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金融関連の詐欺的事件(その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、4月17日に取上げた。今日は、(その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落)である。

先ずは、ジャーナリストの時任 兼作氏が4月9日付け現代ビジネスに寄稿した「HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63960
・『捜査線上に現れた「日大人脈」  旅行代理店大手のエイチ・アイ・エス(HIS)会長であり、長崎県のテーマパーク・ハウステンボスの社長でもある澤田秀雄氏が、「M資金まがい」の投資詐欺被害に遭ったとみられる、との報道がなされている。 実際はどうなのか――。 「事実だ」と語るのは、長崎県警の捜査関係者だ。 「2月末、東証上場へ向けて準備を進めていることを公表したハウステンボスとしては、詐欺被害の原資が澤田氏の要請でハウステンボスから出されており、その後、澤田氏が所有していたHISの株式を売却して被害による欠損を埋めるなどの会計操作があったため、事をうやむやにはできずに、先頃、長崎県警に被害届を提出した。そのことから、被害者が澤田氏であることが判明した」 同県警はハウステンボスからの被害届を受け、捜査に着手。すでに騙し取られた投資資金の行方をつかんだともいうが、その一方、東京地裁では投資による利益も含めた金額の支払いを求める民事訴訟が進行中である。原告は、ハウステンボスの事業にも関わる澤田氏の関係者。この関係者は同時に、警視庁にも詐欺の容疑で刑事告訴を行っている。 そうしたなか、この問題に絡んで、ひそかに「別の問題」が浮上し、注目を集め始めている。警視庁の捜査関係者がこう明かす。 「告訴を受けて調べてみると、“日大闇人脈”のひとりと言われるAという人物が捜査線上に浮上した。 このAには、日大の幹部とつるんで、日大が発注する工事をエサに詐欺まがいのことを行った過去がある。その幹部は、田中(英寿)理事長の側近。大学の中枢にいるだけに、おざなりにできない」 日大と言えば、昨年5月にアメフト部の「悪質タックル事件」が発生して以降、数々の問題が表面化し物議を醸してはきたが、投資詐欺のような噂は寡聞にして聞かない。 いったいAは、澤田氏の詐欺事件のどこに、どうかかわっているというのだろうか。 澤田氏の事件のきっかけは、昨年2月、ハウステンボスが考案した金本位制に基づく仮想通貨事業で金の調達を一手に引き受け、澤田氏に高く評価された金取引会社社長の石川雄太氏のもとに、こんな話が持ちかけられたことだった。 「リクルート創業者の江副浩正氏が、安定株主対策として預けた株が、財務省に大量に保管されている。財務省とリクルートの承諾があれば、ワンロット50億円といった大口に限り、市価の1割引き程度で供給される」 これを聞いた石川氏は、ワンロットの購入を決め、澤田氏に相談して資金提供を受けた。だが、代金を支払おうとも、株が引き渡されることはなかった。 そこで石川氏は、元金返済と株の転売利益の支払いを求めたものの叶わず、代わりに同額の収益が上がるという新たな投資案件を持ちかけられた。その投資案件の運用・管理をしているとされる人物がAだったのである。 しかしAは、まず11億円余を石川氏の口座に振り込み、いったん信用させたのち、40億円の偽造為替手形を交付して、そのまま連絡を絶ってしまった』、「財務省」に保管中のリクルート株など、まさに現代版M資金だ。戦後のM資金は、大企業の社長などが引っかかったが、当時は企業金融の超逼迫時代で、やむを得ない面もあった。リクルート事件は、リクルート子会社のリクルート・コスモス株を公開前に政財界に広くばら撒いたことが発覚、竹下内閣崩壊につながった事件である。こんな話にうっかり乗った澤田氏も、お粗末だ。
・『「別の詐欺事件」の裁判が進行中  石川氏は2018年11月、58億3000万円の支払いを求めて東京地裁に提訴。同日、警視庁捜査2課に告訴状を提出した。 つまりAは、ありもしないリクルート株を名目とした「M資金まがい」の詐欺事件の後段に登場し、別の投資詐欺を行った結果、現在、民事・刑事の事件当事者となっているわけだ。 さらにAは、この事件と同時期に、別の件でも裁判沙汰になっていたことが判明した。しかも、こちらはまさに日大を舞台にした詐欺事件だ。 前出の警視庁の捜査関係者が語る。 「事件の概要は、日大の仕事を欲しがっている業者を騙して、4000万円近くのカネを引き出したというもの。2017年に東京地裁に提訴され、現在も裁判が続いている」 訴状を見てみると、事の起こりは2013年2月、業者が知人を通じてAを紹介されたことであったという。その部分を引用しておこう。〈被告A(訴状では実名。以下同)は被告UN校友会(UNはNippon Universityの頭文字)の代表取締役と称し、自分は被告日本大学の執行部と常に仕事をしており、被告日本大学に特別な力を有しており、被告日本大学に関する大抵のことなら何でも可能であると自慢げに話し、その直後、原告Bに対して、実際に被告日本大学の常務理事である被告Cを紹介した。 そして、被告A及び被告Cは、真実は、(千代田区神田)駿河台所在の日本大学病院の業務を受託する業者を選定する権限がないのに、被告A及び被告Cの指示に従えば、日本大学病院の業務を行う業者に指定され、確実に仕事を受注できるかのように原告らを欺罔(ぎもう)し(た)〉 これをきっかけに、日大工学部の工事などほかの案件も持ち出し、時には「理事長への工作資金だ」「理事長の直接案件として進行している」などと説得して、2014年3月までの間に3800万円を騙し取ったという。 業者はそれ以後、ひたすら受注の報せを待ったが朗報はなく、「2016年末には」との約束も反故にされ、翌2017年に提訴に踏み切った。そして、2018年、公判が始まり、現在なお進行中ということだ』、日大の利権まで悪用するとは、Aは生来の詐欺師のようだ。
・『なぜ、こんな話に…  要するにAは、別の詐欺事件に関する裁判の最中に、澤田氏を相手に投資詐欺を行っていたわけである。 「日大ブランドの次は、M資金めいたリクルート株という按配だ。マンモス大学・日大のうまみについては言うまでもないが、リクルート株について言えば、かつて子会社のリクルートコスモス社の未公開株が政治家や官僚らに賄賂として譲渡された一大疑獄事件があったせいか、いまだ信用力があるらしい。 財務省が保有しているというのも巧妙なしかけだが、それにしても悪質極まりない。ましてAは、リクルート株などないのを承知で、日大名目の詐欺で裁判中にもかかわらず、さらに別の詐欺を持ちかけているとみられるだけに始末に悪い。今度こそ、何とかしないと」 前出の警視庁の捜査関係者はそう話すものの、リクルート株名目のほかの詐欺事件も注視してきた金融庁関係者は、 「騙す方が悪いに決まっているが、それにしてもHISほどの大企業の経営者ともあろう人まで、こんな話にどうして騙されてしまうのか」 と首をかしげた。このまますんなり終わるとも思えない、後味の悪い事件だ』、澤田氏は被害者とはいえ、なんとも見っともない話だ。ハウステンボスは「2~3年後の上場を目指す」としているが、こんなことでは上場など夢のまた夢だろう。

次に、5月17日付けダイヤモンド・オンライン「スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/202602
・『5月15日、不動産投資向けローンをめぐる組織的な不正を働いたスルガ銀行は、新生銀行と家電量販大手のノジマの2社と業務提携を結ぶと発表した。ただ、救世主として現れた新生銀にとっても、今回の提携話をうまく活用したい懐事情がある。 窮地からの起死回生――。この言葉が似合うのは、未曾有の不正融資問題により経営危機に直面しているスルガ銀行だけではないかもしれない。 銀行界からりそなホールディングスと新生銀行、家電量販大手のノジマ、ネット証券グループのSBIホールディングス。他業界他業種の名前が飛び出たスルガ銀のパートナー探しは、5月15日に新生銀行とノジマの2社との業務提携という形で一時的な閉幕を迎えた。 ここで「一時的」と記したのは、スルガ銀が今回の提携について、この2社を含む第三者と、業務提携よりも踏み込んだ資本提携を結ぶ「可能性を排除するものではない」とわざわざ公表しているからだ。ある新生銀幹部も、事前に「出資の話までは5月15日に間に合わない」と判断していたこともあり、6月に行われるスルガ銀の株主総会までに、今後も出資に関する協議が進む可能性が残されている』、スルガ銀の株主総会前にとりあえず「パートナー」を決めておこうということだろう。
・『スルガ銀といえば、静岡県沼津市に本店を構えながら、都内を中心とした不動産投資向けローンに軸足を置いてきた地方銀行だ。その収益性が高いビジネスモデルには金融界も一目置いていたが、女性専用シェアハウスの「かぼちゃの馬車」を巡り不正疑惑が浮上。ふたを開けてみれば、組織的に不適切融資やパワハラが横行するという目を覆いたくなるような惨状だった。5月15日公表の調査報告書では、契約書の改ざんなどが疑われる不正融資の案件は、金額にして1兆円超と不動産投資向けローン全体の6割以上を占めることが判明している。 同じく、15日に発表された2019年3月期決算。スルガ銀は純利益で970億円の赤字に陥った。不正まみれの不動産投資向けローンが焦げ付くことを見越して貸倒引当金を積み増し、それが巨額な損失となったためだ。また、スルガ銀の足元における預金残高は3兆1656億円となり、1年間で9240億円もの預金が流出。スルガ銀に対する顧客からの信頼の、低下のほどがうかがえる。 こうした事情があったからこそ、スルガ銀単独での信頼回復は難しいとし、不正発覚直後から提携話が飛び交った。結果としては、新生銀と、すでに5%弱の株式を取得していたノジマが第一陣として手を挙げることとなった』、スルガ銀は確かに単独では破綻寸前だ。
・『スルガ救済により名誉挽回を図る  ただ、今回新生銀が選ばれたことについて、新生銀の内部の人間も「うちは消去法だ」と嘆いている。もとをたどれば、「スポンサー候補として金融庁が期待していた」(金融庁関係者)はずのりそなが早々に離脱。どうしても「銀行」の名を冠するところに支援を託したい金融庁の思惑が絡み、新生銀に白羽の矢が立った形だからだ。 そこに、工藤英之社長が「提携に前向きだった」(新生銀関係者)ことが後押しする。背景にあるのは、大手銀行の中で唯一、公的資金が国から注入されたままの銀行として、名誉挽回したいという思いだ。 そもそも新生銀のルーツは、かつて長期の運転資金を企業に供給し、産業界を支え続けた旧日本長期信用銀行。この長銀が平成バブル崩壊後の不良債権問題で経営破綻し、再生したのが今の新生銀となる。 公的資金の注入で一時国有化されたこの銀行は、リーマンショック直後に2期連続の赤字を出したこともあり、いまだに公的資金を返済できていないという“スネの傷”を抱えている。故に「公的資金を返せないなら、せめて金融当局が困っている課題に積極的に答えるしかない」(別の新生銀関係者)と恩売りを図ったというわけだ』、「恩売りを図った」というのはあり得るシナリオだ。
・『スルガ協業は地銀提携の呼び水か  ただ、スルガ銀との提携話を単なる恩売りで終わらせたくないというのが新生銀の本音だろう。というのも、新生銀の公的資金は普通株に転換されており、株価が上がれば国は保有する新生銀の株を売って公的資金を回収する、という筋道が立てられている。つまり、株価を上げなければ新生銀の悲願である公的資金の完済はなし得ないのだ。 その株価が低迷している中で、今回の提携を底上げのための「起死回生策にしたい」という思惑を働かせないわけはないはずだ。 さらに、新生銀の社外取締役であり同時に大株主にあたるクリストファー・フラワーズ氏が新生銀の株式を売却する意欲を示している。つまり、株主からの圧力を回避するためにも、株価上昇のための早期プランが必要不可欠だといえる。 では、その鍵を握るのは何か。両陣営は今後、無担保ローンや住宅ローンなどの個人向け業務、事業承継などの法人向け業務、そして資産の流動化などに関する連携と大きく3分野での事業提携を進めていく。例えば、三つ目に上げた資産の流動化に関して、すでに債権の証券化などは「多くの地銀からニーズが出てくるだろう」(新生銀幹部)と見込んでいる分野だ。スルガ銀が抱えている住宅ローンを、新生銀が債権化するというビジネスで好事例をつくることができれば、次の地銀提携の“呼び水”にすることができるだろう。 一方で、スルガ銀との提携をめぐっては、新生銀にも懸念事項が残る。その一つが人材派遣。スルガ銀は提携先からの役員派遣を検討している段階だが、仮にトップマネジメント層を派遣することになっても、そうした再生請負人を果たすような「経営人材はうちにはいない」(前出の新生銀幹部)からだ。 スルガ銀に新生銀、そして金融庁。各社の思惑のパズルのピースを、強引にはめ込んだ末に実現したように思える今回の提携話は、スルガ銀が株主提案を実施する6月の株主総会までに、もうひと山迎えることになりそうだ』、「スルガ銀が抱えている住宅ローンを、新生銀が債権化(正しくは証券化)」といっても、統計的な大数の法則が通用する普通の住宅ローンとは、全く性格が異なりリスクも大きいアパートローンとなると、証券化の壁は高そうだ。「経営人材はうちにはいない」のであれば、新生銀には何が出来るのか心もとない。

第三に、8月26日付けダイヤモンド・オンライン「大赤字で社員3割超が早期退職、急成長の投資用アパートTATERUの転落」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212751
・『今年10月末、グループ全社員約400名中136名が早期退職で会社を去る――。インターネットを活用した投資用アパート販売で一躍成長したTATERU。投資用不動産業界の新星は、なぜここまで急転落したのか』、興味深そうだ。
・『残高改ざんの不正営業で売上高75%減  投資用アパート販売TATERUは、経営再建を目的として今年7月に早期退職優遇制度(募集人員約160名)を実施した。退職者の大半がアパート用地の仕入れや施工に関わっていた社員だ。これにより2.8億円の特別損失を計上するという。 その結果を発表した8月8日、同時に2019年12月期の中間決算も発表された。売上高は前年同期比で約62%減の約142億円、営業損失は約65億円、当期純損失は約89億円の大赤字に転落した。通期予想も振るわず、売上高は前期比75%減の約194億円にとどまり、当期純損失は約106億円を見込む。 過去をさかのぼると、10年12月期に約26億円だったTATERUの売上高は、17年12月期に約670億円(連結)まで急増。純利益も約40億円計上していた。16年12月に、東証一部上場にまで登り詰めるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。 そんな新星が、なぜここまで急転落したのか。急成長の裏で不正な営業活動が横行したことが明るみになったからだ。 アパート建築契約において、TATERUの営業本部長や部長代理を中心とする31名によるエビデンス改ざんが、成約棟数2269件のうち336件で発覚した。 具体的には、宅地の売買契約において、金融機関から融資を引き出すため預金残高を改ざんしたというもの。これが宅地建物取引業法違反となり、7月12日から1週間、国土交通省から宅建業に関わる全業務を停止するという行政処分を受けた』、こうした「エビデンス改ざん」は、スルガ銀行での「かぼちゃの馬車」でも多発した。
・『今後の資金繰りは大丈夫?  こうしたこともあり、主力事業である投資用アパート販売がほとんどできなくなった。そのため、業績悪化に歯止めがかからなくなってしまった。 もともとTATERUはオーナー希望者からの要望を受けて土地を仕入れるというスタンスだったため、在庫はそれほど抱えていなかった。だが問題発覚以降、融資を受けられなくなったオーナーの土地を引き取り、販売用不動産として在庫を抱えることになってしまった。それを事業資金確保のため、他の不動産会社に一括売却してきたという経緯がある。貸借対照表を見ると、約127億円あった販売用不動産が約73億円まで減り、その損失が約32億円に上ったようだ。 問題は今後の資金繰りだ。まず残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」(TATERU広報担当者)と見込んでいる。また、手元の現預金は約104億円残っている。純資産も約139億円あり、すぐさま資金不足や債務超過に陥る状況ではなさそうだ。そのため、TATERUの財務諸表には、経営に危険信号がともったことを意味する「継続企業の前提に関する注記」はまだ付されていない。 「今後、アパート販売は縮小するが続けていきたい。また新規事業も拡げていきたい」(TATERU広報担当者)と巻き返しを図る考えだが、そもそも投資用アパートは「かぼちゃの馬車・スルガ銀行問題」以降、融資がかなり厳しくなってしまった。業界環境を考えても、本業だったアパート事業がかつての勢いを取り戻す可能性はほぼないだろう。 またTATERUが言うところの新規事業とは、関連会社でスマートロックやチェックインタブレットといったICTを活用した宿泊施設運用サービス、ホテル運営、賃貸経営オーナー向けのIoT機器の企画・開発などだが、中間決算時点の売り上げは合わせて約6億円。経営への貢献度はまだまだ低い。 TATERUは今期で赤字を一掃し、来期黒字化の意欲を見せている。だが、何より一度失った信頼を取り戻すのは難しい。古木大咲社長自身がまだ、記者会見などの表舞台で今回の事件の反省と将来のビジョンを語ることもしていない。IoT機器は管理会社などにも売り込んでいるが、将来の見通しが立たない会社のサービスがそう簡単に広まるとも思えない。経営再建に向けて事業縮小しているTATERUだが、苦難の道がしばらく続きそうだ』、「まず残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」」との言い分は、売り易いものから売ったとすれば、残ったものではもっと大きな売却損が出る懸念もある。株価は175円と、2018年の高値2200円程度に比べると、低迷の極致だ。苦境を脱することは可能なのだろうか。
タグ:金融関連 ダイヤモンド・オンライン 澤田秀雄 現代ビジネス 時任 兼作 詐欺的事件 (その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落) 「HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?」 捜査線上に現れた「日大人脈」 「M資金まがい」の投資詐欺被害に遭った このAには、日大の幹部とつるんで、日大が発注する工事をエサに詐欺まがいのことを行った過去がある。その幹部は、田中(英寿)理事長の側近 金取引会社社長の石川雄太氏 「リクルート創業者の江副浩正氏が、安定株主対策として預けた株が、財務省に大量に保管されている。財務省とリクルートの承諾があれば、ワンロット50億円といった大口に限り、市価の1割引き程度で供給される」 同額の収益が上がるという新たな投資案件を持ちかけられた。その投資案件の運用・管理をしているとされる人物がAだった まず11億円余を石川氏の口座に振り込み、いったん信用させたのち、40億円の偽造為替手形を交付して、そのまま連絡を絶ってしまった』 「別の詐欺事件」の裁判が進行中 日大の仕事を欲しがっている業者を騙して、4000万円近くのカネを引き出したというもの。2017年に東京地裁に提訴され、現在も裁判が続いている Aは、別の詐欺事件に関する裁判の最中に、澤田氏を相手に投資詐欺を行っていた ハウステンボスは「2~3年後の上場を目指す」 「スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑」 スルガ銀行は、新生銀行と家電量販大手のノジマの2社と業務提携を結ぶと発表 女性専用シェアハウスの「かぼちゃの馬車」を巡り不正疑惑 不正融資の案件は、金額にして1兆円超と不動産投資向けローン全体の6割以上を占めることが判明 2019年3月期決算。スルガ銀は純利益で970億円の赤字に陥った。不正まみれの不動産投資向けローンが焦げ付くことを見越して貸倒引当金を積み増し、それが巨額な損失となったためだ 預金残高は3兆1656億円となり、1年間で9240億円もの預金が流出 新生銀と、すでに5%弱の株式を取得していたノジマが第一陣として手を挙げることとなった スルガ救済により名誉挽回を図る 公的資金を返せないなら、せめて金融当局が困っている課題に積極的に答えるしかない 恩売りを図った スルガ協業は地銀提携の呼び水か 「大赤字で社員3割超が早期退職、急成長の投資用アパートTATERUの転落」 グループ全社員約400名中136名が早期退職で会社を去る 残高改ざんの不正営業で売上高75%減 急成長の裏で不正な営業活動が横行したことが明るみになったからだ エビデンス改ざんが、成約棟数2269件のうち336件で発覚 国土交通省から宅建業に関わる全業務を停止するという行政処分 今後の資金繰りは大丈夫? 約127億円あった販売用不動産が約73億円まで減り、その損失が約32億円に上った 残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」(TATERU広報担当者)と見込んでいる 「継続企業の前提に関する注記」はまだ付されていない
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金融業界(その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由) [金融]

金融業界については、昨年11月25日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由)である。

先ずは、6月3日付けニコニコニュースがJBPress記事を転載した「「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで」を紹介しよう。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5406379
・『「信金の雄」と呼ばれた西武信用金庫で、理事長の落合寛司氏が辞任に追い込まれた。5月24日、金融庁から業務改善命令処分を受けての引責辞任。当局が最も問題視したのは、落合氏以下複数の経営陣が開けてしまった「パンドラの箱」の存在だった』、たしかアパートローンの不正融資が問題化したスルガ銀行も金融庁長官賞賛の第二地銀だった。検査を通じて実態を把握できる筈の金融庁の目は、2件とも節穴だったようだ。
・『発覚したチャイニーズドラゴン“関係者”と取引  西武信金は1969年に発足。昨年9月末時点の預金量2兆416億円は、全国261信金中14位の大手だ。2010年6月に落合氏が理事長に就任して以降、業容を拡大している。また、前金融庁長官の森信親氏も落合氏の手腕を高く評価していた。その結果、落合氏は金融庁金融審議会専門委員、経済財政諮問会議の政策コメンテーター委員会委員などの要職を務めるまでになった。 順風満帆かと思えた西武信金の風向きが変わったのは昨年4月のこと。「かぼちゃの馬車」を運営する投資用不動産会社スマートデイズが破綻し、スルガ銀行の融資姿勢が問題視されると、同様に多額の不動産向け融資を実行する西武信金にも疑念が向けられ、ついには“第二のスルガ銀行”と呼ばれるようになっていった。 金融庁が昨秋に実施した立ち入り検査では、スルガ銀行ほどの悪質な不動産融資は見つからなかったが、代わりに発覚したのが落合前理事長を始めとした幹部たちの「黒い交際」。それが「チャイニーズドラゴン」との関係だったのだ。 チャイニーズドラゴンとは、中国残留孤児の2世や3世で構成され、警視庁からは関東連合とともに準暴力団と認定されている反社会的勢力だ。 西武信金がチャイニーズドラゴンと関わりを持ったのは、東京郊外の立川市だった。立川市は西武信金とライバル関係にある多摩信金のお膝元で、西武信金は前線基地として立川南口支店を出店している。 立川南口支店の支店長は、今回、落合前理事長とともに辞任した牛山淳一常勤理事だった。その牛山氏は「敵地」立川市で奮戦していたものの、マイナス金利政策の影響で業績は思うように伸びなかった。そんな時、知り合ったのが、預金をしてくれた上に金も借りてくれるスナックのママ。が、彼女こそチャイニーズドラゴン幹部の妻だったのだ』、地元の「多摩信金」はママの正体を把握、近づかなかったのだろうが、地元情報に疎い西武信金が引っかかるという話しは、よくあることだ。
・『内部からの注意喚起もあったのだが・・・  立川市など多摩地区は、チャイニーズドラゴンが跋扈していることで知られている。ママの夫もその一人で、傷害容疑で逮捕された前科がある。だがそんなこととはつゆ知らず、牛山氏は、スナックや居酒屋を手広く経営していたママから、客を紹介されて取引を拡げていった。 ママが経営するスナックの1つは立川南口支店から徒歩数分の距離にある。店内の内装は小奇麗でテーブルが10ほど。料金は、1時間1万円にも満たず、都心のクラブやキャバクラに比べれば格安といえよう。 この店に通っていたのは支店長の牛山氏だけではなかった。今回、ともに辞任した川島弘之専務理事、そして落合理事長まで足を運んでいたのだ。西武信金とこのママは、それくらい密接な関係を結んでいた。 もちろん金融庁もその事実を把握している。立ち入り検査を行った際に提出させた、役員が使った交際費の領収書の中に、この店のものが含まれていたからだ。高給取りの信金幹部が、身銭を切らずに飲食代を信金の経費で落としていたというわけだ。金融庁がママの店で誰と会っていたのか追及すると、牛山、川島の両氏は「合併を模索していた金融機関が相手なので言えない」と答え、検査官から一笑に付されたという。 一方、西武信金内部では、この関係に警鐘を鳴らす者もいた。上場企業の監査役に該当する監事が、ママの夫が逮捕歴のあるチャイニーズドラゴンの幹部との情報を聞きつけて、落合氏に取引停止を進言していたのだ。同じころ、西武信金は地元警察に身分照会をしたものの、対象者としていたのは、チャイニーズドラゴンの幹部である夫ではなく、ママの方。そのため、警察は「反社ではない」と打ち返したという。 これで警察から「非・反社」のお墨付きを得たと勘違いした落合氏は、せっかく忠告した監事を怒鳴りつけ、取引を継続。その結果、ママ本人やその紹介者10人前後で融資総額は合計で40億円近くに膨れ上がったという。 このママたちへの融資について、牛山氏は金融庁に「彼女たちからは、毎月きちんと返済されている」と、資金回収に自信を見せたというが、反社勢力との取引撲滅を目指す金融庁が、そんな言い分を聞き入れるはずもない。投資用不動産融資の問題点と併せて、業務改善命令を突き付けられることになった。 業務改善命令と経営陣の一新。これで西武信金は再生できるのだろうか』、監事がせっかく忠告したにも拘らず、「地元警察に身分照会」したのは、「夫ではなく、ママの方」とは何たるお粗末さだろう。或は、この段階では、正体は把握していたので、問題ない「ママの方」で「照会」したのかも知れない。
・『融資は継続  落合氏の後を継いで理事長に就任した高橋一朗理事長は、記者会見で警察への身分照会を行った結果、「暴力団員としての属性がない」との回答を得たから、暴排条例に該当しないと判断したと明かした。 さらにこの記者会見で、融資の継続と回収に関して質問された高橋理事長は「個別の案件は回答を控える」と回答を濁したが、現時点でも融資は継続されていると見られる。会見時に公表されたニュースリリースには、「現在も当該者の関連者に対する融資残高はあります(債務者名義1人、1社で合計326百万円)」と記載されている。これが件のママに対する融資と言うことだろう。その他に、彼女から紹介された人物を含めれば融資先が10人前後になるというのは前述の通りだ。 実は一連の融資の借り手は飲食店経営者が多く、十分な担保価値のある不動産を保有している人物は少ないのでは、と見られている。とすれば、突然回収に回るわけにもいかず、返済が滞っても担保で補填するわけにもいかない。回収にはどうにも暗雲が立ち込めているように見えるのだ。 落合氏から蓋の開いたパンドラの箱を引き継いだ高橋氏。箱の中身は、回収困難で不良債権化の恐れがある40億円近いカネ、ということになるのだった』、金融庁検査で破綻懸念債権にでも分類されれば、大事だが、最近の金融庁検査は甘くなっているようなので、時間をかけて回収ということになるのだろう。

