So-net無料ブログ作成

知的財産(権利を守りたい漫画家でさえ反対する「ダウンロード違法化」の最適解、小田嶋氏:JASRACは何と戦っているのだろうか) [文化]

今日まで更新を休む予定だったが、今日から可能になったので、知的財産(権利を守りたい漫画家でさえ反対する「ダウンロード違法化」の最適解、小田嶋氏:JASRACは何と戦っているのだろうか)を取上げよう。

先ずは、経産省出身で慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の岸 博幸氏が3月15日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「権利を守りたい漫画家でさえ反対する「ダウンロード違法化」の最適解」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/196956
・『ダウンロード違法化の範囲を拡充 著作権法改正法案はなぜ見送られたか  文科省がダウンロード違法化の範囲を拡充する著作権法改正法案を今国会に提出しようとしましたが、世論の強い反発が収まらずに自民党で法案が了承されず、国会提出は見送られることとなりました。 違法コンテンツに対する規制強化は当然ですが、同時にそれに対する懸念の声もよくわかります。ダウンロード違法化について両者が満足できる最適解は、存在するのでしょうか。 今回の著作権法改正法案には、違法コンテンツ対策として2つの柱があります。1つの柱は違法コンテンツが置かれているウェブサイトのURLをまとめ、ユーザをそれら海賊版サイトに誘導する“リーチサイト”や“リーチアプリ”に対する規制の導入です。 具体的には、リーチサイトの運営者やリーチアプリの提供者には刑事罰(非親告罪)を科し、またリーチサイトやリーチアプリにリンク情報などを提供した者に対しては、権利者の民事措置(差止請求、損害賠償請求)を可能にするとともに、刑事罰(親告罪)も科しています。 著作権者に無断でアップロードされた違法コンテンツは、リーチサイトにリンクが貼られることで62倍も多く視聴されてしまう(電気通信大調査)という現実を踏まえると、リーチサイトやリーチアプリへの規制の導入は当然の措置です。実際、この点については識者や世論の反発もほとんどありません。 これに対して、違法コンテンツ対策のもう1つの柱であるダウンロード違法化については、弁護士や漫画家といった方々から強い懸念と反対の声が上がり、結果として法案の国会提出が見送られることになりました。そこで、このダウンロード違法化についてすべての人が満足する最適解が存在するかを考えてみたいと思います』、なかなか興味深そうだ。
・『どこまでが違法なのか 文科省は悪影響に配慮も  その前に、おそらく多くの方が今回のダウンロード違法化の詳しい内容をご存じないと思いますので、説明しておきましょう。 ダウンロード違法化とは、ネット上に違法にアップロードされたものだと知りながら違法コンテンツをダウンロードすることを、それが私的使用目的であっても違法とし、特に正規版が有償で提供されているもののダウンロードを継続的に、または反復して行う場合には、刑事罰(親告罪)の対象とするものです。 音楽と映像については、すでにこのダウンロード違法化が行われているのですが、ネット上では漫画や雑誌など幅広い分野で違法ダウンロードの被害が生じていることから、今回の法改正では、音楽・映像に限らず違法にアップロードされたすべての著作物をダウンロード違法化の対象としようとしています。 ただ、ネットが情報収集の最大のツールとして活用され、かつネット上のコンテンツが違法にアップロードされたかどうかを見極めるのが困難である現実を考えると、無闇になんでも違法とすべきではありません。 そこで、違法にアップロードされたコンテンツだと知らずに(適法か違法かの判断がつかずに)ダウンロードした場合は違法とならないし、またネット上で適法に引用されたものと思ってダウンロードしたけれど実際は違法な引用だった場合など、適法・違法の評価を誤った場合も違法とならない旨が明確化されました。 また、そもそも当たり前の話ですが、違法にアップロードされたコンテンツであっても、ダウンロードせずに視聴するだけなら違法となりません。  加えて、刑事罰についても、それを科されるのは継続的にまたは反復して行われるという常習性がある場合に限られ、かつ二次創作者が原作者の許諾なくアップロードした二次創作物のダウンロードは対象外とされています。 このように、ある意味、ダウンロード違法化の具体策を検討した審議会での有識者の反対意見なども踏まえ、文科省はダウンロード違法化の対象を著作物全般に拡大する悪影響にかなり配慮した、と言うこともできます』、「ダウンロード違法化の対象」はかなり限定されたようだが、それでも問題があるようだ。
・『不利益を被っているはずの漫画家でさえ反対するのはなぜか  それでも、今回の著作権法改正に対しては、弁護士や有識者、さらには違法ダウンロードにより不利益を被っているはずの漫画家の組織である日本漫画家協会も、強い反対を表明しました。 反対の主要なポイントは、ネット上の情報収集ではスクリーンショットなどが当たり前に行われている中でネット利用の萎縮につながる、漫画などの研究や創作を阻害する、といった点になるかと思います。すべての文化がそうですが、特に漫画は模倣を通じて発展してきた部分もあることを考えると、漫画家の方々が反対するのもある意味で納得できます。 ただ、だからといってダウンロード違法化の範囲を音楽と映像以外に拡充しないという選択肢もないと思います。クリエイターが全知全能を振り絞ってつくり上げた作品がネット上で違法に享受され、クリエイターが正当な報酬を得られないようでは、クリエイターは生活のために別の仕事をせざるを得なくなるので、文化の衰退につながりかねないからです。 それでは、どうすればいいのでしょうか。現実的な制度設計が可能かどうかを度外視して考えると、やはりダウンロード違法化の対象をすべての著作物に拡大することを基本とした上で、ネット利用などの萎縮を招かないよう、その例外措置も拡充すべきではないでしょうか。 たとえば、スクリーンショットは基本的にダウンロード違法化の例外としてもよいのではないかと思います。レコードやCDの音楽をカセットテープに複製するのは、著作権違反ではありません。これは、カセットにダビングするのは基本的に自分で楽しむためという私的利用が目的であることに加え、カセットというアナログ媒体に複製したら音質が劣化するという面もあるからです。 いくらデジタルのネット上でも、スマホの画面を撮影するスクリーンショットだと画質が多少は劣化することと考えれば、スクリーンショットはカセットへのダビングと同列に扱える部分もあるのではないでしょうか。 また、ダウンロード違法化の刑事罰が親告罪であることを考えると、ダウンロード違法化の対象となることを望まないコンテンツのジャンルごとの業界団体なり個別の作者なりがいる場合に、刑事罰を親告する権利を明示的に放棄する、または繰り返し複製するなど悪質性が高い場合のみに親告するといった条件を宣言しやすくする仕組みを、導入する手もあるのではないでしょうか』、「すべての文化がそうですが、特に漫画は模倣を通じて発展してきた部分もあることを考えると、漫画家の方々が反対するのもある意味で納得できます」、ただ「ダウンロード違法化の対象をすべての著作物に拡大することを基本とした上で、ネット利用などの萎縮を招かないよう、その例外措置も拡充すべきではないでしょうか」、との筆者の考え方も理解できる。
・『ダウンロード違法化の最適解はあり得るか  過去に“creative commons”など、同様に著作権を自ら放棄する取り組みもありましたが、それらを参考にダウンロード違法化に反対するクリエイターなどが、自らの作品をその対象外であると宣言しやすくするのです。 個人的には、このように柔軟な対応を考えることで、基本的には違法なコンテンツのダウンロードはダメ、でもその例外を制度的に多く担保することでネット利用の萎縮などの悪影響を最小限に抑えるようにする、というアプローチでしか、最適解は見出せないのではと思います。 著作権法改正法案の国会提出が先送りになったことで、文科省はダウンロード違法化の制度設計を再検討することになると思います。このような柔軟な対応をどう検討していくのか、見守っていきましょう』、その通りだろう。

次に、コラムニストの小田嶋 隆氏が7月12日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「JASRACは何と戦っているのだろうか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00030/?P=1
