So-net無料ブログ作成
経済政治動向 ブログトップ

政府財政問題(その2)財政拡大理論「MMT」(「日本版MMT」の効果が疑わしい理由、MMTも主流派経済学もどっちもどっちな理由 「レバレッジを制御できないこと」が問題だ!) [経済政治動向]

昨日に続いて、政府財政問題(その2)財政拡大理論「MMT」(「日本版MMT」の効果が疑わしい理由、MMTも主流派経済学もどっちもどっちな理由 「レバレッジを制御できないこと」が問題だ!)を取上げよう。

先ずは、三井住友DSアセットマネジメント ファンドマネージャーの山崎 慧氏が4月9日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「日本版MMT」の効果が疑わしい理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199318
・『議論を呼ぶ「MMT」日本で実質的に行なわれている  昨今、経済論壇でMMT(Modern Monetary Theory/現代金融理論)が話題となっている。MMTとは、自国通貨の発行権を持つ国では自国通貨建てで国家債務のデフォルト(債務不履行)が起こらず、政府は無限に信用を供与できるという主張である。 これまで話題に上ることは少なかったが、政治経験がない元ウェイトレスの経歴を持ちながら、昨年の米下院議員選挙に史上最年少で当選した民主党のオカシオコルテス氏が、自身が推し進めるグリーンニューディール政策(環境・再生可能エネルギー関連の財政支出拡大)の財源としてMMTを提唱したことで注目を集めた。 同氏は、ブログにて、「オリジナルのニューディール政策、第二次世界大戦、2008年の銀行救済、量的緩和、私たちの現在のすべての戦争と同じように、連邦準備制度理事会(FRB)は信用を供与することでグリーンニューディールの財源を手当てすることができる」と主張している。 これに対し、ジェローム・パウエルFRB議長、黒田東彦・日本銀行総裁など主な各国中央銀行首脳らは「危険な考え方だ」と異を唱えており、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁の有力候補であるフランソワ・ビルロワドガロー仏中銀総裁は「ハイパーインフレになる大きなリスクがある」とMMTを強く批判した。 ただ、MMTのように、政府の債務を中央銀行が引き受けることによって財政政策を拡大させるという考えは決して突飛なものではなく、むしろオカシオコルテス氏の言うように、有史において幾度も用いられてきたオーソドックスな考え方だ。それどころか、この政策はすでに日本で行われているとも言える。 2013年に量的・質的金融緩和が導入され、2016年にマイナス金利付き量的・質的金融緩和にてイールドカーブコントロールが導入されるまで、日銀の国債購入額は新規発行額を大幅に上回っていた。一方、財政政策はこの間、アベノミクスの三本の矢のうちの第二の矢として大規模化していた。これは、財政政策の財源となる国債を日銀が引き受けていると明示されていないだけで、アベノミクスにおける金融緩和と財政支出拡大のポリシーミックスは、オカシオコルテス氏の目指しているものに非常に近い。 こうした、「日本版MMT」の結果はどうであろうか。2013年から2016年までの消費者物価は、生鮮食品とエネルギー、消費税を除くベースで前年比+0.5%(年率)にとどまっており、日銀は現在に至るまで2%の物価安定目標の達成に苦慮している。ハイパーインフレが生じるどころか、政府はデフレ脱却宣言すら行えておらず、「日本版MMT」を用いてもなお物価の押し上げに失敗している』、確かに目新しいものではなく、「日本版MMT」を行っているが、実効性に乏しいようだ。
・『劇薬どころかかなり疑わしい日本版ヘリコプターマネーの効果  今後も財政と金融の協調の議論が続くのであれば、これまで講じられてきた政策が不十分だとして、さらに踏み込んだ信用供与に話題が移ることになるだろう。具体的には、政府による日銀保有国債のデフォルトだ。 日銀保有国債の永久債化や、日銀引き受けによる政府紙幣の発行も同種の考えで、これらはヘリコプターマネーなどとして定期的に話題に上っている。たとえば、若田部昌澄・日銀副総裁は、副総裁に就任する前の2015年2月5日の朝日新聞のインタビューで、「政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる」と発言しており、政府と日銀の間で資金を貸し借りしているのだから、両者を合わせた組織(統合政府)として考えれば、債務は相殺され消えるという理論として語られることが多い。 一般に、こうした政策・考え方は劇薬・禁じ手と言われているが、実際には劇薬どころか効果がかなり疑わしい。簡略化して考えると、日銀のバランスシートにおける保有国債(資産)の裏付けは、当座預金(負債)であり、これは民間銀行のバランスシートにおける当座預金(資産)を通じて国民の預金(負債)と繋がっている。 すなわち、日銀の保有国債をデフォルトさせることは、国民の預金をデフォルトさせることと同義となる。これは政治的にほぼ不可能であり、仮に実施されたとしても国民負担による財政再建となるため、増税による財政再建となんら変わらない。 