宅価格の過熱化につながる恐れもある。特にスウェーデンでは深刻な住宅バブルに見舞われており、家計部門の債務残高は過去最大を記録している。
・このためスウェーデン中銀が家計部門の過剰債務問題に警告を発している。さらにデンマークでも同様に家計の過剰債務問題に直面しており、マイナス金利の住宅ローンも出現。住宅価格高騰に歯止めが掛からない状態が指摘されている。
▽マイナス金利が増幅させたAT1債の信用不安
・そんな中、2016年2月には、欧州金融機関の信用不安を巡る報道が世界を駆け巡った。その引き金となったのは、「偶発的転換社債(CoCos=ココス)」と呼ばれる債券に対する信用不安。原油価格の再下落や世界経済が景気後退に向かうかもしれないという心理不安とあいまって、世界の株式市場に動揺が広がった。AT1債とも呼ばれるCoCosとは何で、なぜ今回の世界的な動揺につながったのか。その背景にはマイナス金利の影響もあるのだが、順を追って説明していきたい。
・欧州では、国際的な金融機関の自己資本規制「バーゼルIII」実施を契機に2014年から2015年にかけて、CoCos(AT1債)と呼ばれる債券の発行が急増した。当時、英国やドイツ、スイスの大手行がバーゼルIIIのレバレッジ比率規制の強化に伴う基本的項目であるTier1資本の不足への対応を急いでいた。しかしながらバーゼルIIIのルールも分かり辛い上に、過去の劣後債や優先出資証券と同じ利回りでは、投資家への魅力は乏しいと言わざるを得ない。
・そこで、CoCosの利回りは通常の債券よりも相当高い部類に設定されている。当初は銀行の資本調達手法としてはその資本設計思想やリスク評価の難しさから、投資に慎重な姿勢も見られていたが、次第にCoCosは債券の利回り不足に悩む機関投資家からの投資が増えていった。ユーロ圏やその周辺国がマイナス金利や量的緩和を導入して以降はその傾向がさらに強まった。
・加えて、2016年1月からスタートしたEUの銀行再建・破綻処理指令(BRRD)や2015年11月に金融安定理事会(FSB)がその詳細を発表した総損失吸収能力(TLAC)により無担保シニア債も損失吸収債券となることへの不満も、CoCosへの投資を促した。これは損失リスクがある「無担保シニア債」が、AT1債と比較して利回り水準が低すぎるために、AT1債への投資が優先されたことが原因にある。
・結果的に、消去法のような形で増え続けたAT1債への投資だが、懐疑的な見方は従来からあった。AT1債は、普通株式等Tier1比率が5.125%を下回った場合に元本削減や株式転換させる仕組みを内包する必要がある。そのリスクプレミアムに加えて、商品特性を浸透させることを目的に、従来発行された同等の返済順位の資本性証券より高い利率が付いている。このため、本当にこの高利率を支払い続けられるのかという意見は多かった。
・また銀行が実際に(公的資金注入等で)破綻した場合の債務の返済順位についても、懸念材料が指摘されている。普通株式等Tier1比率のフロアー(銀行が最低保持する必要がある資本)である4.5%の前に5.125%の元本削減や株式転換のトリガーが引かれると、発行体が存続するために、本来は返済の優先順位の高いデットの投資家の利払いがエクイティ投資家より先に停止する形になる。
・バーゼルIII規制上の(その他Tier1である)AT1債の設計では、発行銀行が一定の利益を下回ると、まず初めにクーポンの任意停止を判断、その後、普通株Tier1比率が5.125%を下回った場合に元本削減もしくは強制株式転換される仕組みとなっている。
・発行銀行はクーポンの支払い停止判断に関して完全な裁量を保持している一方、支払停止が発行銀行の債務不履行を意味するわけではない。「AT1債のクーポン支払い停止は事実上の債務不履行」という誤解が広がり、今回の欧銀株式急落による市場混乱につながった。
・投資商品としてかなり複雑な上、これを理解している投資家でも、次のステップでは株式に転換され希薄化することへの不安心理が増幅し、欧銀の株式(特に決算が悪いドイツ、英国、スイスの銀行)は大きく売られることとなった。
