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自衛隊が抱える問題(防衛問題)(その7)(陸自の攻撃ヘリ部隊はすでに瓦解している、「いずも」空母化が日本のためにならない4つの理由、自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由) [外交・防衛]

自衛隊が抱える問題(防衛問題)については、昨年11月12日に取上げた。今日は、イラク日報問題は別途取上げるとして、(その7)(陸自の攻撃ヘリ部隊はすでに瓦解している、「いずも」空母化が日本のためにならない4つの理由、自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由)である。

先ずは、軍事ジャーナリストの清谷 信一氏が2月10日付け東洋経済オンラインに寄稿した「陸自の攻撃ヘリ部隊は、すでに瓦解している 墜落事故を機に長年の課題に向き合うべきだ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2月5日、佐賀県神埼市の住宅街に陸上自衛隊目達原駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)所属の「AH-64D(アパッチヘリコプター)」が墜落する事故が発生。乗組員2人が死亡し、激突して炎上した住宅の小学5年生の女児が軽傷を負った。
・この事故に関して筆者は複数の陸自航空隊OBに意見を求めた。そうしたところ、見解はほぼ同じ。整備後は地上で十分な試運転を行っており、その後飛行試験をするため、整備不良であれば地上試験で気がつくはずで、部品の不良を疑うべき、とのことだ。いまだ調査の結果が出ておらず、現段階で原因などを安易に推測するのは避けるべきだが、部品不良の可能性は高いといえるのだろう。
▽調達価格が予定外の高騰
・今回の事故を機に、陸自のヘリに対する関心が高まっている。この機会に、AH-64Dそのものの問題、さらにはヘリ部隊の運用全体の問題について論じたい。 陸上自衛隊は2002年からAH-64Dの導入を、富士重工(現SUBARU<スバル>)のライセンス生産により開始した。当初62機を調達する予定だったが、陸幕(陸上自衛隊幕僚監部)は調達開始からまもない2006年ぐらいから、急に調達をやめると言い出した。
・その理由について陸幕は、米国が64D型から64E型に移行して追加発注ができなくなる、部品がなくなる、調達価格が予定外に高騰した、などと説明してきた。 だが内部関係者によると、調達をやめた最大の理由は、ボーイング社がアパッチの生産を終了すると聞いて狼狽したからだ。ボーイング社は韓国が採用したF-15Kのオフセットとして2003年からアパッチの組み立てラインを韓国に移管したが、2006年から新規の胴体の製造が止まり、D型からE型へのアップグレードだけに対応することになった。
・だが、「実は生産ラインが止まるまで相当期間があり、それまでのペースで調達しても30機程度は調達できた。一部を安い輸入に切り替えれば予定数はほぼ調達できたはずだ」と当時の調達関係者は語る。 陸幕の担当者とスバルは、2006年に単年度で10機ほどをまとめて調達しようと画策したが、当時は装備の「まとめ買い」というシステムがなく(注:2007年からは可能になっている)、単年度の調達だと予算が膨大となり、また中期防衛力整備計画で定められた機数を超えるので実現できなかった。そこで陸幕と防衛省は、性急に調達中止を決定したというのが真相のようだ。
・実際に調達打ち切りが決定されたのは合計10機が調達された2007年だ。先述のように皮肉にも、この年から防衛省の装備のまとめ買いが始まっている。当時は当初かかった生産設備などの初期費用などを機体に按分していたために、わずか10機で調達を打ち切られると、スバルは初期投資費用を回収できなくなった。
・だが、陸自は62機調達する契約はしていないとして、2007年にその費用を払うことを拒否し、調達中止を宣言したのだ。恐ろしいことにライフ・サイクル・コストが2000億円を超えるプロジェクトで契約が結ばれずに、口約束で調達が開始されるのだ。このため2010年、スバルは初度費用などを求めて訴訟を起こすこととなった(過去記事「富士重勝訴でも晴れない防衛調達費の不透明」参照)。 この訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷は2015年12月16日に国側の上告を退ける決定を出した。これにより国に約351億円全額の支払いを命じた2審の東京高裁判決が確定した。
▽たった13機では部隊としての運用ができない