保有国債をデフォルトさせても、国民の預金は保護すればいいという考えもある。ただし、この場合、日銀は債務超過となり、政府債務が日銀債務に置き換わっただけとなる。政府が借金しているのはあくまでも民間部門に対してなので、日銀の保有国債をデフォルトさせたところで、統合政府の債務は消えないのだ。政府債務が減る同額だけ日銀債務が増えたところで、何か変化が起こるのだろうか。 中央銀行が債務超過になったことで、多少のインパクトがある可能性は残るものの、同額の政府債務も減少することを考えると、財政再建の前進とも後退とも捉えられず、これによって物価に何らかの影響が及ぶとは考えにくい』、「若田部昌澄・日銀副総裁は、副総裁に就任する前」とはいえ、MMTを評価する発言をしていたとは初めて知ったが、日銀副総裁としての適格性を大いに疑わせる発言だ。
・『杞憂に終わる日本版MMT 物価上昇モメンタムが途切れる恐れも  まとめると、これまで行われていた「日本版MMT」は物価に対して影響を与えておらず、より踏み込んだ政策をとっても影響は薄いように思える。結局のところ、財政政策の拡大が物価に影響を与えるかどうかは、財源の調達方法ではなくその規模と使途に依存する。歴史上、ハイパーインフレのほとんどが放漫財政ではなく、大規模な国家予算の投入が将来の利益につながらなかった敗戦が原因となって生じてきたことがその証左だろう。 MMTに対しては懸念が表明されているものの、その議論が日本に及ぼす影響は良くも悪くも限定的だろう。むしろ現段階では、MMTがハイパーインフレを招くリスクを心配するよりも、景気が腰折れし、日銀の言う物価の上昇モメンタムが途切れるリスクをより心配すべきではないだろうか。 名目GDPの伸びがここ1年半にわたって完全に停止し、足元で景気動向指数が「下方への局面変化」を示しているにもかかわらず、消費増税を強行することになれば、2014年と同様の結果になるのが目に見えている』、景気腰折れの「リスクをより心配すべき」というのはその通りだろう。

次に、SMBC日興証券 チーフ金利ストラテジストの森田 長太郎氏が3月26日付け東洋経済オンラインに寄稿した「MMTも主流派経済学もどっちもどっちな理由 「レバレッジを制御できないこと」が問題だ!」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275326
・『財政赤字の積極的な拡大を推奨する「現代金融理論(MMT、Modern Monetary Theory)」をめぐり、米国では経済学者たちがメディアを巻き込み、論争を展開している。その論争の内容は、われわれ日本人にとっては失笑を禁じえないところがある。また、ある種のデジャビュを感じるものでもある。 MMTを主張する経済学者たちは、経済学コミュニティにおいては少数派だ。批判する経済学者のほうが数も多いうえ、地位や名声もはるかに高い。この数カ月間で、ポール・クルーグマン、ラリー・サマーズ、ケネス・ロゴフといったそうそうたる面々がMMTを批判する議論を展開しており、ジェローム・パウエルFRB(米国連邦準備制度理事会)議長や黒田東彦日本銀行総裁をはじめ現役の中央銀行幹部も批判の弁を述べている。メディアはこの論争を「主流派経済学 vs 非主流派経済学」という描き方で盛り上げている。 印象から言えば「非主流派」がずいぶんと威勢よく攻勢をかけているのに対し、「主流派」の反論は何やら昔ながらの教科書を紐解くような内容で、今ひとつ歯切れが悪い。経済学コミュニティの外野からは、小勢ながら果敢に攻める「非主流派」に「ヤンヤ」の声が掛かる状況だ。MMTは現状打破のための最終兵器であるかのように喧伝されており、米国では特にポピュリスト政治家やトランプ政権を政治的に攻めあぐねている野党民主党の政治家の中にこの理論の信奉者が少なからずいる』、米国で「現状打破のための最終兵器であるかのように喧伝」というのは誇大喧伝だ。
・『日本における「リフレ派vs反リフレ派」にそっくり  筆者が「失笑を禁じえない」というのは、MMTと主流派経済学者たちのヒステリックな議論に、「どっちもどっちではないか」と思わせるところがあるためだ。特に、1990年代後半以降、日本の経済政策を最も声高に批判してきたポール・クルーグマンが、「財政政策は金利がゼロ%の下限に達してからのみ意味がある」というようなMMTに対する批判を述べているのを聞くと、「五十歩百歩だろう」とつっこみたくなる。 また、「デジャビュを感じる」というのは、「MMTvs主流派経済学者」の論争は、過去20年超も続いているわが国における「リフレ派 vs 反リフレ派」の論争と完全にオーバーラップするからである。当のクルーグマンはベン・バーナンキ元FRB議長と並んで、日本のリフレ派論者たちに盛んに援用されてきた「リフレ派の理論的支柱」とも言うべき経済学者だ。「極論を主張するリフレ派に対して正論を述べる反リフレ派論者」というわが国の構図が完全に攻守逆転する形で、「極論のMMTに対して正論を述べるクルーグマン」という形になっているのが何とも皮肉である。 ここで、日本の「リフレ派 vs 反リフレ派」論争の最大のインプリケーションを述べておくと、「正論必ずしも勝たず」ということであろう。