・さらに、各行が定めたバーゼル規制資本のバッファー(資本保全バッファー、カウンター・シクリカル・バッファー)においても、普通株式等Tier1比率の求められる最低所要水準を下回った場合、AT1債のクーポンや株式配当、変動役員報酬等に対して、支払いに制限が設定されていることも混乱に拍車をかけた。
・ただしバッファー自体、2016年から2019年までの段階的な実施でかつ多くの欧銀がバーゼルⅢ規制資本対応として資本増強を行っていたため、投資家はこの資本不足を懸念した訳ではないといえる。
・むしろ、真の懸念は、AT1債のクーポンは、欧州各国別(の会計基準で)設定されている分配可能額の範囲内から支払わねばならないことであり、利益が一定水準を下回ることでクーポンが停止されることを問題視したことだ。
・この一定水準の利益(分配可能額)は公表されておらず、かねてから透明性の欠如がAT1債の発行に関して指摘されていた。利益水準の多寡によりAT1債がいつクーポン停止になるかが不明であったため、減益、赤字決算を発表した欧銀に対する信用不安が加速することとなった。
▽不安の連鎖は解消しつつあるが…
・今回の一連の騒動を受けて、急遽、欧銀は、今期の分配可能額やAT1債のクーポン可能額等を発表し火消に躍起となった。ただし、欧銀も3月上旬には最終的な決算数値が発表されることで、分配可能としたクーポンが本当に支払われるか分かることとなる。予想外の引当金や追加損失などの状況に注意が必要となるであろう。また4月下旬に発表される第1四半期の収益状況においても、来年度以降支払い可能とされていたAT1債のクーポンの支払が可能か否かも注視する必要がある。
・AT1債は複雑な仕組みで投資家に損失を負わせる可能性もあり、適合性原則の観点から英国では個人向け販売が禁止されている。結果的に欧州のAT1債の主力の投資家は、ロンドンの金融街(シティ)のヘッジファンド等となっている。ただし、結果的に良くわからないから売却するという不安の連鎖は、サブプライムローン問題の二の舞ともいえる。
・当時は、サブプライムローンが全く含まれていない証券化商品の流動性スプレッドが大幅に拡大したことが問題となった。当時の教訓から、AT1債の問題が引き金となる無用な信用不安の連鎖には注意を払う必要があると同時に冷静さも求められるといえよう。
・欧州銀行の株式の売却が加速したのは2度と銀行が公的資金で救済されないのではという不安も一因といえる。公的インフラである銀行を救わないという判断は、金融安定化という意味ではマイナスの側面が強いという意見もシティでは未だ優勢である。
・無論、欧州のマイナス金利が銀行の資金利ざやを低下させ、銀行経営を苦しくさせたという見方に対する異論は少ない。金融危機以降、欧銀は収益性を強化させるために、投資銀行部門のリストラを強化していたが、高額年収のスタッフを多く抱えている点に変わりはなく、想定していた収益を上げられていなかったのが実情である。
・現在の欧州銀行は、ビジネスモデルの改革を図るというよりは、利上げの時期をひたすら待っていたというのが適切な表現であり、FED(米連邦準備委員会)の利上げにECB(欧州中央銀行)や日銀が追随しないことが明らかになると、収益性についての疑問が再度浮上しつつある状態だ。シティでは2015年には再度大規模なリストラが実施されていたが、欧銀は不採算部門から撤退した後に続く収益性の高いビジネスモデルを見つけられてはいない。どの銀行もウェルスマネジメントビジネスの拡大を狙っているが、米銀ほどの成功モデルを確立できていないのが実情であろう。
・今回の欧州銀行株急落の原因は、様々な要素が絡みあった結果といえる。マイナス金利による収益悪化、規制強化による銀行経営の行き詰まり、過去の不正に対する訴訟費用などが重なりAT1債への信用不安が引き起こされたといっても過言ではない。決してCoCosへの理解度不足や偏った報道だけが、その理由とはいえないことに留意する必要がある。