次に、元東京地検特捜部検事で、 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎氏が6月10日付けYahooニュースに掲載した「“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに、許されないとされる理由」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20190610-00129575/
・『東京証券取引所(以下「東証」)が設置した「市場構造の在り方等に関する懇談会」(以下「懇談会」)の委員を務める野村総合研究所(以下、「野村総研」)の研究員が、野村證券のリサーチ部門に所属するストラテジストに、東証で議論されている市場区分の見直しについての内容を伝達し、ストラテジストが、従来から市場区分の見直しの議論に関心を示していた野村證券の営業社員等に、「現時点の東証の意向は、上位市場の指定基準及び退出基準を500億円ではなく250億円としたい模様」と伝え、営業社員が、その情報を顧客3社に提供した問題について、野村證券は、5月24日、外部弁護士からなる「特別調査チーム」の報告書を公表した』、「チーム」はどのように処理したのだろう。
・『「特別チーム」調査報告書における「コード・オブ・コンダクト」に関する指摘  この報告書の中に出てくる「コード・オブ・コンダクト」という言葉が、この行為とコンプライアンスとの関係を理解するキーワードだ。 報告書は、研究員は、東証と明文の守秘義務契約を締結していないとしても、懇談会の委員委嘱契約 の内容として一定の守秘義務を負っているものと考えられる ストラテジストによる 2 回にわたるメール発信は、日本証券業協会のルールに基づき厳格な審査が必要なアナリスト・レポートには該当せず、社内の広告審査の対象からも外れており、両者に係る管理態勢の枠外に置かれていた。とし、当該行為が、具体的な法令に違反する行為ではないことを前提にした上で、ストラテジストによる2 回のメール発信は、NRI 研究員の東証に対する守秘義務を全く考慮しない行為である。また、ストラテジストは、懇談会委員であるNRI 研究員がもたらす制度改正に関 する未公表情報を含む情報を伝達したものであり、マーケット・プレイヤーとしての基本的なコード・オブ・コンダクト(以下「コンダクト」)が欠如している としている。 つまり、研究員からストラテジストへの情報伝達が、明文の守秘義務契約違反ではなくても、「実質的な守秘義務」に反しており、ストラテジストが野村證券社員らに伝達し、顧客に情報を提供した行為は、法令には違反していなくても、「コンダクト」に反するということだ』、妥当な判断だ。
・『「LIBOR不正操作事件」とコンダクト・リスク  この「コンダクト」という言葉は、2012年の「LIBOR不正操作事件」で、注目されるようになった。LIBORは、銀行同士でお金を融通する際の金利で、世界の様々な金利の指標となるもので、英国銀行協会が主要銀行から申告させた数字を基に算出することになっている。一部の有力金融機関が意識的に虚偽の金利を申告したため、その“LIBOR”金利が、恣意的に操作されていたという問題だ。 この問題は、具体的な法令に違反するものではないが、「顧客の正当かつ合理的な期待に応えることを金融機関がまず第一に自らの責務として捉え、顧客対応、金融機関間のやり取り、市場における活動をもって、責務を示すこと」(英国Financial Conduct Authority(FCA))という、金融機関に期待される『コンダクト』に反する行為の典型だと言える。 この事件以降、このような行為によって社会的批判を受けるリスクを、「コンダクト・リスク」として、特に金融系の企業にとってのコンプライアンスの重要な問題として意識されるようになった。 今回の野村證券の問題も、法令や規則に違反するものではなく、明示的な契約違反でもない。つまり「法令遵守」の問題ではない。しかし、「東証の市場区分の見直しについての上位市場の指定基準及び退出基準」というのは、その見直しの対象となり得る上場企業の株価に重大な影響を与える事実である。それを議論する東証の懇談会に委員として参加している野村證券の子会社の野村総研の研究員が、委員であるがゆえに知り得た指定基準及び退出基準に関する情報を、親会社である野村證券の営業に利用することは、「投資家間の情報の公平」に反し、証券市場の公正を損なうものであることは明らかだ。それは、金融商品取引法等で、具体的に禁止されていなくても、証券関係者が行ってはならない行為である。 このような行為が、具体的な法令に違反していなくても、「コンダクト」に反するとされることの背景には、証券市場や金融商品の取引の「公正」を確保することに対する「社会的要請」がある。それは、投資判断に重要な影響を与える情報を不正に活用したという点で「インサイダー取引の禁止」の背後にある「社会的要請」と共通するものだ。 このように、具体的な法令規則に違反しない行為のコンプライアンス上の問題を理解するためには、それがどのような「社会的要請」に反するのか、という観点から考えてみる必要がある』、郷原氏の持論である「コンプライアンスとは、法令順守と狭く考えるべきでなく、「社会的要請」に合致すること」、というのに合った考え方だ。
・『日本におけるインサイダー取引禁止規定導入の特殊性  金融商品取引法は、「重要事実を知って公表前に株式を売買する行為」を、インサイダー取引として禁止している。それは、一部の投資家のみが内部情報に基づいて金融商品の取引を行うことが、「投資家間の情報の公平」を損ない、「金融市場の公正」を損なうからだ。 昔から証券市場を通じての企業資金の調達(直接金融)が中心だった米国では、インサイダー取引の禁止が、証券市場において徹底されてきた。米国では、広く国民全体が証券市場に参加するためには、投資家間の情報の公平性を維持することが不可欠だという考え方が、社会的に重視されてきたからである。 一方、戦後長らく金融機関を通じた間接金融が中心だった日本では、証券市場は、不確実な情報と思惑が入り乱れる中で投機的な売買が横行する「博打の場」のようなものだった。儲けるために人よりも早く内部情報を得て売買するのは当然のことで、「早耳筋」などという証券用語にも象徴されるように、インサイダー取引はごく当たり前の行為だった。 法律上、インサイダー取引が明確に禁止されたのは、バブル経済の最中の1986年。実際に処罰・制裁の対象にされるようになったのは、90年代半ば頃からである。金融ビッグバン以降、日本における企業金融が、間接金融から直接金融に大きくシフトしたことがその背景にある。 このように、その国の経済の中での証券市場の位置づけや、投資家間の情報の平等というルールの重要性などによって、インサイダー取引の禁止の必要性は異なってくるが、日本の証券市場は、上記のように、米国の証券市場とは異なる歴史をたどってきた。 現在では、日本の経済社会においても、国民の経済生活においても、インサイダー取引の禁止の背後にある「情報の平等」の要請は、一層重要なものとなっているが、上記のような歴史的経緯もあって、インサイダー取引の禁止の理由や、その背後にある「取引の公正」の考え方が十分に理解されているかと言えば、そうではない。単なる「法令遵守」の問題ととらえられやすい』、確かに「日本の証券市場」では、「インサイダー取引の禁止の理由や、その背後にある「取引の公正」の考え方が十分に理解されているかと言えば、そうではない」、というのは残念なことだ。
・『日本の「インサイダー取引禁止の規定」の特徴  日本のインサイダー取引禁止規定は、構成要件の明確性という観点から、主観的要件によらず形式的に構成要件が定められ、罰則導入当初は、法定刑も交通違反程度に設定された。その結果、本来は処罰の必要がないような行為にまで広く禁止の網がかぶせられていた。 もともとの趣旨からは、内部情報を知ったために株式売買をすることにした場合が対象とされるべきだが、日本の規定では、情報を知ったことと株式売買との因果関係が要件とされていないため、以前から予定していた株式売買であっても、たまたま売買する前に内部情報を知ってしまうとインサイダー取引に該当してしまう。業務上必要な場合も含め、極めて広い範囲の売買が禁止の対象とされていた。 この点については、その後、2015年9月の内閣府令の改正で、未公表の重要事実を知る前に締結・決定された契約・計画が存在し、株式等の売買の具体的な内容(期日および期日における売買の総額または数)があらかじめ特定されている、または定められた計算式等で機械的に決定され、その契約・計画に従って売買等が執行される場合には、契約・計画の締結・策定後に未公表の重要事実を知った場合には、インサイダー取引規制は適用されないとする適用除外規定が設けられた。 しかし、形式犯的性格が強かったという経緯から、日本では、インサイダー取引の禁止規定に関して、「市場の公正」「取引の公正」を害するという実質的な観点より、形式的な「法令遵守」に反するかどうかという形式的な観点が重視される傾向がある』、法令の歴史的経緯が現在でも解釈に影響を与えているのは、残念だ。
・『職業倫理に反する「情報不正活用行為」に対する考え方  企業から未公表の情報の提供を受け、その業務に活用する職業の従事者が、提供された情報を私的に流用して取引を行うことは、その組織や職業自体への信頼を失わせ、職業の存立基盤にも重大な影響を与えかねない行為だが、そのような「職業倫理に反する情報不正使用行為」が、常に金商法のインサイダー取引の規定に違反するかと言えば、必ずしもそうではない。 たとえば、報道関係者が、特定の会社の批判キャンペーン報道をする前にその会社の株を空売りしたとしても、会社関係者から重要事実に当たる情報を「受領」したものでなければインサイダー取引には該当しない。また、証券市場のシステムが大混乱し市場全体が暴落することを事前に知った証券取引所の内部者が持ち株を売ったとしても、個別の会社に関する情報に基づく売買ではないので、インサイダー取引には該当しない。日銀の金融政策に関わる幹部が、非公表の金融政策に関する決定の内容を知って、投資信託等の売買を行ったとしても、同様にインサイダー取引には該当しない。 これらの行為は、重大な職業倫理違反ではあるが、金融商品取引法などの法令に違反する行為ではない。 2007年頃、NHKや新日本監査法人など「未公表の情報の提供を受け、それを活用して社会に価値をもたらす組織」において、その情報を私的に利用して個人的利益を上げようとする行為が相次いで表面化したことがあった。 かかる問題に対して組織として行うべきことは「法令遵守の徹底」や「何が法令に違反するのかを教え込む教育」ではなく、「未公開の情報を提供されて行う業務について、情報の取扱いについての社会的要請をどのように受け止め、どのように要請に応えていくのか」に関して、方針や組織の在り方を全面的に見直すことだ』、その通りだろう。
・『証券会社における「情報活用行為」とコンダクトとの関係  今回の野村證券の情報伝達問題は、証券会社という金融商品の取引を業とする組織が、インサイダー取引の禁止の背景にある「投資家間の情報の公平」という社会的要請にどのように応えていくべきかという問題である。 監査法人、報道機関等の組織は、その業務の性格からして、そもそも「業務上入手した情報を活用して投資を行うこと」自体が許されないのであり、職業倫理としての禁止の徹底も容易だが、証券会社と情報活用との関係は、それとは若干異なる。かつては、営業活動自体が、基本的に「顧客に有利な情報を提供すること」つまり、「情報の差別化」を付加価値としているように思われてきた証券会社では、「法令遵守の範囲内であれば、情報の優位性を営業でアピールすることは許される」という認識を有する営業マンが多かった。そういう意識が根強く残っている組織において、「情報の公平性」に反する行為が「取引の公正」を損なう行為だという認識を定着させ、組織内で徹底していくことは決して容易ではない。 今回の情報伝達問題は、「情報の公平性」に関する「コンダクト」の問題で、証券会社に対して当局の厳しい対応が行われた初めての事例だ。金融業界のコンプライアンスが、「法令遵守」を超えたレベルへの進化を求められていることを表すものと言えよう』、「金融業界のコンプライアンスが、「法令遵守」を超えたレベルへの進化」、を期待したい。

第三に、6月13日付け日刊ゲンダイ「負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/255953
・『メガバンクが過去最大の業務・人員削減を進めている。日銀の低金利政策による利ザヤの縮小、IT化、顧客対応ロボット(ペッパー)の代替、そして人口減少などで既存の銀行員の居場所がなくなってきているのだ。 2019年3月期の3メガバンクの決算は、本業の儲けを示す業務利益が三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、前年比11.8%減の8726億円。三井住友FGは同1%減の7266億円、みずほFGは同83.2%減の965億円だった。 業績の落ち込みが突出したみずほFGは、すでに26年末までに全従業員の3割にあたる1万9000人の削減を発表。21年末までに8000人の削減が予定されている。新規採用も18年の1365人から、20年には550人に抑えられる。そして、「希望した社員には副業や兼業を認める人事制度を改定し、今期中に募集のスタートができる方向で検討しています」(同社広報室)。 三菱UFJFGは、銀行本部に所属する約6000人の社員を半数の約3000人まで縮小。主に営業部門への配置転換を予定している。 「英国のEU離脱に絡んで、ロンドンの欧州統括拠点では、約500人の管理職全員に7月末まで希望退職の募集を開始しています」(同行幹部社員) 三井住友FGは、17年度から3カ年の新中期経営計画に、業務削減量を1000人上積みし、5000人分に拡大した。 「AI化やRPAの導入で事務負担は減りますが、それらを管理する人材は必要です。定年退職による自然減と新規採用の抑制、さらに過剰な人員は営業部門を含めたグループ会社への配置で業務削減分の対応は十分可能です。それにしても、みずほの副業・兼業解禁は驚きです」(同社幹部社員) 同グループの太田純社長がメディアの取材にこう述べている。 「全てのビジネスモデルを根本的に見直さないといけない」とし、「貸金だけでなく、デジタル技術を活用した新規事業の展開、付加価値の提供が銀行の存在価値」。 岡山商科大学の長田貴仁教授が言う。「伝統的な銀行は支店やATMの数が多い上、多くの社員を持つという3つの負の遺産を抱えています。楽天銀行、ソニー銀行、セブン銀行など他業種から参入した銀行が高収益を上げているのはこうした負の遺産を持たないためです。配置転換、自然減というのは銀行の人員削減の常套句ですが、営業部門への配置転換は、2850人の早期退職者を出した富士通のように、不本意な部署への配置でも残るか退職するか、会社への忠誠心を問う選択といえます」 負の遺産を切ろうとする銀行に、生き残りのための革命が起きている』、みずほが、「希望した社員には副業や兼業を認める人事制度を改定」、というのは人員削減が多く、形振り構っていられないということかも知れない。「三菱UFJFGは・・・英国のEU離脱に絡んで、ロンドンの欧州統括拠点では、約500人の管理職全員に7月末まで希望退職の募集を開始しています」、ここでの管理職は派遣行員を除いた現地行員と思われるが、「英国のEU離脱」の影響が予想通り出ているようだ。「営業部門への配置転換は・・・不本意な部署への配置でも残るか退職するか、会社への忠誠心を問う選択といえます」、いまさら「会社への忠誠心」でもないように思える。

第四に、8月26日付けダイヤモンド・オンライン「新生銀行と筆頭株主、「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212789
・『新生銀行の筆頭株主である米投資ファンドが、保有株式の売却に動いた。公的資金の返済を実現する上で、今度は監督官庁の金融庁が試される局面に入りそうだ』、もう新生銀行から「むしり取れる」ことはないと諦めたのだろうか。
・『物言う株主と20年越しの決別  筆頭株主であり、社外取締役でもあるクリストファー・フラワーズ氏と“決別”する――。8月8日、新生銀行が発表した内容は、金融関係者の耳目を集めた。 この動きについて、「全く何とも思っていない」(新生銀幹部)と無関心をうたう声も内部から聞こえてくる一方で、経営判断に実質的に携わっていたフラワーズ氏の離脱は、役員人事を含む新生銀の動向を大きく左右し得る要素だ。 そもそもフラワーズ氏と新生銀の関係は、同行の発足当時の2000年頃までさかのぼる。新生銀のルーツである旧日本長期信用銀行(長銀)が、経営破綻して一時国有化された直後、フラワーズ氏は売却先となる米投資会社側の交渉の取りまとめ役として参画した人物だ。その後、社外取締役に就任するかたちで経営への関与を強めた。 07年には、フラワーズ氏を代表とする投資ファンドが新生銀の筆頭株主になる。関連の投資ファンドの保有分を含めると、フラワーズ氏は足元でも発行株式の20%超を保有する存在。「主要株主委員会の場でいろいろと文句をつける」(金融庁関係者)という“物言う株主”の役割を果たしてきた。 そして、新生銀誕生から約20年が経過した今、フラワーズ氏が保有する株式の大半を含む約4500万株を、今月内に売り出すことに至った。筆頭株主でなくなった後、フラワーズ氏は新生銀の社外取締役を退任する意向だ。 フラワーズ氏は近年、保有する新生銀の株式を手放す意向を示していたとされる。売り先としていくつかの投資ファンドとの交渉に入っていたが、有力候補だった「台湾の大手銀行との交渉が破談になった」(新生銀関係者)。これを機に、今回の売り出しに至ったようだ。 ただ、20日に決定した売却価格が1株1387円だった一方、ある市場関係者は「フラワーズ氏の出口戦略として1株3000円ぐらいが妥当だったはずだ」と分析する。 異次元金融緩和がもたらした今の低金利環境では、これ以上の株価上昇は見込めない――。フラワーズ氏の“安売り”は、新生銀に対して三下り半を突きつけたように映る』、フラワーズ氏は米投資銀行ゴールドマンサックス出身で、旧長期信用銀行破綻後から再生を主導、悪名高い「瑕疵担保条項」を付けたことで、不良債権8500億円を預金保険機構に引き取らせた。2004の上場と2005の売り出しで、ファンド全体で売却益5300億円(出資額は1010億円)を稼いでいる。
・『繰り上げ筆頭株主化に焦る金融庁  「私たちも大変な立場になるだろう」――。銀行の監督官庁である金融庁のある幹部は、今回のフラワーズ氏の離脱を受けて危機感を募らせた。 なぜか。フラワーズ氏の関連ファンドが筆頭株主から外れた後は、預金保険機構などで約18%の株式を保有する政府が筆頭株主に繰り上がるからだ。 新生銀は、国から注入された公的資金を返済できていない唯一の大手銀行だ。注入された公的資金は普通株式に転換されていて、完済には株価が1株7400円まで上昇することが必須だ。とはいえ、現状の株価を見ると、返済を早期に実現することは厳しいといわざるを得ない。 新生銀はATMの手数料無料化や消費者ローンなど、先進的なリテール(個人向け)事業の取り組みに注力してきた。こうしたノウハウを持ち、さらには都内での顧客基盤を持つ新生銀に対して、主要株主のフラワーズ氏が抜けたこのタイミングで、地方銀行や他の金融機関が資本面を含めた提携に関心を寄せる可能性は残されている。 今後は、こうしたビジネスモデルの在り方やパートナー探し、そして経営体制の良し悪しという経営課題に関して、筆頭株主が政府のままであれば、金融庁が「正面から問われる」(前出の金融庁幹部)ことになるというわけだ。 フラワーズ氏と決別したとはいえ、新生銀にとっては、もう一つの大きな“足かせ”である公的資金の返済が残されている。 そのためにも、「今の金融界において、存在意義のある金融機関としてのビジネスを展開できるかどうかが重要だ」(別の金融庁幹部)といえる』、「日の株価は1430円と預金保険機構の簿価7400円とは絶望的な開きがある。「先進的なリテール事業の取り組みに注力」、とはいっても、貸金業や消費者ローンでは余り儲けられなくなったようだ。やはり、破綻で優良企業が逃げ出したあとの銀行再建は、容易ではなさそうだ。
タグ:立川市 yahooニュース 金融業界 日刊ゲンダイ 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン JBPRESS ニコニコニュース (その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由) 「「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで」 「信金の雄」と呼ばれた西武信用金庫 発覚したチャイニーズドラゴン“関係者”と取引 “第二のスルガ銀行”と呼ばれるように 代わりに発覚したのが落合前理事長を始めとした幹部たちの「黒い交際」。それが「チャイニーズドラゴン」との関係 チャイニーズドラゴンとは、中国残留孤児の2世や3世で構成され、警視庁からは関東連合とともに準暴力団と認定されている反社会的勢力だ ライバル関係にある多摩信金のお膝元 スナックのママ。が、彼女こそチャイニーズドラゴン幹部の妻 この店に通っていたのは支店長の牛山氏だけではなかった。今回、ともに辞任した川島弘之専務理事、そして落合理事長まで足を運んでいたのだ。西武信金とこのママは、それくらい密接な関係を結んでいた る監事が、ママの夫が逮捕歴のあるチャイニーズドラゴンの幹部との情報を聞きつけて、落合氏に取引停止を進言 地元警察に身分照会をしたものの、対象者としていたのは、チャイニーズドラゴンの幹部である夫ではなく、ママの方。そのため、警察は「反社ではない」と打ち返したという 融資は継続 「“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに、許されないとされる理由」 「市場構造の在り方等に関する懇談会」 「特別チーム」調査報告書における「コード・オブ・コンダクト」に関する指摘 「LIBOR不正操作事件」とコンダクト・リスク 日本におけるインサイダー取引禁止規定導入の特殊性 職業倫理に反する「情報不正活用行為」に対する考え方 証券会社における「情報活用行為」とコンダクトとの関係 「負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に」 「新生銀行と筆頭株主、「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由」 物言う株主と20年越しの決別 クリストファー・フラワーズ氏 足元でも発行株式の20%超を保有する存在 “物言う株主”の役割 有する株式の大半を含む約4500万株を、今月内に売り出す 繰り上げ筆頭株主化に焦る金融庁 預金保険機構などで約18%の株式を保有する政府が筆頭株主に繰り上がる 瑕疵担保条項 ファンド全体で売却益5300億円(出資額は1010億円)を稼いでいる
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暗号通貨(仮想通貨)(その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」) [金融]

昨日のリブラに続いて、もともとの暗号通貨(仮想通貨)(その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」)を取上げよう。なお、こぼブログで前回取上げたのは、昨年7月7日なので、1年ぶりとなる。

先ずは、昨年12月30日付け東洋経済オンライン「仮想通貨「採掘」で大誤算、GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損、上場以来最大の赤字へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/258049
・『「ブロックチェーンと仮想通貨は、インターネットに匹敵する発明だ」――。GMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長は記者会見や取材の場でそう繰り返し語り、ここ1年ほどそれら領域での事業開発を推進してきた。だが同社は今、仮想通貨関連事業が発端となり、”泥沼”にはまっている。 GMOは12月25日、「仮想通貨マイニング(採掘)事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題したニュースリリースを発表した。仮想通貨の自社マイニング事業で減損損失など115億円、マイニングマシンの開発・製造・販売事業で債務譲渡損など240億円が発生し、2018年12月期の第4四半期にこれらを特別損失として処理するという内容だ。 同社は今期の業績予想を公開していないが、『会社四季報・新春号』(小社刊、12月14日発売)では同社の純利益を106億円と予想している。ここに今回の特別損失計355億円がのしかかれば、2005年の上場以来最大の最終赤字となる可能性が高い』、「月謝」はずいぶん高いものとなったようだ。
・『演算能力を競うマイニング  マイニングとは、仮想通貨に関する取引データの集合体=ブロックが適正かどうかをマイナー(採掘者)が計算・判断し、承認する作業を競う仕組みだ。承認作業が行われ新たなブロックが生成されると、それを実現したマイナー向けに”報酬”として一定額の仮想通貨が発行される。一連の作業が金を掘り当てるのに似ていることから、マイニングという言葉が当てられている。 ブロックの生成は早い者勝ちだ。コンピュータによる高度な演算能力が必要であり、「マイニングファーム」と呼ばれる巨大なデータセンターを構築・運営する資本力が求められる。仮想通貨の代表格であるビットコインのマイニングでは、ビットメイン社をはじめとする中国勢のシェアが高い。一方の日本勢も、ビットコイン価格が急騰し始めた2017年後半以降、市場の成長性を見込んでIT大手が続々参入した。 その筆頭が、「仮想通貨領域で世界ナンバーワンを目指す」(熊谷社長)と打ち出すGMOだ。北欧に大規模なデータセンターを構え、昨年12月からビットコイン、ビットコインキャッシュのマイニング事業を本格的に開始。マシンの稼働数を徐々に引き上げていった。これに加え、国内では唯一、マイニングに欠かせない半導体とマシンの開発・製造・販売にも乗り出した。回路の線幅を7nm(ナノメートル)まで微細化したマイニング用半導体を世界で初めて量産化するなど、かなりの力の入れようだった。 だが、この攻勢が裏目に出る。ビットコイン価格は昨年12月に最高値をつけた後、多少の上下はあるものの、右肩下がりとなった。直近の価格はピーク時の2割程度まで下落している。一方、マイニングを行う計算能力の総計「ハッシュレート(HR)」は全世界的に上昇し、競争が激化。つまり、ビットコインそのものの価格低下と掘り当てられる確率低下というダブルパンチで、事業環境は参入当初の見込みから大幅に悪化していったのだ。 これを受けGMOは今回、需要が縮小するマシンの独自開発・販売からの撤退を決定。半導体製造に際しては協力企業に最新鋭の専用ラインを設けるなど、投資が膨らんでいたため、撤退にあたって250億円という手痛い特損を伴った。自社マイニングも継続はするものの、事業構造を全面的に見直す。北欧より安価に電力調達を行える地域への移転を検討し、収益性の底上げを目指す。なお、仮想通貨交換所など同社グループ内で手掛けるマイニング以外の仮想通貨事業は今後も続ける方針だ』、マイニングでは中国勢が、電気代の安い山奥などに大規模な工場を建て、マイニング専用のサーバーを置いている様子がテレビで紹介された。GMOは「北欧より安価に電力調達を行える地域への移転を検討」、というのは中国なのだろうか。
・『DMMは金沢の大規模ファームから撤退  仮想通貨をめぐる事業環境変化のあおりを食うのは、GMOばかりではない。今年2月から金沢で大規模マイニングファームの運用を始めたDMM.comも、同事業から撤退することが東洋経済の取材でわかった。9月にはすでに撤退の意思決定をしたという。マシンの売却などの撤退作業は2019年前半にかけて行っていく。やはり「収益性の悪化が主要因」(会社側)という。 DMMは2017年9月に仮想通貨事業部を発足。10月からはビットコイン、イーサリアム、ライトコインなど、複数の仮想通貨のマイニング事業を始めたが、大規模なマイニングファームの運営は前出の金沢が初めてだった。当初の予定では、段階的に稼働を引き上げ、4月には約500平方メートルのフロアで1000台のマシンが動く様子をショールームとして一般公開する予定だった。 非日常的なマイニングの現場を利用者に生で体感してもらいたい――。そんな考えからファームの一部を一般公開したDMMだったが、これは6月には早々に中止した。セキュリティ確保が難しいと判断したためだ。海外では仮想通貨マイニングマシンの窃盗事件が後を絶たないうえ、DMM自身の金沢のファームでも「アポなしでユーチューバーがやってくるなど、不法侵入に近い事態も発生した」(会社側)という。 DMMは仮想通貨関連の別事業でも見直しを迫られた。同社傘下のネクストカレンシー社は12月25日、リリースに向け準備を進めていた仮想通貨取引アプリ「cointap(コインタップ)」の公開取りやめを発表。仮想通貨価格の下落やコインチェック事件を受け、同アプリがターゲットに定めていた初心者層の取り込みが難しくなったとの判断がある。 2018年初には熱狂の渦にあった仮想通貨市場だが、わずか1年で環境は激変した。一方で、仮想通貨の基盤でもあるブロックチェーンの研究開発や活用に関しては、攻勢を強める企業が増え続けている。新たな技術ゆえのビジネスの難しさは、2019年にも表出するかもしれない』、現在では仮想通貨の相場は多少、持ち直したようだが、どうなるのだろうか。