・訴訟と並行して防衛省は2011年度から2013年度までに毎年1機ずつ予算計上して3機の追加発注を行い、合計13機の調達を行ったところで、AH-64Dの調達は終了した。この一件によって防衛省は2008年から装備調達の初期に、「初度費」という費用を別途払う制度を導入している。だが、調達方式の抜本的な見直しを行ったわけではない。
・実は2010年から米軍のアフガンの戦闘などでの損耗機体の補充などの理由もあって、新規の胴体の製造が再開されたが、陸幕はすでにアパッチ調達は終わった計画だとして、決定した13機以降の調達の再開は行われなかった。
・だが、たった13機では訓練や整備、人事のローテーションを考慮すれば、実際に常に稼働できるのは5~6機程度しかない。これでは部隊としての運用は困難だ。しかも整備予算を十分に確保できず、飛行可能な機体であっても射撃ができない機体もあるという。こんな状態では、事実上、攻撃ヘリ部隊して戦力化されたとは言いがたい。 通常軍隊では部隊の3割が撃破されると組織的な活動が不可能となり「全滅」と判断される。この伝でいくと、射撃のできない機体もある陸自のAH-64D部隊は、戦う前からして「全滅」しているともいえるだろう。
・現在、陸自ヘリの稼働率は、公表はされていないが、関係者によると平均で6割程度という。これは整備予算が減らされていることが大きいという。飛行時間も10年ほど前は年220時間程度だったものが、現在では年120時間程度に減らされているという。飛行時間が減ることは搭乗員の技量が落ちるということだ。 のみならず整備の頻度も減るので整備員の練度も低下することを意味している。その分事故が発生する可能性は増大する。また複数の関係者によるとスバルのIRAN(Inspection and Repair As Necessary:機体定期修理)に出すと、悪くなって返ってくるという証言もある。
▽AH-64Dのメーカーサポートは2025年で終了
・しかもつねに災害派遣という「実戦」に投入される可能性がある汎用ヘリの稼働率維持が優先され、戦闘ヘリや偵察ヘリの稼働率は後回しにされる傾向がある。 その上、AH-64Dのメーカーサポートは2025年で終了する。さらに2019年頃から部品の枯渇が始まる。米軍や主要ユーザーはE型に移行しているので痛くもかゆくもないが、D型を使用している陸自の機体は、全機とも射撃が不可能になるなどの障害が出る可能性が高い。部隊としての戦闘力はさらに低下するどころか、2025年を待たずに、まったく稼働できない事態すら推測される。
・このような部隊を多額の税金を投じて維持を続ける合理的な意味はない。たとえばまったく使用されない空港や道路を巨額の費用をかけて建設し、これまた多額の費用と人員をかけて長年維持するようなものだ。単に税金の無駄遣いでしかない。 その揚げ句に民間を巻き込んで事故を起こしてしまった。命を落とすことになった現場の隊員にとっては、大きな悲劇だ。10機で調達を諦めた段階で、全部廃棄して部隊を解散し、他のリソースにつぎ込んだほうがよかったのではないだろうか。
・ヘリ部隊はほかにも問題を抱えている。本来AH-64Dで更新されるはずの旧式攻撃ヘリ「AH-1S」も問題だ。AH-1Sは90機調達されたが、現在残っているのは半分の45機程度で、しかもどうにか稼働している機体はそのうち3分の2程度であるという。
・稼働率が低いだけでなく旧式化したAH-1Sの対戦車ミサイルは命中するまで1分以上空中に停止してミサイルを誘導しなければならず、今日では生存性が極めて低い。だがAH-1Sは近代化も、延命措置や近代化は行われておらず、これまた多額の費用をかけて部隊を維持する必要性は極めて低い。赤字を垂れ流すだけのAH-1Sの部隊もすぐさま解散するべきだ。
・これらの事実をみれば、陸自のヘリの調達と運用がいかに大きな問題を抱えているかがわかるだろう。まず実質戦力とは言えない状態のままにするのであれば、攻撃ヘリは不要だ。AH-64DやAH-1Sは即座に廃棄して部隊を解散し、隊員をほかの任務に回したほうがいい。浮いた費用はネットワークの充実やサイバー戦機能の向上などに振り向ければ、よほど国防に資する。偵察ヘリも、調達・運用コストが安く信頼性の高い機体に更新すればいい。
・実際のところ、陸自の航空隊に予算の余裕はない。ティルトローター機であるMV-22オスプレイが陸自に17機配備されるが、その調達費用3600億円はおおむね陸自のヘリ調達予算の10~12年分である。オスプレイ1機の整備費は年間約10億円といわれており、17機ならば170億円だ。対して陸自のヘリの整備予算は年間220億円程度にすぎない。オスプレイがそろえばその3分の2を食うことになる。そうなればただでさえ不足している維持整備費は逼迫を免れない。 現状を放置するならば整備予算不足のために、墜落事故が多発する可能性が極めて高い。
▽では、どうすればいいか?
