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ZOZO問題(その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる) [産業動向]

昨日のECに続いて、今日は、話題になっている ZOZO問題(その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる)を取上げよう。

先ずは、2月2日付けダイヤモンド・オンライン「前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/192855
・『水玉模様のZOZOSUITをテコにしたプライベートブランド事業が不発に終わり、決算予想の下方修正を迫られたZOZO。前澤友作社長は、順調に伸びているEC事業で年末からあらわになった“ZOZO離れ”の火消しに躍起だが、出店者側の不満はくすぶっている。 「1255ショップ中、42ショップ」――。1月31日に2019年3月期第3四半期決算を発表したZOZOの前澤友作社長は、同社が運営するECサイト「ZOZOTOWN」で昨年末に始めた、定額の有料会員が10%割引となるサービス「ZOZOARIGATO」を受けて、昨年末から年明けにかけて大きく報じられたオンワードホールディングス(HD)のように、値下げを嫌って店舗の撤退や販売停止など、いわゆる「ZOZO離れ」をした同日時点の店舗数をわざわざ冒頭のように、アナリスト説明会の場で明らかにしたのだ。 前澤社長は「ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%。メディアの論調は大丈夫かというものでしたが、業績に与える影響は極めて軽微」と説明。「オンワードHDの取扱高への影響は0.5%」と付け加えるのも忘れなかった。 同社は、顧客に無料配布した水玉模様の体形計測用スーツ「ZOZOSUIT」の費用や、これを用いて購入するプライベートブランド(PB)商品の販売不振により、今期通期の連結売上高予想を19.7%減の1180億円、当期純利益も36.4%減の178億円に下方修正した。一連のZOZOSUITやPB事業による赤字額は、125億円に上る』、「「ZOZO離れ」をした」のは、「「ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%」というのであれば、確かに影響は軽微ともいえる。
・『「実るほど首を垂れる…」の指摘に前澤社長は  そんな中でZOZOARIGATOのスタートは取扱高の増加に貢献しており、前澤社長は「これは良いニュース」と胸を張ったのだ。 しかしそんな姿勢に、出席したアナリストからすかさずツッコミが入った。 例えばドイツ証券の風早隆弘調査副本部長は、ZOZOTOWN事業が出店者であるアパレルメーカーやセレクトショップとの信頼関係によって成り立っているとしたうえで「(撤退店舗数が)取扱高に占める割合が少ないからいいという問題ではない。『実るほど首を垂れる稲穂かな』と言う。今後、彼らとどのようにコミュニケーションをとるのか」と質問した。 前澤社長は撤退を「遺憾で悲しく思う」としながらも、「リアルのショッピングビルは、カードを持っていると何%オフとやっている。なぜ今まで(ZOZOで)やって来なかったのか、という声もあるくらいだ」と反論。 もっとも「ルミネカードで10%オフ」は年数回の期間限定であり、通常時のルミネカード会員の割引は5%オフだが、それはさておく。 前澤社長はZOZOARIGATOの値下げの原資をZOZOが負担していることから「出店者が負担する(値引きの)クーポンよりもいい、との(出店者からの)声もいただく」と強調。値下げのイメージを嫌う出店者については、ZOZOTOWN上で10%値下げ後の価格を表示しないようにできる仕組みを2月中に導入するなどの配慮を示し「ブランド(出店者)の意見に沿う収束モードになっている」と話した。 果たしてそうか』、真相を知りたい。
・『突然、二者択一を迫られたアパレル  「かなり突然で、トップダウンで来た感じがした」――。あるオンワード首脳は、昨年ZOZOからもたらされた、ZOZOARIGATOに参加するか、ZOZOTOWNから撤退するかの二者択一の要請について、こう振り返る。 恒常的な値下げというZOZOARIGATOの仕組みに加え、こうした高圧的とも取れる姿勢がオンワード以外のアパレル各社の反感を買った可能性は想像に難くない。 現時点でZOZOから撤退していないある有力セレクトショップ首脳も本誌の取材に、こうしたZOZOの姿勢を批判し「これからZOZO離れは確実に広がっていく」と言い切った。 ZOZOと出店者の関係については、最盛期の総合スーパーによる値下げ販売でメーカー側が疲弊しつつも、売り上げ確保のために商品を納めざるを得ない構図に例える見方がある。売り上げ減、利益率の低下に悩むアパレル業界で“ZOZO依存”から抜けられないアパレルは少なくないだろう。 しかし、やや異なる問題も生じている。オンワードHDなど強い経営基盤を持つ一部のアパレルやセレクトショップは、自社ECの黎明期こそサイト構築から物流までZOZOの支援を受けていたが、その間に人材やシステムに投資し、ノウハウを吸収して、今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている。そんな中、ZOZOTOWNで自社の商品を恒常的に値下げされれば、利幅の大きい自社ECから客を奪われるため看過できない』、確かに、「今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている」ような有力アパレルが離れていくのは当然だろう。
・『ZOZOより値下げで「客が流れる」と前澤社長  一方で前澤社長によると、自社ECでZOZOTOWNよりも安く売っている出店者もいるといい「うちからお客さまが流れる」と懸念を示した。出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めたのだ。 セレクトショップの雄であり、ZOZOTOWNの草創期に出店してむしろZOZOの成長を支えたともいえるユナイテッドアローズは、今なおZOZOの支援で自社ECを運営しているが「最近では低価格の商品しかZOZOTOWNに出していない」(アパレル業界関係者)と言われており、やはり距離が感じられる。 「自社で顧客を囲い込みたいという出店者とはいつか、意見の相違が出る。今後の方向性を考えるいいきっかけになったと思う」――。前澤社長はこんなドライな感想も口にした。 さしあたり取扱高を伸ばしているZOZOTOWNだが、ほころびの予兆は消えない。第二の成長の柱となるはずだったPBが「最低でも収支トントンの低リスク中リターン事業へ」(ZOZOの決算説明会補足資料)と一旦縮小を余儀なくされた中、主力事業であるZOZOTOWNでどのような戦略を打ち出すのだろうか』、「出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めたのだ」、であれば今後の成長戦略が大いに注目される。

次に、2月14日付けデイリー新潮「背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況、実際は“赤字14億円”!?」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/02140802/?all=1&page=1
・『ファッション通販ZOZOの前澤友作社長(43)にとって会社は打ち出の小槌だ。女優との交際、月旅行、1億円ばら撒きの話題で株価を背伸びさせ、持ち株を売却しては遊ぶ金に。しかし、テナントの離脱や下方修正で株価は更に下げ基調。錬金術の仕掛けがバレ始めた。 去る1月31日発表のZOZOの決算。通期の連結経常利益は従来予想の400億円から265億円に下方修正し、今期の年間配当を36円から24円へ大幅に減額した。その後の説明会に、前澤社長はシャツにニットを重ねた出で立ちで現れ、殊勝な態度に終始。ツイッターでも、誤算があったことを認めた。 翌2月1日の市場では、前日終値2193円から10%超の下げ幅となる1971円をつけたものの、地合いがさほど悪くないことも幸いし、5%弱安まで戻して引けた。時価総額にして6830億円余。それでも、昨年7月の最高値4875円からの下落トレンドが反転する兆しは窺えない』、確かにZOZOや前澤社長は話題性十分のようだ。
・『ZOZOの経営はどういう状況なのか。 「今回の第3四半期の決算短信を見ると、ZOZOは136億円の純利益を上げています。しかし、ちゃんと決算をすると実際には黒字の状態にあるとは言えなくなる。もともと、ZOZOは財務的にはとても健全な会社でした。在庫をほとんど持たず、売掛金も短期間で回収できていました。ところが、新規に始めたプライベートブランド事業などがうまくいかなかったのでしょう。昨年から急激に財務体質が悪くなっています」と話すのは、会計評論家の細野祐二氏。大手監査法人の代表社員を務めていた2004年、粉飾決算事件に関与したとして、東京地検特捜部に逮捕・起訴された。目下、上場企業全ての財務諸表を見て、投資家への啓蒙活動を展開する。 ZOZOで目につくのは営業キャッシュフローの悪化。仕入れや製造、販売など、利益を得るための活動が目減りしていると想定されるのだ。 「今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていないので、昨年10月に公表された第2四半期の報告書の数字を元に第3四半期の営業キャッシュフローを試算すると、約40億円になります。最初に触れたように利益は136億円。つまり、だいたい96億円の現金が入金されないままになっているわけです」(細野氏) そのカネは在庫と売掛金に化けてしまった。 「元々ZOZOは売掛金の入金が早く、昨年3月期では売掛金は253億円でした。しかし、今期は387億円。前年度から134億円増えた。要するに、売掛金の回収に時間がかかるようになってしまったのです。私の計算によると、これまでは売掛金を回収するのにかけた時間は3カ月間ほどで済んでいたのですが、今期はそれが5カ月間まで延びている。つまり、差し引き2カ月の間、回収できていない売掛金があり、不良債権化していると言えます。私は、その金額がだいたい100億円に達していると見積もっています」(同) 同様に在庫の回転率も非常に悪化している。自社で商品を生産していなかったから在庫はほぼ0だったのに、今期は一転64億円にまで増えた。1カ月で約50億円の過剰な在庫を抱えている計算になるという』、「今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていない」というのは、仮に「都合が悪いから」見送ったというのであれば大問題だが、問題視されてないようなので、何か然るべき理由があるのだろう。
・『実際は14億円の赤字?  「以上の試算を踏まえますと……」と細野氏は続ける。 「不良資産は合計で150億円ほどになる見込みです。136億円の純利益というのはある意味で見せかけの数字であり、実際は、14億円の赤字であると言えるのです。この会社は本来は資金繰りがとても良い会社であって、新規事業に手を出す前は、基本的には無借金経営でした。ところが、第2四半期に銀行から240億円を借り入れて自社株を600万株購入しました。その結果、前年度は408億円あった自己資本が201億円にまで減ってしまったのです。はっきり言って、資本はスカスカの状態。実際には赤字の状態なんですから、これを放置すれば、そう遠くない時期に債務超過に陥ってしまう恐れもあります。監査法人が決算上の問題を指摘しなければいけないのですが……」 銀行借り入れの事実は財務諸表に記載されている通りだし、大量保有変更報告書からも、前澤社長は昨年5月23日、600万株を市場外でZOZOに対して売却していることがわかる。前日22日の終値などから計算すると、前澤社長は税金は別にして240億円ほどを手にしたことになる。 細野氏の言うように「資本はスカスカ」になるにも拘らず、会社は借金をし、前澤社長から株を買い取った。それはなぜか。株式ストラテジストの中西文行氏は、 「オーナー会社の場合、社長が株を売るというのは、通常負のイメージです。自分の会社が成長するなら売る必要はありません。前澤さんが売ったところを見ると“さもしいのかな”というイメージを持ちました。経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている。マーケットに売ってしまうと株価が下がりますから、市場外買い付けで一発で買って貰ったということです」と斟酌し、こう難じる。「240億なんて大金、普通の人は一生かかっても稼げませんから。それを、たった1年で給料とは別に懐に入れておけるんです。万が一、会社の経営が傾いて株価が下落すると、自社株を売っても入る金は減りますから、高いうちに換金したと言える。宇宙旅行のように、個人で必要な資金があるんじゃないですか。悪く言うと、企業の私物化もいいところですよね。ZOZOは前澤さんにとって金のなる木のようなもので、大幅な株式分割もやらせて、自分の持ち株をどんどん増やしてきた。もちろん、その根底には、会社の規模が拡大しているということはあるにせよ……」』、「経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている」、前澤社長の保有自社株の売却は、「“さもしいのかな”」というより”さもしい”行為そのものだ。
・『下落を察知していた?  「カタログ通販なども含め、アパレルで自社ブランドが成功しているという話は聞きません。ZOZOは仕入れて売るそれまでのスタイルでの成長は覚束ない、ピークに来たと思ったのでしょう。新たなことをやらないと売り上げが伸びず、また利益を上げるためには、より利益率の高いプライベートブランドを立ち上げる必要があったのです」という中西氏の評価を、先の細野氏はこんな風に受ける。 「前澤さんは、そのプライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた。これまでは、どこでも買えるものをブームに乗って売っていただけの話。今のこの決算ならば、銀行はもっとお金を貸すはずです。決算上は一応、黒字なわけですから。場合によっては、株価を維持するためにもっと銀行から金を借りて自社株を買うことになる可能性もあるでしょう」 ――株価上昇に寄与しない情報を前澤社長が積極的に広報することはない。公開された資料であっても、プロの目に委ねなければベールの存在に気づくことはなく、それに覆われた実態は判然としないものだ。今回、本稿は専門家の慧眼で無理な背伸びを浮彫りにした次第である』、前澤社長が「プライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた」ので、自社株240億円を結果的に「売り逃げた」形になったのは、極めて問題だ。上場企業の経営者に「あるまじき」行動なのではなかろうか。

第三に、ZOZOを支援する立場から、経営戦略コンサルタントの鈴木 貴博氏が5月21日付け現代ビジネスに寄稿した「前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで、もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63530
・『「ZOZO離れ」と「ZOZO離れない」  「ZOZO離れ」が経済ニュース的には話題のワードになっています。 ZOZOの株価は昨年7月の高値4875円から急落し、今年2月には1621円と一時3分の1で下落しました。この間、大手アパレルのユナイテッドアローズが自社ECの運営をZOZOから切り替え、12月にオンワードがZOZOでの販売中止を決定。ジーンズのライトオンもZOZOからの撤退を決めるなど、大手アパレルがZOZO離れをつぎつぎと表明しました。 背景としてはこれらのアパレルのブランド方針と相反するとされる安売り施策の「ZOZOアリガトウ」のスタートや、競合するPB商品への進出などが原因だとされています。前澤友作社長の炎上しやすいキャラクターともあいまって、メディアは一斉にこの苦境を書きたてている一方、消費者としてZOZOはいったいどうなってしまうのか心配されている方も多いかもしれません。果たしてZOZOはこのまま失速していってしまうのでしょうか。 結論を先取りすると、じつはZOZOはそう簡単には崩壊しません。今回の記事ではすでにたくさん報道されているZOZO離れを引き起こしている事象とは逆の、「ZOZO離れない」方向に働く別の力について詳しく書いてみたいと思います。そのうえでなぜZOZOが崩壊に向かわないのか、その理由をまとめてみたいと思います。 さてこの「ZOZO離れない」という力とはいったい何でしょう。その正体はプラットフォームの引力です。 ZOZOTOWNはひとことで言えば数千万人規模の顧客と、多数のアパレルメーカーが集まる市場です。主要なアパレルが参加していて、同時に日本最大級の顧客が集まっているから、どちらにとっても非常に便利な場所になっている。これがプラットフォームです。 他にも読者のみなさんがよくお使いの食べログ(飲食店)や楽天トラベル(旅行)、ホットペッパービューティー(美容)といったサービスも同じメカニズムのプラットフォームビジネスです。 このプラットフォームビジネスには一般のビジネスとは違う、経済メカニズムが働きます。たとえて言えば太陽系で普通に見られるニュートン力学が、ブラックホールのような巨大な重力場の近くではゆがんでしまいアインシュタイン力学でないと説明できないのと同じような話です。 私はコンサルタントとしては大手プラットフォームの経営戦略をずいぶんいろいろと経験してきました。その経験で言うと、プラットフォームというものはなかなか簡単には崩壊させることができない性質を持っています』、本当だろうか。言い分を読んでみよう。
・『プラットフォームの宿命  普通の星系では惑星が離れていくとともに星系が崩壊するような現象でも、プラットフォームでは逆の現象が起きることすらあります。実際の例を示しながら、ZOZOの未来に置き換えてそのメカニズムを解説してみたいと思います。 まず第一に「プラットフォームが顧客企業を怒らせる」といったことは、過去の歴史上何度も起きていることです。ZOZOだけが失敗してZOZO離れを誘発しているわけではありません。 たとえば楽天トラベルは、民泊が盛んになってきたことをビジネスチャンスととらえ2018年秋に民泊施設を楽天トラベルに掲載開始すると発表しました。グループ会社で民泊を扱う楽天LIFULL STAYがライバルであるAirbnbを追撃するためには有効な戦略だと考えたわけですが、当然のことながらホテル・旅館業界はこの楽天トラベルの方針に反発しました。 このような現象はプラットフォームの宿命です。 プラットフォームの運営企業がプラットフォームに参加する企業を怒らせる現象は、プラットフォームあるあるといっていいぐらい頻繁に起きます。理由はプラットフォーム企業が成長するためには、どこかで取引条件をプラットフォーム側に有利に変更していかなければいけないからです。 そういった施策は常にプラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢を起こします。ZOZOは企業としての弱点としては、こういった施策を顧客企業に呑ませることが上手くないようで、それが今回のような騒動を起こしているのですが、いずれにしてもひとつめのポイントは「これはよくあることだ」ということです。 次にプラットフォームに怒りを表明した企業についてですが、いろいろあっても最終的にプラットフォームを全面的に離脱する会社は多くはならないという結果になります』、確かに、「プラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢」は、大いにありそうな話だ。さすがプラットフォーム企業へのコンサルティング経験のある筆者だけある。
・『秘密の会合  もちろん力のあるメーカーや飲食店などでプラットフォームと決別する企業は出てきますが、多くのプラットフォーム参加企業はそのプラットフォームの顧客引力のせいで離れられないものなのです。 そしてプラットフォームは顧客企業に対して、不満を起こした原因施策について詫びることが通例です。不明を詫びた上で、顧客企業がもっと儲かるような新しい機能やキャンペーンを提示することで顧客を懐柔する。すると顧客企業はさらにプラットフォームから離れることができなくなる。そういった現象が繰り返されます。 三番目に、このような現象を繰り返しながらプラットフォームはその引力をさらに強めていくものです。引力が強くなるにつれて、今よりももっとたくさんの顧客企業がプラットフォームを悪く思うようになっていきます。 これはある業界をほぼ完全に支配する状況になったプラットフォーム運営企業から聞いた話ですが、その業界には主だった顧客企業が集まる秘密の会合があるそうです。その会の名前は「プラットフォームのない世界」といって、メンバーが集まってはプラットフォームの悪口を言い合うだけの負け犬の遠吠えのような会が繰り返されているといいます。 このようにプラットフォームというものは、顧客と軋轢を繰り返しながら、結局はその巨大な集客力を力に業界を支配していくもので、それを壊すことは非常に難しいものなのです。 さてZOZOの場合はというと、もともと顧客企業である大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です。ただのプラットフォームではなく、他の競合がマネできない強みを持っている。ここにひとつの優位性があり、ZOZOの崩壊をさらに難しいものにしています。 さらに10代から30代の女性を中心としたカスタマー(消費者)からダントツに支持されている。この強みはなかなか揺らぐことはありません。 ただこれは前澤友作社長のクセだと思うのですが、プラットフォームでありながら、過度に消費者の側の肩を持つ傾向がある』、ZOZOが「大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です」というのは、確かに強みだろう。
・『ZOZOはそう簡単に崩壊できない  たぶん社長の周囲にもそのような社風が好きな人材が集まっている。その分、他のプラットフォームのように、二枚舌を使い分けて顧客企業を懐柔する能力が高くない。ないしはそういったオトナの経営に興味がないのかもしれません。 そのことと前澤社長の特異なキャラクターとがあいまって、マスコミからは恰好の炎上の対象になっている。ただそこはこの問題の本質ではありません。 本質はZOZOTOWNの実態が強大なプラットフォームであり、かつ消費者が強くそのプラットフォームを支持しているという点です。 ですからこの後、よほど大きな失策をしない限りは「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き、思ったほどZOZOは痛手を受けないという結果になると思われます。 あくまで実経験をふまえた経営コンサルタントとしての分析ではありますが、ZOZOTOWNが崩壊するのはそれほど簡単ではないということです』、ZOZOと他のプラットフォームの比較は一言簡単に触れられているだけなので、本当に「「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き」、かどうかは即断できないような気がする。ただ、有力そうな1つの参考意見であることは確かなようだ。
タグ:ユナイテッドアローズ ZOZOTOWN ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス デイリー新潮 ZOZO問題 (その1)(前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情、背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況 実際は“赤字14億円”!?、前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる) 「前澤社長が火消しに躍起でも「ZOZO離れ」の懸念が消えない事情」 プライベートブランド事業が不発 出店者側の不満はくすぶっている 定額の有料会員が10%割引となるサービス「ZOZOARIGATO」 値下げを嫌って店舗の撤退や販売停止など、いわゆる「ZOZO離れ」 ショップ数ベースで3.3%、取扱高ベースでは1.1%。メディアの論調は大丈夫かというものでしたが、業績に与える影響は極めて軽微 今期通期の連結売上高予想を19.7%減の1180億円、当期純利益も36.4%減の178億円に下方修正 突然、二者択一を迫られたアパレル 高圧的とも取れる姿勢がオンワード以外のアパレル各社の反感を買った可能性 今ではZOZOに頼らない完全自社ECを実現。同社に依存する必要性は薄れている 自社ECでZOZOTOWNよりも安く売っている出店者もいるといい「うちからお客さまが流れる」と懸念を 最近では低価格の商品しかZOZOTOWNに出していない 出店者との“共食い”がすでに始まっている現実を認めた 「背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況、実際は“赤字14億円”!?」 第3四半期の決算短信 昨年から急激に財務体質が悪くなっています 会計評論家の細野祐二氏 目につくのは営業キャッシュフローの悪化 今期の決算短信には、キャッシュフロー計算書は掲載されていない 差し引き2カ月の間、回収できていない売掛金があり、不良債権化 在庫の回転率も非常に悪化 実際は14億円の赤字? 第2四半期に銀行から240億円を借り入れて自社株を600万株購入 前年度は408億円あった自己資本が201億円にまで減ってしまった 資本はスカスカの状態 そう遠くない時期に債務超過に陥ってしまう恐れも 前澤社長は税金は別にして240億円ほどを手にしたことに オーナー会社の場合、社長が株を売るというのは、通常負のイメージです 前澤さんが売ったところを見ると“さもしいのかな”というイメージを持ちました。 経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている 高いうちに換金 企業の私物化もいいところですよね ZOZOは前澤さんにとって金のなる木のようなもので、大幅な株式分割もやらせて、自分の持ち株をどんどん増やしてきた 下落を察知していた? 前澤さんは、そのプライベートブランドが上半期の段階でマズいなって分かっていたんだと思います。株価が下がってしまうことも同じように察知していた 自社株240億円を結果的に「売り逃げた」形になったのは、極めて問題だ 鈴木 貴博 「前澤友作を悩ますZOZO離れのウラで、もうひとつの「意外な真実」 プラットフォームの引力はさらに強まる」 「ZOZO離れ」と「ZOZO離れない」 ZOZOはそう簡単には崩壊しません プラットフォームビジネスには一般のビジネスとは違う、経済メカニズムが働きます プラットフォームの宿命 プラットフォーム企業が成長するためには、どこかで取引条件をプラットフォーム側に有利に変更していかなければいけないから 常にプラットフォームの運営企業と参加クライアントの間に軋轢を起こします 多くのプラットフォーム参加企業はそのプラットフォームの顧客引力のせいで離れられない プラットフォームというものは、顧客と軋轢を繰り返しながら、結局はその巨大な集客力を力に業界を支配していくもので、それを壊すことは非常に難しいものなのです もともと顧客企業である大手アパレルが苦手としている受注後の物流ハンドリングに物凄くいい投資をして成長した企業です ただのプラットフォームではなく、他の競合がマネできない強みを持っている ZOZOはそう簡単に崩壊できない 本質はZOZOTOWNの実態が強大なプラットフォームであり、かつ消費者が強くそのプラットフォームを支持している よほど大きな失策をしない限りは「ZOZO離れない」側に働く引力の方が「ZOZO離れ」よりも強く働き、思ったほどZOZOは痛手を受けないという結果になると思われます
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EC(電子商取引)(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年3月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』)である。

先ずは、法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が昨年10月23日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182900
・『破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻  10月15日、米小売り大手のシアーズ・ホールディングスが米連邦破産法11条(通称チャプターイレブン、日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。 著名経営学者のドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者であった。そのシアーズが破綻に追い込まれた。 驚きとともに時代の変遷を感じざるを得ない。 同社は“シアーズ・ローバック”の商標で知られていた。シアーズ・ローバックは、19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした。新しい市場を自ら開拓し、その需要を取り込むために新しい商品や組織、生産プロセスの整備を行った。重要だったことは、当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めたことだ。 ところが、1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった。特に大きかったのが、IT先端技術の普及だ。消費者は同社の店舗で買い物を行うよりも、アマゾンのEC(電子商取引)プラットフォームでの消費を選んだ。その方が便利だからだ。 それに加え、経営者の問題も見逃せない。特にファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた。かつて栄華を極めたシアーズの経営破綻は、イノベーションの重要性と経営者に求められる根源的な資質を考える格好のケーススタディの一つと言ってもよいかもしれない』、「ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた」というのは確かに致命的だが、現在ではファンドもその業界のプロを経営者に送り込むファンドもあるようだ。
・『かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ  1886年に創業したシアーズは、当時急速に発展しつつあった鉄道や郵便という新しい要素を用いることで、物流ネットワークが浸透していなかった農村の需要を開拓した。これは、既存の要素と新しい要素を結合し、新商品や新しい販売チャネルなどを生み出すという“イノベーション”の好例だ。 19世紀、米国の農村では自給自足を主に日々の生活が営まれていた。都市部では個人商店などが日常の生活を支えつつあったが、農村はそうした経済圏から孤立していた。シアーズはそこに目をつけた。同社は、市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた。 また、シアーズは顧客満足を高めることに徹底的にこだわった。「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミットした。それは農村の人々からの信頼を獲得するために欠かせない要素だった。 カタログには衣類から農作業の道具、農村で簡単に手に入らない楽器までが掲載された。その結果、当時の米国農村地帯の生活環境は激変した。シアーズは米国の農村に、気に入った商品を買い、使う楽しみを提供した。シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられたのである。 20世紀初頭、米国では基本的なインフラ整備が進んだ。それに伴い経済は成長し、中間層の厚みが増した。T型フォードの普及によって、農村から都市への移動も容易になった。農村は孤立した存在ではなくなった。都市の人口は増加した。この環境変化を受けて、シアーズは更なるイノベーションを進めた。 それが、通販から小売業へのビジネスモデルの転換だった。小売業では、店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた。これが同社の成長を支えるとともに、米国の流通業界に大きな影響を与えた。シアーズは米国の物流・小売業界の革命児だったのである』、「通販」の確立、さらに「小売業へのビジネスモデルの転換」と、確かに「米国の物流・小売業界の革命児」だったようだ。
・『社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭  1980年代以降、シアーズの成長には陰りが見え始めた。ライバルであるウォルマートが“エブリデーロープライス”を掲げ、安売り戦略を強化してシェアを伸ばしたことはその一因だ。2000年代に入ると、ネットワークテクノロジーを駆使してアマゾンがECを世界に浸透させた。 19世紀終盤から20世紀中盤にかけて米国の物流業と小売業を牽引したシアーズは、21世紀型の物流革命を目指すアマゾンの取り組みに対応できなかった。それは、シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかったことを意味する。同社は店舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖された。当時の同社には、ITネットワークと自社の強みであるカタログ通販を融合させる発想がなかった。 この意思決定はシアーズのアイデンティティー喪失につながったといってよい。多くの消費者がシアーズに求めたのは、自宅でカタログに掲載されている商品を使うシーンを思い描き、イメージした暮らしを実現することだった。カタログ通販の停止によって、シアーズは顧客のロイヤルティ(信頼、愛着)を失ったともいえる。その結果、同社は特徴のない小売企業になった。 これに対して、アマゾンは独自の物流網を整備して消費者の支持を獲得してきた。ネット上で商品を注文し支払いを完了することはできる。その上で商品を手にして実際に使うためには、効率的な物流ネットワークが必要だ。スマートフォンなどのデバイスを駆使し、アマゾンはネット空間と消費の現場を円滑につなげることを目指している。この快適さ、便利さこそがアマゾンユーザーの増加を支えている。この結果、消費の場が店舗からネット空間に移行し、米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った。 一方、ホームデポのように店舗での消費体験を演出することで成長を維持する小売企業もある。要は、アマゾンにはない消費体験を創造できるか否かが企業の存続を分ける。それが経営者の腕の見せ所だ。シアーズが行き詰まったのは、経営者に自社の強みを十分に生かし、ネットワークテクノロジーという新しい要素と既存ビジネスを結合させる発想がなかったためと考えられる』、素人目には、ECと相性が良さそうな「カタログ通販」を捨てたのは、IT技術がなかったとはいえ、もったいなく、戦略上の失敗だったような気がする。
・『本当の小売業を知らないファンド出身経営者  2005年、シアーズはエドワード・ランパート現会長が率いる投資ファンド傘下に入った。これは、シアーズの凋落を加速させた要因と考えられる。 金融ビジネスと、顧客との関係性を重視する小売業の発想は根本的に異なる。金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ。 一方、小売業における顧客との関係構築には、終わりがない。それは永続的に続く。この点が決定的に違う。 ランパート氏の経営の下、シアーズの店舗では雨漏りやエレベーターの故障が放置されていたという。これは小売企業としてありえない。同社は、顧客に買い物をする喜びを提供するスピリットを失い、顧客の気持ちがわからない企業になってしまった。2016年に入りランパート氏はIT先端技術の導入の重要性に言及し、翌年には自社の家電製品をアマゾン経由で販売し始めたが、これは遅すぎた。 ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった。IT先端技術の実用化を受けて、経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった。これは、経営者として致命的だ。 企業の存続に必要な要素は、環境の変化に適応する能力だ。正しいもの、強いものが生き残るわけではない。変化に適応できたものが生き残る。そのためには、新しい取り組み=イノベーションが欠かせない。 例えば、シアーズの商品に愛着を持つシニア世代にアマゾンのダッシュボタンを提供することは、顧客との関係性維持につながった可能性がある。それはIT機器を操作する際に感じるストレス軽減にもなる。そうした新しい取り組みが検討されてもよかった。 アマゾンの成長はシアーズの競争力を低下させた一因ではある。だが、それがすべてではない。シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かったことは見逃せない。それが、経営環境の変化に対応する能力を奪ってしまったのかもしれない』、ランパート氏だけでなく、出身ファンドも知恵を絞った筈だが、「経済の変化のスピードが加速化していることを認識する感覚=センスも鈍かった」というのは致命的で、気付いた時には既に「とき遅し」だったのだろう。

次に、富士通出身でデジタルシフトウェーブ代表取締役社長の鈴木 康弘氏が12月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189281
・『レビュー  2017年9月、アメリカの玩具販売大手「トイザらス」が経営破綻に陥った。「アマゾン・エフェクト」を象徴するできごとである。 アマゾン・エフェクトとはなにか。これは、ネット通販「アマゾン・ドット・コム」が進出する業界で、その影響を受け、業績や株価の低迷に悩む企業が増えている現象を指す。影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。そして、多くの企業がトイザらスのように追い詰められている。 また、2017年8月、アメリカを代表する高級食品スーパー「ホールフーズ」をアマゾンが買収した。商品調達も管理も高度なオペレーションが求められる、リアルな生鮮食料品の店舗にアマゾンが進出したと、大きな話題となった。そればかりではない。競争が激化する懸念から、競合の食品スーパー各社の株価が軒並み下落した。こうして業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」とも呼ばれる。 こうしたできごとを、日本企業の多くは「流通業界の嵐」などと、対岸の火事のように眺めていないだろうか。アマゾン・エフェクトの背後には、デジタルがもたらすビジネスの本質的変化がある。本書『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』の著者は、この「デジタルシフト」の脅威に気づかないまま、20世紀のビジネスモデルを引きずる日本企業に警鐘を鳴らす。日本でいち早くアマゾン・エフェクトに対峙した著者の危機感は強い。デジタルシフト危機への対処法にぜひ耳を傾けたい』、興味深そうだ。
・『本書の要点  (1)多くの業種の既存の秩序を崩す「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている。 (2)デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放する。それをビジネスのチャンスにするために、日本企業はIT人材の育成を急がなければならない。 (3)今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく。その先頭を切っているのがアマゾンである』、なるほど。
・『要約本文 ◆アマゾン・ショック ◇日本に押し寄せる4つのショック  いま日本に4つのショックが押し寄せているという。 1つ目は、アマゾン・ショックである。書籍や音楽ソフトに限らず、ファッションや生鮮品宅配サービスにおいても、アマゾンの進出は、業界の既存の秩序を揺り動かし、地殻変動を引き起こす。 2つ目は、クラウド・ショックである。以前であれば、開発・導入に1億円、メンテナンスに月々百万円をかけていたシステムが、いまではクラウトサービスを使えば、月額の使用料数百円ですんでしまう。このクラウドの分野で圧倒的なシェアを誇るのは、やはりアマゾンである。 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショックである。すべてのものがインターネットでつながるIoTによって、膨大なデータが蓄積され、それをAIが解析する。アマゾンはデータを制することにより、差別化を図ったサービスを顧客に提供し、ネットとリアルの両面から覇権を握ろうとしている。 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショックである。今後は、各企業が自前でシステムを開発できることが、スピード・コストの両方の視点からも必要となる。いかに社内にIT人材を確保できるかが競争力を左右する。しかし、そのことに気づいて、社内の人材教育を強化している日本企業は少ない。 いま日本に押し寄せている4つのショックのいずれを見ても、その背後にはアマゾンの姿がある』、確かに「4つのショック」のいずれにおいても、アマゾンの存在感は圧倒的だ。
・『◇ネットとリアルの融合  ネットとリアル(実際の店舗)のシームレスな融合を意味する「オムニチャネル」。この概念は、アメリカの大手百貨店メイシーズが2011年に使用したのが始まりである。オムニとは「すべて」を意味する。そしてオムニチャネルとは、ネットとリアル、すべての顧客接点を連動させて顧客にアプローチする方法である。 著者はかつて、セブン&アイ・ホールディングスからオムニチャネルを立ち上げた経験がある(2015年11月)。そのときに強烈に意識したのがアマゾンの存在であった。著者の陣営は、リアルの店舗からネットに世界を広げた。一方、当時のアマゾンは、ネットからリアルの世界への進出をたくらんでいた。 ここで著者は大きな壁にぶちあたった。リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。日本の流通関係者のなかには、アメリカでのアマゾンの躍進についてこうした考えがあった。「国土が広く、もともと通販文化があったから、アマゾンはうまくいく」「日本は国土が小さいから大丈夫」。そして、店舗で買えるのと同じものが、時間や場所に関わりなくネットで注文できれば、利用者にとっての利便性が増したと考える。それ以上発想が広がらないことが、後に大きな制約となった』、確かにセブン&アイの「オムニチャネル」は、「大きな壁にぶちあたった」ためか、鳴かず飛ばずだったようだ。
・『◇アマゾン・ブックスの風景  では、アマゾンによるリアルな店舗はどのようなものか。アメリカで展開している書店販売のリアル店舗、「アマゾン・ブックス」を見てみよう。店舗を視察した著者によると、その特長は商品を絞り込み、圧倒的に在庫が少ないことにある。 それを可能にしているのが「フルフィルメントセンター」と呼ばれる巨大な物流拠点だ。この拠点は、ネットで販売する商品のために膨大な在庫を保管している。店舗のバックヤードが倉庫も兼ねているような既存の書店と比べて、ストックできる品数は桁違いに多い。リアル店舗のアマゾン・ブックスには、そのなかから売れ筋や目を引く商品を選んで並べるというわけだ。 日本の書店に一般的な、本の背表紙を表に向けて並べる「背差し」は一冊もない。すべての本が、表紙を正面に向ける「面陳列」「面展示」である。そのため、一冊一冊の魅力がストレートに伝わってくる。 そこではネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング)、店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング)。読みたい本が店頭になければ、アマゾンストアで検索して注文すればいい』、家電量販店は、顧客が来店して商品を見て、店員から説明を受けても、注文はアマゾンでやるというのも、典型的な「ショールーミング」で、小売店泣かせだ。
・『【必読ポイント!】◆デジタルシフト◇アマゾン・エフェクトの本質とはなにか  アマゾンが引き起こしている変化の本質はなにだろうか。それは、アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」である。つまり、人々は「時間」「距離」「量」「方向」の制約から解放される。 ネット上では24時間いつでも、世界中のどこでも買い物ができる。売り手は数量にしばられることなく、いくらでも商品の情報を掲載できる。売り手と買い手は、インタラクティブにコミュニケーションをとれる。 歴史を振り返れば、人類は制約から解放される世界を自らつくりだしてきた。この観点に立つと、デジタルシフトは必然の流れといえるだろう』、その通りだろう。
。『◇クラウドという衝撃  2000年代半ばより、デジタルシフトに拍車をかけているのが「クラウド」である。クラウドとは、インターネットを経由し、さまざまなITのリソースをオンデマンドで利用できるサービスである。たとえば、コンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションなどだ。 昔は水を手に入れるために、各家庭が庭に井戸を掘っていた。これに対して、いまではコンピュータ・ネットワークに蛇口をつければ水が出るようになった。クラウドはこうした状況にたとえられる。しかも圧倒的に安価にサービスを利用できる。 その結果、井戸を掘ること、つまりITインフラの構築と保守という力仕事は、人に任せればよくなった。そして、クラウドを活用したビジネスアイデアで勝負する時代が到来したのだ』、日本企業は自社保有にこだわり、「クラウド」活用で遅れを取った筈だ。
・『◇カスタマーファースト思考  こうしたITがもたらすビジネスの変化を、著者は3つの思考の変遷として説明する。 「レガシーファースト思考」:アナログで行ってきた業務のレガシー(旧来の遺産・遺物)をそのまま引き継ぎつつ、効率化を図るためにITを活用する。20世紀的なコンピュータの使い方である。 「ネットファースト思考」:インターネットというインフラを中心に置き、そこでユーザーの利便性や満足度を高めるサービスを提供する。ネット通販やSNSがこれに当たる。 「カスタマーファースト思考」:顧客を中心に置き、ネットもリアルも、すべてのインフラを駆使して、最高のカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供する。今後はITの位置づけを、カスタマーファースト思考に大きく転換する必要がある。そして、その先頭を走っているのがアマゾンだ。 社会のデジタルシフトが進み、デジタルの力で個々人の購買行動のデータを収集できるようになった。その満足度を測定することで、アマゾンはカスタマーファースト戦略を加速させている』、日本企業は「レガシーファースト思考」に囚われているところが多いようだ。
・『◇「棚発想」から「事典発想」へ  流通業に限らず、多くの業態では、ネットとリアル、Eコマースとリアル店舗がシームレスに融合されるオムニチャネルの形態に行きつくだろう。その際、品ぞろえについては、「棚発想」から「事典発想」へと転換が求められる。 これまでリアル店舗では、売り場に商品分類ごとの棚があった。売り場面積にしばられ、取引先に依存した自分の経験ベースの品ぞろえが一般的だった。しかしオムニチャネルになると、マーケット全体を俯瞰することが重要となる。そして、まるで百科事典を編集するような発想で商品カテゴリーを分類し、顧客のニーズに合わせて商品を並べていくことが可能になる』、「事典発想」は制約が少なくなるとはいえ、優れた発想力が求められそうだ。
・『◆日本企業の現状◇まだまだ厚いレガシーの壁  残念ながら、こうしたデジタルシフトの本質を理解している日本の経営者は少ない。IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった。次に「ITを活用したビジネスモデル変革」「新たな技術/製品/サービス利用」「ITによる顧客行動/市場分析強化」が続く。それに対して日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している。 アメリカ企業は、ITにより新しい価値を生み出そうという「攻めのIT投資」を推進している。しかし日本企業の多くは、「守りのIT投資」にばかり目が向いており、レガシーファースト思考のままだといえる』、「日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出している」というのは、時代に乗り遅れたことが丸出しで、恥ずかしい限りだ。
・『◇日本企業におけるIT戦略の欠如  アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない。日本企業では、システム開発はアウトソーシングが当たり前である。 ITを効率化の手段と考えれば、外注が妥当といえよう。しかし、自らのビジネスモデルを変え、ネットとリアルをつないで新しい価値を顧客に提供するというカスタマーファースト思考で考えればどうか。積極的に自社内でシステムを開発し、運営できる体制の構築が重要だと気づくはずだ。 しかし、日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ』、「アメリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している。日本は正反対で、75%がIT企業に属しており」、「日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない。そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている。これが多くの日本企業の現状だ」というのでは、日本企業が追い着くのは、当面、困難だろう。
・『◇デジタルのHOWを体感する  こうした現状をどうすれば変えられるのか。核心は教育にあると著者は考えている。アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている。ITのスキルを培うことが、個人の将来のみならず国の未来にとっても重要だと認識しているためだ。 ポイントは、デジタルのような新しい技術の場合、HOW(どのように)を知らないと、WHAT(何を)と、なぜそれをするのかというWHY(なぜ)の発想が難しいという点である。すべてのビジネスパースンがプログラマーになる必要はない。しかし、デジタルのHOWを体感的に理解することが、新しい時代のビジネスモデルを創造するためには欠かせないといえる』、日本では来年から小学校でプログラミング教育が必修となるようだが、こんな形式的なことよりも、アメリカの「コンピュータ・サイエンス教育週間」の方がはるかに効果的だろう。文科省や政治家が如何に何も解っていないかを如実に示しているようだ。
・『一読のすすめ  日本企業の経営者の大半は、アナログベースでキャリアを築いてきた世代だろう。それゆえデジタルの役割について、頭ではわかっていても感覚的に理解できていない、つまり肚落ちしていないという面があるだろう。本書はそうした方にとって、とっつきやすい「デジタルシフトを見据えたビジネス」の入門書といえるのではないか。本書を通じて、アマゾン・エフェクトの波にさらされている日本企業の現状・課題をいま一度俯瞰し、次なる一歩を考えていただきたい。最後の「著者情報」は省略』、この記事を読んできた限りでは、問題点を把握はしっかりして信頼に足るようだ。時間が出来たら、読んでみたい。
タグ:EC セブン&アイ 電子商取引 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 (その3)(アマゾン:「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか、日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』) 「「全米で最も成功した」流通大手シアーズはなぜ経営破綻したのか」 破産法申請した米小売り大手シアーズの経営破綻 ドラッカーが「全米で最も成功した企業の一つ」と称賛するほど、同社は19世紀後半から20世紀中盤に米小売業界の王者 “シアーズ・ローバック”の商標 19世紀後半から20世紀の中盤にかけて、経営改革=イノベーションによって成功を手にした 当時の同社は環境の変化に適応し、必要な改革を進めた 1980年代以降、シアーズは経済環境の変化に適応することができなかった かつて“イノベーション”で成長を遂げたシアーズ ファンド出身の経営トップには、変化を感じる“センス(感覚)”が欠如していた 市場経済が浸透していない農村に対してカタログを用いた通信販売ビジネスを行い、未開拓の需要を取り込むことを思いついた 「手にしてみたらイメージと違う」といった不満に対応するために、同社は条件を問わずに返金するとコミット シアーズのカタログは農村に住む人々にとって生活に欠かせないバイブルと同等に位置づけられた 通販から小売業へのビジネスモデルの転換 店舗ごとのマネジメントが重要だ。そのため、第2次世界大戦前からシアーズは店長および売り場主任の育成を体系的に進めた 社会のIT化という環境変化 アマゾンの台頭 シアーズがIT化という環境の変化に適応できなかった 舗事業の強化にこだわり、2000年代にはカタログ通販事業が閉鎖 米玩具大手のトイザラスは経営破綻に陥った 本当の小売業を知らないファンド出身経営者 金融業の発想では、安く買って高く売ることが重要だ。そのためには、競争力のない事業などを売却し、得られたキャッシュフローを用いて他の事業を強化することが求められる。同時に、リストラが進むと企業の強み、特徴が失われる。それが続くと、企業そのものが消滅してしまう。ファンドの傘下に入った小売業やメーカーが経営に行き詰まるのはそのためだ ファンド出身の経営者は、シアーズのビジネスモデル、その強みを全く理解していなかった シアーズのトップに、変化を感じるセンスが鈍かった 鈴木 康弘 「日本企業が知らないアマゾンエフェクトの本質 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」 「アマゾン・エフェクト」 影響は百貨店やスーパー、衣料品といった物販、さらにはコンテンツ産業など幅広い業態におよぶ 多くの企業がトイザらスのように追い詰められている 業界の秩序が崩れていく事態は、「アマゾン・ショック」 『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』 日本企業に警鐘 「アマゾン・エフェクト」。その背後では、「デジタルシフト」という本質的な変化が起きている デジタルシフトは、「時間」「距離」「量」「方向」といった制約から顧客を解放 今後のビジネスのアプローチは、ネットやリアルの垣根を超えて、すべてを顧客中心に組み立てる「カスタマーファースト思考」に移っていく 日本に押し寄せる4つのショック 1つ目は、アマゾン・ショック 2つ目は、クラウド・ショック 3つ目は、AI(人工知能)/IoT(Internet of Things)ショック 4つ目は、IT人材の育成が急務となっている現状、すなわち教育ショック ネットとリアルの融合 「オムニチャネル」 リアルからネットに発想を移すことがいかに難しいかという壁である。 アマゾン・ブックスの風景 ネット上で見つけた本を実際に確かめて購入することもできれば(ウェブルーミング) 店頭で気に入った本を自宅に届けてもらうように、その場の端末で手配することもできる(ショールーミング) アマゾン・エフェクトの本質とはなにか アナログからデジタルへの移行、「デジタルシフト」 クラウドという衝撃 カスタマーファースト思考 「レガシーファースト思考」 「ネットファースト思考」 「カスタマーファースト思考」 「棚発想」から「事典発想」へ まだまだ厚いレガシーの壁 IT予算の使い道に関する2013年の調査によると、アメリカ企業は、「ITによる製品/サービス開発強化」がいちばん多かった 日本企業は、「ITによる業務効率化/コスト削減」が突出 日本企業におけるIT戦略の欠如 メリカでは、IT技術者の75%がウォルマートなどの一般企業に属している 日本は正反対で、75%がIT企業に属しており、一般企業に所属しているのは25%に過ぎない 日本企業では経営者がデジタルの力について理解していない そのため明確なIT戦略が示せず、デジタルの活用が仕事の効率化に留まっている デジタルのHOWを体感する アメリカでは、高校卒業までにコンピュータ・サイエンスへの子どもたちの興味や関心を喚起する目的で、毎年「コンピュータ・サイエンス教育週間」を設けている
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ネットビジネス(その6)(“ぐるなび離れ”が飲食店で進む グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル、グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図、「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う 海外ネット事情) [産業動向]