次に、マーケットアナリストの田代 昌之氏が3月13日付け東洋経済オンラインに寄稿した「金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/270408
・『仮想通貨相場が低迷している。ビットコインは2018年以降、右肩下がりとなり、足元では40万円前後でもみ合い相場の様相。2017年末に付けた最高値と比べ5分の1の低水準だ。国内はもとより世界的に仮想通貨(暗号資産)への関心が低下し、投機対象として積極的に売買する投資家も減少しつつある。 その一方、国内では仮想通貨に対する規制が徐々に強まっている。金融庁は2017年の改正資金決済法で仮想通貨を資金決済手段と位置づけ、交換業者に登録制を導入した。これは世界各国に先駆けた動きだったが、ここにきて仮想通貨技術を使った資金調達「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)に対する規制も検討しているのだ』、健全な投資家を引き寄せるためには、規制は不可欠だ。
・『ICOはいまだ「無法地帯」、詐欺まがいの案件も  ICOに対する規制が定まれば仮想通貨への関心が再度高まっていく、とは限らない。しかし、無法地帯だったICOに一定のルールが構築されることは決してネガティブな話ではないだろう。 金融庁は有職者会議「仮想通貨交換業等に関する研究会」を設置し、仮想通貨の流出リスクや証拠金取引などへの対応策に加え、投機性を有するICOへの規制について検討してきた。 ICOでは、「トークン」と呼ばれるデジタル権利証を発行して投資家から資金を調達する。ただ、ICOには審査や業績開示といった厳しい規制がなく、事業計画がずさんで詐欺まがいの案件も目立つと指摘されている。トークンは仮想通貨交換所で取引できることから、投機性を帯びるようにもなっている。 「仮想通貨交換業等に関する研究会」は2018年3月に設置され、合計11回の議論を重ねている。何が話し合われたのか、論点を具体的に見ていこう。 2018年11月12日の「第9回仮想通貨交換業等に関する研究会」では、従来の証券市場では不公正取引と見なされるような仮想通貨取引や、ICOに絡んだ詐欺事案なども報告された。現行の資金決済法の枠組みでは対応できない点を考慮すれば、「金融商品取引法(金商法)での規制が必要」としている。 それに続く11月26日の第10回研究会では、「ずさんな事業計画と詐欺的な事案が多く、既存の規制では利用者保護が不十分」「他の利害関係者(株主、債権者等)の権利との関係も含め、トークンの権利内容に曖昧な点が多い」などと、さらなる問題点が指摘された。「投資性を有するICOの特質と、それに伴い必要と考えられる規制の内容を整理する必要がある」と突っ込んだ。 そして第11回研究会の後、12月21日に同研究会はA4・33ページから成る報告書をまとめた。仮想通貨交換業者に対し、顧客の仮想通貨相当額以上の純資産額および弁済原資を保持することを義務付ける、財務書類の開示も義務付ける、などとした。さらに「ICOへの対応」については10ページ以上を割き、下記のような規制に向けたポイントを挙げている。 ICOへの対応(仮想通貨交換業等に関する研究会の報告書概要から)◆投資性を有するICOへの対応(●仮想通貨による出資を募る行為が規制対象となることを明確化 ●ICOトークンの流通性の高さや投資家のリスク等を踏まえて、以下のような仕組みを整備 +50名以上に勧誘する場合、発行者に公衆縦覧型の発行・継続開示を義務付け +仲介業者を証券会社と同様の業規制の対象とし、発行者の事業・財務状況の審査を義務付け +有価証券と同様の不公正取引規制を適用(インサイダー取引規制は、今後の事例の蓄積等を踏まえて検討) +非上場株式と同様に一般投資家への勧誘を制限 ◆その他のICOへの対応(●ICOトークンを取り扱う仮想通貨交換業者に、事業の実現可能性等に関する情報提供を義務付け) ICOをめぐっては中国や韓国が禁止するなど、規制から踏み込んで一律禁止する動きもある。ひるがえって日本(研究会の報告書概要)は、ICOの有用性に配慮し、リスクに応じた投資家保護の規制を施して存続は認める、という方針に見える。 ICOのうち投資性を有すると認められるものに関しては、法定通貨のみならず仮想通貨で購入可能なものについても、金商法の規制の枠組みに当てはめる方針と見られる。報告書では、「情報提供(開示)の仕組み」「第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み」「公正な取引を実現するための仕組み」「トークンの流通の範囲に差を設ける仕組み」の4点が規制対象として挙げられている。 それぞれの内容を確認すると、「情報提供(開示)の仕組み」については第一項有価証券と同レベルの開示が必要とされており、「第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み」については第一種金融商品取引業者と同レベルの義務負担が生じるとある。一方、「公正な取引を実現するための仕組み」では原則的に有価証券に対する規制と同様としているが、インサイダー規制については要検討とされ、詳細の詰めはこれからといったところだ』、ICOへの規制案は過度な規制色に走らず、妥当なところだろう。
・『アメリカではICOから「STO」への流れに  このようにICOに対しては金商法上の規制の中でも高度なものが課される可能性が高い。アメリカでは2018年3月、アメリカ証券取引委員会(SEC)がほぼすべてのICOトークンは有価証券であるとの見解を表明している。既存のICOも規制する方針だ。アメリカと同様に、日本ではICOのうち投資性を有すると認められるものは「プロ向け」の商品となり、参加者が限られる一方、ライセンス取得の困難さを踏まえると参入障壁は高いものとなるだろう。 現状、ICOはホワイトペーパーのみ作成すれば、トークンに資産の裏付けがなくても発行することができる。実は、ここに最大の問題があると私は見ている。どう解決するか。ブロックチェーン技術を応用した新たな資金調達手段として「STO」(セキュリティ・トークン・オファリング)が活用される可能性があると考える。ICOからSTOへの転換だ。これはすでにアメリカで潮流になりつつある。 STOは、その名に「セキュリティ」が含まれるように「証券」に分類される。株などの有価証券を裏付けとして発行されるトークンのことで、利益分配や議決権等を投資家に配当する仕組みをすべてトークンに置き換えたものである。 証券に該当するため、既存の金融商品関連の法律に沿った格好となることから、投資勧誘と販売にあたっては監督官庁の管理のもと行われることとなる。2018年8月、AnyPay株式会社のグループ会社であるAnyPay Pte.Ltd.(本社:シンガポール)が、収益分散型トークン発行システムをリリースすると発表した。しかし、国内ではSTOに関する確定した規制枠組みが存在せず、STOによる資金調達が行われた事実も観測されていない(2019年1月28日時点)』、ICOへの規制案が固まらないうちから、新なSTOが出現するとは、やれやれ・・・。
・『STO市場のメインプレーヤーになるのは誰か?  アメリカでは2018年以降、SECなどによって有価証券であると指摘を受けたICOがSTOの枠組みに沿った格好で修正している例も多数報告されている。STOは、アメリカ市場で知名度が徐々に増している。 ただし、STOはICOに比しても参入障壁が高い。ICOのように、資本力に乏しいベンチャーなどがメインプレーヤーになるとは考えにくい。金融商品関連の法律に通じ、一定のコンプライアンスを備え、かつ有価証券に慣れている既存の金融業界、つまり証券関連のプロフェッショナルである証券業界がメインプレーヤーになる可能性もある。既存ビジネスで閉塞感が強まり、株価も冴えない証券業界(特に国内)において、今後、STOに絡む動きが活発化するか注目したい。 もっとも、日本円との連動を想定して開発を進めているメガバンクのステーブルコインの先にSTOがあるとすれば、注目すべき業界は証券業界だけではなくなってくる。変動率(ボラティリティー)が抑えられたステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオは、調達資金がブレるリスクを抑えられるからだ。今後、メガバンクの動向も注視すべきだろう』、「ステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオ」は大いにあり得る可能性があり、注目点だ。

第三に、6月25日付け日経新聞「仮想通貨上昇、拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46519960U9A620C1EE9000/
・『代表的な仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が心理的節目の1万ドル(約107万円)を回復した。短期的な値動きに反応して個人マネーが再び流入している。ヘッジファンドなど機関投資家の間で運用資産の一部に仮想通貨を組み入れる動きもある。ただ現在の価格上昇は投機色が強く、一部の市場参加者による価格操作の疑念も残っている。 情報サイトのコインデスクによると、ビットコイン価格は2018年3月以来、約1年3カ月ぶりの高値をつけた。年初来では約3倍の水準だ。世界の景気動向が不透明になるなかで、マネーの一部が株式などのリスク資産から仮想通貨に向かっている。 ビットコイン価格の推移を振り返ると、17年は右肩上がりで2万ドルまで急騰したバブル、18年はそのバブルが崩壊した年だった。19年は一転、価格の戻り基調が鮮明になっている。年初に3700ドル近辺だった価格は22日に1万ドルを突破し、24日午後時点で1万800ドル前後で推移している。 価格上昇の底流にあるのが機関投資家マネーの存在感の拡大だ。米クリプト・ファンド・リサーチによると、仮想通貨関連のファンドの資産総額は4月時点で143億ドル(約1兆5357億円)と、ビットコイン価格が約1万3000ドルで推移していた18年1月(68億ドル)の約2倍に膨らんでいる。 18年の1年間では新たに239本の関連ファンドが立ち上がり、19年にも145本が設定される見込みという。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「株や債券など伝統的な資産とは独立した値動きをする仮想通貨をポートフォリオに組み込むヘッジファンドが増えている」と指摘する。 米仮想通貨運用会社のモルガン・クリーク・デジタルは2月、仮想通貨やブロックチェーンに投資するファンド向けに約43億円を調達した。出資しているのは公的年金や大学基金などとみられている』、確かにヘッジファンドにとっては、格好の投資対象なのだろう。「出資しているのは公的年金や大学基金など」、これらの保守的な投資家にも認められたというのは驚きだ。
・『こうしたマネーの流入を背景に、「今回の上昇は従来とは違う」と主張する市場関係者もいる。「ビットコインはデジタルの金」が持論で、仮想通貨に投資を続けるタイラー・ウィンクルボス氏は「次の節目は1万5000ドルになるだろう」と指摘する。 機関投資家の需要増は先物の動きからも見てとれる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は21日、ビットコイン先物の未決済の建玉が4日連続で最高になったと発表した。先物はビットコインの価格変動リスクをヘッジするために使われており、機関投資家マネーの流入を裏付ける。市場の一部では「香港のデモの影響で中国マネーがビットコインに流れ込んだ」との見方もある。 仮想通貨は相次いだ不正流出事故などで投資家の信頼を失いつつあったが、技術的な裏付けとなるブロックチェーン(分散型台帳)への関心は衰えていない。企業の仮想通貨利用を巡っては米JPモルガン・チェースが2月に独自のデジタル通貨「JPMコイン」を開発するなど、既存の金融大手による参入も続く。 米フェイスブックは世界の利用者27億人を対象にした「リブラ(Libra)」構想で、低コストで送金できるインフラを目指す。ただ各国の金融当局はリブラの動向を注視しており、普及までの道筋は不透明だ。 一方、最近のビットコイン価格の急騰には疑惑の目も向けられている。仮想通貨「テザー」に絡む価格操作だ。 テザーは1ドル=1テザーの固定レートをうたう価格の安定した「ステーブルコイン」のひとつだ。発行元のテザー社がテザーを大量に発行し、これを受け取った仮想通貨交換会社のビットフィネックスが「テザー売り・ビットコイン買い」を仕掛けることでビットコイン価格が上昇しているとの見方が出ている。テザー社とビットフィネックスの経営陣は同じとみられている。 仮想通貨に詳しい京大大学院の岩下直行教授によると、最近はビットコインの取引金額が増えるに従って、テザーの取引金額も増大する傾向が顕著だという。 岩下氏をはじめ専門家の間では「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との見方が強い。こうした価格操作への疑惑は17年の急騰時にもささやかれていた。 ビットコインなどの仮想通貨にはもともと、市場参加者の目線がそろう「適正価格」がない。価格操作の疑念がくすぶり続けること自体、市場の未成熟ぶりを示している』、「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との疑念は、すぐに解明してほしいものだ。

第四に、7月12日付け日経ビジネスオンライン「金融庁メンツ丸つぶれ、ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/071200537/
・『日本で4度目となる仮想通貨流出事故が発生してしまった。 リミックスポイントの子会社であるビットポイントジャパンは7月12日、同社が運営する仮想通貨交換所「BITPoint」から約35億円分の仮想通貨が流出したと発表した。 同社が異変に気づいたのは7月11日22時過ぎ。仮想通貨「リップル」の送金でエラーを検知し、情報システム部門などで調査をしたところ22時39分にリップルの不正流出を確認したという。日をまたいだ7月12日の2時にリップル以外の仮想通貨の流出も確認され、10時30分に仮想通貨の売買・交換を含むすべてのサービスを停止させるに至った。 流出した約35億円分の仮想通貨は、約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分。仮想通貨の保管方法にはオンライン上で保管する「ホットウォレット」、オフライン環境下で保管する「コールドウォレット」の2つがあるが、流出したのはいずれもホットウォレットで保管していた仮想通貨となる。 ビットポイントジャパンによれば、同社がホットウォレットで保管していたのは「ビットコイン」「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」「ライトコイン」「リップル」の5銘柄という。 仮想通貨については国内仮想通貨交換業者が相次いで流出事故を起こしたことから、ルールの目的化や制度整備を目的に資金決済法と金融商品取引法の改正が5月31日に国会で成立。改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていた。改正法は2020年6月までに施行されることとなっており、その狭間を狙われた可能性が高い。 京都大学公共政策大学院の岩下直行教授は今回の流出事故について、「改正法の施行前だが、ビットポイントがその精神を尊重して、顧客の資産保護のために同種同量の暗号資産をコールドウォレットに保有していたかどうかが今後の焦点になるだろう」と語った』、ビットポイントジャパンは、「コールドウォレットに保有」すると、売買などの都度「ホットウォレット」に移し替える必要があり、その手間を嫌ったのかも知れない。
・『繰り返し潰される金融庁の「メンツ」  「金融庁のメンツがまた潰されることになった」。仮想通貨交換業の幹部は今回の事件を受け、こう漏らした。というのも、金融庁はビットポイントジャパンに対する業務改善命令の報告義務を6月28日に解除したばかりだったからだ。 金融庁は2018年6月22日にビットポイントジャパンに対する行政処分を発表。その後、同社に対して業務改善計画の提出を求め、約1年間にわたって進捗や実施状況を継続的に報告させてきた。 「(業務改善命令の解除は)個別に詳細設計を確認するわけではなく、内部統制体制を確認することで解除するかどうかを決める」(仮想通貨業界関係者)。そのため、業務改善命令の解除をもって金融庁がシステムリスクに対して太鼓判を押したことにはならない。だが、「それでもタイミングがあまりにも悪い」(仮想通貨交換業幹部)。 仮想通貨業界は2018年1月に発生したコインチェックによる仮想通貨流出事件をきっかけに、段階的に規制が強化されてきた。金融庁は仮想通貨交換業者に立ち入り検査を実施し、業務改善命令や業務停止命令を相次いで発出。同年9月にはテックビューロが運営する仮想通貨取引所「Zaif」が仮想通貨を流出させ、規制強化を目的とした法改正の動きが加速した。 法改正も無事成立し、ようやくこれからというタイミングで起きた今回の流出事故。仮想通貨業界は一様に肩を落としている』、確かに最悪のタイミングだが、ハッカーたちは、同社を狙い目とみて「業務改善命令の解除」を待っていたのだろう。やはり手間を惜しまず、「コールドウォレットに保有」を原則にするしかなさそうだ。
タグ:ヘッジファンド 東洋経済オンライン 日経新聞 報告書 GMOインターネット フェイスブック 日経ビジネスオンライン 暗号通貨 コインチェック (仮想通貨) (その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」) 「仮想通貨「採掘」で大誤算、GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損、上場以来最大の赤字へ」 「仮想通貨マイニング(採掘)事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」 仮想通貨の自社マイニング事業で減損損失など115億円、マイニングマシンの開発・製造・販売事業で債務譲渡損など240億円が発生 演算能力を競うマイニング 「マイニングファーム」と呼ばれる巨大なデータセンターを構築・運営する資本力が求められる 中国勢のシェアが高い 北欧に大規模なデータセンターを構え、昨年12月からビットコイン、ビットコインキャッシュのマイニング事業を本格的に開始 ビットコイン価格 直近の価格はピーク時の2割程度まで下落 マイニングを行う計算能力の総計「ハッシュレート(HR)」は全世界的に上昇し、競争が激化 事業環境は参入当初の見込みから大幅に悪化 DMMは金沢の大規模ファームから撤退 田代 昌之 「金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?」 仮想通貨相場が低迷 最高値と比べ5分の1の低水準 国内では仮想通貨に対する規制が徐々に強まっている 改正資金決済法で仮想通貨を資金決済手段と位置づけ、交換業者に登録制を導入 「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)に対する規制も検討 ICOはいまだ「無法地帯」、詐欺まがいの案件も 「仮想通貨交換業等に関する研究会」 顧客の仮想通貨相当額以上の純資産額および弁済原資を保持することを義務付ける 財務書類の開示も義務付ける ICOへの対応 投資性を有するICOへの対応 その他のICOへの対応 アメリカではICOから「STO」への流れに STO」(セキュリティ・トークン・オファリング STO市場のメインプレーヤーになるのは誰か? ステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオは、調達資金がブレるリスクを抑えられるからだ。今後、メガバンクの動向も注視すべき 「仮想通貨上昇、拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も」 ビットコイン価格は2018年3月以来、約1年3カ月ぶりの高値をつけた。年初来では約3倍の水準だ 機関投資家マネーの存在感の拡大 仮想通貨関連のファンドの資産総額は4月時点で143億ドル(約1兆5357億円)と、ビットコイン価格が約1万3000ドルで推移していた18年1月(68億ドル)の約2倍に膨らんでいる 出資しているのは公的年金や大学基金など リブラ(Libra) 仮想通貨「テザー」に絡む価格操作 1ドル=1テザーの固定レートをうたう価格の安定した「ステーブルコイン」のひとつ ビットフィネックスが「テザー売り・ビットコイン買い」を仕掛けることでビットコイン価格が上昇しているとの見方 専門家の間では「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との見方が強い 「金融庁メンツ丸つぶれ、ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」」 日本で4度目となる仮想通貨流出事故が発生 ビットポイントジャパン 35億円分の仮想通貨が流出 約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分 「ホットウォレット」 改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていた 繰り返し潰される金融庁の「メンツ」 業務改善命令の報告義務を6月28日に解除したばかり Zaif」が仮想通貨を流出
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リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) [金融]

今日は、リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待)を取上げよう。

先ずは、6月19日付けロイター「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-crypto-idJPKCN1TJ1WT
・『米フェイスブックは18日、仮想通貨(暗号資産)を使ったサービスを来年開始する計画を明らかにした。ソーシャルネットワーキングから電子商取引や国際決済の分野に進出する新たな動きとなる。 仮想通貨の名前は「リブラ」。世界中の消費者や企業間の取引をバックアップするほか、銀行口座を持たない消費者が金融サービスが受けられるようにしたい考えだ。 子会社「Calibra」を立ち上げ、同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるようにする。 フェイスブックによると、子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う。 子会社は、同意を得るか、必要とされる「限定的な場合」にのみ、フェイスブックや外部組織と顧客情報を共有するという。法執行手続きや治安上の問題などのケースが考えられる』、金融界やIT業界はこの話題で持ち切りのようだ。
・『大手各社がパートナーに  マーケティング資料や幹部らとのインタビューによると、フェイスブックは新デジタル通貨を管理する「リブラ協会」のパートナー28社と連携し、2020年上期に運用を開始する見通し。 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる。運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向だ。マスターカード幹部は、設立メンバーに金融機関は含まれていないが、複数行と加盟に関する話し合いをしていると説明した。 加盟には1000万ドル以上の出資が必要で、各社は重要決定に際し投票権を持つ。リブラ協会は、向こう数カ月中に私募で資金を調達する計画だ』、フェイスブック本体から切り離すため「リブラ協会」の形を取ったのだろう。その「パートナー」も錚々たる企業のようだ。
・『プライバシー・規制上の懸念  プロジェクトを巡り、消費者のプライバシーを巡る不安や規制上の障壁が難題として立ちはだかる可能性もある。 フランスのルメール経済・財務相はラジオインタビューで「フェイスブックはこうした取引手段で多数のデータを収集できるようになる。デジタル大手規制が必要という確信が強まりそうだ」と語った。主要7カ国(G7)の中央銀行トップらに対し、来月半ばまでに報告書作成を要請したことも明らかにした。 米議会上院銀行委員会のマーク・ワーナー議員(民主党)は、フェイスブックが交流サイトにおけるその規模を利用して、モバイル決済などの市場支配を達成しかねないと懸念を表明した。 欧州議会のマーカス・ファーバー議員(ドイツ)は声明で「フェイスブックが20億人の利用者を仮想通貨リスクにさらす場合、仮想通貨の適切な規制枠組みを巡り欧州委員会が作業に着手する根拠になる」と述べた。 イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は、欧州中央銀行(ECB)の会合で、フェイスブックの仮想通貨計画で想定される利便性に先入観を抱かない考えを示したが、実現すれば厳しい規制に直面する可能性も指摘した。 カーニー氏は「現代の世界で機能するものはすべて直ちにシステミックな性質を帯び、最高水準の規制対象にする必要が出てくる」と述べた。各規制当局が、資金洗浄やテロリスト資金調達対策の手順などを検証する必要性を唱えた。 ペイパル幹部はプロジェクトについて「非常に初期の段階」にとどまっていると強調。マスターカード幹部も運用開始までにすべきことは多いと指摘、規制上の障害があまりにも大きくなれば「運用を始めない可能性もある」と語った。 フェイスブック幹部らによると、仮想通貨計画を巡り米国などの規制当局とコンタクトしている。 米規制関係筋は、通貨の仕組みや既存規制制度の枠内におさまるのかが依然不透明と指摘した。 スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)は、リブラプロジェクトの立ち上げ担当者らと連絡を取っていると説明。規制上の認可手続きを進めているかなどについてはコメントしなかった。英金融規制当局はコメントを控えた』、7月19日付け日経新聞は「G7議長「リブラ 最高水準の規制を」と伝えるなど、規制当局の姿勢は極めて慎重なようだ。

次に、6月29日付けNewsweek日本版「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/06/post-12422_1.php
・『メール感覚で決済できるステーブルコイン「リブラ」――強力な資源を武器にフェイスブックが金融サービス参入へ  フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の詳細を発表した。サービス開始は20年の予定。スポティファイやeベイ、マスターカード、ペイパルなど既に約30の企業が参画を表明し、個人間の送金や、商品やサービスの購入に使うことができる。 リブラのブロックチェーンの構築と運営は、スイスに本拠を置く非営利団体「リブラ協会」が行う。フェイスブックとは別の独立した組織で、さまざまな業界の企業が参加している。 フェイスブックの今回の発表は、仮想通貨への参入だけでなく、金融サービス企業になるという宣言でもある。 多くの仮想通貨と違って、リブラは投機資産ではなく決済手段として設計される。ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨は、日常の決済に使うことは難しい。理由の1つは、仮想通貨の価格が市場の需要によって決まり、乱高下することも珍しくないからだ。 それに対し、リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる。テザーなど米ドルに連動していると主張する仮想通貨もあるが、実際に巨額の「保証金」を保有していることが証明されていないとして、疑問視されている。一方でフェイスブックは、より実績のある企業で莫大な資源を持つ。 フェイスブックのメッセージアプリであるメッセンジャーやワッツアップにリブラ用のデジタルウォレットが組み込まれ、メッセージを送るように、瞬時に送金したり、米ドルなどの法定通貨に交換したりできる。手数料は、ほぼかからないとみられている(例えばビットコインは法定通貨への換金に数日かかり、5月のレートで1回当たり2.50ドルの手数料が要る)。 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入する。オンラインや個人間の売買のほか、サブスクリプション(定額利用)の支払いにも対応する計画で、信用枠の設定や口座の開設、融資などの仕組みも視野に入れている』、ビットコインなどの一般の仮想通貨と違って、価値が主要通貨にリンクしている「ステーブルコイン」というのは、利用者にとっては魅力的だろう。「融資などの仕組みも視野」というのも興味深い。
・『世界一危険な独占企業  ただし、安定していて利用しやすい仮想通貨は、仮想通貨本来の魅力に欠ける。 仮想通貨の基本は非中央集権型のネットワークだが、リブラのブロックチェーンはリブラ協会が管理する(ドラッグの売買など違法な目的で使われることを防ぐためでもある)。また、利用の際に身分証明が必要なことは、非中央集権型の通貨の利点である匿名性を排除する。 さらに、ブロックチェーンは基本的に、コンピューターをネットワークに接続して「ノード」になれば、誰でも取引の承認や追跡ができる。しかし、リブラのネットワークのノードになるためには、1000万ドル以上を出資してリブラ協会に加盟しなければならない。 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念もある。 「フェイスブックは世界で最も危険で無責任な独占企業だ。フェイスブックが世界的な通貨を設計して運営することを信頼するなど、正気の沙汰ではない」と、「フリーダム・フロム・フェイスブック」運動の共同設立者サラ・ミラーは声明で述べている。「米連邦取引委員会は、ブラックホールと化したこの企業が私たちの金融情報と通貨システムをのみ込む前に、分割させるべきだ」』、フェイスブックへの風当たりは世界的に強まっているだけに、規制当局は慎重にならざるを得ないだろう。

第三に、7月1日付けロイター「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-libra-regulator-idJPKCN1TW1KS
・『米フェイスブックは先に導入計画を発表した暗号資産(仮想通貨)「リブラ」について、1年以内に世界で正式通貨として認知されるようになると期待している。しかし各国の規制当局はリブラに対して、かつてない厳しい態度で臨む見通しだ。 ロイターはこの10日間に金融規制や金融技術、決済、仮想通貨など各分野の専門家十数人に取材したが、当局のソフトな対応を予想する声はほとんど聞かれなかった。 リブラ導入計画は発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた。 20カ国・地域の銀行監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)のクォールズ議長は先に、暗号資産の小売り販売決済における広範な利用には規制当局による世界規模の監視が不可欠との認識を示した。 反トラスト推進団体「オープン・マーケッツ・インスティテュート」のエグゼクティブディレクター、バリー・リン氏は「規制の観点からすれば全くの厄災だ。(フェイスブックは)世界中の規制当局から集中砲火を浴びている企業であり、事態は悪化するだけだ」と述べた。 リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある。 フェイスブックの子会社カリブラの広報担当者によると、同社は米国で金融取引の事業免許を申請し、米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)に登録した。カリブラはフェイスブックがリブラの取引を扱うために設立した子会社。 事情に詳しい関係者によると、カリブラはニューヨーク州金融サービス局から同州で仮想通貨事業を行う免許も申請した。英金融行動監視局(FCA)、イングランド銀行(英中銀)、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)もフェイスブックから接触があったことを明らかにした』、フェイスブックが「巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた」、というのは当然で、自業自得だろう。
・『フェイスブックはジュネーブに主要な提携先と協力して新通貨を管理して準備を保有する組織も作った。 フェイスブックは2020年上半期に制度全体を立ち上げ、いずれはローンなど幅広い金融サービスを提供する計画だ。 ベンチャーキャピタル会社アンセミスのショーン・パーク最高投資責任者(CIO)は「フェイスブックがどこででもフリーパスを手に入れることはない。同社は世界的な業務展開を目指しており、世界中のさまざまな規制当局から、文字通り数百、あるいは数千単位の事業免許を手に入れる必要があるだろう」と述べた。 中銀や市場監視当局、消費者保護当局、資金洗浄や脱税などを防止する機関に加えて、決済ネットワークを構築すれば国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない。また、個人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている。 米商品先物取引委員会(CFTC)の元幹部でコンサルタント会社を経営するジェフ・バンドマン氏は「新たな規制当局(と対峙する)という観点だけでみても、状況はまったく変わる」と話した。 24億人のユーザーを抱えるフェイスブックは金融サービスへの進出で得られるかもしれない見返りを考えて、あえて困難に挑もうとしているようだ。 しかし利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない。社内に法令順守の枠組みを整え、違法取引を監視するスタッフを置く必要があるだろう。例えば送金サービス大手ウエスタン・ユニオン(WU.N)の広報担当者によると、同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドルに上るという』、規制対応には膨大なコストが必要なようだ。