・筆者は、攻撃ヘリが必要なのであれば、現在のAH-64DをE型にアップグレードし、さらに1個飛行隊と予備機を合わせ、現存12機に新たに18機ほど加えて30機程度の体制とするのが現実的な選択だと考える。  こうすれば、既存のアパッチの機体とインフラを生かせる。追加の機体は国内メーカーによるライセンス生産でなく、コストが安く早期に調達が完了する輸入で調達するべきだ。輸入であれば調達単価は80億円程度で、スバルの生産ラインを復活させて国産化するよりも半額程度で済みそうだ。この2個飛行隊を陸自のネットワークの基幹とし、空海自、米軍との共同作戦能力を獲得するべきだろう。
・現在の陸自の予算では元の計画の62機の調達は不可能だ。数が足りないのであれば、武装型の軽汎用ヘリ、無人攻撃機、あるいはターボプロップエンジンのCOIN機(軽攻撃機の一種)など、より安価なシステムを組み合わせるという発想もある。COIN機であればAH-64E2機分の値段で1個飛行隊と予備機をそろえることができる。維持整備費も1ケタ安い。米空軍では、ゲリラ部隊と戦うような非対称戦においてはCOIN機を使用する「OA-X」という計画を進めている。
・そもそも攻撃ヘリにどのような任務を与えるのか、またその任務をほかのプラットフォームで代用できないか、という点も検討するべきだ。 陸自はメンツに固執することをやめて現実を直視すべきだ。その上でスクラップ&ビルドを行い、現実的かつリーズナブルな航空兵力を整えればいい。そうでなければ抑止力にも戦力にならない部隊に無駄な税金を使い続けることになる。さらに、整備費不足の無理がたたり、今回のような墜落事故が多発する事態にもなりかねないのである。
https://toyokeizai.net/articles/-/208101

次に、ガバナンスアーキテクト機構研究員の部谷 直亮氏が3月28付けJBPressに寄稿した「「いずも」空母化が日本のためにならない4つの理由 防衛予算の8%を費やして中国を喜ばせるだけ?」を紹介しよう(▽は小見出し、+は段落)。
・2017年末から、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」級を、F-35B戦闘機を搭載可能な「空母」として改修する話が相次いで報道されている。2018年3月2日の参議院予算委員会では、小野寺五典防衛大臣が「いずも」でF-35Bの運用が可能かどうかを調査していることを明らかにした。
・しかし単刀直入に言って、いずもの空母化や空母建造は自衛隊を弱体化しかねない愚策である。以下ではその4つの理由について論じよう。
(1)高額な改修費がかかる
・第1の問題点は、高額な改修費である。この点に関して、「Defense News」誌で日本関連記事を数多く執筆していたカイル・ミゾカミ氏が、技術誌「Popular Mechanics」で具体的な論考を行っている。彼の主張は以下のとおりである。 いずも空母化を日本政府が決断した場合、(1)F-35Bの離着陸時の排気ガスの高熱に耐えうるための甲板の耐熱コーティング、(2)艦首の邪魔な近接防御火器システムの撤去、(3)F-35特有の部品管理システムALISの艦船版の組み込み、(4)1隻につき艦載機たるF-35B12機の導入などが必要になる。これらの改造費として、船舶の改修費が5億ドル、F-35Bが14億ドルかかる。
+要するに「いずも」「かが」を空母化すれば、約38億ドル(約4000億円)の予算がかかるのである。これは日本の年間防衛費の7.7%に匹敵するコストである。装備品の調達コストで見れば14.6%を占めることになる。しかも、補修パーツ対空ミサイル・誘導爆弾・航空燃料等の積載増加により、艦内のスペースが食われることになり格納能力も低下すると指摘している。
+いずもの空母化ですらこれなのだから、一説に言われている「おおすみ」級の後継艦でより本格的な「空母」(実態は強襲揚陸艦に過ぎないが)を建造すれば、コストは柔軟性と余裕に乏しい防衛費をさらに圧迫するだろう
(2)政治的効果が見込めない
・第2の問題点は、その改修費に見合う政治的効果が見込めないことである。 政治的効果を発揮できないことは、隣国の中国の「遼寧」を見れば分かる。「遼寧」は24機の戦闘機を中心に艦載しているが、これに政治的な影響力があるだろうか。先日も台湾海峡を航行したが、何か具体的な影響をもたらしたのだろうか。我々は「遼寧」を脅威に感じているだろうか? 決してそんなことはない。