ネットビジネスについては、昨年9月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(“ぐるなび離れ”が飲食店で進む グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル、グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図、「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う 海外ネット事情)である。

先ずは、昨年11月13日付けダイヤモンド・オンライン「“ぐるなび離れ”が飲食店で進む、グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185209
・『週刊ダイヤモンド2018年11月17日号は「お得×旨い×テック 外食新格付け」です。今、外食産業はITやテクノロジーの浸透で環境が激変しています。そんな中で生き残る外食チェーンはどこか、取材を通して探りました。そんな業界の最先端事情が満載の本特集から、飲食店と「食べログ」や「ぐるなび」などのグルメメディアの関係についてのレポートを、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。 「ぐるなびへの広告費用をかなり減らした。だって、効果がないんだもの」。ある飲食店経営者は冷めた表情で言い放った。 業績で堅調な食べログとは対照的に、ぐるなびは今期、2期連続の減収減益を見込むなど振るわない。その要因として指摘されているのが、送客力というメディアパワーが落ちたことによる、飲食店からの“切り捨て”だ。 消費者の情報取得ルートが多様化する中で、飲食店側も販売促進の手段を多様化させてきている。 フェイスブックやインスタグラムといったSNSが浸透し、飲食店が自ら販促を仕掛けるルートが生まれた。オウンドメディアと呼ばれる自前のサイトの強化も進む。 「予約者の情報は、基本的にグルメサイトのものであり、オウンドメディアを強化しない限り、例えば予約者にメールマガジンを送るといった販促も難しい」と顧客管理システムを提供するTableCheckの谷口優代表。ブランド力を高めてリピーターを増やしていくためには、オウンド化の実行が必然ともいえるのだ。 従来はある程度成果が不透明でもグルメメディアに“お任せ”していたものが、人件費など種々のコストの高騰もあり、そうした意識を持つ飲食店では一斉にグルメメディアの費用対効果をシビアに見直し始めている。 宿泊業で自社サイト予約のベストレート(最低価格)保証が主流となっているように、グルメサイトによらない販促はますます加速していくだろう』、「グルメサイト」から「オウンドメディア」への流れがあり、前者のなかでは、「ぐるなび」が「食べログ」に食われているようだ。ただ、私の実感からすると、「食べログ」は信頼性に欠けるような気がしている。
・『販促費捻出のため食材・人件費削減 常連客つかぬ必然  そもそも、グルメメディアを頼った集客は、従来致命的な問題点を抱える。販促のターゲットがリピーターではなく、新規客に偏っていることだ。 本来、店舗はリピーターを重視しファンをつくりたい。だが、グルメメディアにとっては、自社メディアを経由しないリピーターが増えれば、送客手数料が減り費用対効果が見直されるなど収益が減る。 つまり、飲食店とグルメメディアの利害関係は根本的に相いれないものだ。それでも店舗側は新規送客という“麻薬”から抜け出せずにきた。 例えば、ぐるなびでは、通常の基本料金(正会員で月5万円~)に加えて、表示順位を上げるためのオプションや、特集(「忘年会」や「ビールがうまい」などといったテーマ別の紹介ページ)に掲載するための費用などが掛かる。上位に表示させるためには当然、多くのカネが要る。 激戦区の東京・新宿などでは、「新宿 居酒屋」といった具合に検索して上位に表示されるのは、「月額で50万円は支払っているような店舗がほとんど」(関係者)だという。表示順位が下がれば(一般に3ページ目以降の表示順は集客効果が薄いといわれる)客足が止まるのだから、莫大な販促費を掛けざるを得ない。 こうしてグルメメディアが新規客、つまり“いちげんさん”を集めることで何が起きるか。 新規客を常連に変えるために、店側は味や雰囲気といった魅力で引き付けなくてはいけない。しかし、「少ない利益の中で販促費を掛けようと思ったら、人件費や食材費を削るしかなくなる。つまり、サービスも味も悪い店になっていく」と別の飲食店経営者。「新規を集めたところで、そんなお店にもう一度来ようなんてならない…」とため息をつく。 グルメサイトを絶てば新規送客が減るので、サイトへの費用を掛けざるを得ない。でも、集まった客を常連客にできない。だから、また新規客を集めるために費用を掛ける。そんな負のスパイラルに陥るのだ』、「飲食店とグルメメディアの利害関係は根本的に相いれないものだ」、「グルメメディアが新規客、つまり“いちげんさん”を集めることで何が起きるか。 新規客を常連に変えるために、店側は味や雰囲気といった魅力で引き付けなくてはいけない。しかし、「少ない利益の中で販促費を掛けようと思ったら、人件費や食材費を削るしかなくなる。つまり、サービスも味も悪い店になっていく」、「グルメサイトを絶てば新規送客が減るので、サイトへの費用を掛けざるを得ない。でも、集まった客を常連客にできない。だから、また新規客を集めるために費用を掛ける。そんな負のスパイラルに陥るのだ」、とは確かに難しいバランスの問題だ。
・『飲食店が生き残るにはどうしたらいいのか。 まずリピーターを増やせるような魅力的な店をつ
くる。つまり、業態の力を上げることだ。その上で、グルメサイトの言いなりにならない独自の販促を積極的に仕掛け、費用対効果を見極めながら、グルメメディアを使いこなす。 そのときに必要なのは、ITなどのテクノロジーにリテラシーを持ち、販促手段や店舗における生産性向上の取り組みにおいてこれを味方につけることだ。 変化を厭う飲食店は少なくない。しかし、あらゆる産業が“テック”による構造変化に直面しており、飲食だけが例外であるはずはない。変えようとする意思と実行力が外食産業の経営者、幹部に求められている』、その通りなのだろうが、実際には難しいのに、単に修辞上で逃げた印象も受ける。

次に、4月9日付けダイヤモンド・オンライン「グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199084
・『「駐車場が道路になった」「自宅がいつの間にか美容院になっていた」「バス停が消えた」――。3月末に起こった“グーグルマップ”ショック。騒動の裏にはデジタル事業の覇権争いを左右する位置情報データをめぐる各陣営のつばぜり合いが垣間見える。 グーグルマップの下から「ZENRIN」の文字が消えた3月25日。グーグルへのデータ提供契約が終了し、同時にグーグルマップのさまざまな不具合が騒ぎとなる中、ゼンリンの株価は一時、前日比で500円も下落しストップ安となった。 マップといえば、2012年のアップルマップ騒動が記憶に新しい。同社が地図をグーグルマップから独自開発のものに切り替えた途端、実在しない地名が表示されるなどの不具合が相次ぎ、世界的な騒ぎとなったのだ。 そもそも、デジタル地図とはどのように作られるのだろうか。 自治体や国などの公的機関が測量したデータを基に、人手を使ってより細部の情報を調べるのが地図調製企業だ。日本でデジタル地図データを扱うのは、最大手のゼンリン、パイオニア子会社のインクリメントP、昭文社、トヨタグループのトヨタマップマスターの4社がメイン。世界でも大手はオランダのテレアトラス、米国のナブテック(現ヒアー)しかない業界だ。グーグルなどのプラットフォーマーは、これまでこうした地図調製企業から地図データを買って使用してきた。 しかし、こうしたビジネスモデルは変わりつつある。その典型が、08年にグーグル社内で秘密裏に始まった「グラウンド・トゥルースプロジェクト」だ。 真の地理情報、という意味のこのプロジェクトは、グーグルが世界で撮りためたグーグルストリートビューやグーグルアースなどの画像データから地図を自動生成するもの。さらに、ユーザーが経路検索を行ったデータから地図を自動生成することも可能になった。今回、日常的に通り抜ける道として利用されてしまっているコンビニエンスストアの駐車場が“道”と認識されたのは、まさにこのためだ。 グラウンド・トゥルースプロジェクトの成果は09年から世界のグーグルマップで順次採用されているが、複雑な地図データが求められる日本がほぼ最後となった形だ。今回、道路網の作成は自動化されたものの、地図に必要な施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用されたようだ」(地図市場に詳しい青山学院大学の古橋大地教授)。とはいえ、グーグルは「ローカルガイド」など、地点施設の情報をユーザーに投稿させるサービスを持っている。地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題だ。 グーグルが今、地図の内製化を進めているのは、地図調製企業に数十億ドルの規模に及ぶ利用料を払わずとも、自社が蓄積した情報で、地図を自動生成することが技術的に可能になったからだ。 不具合の修正や地図情報の更新も、ユーザーからの通報を自動で反映するシステムで迅速に行われる。現に、新グーグルマップの不具合はかなりのスピードで修正されており、アップルマップ騒動に比べるとはるかに速く収束に向かっている。 内製化された地図データは今後、位置情報と連動するサービスにおける武器として活用できる』、「施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用」されたが、「地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題」のようだ。グーグルは「ストリートビュー」や「グーグルアース」などに膨大な投資をしてきただけに、全てを自前で済ませたいのだろう。
・『グーグルと袂分かちライバル陣営に参加 したたかなゼンリン  一方、対抗馬も頭角を現している。米マイクロソフトやフェイスブック、日立製作所やトヨタ自動車、ソフトバンクグループなどの日本企業、それにエアビーアンドビー、ウーバー、テスラなどの米テック企業――これらの企業がある共通項でつながりつつある。 オープンストリートマップ(OSM)。ユーザーが地図作りを行う世界的なプロジェクトで、いわば“地図のウィキペディア”だ。04年から英国で始まったものだが、このデータを利用する企業数はすでに数百社に上る。 地図をベースにした位置情報やナビゲーションなどのサービスは、今後の自動運転やMaaS(移動サービス)の根幹であり、戦略上これをグーグルに握られたくない企業が急増しているのだ。 このOSMを基盤に地図サービスを提供する企業として、急速に力を付けているのが、米マップボックスだ。テスラのナビゲーションシステムを担当し、17年にはソフトバンクグループが約180億円を出資。さらに、ソフトバンクグループがトヨタ自動車と共同で立ち上げる次世代MaaSにもその技術が使われるとみられている。 実は、一見グーグルから“切られた”ゼンリンは、ほぼ同じタイミングでマップボックスと提携した。ゼンリンは、トヨタ自動車などが出資するダイナミックマップ基盤にも参加し、米ゼネラル・モーターズ系地図企業の買収にも動いている。 盤石に見えたグーグルマップ1強という“地図”は、実は流動的だ。その覇権を握る勝者は、いまだ見えない』、確かに「地図をベースにした位置情報やナビゲーションなどのサービスは、今後のは、自動運転やMaaSの根幹であり、戦略上これをグーグルに握られたくない企業が急増している」、という意味では、グーグルVSその他の覇権争いは大いに注目される。

第三に、サイバーエージェント次世代生活研究所・所長の原田 曜平氏が5月9日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う、海外ネット事情」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/277993
・『1981~1996年の間に生まれた、ミレニアル世代と呼ばれる若者たち。人口が多く、デジタルネイティブといった特徴を持つ彼らはいったい今、どんなことを考えているのか? そこで今回、コロンビア大学の学生を中心としたミレニアル世代の若者たちと座談会を行い、アメリカの若者の変わりゆく価値観や実態について議論を行った。 彼らはアメリカのトップクラスに位置する大学の学生らであり、かつ、ニューヨークという超リベラルな土地に住んでいる。つまり、ある意味で偏った層の若者たちだ。しかし同時に、彼らがアメリカの未来の知識階層になり、影響力を持っていくだろうことも事実だ。 前回記事に続く今回記事では、彼らの価値観やライフスタイルについて探っていく』、興味深そうだ。
・『世界の若者が均質化し始めているワケ  原田:僕はここ10年近くグローバルで、とくにこの数年、アメリカやヨーロッパで若者に対する調査を行って来たけど、年々本当にグローバルなマーケティング調査がしやすい時代になってきていると実感しています。 以前は「今、どんなドラマがはやっているの?」なんてところから現地の若者に聞いて、そのドラマの内容の詳細を事細かに聞かないといけなかった。でも、ここ数年は、「今、Netflix(ネットフリックス)で何見てるの?」と聞いて、「ああ、あれね」なんていうやり取りで済んでしまうようになった。 このように、今、世界の若者の間で Netflixユーザーが増え、国が違えど同じコンテンツを見るようになってきています。また、ほかにも主にスマホのアプリやSNSを中心に、世界の若者が画一的な行動をとるようになり、結果、世界の若者が均質化し始めています。 だから、少なくとも対象が若者である場合、グローバルでマーケティングが大変しやすくなってきているわけですが、反面、世界の若者の間で多様性が減ってしまっているとも言えます。 さて、皆さんはやっぱりNetflix を見ていますか? 一同:もちろん!100%の若者が見ているよ! テイラー:120%よ! 原田:日本でも若者のテレビ離れと言われて久しく経ちます。僕の実感では、とくに今の高校生あたりから本当に深刻になってきていると感じています。数年前まではなんだかんだ言って、高校生までは時計代わりに朝にテレビをつけたり、テレビを見る生活が染みついていた。 時間が自由になる大学生あたりになると、家にいないようになったりしてテレビからいったん離れるんだけど、社会人になると朝早く起きる規則正しい生活になるからテレビ生活に戻る、というサイクルが根付いていました。 が、本当に今の高校生あたりからは、時計代わりにさえテレビをつけない子も増えてきているし、新大学生の都会での一人暮らしでテレビを買わないという子も増えてきた。彼ら世代は小さい頃からスマホへの依存が強く、暇な時間はYouTubeやYouTuberや、SNSやアベマTVの恋愛リアリティーショーを見ている子が非常に多くなっています。 過去のメディアの歴史を見ても、若いときになじまなかったメディアは、その後、中高年になった後にその人になじむようになることは本当に難しい。アメリカ人にはきっと理解できないほど、日本は高齢化が進んでいるので、テレビで人口の少ない若者をターゲットにしたコンテンツが大変作り難くなっており、だから若者がよりテレビを見なくなり……という負のスパイラルに完全に陥ってきていると思います。 本当は視聴率を昔ほどとれなくても、若者はそのメディアの未来の中心顧客だと捉え、若者向け番組を意思を持って作っていくべきだと思うんだけども。 そしてこれは、テレビに限らず、超高齢化マーケットだらけの多くの日本企業に同じく当てはまる大きな問題なんです。どの業界も、高齢社会に引きずられて若者を見捨てると、彼らが中高年になったときに振り向いてもらえなくなります。ビールが苦いと、苦手なままで20代を過ごした若者が、30代になってから急にビールを飲み始める確率は高くありません。 話を戻しますが、ちなみに日本でもとくにここ数カ月、Netflixユーザーはかなり増えてきているようです。でも、一説によると中年男性が中心で増加していると聞いたけれど。やっぱり、アメリカの若者の間でNetflixはすごいんだ?』、かつては音楽や映画を通じて均質化したが、現在ではネットを通じて均質化の度合いを深めているのかも知れない。
・『国境を越えて番組が見られているNetflix人気  一同:Netflix の「ストレンジャー・シングス」や「ブラック・ミラー」は多くの若者が見ていると思います。「テラスハウス」を見ている人も結構多いですよ。 原田:日本のフジテレビ制作のコンテンツであるテラスハウスも、アメリカの若者が見ているんだ?テラハメンバーがよく海外を歩いていると、街で声をかけられるというエピソードを番組の中で話しているけど、実際の話なんだね。 こんまりさんもNetflixによってアメリカで大ブレイクしているし、日本企業はグローバルなマーケティング活動において、もっとNetflixを有効活用すべきかもしれないね。Amazon Prime(アマゾンプライム)やHulu(フールー)はどうですか? イラーナ:Huluは広告が入っているから嫌です。 エレン:Amazon Primeは会員になっているけど、あくまでアマゾンの買い物用に会員になったのであって映画は見ません。 一同:皆、Netflixの使い方に慣れちゃっているから、ほかのモノはあまり……。 原田:なるほど、Netflix一極集中に向かっているのかもしれないね。じゃあ、話題をSNSに変えよう。日本のニュースでよくアメリカの若者の間でフェイスブック離れが進んでいるというものを目にしますが、実際はどうなんですか? アダム:個人情報の流出で、かなりフェイスブック離れが加速化したように思います。僕はフェイスブックをSNS機能に使うというより、ニュースを見る場にしています。 キャリス:私はもう投稿はしなくなっていて、イベント情報の詳細や、学生グループの情報を得るためだけに使っています。 通訳:学生たちの中には、政治に関する個人的な見解や政治に関するニュースや記事をあげている人もいて、それがタイムラインにたくさん挙がってくるのが嫌だという話も学生たちからよく聞きます。 原田:まあ、学生たちがSNS上で政治談義をしている点は日本も見習ったほうがいいですけどね。日本の学生たちはツイッターにネタを載せるか、インスタに映え写真を載せることに躍起になっていて、SNS上での政治談義などほぼありませんから。 エレン:おばあちゃんがフェイスブックを使っているから、そのやり取りにだけ使っています。自発的に投稿することはありませんね。 アラン:周りの同世代を見ていると、メッセンジャー機能だけ使っている人がいちばん多いように思います。 ヨータム:僕は友達の情報を収集する場として使っていて、自分で投稿することはありません』、「個人情報の流出で、かなりフェイスブック離れが加速化」、「メッセンジャー機能だけ使っている人がいちばん多い」、「学生たちがSNS上で政治談義をしている」などは参考になった。
・『日本の若者にはフェイスブックは「冠婚葬祭メディア」  原田:日本でもフェイスブックは若者の間で「冠婚葬祭メディア」なんて言われ方をすることもあるようで、要は、おじさんたちが熱心に書き込みを行っている中、若者たちは登録はするものの、人生の大きな転機があるときにだけ書き込みをするようになっている、ということらしいです。アメリカの若者の間では、ニュースを見る場とメッセンジャー機能に集約され始めているのは面白い違いかもしれませんね。 では、日本の若者の間では加工アプリとして使われることもあるSnapchat(スナップチャット)はどうだろう? アンナ:暇つぶしで、ごくたまにいじるくらいかな。 エレン:私たち世代より若い世代がやっているイメージだわ。 キャリス:3、4年前は大学生も使っていましたが、今はもっと若い子たちが使うようになっているイメージです。 原田:Snapchat(以下、スナチャ)は世界でちょっと伸び悩んでいたんだけど、4月23日の同社の発表によると1日当たりのアクティブユーザー数が世界で1億9000万人に増加したようだね。君たちの話を聞くと、アメリカではより若年化し始めたのかもしれないね。 ちなみに、ストーリーという「消える画像・動画」は、日本の若者はインスタグラムで熱心に使うようになっているけど、もともとはスナチャにあった機能をインスタが真似たんだよね。日本はスナチャが普及する前にインスタにこの機能が搭載されてしまったから、インスタのこの機能が若者の間で浸透した。 一応グローバルなメディアになったと言われているTikTok(ティックトック)はどうだろう?日本と中国ではやっていることは間違いないのだけど。 一同:(笑)。 キャリス:1回だけ使ったことがあるけど、それから1回も使ってないわ。 アンナ:聞いたこともないわ。 ヨータム:最近、ネット広告でよくこのアプリの広告を見るようになったけど、周りの友達で使っている人を見たことがないし、ほとんどの人が知らないのでは?ひょっとしたら、私たちよりもっと若い10代くらいの間ではやっている可能性はあるけど……』、「日本の若者にはフェイスブックは「冠婚葬祭メディア」」には笑いを禁じ得なかった。
・『今後、日本の就活でも利用すべきSNSとは  原田:熱心に使っている若者が多いのは、主に日本と中国だけなのかなあ。先日、上海に行って若者たちにインタビューしてきたら、上海の子たちは結構、積極的に使っていました。じゃあ、日本ではあまり普及していないと言われる、海外ではインターンや企業の採用などに使われているSNSのLinkedin(リンクトイン)は? キャリス:最近消したわ。アーティストなどフリーランスの人に興味があるので、私にとっては何のコネクションにもなりませんでした。あと、学内の学生で私が知らない人から就職活動についてアプローチがあり、面倒だったこともやめた理由としては大きいです。 原田:日本の大学生も、この数年で本当にインターンシップをやるようになってきているし、先日、経団連が新卒一括採用をやめると宣言したので、学生たちは大学にいる間、ずっと就活をすることになっていくと思うので、そろそろこうした類いのSNSが普及し始めてもいいタイミングにはなってきているんですけどね。 では、ツイッターはどうかな?ツイッターは日本ではうまくいっているけど、本国アメリカではあまりうまくいっていない、というニュースを日本でしばしば見かけます。僕が数年前にニューヨークとロサンゼルスで行った若者調査では、ツイッターをやっている子がかなり少なかったことを覚えているけど、今はどうなんだろう? エレン:私は毎日投稿しているわ。以前、仕事の情報収集にも使っていたわ。でも、周りのほかの同世代はやっていない。 ヨータム:何年も前に数週間試したことがあるけど、すぐにやめました。 アンナ:人間、そんなに言いたいことってないわ。だから、やる理由がない。 原田:確かに普通の人間には、そんなに発信したいことってないかもしれないね(笑)。それに英語だとつぶやける言葉数も限られるしね。漢字のある日本のほうが、そもそもメディアとして親和性が高いのかもしれないね。俳句の国だし、短文にもともと慣れているのかもしれない。 日本の高校生にインタビューすると、インスタグラムでストーリー機能ができてから、それがツイッターのつぶやきに似ている機能だから、ツイッター離れが進んできている、なんて話も聞いたりするようにはなりましたが。 でも、日本のテレビはトランプ大統領がツイッターで何かをつぶやくと、すぐにそれをあたかもアメリカで大きな影響を与えているように報じるのだけど、それは日本でツイッターの影響力が大きいからかもしれない。 アメリカ社会では全体的に、少なくとも若者たちについてはツイッターの影響力は減ってきているから、ことさらにトランプ大統領のツイッターでの発言を大きく報じるのは、客観的な報道とは言えない可能性もあるかもしれないね』、ツイッターについて、「人間、そんなに言いたいことってないわ。だから、やる理由がない」、「英語だとつぶやける言葉数も限られるしね。漢字のある日本のほうが、そもそもメディアとして親和性が高いのかもしれないね。俳句の国だし、短文にもともと慣れているのかもしれない」、「ことさらにトランプ大統領のツイッターでの発言を大きく報じるのは、客観的な報道とは言えない可能性もあるかもしれないね」、などの見方には納得させられた。
・『報道ニュースを若者にどう届けていくべきか  ところで、先ほど、フェイスブックでニュースを読む、という人がいたけど、ほかの人はニュースはどこから得ているの? アンナ:iPhoneのニュースアプリで見ているわ。(注:iPhoneのニュースアプリで数百という新聞や雑誌、インターネットニュースメディアの記事を読むことができる。好きなメディアやテーマを登録しておけばそのニュースがニュースフィードにどんどん上がってくる) エレン:ツイッターとニューヨークタイムスでニュースを読みます。 538という政治的なサイトを見ている若者も中にはいます。 原田:日本の若者もそうだけど、アメリカの若者もあまりニュースは見ていなさそうだね。報道ニュースを若者たちにどう届けていくかというテーマは、世界中のメディアにとって、本当に大きな問題になってきていますね』、日本のネットでの”炎上”や”祭り”などの傾向が、アメリカでどうなっているかも知りたいところだ。続編で出てくればいいいのだが・・・。
タグ:ネットビジネス グーグルアース 東洋経済オンライン グーグルストリートビュー ツイッター ダイヤモンド・オンライン (その6)(“ぐるなび離れ”が飲食店で進む グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル、グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図、「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う 海外ネット事情) “ぐるなび離れ”が飲食店で進む、グルメメディア頼みで陥る負のスパイラル」 業績で堅調な食べログとは対照的に、ぐるなびは今期、2期連続の減収減益を見込むなど振るわない 送客力というメディアパワーが落ちたことによる、飲食店からの“切り捨て”だ 飲食店が自ら販促を仕掛けるルートが生まれた。オウンドメディアと呼ばれる自前のサイトの強化も進む ブランド力を高めてリピーターを増やしていくためには、オウンド化の実行が必然 グルメメディアを頼った集客は、従来致命的な問題点を抱える。販促のターゲットがリピーターではなく、新規客に偏っていることだ 本来、店舗はリピーターを重視しファンをつくりたい。だが、グルメメディアにとっては、自社メディアを経由しないリピーターが増えれば、送客手数料が減り費用対効果が見直されるなど収益が減る 飲食店とグルメメディアの利害関係は根本的に相いれないものだ 表示順位を上げるためのオプション グルメサイトを絶てば新規送客が減るので、サイトへの費用を掛けざるを得ない。でも、集まった客を常連客にできない。だから、また新規客を集めるために費用を掛ける。そんな負のスパイラルに陥るのだ 飲食店が生き残るにはどうしたらいいのか 「グーグルマップ異変の裏にデジタル地図「1強時代終了」の構図」 グラウンド・トゥルースプロジェクト 施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用されたようだ 地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題だ 内製化された地図データは今後、位置情報と連動するサービスにおける武器として活用できる グーグルと袂分かちライバル陣営に参加 したたかなゼンリン オープンストリートマップ(OSM) ユーザーが地図作りを行う世界的なプロジェクト 地図をベースにした位置情報やナビゲーションなどのサービスは、今後の自動運転やMaaS(移動サービス)の根幹であり、戦略上これをグーグルに握られたくない企業が急増しているのだ 盤石に見えたグーグルマップ1強という“地図”は、実は流動的だ。その覇権を握る勝者は、いまだ見えない 原田 曜平 「「ネットフリックスは必需品」米国の若者の心理 日本とはちょっと違う、海外ネット事情」 コロンビア大学の学生を中心としたミレニアル世代の若者たちと座談会 世界の若者が均質化し始めているワケ 世界の若者の間で Netflixユーザーが増え、国が違えど同じコンテンツを見るようになってきています。また、ほかにも主にスマホのアプリやSNSを中心に、世界の若者が画一的な行動をとるようになり、結果、世界の若者が均質化し始めています 日本は高齢化が進んでいるので、テレビで人口の少ない若者をターゲットにしたコンテンツが大変作り難くなっており、だから若者がよりテレビを見なくなり……という負のスパイラルに完全に陥ってきていると思います 国境を越えて番組が見られているNetflix人気 皆、Netflixの使い方に慣れちゃっているから、ほかのモノはあまり…… 個人情報の流出で、かなりフェイスブック離れが加速化 学生たちがSNS上で政治談義 メッセンジャー機能だけ使っている人がいちばん多い 日本の若者にはフェイスブックは「冠婚葬祭メディア」 人間、そんなに言いたいことってないわ。だから、やる理由がない 英語だとつぶやける言葉数も限られるしね。漢字のある日本のほうが、そもそもメディアとして親和性が高いのかもしれないね。俳句の国だし、短文にもともと慣れているのかもしれない ことさらにトランプ大統領のツイッターでの発言を大きく報じるのは、客観的な報道とは言えない可能性もあるかもしれないね 報道ニュースを若者にどう届けていくべきか
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小売業(コンビニ)(その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?) [産業動向]

今日まで更新を休むつもりだったが、更新することにした。小売業(コンビニ)については、昨年10月12日に取上げた。今日は、(その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?)である。

先ずは、4月8日付け東洋経済オンライン「セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275506
・『突然のトップ交代人事は「吉」と出るのだろうか。 セブン&アイ・ホールディングスは4月4日、コンビニエンスストア最大手である傘下のセブン‐イレブン・ジャパンの社長交代を発表した。4月8日付けで永松文彦副社長(62)が社長に昇格。鈴木敏文名誉顧問(86)の愛弟子・古屋一樹社長(69)は代表権のない会長に就く。 「柔軟なあり方を模索したい」。4日に行われた記者会見の席上、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(61)は「柔軟」という言葉を6回も繰り返した』、唐突感がある社長交代には驚かされた。多分、東大阪市の加盟店オーナーによる時間短縮営業に対し、本部が違約金をかざして対応したことで、問題が大きくなった責任を取らされたのだろう。
・『「コミュニケーションの目詰まり」でトップ交代  ブン‐イレブンは、1974年に国内1号店を東京都内に出店して以降、チェーンストア・オペレーションを基にした統一された運営を徹底することで事業を拡大してきた。だが、ここにきて全国一律で同じシステムを適用する硬直的な運営では、社会の変化に対応し切れないケースが増加。人手不足で苦しむフランチャイズ店からは「年中無休、24時間営業」の見直しの声が強まっていた。 セブン‐イレブンは経営体制の刷新により、変化に対応できる柔軟な体制の構築を目指す。 今回、トップ交代に踏み切った背景について、井阪社長は会見で「組織的な問題として、コミュニケーションの目詰まりがあった」と語った。セブン‐イレブンの店舗網が全国で2万店を超える中、現場の情報が上がりにくくなっていた。 たとえば、2018年2月に福井県が豪雪に見舞われた際に、本部側が営業時間の短縮を認めなかった。アルバイトなどが出勤できない状況で、加盟店のオーナーが不眠不休で対応せざるをえなかった。井阪社長はこの事実を社内からあがってきた情報で知ったのではなく、報道を受けて知ったという。 こういった加盟店の意見や情報が本部に届きながら、トップまであがらないことに対し、セブン‐イレブンの新社長に就く永松氏は「過去の延長線ではなく、新しい発想で経営を推進したい」と、変革への強い決意を述べた』、「店舗網が全国で2万店を超える」とはいえ、福井県の豪雪災害時にも、「本部側が営業時間の短縮を認めなかった」、しかもそうした情報が持株会社の社長には上がっていなかったというのは、組織の硬直化が酷いようだ。
・『1カ月で昇格のドタバタ社長人事  それにしても今回の人事はドタバタだった。永松氏は今年3月1日付けで人事本部管掌の取締役から副社長に昇格。店舗開発と既存店運営の両方を管掌する営業本部長に就任した。そのわずか3日後に、営業本部長と、既存店運営を統括するオペレーション本部長を兼務する3月18日付けの人事が公表された。そして、それから1カ月で社長昇格の人事である。 セブン&アイの井阪社長は永松氏を選んだ理由について、「事業構造改革のみならず、人事や労務管理、教育に精通している。今の加盟店オーナーの悩みに応えられるとともに、現場の声を適切に吸い上げられる最適な資質を有している」と語った。 永松氏はこれまで、加盟店の経営指導や人事を担当。また、セブン&アイグループの通販大手・ニッセンホールディングスの副社長として同社の再建に携わった経験を持つ。幅広い分野での豊富な経験を活かし、加盟店との連携強化に乗り出す。まず、今年から全役員が全地区を訪問し加盟店と直接話し合い、経営課題を共有する。 加盟店の一部から不満の声があがっている24時間営業問題に対しても、一部見直す可能性を示唆する。「今後は、立地や商圏など1店舗1店舗の状況を見極めたうえで、柔軟に対応していく」(井阪社長)。 ただ、24時間営業を一気に縮小するわけではない。「加盟店の収益が落ちるのは大きな問題なので、シミュレーションしながら話し合うのが基本のスタンス」(永松氏)とする。2019年3月から、直営・FC合わせて12店で営業時間短縮の実証実験を進めている。営業時間を短縮すれば「売り上げは当然下がる」(永松氏)が、その結果を加盟店に説明し、そのうえで営業時間短縮を希望する加盟店と話し合いを進める方針だ。 拡大路線をひた走ってきた戦略の見直しにも着手する。出店数を大幅に縮小する一方で、既存店の強化を打ち出す。2019年度の国内出店数は、2018年度に比べて539店減となる850店を予定。これにより、2018年度616店純増から2019年度は100店純増に大幅に抑制する計画だ』、新社長は、「加盟店の経営指導や人事を担当」してきたのであれば、適任なのかも知れないが、営業時間短縮には慎重なようだ。
・『新店より既存店投資に資金を投下  他方、既存店への設備投資は積極化する。2018年度は年間の総投資額1100億円のうち62%を新店関連費用として投じたが、2019年度は総投資額1450億円のうち6割以上を既存店に投資する計画だ。セルフレジの全店導入などを進める。 変革路線を明確にしたセブン‐イレブンだが、関東地方の加盟店オーナーは「管理部門が長かった永松氏に、現場の苦しみが理解できるのか。その手腕には、まったく期待していない」と冷ややかだ。関西圏の加盟店オーナーも「40年近くオーナーの声を聞く姿勢がなかったのに、その体質を急に変えることができるのか疑問」と話す。 「現場の疲労感は溜まりに溜まっている」と、関西圏の加盟店オーナー。2020年2月期を最終年度とする3年間の中期経営計画では、当初は国内コンビニ事業で190億円の増益を計画していたが、既存店売り上げや粗利率が鈍化し、増益幅は80億円に縮小する見通しだ。 国内コンビニ事業の成長鈍化が目立っている中、画一的システムの限界を迎えつつあるセブン‐イレブンの問題を根本的に解決するには、まずは本部と加盟店との認識のズレを是正する徹底した姿勢が求められる』、加盟店オーナーとの深い溝を埋めていくには並大抵ではないだろう。