第四に、積極論の立場から、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/209594
・『「リブラこそが正義!」ではないか  「金融ビジネスにあって、リブラこそが正義だ!」と一回言ってみよう。 ユーザーにとって、割合に安定した価値のやりとりを、国境を越えて安価かつ簡単に行うことができるのだとすると大変便利だ。「消費者の経済厚生の増大」を社会の経済的価値判断の基準とするなら、米フェイスブックがサービス開始を目指す独自のデジタル通貨「リブラ」の方向性はビジネスとして正義だと考えるべきだろう。 もちろん、現実問題として、フェイスブックが信頼に足るのかという問題はある。俗に「GAFA」と称される巨大IT企業の中でも、これまでのところ、個人情報の漏えい問題があったり、会員の個人データを実質的に売るようなビジネスを行っている疑いを持たれたり、フェイスブックは相対的に「行儀が悪い」と思われがちな、信頼というイメージから遠い企業であった。これは、目下の同社に「徳」が欠けているとでもいうしかない経営上の力不足だが、改心は可能だ。今後、同社が適切にリブラを運営し、それが顧客にとって便利ならそれでいいではないか』、「行儀が悪い」フェイスブックも、「改心は可能だ」というのは楽観的に過ぎるような気がする。
・『規制当局の警戒は「半分怪しい」  そのように筆者が思うのは、各国の中央銀行や金融監督当局がリブラに対してあまりに警戒的であることを「半分怪しい」と思うからだ。 国際的な広がりと多くの会員を持つフェイスブックが、通貨のような支払い手段をビジネス化することの影響は大きいかもしれない。何らかの状況にあって、金融システムやひいては経済に対して混乱が及ぶ可能性について、各国の中央銀行や金融監督当局が心配するのは正しいことだ。この点は認めよう。 しかし彼らは、既存の主に銀行システムが顧客に不便を強いて(銀行の支店の窓口に行くと「実感」できるはずだ)、たかだか送金や外国為替のような単純なサービスに対して、高い手数料を取っていることをどう考えているのだろうか。 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか。今のところ、既存の民間金融機関は、リブラについて奇妙なくらい静かだ。せいぜい「マネーロンダリングに利用される可能性が懸念される」というくらいの、さまつなことしか言わない』、「規制当局の警戒は「半分怪しい」、というのは確かにその通りだろう。
・『リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く  もちろん、マネーロンダリングは大きな問題だが、マネロンの温床ともいうべき高額紙幣の流通を放置しておいて、ブロックチェーンに取引の記録が全て残るはずのリブラを「黒通貨」扱いするのは、バランスを欠いているのではないか。 各国の金融規制当局がリブラに対して警戒的に振る舞うことの少なくとも一部の背景には、既存の金融ビジネスの利益の代弁があるのではないか。 なお、各国の当局者の中でも米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のリブラに対する厳しい姿勢が特に目立つ。「リブラ協会」はスイスに置かれるらしいが、フェイスブックは米国の企業なので応援しても良さそうなものだ。しかし、仮にリブラが世界的に普及すると、国際的な決済にあって米国のマネーセンター・バンクがスルーされるようになる可能性があるし、ひいては米ドルの基軸通貨としての特権的な地位が弱体化する可能性があるということだろうか。 もちろん、そうなることがいいのか悪いのかは、最終的に世界の消費者の経済厚生で判断すべき問題だ。繰り返すが、消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義なのだ。 将来の世界の人々にとって、米ドルよりもリブラの方が便利で、同時に十分信頼できる支払いと価値の保蔵の手段になる可能性はゼロではない。その状態を邪魔するのではなくて、実現するために何が必要かを考える方が前向きだし、夢がある』、「消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義」、と主張するが、「取引が安全に行われること」も重要な要素の筈だ。第三の記事で、規制対応にはコストがかかることも明らかだ。
・『興味深いのはリブラに金利が付かないこと  そもそも、リブラは通貨なのか。当初は「仮想通貨」と呼ばれていたが最近呼称が変わった「暗号資産」なのか。正式な呼び方や課税の問題(それぞれ重要な場合もある)は、今のところ各国の政府と議会が決める問題となる。 現状では、技術的には暗号資産だが、経済的な実体は通貨に近いものになるのではないかという印象だ。 現在発表されている構想では、リブラが発行される際に、リブラ協会が先進国通貨建ての安全資産(銀行預金や短期国債など)を持つことになっている。どのような通貨とリブラが交換されるかにもよるが、複数の通貨のバスケットに価値が連動する国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)をブロックチェーン化して決済に利用できるようにしたものだと考えるのが実体に近いように思われる。イメージは「スマートフォンにチャージできるSDR」か。なかなか魅力的ではないか。 少々興味深いポイントは、リブラ協会はリブラに金利を付さないとしていることだ。預け入れられたハードカレンシー(決済通貨)建て資産が生む金利はリブラの運営コストに充てられて、余剰があれば協会員に分配されることになるようだ。 現在のような超低金利の状況下では大きな問題にならないかもしれないが、将来金利が上昇してきた場合には、既存の各国通貨建ての資産に対する保有動機が相対的に高まるはずであり、既存通貨の金利変動に伴って、リブラと既存通貨建ての資産との間で資金移動が起こるはず。金利を通じて各国通貨とリブラとの間で調節が行われると考えることもできるが、将来の金利環境によっては、リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる。 また、リブラの利用者同士で、リブラ建ての資金の貸し借りが発生する可能性があり、この際にはどのような金利が形成されるのだろうか。後述のようにフェイスブック自身がリブラ建ての融資に乗り出すのは「やり過ぎ」だと考えるが、民間でリブラ建ての融資が起こるかどうか、この場合の信用創造の効果がどうなるかは興味深い問題だ』、「スマートフォンにチャージできるSDR」とは言い得て妙だ。ただ、「リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる」、というのは間違いだ。リブラには、それを構成している各国通貨の金利の合成値になっている筈であり、「リブラの金利調節」は必要ないからだ。
・『フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか  さて、長期的に考えると既存の金融機関からみたリブラの最大の脅威は、決済に付随する取引のデータを奪われることだろう。 今まで預金口座の決済を通じて持っていた企業や個人の経済行動に関するデータが、リブラ決済が増えると銀行の手元には存在しなくなる。キャッシュレス決済の普及にもいえることだが、銀行は、せいぜい決済業者と個人や決済業者同士の帳尻を処理するだけの情報貧者に陥る可能性がある。 情報を誰が持つかという争いについては、既に勝負の帰趨は明らかなのではないだろうか。個別にIT企業化できる銀行が一部にあるかもしれないが、コストや規制、経営者の能力などを考えると、既存の銀行の側には競争力がありそうにない。 もっとも、あのフェイスブックにリブラから得る情報をどこまで利用することを許すのかは、社会的に難しく、同時に興味深い問題だ。 今のところ同社は、リブラの利用者に関して厳密な本人確認を行わないつもりのようだが、この方針には少々疑問がある。個人データの利用に関して信用が乏しい同社なので、利用者の個人を特定しないことを訴えるつもりなのかもしれないが、たぶん方針を転換する方がいい。社会的なインフラである既存の通貨を信用の根拠となる資産として利用する以上、社会の側が要請するルールに合わせるべきだろう。 金融取引は実名であるべきだし、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も特に匿名を趣旨とするもの以外は、実名で本人が確認できることを原則とする方がいいと筆者は考えている。フェイスブックの規模で全ての会員に実名を要求するのは難しいかもしれないが、リブラは実名化推進のきっかけにできるのではないか』、「実名化推進」自体については私も賛成だ。
・『特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた  大多数のユーザーにとってリブラの利用が手軽であることはいいことだが、マネーロンダリング対策はもちろん必要だし、誰が誰にいくらの「お金=価値」をやり取りしているのかについては、正確に把握するべきだろう。リブラの利用者には、厳しい本人確認を行うべきだ。ただし、フェイスブックが持つ実名にリンクしたデータの利用に関してはルールと監督の仕組みをはっきりさせるべきだ。 実名にリンクした決済データを、フェイスブックがビジネスに利用することについてどの程度認めるのかは難しい問題だ。仮に、金融商品や物品の販売に自由に利用できるとすると、あまりにも強力なビジネス主体ができそうだ。 また、フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある。 現状では、個人のリブラの取引データを陰で通販業者に売るようなビジネスを行うのは汚な過ぎる。将来、フェイスブックがリブラを通じて持ったデータを活用することを全面的に禁ずるところまでは必要ないと思うが、データの取引に透明性を担保する何らかの仕組みが必要だろう。 他方、送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい。 リブラは金融ビジネスの世直しにはいい刺激になるのではないだろうか。リブラの可能性について考えると、既存の金融ビジネスが本来やるべきだった(もう過去形で問題なかろう)ことが多数浮かび上がってくる。彼らは、特権的な地位と、過大な手数料収入に安住し過ぎていた。 リブラを検討するに当たっては、金融規制や既存のビジネスとの関係だけでなく、もっと利用者の利益の視点に立つべきではないだろうか』、「フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある」、というのはその通りだ。「送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい」というのは、「安全性を確保できる限り」という条件付きで賛成だ。ただ、いずれにしろ、規制当局の姿勢はもっと厳しいので、山崎氏の主張は理想論に近いのだろう。 
タグ:ロイター リブラ ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 山崎 元 フェイスブックの暗号資産 (フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) 「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」 来年開始する計画 子会社「Calibra」 同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるように 子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う 大手各社がパートナーに パートナー28社 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる 運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向 加盟には1000万ドル以上の出資が必要 重要決定に際し投票権 プライバシー・規制上の懸念 「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」 リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入 世界一危険な独占企業 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念も 「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」 発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある 国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない 人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている 利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない ウエスタン・ユニオン 同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドル 「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」 「リブラこそが正義!」ではないか 規制当局の警戒は「半分怪しい」 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く 興味深いのはリブラに金利が付かないこと フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか 特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた
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保険(その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか) [金融]

保険については、昨年3月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか)である。

先ずは、昨年11月13日付けダイヤモンド・オンライン「東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185170
・『東京海上ホールディングスが、再保険事業の中核となる子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)を売却することを決めた。 TMRといえば、毎年100億円規模の純利益を安定的に計上してきた“孝行息子”で、18年前の設立時には現会長の隅修三氏が携わるなど、東京海上にとっては特に思い入れが深い会社だ。 にもかかわらず、一体なぜ本体から切り離すという決断に至ったのか。きっかけの一つが、昨夏に米国で発生したハリケーンだ。 3度にわたって米国を襲来し、十数年に一度という甚大な規模の被害を及ぼしたことで、損害保険各社からリスクの一部を引き受けていた再保険会社は収益が急速に悪化。スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の自己資本利益率(ROE)は、それまで10%台で推移(業界推計)していたものの、2017年は一気に2%台にまで悪化してしまったのだ。 TMRも保険金の支払いが膨らんだことで、17年は170億円超の最終赤字に沈んでいる。 ただ数年に一度のサイクルで、大規模な自然災害によって利益が大きく悪化するのは、各社にとっては分かり切ったことだ。 むしろ再保険会社にとっては、大規模な自然災害を受けて、以降の契約更改で再保険の料率をいかに引き上げ、その後の高収益につなげられるかが最大の焦点だった』、「スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の」ROEが悪化したとはいえ「2%台」なのに、TMRが「170億円超の最終赤字」とは、TMRの経営の問題もあるのではなかろうか。
・『資本流入がもたらす変調  「2割程度は保険料率が上がるのではないか」 昨秋にはそうした期待の声が再保険各社から多く上がっていたものの、今年に入って待ち受けていたのは、更改しても料率が微増にとどまり、一部から悲鳴が上がるという厳しい現実だった。 背景にあるのは、世界的な金融緩和でだぶついたマネーの流入だ。機関投資家が災害時の保険金支払いリスクを引き受ける「大災害債券」を中心に、年金基金などの投資マネーが集中。再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっているのだ。 年金基金などの第三者資本は、再保険市場に占める割合が足元で15%程度と5年前の2倍近い水準になっており、もはや一過性ではなく、構造的に保険料率の引き上げがしにくい状態といえる。 資本流入の潮目が変わる兆しも見えないという状況で、再保険事業にこれ以上経営資源を投入し続けるべきではない──。東京海上が今夏、そう判断を下して売却に踏み出したことで、グループの海外事業に占める再保険の割合は3%程度にまで縮小するという。 TMRの売却劇は、MSアムリンやSOMPOインターナショナルといった海外子会社を抱え、再保険の同割合が3割前後と大きい国内大手の戦略にも、今後じわりと影響を及ぼすことになりそうだ』、「世界的な金融緩和でだぶついたマネーの流入」で、「再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっている」、金融緩和の影響がこんな市場にまで及んでいることに驚かされた。東京海上の撤退も当然なのだろう。

次に、2月13日付けダイヤモンド・オンライン「銀行が高齢者に外貨建て保険販売、殺到する苦情の信じ難い中身」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/193643
・『「一部の話とはいえ、思っていた以上にひどい内容で衝撃を受けた」 生命保険会社の幹部らが今、もっぱらそう話し、頭を抱えている調査結果がある。銀行などの金融機関代理店における顧客からの苦情について調べ分析したものだ。 中でも目を覆いたくなるのが、米ドルや豪ドルなど外貨建ての保険販売への苦情だ。2017年度の苦情受付件数は2000件超で、過去5年間で3.3倍にも膨らんでいるという。 苦情の内容で最も多いのが、「説明不十分」。「元本割れするとは聞いていない」「為替リスクについて十分な説明を受けていない」といった類いのものだ。ここまではほぼ想定通りだったが、驚くべきはここからだ。 調査結果を子細に見ていくと、メガバンクや地域銀行において「預金目的で来店したのに保険を契約させられた」「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」といった信じ難い内容の苦情が、件数の上位に挙がっているのだ』、「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」、契約したら保険契約書が渡される筈なので、にわかには信じ難い苦情だ。
・『0.1%の重み  銀行の窓口販売における苦情発生率は、1000件に1件。それを踏まえると、ごく一部の顧客がさまざまな同意書面にサインしたにもかかわらず、銀行に難癖をつけているだけのように見えてしまうが、そうではない。「契約した覚えがない」などと顧客に言わせてしまうほどに、実は銀行窓販がずさんであり、ゆがんでいるのだ。 ゆがんだ実態は、銀行が置かれた状況を考えればすぐに合点がいく。そもそも銀行は、融資によって利ざやを稼ぎにくいという構造不況に目下陥っている。そのためここ数年は、投資信託の販売といった損失リスクゼロの手数料稼ぎに熱を上げてきたが、その投信は株式市場の変調で売り上げが鈍化してしまっているのだ。 となると、残る選択肢は時に10%近い販売手数料が転がり込んでくる、外貨建て保険しかない。 販売手数料などの費用を差し引いた、外貨建て保険の実質的な利回りは1~2%台前半が多く、投信と比べると投資商品として明らかに見劣りするが、そんなことは銀行として百も承知だ。 むしろ、銀行窓口では利回りや投資リスクはさておき、高齢者をターゲットにして「預金を保険に振り替えれば節税につながる」などと相続対策を前面に出しながら、一時払いの外貨建て保険を強烈に売り込んでいるわけだ。 銀行窓販における苦情の約7割が、60歳以上の顧客ということからも、その様子がうかがい知れる。 高齢者への保険販売時に親族が同席することを内規で定めながら、実施率が全体の約3割にとどまるというデータもあり、銀行がトラブルを生みやすい環境を自らつくり出しているという側面もある。 高齢になるほど苦情発生率が高い傾向にあるため、今後銀行への風当たりはさらに強くなりそうだ』、銀行などへの顧客への説明義務は繰り返し強化されてきたが、それでも高齢者に投資リスクをろくに説明もせず、リスクの高い保険商品を売り込んでいるとは、困ったことだ。今後、訴訟などが頻発する懸念もあろう。

第三に、4月11日付けダイヤモンド・オンライン「節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199529
・『「正直なところ、拍子抜けしましたね」。4月10日夜、生命保険会社42社が集まった拡大税制研究会が終わると、参加した幹部たちは口々にそう話しながら会場を後にしていった。この日の会合には、国税庁の幹部が出席。注目を集めていた節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだった。 今から2カ月前、同じ会合の席で国税庁は、新種の節税保険が登場しては通達で厳しく規制してきた経緯を踏まえて、「業界とのいたちごっこを解消したい」「個別通達を廃止し、単一的な(資産計上)ルールを創設する」と言明。また新たなルールは、既契約にも影響が及ぶことをちらつかせ脅しをかけるなど、今にも鉄槌を下ろそうかという勢いだった。 その様子を見て、生保や販売代理店は震え上がり大騒ぎになったわけだが、10日の会合では意見募集(パブコメ)にかける前の段階で早々と、「既契約への遡及はしない」という方針を国税庁は示している。 さらに、新たな損金算入ルールにおいても、提示した案ではピーク時の返戻率が50%超から70%以下なら6割、返戻率70%超から85%以下なら4割を認めるとしており、「意外にも損金算入の割合が大きくてホッとした」との声があちこちで漏れたほどだった』、「節税保険を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだった」、情けない限りだ。
・『国税庁OBへの忖度で弱腰姿勢?  「OBたちを見殺しにできないということじゃないですかね」。国税庁の腰砕けの規制案について、大手生保の幹部はそう解説する。 そもそも節税保険は中小企業の経営者をターゲットにしており、保険会社の代理店として経営者に販売している主役は税理士たちだ。国税庁OBの多くが税理士として活躍する現状で、食い扶持を奪い、果ては受け取った販売手数料を戻入(れいにゅう)させるような税務処理の見直しには、なかなか踏み込みにくいというわけだ。 加えて、足元では統一地方選があり、今夏には参院選、10月には消費増税を控える中で、中小企業や税理士団体を敵に回すような施策には、政治家が黙っていないはずという見方もあった。 そうした要因が国税庁の判断にどこまで影響したかはまだ不明だが、規制当局としていかにも弱腰の姿勢をとり、生保業界と裏で握り合っているかのような印象を与えたことだけは確かだ。 11日以降、新たな税務処理ルールは意見募集にかけられ、早ければ6月に適用となる見通しだ。生保各社も順次、節税保険の販売を再開する傍ら、またぞろ新ルールの抜け穴を探すいたちごっこが始まることになる』、「国税庁OBの多くが税理士として活躍」、「今夏には参院選、10月には消費増税」などの事情を国税庁は初めから承知していた筈なのに、振り上げた拳を下した背景がよく分からない。とりあえず出しただけで、実現は来年以降と割り切っているのだろうか。

第四に、会社員ながら広範な社会問題についての言論活動を行う御田寺 圭氏が6月29日付け現代ビジネスに寄稿した「損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ これは職業差別ではないのか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65562
・『自己都合退職を促すスキーム  この国では、よほど重大な就業規則の違反行為がないかぎりにおいては、企業が正社員をやすやすと解雇するようなことはできない。 ご存知のとおり、これはいわゆる「解雇規制」が根拠になっている。経営者にとってみれば経済活動のフットワークを阻害する足かせのようにも思えるかもしれないし、従業員の側からすれば自分たちの身を守る盾であると見えるかもしれない。これ自体の評価は多面的なものといえる。 しかし一方で、多くの支社や営業所、グループ会社を抱える大企業には独自の「裏技」がある。その顕著な事例が、今回「損保ジャパン日本興亜の4000人削減計画」によって大きな話題となった「系列会社への転属」である。 この事例は「会社側としては、容易に正社員の首を切れない。ならば、自分から辞めてもらうようにそれとなく促す」というやり方の典型例と見ることができる。 〈損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、従業員数を17年度比で4000人程度減らす方針であることが24日、分かった。全体の約15%に相当する。ÎTを活用し、業務の効率化を進める。余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換し、新卒採用も抑える。希望退職者の募集は予定していない〉(時事ドットコムニュース、6月24日「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」より引用) 損保ジャパンといえばだれもが知る大手保険会社であり、そこに正社員で入社した社員は、全国のサラリーマンの水準からすればまさしくエリートであるだろう。 今回の施策には、そのような「選ばれし者」であるはずの彼らに「余剰人員」という評価を下し、本人らがおそらくは希望していないであろう異業種の会社に転属させることで、自己都合で退職を促す意図があると考えられる。 もし辞めずに転属先の会社にしがみついてくれるのであれば、それはそれで介護分野における人手不足解消に寄与する――まさに会社側はまるで損をすることなく、事実上の自主退職を迫ることができるという寸法だ。 この社会においては、正社員の「解雇」に対して強い規制が敷かれている一方で、「自己都合退職を促す行為」に対しては、必ずしもそうではない。結果的に「社員を会社から追い出す」という同じ目的を遂行する行為であるとしてもだ。 こうした「自己都合退職を促すスキーム」は、今回のように大規模なものは少ないにしても、方法論としては、それほど珍しいものではなくなっている。むしろ今後のIT化の波(と、特定分野における人手不足の高まり)によって、こうしたスキームはより活発になり、より頻繁かつ公然と行われることになるだろう。 ――という話だけで終わってしまうと、ただの時事寸評になってしまう。ここは、もう少し捻った切り口から、この出来事の深層を考察してみよう』、「損保ジャパン」は、ワタミの介護やメッセージなどを傘下に収め、今や介護・ヘルスケア事業では、売上高で業界2位、シニアリビングの居室数では業界1位と確固たる地位である。
・『介護への転属は「懲罰」なのか  まず、今回の一件に対する世論の反応としてとくに気になったのが、世間の人びとが、介護事業のことをある種の「懲罰」とか「苦役」とほとんど同一視しているということだ。 今回の損保ジャパンの「配置換え」で、何人の社員が介護関連事業へ移ることになるのかは不明である。だが前述の報道を受けて、ネットでは少なからぬ人が、転属先となる介護業種のことを「ブラック」「劣悪な業種」と評して憚らなかった。 こうした反応には、高い需要があり、またその需要が今後も増加していくと見込まれているにもかかわらず、介護従事者の待遇が一向に改善しない理由が端的に示されているように思える。 いわゆる「エリート」の多くは、介護事業など自分が従事すべきものではないと考えているだろうし、無理にそのような職種に従事させられることは、まさしく「罰」であると思えてしまうものなのかもしれない。部外者の反応も「大企業はおそろしい手段を持っているなあ」と恐々とするばかりで、介護事業への配置換えを「懲罰」と同様のものとしてとらえる人々の暗黙の意識については、ほとんど問題視されていないようだった。 ここに、現在の日本社会がとくに違和感なく内面化している差別意識が垣間見える。ただしそれは、かっこつきの「差別」としてカテゴライズされることもなく、もはや当たり前のものとして浸透しているようだが。 つまるところ、介護は「だれでもやれるような仕事」であり尊重されず、また同時に「だれもがやりたがらない仕事」であるがゆえに、「だれもやりたがらない仕事をあえてやっているような人は、きっと能力の低い人なのだから、そんな人の技能には高い賃金を支払わなくてもよい」――という理屈が導出されているのではないか。 たしかに介護事業は、かつて家族を構成するメンバーが豊富で、老後の面倒は家族がみるべきと考えられていた時代には家庭が引き受けていた領域を、核家族化や、旧来の「家族」の崩壊にともなってアウトソーシングしたものといえる。こうした背景から、介護事業に対する「家族でもやろうと思えばできるが、それをあえて他人にやってもらっているだけ(いわば『家事代行』の延長であって、専門的な技術ではない)」という認識はいまだに根強い。 「需要がきわめて高く(今後ますます高まることが明白であり)現時点では圧倒的に供給が少ないのにもかかわらず、賃金(価値)が低く抑制されている」業種の現状を、ネットスラングでは「低賃金カルテル」と呼ぶ。 もちろん、介護が本当に「だれでもできる仕事」であるとは思わないし、実際には専門的技能や知識が求められる業種である。しかし、労働の価値とは需要と供給だけでなく、ある種の「共同幻想」によって作り出されるものでもあるので、「重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立している業種は、事実存在するだろうし、介護職はそのひとつといえるだろう。 「介護への転籍」と聞いて懲罰的な文脈を感じた人びとは、まさにこのような考えを内面化しているのだ。それはまさしく「職業差別的」な思考ではあるが、しかし表立って「差別」とは認識されていない』、介護職には、「「重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立している」、というのはズバリ本質を突いた指摘だ。
・『カネカのように炎上しなかった理由  今回の経緯を見て、先月話題になったカネカの「育休復帰後に即転勤で炎上」の一件を思い出した人も少なからずいたようだ。 カネカの件は、当事者との意思疎通の問題はあったにしても、あくまで個人がそのキャリアの希望に合わないということで退職した一件であった。しかしながら世論は「カネカは前時代的な企業」「カネカ許すまじ」の論調へと傾いた。 一方で、事前に希望退職者を募るわけでもなく、いわば「合法」な形で4000人もの人員を削減する損保ジャパンについては、炎上するどころか、表立って批判する声さえ私の観測するかぎりきわめて少ないように見える。 カネカと損保ジャパン――世間の怒りの「雲泥の差」はいったいなぜ生じたのだろうか。 身もふたもない結論を言ってしまえば、前者は「世間の同情を喚起する物語」であり、後者はそうではないという違いが現れたのだろう。 カネカの件は「優秀な人材が会社の横暴によって人生をめちゃくちゃにされ、しかも子育て世代(とその子ども)が犠牲となった物語」として同情的に受容された。しかし損保ジャパンの件は違う。「エリート風を吹かしているうちに時代の流れに取り残されてしまったサラリーマンが、“実際の能力に相応なセクション”に再割り当てされた、現代版の『残酷物語』なのだ」という程度のエピソードとして解釈されてしまったのだ。 先述した「低賃金カルテル」という概念を踏まえ、あえてより厳しい表現をすれば、「介護職に配置されるような人材を、大企業が抱える余裕がなくなっただけの話」と皆が暗黙裡に納得したせいで、カネカのときのような「家族や子どもが可哀想だろ!!」という大合唱がまったく起きず、「エリートも無事では済まない時代だなあ。怖い怖い(笑)」程度の話で片付けられてしまった。 あるいは「これで転属させられるような奴は、大企業の威を借る無能だったのだ。職位に甘えてスキルを磨かなかった自己責任だ」とさえ考えている人も多いかもしれない』、育休明けの社員を配置転換したカネカと対比するとは、分かり易い。「「介護職に配置されるような人材を、大企業が抱える余裕がなくなっただけの話」と皆が暗黙裡に納得したせいで、カネカのときのような「家族や子どもが可哀想だろ!!」という大合唱がまったく起きず、「エリートも無事では済まない時代だなあ。怖い怖い(笑)」程度の話で片付けられてしまった」、その通りだ。
・『差別を利用した巧妙な手口  損保ジャパンの施策は、数年前にIBMのリストラ手続きで裁判沙汰にもなった「追い出し部屋」「ロックアウト解雇」のように明らかに懲罰的な手段ではなく、あくまで「転属」に過ぎないため、いわゆる「労働者の権利/人権問題」の事案としても争点にはなりづらい。 いや、それどころか「介護」という社会的意義が大きな事業への転属であるがために、これを批判してしまうとかえって「介護職を差別している」という価値観を表明しているかのようなリスクが発生してしまうので、「労働者の人権」というリベラル的な文脈による批判も申し立てにくい状況となっている。 あくまで会社側の論理としては、「リストラ」をするかわりに「善意」の配置換えをしただけである。懲罰的な左遷ではない(懲罰と勝手に解釈しているのは世間である)。これによって、不必要な「会社都合退職」を避けられるし、多くの社員がもし踏ん張って介護の仕事を続けてくれるなら、介護業界の人手不足も解消できる――。 しかし同時に世間が前述したような職業差別的な価値観を内面化しているからこそ、介護事業への配置換えが一種の「罰」として機能するわけだし、「自己都合退職を促す裏技」の役割を果たしているのだ。 これは世間の職業差別を利用した高度なテクニックといえる。総評すれば、損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう。 私たちは損保ジャパン社員4000人の人生が翻弄されるさまを「残酷物語」として対岸の火事のように消費し、片付けてしまうのだろう。来月にもなればほとんどの人はこの物語を忘れ、次に別の場所で発生した「スキーム」に対してもまた同じように「おー怖い怖い(笑)」と反応することを繰り返す。 この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが』、「損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう。 私たちは損保ジャパン社員4000人の人生が翻弄されるさまを「残酷物語」として対岸の火事のように消費し、片付けてしまうのだろう」、「この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが」、などの指摘はシャープで、その通りだ。ただ、介護事業へ配置換えの際に、給与などを切り下げないとすれば、介護事業の採算は大幅に悪化する筈だ。どうするのだろう。
タグ:保険 国税庁 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス (その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか) 「東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実」 再保険事業の中核となる子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)を売却 米国で発生したハリケーン スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の自己資本利益率(ROE)は、それまで10%台で推移(業界推計)していたものの、2017年は一気に2%台にまで悪化 TMRが「170億円超の最終赤字」 資本流入がもたらす変調 再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっている 「銀行が高齢者に外貨建て保険販売、殺到する苦情の信じ難い中身」 「預金目的で来店したのに保険を契約させられた」「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」といった信じ難い内容の苦情が、件数の上位 残る選択肢は時に10%近い販売手数料が転がり込んでくる、外貨建て保険しかない 銀行窓口では利回りや投資リスクはさておき、高齢者をターゲットにして「預金を保険に振り替えれば節税につながる」などと相続対策を前面に出しながら、一時払いの外貨建て保険を強烈に売り込んでいる 銀行窓販における苦情の約7割が、60歳以上の顧客 「節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情」 節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案 内容は腰が砕けたかのような手緩いもの 国税庁OBへの忖度で弱腰姿勢? 御田寺 圭 「損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ これは職業差別ではないのか」 自己都合退職を促すスキーム 介護への転属は「懲罰」なのか 介護事業に対する「家族でもやろうと思えばできるが、それをあえて他人にやってもらっているだけ(いわば『家事代行』の延長であって、専門的な技術ではない)」という認識はいまだに根強い 重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立 カネカのように炎上しなかった理由 差別を利用した巧妙な手口 損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが
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決済(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) [金融]

決済については、2月15日に取上げた。今日は、(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意)である。なおタイトルから「システム」を外した。

先ずは、3月4日付けダイヤモンド・オンライン「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195679
・『乱立するQR決済市場にプレーヤーがまた一人加わった。 フリーマーケットアプリのメルカリは、モバイル決済サービス「メルペイ」の提供を始める。メルカリでの物品の販売によって得た収益をそのまま店舗での決済に利用できるようにすることで、入金や新規登録の手間を省くなど他社と差別化。1200万人に上るメルカリの巨大な顧客基盤を生かし、後発からのロケットスタートをもくろむ。 モバイル決済では、楽天の「楽天ペイ」やヤフーとソフトバンクが手掛ける「ペイペイ」、LINEの「LINEペイ」など、あまたのサービスがしのぎを削っている。経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標を打ち出すなど、国や世論の後押しもあって、各社が商機をにらんでいる。 だが、市場活況の陰で、実際にサービスを利用する現場では混乱も起きている。 「モバイルなどキャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ」と、ある外食企業の関係者は嘆く。 飲食店や小売店では、キャッシュレス決済が導入されると、会計時間の短縮やレジ締め作業の簡素化が可能になるので、大きな省力化になると期待が高まっていた。 だが、現状では生き残るサービスが定まらないので、多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている』、政府が消費増税対策として、クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元、総財源として1.5兆円、を打ち出したことが、決済を巡る競争を激化させている。
・『導入自体が目的化  決済仕様の乱立は、業界全体の普及を阻むボトルネックの一つだ。もちろん、決済サービス各社にも危機感があり、規格の統一に向けた動きが加速してはいる。 キャッシュレス推進協議会では、QRコード規格の標準化を目指し、18年度中にガイドラインの公表を計画する。また、ジェーシービーは自社開発した統一規格の「スマートコード」を提供し、メルペイとの提携を発表した。 一方で、モバイル決済の課題はより根本的なところにもある。 「国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」と、モバイルオーダー決済サービスを展開するShowcase Gigの新田剛史代表は指摘する。 モバイル決済は本来、事前注文と決済をひも付けることで生まれる接客の省人化や、顧客情報に基づいた販売促進などの活用への効果が大きい。だが、足元では各決済事業者の広告合戦といった“パワーゲーム”の様相を呈しており、本来の視点は軽視されがちだ。 キャッシュレスを真に根付かせるためには、単なる決済手段にとどまらない“その先”を見据える必要がある』、「導入自体が目的化」、「省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」というのは本末転倒だ。