・『音楽著作権をめぐる問題は、当欄でもこれまでに何回か取り上げている。 この問題は、私が「テクニカルライター」という肩書きで、IT(当時はまだ「IT」という言葉は発明されていませんでしたが)まわりの原稿を書いていた1980年代から90年代にかけて、いくつかの媒体で記事化している。 当時から私の立場はわりと一貫している。 この20年ほど、私は、日本音楽著作権協会(=JASRAC。以下「ジャスラック」と表記します)が著作権使用料を要求する対象が拡大の一途をたどってきたことに、その都度 「行き過ぎじゃないか?」「その要求は無理筋だと思うが」と、違和感ないしは疑義を表明してきた。 もちろん、ジャスラックから回答なり反応なりが返ってきたことはない。 私が一方的にいいがかりをつけてきただけの話だ。 一時期は、「ジャスラック」という単語を自分の原稿の中に書く時に、必ず「シャイロック、じゃなかったジャスラック」というふうに、わざと一度言い間違えてから言い直すメソッドを採用していた。 ネタとしては「ベニスの商人」(シェイクスピア作)の中に出てくる、強欲な金貸しであるシャイロックとジャスラックの混同を狙ったセコいやり口なのだが、しばらくの間はそれなりに有効だったと思っている。 余談だが、つい先日、安倍晋三首相が、参院選の選挙の応援演説の中で、「民主党の、あ、すいません、民主党じゃなくて立憲民主党ですね。どんどん政党が変わるから分からなくなってしまいました。その立憲民主党の枝野さんは党首討論で…… ―略―」と、立憲民主党の枝野幸男氏について言及する際に、「民主党の」と言い間違えたあとに、あらためて訂正する内容の演説を繰り返しているというニュース が流れてきた。 ハフポストがまとめたところによると、首相の「言い間違い演説」は、6日午後の滋賀県草津市での街頭演説で確認されてから後、翌7日は、千葉県内と東京都内で行った計6カ所すべての街頭演説で同じように反復されたのだそうだ。 意外なところに「シャイロック、じゃなかった、ジャスラック」手法の追随者を発見したカタチだ。 もちろん私は、安倍首相のスピーチライターに「故意の言い間違いによるダブルイメージ拡散手法」に関しての著作権使用料を請求するようなことはしない。なんとなれば、文化とは先人の優れた業績を踏まえたところから出発する何かで、その意味からして、自分の仕事が誰かに模倣されたと感じた時、怒りよりは、むしろ晴れがましさを感じるのが本当の人間だと考えるからだ。 話を元に戻す。 ジャスラックは、この30年ほどの間に、著作権使用料の請求先を、演奏家、歌手、レコードCDの制作者、放送、雑誌、新聞、書籍のような商業的なマスの媒体から、有線放送、飲食店の店内音楽、さらにはダンス教室、商店街のBGMに至るまでの、およそありとあらゆる個人に拡大してきている。加えて、彼らは、音楽がファイル化して流通するようになって以来、音楽ファイルが記録され得る媒体(つまり「想定し得るあらゆるすべての媒体」ということになる)に、音楽が乗せられることを想定して、CD-RやDVD-Rのような記憶媒体、ハードディスク、果てはスマホやパソコン本体にあらかじめ補償金を徴収するシステムの確立を画策していると言われる。 いささか古いソースだが、リンク先の記事 にこのあたりのいきさつが詳しく紹介されている』、「首相の「言い間違い演説」、確かに私にも鼻についた。
・『さて、このたび、われらがシャイロック、じゃなかったジャスラックは、音楽教室に職員を潜入させることで教室内での音楽の扱われ方を調査する手段を採用した。 リンク先の記事によれば 《―略― JASRAC側が東京地裁へ提出した陳述書によると、職員は2017年5月に東京・銀座のヤマハの教室を見学。その後、入会の手続きを取った。職業は「主婦」と伝え、翌月から19年2月まで、バイオリンの上級者向けコースで月に数回のレッスンを受け、成果を披露する発表会にも参加した。 ―略―》ということになっている。 びっくり仰天だ。 いったいいつの時代のゲシュタポのやりざまだろうか。 でなければ、ずっと昔にある漫画で読んだ「柳生の草」(←ググってください)の現代版とでも考えたものなのだろうか。 私は、民主的だと言われているわが国の戦後社会の中で60年以上生きてきた人間だが、これほどまでにあからさまなスパイ活動を堂々と敢行して恥じない組織が、自分たちの主張に耳を傾けてもらえると信じている姿を、いまはじめて見た気がしている。 思うに、ジャスラックが潜入職員を立ててまで立証せんとしていたのは、 1.ヤマハの音楽教室では、「音楽」がまるでコンサート会場でそうされているように、生徒によって「鑑賞」され、「享受」され、金銭を媒介する手段として「流通している」 ということなのだろう。 というのも、ジャスラックとヤマハの間で争われている訴訟では、現在、教室内で演奏される音楽が、演奏技術を伝えるためのものなのか、それとも「鑑賞目的」なのかという点と、もう一つは、教室に通っている生徒が、営利目的で演奏を聴かせる対象としての「公衆」に当たるのかであるからだ。 ちなみにヤマハとジャスラックが争っている訴訟の争点については、以下の記事 が詳しい。興味のある向きは熟読して内容を吟味してほしい。 さて、潜入職員は、レッスンでの演奏の様子について、「とても豪華に聞こえ、まるで演奏会の会場にいるような雰囲気を体感しました」と主張している。 演奏を聴いていた生徒たちについては、「全身を耳にして講師の説明や模範演奏を聞いています」という言い方で描写している。 つまり彼ら(ジャスラックとその潜入職員たちのことだが)は、レッスン時に試奏されている音楽が、「事実上コンサートの音楽として」流通しており、生徒たちも、「有料入場者たる聴衆に近い聴き方で」その音楽に向き合っているということを主張しているわけだ。 なぜというに、彼らの側の理屈からすれば、作曲者の存在が明示的に共有されている特定の楽曲が、金銭の授受を伴う音楽として流通しているのだとすると、そこには当然、著作権使用料が発生するはずだという理屈になるからだ』、JASRACが音楽教室に「潜入職員」でスパイさせていたというのは、私もそこまでやるのかと、驚かされた。彼らの主張もいささか手前勝手な印象を受けた。
・『さてしかし、音楽教室の側の立場からすれば、講師が全力を尽くして最高の演奏を披露しようとするのは、教育者として当然の姿勢だ。 というよりも、どんな分野であれ、他人に何かを教える人間が、全身全霊でその任に力を尽くすのは、「教育」という行為の大前提だ。 同様の理路から、生徒が「全身を耳にして模範演奏を聞く」態度も、同じく、音楽を学ぼうとする人間としての最も基本的な態度だ。 というよりも、そもそも教える側がぞんざいな演奏をしていたり、学ぼうとする側が、いいかげんな態度で聞いていたのでは演奏技術はもとより、「音楽」のエッセンスそのものが伝わらない。 野球でもフィギュアスケートでも、コーチは全力の模範演技を見せて、生徒に競技の真髄を伝えようとする。 「鑑賞」のうえ拍手をしてもらいたいからではない。八分の力で投げるピッチングフォームや、3回転から2回転にグレードダウンした模範演技では、伝えようとするところの最も大切なスキルやテクニックが伝わらないからでもあれば、100パーセントの集中をもって競技に臨まない態度は、故障につながりかねないからだ。 山岳警備隊のトレーニングがザイルの代わりにビニール紐を代用として敢行できるはずもなければ、料亭の板前が発泡スチロールを切り刻むことで包丁さばきを学ぶわけにもいかない。音楽を学び伝えるためには、本物の音楽を、本気の集中力でやりとりしなければならない。あたりまえの話ではないか。 おそらく、ジャスラックは、「教育目的で音楽が演奏されている」場所に、著作権使用料が発生していない現状が不満で訴訟を起こしたのだろう。 彼らにしてみれば、「教育目的、レッスン目的であれ、一定数の聴衆が音楽を聴き、その人々に向けて、楽曲が演奏されている事実は変わらない。だとすれば、教育という隠れ蓑の裏で、やりとりされている闇流通の音楽に対してもわれわれは支払いを要求する」 てなところなのだろう。 しかし、そもそも、生徒たちは、レッスン用の楽曲を演奏するために、楽譜を購入している。その楽譜の出版にあたっては、すでに著作権使用料が支払われている。さらに生徒たちは、必要に応じてプロの演奏家が録音した楽曲のファイルなりCDなりを買っている。これらの音源についても当然のことながら著作権使用料がのせられている。 その上、教室内で鳴っている講師の演奏についても、別途レッスン料の中からジャスラックに金銭を徴収されねばならないというのだろうか。 理屈の話をすれば、もっと細かい話だってできる。 もっとも、ジャスラックの側からも、別の論点からの違った細かい話が出てくるだろうとは思う。 ただ、今回の報道で私がなによりも衝撃を受けたのは、音楽教室に潜入捜査員を送り込んで訴訟のための資料を収集しようとしたジャスラックの、その取り組み方の異様さに対してだ』、「生徒たちは、レッスン用の楽曲を演奏するために、楽譜を購入・・・すでに著作権使用料が支払われている。さらに生徒たちは、必要に応じてプロの演奏家が録音した楽曲のファイルなりCDなりを買っている・・・著作権使用料がのせられている。その上、教室内で鳴っている講師の演奏についても、別途レッスン料の中からジャスラックに金銭を徴収されねばならないというのだろうか」、JASRACの主張は余りに一方的だ。