+なぜか。それは第1に「遼寧」が米空母に比べるとあまりに小型であり、なおかつ中国の空母が「現在」は1隻しか存在しないからである。そして第2に、トータルの武力が劣るからだ。米空母が大きな政治的効果を発揮するのは、単体での巨大さや艦載機数や空母の数の多さもさりながら、その後の米軍の大規模な武力行使の先駆けとなる存在だからだ。だが、中国にはそのいずれもない。タイの空母「チャクリ・ナルエベト」、インドの空母「ヴィクラマーディティヤ」についても同様のことが言える。
+日本も同様だ。「いずも」を空母化したところで、F-35Bとはいえせいぜい10機前後と米軍の強襲揚陸艦(ワスプ級は6~20機搭載可能)以下の艦載機でしかない。しかも「いずも」「かが」のたった2隻である。「おおすみ」級の後継艦を入れても4隻では、常時1~2隻の展開がやっとだろう。強襲揚陸艦の1隻や2隻に何の政治的効果があるのか。なお、米軍の強襲揚陸艦は世界中を移動しているが、その1隻の動向が注目されることはない。しかも、「いずも」空母化で海自のその他の戦力は予算・人員を吸収され弱体化するので抑止・対処力も低下する。
+また、ネット上の一部では、日本の空母が東南アジア諸国との訓練や協力を図れば大きな政治的効果があるという声も聞かれるが、これについても、強襲揚陸艦でしかない“自称”空母である必然はない。政治的影響力を拡大させようとするならば、装備移転や能力構築の方がはるかに効果・効率的(経済成長も見込める)だろう。 
+その点で日本は中国、韓国の後塵を拝している。中国はタイ、ミャンマー、バングラデッシュなどに兵器を輸出している他、タイとの間では無人機を含む軍需製品の現地生産まで調整が進んでいる。韓国も、トラックや潜水艦をインドネシアに、インドにはK-9自走砲を、フィリピンにはFA-50戦闘機を輸出している。こうした武器輸出や能力構築は、維持整備や教育訓練もセットになっている。そのため、輸出先の軍事組織が輸出元のシステムで何十年も稼働し、教育担当の軍人を配置できるメリットがあるのである。
+中国や韓国は既にそうした状況を作り上げつつあるのに、我が国は無縁である。現在はパプアニューギニアの軍楽隊支援、法律等の勉強会の開催、TC-90供与など、きわめてシャビーな活動しか行っていない。しかも、外務省と海保が巡視船をマレー、ベトナム、フィリピン等にODA等により供与していることを考えれば防衛省自衛隊の装備移転の遅れは際立っている。
+こうした状況を考えれば、強襲揚陸艦が東南アジア諸国に短期間寄港するより、武器輸出や能力構築を進めた方が、はるかに持続的で高い影響を誇ることができるのは明白である。しかも、日本の経済的な利益にもつながる。つまり、「いずも」「かが」に約4200億円を充てるよりも、その予算を今後10年間の防衛装備品の移転や供与支援に充てる方がよほど効果的だろう。
(3)軍事的効果が乏しい
・第3の問題点は、軍事的効果が乏しいということだ。 まず、空母化した「いずも」は戦局が圧倒的に有利でなければ投入できない。例えばフォークランド紛争においてアルゼンチン軍は空母を前線に投入できなかった。あまりにも虎の子過ぎる戦力は活用できないのだ。もし日中紛争時にいずもが撃沈されれば国内外の世論がどうなるか想像してみほしい。もしくは温存しすぎた挙句、戦局が決定的に不利となり、その無策への批判を恐れて戦艦「大和」のように沖縄にでも特攻させるのがオチだろう。
+費用対効果の悪さも問題である。ここで比較対象となるのは中国のA2/AD戦力だ。中国は米軍の地域における戦力と来援戦力を叩き潰すための戦力を重点的に整備している。内容は、対艦弾道ミサイル、巡航ミサイル、サイバー攻撃、ゲリラコマンド攻撃、潜水艦戦力等の強化である。
+中国の対艦弾道ミサイルDF-21は、1ユニット6~12億円。それに対していずもは1隻1200億円であり、空母化すれば3300億円である。つまり中国にとっては、いずもにDF-21を225~550発撃ち込んでもお釣りがくる計算である。たしかにDF-21対艦弾道ミサイルの命中率には議論があるが、大量の発射でカバーできるし、母港に停泊中であれば命中率は問題ではなくなる。そもそも自衛隊はドローン攻撃に対して110番通報しかできない現状では、「いずも」もドローンで一部機能を無力化されかねない。甲板上のF-35Bを破壊されれば目も当てられないことになる。