次に、3月5日付けダイヤモンド・オンラインが米紙WSJ記事を転載した「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195906
・『いつもはテクノロジー先進国として中国のモデルとなっている日本だが、キャッシュレス決済は中国から学んでいる。 日本では昔ながらの現金決済が主流だ。しかし旅先でもスマートフォンでの支払いを望む中国人観光客が押し寄せ、変化が起き始めている。日本のインターネット企業は電子決済の普及を加速させようと、アリババグループのアント・フィナンシャル・サービス・グループやテンセントホールディングスなど、中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携を進めている。 このように、拡大を続ける中国の経済力はあからさまな圧力を使わず、先例を見せることで日本に影響を及ぼしている。一方で、アップルペイやアマゾンペイなど米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない。 東京で学ぶ中国人学生の林暉揚さん(24)は「中国ではなんでも電子決済できる。だから、日本に来た(ばかりの頃は)なぜ現金を使わなければならないのかと文句を言ったことがある」と話す。「今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している」 日本の年間家計支出額は3兆ドル(約335兆円)近くに上る。決済でわずかでもシェアを確保できれば大きな利益が期待できる。安倍晋三首相はカードかスマートフォンで支払う消費者に最大で購入額の5%を還元する計画を示しており、電子決済ビジネスへの新規参入が進んでいる。 決済会社や電子マネー企業は日本が中国のように現金決済から一気にスマホ決済に移行することを期待している。入手可能な最新のデータである2016年の政府の推計によると、日本では消費者による支払いのうち、クレジットカードやデビットカードによる支払はおよそ5件に1件にとどまった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、米国ではほぼ半数がカード払いだ。日本でクレジットカードの利用率が低いのは消費者がプライバシーの侵害を懸念していることに加え、企業が手数料を払いたがらないからだ。 決済で最大の課題は好循環――店がある決済手段を採用するのは消費者が利用しているからで、消費者は店がその決済手段を受け付けることを知っているから利用する――を生み出すことだ。 そこで出番となるのが中国人観光客だ。2018年には800万人を超える中国人が日本を訪問した。その多くが持つスマホには支付宝(アリペイ)やテンセントの微信支付(ウィーチャットペイ)など、銀行口座とつながった決済アプリが入っている。日本での消費額が140億ドルに上る中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている』、「中国人観光客」が「小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている」というのは皮肉なことだ。
・『日米消費者の決済手段の比較  日本のインターネット企業はヤフー・ジャパンやメッセージアプリのラインなどなじみのある国内のインターネットブランドと関連する決済アプリを導入することで国内消費者による利用を促したい考えだ。 ラインとテンセントの提携では、店側はQRコードを読み取る専用端末を導入するか読み取り用のアプリを利用すれば、ラインペイのユーザーとウィーチャットペイを利用する中国人客のどちらにも対応できる。 日本の決済アプリ「ペイペイ」とアリペイも同様に提携、店は両方のアプリを受け付けることが可能になった。ペイペイはヤフー・ジャパンとソフトバンクグループが日本の消費者向けに導入したアプリで、最近ではローソンと契約、約1万5000店舗に導入される予定だ。 アリペイとウィーチャットペイは米国で現地の決済処理会社と組んでおり、日本でも同様の手法を採用した。アリペイは2017年、ファーストデータと提携、クレジットカード処理の共通のプラットフォームを利用する米国企業は簡単に決済手段としてアリペイを追加できるようになった。ドラッグストアチェーン大手のウォルグリーンズは米国内の7000以上の店舗でアリペイを受け付ける方針を発表した。 日本の消費者のプライバシー懸念はスマホ決済にも及んでおり、キャッシュレス決済の普及までには障害が残っている。国内第3位の銀行を傘下に持つみずほフィナンシャルグループがアリペイや同じく中国の銀聯(ユニオンペイ)と決済アプリで提携する計画を発表した際には、ユーザーのプライバシーが中国政府に漏れることはないと保証することを余儀なくされた。 みずほフィナンシャルグループの山田大介専務執行役員は先月の記者会見で「情報が日本から出ていくのではないかとか、日本の情報が中国に行ってしまうのではないかとか、いろいろなところから意見があった」が、そうしたことは不可能で、心配する必要はないと述べた。 課題は他にもある。消費者にはさまざまな決済手段の中から利用する手段を選んでもらう必要があり、小売業者に対してはスタッフの研修と機器に投資するよう説得しなければならない。 安倍政権は日本が中国に後れを取っていることを認識しており、脱税対策も兼ねて、キャッシュレス決済比率を現在の2倍の40%まで増やすという目標を掲げている。 政府は消費税を8%から10%に引き上げる今年10月1日から、中小小売業者でスマホやクレジットカードなど現金以外で代金を支払った場合、購入額の最大5%を還元する方針だ。消費増税による景気後退のリスクを減らすことが目的で9カ月間実施する。実施には25億ドル超の費用がかかる。 UBSのアナリスト、居林通氏はキャッシュレス決済について、政府が補助金を出す唯一の決済であると指摘、 政府による還元が日本がキャッシュレス決済に向かうターニングポイントになると話した』、政府による「5%を還元」策は、消費増税対策に名を借りたキャッシュレス決済推進策だが、私はいささかや過ぎではないかと思う。

第三に、4月13日付けダイヤモンド・オンライン「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199724
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に  何か商品を買おうと思った時に、まずはネットで検索するのが習慣になっている人が、最近は多いのではないだろうか。 かく言う私もそうだ。先日も、ある商品を買ってみようと思い立ち、グーグルの検索窓に商品名を打ち込んだ。そして、その商品を扱っている複数のネットショップを閲覧し、価格を比較した。結局、その時は購入には至らなかった。 ところが、しばらくしてフェイスブックを眺めていたら、私のタイムラインに、その商品や関連商品に関する広告がひんぱんに表示されるようになった。 きっと多くの人が、同じような経験をしているはずだ。 私の場合、表示された広告は楽天市場が出広したものだった。確かに閲覧したサイトの中に楽天市場もあった。だが、楽天グループのサイトに広告が表示されるのは、まだわかる。だが、私が見ているのはフェイスブックのタイムラインだ。つまりこれは、少なくとも閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されていることを意味している。 私自身は、こうした広告を「便利」と感じる方だ。インターネットによる生活の利便性向上の1つだと思うからだ。しかし、個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない。 例えば、これがリアルな生活の場面にまで広がったらどうだろう。デパートなどの実店舗で、ネットで検索や閲覧をせずに購入した商品の広告が、SNSの画面にタイミングよく表示されたら、さすがの私でもうす気味悪いと感じるかもしれない。日常の行動がすべて監視されているような気がするからだ。 いま日本政府は、経済成長のエンジンの1つとして「キャッシュレス化」の方針を掲げている。実は、このキャッシュレス化が、上記の「監視されているかのような気味の悪さ」を現実にしそうなのだ。 リアル店舗で現金を使う分には、店員に話したり、会員登録などをしたりしない限り、名前や住所、連絡先、これまでの購入履歴といった個人情報が「売る側」に渡ることは、ほとんどない。しかし、キャッシュレス決済の場合、金融口座やクレジットカードに登録してある個人情報がオンラインで決済業者や店舗に流れる。 つまりキャッシュレス化が進めば進むほど、多くの人の日常的な購買行動がネットに流れ、データ化される。果たして、これを「便利」の一言で片付けてよいものだろうか。 本書『キャッシュレス覇権戦争』は、日本で進行中のキャッシュレス化の現状を整理した上で、それが私たちの生活に及ぼす影響や、新たに生じる課題について論じている。 著者は、『Suicaが世界を制覇する』(朝日新書)などの著書がある消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏。流通、情報通信、金融分野を中心に活動し、現在はNPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長も務める。特にクレジットカードについては30年にわたり取材を続けている第一人者だ』、「個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない」、私は「気味の悪さを感じる」ほうだ。
・『火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い  キャッシュレス化は中国や韓国、北欧などで先行しており、日本は後れを取っている。特に中国では、ネット通販大手アリババの「アリペイ」や、メッセンジャーアプリで成功したテンセントの「ウィーチャットペイ」などの普及が著しい。 これらはQRコードを顧客がスマホで読み取るだけで決済が可能。機器を導入する必要がないため、店舗側の導入が一気に広がった。 よって、こうした気軽なスマホ決済がキャッシュレス化の導線になるのは間違いなく、ここにきて日本でも同様の新しい決済サービスが、雨後のたけのこのように多業種から次々と登場している。 例えば、携帯事業者系ではdocomoの「d払い」やauの「au PAY」、ソフトバンクとヤフー共同出資による「PayPay(ペイペイ)」、ITサービス系では「LINE Pay」「楽天ペイ」「Amazon Pay」、コンビニ系では現時点で「ローソンスマホレジ」がスタートしている。 また、メルカリの「メルペイ」、モバイル決済ベンチャーによる「Origami Pay」など、ベンチャー企業も参入。いささか多すぎるほどのスマホ決済サービスが、ユーザー獲得にしのぎを削る。 日本能率協会総合研究所の予測によれば、国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する。この「8兆円市場」でシェアを獲得しようと、決済事業者同士の熾烈な「覇権戦争」が繰り広げられているのだ。 その競争の激しさを象徴する出来事の1つに、昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」がある。 これは、2018年12月4日にスタートしたQRコードを使った決済サービス「ペイペイ」を運営するPayPay株式会社が仕掛けた「『100億円あげちゃう』キャンペーン」をめぐる騒動である。 このキャンペーン期間中は、1人5万円を上限に、支払額の20%相当が利用者に還元されるほか、何度かに1回は全額がキャッシュバックされた。還元される総額は100億円。何とも大胆な大盤振る舞いだが、8兆円市場を考えれば、100億円など取るに足らないと、PayPayは考えたのだろう。 周知の通り、このキャンペーンには短期間に顧客が殺到。あっという間に100億円を使いきり、最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了してしまった。 今後は、他社も多様なキャンペーンでシェア獲得を狙うはずだ。プレイヤーが出そろえば、覇権戦争はさらに激しくなる』、「『100億円あげちゃう』キャンペーン」は、あれだけ大騒ぎになったので、広告効果を考えれば、安いものかも知れない。
・『自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も  岩田氏は、キャッシュレス社会が「データ監視社会」につながると指摘する。キャッシュレス決済が普及することで、「誰が・いつ・どこで・何を・いくらで・どれだけ買ったか」といった情報が、私たちの知らないうちに勝手に収集・分析される社会になるというのだ。 では、「勝手に」データを収集されない方法はあるのだろうか。 その点に関して岩田氏は、2018年5月18日にEU(欧州連合)が施行した法律「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」を紹介している。 GDPRは、EU28ヵ国にノルウェーなど3ヵ国を加えたEEA(欧州経済領域)でビジネスを展開する企業に適用される。EEA31ヵ国に所在するすべての個人データを圏外に持ち出すことが原則禁止されるのだが、重要なポイントは、各個人が自らの個人情報をコントロールする「データポータビリティ権」が保証されることだ。 実は日本でも同様の取り組みが進められているのをご存じだろうか。本書でも紹介されている「情報銀行」の構想だ。 政府主導で進行中のこの構想は、情報銀行が個人の購買履歴、家計収支、健康情報といった多様なデータを個人から預かり、一元管理するものだ。そうした情報がほしい企業には、データの所有者である個人の意向を確かめた上で、情報銀行が提供する。 さらに情報銀行にデータを預ける個人は、それをどの企業に、どういう個人情報を提供するか、細かく指定できるようになるという。つまり、「サイトの閲覧履歴を楽天には提供してもいいが、フェイスブックには渡さないでほしい」といった、個人情報提供をコントロールすることが可能になる。 このようにネットの利便性を享受しながらも、必要なプライバシーを守るためのルールづくりは、確実に進められているようだ。 だが、利便性と個人情報保護の両立は、完全なトレードオフではないものの、なかなか一筋縄にはいかない。 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる。 例えばDuck Duck Goでは、検索結果の表示順に過去の検索履歴やユーザーの指向などが勘案されない。そのため、自分にとって無駄な情報が上位に来ることがあるので、役立つ情報にたどり着くのに、余計な手間と時間がかかる。 シンプルな表示に最初はすがすがしさを感じるのだが、だんだん不便さがつのり、正直イライラしてくる。 これからのインターネットを利用したイノベーションに、個人情報の収集と流通に関する検討が欠かせなくなるのは間違いないだろう。利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 本書では、キャッシュレス化による利便性と、個人情報保護に関する課題の両面からの議論が、わかりやすく整理されている。企業と個人の双方が個人情報を上手にコントロールしながら、より便利な社会を築くために何が必要か、本書を参考に、しっかりと考えてみたい』、「情報銀行」は果たして定着するのだろうか、しばらく様子を見る必要がある。「「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる」、「利便性とプライバシーのバランス」は難しい課題のようだ。

第四に、4月29日付けZAKZAK「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/190429/eco1904290003-n1.html
・『急速に普及するキャッシュレス決済だが、思わぬ落とし穴がある。交通系ICカードやバーコード決済などにお金をチャージしたまま一定期間利用せずに放置すると、権利が失効し、残高が「0」になるケースがあるというのだ。こうした対応の中身は、別表のように、サービスを提供する会社によって大きく異なる。あなたの電子マネーは大丈夫? バーコード決済の新興勢力で、100億円の「バラマキキャンペーン」を2度にわたり実施している「PayPay(ペイペイ)」。その利用規約をみると、失効までの期間が「2年」と書かれている。ペイペイ広報室は、「現在は最後に残高の増減があった日から2年となっているが、5月中旬に5年へと延長する予定だ」と話した。 同社広報室によると、銀行口座からペイペイにいったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない。失効した残高は同社の雑収入になるという。 一般に現金を電子マネーにチャージするのは「前払式支払手段」と呼ばれ、事業者は資金決済法に基づいて約款や利用規約などを設けている。事業者によって違いはあるが、カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する。 前出のペイペイ広報室は、「前払式支払手段は商品券と似た意味合いで、商品券と同じように有効期限がある」と説明した。 スマホ決済でペイペイと競合する「LINE Pay(ラインペイ)」も失効までの期間は5年。同社広報は「サービスの建て付け上(預貯金と異なり)一生お預かりすることができかねる」と回答した。同社の場合、216円の手数料が掛かるが、換金は可能だという』、ペイペイやラインペイなどは前払式支払手段で、「カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する」、ペイペイは換金不可能というのは初めて知った。
・『いち早く定着している交通系電子マネーはどうか。JR東日本が発行する「Suica(スイカ)」は、最後の利用から失効までの期間が10年だ。同社はその理由を「お客さまの利用履歴などの情報が入っているため、10年以上たつとその情報が入った磁気をうまく読み取れなくなる恐れがある。安定的にサービスをご提供するため、期間を設けている」と回答した。 ただ、残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 JR西日本の「ICOCA(イコカ)」も、約款に10年が失効の期限とあるが、同社広報部によると、それ以降でも問題なく利用可能だという。 鉄道27事業者、バス76事業者が導入している「PASMO(パスモ)」も失効までの期間が10年だ。規約には、失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」と記載されている。 失効した残高はどうなるのか。今期のパスモ広報幹事を務める京成電鉄は、「企業会計規則に基づいて適切に処理している」との回答だった。 なぜ各社のサービスによってここまでも差が生まれてしまうのか。資金決済法には有効期限に関する記載はなく、事業者が電子マネーの価値を担保し続ける必要はないのだという。 電子マネーの失効の期限に関しては、国民生活センターにもトラブルが報告されている。記念の交通系カードを大切に保管しておいた20代男性は、いざ使おうとしたところ有効期限が過ぎており、4000円のチャージ金額が戻ってこなかった。 50代女性の場合、娘からもらった交通系カードを利用しようとしたところ、期限が過ぎており、数千円が戻ってこなかったという。 同センターはホームページで、「購入する電子マネーに有効期限があるかどうかよく確認し、有効期限がある場合はいつまで利用できるのか必ず確認しましょう」と注意喚起している。 一方で流通系の「nanaco(ナナコ)」、「WAON(ワオン)」さらには、ネット系の「楽天Edy(エディ)」では約款や利用規約に残高の失効期間を設けていない。 新規で電子マネーを購入する場合や、家でICカードが眠っている場合などは注意したい』、交通系電子マネーでは、SuicaやICOCAは、「最後の利用から失効までの期間が10年」だが、その後も「残されたお金を新しいカードへと移すことができる」。他方、失効後は、返還請求できないのも初めて知った。同じ交通系電子マネーといっても、発行体によって扱いが違うようだ。いずれにしても、「失効」には気を付ける必要がありそうだ。
タグ:suica 決済 QRコード PASMO ICOCA ZAKZAK スマホ ダイヤモンド・オンライン メルカリ 消費増税対策 ペイペイ ラインペイ 米紙WSJ (その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) 「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」 「メルペイ」 「楽天ペイ」 「ペイペイ」 「LINEペイ」 経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標 実際にサービスを利用する現場では混乱も キャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ 多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元 国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている 「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」 キャッシュレス決済は中国から学んでいる 中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携 米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない 今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している 中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている 日米消費者の決済手段の比較 「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」 キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に 閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されている 個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない 『キャッシュレス覇権戦争』 岩田昭男氏 火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い 国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する 昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」 『100億円あげちゃう』キャンペーン 還元される総額は100億円 最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了 自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も GDPR 「情報銀行」 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる 利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」 失効までの期間が「2年」 5月中旬に5年へと延長する予定だ いったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない 失効までの期間は5年 換金は可能 交通系電子マネー 最後の利用から失効までの期間が10年 残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」
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金融規制・行政(その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界) [金融]

金融規制・行政については、昨年7月2日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界)である。

先ずは、3月4日付けダイヤモンド・オンライン「メガバンク・地銀が戦々恐々、「マネロン国際審査」の試練」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195677
・『金融業界が今、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に躍起になっている。国際組織・金融活動作業部会(FATF)による対日審査を今秋に控えているからだ。11年前に受けた低評価を覆すべく、対応に追われる金融機関の現状に迫った。 2月22日、三菱UFJ銀行はマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ態勢が不十分だと米通貨監督庁から指摘を受け、改善を図ることで同庁と合意したと発表した。制裁金はないものの、「改善できなければ、一部業務停止もあり得る重い内容」(関係者)だ。 メガバンクですら、米国の厳重なマネロン対策基準の下では“不合格”。そうした現実を突き付けられた中、日本では地域銀行をはじめとした多くの金融機関が今、マネロン対策に目の色を変えて取り組んでいる。なぜなら、金融活動作業部会(FATF)という国際組織(下図参照)が今秋、日本のマネロン対策について審査に入るからだ。 FATFは毎年、各国の法整備や企業の取り組みを審査し、その結果に応じて強化策を図るよう指示している。日本は今年5月から審査の自己申告書を提出し、それを基に10月に対面審査を受ける予定だ。結果の公表は来年で、結果が著しく悪ければ海外との取引に支障を来すことになる。 実際に対面審査を受けるのは、業態ごとの数社程度だが、1社でも駄目ならば、日本全体の評価が下がってしまう。そのため、「うちが足を引っ張るわけにはいかない」(地銀関係者)と、各社が対策を進めているわけだ。 まして日本は、2008年公表の第3次相互審査において、「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験がある。にもかかわらず、同審査から数年たっても対策が遅々として進まず、FATFからくぎを刺され、慌てて犯罪収益移転防止法の改正を急ぐなど常に後手に回ってきた』、マネーロンダリングとは、違法な資金源を偽装する目的で犯罪収益を処理すること(Wikipedia)。第3次相互審査で「「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験」とは不名誉な記録だ。しかも、対策が「常に後手に回ってきた」とは金融庁の責任も重いようだ。
・『そうした現状の中で、日本はFATFの第4次相互審査を迎えることになる。チェックされるのは、マネロン対策の関連法整備など40項目と、企業ごとの対策の有効性など11項目。特に、資金の流出入が集中する銀行などの預金取扱金融機関、少額決済を担う資金移動業者、仮想通貨交換業者が重点候補になっている。 FATFはすでに21ヵ国で第4次審査を終えたが、そのうち実質的に合格となったのは英国やイタリアなど5ヵ国のみ。金融大国の米国も不合格の烙印を押されており、日本が合格する可能性は低い。金融機関の経営を監督する金融庁としては、せめて米国にやや劣る程度の評価で落ち着かせたいというのが本音だろう(下図参照)』、米国は在米の日本の金融機関には厳しいことを言ってくるのに、FATFは不合格とは、FATFはさぞかし厳しい基準で臨んでくるのだろう。
・『地銀が見過ごした海外送金  監督当局をはじめ、金融業界全体が不合格を半ば覚悟しているのは、日本のマネロン対策がかなりお寒い状況にあるからだ。 中でも、“問題児”とされているのが地銀だ。17年には、愛媛銀行で数億円規模のマネロンと疑われる海外送金を見過ごす“大失態”が起きたとされる。 事態が表面化した18年初め、地銀頭取との会合で金融庁側が「低いレベルの金融機関が一つでも存在すると、金融システム全体に影響し(中略)対策が脆弱であると批判を浴びる恐れがある」と語ったことからも、稚拙な取り組みに対する監督当局の危機感が伝わってくる。 愛媛銀は「金融庁のガイドラインに基づき(マネロン対策の)高度化を進めている」(広報)というが、問題は愛媛銀に限らず、多くの銀行がこれまで泥縄式でしか一連のマネロン対策を進めてこなかったことにある。 そうした状況で、FATF審査では疑わしい取引の監視方法を体系化することが求められている。一方で地銀はというと、「営業行員にもマネロンに関する資格試験を受けるように急かしている」(中部地方の地銀幹部)という段階で、「顧客ごとのリスクを数字化する評価書の作成と、営業部門への周知の二つ」(マネロン対策に詳しい渡邉雅之弁護士)に、いまだ苦戦しているという。 さらに第二地銀など小規模な金融機関には、収益に結び付かないという理由からシステム投資に消極的なところも多く、取引のモニタリングシステムを導入したとしても苦労が絶えないようだ。 ある地銀では、「しばらく取引がなかった口座に、突如として1万~2万円の金額が複数回振り込まれた。これはねずみ講の疑いがあると報告が上がってきたが、確認したらお年玉が入金されただけだった」(関係者)という。こうした確認作業を徒労とみるか、必須とみるかで、経営陣の意識が透けて見えそうだ』、「疑わしい取引」については報告義務があるので、「お年玉が入金されただけ」という笑い話もあり得るのだろうが、こんな少額のものは報告不要とした方がいいのかも知れない。
・『地銀だけではない。マネロン対策強化の網は、金融業界の幅広い領域に及んでいる。 今年1月半ば。20社ほどの資産運用会社の幹部が居並ぶ投資信託協会の理事会に、金融庁の佐々木清隆総合政策局長が出席、各社にマネロン対策の徹底を求めた。 そこでは、顧客から資金を直接預かる直販系の運用会社はもちろんのこと、各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請されたという。 運用会社の場合、投資対象となる株や債券などは膨大な規模で、人員が限られる社も少なくない。こうした領域にまで慌てたように対応を求めてきたことは、金融庁がFATFの動向を読み違えていたように映り、運用業界に詳しい関係者は「衝撃だった」と話す』、資産運用会社には、「各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請された」、そこまでやるのかと驚かされた。
・『仮想通貨業者も大きな焦点に  さらに第4次審査では、仮想通貨交換業者が初めて俎上に載せられる。仮想通貨の中には匿名性の高いものもあり、FATFが厳しい目を光らせるのは確実だ。 この分野の重点項目は何か。昨年12月に金融庁が仮想通貨交換業者に報告徴求命令を出し、今年2月中旬までに各業者が提出した資料によると、報告は60項目に上る。 各社が頭を抱えるのが、「銀行送金と違い、送付先の顧客属性が分かりにくい」(交換業者首脳)こと。送付先情報と突き合わせて、マネロンと疑われる取引をあぶり出すリストの導入を検討する業者もいるが、小規模な業者は「そこまで手が回らない」(同)。内部管理部門の構築においても、大手金融機関出身者といった「人材が不足」(同)しているという。 銀行と同様、交換業者はその規模によって取り組みの温度差が大きい。自主規制団体が中心となって、どこまで業界全体の底上げを果たせるかも今回試されているといえそうだ』、仮想通貨取引はマネロンと最も親和性が高いだけに、「小規模な業者」はお手上げだろう。第4次審査の結果がどうなるかは、大いに注目される。

次に、4月7日付けNEWSWEEK日本版「マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/04/post-11940_1.php
・『ダンスケ銀行やスウェドバンクといった北欧の大手銀行に相次いでマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑惑が浮上したことで、相互の信頼を前提に鷹揚な性格で築かれていたこの地域の金融モデルが破綻し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている。 非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの評価で北欧は最も腐敗・汚職の度合いが小さい地域となっているが、ダンスケ銀行とスウェドバンクに捜査の手が伸び、両行の株価は大幅に下落した。 政治家、規制当局、投資家などは、締め付け強化やより厳しい罰金制度、自主規制に任せていたシステムの見直しなどを望んでいる。 スウェーデンのボルンド金融市場・住宅相は「われわれの社会の根幹である寛容さは信頼の上に成り立っており、その信頼は著しく損なわれている」と嘆いた。その上で先週スウェドバンクがビアギッテ・ボンネセン最高経営責任者(CEO)を解任した点に触れて「一個人の首を切るだけでは不十分だ」と指摘するとともに、内部管理態勢の抜本的な改革が必要になると訴え、今後政府が何らかの措置を講じる姿勢を強くにじませた。 一連の資金洗浄疑惑の震源地となったのはバルト海に面するラトビアとエストニアだ。両国ともロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデルを構築したものの、悪いイメージを背負うことになった。 エストニア政府は、同国内の支店を通じ2007─15年に不審な資金のやり取りに関与していたことを認めたダンスケ銀に対し、事業閉鎖を命令。同行は隣国のラトビアとリトアニアからも撤退しつつある。 デンマークの学者Gert Svendsen氏は、資金洗浄疑惑で北欧文化の中核的な要素が打撃を受ける恐れがあると懸念し、「信頼に基づいて行動できれば人々はより幸せになれる。だからスウェーデンとデンマークの人々は幸福度がかなり高いのだ」と説明した』、ラトビアとエストニアが構築した「ロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデル」、そのものがマネロンの疑いが濃厚だ。「資金洗浄疑惑で北欧文化の中核的な要素が打撃を受ける恐れ」というのは、残念ながらその通りなのだろう。
・『当局の動き  デンマークでは資金洗浄疑惑を受けて現在の右派連立政権への批判が高まり、6月までに実施予定の総選挙で左派の野党勢力が政権を奪取する可能性もいくつかの世論調査で示されている。 こうした中でデンマーク政府は、資金洗浄の取り締まりに従事する部門の人員を倍増し、同部門に違反者への制裁金を科すことや立ち入れ検査を行う権限を認めるなど積極的な対応に乗り出した。ヤルロブ産業・金融相は、米国型の管理態勢にシフトすると表明した。 スウェーデンもこれに追随するかもしれない。ロベーン首相は先週、規制当局の態度が生ぬるいとの批判を受け、規制強化に向けた法制化に動く可能性があると語った。 同国の場合、昨年には金融監督庁の担当部門が複数の大手銀行の資金洗浄対策が不十分なので制裁措置を打ち出すべきだと提言したものの、首脳部が警告書を送付するだけにとどめたというケースが見られた。また金融監督庁は、中央銀行から規制が甘すぎると苦言を呈された後、銀行の住宅ローンの引当金に関するルールの厳格化も迫られた。 トランスペアレンシー・インターナショナルのルイーズ・ブラウン氏は、スウェーデンは改革を必要としており、規制の執行と企業統治の両面で改善しなければならないと主張している。 今回の資金洗浄疑惑では、当局と監督対象銀行の距離が近すぎるのではないかという問題も浮上してきた。 デンマークの前金融監督庁長官はかつて、2016年の就任前に5年間、ダンスケ銀で最高財務責任者(CFO)を務めていた。同国は現在、金融監督庁長官と副長官に過去5年間金融機関で働いていた人物を起用することを禁じている』、ルールは厳格化するとしても、「北欧文化の中核的な要素」は出来るだけ残してもらいたいものだ。