・『ジャスラックは、何と戦っているのだろうか。 彼らは、自分たちが音楽そのものを敵にまわしはじめていることに、気づいていないのだろうか。 ヤマハは、日本にはじめて西洋の音楽が入ってきた時代から、一貫して、楽器を作り、楽譜を出版し、音楽教室を展開し、音楽ホールを設計し、レコードやCDを制作し、コンサートを企画し、新人の音楽家を発掘してきた企業だ。 もちろん、彼らとて営利企業である限りにおいて、音楽をカネに変える活動をしてきていると言えばそうも言えるだろう。しかし、総体として、ヤマハが音楽の普及と発展のために力を尽くしてきた企業であることについて、異論を唱える日本人はほとんどいないはずだ。 引き比べて、ジャスラックは音楽の普及や音楽家の育成にほんの少しでも貢献してきたのだろうか。 私は疑問に思っている。 彼らは、音楽家の権利を守ると言っている。 しかし、音楽家の中にも、自分たちの権利を守ってくれている団体であるのかどうかについて疑問を持っている人々がたくさんいる。 この話はまた別の議論になるので、ここでは深く追究しない。 ただ、私は、今回、 私の目から見て、ジャスラックのような組織が、ヤマハのような企業を相手に、音楽の「正義」を主張している姿は、なにかの皮肉であるようにしか見えない。 訴訟で争われている事例では、音楽講師と生徒が「美女と野獣」という楽曲を交互に演奏したことになっている。 で、その演奏と鑑賞の相互作用の中に音楽著作権を不当に侵害する行為が含まれていたのかどうかが争われているわけなのだが、仮に「美女と野獣」という個別の楽曲に含まれる作曲者の意図や工夫が、音楽講師の卓越した演奏を通じて、生徒に伝えられていたのだとして、「音楽を学ぶ」という文脈から見れば、教える者から教わる者に伝えられているのは、単独の著作者による個別の楽曲の細部ではなくて、「音楽そのもの」とでも言うべき技法なり演奏術なりの真髄であるはずだ。 私自身、子供の頃にピアノ教室に通って、バイエルだのブルグミュラーだのの楽譜をただただ機械的に再現するためのレッスンに苦しんだ記憶を持っている。 ただ、その苦しいレッスンの抑圧的な記憶はともかく、私の身体の中には、わずかながら「音楽そのもの」が伝えられている。それは、特定の作曲家の個別の作品とは別のものだ。その、もっと普遍的な「音楽なるもの」を伝え、再現し、楽しむために、われわれは、楽器を発明し、楽譜を書き、レコードを回し、ストリーミング配信のための環境を整えている。そこにおける主役はあくまでも「音楽そのもの」であって、「特定の楽曲に含有されている誰かの権利」みたいなみみっちいものではない。 音楽は、そうやって人から人に伝えられていくものだ。 カネや著作権は、そうした音楽の流れの周辺に発生するノイズにすぎない。 ジャスラックは、人が人に音楽を教えている現場にスパイを送り込んだ。このことは、同時に、人が人から何かを学び取ろうとしている場所に、悪意の観察者を紛れ込ませたということでもある。 これはとても罪深いことだ』、「ジャスラックのような組織が、ヤマハのような企業を相手に、音楽の「正義」を主張している姿は、なにかの皮肉であるようにしか見えない」、「人が人から何かを学び取ろうとしている場所に、悪意の観察者を紛れ込ませたということでもある。 これはとても罪深いことだ」、などというのは同感だ。「私自身、子供の頃にピアノ教室に通って、バイエルだのブルグミュラーだのの楽譜をただただ機械的に再現するためのレッスンに苦しんだ記憶を持っている」、との告白の意外さに驚かされたが、この問題へのコメントにも深みが出た気がする。
・『そのスパイ行為を通じて、彼らがどんな情報を収集しようとしていたのかということとは別に、身分を偽った訴訟相手の手先による情報収集というそのやりざまのあまりといえばあまりな醜さが、音楽そのものを根本的な次元で台無しにしてしまっている。 音楽から何かを取り出すために、音楽そのものを殺してしまっては元も子もないと思うのだが、ジャスラックはまさにそれをやろうとしている。私にはそのようにしか見えない。 たとえばの話、おたまじゃくしをつかまえたいと思った子供がいたのだとして、私は、あの可憐な生き物を自分の手の中の小さな池で泳がせてみたいと考える童心を、責めようとは思わない。 でも、その子供が、おたまじゃくしをつかまえるために、春の小川にガソリンを流し込んで火をつけたのだとしたら、私は、その子供の行為を決して容認しないだろう。 問題は意図ではない。どんな崇高な意図(音楽を守りたい)に基づいているのだとしても、それを実現するための手段が破壊的であったら、何の意味もない。 野の花を摘むための手段がブルドーザーだったら押し花も恋文も無効になる。当然だ。 シャイロックは、生きている人間から心臓だけを取り出すことができると考えた男だった。 ジャスラックは、空気の中を流れている音楽から著作権だけを取り出すことができると考えているのだろうか。 抽象的な話になってしまった。結論は無い。各自考えてください。 私の子供時代のピアノの先生は、今年の3月に90歳で亡くなった。 レッスン自体にはあまり良い思い出はないのだが、私の中に根付いたいくばくかのものをもたらしてくれた先生の貢献にはいまでも感謝している。ご冥福をお祈りしたい』、「ジャスラックは、空気の中を流れている音楽から著作権だけを取り出すことができると考えているのだろうか」、というのは最大限の嫌味だ。JASRACのHPでは事業目的は、「音楽の著作物の著作権を保護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に寄与すること」とあるが、著作権保護に偏り過ぎて、最終目的の「音楽文化の普及発展に寄与」が疎かになっているのだろう。
タグ:知的財産 音楽著作権 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 岸 博幸 小田嶋 隆 (権利を守りたい漫画家でさえ反対する「ダウンロード違法化」の最適解、小田嶋氏:JASRACは何と戦っているのだろうか) 「権利を守りたい漫画家でさえ反対する「ダウンロード違法化」の最適解」 著作権法改正法案を今国会に提出しようとしましたが、世論の強い反発が収まらずに自民党で法案が了承されず、国会提出は見送られることとなりました 違法コンテンツ対策として2つの柱 1つの柱は違法コンテンツが置かれているウェブサイトのURLをまとめ、ユーザをそれら海賊版サイトに誘導する“リーチサイト”や“リーチアプリ”に対する規制の導入です この点については識者や世論の反発もほとんどありません もう1つの柱であるダウンロード違法化については、弁護士や漫画家といった方々から強い懸念と反対の声が上がり、結果として法案の国会提出が見送られる 今回の法改正では、音楽・映像に限らず違法にアップロードされたすべての著作物をダウンロード違法化の対象としようとしています 不利益を被っているはずの漫画家でさえ反対するのはなぜか すべての文化がそうですが、特に漫画は模倣を通じて発展してきた部分もあることを考えると、漫画家の方々が反対するのもある意味で納得できます やはりダウンロード違法化の対象をすべての著作物に拡大することを基本とした上で、ネット利用などの萎縮を招かないよう、その例外措置も拡充すべきではないでしょうか ダウンロード違法化の最適解はあり得るか 「JASRACは何と戦っているのだろうか」 著作権使用料を要求する対象が拡大の一途 「シャイロック、じゃなかったジャスラック」 安倍晋三首相が 立憲民主党の枝野幸男氏について言及する際に、「民主党の」と言い間違えたあとに、あらためて訂正する内容の演説を繰り返しているというニュース 「言い間違い演説」 音楽教室に職員を潜入させることで教室内での音楽の扱われ方を調査する手段を採用 これほどまでにあからさまなスパイ活動を堂々と敢行して恥じない組織が、自分たちの主張に耳を傾けてもらえると信じている姿を、いまはじめて見た気がしている 立証せんとしていたのは、 1.ヤマハの音楽教室では、「音楽」がまるでコンサート会場でそうされているように、生徒によって「鑑賞」され、「享受」され、金銭を媒介する手段として「流通している」 ということなのだろう 訴訟では、現在、教室内で演奏される音楽が、演奏技術を伝えるためのものなのか、それとも「鑑賞目的」なのかという点 もう一つは、教室に通っている生徒が、営利目的で演奏を聴かせる対象としての「公衆」に当たるのかであるからだ 生徒たちは、レッスン用の楽曲を演奏するために、楽譜を購入している。その楽譜の出版にあたっては、すでに著作権使用料が支払われている 生徒たちは、必要に応じてプロの演奏家が録音した楽曲のファイルなりCDなりを買っている。これらの音源についても当然のことながら著作権使用料がのせられている その上、教室内で鳴っている講師の演奏についても、別途レッスン料の中からジャスラックに金銭を徴収されねばならないというのだろうか 彼らは、自分たちが音楽そのものを敵にまわしはじめていることに、気づいていないのだろうか ヤマハが音楽の普及と発展のために力を尽くしてきた企業であることについて、異論を唱える日本人はほとんどいないはずだ。 引き比べて、ジャスラックは音楽の普及や音楽家の育成にほんの少しでも貢献してきたのだろうか。 私は疑問に思っている ジャスラックのような組織が、ヤマハのような企業を相手に、音楽の「正義」を主張している姿は、なにかの皮肉であるようにしか見えない 私自身、子供の頃にピアノ教室に通って、バイエルだのブルグミュラーだのの楽譜をただただ機械的に再現するためのレッスンに苦しんだ記憶を持っている スパイ行為を通じて、彼らがどんな情報を収集しようとしていたのかということとは別に、身分を偽った訴訟相手の手先による情報収集というそのやりざまのあまりといえばあまりな醜さが、音楽そのものを根本的な次元で台無しにしてしまっている ジャスラックは、空気の中を流れている音楽から著作権だけを取り出すことができると考えているのだろうか 著作権保護に偏り過ぎて、最終目的の「音楽文化の普及発展に寄与」が疎かになっている