リフレ派は決して議論に勝ったわけではないが、主張した政策を実現する機会をつかんだ。米国における「MMTvs主流派経済学」も、MMTをポピュリスト政治家が支援しているため、同じ構図に見えてならない。 さて、米国の経済論壇を騒がせているMMTなるものの本質は何なのか。 クルーグマン先生も解説してくれているように、アバ・ラーナーの「機能的ファイナンス」といった古めかしい経済議論にその淵源があるようだ。当のMMTを主張する学者たちもまた、そう認めている。ラーナーの議論を踏襲するMMTの主張を簡単にまとめると、①金融政策が民間の経済活動に対して適切な水準に金利をコントロールしてさえいれば、あとは財政政策で完全雇用とインフレ目標を100%達成できる、②財政赤字はどれだけ拡大させても問題は起きない、という2点に尽きる。 このMMTの主張に対して、クルーグマンなどは先に述べたように、「金利がゼロ%の下限に達した場合には財政拡大はOK」と言っているので、その論は「MMT批判」のようでいて、実際にはMMTの「限定容認」になってしまっている。クルーグマンの場合、「ある段階までは金融政策、ある段階からは財政政策」という2段階の政策を主張しているのだが、完全雇用を達成するまでは政府と中央銀行が需要を無制限に創出すべきであり、政府も中央銀行もその能力を持っていると主張していることにおいては本質的に変わらない。 「主流派経済学者」といっても、現代の米国においてはかつてのようなガリガリの新古典派、新自由主義信奉者はすでに多数派ではない。市場調整機能の限界を所与とした上で政府や中央銀行の積極的な需要創出を支持するいわゆる「ニュー・ケインジアン」が現代の主流派といってよい。 ニュー・ケインジアンは公的部門の経済への介入を積極的に容認するのだから、政治的には「リベラル」との親和性が高い。そのため、彼らがMMTを批判してもしょせん迫力に欠けるのだ。ましてやクルーグマンなどは、主流派の範疇からもやや外れており、主張そのものはオールド・ケインジアンに近い。そのクルーグマンがMMTのような議論を批判するのは、どこか滑稽なのだ』、「失笑を禁じえない」、「デジャビュを感じる」、「クルーグマンがMMTのような議論を批判するのは、どこか滑稽」などというのは手厳しい批判だ。
・『MMTは会計上の資産負債の一致を述べているだけ  こう言ってしまうと、MMTをめぐる論争は、現代の主流派経済学者のうち多数派を構成するケインジアン(=ニュー・ケインジアン)と、もっと古風で先鋭的なケインジアン(=MMT)の「五十歩百歩対決」なのだと結論づけてしまってもよいように思えるが、実際にはもう少し複雑な要素を含んでいる。 アバ・ラーナーに端を発するところの「財政赤字はいくら増やしても何も問題ない」という主張だけを取り出していえば、これはレーガン減税の理論的根拠にもなった「ラッファー・カーブ(=減税すれば経済成長によって減税額以上に税収が増えるという主張)」のような「ブードゥー経済学」のようにも聞こえるのだが、さすがにそれでは議論が粗すぎる。 ラーナーが主張し、MMTが受け継いでいる最も重要なコンセプトは、「誰かの負債は必ず誰かの資産」ということである。どういうことかというと、「財政赤字(=政府の負債)によって減税を実施すれば、国民は減税によって貯蓄(=資産)が増えるので、つねに発行された国債の額と国民の資産増加額は会計的に一致する」ということである。そうであれば、財政赤字によってどれだけ政府の債務が積み上がったとしても、それに見合った国民の資産は増加しているのだから問題はない、というのである。 このロジックを聞いて、「だまされている」ような感覚を持つ人は少なくないだろう。けれども、少し考えてみると、このロジック自体は簡単には論破できないものであることにも気づくはずだ。 「誰かの借金は誰かの資産」→「国の借金は国民の資産」→「政府債務がいくら増えても会計上は帳尻が合っている」というMMTのロジックは、この限りにおいては間違いではない。そこから、彼らは「主流派経済学者は歯止めなき財政拡張はいずれハイパーインフレをもたらすと批判するが、そんなことはない」→「財政赤字はどんどん拡大すべきである」という結論を導き出すのである。 しかし、このロジックは、「金融政策万能論」に近い考え方を採る現代の主流派経済学である「ニュー・ケインジアン」と、その牙城となっている主要中央銀行(FRB、日銀、ECB)からすると、とてもそのままでは容認できないものである。 なぜならば、「財政赤字を拡大すると国民の資産が増える」というのが事実であるならば、「財政政策がマネーサプライ(=国民の金融資産)を決定するのであり、中央銀行が決定するのではない」と言っているのに等しいからである。若干マイルドな言い方に変えれば、「中央銀行もマネーサプライの決定に関与するものの、財政政策はそれと同じかそれ以上に強く関与する」ということになってしまうのである』、これでは、「主要中央銀行」が目の敵にするのも頷ける。