第三に、マネックス証券 執行役員チーフ・アナリストの大槻奈那氏が3月15日付けロイターに寄稿した「コラム: 地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか=大槻奈那氏」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1QV0UT
・『昨年末、銀行に動揺が走った。一部の株や債券の価格が1週間で10%近く暴落する中、いくつかの銀行で、含み損のレベルがあらかじめ決まっていた「アラームポイント」に抵触したためだ。 問題はそこからだ。通常、このポイントにひっかかると、含み損の出ている証券を注視し、さらに損失が広がった場合、「ストップロス・ルール」により損切りをしなければならない。2003年に起きた「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」と呼ばれる債券相場の急落以来、多くの銀行でこうしたルールを厳格化している。 ところが今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった。久々のボラティリティー上昇に、なかなか踏ん切りがつかなかったようだ。 この結果、大手地銀7行の12月末時点の外債等の含み損益(評価損益の「その他有価証券」で「その他」に記載される項目)は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG) 以外の全行で悪化、コンコルディアFGと山口FGの含み損(山口は単体合算)は、9月末時点からそれぞれ3倍と2.4倍に拡大した。 その後、市場は若干持ち直したものの、ピークからはまだ遠い。この3月末には損切りを迫られる銀行が続出しそうだ。みずほFGが6日発表した「外国証券の含み損処理等」による1800億円の有価証券売却損もその一環とみられる。 本来アラームポイントやストップロスのルールは、リスク拡大を避けるために設けられたもので、安易に緩和すべきではない。今回は、結果オーライだったが、今後はこのような牧歌的な管理手法は通用しにくくなるとみられている』、「一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった」、いまだにこうした銀行が存在するとは驚きだ。
・『新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか  金融庁は今月末より、地方銀行など国内のみで業務を展開する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入する。 銀行は、そもそも預かった資金を運用し、さや抜きでもうけるのが基本だ。短期預金をあまりに長期の貸し出しや有価証券で運用してしまうと、急に預金が引き出された時に手元資金が足りなくなってしまう。 このため銀行は、金利リスクテークをほどほどに抑えるよう、規制されている。かつて金利リスクといえば債券リスクに限った話だったが、08年のリーマンショック後、管理の範囲が貸し出しなど、「銀行勘定」の資産・負債全体に及ぶようになった。 この厳格なルールは昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大される。 具体的には、2つの点が大きく変更される。 第1に、リスクの測定方法が厳しくなる。これまで金融庁は、過去5年間の実際の金利変動からリスク量を計算することを容認していた。  ここ5年といえば、「毎日、金利が動かないことを確認するのが唯一の業務」などと円債関係者が揶揄(やゆ)されるような静かな市場だった。そのため、そこから計測されるリスク量は極めて限定的だった。 ところがルール改正後は、円建ての場合は金利が上下1%幅、ドル建ての場合は上下2%幅で変動した場合、どれだけの損失が出るかを算出しなければならない。この変動幅は通貨ごとに異なり、例えば、南アフリカランドであれば、4%の変動幅でリスクを計算する。 日本国債の金利が1%動くなどという仮定は、夢のまた夢のような気もするが、自己資本の十分性を保守的にチェックしようというのが、この改正の趣旨だ。 このように計算された「まさか」の時の損失が、自己資本の15─20%を上回った場合、金融庁が状況を分析した上で、金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める。さらに、改善策を履行しているかどうかを、同庁がフォローアップする。こうした改善に至るプロセスの明確化が変更の2点目だ。 現在でも、金融機関が過度な金利リスクを負った場合、当局が相応の対応を促すことは可能だ。しかし実際には、リスク量が小さく出るため、それに抵触する金融機関は、ほとんどなかった。新たなルールでは、潜在的なリスクが浮き彫りになり、高いリスクを抱える金融機関に対して、抜本的な改善策を促す仕組みが確立する』、「金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める」、当該の金融機関にとっては極めて厳しい「対話」になるのだろう。
・『なお、この規制議論の過程では、金利リスク量が規定を上回った場合、即刻是正を強制すべきとする強硬意見もあった。しかし、これは国債のボラティリティーを高めかねないとの配慮から却下され、資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた。また、現在ゼロとされている先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた』、「先進国の国債のクレジットリスクを引き上げる」ことになれば、特に欧州の銀行にとっては大変だろう。
・『地域金融機関の金利リスクは  18年3月にIRRBBが先行して導入された国際基準行の場合、金利リスク量は問題のない水準だった。メガバンクの中で最もリスク比率が高かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG) でも同年3月末時点で10.6%、それ以外の大手行も4─10%程度と、国際基準行の上限である15%を余裕でクリアした。 では、地域金融機関ではどうか。これらの銀行では、金利リスク量の上限が20%と、国際基準行よりは甘い。 だが、日銀が昨年10月に公表した金融システムレポートによれば、地銀や信金の自己資本に対する平均金利リスク比率は円貨だけで30%を超える。 実際には、コア預金などさまざまな計測方法の違いで、これよりは小さくなるとみられるものの、円貨のほかに外貨の金利リスクもある。日銀は、これが大手行、地銀ともに約5%程度と試算。中には、もっと高い金融機関もあるとみられ、IRRBB規制は大手行ほど影響がないとは一概に言い切れない』、大手行にも影響があるのであれば大変だ。
・『厳しい状況に陥る地域金融機関は  仮に、規定の上限をオーバーした場合、どの程度ポジションを圧縮しなければならなくなるのだろうか。 現在、地銀の金利リスク量は、貸出と債券投資で、2対1程度の割合になっている。単純計算では、自己資本の30%を超える金利リスクを負った地域金融機関が、同比率を20%以下に圧縮するには、全ての保有債券を売却する必要に迫られる。 地銀が保有する国内債券の総額は、2018年9月末で60兆円程度となっている。さほど大きくはないが、地元企業の私募債などがこれ以上引き受けにくくなるというだけでも、局地的に大きなインパクトを与える可能性がある。 では、どんな地域金融機関が厳しい状況に陥りやすいのだろうか。IRRBBとは異なる算出方法ではあるが、現在でもショック時の金利リスク量は年次ベースで開示されている。新庄信用金庫や高知信用金庫など一部の信用金庫で18年3月末の自己資本に対する比率が17─30%に達するなど、相対的に高い水準にある。 地銀でも、同3月末で10%前後の銀行が散見される。 これら金融機関の共通点としては、預証率が高く、有価証券利回りが高いなどの点がある。特に、地方の信金については、地元に有力な貸し出しが少ない場合などは有価証券の運用にプレッシャーがかかっている可能性が高いとみられる。 銀行が保有している有価証券の平均利回りは、かつて購入した高金利の債券が満期を迎えるにつれ、じわじわと低下している。欧米でも金融政策の正常化を停止している状況下では、日銀の緩和政策にも出口は見えないだろう。 だが、この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている。エネルギー向けのプロジェクトファイナンス、クレジットカードローン、投資用マンション融資、そして外債などがその例だ。 銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだ。その点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている。 最大の施策はやはり業界再編であろう。マイナス金利導入から4年目を迎える来年度は、いよいよ地域金融機関の再編が活発化すると予想する』、かつて金融庁から収益力の高さを称揚されていたスルガ銀行が「悪徳不動産業者」とグルになっていたのが発覚したように、「新たな収益源」には多くを期待できなかなったのは深刻だ。再編といっても、最も一般的な「持株会社傘下での統合」では、効果が限定的なので、やはり雇用調整が進み易い合併でないと効果はでないようだ。

第四に、3月25日付けダイヤモンド・オンライン「元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/197699
・『2月下旬、ある地方銀行の首脳人事に業界がざわめいた。奈良県に本店を構える南都銀行が元金融庁幹部の石田諭氏を招聘し、6月から副頭取に据えると発表したからだ。 旧第一勧業銀行出身の石田氏は経営共創基盤に在籍中、前金融庁長官の森信親氏に請われて金融庁に出向したという人物。石田氏は2013年から18年までの間、地銀に経営改革を促す地域金融企画室長など要職を歴任した。石田氏の「鋭く物申す」(金融庁幹部)姿勢が、地銀に容赦なく自己変革を迫った森前長官に評価され、「任期延長となった」(同)という。 そんな“森金融庁”の実力者が、監督対象だった地銀のナンバー2に、しかも44歳の若さで就任したため業界の耳目を集めたわけだ。 就任の経緯について、南都銀は「今年1月ごろにこちらから石田氏に打診した」(経営企画部)と明かす。ただ、伏線は数年前に敷かれていたもようだ。 石田氏は一時期、地銀の検査を統括する立場にいたが、当時の検査対象の一つが南都銀だった。そのときに南都銀の橋本隆史頭取と接点を持ったという。 18年7月に森氏が長官を退任すると、後ろ盾を失った石田氏も金融庁を去り、経営共創基盤に出戻った。そこで、以前から経営のアドバイザーを外部から積極的に登用していた橋本頭取と、自身の再就職先を模索していた石田氏との趣旨が合致し、今回の人事が実を結んだという』、石田氏は民間出身で、受け入れ側からの働きかけで再就職したようなので、いわゆる「天下り」ではないようだ。
・『懸念される現場への悪影響  古巣もこの人事には「驚いた」(前出の金融庁幹部)が、地銀改革の観点から「金融庁の上層部も期待している」(関係者)ようだ。 だが、楽観ばかりもしていられない。気掛かりなのは、南都銀側の現場のモチベーションだ。この懸念に対し、「対策は取ってはいない」(経営企画部)とし、現段階では現場から不満の声は聞こえてこないという。ただ、昨年代表取締役に就いた「有望株」(南都銀関係者)の役員が、石田氏の就任と同時に、1年で退任するという“政変”も起きてはいる。 昨今、地銀全体の業績悪化が著しく、県内唯一の地銀として強固な経営基盤を持つ南都銀でも、17年からの中期経営計画で「変革と挑戦」を掲げ、行員の意識改革に着手中だ。石田氏の登用はこの流れを象徴する出来事に映るが、数字が伴っていないのが現状だ。 本業のもうけを示す「業務純益」は、17年3月期の147億円から、18年3月期は106億円となり、今期は4~12月までの累計で52億円と振るわない。 4月以降、石田氏は経営企画や人事などの中枢機能に加え、デジタル推進という新領域を同時に所管する。革命に反発は付きものというが、今回の異例の人事を含め一連の改革が実を結ぶか否かは、“扇の要”を担う石田氏の手腕次第といえる』、「南都銀側の現場のモチベーション」は確かに微妙なようだ。ただ、石田氏も批判するだけの監督者側から、経営に責任を負う側に回るだけに、真の実力が試されることになるだろう。さてどうなるだろうか。
タグ:デンマーク スルガ銀行 ロイター 南都銀行 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 資産運用会社 金融規制・行政 大槻奈那 (その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界) 「メガバンク・地銀が戦々恐々、「マネロン国際審査」の試練」 国際組織・金融活動作業部会(FATF)による対日審査を今秋に控えている 結果の公表は来年で、結果が著しく悪ければ海外との取引に支障を来すことになる 実際に対面審査を受けるのは、業態ごとの数社程度だが、1社でも駄目ならば、日本全体の評価が下がってしまう 第3次相互審査において、「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験 資金の流出入が集中する銀行などの預金取扱金融機関、少額決済を担う資金移動業者、仮想通貨交換業者が重点候補 すでに21ヵ国で第4次審査を終えた 実質的に合格となったのは英国やイタリアなど5ヵ国のみ 米国も不合格の烙印を押されており 日本が合格する可能性は低い 金融庁としては、せめて米国にやや劣る程度の評価で落ち着かせたいというのが本音 地銀が見過ごした海外送金 愛媛銀行で数億円規模のマネロンと疑われる海外送金を見過ごす“大失態” 疑わしい取引の監視方法を体系化することが求められている システム投資に消極的なところも多く しばらく取引がなかった口座に、突如として1万~2万円の金額が複数回振り込まれた。これはねずみ講の疑いがあると報告が上がってきたが、確認したらお年玉が入金されただけだった 各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請された 仮想通貨業者も大きな焦点に マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻」 ダンスケ銀行やスウェドバンクといった北欧の大手銀行に相次いでマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑惑が浮上 相互の信頼を前提に鷹揚な性格で築かれていたこの地域の金融モデルが破綻し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている スウェーデンのボルンド金融市場・住宅相は「われわれの社会の根幹である寛容さは信頼の上に成り立っており、その信頼は著しく損なわれている」と嘆いた スウェドバンクがビアギッテ・ボンネセン最高経営責任者(CEO)を解任 ラトビアとエストニアだ 両国ともロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデルを構築したものの、悪いイメージを背負うことになった 米国型の管理態勢にシフトすると表明 スウェーデンもこれに追随するかもしれない デンマークの前金融監督庁長官はかつて、2016年の就任前に5年間、ダンスケ銀で最高財務責任者(CFO)を務めていた 「コラム: 地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか=大槻奈那氏」 今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった 新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか 国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入 昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大 リスクの測定方法が厳しくなる 金利リスク量が規定を上回った場合 資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた 先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた 地域金融機関の金利リスクは 厳しい状況に陥る地域金融機関は この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている 「元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界」 元金融庁幹部の石田諭氏を招聘し、6月から副頭取に据える 旧第一勧業銀行出身 前金融庁長官の森信親氏に請われて金融庁に出向 懸念される現場への悪影響 昨年代表取締役に就いた「有望株」(南都銀関係者)の役員が、石田氏の就任と同時に、1年で退任するという“政変”も起きてはいる
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レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) [金融]

昨日の「金融関連の詐欺的事件(その8)」に続いて、今日は、レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ)を取り上げよう。

先ずは、株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋 修氏が2月14日ダイヤモンド・オンラインに寄稿した「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194008
・『33都道府県で1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態となった、レオパレス21の施工不良問題。入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想される。なぜ、こんなずさんな工事を許す事態となってしまったのだろうか?』、日本で上場会社がこのようなことを起こすとは、全く信じられないような酷い話だ。
・『「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった  賃貸アパート大手、レオパレス21のアパートで、使用した外壁などの部材が、建築確認申請とは異なる仕様で耐火性や遮音性について基準を満たしていないなどの施工不良が見つかり、大騒ぎとなっている。 その数、33都道府県で1324棟。およそ1万4440人が退去を迫られる。入居者にはお気の毒というしかない。同社のアパートは「どこかの部屋のドアチャイムを鳴らすと入居者全員が出てくる」とか、「テレビのチャンネルを変えると、隣の部屋のテレビチャンネルが切り替わる」といった、都市伝説的な噂がまことしやかに流れていたが、今回それを証明してしまったような形となった。 コスト削減のため耐火性に劣る違法な部材を使っていた可能性があり、業界では「組織的な不正」を指摘する声も出ている。しかし、当初使う予定だったグラスウールといった素材は、実際に使われたウレタンより低コストであることが多く、この点だけでコストダウンを狙ったわけではないようだ。 レオパレスは7日の会見で「施行性を優先した」としている。つまり、工期を早めることによる「人件費削減」「金利負担の低減」、ひいては月末・年度末などの決算に合わせた「売り上げや利益の確保」が目的だったと推定できよう。 また会見で、同社は「現場がやったことだ」としているが、その主張は受け入れがたい。ここでいう現場とは、各地にある無数の下請け工務店を指すものと思われるが、彼らが全国規模で一斉に不正を行ったとは考えにくいだろう。同社はプレスリリースで、複数の図面が存在していたと認めており、建築確認申請の図面と、現場に渡される図面が異なっていた可能性が高い。 アパートオーナーの怒りも収まらない。この状況で万一火災などの被害が出た場合には、アパートの所有者であるオーナーの責任となる。レオパレスとしては入居者全員に退去を申し入れたうえで、順次建物を改修するとしているが、かなりの時間を要するだろう。工事費はもちろん、空室期間中の家賃もレオパレスが負担するとしているが、工事後に入居者が戻ってくる保証はない』、「「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説」があったというのは初めて知った。
・『損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ  なにより懸念されるのは、レオパレスの経営だ。事件公表前の株価は500円前後で推移していたが、公表後は連日のストップ安、現在は約半値の255円(2月13日現在)程度で推移している。今年度の損失予想は、従来の43~61億円から373~391億円へと大幅に上方修正された。同社の現預金は892億円(2018年12月末)だから、およそ半分を喪失することになる。また、こうした損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常である自己資本比率は35.2%あり、すぐにつぶれることはなさそうだが、黄信号が灯った、というところだろう。 問題はこの後である。レオパレスは昨年春にも、屋根裏の壁がないなどの施工不良が発覚しており、空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増した。今回の大規模な施工不良発覚を受けて今後、さらなる空き家の増加は必至だろう。入居率は85.38%(2019年1月時点)となっているが、これは要確認だ。こうした空室率の計算方法にはいろいろあり、一般的な感覚では「退去から入居まで」の期間が普通だが、「募集開始から入居者決定まで」「空室が1ヶ月未満であれば、空室とカウントしない」としていることもある。 空室率が増加すれば、アパートオーナーへの家賃保証も減額せざるを得なくなる。また、今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態となろう。 同社のサービスには「学割プラン」というものがあり、4年分360万円程度を先払いしている学生もいる。このサービスは主に大学生をターゲットとしており、例えば4年分の家賃はおよそ400万円だが、一括払いしてくれれば10%割り引いて約360万円とし、家具家電付き、水道光熱費ゼロ、ほかのレオパレス物件に引っ越しも可能というものだ。今後は、レオパレスの経営を危ぶむ契約者から、解約・返金を求める動きも出るだろう』、株価は今日で219円とますます軟調で、破綻を織り込みつつある。
・『施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある  ところで、こうした事態を防ぐにはどうすればよかったのか。「レオパレス違法建築被害者の会」は12日の会見で「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」としているが、そもそも建築確認申請と違う書類が存在すれば見抜くことは不可能。また、同シリーズのアパートには天井裏や床下に点検口がついておらず、完了検査時には全て塞がれて内部を確認できない。 建築確認や工事中検査の厳格化にはコストが付きまとい、アパート価格に転嫁されるから、やみくもな検査厳格化は消費者にとってもデメリットがある。また、同被害者の会は金融庁に対し、レオパレスが修繕費用などの負担で倒産しないよう、経済支援を要請したとしているが、これにはいかにも無理があろう。 とりあえずの再発防止策として考えられるのは以下の2つだ。 まず「点検口の設置義務付け」だ。そもそも点検口がなければ雨漏りや水漏れなども発見が遅れ、対応できない。住宅の寿命という観点からも、点検口の設置は義務付けたほうがいいだろう。 次に「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」。昔も今も現場は人手不足だ。特に現場監督は慢性的に多忙で、全ての現場をくまなく見て回るのは不可能なケースが多いのが実情だ。現場監督1人が担えるのは、せいぜい7~8現場までだろうと考えられるが、12現場、中には15現場程度抱えているケースも少なくない。満足のいく工事管理が行えるレベルを国が示したほうがいいだろう』、とりあえずの再発防止策については、その通りなのだろう。公的検査の問題については、筆者は立場上、厳格化には後ろ向きのようだが、次の記事で詳しく解説している。

