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保険(その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか) [金融]

保険については、昨年3月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか)である。

先ずは、昨年11月13日付けダイヤモンド・オンライン「東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185170
・『東京海上ホールディングスが、再保険事業の中核となる子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)を売却することを決めた。 TMRといえば、毎年100億円規模の純利益を安定的に計上してきた“孝行息子”で、18年前の設立時には現会長の隅修三氏が携わるなど、東京海上にとっては特に思い入れが深い会社だ。 にもかかわらず、一体なぜ本体から切り離すという決断に至ったのか。きっかけの一つが、昨夏に米国で発生したハリケーンだ。 3度にわたって米国を襲来し、十数年に一度という甚大な規模の被害を及ぼしたことで、損害保険各社からリスクの一部を引き受けていた再保険会社は収益が急速に悪化。スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の自己資本利益率(ROE)は、それまで10%台で推移(業界推計)していたものの、2017年は一気に2%台にまで悪化してしまったのだ。 TMRも保険金の支払いが膨らんだことで、17年は170億円超の最終赤字に沈んでいる。 ただ数年に一度のサイクルで、大規模な自然災害によって利益が大きく悪化するのは、各社にとっては分かり切ったことだ。 むしろ再保険会社にとっては、大規模な自然災害を受けて、以降の契約更改で再保険の料率をいかに引き上げ、その後の高収益につなげられるかが最大の焦点だった』、「スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の」ROEが悪化したとはいえ「2%台」なのに、TMRが「170億円超の最終赤字」とは、TMRの経営の問題もあるのではなかろうか。
・『資本流入がもたらす変調  「2割程度は保険料率が上がるのではないか」 昨秋にはそうした期待の声が再保険各社から多く上がっていたものの、今年に入って待ち受けていたのは、更改しても料率が微増にとどまり、一部から悲鳴が上がるという厳しい現実だった。 背景にあるのは、世界的な金融緩和でだぶついたマネーの流入だ。機関投資家が災害時の保険金支払いリスクを引き受ける「大災害債券」を中心に、年金基金などの投資マネーが集中。再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっているのだ。 年金基金などの第三者資本は、再保険市場に占める割合が足元で15%程度と5年前の2倍近い水準になっており、もはや一過性ではなく、構造的に保険料率の引き上げがしにくい状態といえる。 資本流入の潮目が変わる兆しも見えないという状況で、再保険事業にこれ以上経営資源を投入し続けるべきではない──。東京海上が今夏、そう判断を下して売却に踏み出したことで、グループの海外事業に占める再保険の割合は3%程度にまで縮小するという。 TMRの売却劇は、MSアムリンやSOMPOインターナショナルといった海外子会社を抱え、再保険の同割合が3割前後と大きい国内大手の戦略にも、今後じわりと影響を及ぼすことになりそうだ』、「世界的な金融緩和でだぶついたマネーの流入」で、「再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっている」、金融緩和の影響がこんな市場にまで及んでいることに驚かされた。東京海上の撤退も当然なのだろう。

次に、2月13日付けダイヤモンド・オンライン「銀行が高齢者に外貨建て保険販売、殺到する苦情の信じ難い中身」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/193643
・『「一部の話とはいえ、思っていた以上にひどい内容で衝撃を受けた」 生命保険会社の幹部らが今、もっぱらそう話し、頭を抱えている調査結果がある。銀行などの金融機関代理店における顧客からの苦情について調べ分析したものだ。 中でも目を覆いたくなるのが、米ドルや豪ドルなど外貨建ての保険販売への苦情だ。2017年度の苦情受付件数は2000件超で、過去5年間で3.3倍にも膨らんでいるという。 苦情の内容で最も多いのが、「説明不十分」。「元本割れするとは聞いていない」「為替リスクについて十分な説明を受けていない」といった類いのものだ。ここまではほぼ想定通りだったが、驚くべきはここからだ。 調査結果を子細に見ていくと、メガバンクや地域銀行において「預金目的で来店したのに保険を契約させられた」「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」といった信じ難い内容の苦情が、件数の上位に挙がっているのだ』、「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」、契約したら保険契約書が渡される筈なので、にわかには信じ難い苦情だ。
・『0.1%の重み  銀行の窓口販売における苦情発生率は、1000件に1件。それを踏まえると、ごく一部の顧客がさまざまな同意書面にサインしたにもかかわらず、銀行に難癖をつけているだけのように見えてしまうが、そうではない。「契約した覚えがない」などと顧客に言わせてしまうほどに、実は銀行窓販がずさんであり、ゆがんでいるのだ。 ゆがんだ実態は、銀行が置かれた状況を考えればすぐに合点がいく。そもそも銀行は、融資によって利ざやを稼ぎにくいという構造不況に目下陥っている。そのためここ数年は、投資信託の販売といった損失リスクゼロの手数料稼ぎに熱を上げてきたが、その投信は株式市場の変調で売り上げが鈍化してしまっているのだ。 となると、残る選択肢は時に10%近い販売手数料が転がり込んでくる、外貨建て保険しかない。 販売手数料などの費用を差し引いた、外貨建て保険の実質的な利回りは1~2%台前半が多く、投信と比べると投資商品として明らかに見劣りするが、そんなことは銀行として百も承知だ。 むしろ、銀行窓口では利回りや投資リスクはさておき、高齢者をターゲットにして「預金を保険に振り替えれば節税につながる」などと相続対策を前面に出しながら、一時払いの外貨建て保険を強烈に売り込んでいるわけだ。 銀行窓販における苦情の約7割が、60歳以上の顧客ということからも、その様子がうかがい知れる。 高齢者への保険販売時に親族が同席することを内規で定めながら、実施率が全体の約3割にとどまるというデータもあり、銀行がトラブルを生みやすい環境を自らつくり出しているという側面もある。 高齢になるほど苦情発生率が高い傾向にあるため、今後銀行への風当たりはさらに強くなりそうだ』、銀行などへの顧客への説明義務は繰り返し強化されてきたが、それでも高齢者に投資リスクをろくに説明もせず、リスクの高い保険商品を売り込んでいるとは、困ったことだ。今後、訴訟などが頻発する懸念もあろう。

第三に、4月11日付けダイヤモンド・オンライン「節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199529
・『「正直なところ、拍子抜けしましたね」。4月10日夜、生命保険会社42社が集まった拡大税制研究会が終わると、参加した幹部たちは口々にそう話しながら会場を後にしていった。この日の会合には、国税庁の幹部が出席。注目を集めていた節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだった。 今から2カ月前、同じ会合の席で国税庁は、新種の節税保険が登場しては通達で厳しく規制してきた経緯を踏まえて、「業界とのいたちごっこを解消したい」「個別通達を廃止し、単一的な(資産計上)ルールを創設する」と言明。また新たなルールは、既契約にも影響が及ぶことをちらつかせ脅しをかけるなど、今にも鉄槌を下ろそうかという勢いだった。 その様子を見て、生保や販売代理店は震え上がり大騒ぎになったわけだが、10日の会合では意見募集(パブコメ)にかける前の段階で早々と、「既契約への遡及はしない」という方針を国税庁は示している。 さらに、新たな損金算入ルールにおいても、提示した案ではピーク時の返戻率が50%超から70%以下なら6割、返戻率70%超から85%以下なら4割を認めるとしており、「意外にも損金算入の割合が大きくてホッとした」との声があちこちで漏れたほどだった』、「節税保険を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだった」、情けない限りだ。
・『国税庁OBへの忖度で弱腰姿勢?  「OBたちを見殺しにできないということじゃないですかね」。国税庁の腰砕けの規制案について、大手生保の幹部はそう解説する。 そもそも節税保険は中小企業の経営者をターゲットにしており、保険会社の代理店として経営者に販売している主役は税理士たちだ。国税庁OBの多くが税理士として活躍する現状で、食い扶持を奪い、果ては受け取った販売手数料を戻入(れいにゅう)させるような税務処理の見直しには、なかなか踏み込みにくいというわけだ。 加えて、足元では統一地方選があり、今夏には参院選、10月には消費増税を控える中で、中小企業や税理士団体を敵に回すような施策には、政治家が黙っていないはずという見方もあった。 そうした要因が国税庁の判断にどこまで影響したかはまだ不明だが、規制当局としていかにも弱腰の姿勢をとり、生保業界と裏で握り合っているかのような印象を与えたことだけは確かだ。 11日以降、新たな税務処理ルールは意見募集にかけられ、早ければ6月に適用となる見通しだ。生保各社も順次、節税保険の販売を再開する傍ら、またぞろ新ルールの抜け穴を探すいたちごっこが始まることになる』、「国税庁OBの多くが税理士として活躍」、「今夏には参院選、10月には消費増税」などの事情を国税庁は初めから承知していた筈なのに、振り上げた拳を下した背景がよく分からない。とりあえず出しただけで、実現は来年以降と割り切っているのだろうか。

第四に、会社員ながら広範な社会問題についての言論活動を行う御田寺 圭氏が6月29日付け現代ビジネスに寄稿した「損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ これは職業差別ではないのか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65562
・『自己都合退職を促すスキーム  この国では、よほど重大な就業規則の違反行為がないかぎりにおいては、企業が正社員をやすやすと解雇するようなことはできない。 ご存知のとおり、これはいわゆる「解雇規制」が根拠になっている。経営者にとってみれば経済活動のフットワークを阻害する足かせのようにも思えるかもしれないし、従業員の側からすれば自分たちの身を守る盾であると見えるかもしれない。これ自体の評価は多面的なものといえる。 しかし一方で、多くの支社や営業所、グループ会社を抱える大企業には独自の「裏技」がある。その顕著な事例が、今回「損保ジャパン日本興亜の4000人削減計画」によって大きな話題となった「系列会社への転属」である。 この事例は「会社側としては、容易に正社員の首を切れない。ならば、自分から辞めてもらうようにそれとなく促す」というやり方の典型例と見ることができる。 〈損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、従業員数を17年度比で4000人程度減らす方針であることが24日、分かった。全体の約15%に相当する。ÎTを活用し、業務の効率化を進める。余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換し、新卒採用も抑える。希望退職者の募集は予定していない〉(時事ドットコムニュース、6月24日「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」より引用) 損保ジャパンといえばだれもが知る大手保険会社であり、そこに正社員で入社した社員は、全国のサラリーマンの水準からすればまさしくエリートであるだろう。 今回の施策には、そのような「選ばれし者」であるはずの彼らに「余剰人員」という評価を下し、本人らがおそらくは希望していないであろう異業種の会社に転属させることで、自己都合で退職を促す意図があると考えられる。 もし辞めずに転属先の会社にしがみついてくれるのであれば、それはそれで介護分野における人手不足解消に寄与する――まさに会社側はまるで損をすることなく、事実上の自主退職を迫ることができるという寸法だ。 この社会においては、正社員の「解雇」に対して強い規制が敷かれている一方で、「自己都合退職を促す行為」に対しては、必ずしもそうではない。結果的に「社員を会社から追い出す」という同じ目的を遂行する行為であるとしてもだ。 こうした「自己都合退職を促すスキーム」は、今回のように大規模なものは少ないにしても、方法論としては、それほど珍しいものではなくなっている。むしろ今後のIT化の波(と、特定分野における人手不足の高まり)によって、こうしたスキームはより活発になり、より頻繁かつ公然と行われることになるだろう。 ――という話だけで終わってしまうと、ただの時事寸評になってしまう。ここは、もう少し捻った切り口から、この出来事の深層を考察してみよう』、「損保ジャパン」は、ワタミの介護やメッセージなどを傘下に収め、今や介護・ヘルスケア事業では、売上高で業界2位、シニアリビングの居室数では業界1位と確固たる地位である。
・『介護への転属は「懲罰」なのか  まず、今回の一件に対する世論の反応としてとくに気になったのが、世間の人びとが、介護事業のことをある種の「懲罰」とか「苦役」とほとんど同一視しているということだ。 今回の損保ジャパンの「配置換え」で、何人の社員が介護関連事業へ移ることになるのかは不明である。だが前述の報道を受けて、ネットでは少なからぬ人が、転属先となる介護業種のことを「ブラック」「劣悪な業種」と評して憚らなかった。 こうした反応には、高い需要があり、またその需要が今後も増加していくと見込まれているにもかかわらず、介護従事者の待遇が一向に改善しない理由が端的に示されているように思える。 いわゆる「エリート」の多くは、介護事業など自分が従事すべきものではないと考えているだろうし、無理にそのような職種に従事させられることは、まさしく「罰」であると思えてしまうものなのかもしれない。部外者の反応も「大企業はおそろしい手段を持っているなあ」と恐々とするばかりで、介護事業への配置換えを「懲罰」と同様のものとしてとらえる人々の暗黙の意識については、ほとんど問題視されていないようだった。 ここに、現在の日本社会がとくに違和感なく内面化している差別意識が垣間見える。ただしそれは、かっこつきの「差別」としてカテゴライズされることもなく、もはや当たり前のものとして浸透しているようだが。 つまるところ、介護は「だれでもやれるような仕事」であり尊重されず、また同時に「だれもがやりたがらない仕事」であるがゆえに、「だれもやりたがらない仕事をあえてやっているような人は、きっと能力の低い人なのだから、そんな人の技能には高い賃金を支払わなくてもよい」――という理屈が導出されているのではないか。 たしかに介護事業は、かつて家族を構成するメンバーが豊富で、老後の面倒は家族がみるべきと考えられていた時代には家庭が引き受けていた領域を、核家族化や、旧来の「家族」の崩壊にともなってアウトソーシングしたものといえる。こうした背景から、介護事業に対する「家族でもやろうと思えばできるが、それをあえて他人にやってもらっているだけ(いわば『家事代行』の延長であって、専門的な技術ではない)」という認識はいまだに根強い。 「需要がきわめて高く(今後ますます高まることが明白であり)現時点では圧倒的に供給が少ないのにもかかわらず、賃金(価値)が低く抑制されている」業種の現状を、ネットスラングでは「低賃金カルテル」と呼ぶ。 もちろん、介護が本当に「だれでもできる仕事」であるとは思わないし、実際には専門的技能や知識が求められる業種である。しかし、労働の価値とは需要と供給だけでなく、ある種の「共同幻想」によって作り出されるものでもあるので、「重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立している業種は、事実存在するだろうし、介護職はそのひとつといえるだろう。 「介護への転籍」と聞いて懲罰的な文脈を感じた人びとは、まさにこのような考えを内面化しているのだ。それはまさしく「職業差別的」な思考ではあるが、しかし表立って「差別」とは認識されていない』、介護職には、「「重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立している」、というのはズバリ本質を突いた指摘だ。
・『カネカのように炎上しなかった理由  今回の経緯を見て、先月話題になったカネカの「育休復帰後に即転勤で炎上」の一件を思い出した人も少なからずいたようだ。 カネカの件は、当事者との意思疎通の問題はあったにしても、あくまで個人がそのキャリアの希望に合わないということで退職した一件であった。しかしながら世論は「カネカは前時代的な企業」「カネカ許すまじ」の論調へと傾いた。 一方で、事前に希望退職者を募るわけでもなく、いわば「合法」な形で4000人もの人員を削減する損保ジャパンについては、炎上するどころか、表立って批判する声さえ私の観測するかぎりきわめて少ないように見える。 カネカと損保ジャパン――世間の怒りの「雲泥の差」はいったいなぜ生じたのだろうか。 身もふたもない結論を言ってしまえば、前者は「世間の同情を喚起する物語」であり、後者はそうではないという違いが現れたのだろう。 カネカの件は「優秀な人材が会社の横暴によって人生をめちゃくちゃにされ、しかも子育て世代(とその子ども)が犠牲となった物語」として同情的に受容された。しかし損保ジャパンの件は違う。「エリート風を吹かしているうちに時代の流れに取り残されてしまったサラリーマンが、“実際の能力に相応なセクション”に再割り当てされた、現代版の『残酷物語』なのだ」という程度のエピソードとして解釈されてしまったのだ。 先述した「低賃金カルテル」という概念を踏まえ、あえてより厳しい表現をすれば、「介護職に配置されるような人材を、大企業が抱える余裕がなくなっただけの話」と皆が暗黙裡に納得したせいで、カネカのときのような「家族や子どもが可哀想だろ!!」という大合唱がまったく起きず、「エリートも無事では済まない時代だなあ。怖い怖い(笑)」程度の話で片付けられてしまった。 あるいは「これで転属させられるような奴は、大企業の威を借る無能だったのだ。職位に甘えてスキルを磨かなかった自己責任だ」とさえ考えている人も多いかもしれない』、育休明けの社員を配置転換したカネカと対比するとは、分かり易い。「「介護職に配置されるような人材を、大企業が抱える余裕がなくなっただけの話」と皆が暗黙裡に納得したせいで、カネカのときのような「家族や子どもが可哀想だろ!!」という大合唱がまったく起きず、「エリートも無事では済まない時代だなあ。怖い怖い(笑)」程度の話で片付けられてしまった」、その通りだ。
・『差別を利用した巧妙な手口  損保ジャパンの施策は、数年前にIBMのリストラ手続きで裁判沙汰にもなった「追い出し部屋」「ロックアウト解雇」のように明らかに懲罰的な手段ではなく、あくまで「転属」に過ぎないため、いわゆる「労働者の権利/人権問題」の事案としても争点にはなりづらい。 いや、それどころか「介護」という社会的意義が大きな事業への転属であるがために、これを批判してしまうとかえって「介護職を差別している」という価値観を表明しているかのようなリスクが発生してしまうので、「労働者の人権」というリベラル的な文脈による批判も申し立てにくい状況となっている。 あくまで会社側の論理としては、「リストラ」をするかわりに「善意」の配置換えをしただけである。懲罰的な左遷ではない(懲罰と勝手に解釈しているのは世間である)。これによって、不必要な「会社都合退職」を避けられるし、多くの社員がもし踏ん張って介護の仕事を続けてくれるなら、介護業界の人手不足も解消できる――。 しかし同時に世間が前述したような職業差別的な価値観を内面化しているからこそ、介護事業への配置換えが一種の「罰」として機能するわけだし、「自己都合退職を促す裏技」の役割を果たしているのだ。 これは世間の職業差別を利用した高度なテクニックといえる。総評すれば、損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう。 私たちは損保ジャパン社員4000人の人生が翻弄されるさまを「残酷物語」として対岸の火事のように消費し、片付けてしまうのだろう。来月にもなればほとんどの人はこの物語を忘れ、次に別の場所で発生した「スキーム」に対してもまた同じように「おー怖い怖い(笑)」と反応することを繰り返す。 この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが』、「損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう。 私たちは損保ジャパン社員4000人の人生が翻弄されるさまを「残酷物語」として対岸の火事のように消費し、片付けてしまうのだろう」、「この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが」、などの指摘はシャープで、その通りだ。ただ、介護事業へ配置換えの際に、給与などを切り下げないとすれば、介護事業の採算は大幅に悪化する筈だ。どうするのだろう。
タグ:保険 国税庁 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス (その2)(東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実、銀行が高齢者に外貨建て保険販売 殺到する苦情の信じ難い中身、節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情、損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と この社会のバグ これは職業差別ではないのか) 「東京海上が中核子会社を売却した「再保険」市場の厳しい現実」 再保険事業の中核となる子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)を売却 米国で発生したハリケーン スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の自己資本利益率(ROE)は、それまで10%台で推移(業界推計)していたものの、2017年は一気に2%台にまで悪化 TMRが「170億円超の最終赤字」 資本流入がもたらす変調 再保険市場がいわば“資本過剰”に陥ることで、リスクに見合った再保険料を取りにくくなっている 「銀行が高齢者に外貨建て保険販売、殺到する苦情の信じ難い中身」 「預金目的で来店したのに保険を契約させられた」「定期預金を契約したと思っていた」「そもそも保険を契約した覚えがない」といった信じ難い内容の苦情が、件数の上位 残る選択肢は時に10%近い販売手数料が転がり込んでくる、外貨建て保険しかない 銀行窓口では利回りや投資リスクはさておき、高齢者をターゲットにして「預金を保険に振り替えれば節税につながる」などと相続対策を前面に出しながら、一時払いの外貨建て保険を強烈に売り込んでいる 銀行窓販における苦情の約7割が、60歳以上の顧客 「節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情」 節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案 内容は腰が砕けたかのような手緩いもの 国税庁OBへの忖度で弱腰姿勢? 御田寺 圭 「損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ これは職業差別ではないのか」 自己都合退職を促すスキーム 介護への転属は「懲罰」なのか 介護事業に対する「家族でもやろうと思えばできるが、それをあえて他人にやってもらっているだけ(いわば『家事代行』の延長であって、専門的な技術ではない)」という認識はいまだに根強い 重要ではあるが、しかしだれでもできる仕事とみなされるために尊重はされず、だれもやりがたらない。ゆえに、そんな仕事をあえてやっているような人には(きっと能力が低いのだろうから)多くの対価を支払う必要はない」という無言のコンセンサスが成立 カネカのように炎上しなかった理由 差別を利用した巧妙な手口 損保ジャパンのやり方は大胆ではあるが、その手続きはきわめて巧妙である。今回の「転属プラン」の立案者はきわめて怜悧で、なおかつ社会を俯瞰的に読む能力にすぐれた人間だろう この物語に「残酷さ」を付与しているのは、ほかでもない私たち自身なのだが
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決済(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) [金融]

決済については、2月15日に取上げた。今日は、(その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意)である。なおタイトルから「システム」を外した。

先ずは、3月4日付けダイヤモンド・オンライン「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195679
・『乱立するQR決済市場にプレーヤーがまた一人加わった。 フリーマーケットアプリのメルカリは、モバイル決済サービス「メルペイ」の提供を始める。メルカリでの物品の販売によって得た収益をそのまま店舗での決済に利用できるようにすることで、入金や新規登録の手間を省くなど他社と差別化。1200万人に上るメルカリの巨大な顧客基盤を生かし、後発からのロケットスタートをもくろむ。 モバイル決済では、楽天の「楽天ペイ」やヤフーとソフトバンクが手掛ける「ペイペイ」、LINEの「LINEペイ」など、あまたのサービスがしのぎを削っている。経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標を打ち出すなど、国や世論の後押しもあって、各社が商機をにらんでいる。 だが、市場活況の陰で、実際にサービスを利用する現場では混乱も起きている。 「モバイルなどキャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ」と、ある外食企業の関係者は嘆く。 飲食店や小売店では、キャッシュレス決済が導入されると、会計時間の短縮やレジ締め作業の簡素化が可能になるので、大きな省力化になると期待が高まっていた。 だが、現状では生き残るサービスが定まらないので、多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている』、政府が消費増税対策として、クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元、総財源として1.5兆円、を打ち出したことが、決済を巡る競争を激化させている。
・『導入自体が目的化  決済仕様の乱立は、業界全体の普及を阻むボトルネックの一つだ。もちろん、決済サービス各社にも危機感があり、規格の統一に向けた動きが加速してはいる。 キャッシュレス推進協議会では、QRコード規格の標準化を目指し、18年度中にガイドラインの公表を計画する。また、ジェーシービーは自社開発した統一規格の「スマートコード」を提供し、メルペイとの提携を発表した。 一方で、モバイル決済の課題はより根本的なところにもある。 「国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」と、モバイルオーダー決済サービスを展開するShowcase Gigの新田剛史代表は指摘する。 モバイル決済は本来、事前注文と決済をひも付けることで生まれる接客の省人化や、顧客情報に基づいた販売促進などの活用への効果が大きい。だが、足元では各決済事業者の広告合戦といった“パワーゲーム”の様相を呈しており、本来の視点は軽視されがちだ。 キャッシュレスを真に根付かせるためには、単なる決済手段にとどまらない“その先”を見据える必要がある』、「導入自体が目的化」、「省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている」というのは本末転倒だ。

次に、3月5日付けダイヤモンド・オンラインが米紙WSJ記事を転載した「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195906
・『いつもはテクノロジー先進国として中国のモデルとなっている日本だが、キャッシュレス決済は中国から学んでいる。 日本では昔ながらの現金決済が主流だ。しかし旅先でもスマートフォンでの支払いを望む中国人観光客が押し寄せ、変化が起き始めている。日本のインターネット企業は電子決済の普及を加速させようと、アリババグループのアント・フィナンシャル・サービス・グループやテンセントホールディングスなど、中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携を進めている。 このように、拡大を続ける中国の経済力はあからさまな圧力を使わず、先例を見せることで日本に影響を及ぼしている。一方で、アップルペイやアマゾンペイなど米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない。 東京で学ぶ中国人学生の林暉揚さん(24)は「中国ではなんでも電子決済できる。だから、日本に来た(ばかりの頃は)なぜ現金を使わなければならないのかと文句を言ったことがある」と話す。「今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している」 日本の年間家計支出額は3兆ドル(約335兆円)近くに上る。決済でわずかでもシェアを確保できれば大きな利益が期待できる。安倍晋三首相はカードかスマートフォンで支払う消費者に最大で購入額の5%を還元する計画を示しており、電子決済ビジネスへの新規参入が進んでいる。 決済会社や電子マネー企業は日本が中国のように現金決済から一気にスマホ決済に移行することを期待している。入手可能な最新のデータである2016年の政府の推計によると、日本では消費者による支払いのうち、クレジットカードやデビットカードによる支払はおよそ5件に1件にとどまった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、米国ではほぼ半数がカード払いだ。日本でクレジットカードの利用率が低いのは消費者がプライバシーの侵害を懸念していることに加え、企業が手数料を払いたがらないからだ。 決済で最大の課題は好循環――店がある決済手段を採用するのは消費者が利用しているからで、消費者は店がその決済手段を受け付けることを知っているから利用する――を生み出すことだ。 そこで出番となるのが中国人観光客だ。2018年には800万人を超える中国人が日本を訪問した。その多くが持つスマホには支付宝(アリペイ)やテンセントの微信支付(ウィーチャットペイ)など、銀行口座とつながった決済アプリが入っている。日本での消費額が140億ドルに上る中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている』、「中国人観光客」が「小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている」というのは皮肉なことだ。
・『日米消費者の決済手段の比較  日本のインターネット企業はヤフー・ジャパンやメッセージアプリのラインなどなじみのある国内のインターネットブランドと関連する決済アプリを導入することで国内消費者による利用を促したい考えだ。 ラインとテンセントの提携では、店側はQRコードを読み取る専用端末を導入するか読み取り用のアプリを利用すれば、ラインペイのユーザーとウィーチャットペイを利用する中国人客のどちらにも対応できる。 日本の決済アプリ「ペイペイ」とアリペイも同様に提携、店は両方のアプリを受け付けることが可能になった。ペイペイはヤフー・ジャパンとソフトバンクグループが日本の消費者向けに導入したアプリで、最近ではローソンと契約、約1万5000店舗に導入される予定だ。 アリペイとウィーチャットペイは米国で現地の決済処理会社と組んでおり、日本でも同様の手法を採用した。アリペイは2017年、ファーストデータと提携、クレジットカード処理の共通のプラットフォームを利用する米国企業は簡単に決済手段としてアリペイを追加できるようになった。ドラッグストアチェーン大手のウォルグリーンズは米国内の7000以上の店舗でアリペイを受け付ける方針を発表した。 日本の消費者のプライバシー懸念はスマホ決済にも及んでおり、キャッシュレス決済の普及までには障害が残っている。国内第3位の銀行を傘下に持つみずほフィナンシャルグループがアリペイや同じく中国の銀聯(ユニオンペイ)と決済アプリで提携する計画を発表した際には、ユーザーのプライバシーが中国政府に漏れることはないと保証することを余儀なくされた。 みずほフィナンシャルグループの山田大介専務執行役員は先月の記者会見で「情報が日本から出ていくのではないかとか、日本の情報が中国に行ってしまうのではないかとか、いろいろなところから意見があった」が、そうしたことは不可能で、心配する必要はないと述べた。 課題は他にもある。消費者にはさまざまな決済手段の中から利用する手段を選んでもらう必要があり、小売業者に対してはスタッフの研修と機器に投資するよう説得しなければならない。 安倍政権は日本が中国に後れを取っていることを認識しており、脱税対策も兼ねて、キャッシュレス決済比率を現在の2倍の40%まで増やすという目標を掲げている。 政府は消費税を8%から10%に引き上げる今年10月1日から、中小小売業者でスマホやクレジットカードなど現金以外で代金を支払った場合、購入額の最大5%を還元する方針だ。消費増税による景気後退のリスクを減らすことが目的で9カ月間実施する。実施には25億ドル超の費用がかかる。 UBSのアナリスト、居林通氏はキャッシュレス決済について、政府が補助金を出す唯一の決済であると指摘、 政府による還元が日本がキャッシュレス決済に向かうターニングポイントになると話した』、政府による「5%を還元」策は、消費増税対策に名を借りたキャッシュレス決済推進策だが、私はいささかや過ぎではないかと思う。