・『「財政政策が決める」とするMMTの根拠  ここで少し冗長にはなるが、政府が財政赤字を拡大して国債を発行した時に実際に起きていることを正確に描写してみたい。 「政府が1億円の減税を決定して1億円の国債を発行」→「銀行Aが準備預金を取り崩して国債1億円を購入」→「中央銀行の管理する政府預金が1億円増加し、銀行Aの準備預金が1億円減少」→「中央銀行は銀行Aから国債1億円を購入して資金を供給し、銀行Aの準備預金は元の水準に戻る」 さらに「政府は増加した預金勘定の1億円で国民Bに対して減税を実施」→「国民Bは減税資金を受け取りそのまま銀行Aに1億円預金」→「政府預金が1億円減少して銀行Aの準備預金が1億円増加」→「中央銀行は銀行Aに1億円の国債を売却して資金を吸収」→「銀行Aの準備預金は1億円減少して元の水準に戻る」→「最終的に銀行Aの準備預金は変化せずに国債保有が1億円増加し、国民Bの預金は1億円増加」 さて、この長ったらしいプロセスを注意深く見ると、中央銀行はただ銀行の準備預金の水準を一定に維持するためだけに行動している。その結果、政府が国債を1億円発行して減税を実施したことで何が起きたかというと、銀行Aの国債保有が1億円増加し、国民Bの預金が1億円増加している。 そして、政府の財政赤字の額(=政府負債の増加額)と銀行の国債保有(=資産増加)が一致し、銀行の資産増加は国民の資産増加(=預金増加)に見合ったものになっている。ここでは財政政策が国民の金融資産(=マネーサプライ)を増加させているわけであり、中央銀行の働きはひたすら受動的ということになる。 このプロセスをもってMMTの論者は、中央銀行が経済の水準(ここではマネーサプライが重要であるという前提)を決めるのではなく、財政政策が決めているのだと主張している。同時に、財政赤字をいくら増加させても国民の負担にはならないとの議論が展開される。MMTの論者は、そもそも中央銀行はマネーサプライを増減させる能力はないとまで主張するわけだが、上記のプロセスを見る限り、結果として中央銀行はマネーサプライの増減に対して受動的に行動していることは確かである。 しかし、MMTを主張する人々よりもはるかに前から、この議論を行なっていたのは、実は日本銀行であったということを忘れてはならない。 1990年代前半に経済学者の岩田規久男(前日銀副総裁)と日銀スタッフだった翁邦雄が『週刊東洋経済』で繰り広げた「翁-岩田論争」である。ここでは、翁が中央銀行は準備預金を能動的に増減させることはできず、マネーサプライに与えられる影響力も限定的であると主張していた。MMTが声高に主張している議論は、すでに20年以上前に日本で行われていたわけである。そして、当時、日銀の「受動的な金融政策」は間違いだと主張した岩田らの論が、2000年代以降に日銀の政策として段階的に採用され、実験されていくことになるのである。 この実験の結果、中央銀行のマネーサプライ管理能力については、おおむね翁の主張に沿った結果が出ており、MMT論者の主張も、その面においては支持されている。ただし、話はこれでは終わらない。 上記の「財政赤字→国債発行」のプロセスを根拠にMMT論者が「財政赤字は誰の負担も増やさない」という結論を単線的に導こうとするのであれば、この結論を論破するのは簡単である。単純な話だが、「減税された資金をまったく使わずにそのまま預金するのであれば、そもそも何も変わらないのは当たり前」なのである。国債の金利支払いも財政赤字でまかなわれると考えれば、その分も減税と同じ扱いにできる』、「翁-岩田論争」まで引用するとは筆者の博識ぶりに驚かされた。
・『「リカード中立」を前提にするなら乗数効果はゼロだ  実は、ラーナーやMMTの使っているトリックはここにあるわけだが、「誰かの負債は誰かの資産」なので誰の負担にもなっていないというのは、あくまでも「バランスシート」もしくは「ストック」の議論である。前述の例では、「国民Bは減税資金を受け取りそのまま銀行Aに1億円預金する」としているが、これはつまり、財政政策の乗数効果が「ゼロ」である状況を想定している。「完全なリカードの中立命題が成立している」という言い方にもなる。「リカード中立」は「財政赤字を拡大しても、国民が将来の増税を予想してしまうと一切資金を使用しない」という状況を指す。 しかし、実際には減税資金のうちいくらかを消費に回すからこそ経済効果があるわけであり、そもそもラーナーもMMTもその効果に期待して「財政政策でいくらでも雇用やインフレをコントロールできる」と主張しているわけである。結局、「誰かの負債は誰かの資産」あるいは「財政赤字は誰の負担にもなっていない」というのは、「恒等式」の関係を述べている、「会計上、バランスシートの右と左は釣り合っている」と言っているにすぎないのである。 トリックとはいえ、ラーナーやMMTの言っている議論も、ある時代、ある局面においては、現実に起こっている経済状況を的確に説明できていたりもする。例えば、1990年代後半から2000年代半ば頃にかけての日本の国債市場のケースなどである。 この時期、日本政府が景気対策として財政赤字拡大政策を採るたびに、過大な国債発行が長期金利の上昇を招くのでないか、それがむしろ経済にネガティブな影響をもたらすのではないかとの懸念が高まった。だが、実際に国債発行による本格的な長期金利上昇は起きなかった。この事象を振り返って、「ほら見ろMMTの正しさは2000年前後の日本で証明済みだ」などとわけ知り顔で語る論者もいる。 