次に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が4月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「セブン経営陣、24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200203
・『ローソンやファミリーマートに「24時間営業見直し」のムードが広まっている中、頑なに24時間営業継続の道を進んでいるセブン-イレブン経営陣。日本企業、ひいては旧日本軍にも蔓延していた「撤退できぬ病」に冒されているのではないだろうか』、「撤退できぬ病」とは言い得て妙だ。
・『24時間営業にこだわらないセイコーマートとセブンの違いとは  「24時間営業見直し」のムードが高まっている。 ローソンの竹増貞信社長は、もともとコンビニは24時間営業だったわけではなく、時代の求めに応じて始まったルールなので、社会のニーズが変われば店舗ごとに対応してもいい、という柔軟な考えを示しており、実際ローソンではこの5月、「時短営業」の店舗は計43になるという。ファミリーマートも、この6月に24時間営業見直しを視野に入れた実験を行う。約270のFCオーナー店を対象に参加を募っているという。 また、規模を抑えた「持続性重視」の経営にも注目が集まっている。 1971年、日本初のコンビニを開店させて、北海道と関東で1190店舗(2019年3月末現在)を展開するセイコーマートでは、24時間営業店舗は全体でわずか2割しかない。 大手コンビニは、オーナー店からの「チャージ」の収入が柱となるフランチャイズビジネスなので、店舗を開ければ開けるほど儲かるが、セイコーマートはほぼ直営店。商品や輸送も内製化しており、会社全体で収益を上げるビジネスモデルなので、人手不足に対応して、そこまで売上げの立たない店舗は早終いできる、というわけだ。 「24時間営業をやめたらコンビニというインフラは持続できません」と訴えるセブン-イレブンが、その名と似た響きであるにも関わらず、一向に出店しない最北端の礼文島や、奥尻島、利尻島などの離島にもセイコーマートは出店しており、今や島民になくてはならない存在となっている。 「コンビニは地域インフラ」という話と、「ドミナント戦略」や「24時間営業」は、その地域インフラ維持に実は大して関係ないということを体現するセコマから、セブンも学ぶべき点は多いのではという声も少なくないのだ』、セイコーマートが「日本初のコンビニを開店」させ、未だに「直営店」方式でやっているとは初めて知った。
・『セブン経営陣が陥っているのは「撤退できぬ病」  では、このムーブメントの「火付け役」ともいうべき、当のセブンはどうかというと、「24時間営業死守」の構えを崩していない。 4月5日の『セブン、「24時間営業死守」の本音を見せつけた新社長の就任会見』で詳しく解説されているが、なんやかんやと理由をつけて、どうにかして「24時間営業継続」の道を模索しているのだ。 つい最近、話題になった「時短営業の実証実験」も実はその一環で、これまでも24時間営業をやめると売上げがかなり厳しくなるというデータがあり、「それを明確にするためにテストをやっている」と、永松文彦新社長も述べている。 データ主義といえば聞こえはいいが、バイトが確保できず、個人に過重労働がのしかかる「ブラック職場」になっている中でも具体的な問題解決策を示さず、ただ現行の計画を進めます、という姿勢は、現実から頑なに目を背けているようにも見える。 なぜセブンほどの立派な大企業を舵取りする頭脳明晰なリーダーたちが、こんな理解に苦しむ対応をするのか。 「単に収益が減るのが嫌なだけでしょ」「いや、売り上げが落ちればコンビニの質の高いサービスが維持できない!日本のためを考えての苦渋の決断だ!」などなど、皆さんもこの件には様々な意見があることだろう。 だが、筆者の見方はちょっと違う。日本型組織の代表的な病の一つである「撤退できぬ病」に、セブン-イレブンの幹部の皆さんが蝕まれつつあるのではないか、と心配しているのだ。 筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、「問題アリ」の組織を間近に見る機会がわりと多い。そこで気づいたのは、組織外の人間から見れば明らかに無謀に見える計画なのに、変更したり見直すことを頑なに拒むリーダーが、思いのほか多いということだ。この現象を個人的に「撤退できぬ病」と呼んでいる』、確かに、普通の企業にもありそうな話だ。
・『頭では無謀だとわかっているけれど…なぜか撤退だけは頑なに拒む  例えば、組織外からも、中からも「無理じゃないですか」という声が上がるような無謀な話でも、聞く耳を持たずに進めようとする。 「ここまでやってきたのに、そう簡単にやめられるか」「これまではこのやり方でうまくやってきた。無責任な外野に何を言われようとも、これを変えるつもりはない」「先人たちが成長をさせてきたこの事業を、そういう無責任さでやめられない」 なんて感じで、断崖絶壁へと続く一本道でアクセルを深く踏み込んで、残念な結末を迎えてしまうのだ。 頑固だから、独裁者だから、ということとは、ちょっと違う。組織内ではむしろ、現場からの声にもよく耳を傾けるし、調整型リーダーだったりする。しかも頭では、これがいかに無謀な話なのか薄々勘付いている。しかし、なぜか「撤退」という決断だけは、頑なに拒むのだ。 そんな「撤退できぬ病」が、暴走する組織ではちょいちょい見られる。最近では、入居者数を増やすための杜撰な効率化や納期短縮という「創業者の無謀な計画」から撤退できなかったレオパレスが典型例だ。 と言うと、「確かにそういう組織もあるが、日本型組織みたいにひとくくりにするな!」というお叱りを受けるかもしれないが、とにかく数字さえ合えば問題ナシという「員数主義」や、「指導」と言えば、「上」は「下」にどんな理不尽な仕打ちをしてもいいという「新兵いじめ」などなど、日本型組織のベースをつくった旧日本軍も、「撤退できぬ病」で破滅の道をつき進んでいる。 わかりやすいのが、「インパール作戦」である。 およそ3万人が命を落とし、世界中の戦史家から、「太平洋戦争で最も無謀」とボロカスに酷評されるこの作戦は、世間一般的には、軍国主義に取り憑かれた大本営がゴリゴリ押して進められた、というようなイメージが強いが、実態はそうではない。 大本営というエリート集団が総じて「撤退できぬ病」に蝕まれていたため、腹の中ではこれはもう無理だと思いながらも、誰一人として「撤退」を強く主張しなかった。そして、なんとなくうやむやのまま、作戦が進められてしまったのだ』、「インパール作戦」は確かに「撤退できぬ病」の典型なのかも知れない。
・『強すぎる責任感が撤退できぬ病の根幹  そのあたりは、歴史学者・戸部良一氏の「戦争指導者としての東條英機」(防衛省 戦争史研究国際フォーラム報告書)に詳しい。 現地軍の苦境を知った大本営は、当時のビルマへ秦彦三郎参謀次長を派遣した。彼が帰国後、「作戦の前途は極めて困難である」と報告をしたところ、東條英機は「戦は最後までやってみなければわからぬ。そんな弱気でどうするか」と強気の態度を示したというが、実はこれは心の底からそう思ったわけでもなければ、確固たる信念から口に出たことでもなかった。 《この報告の場には、参謀本部・陸軍省の課長以上の幹部が同席していたので、東條としては陸軍中央が敗北主義に陥ることを憂慮したのであろう。このあと別室で2人の参謀次長だけとの協議になったとき、東條は「困ったことになった」と頭を抱えるようにして困惑していたという》(「戦争指導者としての東條英機」より) 東條英機も撤退しなくてはいけないことは頭ではわかっていたのだ。が、わかっちゃいるけどやめられなかった。重度の「撤退できぬ病」にかかっていたことがうかがえる。 では、なぜこうなってしまうのか。病の根幹は「セクショナリズム」と「強すぎる責任感」である。 秦彦三郎によると、《インパール作戦は現地軍の要求によって始まった作戦であるので、作戦中止も現地軍から申請するのが筋である》(同上)という考えが大本営にあった。一方、大本営にいた佐藤賢了は、東條英機を「独裁者でなく、その素質も備えていない」として、こう評している。 「特に責任観念が強過ぎたので、常に自己の責任におびえているような面があった」(佐藤賢了の証言 芙蓉書房)』、「責任観念が強過ぎたので、常に自己の責任におびえているような面があった」というのにはやや違和感がある。責任感があれば、セクショナリズムを超えて作戦中止を命令してもよかった筈ではなかろうか。
・『曖昧な意思決定をしている間に現場のダメージは広がっていく  想像してほしい。誰だって、自分ではない人たちが覚悟を持って始めたことを、簡単に「やめろ」とは言いづらいだろう。それがどんなに無謀で、どんなに悲惨な結果に終わるのかが目に見えていても、「俺らがやりたくてやるんだ、外野が口出しするな」と文句を言われたら黙るしかない。 責任感のある人間であればあるほど、無責任な発言はできないだろう。頭では、無謀な計画だということは重々承知しているものの、計画立案者や、それを遂行する現場への「遠慮」があるので、「もうやめない?」の一言が出ない。信念やビジョンからではなく、「責任のある立場」から関係各位の事情を考慮して、現状維持へ流されていくのだ。 これが「撤退できぬ病」が生まれるメカニズムだ。 全国規模の超巨大組織の「作戦」を決める、という意味では、セブン-イレブン本部は、旧日本軍の大本営とよく似ている。ならば、セブンの幹部も、大本営同様の「病」にかかってしまう恐れはないか。 FCオーナーという現場を知る者から「24時間営業という作戦の前途は、極めて困難である」という報告を受けているにもかかわらず、「そんな弱気でどうする」と檄をとばす。そこに確固たる自信や戦略があるわけではない。「24時間営業」を進めて戦果を上げてきた前任者や、組織内の24時間営業を死守すべきという勢力への「遠慮」からだ。内心、困ったことになったと頭を抱えているが、とにかく「撤退」は言い出せない。みな東條英機のように、責任感の強いリーダーだからだ。 だが、ビルマの戦局同様に、そのような曖昧な意思決定をしている間に、現場のダメージは着々と広がっている。後に歴史を振り返ってみた時に、「24時間営業死守は令和のインパール作戦だった」なんて酷評されるかもしれないのだ。セブンのリーダーたちは大本営の過ちから学び、是非「勇気ある撤退」を決断していただきたい』、その通りだろう。

第三に、経済ジャーナリストの松崎 隆司氏が5月8日付け現代ビジネスに寄稿した「コンビニ「24時間営業問題」、セブンとローソンは明暗を分ける…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64263
・『24時間営業問題で「セブン社長交代」の大激震  セブン&アイ・ホールディングスは4月4日、都内で会見を開き、傘下のコンビニエンスストア、セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長が退任、後任には永松文彦副社長が就任することを発表した。 きっかけとなったのは24時間営業問題。 大阪府東大阪市の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を19時間に短縮したところ、フランチャイズ契約に反し、1700万円の違約金が発生すると本部が指摘したことから両者の間に対立が起こった。 問題はそれにとどまらなかった。 他の加盟店からも火の手が上がり、世論を喚起。こうした加盟店との軋轢が深まる中で、コンビニ業界のガリバーといわれるセブン-イレブンも本部と加盟店の関係を再構築し、ビジネスモデルの抜本的な見直しが求められることから、長い間加盟店と接点を持ち人事労務に強い永松副社長を抜擢したとみられている。 井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長は、記者会見でセブン-イレブン・ジャパン社長交代の理由について次のように語っている。 「24時間問題に対応できなかったというよりは、コミュニケーションのパイプの根詰まりが組織的な問題としてあった。それは2万店という巨大なチェーンにおいて、一人の社長が情報を吸い上げて対応しなければいけない。とても負荷がかかる。永松が入ることで、社内の情報をしっかりと吸い上げて、コミュニケーションを密にし、素早い戦略立案、課題解決を実行する」 セブン-イレブンの前身は「ヨークセブン」で1973年に創立され、コンビニエンスストアのビジネスモデルを作り上げてきた。 セブン-イレブンが誕生した1973年は、高度経済成長の最後の時期。工業化社会へと突入し、大量生産、大量販売による空前の消費ブームを巻き起こしていた。 こうした大企業の猛攻の中で、中小小売業の経営は厳しさを増していた。 「中小小売業は依然として家族的な労働を中心に営まれており、労働生産性が上がらなかったこと、また新たな人材を確保しようにも、需要も大きく労働条件が整備されてきた製造業に人材が吸引されていたこと、さらに高度成長を経て消費市場自体が『商品をつくって店頭に並べれば売れた売り手市場』から『お客さまが価値を認めた商品だけを買っていく買い手市場』へと変化し始めていたことなどが、その背景にありました」(同社ホームページ「セブン-イレブンの歴史」より) 政府もまた中小小売商業振興法や大規模小売店舗法(大店法)を公布し、中小企業の活性化に乗り出した。 鈴木敏文名誉顧問、(当時イトーヨーカドー取締役)は当時、イトーヨーカ堂出店を進めて行くために地元の商店街などに「共存共栄」を説明して回った。鈴木氏は当時を振り返ってこう語っている。「当時、中小小売店の不振の原因は、生産性の問題であり、大型店との競争の結果ではないと考えて、規模の大小にかかわらず生産性を上げて人手を確保し、きめ細かくニーズに対応していけば必ず成長の道が拓かれ、大型店と中小小売店の共存共栄は可能だと説得し続けていました。しかし、いくら言葉で言っても生産性の上がる中小小売店経営の実例がどこにもないので、商店街の方々の納得を得るのは困難でした」(「セブン-イレブンの歴史」より)』、スーパーと「地元の商店街」との「共存共栄」は、確かに難しい問題だが、全く不可能ではない筈だ。
・『マニュアル経営の光と影  イトーヨーカ堂などの大型店が発展する一方で、セブン-イレブン本部がフランチャイズ・ビジネスを徹底的に追求し、それをマニュアル化して店舗にそれを徹底させるビジネスが生まれてきたわけだ。 鈴木氏は米国のセブン-イレブンの親会社、サウスランドと提携、1973年には「ヨークセブン」を設立。74年には東京江東区に1号店の豊洲店を出店、1975年には福島県郡山の虎丸店で24時間営業をスタートした。 1978年には「セブン-イレブン・ジャパン」に改名。その後1980年には1000店を突破する。1981年には東証一部に上場。1982年にはPOS(販売時点情報管理)システム、EOB(電子発注台帳)による発注を開始、システムを次々に刷新し最新のものを導入した。一方でこれまで小売業が扱うことができなかった商品をいち早く導入、規制緩和の旗手としてその存在感をアピールする。 ドミナント出店によるブランド強化と合理性を追求した物流システムを構築。日販でもファミリーマート、ローソンなど大手3社の中で圧倒的な数字を挙げてきた。こうした成果を上げることができたのもの、いち早くマニュアル化を進めて加盟店を徹底的に管理してきたからだ。 「最初の3カ月は本部の人間が入り、徹底的に指導する」(コンビニ関係者) そして、2018年には2万店を突破した。 しかし、加盟店が増えれば増えるほどマニュアルによる画一化されたビジネスに違和感を持つ店舗も増加していった。 そうした中で浮上したのが、ロスチャージの問題だ。ロスチャージとは、賞味期限切れで廃棄された商品に対して、売り上げがあったものとして粗利を算出し、この粗利に基づいて加盟店がロイヤリティを支払う取り決めのことだ。 これが詐欺に当たる不当な請求だとして、岡山の加盟店オーナーがセブン-イレブン本部を提訴。2005年には東京高裁で加盟店側が勝訴したが、2007年の最高裁判決では逆転敗訴となっている。 その後セブン-イレブン本部が加盟店に制限していた見切り販売が問題となり、独占禁止法違反であると、公正取引委員会がセブン-イレブン本部に対して排除措置命令を勧告。セブン-イレブン本部は廃棄損失の15%分を負担すると発表したが、契約解除をちらつかせて値引きを制限する本部に対して、加盟店オーナーたちからは損害賠償訴訟が続いた』、コンビニ本部が加盟店に対し、優越的地位を振りかざして強要するケースには、公正取引委員会ももっと積極的に排除に踏み出してほしいものだ。
・『「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長が語る  こうした流れの中で 2009年8月にはセブン-イレブンの店主が中心となって「コンビニ加盟店ユニオン」を設立、本部に対して団体交渉を求めたが、本部はこれを拒否。岡山県労働委員会に救済を求めると、「加盟店主は労働組合法上の労働者」と初めて認定された。 こうした動きは、ファミリーマートなどにも波及する。コンビニ業界にとってセブン-イレブンが確立したビジネスモデルがディフェクトスタンダードになっているからだ。セブンーイレブンの真似をすることで“柳の下の二匹目のどじょう”狙うというのが、長い間コンビニ業界を支配してきた構図だったからだ。 ファミリーマートの加盟店オーナーの一部は、「コンビニ加盟店ユニオン」に合流。さらに「ファミリーマート加盟店ユニオン」も誕生し、東京都労働委員会に救済を求めて加盟店オーナーが労働者である認定を受ける。 ところが、その後中央労働委員会が岡山や東京の認定を覆し、加盟店オーナーは労働組合法上の労働者には当たらず、団体交渉の申し入れに応じないことは団体交渉拒否には当たらないと判断したことから、コンビニ本部と加盟店オーナーとの間の溝はさらに深くなっている。 こうした中で急浮上したのが、今回の24時間営業の問題だった。人口減少などによる人手不足で人件費は高騰。店舗運営が難しくなり、セブン-イレブンの大阪の店舗から24時間営業を止めたいという声が上がり、現在は96店の店舗でそうした声があがっているという。 さらに3月には、「コンビニ加盟店ユニオン」がセブン-イレブンに対して24時間営業問題の解決を求める申し入れ書を提出した。 「24時間営業をやめるのは、それによって生活基盤を得ている方がたくさんいるので、リスクを及ぼす可能性があるし、長年培ってきたブランドに対してもリスクがある」(井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長) セブン-イレブンは当面、実証実験を行いながら一方で経営陣が全国のオーナーの元を回り、関係改善を図っていくという。しかし、問題は構造的な人手不足と人件費の高騰。そのために店舗の収益が圧迫されていることをどう解消するかだ。 セブン-イレブンは「19年度は出店を850店。前年より500店以上抑制」(井阪社長)し、新店開発での投資を抑える一方で、既存店の設備投資を強化。今年度中にはセルフレジを全店舗に導入するという。こうしたセブン-イレブンの取り組みに対して「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長、吉村英二氏は次のように語る。 「社長は変わりましたが、実情は全く変わらないと思います。役員が加盟店オーナーを回って説得するといっていますが、2万店以上の加盟店を回れば、10年かかってしまうのではないですか。説得力がない。コンビニ本部と加盟店との間には24時間問題以外にも廃棄ロスの問題やチャージの問題などまだまだたくさんの問題があるのですが、これまで団体交渉ができなかった。暗雲が立ち込めているとっても過言ではありません。新しい社長には変化に対応してもらいたい」』、吉村英二氏の言い分はもっともだ。
・『ローソンは加盟店オーナーと協調路線  一方で、ローソン本部と加盟店オーナーとの関係はセブン-イレブンをはじめとした他のコンビニとは大きく違っている。 セブン-イレブンが記者会見を開く前日の3日、ローソンの「オーナー福祉会 理事会(前身は加盟店共済会・以下オーナー福祉会)」の理事会が沖縄のホテルで開かれていた。「オーナー福祉会」は全国の各エリアから選出された加盟店の代表であるオーナー理事で構成される組織で、3年の任期で年2回行われる理事会は、オーナー理事と本部との意見交換会だ。 今回は退任する10期12名、新任された11期13名の25人とその家族(計40人程度)、本部4人が出席した。今年は24時間問題、人手不足など課題は山積している。オーナー理事とともに座っていた竹増貞信社長が口を開いた。 「オーナー福祉会の懇談会というよりは、これからはみなさん方がローソン全体のアドバイザリーボードの委員を引き受けてもらいたいと思っています。ですから、この会自体を『ローソン加盟店アドバイザリー委員会』にさせていただきたいと思います。みなさんにはいろいろな意見を出していただきたいと思います。年に2回の理事会に加えて問題が起きたときには力を貸してください。今回を第一回目にしましょう。会議は時間無制限、言いたいことを言ってくださいね」 これに対して加盟店オーナーからも次々に意見が上がる。24時間営業問題も例外ではない。 「時短営業については、人手不足の中でメリット、デメリットがあります。それを踏まえて本部としても対応を考えていただきたい」「銀行のATMコーナーの様に必要以外の売り場をシャッターで閉鎖して、一部売り場だけでの営業といった事は考えられないでしょうか。また、無記名のアンケートでもよいので、全国のオーナーの提案を受け付けてもらえないでしょうか」 このほかにも、「防犯カメラの遠隔管理」「トイレの清掃」「覆面調査の問題」などさまざまな疑問や意見、提案が行われ、中には本部にとっては耳が痛い意見などもあった。 それでも竹増社長は一人ひとり丁寧に答え、さらに「このような場は本部にとっては宝です。みなさんからいただいた意見に対しては必ず回答する会にしていきたいのです。皆さんの意見、エリアで集約した意見をぶつけてください」と質問を誘った』、ローソンが他のコンビニと協調路線をとっている背景は何なのだろう。
・『「腹を割って話そうじゃないか」  ローソンに「オーナー福祉会」が誕生したのは1987年、その後1992年に全加盟店が参加するようになったという。 「ローソンは当初、ダイエーの中内功会長が、ダイエーを退職する社員たちの受け皿のために作られました。だから本部とオーナーは近い関係にありました。当初の3000人のうち1000人はダイエーのOBです。だからチャージ率も他のコンビニよりも安かったし、弁当の値引きなども早くから認めてきた。 オーナー福祉会の前身『加盟店共済会』もまた、加盟店オーナーたちが発足して10年経ったころに健保組合のようなものが必要だと中内さんに直談判。オーナーと本部の折半出資で設立され、その後1992年にオーナー福祉会に移行してからは福利厚生を加え、全加盟店のオーナーと家族、そして店舗のクルー・スタッフを対象にした組織になりました」(ローソン幹部) しかし当時はまだ、他のコンビニ同様、本部と加盟店オーナーの間には埋めきれない溝のようなものがあり、意思疎通は必ずしもうまくいっていたとは言えなかった。 それだけではない。それまでは加盟店オーナーを集めて商品説明会をおこなっていたが、そうした加盟店オーナーの集まるような場所には社長は参加しなかった。加盟店オーナーから本部の社長にクレームがつくというのはよくないという判断からだ。 しかも当時の本部は、加盟店オーナーを『オーナー様』と慇懃無礼に呼びながら、軽視していた。 「はっきり言って当時のローソンは、他のコンビニの本部と加盟店オーナーとの関係に大差はなかったと思います」(ローソン幹部) そのような中で、こうした企業風土を変えたのが2002年に経営再建のために三菱商事から乗り込んできた社長の新浪剛史氏だった。 新浪は自ら「オーナー福祉会」に出席すると、本部の役員たちをたしなめるようにオーナーたちの前で、「『オーナー様』じゃないだろう。一対一だろう。本部も加盟店も同じ立場なんだ、『様』じゃなくて『さん』だろう』。腹を割って話そうじゃないか」と訴えかけたという』、新浪氏は現在はサントリー社長になっているが、ローソン時代に「本部と加盟店オーナーとの関係」を改革したとは、さすがだ。
・『怒鳴りあいの喧嘩で本音をぶつけあった  ここから両者は本気で話し合うようになり、時には大声で喧嘩になったこともあったという。それ以降は「オーナー福祉会」には社長は必ず出席するという不文律が出来上がり、今でも竹増が出席している。さらに、オーナー会議の元理事を集め「OB理事会」を結成。年一回意見を聞いている。 「すでに何百人になるのですが、これまで頑張ってこられた方たちなので、参考になります」(ローソン幹部) さらに、竹増氏が副社長時代の2014年に女子部を設置。竹増氏がトップを務め、女性オーナーたちの意見を集めるようにした。 このほかにも、ローソンは自発的に全国で生まれた近隣エリアでの加盟店オーナーたちの情報交換会をエリアごとにまとめて「エリア会」を2012年に結成。加盟店オーナーや店長と本部の支店長、支店長補佐、スーパーバイザーなどとの意見交換会を結成した。2018年には計3045回開催されたという。 さまざまな形でオーナーと本部との意見交換会をやってきた成果はあったのか。 「人手不足の問題はかなり早い段階から情報として入ってきました。ローソンスタッフという加盟店への人材派遣の会社も加盟店オーナーからの提案です。40店舗を運営する新潟MO(複数店のオーナー)でフュージョンズという会社社長の佐藤洋彰さんが『オーナー福祉会』会議の中で問題提起し、本部も出資し、うちが49%、佐藤さんが51%を出資してこの会社ができました。2014年のことです」(ローソン幹部) このほか、「オーナー福祉会」がきっかけとなって店舗のクレームを引き受けるための「コールセンター」を設置。本部で一括して引き受けるようになった。 さらにローソンは2016年から「1000日全員実行プロジェクト」として加盟店支援に乗り出し、省力化での人件費削減を実施。廃棄ロス削減では2018年度対比で約2割削減。 24時間問題対応としては、41店舗(5月には2店舗が追加)で時短営業を実施。7月からはデジタル技術を使った無人営業の実験を進める』、ローソンは着実に関係改善に務めているようだ。
・『世耕弘成経済産業相は4月5日、大手コンビニ8社のトップを集めて意見交換会を行い、人手不足など加盟店が抱える問題を是正するよう行動計画の策定を要請。コンビニ各社は4月25日、行動計画を発表した。 セブン-イレブンは「出店基準の厳格化と既存店サポートの強化」「ゼロベースでビジネスモデルを再点検する」「加盟店の皆様と共に」という3つの改革の柱を掲げ、①加盟店様への支援策②オーナー様とのコミュニケーション強化③営業時間短縮の検討④加盟店様の売上・利益の拡大ーーを掲げた。 ファミリーマートは、店舗での実証実験などを踏まえ①省人化・省力化への新規設備投資②協力派遣会社からの店舗スタッフ派遣③24時間奨励金の増額④廃棄ロス削減⑤加盟店と本部の対話充実ーーを掲げている。 ローソンは、これまでの施策をさらに強化し「省力化にチャレンジする」という。 労使協調路線を進めるローソンも24時間問題を簡単には解決できないという。 「(24時間営業の廃止というのは)現時点ではありません。24時間営業の背景には弁当工場から物流センターまでそれを前提に非常に大きな仕組みが動いている。基本は24時間で個別にいろいろな事情に対応しているというのが実態です。現状はこの方針をしっかりと堅持したいと思っています。しかし将来的には変化に対応して、変えていく必要があると思っています」(竹増社長) ちなみに、加盟店オーナーとの関係でいえば、「コンビニ加盟店ユニオン」の約8割はセブン-イレブン、2割がファミリーマートという。ローソンは現在業界3位に甘んじているものの、ローソンが協調路線であるのは、間違いない。 協調路線のローソンは、24時間問題でセブン-イレブンとファミリーマートと一線を画せるのか。「オーナー福祉会」との話し合いの今後に注目したい』、24時間問題での対応では、確かに、セブン-イレブンやファミリーマートもさることながら、ローソンには特に注目する価値がありそうだ。
タグ:コンビニ 東洋経済オンライン 小売業 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 現代ビジネス (その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?) 「セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」」 突然のトップ交代人事 コミュニケーションの目詰まり」でトップ交代 福井県が豪雪に見舞われた際に、本部側が営業時間の短縮を認めなかった 加盟店のオーナーが不眠不休で対応せざるをえなかった 井阪社長はこの事実を社内からあがってきた情報で知ったのではなく、報道を受けて知ったという 1カ月で昇格のドタバタ社長人事 24時間営業問題に対しても、一部見直す可能性を示唆 出店数を大幅に縮小する一方で、既存店の強化を打ち出す 新店より既存店投資に資金を投下 「セブン経営陣、24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度」 ローソンやファミリーマートに「24時間営業見直し」のムードが広まっている中 頑なに24時間営業継続の道を進んでいるセブン-イレブン経営陣 日本企業、ひいては旧日本軍にも蔓延していた「撤退できぬ病」に冒されているのではないだろうか 24時間営業にこだわらないセイコーマートとセブンの違いとは セイコーマートでは、24時間営業店舗は全体でわずか2割しかない ほぼ直営店 セブン経営陣が陥っているのは「撤退できぬ病」 どうにかして「24時間営業継続」の道を模索 頭では無謀だとわかっているけれど…なぜか撤退だけは頑なに拒む 頭では、これがいかに無謀な話なのか薄々勘付いている。しかし、なぜか「撤退」という決断だけは、頑なに拒むのだ 「撤退できぬ病」が、暴走する組織ではちょいちょい見られる 「インパール作戦」 世界中の戦史家から、「太平洋戦争で最も無謀」とボロカスに酷評 強すぎる責任感が撤退できぬ病の根幹 曖昧な意思決定をしている間に現場のダメージは広がっていく 松崎 隆司 「コンビニ「24時間営業問題」、セブンとローソンは明暗を分ける…?」 24時間営業問題で「セブン社長交代」の大激震 東大阪市の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を19時間に短縮したところ、フランチャイズ契約に反し、1700万円の違約金が発生すると本部が指摘したことから両者の間に対立が起こった マニュアル経営の光と影 加盟店が増えれば増えるほどマニュアルによる画一化されたビジネスに違和感を持つ店舗も増加していった ロスチャージの問題 岡山の加盟店オーナーがセブン-イレブン本部を提訴 見切り販売が問題 独占禁止法違反であると、公正取引委員会がセブン-イレブン本部に対して排除措置命令を勧告 「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長が語る ローソンは加盟店オーナーと協調路線 オーナー福祉会 理事会 「腹を割って話そうじゃないか」 企業風土を変えたのが2002年に経営再建のために三菱商事から乗り込んできた社長の新浪剛史氏 怒鳴りあいの喧嘩で本音をぶつけあった 世耕弘成経済産業相は4月5日、大手コンビニ8社のトップを集めて意見交換会を行い、人手不足など加盟店が抱える問題を是正するよう行動計画の策定を要請
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自動車(一般)(その2)(フォードが本拠の北米で「セダン」を捨てざるを得ない事情、日産に漂うホセ・ムニョスの亡霊 米中の不振続く、トヨタ「ガラパゴスHV」に危機感 電動化技術を開放、ベンツ BMW アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金 先進化対応など課題山積) [産業動向]

自動車(一般)については、昨年3月20日に取上げた。1年以上経った今日は、(その2)(フォードが本拠の北米で「セダン」を捨てざるを得ない事情、日産に漂うホセ・ムニョスの亡霊 米中の不振続く、トヨタ「ガラパゴスHV」に危機感 電動化技術を開放、ベンツ BMW アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金 先進化対応など課題山積)である。

先ずは、ジャーナリストの井元康一郎氏が昨年6月12日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「フォードが本拠の北米で「セダン」を捨てざるを得ない事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/172176
・『アメリカのデトロイト3の1社、フォードは「流れ作業方式」による世界初の量産乗用車「Tタイプ」を生み出した由緒正しい企業だ。そのフォードがなんとアメリカの乗用車(セダン)市場から撤退するという。その理由や背景には、何があるのだろうか』、1つの時代の終焉を思わせる出来事だ。
・『由緒ある米フォードがアメリカの乗用車(セダン)市場から撤退  米フォードがアメリカの乗用車市場から撤退――。 ゴールデンウイーク前の今年4月下旬、驚きのニュースが飛び込んできた。彼らのいう乗用車とは、4枚ドアのセダンモデルのこと。SUVやスポーツモデルは残しつつ、これまでの事業の柱の一つであったセダン/ハッチバック/乗用ステーションワゴンから手を引くのだという。 この話は投資家向けの第1四半期決算説明会で明らかにされたもので、ほぼ“本決まり”といえるだろう。流れ作業方式による世界初の量産乗用車「Tタイプ」を発売したのは1908年で、今年はそれから111年目にあたる。 そんな由緒あるフォードの北米乗用車撤退は、アメリカの自動車史において一つのマイルストーンになるくらいのドキュメントであることは間違いないところだ。 このニュースに触れた人の多くが当惑を覚えたことだろう。実際、当のアメリカでも本当にフォードはセダンモデルを捨てるのかという疑念の声が巻き起こっている。 確かにこのところ、アメリカの乗用車市場でセダン需要が縮小し、SUVへのシフトが起こっているのは事実だ。もともとアメリカの顧客は大きいクルマを圧倒的に好むものだが、そんな顧客の嗜好だけでなく、燃料価格が比較的安値圏で推移していること、およびトランプ大統領がCO2排出規制の厳格化を見送っていることなど、環境要因が大きく後押ししてのこと。 現在、アメリカ市場における乗用車セールス首位モデル「カムリ」の作り手、トヨタ自動車の幹部は「伝統的なセダンモデルが根本的に時代の流れに合わなくなり、将来性がなくなったと断定するのは早計。うちは顧客の消費動向や環境規制がどっちの方向に振れてもいいよう受け皿を準備する方針を維持する」と語る。 2017年は乗用車の販売が前年に比べて17%減と、セダン離れが一気に加速したが、それでも乗用車とライトトラックの販売比率はおおむね27:73。ライトトラックの1090万台に比べると見劣りするものの、乗用車の販売台数も激減してなお630万台以上。数字だけを見れば見捨てるにはもったいないようにも思える』、確かにずいぶん思い切った決断だ。
・『背景にあるのは投資ファンドの意向!?  そのアメリカの乗用車マーケットをフォードはなぜ捨てるのか。その背景にあるのは、利益率の低さに業を煮やした投資ファンドの意向だろうと金融業会関係者は言う。 「フォードの2017年の決算は、売上高こそ伸ばしたものの、本業での儲けぶりを示す営業利益率は壊滅的に低い数値に終わったのですが、その主因は北米主体の乗用車事業でした。そこを大株主に突かれ、決断を迫られた可能性が大きい。フォードの2大株主はヴァンガードとブラックロックですが、どちらも世界に知られた“肉食系”ファンド。今後の市場動向を立ち止まって様子見などという甘っちょろい経営を許すわけがない」 フォードは昨年、マツダの社長経験もあるマーク・フィールズCEO(最高経営責任者)が解任され、ジム・ハケットCEOが誕生した。投資グループからの突き上げはフィールズ政権時代からきつく、日本市場からフォードが突然退場したのもその結果と言われている。 経営不振による株価下落の責任を負わされる形でフィールズ氏がフォードを去る。その後継者には創業家一族のビル・フォード会長の覚えがめでたいハケット氏が選ばれた。 ハケット氏は2013年にフォードに取締役として招き入れられるまで、自動車ビジネスの経験はほとんどなかった。が、シリコンバレーとの人脈が豊富であることを生かし、フィールズ氏の下では自動運転のプロジェクトを拡充させるなどの実績を上げた。 フォード会長は世界の自動車業界のなかでも最も早いタイミングで、リテール売り切り型ビジネスからカーシェアリング型ビジネスへの転換を提唱するなど、スタートアップ型の性格。また株価へのこだわりも強く、株主還元を厚くできないビジネスを嫌う。その意味では投資ファンドとビジョンはほとんど変わらない。 投資ファンドやフォード会長の信任が厚いことを最大の政権基盤としているハケット氏に求められているのは、収益力を高めることと、サスティナビリティを確保することの2点に尽きる。不採算部門である乗用車をやめ、利益率の高いSUVやピックアップトラックに専念するというのは、収益力強化の点ではいちばん手っ取り早い方法ではある。 「マーク・フィールズさんのような根っからの“自動車屋”だったら、乗用車をやめるという決断をしたかどうか。自動車ビジネスにノスタルジーを感じない業界外の人物だったからこそ下せた決断だとは思います」(前出のトヨタ幹部)』、「投資ファンドの意向」は当然としても、フォード会長も支持しているということであれば、やむを得ない方向性なのだろう。
・『アメリカ市場では乗用車の収益性は極度に悪化  実際のところ、アメリカ市場で乗用車の収益性が極度に悪化しているというのは、フォードに限らず自動車メーカー各社が頭を痛めている問題だ。リテール(エンドユーザー向け販売)はきわめて低調で、大幅値引き販売に頼らざるを得ない。 個人向けカーリースの値崩れもすさまじい。Cセグメントセダンのホンダ「シビック」の場合、1ヵ月あたりの諸費用込み実勢価格は1万8000円ないし2万円強といったところ。新車価格を考えるとタダのような値段だが、これはまだ、ホンダの信用力をバックにしたマシな数字。ライバルメーカーではさらに激安で戦っているケースも珍しくない。自動車メーカーの決算を見ると、かつては頼みの綱であったアメリカ市場での利益の少なさが足を引っ張っているのが如実に見てとれる。 そのなかで救世主となっているのが乗用車ベースのSUV、さらにその上のライトトラック。まず販売台数が乗用車に比べて多い。フォードのピックアップトラック「Fシリーズ」は2017年、実に89万6000台も売れた。続いてGMのシボレー「シルヴァラード」が58万5000台、フィアット・クライスラーの「ラムピックアップ」が50万台。この3モデルが乗用車およびライトトラック市場の1、2、3位を占めている。 1台あたりの売り上げおよび粗利も大きい。人気の高いダブルキャブ(4ドア)はリースで1ヵ月あたり500ドル前後。リテール販売で5~6万ドルくらいはすぐ取れる。自重が大きいため製造コストもそれなりにかかるが、リンカーンやキャデラックなどが斜陽化した今、ライトトラックはデトロイト3にとってプレミアムセグメントに準じたビジネスとなっている。 単に高収益を目指すだけなら、「出来」のいい日本車やドイツ車などとの競合が厳しく、それらに勝ったとしても旨みが小さい乗用車を捨てて、そこに集中するというのは自然な選択でもあるのだ』、ユーザーの乗用車離れ、乗用車市場での「日本車やドイツ車などとの競合」を考えればやむを得ない決断だったのだろう。
・『本拠地で乗用車をやめることは“博打”のようなもの  だが、元フォードジャパン幹部は、本拠地アメリカで乗用車をやめることは、中長期的に見れば“博打”のようなものだと言う。 「フォードは欧州や中国など世界に拠点を持っているため、乗用車はそこでやればいいということなのでしょう。が、自動車メーカーというものは、生産は世界各国に散りばめることは簡単にできても、研究開発はやはり“お膝元”の力がモノを言う。そこが乗用車をやらなくなれば、他の地域のモデルについても影響が出る可能性がある。フォードはEV、自動運転の性能が早期に上がり、自動車メーカーのビジネススタイルが大きくチェンジすると読み、高収益ビジネスに集約してその時代が来るまでの時間稼ぎができれば十分だと考えているのかもしれません。その読みが当たればいいのですが、外れたときのバックアッププランには不安があると言わざるを得ない。2030年に世界のフォードでいられるのか、アメリカのローカルメーカーになってしまうのか、結構背水の陣を敷いているように見えます」』、「生産は世界各国に散りばめることは簡単にできても、研究開発はやはり“お膝元”の力がモノを言う。そこが乗用車をやらなくなれば、他の地域のモデルについても影響が出る可能性がある」というのは、確かに長期的な懸念材料だ。
・『正念場を迎えているデトロイト3  アメリカで乗用車からの撤退、ないしは大幅縮小という戦術を取るのは、フォードだけではない。GM、フィアット・クライスラーも同様だ。が、世界で初めて大量生産によって多くの人が買えるクルマを生み出したフォードがその決断に踏み切るというのは、やはり意味合いが特別だ。 実はデトロイト3は90年代にも転機を迎えていたことがある。ビル・クリントン大統領が当時のGM、フォード、クライスラー首脳を引き連れて来日し、日本にバイアメリカを迫ったことは有名だが、「その裏でアメリカは自動車産業はもはや高付加価値産業ではないとして基幹産業から外し、医療、食料、エネルギー、コンピュータサイエンスなど次世代産業へのシフトを目論んでいた」(経済評論家の故・梶原一明氏)という。 それから20年ほどの間、デトロイト3にとって良い時はほとんどなかった。今日、GMはすでにオペルを手放し、フォードも乗用車を手放そうとしている。加えてハケットCEOは収益性改善のために10%の賃金カットも表明しているが、すでにフォードの賃金はアメリカ人にとってまったく魅力のないレベルで、これ以上削減すると将来を切り開くための人材を集めるのも難しくなりかねない。 このまま縮小していくのか、それとも改革の痛みを乗り越えて再びモビリティの世界で新たな覇権を唱えることができるのか、フォード、そしてデトロイト3は今、正念場を迎えている』、T型フォードで一世を風靡した時代には、高賃金で自動車の購買力を高めたが、「10%の賃金カットも表明」するとは、もはやなりふり構っていられなくなったようだ。