第三に、4月13日付けダイヤモンド・オンライン「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199724
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に  何か商品を買おうと思った時に、まずはネットで検索するのが習慣になっている人が、最近は多いのではないだろうか。 かく言う私もそうだ。先日も、ある商品を買ってみようと思い立ち、グーグルの検索窓に商品名を打ち込んだ。そして、その商品を扱っている複数のネットショップを閲覧し、価格を比較した。結局、その時は購入には至らなかった。 ところが、しばらくしてフェイスブックを眺めていたら、私のタイムラインに、その商品や関連商品に関する広告がひんぱんに表示されるようになった。 きっと多くの人が、同じような経験をしているはずだ。 私の場合、表示された広告は楽天市場が出広したものだった。確かに閲覧したサイトの中に楽天市場もあった。だが、楽天グループのサイトに広告が表示されるのは、まだわかる。だが、私が見ているのはフェイスブックのタイムラインだ。つまりこれは、少なくとも閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されていることを意味している。 私自身は、こうした広告を「便利」と感じる方だ。インターネットによる生活の利便性向上の1つだと思うからだ。しかし、個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない。 例えば、これがリアルな生活の場面にまで広がったらどうだろう。デパートなどの実店舗で、ネットで検索や閲覧をせずに購入した商品の広告が、SNSの画面にタイミングよく表示されたら、さすがの私でもうす気味悪いと感じるかもしれない。日常の行動がすべて監視されているような気がするからだ。 いま日本政府は、経済成長のエンジンの1つとして「キャッシュレス化」の方針を掲げている。実は、このキャッシュレス化が、上記の「監視されているかのような気味の悪さ」を現実にしそうなのだ。 リアル店舗で現金を使う分には、店員に話したり、会員登録などをしたりしない限り、名前や住所、連絡先、これまでの購入履歴といった個人情報が「売る側」に渡ることは、ほとんどない。しかし、キャッシュレス決済の場合、金融口座やクレジットカードに登録してある個人情報がオンラインで決済業者や店舗に流れる。 つまりキャッシュレス化が進めば進むほど、多くの人の日常的な購買行動がネットに流れ、データ化される。果たして、これを「便利」の一言で片付けてよいものだろうか。 本書『キャッシュレス覇権戦争』は、日本で進行中のキャッシュレス化の現状を整理した上で、それが私たちの生活に及ぼす影響や、新たに生じる課題について論じている。 著者は、『Suicaが世界を制覇する』(朝日新書)などの著書がある消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏。流通、情報通信、金融分野を中心に活動し、現在はNPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長も務める。特にクレジットカードについては30年にわたり取材を続けている第一人者だ』、「個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない」、私は「気味の悪さを感じる」ほうだ。
・『火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い  キャッシュレス化は中国や韓国、北欧などで先行しており、日本は後れを取っている。特に中国では、ネット通販大手アリババの「アリペイ」や、メッセンジャーアプリで成功したテンセントの「ウィーチャットペイ」などの普及が著しい。 これらはQRコードを顧客がスマホで読み取るだけで決済が可能。機器を導入する必要がないため、店舗側の導入が一気に広がった。 よって、こうした気軽なスマホ決済がキャッシュレス化の導線になるのは間違いなく、ここにきて日本でも同様の新しい決済サービスが、雨後のたけのこのように多業種から次々と登場している。 例えば、携帯事業者系ではdocomoの「d払い」やauの「au PAY」、ソフトバンクとヤフー共同出資による「PayPay(ペイペイ)」、ITサービス系では「LINE Pay」「楽天ペイ」「Amazon Pay」、コンビニ系では現時点で「ローソンスマホレジ」がスタートしている。 また、メルカリの「メルペイ」、モバイル決済ベンチャーによる「Origami Pay」など、ベンチャー企業も参入。いささか多すぎるほどのスマホ決済サービスが、ユーザー獲得にしのぎを削る。 日本能率協会総合研究所の予測によれば、国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する。この「8兆円市場」でシェアを獲得しようと、決済事業者同士の熾烈な「覇権戦争」が繰り広げられているのだ。 その競争の激しさを象徴する出来事の1つに、昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」がある。 これは、2018年12月4日にスタートしたQRコードを使った決済サービス「ペイペイ」を運営するPayPay株式会社が仕掛けた「『100億円あげちゃう』キャンペーン」をめぐる騒動である。 このキャンペーン期間中は、1人5万円を上限に、支払額の20%相当が利用者に還元されるほか、何度かに1回は全額がキャッシュバックされた。還元される総額は100億円。何とも大胆な大盤振る舞いだが、8兆円市場を考えれば、100億円など取るに足らないと、PayPayは考えたのだろう。 周知の通り、このキャンペーンには短期間に顧客が殺到。あっという間に100億円を使いきり、最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了してしまった。 今後は、他社も多様なキャンペーンでシェア獲得を狙うはずだ。プレイヤーが出そろえば、覇権戦争はさらに激しくなる』、「『100億円あげちゃう』キャンペーン」は、あれだけ大騒ぎになったので、広告効果を考えれば、安いものかも知れない。
・『自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も  岩田氏は、キャッシュレス社会が「データ監視社会」につながると指摘する。キャッシュレス決済が普及することで、「誰が・いつ・どこで・何を・いくらで・どれだけ買ったか」といった情報が、私たちの知らないうちに勝手に収集・分析される社会になるというのだ。 では、「勝手に」データを収集されない方法はあるのだろうか。 その点に関して岩田氏は、2018年5月18日にEU(欧州連合)が施行した法律「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」を紹介している。 GDPRは、EU28ヵ国にノルウェーなど3ヵ国を加えたEEA(欧州経済領域)でビジネスを展開する企業に適用される。EEA31ヵ国に所在するすべての個人データを圏外に持ち出すことが原則禁止されるのだが、重要なポイントは、各個人が自らの個人情報をコントロールする「データポータビリティ権」が保証されることだ。 実は日本でも同様の取り組みが進められているのをご存じだろうか。本書でも紹介されている「情報銀行」の構想だ。 政府主導で進行中のこの構想は、情報銀行が個人の購買履歴、家計収支、健康情報といった多様なデータを個人から預かり、一元管理するものだ。そうした情報がほしい企業には、データの所有者である個人の意向を確かめた上で、情報銀行が提供する。 さらに情報銀行にデータを預ける個人は、それをどの企業に、どういう個人情報を提供するか、細かく指定できるようになるという。つまり、「サイトの閲覧履歴を楽天には提供してもいいが、フェイスブックには渡さないでほしい」といった、個人情報提供をコントロールすることが可能になる。 このようにネットの利便性を享受しながらも、必要なプライバシーを守るためのルールづくりは、確実に進められているようだ。 だが、利便性と個人情報保護の両立は、完全なトレードオフではないものの、なかなか一筋縄にはいかない。 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる。 例えばDuck Duck Goでは、検索結果の表示順に過去の検索履歴やユーザーの指向などが勘案されない。そのため、自分にとって無駄な情報が上位に来ることがあるので、役立つ情報にたどり着くのに、余計な手間と時間がかかる。 シンプルな表示に最初はすがすがしさを感じるのだが、だんだん不便さがつのり、正直イライラしてくる。 これからのインターネットを利用したイノベーションに、個人情報の収集と流通に関する検討が欠かせなくなるのは間違いないだろう。利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 本書では、キャッシュレス化による利便性と、個人情報保護に関する課題の両面からの議論が、わかりやすく整理されている。企業と個人の双方が個人情報を上手にコントロールしながら、より便利な社会を築くために何が必要か、本書を参考に、しっかりと考えてみたい』、「情報銀行」は果たして定着するのだろうか、しばらく様子を見る必要がある。「「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない。 ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる」、「利便性とプライバシーのバランス」は難しい課題のようだ。

第四に、4月29日付けZAKZAK「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/190429/eco1904290003-n1.html
・『急速に普及するキャッシュレス決済だが、思わぬ落とし穴がある。交通系ICカードやバーコード決済などにお金をチャージしたまま一定期間利用せずに放置すると、権利が失効し、残高が「0」になるケースがあるというのだ。こうした対応の中身は、別表のように、サービスを提供する会社によって大きく異なる。あなたの電子マネーは大丈夫? バーコード決済の新興勢力で、100億円の「バラマキキャンペーン」を2度にわたり実施している「PayPay(ペイペイ)」。その利用規約をみると、失効までの期間が「2年」と書かれている。ペイペイ広報室は、「現在は最後に残高の増減があった日から2年となっているが、5月中旬に5年へと延長する予定だ」と話した。 同社広報室によると、銀行口座からペイペイにいったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない。失効した残高は同社の雑収入になるという。 一般に現金を電子マネーにチャージするのは「前払式支払手段」と呼ばれ、事業者は資金決済法に基づいて約款や利用規約などを設けている。事業者によって違いはあるが、カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する。 前出のペイペイ広報室は、「前払式支払手段は商品券と似た意味合いで、商品券と同じように有効期限がある」と説明した。 スマホ決済でペイペイと競合する「LINE Pay(ラインペイ)」も失効までの期間は5年。同社広報は「サービスの建て付け上(預貯金と異なり)一生お預かりすることができかねる」と回答した。同社の場合、216円の手数料が掛かるが、換金は可能だという』、ペイペイやラインペイなどは前払式支払手段で、「カードを最後に利用した日から一定期間の取り扱いがないと、電子マネーを有する権利が失効する」、ペイペイは換金不可能というのは初めて知った。
・『いち早く定着している交通系電子マネーはどうか。JR東日本が発行する「Suica(スイカ)」は、最後の利用から失効までの期間が10年だ。同社はその理由を「お客さまの利用履歴などの情報が入っているため、10年以上たつとその情報が入った磁気をうまく読み取れなくなる恐れがある。安定的にサービスをご提供するため、期間を設けている」と回答した。 ただ、残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 JR西日本の「ICOCA(イコカ)」も、約款に10年が失効の期限とあるが、同社広報部によると、それ以降でも問題なく利用可能だという。 鉄道27事業者、バス76事業者が導入している「PASMO(パスモ)」も失効までの期間が10年だ。規約には、失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」と記載されている。 失効した残高はどうなるのか。今期のパスモ広報幹事を務める京成電鉄は、「企業会計規則に基づいて適切に処理している」との回答だった。 なぜ各社のサービスによってここまでも差が生まれてしまうのか。資金決済法には有効期限に関する記載はなく、事業者が電子マネーの価値を担保し続ける必要はないのだという。 電子マネーの失効の期限に関しては、国民生活センターにもトラブルが報告されている。記念の交通系カードを大切に保管しておいた20代男性は、いざ使おうとしたところ有効期限が過ぎており、4000円のチャージ金額が戻ってこなかった。 50代女性の場合、娘からもらった交通系カードを利用しようとしたところ、期限が過ぎており、数千円が戻ってこなかったという。 同センターはホームページで、「購入する電子マネーに有効期限があるかどうかよく確認し、有効期限がある場合はいつまで利用できるのか必ず確認しましょう」と注意喚起している。 一方で流通系の「nanaco(ナナコ)」、「WAON(ワオン)」さらには、ネット系の「楽天Edy(エディ)」では約款や利用規約に残高の失効期間を設けていない。 新規で電子マネーを購入する場合や、家でICカードが眠っている場合などは注意したい』、交通系電子マネーでは、SuicaやICOCAは、「最後の利用から失効までの期間が10年」だが、その後も「残されたお金を新しいカードへと移すことができる」。他方、失効後は、返還請求できないのも初めて知った。同じ交通系電子マネーといっても、発行体によって扱いが違うようだ。いずれにしても、「失効」には気を付ける必要がありそうだ。
タグ:suica 決済 QRコード PASMO ICOCA ZAKZAK スマホ ダイヤモンド・オンライン メルカリ 消費増税対策 ペイペイ ラインペイ 米紙WSJ (その4)(飲食・小売りが悲鳴 メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒、キャッシュレス後進国の日本 変革迫る中国人客、便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体、キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意) 「飲食・小売りが悲鳴、メルカリも参戦しQR決済乱立の本末転倒」 「メルペイ」 「楽天ペイ」 「ペイペイ」 「LINEペイ」 経済産業省がキャッシュレス決済の比率を2025年に40%まで高める目標 実際にサービスを利用する現場では混乱も キャッシュレス決済手段の乱立で、対応端末は増える一方。店舗のオペレーションも複雑化するばかりだ 多くの決済手段を導入する必要がある。すると店頭での端末処理にかえって手間がかかってしまうという、本末転倒の事態に陥っている クレジットカードやスマホ決済での中小企業製品にネット通販でも5%を還元 国内ではキャッシュレス化自体が目的になってしまい、省力化や合理化という本来の狙いがおろそかになっている 「キャッシュレス後進国の日本、変革迫る中国人客」 キャッシュレス決済は中国から学んでいる 中国の電子決済システムで圧倒的なシェアを握る企業との提携 米国企業が提供する決済サービスは日本には深く浸透していない 今は店が中国人観光者の気を引きたいから(アント・フィナンシャルの)アリペイ(のような決済サービス)を提供している 中国人観光客は日本国内のユーザーの一部として小売業者によるスマホ決済の受け入れを後押ししている 日米消費者の決済手段の比較 「便利なキャッシュレス時代に感じる「気味の悪さ」の正体~『キャッシュレス覇権戦争』(岩田 昭男 著)を読む」 キャッシュレス化でリアル店舗での買い物も丸裸に 閲覧履歴という個人情報が、楽天とフェイスブックの2企業間で共有されている 個人情報が、自分の関知しないところで勝手に共有されている事実に気味の悪さを感じる人もいるに違いない 『キャッシュレス覇権戦争』 岩田昭男氏 火ぶたが切られた8兆円市場をめぐる熾烈な争い 国内のQRコード決済市場は2023年に8兆円規模にも達する 昨年末の、いわゆる「PayPay(ペイペイ)祭り」 『100億円あげちゃう』キャンペーン 還元される総額は100億円 最長4ヵ月間を予定していたキャンペーンは、たった10日で終了 自分で個人情報をコントロールできる仕組みの構想も GDPR 「情報銀行」 「Duck Duck Go」という検索エンジンがある。これは「あなたを追跡しない検索エンジン」が売りで、利用者の個人情報の保存や収集を一切行わない ところが使ってみると、個人情報を活用しないサービスが、いかに不便かを思い知らされることになる 利便性とプライバシーのバランスをどうとっていくかを慎重に考慮せざるを得ない。 「キャッシュレス決済の“落とし穴” 電子マネー残高2年で消滅も!? 「眠ったICカード」に要注意」 失効までの期間が「2年」 5月中旬に5年へと延長する予定だ いったんチャージされると換金はできず、失効すると残高は返金されない 失効までの期間は5年 換金は可能 交通系電子マネー 最後の利用から失効までの期間が10年 残高が失効しても、みどりの窓口や改札窓口に持参すれば古いカードに残されたお金を新しいカードへと移すことができるという。 失効した場合「当社が特に認めた場合を除き、デポジット及びPASMOに記録されている一切の金銭的価値等の返却を請求することはできない」
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金融規制・行政(その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界) [金融]

金融規制・行政については、昨年7月2日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界)である。

先ずは、3月4日付けダイヤモンド・オンライン「メガバンク・地銀が戦々恐々、「マネロン国際審査」の試練」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195677
・『金融業界が今、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に躍起になっている。国際組織・金融活動作業部会(FATF)による対日審査を今秋に控えているからだ。11年前に受けた低評価を覆すべく、対応に追われる金融機関の現状に迫った。 2月22日、三菱UFJ銀行はマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ態勢が不十分だと米通貨監督庁から指摘を受け、改善を図ることで同庁と合意したと発表した。制裁金はないものの、「改善できなければ、一部業務停止もあり得る重い内容」(関係者)だ。 メガバンクですら、米国の厳重なマネロン対策基準の下では“不合格”。そうした現実を突き付けられた中、日本では地域銀行をはじめとした多くの金融機関が今、マネロン対策に目の色を変えて取り組んでいる。なぜなら、金融活動作業部会(FATF)という国際組織(下図参照)が今秋、日本のマネロン対策について審査に入るからだ。 FATFは毎年、各国の法整備や企業の取り組みを審査し、その結果に応じて強化策を図るよう指示している。日本は今年5月から審査の自己申告書を提出し、それを基に10月に対面審査を受ける予定だ。結果の公表は来年で、結果が著しく悪ければ海外との取引に支障を来すことになる。 実際に対面審査を受けるのは、業態ごとの数社程度だが、1社でも駄目ならば、日本全体の評価が下がってしまう。そのため、「うちが足を引っ張るわけにはいかない」(地銀関係者)と、各社が対策を進めているわけだ。 まして日本は、2008年公表の第3次相互審査において、「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験がある。にもかかわらず、同審査から数年たっても対策が遅々として進まず、FATFからくぎを刺され、慌てて犯罪収益移転防止法の改正を急ぐなど常に後手に回ってきた』、マネーロンダリングとは、違法な資金源を偽装する目的で犯罪収益を処理すること(Wikipedia)。第3次相互審査で「「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験」とは不名誉な記録だ。しかも、対策が「常に後手に回ってきた」とは金融庁の責任も重いようだ。
・『そうした現状の中で、日本はFATFの第4次相互審査を迎えることになる。チェックされるのは、マネロン対策の関連法整備など40項目と、企業ごとの対策の有効性など11項目。特に、資金の流出入が集中する銀行などの預金取扱金融機関、少額決済を担う資金移動業者、仮想通貨交換業者が重点候補になっている。 FATFはすでに21ヵ国で第4次審査を終えたが、そのうち実質的に合格となったのは英国やイタリアなど5ヵ国のみ。金融大国の米国も不合格の烙印を押されており、日本が合格する可能性は低い。金融機関の経営を監督する金融庁としては、せめて米国にやや劣る程度の評価で落ち着かせたいというのが本音だろう(下図参照)』、米国は在米の日本の金融機関には厳しいことを言ってくるのに、FATFは不合格とは、FATFはさぞかし厳しい基準で臨んでくるのだろう。
・『地銀が見過ごした海外送金  監督当局をはじめ、金融業界全体が不合格を半ば覚悟しているのは、日本のマネロン対策がかなりお寒い状況にあるからだ。 中でも、“問題児”とされているのが地銀だ。17年には、愛媛銀行で数億円規模のマネロンと疑われる海外送金を見過ごす“大失態”が起きたとされる。 事態が表面化した18年初め、地銀頭取との会合で金融庁側が「低いレベルの金融機関が一つでも存在すると、金融システム全体に影響し(中略)対策が脆弱であると批判を浴びる恐れがある」と語ったことからも、稚拙な取り組みに対する監督当局の危機感が伝わってくる。 愛媛銀は「金融庁のガイドラインに基づき(マネロン対策の)高度化を進めている」(広報)というが、問題は愛媛銀に限らず、多くの銀行がこれまで泥縄式でしか一連のマネロン対策を進めてこなかったことにある。 そうした状況で、FATF審査では疑わしい取引の監視方法を体系化することが求められている。一方で地銀はというと、「営業行員にもマネロンに関する資格試験を受けるように急かしている」(中部地方の地銀幹部)という段階で、「顧客ごとのリスクを数字化する評価書の作成と、営業部門への周知の二つ」(マネロン対策に詳しい渡邉雅之弁護士)に、いまだ苦戦しているという。 さらに第二地銀など小規模な金融機関には、収益に結び付かないという理由からシステム投資に消極的なところも多く、取引のモニタリングシステムを導入したとしても苦労が絶えないようだ。 ある地銀では、「しばらく取引がなかった口座に、突如として1万~2万円の金額が複数回振り込まれた。これはねずみ講の疑いがあると報告が上がってきたが、確認したらお年玉が入金されただけだった」(関係者)という。こうした確認作業を徒労とみるか、必須とみるかで、経営陣の意識が透けて見えそうだ』、「疑わしい取引」については報告義務があるので、「お年玉が入金されただけ」という笑い話もあり得るのだろうが、こんな少額のものは報告不要とした方がいいのかも知れない。
・『地銀だけではない。マネロン対策強化の網は、金融業界の幅広い領域に及んでいる。 今年1月半ば。20社ほどの資産運用会社の幹部が居並ぶ投資信託協会の理事会に、金融庁の佐々木清隆総合政策局長が出席、各社にマネロン対策の徹底を求めた。 そこでは、顧客から資金を直接預かる直販系の運用会社はもちろんのこと、各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請されたという。 運用会社の場合、投資対象となる株や債券などは膨大な規模で、人員が限られる社も少なくない。こうした領域にまで慌てたように対応を求めてきたことは、金融庁がFATFの動向を読み違えていたように映り、運用業界に詳しい関係者は「衝撃だった」と話す』、資産運用会社には、「各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請された」、そこまでやるのかと驚かされた。
・『仮想通貨業者も大きな焦点に  さらに第4次審査では、仮想通貨交換業者が初めて俎上に載せられる。仮想通貨の中には匿名性の高いものもあり、FATFが厳しい目を光らせるのは確実だ。 この分野の重点項目は何か。昨年12月に金融庁が仮想通貨交換業者に報告徴求命令を出し、今年2月中旬までに各業者が提出した資料によると、報告は60項目に上る。 各社が頭を抱えるのが、「銀行送金と違い、送付先の顧客属性が分かりにくい」(交換業者首脳)こと。送付先情報と突き合わせて、マネロンと疑われる取引をあぶり出すリストの導入を検討する業者もいるが、小規模な業者は「そこまで手が回らない」(同)。内部管理部門の構築においても、大手金融機関出身者といった「人材が不足」(同)しているという。 銀行と同様、交換業者はその規模によって取り組みの温度差が大きい。自主規制団体が中心となって、どこまで業界全体の底上げを果たせるかも今回試されているといえそうだ』、仮想通貨取引はマネロンと最も親和性が高いだけに、「小規模な業者」はお手上げだろう。第4次審査の結果がどうなるかは、大いに注目される。

次に、4月7日付けNEWSWEEK日本版「マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/04/post-11940_1.php
・『ダンスケ銀行やスウェドバンクといった北欧の大手銀行に相次いでマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑惑が浮上したことで、相互の信頼を前提に鷹揚な性格で築かれていたこの地域の金融モデルが破綻し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている。 非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの評価で北欧は最も腐敗・汚職の度合いが小さい地域となっているが、ダンスケ銀行とスウェドバンクに捜査の手が伸び、両行の株価は大幅に下落した。 政治家、規制当局、投資家などは、締め付け強化やより厳しい罰金制度、自主規制に任せていたシステムの見直しなどを望んでいる。 スウェーデンのボルンド金融市場・住宅相は「われわれの社会の根幹である寛容さは信頼の上に成り立っており、その信頼は著しく損なわれている」と嘆いた。その上で先週スウェドバンクがビアギッテ・ボンネセン最高経営責任者(CEO)を解任した点に触れて「一個人の首を切るだけでは不十分だ」と指摘するとともに、内部管理態勢の抜本的な改革が必要になると訴え、今後政府が何らかの措置を講じる姿勢を強くにじませた。 一連の資金洗浄疑惑の震源地となったのはバルト海に面するラトビアとエストニアだ。両国ともロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデルを構築したものの、悪いイメージを背負うことになった。 エストニア政府は、同国内の支店を通じ2007─15年に不審な資金のやり取りに関与していたことを認めたダンスケ銀に対し、事業閉鎖を命令。同行は隣国のラトビアとリトアニアからも撤退しつつある。 デンマークの学者Gert Svendsen氏は、資金洗浄疑惑で北欧文化の中核的な要素が打撃を受ける恐れがあると懸念し、「信頼に基づいて行動できれば人々はより幸せになれる。だからスウェーデンとデンマークの人々は幸福度がかなり高いのだ」と説明した』、ラトビアとエストニアが構築した「ロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデル」、そのものがマネロンの疑いが濃厚だ。「資金洗浄疑惑で北欧文化の中核的な要素が打撃を受ける恐れ」というのは、残念ながらその通りなのだろう。
・『当局の動き  デンマークでは資金洗浄疑惑を受けて現在の右派連立政権への批判が高まり、6月までに実施予定の総選挙で左派の野党勢力が政権を奪取する可能性もいくつかの世論調査で示されている。 こうした中でデンマーク政府は、資金洗浄の取り締まりに従事する部門の人員を倍増し、同部門に違反者への制裁金を科すことや立ち入れ検査を行う権限を認めるなど積極的な対応に乗り出した。ヤルロブ産業・金融相は、米国型の管理態勢にシフトすると表明した。 スウェーデンもこれに追随するかもしれない。ロベーン首相は先週、規制当局の態度が生ぬるいとの批判を受け、規制強化に向けた法制化に動く可能性があると語った。 同国の場合、昨年には金融監督庁の担当部門が複数の大手銀行の資金洗浄対策が不十分なので制裁措置を打ち出すべきだと提言したものの、首脳部が警告書を送付するだけにとどめたというケースが見られた。また金融監督庁は、中央銀行から規制が甘すぎると苦言を呈された後、銀行の住宅ローンの引当金に関するルールの厳格化も迫られた。 トランスペアレンシー・インターナショナルのルイーズ・ブラウン氏は、スウェーデンは改革を必要としており、規制の執行と企業統治の両面で改善しなければならないと主張している。 今回の資金洗浄疑惑では、当局と監督対象銀行の距離が近すぎるのではないかという問題も浮上してきた。 デンマークの前金融監督庁長官はかつて、2016年の就任前に5年間、ダンスケ銀で最高財務責任者(CFO)を務めていた。同国は現在、金融監督庁長官と副長官に過去5年間金融機関で働いていた人物を起用することを禁じている』、ルールは厳格化するとしても、「北欧文化の中核的な要素」は出来るだけ残してもらいたいものだ。

第三に、マネックス証券 執行役員チーフ・アナリストの大槻奈那氏が3月15日付けロイターに寄稿した「コラム: 地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか=大槻奈那氏」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1QV0UT
・『昨年末、銀行に動揺が走った。一部の株や債券の価格が1週間で10%近く暴落する中、いくつかの銀行で、含み損のレベルがあらかじめ決まっていた「アラームポイント」に抵触したためだ。 問題はそこからだ。通常、このポイントにひっかかると、含み損の出ている証券を注視し、さらに損失が広がった場合、「ストップロス・ルール」により損切りをしなければならない。2003年に起きた「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」と呼ばれる債券相場の急落以来、多くの銀行でこうしたルールを厳格化している。 ところが今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった。久々のボラティリティー上昇に、なかなか踏ん切りがつかなかったようだ。 この結果、大手地銀7行の12月末時点の外債等の含み損益(評価損益の「その他有価証券」で「その他」に記載される項目)は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG) 以外の全行で悪化、コンコルディアFGと山口FGの含み損(山口は単体合算)は、9月末時点からそれぞれ3倍と2.4倍に拡大した。 その後、市場は若干持ち直したものの、ピークからはまだ遠い。この3月末には損切りを迫られる銀行が続出しそうだ。みずほFGが6日発表した「外国証券の含み損処理等」による1800億円の有価証券売却損もその一環とみられる。 本来アラームポイントやストップロスのルールは、リスク拡大を避けるために設けられたもので、安易に緩和すべきではない。今回は、結果オーライだったが、今後はこのような牧歌的な管理手法は通用しにくくなるとみられている』、「一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった」、いまだにこうした銀行が存在するとは驚きだ。
・『新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか  金融庁は今月末より、地方銀行など国内のみで業務を展開する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入する。 銀行は、そもそも預かった資金を運用し、さや抜きでもうけるのが基本だ。短期預金をあまりに長期の貸し出しや有価証券で運用してしまうと、急に預金が引き出された時に手元資金が足りなくなってしまう。 このため銀行は、金利リスクテークをほどほどに抑えるよう、規制されている。かつて金利リスクといえば債券リスクに限った話だったが、08年のリーマンショック後、管理の範囲が貸し出しなど、「銀行勘定」の資産・負債全体に及ぶようになった。 この厳格なルールは昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大される。 具体的には、2つの点が大きく変更される。 第1に、リスクの測定方法が厳しくなる。これまで金融庁は、過去5年間の実際の金利変動からリスク量を計算することを容認していた。  ここ5年といえば、「毎日、金利が動かないことを確認するのが唯一の業務」などと円債関係者が揶揄(やゆ)されるような静かな市場だった。そのため、そこから計測されるリスク量は極めて限定的だった。 ところがルール改正後は、円建ての場合は金利が上下1%幅、ドル建ての場合は上下2%幅で変動した場合、どれだけの損失が出るかを算出しなければならない。この変動幅は通貨ごとに異なり、例えば、南アフリカランドであれば、4%の変動幅でリスクを計算する。 日本国債の金利が1%動くなどという仮定は、夢のまた夢のような気もするが、自己資本の十分性を保守的にチェックしようというのが、この改正の趣旨だ。 このように計算された「まさか」の時の損失が、自己資本の15─20%を上回った場合、金融庁が状況を分析した上で、金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める。さらに、改善策を履行しているかどうかを、同庁がフォローアップする。こうした改善に至るプロセスの明確化が変更の2点目だ。 現在でも、金融機関が過度な金利リスクを負った場合、当局が相応の対応を促すことは可能だ。しかし実際には、リスク量が小さく出るため、それに抵触する金融機関は、ほとんどなかった。新たなルールでは、潜在的なリスクが浮き彫りになり、高いリスクを抱える金融機関に対して、抜本的な改善策を促す仕組みが確立する』、「金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める」、当該の金融機関にとっては極めて厳しい「対話」になるのだろう。
・『なお、この規制議論の過程では、金利リスク量が規定を上回った場合、即刻是正を強制すべきとする強硬意見もあった。しかし、これは国債のボラティリティーを高めかねないとの配慮から却下され、資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた。また、現在ゼロとされている先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた』、「先進国の国債のクレジットリスクを引き上げる」ことになれば、特に欧州の銀行にとっては大変だろう。
・『地域金融機関の金利リスクは  18年3月にIRRBBが先行して導入された国際基準行の場合、金利リスク量は問題のない水準だった。メガバンクの中で最もリスク比率が高かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG) でも同年3月末時点で10.6%、それ以外の大手行も4─10%程度と、国際基準行の上限である15%を余裕でクリアした。 では、地域金融機関ではどうか。これらの銀行では、金利リスク量の上限が20%と、国際基準行よりは甘い。 だが、日銀が昨年10月に公表した金融システムレポートによれば、地銀や信金の自己資本に対する平均金利リスク比率は円貨だけで30%を超える。 実際には、コア預金などさまざまな計測方法の違いで、これよりは小さくなるとみられるものの、円貨のほかに外貨の金利リスクもある。日銀は、これが大手行、地銀ともに約5%程度と試算。中には、もっと高い金融機関もあるとみられ、IRRBB規制は大手行ほど影響がないとは一概に言い切れない』、大手行にも影響があるのであれば大変だ。
・『厳しい状況に陥る地域金融機関は  仮に、規定の上限をオーバーした場合、どの程度ポジションを圧縮しなければならなくなるのだろうか。 現在、地銀の金利リスク量は、貸出と債券投資で、2対1程度の割合になっている。単純計算では、自己資本の30%を超える金利リスクを負った地域金融機関が、同比率を20%以下に圧縮するには、全ての保有債券を売却する必要に迫られる。 地銀が保有する国内債券の総額は、2018年9月末で60兆円程度となっている。さほど大きくはないが、地元企業の私募債などがこれ以上引き受けにくくなるというだけでも、局地的に大きなインパクトを与える可能性がある。 では、どんな地域金融機関が厳しい状況に陥りやすいのだろうか。IRRBBとは異なる算出方法ではあるが、現在でもショック時の金利リスク量は年次ベースで開示されている。新庄信用金庫や高知信用金庫など一部の信用金庫で18年3月末の自己資本に対する比率が17─30%に達するなど、相対的に高い水準にある。 地銀でも、同3月末で10%前後の銀行が散見される。 これら金融機関の共通点としては、預証率が高く、有価証券利回りが高いなどの点がある。特に、地方の信金については、地元に有力な貸し出しが少ない場合などは有価証券の運用にプレッシャーがかかっている可能性が高いとみられる。 銀行が保有している有価証券の平均利回りは、かつて購入した高金利の債券が満期を迎えるにつれ、じわじわと低下している。欧米でも金融政策の正常化を停止している状況下では、日銀の緩和政策にも出口は見えないだろう。 だが、この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている。エネルギー向けのプロジェクトファイナンス、クレジットカードローン、投資用マンション融資、そして外債などがその例だ。 銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだ。その点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている。 最大の施策はやはり業界再編であろう。マイナス金利導入から4年目を迎える来年度は、いよいよ地域金融機関の再編が活発化すると予想する』、かつて金融庁から収益力の高さを称揚されていたスルガ銀行が「悪徳不動産業者」とグルになっていたのが発覚したように、「新たな収益源」には多くを期待できなかなったのは深刻だ。再編といっても、最も一般的な「持株会社傘下での統合」では、効果が限定的なので、やはり雇用調整が進み易い合併でないと効果はでないようだ。