だが、当時から日本の債券ストラテジストたちは、このメカニズムについて正確に把握、指摘していた。すなわち、。財政赤字による国債発行はマネーサプライを増加させ、それは銀行の預金を増加させる。あるいは、「預貸ギャップの拡大」を招き「貸出に対する預金超過」を生む。それは、銀行の国債保有を促す形となり、結局、長期金利の上昇をもたらさないだろう――。このように予想していた者が少なくなかったのである。つまり国債発行が貸出の大幅な増加に結びつかない、財政による乗数効果の低いことが景気対策の効果が細っている理由でもある。 なお、「翁-岩田論争」は、中央銀行のマネーサプライ・コントロール能力に焦点を当てた議論であったが、財政政策、金融政策を共通の土俵で扱い、マネーサプライとの関係を分析するという作業を古くから行なっていたのも、世界の中央銀行のなかで実は日銀であった(末尾のコラム参照のこと)』、「財政赤字による国債発行は」「長期金利の上昇をもたらさないだろう」との債券ストラテジストたち見方は正しかったことになる。
・『MMTも主流派も単純すぎて現実離れしている  MMTの論者は、中央銀行が雇用やインフレに及ぼす影響力はなく、すべてを創出するのは財政政策だと主張するが、この主張は「明確な誤り」である。金融政策は、局面によってはほとんど無力に近い時もあるが、メカニズムとしては民間部門債務と海外債務の変動を通じてマネーサプライを増減させ、雇用やインフレに影響を及ぼすことがある程度はできる。 しかし、「マネタリスト的」な金融政策万能論を振りかざすタイプのニュー・ケインジアンによる「金融政策こそがすべて」という主張も、同じくらい「明確な誤り」である。2000年代の日本のケースなどは、翁邦雄が主張したように、マネーサプライの変化を通じて中央銀行が雇用やインフレに影響を及ぼす経路が非常に細っていたのである。どちらの議論も、リアルな経済と資金の流れをあまりにも「単純化」しすぎていると言わざるを得ない。 確かに「財政」によるマネーサプライ増減のメカニズムは「シンプル、直接的」ではある。しかし、それでも減税資金が100%預金されてしまうのか100%支出されるのかによって、実体経済へのインパクトは大きく変わってくる。一方、「金融政策」によるマネーサプライ増減のメカニズムは、民間部門債務が増減する複雑なメカニズムのある部分しか担っていないという意味で、その波及経路はより分かりにくい。 しかし、いずれにせよ、「将来の成長期待」「競争環境」「技術革新」「金融規制」さらには「社会全体のセンチメント」まで実に多岐にわたる要素が影響するのである。こういった複雑な要素を捨象して、「財政政策がすべてだ」「いや金融政策だ」と経済学者や評論家たちが主張をぶつけ合っている姿自体があまりにも現実離れしており、空想世界に生きているように見える。それこそクルーグマン流に言うならば、「はるかに多様な要素が影響しているんだ、バカ!」ということになる。 アバ・ラーナーが「機能的ファイナンス」というコンセプトで語ったのは、「財政赤字を善悪で判断するのではなく、雇用とインフレに影響を及ぼしうる唯一のツールとして、その結果あるいは効果で判断すべきだ」ということであった。しかし、現実には「財政政策」は唯一のツールなどではない。それどころか、その政策が効果に結びついていく経路には「リカード中立の程度」という非常に想定が難しい要素が介在するのである。「財政政策」は一つの「機能」なのだから、出てきた効果と結果だけを見てその適用可否を判断すればよいなどと安直に扱える、コントローラビリティのある(制御可能な)代物ではないのである。 ここで、「政府債務」、「民間債務」、「海外債務」というマネーサプライ創出の3部門におけるコントローラビリティとは、いったいどういうことなのかという点について、最も重要な視点を提示しておこう。 先ほども述べたが、例えば「政府債務」について、「財政赤字を出して国債発行を行っても、民間資産の増加も伴うため誰の負担にもならない」というMMTの理屈は「両建て」でのバランスシート拡大のことを指している。しかし、問題は「レバレッジ」、つまりリスクの拡大にあるのだ。「信用創造」=「レバレッジ」という、金融実務においては当然すぎる議論の整理を、経済学者も行なう必要がある。 「両建て取引では負債に見合う資産があるので大丈夫」というのは30年前、1980年代後半のバブル期の日本で盛んに流行ったロジックである。「借金をしても見合う資産がある」、それどころか「むしろ資産には含み益があるので、それを担保にもっと借金ができる」といった具合である。つまり、「政府債務」でも「民間債務」でも、「両建て取引」あるいは「レバレッジ」はそれ自体では「会計上」はつねに「中立」に見えるのである』、「MMTも主流派も単純すぎて現実離れしている」というのはその通りだ。モデル化のため単純化する過程で、多くの前提を置いて細かな要素を捨象しているため、「現実離れ」は不可避なようだ。