次に、2月13日付け日経ビジネスオンライン「日産に漂うホセ・ムニョスの亡霊 米中の不振続く」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/021200075/
・『日産自動車は12日、2019年3月期の連結営業利益が18年3月期比22%減の4500億円になりそうだと発表した。従来計画の5400億円から900億円引き下げた。西川広人社長は「第3四半期までの計画達成率は6割を下回った。落ち込みを無理に補うと過去の過ちの繰り返しになるので残念ながら下方修正した」と話した。 停滞をもたらしているのは世界2大市場である米中での苦戦だ。米国では高水準の販売奨励金による「値引き」販売が収束せず、中国では新車販売台数が1月までに5カ月連続で前年同月比マイナスとなっている。この2つは勾留中のカルロス・ゴーン氏の側近だったホセ・ムニョス元CPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)が直近まで統括していた市場。長期戦略の欠如が尾を引いている。 4000ドル(44万円)以上――。18年4~12月期、日産が米国で1台クルマが売れるごとに販売店に拠出した奨励金の平均値だ。業界では「インセンティブ」と呼ばれ、販売店はこれを原資に顧客の値引き要請に対応する。市場全体では3700ドル程度だが、他の日本メーカーは多くて3000ドル強で、日産の突出ぶりが目立っている。 米国では消費者の志向がSUV(スポーツ用多目的車)やピックアップトラックに移行。日本メーカーが得意としたセダンが売れなくなり、18年は各社ともインセンティブに頼った。ただ、トヨタ自動車は「カイゼンの成果が少しずつ出てきた」(白柳正義執行役員)。在庫が落ち着いたことなどで、出口は見えつつあるようだ。 日産も販売奨励金を抑える取り組みを進めている。ただ、構造改革に加え、まずはブランド強化が必要になってくる。なぜ、日産は米国で計画性を失ったのか。 「数値目標を達成することを求められ、目先の結果を優先してしまった」というのが複数の日産関係者の弁。求めたのはゴーン氏、それを受けたのが昨春まで米国統括を務めていたムニョス氏だった』、日産がこれほど多額の奨励金を払っていたとは、ゴーン氏の弊害の1つだ。
・『西川社長は米国販売について「ブランドとしてのバリューが十分ではなく、インセンティブをしない限り台数が取れないのが現状」と分析。「ブランド価値を高めていくという宿題がある」と話した。日産は今年1月から経営体制を変更し、新たなマーケティング戦略を展開している。「一時的な台数減は避けて通れないが、平均価格を高め、実力をつけるためにじっくりと取り組みたい」としている。 中国市場でも、日産は苦戦している。需要減速にも関わらずトヨタやホンダがなんとか踏みとどまる一方、日産の1月の新車販売台数は前年同月比0.8%減の13万3934台で、5カ月連続の前年同月比マイナスとなった。 18年4月、重点地域の中国を統括する立場に就いたのがムニョス氏だ。米国からの鞍替えはゴーン氏の厚い信任を受けた人事ともされる。18年4〜12月期の中国販売は前年同期比7%増の109万6000台となり、「技術と安全性でブランドの価値が定着している。それを毀損しないように成長させていく」と西川社長は強気だが、足元では息切れ気味で、18年度の販売計画は従来の169万5000台から156万4000台に引き下げた。 身の丈以上に大きく見せ、目の前の利益に固執する。これで構造改革や新車開発が遅れるようであれば、それこそ本末転倒だ。ムニョス氏はゴーン氏の逮捕後、日産をひっそりと退社した。ただ、米国と中国の販売の現場には、いまもその亡霊が漂っているのかもしれない』、確か日産はゴーン氏の指示で新車開発を抑制してきたが、そのツケは想像以上に大きいようだ。

第三に、4月3日付け日経ビジネスオンライン「トヨタ「ガラパゴスHV」に危機感、電動化技術を開放」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/040300214/?P=1
・『トヨタ自動車は2019年4月3日、ハイブリッド車(HV)に関する約2万3740件の特許技術を無償開放すると発表した。1997年に初代「プリウス」を投入するなどHVの技術では世界で先頭を走るトヨタ。世界的に燃費規制が厳しくなる2030年代に向け、トヨタの技術へのニーズが高まると判断した。トヨタの技術が普及すれば、規模の拡大によるコスト削減の恩恵も受けることもできる。一方、技術の「ガラパゴス化」によって優位性が薄れることへの危機感も透けて見える。 「電動化の技術はこの10年がヤマ」。同日、名古屋市内で会見したトヨタの寺師茂樹副社長はこう強調した。背景にあるのが30年代に向けた世界的な燃費規制の強化だ。先行する欧州の30年からの規制は現行に比べ、走行時に出す二酸化炭素(CO2)の量を半分、つまり燃料消費量を半分にすることを求めている。そうした規制に対し、「(販売する)半分の車をゼロエミッション、電気自動車(EV)にするのが現実的だろうか」と寺師副社長は話す。HVの導入拡大が現実解というわけだ。 もともと、トヨタはHVの技術はEVや燃料電池車(FCV)にも応用できるとして開発してきた。とはいえ、技術を提供するのは提携するスズキやSUBARUなどに限ってきた。そうしたガラパゴス化に対する「反省があった」と寺師社長は認める。今後はモーターや車載電池の電力を変換するインバーターなどで構成する「パワーコントロールユニット(PCU)」、システム制御などに関する特許を開放するだけでなく、導入に当たっての技術サポートをする「車両電動化技術のシステムサプライヤー」(寺師副社長)を目指すことになる』、HV技術を囲い込んできた結果の「ガラパゴス化」への「反省」で、流れは変えられるのだろうか。
・『EV本格普及へのつなぎ役として、HVの需要は世界各国で伸びると予想されている。ただHVの先駆者であるトヨタが優位に立ち続けられる保証はない。欧州では、従来のエンジン車の構造を流用しやすく、低コストで燃費を改善できる「マイルドハイブリッド」(注)と呼ばれる方式が電動車の新たな主流になりつつある。 トヨタやホンダなどが強みを持つHVはエンジンとモーターを組み合わせて効率的に走るため燃費の改善効果が大きい一方、機構が複雑で高度な電子制御が必要になるなど中堅以下のメーカーにとって導入のハードルは高い。一方、マイルド型は独ボッシュや独コンチネンタルなどの自動車部品大手が関連する部品・システムを積極的に外販しており、米フォード・モーターなど欧州勢以外にも導入する動きが広がっている。トヨタがシステムサプライヤーになると宣言したのは、こうしたメガサプライヤーの攻勢に対する危機感の表れでもある。 ナカニシ自動車産業リサーチ代表の中西孝樹氏は「仲間づくりという意味ではもう少し早い段階で特許を開放してもよかった」と指摘する。自社のHV技術がガラパゴス化すればモーターなど中核部品のコストダウンが進まず、EVの競争力低下にもつながりかねない。車の電動化でトヨタが覇権をつかむことができるのかは、完成車メーカーに加え、メガサプライヤーとの競争の行方が左右しているといえそうだ』、トヨタが囲い込んでいる間に、他では別方式の研究も進み、特許開放が「遅過ぎた」のではとの印象も拭えないようだ。
(注)マイルドハイブリッドとは、通常走行に用いるエンジンの補助が目的。スズキやマツダでは減速エネルギー回生システムで蓄えられたエネルギーを駆動用に用いようとする。ヨーロッパでは、電池の電圧を48Vに高電圧化することで電装品の出力を高め、オルタネーターでの駆動補助を可能にする「48Vマイルドハイブリッド」という規格が提唱(Wikipediaより)

第四に、コラムニストの真田 淳冬氏が4月9日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ベンツ、BMW、アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金、先進化対応など課題山積」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275659
・『メルセデス・ベンツ、BMW、アウディからなるドイツのプレミアムカー3大ブランドの、2018年の業績が出揃った。 3ブランドともにグループの純利益が2割前後減  リーマン・ショックのあと10年近くにわたり、アジア・北米市場の順調な拡大を受けて利益と販売台数を増加させてきた3ブランドだったが、昨年はいずれもこれまでより厳しい戦いを強いられ、グループ(傘下ブランドおよび金融子会社含む)の純利益を2割前後も減らした。 メルセデス・ベンツとBMWに共通する要素は、中国とアメリカの間に勃発した貿易戦争により、アメリカ生産車両の中国における販売価格が急騰、消費が鈍化したことだ。両社ともSUV(スポーツ多目的車)の生産をアメリカ工場で行っていることから、これらの販売は大きな影響を受けた。BMWグループはアメリカから中国への自動車輸出額が2017年から2018年にかけて14%減り、営業利益に対する影響は2億7000万ユーロ(約340億円)に及ぶと明らかにした。 アウディに打撃を与えたのはディーゼル問題による、罰金8億ユーロ(約1000億円)を含む12億ユーロ(約1500億円)の特別損失だ。これを除けば売上高利益率は6.0%から7.9%に上昇したとアウディは表明している。さらに新燃費基準WLTPへの対応が遅れ、欧州市場で納車が滞ったことが販売面で足を引っ張った』、メルセデス・ベンツとBMWが、アメリカで生産したSUVを中国で販売していたのであれば、貿易戦争の影響をもろに食らった形だ。
・『2019年にはいわゆるブレグジットの影響も懸念される。BMWグループは、MINI(ミニ)の生産を今年4月のあいだ完全に休止するほか、「合意なき離脱」によりイギリスから欧州への輸出に高額な関税がかかる状況になれば、多額のコストを費やしてでも一部モデルの生産を欧州本土に戻すことも明らかにしている。 さらに4月5日に入ったニュースによれば、排ガス浄化システムの新技術導入をめぐってダイムラー、BMWグループ、VWグループ(アウディを含む)が談合していたとして、欧州委員会が大規模な罰金を課す可能性が高い情勢となっている。すでに声明を出したBMWグループのケースでは、罰金額は最大で10億ユーロ(約1250億円)を超え、昨年度7.2%だった利益率を1.0~1.5%ポイント程度下げるインパクトがあるそうだ。 こうした市場からの逆風に加えて、電動化技術や自動運転技術に対する投資が膨大になっている点を各メーカーがそろって口にしている』、「新技術導入」をめぐる「談合」とは、必要な話し合いもありそうだが、「大規模な罰金を課す」くらいであれば、やはり競争制限的だったのだろう。
・『構造改革とコスト削減で事態改善なるか  メルセデス・ベンツを持つダイムラーとBMWは自動運転技術の共同開発に関して提携を結び、モビリティ・サービスに関する合弁会社を設立することを明らかにしたが、ロイター通信が掲載した経済コラムのように、VWグループやテスラなど新興メーカーとの将来的な競争を考えれば、技術提携にとどまらず両社は経営統合まで真剣に考えるべきだという論も存在する。 自動車産業の平均からすれば依然高い利益率を確保しつつも、先行きに明るさが見えない中で、各社は構造改革とコスト削減で事態を改善しようとしている。 ダイムラーは2012年にわたりトップを務めてきたディーター・ツェッチェ氏が今年5月でついに退任し、開発担当取締役のオラ・ケレニウス氏にバトンを渡す。同時に、乗用車部門、商用車部門、モビリティ・サービスおよび金融部門を分社化し、ダイムラーが持ち株会社となる組織変更が実施される予定だ。 逆にBMWグループでは4月から、これまでBMWとミニ+ロールス・ロイスで別々に展開していた販売・マーケティング組織を統合した。20年前にイギリスのブランドをBMWが入手したときからの流れで、ミニとロールス・ロイスは本社だけでなく現地法人レベルでもBMWとはまったく別の販売・マーケティング・製品企画組織を構築していた。 しかし、そもそも同じ自動車ビジネスを展開するにあたって似たような組織を2つ持つのは非効率だし、BMWがミニと同じ前輪駆動プラットフォームに比重を置き始め、内部的な競合が問題となる中で、組織統合は長期的には効率改善につながるだろう。ただし、かつて日本で都市銀行が合併したときを思い起こすと、同様に合理化でポジションが減ることが、人事的に大きな摩擦を生むのは避けられそうにない。 こうした組織改革と、エンジンとトランスミッションの組み合わせの選択肢を減らすことを主体としたコストダウンで、BMWグループは2022年までに総額120億ユーロ(約1兆5000億円)の出費を削減する計画を発表した。アウディもコスト管理基準の見直しを主とする収益改善プログラムで150億ユーロ(約1兆9000億円)を捻出するとしている。 両社ともこれらの施策はポジティブなものだと強調しているが、実際にはコストダウンの影響は現場にさまざまな形で表れるだろう。 例えばトヨタ自動車はバブル崩壊後の1995年、カローラのバンパーを突如昔ながらの黒樹脂むき出しに替えて不興を買った。2008年のリーマン・ショックのときは、報道関係者に配る資料を上質紙から藁半紙に変えて、ホチキスの針さえ節約した。品質や性能だけでなく企業としての見栄えも重要なプレミアム・ブランドが、これからどういったコスト削減を行うのか気になるところだ』、ドイツのプレミアム・ブランド企業の場合はさらに人員削減に制約があるだけに、見物だ。
タグ:自動車 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 井元康一郎 (一般) (その2)(フォードが本拠の北米で「セダン」を捨てざるを得ない事情、日産に漂うホセ・ムニョスの亡霊 米中の不振続く、トヨタ「ガラパゴスHV」に危機感 電動化技術を開放、ベンツ BMW アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金 先進化対応など課題山積) 「フォードが本拠の北米で「セダン」を捨てざるを得ない事情」 アメリカの乗用車(セダン)市場から撤退 由緒ある米フォードがアメリカの乗用車(セダン)市場から撤退 「Tタイプ」 アメリカの乗用車市場でセダン需要が縮小し、SUVへのシフトが起こっている 乗用車とライトトラックの販売比率はおおむね27:73 背景にあるのは投資ファンドの意向!? 営業利益率は壊滅的に低い数値 マーク・フィールズCEO(最高経営責任者)が解任され、ジム・ハケットCEOが誕生 フォード会長は世界の自動車業界のなかでも最も早いタイミングで、リテール売り切り型ビジネスからカーシェアリング型ビジネスへの転換を提唱するなど、スタートアップ型の性格 自動車ビジネスにノスタルジーを感じない業界外の人物だったからこそ下せた決断 アメリカ市場では乗用車の収益性は極度に悪化 大幅値引き販売に頼らざるを得ない 救世主となっているのが乗用車ベースのSUV、さらにその上のライトトラック 高収益を目指すだけなら、「出来」のいい日本車やドイツ車などとの競合が厳しく、それらに勝ったとしても旨みが小さい乗用車を捨てて、そこに集中するというのは自然な選択でもあるのだ 本拠地で乗用車をやめることは“博打”のようなもの 自動車メーカーというものは、生産は世界各国に散りばめることは簡単にできても、研究開発はやはり“お膝元”の力がモノを言う。そこが乗用車をやらなくなれば、他の地域のモデルについても影響が出る可能性がある 正念場を迎えているデトロイト3 10%の賃金カットも表明 「日産に漂うホセ・ムニョスの亡霊 米中の不振続く」 米国では高水準の販売奨励金による「値引き」販売が収束せず 中国では新車販売台数が1月までに5カ月連続で前年同月比マイナス ホセ・ムニョス元CPO 4000ドル(44万円)以上 日産が米国で1台クルマが売れるごとに販売店に拠出した奨励金の平均値 の日本メーカーは多くて3000ドル強 「数値目標を達成することを求められ、目先の結果を優先 ブランド価値を高めていくという宿題がある 「トヨタ「ガラパゴスHV」に危機感、電動化技術を開放」 ハイブリッド車(HV)に関する約2万3740件の特許技術を無償開放すると発表 技術の「ガラパゴス化」によって優位性が薄れることへの危機感も ガラパゴス化に対する「反省があった」と寺師社長は認める 欧州では、従来のエンジン車の構造を流用しやすく、低コストで燃費を改善できる「マイルドハイブリッド」 と呼ばれる方式が電動車の新たな主流になりつつある 特許開放が「遅過ぎた」のではとの印象 真田 淳冬 「ベンツ、BMW、アウディに吹き始めた逆風の正体 米中貿易戦争、罰金、先進化対応など課題山積」 3ブランドともにグループの純利益が2割前後減 メルセデス・ベンツとBMWに共通する要素は、中国とアメリカの間に勃発した貿易戦争により、アメリカ生産車両の中国における販売価格が急騰、消費が鈍化 アウディに打撃を与えたのはディーゼル問題による、罰金8億ユーロ(約1000億円)を含む12億ユーロ(約1500億円)の特別損失 2019年にはいわゆるブレグジットの影響も懸念 排ガス浄化システムの新技術導入をめぐってダイムラー、BMWグループ、VWグループ(アウディを含む)が談合していたとして、欧州委員会が大規模な罰金を課す可能性が高い情勢 構造改革とコスト削減で事態改善なるか
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医薬品(製薬業)(日本の医薬産業はなぜ米国に勝てないのか メディシノバ・岩城裕一社長兼CEOに聞く、医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた、製薬業界でいま 「希望退職ドミノ」のなぜ 協和発酵キリンに続き エーザイ 鳥居薬品も) [産業動向]

今日は、医薬品(製薬業)(日本の医薬産業はなぜ米国に勝てないのか メディシノバ・岩城裕一社長兼CEOに聞く、医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた、製薬業界でいま 「希望退職ドミノ」のなぜ 協和発酵キリンに続き エーザイ 鳥居薬品も)を取上げよう。

先ずは、昨年10月11日付け東洋経済オンラインが掲載した「日本の医薬産業はなぜ米国に勝てないのか メディシノバ・岩城裕一社長兼CEOに聞く」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは岩城氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/239190
・『メディシノバ・インクはアメリカのカリフォルニア州に本社を置く創薬ベンチャー。日本のジャスダック、アメリカのナスダック双方に上場する一方、有効な治療法や医薬品開発が進んでいない難病などで一定以上の市場規模が見込める分野にターゲットをあて、医薬品開発を進めてきた。 同社ではここにきて、難病である「進行性多発性硬化症」や、今年3月になくなった英国の物理学博士、スティーブン・ホーキング博士もかかった「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の治療薬が実用化に向けて開発が進んでいる。同社を率いる岩城裕一社長兼CEO(最高経営責任者)はアメリカ永住も決意し、自ら創薬にも積極的にかかわる。日米の創薬環境の違いや新薬候補の開発動向について話を聞いた』、日米の創薬環境の違いを解説開発した企業に対する支援制度が厚いためです。たとえばアメリカでは、国内における患者数が20万人するのはもってこいの人物だ。
・『企業への新薬開発アドバイスが発端、自ら創業へ  Q:まずは改めて創業(2000年)の経緯についてお聞かせください。 A:「私はもともと大学卒業後に心臓血管外科医になりましたが、臨床以外の時間を移植免疫に関する研究に費やすようになり、アメリカに留学しました。以来、免疫抑制分野で多くの成果を挙げてきました。創業に至ったのは南カリフォルニア大学で臨床・研究を続けていた1998年、田辺製薬から新薬開発についてのアドバイスを求められたことが発端です。 結局、「意見するだけでは無責任」ということになり、専門の会社をつくって対応することにしたのです。もともと田辺とは「10億円ずつを2年間にわたって資金を拠出する」という約束を交わしていたので、才能のある人物を社長に据え、研究者も採用しました。 ところが、田辺の方針が変わり「申し訳ないが2年目のお金が出せない」と言われた。ここで考えられる選択肢は(1)会社を閉めること(2)第3者への身売り(3)自分で事業を継続する、の3つでしたが、(1)(2)は無責任だと思ったので、(3)を選択。ベンチャーキャピタルなどから資金を募って開発を進めてきたというわけです』、外科医出身で、アドバイスから自ら創業せざるを得なかったというのは、面白い経歴だ。
・『Q:メディシノバは、2005年2月に大証ヘラクレス(当時、現・東証ジャスダック)、2006年にはアメリカのナスダックに上場を果たしました。日米での新薬開発についての環境はどの程度違うのでしょうか。 A:本当に大きく違います。ひと言では言い尽くせませんが、ぜひ読者の皆さんにも知っていただきたいので、できるだけわかりやすく説明しましょう。 「典型的なのが、オーファンドラッグ(希少疾病医薬品)に対するスタンスの違いです。日本では、オーファンドラッグは、患者数が少なく治療法も確立していない疾病に対する医薬品ということもあり、採算の観点から敬遠されがちです。一方のアメリカはまったく違います』、アメリカにはどんな仕組みがあるのだろう。
・『難病に挑むオーファンドラッグこそ企業価値を生む  世界の医薬品業界の現状を見てください。アメリカではオーファンドラッグを手がけている企業こそ、売上高や株式の時価総額を伸ばしています。 たとえば、バイオベンチャーとして著名なアメリカのバイオジェン社の売上高に占めるオーファンドラッグの比率は約半分。また同じくバイオベンチャーから出発したセルジーン社のそれは8割にも達しています。オーファンドラッグとして開発され、認められた効能が、別の分野でも効能が確認されることで、医薬の価値が上がっていく好循環を生み出しているのです。ちなみに、日本の武田薬品工業が先日約7兆円をはたいて買収したシャイアー社(本社アイルランド)も、オーファンドラッグから出発しています。 ここまで対応が違うのは、特にアメリカは治療法がない病気を治す薬を開発した企業に対する支援制度が厚いためです。たとえばアメリカでは、国内における患者数が20万人未満の希少疾病について、安全で効果的と考えられる医薬品についてオーファンドラッグの指定を受けることができます。 もしこの指定を受けると、医薬品が将来FDA(米国食品医薬品局)から承認を受けた場合、7年間の排他的先発販売権が与えられ、税制面の優遇措置も受けられます。さらに疾患が命を脅かす恐れがある場合などには「ファストトラック(優先承認審査制度)」もあり、より迅速な開発が進められる状況が整っています。 キリスト教的な観点から「難病で苦しんでいる人を助けたい」「それをビジネスにしたい」など、幅広い観点からも新薬開発が進む状況にあるのがアメリカです』、「アメリカは治療法がない病気を治す薬を開発した企業に対する支援制度が厚い」というのはさすがだ。
・『Q:そんな中、今メディシノバでは、新薬の「MN―166」(開発コード)が進行性多発硬化症やALS治療薬として注目を集めています。 A:まずは、進行性多発性硬化症からお話をしましょう。多発性硬化症とは脳やせき髄、視神経に病巣ができることで、脳から全身への指令が適切に伝わらなくなる疾患で、歩行や視覚、知力などさまざまな身体機能の障害が出る。今のところ原因はわかっていません。発症した後は寛解(症状が治まる)と再発を繰り返すのですが、症状が徐々に進行していくのが進行型(2次進行型)で、寛解を経ずに始めから体の機能障害が進む1次進行型もあります。 メディシノバでは元々は日本の製薬メーカーと抗炎症薬として開発をしてきました。つまり「中枢神経増殖因子」として注目されていたのですが、欧米の企業から「多発性硬化症治療薬の候補になるのでは?」と興味を持ってもらったのです。 実は、この病気は日本では患者数が1万人程度と少ないのですが、欧州、米国には各40万人の患者がいます。特に30~40歳代の女性に多いのです。また、日本では「再発寛解型で有望視されたが、海外の治験では進行型に効果があることがわかりました。すでに「脳の萎縮が縮小した」との素晴らしい報告も寄せられています。 学会の雑誌にも掲載され、NIH(米国立衛生研究所)やニューロネクスト(新しい治療法を支援する公的機関)といった公の機関からも高い評価を受けています。すでに、今年4月に公開されたアメリカ神経学会のデータ発表では「フェーズ2b治験」で統計学的な優位性が認められたとおり、「フェーズ2」は完了しました』、「抗炎症薬として開発をしてきました」が、「欧米の企業から「多発性硬化症治療薬の候補になるのでは?」と興味を持ってもらったのです」と薬の用途は、ひょんなところから広がることを再認識させられた。
・『Q:ALS領域でも注目を集めていますね。 A:ALS(筋萎縮性側索硬化症)についても説明しましょう。ALSとは、脳や脊椎の神経細胞にダメージを及ぼす進行性の神経変異疾患です。このダメージにより、特定の筋肉への指令が届かなくなり、筋力が萎縮し弱まっていきます。 病状は徐々に悪化し、全身の運動麻痺に至り、人工呼吸器などの補助が必要になります。診断されてからの生存期間は3~5年程度ともされています。今年3月に亡くなった英国の物理学者、スティーブン・ホーキング博士も長期間この病気を患っていたことはあまりにも有名です。 このALSでは現在、既存薬である『リルゾール』との併用で臨床試験を行っています。患者さんが既存薬の投与を止めるわけにもいかないので、併用という手法になっている面もありますが、良好な安全性、効果が認められています。将来的には単独での治験も行っていきたいと考えています』、ホーキング博士は奇跡的に長生きできたが、この薬が出来ていれば、さらに長生きできたのかも知れない。
・『「MN―166」の販売時期はどうなるのか?  Q:具体的にMN―166の上市(販売開始)の時期については? A:ALS領域でもやはりフェーズ2(臨床試験の第2段階)が終了した。フェーズ3(臨床最終試験)については、FDAと協議中です。 安全性はこれまでも認められてきており、ここからあまり時間は多くかからないと考えています。一方、進行性多発性硬化症領域では、あらかじめ決められている臨床試験などのルールにより、もう少し多くの時間が必要になります。 (9月25日付のプレスリリースではFDAからポジティブなフィードバックを受領したと発表。それによると、次の治験1回で十分で有り、それ以上追加の治験は必要ない可能性があるとされるほか、現時点では安全性に問題は認められないなどと評価されている。また上市申請に対してFDAはサポートを行う用意があるとされている )。 とにかく「一刻も早く患者さんに届けたい」と、私はいつも模索しています。今後を考えると開発パートナーの企業などがいたほうが、治験が一段と速やかに進むとは思いますが、単独でも今ある資金で行うことができています。 いずれにせよ、どんな形でも、MN―166で1つ認められれば、次の道(領域の拡大)が開けると思います。こういうたとえが適当かどうかはわかりませんが、競馬にたとえれば、最終コーナーをまわり、ホームストレッチ(最後の直線)に入ってきたところです。ゴールがどういう景色か、わかるところまで来たと考えています。 Q:新薬開発に関しては、日米の制度面や当局の意識の差だけでなく、その他にもさまざまな違いがありそうです。 A:やはり、医薬へのスタンスがまったく違います。たとえば、アメリカでは患者がFDAに相談することができるなど、薬のニーズを現場の最前線からとらえられる体制になっています。他の業界もそうですが、アメリカではFDAの職員が製薬企業の出身だったりして、現場感覚がとても優れています。 またさきほども少し申し上げましたが、有望な新薬には公的な支援があります。実は、当社もさきほどのMN―166(ALSでオーファンドラッグ指定を受けている)では、13のプロジェクトで公的資金を獲得しています。「ALS領域で効果があるはずだ」と思っても資金が足りないとき、このように資金の出し手がいることは本当に心強い限りです。 一方、こうした環境が日本でも実現されたらと願いますが、そう簡単ではありません。よく言われるように、たとえ海外で臨床試験が進んだ医薬開発品でも、日本の当局に相談すると「最初の段階から(治験を)やってください」と言われてがっかりすることが大半です。一方で、「海外ですでに発売された薬なら、日本国内でもそのまま承認できる」といいます。 これでは、いつまでたっても日本で画期的な創薬ができる環境が整いません。最近は規制緩和が行われつつありますが、トップは積極的でも現場レベルでは必ずしもそうではありません。このままでは日本の製薬業界の将来が大変心配です。当局、企業だけではありません。大学も似たようなものです。 もし日本の大学の薬学部に入学しても、前臨床と臨床試験といった創薬の過程はほとんど勉強しません。製薬企業に入ってもCRO(臨床試験支援企業)に丸投げのケースもある。「この国の医薬産業の未来は本当に大丈夫か」と言いたくもなります』、日本では、当局、製薬企業、大学いずれもが大きな問題を抱えているというのは、困ったことだ。
・『日本は短期値上がり目的が主体、投資家層が薄い  Q:マーケットの環境もかなり違います。 A:2005年に続き、2006年にはナスダック上場も果たしましたが、これは日本では公募増資での資金調達が事実上困難だと思ったからです。 日本では企業が公募増資をすると、どうしても希薄化に嫌気されて、株価が下落するケースが大半です。これは他の上場バイオベンチャー企業も当時から苦労していることです。 一方、アメリカではこれまでに4回、公募による資金調達を実施できました。そもそもアメリカではバイオベンチャーに対する投資姿勢が確立されているだけでなく、キャップ(時価総額)に応じた資金の出し手もしっかり存在しています。 日本ではバイオベンチャーの投資を行うのは短期値上がり目的の個人投資家ばかりで、残念ながら、投資家層が薄いと感じています。「日本でIPO(新規上場)したい」という外国企業もあるとは思いますが、今のままなら、彼らは(市場が成熟している)上海市場や香港市場を選択するのではないでしょうか』、日本ではさらに「投資家層が薄い」という問題まで抱えているのでは、解決は残念ながら容易ではなさそうだ。

次に、医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏が2月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/263058
・『1月15日、「マネーデータベース『製薬企業と医師』」が公開となった。これはワセダクロニクルと、私が主宰する医療ガバナンス研究所が共同で立ち上げたものだ。2019年1月23日現在、アクセスは90万件を超える。 このデータベースを使えば、2016年度に医師(医者)個人が、どのような製薬会社から、どのような名目で、どれだけの資金を受け取っていたかがわかる。 例えば、2016年当時に日本内科学会理事長を務めていた門脇孝(かどわき たかし)/東京大学糖尿病・代謝内科教授(当時)の場合、86回の講演会謝金などの名目で15社から総額1163万6265円を受け取っていた。会社別で最も多かったのは武田薬品工業で255万7076円だった』、こんなデータベースが出来て公開されていたとは初めて知った。ちなみにリンクは下記である。
http://db.wasedachronicle.org/about/
・『異常に低い日本の製薬市場の成長率  このデータベースを公開するに先立ち、われわれはいくつかの調査研究を行い、その結果をトップページに掲載した。 「全製薬会社別 支払額ランキング」だ。多い順に挙げていこう。 第一三共20億1500万円 中外製薬11億8282万円 田辺三菱製薬11億7100万円 武田薬品11億6160万円 大塚製薬11億4541万円 とくにトップ3は国内での売り上げ比率が高い。2016年度の連結売上高に占める国内の医療用医薬品の割合は、第一三共60%、中外製薬77%、田辺三菱製薬74%だ。 高齢化が進む先進国で、製薬業は成長が期待できる有望分野だ。その例外が日本である。日本の製薬市場の成長率は約2%。アメリカの7.3%はもちろん、先進国平均の6.2%を大きく下回る。 政府の薬価抑制は、今後も続く。日本の製薬会社が生き残るには、高い成長率の期待できるアメリカ、あるいは中国を含めた新興国に進出せざるをえない。そのためには新薬を独力で開発するか、外部から調達する必要に迫られる。武田薬品がアイルランドの製薬会社シャイアーを約6兆円で買収したのは、このような背景があるからだ。 ちなみに、2016年度、武田薬品の連結売上に占める日本の割合は29%で、アメリカ30%より少ない。欧州は16%、アジアは6%だ。今回の買収で、「武田はもはや日本の企業ではない」(日系製薬会社社員)というのが製薬業界の共通した見解だ。 海外で売れる新薬がない製薬会社は日本の市場を取り合うしかない。降圧剤であれ、糖尿病治療薬であれ、各社、同じような薬を売っている。売り上げに効くのは医師に対する営業だ。 製薬会社が売り上げを増やすためには、医師に金品を提供することは有効な策の1つだ。これはわが国だけの現象ではない。2016年8月にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちは、20ドル以下の弁当でも、製薬会社から受け取った医師は、その製薬会社が販売する医薬品を処方する傾向があったという研究成果を報告している。 製薬会社から医師への利益供与で、弁当は最も些細なものの1つだ。やはり、いちばん効くのは金だ。 製薬会社から、大学や病院ではなく、医師個人に金を渡す方法は3つある。まず、講演料やコンサルタント料として支払う方法、2つめが、自社の記事広告に出演などの形でメディアを介して支払う方法、そして、NPOや財団など第三者機関への寄付金だ。今回、私たちが作成したデータベースで、明らかになったのは講演料やコンサルタント料として支払った金だけで、氷山の一角である。知人の製薬会社社員は「講演料と同等か、あるいはそれ以上の金をほかの方法で支払っています」という。 このように、われわれの調査には限界がある。メディアやNPOなどを迂回させる方法は、金の流れを隠蔽させる意図があるものもあり悪質なケースの可能性が高い。ただ、それでも、今回の調査からは、さまざまなことが分かってきた』、「講演料やコンサルタント料として支払った金」だけでも公開された意義は大きい。
・『では、製薬会社は、どのような医師に金を支払っているのだろうか。 今回、データベースを公開するにあたり、「主要20学会別 理事平均受領額ランキング」も提示した。多い順に挙げてみよう。 日本内科学会605万6879円 日本泌尿器科学会499万9549円 日本皮膚科学会457万8681円 日本眼科学会251万2485円 日本精神神経学会198万6443円 一方、製薬会社からの金が少ないランキングも見てみよう。 日本形成外科学会38万7741円 日本プライマリ・ケア連合学会41万2058円 日本臨床検査学会57万4266円 日本麻酔科学会61万9422円 日本病理学会62万4098円 日本救急医学会63万4990円 製薬会社と密接な学会ほど利益提供が多い トップの日本内科学会と最下位の日本形成外科学会では15.6倍の差がある。新薬を使う機会が多いか少ないかで、製薬会社との付き合いは学会によって随分と違う。 製薬会社との距離が近い学会は、製薬会社の影響を避けられない。例えば、学会は各種診療ガイドラインを作成する。その作成者に、これだけの金が流れている。 2012年に社会問題となったノバルティスファーマの降圧剤論文不正事件(ディオバン事件)では、日本高血圧学会の理事に同社から巨額の金が流れていたことが分かっている。彼らの中には論文データを改ざんし、ノバルティス社が販売するディオバンの使用を促していた大学教授もいる。情報開示が進んでいたとしたら、ここまで「暴走」できただろうか。 日本専門医機構の理事長は寺本民生・帝京大学特任教授。専門は高血圧や高脂血症だ。2009~2013年まで日本内科学会理事長も務めた。学会の大物でもある。2016年度、15社から76件の講演などを引き受け、総額1096万6524円を受け取っていた。日本専門医機構と製薬会社の「親密」な関係がわかる。このような分析も、今回のデータベースができて可能となった。 厚労省は、この問題を重視している。医薬品の承認に関わる審議会の規定では、「審議品目の申請者等又は競合企業からの寄付金・契約金等の金額」について、500万円を超える年度がある場合には、「当該品目の審議又は議決中、審議会場から退室」、50万円を超え500万円以下の場合には、「分科会等への出席し意見を述べることができる。審議品目についての議決には加わらない」と規定されている。至極、妥当な基準だ。 もし、この基準を日本内科学会に応用すれば、学会の理事たちは、多くの診療ガイドラインの議決に参加できないことになる』、厚労省はせっかく作った「基準」を厳格運用すべきだろう。
・『2016年当時、日本内科学会理事長を務めていた前出の門脇孝氏の場合、武田薬品、MSD、ノボノルディスクファーマ、アストラゼネカ、日本ベーリンガーインゲルハイム、アステラス製薬、田辺三菱、日本イーライリリー、小野薬品の9社から50万円以上の金を受け取っていた。 彼の専門は糖尿病だ。わが国で糖尿病治療薬を販売するのは約30社。このうち15社から金を受け取り、そのうち9社の金額は50万円以上と大きい。門脇氏の判断に、このような金が影響したかはわからない。ただ、少なくともこうした金の受け取りの情報は開示されるべきだ。そして、誰もが解析できるようにデータベースが整備されなければならない。これこそ、われわれが、データベースを作成し、公開した理由だ。 医師と製薬会社の関係についての情報開示は世界中で議論が進んでいる。わが国だけで問題となっている訳ではない。 嚆矢(こうし)は2010年にアメリカで制定されたサンシャイン法だ。アメリカ連邦政府が所管し、公的保険であるメディケア、メディケイドが管理するホームページにアクセスすれば、医師の名前を入力するだけで、製薬会社から受け取った金の総額、関連企業の株の所持といった情報を簡単に確認できる。データの二次利用も簡便で、その解析により、多くの学術論文が発表されている』、やはりアメリカの情報公開は進んでいるようだ。日本も早急にキャッチアップすべきだろう。
・『日本の製薬会社は情報公開を制限している  ところが、日本の状況は違う。ディオバン事件を受けて、日本製薬工業連合会は2013年から医師への支払いについて公開するようになった。しかしながら、それは形だけだった。というのも、一般人が利用できないように策を弄したからだ。 例えば、第一三共の場合、提供する医師名・施設名・金額の情報は「画像」情報で、テキストとして処理できない。これでは解析できない。 われわれは、このような「画像」をOCRで読み取り、1つずつ間違いがないか確認した。この作業には、のべ3000時間を要し、主にアルバイトの人件費として約400万円を費やした。 また、データを閲覧するに際しては、「本ウェブサイトに記載された内容を無断で転載・転用すること」を禁じており、違反が認められた場合には「情報提供の制限・その他の措置をとらせていただく場合があります」と警告していた。これは透明性向上の主旨に反する。この記述を知ったアメリカの医師は「アメリカではありえない。なんのための公開かわからない」とコメントした。 この状況に、われわれは問題意識を抱いた。だからこそ、データベースを作成し、公開した。まだ不十分な点もあるが、研究に資するデータベースになったと考えている。 このデータベースは無料で、誰でも利用できる。論文発表や記事作成に際して、誰の許可をとる必要もない。論文・記事を書いてもらって結構だ。 本来、このデータベースは日本製薬工業協会が音頭をとって、製薬会社自らが立ち上げるべきものだろう。ぜひ、2017年度分から始めてもらいたい。ただ、現在、そのような動きは聞こえてこない。その場合、われわれは次もやるつもりだ。蟷螂の斧かもしれないが、少しでも情報開示を進め、わが国の医療のレベルが向上することを願っている』、日本の製薬会社が公開したのは、「「画像」情報で、テキストとして処理できない」とは、何と小賢しい手段を弄したものだ。一刻も早く本来の趣旨に則った情報公開が進んでほしいものだ。