第四に、3月25日付けダイヤモンド・オンライン「元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/197699
・『2月下旬、ある地方銀行の首脳人事に業界がざわめいた。奈良県に本店を構える南都銀行が元金融庁幹部の石田諭氏を招聘し、6月から副頭取に据えると発表したからだ。 旧第一勧業銀行出身の石田氏は経営共創基盤に在籍中、前金融庁長官の森信親氏に請われて金融庁に出向したという人物。石田氏は2013年から18年までの間、地銀に経営改革を促す地域金融企画室長など要職を歴任した。石田氏の「鋭く物申す」(金融庁幹部)姿勢が、地銀に容赦なく自己変革を迫った森前長官に評価され、「任期延長となった」(同)という。 そんな“森金融庁”の実力者が、監督対象だった地銀のナンバー2に、しかも44歳の若さで就任したため業界の耳目を集めたわけだ。 就任の経緯について、南都銀は「今年1月ごろにこちらから石田氏に打診した」(経営企画部)と明かす。ただ、伏線は数年前に敷かれていたもようだ。 石田氏は一時期、地銀の検査を統括する立場にいたが、当時の検査対象の一つが南都銀だった。そのときに南都銀の橋本隆史頭取と接点を持ったという。 18年7月に森氏が長官を退任すると、後ろ盾を失った石田氏も金融庁を去り、経営共創基盤に出戻った。そこで、以前から経営のアドバイザーを外部から積極的に登用していた橋本頭取と、自身の再就職先を模索していた石田氏との趣旨が合致し、今回の人事が実を結んだという』、石田氏は民間出身で、受け入れ側からの働きかけで再就職したようなので、いわゆる「天下り」ではないようだ。
・『懸念される現場への悪影響  古巣もこの人事には「驚いた」(前出の金融庁幹部)が、地銀改革の観点から「金融庁の上層部も期待している」(関係者)ようだ。 だが、楽観ばかりもしていられない。気掛かりなのは、南都銀側の現場のモチベーションだ。この懸念に対し、「対策は取ってはいない」(経営企画部)とし、現段階では現場から不満の声は聞こえてこないという。ただ、昨年代表取締役に就いた「有望株」(南都銀関係者)の役員が、石田氏の就任と同時に、1年で退任するという“政変”も起きてはいる。 昨今、地銀全体の業績悪化が著しく、県内唯一の地銀として強固な経営基盤を持つ南都銀でも、17年からの中期経営計画で「変革と挑戦」を掲げ、行員の意識改革に着手中だ。石田氏の登用はこの流れを象徴する出来事に映るが、数字が伴っていないのが現状だ。 本業のもうけを示す「業務純益」は、17年3月期の147億円から、18年3月期は106億円となり、今期は4~12月までの累計で52億円と振るわない。 4月以降、石田氏は経営企画や人事などの中枢機能に加え、デジタル推進という新領域を同時に所管する。革命に反発は付きものというが、今回の異例の人事を含め一連の改革が実を結ぶか否かは、“扇の要”を担う石田氏の手腕次第といえる』、「南都銀側の現場のモチベーション」は確かに微妙なようだ。ただ、石田氏も批判するだけの監督者側から、経営に責任を負う側に回るだけに、真の実力が試されることになるだろう。さてどうなるだろうか。
タグ:デンマーク スルガ銀行 ロイター 南都銀行 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 資産運用会社 金融規制・行政 大槻奈那 (その5)(メガバンク・地銀が戦々恐々 「マネロン国際審査」の試練、マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻、地銀の「時限爆弾」 新リスク規制は再編促すか、元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界) 「メガバンク・地銀が戦々恐々、「マネロン国際審査」の試練」 国際組織・金融活動作業部会(FATF)による対日審査を今秋に控えている 結果の公表は来年で、結果が著しく悪ければ海外との取引に支障を来すことになる 実際に対面審査を受けるのは、業態ごとの数社程度だが、1社でも駄目ならば、日本全体の評価が下がってしまう 第3次相互審査において、「27ヵ国中18位」という低評価を受けた苦い経験 資金の流出入が集中する銀行などの預金取扱金融機関、少額決済を担う資金移動業者、仮想通貨交換業者が重点候補 すでに21ヵ国で第4次審査を終えた 実質的に合格となったのは英国やイタリアなど5ヵ国のみ 米国も不合格の烙印を押されており 日本が合格する可能性は低い 金融庁としては、せめて米国にやや劣る程度の評価で落ち着かせたいというのが本音 地銀が見過ごした海外送金 愛媛銀行で数億円規模のマネロンと疑われる海外送金を見過ごす“大失態” 疑わしい取引の監視方法を体系化することが求められている システム投資に消極的なところも多く しばらく取引がなかった口座に、突如として1万~2万円の金額が複数回振り込まれた。これはねずみ講の疑いがあると報告が上がってきたが、確認したらお年玉が入金されただけだった 各社が投資する株や債券などの発行体についてマネロンリスクの分析・管理を厳重に行うことが要請された 仮想通貨業者も大きな焦点に マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻」 ダンスケ銀行やスウェドバンクといった北欧の大手銀行に相次いでマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑惑が浮上 相互の信頼を前提に鷹揚な性格で築かれていたこの地域の金融モデルが破綻し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている スウェーデンのボルンド金融市場・住宅相は「われわれの社会の根幹である寛容さは信頼の上に成り立っており、その信頼は著しく損なわれている」と嘆いた スウェドバンクがビアギッテ・ボンネセン最高経営責任者(CEO)を解任 ラトビアとエストニアだ 両国ともロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデルを構築したものの、悪いイメージを背負うことになった 米国型の管理態勢にシフトすると表明 スウェーデンもこれに追随するかもしれない デンマークの前金融監督庁長官はかつて、2016年の就任前に5年間、ダンスケ銀で最高財務責任者(CFO)を務めていた 「コラム: 地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか=大槻奈那氏」 今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった 新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか 国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入 昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大 リスクの測定方法が厳しくなる 金利リスク量が規定を上回った場合 資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた 先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた 地域金融機関の金利リスクは 厳しい状況に陥る地域金融機関は この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている 「元金融庁幹部が地銀の副頭取に就任!異例人事にざわつく銀行業界」 元金融庁幹部の石田諭氏を招聘し、6月から副頭取に据える 旧第一勧業銀行出身 前金融庁長官の森信親氏に請われて金融庁に出向 懸念される現場への悪影響 昨年代表取締役に就いた「有望株」(南都銀関係者)の役員が、石田氏の就任と同時に、1年で退任するという“政変”も起きてはいる
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レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) [金融]

昨日の「金融関連の詐欺的事件(その8)」に続いて、今日は、レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ)を取り上げよう。

先ずは、株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋 修氏が2月14日ダイヤモンド・オンラインに寄稿した「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194008
・『33都道府県で1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態となった、レオパレス21の施工不良問題。入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想される。なぜ、こんなずさんな工事を許す事態となってしまったのだろうか?』、日本で上場会社がこのようなことを起こすとは、全く信じられないような酷い話だ。
・『「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった  賃貸アパート大手、レオパレス21のアパートで、使用した外壁などの部材が、建築確認申請とは異なる仕様で耐火性や遮音性について基準を満たしていないなどの施工不良が見つかり、大騒ぎとなっている。 その数、33都道府県で1324棟。およそ1万4440人が退去を迫られる。入居者にはお気の毒というしかない。同社のアパートは「どこかの部屋のドアチャイムを鳴らすと入居者全員が出てくる」とか、「テレビのチャンネルを変えると、隣の部屋のテレビチャンネルが切り替わる」といった、都市伝説的な噂がまことしやかに流れていたが、今回それを証明してしまったような形となった。 コスト削減のため耐火性に劣る違法な部材を使っていた可能性があり、業界では「組織的な不正」を指摘する声も出ている。しかし、当初使う予定だったグラスウールといった素材は、実際に使われたウレタンより低コストであることが多く、この点だけでコストダウンを狙ったわけではないようだ。 レオパレスは7日の会見で「施行性を優先した」としている。つまり、工期を早めることによる「人件費削減」「金利負担の低減」、ひいては月末・年度末などの決算に合わせた「売り上げや利益の確保」が目的だったと推定できよう。 また会見で、同社は「現場がやったことだ」としているが、その主張は受け入れがたい。ここでいう現場とは、各地にある無数の下請け工務店を指すものと思われるが、彼らが全国規模で一斉に不正を行ったとは考えにくいだろう。同社はプレスリリースで、複数の図面が存在していたと認めており、建築確認申請の図面と、現場に渡される図面が異なっていた可能性が高い。 アパートオーナーの怒りも収まらない。この状況で万一火災などの被害が出た場合には、アパートの所有者であるオーナーの責任となる。レオパレスとしては入居者全員に退去を申し入れたうえで、順次建物を改修するとしているが、かなりの時間を要するだろう。工事費はもちろん、空室期間中の家賃もレオパレスが負担するとしているが、工事後に入居者が戻ってくる保証はない』、「「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説」があったというのは初めて知った。
・『損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ  なにより懸念されるのは、レオパレスの経営だ。事件公表前の株価は500円前後で推移していたが、公表後は連日のストップ安、現在は約半値の255円(2月13日現在)程度で推移している。今年度の損失予想は、従来の43~61億円から373~391億円へと大幅に上方修正された。同社の現預金は892億円(2018年12月末)だから、およそ半分を喪失することになる。また、こうした損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常である自己資本比率は35.2%あり、すぐにつぶれることはなさそうだが、黄信号が灯った、というところだろう。 問題はこの後である。レオパレスは昨年春にも、屋根裏の壁がないなどの施工不良が発覚しており、空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増した。今回の大規模な施工不良発覚を受けて今後、さらなる空き家の増加は必至だろう。入居率は85.38%(2019年1月時点)となっているが、これは要確認だ。こうした空室率の計算方法にはいろいろあり、一般的な感覚では「退去から入居まで」の期間が普通だが、「募集開始から入居者決定まで」「空室が1ヶ月未満であれば、空室とカウントしない」としていることもある。 空室率が増加すれば、アパートオーナーへの家賃保証も減額せざるを得なくなる。また、今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態となろう。 同社のサービスには「学割プラン」というものがあり、4年分360万円程度を先払いしている学生もいる。このサービスは主に大学生をターゲットとしており、例えば4年分の家賃はおよそ400万円だが、一括払いしてくれれば10%割り引いて約360万円とし、家具家電付き、水道光熱費ゼロ、ほかのレオパレス物件に引っ越しも可能というものだ。今後は、レオパレスの経営を危ぶむ契約者から、解約・返金を求める動きも出るだろう』、株価は今日で219円とますます軟調で、破綻を織り込みつつある。
・『施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある  ところで、こうした事態を防ぐにはどうすればよかったのか。「レオパレス違法建築被害者の会」は12日の会見で「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」としているが、そもそも建築確認申請と違う書類が存在すれば見抜くことは不可能。また、同シリーズのアパートには天井裏や床下に点検口がついておらず、完了検査時には全て塞がれて内部を確認できない。 建築確認や工事中検査の厳格化にはコストが付きまとい、アパート価格に転嫁されるから、やみくもな検査厳格化は消費者にとってもデメリットがある。また、同被害者の会は金融庁に対し、レオパレスが修繕費用などの負担で倒産しないよう、経済支援を要請したとしているが、これにはいかにも無理があろう。 とりあえずの再発防止策として考えられるのは以下の2つだ。 まず「点検口の設置義務付け」だ。そもそも点検口がなければ雨漏りや水漏れなども発見が遅れ、対応できない。住宅の寿命という観点からも、点検口の設置は義務付けたほうがいいだろう。 次に「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」。昔も今も現場は人手不足だ。特に現場監督は慢性的に多忙で、全ての現場をくまなく見て回るのは不可能なケースが多いのが実情だ。現場監督1人が担えるのは、せいぜい7~8現場までだろうと考えられるが、12現場、中には15現場程度抱えているケースも少なくない。満足のいく工事管理が行えるレベルを国が示したほうがいいだろう』、とりあえずの再発防止策については、その通りなのだろう。公的検査の問題については、筆者は立場上、厳格化には後ろ向きのようだが、次の記事で詳しく解説している。

次に、3月31日付けMONEY VOICE「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」を紹介しよう。
https://www.mag2.com/p/money/658971
・『施工不良が発覚して大きな問題となっているレオパレス21。そもそもの元凶は、サブリース契約という「うまい話」で投資家を騙し続けてきたことにあります。(『らぽーる・マガジン』)※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年3月26日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ』、サブリース契約について、詳しく解説してくれるようだ。
・『騙される方が悪いのか?「サブリース契約」の問題点を総まとめ 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」  当メルマガでは2018年4月2日(306号)で「かぼちゃの馬車」問題を取り上げました。そのときにも問題となったのが「サブリース」という契約です。そして昨年発覚したレオパレス21に関する問題でも、再びクローズアップされることになりました。 まずは、昨年発覚した「レオパレス21」問題を整理してみましょう。 この問題は、大きく2つの要素に分けて検証されると思われます。1つは「施工不良」、もう1つは「サブリース契約」です』、なるほど。
・『施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任  レオパレス21は、オーナーの物件を一括で借り上げて、それを転貸(いわゆるまた貸し)することを主な業としています。 今回の件で言えば、レオパレス21の収益は、+投資物件の建築 +賃貸業務および物件管理 から得る仕組みとなっています。 物件建築においては、建築コストを抑えることで収益幅は大きく得られます。建築会社に対しては、違法にコストを抑えることによる収益確保に対しては、国は常に目を光らせなければならないという部分では、国家としての責任が問われるのではとの指摘もあります。 不動産コンサルタントの長嶋修さくら事務所会長はテレビ番組で、投資用物件建築を請け負う時の価格は、通常よりも高めに設定されることが多いそうです。 レオパレス21は、オーナーから依頼の投資用物件建築では、かなり収益を得ているのではと、長嶋氏はおっしゃっておられました。 この施工不良問題は、創業者の深山祐助元社長がかかわっているのではとの指摘があり、レオパレス21という会社の組織的・構造的な問題が問われています。 施工不良を調査している外部調査委員会中間報告書では、2006年まで社長を務めた深山祐助元社長の直轄部署だった商品開発部門で、施工業務の効率化などを目的に、仕様と異なる部材を使う方向性が示されたとしました。 また、アパートを開発する段階において、物件が建築基準法といった法規適合性を満たすかどうかの判断を、専門的に行う部署がなかったとしています。当然のことながら報告書では、屋根裏の界壁が未設置だったことをアパート施工時に見抜けなかったチェック体制を問題としています。 実はレオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました。 オーナーは裁判で、屋根裏の界壁が施工されていないことを「建物の瑕疵にあたる」と主張していて、昨春にレオパレス21がこの問題を公表する以前から、経営陣は、界壁問題を認識していたのではないかとの疑いがあります。 「知らなかった…」深山英世現社長の主張ですが、経営陣が把握していたかどうかも今後問われることになりそうです。 事実として、天井の耐火性に問題のある物件で7,700人の入居者が引っ越しを迫られることになり、全国32都府県にわたり、問題のある物件があるということです。 国土交通省は他社物件でも同様の問題がないかを調査するとしています』、「2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました」というのでは、「知らなかった…」との深山英世現社長の言葉は嘘になる。
・『施工不良〜確認の不備、監理の不備  欠陥住宅に関しては、2つの不備が指摘されます。 +建築確認システムの不備 +建築監理の不備 前者がまさに、国の責任が問われることにもなります。 たしかにレオパレス21側の組織的な施工不良を行った経緯はありますが、それらの建物はすべて第三者機関による完了検査を受けて合格し、「検査済証」が交付されているはずです。 不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか。 建物の検査には「中間検査」と「完了検査」があり、中間検査に合格しなければ「完了検査」を受けることができず、当然検査済証が発行されることもありません。最低でも2度にわたる検査が行われたにもかかわらず、界壁などの不法行為が見逃される検査体制に問題はないのでしょうか。 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実だそうです。行政庁の建築関係部署を定年退職した人が何人も民間建築確認審査機関に再就職しており、大半の検査員はそれらの人が占めているという指摘もあります。 この事実と、今回のレオパレス21の施工不良の問題と関係があるのかどうかはわかりませんが、昔から、官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見はあります。 地方公共団体の建築主事のみが建築確認、検査事務を行なってきたものを、人手不足等から生まれる杜撰な検査から欠陥住宅が生まれるという指摘から、1998年に当時の橋本内閣は、「建築確認、検査事務」を民間の指定確認検査機関に門戸を開放するべきと主張し、民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築しました。 ゼネコンやハウスメーカーなどの株式会社(施工業者)が集まって指定確認検査機関を作ることもできる法案であることから、公正中立な確認検査が本当に担保されないという指摘がある中で、検査業務の民間機関への開放した後に、2005年に耐震偽装問題が発覚しました。 このときも、国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした。 耐震偽装問題の根本は、「経済設計」というもっともらしい言葉によるコスト削減で、物件価格を低く抑えることで、消費者にもメリットがあるような印象を与えていたものでした。 後者の「建築監理」とは、設計図どおりに作業が進められているかを、建築士が現場に赴いて監督するものですが、これが十分になされていれば、こんな屋根の界壁未設置などは防げたはずなのです。 建築監理者である建築士は、レオパレス21側が選んだ人なのでしょうかね』、耐震偽装問題に続いて、検査機関の手抜きが明らかになったのに、「不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか」、背後には国交省がマスコミを誘導した可能性もあるのではなかろうか。
・『閑話休題〜広瀬すず事務所の訴え  レオパレス21のコマーシャルをめぐってこんな話があります。あくまでもネットで拾った「ネタ」であることを説明しておきます。 2015年から「レオパレス21」のCMに出演してきた広瀬すずさん。彼女の“出世作”ともいえるシリーズだったのですが、事務所側が「広瀬すずのイメージ低下懸念とほかのCM出演企業への配慮」から、レオパレス21にCM契約中止を申し入れたところ、レオパレス21側は違約金を請求するという態度に出ました。 その後、国土交通省の調査を受け、レオパレス21の社長は謝罪、逆に広瀬側が謝罪と違約金を求めることになったといういきさつがあるようです。この問題のこぼれ話としてとらえてください』、CMは企業不祥事が起きた場合には、出演タレントのイメージ低下につながる恐れがあるのだから、初めから企業を厳しく選んでおく必要がある。途中から「CM契約中止を申し入れた」とは事務所側もお粗末だ。
・『サブリース契約の問題点〜歴史から考える  サブリースとは、賃貸オーナーに代わり不動産会社が賃貸住宅を借り上げ、入居者の応募や建物メンテナンスまで一括して不動産会社が請負家賃保証や空室保証などを行うところもあります。 平たく言うと「転貸」、いわゆる「また貸し」のことですね。レオパレス21という会社は、このサブリース契約による事業最大手と言えます。 千葉商科大学国際教養学部太田昌志准教授がラジオ番組で、サブリース契約の歴史について語られていました。それを要約しますと「サブリース」制度とは… もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです。 どちらかというと、大きく儲けるよりも、「使っていない土地からお金が生まれるだけで十分…」という感じでした。 ところがこの制度が日本に上陸したとたんに、「これで一発あててやろう…」という「儲け」の仕組みに変わったのだと、太田准教授はラジオ番組で語っていました。 使っていない土地の有効活用というサブリース制度を、不動産には絶対的な価値がある日本においては、「積極的な儲けの道具」となっていったようです。 そもそも土地に大きな価格がつくという日本社会では、土地を持っている者と持っていない者との間には絶対的格差が生じます。土地を持っているだけで「金持ち」となり、土地を持つ者と持たない者との格差は、バブル経済とともに大きく広がっていきました。 土地を持ちたくても高くて買えない人たちが、土地を持っているだけで「金持ち」に属している人たちに逆転勝利を狙う(この場合「勝利」は金持ちになるという意味で使っています)手段として「サブリース」手法が使われたところがあると太田准教授はおっしゃっておられました。 詳しいことは後述しますが、サブリース契約が広まった経緯を知る上で、サブリース制度が「夢のある博打」的な要素があったということです。 また「支配床(ゆか)」という概念も、サブリース制度普及にかかわっています。 自分の裁量でテナントを見つけられる面積を「支配床(ゆか)」と表現するそうです。自分たちの力でこの支配床を広げるには限界があり、仲介業者に頼めば、手数料はかかりますが、支配床を広げることができるという大手企業の思惑も、サブリース制度拡大につながったようです。 大手企業は、東京の一等地を手にすることができ、その土地があるだけで常に優位に立てますが、中堅企業には高い値段が付く土地を持つことができないので、中堅企業が大手企業に肩を並べるには、土地の再開発を進めて価値をつけるしかなく、その際にサブリース制度が用いられた経緯があります』、日本でのサブリースは発祥のアメリカとは、似て非なるものになったようだ。
・『この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあったとも言えそうです。 地主とテナント側が直接契約するよりも、サブリースでは、仲介業者への手数料がかかります。仲介会社の手間賃、いわゆるコストをそれぞれ少しずつ「損」として我慢しようというのが米国制度での考えですが、日本ではこれが少し違ってきます。 仲介業者のコストは、テナント側の賃料に転化されています。通常の賃料よりかは割高に設定されているようです。 またオーナー側は銀行融資で投資物件(アパート等)を建てますので、テナント賃料から仲介会社の取り分を除いたオーナー分は、銀行返済額よりも多くなければなりません。 賃料は、それらの思惑で決められるので割高になる傾向にあります。今回、このバランスが崩れたことにより問題が表沙汰になったと考えられます。 少し高めの賃料でも、経済環境が良ければ許容範囲であったものが、景気悪化でより安い賃料のところが求められるようになると、賃料割高のサブリース物件は空室が目立つようになり、他物件に対抗して賃料を引き下げることが求められてきます。 そうなるとオーナーは銀行への融資返済ができなくなる、いわゆる「赤字」に陥ってしまう恐れが出てきます。 この「賃料引き下げ」にいたる過程が、大きな問題となっています。これが、サブリース問題の本質ともいえる部分で、それが「契約問題」です』、賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなるのは確かに深刻な問題だ。
・『サブリース契約の問題点〜契約から考える  レオパレス21等の仲介業者とサブリースをお願いする側(一応オーナーと表現:オーナーの詳細は後述)との間の契約事項が問題になっています。 というよりも、セールス・トークと契約内容の違いが問題になっているとも言えます。 米国では、もともと「使っていない土地」にテナントをつけてもらうことでサブリース契約を結びますが、日本の場合は、仲介業者が積極的に土地を持っている人(土地持ちオーナー、いわゆる地主さん)にサブリース契約を勧める、サブリース契約を武器に投資用物件を建てさせるのが目的となっています。 「サブリース契約を武器に」と表現しましたが、武器にするには、オーナーさんにメリットがあるように見えなければなりません。 それが +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 です。 土地を持っているオーナーには、アパート経営には二の足を踏む人が多く、不動産投資の難しさや面倒さを嫌う人が多いのはよくわかります。 具体的には、地価が上がり固定資産税が上がっても家賃を引き上げられるのかという不安や、もし空室になったときはどうするのかという不安があります。 将来の修理に大きな出費がかかるのではとの心配もあります。 そこでサブリース契約では、将来の賃料値上げに対応する自動増額特約と、一定期間は空室があっても定額を払うという空室保証特約あるいは最低賃料保証特約があり、この特約でオーナーを安心させていました。 サブリース制度が日本に普及した頃はバブル経済に突入する頃で、毎年発表される地価は上昇していました。土地の価値は上がり続けるものという妄想が蔓延していましたね。 オーナーへのセールストークは「儲かる・任せる(任せられる)・保証する」だと、荻上チキ氏がラジオ番組で表現していました。実に本質を言い当てた表現ですね。 この空室保証あるいは最低賃料保証特約ですが、ずっとではなく一定期間だけとなっています。「30年間一括借入れ」という言葉にオーナーは安心するのですが、実は業者側には「中途解約権」が認められているのです。契約書にも書いてあります。 中途解約権は一定の予告期間をおいていつでも契約を解約できる権利で、企業として採算が合わなくなれば撤退できるようにしてあるのです。 契約書は字も小さいですし、契約書を隅々まで読まないでしょうからね。でも、読まないほうが悪いのですがね…』、「業者側には「中途解約権」が認められている」のであれば、「30年間一括借入れ」というのは誇大広告のような気がする。
・『サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク  セールストークが強引であることも指摘されています。裁判ではオーナー側から「聞いた話(セールストーク)と契約書が違う」と訴えているようです。 契約書に書いてある「賃料を見直す」可能性については、契約書の表現を「増減」としていて、「減ることばかりを考えていますが増えることだってある」とか「今まで減額した経験がない」と表現していたようです。 またサブリース契約自体を拒んでいるオーナーには「空室になったらどうするんですか」と詰め寄っていたとのことです。 将来の修繕費に関しても、小さく表現し、場合によっては触れないでいることもあるようです』、サブリース契約での説明責任が今後の裁判のなかで、どのように判断されるのかも注目点だ。
・『サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連  借地借家法とは、 賃貸人に比べて立場も弱く、経済的にも不利がある借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正したり補った法律です。 サブリースで問題にあるのが「32条」で、これは経済環境が大きく変動し、あるいは物件の周辺環境が変わったことで賃料を見直すことができるというもので、家主の方から賃料を増減することができることが書かれています。 この「増減」という表現を、セールストークでうまく使っていることは紹介しました。 そもそもサブリースにおける定額保証で問題となるときは経済悪化による景気後退時で、最初にサブリースが社会で問題になったのがバブル崩壊時で、その次はリーマン・ショック後です。 バブル崩壊後のサブリース契約での悪質な例として、仲介業者が勝手に賃料を減額してオーナーに減額後の取り分を支払うというケースがあります。 このときの仲介業者の言い分は +バブルが崩壊したから仕方がない +予想できない出来事が起きた +契約内容変更が妥当とされる重大な事態が起きた… でした。 しかし、これは正当化される理論ではないという判断がされています。裁判所では、経済は波であり、乱高下するのは当たり前で、バブル崩壊が予想できないということに説得力はないというものです。 これはオーナー側も反省すべきことで、10年保証とか30年保証といっても、経済環境が変われば賃料が保証されることはありえないことは想像できたはずです。 サブリース契約は、平成4年、5年に契約されているものもたくさんあります。もう既にバブルははじけている時期です。それでも家賃保証もしっかりと謳っているのです。 業者の方は、投資物件を建築して引き渡しただけで収益は十分に得られます。まさに「売り逃げ」とも取れる行為ですが、オーナー側も経済状況を考えれば、将来にわたって定額支払が約束できるのかは疑えたはずではないでしょうか。 平成15年10月21日最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています。よって自動増額特約があっても借地借家法32条1項が適用されるという結論を下しています。 家賃は下げられるということになります。 業者側は、この判例を知っていながら自動増額特約をつけている、つまり自動増額特約は単なるえさで、いつでもはずすことができると思っていたなら悪意を感じざるを得ません。 バブル崩壊後は不良債権が社会問題となっていて、仲介業者が破綻したらオーナーも困るだろうということで、賃料減額を認めています。ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります。業者は4割の賃料減額を求めていました。そうでないと、空室による賃料減とオーナーへの定額支払分では逆ザヤになってしまうのです。 中途解約権を行使する業者が増えました。サブリース契約から10年経過したものは、大きく家賃を下げる提案をして、それに応じなければ一方的に契約解消を迫っていたようです。 オーナーは、銀行への返済額を下回る賃料は認められないそうなるとサブリース契約は解消される…。 レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります』、今後、個人破産が増え、地域金融機関も大量の不良債権を抱えることになりそうだ。
・『オーナーって誰?  ここで「オーナー」という表現をしましたが、オーナーにも3通りあります。 +土地を持っているオーナー +ワンルームマンションオーナー +土地も建物もないオーナー 米国で始まったサブリースは、土地を持っているオーナー向けのものです。繰り返しますが、米国では「使っていない」土地の有効活用目的のサブリースですが、日本では土地持ちオーナーに上物(アパート等の投資用物件)を建てさせるためにあるのがサブリースです。 土地がなくてもワンルームマンションを持っていたり、あるいは新規で購入してもらうオーナーもいます。ワンルームマンションだと、購入と言ってもアパートを建てるよりも何とか手が届く金額になっているでしょう。アパートを建てるよりも身近に考えやすいのかもしれません。この一種の値ごろ感も「曲者」と言えそうですけどね。ワンルームマンションであっても立派な不動産オーナーですからね。でも、ワンルームマンションであってもサブリースのスキームは同じです。 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケースです。サラリーパーソンに多く、十分な資産がなくても不動産投資ができるというスキームにサブリースが使われています。 「かぼちゃの馬車」問題では、この不動産投資を小口に分けて、少額で投資できるようにして、資産を持たない人に不動産オーナーになれる「夢」を与えたもので、前述しましたが、弁護士の中には「夢ある博打」と表現している方もいます。 小口と言えど不動産投資です。経済環境や投資環境によりスキームが崩れることを想定しないで、資産が持てる・殖えるというところに目を奪われた人(あえて投資素人と呼びますが)が多かったのでしょう。 「あなたも不動産オーナーになれる…」サラリーパーソンの虚栄心をくすぐるのでしょうか。 サブリース問題が表に出てくるのは景気後退局面に多く、バブル崩壊後には多く見られましたが、最初のうちはサブリース契約者は土地持ちオーナーが多かったようです。 銀行融資も正常に手続が行われていました。リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました。土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります。 この間に不正手続があったのが「かぼちゃの馬車」問題です。スルガ銀行の融資書類改ざんは記憶に新しいでしょう』、「土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります」、というのはスルガ銀行のみならず、多くの地域金融機関にも広がっていたようだ。
・『悪質になってきた「サブリース問題」  「サブリース問題は性質が悪くなっている…」ある弁護士の方の言葉です。 銀行から融資を受けて投資を行う、このスキームで思い出すのは、保険会社によるバブル期の変額保険販売手法です。 バブル期では、土地と株が、持っているだけで利益を生んでいました。右肩上がりに上がる土地と株を横目に、保険会社は熟知たる思いでいたところに開発されたのが、特別勘定で保険料を株運用を行う変額保険です。 あろうことか、銀行から融資を受けさせて変額保険契約を勧める手口がとられ、銀行としても手数料がはいる、銀行・保険会社・契約者の「三方良し」の構図ができ上がったのですが、バブル崩壊で株価下落、変額保険評価額も下がり、変額保険を担保に銀行融資を受けていたので、追加の担保が求められ、結局はローンだけが残った契約者だけが損をする構図であったことは、後で気付かされました。確か法人契約だと法人税の節税にも有効というセールストークがあったのではないでしょうか。 今回のケースと全く同じです。 銀行融資でアパートを建てて、家賃保証のえさに飛びつき、経済環境変化によりその契約も解約されローンだけが残るというパターン、まったく同じですね。保険会社が不動産会社に変わっただけで、このスキームのパートナーが銀行であることは変わりません。 厳しい言い方ですが、常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです』、「三方良し」の構図は確かに変額保険契約の時と同じだ。「常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです」もその通りだ。
・『相続税対策と年金不安が殺し文句  土地を持っているオーナーに向けては、相続対策。 土地を持たないサラリーパーソンに向けては、年金不安による自助努力。 これが殺し文句となっています。でもこれは不動産業界に限らず金融業界全般に言えることで、節税対策は弁護士や税理士も好んで使っている手法と言えます。 相続対策を謳ったサイトも多く見られ、更地のままよりもアパート等の投資用物件を建てたほうが、土地の相続税評価額は大きく下がるとしています。 ただ節税対策は、その効果はその時だけで、納税額を抑えることは魅力ですが、その後の投資という要素を考えると、長期安定を第一に考えるべきです。節税目的で融資を受けることが、長期スパンで考えて得策なのかを熟考するべきです。節税効果は単年で、必ず副作用があることを忘れてはいけません。自己資本で行うならともかく、融資を受けてまで行うべきことなのでしょうか。 年金不安から、給与以外の収入確保手段として不動産投資を行うのはわかりますが、年金代わりとなれば、やはり長期安定を求めたいところです。 世の中に長期安定が確約されている投資手法なんて存在しません。投資だからこそ、収益を得たら撤退しやすい方法を選ぶべきで、そのためには、換金性が良い手法が求められます。 不動産投資には換金性、つまり現金化に難点があります。 投資は「生もの」で、経済環境で投資環境は変化するものです。繰り返しますが、長期安定の投資手法は、絶対に存在しません。イギリス貴族が用いる手法には長期安定手法があるとは聞きますが、私たちは手にすることができるのでしょうかね。 目先の利益(節税等)にとらわれず、リスクもしっかりと把握して、リターンとリスクを冷静に天秤にかけることが大事です。目先のメリットばかりを大きく捉えないようにしたいものです』、これだけ、個人の不動産投資の問題が頻発していても、いまだにTVのCMで老後に備えた不動産投資を流しているのを観ると、「懲りない」人間が多いのに驚かされる。
・『立地は大事〜駅近物件しかダメ  そもそも全ての土地の投資物件が、収益物件になることはありません。やはり立地が重要で、一般的に相続税対策を必要とする人の土地は、駅から遠いところにあることが多いです。 「不動産はどれ1つとして同じ価値のものはない…」法政大学大学院真壁昭夫教授はこう指摘しています。立地条件が全部違うので、価値が同じ不動産は存在しないとのことです。 前述の不動産コンサルタントの長嶋修氏は「駅徒歩2分がベスト、5分以内でないと投資物件としては厳しい」と断言されていました。 長嶋氏によれば、駅から1分離れるごとに120万円価値が下落するとのことです。相続税対策をする土地は駅から遠いことが多く、バス利用の土地もあり、そこに投資用物件を建てても長期安定収入が得られる可能性は決して高くないようです。 長嶋氏曰く、投資の観点から考えるなら、駅から遠い土地を売って駅近の物件を買うほうが良いと解説されています。 「サブリース案件でもうまく言っているケースもある…」それはそうでしょう。立地の良い物件だってあるでしょう。また立地条件が悪くてもオーナーの努力次第で収益を安定化させている物件もあります。人任せで何もしないオーナーの物件では、安定収益を得られるはずがないとも言えます。 国交省が毎年発表する公示地価が上がっているのは、外国人観光客によるもので、商業地区が上がっていると言われています。これらの発表数字をもとに不動産投資の将来を計ってはいけません。 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません』、その通りだ。
・『サブリース事業を規制する法律がない  賃貸住宅管理者登録制度というのがあります。 賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図ることを目的としたもので、登録事業者を公表することにより、消費者は管理業者や物件選択の判断材料として活用することが可能となります。 ただ登録は任意であり、ずっとレオパレス21は登録していませんでした(現在は登録)。国土交通省としても登録は任意なので、全ての業者の状況を把握できているわけではないとコメントしています。 宅地建物取引業法により、不動産取引に関しては厳しい規制を設け指導もされていますが、サブリース事業に関しては、特別な規制はなく、監督指導する法制度はありません。 いまだに国交省による仲介業者へは、監督指導が届かない状況にあると弁護士は指摘しています。 消費者を保護する制度の重要性は言われています。消費者庁もできました。大家と店子の関係は、持つ者と持たざる者との間の力関係がはっきりとしているので、持たざる者である店子が守られる、いわゆる弱者救済措置が取られます。 では、土地を持っているオーナーは消費者なのでしょうか。 これがサブリースにおけるオーナー保護をややこしくしています。オーナーは、土地の所有者ではありますからね。 でもある弁護士は、仲介業者は資金力から情報知識にいたるまで明らかに長けていて、オーナーとのビジネス関係であっても、力の差は歴然だと主張しています。 2度とこのような問題が起こらないように、国としても法整備を急ぐことを望みたいですね…。 うまい話なんかない。そんなにすんなりと信じないで… 性善説はもうやめよう…。1つの土地には、それぞれ立場の違う人の思惑が幾重にも交差しています。土地の活用目的が、かかわる人の立場で全然違ってきます。その土地から得る利益の取り方も違います。土地を、お金を生む道具と見るのか、親からの引継ぎ物と見るのかでも違います。 「人任せ…」これは、投資する以前の話ですね。「難しいから、ややこしいから、面倒だから…」このような考えで投資を行えば、財産をなくしても仕方がありません。 「説明を受けたが良くわからなかった…」「契約書をきちんと読んでいない…」これらは、自己防衛意識の欠落以外のなにものでもありません。 「うまい話なんてない」「そんなにすんなり信じちゃいけない」前述の真壁教授は力説されています。儲かる・任せる(任せられる)・保証する…そんなうまい話はありません。 投資リテラシーという言葉が登場して久しいですが、私たち消費者や投資家が、もっと賢くならなければならないという指摘はずっとこの情報誌でも訴えてきました。 とにかく、都合の良い解釈をしてはいけません。情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう。(続きはご購読ください。初月無料です)』、正論ではあるが、人間には、心理学的には、「悪いことは自分の身にふりかからない」と信じる傾向が備わっているという、「楽観バイアス」があるようなので、実際にはなかなか難しいようだ。