次に、3月31日付けMONEY VOICE「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」を紹介しよう。
https://www.mag2.com/p/money/658971
・『施工不良が発覚して大きな問題となっているレオパレス21。そもそもの元凶は、サブリース契約という「うまい話」で投資家を騙し続けてきたことにあります。(『らぽーる・マガジン』)※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年3月26日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ』、サブリース契約について、詳しく解説してくれるようだ。
・『騙される方が悪いのか?「サブリース契約」の問題点を総まとめ 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」  当メルマガでは2018年4月2日(306号)で「かぼちゃの馬車」問題を取り上げました。そのときにも問題となったのが「サブリース」という契約です。そして昨年発覚したレオパレス21に関する問題でも、再びクローズアップされることになりました。 まずは、昨年発覚した「レオパレス21」問題を整理してみましょう。 この問題は、大きく2つの要素に分けて検証されると思われます。1つは「施工不良」、もう1つは「サブリース契約」です』、なるほど。
・『施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任  レオパレス21は、オーナーの物件を一括で借り上げて、それを転貸(いわゆるまた貸し)することを主な業としています。 今回の件で言えば、レオパレス21の収益は、+投資物件の建築 +賃貸業務および物件管理 から得る仕組みとなっています。 物件建築においては、建築コストを抑えることで収益幅は大きく得られます。建築会社に対しては、違法にコストを抑えることによる収益確保に対しては、国は常に目を光らせなければならないという部分では、国家としての責任が問われるのではとの指摘もあります。 不動産コンサルタントの長嶋修さくら事務所会長はテレビ番組で、投資用物件建築を請け負う時の価格は、通常よりも高めに設定されることが多いそうです。 レオパレス21は、オーナーから依頼の投資用物件建築では、かなり収益を得ているのではと、長嶋氏はおっしゃっておられました。 この施工不良問題は、創業者の深山祐助元社長がかかわっているのではとの指摘があり、レオパレス21という会社の組織的・構造的な問題が問われています。 施工不良を調査している外部調査委員会中間報告書では、2006年まで社長を務めた深山祐助元社長の直轄部署だった商品開発部門で、施工業務の効率化などを目的に、仕様と異なる部材を使う方向性が示されたとしました。 また、アパートを開発する段階において、物件が建築基準法といった法規適合性を満たすかどうかの判断を、専門的に行う部署がなかったとしています。当然のことながら報告書では、屋根裏の界壁が未設置だったことをアパート施工時に見抜けなかったチェック体制を問題としています。 実はレオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました。 オーナーは裁判で、屋根裏の界壁が施工されていないことを「建物の瑕疵にあたる」と主張していて、昨春にレオパレス21がこの問題を公表する以前から、経営陣は、界壁問題を認識していたのではないかとの疑いがあります。 「知らなかった…」深山英世現社長の主張ですが、経営陣が把握していたかどうかも今後問われることになりそうです。 事実として、天井の耐火性に問題のある物件で7,700人の入居者が引っ越しを迫られることになり、全国32都府県にわたり、問題のある物件があるということです。 国土交通省は他社物件でも同様の問題がないかを調査するとしています』、「2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました」というのでは、「知らなかった…」との深山英世現社長の言葉は嘘になる。
・『施工不良〜確認の不備、監理の不備  欠陥住宅に関しては、2つの不備が指摘されます。 +建築確認システムの不備 +建築監理の不備 前者がまさに、国の責任が問われることにもなります。 たしかにレオパレス21側の組織的な施工不良を行った経緯はありますが、それらの建物はすべて第三者機関による完了検査を受けて合格し、「検査済証」が交付されているはずです。 不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか。 建物の検査には「中間検査」と「完了検査」があり、中間検査に合格しなければ「完了検査」を受けることができず、当然検査済証が発行されることもありません。最低でも2度にわたる検査が行われたにもかかわらず、界壁などの不法行為が見逃される検査体制に問題はないのでしょうか。 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実だそうです。行政庁の建築関係部署を定年退職した人が何人も民間建築確認審査機関に再就職しており、大半の検査員はそれらの人が占めているという指摘もあります。 この事実と、今回のレオパレス21の施工不良の問題と関係があるのかどうかはわかりませんが、昔から、官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見はあります。 地方公共団体の建築主事のみが建築確認、検査事務を行なってきたものを、人手不足等から生まれる杜撰な検査から欠陥住宅が生まれるという指摘から、1998年に当時の橋本内閣は、「建築確認、検査事務」を民間の指定確認検査機関に門戸を開放するべきと主張し、民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築しました。 ゼネコンやハウスメーカーなどの株式会社(施工業者)が集まって指定確認検査機関を作ることもできる法案であることから、公正中立な確認検査が本当に担保されないという指摘がある中で、検査業務の民間機関への開放した後に、2005年に耐震偽装問題が発覚しました。 このときも、国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした。 耐震偽装問題の根本は、「経済設計」というもっともらしい言葉によるコスト削減で、物件価格を低く抑えることで、消費者にもメリットがあるような印象を与えていたものでした。 後者の「建築監理」とは、設計図どおりに作業が進められているかを、建築士が現場に赴いて監督するものですが、これが十分になされていれば、こんな屋根の界壁未設置などは防げたはずなのです。 建築監理者である建築士は、レオパレス21側が選んだ人なのでしょうかね』、耐震偽装問題に続いて、検査機関の手抜きが明らかになったのに、「不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか」、背後には国交省がマスコミを誘導した可能性もあるのではなかろうか。
・『閑話休題〜広瀬すず事務所の訴え  レオパレス21のコマーシャルをめぐってこんな話があります。あくまでもネットで拾った「ネタ」であることを説明しておきます。 2015年から「レオパレス21」のCMに出演してきた広瀬すずさん。彼女の“出世作”ともいえるシリーズだったのですが、事務所側が「広瀬すずのイメージ低下懸念とほかのCM出演企業への配慮」から、レオパレス21にCM契約中止を申し入れたところ、レオパレス21側は違約金を請求するという態度に出ました。 その後、国土交通省の調査を受け、レオパレス21の社長は謝罪、逆に広瀬側が謝罪と違約金を求めることになったといういきさつがあるようです。この問題のこぼれ話としてとらえてください』、CMは企業不祥事が起きた場合には、出演タレントのイメージ低下につながる恐れがあるのだから、初めから企業を厳しく選んでおく必要がある。途中から「CM契約中止を申し入れた」とは事務所側もお粗末だ。
・『サブリース契約の問題点〜歴史から考える  サブリースとは、賃貸オーナーに代わり不動産会社が賃貸住宅を借り上げ、入居者の応募や建物メンテナンスまで一括して不動産会社が請負家賃保証や空室保証などを行うところもあります。 平たく言うと「転貸」、いわゆる「また貸し」のことですね。レオパレス21という会社は、このサブリース契約による事業最大手と言えます。 千葉商科大学国際教養学部太田昌志准教授がラジオ番組で、サブリース契約の歴史について語られていました。それを要約しますと「サブリース」制度とは… もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです。 どちらかというと、大きく儲けるよりも、「使っていない土地からお金が生まれるだけで十分…」という感じでした。 ところがこの制度が日本に上陸したとたんに、「これで一発あててやろう…」という「儲け」の仕組みに変わったのだと、太田准教授はラジオ番組で語っていました。 使っていない土地の有効活用というサブリース制度を、不動産には絶対的な価値がある日本においては、「積極的な儲けの道具」となっていったようです。 そもそも土地に大きな価格がつくという日本社会では、土地を持っている者と持っていない者との間には絶対的格差が生じます。土地を持っているだけで「金持ち」となり、土地を持つ者と持たない者との格差は、バブル経済とともに大きく広がっていきました。 土地を持ちたくても高くて買えない人たちが、土地を持っているだけで「金持ち」に属している人たちに逆転勝利を狙う(この場合「勝利」は金持ちになるという意味で使っています)手段として「サブリース」手法が使われたところがあると太田准教授はおっしゃっておられました。 詳しいことは後述しますが、サブリース契約が広まった経緯を知る上で、サブリース制度が「夢のある博打」的な要素があったということです。 また「支配床(ゆか)」という概念も、サブリース制度普及にかかわっています。 自分の裁量でテナントを見つけられる面積を「支配床(ゆか)」と表現するそうです。自分たちの力でこの支配床を広げるには限界があり、仲介業者に頼めば、手数料はかかりますが、支配床を広げることができるという大手企業の思惑も、サブリース制度拡大につながったようです。 大手企業は、東京の一等地を手にすることができ、その土地があるだけで常に優位に立てますが、中堅企業には高い値段が付く土地を持つことができないので、中堅企業が大手企業に肩を並べるには、土地の再開発を進めて価値をつけるしかなく、その際にサブリース制度が用いられた経緯があります』、日本でのサブリースは発祥のアメリカとは、似て非なるものになったようだ。
・『この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあったとも言えそうです。 地主とテナント側が直接契約するよりも、サブリースでは、仲介業者への手数料がかかります。仲介会社の手間賃、いわゆるコストをそれぞれ少しずつ「損」として我慢しようというのが米国制度での考えですが、日本ではこれが少し違ってきます。 仲介業者のコストは、テナント側の賃料に転化されています。通常の賃料よりかは割高に設定されているようです。 またオーナー側は銀行融資で投資物件(アパート等)を建てますので、テナント賃料から仲介会社の取り分を除いたオーナー分は、銀行返済額よりも多くなければなりません。 賃料は、それらの思惑で決められるので割高になる傾向にあります。今回、このバランスが崩れたことにより問題が表沙汰になったと考えられます。 少し高めの賃料でも、経済環境が良ければ許容範囲であったものが、景気悪化でより安い賃料のところが求められるようになると、賃料割高のサブリース物件は空室が目立つようになり、他物件に対抗して賃料を引き下げることが求められてきます。 そうなるとオーナーは銀行への融資返済ができなくなる、いわゆる「赤字」に陥ってしまう恐れが出てきます。 この「賃料引き下げ」にいたる過程が、大きな問題となっています。これが、サブリース問題の本質ともいえる部分で、それが「契約問題」です』、賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなるのは確かに深刻な問題だ。
・『サブリース契約の問題点〜契約から考える  レオパレス21等の仲介業者とサブリースをお願いする側(一応オーナーと表現:オーナーの詳細は後述)との間の契約事項が問題になっています。 というよりも、セールス・トークと契約内容の違いが問題になっているとも言えます。 米国では、もともと「使っていない土地」にテナントをつけてもらうことでサブリース契約を結びますが、日本の場合は、仲介業者が積極的に土地を持っている人(土地持ちオーナー、いわゆる地主さん)にサブリース契約を勧める、サブリース契約を武器に投資用物件を建てさせるのが目的となっています。 「サブリース契約を武器に」と表現しましたが、武器にするには、オーナーさんにメリットがあるように見えなければなりません。 それが +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 です。 土地を持っているオーナーには、アパート経営には二の足を踏む人が多く、不動産投資の難しさや面倒さを嫌う人が多いのはよくわかります。 具体的には、地価が上がり固定資産税が上がっても家賃を引き上げられるのかという不安や、もし空室になったときはどうするのかという不安があります。 将来の修理に大きな出費がかかるのではとの心配もあります。 そこでサブリース契約では、将来の賃料値上げに対応する自動増額特約と、一定期間は空室があっても定額を払うという空室保証特約あるいは最低賃料保証特約があり、この特約でオーナーを安心させていました。 サブリース制度が日本に普及した頃はバブル経済に突入する頃で、毎年発表される地価は上昇していました。土地の価値は上がり続けるものという妄想が蔓延していましたね。 オーナーへのセールストークは「儲かる・任せる(任せられる)・保証する」だと、荻上チキ氏がラジオ番組で表現していました。実に本質を言い当てた表現ですね。 この空室保証あるいは最低賃料保証特約ですが、ずっとではなく一定期間だけとなっています。「30年間一括借入れ」という言葉にオーナーは安心するのですが、実は業者側には「中途解約権」が認められているのです。契約書にも書いてあります。 中途解約権は一定の予告期間をおいていつでも契約を解約できる権利で、企業として採算が合わなくなれば撤退できるようにしてあるのです。 契約書は字も小さいですし、契約書を隅々まで読まないでしょうからね。でも、読まないほうが悪いのですがね…』、「業者側には「中途解約権」が認められている」のであれば、「30年間一括借入れ」というのは誇大広告のような気がする。
・『サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク  セールストークが強引であることも指摘されています。裁判ではオーナー側から「聞いた話(セールストーク)と契約書が違う」と訴えているようです。 契約書に書いてある「賃料を見直す」可能性については、契約書の表現を「増減」としていて、「減ることばかりを考えていますが増えることだってある」とか「今まで減額した経験がない」と表現していたようです。 またサブリース契約自体を拒んでいるオーナーには「空室になったらどうするんですか」と詰め寄っていたとのことです。 将来の修繕費に関しても、小さく表現し、場合によっては触れないでいることもあるようです』、サブリース契約での説明責任が今後の裁判のなかで、どのように判断されるのかも注目点だ。
・『サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連  借地借家法とは、 賃貸人に比べて立場も弱く、経済的にも不利がある借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正したり補った法律です。 サブリースで問題にあるのが「32条」で、これは経済環境が大きく変動し、あるいは物件の周辺環境が変わったことで賃料を見直すことができるというもので、家主の方から賃料を増減することができることが書かれています。 この「増減」という表現を、セールストークでうまく使っていることは紹介しました。 そもそもサブリースにおける定額保証で問題となるときは経済悪化による景気後退時で、最初にサブリースが社会で問題になったのがバブル崩壊時で、その次はリーマン・ショック後です。 バブル崩壊後のサブリース契約での悪質な例として、仲介業者が勝手に賃料を減額してオーナーに減額後の取り分を支払うというケースがあります。 このときの仲介業者の言い分は +バブルが崩壊したから仕方がない +予想できない出来事が起きた +契約内容変更が妥当とされる重大な事態が起きた… でした。 しかし、これは正当化される理論ではないという判断がされています。裁判所では、経済は波であり、乱高下するのは当たり前で、バブル崩壊が予想できないということに説得力はないというものです。 これはオーナー側も反省すべきことで、10年保証とか30年保証といっても、経済環境が変われば賃料が保証されることはありえないことは想像できたはずです。 サブリース契約は、平成4年、5年に契約されているものもたくさんあります。もう既にバブルははじけている時期です。それでも家賃保証もしっかりと謳っているのです。 業者の方は、投資物件を建築して引き渡しただけで収益は十分に得られます。まさに「売り逃げ」とも取れる行為ですが、オーナー側も経済状況を考えれば、将来にわたって定額支払が約束できるのかは疑えたはずではないでしょうか。 平成15年10月21日最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています。よって自動増額特約があっても借地借家法32条1項が適用されるという結論を下しています。 家賃は下げられるということになります。 業者側は、この判例を知っていながら自動増額特約をつけている、つまり自動増額特約は単なるえさで、いつでもはずすことができると思っていたなら悪意を感じざるを得ません。 バブル崩壊後は不良債権が社会問題となっていて、仲介業者が破綻したらオーナーも困るだろうということで、賃料減額を認めています。ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります。業者は4割の賃料減額を求めていました。そうでないと、空室による賃料減とオーナーへの定額支払分では逆ザヤになってしまうのです。 中途解約権を行使する業者が増えました。サブリース契約から10年経過したものは、大きく家賃を下げる提案をして、それに応じなければ一方的に契約解消を迫っていたようです。 オーナーは、銀行への返済額を下回る賃料は認められないそうなるとサブリース契約は解消される…。 レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります』、今後、個人破産が増え、地域金融機関も大量の不良債権を抱えることになりそうだ。
・『オーナーって誰?  ここで「オーナー」という表現をしましたが、オーナーにも3通りあります。 +土地を持っているオーナー +ワンルームマンションオーナー +土地も建物もないオーナー 米国で始まったサブリースは、土地を持っているオーナー向けのものです。繰り返しますが、米国では「使っていない」土地の有効活用目的のサブリースですが、日本では土地持ちオーナーに上物(アパート等の投資用物件)を建てさせるためにあるのがサブリースです。 土地がなくてもワンルームマンションを持っていたり、あるいは新規で購入してもらうオーナーもいます。ワンルームマンションだと、購入と言ってもアパートを建てるよりも何とか手が届く金額になっているでしょう。アパートを建てるよりも身近に考えやすいのかもしれません。この一種の値ごろ感も「曲者」と言えそうですけどね。ワンルームマンションであっても立派な不動産オーナーですからね。でも、ワンルームマンションであってもサブリースのスキームは同じです。 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケースです。サラリーパーソンに多く、十分な資産がなくても不動産投資ができるというスキームにサブリースが使われています。 「かぼちゃの馬車」問題では、この不動産投資を小口に分けて、少額で投資できるようにして、資産を持たない人に不動産オーナーになれる「夢」を与えたもので、前述しましたが、弁護士の中には「夢ある博打」と表現している方もいます。 小口と言えど不動産投資です。経済環境や投資環境によりスキームが崩れることを想定しないで、資産が持てる・殖えるというところに目を奪われた人(あえて投資素人と呼びますが)が多かったのでしょう。 「あなたも不動産オーナーになれる…」サラリーパーソンの虚栄心をくすぐるのでしょうか。 サブリース問題が表に出てくるのは景気後退局面に多く、バブル崩壊後には多く見られましたが、最初のうちはサブリース契約者は土地持ちオーナーが多かったようです。 銀行融資も正常に手続が行われていました。リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました。土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります。 この間に不正手続があったのが「かぼちゃの馬車」問題です。スルガ銀行の融資書類改ざんは記憶に新しいでしょう』、「土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります」、というのはスルガ銀行のみならず、多くの地域金融機関にも広がっていたようだ。
・『悪質になってきた「サブリース問題」  「サブリース問題は性質が悪くなっている…」ある弁護士の方の言葉です。 銀行から融資を受けて投資を行う、このスキームで思い出すのは、保険会社によるバブル期の変額保険販売手法です。 バブル期では、土地と株が、持っているだけで利益を生んでいました。右肩上がりに上がる土地と株を横目に、保険会社は熟知たる思いでいたところに開発されたのが、特別勘定で保険料を株運用を行う変額保険です。 あろうことか、銀行から融資を受けさせて変額保険契約を勧める手口がとられ、銀行としても手数料がはいる、銀行・保険会社・契約者の「三方良し」の構図ができ上がったのですが、バブル崩壊で株価下落、変額保険評価額も下がり、変額保険を担保に銀行融資を受けていたので、追加の担保が求められ、結局はローンだけが残った契約者だけが損をする構図であったことは、後で気付かされました。確か法人契約だと法人税の節税にも有効というセールストークがあったのではないでしょうか。 今回のケースと全く同じです。 銀行融資でアパートを建てて、家賃保証のえさに飛びつき、経済環境変化によりその契約も解約されローンだけが残るというパターン、まったく同じですね。保険会社が不動産会社に変わっただけで、このスキームのパートナーが銀行であることは変わりません。 厳しい言い方ですが、常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです』、「三方良し」の構図は確かに変額保険契約の時と同じだ。「常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです」もその通りだ。
・『相続税対策と年金不安が殺し文句  土地を持っているオーナーに向けては、相続対策。 土地を持たないサラリーパーソンに向けては、年金不安による自助努力。 これが殺し文句となっています。でもこれは不動産業界に限らず金融業界全般に言えることで、節税対策は弁護士や税理士も好んで使っている手法と言えます。 相続対策を謳ったサイトも多く見られ、更地のままよりもアパート等の投資用物件を建てたほうが、土地の相続税評価額は大きく下がるとしています。 ただ節税対策は、その効果はその時だけで、納税額を抑えることは魅力ですが、その後の投資という要素を考えると、長期安定を第一に考えるべきです。節税目的で融資を受けることが、長期スパンで考えて得策なのかを熟考するべきです。節税効果は単年で、必ず副作用があることを忘れてはいけません。自己資本で行うならともかく、融資を受けてまで行うべきことなのでしょうか。 年金不安から、給与以外の収入確保手段として不動産投資を行うのはわかりますが、年金代わりとなれば、やはり長期安定を求めたいところです。 世の中に長期安定が確約されている投資手法なんて存在しません。投資だからこそ、収益を得たら撤退しやすい方法を選ぶべきで、そのためには、換金性が良い手法が求められます。 不動産投資には換金性、つまり現金化に難点があります。 投資は「生もの」で、経済環境で投資環境は変化するものです。繰り返しますが、長期安定の投資手法は、絶対に存在しません。イギリス貴族が用いる手法には長期安定手法があるとは聞きますが、私たちは手にすることができるのでしょうかね。 目先の利益(節税等)にとらわれず、リスクもしっかりと把握して、リターンとリスクを冷静に天秤にかけることが大事です。目先のメリットばかりを大きく捉えないようにしたいものです』、これだけ、個人の不動産投資の問題が頻発していても、いまだにTVのCMで老後に備えた不動産投資を流しているのを観ると、「懲りない」人間が多いのに驚かされる。
・『立地は大事〜駅近物件しかダメ  そもそも全ての土地の投資物件が、収益物件になることはありません。やはり立地が重要で、一般的に相続税対策を必要とする人の土地は、駅から遠いところにあることが多いです。 「不動産はどれ1つとして同じ価値のものはない…」法政大学大学院真壁昭夫教授はこう指摘しています。立地条件が全部違うので、価値が同じ不動産は存在しないとのことです。 前述の不動産コンサルタントの長嶋修氏は「駅徒歩2分がベスト、5分以内でないと投資物件としては厳しい」と断言されていました。 長嶋氏によれば、駅から1分離れるごとに120万円価値が下落するとのことです。相続税対策をする土地は駅から遠いことが多く、バス利用の土地もあり、そこに投資用物件を建てても長期安定収入が得られる可能性は決して高くないようです。 長嶋氏曰く、投資の観点から考えるなら、駅から遠い土地を売って駅近の物件を買うほうが良いと解説されています。 「サブリース案件でもうまく言っているケースもある…」それはそうでしょう。立地の良い物件だってあるでしょう。また立地条件が悪くてもオーナーの努力次第で収益を安定化させている物件もあります。人任せで何もしないオーナーの物件では、安定収益を得られるはずがないとも言えます。 国交省が毎年発表する公示地価が上がっているのは、外国人観光客によるもので、商業地区が上がっていると言われています。これらの発表数字をもとに不動産投資の将来を計ってはいけません。 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません』、その通りだ。
・『サブリース事業を規制する法律がない  賃貸住宅管理者登録制度というのがあります。 賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図ることを目的としたもので、登録事業者を公表することにより、消費者は管理業者や物件選択の判断材料として活用することが可能となります。 ただ登録は任意であり、ずっとレオパレス21は登録していませんでした(現在は登録)。国土交通省としても登録は任意なので、全ての業者の状況を把握できているわけではないとコメントしています。 宅地建物取引業法により、不動産取引に関しては厳しい規制を設け指導もされていますが、サブリース事業に関しては、特別な規制はなく、監督指導する法制度はありません。 いまだに国交省による仲介業者へは、監督指導が届かない状況にあると弁護士は指摘しています。 消費者を保護する制度の重要性は言われています。消費者庁もできました。大家と店子の関係は、持つ者と持たざる者との間の力関係がはっきりとしているので、持たざる者である店子が守られる、いわゆる弱者救済措置が取られます。 では、土地を持っているオーナーは消費者なのでしょうか。 これがサブリースにおけるオーナー保護をややこしくしています。オーナーは、土地の所有者ではありますからね。 でもある弁護士は、仲介業者は資金力から情報知識にいたるまで明らかに長けていて、オーナーとのビジネス関係であっても、力の差は歴然だと主張しています。 2度とこのような問題が起こらないように、国としても法整備を急ぐことを望みたいですね…。 うまい話なんかない。そんなにすんなりと信じないで… 性善説はもうやめよう…。1つの土地には、それぞれ立場の違う人の思惑が幾重にも交差しています。土地の活用目的が、かかわる人の立場で全然違ってきます。その土地から得る利益の取り方も違います。土地を、お金を生む道具と見るのか、親からの引継ぎ物と見るのかでも違います。 「人任せ…」これは、投資する以前の話ですね。「難しいから、ややこしいから、面倒だから…」このような考えで投資を行えば、財産をなくしても仕方がありません。 「説明を受けたが良くわからなかった…」「契約書をきちんと読んでいない…」これらは、自己防衛意識の欠落以外のなにものでもありません。 「うまい話なんてない」「そんなにすんなり信じちゃいけない」前述の真壁教授は力説されています。儲かる・任せる(任せられる)・保証する…そんなうまい話はありません。 投資リテラシーという言葉が登場して久しいですが、私たち消費者や投資家が、もっと賢くならなければならないという指摘はずっとこの情報誌でも訴えてきました。 とにかく、都合の良い解釈をしてはいけません。情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう。(続きはご購読ください。初月無料です)』、正論ではあるが、人間には、心理学的には、「悪いことは自分の身にふりかからない」と信じる傾向が備わっているという、「楽観バイアス」があるようなので、実際にはなかなか難しいようだ。

第三に、3月30日付け日刊ゲンダイ「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/250780
・『耐火性に関する施工不良で1895棟(1月末時点)の賃貸住宅が建築基準法違反に認定され、1324棟が基準法違反の疑いがあることも発覚しているサブリース大手「レオパレス21」(深山英世社長)は弁護士ら有識者を集めた第三者調査委員会(委員長=伊藤鉄男・元最高検察庁次長検事)を設置し、3月18日に中間報告書を提出した。 しかしこの委員会、そして中間報告書にはさまざまな懸念があると、レオパレス問題を追ってきたジャーナリストの村上力氏は疑問を呈する。 「そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました。それでレオパレス問題の原因の一つである国の建築行政の不備や怠慢をきちんと指摘できるのか疑問です。それに国交省から言われたことだけをやるお役所仕事になってしまうと、その後もぽろぽろと違法建築が明らかになった場合、不祥事に収拾がつかなくなります」(以下、コメントは村上氏) 委員会の中間報告書についても問題があるという。第三者委員会の設置当初のお知らせでは、〈「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(日本弁護士連合会)に準拠して、当社から完全に独立した中立・公正な専門家のみで構成される外部調査委員会を設置する〉としていた。 「しかし中間報告では<当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会のガイドラインにできる限り準拠>となっています(下線は編集部)。「できる限り」などと相当弱腰になってしまいましたが、あとで報告書の内容にケチが付いても、言い逃れできるように含みをもたせたのではないでしょうか」』、「国交省の外部有識者会議の日程に合わせて作られました」というのは、国交省から暗黙の指示があった可能性がある。同省にとって不都合な検査の問題にも触れないよう示唆されたのかも知れない。
・『ハイブリッドの不正調査をするかも不明  さらには国交省が設置した外部有識者会議にも問題があるという。 「国交省は違法建築が見つかった賃貸住宅のシリーズは、建築確認制度の中間検査が導入される99年より前に建てられたことを一時期、指摘していましたが、最近になって、99年以後に建てられたシリーズでも違法建築が見つかっています。そういうことがまだまだ起きているのに、調査委員会による真相究明がされる前から、再発防止のための有識者の人選だけが決まるというのは、普通に考えておかしくないですか」 レオパレスオーナーたちによる被害者の会は3月11日に、一級建築士による調査報告書を国土交通省とレオパレス21に提出している。 「しかし中間報告ではこれらの資料について分析していなかった。資料の中には、ハイブリッドなど賃貸住宅の新しいシリーズが含まれています。第三者委員会ガイドラインでは、類似案件についても調査スコープに入れなければならないと記されており、ハイブリッドの不正は『類似案件』として調査しなければならないはずですが、それをするかどうかも不明ですね」 また報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図も見られるという。 「中間報告では、創業者の深山祐助氏による指示が指摘され、メディアも違法建築の責任の帰趨をそこに求めるような論調になっていますが、現経営陣による隠蔽についての指摘はありません。現経営陣が隠蔽をしていたのはほぼ間違いない話です。とすれば彼らには、公募増資の問題や善管注意義務、宅建業法における重要事項の不告知などの法令違反となる疑いも生じることになり、委員会はその点を精査しなければいけないはずです」 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない』、第三者委員会がこのように「便利な方便」として使われるのを阻止するのは、マスコミだが、これにも残念ながら多くを期待することは無理なようだ。やれやれ・・・。
タグ:日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 第三者調査委員会 楽観バイアス MONEY VOICE 長嶋 修 レオパレス問題 (その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) 「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」 1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態 レオパレス21の施工不良問題 入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想 「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった 「組織的な不正」を指摘する声も 損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ 現預金は892億円 およそ半分を喪失 損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常 黄信号が灯った 空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増 今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態 施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある 「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」 「点検口の設置義務付け」 「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」 「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」 施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任 レオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました 「知らなかった…」深山英世現社長の主張 施工不良〜確認の不備、監理の不備 「中間検査」と「完了検査」 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実 官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見 民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築 2005年に耐震偽装問題が発覚 国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした 広瀬すず事務所の訴え サブリース契約の問題点〜歴史から考える もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあった 賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなる 「契約問題」 サブリース契約の問題点〜契約から考える +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 実は業者側には「中途解約権」が認められている 「30年間一括借入れ」 サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連 最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています 家賃は下げられるということになります ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります オーナーにも3通り 土地を持っているオーナー ワンルームマンションオーナー 土地も建物もないオーナー 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケース 「夢ある博打」 リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました 土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります 「かぼちゃの馬車」問題 スルガ銀行の融資書類改ざん 悪質になってきた「サブリース問題」 相続税対策と年金不安が殺し文句 立地は大事〜駅近物件しかダメ 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません サブリース事業を規制する法律がない 情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう 「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」 そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました ハイブリッドの不正調査をするかも不明 報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない
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金融関連の詐欺的事件(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、2月8日に取上げた。今日は、(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主)である。

先ずは、スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタントの沖有人氏が2月28日つけダイヤモンド・オンラインに寄稿した「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195419
・『スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか  不動産市況の変わり目は、今考えるとスルガ銀行の書類改ざん事件だった。事件の後、地銀を中心に個人に対する不動産融資の潮目は拡大から縮小に向かった。金融庁からの締め付けが、今やすべての金融機関に及ぼうとしているからだ。今回の不動産市況反転の主役は金融庁なので、不動産に投資する人はこれを踏まえて対策を考える必要がある。 金融庁がやりたいのは地銀再編である。都市銀行はおおよそ30行が4つのフィナンシャルグループに再編されたのに対して、地銀・第二地銀は100、信金・信組は400もある。金融を取り巻く環境は大手以上に中堅以下で厳しい。今回のスルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる。 不動産は、ローンを組まなければ買えない人が大半だ。だからこそ、不動産投資をする人に対する融資を止めれば、不動産を次に購入する人が買える価格が下がるため、相場が下がることになる。過去に行なわれた最も有名なこの「操作」は、日銀が行ったもので「総量規制」と呼ばれ、1980年代のバブルを終焉させるために実施された。総量規制とは、不動産への融資資金の総量を決めてしまう方法だ』、「総量規制」をしたのは、正しくは日銀ではなく、大蔵省(財務省)。
・『それ以外にも、不動産への資金を止める方法はある。金利を上げることだ。金利を上げると、期待利回りと借入金利との差(これはイールドギャップと呼ばれる)が一定量必要な投資家にとっては、期待利回りを高くして、つまり物件価格が安くなる状況でしか買えなくなる。これを行うのは主に日銀になるが、当面金利が上がる理由はないので、起こることはほぼないだろう。 今回の主役は金融庁だけに、金利などを動かすことはできない。いわゆる口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる。 ローン比率とは、物件価格に対するローンの割合を指す。9割なら、頭金を1割用意することになる。これまで9割だったものが8割、7割、6割となっていくと、用意できる頭金が足りない買い手は買えなくなる。たとえば、頭金で1000万円の用意がある人は、ローン比率9割なら9000万円のローンを借りて1億円の物件を購入できる。このローン比率が8割になると、同じ頭金では買える価格は半減し、5000万円になる。7割で3333万円、6割で2500万円という具合に、融資の厳格化は不動産投資にとって「効果覿面」なのだ。 こうして買値が下がっていき、買い手が少なくなることで不動産相場は下落に転じる。これは「銀行あるある」だが、ある日突然融資姿勢が厳しくなることがある。当初「8割融資する」と言っておきながら、口約束が反故にされて「6割になりました」と切り出されるのはよくあることだ。 こうした事情により、今回、投資用不動産への融資は急速に縮小を始めている。当面は資産性がないもの、サラリーマン投資家が手を出しやすい新築・中古のワンルーム投資から規制が厳しくなる。2月より3月、3月より4月と厳しくなっていくはずだ。 そうなると、不動産を保有して売っている事業者はそれらを売れずに価格が下落し、銀行からの返済条件が厳しくなっていき、最終的に倒産に至るケースも出てくるだろう。規模の大きな不動産事業者でも、銀行に貸し剥がしをされたらひとたまりもない。不動産業界では黒字でもキャッシュショートして倒産することが多いし、連鎖的に銀行が再編されることも考えられなくもない。2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい』、スルガ銀行事件をみるまでもなく、投資用不動産は明らかにバブルだったので、調整は必至だ。
・『過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う  しかし、不安ばかりを募らせる必要はない。同じ不動産でも、投資向けと自宅向けは違うのだ。住宅ローンは不動産価格を見ているというよりも、購入者の年収から返済可能かどうかを見ている。それだけ安全債権なのであり、住宅ローンを貸し出す銀行の債権は保証会社によって裏で保証されるなど、リスクフリーになっていたりする。 その点、自宅の住宅ローンは消費者として保護されていると言ってもいい。貸し剥がしにあって自宅を追い出されるようなことはない。自分で売却して住み替えるにしても、住宅ローンの完済が必要なので、頭金以上に値下がりすると売却すらできない。このため、自宅マンションの資産価値は落ちにくい。 実際、リーマンショック後でも新築物件の価格は2割、中古が1割しか下がらなかったのが実情である。100年に一度の金融危機でもこの程度だったので、今回の投資用不動産の下落局面でも、分譲マンション価格の下落はたかが知れていると思われる。 今指摘されていることは、住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケースだ。住宅ローンが自宅でない融資に利用されている場合、金融庁は看過しないだろう。こうした手法は規制が厳格化されて、できなくなる可能性がある。そもそも自宅として住むからこそ、低金利になっているのだから』、「住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース」は銀行もそれを承知の上だったのだろう。「自宅マンションの資産価値は落ちにくい」というのは、投資用不動産に比べればということで、下がる時は下がるとみるべきだ。やはり、「不動産コンサルタント」としての筆者の営業トークと考えるべきだろう。
・『投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か?  では、どうすればいいか。まず、投資用ワンルームを持っている人は損切りになるとしても3月までに売り切ろう。それ以上遅いと手遅れになるかもしれず、ローン完済までキャッシュアウトが続いて苦しむことになる。通常、投資用ワンルームを持っている人は自宅の住宅ローンも厳しいことが多い。ここで売却できれば、自宅も買えるようになるので一挙両得になる。 1棟まるごとのアパート・マンションを持っている人は、再度将来のシミュレーションをしておこう。今後の返済リスクがどの程度あるか、キャッシュフローはどのように変化するかがポイントになる。それらが安定的に推移していくよう、自分ができることは何かを考えよう。物件を組み替えるには時間がないので、持ち続けられるか、切り離すならどれか、それはいくらならいいか、といったことを判断することになる。 自宅を持っている人は慌てないことだ。不動産でも投資と自宅は全くマーケットが異なる。対岸の火事に慌てて売り急ぐ人が増えると、相場自体の軟調に拍車をかけることになりかねない』、これについては、概ね妥当なアドバイスだと思う。