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

英語(楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃、厚切りジェイソン「WHY英語を話せない?」 出世のために勉強しても絶対に上達はしない、翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? 専門家NICT隅田氏に聞く) [文化]

今日は、英語(楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃、厚切りジェイソン「WHY英語を話せない?」 出世のために勉強しても絶対に上達はしない、翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? 専門家NICT隅田氏に聞く)を取上げよう。出所は日経ビジネスオンラインの特集である。

先ずは、12月4日付け「楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃 海外不振は公用語化失敗ではない。今はノウハウ外販も」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、+は回答内の段落)
・2010年に英語公用語化を宣言し、第一次英語ブームの口火を切った楽天。全社員へTOEIC800点取得を要求し、国内向け部署でも英語会議を義務化するなど、その施策は他の公用語化企業と比べても最も急進的な内容だった。
・あれから7年で社内はどう変わったのか、公用語化の果実は得られたのか。社内の制度設計に関わり、現在は公用語化のノウハウを生かした教育事業などに携わる葛城崇・教育事業部ジェネラルマネージャーと、葛城氏の後任として英語推進を担う周藤俊昭・人材開発課シニアマネージャーに話を聞いた。
Q:2010年から英語公用語化の準備を始め、12年から実施。これまでの成果を聞かせてください。  葛城崇・教育事業部ジェネラルマネージャー(以下、葛城):10〜13年に英語公用語化の推進役を務めました。宣言から7年経って、会社の一番の変化はダイバーシティ(多様性)だと思います。公用語化前は国内の外国人比率が2%。今は20%を超え、エンジニアでは50%近くになります。世界70カ国以上から社員が集まってきていますが、エンジニアでいえばインド、中国が多い。両国の有名大学から優秀な学生を新卒採用できるようになりました。
+個人レベルでの大きな変化は、キャリアの選択肢が広がったということでしょう。現在TOEICの点数は、帰国子女などを除いた平均で830点超。海外の展示会や研修の派遣にほぼ全員が参加できるようになっています。海外赴任も身近になったし、海外子会社の社員も英語で仕事ができるので日本に来やすくなりました。
▽次の一手は異文化理解
Q:どんな課題が残されていますか。
葛城:TOEICはあくまで一つの目安です。基礎力をつける段階が終わり、今後は具体的に全世界でビジネスを加速させていく段階に入っていきます。そのための準備として、異文化理解を深める研修も10月から新たに始めました。
周藤俊昭・人材開発課シニアマネージャー:異文化理解の研修は専門の外国人講師を呼び、ベーシックとアドバンスの2種類の講座を開いています。研修で伝えたいことは、外国人との違いを理解し、受け入れるということです。文化の違いは肌感覚でわかっていることもあるでしょうが、体系だった学問として学んでもらいます。
+ベーシックでは「日本人は行間を読み多くを語らない」といった国毎のコミュニケーションの特徴を学び、自身がどの文化に近いかを考察します。その上で、文化の違いを乗り越えてうまくコミュニケーションをとるアイデアを出し合う。アドバンスでは、ベーシックの内容を踏まえ、実際に業務で抱えている問題の解決方法を議論してもらいます。
Q:英語塾の開講や英語アプリの開発にも取り組んでいます。外部企業へ公用語化のノウハウを伝授するコンサルティング事業も始めていますね。
葛城:ダイハツ工業などにコンサルサービスを導入していただいています。クライアントの数は10社ぐらいですね。公用語化を既に宣言している企業、一部の部署だけで実験的に導入しようという企業、取り組みの方法は様々です。
+英語は学習時間が大事です。毎日15分でもいかにコツコツやるか。いかに全員でやりきるか。英語学習を歯磨きのようにやらなくては気持ち悪い生活習慣にしてしまう。そのノウハウを伝えたり、制度設計のサポートをしたりしています。
Q:楽天流の英語推進のポイントは何でしょうか。
葛城:まず、グローバルな部署はもちろんドメスティックな部署でも関係なく対象にしたこと。社員それぞれの学習量や到達レベルを見える化して、経営陣まで共有したこと。そして、人事部でトレーニングを考案するなど全面的なサポートをしてムーブメントに昇華させたことだと考えます。
Q:全員を巻き込むというのは難しいことですよね。業務に普段から使わなければ、モチベーションも湧かないのではないでしょうか。
葛城:楽天は若い社員が多かったこともあるでしょうが、必要性を理解している人が多かったと思います。少子高齢化の日本だけで勝負し続けるのが限界なのは明らかです。社員も、英語は苦手だけどやらなきゃいけない、という思いを持っていたようです。
Q:楽天は国内でもM&A(合併・買収)を多く手がけています。ドメスティックな文化に馴染んでいた買収企業の社員は辛かったのでは。
葛城:今は英語はいらないかもしれない。でも人事異動でグローバルな部署に行けば、その日から英語が必要になります。また、インターネットで日本語と英語のサイトの数を比較すると、実に10倍にもなります。つまり、英語ができる人はできない人の11倍の情報収集能力を持つことになる。このことは社員もわかっていたんです。英語を学ぶよう納得させたというよりは、社員が思っていたことを改めて伝えたという方が正しいでしょう。
▽「英語の成長は階段状」
Q:そのモチベーションを維持するポイントは何でしょうか。
葛城:スポーツと一緒で、英語の能力は右肩上がりの直線ではなく、階段のように伸びていきます。しばらくは成長の実感がなかなか得られないが、あるとき突然伸びる。この最初の一段を登るまでサポートするのが重要です。そのためにはトップダウンの命令だけでなく、英語の勉強を楽しんでもらう仕掛けも必要。楽天ではゲーム形式で英語を学べるトレーニングを開発しました。
Q:TOEICの目標を達成するまで居残る合宿なども開催していました。これだけ投資をかけて見合う効果はあったのでしょうか。
周藤:英語公用語は企業としての戦略です。通常の人事予算とは違う枠組みで投資をしました。こうした形で組織が活性化することもあります。日本において英語で働ける企業といえば楽天、というイメージもできました。人材獲得にかける広告費を削減できた側面もあります。
Q:英語公用語化のKPI(重要業績評価指標)はどのように設定したのでしょうか。
葛城:最初期はアンケートで会議やメールがどれだけ英語化されているのかをモニタリングしていました。そのあとはTOEICなどのスコアと学習時間で管理しました。人材育成の課題なので、どれだけ投資効果があったのかを厳密に見極める指標を設定するのは難しい。
Q:英語公用語化の目的は事業のグローバル化でした。直接的に海外事業に貢献したとはいえるのでしょうか。特に昨年度は英国など海外事業の撤退が相次ぎました。
葛城:楽天は海外M&Aで手堅い案件には手を出さない。買収企業とシナジー効果を出しながら一緒に成長していくという方針です。だから、苦労する事業も当然出てくる。これは英語公用語とは関係のない話です。
+英語公用語化のメリットを強調する楽天だが、7年前は「日本で働く社員まで英語を話すなんて無駄だ」などと批判の声も多かった。その懸念は一部で現実になっている。英語公用語化による副作用としては、社内の雰囲気の悪化や、外国人技術者の草刈り場になったという声が聞こえてくる。そうした現場の様子は本誌の特集記事の中で詳しく解説している。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/113000186/113000002/?P=1

次に、12月5日付け「厚切りジェイソン「WHY英語を話せない?」 出世のために勉強しても絶対に上達はしない」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問)。