第三に、3月30日付け日刊ゲンダイ「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/250780
・『耐火性に関する施工不良で1895棟(1月末時点)の賃貸住宅が建築基準法違反に認定され、1324棟が基準法違反の疑いがあることも発覚しているサブリース大手「レオパレス21」(深山英世社長)は弁護士ら有識者を集めた第三者調査委員会(委員長=伊藤鉄男・元最高検察庁次長検事)を設置し、3月18日に中間報告書を提出した。 しかしこの委員会、そして中間報告書にはさまざまな懸念があると、レオパレス問題を追ってきたジャーナリストの村上力氏は疑問を呈する。 「そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました。それでレオパレス問題の原因の一つである国の建築行政の不備や怠慢をきちんと指摘できるのか疑問です。それに国交省から言われたことだけをやるお役所仕事になってしまうと、その後もぽろぽろと違法建築が明らかになった場合、不祥事に収拾がつかなくなります」(以下、コメントは村上氏) 委員会の中間報告書についても問題があるという。第三者委員会の設置当初のお知らせでは、〈「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(日本弁護士連合会)に準拠して、当社から完全に独立した中立・公正な専門家のみで構成される外部調査委員会を設置する〉としていた。 「しかし中間報告では<当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会のガイドラインにできる限り準拠>となっています(下線は編集部)。「できる限り」などと相当弱腰になってしまいましたが、あとで報告書の内容にケチが付いても、言い逃れできるように含みをもたせたのではないでしょうか」』、「国交省の外部有識者会議の日程に合わせて作られました」というのは、国交省から暗黙の指示があった可能性がある。同省にとって不都合な検査の問題にも触れないよう示唆されたのかも知れない。
・『ハイブリッドの不正調査をするかも不明  さらには国交省が設置した外部有識者会議にも問題があるという。 「国交省は違法建築が見つかった賃貸住宅のシリーズは、建築確認制度の中間検査が導入される99年より前に建てられたことを一時期、指摘していましたが、最近になって、99年以後に建てられたシリーズでも違法建築が見つかっています。そういうことがまだまだ起きているのに、調査委員会による真相究明がされる前から、再発防止のための有識者の人選だけが決まるというのは、普通に考えておかしくないですか」 レオパレスオーナーたちによる被害者の会は3月11日に、一級建築士による調査報告書を国土交通省とレオパレス21に提出している。 「しかし中間報告ではこれらの資料について分析していなかった。資料の中には、ハイブリッドなど賃貸住宅の新しいシリーズが含まれています。第三者委員会ガイドラインでは、類似案件についても調査スコープに入れなければならないと記されており、ハイブリッドの不正は『類似案件』として調査しなければならないはずですが、それをするかどうかも不明ですね」 また報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図も見られるという。 「中間報告では、創業者の深山祐助氏による指示が指摘され、メディアも違法建築の責任の帰趨をそこに求めるような論調になっていますが、現経営陣による隠蔽についての指摘はありません。現経営陣が隠蔽をしていたのはほぼ間違いない話です。とすれば彼らには、公募増資の問題や善管注意義務、宅建業法における重要事項の不告知などの法令違反となる疑いも生じることになり、委員会はその点を精査しなければいけないはずです」 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない』、第三者委員会がこのように「便利な方便」として使われるのを阻止するのは、マスコミだが、これにも残念ながら多くを期待することは無理なようだ。やれやれ・・・。
タグ:日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 第三者調査委員会 楽観バイアス MONEY VOICE 長嶋 修 レオパレス問題 (その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) 「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」 1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態 レオパレス21の施工不良問題 入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想 「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった 「組織的な不正」を指摘する声も 損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ 現預金は892億円 およそ半分を喪失 損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常 黄信号が灯った 空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増 今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態 施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある 「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」 「点検口の設置義務付け」 「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」 「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」 施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任 レオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました 「知らなかった…」深山英世現社長の主張 施工不良〜確認の不備、監理の不備 「中間検査」と「完了検査」 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実 官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見 民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築 2005年に耐震偽装問題が発覚 国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした 広瀬すず事務所の訴え サブリース契約の問題点〜歴史から考える もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあった 賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなる 「契約問題」 サブリース契約の問題点〜契約から考える +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 実は業者側には「中途解約権」が認められている 「30年間一括借入れ」 サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連 最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています 家賃は下げられるということになります ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります オーナーにも3通り 土地を持っているオーナー ワンルームマンションオーナー 土地も建物もないオーナー 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケース 「夢ある博打」 リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました 土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります 「かぼちゃの馬車」問題 スルガ銀行の融資書類改ざん 悪質になってきた「サブリース問題」 相続税対策と年金不安が殺し文句 立地は大事〜駅近物件しかダメ 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません サブリース事業を規制する法律がない 情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう 「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」 そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました ハイブリッドの不正調査をするかも不明 報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない
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金融関連の詐欺的事件(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、2月8日に取上げた。今日は、(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主)である。

先ずは、スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタントの沖有人氏が2月28日つけダイヤモンド・オンラインに寄稿した「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195419
・『スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか  不動産市況の変わり目は、今考えるとスルガ銀行の書類改ざん事件だった。事件の後、地銀を中心に個人に対する不動産融資の潮目は拡大から縮小に向かった。金融庁からの締め付けが、今やすべての金融機関に及ぼうとしているからだ。今回の不動産市況反転の主役は金融庁なので、不動産に投資する人はこれを踏まえて対策を考える必要がある。 金融庁がやりたいのは地銀再編である。都市銀行はおおよそ30行が4つのフィナンシャルグループに再編されたのに対して、地銀・第二地銀は100、信金・信組は400もある。金融を取り巻く環境は大手以上に中堅以下で厳しい。今回のスルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる。 不動産は、ローンを組まなければ買えない人が大半だ。だからこそ、不動産投資をする人に対する融資を止めれば、不動産を次に購入する人が買える価格が下がるため、相場が下がることになる。過去に行なわれた最も有名なこの「操作」は、日銀が行ったもので「総量規制」と呼ばれ、1980年代のバブルを終焉させるために実施された。総量規制とは、不動産への融資資金の総量を決めてしまう方法だ』、「総量規制」をしたのは、正しくは日銀ではなく、大蔵省(財務省)。
・『それ以外にも、不動産への資金を止める方法はある。金利を上げることだ。金利を上げると、期待利回りと借入金利との差(これはイールドギャップと呼ばれる)が一定量必要な投資家にとっては、期待利回りを高くして、つまり物件価格が安くなる状況でしか買えなくなる。これを行うのは主に日銀になるが、当面金利が上がる理由はないので、起こることはほぼないだろう。 今回の主役は金融庁だけに、金利などを動かすことはできない。いわゆる口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる。 ローン比率とは、物件価格に対するローンの割合を指す。9割なら、頭金を1割用意することになる。これまで9割だったものが8割、7割、6割となっていくと、用意できる頭金が足りない買い手は買えなくなる。たとえば、頭金で1000万円の用意がある人は、ローン比率9割なら9000万円のローンを借りて1億円の物件を購入できる。このローン比率が8割になると、同じ頭金では買える価格は半減し、5000万円になる。7割で3333万円、6割で2500万円という具合に、融資の厳格化は不動産投資にとって「効果覿面」なのだ。 こうして買値が下がっていき、買い手が少なくなることで不動産相場は下落に転じる。これは「銀行あるある」だが、ある日突然融資姿勢が厳しくなることがある。当初「8割融資する」と言っておきながら、口約束が反故にされて「6割になりました」と切り出されるのはよくあることだ。 こうした事情により、今回、投資用不動産への融資は急速に縮小を始めている。当面は資産性がないもの、サラリーマン投資家が手を出しやすい新築・中古のワンルーム投資から規制が厳しくなる。2月より3月、3月より4月と厳しくなっていくはずだ。 そうなると、不動産を保有して売っている事業者はそれらを売れずに価格が下落し、銀行からの返済条件が厳しくなっていき、最終的に倒産に至るケースも出てくるだろう。規模の大きな不動産事業者でも、銀行に貸し剥がしをされたらひとたまりもない。不動産業界では黒字でもキャッシュショートして倒産することが多いし、連鎖的に銀行が再編されることも考えられなくもない。2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい』、スルガ銀行事件をみるまでもなく、投資用不動産は明らかにバブルだったので、調整は必至だ。
・『過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う  しかし、不安ばかりを募らせる必要はない。同じ不動産でも、投資向けと自宅向けは違うのだ。住宅ローンは不動産価格を見ているというよりも、購入者の年収から返済可能かどうかを見ている。それだけ安全債権なのであり、住宅ローンを貸し出す銀行の債権は保証会社によって裏で保証されるなど、リスクフリーになっていたりする。 その点、自宅の住宅ローンは消費者として保護されていると言ってもいい。貸し剥がしにあって自宅を追い出されるようなことはない。自分で売却して住み替えるにしても、住宅ローンの完済が必要なので、頭金以上に値下がりすると売却すらできない。このため、自宅マンションの資産価値は落ちにくい。 実際、リーマンショック後でも新築物件の価格は2割、中古が1割しか下がらなかったのが実情である。100年に一度の金融危機でもこの程度だったので、今回の投資用不動産の下落局面でも、分譲マンション価格の下落はたかが知れていると思われる。 今指摘されていることは、住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケースだ。住宅ローンが自宅でない融資に利用されている場合、金融庁は看過しないだろう。こうした手法は規制が厳格化されて、できなくなる可能性がある。そもそも自宅として住むからこそ、低金利になっているのだから』、「住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース」は銀行もそれを承知の上だったのだろう。「自宅マンションの資産価値は落ちにくい」というのは、投資用不動産に比べればということで、下がる時は下がるとみるべきだ。やはり、「不動産コンサルタント」としての筆者の営業トークと考えるべきだろう。
・『投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か?  では、どうすればいいか。まず、投資用ワンルームを持っている人は損切りになるとしても3月までに売り切ろう。それ以上遅いと手遅れになるかもしれず、ローン完済までキャッシュアウトが続いて苦しむことになる。通常、投資用ワンルームを持っている人は自宅の住宅ローンも厳しいことが多い。ここで売却できれば、自宅も買えるようになるので一挙両得になる。 1棟まるごとのアパート・マンションを持っている人は、再度将来のシミュレーションをしておこう。今後の返済リスクがどの程度あるか、キャッシュフローはどのように変化するかがポイントになる。それらが安定的に推移していくよう、自分ができることは何かを考えよう。物件を組み替えるには時間がないので、持ち続けられるか、切り離すならどれか、それはいくらならいいか、といったことを判断することになる。 自宅を持っている人は慌てないことだ。不動産でも投資と自宅は全くマーケットが異なる。対岸の火事に慌てて売り急ぐ人が増えると、相場自体の軟調に拍車をかけることになりかねない』、これについては、概ね妥当なアドバイスだと思う。

次に、3月18日付け東洋経済オンライン「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/271322
・『「アパート用地をお売りできます。ご興味ありませんか。これまで土地を買ってくれていた会社がアパート建設から撤退して、残っているのです」 西日本のアパート建設業者に数カ月前、不動産業者から電話が入った。電話を受けた担当者は難色を示した。「経営環境が厳しいのはウチも同じ。アパートの購入希望者を見つけても銀行からの融資を受けられず、販売できない。昨年からですね、ここまで風向きが変わったのは」。 3月18日発売の『週刊東洋経済』は「不動産バブル崩壊前夜」を特集。2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年だった。上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻。土地の販売業者などと結託し、無茶な利回り想定など不適切な手法で個人投資家に物件を販売していた。下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚。預金残高を水増しし、銀行から不正に融資を引き出していた』、「投資用不動産業界にとって悪夢」は、銀行の姿勢慎重化で、これからさらに酷くなる可能性がある。
・『アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ  これらの事件を経て「不動産業者に対する金融機関の姿勢は急に厳しくなった」(前出のアパート建設業者)。都内の信用金庫幹部は言う。「昨年後半から、今まで付き合いのなかった不動産業者が物件を持ち込んでくることが増えた。地方銀行が一斉に手を引いたため、うちにすがりついてきたようだ」。銀行・信金によるアパートローン(個人による貸家業向け貸し出し)の新規融資額は16年をピークに右肩下がりになっている。 投資家への融資が実行されなければ、物件が在庫として残り、資金を回収できないため、不動産業者は必死だ。冒頭のアパート建設業者は、「融資が受けられるように物件価格を値下げした。その差額はこちらがかぶった」とこぼす。物件価格を下げれば融資の必要額を減らすことができるし、利回り(=賃料収入÷物件価格)もアップして、金融機関から融資を引き出しやすくなる。 だが、いたちごっこ。金融機関も融資のハードルを一段と引き上げている。前出の信金幹部は、「案件がたくさん持ち込まれるようになってから、融資条件を引き上げた」と明かす。従来アパートローンは、物件価格の1割の頭金があれば融資していたが、2割に引き上げたのだ。 「簡単に融資を承認すると、『あそこなら融資が受けられるぞ!』という話が業界内で広まり、どんどん案件が持ち込まれてしまう。不動産業界向け融資の比率を高めるとリスク管理上問題があるので、いい案件に絞って融資するようにしている」(信金幹部)。東海地方が地盤の地銀も、融資に当たってのストレステスト(健全性審査)の条件を厳しくした。 「そこまでするのか」。不動産投資家の依田泰典氏は、横浜銀行の担当者の話に思わず声を上げた。同行は昨年10月から自己資金確認書類の提出を厳格化した。TATERUの不祥事発覚から1カ月後のことだ。 横浜銀行によると、不動産融資の際、これまでは預金通帳のコピーでよかったが、原本の提出も義務づけた。ネットバンキングなら複数人で画面を確認し、確認時の日付を記録することをマニュアルとして定めたという』、横浜銀行の対応は、これまでのズサンさを是正しただけなのに、不動産投資家は不満のようだ。
・『融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス  ほかの地銀でも手続きの厳格化が進む。業者や投資家から「融資を受けやすい」と評されるオリックス銀行でさえ、昨年後半から「表明保証」という新たな手続きを取っている。顧客の提出書類について、原本の写しと相違ないと顧客が署名捺印のうえ表明し保証する文書の提出を義務化したのだ。 手続きの厳格化だけではない。「りそな銀行が一部の投資家にローンの返済を求めているようだ」。今年に入り、不動産投資家の間でこんな噂が駆け巡った。 一部の投資家とは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれる手法を用いている投資家のこと。購入したい物件ごとに法人を設立し、各法人が融資を受ける。投資家個人の信用情報には借り入れが記載されないため、より多くの融資を引き出せ、資産規模を一気に増やす方法として広まった。 法人を複数設立して融資を引き出すこと自体は違法ではない。問題なのは、複数の法人を設立して融資を受けているにもかかわらず、金融機関にはポートフォリオ全体の状況を伝えていない場合だ。金融機関が確認できるのは融資を求める法人が保有する資産のみ。収益性に難のある物件をほかの法人が保有していても見破るのは難しい。「確定申告書や投資家へのヒアリングなどで保有資産を調べはするが、すべてを把握することはできない」(首都圏の地銀幹部)。 当のりそな銀行の幹部は、「1法人1物件スキームを用いている投資家に対して、昨秋から『資産の全体を見せてください』と厳格に言うようにした」と認める。全体を見せてもらったうえで、信用が悪化している人に対しては今までよりも高い金利や融資の返済を求めたりすることがあるという。 同スキームについてはりそな銀行以外の金融機関も調査を始めている。信金幹部は言う。「合同会社からの申し込みにはとくに気をつけている」。同スキームの法人は合同会社として設立されることも多い。株式会社より設立時や設立後の費用が安く済むからだ。この信金が調べた中では、1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた』、「1法人1物件スキーム」とは初耳だが、そこまで融資姿勢を積極化していたことに、改めて驚かされた。
・『金融機関が融資姿勢を厳格化している背景には、金融庁の動きもある。「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」──。昨年10月下旬、金融庁は全国の金融機関にアンケートを送付した。1棟建てのアパートやマンションなどの融資実行額、件数、債務者数、貸し出し利回りなどを事細かに記載させる。 とくに全42問中33問を割いて聞いたのが、「1棟建てアパート・マンション・シェアハウスなどの土地・建物双方を購入するための融資」に関するもの。金融庁が問題視していることが伝わってくる。「立地や賃料水準から見て不動産価格が妥当かどうか検証しているか」「空室・賃料減のリスクを債務者に説明しているか」などと質問し、「融資姿勢に問題がある金融機関を巧妙にあぶり出そうとしている」(金融機関関係者)。 金融庁はアンケートの回答に加え、投資用不動産向け融資について議論が行われた取締役会や経営会議の議事録の提出も求めた。全国各行から回収したアンケート結果を基に、「個別ヒアリングを検討中」(金融庁)だ』、金融庁は従来から問題に気付いていた筈だが、これだけ問題が拡大した以上、厳しい対応をせざるを得ないようだ。
・『「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い  金融機関の融資姿勢は厳格化しているが、足元で不動産投資に対する意欲は衰えていない。1月、東京ビッグサイトで開催された「資産運用EXPO」。アパートやマンションなど投資用不動産のブースには説明を受ける個人投資家が連なり、セミナーも満席が相次いでいた。不動産仲介大手の野村不動産アーバンネットが同じく1月に会員に対して実施したアンケートでも、4割近い投資家が「不動産は買い時だ」と答えている。 恐怖シナリオとしてチラつくのが、1990年に大蔵省(当時)が金融機関に発した「総量規制」のようなことが再び起きるのか、ということ。地価上昇が続く中で、不動産向け融資の伸び率を全体の伸び率以下に抑制するよう通達した結果、融資が急縮小、不動産や株の価格が下落し、平成バブルの崩壊につながった。 しかし、今の金融庁はアンケートやヒアリングを通じて金融機関に注意を喚起してはいるものの、融資量についての制限までは指示していない。「量の規制は民間部門への過剰介入になりかねず、金融庁が踏み込むことはないだろう」(金融機関関係者)というのが大方の見方だ。 アパートローンなど不動産への新規融資はすでに減速している。また、物件価格高騰に伴うリスク増大で金融機関は、不動産向け融資に一層慎重になる可能性がある。金融庁による規制強化がなくても総量規制時に近い金融収縮や、そこからのバブル崩壊が起きかねない状況にある』、「投資意欲はまだ強い」ようだが、前回の不動産バブル崩壊時も当初は余熱が残っていたことを考えると、萎縮に転じるのも時間の問題だろう。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が3月19日付け現代ビジネスに寄稿した「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63382
・『スキームも背後関係も似ている  被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件され注目される中、いま別の大型投資詐欺事件に、警視庁が頭を痛めているという。 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件のことだ。 同社は2013年2月、傘下に株式会社Shunkaという会社を設立し、「中高年の富裕層女性の社交サークル」と銘打った「春華乃会」(その後「Hana倶楽部」に改称)を主催。 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである。 ロゼッタは5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた。しかし、その大半は消失。同年6月に開かれた債権者集会では、破産管財人の弁護士が「換価可能な資産は現金18万円あまり」と報告。それ以外は見つかっていないと述べた。 この事件について、警視庁捜査関係者が語る。 「テキシアと類似の詐欺事件と言える。しかも、詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複している。その点からしても、悪質さは同様だ」 詳しく話を聞いてみると、テキシアが行っていたダイヤモンドや仮想通貨を名目とした投資に参画していた人物が、ロゼッタの投資商品にも深く関与していたことがわかった。外形といい、事件の背後で蠢く面々といい、テキシア事件と酷似しているわけである。 だがロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある。同関係者はこう打ち明ける。 「(詐欺事件を担当する)警視庁二課は鋭意、捜査を進めている。だが、実はそこに安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている。官邸を配慮する上層部がいるため、事件化しにくい」 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場していたことは、昨年週刊誌で報じられ一時話題になった。 実際に見てみると、「今、世界で輝き続けるブリリアントレディ スペシャルインタビュー~再び、ファーストレディになって想うこと~」と題して、「私は総理大臣の一番近くにいる存在。皆さんの声を直接届けられる、国民の代表だと思っています」「過去には後悔することもたくさんあるし、未来を考えれば不安もある。だから過去や未来にとらわれず、今を幸せに生きるのが一番ではないでしょうか」などと語っていた。 まるでロゼッタの広告塔だ。事実、この記事を見て出資を決めた会員もいたという。 もっとも、この雑誌には、鳩山由紀夫元首相の妻・幸夫人やファッションデザイナーの桂由美氏らも登場している。その意味では、昭恵夫人もそうしたセレブリティの一人に過ぎないが、「やはり、現役の首相夫人である昭恵さんはわけが違う」と同関係者は言う』、こんな悪質な投資詐欺事件に昭恵夫人が登場するとは、「脇の甘さ」は人並み外れているようだ。野党は何をしているのだろう。
・『動きが取れない…?  一方、官邸筋もこう語る。 「安倍首相や官邸を気遣う向きは、捜査権を持つゆえに政権からの独立性が確保されているはずの警察においても、いまは非常に強い。警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている」 いわゆる「忖度」は、幹部人事が内閣人事局に掌握され、政権の意向が色濃く反映される官僚だけでなく、いまや警察にも蔓延しているようだ。この人物は以下のような具体例を列挙した。 +元TBS記者事件: 2016年6月、安倍首相をはじめ菅義偉官房長官らとも親交のあったTBSの元記者が、フリーの女性ジャーナリストに薬物を飲ませた上、レイプしたとして準強姦の容疑で逮捕状を請求された。その執行直前に、かつて菅官房長官の秘書官を務めた警察庁の中村格官房長(当時は警視庁刑事部長)が執行停止命令を下したと週刊新潮が報じ、「政権への忖度ではないか」と物議を醸した。同誌の報道では、元記者が北村滋内閣情報官に相談のメールを入れていたことも報じられている。
+マイナス金利:安倍政権の看板政策であるマイナス金利に関連して、2016年2月に開かれた国家公安員会の席上、「こうした(マイナス金利の)状況になると、利殖名目の詐欺などが起こりかねない」「いまでさえ振り込め詐欺のような金融犯罪が多発し、多くの国民被害が出ている以上、こういった観点からの警戒も必要では」などとの指摘がなされ、犯罪防止のために警察庁として広報することになったが、その直後、「アベノミクスのイメージを棄損しかねない」という理由から中止になった。
+前川事件:「加計学園問題」で安倍首相に不利な発言をした前川喜平元文部科学省次官についての情報を内閣官房が収集して、官邸に報告。2017年5月、菅官房長官はそれをもとに、前川氏が売春などの温床となっていると言われる東京・新宿の『出会い系バー』と呼ばれる飲食店に出入りしていたと記者会見で批判。また、この情報は会見以前に読売新聞にもリークされたとされる。
+東京新聞問題:記者会見で菅官房長官と熾烈な争いを繰り広げている東京新聞の女性記者についての情報収集を2017年6月以降、内閣官房が行い、それを官邸に報告している。
+田畑議員事件:2019年2月、自民党の田畑毅議員が、泥酔して意識を失った女性に対して性行為に及んだとして準強制性交等罪の容疑で告訴されたが、その直後、警察庁の中村格官房長が官邸を訪れ、状況報告などを行ったとされる。
 ことほど左様、警察から政権への“忖度”は蔓延しているというのだ。 「こうなると、現場は上から頭を押さえつけられているようなもの。動きが取れないだろう」 官邸筋は、ロゼッタの捜査についてもそう語った』、マイナス金利の広報自粛は初耳だが、ここまで警察が“忖度”しているとは、警察の「政権からの独立性」は画に描いた餅で、法治国家の名を汚すものだ。
・『また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」  他方、警視庁の別の捜査関係者は、「捜査を困難にしている要因は、ほかにもある」と明かすのだった。 「実は、ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた。内偵の過程で判明し、現在は本庁から所轄署に出されているが、それで問題が解消されたわけではない。いまだ捜査情報が耳に入ることもあり、それが相手方に漏れる危険性がある。 それに加えて、立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定だ。捜査が進捗しないのは、そうした不都合があるからだ」 また汚職である。元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似している。いったい何度、同じようなことを繰り返すのか。 「被害額300億円、被害者数1万人といえば、1万3000人から460億円をだまし取ったテキシアに匹敵する規模だ。テキシアを摘発しながら、こちらはやらないと言うのは具合が悪いのだが……」(同捜査関係者) 警察と犯罪者の癒着や、政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない。自浄の道は残されているのか――』、「忖度」だけでなく、警察自体が犯罪者との癒着という不都合を抱えているとは、いい加減にしてもらいたいものだ。