次に、3月18日付け東洋経済オンライン「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/271322
・『「アパート用地をお売りできます。ご興味ありませんか。これまで土地を買ってくれていた会社がアパート建設から撤退して、残っているのです」 西日本のアパート建設業者に数カ月前、不動産業者から電話が入った。電話を受けた担当者は難色を示した。「経営環境が厳しいのはウチも同じ。アパートの購入希望者を見つけても銀行からの融資を受けられず、販売できない。昨年からですね、ここまで風向きが変わったのは」。 3月18日発売の『週刊東洋経済』は「不動産バブル崩壊前夜」を特集。2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年だった。上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻。土地の販売業者などと結託し、無茶な利回り想定など不適切な手法で個人投資家に物件を販売していた。下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚。預金残高を水増しし、銀行から不正に融資を引き出していた』、「投資用不動産業界にとって悪夢」は、銀行の姿勢慎重化で、これからさらに酷くなる可能性がある。
・『アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ  これらの事件を経て「不動産業者に対する金融機関の姿勢は急に厳しくなった」(前出のアパート建設業者)。都内の信用金庫幹部は言う。「昨年後半から、今まで付き合いのなかった不動産業者が物件を持ち込んでくることが増えた。地方銀行が一斉に手を引いたため、うちにすがりついてきたようだ」。銀行・信金によるアパートローン(個人による貸家業向け貸し出し)の新規融資額は16年をピークに右肩下がりになっている。 投資家への融資が実行されなければ、物件が在庫として残り、資金を回収できないため、不動産業者は必死だ。冒頭のアパート建設業者は、「融資が受けられるように物件価格を値下げした。その差額はこちらがかぶった」とこぼす。物件価格を下げれば融資の必要額を減らすことができるし、利回り(=賃料収入÷物件価格)もアップして、金融機関から融資を引き出しやすくなる。 だが、いたちごっこ。金融機関も融資のハードルを一段と引き上げている。前出の信金幹部は、「案件がたくさん持ち込まれるようになってから、融資条件を引き上げた」と明かす。従来アパートローンは、物件価格の1割の頭金があれば融資していたが、2割に引き上げたのだ。 「簡単に融資を承認すると、『あそこなら融資が受けられるぞ!』という話が業界内で広まり、どんどん案件が持ち込まれてしまう。不動産業界向け融資の比率を高めるとリスク管理上問題があるので、いい案件に絞って融資するようにしている」(信金幹部)。東海地方が地盤の地銀も、融資に当たってのストレステスト(健全性審査)の条件を厳しくした。 「そこまでするのか」。不動産投資家の依田泰典氏は、横浜銀行の担当者の話に思わず声を上げた。同行は昨年10月から自己資金確認書類の提出を厳格化した。TATERUの不祥事発覚から1カ月後のことだ。 横浜銀行によると、不動産融資の際、これまでは預金通帳のコピーでよかったが、原本の提出も義務づけた。ネットバンキングなら複数人で画面を確認し、確認時の日付を記録することをマニュアルとして定めたという』、横浜銀行の対応は、これまでのズサンさを是正しただけなのに、不動産投資家は不満のようだ。
・『融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス  ほかの地銀でも手続きの厳格化が進む。業者や投資家から「融資を受けやすい」と評されるオリックス銀行でさえ、昨年後半から「表明保証」という新たな手続きを取っている。顧客の提出書類について、原本の写しと相違ないと顧客が署名捺印のうえ表明し保証する文書の提出を義務化したのだ。 手続きの厳格化だけではない。「りそな銀行が一部の投資家にローンの返済を求めているようだ」。今年に入り、不動産投資家の間でこんな噂が駆け巡った。 一部の投資家とは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれる手法を用いている投資家のこと。購入したい物件ごとに法人を設立し、各法人が融資を受ける。投資家個人の信用情報には借り入れが記載されないため、より多くの融資を引き出せ、資産規模を一気に増やす方法として広まった。 法人を複数設立して融資を引き出すこと自体は違法ではない。問題なのは、複数の法人を設立して融資を受けているにもかかわらず、金融機関にはポートフォリオ全体の状況を伝えていない場合だ。金融機関が確認できるのは融資を求める法人が保有する資産のみ。収益性に難のある物件をほかの法人が保有していても見破るのは難しい。「確定申告書や投資家へのヒアリングなどで保有資産を調べはするが、すべてを把握することはできない」(首都圏の地銀幹部)。 当のりそな銀行の幹部は、「1法人1物件スキームを用いている投資家に対して、昨秋から『資産の全体を見せてください』と厳格に言うようにした」と認める。全体を見せてもらったうえで、信用が悪化している人に対しては今までよりも高い金利や融資の返済を求めたりすることがあるという。 同スキームについてはりそな銀行以外の金融機関も調査を始めている。信金幹部は言う。「合同会社からの申し込みにはとくに気をつけている」。同スキームの法人は合同会社として設立されることも多い。株式会社より設立時や設立後の費用が安く済むからだ。この信金が調べた中では、1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた』、「1法人1物件スキーム」とは初耳だが、そこまで融資姿勢を積極化していたことに、改めて驚かされた。
・『金融機関が融資姿勢を厳格化している背景には、金融庁の動きもある。「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」──。昨年10月下旬、金融庁は全国の金融機関にアンケートを送付した。1棟建てのアパートやマンションなどの融資実行額、件数、債務者数、貸し出し利回りなどを事細かに記載させる。 とくに全42問中33問を割いて聞いたのが、「1棟建てアパート・マンション・シェアハウスなどの土地・建物双方を購入するための融資」に関するもの。金融庁が問題視していることが伝わってくる。「立地や賃料水準から見て不動産価格が妥当かどうか検証しているか」「空室・賃料減のリスクを債務者に説明しているか」などと質問し、「融資姿勢に問題がある金融機関を巧妙にあぶり出そうとしている」(金融機関関係者)。 金融庁はアンケートの回答に加え、投資用不動産向け融資について議論が行われた取締役会や経営会議の議事録の提出も求めた。全国各行から回収したアンケート結果を基に、「個別ヒアリングを検討中」(金融庁)だ』、金融庁は従来から問題に気付いていた筈だが、これだけ問題が拡大した以上、厳しい対応をせざるを得ないようだ。
・『「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い  金融機関の融資姿勢は厳格化しているが、足元で不動産投資に対する意欲は衰えていない。1月、東京ビッグサイトで開催された「資産運用EXPO」。アパートやマンションなど投資用不動産のブースには説明を受ける個人投資家が連なり、セミナーも満席が相次いでいた。不動産仲介大手の野村不動産アーバンネットが同じく1月に会員に対して実施したアンケートでも、4割近い投資家が「不動産は買い時だ」と答えている。 恐怖シナリオとしてチラつくのが、1990年に大蔵省(当時)が金融機関に発した「総量規制」のようなことが再び起きるのか、ということ。地価上昇が続く中で、不動産向け融資の伸び率を全体の伸び率以下に抑制するよう通達した結果、融資が急縮小、不動産や株の価格が下落し、平成バブルの崩壊につながった。 しかし、今の金融庁はアンケートやヒアリングを通じて金融機関に注意を喚起してはいるものの、融資量についての制限までは指示していない。「量の規制は民間部門への過剰介入になりかねず、金融庁が踏み込むことはないだろう」(金融機関関係者)というのが大方の見方だ。 アパートローンなど不動産への新規融資はすでに減速している。また、物件価格高騰に伴うリスク増大で金融機関は、不動産向け融資に一層慎重になる可能性がある。金融庁による規制強化がなくても総量規制時に近い金融収縮や、そこからのバブル崩壊が起きかねない状況にある』、「投資意欲はまだ強い」ようだが、前回の不動産バブル崩壊時も当初は余熱が残っていたことを考えると、萎縮に転じるのも時間の問題だろう。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が3月19日付け現代ビジネスに寄稿した「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63382
・『スキームも背後関係も似ている  被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件され注目される中、いま別の大型投資詐欺事件に、警視庁が頭を痛めているという。 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件のことだ。 同社は2013年2月、傘下に株式会社Shunkaという会社を設立し、「中高年の富裕層女性の社交サークル」と銘打った「春華乃会」(その後「Hana倶楽部」に改称)を主催。 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである。 ロゼッタは5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた。しかし、その大半は消失。同年6月に開かれた債権者集会では、破産管財人の弁護士が「換価可能な資産は現金18万円あまり」と報告。それ以外は見つかっていないと述べた。 この事件について、警視庁捜査関係者が語る。 「テキシアと類似の詐欺事件と言える。しかも、詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複している。その点からしても、悪質さは同様だ」 詳しく話を聞いてみると、テキシアが行っていたダイヤモンドや仮想通貨を名目とした投資に参画していた人物が、ロゼッタの投資商品にも深く関与していたことがわかった。外形といい、事件の背後で蠢く面々といい、テキシア事件と酷似しているわけである。 だがロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある。同関係者はこう打ち明ける。 「(詐欺事件を担当する)警視庁二課は鋭意、捜査を進めている。だが、実はそこに安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている。官邸を配慮する上層部がいるため、事件化しにくい」 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場していたことは、昨年週刊誌で報じられ一時話題になった。 実際に見てみると、「今、世界で輝き続けるブリリアントレディ スペシャルインタビュー~再び、ファーストレディになって想うこと~」と題して、「私は総理大臣の一番近くにいる存在。皆さんの声を直接届けられる、国民の代表だと思っています」「過去には後悔することもたくさんあるし、未来を考えれば不安もある。だから過去や未来にとらわれず、今を幸せに生きるのが一番ではないでしょうか」などと語っていた。 まるでロゼッタの広告塔だ。事実、この記事を見て出資を決めた会員もいたという。 もっとも、この雑誌には、鳩山由紀夫元首相の妻・幸夫人やファッションデザイナーの桂由美氏らも登場している。その意味では、昭恵夫人もそうしたセレブリティの一人に過ぎないが、「やはり、現役の首相夫人である昭恵さんはわけが違う」と同関係者は言う』、こんな悪質な投資詐欺事件に昭恵夫人が登場するとは、「脇の甘さ」は人並み外れているようだ。野党は何をしているのだろう。
・『動きが取れない…?  一方、官邸筋もこう語る。 「安倍首相や官邸を気遣う向きは、捜査権を持つゆえに政権からの独立性が確保されているはずの警察においても、いまは非常に強い。警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている」 いわゆる「忖度」は、幹部人事が内閣人事局に掌握され、政権の意向が色濃く反映される官僚だけでなく、いまや警察にも蔓延しているようだ。この人物は以下のような具体例を列挙した。 +元TBS記者事件: 2016年6月、安倍首相をはじめ菅義偉官房長官らとも親交のあったTBSの元記者が、フリーの女性ジャーナリストに薬物を飲ませた上、レイプしたとして準強姦の容疑で逮捕状を請求された。その執行直前に、かつて菅官房長官の秘書官を務めた警察庁の中村格官房長(当時は警視庁刑事部長)が執行停止命令を下したと週刊新潮が報じ、「政権への忖度ではないか」と物議を醸した。同誌の報道では、元記者が北村滋内閣情報官に相談のメールを入れていたことも報じられている。
+マイナス金利:安倍政権の看板政策であるマイナス金利に関連して、2016年2月に開かれた国家公安員会の席上、「こうした(マイナス金利の)状況になると、利殖名目の詐欺などが起こりかねない」「いまでさえ振り込め詐欺のような金融犯罪が多発し、多くの国民被害が出ている以上、こういった観点からの警戒も必要では」などとの指摘がなされ、犯罪防止のために警察庁として広報することになったが、その直後、「アベノミクスのイメージを棄損しかねない」という理由から中止になった。
+前川事件:「加計学園問題」で安倍首相に不利な発言をした前川喜平元文部科学省次官についての情報を内閣官房が収集して、官邸に報告。2017年5月、菅官房長官はそれをもとに、前川氏が売春などの温床となっていると言われる東京・新宿の『出会い系バー』と呼ばれる飲食店に出入りしていたと記者会見で批判。また、この情報は会見以前に読売新聞にもリークされたとされる。
+東京新聞問題:記者会見で菅官房長官と熾烈な争いを繰り広げている東京新聞の女性記者についての情報収集を2017年6月以降、内閣官房が行い、それを官邸に報告している。
+田畑議員事件:2019年2月、自民党の田畑毅議員が、泥酔して意識を失った女性に対して性行為に及んだとして準強制性交等罪の容疑で告訴されたが、その直後、警察庁の中村格官房長が官邸を訪れ、状況報告などを行ったとされる。
 ことほど左様、警察から政権への“忖度”は蔓延しているというのだ。 「こうなると、現場は上から頭を押さえつけられているようなもの。動きが取れないだろう」 官邸筋は、ロゼッタの捜査についてもそう語った』、マイナス金利の広報自粛は初耳だが、ここまで警察が“忖度”しているとは、警察の「政権からの独立性」は画に描いた餅で、法治国家の名を汚すものだ。
・『また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」  他方、警視庁の別の捜査関係者は、「捜査を困難にしている要因は、ほかにもある」と明かすのだった。 「実は、ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた。内偵の過程で判明し、現在は本庁から所轄署に出されているが、それで問題が解消されたわけではない。いまだ捜査情報が耳に入ることもあり、それが相手方に漏れる危険性がある。 それに加えて、立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定だ。捜査が進捗しないのは、そうした不都合があるからだ」 また汚職である。元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似している。いったい何度、同じようなことを繰り返すのか。 「被害額300億円、被害者数1万人といえば、1万3000人から460億円をだまし取ったテキシアに匹敵する規模だ。テキシアを摘発しながら、こちらはやらないと言うのは具合が悪いのだが……」(同捜査関係者) 警察と犯罪者の癒着や、政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない。自浄の道は残されているのか――』、「忖度」だけでなく、警察自体が犯罪者との癒着という不都合を抱えているとは、いい加減にしてもらいたいものだ。

第四に、3月27日付け日経ビジネスオンライン「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/032700192/
・『アパートの施工・管理を手がけるTATERUが3月26日に開いた株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだという。昨年8月にアパート建設希望者に対する融資資料を社員が改ざんしていたことが発覚。これ以降、業績は悪化、足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷しているのだから無理もない。 同社は不正発覚を受け、昨年9月に弁護士などで構成する第三者委員会を設置。同12月にまとめた調査結果報告書によると、預金残高を水増ししたり、他人の預金通帳の写しを顧客のものとして金融機関に提出したりするなどして、融資に通りやすくしていた。こうした改ざんは350件にのぼり、社員31人が関与していた。 不正の横行が明らかになった状況で開かれた今回の株主総会。出席した株主によると、「常勤の監査等委員の設置を求める」との声が出たという。同社で監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満があるようだ。 そもそもTATERUは「監査等委員会設置会社」と呼ばれる会社形態だ。2015年の会社法改正で導入されたもので、3人以上で構成する「監査等委員会」が経営をチェックする仕組み。委員の過半を社外取締役にすることが求められており、TATERUでは3人の委員がいずれも社外取締役と、独立性の高い体制を整えていた。それでも、不正は見逃されたことになる。 企業統治の強化が求められる中、取締役会で投票権を持たない監査役を置く「監査役会設置会社」から、監査等委員会設置会社に移行する上場企業は増えている。日本取締役協会の調べでは、2018年8月時点で東証1部上場企業のうち513社が移行、全体の4分の1を占めている。 会社の意思決定に外部の見方を取り入れ、ガバナンスの透明性を確保する役割が期待される社外取締役。今秋の臨時国会に提出される見込みの会社法改正案では、上場会社や非上場の大会社を対象に社外取締役の設置を義務付ける方向だ。 だが、カタチを整えても、中身が伴わなければ、不正は防げない。TATERUの株主が提起したように、常勤の取締役がいれば、チェック機能が働くかは分からないが、社外取締役ありきのガバナンス論に一石を投じたのは確かだろう』、「常勤の取締役」がいても、監査等委員だけでなく、営業推進などの責任を担っていれば、独立性は期待できない。むしろ、監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待できるだろう。 
タグ:東洋経済オンライン 横浜銀行 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス マイナス金利 沖有人 金融関連の詐欺的事件 時任 兼作 (その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) 「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」 スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか 金融庁がやりたいのは地銀再編 スルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる 「総量規制」 口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる 2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい 過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う 住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース 投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か? 「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」 2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年 上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻 下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚 アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ 自己資金確認書類の提出を厳格化 融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス 「1法人1物件スキーム」 1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた 金融庁の動きも 「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」 個別ヒアリングを検討中 「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い 「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」 スキームも背後関係も似ている 被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件 「中高年の富裕層女性の社交サークル」 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである 5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた 詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複 悪質さは同様だ ロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある 安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場 まるでロゼッタの広告塔だ 動きが取れない…? 政権からの独立性が確保されているはずの警察 警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている 「忖度」 いまや警察にも蔓延 元TBS記者事件 前川事件 東京新聞問題 田畑議員事件 また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」 ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた 立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定 元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似 政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない 「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」 株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだ 足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷 「常勤の監査等委員の設置を求める」との声 監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満 監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待
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決済システム(その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由) [金融]

決済システムについては、昨年10月2日に取上げた。今日は、(その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由)である。

先ずは、1月27日付けHatena Blogが日経ビジネスオンライン「キャッシュレス比率、実は6割超 “通説”に反するデータとは」の有料記事をもとに掲載した「[日経ビジネス]キャッシュレス比率5割超!?…統計って難しいね」の一部を紹介しよう。
https://abcdefgh.hateblo.jp/entry/2019/01/27/234021
・『キャッシュレス比率、実は5割超 “通説”に反するデータとは  本日は日経ビジネスのこの記事に関する話です。一般的に日本は現金文化であり、キャッシュレスの進みは遅いと言われています。 日本では決済額に占める比率は約2割にとどまるとされ、韓国(89%)や米国(45%)に後れを取ると指摘されてきた。…(中略)… ところが、前提となる2割という数字に異を唱えるような調査に改めて注目が集まっている。金融庁が2018年秋に公表していた独自調査だ。それによると、日本のキャッシュレス比率は既に5割超あるという。 経済産業省が算出した「約2割」と金融庁が算出した「5割超」、何故こんなにも大きな乖離があるのか? それは調査手法の違いが原因のようです。 すごーく、ざっくり言うと、 (A)クレジットカード/デビットカード(14.9%) (B)公共料金や家賃・ローンの口座振替(17.1%) (C)ネットバンキングなどによる他口座への振り込み(22.3%) のうち、 ■経済産業省:(A)のみ ■金融庁:(A)+(B)+(C) ということのようです』、統計不正が問題になっているが、これは統計の利用目的の違いで不正ではない。経産省は、消費税増税対策にかこつけてキャッシュレス決済を推進したいために、日本が「遅れている」との印象を与える数字を使ったのだろう。
・『統計って難しいですね  うーん、言いたいことが多いので順番に…。
①他口座への振り込みをキャッシュレスに入れるべき?(まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか?? 振り込み先の口座で現金を引き出しているケースも結構あると思うんですけどね…』、これは誤り。振り込み先の口座での決済は別途カウントされるので、切り離して考えるべき。
・『②公共料金や家賃、ローンの口座振替もキャッシュレスに入れるべき?(まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか?? 言いたいことは①と全く同じです(笑) この統計結果を使って「何を語るのか」にも依るとは思いますが、違和感はぬぐえないです』、これも同様に。誤った見方で、私には金融庁の見解の方が正しいように思える。
・『③そもそも金額ベースでキャッシュレス比率を算出する?(①②の根底にある疑問として、そもそもキャッシュレス比率って「金額ベース」で算出するべきものなのでしょうか? 上記で記載している通り、このキャッシュレス比率の算出目的に依るのでしょうが、仮に「キャッシュレスの浸透率」を出したいのであれば、金額ではなく、支払回数(頻度)で算出するべきだと思います。 例えば、コンビニで100人の買い物客がいて、50人が電子マネーで合計9万円分の買い物を、残りの50人が現金で合計1万円分の買い物をした場合、キャッシュレス比率は何が適切でしょうか? きっと金額ベースで90%と出すよりも、支払回数ベースで50%と出すほうが実態に近い気がします(特に「(B)公共料金や家賃・ローンの口座振替」をキャッシュレスに含む場合は)』、利用目的によるが、支払回数ベースでは国際比較は難しいのではないか。
・『④同じ「定義」で比較しているのか?(まぁ、いずれにしても同じ「定義」で比較しているのであれば、意味のある数字だと思います。言い換えると、「(A)のみ」ではなく、「(A)+(B)+(C)」で算出するのであれば、日本だけでなく、他国も同じ定義で計算しないと何とも言えないなぁと』、金融庁のデータを見た訳ではないが、恐らく比較に耐える同じ定義で計算していると思われる。
・『統計以外で言いたいこと:口座振替は日本特有!(ちなみに「口座振替」って日本特有みたいですね。 18年春に全国銀行協会の平野信行会長(当時、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は、「日本はキャッシュレス化が著しく遅れているといわれるが、銀行システムの面では進んでいる」と反論している。 銀行側の言い分はこうだ。米国をはじめ他の主要国では口座振替機能が充実しておらず、公共料金や家賃の支払いもクレジットカードや小切手を使うことが多い。日本の銀行が利便性向上を怠ってきたわけではない……。 外国って口座振替の機能ってないんですね…。 少し調べてみたところ、Wikipediaにこんな記載がありました。 一方、小切手の利用が浸透している欧米では、文化的に銀行の自らの口座から勝手に引き落とされることに抵抗があるとされ、公共料金等の支払いは自宅に郵送される請求書の金額を確認したうえで個人小切手を郵送して支払うことが多い 口座自動振替 - Wikipedia うーん、クレジットカードも似たようなものだと思いますが、そうなんですね。 絶対便利だと思うのですが…。 日本はガラパコスと言われることが多いですが、実際には「進んでいる」という意味でのガラパコスが多いと思うんですよね。 上手く海外にサービス展開して、日本のサービス/機能をデファクトスタンダードにして欲しいですね』、英国では口座自動振替が徐々に広がっているらしいが、中心は小切手。仮に「口座振替は日本特有」だとしても、これを含めて国際比較するのは当然である。決済は、各国それぞれの事情があるので、「日本のサービス/機能をデファクトスタンダードにして欲しい」というのは、気持としては分かるが、無理だろう。それにしても、経産省の統計の使い方は、余りに我田引水だが、官邸を巻き込んでいるだけに、多くのマスコミは疑問をはさまずに報道している。消費増税対策については、改めて後日、取上げるつもりである。

次に、1月22日付け日経ビジネスオンライン「PayPay狂騒曲、ひそかに笑った「あの銀行」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/012200021/
・『ソフトバンクとヤフーが運営するスマートフォンの決済サービス「PayPay」が総額100億円の還元キャンペーンを打ち出したのは2018年12月初め。決済に対応したビックカメラには長蛇の列ができ、還元の原資はわずか10日間ほどでなくなった。この狂騒曲の裏側には、陰の勝者が存在する。 正体はヤフーが出資する金融機関、ジャパンネット銀行(東京・新宿)。法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした。その多くは、PayPay決済を店頭で導入した加盟店の店主たちというのがミソだ。 なぜか。クレジットカードをはじめキャッシュレス決済の場合、当然ながら「消費者が店頭で買い物をするタイミング」と「店側が決済サービスの提供会社から売上金を受け取るタイミング」に時間差が生じる。クレジットカードだと一般的に月2回に分けて入金される。QRコード(2次元バーコード)決済の有力サービスである「LINE Pay」でも、その月の売り上げは翌月末に戻ってくるといった具合だ。 こうした仕組みを熟知していたジャパンネット銀行が対応に動いた。PayPay決済に「最短で翌日入金」という方式を取り入れたのだ。もちろんその場で受け取れる現金ほど早くはないが、店側にとっては従来型に比べれば資金繰りは大幅に楽になる。そもそも零細商店のなかには、入金の時間差を嫌がって現金決済にこだわってきた所も多かった。こうした現状や気持ちを冷静に分析し、速やかに処方箋を出したことが勝因と言える。 2000年開業のジャパンネット銀は、日本のインターネット専業銀行の先駆けである。だが預金残高で見れば後発の住信SBIネット銀行やソニー銀行などに追い越されて久しく、独自の成長プランを描けるかどうかが問われている。今回の需要掘り起こしに限らず、新たな顧客層へのアプローチを続けられるかが問われそうだ』、ジャパンネット銀行の対応は、見事だが、「法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした」のは、「総額100億円の還元キャンペーン」の効果もあったのではなかろうか。

第三に、金融アナリストでマネックス証券 執行役員の大槻 奈那氏が2月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/263411
・『東京のコンビニのレジにはいまや40種類ものキャッシュレス決済手段が並ぶ。さらに、1月22日、メルカリが子会社「メルペイ」に売上金を移管すると発表し、キャッシュレス決済の布石ではないか、と話題になっている。これ以外にも、今年中に5種類以上がスタートする予定だ。とりわけ利用者が増加しているのがモバイル決済。市場調査のICT総研は、2021年度末には2018年度末の2倍以上の1953万人がモバイル決済を利用するようになると予想している。 モバイル決済の伸びは足元でさらに加速している模様だ。火をつけたのが、昨年12月のソフトバンクとヤフーのペイペイによる「100億円あげちゃうキャンペーン」だった。仮に1口座当たりの利用額が1~2万円とすると、この間に200〜400万のアカウントが開設された計算である。新生銀行や住信SBIなどのリテール口座数が300万程度。ペイペイはわずか10日でこれらに匹敵する顧客を集めたことになる。 モバイル決済自体は特に新しいわけではない。すでに2016年にOrigami PayがQRコードによるモバイル決済をスタートしている。一部の店舗で2%の直接割引がその場で受けられることなどが売りだった。 しかし当初のモバイル決済の普及は緩やかだった。日本では現金の信頼性や利便性が高すぎる。それを犠牲にしキャッシュレス決済に向かわせるには、限られた場所で受けられる2%の特典では不十分だったようだ。ところが、同じく利用場所が限られたペイペイは、20%という桁違いの還元キャンペーンで一気に顧客を引き寄せた』、「100億円」、「20%という桁違いの還元」キャンペーンは確かにインパクトが大きかったのだろう。
・『ここまできた還元合戦  ペイペイを運営するソフトバンクは、2000年代初頭のモデム無料配布でトップシェアに躍り出た成功体験を持つ。しかし、今回はペイペイの独走は許されなかった。ペイペイがシステムトラブルでミソをつけてしまったのち、LINEPayも12月後半に20%還元キャンペーンに追随したからだ。 20%という大胆なキャンペーンが終わった今でも、たとえば、LINEpayは、今年7月まで3.5~5%という高い還元率に設定している。楽天Payなどは、それだけでは還元率は高くないが、高還元バーチャルカードのKyash(還元率2%)と組み合わせて使えば、3%以上の還元率もありうる。今年も新たに5種類以上のモバイル決済が開始される。利用者が大盤振る舞いに慣れてしまった今、新規参入組も、恐らく還元合戦に参画せざるを得ないだろう。 (リンク先には「戦国時代、乱立する日本のモバイル決済」の表) 決済サービスには「ネットワーク外部性」が働く。つまり、利用者数が多いほど、価値が高まる。個人決済はまさにネットワーク外部性が重要になる。 晴れてデファクトスタンダードとなれば、個人の詳細な行動データが獲得できる。小口決済データは個人の日々の生活をかなり詳細に映し出す。中国のアリペイは、個人の信用力スコアを金融商品から婚活サイトまでの幅広いサービスに活用している。先日、ウィーチャットペイを運営するテンセントも同様のスコアリングを開始すると報じられた。 日本でも、行動データが独占的に取得できれば、これまでの消費者金融とは別次元の精緻な信用力分析が可能になる。そうなれば、たとえば年率10%前後のローンを極めて低い貸倒率で実行できるかもしれない。 しかし、デファクト獲得の道は険しくなっている。従来のクレジットカードや電子マネーの場合、選択する際の尺度として、使える加盟店の数や保有することのステータスなどがあった。しかし、モバイル決済の場合、見せびらかしはできない。アプリを設定しても持ち運びの負担は増えないため、とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいいため、加盟店の数もそこまでの差別化にはならない。 このため、決済アプリは、ポイントなどの特典が最大の焦点になりつつある』、決済アプリは、「とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいい」というのでは、競争激化は必至で、体力勝負にならざるを得ないだろう。
・『参入せざるを得ない銀行  そんな中、メガバンクも動きだした。昨年11月、銀行連合が統一QRコードによるスマホ決済の開発を発表した。それとは別に、みずほフィナンシャルグループは地銀に対し、自社開発の電子マネー・Jコインへの参加を呼びかけている。 現在メガ各行は、内国為替、つまり、ATMや送金手数料等で、年間千億円以上の収益を上げている。決済アプリを手がければ、こうした自行の既存サービスとカニバリゼーション(注)を起こしかねない(注:共食い)。それでも他社に取られて行くよりはマシだ。さらに、一部の報道にあったように、将来的には電子マネーでの給与の支払いまで認められるかもしれない。これが実現すれば、日本の小口決済は、世界にも例をみない"銀行はずし"のシステムとなる。ここで出遅れるわけにはいかない。 しかし問題は、後発組の銀行連合の決済システムを使ってもらえるかどうかである。自分の給与口座から直接資金を移動できるので便利にみえるし、加盟店手数料を安価に設定するとも伝えられているが、それだけでは個人を引きつけるお得感はない。 このような決済サービスの乱立は続くのだろうか。問題は、決済アプリの極めて低いスイッチングコストだ。カード情報や銀行口座番号をアプリに入力するだけで済むため、お得なサービスが出れば、すぐに乗り換えられてしまう。だとすると、最初のキャンペーンだけではなく、つねに他社を上回るお得感を感じさせ続ける必要がある。この消耗戦に生き残れる運営会社はどれだけあるだろうか。 生き残りの条件は、顧客にメリットを与え続けることに加え、利用場所に近いこともカギとなるだろう。Eコマースを運営するアリババがこのパターンだ。日本でいえば、楽天ペイなどが一例だ。 あるいは、実質的なスイッチング・コストを引き上げることも一案だ。たとえば、ロイヤリティ・プログラムやポイントの運用などで、長く使うとメリットが増えるようにする。利用によってレベルが上がるLINE Payの「マイカラー」がやや近いが、これは利用額に応じたもので、必ずしも長期利用を促すものではない』、「実質的なスイッチング・コストを引き上げる」というのは確かによさそうなアイデアだ。
・『淘汰の波が訪れたらどうなるのか  淘汰の波が訪れた場合、最も気になるのが情報セキュリティ面だ。それまでに蓄積されたデータが狙われた時に、収益が上がらぬ中でコストをかけて守り切れるかどうかが懸念される。また、個人利用者、特に高齢者の場合、今のガラケー同様に、いったん使えるようになったサービスがなくなったら、新しいサービスについていけず、決済という重要な生活手段を失いかねない。 安易な集客は、最終的に顧客をリスクにさらしかねない。決済という重要な社会インフラに混乱をきたすことがないよう長期目線の戦略で臨んでほしい』、さすが金融アナリストだけあって、説得力がある。その通りだろう。
タグ:ジャパンネット銀行 経産省 東洋経済オンライン 決済システム 日経ビジネスオンライン アリペイ 大槻 奈那 楽天Pay (その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由) Hatena Blog 「[日経ビジネス]キャッシュレス比率5割超!?…統計って難しいね」 キャッシュレス比率、実は5割超 “通説”に反するデータとは 日本では決済額に占める比率は約2割にとどまるとされ、韓国(89%)や米国(45%)に後れを取ると指摘 金融庁が2018年秋に公表していた独自調査 日本のキャッシュレス比率は既に5割超ある 消費税増税対策にかこつけてキャッシュレス決済を推進 他口座への振り込み 公共料金や家賃、ローンの口座振替もキャッシュレスに入れるべき? そもそも金額ベースでキャッシュレス比率を算出する? 同じ「定義」で比較しているのか? 統計以外で言いたいこと:口座振替は日本特有! 「PayPay狂騒曲、ひそかに笑った「あの銀行」」 総額100億円の還元キャンペーン 陰の勝者 法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした 「最短で翌日入金」という方式を取り入れた 「還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由」 コンビニのレジにはいまや40種類ものキャッシュレス決済手段が並ぶ ICT総研 2021年度末には2018年度末の2倍以上の1953万人がモバイル決済を利用するようになると予想 利用者が増加しているのがモバイル決済 Origami PayがQRコードによるモバイル決済をスタート 当初のモバイル決済の普及は緩やか ペイペイは、20%という桁違いの還元キャンペーンで一気に顧客を引き寄せた ここまできた還元合戦 LINEPayも12月後半に20%還元キャンペーン 20%という大胆なキャンペーンが終わった今でも、たとえば、LINEpayは、今年7月まで3.5~5%という高い還元率に設定 高還元バーチャルカードのKyash(還元率2%)と組み合わせて使えば、3%以上の還元率もありうる ネットワーク外部性 利用者数が多いほど、価値が高まる 小口決済データは個人の日々の生活をかなり詳細に映し出す 個人の信用力スコアを金融商品から婚活サイトまでの幅広いサービスに活用 デファクト獲得の道は険しくなっている アプリを設定しても持ち運びの負担は増えないため、とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいいため、加盟店の数もそこまでの差別化にはならない 参入せざるを得ない銀行 自行の既存サービスとカニバリゼーション(注)を起こしかねない 問題は、決済アプリの極めて低いスイッチングコストだ 実質的なスイッチング・コストを引き上げることも一案 淘汰の波が訪れたらどうなるのか 最も気になるのが情報セキュリティ面だ 収益が上がらぬ中でコストをかけて守り切れるかどうかが懸念 個人利用者、特に高齢者の場合、今のガラケー同様に、いったん使えるようになったサービスがなくなったら、新しいサービスについていけず、決済という重要な生活手段を失いかねない 決済という重要な社会インフラに混乱をきたすことがないよう長期目線の戦略で臨んでほしい
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