第三に、3月4日付け東洋経済オンライン「製薬業界でいま、「希望退職ドミノ」のなぜ 協和発酵キリンに続き、エーザイ、鳥居薬品も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/267825
・『製薬業界で社員リストラの動きが激しくなっている。今年2月、医薬品メーカー準大手の協和発酵キリンと中堅の鳥居薬品がそれぞれ希望退職の募集を発表した。 協和発酵キリンは全社員4000人の約4割、1600人を対象に希望退職を募る。募集期間は3月11日~3月28日で、対象は45歳以上かつ勤続5年以上の社員。募集人数の枠は設けない。 鳥居薬品は、製造・物流部門を除く全社員を対象に希望退職を募集する。コーポレート・営業部門は勤続2年以上、製造・物流を除く技術部門は50歳以上かつ勤続2年以上が対象で、4月15日~5月31日まで募集する。退社は9月末の予定だ』、製薬業界は規制に守られ「左うちわ」と思っていたら、真逆のようだ。
・『鳥居薬品は社員3人のうち1人を削減方針  鳥居薬品は、定年退職後の再雇用社員や契約社員などでも「契約再調整等を実施する」としている。要するに、シニア社員や契約社員も含めてリストラを実施するということだ。 鳥居薬品は、募集人数の枠を設けないと説明している。しかし、「事実上の募集枠」は存在する。正社員約1080人、非正規社員を含めて鳥居薬品の全社員数は約1200人。2月6日に開催した2018年12月期決算会見で、同社は新しい中期経営計画(2019年度~2021年度)の概要を発表し、その中で「社員800人体制がその前提である」と明言したのだ。つまり、400人の「首切り」が経営の前提条件であることを強く示唆している。 3人のうち1人が職場を去らないといけない苦境に、鳥居薬品はなぜ置かれているのか。それは、米ギリアド・サイエンシズの抗HIV薬の国内独占販売権を2019年初めに召し上げられたためだ。売上高にして214億円相当。2018年度の同社全体の売上高の約3分の1が一気に消滅してしまうわけで、2019年度の営業損益は前期の49億円の黒字から32億円の赤字に沈む見込みだ。 1つの薬の研究に着手してから、開発・発売にこぎ着けるまで、優に10年以上かかるのが製薬ビジネスだ。取り上げられた売上高210億円をすぐに埋められるわけでもない。鳥居薬品は新しい中計が終わる2022年度に買収や新規導入品の獲得費用などを除く営業損益を黒字化する目標を掲げているが、大前提にあるのは大規模な人員リストラの実行だ。 新中計では、人員リストラ以外にも支店・組織の再編や統合、特許が切れて後発薬が参入し、収益が厳しくなっている先発薬(長期収載品)の売却、親会社であるJTへの研究機能の移転統合、他社からの開発品の導入などさまざまなコスト削減と収益改善策を掲げている。 コーポレート・営業部門では年齢に関係になく、わずか勤続2年の社員まで希望退職の対象になっているのも、同社の逼迫した事情を示している。裏を返すと、こうした努力をしても、2021年度までの営業黒字化は容易ではないということだ。 柱となるフランチャイズ(製品群)が丸ごと消えてなくなる鳥居薬品はレアケースだが、むしろいま製薬業界でトレンドとなりつつあるのは、経営環境的には良好とみえる大手メーカーで希望退職を募る、協和発酵キリンやエーザイのようなケースだ』、「大手メーカーで希望退職を募る」というのには驚かされた。
・『エーザイ、大正製薬も希望退職を募集  製薬大手のエーザイは2018年10月に45歳以上かつ勤続5年以上の本社社員を対象に希望退職を募集すると発表。12月までに約300人の応募があった。今回は100人の応募人数枠に対して3倍となり、会社の見込みを大きく上回ったが、2019年度、2020年度も希望退職を募るという。 2018年5月にはOTC医薬品(一般用医薬品)販売最大手の大正製薬ホールディングスが希望退職を募集した。ふたを開けてみれば大正製薬本体と販売子会社・大正富山医薬品の募集対象者の実に3割にあたる948人が応じ、製薬業界に大きな衝撃を与えた。 3社とも足元の業績は堅調で、いまここで希望退職を募る必然性があるとは見えない。ではなぜ、あえて希望退職募集に踏み切るのか。 これを解くヒントは、各社トップの発言に隠れている。 協和発酵キリンの宮本昌志社長は「グローバル製薬企業として変革しなければならない時期にある。社員一人ひとりも変革に挑む必要がある」と発言している。2018年度で32%の海外売上比率を、2020年度には50%に拡大するのが中期目標だ。そのためには一層のグローバル化に舵を切る必要があるが、そうした変革の流れに合わない社員とはたもとを分かつことも辞さないということだろう。 「社員に新しい機会を追求してもらおうと思った」。エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOはこう話したうえで、デジタル時代に製薬会社でも必要になる、データサイエンティストのような人材を積極的に採用する意向を明らかにしている。つまり、社員数の削減というよりは、企業変革のために必要な人材の「質的転換」だ。両社のようにはっきり言わないまでも、業績堅調な製薬メーカーがあえてこの時期に希望退職に踏み切るのは似たような事情があるからだろう。 さらに製薬各社がリストラを急ぐ背景には、各社が置かれた固有の厳しい事情がある』、「企業変革のために必要な人材の「質的転換」」を迫られているとは、業界環境の厳しさを再認識した。
・『メガファーマ化の波に乗り遅れる日本勢  1つは日本市場が中長期的に縮小する可能性がある点。厚生労働省は薬価制度を抜本改革し、2018年度から実施に移している。少子高齢化や技術進歩に伴う医薬品の高額化などを主因とする医療財政の逼迫を背景に、薬価を削るのがそのポイントだ。製薬各社にしてみれば、国から「苦い劇薬」を無理矢理飲まされたというのが実態だ。 アメリカの調査機関IQVIAの調査では、2018年の日本の医薬品市場規模は1.7%減と2年連続で減少した。2023年までの中期見通しでも、アメリカやEUなど先進市場で日本が唯一のマイナス成長になるという見通しを発表している。また、外資系メーカーも同様だが、創薬手法の高度化・変革の波が押し寄せていることも、日本の製薬企業には大きな課題になっている。 発売にこぎ着けるまでの薬の成功確率が2万5000~3万分の1となり、薬1つの開発費用は2800億円に拡大しているといわれる製薬業界。開発対象の疾患はアルツハイマー病といった希少疾患やがんなど、ますます難しいものになり、標的となる薬のタネも枯渇しているという声もある。1990年代には、日本企業が得意な低分子化合物から高分子バイオ抗体などに創薬手法のトレンドが大きく変化した。当時と同じ状況がいま生まれつつある。 当時、欧米各社は合併を繰り返し、メガファーマ(巨大製薬企業)化したが、日本の製薬各社はそうした動きに大きく後れをとった。創薬技術が変化し、低分子化合物と高分子(抗体)の両方の研究を同時に遂行するために巨額の資金が必要になるのに、日本企業がその資金を賄い切れなかったのも、メガファーマに大きく後れをとった一因だ。 国内首位の武田薬品工業が欧州製薬大手シャイアーを6兆円超で買収したのも、日本の製薬企業の過去の反省を踏まえた動きといえる。エーザイもアメリカのバイオジェンやメルクと重点疾患分野での共同開発・商業化の過去にない大型提携を打ち出し、グローバル競争という荒波に漕ぎだそうとしている。 武田ではシャイアー買収に先立ち、希望退職という言い方ではないが、すでに大幅に人員を削減している。典型例が旧湘南研究所(現・湘南ヘルスイノベーションパーク)だ。最盛期に1200人いた社員は2017年3月末には1000人に、2018年3月末には522人へ急減した。研究機能の一部を外部へ売却、社内部門を独立化させて本体から切り離し、研究開発に携わる社員を中心に本体の社員数を大幅にスリム化している。 第一三共も同じような手法を採った。大阪の高槻工場(子会社)を化学メーカーで医薬品事業育成を進める太陽ホールディングスに今年10月に売却する。工場の社員約340人は、原則として太陽ホールディングスに転籍する見通しだ』、「メガファーマ化の波に乗り遅れる日本勢」というのは、それまでの無策のツケだろう。
・『外資系も日本拠点の人員を削減  日本市場縮小の影響は外資系製薬大手とて免れない。2018年にはベーリンガーインゲルハイム、ノボ・ノルディクス、サノフィなどで日本拠点の人員削減の動きが明らかになった。 現在、大手・準大手にとどまる人員削減の動きは、今後は中堅以下の新薬、後発薬メーカーに広がるのは必至だろう。薬価制度の抜本改革で、長期収載品の薬価を後発薬並みに引き下げる新ルールが導入された。長期収載品への収益依存度が高い中堅以下の新薬メーカーにはボディブローとして効いてくる。 後発薬メーカーも安閑としていられない。2020年9月までに数量ベースで80%に引き上げる後発薬普及目標の期限まで残り1年半に迫り、成長鈍化は避けられない。2020年9月以降は後発薬の価格が下がり、市場が縮小に転じて、近い将来、後発薬メーカーの再編も避けて通れないだろう。 業績は安定し、とくに大手の給与水準も高く、倒産の恐れもほぼないといわれた製薬会社の姿はすでに過去のものになった。製薬会社にも本格的な寒風が吹き始めようとしている』、医療費削減のための薬価切り下げは、今後も続く以上、「本格的な寒風」は不可避のようだ。
タグ:医薬品 東洋経済オンライン 上 昌広 製薬業 (日本の医薬産業はなぜ米国に勝てないのか メディシノバ・岩城裕一社長兼CEOに聞く、医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた、製薬業界でいま 「希望退職ドミノ」のなぜ 協和発酵キリンに続き エーザイ 鳥居薬品も) 「日本の医薬産業はなぜ米国に勝てないのか メディシノバ・岩城裕一社長兼CEOに聞く」 企業への新薬開発アドバイスが発端、自ら創業へ 難病に挑むオーファンドラッグこそ企業価値を生む 「MN―166」の販売時期はどうなるのか? 日本は短期値上がり目的が主体、投資家層が薄い 「医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた」 マネーデータベース『製薬企業と医師』」 異常に低い日本の製薬市場の成長率 今回、私たちが作成したデータベースで、明らかになったのは講演料やコンサルタント料として支払った金だけで、氷山の一角 アメリカで制定されたサンシャイン法 日本の製薬会社は情報公開を制限している 「製薬業界でいま、「希望退職ドミノ」のなぜ 協和発酵キリンに続き、エーザイ、鳥居薬品も」 鳥居薬品は社員3人のうち1人を削減方針 エーザイ、大正製薬も希望退職を募集 メガファーマ化の波に乗り遅れる日本勢 外資系も日本拠点の人員を削減 製薬会社にも本格的な寒風が吹き始めようとしている
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フェイスブック問題(その2)(フェイスブックが「偽情報拡散」のツケを払う日 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 前編、米中間選でも偽情報拡散の脅威  新規制が必要に 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 後編、フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速 データ保護規制が逆風) [産業動向]

フェイスブック問題については、昨年5月16日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(フェイスブックが「偽情報拡散」のツケを払う日 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 前編、米中間選でも偽情報拡散の脅威  新規制が必要に 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 後編、フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速 データ保護規制が逆風)である。なお、タイトルから「データ流出」はカットした。

先ずは、在ロンドンのフリーテレビディレクター、伏見 香名子氏が昨年11月2日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「フェイスブックが「偽情報拡散」のツケを払う日 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 前編」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/100500021/102900026/?P=1
・『デジタル広告が、政治や社会の行方を歪めるー国民投票でEU(欧州連合)離脱を決めた英国で、こんな論争が巻き起こっている。2年前の、英国の国民投票と、米大統領選挙におけるロシアの介入疑惑はしばしば報じられているが、具体的に何が起きたのか、未だ日本ではあまり知られていないのではないか。 これは、国民投票の際、離脱派公式団体「Vote Leave」が、SNS(交流サイト)などで使用したCMだ。 https://www.youtube.com/watch?v=AFqmeptq0AU 労働者階級の白人男性2人がパブで、当時開催されていた、サッカー欧州選手権を観戦している。試合結果を全て正確に当てれば、5000万ポンドもの賞金を得られる、と言うキャンペーンCMだ。 一見、スポーツくじのCMにも見える動画の内容をよく聞くと、労働者の2人はサッカーの話をしていると装いつつ「5000万ポンド?それは毎日英国がEUに渡している金額と同じだ」「トルコやアルバニアもEUに入るんだろう?」「欧州議員は年間、7万5000ポンドも稼ぎ、4万5000ポンドも経費が使えるんだ」と、さりげなくEU批判を展開している。 この中の「トルコのEU加盟」は明白な誤情報だが、繰り返しこのCMを流された有権者のどれだけが、真偽のほどを確認しただろうか。 デマの拡散だけでも大問題だが、実はこのCMにはもう一つ隠された目的が存在した。それは、このキャンペーンに参加した「白人・労働者階級の男性有権者」を特定し、離脱派に投票させることだった。 5000万ポンドもの賞金を獲得するには、キャンペーンサイトで、まず欧州選手権の試合結果予測を記入する。そして、氏名、住所、メールアドレスなどと共に、国民投票でどちらの陣営に投票するかも答える。 離脱派はこの個人情報満載のデータを基に、通常は政治に関心を示さず、投票させることが難しい層に食い込んだのだという。その目的は、当然ながら「標的」に明らかにされてはいない。 こうしたデータを基に、テレビや広告板など、公の場では見えないSNS上で、人々が個人的に大切に思う事象について、なんら審査も規制も受けず、投票を左右するようなデジタル広告が「標的」に流された、というのが疑惑の概要だ。 一国の行方を占う選挙や国民投票で、このようなデジタル戦略が許されるのか。英国でこの倫理性を問い、問題の全容解明に動いたのは、英下院・超党派議員11人で作られた、デジタル・文化・メディア・スポーツ(DCMS)特別委員会だ。 この問題に関連し、フェイスブック(以下FB)から不正に個人情報を取得していたケンブリッジ・アナリティカ社(以下CA社、のちに破産)の内部告発者を招いたヒアリングは、議会史上最多の視聴者を記録したという。 一方で、問題の渦中にあるFBのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、度重なる委員会の招致にも関わらず、本人が出席し、証言することを拒み続けた。委員会は10月31日、11月27日にカナダ議会と合同で行われるヒアリングに、再度ザッカーバーグ氏の出席を要請した。要請文にはザッカーバーグ氏に対し、「あなたの証言は遅すぎ、急を要する」「この歴史的な機会に両議会に対し、FBがどのようにして偽情報の拡散を止め、ユーザーのデータ保護に挑むのか、説明すべきだ」と強い文言が並んだ。 文書を作成したのは、特別委員会のデーミアン・コリンズ委員長だ。政治家、そして英与党議員としてこの問題に一石を投じ、一躍時の人となったコリンズ委員長に先月、この問題の危険性と、今後の取り組みを聞いた』、英国の議員が難しい問題に積極的に取り組んでいることに、さすがとうらやましく感じた。強い出席要請を断ったザッカーバーグ氏も恐れをなしたのだろう。
・『人々には本物と偽物のニュースの違いが分からない  Q:インターネットと民主主義をめぐる問題に取り組み始めたきっかけを教えてください。 コリンズ委員長:私が委員長を務める特別委員会がフェイクニュースについて最初の調査を始めたのは2017年のことです。当初、私たちは主に、(2016年の)米大統領選に関する研究に非常に興味を持っていました。大統領選に関連したフェイクニュースの規模は、膨大でした。 FB上では偽ニュースの方が、本物のニュースの上位20位の記事よりも読まれており、後者の読者はかなり少数でした。また、英国の放送局などが行なった研究では、多くの人たちが、本物と偽ニュースの区別をつけることが困難だということがわかりました。 偽ニュースは、あたかも本物であるかのように装っていたのです。私たちが懸念したのは、SNSとテクノロジーの躍進によって、報道には大きな視聴者・読者層ができましたが、反面、人々には本物と偽物の違いがわからないということ。そして、このことが選挙において及ぼす、民主主義への影響です。その時点で、多岐にわたる問題を調査し始めました。 Q:そして、この過程でCA社のスキャンダル・・・が明るみになったのですね。 コリンズ委員長:そうです。調査開始時には、これはコンテンツの問題だと捉えていました。フェイクニュースや「悪いコンテンツ」を含む、偽情報です。こうしたコンテンツをどう見極めるか、そして、IT企業はこうした悪いコンテンツにどう対抗すべきなのか、ということでした。 調査が進むに連れて明白になったのは、問題の一部はコンテンツだが、データを利用した「ターゲティング」(顧客層の標的設定)も問題だ、ということです。有権者の投票活動に影響を及ぼそうとする偽情報の拡散は、有機的に行われたものではありませんでした。有権者のデータ・プロファイリングを用い、具体的な情報をもとに標的を定め、拡散されたのです。 標的となったほとんどの有権者は、自らが標的にされたことを知りません。誰が自分を標的にしているのかも、わかりません。コンテンツを目の当たりにしても、それが一体どこから流れてきたのかも知り得ません。 CA社に類似する企業の問題に取り組み始めた頃は、こうしたデータ・セットはどう構築されたのか、データはどう利用されたのかをまず理解する必要がありました。そして、英国などの国で、データ保護法が順守されているのか、という点にも着目しました。 Q:今年3月、この問題が明るになった頃は大騒動となりましたが、ご自身はまずどのように感じましたか? コリンズ委員長:人々は2つのことにショックを受けたと思います。まず、人々はオンライン上、自分の「データの足跡」が残っていることを知っていたとしても、実際どれ程自分に関する情報が集められていたか、知らなかったと思います。 また、FBを見ていない時でも、人々の行動に関する情報がFBによって集められていたことや、アンドロイド(グーグルの基本ソフト)を使った携帯を持っている人は、FBのアプリがその人の通話やメッセージ履歴を全て記録しているなどとは知らなかったでしょう。 その上、FBが匿名のデータを研究者、開発者に共有し、ツール開発に役立てていたなどとは知らなかったと思います。CA社のような会社がサード・パーティの開発者を通じてユーザー・データを得て、それを自分たちのターゲット・広告に使ったこと。そして、そのデータを保存し続けたこと。入手したデータから構築された情報を使って、(政治的な)キャンペーンに役立てていたことなどです。 人々はそんなことが起きているとは、理解していませんでした。CA社の事件が公になり、社の倫理性が問われました。特に、幹部がおとり取材(チャンネル4ニュース)で話したような内容です。 IT企業が無断で人々の情報を得ていたのみならず、人々が、個人情報を絶対に共有したくない(CAのような)会社に流していた、などと言うことです。CA社をめぐるこうした騒動により、世界的にこの問題が注目されたと思います』、「FBを見ていない時でも、人々の行動に関する情報がFBによって集められていたことや、アンドロイド(グーグルの基本ソフト)を使った携帯を持っている人は、FBのアプリがその人の通話やメッセージ履歴を全て記録している」というのは初耳で、ここまでやっているのかと驚かされた。
・『データによって「支援者は誰か」を予測できる  Q:具体的にはどんなことが起きたのですか? コリンズ委員長:CA社はデータ・アナリティクスとデータ・ターゲティング・ツールを使います。選挙において、人々を標的にするために使うのです。世界中のビジネスが常にこの手法を使いますし、FBなどのサイト上でFBのために情報を集め、それを広告業者に売る広告ツールが使用されています。こうしたものは、標準的なツールです。 CA社の活動が問題になったのは、FBの規約に違反していたからです。ユーザーのデータを収集し、ユーザーだけではなく、ユーザーの友人のデータも収集していました。 このデータは、オンライン上のアンケートを利用してデータを収集していた、ケンブリッジ大学の研究者から取得したものです。当時のFBの規約では、学者がこうした研究を行うことは適正でした。しかし、やってはいけなかったのは、そのデータを第三者に売却することでした。 CAはこうした第三者の学者、開発者らと共にデータ収集を行い、このデータをターゲット・広告に使用したのです。当時、なぜ(このデータに)価値が置かれたかといえば、オンライン上の人々の心理プロファイリングを研究していた学者や研究者は、人々の考えや「何が人々を動かすか」ということを思案していたからです。 彼らは、ある人のFBの「いいね!」を分析することで、その人の非常に精密なプロファイルを構築することができると考えていました。その人の行動を友人よりも正確に、予測することができたのです。 このことが、なぜ特に選挙キャンペーンにおいて重要かといえば、(ある特定の陣営を)支援すると予測される層を探すことがしばしば、そして迅速に必要になるからです。データによって正確に「支援者が誰か」を予測することができれば、キャンペーンをより効率的に、標的を絞って行えるようになります。 また、プロファイルをもとに、受け取る人によって、さりげなく適応させたメッセージを送ることもできます。例えば、ある有権者層を知り、そのうち1万人のプロファイルを構築したとしましょう。ある特定の方法で、彼らを標的にするのです。そのデータセットを持ってFBに行き「ここに1万人分のプロファイルがある。これを元に、この1万人に最も近い、FB上の100万人を見つけてほしい」と依頼します。 FBはこれをはじき出します。つまり、FB上の全ての人のプロフィールは、必要ないのです。FBユーザーに関する非常に良質なサンプルさえ手に入れば、効果的に人々を標的にすることが叶います。 ここに、重大な問題が2つ存在します。1つは、CA社がこのデータ、つまり8700万人分のユーザー・プロフィールを不当にFBから入手したこと。これだけのデータがあれば、米国全体の有権者のプロファイリグが可能なほどの、巨大なデータベースを構築できます。 FBは、この事実を2015年の年末に知りながら、このことを明らかにせず、その上、データを取り戻し、確実に破壊する手段すら講じませんでした。 もう一つ、FBユーザーに対する倫理的な問題が存在すると思います。ユーザーにはプロフィールで、自分の支持政党を明らかにしない選択肢があります。しかし、FBが、人々がどう投票するかを予測し、その予測を政党の戦略担当に売却し、それをもとに、政党が有権者を標的にすることは、正しいことなのでしょうか。 私は、政治キャンペーンにおいて、データが有権者を標的にするために使われていることに、非常な不安を感じます』、FBがこうした悪質な世論操作に関与していたとは、許されないことだ。
・『Q:調査を進める中でこの3月、CA社の内部告発者、クリストファー・ワイリー氏らの証言を聞かれました。そこでは何が明らかになったのですか? コリンズ委員長:ワイリー氏はCA社に勤務していた頃の、自身の経験に基づく証言を行いました。彼は、(EU離脱派公式団体だった)Vote Leaveが行ったキャンペーンと、資金の使い方に懸念を抱いていました。そして、複数の団体が連携してキャンペーン用の資金を使うことを禁じる、英国の選挙法違反の可能性を、白日の下に晒しました。 この違反行為について、現在、ワイリー氏の主張を認めた選挙管理委員会が、調査を行っています。ワイリー氏はまた、CA社がどのようにデータ収集を行い、それがどうキャンペーンに使われたのか、その驚くべき内容を話してくれました。この事実があって、データマイニング、ターゲティング、そして有権者のプロファイリングについて、理解を深めることができました。 もう一つ、ワイリー氏の証言で重要だったことは、彼が特別委員会に証拠文書を提供し、これを我々が公開できたことです。これは、CA社やCA社のために働いていたケンブリッジ大学の学者ら、そして、FBの相互関係を証明するものでした。 (これまでの様々な指摘が)単なる個人の意見や、推測であるという領域を越え、この3者の関係や、彼らが集めたデータがどう使用されたのか、証拠となるものだったのです。内部告発者としてのワイリー氏の証言は、実際に何が起きていたのかを明らかにした、非常に重要なものでした』、「CA社のために働いていたケンブリッジ大学の学者ら」は、学問的興味で参加したのかも知れないが、利用目的まで思いが至らなかったとすれば、単なる「学者バカ」だ。
・『ザッカーバーグ氏は質問に答える義務がある  Q:その一方で、FB社のザッカーバーグ氏は委員会での証言を拒否したのですね? コリンズ委員長:ザッカーバーグ氏が証言を行わないことは、非常に残念です。彼には、世界中で毎日FBを使用する20億人のユーザーに対する責任があります。FBが行ったことは誤りです。外部にデータを漏洩したこと、データが収集され、FBユーザーの有権者が広告によって標的にされたこと。こうしたことを通じて、FBは利益を得たのです。経営判断を行うのはザッカーバーグ氏ですから、彼はより多く、そして自ら進んで公的な場で質問に答える義務があると思います。 Q:FBのようなプラットフォームは、現状こうした疑問に対し、どのような姿勢でいるのですか? コリンズ委員長:彼らに責任を負わせるのは多くの場合難しく、またこちらの質問に彼らから明確な答えを得るのは困難です。はっきり質問しても、彼らは決まって情報を開示しません。調査の際、全体的な問題や古い案件を何度も繰り返させられ、とても苦痛でした。 特に、FBとの当初のヒアリングでは、(CA社が)FBからデータを集めた話は一切引き出せませんでした。ワイリー氏の証言によって、やっとその事実がわかりました。その後になって「証言を行った者は、その事実を知らなかった」と言い出す始末です。 こうしたIT企業が信頼に値しない現実が浮き彫りになってきます。信頼を回復するために、彼らはより努力すべきでしょう。「過去には過ちを犯し、なぜ人々がこの問題に懸念を抱くのか理解する」と彼ら自身が表明すべきです。将来的にはもっとオープンでいるべきですが、現在、彼らはそれを怠っています。ザッカーバーグ氏によるリーダーシップを人々は待っているでしょう。 Q:つまり、こうしたIT企業をめぐる現状は「無法地帯」に等しく、今こそ規制されるべき時なのでしょうか。 コリンズ委員長:その通りです。ITセクターは急速に成長し、これまでは無法地帯でした。常に新しいツールが開発されるため、しばしば新セクターだと考えられがちですが、これらの企業は実際巨大で、裕福です。その他のほとんどの分野では、ITセクターがやっているような、これだけの膨大な消費者データや情報を利用する場合、規制を受けています。 サーチ・エンジンとしてのグーグル、ユーザー生成動画コンテンツを有するユーチューブ、そしてSNSとしてのFB。これらのプラットフォームの運営の仕方は、現在独占状態です。そのため、何らかの規制組織が彼らの行いについて監督し、問題があれば介入する必要があります。 Q:ドイツでの例について講演されたことがありました。 コリンズ委員長:ドイツは世界で最も早く、有害なコンテンツに関し、IT企業に法的な責任を課すことを決めた国の一つです。これは、ドイツのヘイト・スピーチ法を犯す、違法なコンテンツについて適応されます。 FBは現在、この法に違反するコンテンツを削除するまでに、24時間の猶予しか与えられません。削除しない場合、FBが責任を負うことになります。FBは結果として、法に従うために莫大な資金を投じて対応する羽目に陥りました。他国もこのことを注視しています。 ドイツは歴史的に他国とは法的に異なる立場を取っていますが、そのことに関わりなく、法的枠組みを作れば、企業がそれに反応することを示したものです。ドイツでは、違法コンテンツは必ず削除されます』、FBの酷い隠蔽体質には改めて驚かされた。ドイツの姿勢には大いに学ぶべきだろう。
・『「プラットフォームの中立性」は終えるべき  Q:英国でも同様のことが起きるのですか? コリンズ委員長:私たちは特別委員会の報告書において、IT企業による「プラットフォームの中立性」は終えるべきだと勧告しました。プラットフォームは限定的に、違法、そして有害なコンテンツに関して法的責任を負い、これらを削除しなければならず、削除されない場合は、法的責任が生じるというものです。 また、有害なコンテンツがどのようなものか、明確にする必要もあります。私たちはこれを特別委員会の報告書に明示し、政府もこの問題に対してコンサルティングを行っています。年明けには、「インターネットの安全性に関する戦略」に関する白書が発表されます。まず成されるべき事は法的枠組みを作り、IT企業の責任は何であるか、また、有害コンテンツについて対応を怠った場合の処罰について、明確にすることです。 Q:こうした規制が進むと、言論の自由との関係はどうなるのでしょうか。 コリンズ委員長:英国には言論の自由が存在しますが、混雑した劇場で「火事だ!」と叫ぶ権利は誰にもありません。言論の自由は、危険でも有害であってもなりません。私たちが目指しているのは、オンライン上、人々がコミュニケーションの形として他者を傷つけるような情報共有に関し、調停を行うことです。 そして、IT企業に対し「有害コンテンツの拡散を可能にするようなインフラを提供し、そうした行為を知り得ているならば、対処する責任がある」と通告することです。 銀行の例で言えば、もし銀行がマネーロンダリングを疑ったとしたら、当局にそれを報告するのは銀行の義務です。なぜ、IT企業にはこのことが課されていないのでしょうか』、確かに、「プラットフォームの中立性」を隠れ蓑に、プラットフォーマーが責任を回避するのは、許すべきではない。
・『Q:2018年は、「シリコン・バレーのエリート」たちにとってどんな年になると思われますか? コリンズ委員長:2018年は、彼らにとって重大な分岐点となるでしょう。彼ら以外の社会が、IT企業は何を行い、どう利益を得ているか、そして、彼らが有しているデータと情報の危険性について学んだ年です。 私たちは、彼らが今後、より大きな責任を課されるよう追求していきます。社会、そして、ユーザーである顧客に対する彼らの責任を、より追求します。コンテンツを審査するためにより多くの資金を投じ、有害コンテンツに対処し、また、ユーザーからのコンテンツに関する通報に対応します。 過去にこうしたプラットフォームが享受してきた中立の立場については、新たな責任を課せられることにより、失われることになるでしょう。将来、この年を振り返った時、その他の産業や物質的経済においてなされるように、今年がインターネット上、コンテンツとデータの規制が必要であると、検討し始めた年と位置付けられるでしょう。その基盤となる原則は「実社会で容認されないものは、オンライン上も認められない」ということです。 Q:英国は、こうした規制に関し、先駆的な役割を担うことになるのでしょうか。 コリンズ委員長:英国に正しいことをしてほしいと願いますし、この議論においてのリーダーとなり得ると考えています。既に、良い環境は整っています。機関としては欧州で最大規模である、情報コミッショナー事務局(ICO)が重要な調査を行っており、権限も拡大されています。欧州一般データ保護規則(GDPR)という法律もあり、これによって、欧州の消費者は世界でも最も高いレベルの権利を得ています。 ICOは英国での事態を監督しています。そのため、英国はこの議論においてリーダーになることができると思います。しかし、それよりもテクノロジーとインターネットに関する、現代社会に即した規制のシステムを確実に設置することの方が大切です。(後編に続く)』、英国が先進的な法規制で模範を示してくれることを期待したい。
なお、FBの悪辣ぶりについては、1月13日のこのブログ「トランプ大統領(その38)」でも取上げているので、参考にされたい。