第四に、3月27日付け日経ビジネスオンライン「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/032700192/
・『アパートの施工・管理を手がけるTATERUが3月26日に開いた株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだという。昨年8月にアパート建設希望者に対する融資資料を社員が改ざんしていたことが発覚。これ以降、業績は悪化、足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷しているのだから無理もない。 同社は不正発覚を受け、昨年9月に弁護士などで構成する第三者委員会を設置。同12月にまとめた調査結果報告書によると、預金残高を水増ししたり、他人の預金通帳の写しを顧客のものとして金融機関に提出したりするなどして、融資に通りやすくしていた。こうした改ざんは350件にのぼり、社員31人が関与していた。 不正の横行が明らかになった状況で開かれた今回の株主総会。出席した株主によると、「常勤の監査等委員の設置を求める」との声が出たという。同社で監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満があるようだ。 そもそもTATERUは「監査等委員会設置会社」と呼ばれる会社形態だ。2015年の会社法改正で導入されたもので、3人以上で構成する「監査等委員会」が経営をチェックする仕組み。委員の過半を社外取締役にすることが求められており、TATERUでは3人の委員がいずれも社外取締役と、独立性の高い体制を整えていた。それでも、不正は見逃されたことになる。 企業統治の強化が求められる中、取締役会で投票権を持たない監査役を置く「監査役会設置会社」から、監査等委員会設置会社に移行する上場企業は増えている。日本取締役協会の調べでは、2018年8月時点で東証1部上場企業のうち513社が移行、全体の4分の1を占めている。 会社の意思決定に外部の見方を取り入れ、ガバナンスの透明性を確保する役割が期待される社外取締役。今秋の臨時国会に提出される見込みの会社法改正案では、上場会社や非上場の大会社を対象に社外取締役の設置を義務付ける方向だ。 だが、カタチを整えても、中身が伴わなければ、不正は防げない。TATERUの株主が提起したように、常勤の取締役がいれば、チェック機能が働くかは分からないが、社外取締役ありきのガバナンス論に一石を投じたのは確かだろう』、「常勤の取締役」がいても、監査等委員だけでなく、営業推進などの責任を担っていれば、独立性は期待できない。むしろ、監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待できるだろう。 
タグ:東洋経済オンライン 横浜銀行 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス マイナス金利 沖有人 金融関連の詐欺的事件 時任 兼作 (その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) 「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」 スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか 金融庁がやりたいのは地銀再編 スルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる 「総量規制」 口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる 2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい 過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う 住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース 投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か? 「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」 2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年 上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻 下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚 アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ 自己資金確認書類の提出を厳格化 融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス 「1法人1物件スキーム」 1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた 金融庁の動きも 「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」 個別ヒアリングを検討中 「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い 「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」 スキームも背後関係も似ている 被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件 「中高年の富裕層女性の社交サークル」 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである 5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた 詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複 悪質さは同様だ ロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある 安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場 まるでロゼッタの広告塔だ 動きが取れない…? 政権からの独立性が確保されているはずの警察 警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている 「忖度」 いまや警察にも蔓延 元TBS記者事件 前川事件 東京新聞問題 田畑議員事件 また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」 ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた 立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定 元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似 政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない 「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」 株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだ 足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷 「常勤の監査等委員の設置を求める」との声 監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満 監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待
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決済システム(その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由) [金融]

決済システムについては、昨年10月2日に取上げた。今日は、(その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由)である。

先ずは、1月27日付けHatena Blogが日経ビジネスオンライン「キャッシュレス比率、実は6割超 “通説”に反するデータとは」の有料記事をもとに掲載した「[日経ビジネス]キャッシュレス比率5割超!?…統計って難しいね」の一部を紹介しよう。
https://abcdefgh.hateblo.jp/entry/2019/01/27/234021
・『キャッシュレス比率、実は5割超 “通説”に反するデータとは  本日は日経ビジネスのこの記事に関する話です。一般的に日本は現金文化であり、キャッシュレスの進みは遅いと言われています。 日本では決済額に占める比率は約2割にとどまるとされ、韓国(89%)や米国(45%)に後れを取ると指摘されてきた。…(中略)… ところが、前提となる2割という数字に異を唱えるような調査に改めて注目が集まっている。金融庁が2018年秋に公表していた独自調査だ。それによると、日本のキャッシュレス比率は既に5割超あるという。 経済産業省が算出した「約2割」と金融庁が算出した「5割超」、何故こんなにも大きな乖離があるのか? それは調査手法の違いが原因のようです。 すごーく、ざっくり言うと、 (A)クレジットカード/デビットカード(14.9%) (B)公共料金や家賃・ローンの口座振替(17.1%) (C)ネットバンキングなどによる他口座への振り込み(22.3%) のうち、 ■経済産業省:(A)のみ ■金融庁:(A)+(B)+(C) ということのようです』、統計不正が問題になっているが、これは統計の利用目的の違いで不正ではない。経産省は、消費税増税対策にかこつけてキャッシュレス決済を推進したいために、日本が「遅れている」との印象を与える数字を使ったのだろう。
・『統計って難しいですね  うーん、言いたいことが多いので順番に…。
①他口座への振り込みをキャッシュレスに入れるべき?(まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか?? 振り込み先の口座で現金を引き出しているケースも結構あると思うんですけどね…』、これは誤り。振り込み先の口座での決済は別途カウントされるので、切り離して考えるべき。
・『②公共料金や家賃、ローンの口座振替もキャッシュレスに入れるべき?(まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか?? 言いたいことは①と全く同じです(笑) この統計結果を使って「何を語るのか」にも依るとは思いますが、違和感はぬぐえないです』、これも同様に。誤った見方で、私には金融庁の見解の方が正しいように思える。
・『③そもそも金額ベースでキャッシュレス比率を算出する?(①②の根底にある疑問として、そもそもキャッシュレス比率って「金額ベース」で算出するべきものなのでしょうか? 上記で記載している通り、このキャッシュレス比率の算出目的に依るのでしょうが、仮に「キャッシュレスの浸透率」を出したいのであれば、金額ではなく、支払回数(頻度)で算出するべきだと思います。 例えば、コンビニで100人の買い物客がいて、50人が電子マネーで合計9万円分の買い物を、残りの50人が現金で合計1万円分の買い物をした場合、キャッシュレス比率は何が適切でしょうか? きっと金額ベースで90%と出すよりも、支払回数ベースで50%と出すほうが実態に近い気がします(特に「(B)公共料金や家賃・ローンの口座振替」をキャッシュレスに含む場合は)』、利用目的によるが、支払回数ベースでは国際比較は難しいのではないか。
・『④同じ「定義」で比較しているのか?(まぁ、いずれにしても同じ「定義」で比較しているのであれば、意味のある数字だと思います。言い換えると、「(A)のみ」ではなく、「(A)+(B)+(C)」で算出するのであれば、日本だけでなく、他国も同じ定義で計算しないと何とも言えないなぁと』、金融庁のデータを見た訳ではないが、恐らく比較に耐える同じ定義で計算していると思われる。
・『統計以外で言いたいこと:口座振替は日本特有!(ちなみに「口座振替」って日本特有みたいですね。 18年春に全国銀行協会の平野信行会長(当時、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は、「日本はキャッシュレス化が著しく遅れているといわれるが、銀行システムの面では進んでいる」と反論している。 銀行側の言い分はこうだ。米国をはじめ他の主要国では口座振替機能が充実しておらず、公共料金や家賃の支払いもクレジットカードや小切手を使うことが多い。日本の銀行が利便性向上を怠ってきたわけではない……。 外国って口座振替の機能ってないんですね…。 少し調べてみたところ、Wikipediaにこんな記載がありました。 一方、小切手の利用が浸透している欧米では、文化的に銀行の自らの口座から勝手に引き落とされることに抵抗があるとされ、公共料金等の支払いは自宅に郵送される請求書の金額を確認したうえで個人小切手を郵送して支払うことが多い 口座自動振替 - Wikipedia うーん、クレジットカードも似たようなものだと思いますが、そうなんですね。 絶対便利だと思うのですが…。 日本はガラパコスと言われることが多いですが、実際には「進んでいる」という意味でのガラパコスが多いと思うんですよね。 上手く海外にサービス展開して、日本のサービス/機能をデファクトスタンダードにして欲しいですね』、英国では口座自動振替が徐々に広がっているらしいが、中心は小切手。仮に「口座振替は日本特有」だとしても、これを含めて国際比較するのは当然である。決済は、各国それぞれの事情があるので、「日本のサービス/機能をデファクトスタンダードにして欲しい」というのは、気持としては分かるが、無理だろう。それにしても、経産省の統計の使い方は、余りに我田引水だが、官邸を巻き込んでいるだけに、多くのマスコミは疑問をはさまずに報道している。消費増税対策については、改めて後日、取上げるつもりである。

次に、1月22日付け日経ビジネスオンライン「PayPay狂騒曲、ひそかに笑った「あの銀行」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/012200021/
・『ソフトバンクとヤフーが運営するスマートフォンの決済サービス「PayPay」が総額100億円の還元キャンペーンを打ち出したのは2018年12月初め。決済に対応したビックカメラには長蛇の列ができ、還元の原資はわずか10日間ほどでなくなった。この狂騒曲の裏側には、陰の勝者が存在する。 正体はヤフーが出資する金融機関、ジャパンネット銀行(東京・新宿)。法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした。その多くは、PayPay決済を店頭で導入した加盟店の店主たちというのがミソだ。 なぜか。クレジットカードをはじめキャッシュレス決済の場合、当然ながら「消費者が店頭で買い物をするタイミング」と「店側が決済サービスの提供会社から売上金を受け取るタイミング」に時間差が生じる。クレジットカードだと一般的に月2回に分けて入金される。QRコード(2次元バーコード)決済の有力サービスである「LINE Pay」でも、その月の売り上げは翌月末に戻ってくるといった具合だ。 こうした仕組みを熟知していたジャパンネット銀行が対応に動いた。PayPay決済に「最短で翌日入金」という方式を取り入れたのだ。もちろんその場で受け取れる現金ほど早くはないが、店側にとっては従来型に比べれば資金繰りは大幅に楽になる。そもそも零細商店のなかには、入金の時間差を嫌がって現金決済にこだわってきた所も多かった。こうした現状や気持ちを冷静に分析し、速やかに処方箋を出したことが勝因と言える。 2000年開業のジャパンネット銀は、日本のインターネット専業銀行の先駆けである。だが預金残高で見れば後発の住信SBIネット銀行やソニー銀行などに追い越されて久しく、独自の成長プランを描けるかどうかが問われている。今回の需要掘り起こしに限らず、新たな顧客層へのアプローチを続けられるかが問われそうだ』、ジャパンネット銀行の対応は、見事だが、「法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした」のは、「総額100億円の還元キャンペーン」の効果もあったのではなかろうか。

第三に、金融アナリストでマネックス証券 執行役員の大槻 奈那氏が2月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/263411
・『東京のコンビニのレジにはいまや40種類ものキャッシュレス決済手段が並ぶ。さらに、1月22日、メルカリが子会社「メルペイ」に売上金を移管すると発表し、キャッシュレス決済の布石ではないか、と話題になっている。これ以外にも、今年中に5種類以上がスタートする予定だ。とりわけ利用者が増加しているのがモバイル決済。市場調査のICT総研は、2021年度末には2018年度末の2倍以上の1953万人がモバイル決済を利用するようになると予想している。 モバイル決済の伸びは足元でさらに加速している模様だ。火をつけたのが、昨年12月のソフトバンクとヤフーのペイペイによる「100億円あげちゃうキャンペーン」だった。仮に1口座当たりの利用額が1~2万円とすると、この間に200〜400万のアカウントが開設された計算である。新生銀行や住信SBIなどのリテール口座数が300万程度。ペイペイはわずか10日でこれらに匹敵する顧客を集めたことになる。 モバイル決済自体は特に新しいわけではない。すでに2016年にOrigami PayがQRコードによるモバイル決済をスタートしている。一部の店舗で2%の直接割引がその場で受けられることなどが売りだった。 しかし当初のモバイル決済の普及は緩やかだった。日本では現金の信頼性や利便性が高すぎる。それを犠牲にしキャッシュレス決済に向かわせるには、限られた場所で受けられる2%の特典では不十分だったようだ。ところが、同じく利用場所が限られたペイペイは、20%という桁違いの還元キャンペーンで一気に顧客を引き寄せた』、「100億円」、「20%という桁違いの還元」キャンペーンは確かにインパクトが大きかったのだろう。
・『ここまできた還元合戦  ペイペイを運営するソフトバンクは、2000年代初頭のモデム無料配布でトップシェアに躍り出た成功体験を持つ。しかし、今回はペイペイの独走は許されなかった。ペイペイがシステムトラブルでミソをつけてしまったのち、LINEPayも12月後半に20%還元キャンペーンに追随したからだ。 20%という大胆なキャンペーンが終わった今でも、たとえば、LINEpayは、今年7月まで3.5~5%という高い還元率に設定している。楽天Payなどは、それだけでは還元率は高くないが、高還元バーチャルカードのKyash(還元率2%)と組み合わせて使えば、3%以上の還元率もありうる。今年も新たに5種類以上のモバイル決済が開始される。利用者が大盤振る舞いに慣れてしまった今、新規参入組も、恐らく還元合戦に参画せざるを得ないだろう。 (リンク先には「戦国時代、乱立する日本のモバイル決済」の表) 決済サービスには「ネットワーク外部性」が働く。つまり、利用者数が多いほど、価値が高まる。個人決済はまさにネットワーク外部性が重要になる。 晴れてデファクトスタンダードとなれば、個人の詳細な行動データが獲得できる。小口決済データは個人の日々の生活をかなり詳細に映し出す。中国のアリペイは、個人の信用力スコアを金融商品から婚活サイトまでの幅広いサービスに活用している。先日、ウィーチャットペイを運営するテンセントも同様のスコアリングを開始すると報じられた。 日本でも、行動データが独占的に取得できれば、これまでの消費者金融とは別次元の精緻な信用力分析が可能になる。そうなれば、たとえば年率10%前後のローンを極めて低い貸倒率で実行できるかもしれない。 しかし、デファクト獲得の道は険しくなっている。従来のクレジットカードや電子マネーの場合、選択する際の尺度として、使える加盟店の数や保有することのステータスなどがあった。しかし、モバイル決済の場合、見せびらかしはできない。アプリを設定しても持ち運びの負担は増えないため、とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいいため、加盟店の数もそこまでの差別化にはならない。 このため、決済アプリは、ポイントなどの特典が最大の焦点になりつつある』、決済アプリは、「とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいい」というのでは、競争激化は必至で、体力勝負にならざるを得ないだろう。
・『参入せざるを得ない銀行  そんな中、メガバンクも動きだした。昨年11月、銀行連合が統一QRコードによるスマホ決済の開発を発表した。それとは別に、みずほフィナンシャルグループは地銀に対し、自社開発の電子マネー・Jコインへの参加を呼びかけている。 現在メガ各行は、内国為替、つまり、ATMや送金手数料等で、年間千億円以上の収益を上げている。決済アプリを手がければ、こうした自行の既存サービスとカニバリゼーション(注)を起こしかねない(注:共食い)。それでも他社に取られて行くよりはマシだ。さらに、一部の報道にあったように、将来的には電子マネーでの給与の支払いまで認められるかもしれない。これが実現すれば、日本の小口決済は、世界にも例をみない"銀行はずし"のシステムとなる。ここで出遅れるわけにはいかない。 しかし問題は、後発組の銀行連合の決済システムを使ってもらえるかどうかである。自分の給与口座から直接資金を移動できるので便利にみえるし、加盟店手数料を安価に設定するとも伝えられているが、それだけでは個人を引きつけるお得感はない。 このような決済サービスの乱立は続くのだろうか。問題は、決済アプリの極めて低いスイッチングコストだ。カード情報や銀行口座番号をアプリに入力するだけで済むため、お得なサービスが出れば、すぐに乗り換えられてしまう。だとすると、最初のキャンペーンだけではなく、つねに他社を上回るお得感を感じさせ続ける必要がある。この消耗戦に生き残れる運営会社はどれだけあるだろうか。 生き残りの条件は、顧客にメリットを与え続けることに加え、利用場所に近いこともカギとなるだろう。Eコマースを運営するアリババがこのパターンだ。日本でいえば、楽天ペイなどが一例だ。 あるいは、実質的なスイッチング・コストを引き上げることも一案だ。たとえば、ロイヤリティ・プログラムやポイントの運用などで、長く使うとメリットが増えるようにする。利用によってレベルが上がるLINE Payの「マイカラー」がやや近いが、これは利用額に応じたもので、必ずしも長期利用を促すものではない』、「実質的なスイッチング・コストを引き上げる」というのは確かによさそうなアイデアだ。
・『淘汰の波が訪れたらどうなるのか  淘汰の波が訪れた場合、最も気になるのが情報セキュリティ面だ。それまでに蓄積されたデータが狙われた時に、収益が上がらぬ中でコストをかけて守り切れるかどうかが懸念される。また、個人利用者、特に高齢者の場合、今のガラケー同様に、いったん使えるようになったサービスがなくなったら、新しいサービスについていけず、決済という重要な生活手段を失いかねない。 安易な集客は、最終的に顧客をリスクにさらしかねない。決済という重要な社会インフラに混乱をきたすことがないよう長期目線の戦略で臨んでほしい』、さすが金融アナリストだけあって、説得力がある。その通りだろう。
タグ:ジャパンネット銀行 経産省 東洋経済オンライン 決済システム 日経ビジネスオンライン アリペイ 大槻 奈那 楽天Pay (その3)(キャッシュレス比率 実は6割超 “通説”に反するデータとは、PayPay狂騒曲 ひそかに笑った「あの銀行」、還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由) Hatena Blog 「[日経ビジネス]キャッシュレス比率5割超!?…統計って難しいね」 キャッシュレス比率、実は5割超 “通説”に反するデータとは 日本では決済額に占める比率は約2割にとどまるとされ、韓国(89%)や米国(45%)に後れを取ると指摘 金融庁が2018年秋に公表していた独自調査 日本のキャッシュレス比率は既に5割超ある 消費税増税対策にかこつけてキャッシュレス決済を推進 他口座への振り込み 公共料金や家賃、ローンの口座振替もキャッシュレスに入れるべき? そもそも金額ベースでキャッシュレス比率を算出する? 同じ「定義」で比較しているのか? 統計以外で言いたいこと:口座振替は日本特有! 「PayPay狂騒曲、ひそかに笑った「あの銀行」」 総額100億円の還元キャンペーン 陰の勝者 法人の新規口座開設数を18年12月前半で17年の同じ期に比べて実に2.5倍に増やした 「最短で翌日入金」という方式を取り入れた 「還元バブルで「モバイル決済」は過当競争に 「将来は半減となりかねない」これだけの理由」 コンビニのレジにはいまや40種類ものキャッシュレス決済手段が並ぶ ICT総研 2021年度末には2018年度末の2倍以上の1953万人がモバイル決済を利用するようになると予想 利用者が増加しているのがモバイル決済 Origami PayがQRコードによるモバイル決済をスタート 当初のモバイル決済の普及は緩やか ペイペイは、20%という桁違いの還元キャンペーンで一気に顧客を引き寄せた ここまできた還元合戦 LINEPayも12月後半に20%還元キャンペーン 20%という大胆なキャンペーンが終わった今でも、たとえば、LINEpayは、今年7月まで3.5~5%という高い還元率に設定 高還元バーチャルカードのKyash(還元率2%)と組み合わせて使えば、3%以上の還元率もありうる ネットワーク外部性 利用者数が多いほど、価値が高まる 小口決済データは個人の日々の生活をかなり詳細に映し出す 個人の信用力スコアを金融商品から婚活サイトまでの幅広いサービスに活用 デファクト獲得の道は険しくなっている アプリを設定しても持ち運びの負担は増えないため、とりあえず多くの決済手段をアップしておいて、その時々で有利なものを選んで使えばいいため、加盟店の数もそこまでの差別化にはならない 参入せざるを得ない銀行 自行の既存サービスとカニバリゼーション(注)を起こしかねない 問題は、決済アプリの極めて低いスイッチングコストだ 実質的なスイッチング・コストを引き上げることも一案 淘汰の波が訪れたらどうなるのか 最も気になるのが情報セキュリティ面だ 収益が上がらぬ中でコストをかけて守り切れるかどうかが懸念 個人利用者、特に高齢者の場合、今のガラケー同様に、いったん使えるようになったサービスがなくなったら、新しいサービスについていけず、決済という重要な生活手段を失いかねない 決済という重要な社会インフラに混乱をきたすことがないよう長期目線の戦略で臨んでほしい
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金融関連の詐欺的事件(その7)(スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽 大儲けして、お咎めなしって…、かぼちゃの馬車の教訓「向こうからくる不動産は全部クソ」不動産業界インサイダー地下座談会(2)) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、昨年11月14日に取上げた。今日は、(その7)(スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽 大儲けして、お咎めなしって…、かぼちゃの馬車の教訓「向こうからくる不動産は全部クソ」不動産業界インサイダー地下座談会(2))である。

先ずは、この問題を追ってきた新聞記者の藤田 知也氏が昨年12月21日付け現代ビジネスに寄稿した「スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽 大儲けして、お咎めなしって…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59066
・『地方銀行のなかでずば抜けた高収益を誇っていたスルガ銀行。2018年に不正にまみれた不動産投資向け融資の実態を暴かれ、その代償として巨額損失を計上し、銀行としての信用も地に落ちた。 その裏で不正の実行役として暴利を貪りながら、お咎めをまったく受けない不動産業者たちがいる。スルガ銀行の不正融資をスクープしてきた新聞記者が、悪徳業者を”野放し”にしている不動産行政の怠慢ぶりを告発する』、興味深そうだ。
・『スルガ銀行は変わったのか  スルガ銀行が11月30日に公表した業務改善計画は、不動産投資向け融資で発覚した一連の不祥事へのケジメのつけ方を示すものだった。 金融庁からは不動産投資向け融資で6カ月間の業務停止命令を受けると同時に、11月末までに業務改善計画を出すよう求められていた。来年4月までの業務停止期間中に、不正はしない、真っ当な銀行に立ち返ってもらうことが眼目にある。 一方で銀行中に不正を蔓延させたことの経営責任を問うため、創業家出身の岡野光喜前会長を含む現旧役員9人に対しては、総額35億円の損害賠償請求訴訟が静岡地裁に提起された。 計画公表に先だつ11月27日には、問題を把握しながらシェアハウス向け融資の拡大を主導した専務執行役員を懲戒解雇し、執行役員12人を含む計117人の行員には降格や減給などの懲戒処分を下した。ただ、不正が「組織的」だったことを理由に行員らの刑事責任は問わず、懲戒処分も退職済みの行員には及ばない。 処分された行員の懲戒事由には、レントロール(家賃収入)の改ざんに自ら手を染めるなど直接関与したのが13人いたものの、貯蓄や年収の水増しに直接関与した事例は「確認できなかった」(有国三知男社長)としている。 これまでの取材では、業者が偽造した預金通帳を添削し、修正を求めて出し直させる行員が複数いた。オーナー弁護団からは、通帳を偽造できる業者を紹介する行員との会話を録音した音声データが公開された。証拠まではつかめないものの、業者から100万円単位の謝礼を受け取っていた行員がいる、との情報もある。 それに比べると、スルガ銀行の懲戒事由は甘い気がしないでもないが、不正への関与が組織的だったと認定された銀行自身が今期決算で1000億円規模の赤字を計上することを考えれば、相応のしっぺ返しを受けていると評価することもできなくはない。 創業家のファミリー企業への不透明な融資に対する追及はまだこれからだが、全行員を対象に「法令を守る」という銀行員としての基礎(?)をたたきこむ研修を実施するというから、不正が当たり前になった組織が本当に生まれ変われるかどうか、今後を見守るしかない。 前長官がスルガ銀をベタ褒めしていた金融庁は「反省すべきを反省する」(遠藤俊英長官)と表明し、不動産融資に対する監督を強化。不正を見過ごした金融機関への立ち入り検査にも動いている。 少なくとも金融業界は、不動産投資向け融資の現場で不正が見過ごされていたことを反省し、いまは不正を通さない態勢づくりに注力している。 対照的なのが不動産業界である』、確かにこれだけ組織的にやっていたのであれば、個々の行員の責任を追及するのは筋違いだろう。
・『誰も責任追及されなかった  スルガ銀で横行した不正融資とは、顧客の年収や貯蓄を水増しした融資資料を偽造し、本来は審査の条件を満たさないような顧客に多額の融資を引き出させるものだ。銀行員が不正の片棒を担ぐスルガ銀の場合は、顧客が知らないうちに年収や貯蓄が水増しされていた例も多い。 不正を主導したのが銀行なのか不動産業者なのかは立場によって評価が分かれるが、少なくとも預金通帳、ネットバンキング画面、源泉徴収票、確定申告書といった書類を偽造しまくった実行役は、不動産業者にほかならない。私文書偽造や詐欺の罪にも問われかねない悪質な行為だが、その多くは東京都や国土交通省から宅地建物取引業の免許を交付されている。 宅地建物取引業法では、不動産業者が取引関係者に損害を与えたり、取引の公正を害したりした場合などは処分の対象になるとしている。書類を偽造し、過剰な融資を引き出す行為が、取引の公正さを害し、関係者に損害を与えるものであることは、結果をみても明らかだろう。 シェアハウス投資では、スルガ銀で融資を受けた1200人超の顧客のほとんどが預金通帳の写しなどの審査資料を改ざんされていた。その販売にかかわった業者の数は100社を下らない。 中古1棟マンション投資では、現状の入居率や家賃を記した家賃収入表(レントロール)も改ざんし、ウソを通すために賃貸契約書まで捏造されていた。ある業者では、従業員同士がサインをし合って契約書をつくりまくっていたという。 スルガ銀以外でも、三井住友銀行やりそな銀行、静岡銀行、西京銀行(山口県)、西武信用金庫(東京都)などで、業者による不正を見抜けずに融資を実行した例が取材で確認されている。業者が銀行をだまして不正を働くケースが多く、なかにはネット上にメガバンクのネットバンキング画面そっくりのホームページを作り込み、顧客の貯蓄が多いように偽装していた業者までいた。 それにもかかわらず、業者が責任を追及されることはほとんどない。不正が横行する実態を朝日新聞で最初に報じた2月13日以降、不動産業者を監督する立場にある国土交通省や東京都が、銀行融資での不正を理由に行政処分を下した例は11月末時点ではまだ一つもない。これはどういうことなのか』、三井住友銀行やりそな銀行まで引っかかっていたとは、問題の広がりを示している。「ネット上にメガバンクのネットバンキング画面そっくりのホームページを作り込み、顧客の貯蓄が多いように偽装していた業者までいた」、ここまでやっていたのかと驚かされた。国土交通省や東京都が処分しないのも不可解だが、警察も動くべきだろう。
・『悪徳業者は次のカモを探している  筆者が8月に取材したときは、東京都不動産業課は「通報や苦情が寄せられていない」といい、国交省不動産業課は「個別の状況をみて必要に応じて判断する」とコメントしていた。「不正の認定は難しく、慎重でなければならない」と言う担当者もいた。 しかし、多くの業者が犯罪同然の不正に手を染めていたことは、オーナーの弁護団が開示してきた資料からも自明のこと。スルガ銀が公表した調査報告書でも明確になった。すこし調べれば、いくらでも証拠は集まるが、それをしようとしない行政はあえて目をつぶっているようにさえ映る。 業者が不正をしてまで過剰な融資を引き出したのは、物件価格を釣り上げ、法外な利益をせしめるのが目的だ。 シェアハウスや中古1棟マンション投資では、仕入れ値に比べて売値を3割から5割も高くするケースが多かった。ウソの家賃保証やレントロールで客の目を欺けば、億単位の物件を一つ売るたびに3千万~5千万円も転がってくる。誘惑が大きかったのは間違いないだろう。 スルガ銀は業務停止処分を受けて多額の損失も計上し、顧客らの手元には割高な物件と重たい借金が残された。 その一方で不正融資をテコに大儲けした業者たちは、何のお咎めもなく高笑いしている。ある業者は店じまいをして悠々自適に過ごし、別の業者は名前を変えて次のカモを物色している。 「この業界、腐りきってますよね」。同じセリフが業者の口から自嘲気味に吐き出されるのを何度も聞いてきた。不正に走る業者が得し、マジメな業者がバカを見る状況に、諦観の念が渦巻いている。 何度か新聞紙面でも問題提起をしたが、状況は変わらず、悪質な業者は「野放し」のままだ。このまま行政はなにも手を打たず、不正を容認するような態度をとり続けるつもりなのだろうか。 そうだとすると、言えることは一つしかない。不動産投資の世界は、ウソと欲望にまみれた魑魅魍魎が跋扈している。いちど足をすくわれると、それまでの平穏な生活はたちまち暗転する。「ちょっとした老後の資産形成に」といった程度の生半可な気持ちで手を出せば、間違いなく食いものにされるということだ』、こんな不法行為をしても罪に問われず、悪徳業者は高笑いして、「次のカモを探している」などということが、放置されるようでは、日本の司法・行政の権威は完全に地に落ちたと言わざるを得ないだろう。