・『「レバレッジ拡大政策」を空疎な理論で決定するな  しかし、これを無制限に拡大させていった場合に、過去に何が起こったのか、先に何が起こりうるかといったイマジネーションを広げてみる必要がある。リーマン危機も然りだが、「レバレッジ」の拡大はどこかで「リスク感覚」を麻痺させる。「両建てで負債に見合った資産ならば」ということで、経済主体は「過大なリスク」を取りがちである。これを政府部門のケースでいえば、まったくムダに終わる公的事業に資金を費やすようなことが平気で行われる。簿価評価の負債に対して時価評価の資産が大幅に毀損していく事態が生じれば、「誰かの借金は誰かの資産」ではなくなってくるのである。 もちろん、現在の日本を含めた先進諸国においてこの「過大なレバレッジ」が問題を引き起こす段階にあるのか、と言えばそうではないかもしれない。国ベースで言えば、レバレッジの極端な拡大は、1980年代の日本で生じ、これに1990年代後半から2000年代にかけて米国が続き、2000年代にはユーロ圏が追随した。そして、リーマン危機後から2010年代にかけては中国のレバレッジがとんでもない水準に達している。2019年現在ということでいえば、先進諸国においてはむしろ「レバレッジが過小」であるとの指摘はおそらく正しいのだろう。 しかし、時期は予想できないものの中国のレバレッジ崩壊のリスクがこれほど高まっている中で、安直に先進諸国がレバレッジ拡大を志向していくべきなのかといえば、長期的な観点からは疑問符が付く。そもそも、既に述べたように財政政策であれ金融政策であれ、「レバレッジ」の水準(=これが要はマネーサプライの水準を決定する)を完全にコントロールすることなどはできない。過大になれば抑制し過小になれば拡大すればよい、というほど簡単な話ではまったくないのである。 その意味で、レバレッジ拡大政策を取るかどうかの判断は、「理論」の領域ではなく、「グローバルな経済状況」、「国ごとのさまざまな事情」、「経済政策決定における政治プロセス」など、広範にわたる「現実」の領域が決定的に影響してくるということを踏まえたものでなければならない。不確かな「理論」が政治的に「つまみ食い」されるリスクもつねに存在しており、「理論上」の論争で勝ち負けを決めることほど無意味なことはない。 この点において、経済学者の議論は、主流派経済学者もMMT論者も五十歩百歩、どっちもどっちだと言わざるをえない。「あなた方にはそんなことを決める能力はない、バカ!」と声を大にして言いたいところである。(コラムは省略)』「レバレッジ拡大政策を取るかどうかの判断は、「理論」の領域ではなく・・・広範にわたる「現実」の領域が決定的に影響してくるということを踏まえたものでなければならない」、というのはさすが現実を長年見てきた金利ストラテジストならではの鋭い見方だ。その通りなのだろう。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 政府財政問題 (その2)財政拡大理論「MMT」(「日本版MMT」の効果が疑わしい理由、MMTも主流派経済学もどっちもどっちな理由 「レバレッジを制御できないこと」が問題だ!) 山崎 慧 「「日本版MMT」の効果が疑わしい理由」 MMT(Modern Monetary Theory/現代金融理論) 自国通貨の発行権を持つ国では自国通貨建てで国家債務のデフォルト(債務不履行)が起こらず、政府は無限に信用を供与できるという主張 民主党のオカシオコルテス氏が、自身が推し進めるグリーンニューディール政策(環境・再生可能エネルギー関連の財政支出拡大)の財源としてMMTを提唱したことで注目 各国中央銀行首脳らは「危険な考え方だ」と異を唱えており すでに日本で行われている アベノミクスにおける金融緩和と財政支出拡大のポリシーミックスは、オカシオコルテス氏の目指しているものに非常に近い 「日本版MMT」を用いてもなお物価の押し上げに失敗している 劇薬どころかかなり疑わしい日本版ヘリコプターマネーの効果 若田部昌澄・日銀副総裁 「政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる」と発言 劇薬・禁じ手 日銀の保有国債をデフォルトさせることは、国民の預金をデフォルトさせることと同義となる。これは政治的にほぼ不可能であり、仮に実施されたとしても国民負担による財政再建となるため、増税による財政再建となんら変わらない 国民の預金は保護すればいいという考えもある。ただし、この場合、日銀は債務超過となり、政府債務が日銀債務に置き換わっただけとなる 杞憂に終わる日本版MMT 現段階では、MMTがハイパーインフレを招くリスクを心配するよりも、景気が腰折れし、日銀の言う物価の上昇モメンタムが途切れるリスクをより心配すべきではないだろうか 森田 長太郎 「MMTも主流派経済学もどっちもどっちな理由 「レバレッジを制御できないこと」が問題だ!」 MMTを主張する経済学者たちは、経済学コミュニティにおいては少数派 「主流派経済学 vs 非主流派経済学」 MMTは現状打破のための最終兵器であるかのように喧伝 ポピュリスト政治家やトランプ政権を政治的に攻めあぐねている野党民主党の政治家の中にこの理論の信奉者が少なからずいる 日本における「リフレ派vs反リフレ派」にそっくり 「失笑を禁じえない」 「デジャビュを感じる」 日本の「リフレ派 vs 反リフレ派」論争の最大のインプリケーションを述べておくと、「正論必ずしも勝たず」ということであろう。