+ 他方、南西諸島の島々は、下地島をはじめ滑走路(弾道ミサイルを吸引するおとりとしても)として活用できる余地がある。また、民間空港の有事転用の訓練や装備は空自にはほとんどなく、これも改善の余地がある。そして、米軍や自衛隊の保有する空中給油機を使えば、海上基地がなくとも展開可能である。KC-767空中給油機(1機223億円)を増勢する方が効果的であろう。
(4)海自をさらに疲弊させる
・第4の問題は海上自衛隊の疲弊を加速化させかねないことだ。 海自ではダメージコントロールを中心に省力化が進まないのに、艦艇を大型化し、艦艇を増勢し、様々な任務を増やした結果、充足率は危機的な状況である。しかも、予算要求上の都合から艦艇不適の人間も艦艇の充足率に含めてしまっており、見かけ上の充足率より実は低くなっている。そして、それはさらなるブラック化、充足率の悪化を招くという悪循環に陥っているのである。そのため近年の一部艦艇では、地方総監部が行うべき事務業務を艦艇でも行うという中世のような勤務が行われている。
+このような現状で空母化や空母の導入を行い、海外への展開を増加させるというのは、自衛隊を破滅に追い込むだけである。
▽「個別の装備品」議論から脱却せよ
・そもそも、個別の装備品の導入が最初に議論されるというところに、日本の安全保障論議の欠陥がある。例えば、治水行政を語る際に「このブルドーザーやダムを導入すれば良い」というような議論があるだろうか。医療行政を語る際に「このレントゲン機器を導入すべきだ」といような議論があるだろうか。企業の経営戦略を論じる際に「この工作機械を導入するべきだ」で始まる議論があるだろうか。どの分野の政策議論でも、個別の装備の導入が議論の入口になることはない。ところが防衛分野だけがその種のいきなり手段から議論に入って、目的や目標を後付けで語るか無視するような議論を繰り広げている。要するに空母導入の政治的・軍事的意味を単独で云々すること自体が児戯に等しいのだ。
・諸外国では、現在の戦略環境や作戦環境を議論した上で、戦略と作戦構想を設計し、その上でいかなるドクトリンを採用し、それに見合った装備は何かという議論をしている。だが、我が国だけはなぜか個別の議論が必要か否かが最初に出てきてしまう。だが、それは日本の戦略・作戦環境に最適な戦略と作戦構想とその延長のドクトリンを整理・議論した上で行われてしかるべきものである。
・不毛ないずも空母化論争は打ち止めにして、そろそろ、兵器評論や論争ではなく、戦争指導も含めた戦争全般に関する議論こそ始めるべきだろう。兵器評論はその後だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52667

第三に、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が4月12日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・4月7日、島嶼防衛部隊「水陸機動団」(2100人、将来3000人)の発足を祝う「隊旗授与式」が佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地で行われ、式典後にはヘリコプター、水陸両用車を使って、敵が占拠したという想定で島への上陸作戦の展示訓練も行われた。
・その映像をテレビで見ていると、第2次世界大戦での硫黄島、沖縄、アッツ島やグアム、サイパンなど、10以上の島々での守備隊の悲惨な「玉砕」を思い起こし、暗い気持ちにならざるを得なかった。 島の争奪と防衛に決定的な要素は制空権と制海権(空と海での優勢)を確保することであり、それが失われると、孤立し、補給も来援も途絶した島嶼防衛部隊は全滅が必至だ。
▽「水陸機動団」が創設されたが重要なのは制空、制海権
・こちらが島の周辺海域で制海、制空権を握っていれば、相手が島に上陸作戦を行おうとしても、海上で敵の輸送艦は撃沈され、輸送機も撃墜されるから相手にとっては自殺行為だ。 仮にこちらの隙を突いて上陸に成功しても、補給さえ断てば敵は遅かれ早かれ降伏するか玉砕するしかない。 尖閣諸島など南西諸島の防衛を考える際の要点は一にも二にも制空権で、それに制海権も付随する。