・「Why Japanese People!」という決めセリフで知られる芸人の厚切りジェイソン氏。実は米ゼネラル・エレクトリック(GE)などでの勤務経験があり、現在はITベンチャーの経営にも関わるビジネスマンだ。12年前、旭化成のインターンとして日本に1年間滞在、その後、独学で日本語を習得。今も毎日、日本語の勉強を欠かさないというジェイソンさんに、外国語の学び方について聞いた。
▽出世のための勉強では英語はできるようにならない
Q:日本では管理職になるにはTOEICで700点以上、といったルールを定めている企業も多く、それを目標に多くのビジネスマンが英語を学んでいます。はたして、そのような勉強をしても、英語を話せるようになるのでしょうか。
厚切りジェイソンさん(以下、ジェイソン):それ、おかしいですよね。出世のために勉強するのですか。勉強のインセンティブにはなっても、最終的に、求めた結果にはならないと思いますよ。
Q:実際に、TOEICの点はよくても話せない人という人も少なくありません。
ジェイソン:それはね、話そうと思っていないんです。
Q:いえ、みんな話せるようになりたいとは思っていると思います。
ジェイソン:そうですか? 話せるようになりたいなら、そうなるように勉強すると思いますよ。決して、勉強をしている人を否定するつもりはないのですが。
Q:話せるようにならないとまずい、と思っている人は間違いなく増えています。海外企業に買収されたり、海外に進出したりする日本企業も多いので。
ジェイソン:全員ができるようになる必要はないと思いますが、英語を話せることでチャンスは広がるでしょうね。勉強すると決めたら、やるしかないでしょう。
▽1日5分でいい。楽しめば続けられる
Q:必要な人は覚悟を決めて、やればいいと。
ジェイソン:米国でゼネラル・エレクトリック(GE)に勤めていたとき、ロシア人や中国人、インド人と一緒に働いていましたが、何を言っているか分からないレベルの英語の人もいたんです。でも、その人がスキルを持っているから、誰も気にしませんでした。 だから、英語ができなくても、すごく優秀な人になるか、能力もあって英語も上手になることを目指すか、その人次第ではないですか。
Q:ジェイソンさんも日本語を相当勉強されてこられたのですよね。
ジェイソン:10年間、1日5分でも、毎日欠かさず続けています。 10年勉強すれば、英語は話せるようになりますよ。自分が10年後、どうなりたいか、考えてみてください。
Q:なるほど。10年間、毎日ですか。強い決意が必要ですね。
ジェイソン:強い決意はいらないよ。歯磨きするのに、決意する?
Q:しません。
ジェイソン:ですよね。楽しく続ければいいんですよ。
Q:勉強するときに、終わりを決めていませんか。TOEIC何点が目標だから、それが取れたら終わりとか、取れなかったら、悔しいからもうやめるとか。 ジェイソンさんはどうやって勉強を楽しんでいますか。
ジェイソン:漢字を勉強するとき、日本の人に勉強法を聞いたんです。そうしたら、同じ漢字を繰り返し、何度も書くと言われました。それはあまり楽しそうじゃないし、効率がよくないなと思ったんです。 それで、電車の中で、漢字の部首や意味を考えストーリーを作ったりしながら覚えます。書くのは1回。僕なりに面白おかしく考えてます。ネタの源にもなってるし。逆に、つまらない勉強をすると、英語が嫌いになると思う。
▽言い訳をする人は結局、話せない
Q:英語を話せない日本人に向けて、まずは簡単な単語を使って、話してみるといい、とアドバイスする人もいます。
ジェイソン:話してみるのはいいと思います。 でも、単語を使っているだけでは、英語のニュアンスを理解するのは難しいでしょうね。つまり「お疲れ様」と言っているつもりでも「お前、疲れた顔しているな」と受け取られることもあるかもしれません。
Q:難しいですね。
ジェイソン:3歳の娘がTV番組の「おさるのジョージ」が好きなんですが、日本語版で見ると、黄色い帽子のお兄さんが、少しイヤなヤツに見えるんです。でも、英語版だと何をやっても許す、気のいい人なんです。 ニュアンスが理解できれば、どちらが原作に近いか、分かるでしょう。
Q:どうすれば、そのようになれますかね。
ジェイソン:場数です。日本で生まれた赤ちゃんは日本語が話せるようになるし、アメリカの赤ちゃんは英語が話せるようになります。なぜだと思います? 場数を踏むからですよ。 僕は、日本語の練習をするとき、できるだけ日常生活の中で日本語に触れるようにしました。今の時代、日本にいても、英文はたくさんあふれているし、インターネットで英語のラジオも聴くことができます。
+もし1日10時間英語に触れたら、1年後にはかなり話せるようになりますよ。やらない人は言い訳をしているだけです。
▽ムダが嫌いだから芸人とIT企業の仕事を両立
Q:ジェイソンさんは飛び級で大学に入ったくらい、優秀だったそうですね。
ジェイソン:テレビゲームが大好きで。早くゲームがしたいから、学校が終わると、迎えの車が来る前に、宿題を終わらせて提出していました。
Q:優秀ですね。勉強が好きでしたか?
ジェイソン:嫌いでした。だから早く終わらせたかったのです。それなのに、先生が僕をほめるので、両親は怒っていました。「こんな勉強の仕方でほめられるから、勉強をしなくなる」と言って。  Q:時間を有効に使ってはいますね。
ジェイソン:もともとムダはきらいなんです。だからGEに務めながら、修士号をとり、今もIT企業で働きながら、芸人として働いています。
Q:確かにムダがないですね。
ジェイソン:どういう生き方をしたいか、なんですね。僕は、ある程度、お金を稼いだら後はゆっくりしたいと考えるほうなんです。そのために、今、何をやるべきか、考えます。
Q:いわゆるアーリーリタイアメントという考え方ですね。何かやりたいことがあるんですか。
ジェイソン:娘が3人いるのですが、子どもとゆっくり過ごしたいと思います。
Q:ちなみにお嬢さんたちとは日本語で話すのですか。
ジェイソン:英語です。娘たちは学校では日本語なので、家では英語です。日本語で話すと、英語で何というの?と確認するんです。だから、僕が出ているテレビ番組を見ると、娘たちが「パパ、日本語話せるんだ!」って驚くんですよ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/113000186/113000001/?P=1

第三に、12月11日付け「翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? 専門家NICT隅田氏に聞く、AI時代に必要な英語力」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、+h回答内の段落)。
・翻訳AI(人工知能)の技術が急速に進化している。ビジネス会議で同時通訳をしてくれる世界が目前に迫っている。英語を話すのが苦手な日本人にとっては朗報だが、そうした世界ではこれまでとは全く異なるコミュニケーションの力も必要になりそうだ。AI時代に必要な英語力や英語学習のやり方はどのように変わるのか。自動翻訳技術の第一人者、情報通信研究機構(NICT)フェローの隅田英一郎氏に話を聞いた。
Q:まず、機械翻訳の研究の世界では、どのようなことが起こっているのか、教えてください。
隅田英一郎・NICTフェロー(以下、隅田):今、AI(人工知能)の時代ということで、自動翻訳の世界でもニューラルネットワークを使うのが主流になっています。人間の脳の働きを機械に置き換える、深層学習とも言われるものですね。例えば、日本語で「あ、い、う」と言ったら、英語で「A、B、C」になりますよといった翻訳例文をどんどん覚えてさせていくと、少しずつ賢くなっていきます(関連記事:深層学習AIで自動翻訳にパラダイムシフト)
Q:覚えさせる例文が多ければ多いほど、正確に訳せるようになるというわけですね。
隅田:そうです。こんな単純な仕組みで、どうして翻訳が上手くいくのか不思議に思われるかもしれませんが、この仕組みで翻訳精度が飛躍的に向上しています。 例えば、次のような日本語の文章を従来の方法で翻訳すると、いかにも機械が翻訳したような感じの、よろしくない文章になるんです。
■日本語(原文)近年のNMTの進展により、従来は自動翻訳が非常に困難だった日本語文章の英語への自動翻訳精度が飛躍的に向上した。
■従来技術(統計翻訳=SMT)で英訳 The Development of NMT in recent years, conventional automatic translation was very difficult to machine translation accuracy of Japanese sentences in English has improved  ところが、これをニューラルで翻訳すると、すごく流暢な訳文になります。
■AI時代の技術(ニューラル翻訳=NMT)で英訳  With the recent development of NMT, the automatic translation accuracy of Japanese sentences that had previously been very difficult to translate has improved significantly.