リフレ派は決して議論に勝ったわけではないが、主張した政策を実現する機会をつかんだ クルーグマンがMMTのような議論を批判するのは、どこか滑稽 MMTは会計上の資産負債の一致を述べているだけ アバ・ラーナー 「財政赤字はいくら増やしても何も問題ない」 最も重要なコンセプトは、「誰かの負債は必ず誰かの資産」ということ 現代の主流派経済学である「ニュー・ケインジアン」と、その牙城となっている主要中央銀行(FRB、日銀、ECB)からすると、とてもそのままでは容認できないもの 財政政策がマネーサプライ(=国民の金融資産)を決定するのであり、中央銀行が決定するのではない」と言っているのに等しい 「財政政策が決める」とするMMTの根拠 中央銀行の働きはひたすら受動的 翁-岩田論争 「リカード中立」を前提にするなら乗数効果はゼロだ 実際には減税資金のうちいくらかを消費に回すからこそ経済効果がある 「誰かの負債は誰かの資産」あるいは「財政赤字は誰の負担にもなっていない」というのは、「恒等式」の関係を述べている、「会計上、バランスシートの右と左は釣り合っている」と言っているにすぎない 財政赤字による国債発行はマネーサプライを増加させ、それは銀行の預金を増加させる。 長期金利の上昇をもたらさないだろう MMTも主流派も単純すぎて現実離れしている 金融政策は、局面によってはほとんど無力に近い時もあるが、メカニズムとしては民間部門債務と海外債務の変動を通じてマネーサプライを増減させ、雇用やインフレに影響を及ぼすことがある程度はできる 「金融政策こそがすべて」という主張も、同じくらい「明確な誤り」 「将来の成長期待」「競争環境」「技術革新」「金融規制」さらには「社会全体のセンチメント」まで実に多岐にわたる要素が影響するのである 複雑な要素を捨象して、「財政政策がすべてだ」「いや金融政策だ」と経済学者や評論家たちが主張をぶつけ合っている姿自体があまりにも現実離れしており、空想世界に生きているように見える 「レバレッジ拡大政策」を空疎な理論で決定するな
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

政府財政問題(さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される 「国民負担率2年連続減」の大ウソ、日本の「腐敗指数」は先進国で中の下 独立財政機関が必要!?、基礎的財政収支の黒字化 1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する) [経済政治動向]

今日は、政府財政問題(さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される 「国民負担率2年連続減」の大ウソ、日本の「腐敗指数」は先進国で中の下 独立財政機関が必要!?、基礎的財政収支の黒字化 1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する)を取上げよう。

先ずは、ジャーナリストの磯山 友幸氏が昨年3月2日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される 「国民負担率2年連続減」の大ウソ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/238117/030100071/
・『記者が「だまされる」いわく付きの発表  国会では「裁量労働制」を巡って政府が提出したデータの不備が、野党や大手メディアに追及され、安倍晋三首相は今国会に提出する働き方改革関連法案から裁量労働制を削除せざるを得ないところまで追い込まれている。議論する前提のデータがインチキでは真っ当な政策決定が行えないという野党の主張は当然である。 ところが、野党も大手メディアもまったく問題視しないデータ不備が存在する。日本はまだまだ税金も社会保険料も負担が軽いと主張するそのデータは、国民生活を直撃する「増税」を進めるための1つの論拠になっているのだから、裁量労働制に劣らない重要なデータと言える。にもかかわらず、毎年同じ「恣意的」とも言えるデータが発表され続けている。 国民負担率。国税と地方税の「税負担」や、年金掛け金・健康保険料といった「社会保障負担」が国民所得の何%を占めるかというデータである。 「国民負担率18年度42.5% 2年連続減、所得増映す」 2月24日付の日本経済新聞はこう報じていた。「負担率が前年度を下回るのは2年連続。景況感の回復で所得が増え、負担率を押し下げた」としている。 この記事は2月23日に財務省が発表した「2018年度(平成30年度)の国民負担率」を基に書かれた、いわゆる発表記事だ。財務省内にある記者クラブに詰めている若手記者が、財務官僚の説明をそのまま記事にしたのだろう。1年前に自分たちの新聞がどんな記事を書いたかチェックしなかったのだろうか。 「17年度の国民負担率、横ばい42.5%」これが日本経済新聞の2017年2月10日付(電子版)の記事だ。つまり2016年度も2017年度も42.5%だとしていたのだ。「横ばい」と書いていたはずなのに、なぜそれが「2年連続減」になるのか。 実は、この発表データは記者クラブの記者たちが何度も“だまされ”てきた、いわく付きの発表なのだ』、「いわく付きの発表」にも拘らず、「財務官僚の説明をそのまま記事に」するとは、お粗末極まる。