次に、上記の続きの11月5日付け日経ビジネスオンライン「米中間選でも偽情報拡散の脅威、新規制が必要に 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 後編」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/100500021/103100027/?P=1
・『米大統領選挙と英国のEU離脱国民投票をきっかけに、デジタル広告事業者と民主主義の熾烈な戦いが繰り広げられている。11月6日に迫った米国の中間選挙でも既にSNS(交流サイト)上で、偽情報の拡散が懸念されている。 この戦いを制すのは、シリコンバレーか民主主義か。英下院・特別委員会のデーミアン・コリンズ委員長に引き続き聞く。 Q:EU離脱に関する国民投票は「乗っ取られた」と感じますか? コリンズ委員長:乗っ取られたとは言えませんが、ロシアの機関が国民投票の際、英国の有権者に接触する意思があった、とは言えるでしょう。サンクトペテルブルクの複数の機関を発信元とした、幾万もの偽ツイッターアカウントが、EU離脱支持のプロパガンダを流していたという、多くの研究がなされています。 フェイスブック(以下FB)に関しては、まだデータに関する研究が出ておらず、この事実を証明する証拠が少ないのですが、さらなる事実が浮き彫りになるかもしれません。ですから、介入の意思はあったと思いますが、どの程度の影響力があったかは不明です。 これに関連したもう一つの問題は、離脱派の公式団体の資金の使い方です。そこでも違法行為があったのか、現在選挙管理委員会が調査を続けています』、どんな調査結果になるか楽しみだ。
・『Q:コリンズ委員長は米FBIとも密接に連携しています。米国の中間選挙ではどんなことが起きていますか? コリンズ委員長:米中間選挙では、(2016年の)大統領選と同様の、ロシアの介入が起きないよう、注力されています。未だに、大統領選における介入の度合いは全て明らかになっていません。 公的な情報では、ごく少数のFBアカウントが基盤となっており、これらが大量の広告を流す役割を担っていました。実際は、これよりもはるかに多いのかもしれません。 米国では選挙を守るため、ロシアの介入ネットワークを特定し、これを正しいタイミングで破壊する目的があります。選挙戦に際し、有権者が見るもの、聞くものに影響を及ぼそうとする外的組織がいるのであれば、損害を最小限に留め、影響させないようにしています。 FBは政治的メッセージや広告に関し、新しい規制を発表しました。そして、政治的な広告を流す組織に対し、その存在を明らかにさせ、さらには過去の実績をユーザーが見られるようにするという、新たな責任を課すことを決めました。中間選挙までに何か起きるか、選挙介入はあるのか。非常に注目され、関心は高いと思います』、FBの「新しい規制」は単なるポーズとの見方もある。実際の行動を注視する必要があろう。
・『世界のどこからでも、SNSを通じて有権者を標的にできる  日本では改憲に向けた国民投票が予想されますが、広告に使える資金の上限が定まっておらず、またデジタルキャンペーンに対する規制も十分とは言えません。このことは、危険であるとお考えになりますか。 コリンズ委員長:日本は他の国の選挙などで起きたことを検証する必要があるでしょう。また、現存の制度を検証し、強化すべきです。世界のどこからでも、ある国の有権者について選挙人名簿を入手できれば、人々が利用するSNSを通じて有権者を標的にすることができます。 世界の誰もが、自分の存在を隠してこれを実行できます。有権者がどう投票するか説得するのではなく、人々がSNSを利用する傾向を形作ることができるのです。長い時間をかけ、有権者のニュースフィードにどんなコンテンツを流すか、操作できます。有権者が以前は気にも留めていなかった問題に、懸念を示すよう誘導できるのです。 このことは、何らかの方法で監督されなければなりません。英国で行ったように、日本の有権者に対しても、コミュニケーションの透明性を構築することを薦めます。それは、選挙や国民投票の結果を操作しようという「悪意を持った何者か」、あるいは外国政府から身を守る最良の手段です。 誰がこのメッセージを流しているのか。その者はどの国にいるのか。以前はどんなメッセージを流してきたのか。有権者が分かるようにするのです。そうすることで、有権者は、見ているメッセージについて、独自の判断を下すことができます』、「日本では改憲に向けた国民投票が予想されますが、広告に使える資金の上限が定まっておらず、またデジタルキャンペーンに対する規制も十分とは言えません」というのは大問題だろう。悪質なデジタルキャンペーンの「草刈り場」となる事態だけは回避すべきだ。
・『SNSを通じた選挙戦は、今や世界の常識です。多くの国では、人々のニュース情報源はFBです。英国では半数程度の人々がFBからニュースを得ていますし、その他の国ではその比率はもっと高いでしょう。FBはウェブへの入り口なのです。 FBのようなサイトで、人々が政治的なニュースコンテンツの中で、見せられるものを操作できるのであれば、それは強力なツールだと言えるでしょう。人々が情報の出所を知り、装備することが必要です。偽情報を流すソースがわかっているなら特定し、対応しなければなりません。 Q:政府と広告企業が手を携えてしまえば、人々を守る術はないのではないでしょうか。 コリンズ委員長:英国には(選挙や国民投票のキャンペーンにおいて)資金の上限が定められています。資金の多い陣営の意思が、より多く反映されてはならないからです。英国の選挙は、この原則に従っています。 今やどんな選挙でも、あるだけの資金を投じてSNSサイトを使い、有権者を標的にしていると思います。最も影響力が見込めるからでしょう。 3つのことが可能です。まず特定の候補者に投票させること。有権者を抑圧し、ある候補に投票するのをやめさせ、対立陣営に取り込むこと。そして、区分別投票率を用い、一定の年齢層だけを狙って投票を働きかけることもできます。 選挙や国民投票が公正に実施されるためには、全ての陣営が公平に、SNSを通じて有権者につながる機会が与えられるべきだと思います』、その通りだ。
・『データ保護法や選挙法を最新の状態に保つべき  Q:他の政治家などが「データ問題」と聞いて尻込みするなか、コリンズ委員長はこの問題に取り組むため、一からテクノロジーの勉強をされたと聞きました。学ぶプロセスは困難でしたか? コリンズ委員長:困難というよりも、非常に面白いと感じました。この調査は私たちにとって、発見の旅でもありました。IT企業がどう動いているのか、そして、データ・ターゲティングの分析がどう行われているのかを理解する機会でした。 以前は、こうした詳細を検証する必要はありませんでしたが、これによって、IT企業の機能の仕方や、人々がこうしたツールを使ってどう目的を果たすか、検証する道を開いたと思います。この「目的」は悪い目的である場合もあります。私だけが学んだというよりは、他の人々にも学ぶ機会であったと思います。今年は発見と教育の年であり、将来的に、この問題に対する見方が変わっていくと思います。 Q:コリンズ委員長の様にこの問題を重く見て、改善しようという政治家もいれば、このテクノロジーを自分のために利用しようとする政治家も存在すると思います。これに対抗する方策は何でしょうか。さらなる規制や法律でしょうか。 コリンズ委員長:まず、選挙法において、こうしたテクノロジー利用の存在を前提とすることが必要です。例えば英国では、有権者の郵便受けにビラを配ったり、ビラを郵送する際には、そのビラに、誰がビラ作成の資金を提供したのか、そして「これは売り込みを目的としたものだ」と明記しなければなりません。 しかし、ネットやSNS上では同じルールが適応されません。ですから法改正し、適応しなければなりません。そうすることで、有権者はメッセージの出所と、彼らがどう標的になっているのかを知ることができます。 また、有権者の政治的意見について、データ収集と保持に関する規制も存在し、欧州のデータ規制によって、保護されています。政党なども含む、ごくわずかな特定組織だけが、人々の政治的意見に関する情報を保持することが認められています。 コンサルティング会社やキャンペーン・グループが、人々の政治的意見に関するデータを保持し、それを有権者に無断で選挙広告に使用するならば、その倫理性や違法性を問うべきでしょう。こうしたデータ保護法や選挙法を最新の状態に保たなくてはなりません。特定の政策で、このような新技術への対応を行うべきです』、コリンズ委員長の積極的な取り組み姿勢には頭が下がる。日本の国会議員もその「爪の垢」でも飲んでほしいものだ。
・『Q:この問題を追ってきた著者のジェイミー・バートレット氏(参考:狙われる有権者たち、デジタル洗脳の恐怖)は、インターネットと人々の間に「戦争」が起きていると語りました。インターネットは民主主義の味方でしょうか、敵でしょうか。 コリンズ委員長:インターネットは民主主義にとって、味方でも敵でもないと思います。インターネットが人々をつなぐツールであったことから「民主主義を助けるもの」との暗黙の前提がありましたが、偽情報を流し、人々を誤った方向に導く使い方をすれば、民主主義を壊すものでもあることがわかります。 人々は、現状流れてくる情報に対抗し、またそれを分析するツールを未だ手にしていません。テクノロジーの革新とメッセージを流す技術に、まだ追いついていないのです。インターネットが独裁政権を支援することも、全く可能だと思います。こうしたツールを「民主主義を支援するもの」として維持する責任は私たち市民にあり、私たちが守らねばなりません。 Q:この「戦争」をどう戦おうと思われますか。また、勝算はあるのですか? コリンズ委員長:もちろんです。経済のどのセクターでも、世界のどんな組織でも、究極的にルールや規制で監督できないものはありません。私が化学薬品会社を運営していたとして、水源を汚染していたら、政府は対策を講じるでしょう。新法を作り、水源汚染を止めるのです。 現在のIT企業がこの巨大なネットワークを構築し、ネットワークが悪用され、社会が汚染されているのなら、政府が介入し、こうした企業が構築したビジネスによって生じた有害なものから、人々を守る規制を設けなければなりません。これは、経済のほとんどの分野において普通のことですし、消費者を守るための規制が進むでしょう』、コリンズ委員長の基本的な考え方がしっかりしているのに改めて驚かされた。
・『調査では、EU離脱派の資産家が顧客情報を利用したのか明らかに  Q:データと政治キャンペーンをめぐる事象を捜査してきた情報コミッショナー事務局(ICO)の最終報告が11月初めに発表される予定ですが、どんな結果になると思いますか。 コリンズ委員長:ICOは、これまで誰もアクセスできなかったデータと情報を有しています。政治におけるデータ利用に関する調査は、非常に重要なものになるでしょう。この調査によって、EU離脱派を支持した資産家が所有する保険会社の顧客情報が、国民投票で利用されたのか、明らかになるでしょう。この資産家は否定していますが、利用されたのであれば、これは深刻な事態です。 また、ICOによるケンブリッジ・アナリティカ社(前編参照:以下CA社)に関する調査では、CA社が取得したデータが最終的にどうなったのか、アクセスしたのは誰なのか。このことを解明できたのかが焦点でしょう。ロシアがデータにアクセスしたと言われていますが、では、アクセスしたのは具体的に誰で、誰がこれを利用したのか。ICOの調査から、こうした重大な事実が明らかになるでしょう。 Q:今の時代、データをめぐる事象について、教育は必須だと以前話しておられました。どのように人々を教育できるとお考えですか? コリンズ委員長:オンラインコンテンツに関するメディアリテラシーの教育は、より必須になるでしょう。SNSは今や、人々がインターネットに通じる入り口です。私たちは有害コンテンツを特定するツールを作る手助けはできますが、特に教育現場と連携したキャンペーンが必要になると思います。 実施には巨額が伴うため、IT企業がユーザーが使えるツールをデザインし、作る役割を果たすだけでなく、教育にかかる資金も投じるべきです。学校の支援もしなければならないでしょう。 調査委員会では、IT企業から学校でのユーザー教育にかかる費用を徴収する提言を行いました。また、ICOにも資金を提供させる事です。銀行セクターでは消費者を守るため、金融行為監督機構の資金の一部を銀行が払っています。ICOの仕事も同様ですから、IT企業が資金面で今より大きく貢献するべきです』、「(ICO)の最終報告が11月初めに発表」、日本では最終報告の記事はまだないようだが、報道してほしいところだ。
・『Q:学校教育というと、何才くらいを想定していますか? コリンズ委員長:小学校くらい、そして中学校の早い時期、8-12才くらいが最も効果的だと思います。しかし、全ての市民がこのことから教訓を得るべきです。大人でも気づかないことはあると思います。 特に、若いユーザーが流れてくるコンテンツに対し、より多くの疑問を持つようにするべきでしょう。今後こうした問題は、悪化の一途をたどります。 現在のテクノロジーでは、嘘まみれの映画を作ることも可能です。例えば、ある人がしたこともないことを行ったかのように、語ったこともない言葉を語ったかのように、そして、全く行ったことのない場所に行ったかのように見せる、「完全にリアルなフィクション」も作り出せます。将来的に、現在よりもフェイクコンテンツの特定はより困難になり、(教育の)必然性も高まるでしょう』、その通りだ。
・『政府によるデータ利用には人々の承諾が必要  Q:前述のバートレット氏が言っていたことですが、将来的に人々は、管理された社会をより好ましく思うのかもしれないと指摘していました。管理しやすい社会は、政治家の視点から、好ましいことなのではないでしょうか。 コリンズ委員長:政府の権力行使は、人々の承認を得て行わなければなりません。例えば、医療システム改善において、AIや機械学習の役割はどんなものでしょうか。がん検診をより早く行うために、AIをどう使うか。個人データを深く理解することにより、疾病の超早期発見やリスクを特定することなどです。 これは非常に有益かもしれませんが、人々はこうしたデータ利用を承諾しなければなりません。民主主義国家において、こうした権力の行使には、人々の許諾が必要です。このことについて、真剣な議論がなされるべきでしょう。 素晴らしい恩恵を得られる反面、これまでにないほどの、個々の市民のデータが収集され、保持されることも意味するからです。ここまでデータ保持の許諾が政府や医療機関に与えられるのなら、その情報を渡してはならない相手に流れないよう、どう保護するのか、ということも大切です。 Q:私たちの知る形の民主主義は、分岐点にあるとお考えですか? コリンズ委員長:インターネットが政治的な議論をどう変えたのか、検証しなければならないでしょう。これまでに使用されてきたコミュニケーションの方法、つまり、これまでの情報の共有の仕方は今後、失敗するでしょう。このことを直視しなければなりません。 インターネットは政治的な議論を変え、ある部分では有効的に変わりました。小さなコミュニティが彼らにとってとても大切な、ある問題についての認知度を高めたいのなら、これまでにないくらい、インターネットはその問題意識を共有する人たちに広めることを容易にします。それは大きな恩恵です。 しかし一方で、ある人々が巨費を投じ、透明性のないところで人々の考えに影響を及ぼすことも可能です。人々を守り、それを止める術は現在ありません。ですから、恩恵と弊害の両方を見なければなりません。 私たち立法を預かる者は、政治的なキャンペーン方法、情報共有のあり方、そして、ユーザーに対する情報源の開示に関する法や規制を常に検証すべきです。 市民がきちんと情報を得られる状況を確保する。単に情報を得られるだけではなく、どの情報に重きを置けるか、判断できるようにすることです。ニュース番組やウェブサイトの編集者のみならず、アルゴリズムが影響力を行使できる時代です。市民自身がこの価値判断をできる状況を作らねばなりません。 Q:希望は持てますか。 コリンズ委員長:希望はいつでも持てますが、問題を認識していなければなりません。今年起きたことは具体的な問題が何だったのか、理解し始めた年です。 1年ほど前に調査を始めた際、あるベテラン議員が「面白い題材だし、検証するのは正しいことだが、何ができるというのか見当もつかない」と話していました。しかし、調査によって、実はできることが多いことがわかりました。民主主義を守るために何をしなければならないかがわかり前進した、重要な一歩だったと思います』、「民主主義を守るため」の先駆的な動きに期待したい。

第三に、11月12日付け東洋経済オンライン「フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速、データ保護規制が逆風」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/248562
・『15億人のユーザーを抱える巨大ソーシャルネットワークが揺れている。 米フェイスブックが10月30日に発表した2018年7〜9月期決算では、欧州の1日当たり利用者数が2億7800万人と、2四半期連続で減少した。今年1〜3月に過去最高を記録してから、400万人の落ち込み。アメリカとカナダの利用者数も、1億8500万人と横ばいが続く。「今年はつらい1年になっている」。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは決算電話会見でそう漏らした』、これだけ問題を起こした割には、「ユーザー離れ」がまだそれほどでもないのに、若干驚かされた。
・『相次ぐデータ流出でユーザー離れ  3月に明らかになったのが、約8700万人分の情報流出だ。イギリスの研究者が学術目的でフェイスブックから収集したユーザーデータが、英政治コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカに不正に流され、2016年の米大統領選挙の工作活動などに使われた。 9月末には一部機能の脆弱性を突かれ、約2900万人の情報への不正アクセスを許した。電話番号やメールアドレスのほか、直近の位置情報や検索履歴が含まれるケースもあった。 こうした個人情報は「ダークウェブ」と呼ばれる闇サイトで取引される。偽サイトに誘導するフィッシングメールなどが送られ、クレジットカードや銀行口座の番号など、より重要な情報を盗み取ろうとするのだ。「情報流出を避けたければ、そのサービスを使わないということくらいしか選択肢はない」(米セキュリティ大手シマンテック・ノートン事業統括本部の古谷尋部長)。 一連の情報流出を受けて盛り上がったのが、「デリート・フェイスブック(フェイスブックを消そう)」というネット上の運動だ。ユーザー離れは止まりそうもない。 「フェイスブックが“安全”だったことは一度もない」。米ノースイースタン大学でサイバーセキュリティプログラムディレクターを務めるクリスト・ウィルソン准教授はそう指摘する。 「プラットフォーム上のあらゆる機能が進化し、複雑に絡み合うようになると、バグを迅速に見つけ出すのはより難しくなる。そもそも個人情報を集めて収益化するモデルは、ユーザーのプライバシー保護と相反する。ハッカーの標的になり続けるからだ。データを保護したければ、個人情報の収集をやめるべき」(ウィルソン氏)』、「デリート・フェイスブック」運動が起きたとは当然だろう。
・『GDPRの強い逆風が吹き付ける  フェイスブックには大きな壁が立ちはだかる。今年5月にEU(欧州連合)が施行した「一般データ保護規則(GDPR)」だ。実際、デイブ・ウェーナーCFO(最高財務責任者)は決算会見で、「過去2四半期はGDPRの影響をいくらか受けた」と、欧州でのユーザー減の一要因になったことを認めている。 フェイスブックはGDPRの下で、欧州当局からどのような処分を受けるのか。大規模データ流出の責任は重い。 GDPRは欧州で活動する企業に対し、個人情報を安全に保護することなどを義務づけるもの。違反と見なされれば、制裁金として、最大で全世界の売上高の4%、あるいは2000万ユーロのどちらか大きい金額が科される。9月の情報流出は、制裁対象になる可能性がある。現在フェイスブックが欧州本社を置くアイルランドのデータ保護当局を中心に、EU側による調査が進められている。 英ロンドンの法律事務所ウェッドレイク・ベルでデータ保護部門を率いるジェームズ・カストロ・エドワーズ弁護士は、「組織の規模が大きくなるほど、GDPRが求めるセキュリティの基準は上がる。(これまでに大きな違反例がないため)当局がフェイスブックの件をどう判断するかは、今後の規制運用にも影響を与えるだろう」と分析する。 「EU当局は今回のセキュリティ侵害について、影響を受けたユーザーがどれくらいいたか、どのような監視体制に不備があったか、といった点を基に制裁金の額を決めると考えられる」。そう指摘するのは、国際法律事務所DLAパイパーのアンドリュー・ダイソン弁護士だ。「制裁金だけでなく、集団訴訟のリスクもある。多くの活動団体が(今回の件を)裁判沙汰にすると言っている」(同)。 英国のデータ保護当局は10月中旬、ケンブリッジ・アナリティカの事案に関し、個人情報の保全を怠ったとして50万ポンドの罰金を科すと発表。当局側は「GDPRが施行されていれば、罰金は極めて高額になっていただろう」と断じた。同月下旬には日本の個人情報保護委員会も、フェイスブックの一連の情報流出に対し、行政指導を行うことを発表している』、現行法での罰金50万ポンドは34百万円相当と僅かだが、「集団訴訟」はどうなるのだろう。
・『欧米の成長は鈍化、費用も増加傾向  欧米のユーザー基盤は、同社の成長に不可欠。売上高のうち7割超はアメリカ・カナダと欧州の広告収入だ。ユーザー数の伸びが見込めなければ、広告主も離れかねない。 セキュリティや法務対策で費用は増加傾向だ。セキュリティ関連人員は年内に1.5万人から2万人に増やす方針。「セキュリティに関しては、今後1年でテクノロジーと人の両面で必要なレベルに上げる」(ザッカーバーグ氏)。 この7〜9月期の営業利益率は42%といまだ高水準だが、4四半期連続で後退。会社側は来年にかけてさらに投資がかさむとする。 米ウォール街でフェイスブック批判の急先鋒として知られるピボタル・リサーチ・グループのアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏は、「さまざまな問題が持ち上がるたび、フェイスブックが自らのビジネスを制御できていないことを認識させられる」と指摘する。 確かにフェイスブックは、年間5割超の収益成長を続けている。ただその視界は決して開けてはいない』、見るからに「傲慢」そうなザッカーバーグCEOが「しょげる」姿を見てみたいものだ。
タグ:問題 東洋経済オンライン フェイスブック 日経ビジネスオンライン 伏見 香名子 (その2)(フェイスブックが「偽情報拡散」のツケを払う日 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 前編、米中間選でも偽情報拡散の脅威  新規制が必要に 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 後編、フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速 データ保護規制が逆風) 「フェイスブックが「偽情報拡散」のツケを払う日 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 前編」 英国の国民投票 米大統領選挙におけるロシアの介入疑惑 英下院・超党派議員11人で作られた、デジタル・文化・メディア・スポーツ(DCMS)特別委員会 ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、度重なる委員会の招致にも関わらず、本人が出席し、証言することを拒み続けた デーミアン・コリンズ委員長 人々には本物と偽物のニュースの違いが分からない データによって「支援者は誰か」を予測できる CA社 データによって正確に「支援者が誰か」を予測することができれば、キャンペーンをより効率的に、標的を絞って行えるようになります プロファイルをもとに、受け取る人によって、さりげなく適応させたメッセージを送ることもできます CA社の内部告発者 クリストファー・ワイリー氏らの証言 ザッカーバーグ氏は質問に答える義務がある 「プラットフォームの中立性」は終えるべき 「米中間選でも偽情報拡散の脅威、新規制が必要に 歪められた民主主義 議員たちの逆襲 後編」 世界のどこからでも、SNSを通じて有権者を標的にできる SNSを通じた選挙戦は、今や世界の常識 データ保護法や選挙法を最新の状態に保つべき 調査では、EU離脱派の資産家が顧客情報を利用したのか明らかに 情報コミッショナー事務局(ICO)の最終報告が11月初めに発表 政府によるデータ利用には人々の承諾が必要 「フェイスブック「情報流出」で崩れる成長神話 稼ぎ頭の欧米で減速、データ保護規制が逆風」 相次ぐデータ流出でユーザー離れ 約8700万人分の情報流出だ。イギリスの研究者が学術目的でフェイスブックから収集したユーザーデータが、英政治コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカに不正に流され、2016年の米大統領選挙の工作活動などに使われた。 9月末には一部機能の脆弱性を突かれ、約2900万人の情報への不正アクセスを許した デリート・フェイスブック GDPRの強い逆風が吹き付ける 欧米の成長は鈍化、費用も増加傾向
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小売業(一般)(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) [産業動向]

小売業(一般)については、昨年10月13日に取上げた。今日は、(その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状)である。

先ずは、昨年10月25日付け日経ビジネスオンライン「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/article/report/20150303/278209/081700028/?P=1
・『マツモトキヨシなどを抑えてドラッグストア首位に立つウエルシアが事業モデルの変革を急ぐ。郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く。ウエルシアがけん引する形で、ドラッグストアの市場規模はさらに拡大し、コンビニに肉薄する可能性もある。 7月下旬の平日、正午を過ぎたころから、東京都千代田区のオフィス街にあるガラス張りの店に続々と客が入っていく。入り口の近くには、ペットボトル入りの飲料が並び、2台のワゴンには弁当類が30食ほど積まれていた。セルフサービスのいれたてコーヒーのマシンや銀行のATMもある。そして24時間営業だ。ほとんどコンビニエンスストアの機能を満たしているが、最大の違いは、店頭に掲げられた「薬」という大きな表示。大衆薬だけでなく、病院からの処方箋も受け付ける。 昼休みに訪れた20代の会社員の女性は、「弁当もあるし、日焼け止めなどコスメも充実していて便利」と話した。 この店を経営するウエルシアホールディングス(HD)は2017年度の売上高が6953億円。ツルハホールディングスの追い上げをかわして、2期連続で業界首位を守った。関東を中心に、28都府県で1747店舗(18年5月末時点)を展開する。 そんなドラッグストア最大手が今、ビジネスモデルの大転換に挑んでいる。 埼玉県が発祥のウエルシアはこれまで主にロードサイドなどに、600~1000m2程度の広い売り場を備える郊外型店舗を運営してきた。 だが最近、冒頭の神田小川町店のような小型の店舗を都市部に積極的に出し始めた。今後、人口減少が加速することを見越し、人口の厚い都市部でも店舗網を広げる必要があるとの判断だ。 都市部で最も存在感のある小売業といえばコンビニだ。ウエルシアとは企業規模も圧倒的な差がある。セブン-イレブン・ジャパンの17年度のチェーン全体の売上高は4兆6781億円、店舗数は2万260店。それぞれウエルシアのおよそ7倍、12倍という規模だ。 コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある。ウエルシアは3つの弱点を巧みに突く』、確かに最近は東京でもドラッグストアの出店が目立つ。
・『時給は2割以上も高く  1つ目は価格だ。都内の住宅密集地にある板橋赤塚店。平日の昼下がりに、子連れの主婦や中高年の女性客が集まっていたのは、店の奥にある食品コーナーだ。もともとドラッグストアは、トイレットペーパーなど日用雑貨の安値販売には定評があるが、ウエルシアは食品を低価格販売することで、コンビニやスーパーから顧客を奪っている。 納豆3パック85円、卵10個入り138円なども安いが、ナショナルブランド商品で見ると、コンビニとの価格差は明らかだ。例えば、伊藤園「お~いお茶」のペットボトル入り飲料は、ウエルシアが78円(525ミリリットル)だったのに対して、近隣のセブンイレブンは120円(600ミリリットル)。明治のラクトアイス「エッセル スーパーカップ」はウエルシアが108円で、セブンイレブンでは130円だった。 コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ。パート・アルバイトを集めにくいのは、多くの小売業に共通する悩みではあるが、特にコンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素となる。それぞれの加盟店は経営体力がさほど強くはなく、損益ギリギリで運営しているところもある。バイト募集にかける経費や時給の設定などにも限界がある。 その点、ウエルシアは直営店である強みを発揮しやすい。例えば、24時間営業のウエルシア板橋赤塚店の深夜帯の時給は1513円。すぐそばにあるセブンイレブンが約1200円であるのに比べて2割以上も高い。コンビニより売り場が広く、夜間も4~5人で運営するため、女性でも安心して働ける。「近隣に住む主婦が子どもを寝かしつけた後で勤務するというケースも珍しくない」(同店の尾原亮店長)』、2割以上も高い時給を出せる収益力もあるのだろう。さらに、比較的高給の薬剤師を雇っていることも影響しているのだろう。
・『薬と化粧品が“安売りの原資”  食品を格安で販売したり、アルバイトを高い時給で雇ったりできるのは、コンビニにはない医薬品を高い利益率で販売できるという強みがあるからだ。ウエルシアの品目別の売上高粗利益率を見ると、大衆薬と処方箋調剤がともに40%弱と極めて高い。そして見逃せないのが、化粧品も33%という安定した粗利率があることだ。中高年女性をターゲットとした、1万円前後の高価格の化粧品も珍しくない。薬と化粧品を合わせて、売上高の5割強を占める。こうした盤石な収益源があるから、その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができるのだ。 粗利率が20%の食品は、集客のために重要だが、もともと事業の主軸ではないので、極言すれば商品によっては「利益度外視」で売っても経営の屋台骨は揺るがない。ここがコンビニやスーパーと大きく違う。 コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している。併せて栄養士の採用に力を入れており、高齢者が健康相談できる「かかりつけ薬局」の役割を担う。ドラッグストア業界では24時間営業は珍しいが、ウエルシアではすでに145店舗に上り、今後、全店舗の2割を目標に拡大する。 24時間営業は住民の信頼を得るだけでなく、売り上げにも貢献する。都市型店舗の神田小川町店は、1日に来店する客数のうち約20%は深夜帯に来店するという。 「ウエルシアは食品や深夜営業の拡充により来店頻度を高め、処方箋調剤を備えて固定客を増やした。それにより、他企業に先駆けて、人口1万人程度の小商圏でも採算が取りやすくなっている」。いちよし経済研究所の柳平孝主任研究員はそう分析する。 小商圏でも商売が成り立つということは、例えば小売店がぶつかり合う激戦区のすき間に出店が可能で、出店余地は広がることになる。柳平氏によると、90年代ごろ、ドラッグストアは人口3万~5万人という大きな商圏で事業展開をしていたという。つまりウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げていることになる。 ここ数年の成長ペースがそれを反映している。18年度(予想)までの3期の平均でみると、ウエルシアの増収率は年14%。セブンイレブンのチェーン売上高伸び率は16年度に5%、17年度は4%にとどまり、勢いの差は明らかだ。 日本チェーンドラッグストア協会と日本フランチャイズチェーン協会の調査結果で17年度の両業界の市場規模を比べると、ドラッグストアは6兆8500億円、コンビニは10兆7000億円だった。まだ4兆円ほど差があるが、ウエルシアなど大手がけん引してドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明。近い将来、市場規模は肉薄する可能性がある』、大衆薬、処方箋調剤、化粧品という粗利益率の高い商品があるというのは、確かに大きな強みだろう。
・『イオンにとって大きな財産  ウエルシアの前身、グリーンクロス・コアは00年に、ジャスコ(現イオン)と資本業務提携した。そして14年11月、上場は維持しながらも、イオンの連結子会社になった。イオンにとってウエルシアを子会社に取り込んだ意味は大きい。連結業績への貢献はもちろんのこと、イオンが手薄な都市部を攻略する上で、競争力のあるウエルシアの店舗は大きな財産といえる。ライバルであるセブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブンを持つ一方で、有力なドラッグストアを子会社として持っていないからだ。 もっともウエルシアが、コンビニと比べて劣る点は当然ある。そこに対しては、他社の力を借りるなど、正面からは戦わないしたたかさも見せる。 例えば、コンビニの生命線である弁当。ウエルシアは、イオングループに属する弁当店チェーン、オリジン東秀から一部店舗で供給を受けている。「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」というのが池野隆光会長の持論だ。北海道が地盤のコンビニ、セイコーマートからも弁当を調達してないいる。 コンビニが得意とするPB(プライベートブランド)開発でも、同じ土俵では戦わず、「健康・高齢化対応」の商品を軸に据える。8月に発売した「カラダきらめく甘酒アミノプラス」は、近畿大学と共同開発。“飲む点滴”といわれ近年マーケットが拡大している甘酒に、筋力に関わる栄養成分を添加したものだ。 18年度には前期実績108店舗を上回る127店舗の新規出店を計画するが、物件の確保は容易ではない。「コンビニや他の小売業との争奪戦が起きている」(水野秀晴社長)という。もともと店舗開発担当者は4~5人しかいなかったが、M&A(合併・買収)を実施した先の人材も加わり、開発部隊は5~6倍に増えた。都市型店舗の出店には3人を専任で就けている。 「セブンイレブンとアマゾンだけでは生活者のニーズは満たせない。当社の存在意義は必ずある」と話す池野会長。圧倒的に見える巨人とも戦うすべがあることを証明しようとしている』、大きくなると何でもやりたがる経営者が多いなかで、「自前の論理に経営の軸足を置かないことが大切」との経営哲学は、大したものだ。今後の展開を注視していきたい。

次に、流通ジャーナリストの森山真二氏が2月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194412
・『ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテホールディングス)は東南アジアでシンガポール、今年オープン予定のタイに続いて台湾や、香港にも進出する。社名をグローバル企業らしく変更したり、引退したはずだった創業者の安田隆夫氏が取締役に復帰したりと海外展開の準備に動いていたパンパシHDだが、ついに海外攻略に本格的に動き出す。ドンキ流は海外で通用するか』、社名が「パン・パシフィック・インターナショナル」となっているのであれば、海外展開への思いは相当強いのだろう。
・『海外事業拡大構想を明らかにしたパンパシHD  パンパシHDは、2月の決算説明会で大原孝治社長が現在、約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく」と発言、海外事業拡大構想を明らかにしている。 パンパシHDでは、すでに米国ハワイやカリフォルニア州でM&A(企業の合併・買収)により展開している店舗が38店舗あるし、17年12月にはシンガポールに「DONDONDONKI(ドンドンドンキ)」1号店を開業し現在3店舗がある。 しかも創業者で創業会長の安田隆夫氏は「シンガポールに住居を構えている」(パンパシHD関係者)といい、今年非常勤の取締役に復帰し、いよいよ社名通り「環太平洋」攻略作戦が始まる格好だ。 今年6月にはタイにも店舗を開業する準備を進めている上、香港でも店舗を開業することが明らかになっている。香港のメディアが伝えているところによると、すでにドンキは香港で店舗開業に向け、スタッフの採用を開始しているという。 米国、シンガポール、タイ、香港に加え、ユニー・ファミリーマートHDの高柳社長は台湾で、ファミマの運営会社とパンパシHDで合弁会社を設立して店舗展開を始める意向も明らかにしている。 シンガポールや米国での展開で好感触をつかんでいるのだろう。まさに一気に海外展開を進める格好だ。 ユニファミマによるTOB(株式の公開買い付け)は不調に終わっているが、パンパシHDがユニファミマから資本を受け入れることにしたのは7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだったとみられている。 TPP(環太平洋経済連携協定)11や、日欧EPA(経済連携協定)の発効で巨大貿易圏が誕生する中で、ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する。今はそんな絵姿が描ける絶好の機会であるのは確かだ』、「巨大貿易圏が誕生」とはいっても、それと地域特性が強いとされる小売業の展開は関係が薄いような気もする。「そんな絵姿」が捕らぬ狸の皮算用にならなければいいのだが・・・。
・『海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか  果たして海外でドンキのあの「世界観」は受け入れられるだろうか。世界を見渡してもドンキのように、売り場自体がエンターテインメント性を持っているチェーンはない。 米国でも店舗といえばチェーンストア理論のお手本のような品ぞろえの仕方、オペレーションが多い。強いていえば、米国ではドンキはディスカウントストアというよりもバラエティショップに近い感じに映っているとみられる。 しかし、猥雑(わいざつ)でどんな商品が出てくるのか分からない。チープな商品から、高級ブランド品まで雑多な品ぞろえでジャングルのような店作りに「ワクワクドキドキ」するのは万国共通なのかもしれない。 すでにオープンしているシンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ。ただ、派手なPOP(店内広告物)や、商品政策は変わりない。 シンガポールの店はどちらかというと刺し身やすし、生鮮食品が充実している。また日本でインバウンド(訪日)客に人気のある菓子なども充実しているといったところだろうか。 シンガポール在住の日系人もターゲットにしているというが、現地の顧客を取り込む嗜好(しこう)的な仕掛けもみられるという。 パンパシHDは国内ではドラッグストア大手のマツモトキヨシHDと同じように訪日外国人の取り込みに力を入れてきた。 ドン・キホーテの店舗の前には、中華系などインバウンド客を乗せてきた観光バスが止まり、多くの客が店舗に吸い込まれていく姿をよく目にする。 同社は流通業界の中でもインバウンド需要を取り込んでいる1社で、インバウンドの免税売上高が今期(19年6月期)中に全体の10%程度(1000億円)に到達するとみている。 免税売上高が高い三越伊勢丹HDや、マツキヨの今期(19年3月期)の実績を見ないと何とも言えないが、今年か来年には流通でインバウンド売上高トップになる可能性も高い。 つまり日本に観光に来てドンキ店舗を利用した外国人客は、自国に帰ってドンキを再び利用するという図式を描いているとみて間違いない。 まさに海外店舗は日本の店舗にインバウンド客を引き付ける呼び水の役割を果たすことになるのだろうし、逆に日本でドンキを利用したインバウンド客が自国でドンキの店舗をまた利用するという循環も期待できるわけだ』、もうショッピングに興味を失った私にとっては、ドンキの店は「ワクワクドキドキ」するどころか、一刻も早く出たいと思ってしまうが、若い人にとっては魅力があるのだろう。ただ、「シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ」というように、地域による嗜好の違いを乗り越えて、「ドンキの「世界観」が受け入れられるか」は疑問だ。
・『パンパシHDが海外展開を急ぐ理由  パンパシHDはなぜ、こうも海外展開を急ぐのか。 それは日本国内の動向もある。 パンパシHDはユニーの売上高約6700億円を加え約1兆6000億円という規模になる。旧ドンキホーテHD分の売上高だけでも1兆円企業。イオン、セブン&アイHD、ユニクロを展開するファーストリテイリングに続く流通業界第4位に浮上している。 しかし、規模は拡大したが既存店の伸び率は鈍化傾向である。19年6月期の第2四半期(18年7月から12月)の既存店の伸び率は0.6%増にとどまっている。 しかも客数の前年比では前年割れも散見されるようになっており、これまで既存店も比較的高い成長が続いてきたが、低成長時代に入ってきているのだ。 ドンキの店舗も全国に約400店、取り込んだユニーの店舗を合わせると700店近くにもなる。しかもユニーの店舗を「ドン・キホーテ」に業態転換する。 これだけ店舗が行き渡ると、ドンキを複数回使ったという人も増え、ドンキの商品政策はこんな感じというイメージを持っており、「何が出てくるか分からない」という“新鮮味”も薄らいでくる。 ドンキは生鮮食品や総菜などを導入し、“日常使いの店舗”へと方向転換を図っているが、海外での展開を急ぐ理由は、そんな国内での安定成長をにらんだ新戦略といえる。パンパシの新たな挑戦が始まる』、国内での伸び悩みを海外展開でカバーしようとの狙いが、果たして上手くいくのか、注視したい。