+ただし、ニューラルによる翻訳にも欠点があって、100%の答えを出せるわけではないんです。この例文では、ニューラルによる翻訳だと「英語への」というフレーズが抜け落ちてしまっています。正確に訳すのなら、「translate into English」といったフレーズが入らないとダメですよね。 これが時々重要な単語が抜け落ちてしまうという、ニューラルの典型な誤りです。それが今、大きな課題になっていて、世界中の研究者がこの問題を解決すべく競争しています。
Q:覚えさせるデータを増やせばいいという問題ではないのですか。
隅田:アルゴリズムをもうちょっと整理していく必要があると思います。覚えさせる量が増えればより流暢になるのですが、たくさん覚えさせても、こういう誤りは起きてしまいます。そこは、アルゴリズムの改良が必要と思われています。
+ただし、それでも非常に良い翻訳ができるようになったことは事実です。NICTの音声翻訳システムもニューラルに移行したことで、タクシーや買い物などで使った時に意味が通じる翻訳をする率が2割くらい向上しました。非常に効果が出ています。
▽米グーグルが変えた自動翻訳の競争環境
Q:NICTは「VoiceTra(ボイストラ)」という自動翻訳のスマートフォンのアプリを提供している。  NICTではニューラルの研究はいつ頃から取り組んできたのですか。
隅田:2013年からずっとやっていたんですが、先ほど申し上げていなかった欠点が実はもう1つありまして、本格的に移行できていませんでした。それは、非常に大きな計算量が必要だということです。  その計算をするには、GPU(画像処理半導体)という計算機を使うわけですが、非常に値段が高い。システムを作るのに大きなコストがかかるだけではなく、それを一般の人に使ってもらうときにも高いサービスになりかねません。そのため、タイミングを迷っていました。
+それなのになぜ、我々もニューラルに移行したかというと、昨年秋に米グーグルがニューラルを使ったサービスを出し、米マイクロソフトもその動きに即座に追随して、我々も負けてはいられないと判断したのです。
+実は、中国の検索大手バイドゥは数年前からニューラルを使った翻訳サービスを出していたんですよ。しかし、日本人の我々にはほとんどインパクトがないので、誰も気にしていませんでした。ところが、グーグルが出すと、みんなその精度の高さにショックを受けたというわけです。
Q:「グーグル翻訳(Google Translate)」ですね。
隅田:はい。それまでグーグルの翻訳は、必ずしも精度の高いものではありませんでした。機械翻訳に典型的な誤訳も多いという印象でした。ところが、ニューラルでやると、これほど翻訳精度が向上するのかと、翻訳関係の人たちはびっくりしたわけです。そこで我々も、最新の技術に取り組んでいるということを皆様にも理解してもらうために、今年6月にニューラルを使った翻訳を出しました。
+我々が独自に技術を開発する意義は、誰もがグーグルのようなクラウドサービスを使うわけにはいかないからです。情報の秘匿性を考えると、ビジネスではグーグルの翻訳サービスを使えないという企業もあるはずです。日本の国立研究所としては、そうしたニーズにもしっかりと対応する必要があります。
Q:日本独自に自動翻訳の技術を向上しておかないと、情報を海外企業に持っていかれるリスクもあるということですね。
隅田:絶対に情報を外に出せないというケースもあります。個人情報の塊である病院のカルテのような情報とか、防衛関連の情報とかはその典型でしょう。特許やIRに関連する情報も、企業の外には出しにくい。秘密を守りながら翻訳しなければならない分野は、数多くあります。
隅田:日本では、自動翻訳の研究を何十年も前からやってきた歴史があります。2014年には、当時の新藤総務大臣が我々の自動翻訳のシステムをご覧になって、これを2020年の東京オリンピックに向けてぜひ多言語化して、海外から来る人たちに使ってもらおうということになりました。それから総務省の予算を集中的に投下してきています。
+NICTの中に先進的音声翻訳研究開発推進センター(ASTREC)を作り、日本の企業から出向で研究員に来ていただいて、40人くらいのチームを作りました。出向元の企業はパナソニックやNEC、富士通、日立製作所、東芝、ソニー、NTT、KDDIなど多岐にわたります。翻訳エンジンはNICTで作り、そのエンジンを企業にいろいろな形で使ってもらうというものです。
+技術の進歩はここに来て急速に速くなっています。自動翻訳は、人間の通訳や翻訳に比べて圧倒的に低コストですし、24時間365日休まず働いてくれます。しかも、多言語対応が容易です。既に、日本人の平均的な語学力は完全に超えているレベルに達しています。
▽TOEIC800点レベルは超えている
Q:TOEICで換算すると、NICTの翻訳エンジンは800点レベルと聞いたこともあります。
隅田:TOEIC800点レベルというのは誰かが想像で言っているのですが、私も800点はいっているだろうと思っています。
Q:800点なら、日本人の平均のかなり上ですよね。
隅田:非常に流暢な英語力ですね。海外駐在に最低限必要な水準も…… 
隅田:超えていると思いますね。 既にご説明したように、データ量が増えれば性能は良くなりますし、アルゴリズムも世界中で開発競争が起きていますので、どんどん進化します。 近い将来、自動翻訳は人間にとってもう手放せないツールになるというか、頼っていくような状況になると思います。
▽会議の同時通訳をAIがやる世界がすぐそこに
Q:ビジネスにおける会議に外国人が入る場合、同時通訳に頼る場合も多いですが、会議の同時通訳を翻訳AIが担うような世界も、身近に来ているのでしょうか。
隅田:自動翻訳の究極のビジネス・アプリケーションは同時通訳だと考えています。会議のような雑音が入りやすい場所は苦手なのですが、一人ひとりマイクを付けるような方法なら、非常に近い将来、十分に実現できるのではないかと思います。
Q:10年後にはもうかなり?