・だが航空自衛隊が東シナ海で優勢を確保できる公算は低い。中国軍にとっては、北方でのソ連の脅威が去った今日、東シナ海は台湾との軍事衝突を想定した場合の最重要の「台湾正面」であり、その正面を担当する東部戦区には新鋭機が優先的に配備されている。
・東部戦区の中国空軍は10個戦闘機部隊(旅団あるいは連隊)で戦闘機約240機を持つと推定される。 うち旧式の戦闘機である「J7」と「J8」で構成されるのは3個隊だけで、他の7個隊(約170機)はロシア製の「Su30」や国産の「J10」など、米国のF15、F16に一応、匹敵する「第4世代戦闘機」を持つと考えられる。また海軍東海艦隊の航空隊は新鋭戦闘機2個連隊(40機余)を持つと見られる。
・これに対する台湾空軍は戦闘機400機余を持ち、うち「第4世代戦闘機」は190機だ。 当面の航空戦力はほぼ拮抗か、台湾優位と思えるが、中国は全土に戦闘機1300機余、うち第4世代戦闘機710機余を持つから、有事の際には他地域の部隊も台湾正面に移動展開が可能だ。
・一方で、航空自衛隊は那覇にF15戦闘機約40機を配備しているほか、福岡県築城にF2戦闘機約40機、宮崎県新田原にF15約20機がいる。このうち40機を防空に残せば、尖閣上空には20機を出動させることができる。 だが九州の基地から尖閣諸島へは約1000kmだから行動半径ぎりぎりで、上空で待機、哨戒するには空中給油が必要だ。中国沿岸からは約400kmだから、中国空軍にとってはるかに有利な場所だ。
・中国空軍のパイロットの年間飛行訓練は、かつては70~80時間程で、練度は低かった。だが一時は4500機もあった戦闘機は、単価の高騰のため1300機程に減り、財政全体にも余裕が生まれて、今日では訓練飛行は年間約150時間とされ、日本と同等だ。
・日本側が尖閣上空に出せる戦闘機は那覇の40機と九州から20機の計60機、中国は海軍航空隊を含め、200機程の第4世代戦闘機を出せるから、数的には日本は3対1の劣勢となる。 大型レーダーを積み、敵機を遠距離で発見する「空中早期警戒機」の性能の差や、電波妨害などの「電子戦」能力では日本が当面優位と思われるが、それで3対1の劣勢を補えるかどうかは大いに疑問だ。
▽どちらに転んでも「尖閣防衛」には役立たない
・もし制空権と、それに伴う制海権を十分に確保できないまま水陸機動団による島の奪回作戦が発動されれば、輸送艦は中国の空対艦ミサイルの標的となり、「オスプレイ」やヘリコプターは簡単に撃墜される危険が大きい。 仮に上陸、制圧に成功しても、補給が続かなければ、第2次世界大戦時と同様、兵は餓死の渕に立たされる。
・制空権、制海権が確保されるまで「水陸機動団」を出動させなければよいが、島を占拠されたとなれば、「水陸機動団は何をしているのか」との批判が出て、政治家やメディアもそれに乗る可能性がある。こうした声に押されて水陸機動団が危険を冒して出勤し、海上で全滅の事態も起こりかねない。
・真珠湾攻撃の前、陸軍は「海軍の方から対米戦争に勝ち目はない、と言ってもらえまいか」と内閣書記官長(今の官房長官)を通じて事前に働きかけた。だが、海軍は「長年、対米戦準備のためとして予算をいただいて来たのに、今さらそんなことは言えません」と断り、日本は勝算のない戦争に突入した。
・こうしたことは日本だけではない。どの国の軍も巨大な官僚機構で、組織の防衛と面目の維持を第一としがちだから、そのために部隊を犠牲にすることが起こる。 その最も顕著な例は、第1次世界大戦末期のドイツ海軍だ。 敗色濃い中、巨費を投じた「大海艦隊」は出動すれば英海軍に撃滅されるのは必定だったから、港内に引きこもっていた。 だが、海軍首脳部はあえて出動を命じ最期を飾ろうとした。無駄死にをさせる出動命令に水兵たちは反乱を起こし、これが全国に波及して革命となり、ドイツ皇帝はオランダに亡命した。  制空、制海権が十分に確保されない場合、「水陸機動団」が出動しなくても、メディアや政治家はそれを「臆病」と非難しないよう、気を付けねばならない。
・一方、制空、制海権が確立していれば、まず相手は攻めて来ないし、仮に上陸しても、補給が切れて立ち枯れになるのを待てばよい。この場合にも「水陸機動団」の出動を急がせるのは、無駄に死傷者を出すだけで愚策だ。 どちらに転んでも「水陸両用団」の創設は無駄と考える。