次に、1月11日付けダイヤモンド・オンライン「かぼちゃの馬車の教訓「向こうからくる不動産は全部クソ」不動産業界インサイダー地下座談会(2)」を紹介しよう。――は聞き手の質問。
https://diamond.jp/articles/-/190518
・『蛇の道は蛇、建前だけでは本質は決してわからない、それが不動産の世界。そんな世界にどっぷり漬かった不動産業界人がネット上に集う、全宅ツイ(全国宅地建物ツイッタラー協会)。週刊ダイヤモンド2018年12月1日号『一生モノの住み処選び』では、そんな業界人による本音座談会を前年に引き続き敢行しました。誌面には掲載できなかった暴露ネタ満載の3時間トーク、完全版を6回に分けてお届けします。 【座談会参加者(全宅ツイオールスターズ)】 ●全宅ツイのグル @emoyino 都心の不動産を中心に扱うブローカー ●どエンド君 @mikumo_hk 専業の不動産投資家。 ●かずお君 @kazuo57 事業会社の不動産事業部所属 ●新宿シュガーレス @Sugarless_kid 投資会社勤務 ●次郎丸哲戸 @_Jiro70 不動産関連を専門とする士業。大家も兼業 ●あくのふどうさん @yellowsheep 商業用不動産、権利関係の調整を主に取り扱うブローカー。 ●のらえもん @Tokyo_of_Tokyo マンションブロガー。 ●はとようすけ @jounetu2sen 不動産売買・仲介会社勤務。【全国宅地建物ツイッタラー協会】ツイッター上で交流し合う不動産業界関係者により結成された団体。不動産業界の面白物件やニュースに登場した不動産などを集めた『クソ物件オブザイヤー』を毎年開催。ツイッターのトレンド入りを果たすほどに注目されている』、「全国宅地建物ツイッタラー協会」なるものまであるのを初めて知った。世の中変わったものだ。
『――2018年の不動産トップニュースといえば、やはりかぼちゃの馬車関連でしょうか。 どエンド あれって、マスコミ勤務とか比較的リテラシーの高いエリートサラリーマンみたいな方が、周辺の土地や家賃相場と全く関係ないところで買ってる。なんでなんですかね。新築ワンルーム買ってる人も結構いますからね。 哲戸 そこそこの地方国立大出て製薬会社のMRやってるような、本人は「自分がリテラシー高い、頭がいいエリートなんだ」と思っている人が「実は富裕層にはこんな錬金術がある」って囁かれるわけですよ。「この話がまわってきたら、俺も富裕層入りだ」って。「あなたも高額所得者だから、節税が必要ですよ!」「ま、まあな」みたいな。 どエンド なんとかアセットマネージメント系って、だいたい六本木や銀座など豪華な会場でセミナーやって気持ちを盛り上げてクソ物件を買わせようとしますよね。 かずお どエンド君の名言です。「向こうからくる不動産は全部クソ」。2000RTくらいされましたよね。 どエンド それ、グルが言ってたのをパクったんだけどね。 哲戸 そういう感じの友達がいてさ、訳のわからないワンルーム物件を「これ節税になるの?」って持ってきたの。確かにマイナスになってるけど、普通に考えて新築のSRCマンションを買って、所得税がそんな赤字になるわけない。見てたら「その他」っていうところに一番大きい400万ぐらい入ってるのよ。「この『その他』って何?」って業者に聞きに行かせたら、「その他」は「なんかいろんな経費を入れていいんですよ、そこに」。みたいな説明をされたと。え?そんな雑な話を。 かずお ドン・キホーテのレシートとかも入ってるのかね。 哲戸 それ、そもそも不動産買わなくていいじゃん!事業である程度やっておけばいいじゃんっていう話。こんな話に乗っちゃう人が結構多いんですね。 はと 節税っていう言葉にやられちゃう』、「「その他」は「なんかいろんな経費を入れていいんですよ、そこに」」などという話が、税務署に通用するのだろうか。
・『「経費で節税」という言葉の魔力  どエンド たくさん納めてるだけに。 かずお こんなに給料が上がったのに、税金で取られて大して増えねえぞって。 どエンド あと、経費に対する憧れってあるんじゃないですか。 のら 私、サラリーマンだから「経費使って節税」って言葉への憧れ、よくわかりますよ。ついにここまで来たか、って思っちゃいますよね。 グル かっこいいよね。 どエンド 初年度の売り上げに消費税の還付金を足してシュミレーションを出すようなひどい業者もいますしね。 かずお それで反応しない時点で鴨になってる。 哲戸 キャップレートの話をすると、例えば5%と、6%って1%しか違わない。でも実際の物件価格だと2割ぐらい違うわけでしょう。そこをわかってない人が多い。素人だと物件価格の1億でキャップが1%違うと100万円しか違わない感覚に陥っちゃうんだけど、全然違うよね。 かずお で、売るときも5%で売れると信じてる。 どエンド これ本当にわかってもらえない…。ところでかぼちゃや地方の一棟マンション買って、空室なのに賃貸借契約書を偽造されてるの、かわいそうすぎないですか。家賃まで相場より水増しされて。 かずお まあ見に行けよっていう話。見に行ったら、壁に、ドアにシートが張ってある。人が生活してるかどうかわかるじゃん。全部、同じニトリのカーテンなんですよ。 どエンド 近所のレオパレスが半分空いてるのに、この物件だけ満室だったら、何かおかしいと思いますよね。 シュ 思わないんでしょうね。買う人は。「たまたまこのアパートは半分空いてるから、チャンスなんだ」って思っちゃう』、物件を見もしないで購入する投資家の自己責任もあるとはいえ、「空室なのに賃貸借契約書を偽造」とは酷い悪徳業者もいるものだ。
・『「エリートは取引先から詐欺に遭ったことはない」  哲戸 サブリースだから、そんなの知ったこっちゃねえよと。あとで業者がつぶれるとか、そこまで発想が至らないんでしょうね。 はと 頭いいのにねって思っちゃいますけどね。 哲戸 もう一歩先に、多分頭がいかないんだろうな…。 どエンド 大企業に勤めてると、取引先が飛ぶとかあまり経験ないんじゃないかな? シュ ハンコがつかれたものに対する絶大なる信頼。 のら そもそも取引先が証拠を偽装してくるとか、最初から詐欺にハメこんでこようってのに遭わない。大企業だと。 どエンド 零細自営業だと発注先は会社なんかより個人の方が安心感ありますよね。 あくの 「こいつのケツはおさえた」っていうね。 どエンド 昨日できたばっかりの、資本金100万の会社とか嫌じゃないですか。個人の方が逃げないからいい。 あくの 適当に失敗経験を積んでた方がいいかもしれないですね。いきなりかぼちゃで1億5000万マイナスとかだと大変すぎるから。 シュ 郊外で1000万ぐらいの収益ワンルームをよくやってるランドネットとかの物件で練習してコケればいいんですよ。でもランドネットの物件って、蓮田駅から12分の中古ワンルーム400万、グロス(表面利回り)8%なんですよ。まあまあですよね。 哲戸 旭川で180万円で20%とかの物件売ってる人いるけど。当時、スルガかジャックスか忘れたけど、不動産担保ダメなんでフリーローンで融資つけてた。でも全然問題ない、180万円だからって。ただ、暖房とかエアコン壊れたら、賃料軽く飛ぶ』、「エリートは取引先から詐欺に遭ったことはない」というのは、投資が騙された背景を的確に説明しているようだ。
・『一度騙されると「鴨リスト」に載っちゃう  ――かぼちゃのオーナーの皆さんは、今後物件運営どうすればいいのでしょうか。何かやりようはある? 哲戸 経験則的に言うと、物件って握り締め続けるとなんとかなるケース多いよね、僕が管理してた物件で、2007年とかにリート作るって地方の商業施設とかいっぱい入れたやつが、見事に溶けちゃってレンダー主導になった。でもレンダー主導だと売却もできずに、ずっと10年間持ち続けてたら意外と生き返った。債務超過になってたのに、最後分配金がいくらか戻ってきた。お釣り返ってくるみたいな。あれ?みたいな。 あくの 賃料は入ってきますもんね。 哲戸 ただ、かぼちゃはダメだね。多分。いくら握り締めても。 のら そもそも入居者入るんですかあれ。 どエンド かぼちゃ、まじめに運用すると実質利回りは定価の3、4パーぐらいなんですよね。金利1%で30年返済とかじゃないと合わない。それでも持ち出しなく抜けられるまで20年かかる。 あくの 賃料が取れないから…。 かずお かぼちゃの馬車が埋まらないのはリビングがないからだ。壁ぶち抜いて共用リビングを作ればすべてうまくいくっていってコンサルフィーとる業者もいますよね。 どエンド リビングとかそういう問題じゃない…。タコ部屋でも恵比寿とか中目黒の立地なら埋まります。 グル 被害者を救済する団体ですって言って、金を集めていたやつもおったな。 かずお やっぱり一度騙されると、「鴨リスト」に載っちゃうんですよね。かぼちゃ救済でも金を取られ、再生コンサルに金を取られ。 グル 弁護士団でも、多分取れなかった。騙されてる。 シュ 債務カットどのくらいでしたっけね』、「一度騙されると、「鴨リスト」に載っちゃうんですよね。かぼちゃ救済でも金を取られ、再生コンサルに金を取られ」というのは、恐ろしい話だが、これが悪徳業者たちの手口なのだろう。
・『「元本カット?やべえ、借りときゃよかった!」  かずお 元本カットをしろって、金融庁から通達が出てるから。この前、スルガがリリース出した業務改善計画でもそうするって言ってるね。 あくの まじすか…、借りときゃよかった。 グル ハンコ自分で突いたのにね。 かずお それなのに、責任取らせないのは、俺は反対だな。お前が決断したんやろうって。確かに騙されたけど、スルガは何も悪くないじゃん。お金貸してくれたのに。 グル かずおくんも倒産経験者ですしね。 かずお 俺じゃない、会社、会社! どエンド 社員1人あたりに直すと一人◯億円くらい棒引きしてもらいましたかね。 かずお やめてくださいよ。でも数百億円返したからね!だいじょうぶ。今日の座談会参加者の半分がリーマンで会社潰れてるからね。僕らは確かに、会社潰して借金引いてもらいましたけど、その代わり社員がリストラされて、残った人も年収ががっつり下がって、かつ住宅ローン組もうとしても、住宅デベロッパーなのに組めないというさぶい目に遭いましたから。同じ目に遭えって。お前も持ってるものは全部売り切って、「すんません、残ってる分は迷惑かけます」とか「残った分頑張って返します」っていうんだったら、わかるけれど。なにぃー、まだ、むしれる毛残ってるやん!って。全部むしれよ』、いやはや不動産業界というのは、真っ当なサラリーマンとは対極の魑魅魍魎の世界のようだ。なお、今回は対談の2回目だけ紹介したが、興味がある方は、下記の特別レポートの一覧から探してほしい。
https://diamond.jp/category/s-dw_special
タグ:不動産業界 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス 金融関連の詐欺的事件 (その7)(スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽 大儲けして、お咎めなしって…、かぼちゃの馬車の教訓「向こうからくる不動産は全部クソ」不動産業界インサイダー地下座談会(2)) 藤田 知也 「スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽 大儲けして、お咎めなしって…」 スルガ銀行は変わったのか 今期決算で1000億円規模の赤字を計上 誰も責任追及されなかった 私文書偽造や詐欺の罪にも問われかねない悪質な行為 三井住友銀行やりそな銀行、静岡銀行、西京銀行(山口県)、西武信用金庫(東京都)などで、業者による不正を見抜けずに融資を実行した例が取材で確認 ネット上にメガバンクのネットバンキング画面そっくりのホームページを作り込み、顧客の貯蓄が多いように偽装していた業者までいた 監督する立場にある国土交通省や東京都が、銀行融資での不正を理由に行政処分を下した例は11月末時点ではまだ一つもない 悪徳業者は次のカモを探している 「次のカモを探している」 「かぼちゃの馬車の教訓「向こうからくる不動産は全部クソ」不動産業界インサイダー地下座談会(2)」 「経費で節税」という言葉の魔力 空室なのに賃貸借契約書を偽造 エリートは取引先から詐欺に遭ったことはない 一度騙されると「鴨リスト」に載っちゃう かぼちゃ救済でも金を取られ、再生コンサルに金を取られ 「元本カット?やべえ、借りときゃよかった!」
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バブル崩壊(長銀問題)(長銀「最後の頭取」が語る 20年前の破綻に至った本当の理由、今だから話せる 破綻カウントダウンの日々) [金融]

昨日に続いて、バブル崩壊(長銀問題)(長銀「最後の頭取」が語る 20年前の破綻に至った本当の理由、今だから話せる 破綻カウントダウンの日々)を取上げよう。

先ずは、11月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済ジャーナリストの宮内健氏によるインタビュー記事「長銀「最後の頭取」が語る、20年前の破綻に至った本当の理由 長銀元頭取・鈴木恒男氏インタビュー(上)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185387
・『1998年秋、日本長期信用銀行(以下、長銀)は経営破綻し国有化された。メディアは「ずさんな経営」や「不良債権隠し」がその原因と批判し、翌年には大野木克信元頭取など旧経営陣の3名が逮捕された。起訴容疑は粉飾決算と違法配当であった。 ところが経営破綻から10年後の2008年、最高裁は無罪判決を言い渡した。ならば、長銀の経営が追い込まれたのはなぜだろうか。破綻時の頭取だった鈴木恒男氏は当時の記者会見で「急激な環境の変化」と語った。もちろん経営責任を否定しているのではなく、それも含め、短期間にさまざまな要因が重層的に絡み合って生じた事態、という意味である。 だが当時は「悪者たたき」に終始する感情的な議論が多く、冷静に総括されることはあまりなかった。国有化から20年が経過したいま、長銀「最後の頭取」である鈴木恒男氏に長銀破綻の経緯について振り返ってもらった』、悲劇を繰り返さないためにも、貴重な記事だ。
・『「営業重視・審査軽視」へと変化していったバブル期  バブル景気が始まる少し前、私は資金調達本部に属していました。その時期、長銀の各本部が集まって長期経営計画について相談する機会があったのですが、借り入れ需要が非常に少なくなっており、融資を伸ばさなければいけないのに伸びない、したがって利益もあがらない状況に陥っていました。 その後、大阪の営業に転勤になり現場に出てみると、本当に借り入れ需要がないことに驚きました。もう東京では不動産価格が上昇していましたが、大阪ではまだフィーバーしてはいなかったのです。私のいた部署は業務目標をまったく達成できず、非常に肩身の狭い思いをしたのを覚えています。 1986年に本社へ戻り、私は経営企画部企画室長になりました。もっともこれは対外的な肩書で、業務はMOF担(大蔵省との折衝担当者)と、銀行内の各セクションの利害が反するような問題を調整する内部調整的な仕事です。 この頃、長銀ではマッキンゼーのコンサルティングを受け、融資部門に権限委譲し、もっと自主性を持たせ、クイックレスポンスできる体制をつくるべきだとのアドバイスに基づき、組織改革を行って総本部制を導入。貸し出しの売り込みと審査を同じ総本部内で完結させることにしました。それは一種の当時の流行で、住友銀行(現・三井住友銀行)もマッキンゼーのコンサルティングを受けて同様の体制を構築していました。 要はもっと現場にハッパをかけて、貸し出しを増やす仕組みをつくろうとしたわけです。しかし業績を伸ばすために営業優先で審査を軽視しがちになるなど、営業の裁量の幅を広げすぎてしまったと後に反省が出て、89年2月に権限移譲をしましたが、結局は91年2月に元の組織に戻すことになりました。私もこの組織改革に関わりましたが、営業優位にはバブル期の特徴が出ていたのでしょう。その自覚が我々スタッフには足りませんでした』、マッキンゼーのコンサルティングに従ったため、住友銀行も膨大な不良債権の山を築いた。また、他の大手都市銀行も住友銀行を見習って同様の組織変更をした結果、膨大な不良債権に苦しめられることとなった。無論、組織変更をした個々の銀行の責任ではあるが、現在でも大きな顔でのさばっているマッキンゼーの罪も深い。
・『業績にプレッシャーをかけた「長信銀制度」の行き詰まり  このような組織改革に踏み出したのは「業績をもっと伸ばさなければいけない」というプレッシャーがあり、それは長信銀制度が曲がり角にきていたことが背景にありました。 預金で資金を集める普通銀行と異なり、長期信用銀行は期間5年の金融債(銀行が出す社債)を発行して資金を集め、設備投資などの長期資金を貸し出す金融機関です。日本興業銀行と日本債券信用銀行、そして長銀の3行がありました。 金融制度上は長短分離という思想があり、短期貸し出しは普通銀行が行い、長期貸し出しは長信銀や信託銀行が担うことになっていましたが、当時は長短分離が事実上崩れ、都市銀行も長期貸し出しを行うようになっていました。 本来は、債券や期間の長い定期預金で資金調達をしないで長期貸し出しをすると途中で調達金利が上がるリスクがあるのですが、預金金利がそれほど乱高下しない時代になり、都市銀行は利ザヤをたくさん取れる長期貸し出しに乗り出してきたのです。 一方の取引先は、長期より金利の低い短期を選好しますから、我々に「短期で貸してくれ」と言ってきます。ところが我々は普通預金などの流動性預金の比率がとても低いので、低コスト資金がありません。仕方なく短期貸し出しをすると逆ザヤになってしまいます。このように貸し出しは増えるが収益はなかなか伸びないという状況が出現し、収益を増やすためにより長期貸し出しの量を増やさなければいけないというプレッシャーがかかっていました。 そういう面を見ると、すでに当時、長信銀制度はもはや使命を終えつつあったのでしょう。今から考えればいち早く方向転換し、他の銀行との合併も真剣に考えなければならない状況でしたが、そちらの方には気持ちが向かず、自力でなんとかしようとしていました。まだ自己資本も厚く、保有している株式に兆円単位の含み益があったので、まだまだ自力でやっていけると考えていたのです』、膨大な株式含み益が経営の目を曇らせたのは、長信銀だけでなく、都市銀行でも同様だった。
・『なぜ不動産バブル崩壊を見抜けなかったのか  1989年末の大納会で日経平均株価が史上最高値(3万8915円)をつけました。その次の営業日である翌90年1月4日、私は業務審査部長へ異動になりました。その後バブル崩壊が本格化すると同時に後ろ向きの仕事についた感じで、以後の仕事はすべて不良債権理に関するものです。 もっとも、バブル景気がおかしくなったと認識したのはもう少し先の90年秋、国内外でリゾート開発やホテル事業を行っていた不動産開発投資会社EIEインターナショナルの資金繰りが回らなくなったときです。その年の6月に一度、不足資金を貸し付けていたのですが、そのときは一時的な資金不足だろうとそれほど重くは見ていませんでした。しかし秋にもう一度、EIEから「また資金が足りなくなったので貸してくれ」との要請が来ます。 要は、日常の営業では資金が不足するようになり、資金繰りのための借り入れをEIEは必要としていたのです。資金不足が続くのは事業に異変が生じている証拠です。そこで同社を調べてみると、やはり構造的な資金不足に陥っていました。EIEはゴルフ会員権の販売とリゾート施設の転売で繰り回していたバブル型の企業だったので、株価の下落とともにゴルフ会員権などの販売に陰りが出て資金繰りが悪化しました。こういう会社が構造的な資金不足に陥るのは、まさにバブルがはじけたことを示していました。 その他の取引先でも、金利を支払えない企業がぽつぽつ出始めていました。ただ、現実のように急速な地価の下落で日本経済が急激に悪化するとまでは考えておらず、どこかで小康状態になると見ていました。オイルショック時も不動産価格は下落しましたが、比較的軽症で済んでいます。調整局面は当然あるでしょうが、不動産価格も1~2割くらい下がれば均衡状態に入るのではないかと、希望も含めそんな見方をしていたのです。 銀行が不動産融資を増やす過程で、世間では「東京を国際金融センターに」との声も強く、当時の国土庁(現・国土交通省)は「東京のオフィスは超高層ビルにして250棟分必要になる」との予測を発表していました。これだけ外貨準備高があり、それにともなって日本の存在感も増すのだから、東京もロンドンのシティーのような機能を担えるのではないか、と。東京の狭い土地を再開発して有効活用し、オフィスとしてグレードアップしていけば、付加価値が高まっていくとの希望的な観測が支配的で、我々も同様の観測をしていたということです』、東京国際金融センター構想は、金融界に地価への希望的観測をもたらした罪作りなものだった。最近、また小池東京都知事が旗を振っているようだが、当時と比べると熱気はあと1つのようだ。
・『経営破綻を招いたのはEIEではない 他行より重かった関連ノンバンク処理  一般取引先で生じた不良債権の最大のものがEIEグループ向けの貸し出しで、長銀の被った損失は1000億円を大きく超え、そのグループ会社を含めると損失はさらに数百億円増加します。 ただし、EIE問題は長銀破綻の原因ではありません。それ以上に重荷になったのが関連ノンバンク向けの融資でした。長銀の関連会社として融資業務を行っていたノンバンクが7社ほどあって、それぞれ相当な資金量を持ち、バブル期に不動産融資を増やしていました。たとえば最大の日本リースの総資産は3兆円を超え、本業のリースに加え貸し出し業務も兆円レベル。ベンチャーキャピタルのNEDや不動産の日本ランディックも数千億円の融資をしていました。 長信銀というビジネスモデルではなかなか食べていけなくなる状況で、グループのノンバンクで隣接する異分野に参入することは、長銀にとって機能補完的な意味がありました。人や店舗が少なく、縦割りの金融制度の壁があり、自由に業務展開できない長銀本体では限界があるので、関連会社でリース業やベンチャーキャピタルに進出したのです。ライフという信販会社を救済し、グループに引き込んだのもその流れです。ノンバンクは他の都市銀行も手がけていましたが、長銀は他社より熱が入っていた感があります。 バブルが崩壊した直後の1991年時点で、関連ノンバンクなどに対する長銀の貸し出し残高は1兆円を超えていました。さらに問題はこれらの会社の営業貸付金で、そのほとんどすべてが不動産担保融資であり、グループ企業全体では5兆円近い営業貸付金が、不動産の価格変動リスクを抱えていました。 これほど営業貸付金が増えたのは、バブルが崩壊するまでグループ会社の経営管理が甘かったからです。長銀はグループ会社の貸し出しをすべて掌握し、リスクが過大になっていないか厳重にチェックしながら進めるべきだったのですが、脇が甘くて気付いたときにはものすごい量になっていました。 それに加え、原因としては、関連会社のトップが本体の役員を務めあげた大先輩たちで、スタッフが苦言を呈することがはばかられる風土がありました。また、各社の本業の収益で事態を改善できるという期待もありました。たとえば日本リースはオリックスに次ぐ規模のリース会社で、いずれ上場しようかという勢いもあったので、ある程度経営の自主性を認めざるを得なかったのです。 我々としては、関連ノンバンクが苦しくなったら会社更生法や民事再生法の対象にして、一般の債権者にも負担していただく可能性も理論的にはありました。しかし、現実には許されなかった。関連ノンバンクに融資している金融機関からすれば「日本リースの信用力ではなく長銀の信用力で貸しているんだ」と。つまり、関連ノンバンクの信用ではなく親銀行=母体行の信用で貸しているのだから、関連ノンバンクの経営についての責任は母体行にあるというものです。 母体行主義が一般化したのは住専(住宅金融専門会社)問題の処理からです。住専とはもともと個人向けの住宅ローンを取り扱うノンバンクでしたが、都市銀行などの住宅ローン分野への進出で圧迫され、不動産業への融資を増やすようになりました。住専の拡大を支えたのは母体金融機関と生保、農林系統金融機関(農協とその上部金融機関)などからの長期借り入れです。長銀が野村證券との折半出資で設立した第一住宅金融も例外ではありませんでした。 大幅な地価下落に伴い住専各社は巨額の損失を出し、最終的に大蔵省主導で破綻処理されましたが、この過程で関連ノンバンクの損失処理は母体行が責任をもって処理することが原則のようになりました。農林系統金融機関が「貸し倒れ損はあくまで母体行の責任で、母体行の信用で貸したのだから我々が一部でも負担することはあり得ない」と主張し、これが大勢になったのです。 こうして関連ノンバンクの損失処理は、長銀そのものの問題となりました。本体の不良債権だけなら他行と比べ過重な負担だったとは思いませんが、長銀の場合、関連ノンバンクの負担が他行より重かったのです』、EIEは社長の豪遊ぶりなどが話題になったが、確かにこれだけであれば、長銀は苦もなく乗り切れたろう。関連ノンバンクの借入調達では、親銀行には大口融資規制の制限があるため、他行から借入ざるを得ない。他行はまた自らの関連ノンバンクの借入調達でさらの別の銀行に頼るという形で、関連ノンバンク向け貸出は、株式の相互持合に似た膨大なネットワークが形成されていた。そこには、当初から母体行責任論が暗黙の了解となっていた。住専問題でこれが顕在化した形になった。日債銀(日本債券信用銀行)の関連ノンバンク処理では、日債銀に母体行責任を果たす体力がないとの理由で、当局は貸手責任を強引に押し付けた。
・『不良債権処理とは どのような仕事だったか  バブル景気で地価が高騰を続ける中、大蔵省は1990年3月に不動産融資総量規制を実施しました。内容は不動産業に対する貸し出しの伸び率を総貸し出しの伸び率以下に抑え、同時にノンバンク向けの貸し出しも定期的に報告を求める比較的穏やかなものでした。 しかし「平成の鬼平」と世の喝采を浴びた三重野康総裁率いる日銀は、その前年から相次いで利上げし、90年8月に公定歩合は6%に達し、地価の本格的な下落を招きました。さらに地価税の創設など政府の各省、各局はそれぞれに地価対策を打ち出し、総合調整機能を欠いた個々の政策の集積は、各省庁の想定を超える激震を地価にもたらしました。 地価下落により年々膨らむ一途の不良債権は、長銀をはじめ銀行の経営を圧迫していきました。そんな状況のなか、私は92年に取締役事業推進部長に就任しました。事業推進部長というと前向きに聞こえますが、内容は不良債権を専門に担当する部です。取締役に昇格してうれしくなかったかといえば嘘になりますが、それ以上に大変な時期に大変な仕事に就いたというプレッシャーがありました。 長銀がメインバンクとして推進した不動産開発プロジェクトでは、工事の途中で開発会社の資金が尽きてしまうものがありました。途中で放り出されると銀行は貸し出しを取りっぱぐれる上に撤去費用もかかり、大変な損失です。そこで7~8割できていた物件については受け皿会社をつくって簿価で引き取り、ゼネコンの力を借りたりしながら工事を継続し、完工させて売却していくのが重要な仕事でした。 EIEにはプロジェクトの途中で止まってしまった海外の案件がたくさんありました。たとえばニューヨークの五番街に建設中のホテル。こんな物件を立ち枯れさせてしまったら、日本という国自体が変な目で見られてしまいます。こうした案件も含め、世界中にあったホテルを全部1ヵ所にまとめて仕上げることになり、グループ会社の案件も一部引き取りました。 これらの行為がのちに「不良債権の隠ぺい」とか「不良債権処理の先送り」との疑念疑惑を招きましたが、隠ぺいなどではありません。ずっと抱え込んで隠すのではなく、あくまで不良債権処理の一環で完工させたら転売するものでしたから。不動産価格が値下がりしていたため貸出金額の元本までは回収できませんでしたが、それでも野ざらしで鉄骨のまま売却するよりはずっとよかったのです』、不動産融資総量規制では、何故か農林系の住専だけが対象外になったため、貸出が急増し、住専処理コストを膨らませる結果となった。大蔵省、農林省の罪は深い。内外の立ち枯れ案件を受け皿会社に引き取らせて、完成させた上売却するというのは、市場価値があるものであれば、当然で、非難される言われはないだろう。