・今回の反応により、金融危機後に資本増強や規制強化を図り金融機関をより堅牢なものにしていたにもかかわらず、欧州銀行セクターは未だ脆弱であるとの懸念が改めて認識された。リーマン・ショック後に初めて銀行システムの健全性に対する不安が浮上し、金融危機の新たな局面に入ったとの見方までも議論されているのは興味深い事実であろう。
・ECBの次回会合(3月10日開催予定)でドラギ総裁は、マイナス金利幅の拡大を含む追加緩和を検討することを示唆している。さらなるマイナス金利幅拡大に伴い、欧銀が新しいビジネスモデルを見つけ危機の連鎖を断ち切れるかに市場は注目している。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/185821/022400002/?P=1

今日はいずれも、かなり専門的な内容になったが、欧州銀行をめぐる市場の混乱を伝えているので、取上げた次第である。シニア債買い戻しは、ドイツ銀行が資金繰り的には余裕があること、銀行が相場水準を割安と判断していることを示すとともに、過度に安値になった社債を買い戻すことで、ドイツ銀行にも利益をもたらすものである。最終的な結果がどうなったかについては、まだ報道はないようだ。
「AT1債」については、前回も触れたが、どうやら規制当局が想定した以上の混乱を市場にもたらしたようだ。機関投資家といえども、極めて複雑な商品性を必ずしも十分に吟味せずに、利回りに惹かれて買っているらしいことに、驚かされた。日本でも「適格機関投資家」のなかには、運用のプロが全くいないお粗末な投資家もいたことが、年金消失のAIJ事件で明らかになった。これと、機関投資家の中心であるロンドンのヘッジファンドを同列に比較することは出来ない。機関投資家である以上、自分たちが理解できない商品には手を出すべきではないというのが建前論だが、むしろ、ヘッジファンドにも理解できないような複雑な商品を認めた規制当局により大きな問題があるのかも知れない。
タグ:ロイター ドイツ銀行 日経ビジネスオンライン マイナス金利 ドイツ銀行はどうしたのか? (その2)ドイツ銀シニア債買い戻し、元凶の「AT1債」とは コラム:ドイツ銀シニア債買い戻し、投資家が断るべき理由 シニア債 公開入札で買い戻す 50億ドル相当 強気のメッセージを発信したいという思い シニア債は価格が急落 多少の利益を得られる 一部の資産運用会社が資金流出に苦しんでいる 最適な結果 買い戻しが低調な規模にとどまることだろう 債券保有者は現在の市場価格が示唆しているよりもドイツ銀を信頼している証しとなる 提示額は額面の94.4% 1週間前 額面の97%前後 最適な結果は、買い戻しが低調な規模にとどまることだろう 欧州銀行を襲った信用不安の元凶「AT1債」とは ビジネスモデルを変えられなかったツケ 欧州金融機関にもたらした影響 貸出で伸びているのは家計向け貸出の殆どを占める住宅ローン 法人向けは伸び悩み スイスでは法人・富裕層から利子徴収を開始 スイスと同様にデンマークやスウェーデンも住宅ローン貸出が急増 マイナス金利が増幅させたAT1債の信用不安 偶発的転換社債(CoCos=ココス) Tier1資本の不足への対応 CoCosは債券の利回り不足に悩む機関投資家からの投資が増えていった 銀行再建・破綻処理指令(BRRD) 金融安定理事会(FSB) 総損失吸収能力(TLAC)により無担保シニア債も損失吸収債券となる 損失リスクがある「無担保シニア債」が、AT1債と比較して利回り水準が低すぎるために、AT1債への投資が優先されたことが原因 そのリスクプレミアムに加えて 商品特性を浸透させることを目的に 従来発行された同等の返済順位の資本性証券より高い利率 本来は返済の優先順位の高いデットの投資家の利払いがエクイティ投資家より先に停止する形になる 投資商品としてかなり複雑 株式に転換され希薄化することへの不安心理が増幅 最低所要水準を下回った場合、AT1債のクーポンや株式配当、変動役員報酬等に対して、支払いに制限が設定 英国では個人向け販売が禁止 主力の投資家は、ロンドンの金融街(シティ)のヘッジファンド等
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