第三に、ジャーナリストの紅林健太郎氏が1月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/190209
・『主要な駅前の商店街や再開発ビルで必ず目に入るのは、さまざまなフランチャイズショップ(FC)だ。 ハンバーガーショップなどの飲食店から、最近では塾やレンタルショップ、クリーニング店など業種も大幅に広がり、業界の売り上げは過去最高、FCの数もこの8年間、増え続けている。 だが、“隆盛”の陰で、加盟店が店じまいしたりオーナーが代わったりした例は後を絶たないのだ。なぜなのか』、FCビジネスは確かにサービス分野にまで広がってきたようだ。
・『「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い  中部地方で約1年前まで、ビルの窓ふきなどの清掃サービスをするFCの加盟店だった店もその1つだ。 オーナーだった男性は、2016年にFCの本部に加盟金200万円を払って、自宅がある市の郊外に出店した。 本部からは「毎月100万円ぐらいの売り上げは出る」と勧誘され、「それなら十分、食べていけそう」と算段した。 だが、始めて1年を過ぎても実際の売り上げは60万円にもならない月が続いた。人件費やFC本部への月5万円のロイヤリティーなどを支払うと、手元に残る利益は月10万円から20万円。生活するのもやっとだった。 開業して半年ほどたったころからは、ロイヤリティーの支払いを滞納するようになった。実際、払う余裕がなかったのと、契約前に本部から聞かされた話が違い、「だまされた」との思いもあったからだ。 本部からは催促状が2ヵ月ごとに届いた。滞納が何ヵ月か続くと、一部を払い、また督促状がたまると少し払うという繰り返しだったが、2017年半ばには、FCの本部から、「契約違反で、加盟店をやめてもらう」という内容の内容証明郵便が届いたという。 男性は「本部からウソの売り上げ予測を示され、契約させられた。訴訟も考えた」。だが弁護士費用を工面するあてもなく、結局、加盟店をやめた。 この話を聞くと、一見、男性側に非があるとも思えるが、FCの本部にこうした形で勧誘されて加盟店になったものの、話の通りにはならず、だまされた思いで退場する例は氷山の一角のようだ』、こうしたトラブルは確かに多そうだ。
・『この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える  FC本部と加盟店の間で契約や金銭を巡るトラブルでの裁判はこの5年で300件近くに及ぶ。 これまで多かったコンビニなどのほかに、最近はそれ以外の外食やサービス業でも目立つようになっている。 では、どんなケースで本部と加盟店は対立に至るのか。 この問題に詳しい弁護士の話では、FC本部と加盟店が訴訟に至る原因はだいたい2つに集約される。 加盟店がFC本部を訴える場合は、契約前に示された売り上げ予想が現実と大きく違っていたことを問う場合が多い。 前述のように、例えば、「月150万円は売り上げが出る」と、本部から言われて、契約し、加盟料を百数十万円払うが、実際に営業を始めてみると、毎月の売り上げがその2分の1や3分の1にも満たない、というケースだ。 ほかにも「約束された本部の支援が全くなかった」ことを問題にした訴訟もある。 一方、FC本部が加盟店を訴えるケースは、毎月の売り上げに応じたり、定額で決められたりしたロイヤリティーの支払いがなかったり、加盟をやめた後も、同じ場所で営業を続けて「ライバル店」になったりしているのを契約違反で訴えるケースだ。 この2つのケースは、実はその根っこのところで結びついていることも多い。 つまり、加盟店の売り上げが順調であれば、トラブルにはなりにくく、トラブルが起きるのは、加盟店の経営がうまく行かず、その原因や責任を求める過程で起きることが多いのだ。 FCがさまざまな業種で急増するなかで、おのずとパイの奪い合いになり、本部側から強引な勧誘が繰り返される一方で、売り上げが伸びない加盟店が続出するというわけだ』、「トラブルでの裁判はこの5年で300件近く」というのは、少ない気もするが、これは氷山の一角に過ぎず、「泣き寝入り」が多いのだろう。FC本部からみれば、加盟店獲得で加盟料を獲得できるので、甘い話で騙すのは当然、あり得る話だ。
・『トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店  では、こうしたトラブルが起きた時、どちらが有利なのだろうか。FC訴訟を担当する弁護士によると、多くの場合は、FC本部側だという。 まず、言えるのは、本部側は加盟店とのこうしたトラブルに慣れっこになっていて、経験を重ねているということだ。 FC本部と加盟店の間のトラブルは「古くて新しい問題」だが、元加盟店のオーナーによると、「FCの本部側は、トラブルが訴訟に発展しにくいように、訴訟になっても勝てるように、契約を少しずつ変えてきている」と話す。 例えば、契約書では、加盟店が順守しなければならない義務の記述が多く、本部はなるべく責任が問われないような記述にするなど、契約を本部に有利にする方法や訴訟への対応の仕方を学んできているという。 最近、増えてきているFCがどこも似たような契約書になっているのも、加盟店から訴えられても負けないよう先発組のFCが作り上げてきた条文をまねているからだという。 住宅の改築・修繕を手がけるFCの元幹部は「加盟契約書の作り方は、金券ショップを運営する古美術品などを販売する FCの業者から教えてもらった」と話す。 一方で、加盟店のオーナーには、勤めていた会社の倒産や脱サラをきっかけに初めてFCの世界に足を踏み入れる人も多い。 「契約書をきちんと読み、条文をしっかり理解してハンコを押す人はわずかだ」と、元加盟店のオーナーは話す。 最初からFCの軒先を借りるつもりの“素人”の加盟店には、契約書が「本部に有利な内容」かすらも、わからないまま契約を結ぶ人も少なくない。 しかも裁判の経験はない人がほとんどなので、本部に訴訟をちらつかされたりすると、オーナーたちはオロオロしてしまうという』、加盟店のオーナーとFC本部との間の情報ギャップは、極めて大きいのに、FC本部側に明確な説明責任が実効性ある形で課されてない現状には大きな問題がある。
・『加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定  こうして不利な立場に置かれがちな加盟店がFC本部に対抗するための法律は一応あるが、罰則規定がなかったり、規制対象のFCが限られていたりで、機能しているとは言い難い。 例えば、FC本部が加盟勧誘の際、「売り上げ予想の虚偽表示」などの行為を規制する法律の1つに、独占禁止法がある。 2002年に公正取引委員会が公表した「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針では、加盟店との契約にあたっての重要事項など8項目が挙げられた。 その中で「本部が加盟者の募集にあたり、重要な事項について十分な開示を行わず、または虚偽、もしくは誇大な開示を行い、実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良または有利であると誤認させ、自己と取引するよう不当に誘引する場合には、不公正な取引方法の『ぎまん的顧客誘引』に該当する」と記された。 この指針は2000 年前後にコンビニなどで、本部と加盟店の間でのトラブルが多発したのを受けて作られ、 FC業界の中では「独禁法ガイドライン」と呼ばれ、つとに知られる。 だが、実は、これには罰則はなく、これまでこうした勧誘そのものが独禁法違反として摘発や処分を受けたことはない。 フランチャイズを規制する法律はもう1つある。中小小売商業振興法だ。 この法律は、「商店街や店の集団化・共同店舗等の事業を円滑にし、整備を通じ、中小小売商業の経営を近代化する」狙いで作られ(1973年施行)たが、FCを「特定連鎖化事業」(11条)と定めている。 同法も02年に施行規則が改正され、FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた。 加盟店との訴訟やトラブルが起きているかどうかは、加盟店の増減や裁判の数である程度わかるということで、開示が義務付けられたものだ。 しかし、同法律でも本部が提示する「売り上げ予測」などの加盟店への勧誘については特に規制は設けられていない。 「FC事業の活力をそぐ」という理由で、当時、業界が反対したからだといわれている。 しかも、FCのうちこの法律の対象になるのは、コンビになどの「小売」と、ファミレスなどの「飲食業」のFCに限られ、最近、増えている美容院や塾など「サービス業」のFCは適用対象になっていない。 こうしたこともあって、FC訴訟を担当する弁護士によると、加盟店がFC本部の行為を裁判で問おうと訴訟を起こしても、和解した場合を除けば、判決が出た訴訟のうちの多くは、本部側が勝訴しているのだという』、FC加盟店側も政治力を持つためには、FC加盟店協会の発言力を強化すべきだろう。
・『加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を  FC本部と加盟店の間は、本部(事業者)が加盟店(事業者)に販売権を与える事業者同士の契約関係で成り立つ。 だがこうした事情もあって、多くの場合は、加盟店は本部の言うことに従わざるを得ない契約内容に縛られ、その契約書があるがために、訴訟でも不利な結果を強いられているのが実態のようだ。 最近はそうした本部の立場上の有利さを悪用して、いい加減なFC本部を立ち上げ、加盟金をだまし取ろうとする会社も業界に紛れ込んできているという。 これら悪質なFCの被害に遭った加盟店オーナーから相談を受けた弁護士によると、最近でもこんなケースがあったという。 エステを展開するあるFCの本部から勧誘を受けたというが、契約前に示された売り上げ予想は、実際に開業した後の売り上げの5倍の数字だった。 「『絶対にもうかる』と繰り返し、『お客はひっきりなしに来る。とにかくやってみたらわかる』『我々本部が完全バックアップする』と、強引に加盟を迫られた」という 。 しかし、加盟金を払い開業したものの、売り上げは低迷し、本部からも支援は全くないまま、数ヵ月で店を閉めた。 こうした業者はもともと「加盟金狙い」だから、金があると見ると、法外な額の加盟金を要求する。この弁護士によると、1000万円単位の加盟金を払わせたFCもあったという。 また FC業界に精通した事情通によると、こうした詐欺的FCの中には「加盟金を取れそうな人に近づき、加盟金を取れるだけ取ったら、事務所なども引き払って姿を消す業者もある。そもそも本部の事務所を最初から設けない業者まである」という。 FCにだまされて訴訟に訴えようにも弁護士費用も残らず、“泣き寝入り”せざるを得ない状態で業界から消えていく加盟店もあるのだ。 日本フランチャイズチェーン協会がまとめた調査では、2017年度のFC数は1339チェーン。8年連続の増加で、売上高は25兆5598億円と過去最高だ。 米国発祥のFCはいまや日本にすっかり定着、街角にはFCの店はあふれているが、その裏で、少なくはない「泣き寝入り加盟店」がいることも忘れてはならないだろう。 FC加盟店協会や法曹界の一部は、FC業界だけを規制する独自の法律の整備を求めてきた。 本部に対し弱い立場にある加盟店を、いわば「消費者」と同様に考え、フランチャイズへの加盟解約をクーリングオフできる仕組みを導入することや、ロイヤリティーに一定の規制をすることなどが、要望として挙げられている。 FCでは日本より後発組の豪州では加盟店を消費者として保護し、クーリングオフ制度が採り入れられている。 だが、コンビニや飲食などを運営するなど大手FCの幹部の中には、FC本部と加盟店は「事業者同士、あくまで対等の関係」にあるとし、「契約の自由」を盾に“規制強化”に反対する声が依然として多いと言う。 だが、FCの健全な発展を考えれば、FCの健全化法を議論すべき時だろう』、FC契約の実効性が分かるためにはある程度の期間が必要なので、単純なクーリングオフ制度は馴染み難いだろう。それよりも、加盟店側のリスクを本部も一定程度シェアするような契約にすれば、詐欺的FCに対する抑止力になるのではなかろうか。ただ、FC本部の方ばかりを向いた自民党政権には、残念ながら余り期待できないだろう。
タグ:シンガポール 独占禁止法 ドン・キホーテ 小売業 ウエルシア 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 森山真二 (一般) (その3)(ウエルシアが突く 王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引、「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由、FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状) 「ウエルシアが突く、王者コンビニの3つの弱点 ドラッグストア市場をけん引」 ドラッグストア首位 郊外型から都市型立地へと乗り出し、小売業界の王者セブンイレブンなどコンビニの弱点を突く コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある 1つ目は価格だ コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ コンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素 時給は2割以上も高く 薬と化粧品が“安売りの原資” 医薬品を高い利益率で販売できるという強み 化粧品も33%という安定した粗利率がある その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができる コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している ウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げている ドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明 イオンにとって大きな財産 「自前の論理に経営の軸足を置かことが大切」 「「ドン・キホーテ」が創業者復帰に社名変更で海外展開を急ぐ理由」 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 約40店舗の海外は200店を目指し、売上高についても「『いつ頃か』を言うのは時期尚早だが、全体の3分の1、利益も3分の1を目指していく 7400店を持つファミリーマートの海外展開の実績を評価し、ユニファミマの親会社である伊藤忠商事の海外でのノウハウやネットワークなど経営資源を活用するためだった ファミリーマートや伊藤忠商事の海外ネットワークを活用しながら、関税のかからない商品を低価格で仕入れ縦横に海外店舗で販売する 海外でドンキの「世界観」が受け入れられるか シンガポールの店舗では、ドンキお得意の圧縮陳列は日本の店舗よりも控えめ パンパシHDが海外展開を急ぐ理由 紅林健太郎 「FC本部と加盟店のトラブル多発!泣き寝入りするオーナーの窮状」 「過大な売り上げ予測」で勧誘 本部に「だまされた」の思い この5年で約300件の訴訟 外食やサービスで増える トラブルの経験積んだFC本部 「不利な契約」を呑みがちな素人加盟店 加盟店を守る法律はあるが罰則規定なく適用対象は限定 フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」との指針 独禁法ガイドライン 中小小売商業振興法 FC本部に対し、直近5年間の訴訟件数や、直近の加盟店舗数の推移など22項目を加盟契約時に加盟店に開示することを義務付けた 加盟金狙いだけの悪質業者 FC健全化法制定の議論を
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電機産業(その2)(日本の電機メーカーが敗北した理由 元アスキー社長・西和彦が語る、名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」 3000人規模リストラも計画だが 視界は不良、テスラに悩まされるパナソニック社長の本音 「いったい何者なのか」と自問自答した真意、名門GE異例のトップ交代で解体加速 IoT事業も練り直し) [産業動向]

電機産業については、2016年6月21日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(日本の電機メーカーが敗北した理由 元アスキー社長・西和彦が語る、名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」 3000人規模リストラも計画だが 視界は不良、テスラに悩まされるパナソニック社長の本音 「いったい何者なのか」と自問自答した真意、名門GE異例のトップ交代で解体加速 IoT事業も練り直し)である。なお、タイトルから「日本の」は削除した。

先ずは、8月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した東京大学工学系研究科IoTメディアラボラトリー ディレクターの西 和彦氏へのインタビュー「日本の電機メーカーが敗北した理由、元アスキー社長・西和彦が語る」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/178238
・『技術開発者、経営者、研究者と、IT社会の前線で常に時代を引っ張ってきた西和彦氏。その重層的な経験は、西氏に今、どのような感慨をもたらしているのだろうか。日本IT史における一時代の主役の一側面を記すインタビューをお届けする』、西氏がアカデミックの世界にいたとは。
・『ネット社会の到来と変革の様相はほぼ20年前の予想通りだった  ――西さんと初めてお目にかかったのは1990年代初めのことで、まだインターネットの黎明期でした。その際にはインターネットの未来を実感させられました。 西 確か週刊ダイヤモンドの別冊で、『インターネット超時空術』という雑誌を一緒に作りましたね。 ――1996年です。西さんに監修していただきました。あの時、西さんは、「これからはハワイでも、山の中の温泉でも仕事ができるよ」とおっしゃって、編集スタッフ用のサイトを作って、全員が取材状況を共有できるようにしてくれました。偶然、私は編集作業中に別件でハワイ出張があり、ホテルで「電話にこのパソコンをつなげてインターネットを使いたいのですが」と説明したら、コンシェルジュが「当ホテルではできませんが、ここで聞いてみては?」と教えてくれた場所があり、行ってみるとIBMのハワイ支社でした(笑)。当時はまだ早かったけれど、その後、西さんの言った通り、インターネットで仕事ができる時代が確実にやってきました。西 96年と言えば、私がアスキーの社長を務めていたころですが、そのころの予言はほぼ当たっています。個別の技術うんぬんというよりも、インターネットの社会性というか、人々の暮らしを革命的に変えていくという社会学的な意味での部分はほとんど予測していた通りでした。』、西氏の将来技術への読みはさすがだ。
・『――80年代の西さんは、マイクロソフトと組んで、後に「パソコン」と呼ばれる機器の開発に全力を挙げていましたが、思い出深い機器はありますか。 西 たくさんあって、これ一つにと絞れない(笑)。例えば「NECのPC8001」とかかなぁ。それ以外にもIBMのパソコンや、鳥取三洋電機に作ってもらったゼニス社向けのポータブルパソコンは、世界初のIBM互換機、いわゆるコンパチのノートパソコンでした。松下電器とソニーが同じ規格を採用してくれた「MSXパソコン」や、Windows1.0を搭載した日本初のデスクトップパソコン「NEC PC100」、パソコンに初めてCD-ROMを搭載した富士通の「FM TOWNS 」なども思い出深いものです。企画や設計に深くかかわったからです。 当時は、パソコンに必要なビデオチップやオーディオチップ、そしてCPUもアスキーで開発していたし、CDに74分のビデオを入れられるデジタル画像圧縮技術では日刊工業新聞社から賞もいただきました。 ――懐かしいものばかりですね。連載でも書かれていましたが、発想の根底には「コンピューターはメディアになる」という思想が一貫してありましたね。 西 コンピューターは、最初は数字で、計算機、次に文字、つまりワープロになり、図や写真が扱えるようになり、オーディオ編集やビデオ編集へと機能を高めてきました。 発想のバックボーンにあるのは、じつは子どものころからやっていたアマチュア無線で、電信や音声だけでなく、無線でテレタイプや画像送信ができるようになっていった経験がありました。つまり、無線はメディアになっていったわけです。そうした経験をしていたからこそ、コンピューターもメディアになると予想できたのです』、アマチュア無線の経験がものをいったとは、天才の発想は常人には図り難いものがあるようだ。
・『技術の未来に世界観を持たないトップが日本メーカーの失敗を招いた  ――多くの技術をリードしてきたマイクロソフトですが、スマートフォン時代につまずきました。それはなぜだったとお考えですか。 西 マイクロソフトの「Windowsモバイル」は、新しく開発されたモバイル用のOSで動き、製品としては大変いいものでした。ただマイクロソフトが見誤ったのは、モバイル上で動くアプリをなめていたことです。「全部、ブラウザ上で動くからいいじゃないか」と高をくくっていたんです。そのうちアプリを書いてくれるよ。書いてくれなければ金をやったらいいだろう。でも、誰もスマホ用のアプリの開発に熱心にならなかった。 もし、WindowsモバイルにWindows OSそのものをフルで載せていたら、状況はまったく変わっていたと思います。Windowsが動くスマホならば独立アプリはたくさんあるし、開発もしやすいので、アンドロイドやiOSとも本格的に戦えたと思います。今からでも遅くないと思って、実は東大のうちのラボで試作しています。 ――技術のレベルではなく、ちょっとした戦術の違いで状況が劇的に変わってしまったわけですね。 西 トップが深く関与して、現場の戦術立案のプロセスについて徹底的にチェックすることをしない限り、負けるのではないかと思います。現場にお任せではダメです。現場は自分たちのやっていることに自信を持っていますが、トップは将来的に本当にそれが正しいのかどうか検証する必要がある。上がってきた技術に対しては、現場が責任を持ちます。しかし、トップはもっと大きな世界観と視野を持って、世界と会社の未来を判断しなければなりません。それができなければ、あっという間に事業は死に絶えてしまいます。 そうした未来予測ができるかできないかが、トップに必要とされる重要な資質になっていると思うのです。だからこそ、マイクロソフトでもスティーブ・バルマーは、責任を問われたのでしょう』、トップの責任はやはり極めて重いようだ。
・『――日本の電機メーカーにも同じような過去がありますよね。 西 例えば「ブルーレイ」や「HD DVD(High-Definition DVD)」があります。今やパソコンへのDVD搭載は当たり前ですが、ブルーレイを搭載したパソコンは、いまだに普及していません。 なぜそんなことになったかといえば、ブルーレイ開発の中心だったソニーが、「プレイステーション4」への4K対応ブルーレイ再生機能の搭載を見送ったからです。たった数千円のコストをケチって、人気ゲーム機に搭載しなかった。これは犯罪に近い判断です。これによって4Kブルーレイは、ソニーが自ら中心になって開発した商品なのにもかかわらず、自らその普及に大きなブレーキをかけてしまいました。2Kのブルーレイも4Kのブルーレイも瀕死状態になってしまったと言っていいと思います。 一方、ブルーレイに対抗して東芝が開発したHD DVDもダメでした。こちらはマイクロソフトが、XBOXの標準機能にしなかったからです。もし東芝が、「HD DVD用ドライブをDVD用ドライブと同じ値段でマイクロソフトや他のパソコンメーカーに最初から赤字でも納めます」と言っていれば、マイクロソフトも標準対応にして普及したでしょう。今ではそれが当たり前になっていたに違いありません。 ブルーレイにしろHD DVDにしろ、売れないから作らない、作らないから売れないという“ネガティブシュリンク”にはまってしまったのです。経営陣の大きな戦術ミスが、せっかくの素晴らしい良い技術をダメにしてしまったのではないでしょうか。痛恨の極みです。これはまとめて本にしたいと考えています』、ソニーも東芝も大きな戦術ミスで、もったいないことをしたものだ。
・『中山素平翁に助けられ教えられて自分は生き返った  ――西さんは、パソコンやインターネットを日本に持ってきて、若くして日本を代表するような経営者たちに会われ、口説き落として多くの製品を開発してきました。年配の経営者の方々にかわいがられていて、記者たちの間では「じじい殺し」と言われていました。 西 いや僕は、そんなこと思っていませんでしたけど。嫌なじじいもたくさんいたし、そんなじじいには面と向かって悪口言って、その後は口も利いていません。さすがに葬式には行っているけど(笑)。 ――では、西さんが尊敬する経営者はどんな方ですか。 西 いちばんは、やはり日本興業銀行の頭取だった中山素平さんですね。中山さんに初めてお目にかかったのは、アスキーのスイスフラン建ての無担保転換社債の繰り上げ償還で借り換えの協調融資をお願いにあがったときです。その後、興銀が応援指導してくれてリストラもうまくいきました。 その成果報告とお礼にうかがった際、「あの時は助けていただいて本当にありがとうございました。業績もよくなってきて、ちゃんとお金を返していきます」と挨拶したら、「それはよかった。しかし君、お金を返してもらったら銀行のビジネスはあがったりだよ。それで関係は終わってしまう。だから君、いい会社になって、もっとお金をたくさん借りたまえ」と言われたのにはびっくりしました。 ――構えが違う、というやつですか。 西 バランス感覚を始めとすると総合的な感覚がすごい方でした。日本人として日本のためにという発想にブレがなかったように感じます。 ――「君はリスクを取りすぎだ」とも言われたそうですね。 西 それはね、アスキーの社長を辞める前の話です。中山さんに「アスキーを助けるためにCSKにお金を出してもらうことになりました」と報告したら、「何のために興銀は君を助けたのか」と語気を荒らげて怒られたんです。「君にはそれが分からないのか」と言われたのです。僕はもったいなくて中山さんの前で泣いてしまったのですが、最後はこう言われました。 「こうなったからには、大川さんにはかわいがってもらい、経営者としての立場を維持できるように頑張りなさい。そもそも、君は何でもかんでも喜んで自分のリスクとして抱え込み突撃していくが、これからはやめなさい。たとえ10回うまくいっても、1回失敗するとすべてがおしまいになってしまう。だから気をつけなさい。これからの人生で、もう大きな失敗はしない方がいい」と。 そう言ってもらえると、アスキーを辞めなければならない悲しみよりも、それだけ評価してもらって温かい言葉をかけてもらえているんだと、随分と癒やされました。感謝しています。 中山さんが亡くなった時に、日経新聞は3人のコメントを載せました。中曽根康弘元総理、富士ゼロックスの会長で、中山さんが創設に関わった国際大学の理事長になる小林陽太郎さん、そして僕。若手の経営者の中で最もかわいがってもらったのは僕だというのが理由でした。今でも鎌倉霊園にお参りに行っています』、中山素平氏は、「財界の鞍馬天狗」といわれただけあって、人を見る目があったようだ。
・『大川功は「先を見る目」がすごかった 孫正義には「天の時」がない  ――アスキーを買収したCSKの大川功さんは、どのような方でしたか。 西 ご本人はよく「予兆」という言葉を使っておられましたが、私から言わせれば「先を見る目」「先手を打つ」という機動的な部分がすごかった。 アスキーへの支援決定後、私は社長を退任して平の取締役として大川さんの特命事項担当のような仕事をしていましたが、M&Aとかプロジェクトにお金を出すときの感覚が、他のオーナー経営者とはまったく違っていました。 普通、オーナー経営者はケチで、10億円の事業買収ならば「8億円にならないか」と値切ったりするものです。しかし大川さんは、一切値切らない。むしろ、「10億円? 12億円払うからこうしろ」と言う。そういう買い方をする人でした。 大川さんは2001年に、会長を務めていたセガが家庭用ゲーム機分野から撤退する際に、個人資産約850億円をセガに寄付して“終戦処理”を支援しました。「事業で得たお金は事業に返す」という信念を見せたのですが、そんなオーナー経営者はいませんよ。そこはすごかった。大川さんを超えるオーナー経営者にはまだ出会ったことがありません。 ――ソフトバンクの孫正義さんについても、感じるところをお聞かせいただけますか。西さんと孫さんは、「IT時代の寵児」として、事あるごとに並び称されていました。 西 仲は悪くありませんよ。コンサルの注文もくれたし。ただ一緒に仕事した機会がほとんどないので、正直よくは分かりません。そもそも僕と孫さんは、今では別の世界の住人。孫さんは投資家であり、僕は実業家で研究者です。投資と実業、研究は違います。 ――孫さんは、「ITの未来」への投資を続けています。同じ未来を見ている立場の者としての評価はいかがですか。 西 孫さんの“誤算”は何かと言えば、「時間」だと思います。孫さんの頭の中では猛烈なスピードでIoT とかAIといった技術の進歩と、そこで出現する社会が描かれているのでしょう。研究の現場にいる僕にすれば、その予測は正しい。けれど、孫さんが10年でくると思っている状況になるには30年かかりますよ。「時間切れで死んでるよ」と言いたい。 確かに私も世の中が進むスピードが、どうしてこんなに遅いのかとイライラする毎日です。でも半ばあきらめているんです。ならば、長生きして待とうと。 だから失礼な話だけど、僕は、孫さんのARMへの投資は失敗すると思います。方針は正しいんです。「方針の失敗」ではなくて「時間の失敗」。3~5年では成果は見えず、そのうちファンドの償還期限がきてしまう。つまり時間切れのタイムアウトになるでしょう。孫さんは読みが早すぎなのではないでしょうか。地の利、人の和はあるが、天の時がないということではないでしょうか』、孫氏への評価は手厳しいが、確かに当たっているのかも知れない。
・『IoTにおけるキラーアプリは バイオセンサーなど4つ  ――IT世界の競争では、常に普及の起爆剤となる“キラーアプリ”を誰が創造し、握るのかが重要ですが、IoTにおけるキラーアプリとはどのようなものだとお考えですか。 西 4つほどあると思います。1つ目は人間の体のセンシング、つまりバイオメトリックスセンサー。2つ目がインテリジェントハウス、3つ目がインテリジェントシティ、4つ目が宇宙も含めた意味での空間問題です。 ――しかし、さきほどの「時間」の話のように、IoT活用の歩みは思った以上に遅いという印象もあります。 西 そうですね。とりあえずはバイオメトリックという体のモニターを必要としている人がたくさんいるので、それを中心に研究しています。ばんそうこう型で使い捨ての各種センサーといったものです。 IoTとは何かといえば、結局のところマイクロコントローラーと通信システム、そしてクラウドの3つなのです。そのため、クラウド研究の一環として電子マネーの研究も進めています。ただ、監督当局は、金融システムは理解しているけれど電子マネーのタックスヘイブン的な性質や、一方で現実世界での基軸通貨をめぐる主導権争いとの関係などについて十分に整理できていないのではないかと感じます。そうしたことこそIoT活用面で、課題だと言えます』、監督当局も困難ではあっても、IoT活用面の課題を解きほぐしてもらいたい。
・『5つの革命史を書きたいのは正史と違う現実があるからだ  ――東大は65歳が定年です。その後のことは考えていらっしゃるのですか。 西 Windows関連機器の開発やアスキーの経営は、正直しんどく、つらいものでした。大学での研究生活は前向きで、楽しいものですが、つらさは同じです。だから65歳を過ぎたら、つらくない、楽しめることをしたい。 具体的には、戦争と政治の歴史についてまとめようと思っています。日本古代史と日本戦国史、明治革命史、太平洋戦争前の動員体制史、フランス革命史で1冊ずつ本を書きたいと考えています。 歴史の根底にある政治に興味があるのですが、ある碩学の先生から、「君ね、政治学みたいなむなしいものをやっちゃダメだよ。政治は常に建前と本音があり、政治的建前の研究などというむなしいものに大切な時間を使ってはいけない」と言われ、「そんなものかな」と感じてはいるのですが、それはそれで面白そうじゃないですか。 ――なぜ古代史や戦国史などなのですか。 西 いわゆる正史には、勝者が書き換えたうそがあり、正史ではないことに、さまざまな事実や人の思惑があるからです。日本の歴史は、中国や半島からの帰化した人たち同士の戦いという側面もあります。フランス革命も本当に自由と民主主義のための闘争だったのかは疑問があり、分かりませんからね。 ――西さんと言えば、蔵書の多さも有名ですが、将来は学園長を務めていらっしゃる須磨学園に「西和彦文庫」でも作られますか。 西 今は7万冊ぐらいあるかなぁ。高校時代の英語の金田収二先生から「西君、本は買おうか買うまいか迷ったら全部買いなさい。それによって君の人生は大きく広がって変わりますよ」と教えられて、こんな蔵書になりました。 でも西文庫など作りませんよ。僕が持っている技術や美術の専門書は中高生には難しすぎるし、須磨学園の図書館の司書さんたちも持て余すでしょう。そもそも蔵書とは属人的なものであり、他人に預けても価値は共有されずに古本屋に売られるのがオチです。 「今月の主筆」の連載で、ブックオフを創業した坂本孝さんの話を読んでがっかりしました。というのも、買い取り価格は1冊10円で、7万冊を古本屋さんに売っても、合計で100万円にもならないと知ったからです。本の購入には、1億円は使っていると思うんですけどね。悔しいな。絶対に売りません』、「蔵書とは属人的なものであり、他人に預けても価値は共有されずに古本屋に売られるのがオチです」というのは味わい深い言葉だ。でも、私は1冊10円でも売って整理したい。

次に、12月8日付け東洋経済オンライン「名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」 3000人規模リストラも計画だが、視界は不良」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/254105
・『かつては「名門」と言われ、革新的な技術を生み出してきた創業80年の老舗メーカーのパイオニア。経営再建を模索していたが、香港系投資ファンドの傘下に入ることになった。12月7日、パイオニアはベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以下ベアリング)と経営再建計画で合意したと発表。ベアリングが総額1020億円を投じてパイオニアを買収する。 具体的なスキームはこうだ。パイオニアが来年1月25日に開く臨時株主総会で承認を得た後、来年3月をメドに第三者割当増資を行って、ベアリングから770億円の出資を受ける。その後、残りの株式もベアリング側が250億円で株主から買い取る。買い取り額は1株当たり66.1円で12月7日の終値の88円よりも25%安い。株主にとっては厳しいスキームとなる。 早ければ、2018(正しくは9)年3月中にパイオニアはベアリングの完全子会社となり、上場廃止になる。会見を開いたパイオニアの森谷浩一社長は「サポートしてくださっていた株主の皆様には申し訳ないが、この改革をしなければパイオニアの未来はない」と覚悟を示した』、発表後の株価は63~64円と買い取り額をも下回っている。
・『人員削減や事業整理にも着手へ  ベアリングのジォーン・エリック・サラタ会長兼CEOは、「パイオニアの技術力、ブランド力、人材という強みを活かしながら、まずは迅速な財政基盤の安定化が求められる。そのための非上場化だ」と語った。ベアリングは2006年に日本法人を設立。ホームセンターのジョイフル本田など国内7社、総計2750億円の投資実績を有する。パイオニアがDJ事業を売却する際も名乗りを上げた経緯がある。 森谷社長は経営再建計画の具体的な内容について明言を避けたが、財務基盤安定を最優先に、2年間で全体の約15%に当たる3000人規模の人員削減や事業整理、拠点の統廃合などを進めるとした。取締役は森谷社長を残して5人が辞任し、臨時株主総会後にベアリングからの新たな取締役を受け入れるが、パイオニアから改めて選任される可能性もあるという。 「社内はざわついているが、方向性が決まってよかった」。リストラや事業再編の不安もある中、ある社員は取材に安堵した気持ちを吐露した。 パイオニアは今年5月にカーナビを自動車メーカーに販売するOEM事業で大規模な損失が見込まれると発表。抜本的な対策を早急に講じるため、スポンサー探しに奔走していた。6月には、10年間社長を務めた小谷進社長(現会長)が退任し、森谷社長がバトンを引き継いだ。しかし、2018年4〜6月期決算では資金繰りの懸念から「継続企業の前提に関する疑義注記」が付いた。銀行にOEM事業の再建案を示せず、シンジケートローンの借り換えを拒否される事態に陥ったからだ。 自動車部品メーカー大手のカルソニックカンセイなどが支援先として名乗りを上げる中、最終的に、9月にベアリングとスポンサー支援の基本合意を締結。シンジケートローン借り換え期限間際の9月18日に250億円の融資を受けた。12月中に500〜600億円の増資を行うための本契約に向け10月中の合意を目指したが、交渉が長引いていた。 9月の基本合意時点では、両者は上場維持を前提に話を進めていたというが、森谷社長は「やはりお金だけ出してもらうわけにはいかない。一緒の船に乗り、どう再生して行くかを考えた」と、打ち明ける。増資額が計画より170 億円増えているのは、2020年12月に償還予定の転換社債について、その時期までに150億円分のキャッシュを用意できる見通しが立たないためだという』、「OEM事業で大規模な損失」というのは解せないが、仕事量確保の余り無理な条件で受注したのかも知れない。
・『求められるマネジメント能力  パイオニアはこれまでも経営危機に見舞われてきた。社運をかけたプラズマ事業の不振で2010年まで6年連続の最終赤字を経験した。大規模なリストラや工場閉鎖を断行し、ホンダなど3社に対する第三者割当増資で急場をしのいだ。2014年には祖業のオーディオ事業と売れ筋のDJ機器事業を売却し、車載事業へと大きく舵を切った。 だが、グローバルでの技術革新のスピードを見極められず、客先からの大掛かりな仕様変更を請負わざるを得なくなった。森谷社長は、「売り上げの増減に対してのコストの出方や、開発投資と回収のバランスをマネジメントする能力が不十分だった」と反省を示す。 将来の成長を見込む高精度3D地図を開発する子会社「インクリメントP」や自動運転用の高性能センサーLiDARなど注目すべき事業はあるが、黒字化には程遠い。ベアリングによる完全子会社化が完了するタイミングで、パイオニアは中期経営計画や具体的な再建計画を発表する予定だが、成長戦略をどう描くかが注目される。 加えて、変化の激しい車載ビジネスの荒波の中、パイオニアの高い技術力や優秀な人材を、いかにマネジメントできるかが新体制の課題になる。社員口コミサイトの「Vorkers」には、「経営センスのある人物を外部から迎えるべきだ」という元社員のコメントが寄せられている。外資系ファンド傘下で生まれ変わることができるのか』、なんとか生まれ変わってほしいものだ。

第三に、10月31日付け東洋経済オンライン「テスラに悩まされるパナソニック社長の本音 「いったい何者なのか」と自問自答した真意」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/246498
・『家電から車載に軸足を移して成長する――。一度はそう打ち出したパナソニックが、方針の見直しを決断した。 「実はここしばらくの間、パナソニックという会社がいったい何者なのか、自問自答する日々を過ごした。かつて家電の会社だった時代は説明しやすかったが、今は車載電池、車載エレクトロニクス、工場の(製造)ラインなど、さまざまな事業を展開している。そして気がつくと、パナソニックがいったい何者なのか見えなくなっていた。正直、かなり悩んだ」 今年創業100周年を迎えたパナソニックが10月30日から5日間、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催している記念イベント。開催初日の30日、基調講演に登壇した津賀一宏社長のスピーチのサブタイトルは、「パナソニックは、家電の会社から何の会社になるのか」。テーマの通り、話は社長の悩みの吐露から始まった』、100周年記念イベントの基調講演が「悩みの吐露から始まった」というのは、前代未聞で驚かされた。よほど悩みが深いのだろう。
・『住宅と車載、成長の2本柱に抱く不安  テレビの失敗を元凶とする業績不振から脱却すべく、2012年に社長に就任して以来、家電の次の成長柱を模索してきた津賀氏。2013年には、住宅と車載の2分野を重点事業に位置づけ、2015年から4年間で1兆円の戦略投資枠を設けるなど、事業の育成に注力してきた。 だが、住宅事業は戸建てやリフォーム、介護などの重点領域で中期の収益計画を大幅に下方修正。直近の2018年4〜6月期は営業赤字となり、戦略を再考。そこで現在は、もう一本の柱である車載部品の中でも今後の市場拡大が見込まれるEV(電気自動車)用リチウムイオン電池を成長の柱に位置づけている。 電池事業の最大顧客は2011年から戦略的パートナー契約を結ぶ米EVメーカーのテスラ。アメリカ・ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」にはパナソニックも2000億円程度を出資し、共同で運営している。2017年にはトヨタ自動車との提携検討も発表した。この2社を筆頭に、12社80車種以上に供給し、出荷量ベースでは世界シェアの15%ほどを握る(2017年、調査会社テクノ・システム・リサーチ)など、市場でも優位にある。 電池事業の2017年度の業績は、北米と中国2つの新設工場への先行投資が重く18億円の営業赤字だったが、「今期(2018年度)から本格的に投資の刈り取り時期に入る」(梅田和博CFO)。車載事業の成長がまさにこれから、という時期にも関わらず、津賀氏が思い悩んだのはいったいなぜなのか』、住宅事業も2018年4〜6月期は営業赤字とは深刻だ。
・『津賀氏はこう打ち明ける。「車載電池の会社になるといっても、10年後、20年後に自動車ビジネスがどうなっているかはわからない。そう簡単に事業領域を絞り込むことは難しい」。 慎重な物言いの背景には、車載電池を巡る環境の変化がある。その1つが、テスラの混乱だ。同社初の大衆車となる「モデル3」の生産を2017年7月に開始したが、全自動ラインの立ち上げに苦戦。本来、昨年12月までに達成する予定だった週次5000台の生産目標は今年6月へとずれこんだ。これに伴い、パナソニック側の電池の出荷も計画比で下振れし、生産過剰となった一部を住宅用蓄電池向けに振り分けるなどの対応に追われた』、テスラの「おおボラ」に振り回されるのでは、かなわないだろう。
・『イーロン・マスク氏のツイッターが波紋  それに加えて、テスラのイーロン・マスクCEOの奔放な言動にも肝を冷やすことになった。これまでも過激な言動が話題になってきたマスク氏だが、今年8月にはツイッターで突然、株式の非上場化を示唆し、株価操縦の疑いがあるとしてアメリカの証券取引委員会から起訴される事態にまで発展した。 モデル3の生産台数は、設備の入れ替えなどが奏功し、足元は週次5000台で安定してきた。10月25日に発表された7〜9月期決算は市場予測を上回り、これまでマイナス値が続いていたテスラのフリーキャッシュフローが8億8100万ドルのプラスに転換。パナソニックの電池の出荷も大幅に拡大しているはずだ。それでも、株式市場の見方は厳しく、2018年の初頭から続く株価の低迷は未だ底を打ちそうにない。 モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストは、パナソニックの株価低迷をこう分析する。「株価の変動幅が大きい現在の市場環境では、少しでもリスク要因のある銘柄は避けられる。パナソニックの場合、車載電池の最大顧客であるテスラの生産状況の不透明性に加え、テスラと組むこと自体、同社の信用度を下げるリスクがあるとみられている」。 津賀氏も東洋経済の取材に対し、「テスラとのリスクは常にヘッジしているし、テスラが倒産するわけでもないが、唯一どうにもできないのはイーロンの言動」と苦悩を語った。 今後どこまでテスラと付き合うかも問題だ。10月には中国・上海の工場用地を獲得し、2019年から一部生産を始める予定。パナソニックの津賀氏は中国での協業も「検討する」と発言してきた。ただ、「中国でも手を組む場合、従来よりよい条件でテスラと協業し、投資負担やリスクを抑えない限り、収益性の大幅な向上は望みにくい」(みずほ証券の中根康夫アナリスト)との指摘もある。 リスクはテスラの混乱だけではない。投資に積極的な中国の電池メーカーも脅威だ。EV拡大を国策として進める中国政府の手厚い支援の下、莫大な投資を進める中国の電池メーカーCATLも、中国国内の自動車メーカーのみならず、日産自動車やホンダ自動車など、パナソニックの重要顧客にも、中国国内で発売する一部車種ではあるが採用が始まった。 こうした状況を受け、パナソニック社内には「車載電池は中国勢の勝ち」と見る社員もいる。津賀氏は取材の中で、「われわれの電池が世界最高レベルの品質水準であることに違いはない。パナソニックがCATLに負けたという意見には反応する気にもなれない」と語気を強めた一方で、「当社の競合となりうる筆頭格」とは認めた。また、電子ミラーやコックピット、センサーなど幅広い商品群を展開するパナソニックの車載事業だが、電池に替わるほどの強い部品がないのが現状だ』、テスラでは、イーロン・マスク氏が会長を退くようだが、今後の影響力は未知数だ。さらに、「中国政府の手厚い支援を受ける地場電池メーカーとの競争は、なま易しくはなさそうだ。
・『定まらない未来のビジョン  家電の会社から脱却したものの、車載部品メーカーとしての持続的な成長に不確実性が出てきたパナソニック。そこで、津賀氏が今回の講演で新たに打ち立てた目標が、「くらしアップデート業」なるものだった。 いったいどういうことなのか。家電販売のような完成品を売り切るビジネスモデルではなく、消費者の暮らしにあわせてソフトウェアをアップデートする家電やサービスを強化し、継続的な課金収入を得るモデルを目指すという。その一例として、街中などの特定区間を低速で走り、宅配や売店、医療などさまざまなサービスを展開できるコンセプトカーや、家の中の情報基盤「ホームX」などを発表。つまり、暮らしを軸としたプラットフォーマーを目指すというのだ。 ただ、この新目標はこれまで打ち立ててきた住宅や車載の強化よりも一段高い次元の話だ。展開する多様な取り組みの中でパナソニックの強みがいったいどこにあるのかはまだ見えにくい。パナソニックが次の100年も存続する上での“自分探し”は、今後も続く』、確かに取り巻く環境に不確実性が高いなかでは、“自分探し”も容易ではなかろう。奮闘を期待したい。