▽予算獲得の思惑 ヘリ空母改修も「便乗」
・そもそもどうして「水陸機動団」が作られることになったのか。 陸上自衛隊が「南西諸島防衛」を主張し始めたのは、ソ連の崩壊後だ。 それまではもっぱらソ連軍の北海道侵攻への対処を主眼としていたが、その可能性が消えたため、大幅削減の“危機”に直面した陸上自衛隊は次の存在目的を南西諸島に求めた。  当初、海上、航空自衛隊では「陸上自衛隊は苦しまぎれにそんなことを言い出した」と冷笑し、「対艦ミサイル・ハープーン搭載の潜水艦を1隻出しておけば十分ですよ」とか、「航空優勢さえ確保すれば相手は来られませんよ」との声を当時、よく聞いた。
・だが、「南西諸島防衛に必要」と言えば、海上、航空自衛隊も予算が取れる、と分かってそれに便乗し始めた。 ヘリコプター空母「いずも」(満載時2万6000トン)を、来年度に始まる次期中期防衛力整備計画で改修し、垂直離発着が可能なF35Bステルス戦闘機を搭載、対空、対艦船、対地攻撃能力を持つ空母にすることも真剣に検討されているが、これも便乗の一例だろう。
・海上自衛隊は私が防衛庁担当になった1960年代から、空母を持つことを悲願としてきた。 当初は「水上艦の速力を上回る30ノット以上の速力で潜航するソ連の原子力潜水艦を追うには、ヘリコプターが必要」との論で、それには合理性があると私も同意していた。 だがその後、大型護衛艦が各3機の対潜水艦用ヘリを搭載、中型護衛艦もヘリ1機(別に予備1機)を積むようになったから、潜水艦対策にヘリ空母を持つ必要はなくなった。
・だが海上自衛隊はヘリ空母をあきらめず、ソ連が1991年に崩壊し、その400隻近い巨大な潜水艦隊が今日の62隻(うち旧式30隻余)にまで減少する時期になって、ヘリ空母「ひゅうが」(満載時1万8000トン)と「いせ」(同型)を2009年と11年に就役させた。さらに「いずも」(同2万6000トン)と「かが」(同型)が2015年と17年に就役した。
・特に「いずも」「かが」は計画当初からヘリ空母ではなく、普通の空母への転用を目的として造られたことは、航空機を格納甲板から、飛行甲板に上げるエレベーターの配置などから明白だった。 飛行甲板の塗装をジェット噴気に耐える耐熱塗装とし、その先端を少し上に反らした「スキージャンプ」に改装し、垂直離着陸機が短距離を滑走して発艦できるようにし兵装の搭載力を増すようにすれば、対空、対艦、対地攻撃力を持つ小型空母になる。
・現状での搭載機数は、中型、大型のヘリ計14機だが、2万6000トンという大型艦だから、改装により搭載機をさらに増やすことも可能と考えられる。 仮に20機を搭載するとすれば、F35Bを14機、遠距離の敵機を探知するための早期警戒機を4機、発着艦の失敗で海に落ちた機のパイロットを救うための救難ヘリが2機、となるだろう。
・米空母は、早期警戒機として皿型のレーダーアンテナを付けた双発ターボプロップのE2Dを4機積むが、これはカタパルト(発進加速装置)がないと発艦できない。だから「いずも」級では、垂直離着陸ができるV22(オスプレイ)の胴体上部に「平均台」と呼ばれる細長いレーダーアンテナを付けることになるかもしれない。
・だが、F35Bが14機程度では戦闘能力は限られる。米空母は平時には約60機を搭載、うち44機が戦闘・攻撃機だ。尖閣諸島周辺では中国の第4世代戦闘機約200機が活動可能で、日本の空母から14機が戦列に加わっても大勢は変わらない。 同型の「かが」を改装して参加すれば計28機になるが、軍艦は1年のうち3ヵ月はドックに入って定期点検、修理をするし、それが終わって再訓練をした後に配備につくから、米海軍では空母1隻を運用するには3隻が必要とされている。
▽空母保有は「国家的虚栄心」 対中では潜水艦のほうが有効
・米国以外に空母を持つ国としては、中国が「遼寧」のほか1隻を建造中だ。インドも1隻と他に1隻建造中、イギリスは2隻建造中、フランス、ロシア、イタリア、タイが各1隻を保有する。 だが1隻ではそれがドック入り中に何か起きると空母は役立たない。不測の事態に備える防衛用ではなく、こちらの都合の良いときに弱い相手に対する攻撃や威嚇に使えるだけだ。
・米国のように10万トン級の原子力空母を11隻も持てば、常時3、4隻が出動可能で、搭載する戦闘・攻撃機は3隻で130機以上だから、有力な戦力となる。 だが1、2隻の空母を保有する国々は軍事力を誇示して威信を高めたい面があり、国家的虚栄心の表れでもある。