次に、上記の続きを、11月21日付け「長銀「最後の頭取」が今だから話せる、破綻カウントダウンの日々」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/186139
・『1998年秋、日本長期信用銀行(以下、長銀)は経営破綻し国有化された。破綻時の頭取だった鈴木恒男氏は当時の記者会見で、その原因を「急激な環境の変化」と語った。長銀は長期資金の貸し付けを主に行う長期信用銀行としての役割が行き詰まり、新たな貸付先を拡大する中で、不動産バブル崩壊へと巻き込まれていった。さらに金融行政の変化、金融危機の発生という外部的な要因も、長銀を破綻へと導く大きな要因になっていた。 こうした急激な環境変化が起こる中で、長銀「最後の頭取」は、破綻を前にどのような状況に追い込まれ、対応していたのか。20年がたった今だからこそ話せる、長銀破綻までのカウントダウンの日々を鈴木恒男氏に聞いた』、最後がどうだったのかは、特に興味深い。
・『金融行政は「護送船団方式」から「自己責任原則」へと移行  さまざまな経済対策で1996年には景気回復の動きが広がり、金融機関の不良債権問題は解決へ進むかに見えました。しかし当時の橋本龍太郎首相が主導する財政緊縮政策が打ち出され、政府が97年4月からの消費税2%引き上げを閣議決定すると、景気は冷水を浴びせかけられたように委縮し始めました。 97年に入ると、それまで経験のない信用収縮が生じつつありました。地価をはじめとする資産価格の低下が実体経済の足を引っ張るデフレスパイラルにより銀行は追加の不良債権償却・引当に迫られ、自己資本比率規制をクリアしようと一段と激しく貸出金の回収に走りました。これで流通業界やゼネコン業界などで多くの企業が資金繰りに窮し、事態は不動産バブルの崩壊から、非製造業を主とする過剰債務企業を市場が追い詰める新段階へ移行しました。 一方、95年12月に「今後の金融検査・監督等のあり方と具体的改善策の取りまとめにあたって」という大蔵大臣談話が発表されました。「金融行政の転換について」という副題がつけられたこの談話で、金融機関の自己責任の徹底と市場規律が十分に発揮される透明性の高いシステムを構築することが宣言されました。 金融行政の根本を、それまでの大蔵省が行政指導する護送船団方式から自己責任原則に変えることは、邦銀の格付けにも大きく影響しました。さらに96年11月、政府は唐突に「金融ビッグバン」を打ち出しました。ただ、総論だけで具体論が見えず、金融業界の人間もメディアもそれが何を意味するのかよくわからない状態でした』、消費増税だけでなく、社会保険料引上げなども含め、国民負担は9兆円も増加したのが景気を一気に冷え込ませ、経済政策の致命的なミスである。しかも、金融機関は不良債権問題で頭を痛めているなかで、「金融ビッグバン」を打ち出したことも重大なミスだ。
・『このような経営環境の激変の中で、97年5月頃から長銀はスイスバンクコーポレーション(SBC)との業務提携に活路を見いだそうとしました。株式を持ち合い、合弁で証券会社や投資顧問会社を作る。自己資本を増強し、海外に後れを取っていたといわれる新金融技術の習得などが見込め、日本の銀行としてはかなり先を行くような提携をしたつもりでした。 しかし、後でこの提携が裏目に出ることになります。 長銀株の下落でSBCとの提携が破綻 1997年11月、ついに日本で金融危機が発生しました。三洋証券が会社更生法を申請して倒産した翌日、同社が無担保コール市場から取り入れた10億円がデフォルト(支払い不能)になったのです。 無担保コール市場は当局から認可を受けた金融機関が相互信頼に基づき、資金の貸し借りを行う場です。つまり護送船団方式を前提にした仲間内の資金融通システムで、そこで起こった戦後初のデフォルトによって、金融機関同士が疑心暗鬼に陥り「融通した資金が返ってこないかもしれない」と金融システム不安が一気に加速しました。株式、為替、債券はトリプル安となり、都銀の一角であった北海道拓殖銀行が経営破綻し、続いて山一証券の自主廃業が決定しました。 この危機に際して金融機関の資本増強のために公的資金の注入が検討され、翌年3月に長銀を含む21行に公的資金投入が行われましたが、金融システムの安定には不十分な規模で終わりました。その遠因には世間における銀行のイメージの悪さがありました。 この時期、長銀には別の難問が持ち上がっていました。ビッグバンの先兵になろうと業務提携したSBCから「ディストレスワラント条項」を付け加えることを要求されたのです。これは長銀の株価が3日間にわたって50円を下回るか、20日以上にわたって100円を切った場合は、合弁で設立する証券会社などの長銀保有株をSBCに譲渡するというものです。 突然この条項の承認が提案された常務会において反対したのは1人だけで、私を含めたその他の出席メンバーはただやり取りを聞いているだけでした。自分の部門の仕事はきちんとやるけれど、他の部門には口出ししないという官僚的な縦割り組織の弊害です。そんな縦割りの思考に私自身、どっぷり浸かっていました。 その後、後述の株価下落によりディストレスワラント条項の発効は現実のものとなりますが、長銀が力を入れてきた分野を手放すことになって、マーケットの評価を大きく落としてしまいました』、「ディストレスワラント条項」追加を審議する「常務会において反対したのは1人だけ」というのには驚かされた。投資銀行を目指すとはしたものの、その中身が全く理解してなかったようだ。
・『SBCとの合弁証券会社から大量の長銀株売り 株主総会中に「株価が50円を切った」のメモ  1998年6月に入ると思いがけない事態が生じ、長銀の経営は急速に悪化しました。5日、月刊『現代』7月号の広告に「長銀破綻」の見出しが躍ったのです。記事は新味のある内容ではありませんでしたが市場は敏感に反応し、株価は前日18円安の181円で引けました。 しかも6月9日、SBCとの合弁会社である長銀ウォーバーグ証券のロンドンオフィスは長銀株の大量の売り注文を受け、それをそのまま東京の証券取引所につなぎました。普通、日本の金融機関であれば親密な会社の信用を落とす行為なので、他の証券会社に持ち込むよう顧客を誘導します。しかし欧米のディーラーは自分の実績と報酬に直結しますから、そんなことはお構いなしに売るのです。このようなビジネス慣行の違いには思い至りませんでした。 長銀ウォーバーグ証券による長銀株の大量の売りは、「SBCは長銀を見限った」と市場に受け取られました。海外も含めて相当な投資家が空売りのチャンスだと考えたのでしょう。そうでなければ説明のつかない株価の下落が起こり、6月22日には前営業日の112円から62円へ一挙に50円も急落し、その後、長銀の株価は二度と100円台を回復しませんでした。 ちょうどこのときは、新たに設置される金融監督庁に、大蔵省から金融の企画機能を切り離して一緒にするかどうかで同省と政治家の間で綱引きが行われていた時期でした。監督機関が引き継ぎで空白の時を狙い、ヘッジファンド等が長銀を空売りのターゲットにしたのでしょう。 マーケットの巨大な力は平時には見えませんが、こうしたときに大変な猛威を発揮する。それは非常に怖いもので、株主総会の最中に「長銀株が50円まで値下がりしている」とのメモが入ったときは衝撃的でした。我々はマーケットの底知れない力に対する思慮を欠いていたというか、まさかそこまでのものだとは思っていなかったのです』、子会社の長銀ウォーバーグ証券の仕打ちにはさぞかし腹が立っただろうが、これが冷徹な投資銀行ビジネスだ。月刊『現代』7月号へのリークも「空売り」を狙った動きだったのだろう。
・『あらかじめクビが決められた頭取就任 信用低下で資金繰り困難に  根拠に乏しいメディアの報道やうわさ話が飛び交い、株式市場で長銀株がもみくちゃにされ窮地に追い込まれる中、長銀は他行との合併を模索し、住友信託銀行との合併に最後の望みを託すことになりました。 合併するためには政府から公的資金を8000億円から9000億円注入してもらい、不良債権処理を行って身ぎれいにする必要がありました。大蔵省と相談しながら作成した公的資金を入れるための再建計画では、前提条件の1つに代表取締役の辞任がありました。経営責任の明確化のためです。 一方、長銀は1998年4月に執行役員制を導入し、それまで28人いた取締役を6人に減らしていました。すると会長を除き代表権を持っていない取締役は末席にいる私を含めて2人だけ。もう1人は国際畑で役所との折衝経験があまりなく、消去法的に私が頭取に就任せざるを得なくなりました』、公的資金を入れる話があったとは初耳だ。
・『頭取といっても住友信託と合併できた暁には当然クビになる立場で、いわばワンポイントリリーフです。私自身、ずっと不良債権処理に関わってきた立場で、決してよい人選とは思えませんでしたが、誰かが引き受けなければ前には進めず長銀の幕引きもできない。腹をくくってやるしかありません。8月21日に頭取代行に就任し、翌9月29日に正式に頭取になりました。 我々が再建計画を提出し公的資金を申請したその頃、政治も混乱していました。7月の参院選で自民党が惨敗し、責任を取って辞任した橋本首相の後を受けて小渕内閣が成立。8月25日から金融再生関連法案の審議がスタートしていました。いわゆる金融国会です。焦点は長銀が破綻しているかどうかであり、破綻しているかどうかの基準は債務超過であるかどうかでした。 債務超過で破綻していれば金融安定化法による公的資金投入は健全行を対象としているため、公的資金は使えなくなり、破綻処理に移行せざるを得なくなります。しかし不良債権の認定の仕方によって、債務超過であるかどうかは大きく変わり得ます。つまり、債務超過であるかどうかについても、そう単純に決まる話ではないのです。 政府・与党は破綻状態ではない長銀に公的資金を投入する方針でしたが、野党は強く反対し破綻金融機関に対する法的な処理を行う制度を設けるべきだと主張しました。 合併後の銀行の業績が浮上すれば優先株などで投入された公的資金が返済され、国民負担にはなりません。しかし当時はより少ないコストで金融危機を収束させるという視点はほとんどありませんでした。 金融国会は9月中旬まで議論が右へ行ったり左へ行ったり膠着しました。そして長銀の信用がかかった国会審議で1ヵ月ほど衆目を集めるところとなった結果、その間に多くの風説やフェイクニュースが流布し、長銀の信用は日を追って低下し資金繰りが困難になりました。株価もどんどん下落し、住友信託では共倒れを懸念して合併に対し慎重な意見が強まりました。 結局、本格的な金融危機を防ぎ金融システムを安定化するプルーデンス政策が用意されておらず、審議が膠着している間に長銀の信用が最終的に毀損される結果となったのです。結局、金融国会では野党案の丸のみが了承されて長銀の国有化による破綻処理が動かないものとなり、経営破綻が確定。我々の合併への努力は水泡と帰しました』、銀行に破綻の噂が出たら直ちに手を打たなければならないのに、数か月放置されている間に、優良企業は逃げ出し、残ったのは不振企業ばかりとなり、企業価値は大きく棄損された。
・『長銀は1952年に施行された「長期信用銀行法」に基づく銀行で、その法律が当時の池田勇人蔵相の指揮下に成立したことから自民党の宏池会と親しい関係にありました。一方、監督官庁である大蔵省は自らが与党自民党への根回しや説明を行うとして、個別の銀行が個々の政治家に依存することを極度に嫌っていたこともあって、長銀が直接宏池会に依存することはありませんでした。というよりは、大蔵省ルートを妨害しないように、直接的な動きを避けていました。 自民党全体が宮沢喜一大臣をいただく大蔵省の原案に沿って動いてくれると思っていたのですが、自民党の「派閥政治」が曲がり角に来ており、折しも野党の若手議員と自民党の一部議員が同調して政府案に反発するという事態にさしかかっていました。「政策新人類」といわれた議員たちです。 長銀は、最終段階で宮沢大臣や当時の池田政調会長など宏池会の力を頼んだのですが、すでに政界は様子が変わっていました。頼みの大蔵省自身がイメージダウンする中、動き続ける政治の世界に一金融機関が効果的に働きかけることがいかに難しいか、肌身で感じました』、「政策新人類」は、旧民主党の枝野幸男、自民党の塩崎恭久、石原伸晃らが、金融実務を無視して原理主義的考えを振りかざしたが、マスコミは大いにもて囃した。彼らが暴れたおかげで、長銀の救済が間に合わなくなったのは、誠に不幸であった。
・『「我々が世界恐慌を引き起こすのでは…」 綱渡りの資金繰りに奔走  長銀の経営破綻が現実のものとなっても、まだまだやるべき仕事がありました。資金繰りです。国有化されるまでには時間があり、それが10月下旬であることは見当がつきました。その間、長銀が国有化されるといっても、一般のお客さまは金融債を解約し現金化しなければ不安で仕方がありません。 一方、銀行同士が取引を行うインターバンク市場では、長銀に無担保で融資してくれていた金融機関は簡単に貸してくれなくなります。金融債の解約が相次ぎ、他方でお金を貸してくれなくなれば資金ショートが起こります。これは大変危険な事態で、「あの銀行が払えないとなればこっちの銀行も危ない」と危機が伝播してしまいます。その危険が実際に起こったのが昭和金融恐慌でした。 しかもデリバティブやスワップといった金融派生商品ではかなり大きな規模の契約を国際的にしていますから、長銀がデフォルトになると国際的な騒ぎになる可能性がありました。折しもロシアで金融危機が表面化しており、金融不安は世界に広がっていました。当時の日銀理事でのちに国有化長銀の頭取やセブン銀行初代社長などを歴任する安斎隆氏にも時折呼び出され、「絶対に穴をあけるなよ」と。安斎さんは万が一の場合には、日銀特融を行わざるを得ないと考えていたようですが……。 資金不足は「10日後に8000億円から1兆円になる」といった巨額な水準でした。しかし、我々が資金ショートすると世界恐慌を引き起こすかもしれない。そんな恐怖感を持ちながら、私も含め全役職員が必死の思いで資金繰りに駆けずり回りました。 幸いにも長銀はデフォルトを起こさず98年11月4日、国有化長銀の役員が着任し、私は解任されました。頭取代行に就任してから2ヵ月半の期間でした』、アメリカの金融危機でリーマンは破綻させながら、保険会社のAIGを公的資金で救済したのは、CDSというデリバティブの最大の市場参加者だったからだ。マーケット主導型の破綻劇は、進行が速いだけに要注意だ。
・『「異論を出す力」が失われていた  長銀の経営破綻が現在の行政や金融機関にもたらした影響や教訓はたくさんあると思います。その1つは遅きに失した感もありますがプルーデンス政策、つまり、金融機関の破綻を防いだり、金融システムの安全性を維持したり、あるいは金融危機が発生した際に迅速に対応できる体制が国民的な理解を得てできたことでしょう。 アメリカではリーマンショックの際、非常に素早く対応しました。それができたのは日本も反面教師になっていると思いますが、やはりプルーデンス政策が用意されていたからです。これがあれば金融危機が生じても素早く公的資金を注入したり緊急融資を出したりして、金融機関の資金繰り危機に対応できます』、アメリカではリーマンショックが起きた9月の翌月になって、4000憶ドル(32兆円)規模の不良資産買取プログラム(TARP)が出来たので、やはり後手だった。
・『もう1つは大きな制度変更をいかに行うか、という問題です。1990年代前半まで日本の金融機関は縦割りの専門金融機関制度と行政指導に縛られていました。それが一時期は日本経済に貢献していたのですが、90年代半ばにいきなり銀行は市場原理のもとに、自己責任で経営せよ、行政は事後監視だけを行うと急激な方向転換が行われました。 この方向転換は米国のまねをしたというか、そうさせられた面が大きいのですが、長年の金融システムや慣行を変えるに際しては、自国の状況に合わせて時間をかけて行わなければ、さまざまな混乱が発生し、危機的な状況を招きかねないというのも長銀破綻の教訓だと思います。 また、危機的な状況があったとしても、当然ながら企業経営者は企業の生き残りのためにあらゆる可能性を想定して議論を尽くさなければいけないわけですが、前にも述べたように長銀は縦割り組織の弊害で、私を含め他のセクションの問題にもきちんと意見を言うべきとの自覚が乏しく、そうした風土に浸かってしまっていました。 こまごましたところにとらわれず全体を観察し「異論を出す力」を企業の中に蓄えないと、企業の弾力性が失われてしまいます。しかし異論を言う人を異端者として排除する傾向があったのは否めません。これは本当に大きな反省点で、経営者は自戒して日頃からそうした風土づくりを心掛ける必要があると思います』、正論ではあるが、同調圧力が殊の外強い日本型組織でそうした風土づくりといっても、ないものねだりのような気もする。
・『重層的な金融危機の要因を総括し、 今後に活かす取り組みを  銀行経営の側面でいえば、長銀はグローバルマーケットの一流プレーヤーになることを目標にしていた時期があり、そのために背伸びしたことも確かです。しかし日本の物差しは通用しませんでした。長銀は試行錯誤の末に反面教師としての事例を示してしまいました。 一例を挙げれば、長銀は海外の営業体制を拡充し、アメリカなどでは日本企業だけでなく現地のローカル企業にも融資先を広げましたが、現地通貨での低コストの資金調達力が伴っていないため、薄利多売の難しい仕事でした。 また、海外の大手金融機関との提携にしても、ディストレスワラント条項のようなものが普通に取り交わされているのが世界の金融界ですが、そうした危機対応まで考えて業務提携をした日本の金融機関は少なかったでしょう。長銀の事例が他の金融機関に警鐘を鳴らしたことは確かです。 現在の銀行は低金利とカネ余りで利ザヤが取れない中、どうやってもうけていくのか本当に大変だと思います。自助努力でなんとかしなさいと言われても、違う海へ漁に出て失敗し、リスクを負うことになりかねません。今回問題を起こしたスルガ銀行はその象徴のようです。 長銀が経営破綻したのは、最終的に経営陣、マネジメントの責任です。それを前提にして言うのですが、我々は長信銀制度からの転換ができなかった。ここまで述べたように破綻に至るまでには複合的、重層的な要因がありますが、究極的には長信銀が歴史的使命を終えて消滅したということなのだと思います。長銀の破綻に続き日債銀も破綻し、やはり厳しい状況にあった興銀も他の金融機関とのあまり実態のない提携で、将来の展望が開けているかのように形づくりをせざるを得ませんでした。98、99年は長期信用銀行という制度が事実上消滅した年として金融史に記録されるのでしょう。 あれから20年が経過して、経営破綻の瞬間だけにフォーカスするのではなく、かつて日本経済の中に長信銀が存在し、どのような役回りを担っていたかも含めて長銀を語ってもよいのではないか。最近はそう考えるようになりました。 アメリカではリーマンショック後、下院議会で総括作業を行いましたが、日本では金融危機対応についてそうした総括的な取り組みが行われていません。長銀国有化後に内部調査委員会が設けられ、経営陣の責任追及に絞った調査は行われましたが、複合的な要因を究明する動きは出てこなかった。 さかのぼればアメリカでは1929年のウォール街大暴落の後、1932年にペコラ委員会を上院に設置して調査を行い、グラス・スティーガル法の制定などにつながりました。アメリカはこうした取り組みをしっかりやっている。日本がそれをしないのは、非常にもったいないことなのではないでしょうか』、説得力溢れた主張で、全面的に賛成したい。
タグ:バブル崩壊 住友銀行 日本長期信用銀行 ダイヤモンド・オンライン 長銀問題 (長銀「最後の頭取」が語る 20年前の破綻に至った本当の理由、今だから話せる 破綻カウントダウンの日々) 宮内健 「長銀「最後の頭取」が語る、20年前の破綻に至った本当の理由 長銀元頭取・鈴木恒男氏インタビュー(上)」 長銀「最後の頭取」である鈴木恒男氏 「営業重視・審査軽視」へと変化していったバブル期 マッキンゼーのコンサルティング 貸し出しの売り込みと審査を同じ総本部内で完結 業績にプレッシャーをかけた「長信銀制度」の行き詰まり なぜ不動産バブル崩壊を見抜けなかったのか EIEインターナショナル 東京を国際金融センターに 経営破綻を招いたのはEIEではない 他行より重かった関連ノンバンク処理 不良債権処理とは どのような仕事だったか 不動産融資総量規制 平成の鬼平 三重野康総裁率いる日銀 地価の本格的な下落 「長銀「最後の頭取」が今だから話せる、破綻カウントダウンの日々」 金融行政は「護送船団方式」から「自己責任原則」へと移行 スイスバンクコーポレーション(SBC)との業務提携 長銀株の下落でSBCとの提携が破綻 SBCから「ディストレスワラント条項」を付け加えることを要求された この条項の承認が提案された常務会において反対したのは1人だけ SBCとの合弁証券会社から大量の長銀株売り 株主総会中に「株価が50円を切った」のメモ 長銀ウォーバーグ証券 日本の金融機関であれば親密な会社の信用を落とす行為なので、他の証券会社に持ち込むよう顧客を誘導 欧米のディーラーは自分の実績と報酬に直結しますから、そんなことはお構いなしに売るのです 、「SBCは長銀を見限った」と市場に受け取られました 監督機関が引き継ぎで空白の時を狙い、ヘッジファンド等が長銀を空売りのターゲットにしたのでしょう マーケットの巨大な力は平時には見えませんが、こうしたときに大変な猛威を発揮する あらかじめクビが決められた頭取就任 信用低下で資金繰り困難に 大蔵省と相談しながら作成した公的資金を入れるための再建計画 政治も混乱 金融国会 政府・与党は破綻状態ではない長銀に公的資金を投入する方針でしたが、野党は強く反対し破綻金融機関に対する法的な処理を行う制度を設けるべきだと主張 国会審議で1ヵ月ほど衆目を集めるところとなった結果、その間に多くの風説やフェイクニュースが流布し、長銀の信用は日を追って低下し資金繰りが困難になりました 審議が膠着している間に長銀の信用が最終的に毀損される結果となったのです 政策新人類 我々が世界恐慌を引き起こすのでは…」 綱渡りの資金繰りに奔走 デリバティブやスワップといった金融派生商品ではかなり大きな規模の契約を国際的にしていますから 長銀がデフォルトになると国際的な騒ぎになる可能性 資金不足は「10日後に8000億円から1兆円になる」といった巨額な水準 98年11月4日、国有化長銀の役員が着任し、私は解任されました 異論を出す力」が失われていた 重層的な金融危機の要因を総括し、 今後に活かす取り組みを
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バブル崩壊(山一證券問題)(山一證券の「消滅」から20年、山一證券の極秘報告書を入手!実名で暴かれた「本当の悪」 自主廃業から20年目のスクープ) [金融]

今日は、バブル崩壊(山一證券問題)(山一證券の「消滅」から20年、山一證券の極秘報告書を入手!実名で暴かれた「本当の悪」 自主廃業から20年目のスクープ)を取上げよう。

先ずは、昨年11月16日付け闇株新聞「山一證券の「消滅」から20年」を紹介しよう。なお、闇株新聞は本年7月7日から休刊になっている。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2123.html
・『まだ少し時間がありますが、山一證券が「消滅」した1997年11月24日からちょうど20年となります。そこで今もあまり明らかになっていない山一證券「消滅」の裏側について書いておきます。破綻とか倒産ではなく「消滅」としている理由も出てきます。 日経平均は最近の上昇でバブル崩壊後の高値を更新しましたが、その高値とは1996年6月16日の22666円(終値)だったため、その1年半後には山一證券が「消滅」したことになります。そしてその前段が三洋証券と北海道拓殖銀行の破綻でした。 バブル期に巨大なトレーディングルームを江東区塩浜に建設するなど積極経営を続けていた中堅の三洋証券は、バブルが弾けるとたちまち経営不振に陥っていました。とりわけノンバンク子会社の「三洋ファイナンス」への債務保証が大きくのしかかり、1992年3月期から1997年3月期まで6期連続の赤字決算となっていました。 1994年に大蔵省主導で大株主の野村證券が200億円の第三者割当増資を引き受け、生保各社も200億円の劣後ローンを提供したものの、三洋証券はその劣後ローンの期間延長でやっと自己資本比率200%を維持する状態が続きました。劣後ローンは返済期限が近づくと自己資本に算入できなくなるからです。 しかしその劣後ローンも1997年10月末をもって延長されず、三洋証券は同年11月3日に会社更生法の適用を申請し、翌4日に資産保全命令が出ます。ところがそこで三洋証券が群馬中央信用金庫から調達していた10億円の無担保コールがデフォルトしてしまいました。金融機関同士の信用で成り立っているインターバンク市場における最初のデフォルトとなりました』、命綱の劣後ローンが延長されないのが当局は分かっていた筈で、僅か10億円の無担保コールをデフォルトさせ、システミック・リスクの引き金を引いた当局の罪は重い。
・『その余波はたちまちコールなどインターバンク市場を直撃し、綱渡りで運転資金をやりくりしていた都市銀行の北海道拓殖銀行が11月15日に破綻し、11月24日には巨額簿外損失を抱えていた山一證券が「消滅」し、さらに翌1998年には巨額の不良債権を抱える日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻する本格的な金融危機となりました。 このコール市場の「たった」10億円のデフォルトが、すべてのきっかけだったとは言いませんが、そこから山一證券の「消滅」に至る背景には、もっと恐ろしい旧大蔵省の「思惑」が働いていたようです。 当時の首相は橋本龍太郎で、その最大の政策は行政改革でした。しかしそこで掲げる「財政と金融の分離」は、当時の旧大蔵省にとって絶対に潰したいものだったはずです。 1997年11月14日の夕方、大蔵省の長野証券局長を訪ねた山一證券の野沢社長に対し、長野局長はハッキリと「山一證券は三洋証券とは規模が違う」と支援を約束していました。この時点では山一證券の抱える巨額簿外損失も長野局長に詳しく説明してあったはずです。 ところが同じ1997年11月14日に橋本首相が小村大蔵省次官に「財政と金融の分離」を最終通告したため、そこで旧大蔵省の態度が一変しました。 つまり山一證券が破綻して(今から考えると北海道拓殖銀行の破綻も同じ理由だったはずですが)財政出動となるなら、金融政策も一体として旧大蔵省が主導権を取らなければならないという理屈です。 また旧大蔵省は橋本首相が主導した金融ビックバンも、金融危機が発生する懸念を無視した軽率なものであり、それが三洋証券を破綻させてコール市場のデフォルトを引き起こしたと批判したかったようです。 つまり三洋証券破綻・コールのデフォルト・北海道拓殖銀行破綻・山一證券「消滅」は、すべて橋本行政改革とくに「財政と金融の分離」を潰すための旧大蔵省のクーデターだったことになります。橋本首相の秘書官だった江田憲司氏もそうおっしゃっています』、3社破綻は「旧大蔵省のクーデター」だったとは、頷ける話だ。
・『そして運命の1997年11月22日、行政改革に向けた集中審議の最終日であり審議が翌23日未明までずれ込み、橋本首相が記者会見を行っていた午前3時20分に日経新聞が「山一證券、自主廃業へ」との第一報を打ちます。その段階で行政改革も「財政と金融の分離」も消し飛んでしまいました。 日経新聞の報道はもちろん旧大蔵省のリークで、一番驚いたのは当の山一證券の野沢社長だったはずです。つまりこの時点の山一證券は債務超過にはなっておらず、したがって巨額簿外損失の相談なども受けたことがなく、ただ山一證券が自主的に廃業したとして見事に梯子を外してしまいました。 山一證券はあくまでも「自主廃業」となったあとに巨額簿外損失が見つかり破産に追い込まれたことになっています。山一證券はそのままでもすぐに破綻していたはずですが、そうなる前に旧大蔵省の責任逃れと橋本行政改革とりわけ「財政と金融の分離」を潰すために「消滅」させられたことになります』、「山一證券、自主廃業へ」が旧大蔵省のリークだったとは、悪辣なやり方だ。
・『しかしここまでして潰した「財政と金融の分離」は、たった数か月後の1998年3月に検察庁が過剰接待で旧大蔵省のキャリア官僚を逮捕したため、結局旧大蔵省は財務省と金融庁に分離されて現在に至ります。官邸の圧力をはねのけた旧大蔵省は、同じ官僚組織(検察庁)に足元を掬われた(すくわれた)ことになります。 20年も前の山一證券「消滅」など、もう世間の関心を引くこともないと思うので、このタイミングで記事にしました』、当時の雰囲気を思い出すことが出来た。