第四に、第四に、10月17日付けダイヤモンド・オンライン「名門GE異例のトップ交代で解体加速、IoT事業も練り直し」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182156
・『米ゼネラル・エレクトリック(GE)が1日、初めて社外出身者をCEOに据えるトップ人事を行った。2017年12月期、58億ドルの最終赤字に沈んだGEは事業売却などのリストラを進めるが、新CEOの下で解体がさらに加速しそうだ。 前CEOのジョン・フラナリー氏は、主力の火力発電機器の低迷が決定的になっていた17年8月にトップに就任。中核部門の医療機器を含む200億ドル規模の事業売却などに着手したが、株価の下落を止めることはできなかった。 フラナリー氏は9月下旬、ひっそりと来日し、経団連の会合で講演していた。会合に参加した企業の幹部は「(危機対応で)疲れていた。看板事業としてぶち上げたIoT(モノのインターネット)関連事業の説明にもかつての勢いを感じなかった」と振り返る。 日本での講演から数日後、フラナリー氏は更迭された。1年という在任期間は、10年以上続投するトップが続いていたGEにとって異例の短さだ』、あの名門GEでCEOが僅か1年で交代というのは、電機業界を取り巻く環境の厳しさを示唆しているのかも知れない。
・『今回、CEOに就任したローレンス・カルプ氏は米医療機器メーカー、ダナハーのトップとして同社の時価総額を5倍にした人物だ。 GEのCEO就任と同時に、15年に買収した仏アルストムの電力部門を含む230億ドルののれん代の大部分を減損処理する方針を示した。カルプ氏のトップ就任が好感され、GE株は反発した。 だが、これで膿を出し切れたのかと疑われてしまうのが現在のGEの苦しいところだ。昨年以降、金融部門での損失計上や年金の積み立て不足といった問題が噴出し、業績予想の下方修正が続いたため、不信感を持たれているのだ』、不信感払拭は簡単ではなさそうだ。
・『日本での事業にも変化  こうした疑いを晴らすためにも、カルプ氏は事業売却やコスト削減を加速するだろう。 リストラは成長分野に位置付けてきたIoT関連事業にも及ぶ。発電機器などのデータを解析して運用改善につなげるIoTプラットホームなどを開発する子会社、GEデジタルのコストを4億ドル減らすという。 プラットホームの売り込み先も絞り込む。GEは日本でソフトバンクやNECと提携し、全方位的に営業してきたが、めぼしい実績を挙げていない。このため、GEの中核製品である航空エンジンや発電機器の顧客(航空業界や電力業界)に注力する。 だが、そうした注力業界の企業幹部ですら、「GEは積極的にアプリを開発する意気込みがなくなった。プラットホームを使って自由に課題解決してくださいという姿勢に後退した」と話す。 同企業を担当していたGEの中堅技術者ら3人が最近、日系電機メーカーにまとまって転職するなどIoT人材がGEを離れている。GEはIoT関連事業を続けるが、事業戦略の練り直しも必要になりそうだ』、何でも自社開発するのではなく、オープンに開発してゆく路線なのだろうが、中堅技術者ら3人がまとまって転職、というのは痛いところだろう。
タグ:東洋経済オンライン 記念イベント ダイヤモンド・オンライン 創業100周年 電機産業 (その2)(日本の電機メーカーが敗北した理由 元アスキー社長・西和彦が語る、名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」 3000人規模リストラも計画だが 視界は不良、テスラに悩まされるパナソニック社長の本音 「いったい何者なのか」と自問自答した真意、名門GE異例のトップ交代で解体加速 IoT事業も練り直し) 「日本の電機メーカーが敗北した理由、元アスキー社長・西和彦が語る」 ネット社会の到来と変革の様相はほぼ20年前の予想通りだった 技術の未来に世界観を持たないトップが日本メーカーの失敗を招いた 中山素平翁に助けられ教えられて自分は生き返った 大川功は「先を見る目」がすごかった 孫正義には「天の時」がない 孫さんのARMへの投資は失敗すると思います。方針は正しいんです。「方針の失敗」ではなくて「時間の失敗」。 3~5年では成果は見えず、そのうちファンドの償還期限がきてしまう。つまり時間切れのタイムアウトになるでしょう。孫さんは読みが早すぎなのではないでしょうか。地の利、人の和はあるが、天の時がないということではないでしょうか IoTにおけるキラーアプリは バイオセンサーなど4つ 5つの革命史を書きたいのは正史と違う現実があるからだ 「名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」 3000人規模リストラも計画だが、視界は不良」 ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以下ベアリング)と経営再建計画で合意 人員削減や事業整理にも着手へ 求められるマネジメント能力 「テスラに悩まされるパナソニック社長の本音 「いったい何者なのか」と自問自答した真意」 基調講演に登壇した津賀一宏社長のスピーチ 話は社長の悩みの吐露から始まった 住宅と車載、成長の2本柱に抱く不安 イーロン・マスク氏のツイッターが波紋 定まらない未来のビジョン 「名門GE異例のトップ交代で解体加速、IoT事業も練り直し」 初めて社外出身者をCEOに据えるトップ人事 前CEOのジョン・フラナリー氏 1年という在任期間は、10年以上続投するトップが続いていたGEにとって異例の短さだ 日本での事業にも変化
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GAFA(プラットフォーマー)(その1)(「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す GAFAが資本主義のルールを変えた、GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体 自由至上主義者のユートピアが現出した、グーグル炎上!従業員は何に怒っているのか 取締役陣に従業員代表を加えることを要求、世界経済をけん引してきたGAFAに退潮の兆し 米国経済への影響は大) [産業動向]

今日は、GAFA(プラットフォーマー)(その1)(「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す GAFAが資本主義のルールを変えた、GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体 自由至上主義者のユートピアが現出した、グーグル炎上!従業員は何に怒っているのか 取締役陣に従業員代表を加えることを要求、世界経済をけん引してきたGAFAに退潮の兆し 米国経済への影響は大)を取上げよう。

先ずは、ジャーナリストの池田 信夫氏が7月27日付けJBPressに寄稿した「「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す GAFAが資本主義のルールを変えた」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53691
・『EU委員会は7月18日、グーグル社に43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を払うよう命じた。これはEU(ヨーロッパ連合)の制裁金としては史上最大だ。その理由は、グーグルが携帯端末用OS「アンドロイド」に自社製アプリを抱き合わせしているというものだが、これは1990年代のマイクロソフトに対する司法省の訴訟と似ている。 グーグルだけではなく、アップルもアマゾンもフェイスブックもグローバルな独占企業になり、まとめてGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ぶことも多い。こうした新しい独占企業が、グローバル資本主義を変えようとしている』、EUは日本と違って、GAFAに対する取り組みでは先進的だ。
・『インターネットが生んだ独占・集中社会  90年代にインターネットが急速に普及したとき、それは従来の電話網とは違う自律・分散型のネットワークだった。それによって国家と大企業を中心とする20世紀型の社会が変わり、個人を中心とする自律・分散型の社会になると予想する人が多かった。一時はそういう兆しも見えた。電話交換機で通信を独占した電話会社が衰退し、大型コンピュータを独占したIBMが経営危機に瀕し、携帯電話で個人がいつでも世界に情報を発信できるようになった。GAFAのうちアップルを除く3社は、90年代後半以降に創業した企業である。 しかし2004年に創業したフェイスブックを最後に、既存の企業を倒す「破壊的イノベーション」は消えた。新しい成長企業が、大企業に育つ前に買収されたからだ。アンドロイドも、携帯用OSを開発していた会社をグーグルが買収したものだ。ITの世界では、ゼロから研究開発するより有望な企業を買収したほうが速い。  企業買収のもう1つの意味は、競争の芽を摘むことだ。2012年にフェイスブックが写真サイト「インスタグラム」を10億ドルで買収したとき、その売り上げはゼロだったが、ユーザーは3000万人で急成長しており、フェイスブックのライバルになる可能性があった。それを買収することで、フェイスブックは独占を守ったのだ。 皮肉なことに自律・分散型のインターネットが生んだのは、かつての電話会社やIBMより強力な独占・集中型の産業構造だった。それはインターネットという巨大なプラットフォームを独占することが、国家を超える権力になるからだ』、確かにGAFAの巨大化、独占化には目ざましいものがある。
・『「プラットフォーム独占」は国境を超える  キャッシュの余った大企業が関連のない企業を買収して規模を拡大するのは、昔は「コングロマリット」と呼ばれ、ダメな企業の代名詞だった。日本の「総合電機メーカー」のようなコングロマリットの経営が悪化するのは、経営者が資本効率を考えないで多角化して雑多な企業を抱え込むからだ。 しかしGAFAのような「ITコングロマリット」は、多角化しても資本効率が落ちない。それは彼らのコア技術がソフトウェアだからだ。アマゾンやグーグルが自動運転の企業を買収しても、彼らが開発するのは自動車ではなく、それを運転するソフトウェアだから、プラットフォーム独占は共通だ。ハードウェアは中国に発注してもいい。 GAFAは、国境を超えるグローバル独占企業になった。かつて電話会社は国内市場を独占したが、インターネットのユーザーは全世界で40億人。その最適規模は国家を超える。グローバル独占が確立すると、それをくつがえす新企業が出てくることはむずかしい』、「多角化しても資本効率が落ちない。それは彼らのコア技術がソフトウェアだからだ」というのは、その通りだ。つまり巨大化にブレーキが利かないことを意味している。
・『多くの経済学者は、2010年代に成長率が低下した原因を、このようなイノベーションの衰退に求めている。ケネス・ロゴフ(ハーバード大学教授)は、それを「第二のソロー時代」と呼んでいる。  かつて経済学者ロバート・ソローが「コンピュータはどこにでも見られるが、生産性の統計の中には見られない」といったように、インターネットは人々の生活を便利にし、既存企業の独占利潤を上げる役には立ったが、生産性は上がっていないのだ』、これは興味深い指摘だ。
・『古い独占を倒すのは新しい独占  グローバル独占企業が昔の独占企業より強力なのは、その市場支配力が国家に依存しないからだ。最盛期のAT&T(アメリカ電話電信会社)の社員は100万人を超えたが、そのビジネスはアメリカを超えられなかった。1980年代の分割で国際事業が認められたが、失敗に終わった。 国境を超える独占企業になったほとんど唯一の例外がIBMだが、それは大型コンピュータというプラットフォームの独占に依存していたので、パソコンという新しいプラットフォームが出てくると没落した。 独占を守るにはライバルを買収して、新しいプラットフォームをつぶす必要があるが、司法省との独禁法訴訟を抱えていたIBMは、彼らの独占に挑戦する企業を買収できなかった。1980年代にIBMがマイクロソフトを買収していたら、われわれは今も大型コンピュータを使っているかもしれない。 電話会社は各国の規制と戦うことに多大な労力を費やしたが、GAFAには今までそういう問題は少なかった。ソフトウェアを規制する法律はほとんどなく、インターネットという巨大なプラットフォームを独占すれば、IBMよりはるかに巨大な独占企業になれた』、その通りだろう。
・『しかし今回のEU委員会の制裁にみられるように、ヨーロッパ各国政府はGAFAに警戒を強めている。それはもはやヨーロッパにはGAFAに対抗できる企業がなく、アメリカ文化がヨーロッパを支配することを恐れているからだ。 日本政府には、そういう危機感もない。それは日本企業が、とっくの昔にプラットフォーム競争に負け、競争に参加する気もないからだろう。むしろ中国の「国家資本主義」が、GAFAのライバルになる可能性がある』、中国にはその後、トランプ大統領が経済戦争を仕掛けたので、先行きは曲折があろう。
・『21世紀に生まれたグローバル独占資本主義のルールは、経済学の教科書には書かれていない。それは日本メーカーの得意とする「いいものを安くつくる」市場とは違う。問題は性能でも価格でもなく、巨額のリスクを取って独占を作り出す経営者の度胸である。 そこでは市場メカニズムはきかず、強者が徹底的に投資して弱者を蹴落とす進化論的な競争になる。こういう独占を防ぐには、一国内のシェアを基準にした独禁法は無意味である。古い独占を倒すには、新しい独占を育てるしかない。競争政策にもイノベーションが必要である』、「勝者総取り」の世界では、勝者はますます強くなっていく。11月3日の日経新聞によれば、日本政府は、GAFAなどによるデータ寡占を独禁法で規制することを検討しているようだが、果たして可能なのだろうか。相変わらず腰が引けた対応だ。

次に、翻訳家の脇坂 あゆみ氏が8月27日付け東洋経済オンラインに寄稿した「GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体 自由至上主義者のユートピアが現出した」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/234258
・『・・・「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」  アメリカの四大テクノロジー企業の光と影を、ニューヨーク大学のビジネススクール教授が書いた『the four GAFA - 四騎士が創り変えた世界』・・・が話題を呼んでいる。そのタイトルどおり、本書では、これら四強の本質と、彼らがどのようにビジネスや暮らしを一変させてきたかが解き明かされている。 いまやグーグルで検索するとき、「この答えは誰がどうやって決めているの?」とか、「自分の本性がバレないだろうか?」など立ち止まることはほぼない。どこかの天才が、客観的なアルゴリズムによって最も正しい答えに導いてくれると信じて疑うことはない。 アマゾンのレビューで数百人ものレビューアーが良いと言うならきっと良い商品だろうし、アップルの最新端末は、他社製品は言うにおよばず、1年前の機種よりいいに決まっており、フェイスブック・メッセンジャーのない日々の通信も考えられない。 典型的とは言えなくても、ある程度、現代都市でスマホを持っている読者なら心あたりがあるのではないだろうか』、確かに我々の生活にGAFAは深く入り込んでいる。
・『だが、ギャロウェイ教授は、彼らに痛めつけられた自らの経験も踏まえてこの四大企業の本性と怖さを教え、そのサービスを無批判に享受し続ける信者たちに警鐘を鳴らす。四騎士とは、聖書のヨハネの黙示録に登場し、地上の四分の一を支配する強大な力を与えられて平和を脅かし、殺戮や飢饉など厄災をもたらす恐ろしい存在だ。 教授は、四騎士が指し示すのは「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」だと言う。そこはごく限られた強者がゲームのルールを決め、富を独占しながらも税から逃れ社会的責任も果たさない非民主的な世界であり、卓越した能力を持たない凡人がわずかな残り物を争う殺伐とした世界だ。アマゾンの正体は、既存ビジネスと雇用の「破壊者」である。 教授によれば、GAFAは「盗みと保護」によって躍進し、その支配は消費者の本能、主に下半身に訴えるブランド戦略によって盤石なものとなっている。絶対的な力を手にしたGAFA企業は絶対的に腐敗するリスクをはらんでおり、集中しすぎた権力は規制し、解体すべきというのがその主張の一部だ』、随分、過激な主張のようだが、もう少し主張の詳細をみてみよう。
・『次の時代を生き抜くにために、教授が若者たちに提案するのは、まずはこの四騎士の本質を理解すること。そして、次なるスティーブ・ジョブズを夢見るのではなく、「大学にいく」こと、「友人を大切にする」こと、「資格をとる」ことなど。教授が起業したのも、大企業で働くスキルが欠落していたためだという。 本書によって読者は、彼ら四騎士がどのようにビジネスと消費の常識を変えてきたかを知ると同時に、GAFAが君臨する新世界での自分自身の信条と立ち位置について、改めて確認できる。そこにはGAFAを誕生させ、躍進させた文化と、それが目指すユートピアの本質が示されているからだ』、なるほど。
・『リバタリアンのユートピア  GAFAを生み、育て、その独裁を許し、アメリカ議会までもがひれ伏す神聖な帝国を築かせたのは、卓越した商品やサービスを生み出す起業家こそが大きな価値を生み出し、応分の見返りを得るに値するという信条、シリコンバレーなどアメリカの西海岸に巣食うリバタリアンのDNAだ。 GAFAが体現するリバタリアンのDNAとは、次の3点に要約される。第1に、権威ではなく個人がそれぞれの目標と幸福を定義できるとする「個人主義思想」、第2に、少数の天才が社会を前進させる原動力になるという「英雄礼賛文化」、第3に、最小限の国家の介入を理想とする「自由市場経済」である。地上の四分の一を支配し、旧世界に侵食しつつある無慈悲な新世界は、自由至上主義者のユートピアなのだ。 まず、第1が「個人主義思想」だ。GAFAが君臨する世界では、正しいことやいいことは個人によって違っており、それぞれが自分にとっていいこと、時間の使い方をより高い自由度を持って決めることができる。そこでは知りたいことを知りたいときに調べ、買いたいものを買いたいときに買い、遠い国の戦争ではなく、昔の友人や同僚の近況を自分の指先で探し、楽しめる。 「グーグルの登場で、私たちはそれぞれ違う問題、目標、欲望を持つ個人とみなされるようになった。私たちはそれぞれ違う質問をする」と教授は分析する。 本書の読みどころの1つは、教授が取締役を務めたニューヨーク・タイムズとグーグルとの戦いだ。戦いというよりは自然な成り行きとも言えるが、旧世界のタイムズの経営陣は、自社サイトで稼ぐのでなく、無邪気にもグーグルからの無制限のアクセスを許した。その結果、タイムズは、インターネットという広大な土地の領主であるグーグルの小作人になり下がってしまったという。 タイムズはもはや、たとえばアメリカ大統領選に大きな影響力を持つことはできなくなってしまった。アメリカの多数の有権者が彼らの社説は読まず、タイムズが嫌うトランプのツイッターをフォローする。かつて、重要なことは新聞が決めていた。買うべきものは雑誌が決めていた。だが最後に新聞の社説を読んだのはいつだったろう……? ギャロウェイ教授は、グーグルとフェイスブックは既存のメディアをも大きく上回る発信力と広告収入を持ちながら、メディアではなくプラットフォームだと主張し、「真実を追求するジャーナリズム精神など持ち合わせず」無責任にフェイクニュースを垂れ流すという。リバタリアンの新世界では、個人がそれぞれに真実を追求する責任を負う。グーグルは、タイムズのご高説はもうたくさんだというユーザーの本音に忠実に従う。 今日私たちが日々頭を垂れるのは祈るときではなく、スマホに向かってグーグルで検索するときだと、教授は指摘する。リバタリアンのユートピアで、人は信じることではなく、知ることで神に近づけると気づくからだ』、リバタリアンとは自由至上主義信奉者のことで、政治的には右派とみられているが、GAFAはどちらかといえば、リベラル色が濃いと思っていたが、彼らもリバタリアンとは認識を新たにした。
・『弱肉強食の冷酷な世界  第2に「英雄礼賛文化」である。リバタリアンの世界では、卓越したアイデアと才能・実行力を持つ個人は英雄として崇められる一方で、中途半端なサービス、二流の商品が生きながらえることはない。そこで勝つとは、誰よりも早く、未開発の市場を思いつき、独占すること。安定ではなくディスラプション、統制のとれた集団ではなく才能のある個人が絶え間ないイノベーションによって理想世界を実現する。それは結果がすべての弱肉強食の冷酷な世界でもある。 思えば「世界最大のお店」とか「世界中の人をつなげるアプリ」とか「全知全能の検索エンジン」など、GAFAの発想は荒唐無稽だった。だがスーパーヒーローたる起業家たちは、ビジョンの大きさにひるむことがない。ギャロウェイ教授によれば、大抵の経営者は最小の資本で最大のリターンを目指す。だがアマゾンの発想は違う。「莫大な資金がかかるために他社にはできないことで、われわれが他者を出し抜けることは何だろうか?」そして、その荒唐無稽なビジョンに賭ける投資家たちがいる。フェイスブックは、誰もが気づいていない真実を探し続けた逆張りの投資家ピーター・ティールによって最初の資金を得ることができた。「私たちの文化の中で、起業家はスポーツのヒーローや芸能界のスターと同じような、アイコン的な地位に持ち上げられている。起業家の象徴たるハンク・リアーデンから、死によって神格化されたスティーブ・ジョブズまで」と教授は指摘する。 ジョブズの物語は、いまなおアップルユーザーの心をざわつかせ、時価総額1兆ドルを超えるメガ企業になっても魔法が解けることはない。ジョブズは死んで神様となったのだから。喫茶店でMacに向かうクリエイターやビジネスマンの多くはいまも、ジョブズと同じ反逆のスピリットを持っているか、持ちたいと思っているのではないか。 ハンク・リアーデンとは、アイン・ランドの長編小説『肩をすくめるアトラス』で、あらゆる既存勢力や国家の妨害と戦いながらまったく新しい合金を開発した鉄鋼王だが、いまも全米のビジネスマンを刺激し続けるこの物語で最も偉大なのは実業家たち、それも裸一貫であらゆる逆境を乗り越えてまったく新しい事業を築き上げる起業家たちだ』、なるほど。
・『プライバシーほど神聖なものはない  第3に、「自由市場経済」である。リバタリアンの理想郷では、国家や政府の干渉が最小限に抑えられている。インターネットの黎明期、サイバー空間は国家権力が介入しないユートピアとしてリバタリアンたちを熱狂させたが、そのユートピアの規範がいまやリアルな世界に侵入しつつある。 アップルがFBIへの協力を拒み、個人情報を守るとき、信者たちは喝采を送る。教授は、それはアップルがイケてるからだ、という。それもあるかもしれないが、リバタリアンの世界では、プライバシーほど神聖なものはない。税金についても、同じキャッシュなら、国家に収めるより稼ぐ力がある人間が有意義に使ったほうが世の中のためになるという考え方だ。 GAFAが君臨するのは「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」かもしれないが、その新世界を支えるのは、多数の幸福な農奴たちでもある。アマゾンやグーグル、フェイスブックによって壊滅的な打撃を受けた小売やメディアの関係者にとって、本書で描かれている悪夢は現実だろう』、確かにGAFAの考え方はリバタリアンそのものだ。
・『一方で、GAFAのシンプルで、使いやすく、すべての個人に開かれたプラットフォームによって、知り、創造し、発信し、起業した人は少なくないはずだ。 たとえばアマゾンは、e託サービスによって、マスマーケットへのアクセスなど望むべくもなかった個人が、ニッチな小ロットの商品を販売することを可能にした。フェイスブックなどのSNSは、大組織の支援のない名もなきクリエイターが本当に面白いコンテンツをコンテンツそのものの力で拡散させることを可能にしている。300万円の予算で制作された映画『カメラを止めるな!』がヒットしたのは、SNSを通じた口コミの力も大きい。 20億人のSNSのプラットフォームは、ほかの同様のプラットフォームの追随を許さない悪徳のモノポリかもしれないが、それによって地球上のあらゆる弱小クリエイターたちは、ごく少ない資本で、本当に刺激的で面白いコンテンツを世界に発信し、評価されることが可能になったのである。 ユーザーとしても、自分の嗜好がどんどんコンテンツに反映されていくのだとすれば、しなければならないのは、好きなものを探し、楽しみ、周囲の一握りの人たちに共有することだけだ。 だが彼らユーザーはいまGAFAの信者であったとしても狂信者ではない。タイムラインのニュースが胡散臭いと思えばいつでも、別のメディアをみることができるし、アマゾンがダメなら楽天がある。そうしないとすれば、それはGAFAのサービスは便利さとともに、より多くの真実をもたらしてくれるからだ。アマゾンはおおむね、私たちを売る側の論理と都合やマスマーケティングの押し売りから解放してくれている。四強が競合を破壊し尽くして、戻る場所はなくなるという考え方もあろうが、私はそうは思わない』、これはギャロウェイ教授の考えではなく、筆者の考えだろうが、確かにプラス面も考慮する必要がある。
・『栄光は永遠ではない  私たちがグーグルやフェイスブックを認知し始めてから、まだ20年も経っていない。20年前、本書にも登場する当時時価総額上位のGEは、次の100年も安泰と思われていたが、つい先日ひっそりと、ダウ平均銘柄のリストから姿を消した。iPhoneXで多くの通信や雑務をこなしてしまう私たちがブラックベリーに張り付いていたのは10年も昔ではない。栄光はかくも儚いものだとGAFA以前の世界を眺めてきた私たちユーザーは知っている。四騎士の覇権もいつかは崩れ、新しい騎士たちが世界を席巻するだろう。  Google 、Apple、Facebook、Amazon――彼ら四騎士は確かに地球の四分の一以上を支配しつつあるが、彼らの栄光は永遠ではない。ただ、この本を読み終わってもなお、四騎士の台頭を厄災ではなく福音と想い続けることができるならば、あなたはもしかすると、天才起業家が神々となるユートピアを信じるリバタリアンの一人かもしれない』、GAFAが「新しい騎士たちが世界を席巻する」ことのないような、圧倒的な独占的地位を築いたとすれば、この部分にはいささか違和感を感じる。

第三に、11月3日付け東洋経済オンラインが転載したロイター「グーグル炎上!従業員は何に怒っているのか 取締役陣に従業員代表を加えることを要求」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/247052
・『カリフォルニア・マウンテンビュー/ニューヨーク (ロイター) - アジア、欧州、北アメリカのグーグルのオフィスに勤務する数千人の従業員と契約社員は11月1日、性差別、人種差別そして職場で黙認されるパワハラに対する抗議活動を行った。 カルフォルニア州マウンテンビューのグーグル・グローバル本社の中庭には、何百人もの社員が集まった。うち何人かは同社の音声認識アシスタント「OK Google」にちなんだ「Not OK Google」という大きなサインを掲げた』、私もニュースに驚かされた。詳細を知りたいところだ。
・『ニューヨークやサンフランシスコでも(ニューヨークのグーグルのオフィスビル周辺では、男女が周辺ブロックをおよそ10分間にわたって静かに歩き回った。そのうち何人かは「女性に敬意を」といった内容のサインを掲げていた。 「これがグーグルです。これまで多くの難題を乗り越えてきました。現況は受け入れがたいものですが、もし解決できる企業があるとすれば、それはグーグルだと思います」と、同社に勤務して3年になるソフトウェアエンジニアであるトマス・ニーランドは話す。 2ブロック離れた小さな公園にはグーグルの社員を含めた、およそ1000人のニューヨーカーが集まった。うち数名はオフィスビル周辺で見られたよりも大きなプラカードに「Time's up Tech (いい加減にしろ)」というサインを掲げていた。 今回の抗議行動について、グーグルの従業員たちはマネジャーや同僚から参加を促すメールを多数受けとった、とニーランド氏は言う』、マネジャーからも参加を促すメールを受けとったとは、驚かされたが、いかにもグーグルらしい。
・『午前11時頃、社員は集まって本社を離れる準備を開始。「待機中のチームエンジニアもページャーを持って参加しました。それほどこの抗議行動が重要だと考えたのです」。 サンフランシスコのフェリービルディング近くの通りには数百人が集まり、同僚がほかのグーグルオフィスに抗議活動への参加を呼びかける声に静かに聞き入っていた。 主催者は、この抗議行動は世界中のグーグルのオフィスに広がったと発表。この行動は、社内セクハラ問題で2014年に退職した当時の幹部、アンディ・ルービン氏に対してグーグルが9000万ドル相当の退職金パッケージを提供した、という米ニューヨーク・タイムズ紙の報道をうけて勃発した。 ルービン氏はこの報道を否定し、退職金の額については「大きく誇張されている」と述べている。 グーグルはこの記事に抗議していない』、社内セクハラ問題で退職しても、9000万ドル相当の退職金パッケージを受け取れるとは優雅な身分だ。
・『グーグルは社会経済的地位の手本になるべき  この報道は、グーグル社内で長年続いてきた多様性の推進や女性、マイノリティの待遇改善を求める活動に火をつけた。 これらの課題は2016年、共和党のドナルド・トランプ氏が出馬したアメリカ大統領選以降、民主党支持者が多いシリコンバレーの住民の重要案件となっている。 従業員たちは、大統領とグーグルによる移民、防衛、差別に対するスタンスについて、はっきりと意見するようになった。最先端技術の先駆者だからこそ、自分たちの雇用主は社会経済的地位の手本になるという意識を持つべきだと、従業員たちは訴えている。 10月31日の午後、抗議の主催者はグーグルの親会社であるアルファベットに対して取締役に従業員代表を加えること、また報酬の平等性に関するデータの社内共有を求めた。同時に、嫌がらせが起きているとの訴えがあったとき、公正に審査する人事制度も要求している。 グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「従業員が建設的なアイデアを提案した」とし、「こうしたアイデアを実行に移していけるよう、従業員のフィードバックをすべて把握する」と表明した』、「取締役に従業員代表を加える」との要求は、仮に受け入れられれば、米国では革命的なことになる。ピチャイCEOの反応も、具体性にはまだ欠けるとはいえ、大したものだ。「自分たちの雇用主は社会経済的地位の手本になるという意識を持つべきだ」との従業員の訴えも、素晴らしい。
・『現地時間の11月1日11時、ダブリンにあるヨーロッパ本社は何百もの人に埋め尽くされた。主催者がSNSに投稿した写真にはロンドン、チューリッヒ、ベルリン、東京そしてシンガポールの従業員たちがグーグルのオフィスを離れる姿が写されている。 アイルランド地元メディアRTEによると、ある従業員は机の上に 「不品行、不当、不透明、不健康な職場環境に抗議するための活動に参加中のため不在です」と書かれたメモを置いている。 グーグルのダブリンオフィスはアメリカ国外としては最大規模で、およそ7000人の従業員が働いている』、さすがグローバル企業らしい。
・『セクハラ撲滅の対策が遅れている  アルファベットが抱える9万4000人の従業員と、何万人もの契約社員の不満は、同社の株価に影響を及ぼしている。しかしアルファベットの経営陣がこの問題を解決しない限り、同社は人材確保とその維持に苦労するだろうと、同社の従業員は予想する。 今年前半、団体の活動の多くは署名活動や労働者の権利を守る団体Coworker.orgとのブレインストーミングセッションといった、内向的な活動が多かった。 20年前に設立されて以降、グーグルは社内規範として「Don't Be Evil(邪悪になるな)」を掲げて社内における従業員と企業活動の透明性を訴えてきた。しかし主催者によれば、グーグル上層部は、「#Metoo」活動によって影響を受けたほかの企業のリーダーたちと同様、この問題に焦点をあてるのに時間がかかりすぎている。 「多様性と包括性を誇ってきたグーグルにもかかわらず、人種主義に対する具体的な行動や公平性の向上、セクハラの撲滅といった対策が遅すぎる」と主催者は語る。 グーグルはセクハラに関する統計報告を公表し、嫌がらせの問題を内々で強引に処理する体質を改善しなければならない、と主催団体は言う。 また、チーフ・ダイバーシティ・オフィサー(最高多様性責任者)が直接上層部に意見できる環境を要求している』、今後、グーグルがこれらの要求に如何に答えていくのか、大いに注目したい。

第四に、信州大学経済学部教授の真壁 昭夫氏が11月5日付け現代ビジネスに寄稿した「世界経済をけん引してきたGAFAに退潮の兆し 米国経済への影響は大」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58303
・『米国の先端IT企業であるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の今年7-9月期の決算が出そろった。各社の決算内容を見ると、今後、GAFA株に対する期待の盛り上がりがやや後退することが考えられる。それは、米国だけではなく世界経済にとって無視できないリスク要因になるかもしれない。 最も重要なポイントは、これまでのようなイノベーションが見られないことだ。人々が欲しいと思わずにはいられない、ヒット商品や新しいサービスが見当たらなくなっている。スマートフォン売り上げの伸び悩みはその一例だ。また、SNS関連企業に関しては個人情報保護にどう対応するか、先行きが見通しづらくなっている』、GAFAが曲がり角に来ているのは確かなようだ。
・『先端IT企業GAFAのイノベーション  近年、GAFA4社を米国のIT先端企業の代名詞として扱う専門家が増えている。その背景には、この4企業がイノベーションを発揮して、従来にはないサービスやモノ(最終製品)を生み出してきたことがある。GAFAのイノベーションは、米国経済が好調さを維持する大きな要因だ。それが、足許の世界経済を支えている。 イノベーションとは、端的に、わたしたちが「ほしい!」、「使いたい!」と思わずにはいられない、新しいモノやサービスを生み出すことだ。世界の若者のミュージックライフを一変させたといわれるソニーの“ウォークマン”はそのよい例だ。アップルのiPhoneにも同じことが言える。イノベーションを通してヒット商品を創造できれば成長は可能だ  2007年に発表されたiPhoneは、事実上、スマートフォンという小型コンピューターのコンセプトを世界に示したといえる。それには従来の携帯電話にはない新しい機能が搭載されていた。それが多くの人のほしいという気持ち=需要を取り込んだ結果、アップルの売り上げが増え、米国企業で初めて時価総額は1兆ドル(約112兆円)を突破した。 スマートフォンの普及とともに、他の新しいモノやサービスも創造された。フェイスブックに代表されるSNS、アマゾンやグーグルのクラウドコンピューティングサービスはその例だ。また、アマゾンはネットワークテクノロジーを駆使して世界の物流に革命を起こしたといえる。その結果、ネット経由での消費が増加している』、これまでの成長ぶりは、目を見張るものがあった。
・『米国経済のダイナミズム停滞懸念  GAFAの業績は世界経済を左右するといって過言ではない。過去3年間、ナスダック総合指数を中心に米国の株価が上昇した理由は、GAFAが高成長を遂げるとの期待があったからだ。しかし、その期待は抱きづらくなっている。GAFA各社の7~9月期の業績や今後の売上高予想などに関して、アナリストの予想を下回る内容が目立つ。 それは、GAFA各社のイノベーションが停滞しつつあることの表れだ。フェイスブックやグーグルに関しては、個人情報をどう保護するか、具体的かつ抜本的な解決策が見出しづらい。SNS企業などは人海戦術でフェイクニュースなどを摘発し、規制への対応を進めている。そのための支出が増える一方、データ不正流出への不安からユーザーは減少傾向だ。 アップルに関しては、新型機種の売れ行きが同社の想定を下回っているとの見方が多い。11月1日、ニューヨーク株式市場の時間外取引では、成長鈍化への懸念から同社株価は7%下落し、時価総額は1兆ドルを下回った。アマゾンに関しても、海外でのネット事業は伸び悩んでいる。アマゾンは株価も割高だ。 どのようにGAFAを中心に米国のIT先端企業がイノベーションを発揮するか、現時点で先行きは見通しづらい。中国経済の減速、トランプ政権の政策リスクなど、IT先端企業の経営に関するリスク要因も増えている。追加的にGAFAの成長期待が低下する場合、世界経済の中で独り勝ちの状況にある米国経済の下振れリスクは高まるだろう』、ますますGAFAの今後に注目する必要がありそうだ。
タグ:ロイター 東洋経済オンライン JBPRESS EU委員会 池田 信夫 現代ビジネス 真壁 昭夫 GAFA (プラットフォーマー) (その1)(「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す GAFAが資本主義のルールを変えた、GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体 自由至上主義者のユートピアが現出した、グーグル炎上!従業員は何に怒っているのか 取締役陣に従業員代表を加えることを要求、世界経済をけん引してきたGAFAに退潮の兆し 米国経済への影響は大) 「「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す GAFAが資本主義のルールを変えた」 グーグル社に43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を払うよう命じた 「アンドロイド」に自社製アプリを抱き合わせしている GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon) インターネットが生んだ独占・集中社会 フェイスブックを最後に、既存の企業を倒す「破壊的イノベーション」は消えた 新しい成長企業が、大企業に育つ前に買収されたからだ。アンドロイドも、携帯用OSを開発していた会社をグーグルが買収したものだ 企業買収のもう1つの意味は、競争の芽を摘むことだ ンターネットという巨大なプラットフォームを独占することが、国家を超える権力になるからだ 「プラットフォーム独占」は国境を超える コングロマリットの経営が悪化するのは、経営者が資本効率を考えないで多角化して雑多な企業を抱え込むからだ 「ITコングロマリット」は、多角化しても資本効率が落ちない。それは彼らのコア技術がソフトウェアだからだ 多くの経済学者は、2010年代に成長率が低下した原因を、このようなイノベーションの衰退に求めている インターネットは人々の生活を便利にし、既存企業の独占利潤を上げる役には立ったが、生産性は上がっていないのだ 古い独占を倒すのは新しい独占 ソフトウェアを規制する法律はほとんどなく、インターネットという巨大なプラットフォームを独占すれば、IBMよりはるかに巨大な独占企業になれた ヨーロッパ各国政府はGAFAに警戒を強めている グローバル独占資本主義のルールは、経済学の教科書には書かれていない 日本メーカーの得意とする「いいものを安くつくる」市場とは違う 市場メカニズムはきかず、強者が徹底的に投資して弱者を蹴落とす進化論的な競争になる 脇坂 あゆみ 「GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体 自由至上主義者のユートピアが現出した」 『the four GAFA - 四騎士が創り変えた世界』 ギャロウェイ教授 この四大企業の本性と怖さを教え、そのサービスを無批判に享受し続ける信者たちに警鐘を鳴らす 四騎士が指し示すのは「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」 GAFAは「盗みと保護」によって躍進し、その支配は消費者の本能、主に下半身に訴えるブランド戦略によって盤石なものとなっている 絶対的な力を手にしたGAFA企業は絶対的に腐敗するリスクをはらんでおり、集中しすぎた権力は規制し、解体すべき リバタリアンのユートピア 第1に、権威ではなく個人がそれぞれの目標と幸福を定義できるとする「個人主義思想」 第2に、少数の天才が社会を前進させる原動力になるという「英雄礼賛文化」 第3に、最小限の国家の介入を理想とする「自由市場経済」 旧世界のタイムズの経営陣は、自社サイトで稼ぐのでなく、無邪気にもグーグルからの無制限のアクセスを許した。その結果、タイムズは、インターネットという広大な土地の領主であるグーグルの小作人になり下がってしまった グーグルとフェイスブックは既存のメディアをも大きく上回る発信力と広告収入を持ちながら、メディアではなくプラットフォームだと主張し、「真実を追求するジャーナリズム精神など持ち合わせず」無責任にフェイクニュースを垂れ流す 弱肉強食の冷酷な世界 プライバシーほど神聖なものはない GAFAのシンプルで、使いやすく、すべての個人に開かれたプラットフォームによって、知り、創造し、発信し、起業した人は少なくないはずだ 栄光は永遠ではない 四騎士の覇権もいつかは崩れ、新しい騎士たちが世界を席巻するだろう 「グーグル炎上!従業員は何に怒っているのか 取締役陣に従業員代表を加えることを要求」 性差別、人種差別そして職場で黙認されるパワハラに対する抗議活動 今回の抗議行動について、グーグルの従業員たちはマネジャーや同僚から参加を促すメールを多数受けとった この抗議行動は世界中のグーグルのオフィスに広がった 社内セクハラ問題で2014年に退職した当時の幹部、アンディ・ルービン氏に対してグーグルが9000万ドル相当の退職金パッケージを提供した グーグルは社会経済的地位の手本になるべき 抗議の主催者はグーグルの親会社であるアルファベットに対して取締役に従業員代表を加えること、また報酬の平等性に関するデータの社内共有を求めた 嫌がらせが起きているとの訴えがあったとき、公正に審査する人事制度も要求 サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「従業員が建設的なアイデアを提案した」とし、「こうしたアイデアを実行に移していけるよう、従業員のフィードバックをすべて把握する」と表明した セクハラ撲滅の対策が遅れている グーグル上層部は、「#Metoo」活動によって影響を受けたほかの企業のリーダーたちと同様、この問題に焦点をあてるのに時間がかかりすぎている 「世界経済をけん引してきたGAFAに退潮の兆し 米国経済への影響は大」 今年7-9月期の決算 これまでのようなイノベーションが見られない ヒット商品や新しいサービスが見当たらなくなっている GAFAのイノベーションは、米国経済が好調さを維持する大きな要因だ。それが、足許の世界経済を支えている 米国経済のダイナミズム停滞懸念 アナリストの予想を下回る内容が目立つ GAFA各社のイノベーションが停滞しつつあることの表れだ IT先端企業の経営に関するリスク要因も増えている 追加的にGAFAの成長期待が低下する場合、世界経済の中で独り勝ちの状況にある米国経済の下振れリスクは高まるだろう
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