・F35Bステルス戦闘機を10機余積んだ「いずも」「かが」でも、「遼寧」が搭載する「J15」(燃料、兵装を満載すれば空母から発進できない)約20機に対抗できるかもしれない。 だが、実は中国海軍に対抗するには空母の必要はない。潜水艦で十分なのだ。
・中国海軍は敵の潜水艦を探知する対潜能力が極めて低く、一方で保有する原子力潜水艦の発する音は大きい。静粛性が高い日本の潜水艦で容易に処理できる。 海中では音波は必ずしも直進せず、水温、水深などにより上下に曲がるし、潮流や他の船舶の機関音などの雑音の多い中から、敵の潜水艦の出す音だけを拾うには高度の「水中音響学」の蓄積が重要だ。
・旧ソ連の潜水艦を主敵と見てきた米海軍と海上自衛隊はその探知の経験を積み、装備を開発してきたから、対潜水艦能力では中国と大差がある。 小型の空母よりはるかに建造費用は安く、人員も少ない潜水艦に力を入れる方が合理的だろう。
・日本が小型空母2隻「いずも」「かが」を持てば、イギリスが建造中の「クィーン・エリザベス」級(6万5000トン)2隻にははるかに及ばなくても、「海軍国」としての外見を備えることにはなるだろう。 だがそれが実際に活動するのは、おそらく米海軍の空母戦隊が中東などに出勤する際、その助手として付いて行く程度になるのではないか、と思われる。
http://diamond.jp/articles/-/166765

第一の記事で、 AH-64Dの調達を当初予定の64機から、僅か13機に減らされたのでは、生産していたSUBARUが、訴訟を起こしたのも当然だ。 『最高裁第2小法廷は2015年12月16日に国側の上告を退ける決定を出した。これにより国に約351億円全額の支払いを命じた2審の東京高裁判決が確定』、というのも当然だが、自衛隊の乱暴な調達方針変更は、余りに身勝手だ。SUBARUにとっては、訴訟が今後の受注に悪影響を与える可能性があるのは覚悟の上で、約351億円を獲得する方が得策と考えたのかも知れない。 『旧式化したAH-1Sの対戦車ミサイルは命中するまで1分以上空中に停止してミサイルを誘導しなければならず、今日では生存性が極めて低い』、こんな敵に恰好の標的となるようなAH-1Sは、筆者も主張するように、直ちに引退させるべきだろう。 『陸自はメンツに固執することをやめて現実を直視すべきだ。その上でスクラップ&ビルドを行い、現実的かつリーズナブルな航空兵力を整えればいい。そうでなければ抑止力にも戦力にならない部隊に無駄な税金を使い続けることになる。さらに、整備費不足の無理がたたり、今回のような墜落事故が多発する事態にもなりかねないのである』、というのは正論だ。
第二の記事で、 『いずもの空母化や空母建造は自衛隊を弱体化しかねない愚策』、 『「個別の装備品」議論から脱却せよ』、というのはその通りだと思うが、「個別の装備品」議論からスタートするお粗末な現在のやり方が何故、やられてきたのだろうか。それなりの理由がある筈だが、記事では触れてないのが残念だ。
第三の記事で、 『「水陸機動団」が創設されたが重要なのは制空、制海権』、というのはその通りだろう。 『ソ連の崩壊後・・・大幅削減の“危機”に直面した陸上自衛隊は次の存在目的を南西諸島に求めた』、というのは、よくよく考えるとおかしな話だ。 ソ連軍の地上侵攻に備えるには大規模な部隊が必要だろうが、島嶼防衛であれば、小規模で済む筈だ。やはり、陸上自衛隊の定員を大幅削減すべきだろう。 『第1次世界大戦末期のドイツ海軍・・・海軍首脳部はあえて出動を命じ最期を飾ろうとした。無駄死にをさせる出動命令に水兵たちは反乱を起こし、これが全国に波及して革命となり、ドイツ皇帝はオランダに亡命』、という史実は、どこの軍隊でも、いいかげんな意思決定をするものだと、改めて思わされた。 『空母保有は「国家的虚栄心」 対中では潜水艦のほうが有効』、との主張には説得力がある。 『日本が小型空母2隻「いずも」「かが」を持てば・・・だがそれが実際に活動するのは、おそらく米海軍の空母戦隊が中東などに出勤する際、その助手として付いて行く程度になるのではないか、と思われる』、というのでは、壮大な無駄以外の何物でもない。
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