隅田:ええ、もうできているでしょう。 実際、既にそうしたアプリケーションを作る場合のインターフェースはどのようなものがいいのか、実験できる技術レベルには達していると思います。イヤホン内蔵型のマイクでやるのがいいのか、会議の参加者が翻訳された内容を文字でも確認できるように、それぞれの席の前にモニターを置いたほうがいいのかといった、具体的なアプリケーションを考えられる段階に来ています。
Q:インターフェースとしてはまだこなれていませんが、まさに作り始めているといった状況ですね。 音声と文字で同時に確認できるというのは、翻訳AIならではの仕組みですね。
隅田:テレビ会議には、非常に適したツールになるでしょう。アジアに工場を持っている日本企業は多いですよね。これまででは、お互いに第2言語である英語を使ってコミュニケーションする場合がほとんどだったと思いますが、これからは、自動翻訳システムを介してお互いに母国語でコミュニケーションができるようになります。そうなれば、お互いに不得意な英語で会話をするよりも、ずっと効率的なコミュニケーションができると思います。お互い第2言語で話すと、言いたいことが言えない、伝えたいことの何割かしか話せないといったことが起こりますから。
Q:そうした状況になると、TOEIC800点などテストで高得点を取ることを目指して勉強するのが、意味がないようにも思えてきます。むしろ、英語は翻訳AIに任せて、人類は他のスキルを磨いてより高い次元のコミュニケーションを目指した方がいいという考え方もあるかもしれませんね。
隅田:絶対にそうだと思いますね。使える道具が出てきたら、使ったほうがいいでしょう。人類の移動手段が馬車からクルマに移行したのと同じことです。馬車とクルマとでは、生産効率が全く違いますよね。英語も、同じだと思います。
+ビジネスをやるうえで英語はツールです。ビジネスで重要なのは、そのツールに乗せて相手に伝える質のいいコンテンツ、中身でしょう。全てのビジネスパーソンが英語を上手くなる必要は、必ずしもないはずです。
+ビジネスの中心も今後、英語圏から中国圏に移るかもしれない。東南アジアの国々とのビジネスも、これからますます重要になるでしょう。そのたびに、現地の言葉を話せるようになることを目指すよりは、機械に任せるという選択肢もあった方がいいと思うんです。
+もちろん、それぞれの言葉を専門とする通訳者や翻訳者の仕事はなくならないでしょうが、誰もが通訳者や翻訳者を雇えるわけではないですよね。コストを安く抑えるには、自動翻訳・通訳システムを使った方が良いのではないでしょうか。もう、翻訳精度が箸にも棒にもかからなかった時代は終わったのですから。
▽もう「英語ができない」と文句を言わなくて良くなる
Q:近い将来、翻訳AIがビジネスで本格的に使えるようになるということが、よく分かりました。ですが、最低限の英語力というのは、やはり必要なのではないでしょうか。
隅田:ええ、基礎的な英語力はあった方がいいと思います。ただし、その英語力は、現状のままでいいと思います。特に、これまでより高い水準を目指す必要はないでしょう。 日本人の多くは、英語を中学、高校と勉強して、一部の人は大学でも勉強しています。既にかなりの時間を英語学習に割いていますよね。ところが、これまで多くの人が、こんなに勉強したのに英語ができない、話せないと嘆いてきました。これからは、そうした状況に文句を言うのではなくて、それで十分という世界になるのではないでしょうか。
+例えば、文書を翻訳する場合、まず自動翻訳に下訳を作ってもらって、その後に人間が中学や高校、大学で学んだ英語を使って、必要があれば加筆・修正して、さらに良い翻訳を作るということが、当たり前になるのではないでしょうか。冒頭にお話しした通り、機械翻訳は100%正しいわけではありませんから。
+こうすることで、文書が自分の専門外の分野であっても、自動翻訳を使えばどんどん翻訳できるようになります。例えば、医療分野は私の専門外ですが、試しに医療関係の論文を自動翻訳を使って訳してみたんです。そうすると、少し時間はかかっても、全く医療分野の知識がない私でも、難しい論文でもちゃんと翻訳できるんですね。それは、私という人間の能力が、自動翻訳によって拡張したことを意味します。こうしたことが、あらゆる人に起こり得ると考えています。
Q:まあ、英語の場合は多くの日本人が勉強していますが、中国語などそれ以外の言語については、ほとんどの人にとって、自動翻訳に頼り切ってしまう状況になるかとは思いますが。 先ほど、翻訳のアルゴリズムは世界の研究者が開発競争を繰り広げているので、どんどん進化していくとおっしゃられました。一方、翻訳精度を高めるために必要なAIに覚え込ませるデータについては、NICTはどのように集めているのですか。
隅田:「翻訳バンク」という取り組みを2~3年前から始めています。それまでNICTは、ウェブ上にある翻訳を使っていました。例えば、大企業では日本語のページと英語のページがありますよね。しかし、それだけではデータが足りません。
Q:NICTの「翻訳バンク」は民間企業に協力を依頼し、社内にある日本語の文書と、それが英語に翻訳された文書の両方を提供してもらい、それをAIに覚え込ませて翻訳精度の向上を目指している。
隅田:そこで、民間企業に社内にあるデータを提供してくださいとお願いしています。現在は29組織が協力してくれています。NICTはパブリックセクターですから、ライバル関係にある会社でも、翻訳という競争領域ではない分野では協力しやすい。むしろ、協調し合って自動翻訳の精度を高めていきましょうと話をしています。自動翻訳の精度が高まって海外からの情報を得やすくなれば、国全体のためになります。
+現在、日本全体で年間2000億~3000億円が翻訳作業に費やされています。それを、文章の数に換算すると、だいたい5億文くらいに相当します。仮に5億文のデータを学習させることができれば、今と段違いの高精度の自動翻訳ができるようになります。それを10年間継続すれば50億文ですから、さらにもう一段、ジャンプできると思います。
Q:現在、どれくらいの数の文章を覚え込ませているんですか。
隅田:それは言えません。ライバルのグーグルやマイクロソフトも、そこは一切、開示していないですね。
Q:そこが今、競争の肝になっているからですね。
隅田:そうです。
Q:グーグルはウェブ上にサービスとしてグーグル翻訳を提供していて、そこで使ってもらうことで例文を集めているようにも見えます。
隅田:はい。ただ、間違った翻訳結果を、どれくらいのユーザーが正しく直して、グーグルにフィードバックしているでしょうか。逆に言えば、悪意があるユーザーがいれば間違った翻訳をグーグルに覚え込ませることもできるわけです。
+我々は翻訳バンクを通じて、グーグルもマイクロソフトもやっていない手法でデータを集め、精度を高めていきたいと考えています。
▽「中国語・英語」の翻訳精度が最も良くなるかもしれない
Q:AIに覚え込ませるデータ量が精度向上のカギの1つだとすると、例えば、その言語を話す人口が多い国の方が、良い自動翻訳システムを手にできるということにはなりませんか。つまり、例えば、中国語・英語は飛躍的に精度が上がるけれども、日本語・英語の精度はそれに追い付けないということが起き得るのではないでしょうか。
隅田:それは正しい指摘かもしれませんね。翻訳の精度がデータ量に依存するシステムですので、データが集まらない以上、システムの性能は高まりません。そのため、日常的に多くのデータが生産されている国のシステムがどんどん強くなっていくというのは、その通りだと思います。
+実際、中国圏と英語圏の人口が一番多いですし、経済規模も大きいですよね。しかも、中国語と英語は文法が似ていますので、比較的、翻訳するのは簡単なんですよ。 我々のシステムでも、日英、日中、日韓と比べると、実は日韓の性能が一番良くて、日中がその次で、日英が一番、翻訳精度が良くないんです。
Q:英が一番、難しいんですか。
隅田:一番難しい。 その理由は、単語を翻訳する順序に関係があるんです。例えば、英語から日本語に訳すのは、比較的やりやすいんですね。まず英語の音声認識は、ネイティブスピーカーのように、ほぼ100%正しくテキスト化できるようになっていますから。さらに、英語の語順はS(主語)、V(動詞)、O(目的語)ですので、機械も十分に落ち着いて翻訳できます。
+一方、日本語から英語に訳すのは難しい。日本語を聞き取り理解するというのは、十分に高いレベルまで来ていますが、訳すのが難しいのです。語順がSVOの英語に対し、日本語はS、O、VでVが最後に出てきます。つまり、同時通訳をやろうとすると、一番重要な動詞を聞く前に訳し始めなくてはいけないわけです。この、動詞を推測しながら翻訳するのが、すごく難しいんです。
Q:つまり、より高度なアルゴリズムが必要になるということですね。
隅田:そうです。日本語から英語に翻訳するのが難しいというのは、人間でも機械でも一緒なんですね。ある種の真理と言いますか、やっぱりそうかと言う感じですね。
Q:自動翻訳が進化することで、日本人にとっての英語の必要性や、英語学習のやり方も変わってきそうですね。
隅田:これからも、機械を一切使わずに自分ですべてをやるんだという選択肢も、当然あります。その一方で、機械の使い方を習熟して、それをうまく使いこなすという選択肢は確実に重要になってくるでしょう。 例えば、日本人の多くが英語を話せない理由の1つに、「全然、伝えたいことを話せなかった」というような失敗体験が心理的な壁になっているという見方も良く聞きます。しかし、ゼロから外国人と英語で話そうとして失敗して落ち込むより、機械が訳してくれたものをちょっと話してみたり、機械も使って伝えたいことを補足したりして、「外国人と英語で話せた」という成功体験を積み重ねるのも、上達の近道になるかもしれません。