次に、元読売新聞記者でノンフィクション作家の清武 英利氏が昨年12月11日付け現代ビジネスに寄稿した「山一證券の極秘報告書を入手!実名で暴かれた「本当の悪」 自主廃業から20年目のスクープ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53653
・『野澤正平社長(当時)が涙の記者会見をしてから20年。だが、最後まで山一證券に自浄作用が働くことはなかった。それを示す「極秘報告書」について、『しんがり』『空あかり』の著者が真相を明かす。 不正は「公然の秘密」  もし、その報告書が公表されていれば、日本の企業社会に痛烈な教訓を残していただろう。20年前に経営破綻した山一證券の法的責任判定委員会が作成し、封印された2つの報告書のことである。 東芝の不正会計や日産の検査不正、神戸製鋼所の検査データ改竄など、組織ぐるみの不正が横行する大企業にあって、その「不正の協業」に対する責任追及はいかに行われるべきなのか、報告書は大きな道標になった――はずだった。 2つの文書は、日本企業に共通した組織的不正の構造をえぐり出しただけではない。 日本企業では、出世と引き換えに、〝背信の階段〟を登る多くの社員が生まれるということ、そして、彼らの協業が不正を長く隠蔽させ、遂には会社を窮地へと導くことを、多数の関与者の実名を挙げて告発していた』、極秘報告書が封印されたのは、かえすがえすも残念だ。
・『山一破綻から20年を迎えたのを機に、私は元山一社員の再起の物語を改めて取材して歩いたが、いまなお怒りを秘めた人のなんと多かったことだろう。 山一を見限った元課長は「社内各所に含み損が隠蔽されていることは公然の秘密だった」と語る。 自ら組織不正に加わっていたと証言する者、「内部告発を生かす企業社会に」と主張する元社員……私が出会った元社員の声と、〝幻の報告書〟を支えに、日本企業の病理を改めて検証してみよう。  四大証券の一つだった山一證券は、1997年11月24日、金融不況のさなかに約2600億円の債務隠しが発覚して、自主廃業に追い込まれた。簿外債務の事実を知らされず、失職した役員や社員は激怒し、新旧経営陣の追及を始める。 だが、その不正は法人部門で「公然の秘密だった」と、「レコフ」(東京・麹町)社長の稲田洋一は語る。 いま、東芝や日産、神戸製鋼所で繰り返される日本企業の「不正協業」の構図である。稲田は山一破綻の3年前、山一事業法人第一部課長の職を投げ打ち、日本のM&Aビジネスの草分けであるレコフに飛び込んでいる。 「山一本社では、法人営業のエリートと言われる営業マンたちが飛ぶ鳥を落とす勢いでした。会社の容認、黙認のもとで、(不正な)利回り保証をしてファンドを集めてくる。そんな専門家が綺羅、星のごとくいて、その人たちが『特A』評価を受けていた。それが損失を生んでいるのに、誰も何も責任を取らないし処罰もされない」 証券会社では嫌なことも感覚をマヒさせることも起きる。だとしても、それはあまりに不条理で許せない、と稲田は思っていた。彼は'93年夏、米国留学から帰ってきた。 「そのころ、飛ばしの末に、とてつもない含み損が各所に存在していて、それが隠蔽されていました」と稲田は言う。 彼はその金額が1兆円を超えていて、処理不能だろうと考える。それ以上に深刻だったのは、経営陣の対応だった。 「分かっていて、目をつぶり問題を拡大し、完璧に隠蔽した。まさか(辞めて)3年でつぶれるとは思いませんでしたが、いずれこの会社はだめになるということには、ほぼ100%の確信がありました」』、米国留学から帰ってきたばかりの稲田氏にとっては、大きなショックだったに違いない。
・『野澤社長が「封印」した理由  山一の元女性社員によると、債券部には怪しげな伝票が回ってきていた。それは、当日の取引が終了した後のことで、課長が「これ、頼むよ」とさらりと伝票を出してくる。 書き込まれた金額は50億円や100億円という単位で、とても説明がつかなかった。担当者は言われた通りにそれに判子を押していたが、内心では疑っていた。 ――あれは不良債務を海外へ飛ばすカラクリの一端だったのではないか。 総務部長だった永井清一は、破綻の半年前から毎朝、ポストに新聞を取りに行くのが怖かったという。 17年間、大手企業の増資や社債発行を担当する引受業務に従事し、法人顧客への損失補填や「飛ばし」の実態を認識していたからである。いつか、破綻の日が来るのではないか、と恐怖心に揺れていたのだった。 永井の不安や元女性社員の疑問、そして稲田の指摘――それらを裏付ける2つの報告書がある。 冒頭でも述べたが、その1つが1998年6月に記された「法的責任判定の第一次報告書――国内の簿外債務発生の責任について」(13ページ、通称「第一次報告書」)、2つ目が同10月にまとめられた「法的責任判定の最終報告書」(130ページ、通称「最終報告書」)である。 いずれも最後の経営陣から依頼された3人の弁護士と公認会計士の計4人による「山一證券法的責任判定委員会」(委員長・渡邊顯弁護士)が作成したものだ。 社長だった野澤正平らに報告されたが、公表されず、特に最終報告書は「まとめられたことさえ明らかにできない」という姿勢を、野澤らは貫いた。 これらが封印されたのは、要するに委員会の渡邊や國廣正らの指摘が精緻、峻烈で、野澤らを役員に抜擢した旧経営陣にとってあまりに都合の悪い内容だったからだ。彼らは株主などからの訴訟を控えていた』、いくら訴訟を控えていたとはいえ、わざわざ作成させた報告書を封印した野澤社長の罪は重い。これでは、彼の「涙」の価値も消し飛んでしまう。
・『「最終報告書」は、①山一には、簿外処理による粉飾決算という無法地帯が広がり、②山一エンタープライズなど、関連企業というアンタッチャブルな伏魔殿も存在していた――と指摘したうえで、不正関与者は「皆偉くなった」と次のように述べる。〈(不正は)山一證券の役員の誰かが単独に出来る筈はなく、特金口座の維持管理、貸債の流れに応じた事務処理、法的形態に応じた資金の授受及び現先の実行とその事務処理まで、幅広く複数の部門とその部門の責任者による有機的なチームワークが必要であった。それこそ山一證券の社風である一糸乱れぬ見事な協業体制があった。 関与部門の各責任者は、何故この取引がなされなければならないかを当然に知っており、しかも口外出来ない性格のものであることを承知で粛々と事務処理を担当していた』、不正行為がこれだけ組織的に粛々と行われていたのは、山一證券の社風の「素晴らしさ」を物語っている。通常であれば、組織の効率を高めるが、組織が誤った方向に向かうと暴走するリスクを孕んでいるようだ。
・『「秘密サークル」が出世する  そして、不正の主な関与部門として、財務本部、債券本部、法人営業本部を挙げる。山一の簿外債務事件で刑事責任を追及されたのは、元会長の行平次雄と元社長の三木淳夫の2人だけだが、実際の債務隠しには14人の取締役や監査役が関与したとして、その実名を記した。 さらに、彼らが秘密を共有するにつれて昇進し、何十、何百人という部下を巻き込んでいった経緯と、年度順に追った〝出世一覧表〟(関与取締役一覧)を掲載して、次のように結論付ける。〈このいわば会社の恥部を知った、秘密サークルに属している部門の責任者が会社の重要なポストを占める様になっていた〉 正富芳信は、その秘密サークルの端にいた。事業法人部で破綻までの6年間、財テク企業として名を馳せた鉄鋼商社「阪和興業」を担当し、「飛ばし」を続けている。法人営業本部や事業法人本部の関与者がいまだに取材拒否を貫くなかで、彼は堂々と今回の取材に応じた。 拙著『空あかり 山一證券〝しんがり〟百人の言葉』の中で、破綻後に同期の仲間から「A級戦犯」と呼ばれた苦しい日々を振り返っている。 「紙に書いた(裏の)契約書があったんです。役員の名前が書いてあって、向こうの社長の名前、いくら預かったか、落とし(利益)はいくらか、期間はいつかと、そういう確定利回り何%で金額はこうなりますという内容です。 ニギリをした会社は、阪和興業ばかりではなく、そういう紙がすべてにあったんですよ。念書みたいに必ず一筆書いています。監査が入って見つかるとヤバいので、みんな自宅に持ち帰っていました」 山一の内情を調べあげた最終報告書は、こうも指摘している。〈関与部門の役員レベルのみではなく、それ以下の相当の職位の部下も携わっていた。極端な場合には、取引の伝票に関する起票者から承認まで全関係者が事実関係を部分的ではあるにせよ知っていたと考えられる〉 飛ばしの末に山一が破綻すると、事業法人部門の社員は次々と再就職を決め、会社に来なくなった。だが、正富は'98年3月に全員解雇されるまで残り、担当した会社を回って頭を下げた。求人情報を聞き取っては、山一社内の「再就職掲示板」に求人票を掲示していったという。 「A級戦犯の自分としては、自分だけさっさと再就職するわけにいかなかった。そこまでしないと同期社員に対して顔が立たなかった」と彼は言う。 大企業の同調圧力は、こうして若い社員まで不正に染め上げ、苦しめる。山一の元海外事務部長だった福原恒夫は「日本の企業は隠蔽体質を簡単には変えられないのだ。自浄作用もほとんどない」と指摘する。 「だから、早い段階での内部告発も必要だ。それは、内部で不正一掃を言い出せない時、膿を早く出し、結果的に企業や社員を救うための良策ではないか」 哀しいことに、社長の野澤ら最後の経営陣は、破綻後もなお、旧経営陣とその取り巻きを厳しく指弾できなかった』、「日本の企業は隠蔽体質を簡単には変えられないのだ。自浄作用もほとんどない」との指摘は、いまだに日本型組織の通弊のようだ。
・『実は、破綻後の山一には、これら2つの報告書とは別に、業務監理本部長だった嘉本隆正率いる有志によってまとめられた「社内調査報告書」(106ページ)があった。 ▽「会社のため」は認めない(これは、第一次報告書の2ヵ月前に、一部役員の反対を押し切って公表されていた。 常務の嘉本らは破棄される寸前の内部資料を探し出し、100人を超す元幹部からヒアリングを実施したりして、簿外債務の実態と社内の債務隠しチームの存在を突き止めている。 企業の社内調査の前例になる画期的な内容だったが、嘉本も役員の席に連なっていたことから、その後の責任追及は弁護士ら外部識者に委ねざるを得なかった。 そのころには社内調査の有志たちも会社を離れており、社員の怒りの力を結集できなかったことも、2つの報告書の封印を許す一因となった。 別項は「第一次報告書」の概要である。その冒頭に、〈判定委員会は、従来の我が国企業の「常識」から見て許されてきた行為であっても、法の観点から問題ありと認められれば有責と判定することに躊躇しない。「会社のため」という抗弁を認めない〉と宣言し、〈こうした抗弁は「証券四社からの脱落のおそれ」や「経営責任を問われることへの恐怖」を、「会社がつぶれる」という言葉にすり替えているものと思われる〉と断じた。それらの指摘も新旧経営陣の畏怖と抵抗を招いた。 真実の公表は、山一社員や株主、顧客に対する責務だったはずだが、不正の泥沼の中から生まれた経営陣は、結局最後の仕事を果たさなかった。 『空あかり』に登場した元社員の間には、「会社のために生きてはいけない」「ゴマすり人間にだけはなってはいけない」という声が強い。それは会社に――いや、役員や一部のエリートたちに裏切られた一般社員の痛切な企業批判であるように思える』、報告書が封印されたことで、残念ながら、同じ過ちに陥る企業がまた出てくることになるだろう。
・『第一次報告書の概要 〈結論〉 山一證券は「国内の簿外債務の発生」に関し、10名(役職名は'91年12月当時)に対して損害賠償請求の法的手続きをとるべきである。 横田良男(代表取締役会長)、行平次雄(代表取締役社長)、延命隆(代表取締役副社長=故人)、石原仁(代表取締役副社長)、三木淳夫(代表取締役副社長)、高木眞行(顧問・元専務取締役)、小西正純(常務取締役)、白井隆二(常務取締役)、礒守男(取締役)、木下公明(企画室付部長)=このうち木下を除く9人に訴訟が起こされた。 〈損害賠償請求の原因となる経緯〉 山一證券事業法人本部では1987年頃から、顧客企業に対し一任勘定で利回り保証を約した勧誘(ニギリ)で資金導入を図るケースが増加した。  「ニギリ」は、'88年頃から組織的に行われ、損失が生じるものも増加し、損失を先送りする「飛ばし」も行われるようになった。'90年6月頃からファンドの処理に関しては、①客とトラブらない②粛々と引っ張れ③営業担当者の責任にはしない、という方向で、損失補填や「飛ばし」が続けられた。 しかし、'91年夏、証券不祥事が発覚、損失補填が強い社会的非難を浴び、顧客企業からファンド解消の要求が相次ぐようになり、「飛ばし」による先送り方針も維持できない状況に追い込まれていった。 〈行為1〉行平、延命、石原、三木、高木、小西、白井、礒、木下は'91年11月頃から'92年1月頃にかけて、共謀の上、顧客企業との間で引き取りにつき争いになっていた含み損のある有価証券を引き取ることを決定した。この決定に基づき、7社が保有していた含み損のある有価証券を、ペーパー会社に帰属させるというスキームを用いて引き取った。これにより、約1207億円('92年3月末、国内分のみ)の被害を被った。 〈行為2〉会長の横田はこれらの行為を知りうべき立場にあり、取締役としてこれを阻止すべき法的義務(監視業務)を怠った』、旧役員への損害賠償請求は結局されなかったらしいが、理由は不明である。いずれにしろ、裁判を通じた有用な教訓が、監査法人を除いては残らなかったのは残念である。
タグ:バブル崩壊 最終報告書 現代ビジネス 闇株新聞 山一證券問題 )(山一證券の「消滅」から20年、山一證券の極秘報告書を入手!実名で暴かれた「本当の悪」 自主廃業から20年目のスクープ) 「山一證券の「消滅」から20年」 三洋証券 「三洋ファイナンス」への債務保証が大きくのしかかり、1992年3月期から1997年3月期まで6期連続の赤字決算となっていました しかしその劣後ローンも1997年10月末をもって延長されず、三洋証券は同年11月3日に会社更生法の適用を申請し、翌4日に資産保全命令が出ます 三洋証券が群馬中央信用金庫から調達していた10億円の無担保コールがデフォルト コールなどインターバンク市場を直撃し、綱渡りで運転資金をやりくりしていた都市銀行の北海道拓殖銀行が11月15日に破綻し、11月24日には巨額簿外損失を抱えていた山一證券が「消滅」し、さらに翌1998年には巨額の不良債権を抱える日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻する本格的な金融危機 「財政と金融の分離」を潰すための旧大蔵省のクーデターだった 日経新聞が「山一證券、自主廃業へ」 旧大蔵省のリーク 旧大蔵省の責任逃れと橋本行政改革とりわけ「財政と金融の分離」を潰すために「消滅」させられたことになります 検察庁が過剰接待で旧大蔵省のキャリア官僚を逮捕したため、結局旧大蔵省は財務省と金融庁に分離されて現在に至ります 清武 英利 「山一證券の極秘報告書を入手!実名で暴かれた「本当の悪」 自主廃業から20年目のスクープ」 「極秘報告書」 山一證券の法的責任判定委員会が作成し、封印された2つの報告書 山一本社では、法人営業のエリートと言われる営業マンたちが飛ぶ鳥を落とす勢いでした。会社の容認、黙認のもとで、(不正な)利回り保証をしてファンドを集めてくる。そんな専門家が綺羅、星のごとくいて、その人たちが『特A』評価を受けていた。それが損失を生んでいるのに、誰も何も責任を取らないし処罰もされない 野澤社長が「封印」した理由 第一次報告書 山一には、簿外処理による粉飾決算という無法地帯が広がり 山一エンタープライズなど、関連企業というアンタッチャブルな伏魔殿も存在していた 不正関与者は「皆偉くなった」 秘密サークル」が出世する
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金融業界(その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界) [金融]

金融業界については、8月2日に取上げた。今日は、(その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界)である。

先ずは、みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミストの高田 創氏が10月31日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/183824
・『高齢化はさまざまな形で経済社会を大きく変えようとしているが、金融システムや銀行もその例外ではない。戦後一貫して当たり前のものとして前提にしてきた金融仲介の在り方は大転換を迫られている。 本論は、戦後、「人生60年時代」の局面で作り上げられた今の金融のインフラが、その後、高齢化に伴い「人生100年時代」を迎えるなか、実態に合わなくなっているとの問題提起である。 それは、今日の銀行の在り方そのものを問うものとなる』、ずいぶん大きく構えたものだが、見てゆこう。
・『高齢化がもたらすマネーフローの転換  高齢化は2つの面で、金融システムや銀行のビジネスモデルの転換を迫っている。 第1が、現役世代を対象にした金融・ビジネスから高齢者に向けたサービスへのシフト。 第2は、老後、多様化するライフスタイルに対する対応だ。 図表は、今日の高齢化に伴うライフステージや金融ニーズの変化を示す概念図である。 横軸で、高齢者に向けたサービスのシフトを、縦軸で多様化するライフスタイルに対する金融サービスの変化を示し、2次元にわたる大きな転換を指摘したい。(◆図表1:高齢化に伴うライフステージや金融ニーズ はリンク先参照)』、なるほど。
・『「波平さんモデル」から平均寿命は20年延びた  ここに示した高齢化に伴う環境変化を筆者は「波平さんモデル」の転換として議論してきた。それは、つまり「人生60年時代」の転換を示す。 戦後の国民的アニメの「サザエさん」に登場する波平さんの年齢は、54歳という設定だとされる。このアニメの原作の漫画が始まった1950年代当時、サラリーマンの定年の多くは50歳代半ば、男性の平均寿命は60歳程度だった。 今、我々の生活を取り巻く制度設計の前提の多くは「サザエさん」が誕生したころに生まれ、年金などの社会保障制度の設計もその頃の状況がベースになっている「波平さんモデル」である。 同様に、金融機関のビジネスモデルも当時の状況を想定したものといっていい。 だが現在、男性の平均寿命は81歳と、過去60年の間に20歳程度も延びた。当時の波平さんをベースに設計された「波平さんモデル」は、今の実情と全くかけはなれている。 かつての「波平さんモデル」なら、ほとんどの人の人生は現役の時代だけで完結し、老後に必要な経済的保障である年金のニーズも生まれなかった。また、健康面では老人医療の必要もなく、介護のニーズも生じない。 すなわち、「老後」の存在がほとんどない、「現役世代完結型」のモデルだった』、「波平さんモデル」とは上手いネーミングだ。
・『「現役世代完結型」から「世代間資金仲介型」に  ここで金融の仲介機能に目を向けよう。 「波平さんモデル」、「現役世代完結型の金融」での資金の仲介は、社会の現役世代における資金過不足の金融仲介が中心になる。 すなわち、戦後長らく、旺盛な資金需要を伴う企業セクターが存在し、家計でも現役世代に住宅投資を中心に資金ニーズがあった。銀行の機能は、企業や現役世代への資金仲介を行うことにあった。 その資金需要額は貯蓄額を超える投資過剰の状況のなか、商業銀行が、貯蓄を集める効率的なインフラの中核として存在した。 その環境のもとで銀行のビジネスモデルは、画一化したライフスタイルの現役世代を中心に、さまざまなライフステージ(就職-結婚-子育て-住宅購入-定年)に対応した金融ニーズを提供することだった。 銀行はそうしたライフステージの入り口の就職段階から顧客を捉えれば、その後も安定した営業基盤が構築でき、預金を集めれば自動的に収益につながった。こうしたことが暗黙裡に前提とされていた商業銀行モデルの成功体験が長く続いた。 次に、老後の生活が20年以上ある「人生100年時代」への転換を考えよう。 この時代での資金の仲介は、顧客の現役の時から老後まで、社会全体の現役世代から老後への世代をつなぐ金融、「世代間資金仲介」だ。それは年金をはじめとする資産運用に他ならない。 人々は公的年金制度などで不十分と考えれば、現役の時の支出を減らしても老後に備えることになる。さらに、「人生100年時代」の掛け声のなか、さらに老後が長くなるとの不安は、節約志向を強め、資産運用のニーズを増やす。 同時に、企業の旺盛な資金需要も減退するなか、商業銀行のビジネスモデルは大幅な転換を余儀なくされる。 とりわけ現在のように日銀による「マイナス金利」政策が続き、金利収入が激減している状況では、戦後一貫して続いた預金と貸し出しをベースとした商業銀行のビジネスモデルは再考を迫られる。 同時に、新たに資産運用ビジネスの重要性が高まることになる』、「資産運用ビジネスの重要性」は既に強く認識されていて、競争も苛烈だ。
・『企業の資金余剰時代 エクイティ市場が中心に  図表2で貯蓄投資バランスの変化を見てみよう。(◆図表2:日本の貯蓄投資(IS)バランス推移 はリンク先参照) 戦後一貫して続いた非金融法人の資金不足は、90年代以降は資金余剰に転換した。 商業銀行などの金融機関にとっての「波平さんモデル」は、企業が資金不足であることが前提だった。だが、資金余剰になったなか、高齢化における資金仲介は現役世代から高齢者への資金仲介、資産運用が中心になる。 さらに、ライフスタイルが多様化するなかでは、多様なライフスタイルのニーズに即した金融サービスが重要になり、そこでは商業銀行が担うビジネスに加え信託業務の重要性も高まりやすい』、信託銀行では、政府の後押しもあって、既に暦年贈与信託、相続型信託、教育資金贈与信託などを提供している。
・『さらに、従来の企業金融は銀行中心の貸出市場から資本市場が中心になる。 今や上場企業の6割近くが実質無借金だ。金余り時代では、必要な資金はデットよりもエクイティ性資金で調達することが主になる。 資金仲介機能もデット市場からエクイティ市場が中心となる。金融庁など金融当局が金融機関の経営状況を判断する際の事業性評価も、今後は、デット性の貸し出しにとどまらず、エクイティ性の出資機能も重要になるのではないか。 高齢化が金融仲介システムに大きな転換をもたらしていることを、改めて認識する必要がある』、正論であるが、現在のところ銀行の株式保有には、自己資本を上限にするとの制限がある。この緩和を暗に求めているのだろうか。

次に、11月19日付け日刊ゲンダイが掲載した商工中金の関根正裕社長と作家の江上剛氏の対談「関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241751/1
・『江上氏 近ごろ経営のかじ取りがおかしい  1997年に発覚した第一勧業銀行(現みずほ銀行)の総会屋利益供与事件。このとき広報担当者として活躍したひとりは作家となり、その部下だった金融マンは今年3月、西武ホールディングス(HD)傘下のプリンスホテル常務から、不正融資問題に揺れていた商工組合中央金庫(商工中金)の社長に転じた。第一勧銀時代、二人三脚で不祥事対応にあたった作家・江上剛氏と商工中金社長・関根正裕氏の2人が今の銀行界を語る』、興味深そうだ。
・『・・・江上 ・・・それにしても、僕が小説を書き、関根さんが商工中金の社長になって、こんなふうに対談するとは、人生って不思議だよね。 関根 ビックリですよ。そもそも商工中金に来るのが想定外でした。 江上 初めて商工中金の話があったとき、どう思った? 関根 正直、「私ですか?」と思いました。ただ、商工中金の調査報告書などを読んで、職員のメンタリティーは理解できたし、これであれば自分の経験が生かせる、役に立てるかもしれないと感じました。 江上 このニュースを知ったとき、よく引き受けたなと(笑い)。家族は何と言っていた? 関根 プリンスホテルの仕事は充実していたし、家内は他に行くとは思っていなかったでしょう。家内に「やりたいの?」と聞かれて、「やりたい」と答えたら、ビックリしていましたけど、「だったらいいんじゃない」と賛成してくれました。 江上 西武グループには何年いたの? 関根 13年です。そのうち5年がプリンスホテルでした。みずほ銀行から西武HDに移った目的は、後藤高志さん(西武HD社長、元みずほコーポレート銀行副頭取)を男にしたいというのと、西武再建を果たすの2つでした。それは達成したし、私が西武HDにいなくても大丈夫だと思ったこともあります。 江上 商工中金へ移るときの新聞報道などを見ると、関根さんは再建の専門家と書かれていました。西武に移るときの気持ちと、今回は違いますか? 関根 まず西武での経験が生きるのではないかと思いました。商工中金の職員はまじめに一生懸命やっています。ただ、時代の流れとか、経営のあり方の間違いで、不正融資問題が起こってしまった。だから、経営者が方向性を示し、体制をきちんと整えれば再生できると信じています。 江上 近ごろはKYBや神戸製鋼所、タカタなどモノづくりの現場でも不祥事が続いています。業績至上主義というか、経営のかじ取りがおかしくなっていると感じます。 関根 それは間違いないでしょうね。商工中金も業績に対するプレッシャーは相当強かったと思います。もっと言えば、職員は業績を上げることが人事評価につながるとの思いが強かった。そのせいで成果を上げようと無理をしてしまう。風通しの悪さもあったでしょう。現場で起こっていることが経営まで上がってこない。これは組織的な欠陥にほかなりません』、かつては政府系金融機関の商工中金は、「親方日の丸」で優雅な職場であったが、民営化の既定方針を覆すため、無理にでも融資を増やして存在感をアピールしようとしたことが、致命的な不祥事につながってしまった。
・『江上 リーマン・ショック後などは、他の金融機関が貸し渋りをするなか、商工中金は積極的な融資を実行したと聞いています。申し込みも殺到したとか。 関根 リーマン・ショックや東日本大震災では、多くの金融機関の融資残高は大きく減少しましたが、商工中金は融資残高を増やしています。危機のときに企業の役に立った。その感謝の声は今も続いています。それが顧客の信頼につながっているのは間違いありません。 江上 銀行は「雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を差し出す」と言われることもあります。商工中金のメンタリティーは違うんですね』、それはそうだが、商工中金は融資拡大のため、審査資料の改竄までやり、問題化したことには、触れられてない。現社長でも過去の恥部には触れたくないのだろう。
・『関根氏 個人にノルマは課さない  関根 そもそも商工中金は中小企業の金融の円滑化という趣旨でつくられています。職員の矜持というか、DNAに組み込まれていると思います。中小企業の経営者には、あのとき助けてもらったから今があるという人がたくさんいます。一時は廃業を考えてたけど、商工中金が危機対応融資などで支援するといってくれたおかげで復活できたと言ってくれています。 江上 ただ、その危機対応融資が平時にも続いたことが不祥事を招いたともいえますね。私は小説を書くために多くの経営者に取材しますが、業績を上げ続けなくてはいけないプレッシャーにはまり込む人が大勢いるように思えます。関根さんは、10月に策定した中期経営計画で、職員に目標を割り振るのをやめたとか? 関根 各支店で個人のノルマを課すのは厳禁だと宣言しました。 江上 そうすると、われわれの若いときみたいに喫茶店でサボる人も出てくるのでは(笑い)。 関根 ハハハ、会社ですから成果を上げることは変わりません。ただ、ひとりずつに数字を割り当てるのをやめ、結果ではなくプロセスや取り組みを評価しようということです。 江上 最近の企業は四半期ごとに決算があって、結果ばかりを求められます。だから結果から経営を考えるみたいになっている。でも本当は利益は後からついてくるものです。 関根 銀行は、銀行の都合でセールスするのではなく、顧客のニーズに基づいて営業することが大切です。顧客のことをきちんと知れば、先方が気付いていない課題やニーズも分かってきます。そういう営業をすべきでしょう。 江上 まさにホテルマンの経験が生きていますね。 関根 ホテルの現場の人は、純粋に客に喜んでもらうことを考えています。収益など頭にありません。そんなホテルの経験を生かしてこそ、私が商工中金の経営をやる意味があると思っています。 江上 先ほども少し触れましたが、中期経営計画には店舗の統廃合や職員数の減少も含まれています。職員の反応はどうですか? 関根 合理化の話は一部分だけなのですが、そこばかり取り上げられて……。トータルの人員は自然減などで減少しますが、営業やサービスのソリューションの部分は増員します。一方で、店頭に来る人は減り、業務のロボット化、自動化も進んでいます。実際、業務量は減っていくので、その分の人員は減少します。現在、職員は約4000人ですが、560人分の業務量を減らします。自然減は400人ほどで、160人はサービス強化にエネルギーを注いでもらいます。とはいえ、自分の仕事がデジタル化や本部集中によってなくなってしまう職員もいます。そんな人には新たな挑戦のチャンス、成長する糧にしてほしいとのメッセージを送っています』、それでも民間の銀行に比べれば、リストラの度合いは手緩いのではなかろうか。
・『江上 中小企業は後継者も大きな課題だといわれます。 関根 中小企業は日本全国にざっと380万社あります。今後、10年で社長が70歳以上になるのは240万社といわれ、そのうちの半分にあたる120万社は後継者が決まっていません。 江上 かつて日本興業銀行は“人材派遣銀行”といわれていたけど、商工中金も人材派遣したらどう? 関根 要請はたくさんありますね。ただ、応えられていないのが現状です。 江上 米国の成長企業には、2000年以降にスタートアップしたところが目立ちます。近ごろはクラウドファンディングなど支援の方法はさまざまですが、米国に比べ日本は体制があまり整っていないと感じます。 関根 過去の経験や実績に基づいて審査する方法は限界があります。このやり方を変える必要はあるでしょう。たとえば、開発力があって製造は得意だけれども、営業力や財務の弱い会社があるとしたら、われわれは弱いところをサポートする体制を整えてあげる。 江上 一般的に目利き力というのがあるでしょう。私も銀行の支店長時代に、融資先の社長の顔を見ながら、「夜逃げしないよね」と聞いていました。「しません!」とハッキリ言う社長もいたね。 関根 経営者が情熱を持っているかどうか、誠実かどうかが基本でしょう・・・』、その程度の経営者への確認では到底済まないのが現実なのに、無理にキレイ事でまとめるとは、残念だ。
タグ:対談 金融業界 日刊ゲンダイ 江上剛 ダイヤモンド・オンライン 商工中金 高田 創 (その4)(高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている、関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界) 「高齢化で銀行のビジネスモデルは「大転換」を迫られている」 「人生60年時代」の局面で作り上げられた今の金融のインフラ 「人生100年時代」を迎えるなか、実態に合わなくなっている 高齢化がもたらすマネーフローの転換 第1が、現役世代を対象にした金融・ビジネスから高齢者に向けたサービスへのシフト 第2は、老後、多様化するライフスタイルに対する対応 「波平さんモデル」から平均寿命は20年延びた かつての「波平さんモデル」 「老後」の存在がほとんどない、「現役世代完結型」のモデルだった 「現役世代完結型」から「世代間資金仲介型」に 銀行のビジネスモデルは、画一化したライフスタイルの現役世代を中心に、さまざまなライフステージ(就職-結婚-子育て-住宅購入-定年)に対応した金融ニーズを提供することだった この時代での資金の仲介は、顧客の現役の時から老後まで、社会全体の現役世代から老後への世代をつなぐ金融、「世代間資金仲介」だ 企業の資金余剰時代 エクイティ市場が中心に 信託業務の重要性も高まりやすい 資金仲介機能もデット市場からエクイティ市場が中心 今後は、デット性の貸し出しにとどまらず、エクイティ性の出資機能も重要になるのではないか 関根正裕 「関根正裕×江上剛 総会屋事件対応した2人が語る今の銀行界」 近ごろはKYBや神戸製鋼所、タカタなどモノづくりの現場でも不祥事が続いています。業績至上主義というか、経営のかじ取りがおかしくなっていると感じます 職員は業績を上げることが人事評価につながるとの思いが強かった リーマン・ショック後などは、他の金融機関が貸し渋りをするなか、商工中金は積極的な融資を実行したと聞いています 関根氏 個人にノルマは課さない
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