+また、機械が正しく訳してくれるような日本語を話す、書くという訓練を積むのも、これからの語学学習では重要になる可能性もあります。日本語を話す時も、主語をしっかり明確にするとか。そうすれば、論理的に物事を考える訓練にもなりますし、機械だけではなく、自分で英語を話すときも、英語に訳しやすくなります。当然、機械も英語に訳しやすいだけではなく、中国語や韓国語も正確に訳してくれます。
Q:計算するのにも、算盤から電卓、コンピューターへとツールが変わってきました。コミュニケーションも、翻訳AIが出てきたことで、いよいよツールを積極的に活用していく時代に入るということですね。
隅田:算盤を時間かけて覚えるというのも、頭の中でいろいろと計算ができるようになるので、それは素晴らしいことです。しかし、多くの人にとっては、電卓を使って計算した方が早いし、効率的ですよね。
+これからの英語学習も、結局は何のために英語を使えるようになりたいのか、という目的次第だと思います。英語をすべて自分で話すことが必要な人は、そういう勉強をすればいいし、そうでない人は、自動翻訳を積極的に活用して、浮いた時間を別のスキルの習得に回すという発想もあっていいでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/113000186/120800004/?P=1

第一の記事で、『基礎力をつける段階が終わり、今後は具体的に全世界でビジネスを加速させていく段階に入っていきます。そのための準備として、異文化理解を深める研修も10月から新たに始めました』、『公用語化前は国内の外国人比率が2%。今は20%を超え、エンジニアでは50%近くになります。世界70カ国以上から社員が集まってきていますが、エンジニアでいえばインド、中国が多い。両国の有名大学から優秀な学生を新卒採用できるようになりました』、というのは結構なことだ。他方で、『英語公用語化による副作用としては、社内の雰囲気の悪化や、外国人技術者の草刈り場になったという声が聞こえてくる』というのも、あり得る話だ。
第二の記事で、10年間、毎日ですか。強い決意が必要ですね。との問いかけに対し、『強い決意はいらないよ。歯磨きするのに、決意する?・・・ですよね。楽しく続ければいいんですよ』、『電車の中で、漢字の部首や意味を考えストーリーを作ったりしながら覚えます。書くのは1回。僕なりに面白おかしく考えてます。ネタの源にもなってるし』、などというのは如何にも要領良さそうなジェイソン氏らしい。
第三の記事で、『情報の秘匿性を考えると、ビジネスではグーグルの翻訳サービスを使えないという企業もあるはずです。日本の国立研究所としては、そうしたニーズにもしっかりと対応する必要があります』というので、日本で独自に開発する必要性が理解できた。 『自動翻訳は、人間の通訳や翻訳に比べて圧倒的に低コストですし、24時間365日休まず働いてくれます。しかも、多言語対応が容易です。既に、日本人の平均的な語学力は完全に超えているレベルに達しています(TOEIC800点レベルは超えている)』というのは、頼もしい限りだ。 『機械が正しく訳してくれるような日本語を話す、書くという訓練を積むのも、これからの語学学習では重要になる可能性もあります。日本語を話す時も、主語をしっかり明確にするとか。そうすれば、論理的に物事を考える訓練にもなりますし、機械だけではなく、自分で英語を話すときも、英語に訳しやすくなります』、というのは確かに多くの日本人の悪いクセを指摘している。これが治るきっかけになれば意義は極めて大きい。
タグ:英語 ビジネスマン 厚切りジェイソン 深層学習 (楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃、厚切りジェイソン「WHY英語を話せない?」 出世のために勉強しても絶対に上達はしない、翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? 専門家NICT隅田氏に聞く) 日経ビジネスオンラインの特集 「楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃 海外不振は公用語化失敗ではない。今はノウハウ外販も」 7年で社内はどう変わったのか 会社の一番の変化はダイバーシティ(多様性)だと思います。公用語化前は国内の外国人比率が2%。今は20%を超え、エンジニアでは50%近くになります。世界70カ国以上から社員が集まってきていますが、エンジニアでいえばインド、中国が多い。両国の有名大学から優秀な学生を新卒採用できるようになりました キャリアの選択肢が広がった 基礎力をつける段階が終わり、今後は具体的に全世界でビジネスを加速させていく段階に入っていきます 異文化理解を深める研修 異文化理解の研修は専門の外国人講師を呼び 外部企業へ公用語化のノウハウを伝授するコンサルティング事業も始めています クライアントの数は10社ぐらいですね グローバルな部署はもちろんドメスティックな部署でも関係なく対象にしたこと インターネットで日本語と英語のサイトの数を比較すると、実に10倍にもなります。つまり、英語ができる人はできない人の11倍の情報収集能力を持つことにな 「英語の成長は階段状」 人材育成の課題なので、どれだけ投資効果があったのかを厳密に見極める指標を設定するのは難しい 目的は事業のグローバル化 7年前は「日本で働く社員まで英語を話すなんて無駄だ」などと批判の声も多かった 英語公用語化による副作用としては、社内の雰囲気の悪化や、外国人技術者の草刈り場になったという声が聞こえてくる 「厚切りジェイソン「WHY英語を話せない?」 出世のために勉強しても絶対に上達はしない」 独学で日本語を習得。今も毎日、日本語の勉強を欠かさない 出世のために勉強するのですか。勉強のインセンティブにはなっても、最終的に、求めた結果にはならないと思いますよ 日本語を相当勉強 10年間、1日5分でも、毎日欠かさず続けています 強い決意はいらないよ。歯磨きするのに、決意する? 楽しく続ければいいんですよ 電車の中で、漢字の部首や意味を考えストーリーを作ったりしながら覚えます。書くのは1回。僕なりに面白おかしく考えてます。ネタの源にもなってるし 1日10時間英語に触れたら、1年後にはかなり話せるようになりますよ。やらない人は言い訳をしているだけです 「翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? 専門家NICT隅田氏に聞く、AI時代に必要な英語力」 自動翻訳の世界でもニューラルネットワークを使うのが主流に ニューラルによる翻訳にも欠点があって、100%の答えを出せるわけではないんです 重要な単語が抜け落ちてしまうという、ニューラルの典型な誤り NICTの音声翻訳システムもニューラルに移行したことで、タクシーや買い物などで使った時に意味が通じる翻訳をする率が2割くらい向上しました 米グーグルが変えた自動翻訳の競争環境 GPU(画像処理半導体)という計算機を使うわけですが、非常に値段が高い 米グーグルがニューラルを使ったサービスを出し、米マイクロソフトもその動きに即座に追随して、我々も負けてはいられないと判断したのです グーグル翻訳(Google Translate) 情報の秘匿性を考えると、ビジネスではグーグルの翻訳サービスを使えないという企業もあるはずです。日本の国立研究所としては、そうしたニーズにもしっかりと対応する必要があります。 先進的音声翻訳研究開発推進センター 自動翻訳は、人間の通訳や翻訳に比べて圧倒的に低コストですし、24時間365日休まず働いてくれます。しかも、多言語対応が容易です。既に、日本人の平均的な語学力は完全に超えているレベルに達しています 自動翻訳の究極のビジネス・アプリケーションは同時通訳 テレビ会議には、非常に適したツールになるでしょう これからは、自動翻訳システムを介してお互いに母国語でコミュニケーションができるようになります。そうなれば、お互いに不得意な英語で会話をするよりも、ずっと効率的なコミュニケーションができると思います 翻訳バンク 中国語・英語は飛躍的に精度が上がるけれども、日本語・英語の精度はそれに追い付けないということが起き得るのではないでしょうか 日本語から英語に訳すのは難しい。日本語を聞き取り理解するというのは、十分に高いレベルまで来ていますが、訳すのが難しいのです。語順がSVOの英語に対し、日本語はS、O、VでVが最後に出てきます。つまり、同時通訳をやろうとすると、一番重要な動詞を聞く前に訳し始めなくてはいけないわけです。この、動詞を推測しながら翻訳するのが、すごく難しいんです 機械が正しく訳してくれるような日本語を話す、書くという訓練を積むのも、これからの語学学習では重要になる可能性もあります。日本語を話す時も、主語をしっかり明確にするとか。そうすれば、論理的に物事を考える訓練にもなりますし、機械だけではなく、自分で英語を話すときも、英語に訳しやすくなります。当然、機械も英語に訳しやすいだけではなく、中国語や韓国語も正確に訳してくれます
nice!(1)  コメント(0)