・『国民負担率を小さく見せようという「意図」  今年発表された年度推移のデータ一覧表を見ると、2016年度は42.8%、2017年度は42.7%、そして2018年度は42.5%となっている。この表をベースに記者は「2年連続減」と書いているのだが、ここに「罠」が仕掛けられている。 欄外に細かい文字でこう書かれている(年号を西暦に修正)。 「2016年度までは実績、2017年度は実績見込み、2018年度は見通しである」 2017年度も2018年度も確定的な数字ではない、と言っているわけだ。その財務省の「推計」を基に記事を書くので、辻褄が合わなくなっている。つまり、毎年「見通し」がおかしいのだ。 実績として確定した2016年度の国民負担率は6年連続で過去最高を更新した。2010年度は37.2%だったので、6年で5.6ポイントも上昇した。この国民負担率にそれぞれその年度の国民所得をかけて計算すると、何と33兆円も負担は増えているのだ。 ではかつて、日本経済新聞は2016年度の「見通し」をどう記事にしていたか。 「16年度の国民負担率、7年ぶり低下」である。財務省は、負担は軽くなるというデータを毎年のように示しながら、「実績」となると過去最高を続けているわけだ。記者はまんまと財務省の「印象操作」にはまっているのである。これは日本経済新聞だけの問題ではなく、朝日新聞ほかの大手メディアは概ね「引っかかって」いる。 今年の発表では2017年度は42.7%と、最高だった2016年度の42.8%に比べて0.1ポイント低下することになっている。2017年度は「実績見込み」だから大きくは狂わないだろうと多くの読者は思うに違いない。だが毎年、「実績」数字は、「実績見込み」を上回る結果になっている。昨年の発表で2016年度の「実績見込み」は42.5%だったが、蓋を開けてみると42.8%と0.3ポイントも上回っていたのだ。 過去何年にもわたって発表されてきた「見通し」や「実績見込み」は、決まって「実績」よりも小さく見積もられてきた。明らかに、予想ベースを過小に公表して、国民負担率を小さく見せようという「意図」が働いている。それを知ってか知らずか大手メディアは、財務省の意図通りに「見通し」ベースで記事を書き続けているのだ。 これこそ、霞が関による「情報操作」、「データ偽装」ではないか。本来、新聞が書くべきは、2016年度の国民負担率が42.8%と過去最高になった「事実」ではないのだろうか。役所の誘導に引っかかって、結果的に誤報を繰り返す、「官製誤報」が繰り返されている。野党も国民の給与が増えないと繰り返すならば、こうした増税論議の前提になる「データの不備」を追及すべきではないのか。 財務省の発表を見て経済データを見慣れた記者ならば、「実績見込み」も「見通し」もかなり前提が「緩い」ことに気がつくはずだ。2017年度実績見込みの前提になっている国民所得は「402兆9000億円」。2016年度は391兆7000億円なので、2.9%増える「見込み」になっている。さらに2018年度は414兆1000億円という「見通し」で、これは前年度比2.8%の増加である。高い経済成長を前提にして、国民所得が増えるので、その分、負担は減りますと言っているわけだ』、「「実績見込み」も「見通し」もかなり前提が「緩い」」ので、国民負担率の「実績」では大幅に上方修正され、負担が増えていた、というのは余りに見え透いた手口だ。きっと記者クラブのメンバーたちはそれを承知の上で「官製誤報」に協力しているのだろう。、
・『目白押しの増税プランが負担率を押し上げる  余談だが、実は、国民負担率が44.4%という過去最高を記録したことがある。2015年度だ。ところが政府がGDP(国内総生産)の計算方式を変更したため、国民所得が大きく増えることになった。これを受けて財務省は国民負担率の一覧表も過去に遡って修正した。2015年度は42.6%になったので、1.8ポイント分低く見えるようになった。 アベノミクスで景気回復に期待がかかる。GDPが徐々に増えていくことは間違いないだろう。だが、現実には国民負担率は過去最高を更新し続けるに違いない。 何せ、増税プランが目白押しなのだ。2019年度以降は所得増税と消費税率の10%への引き上げが決まっている。2018年度税制改正大綱では、給与所得控除の縮小によって年収850万円以上の給与所得者は増税となることが決まった。基礎控除が拡大されるため自営業やフリーランスは減税になるとしているが、トータルでは増税だ。さらに、出国税や森林環境税などの導入も決まった。 いくらアベノミクスで国民所得が増えても、それを上回るペースで税金が増えていけば、実際に使えるおカネ、可処分所得はマイナスになってしまう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人観光客などが増え、消費が盛り上がると期待されているが、その「特需」の規模は不透明だ。増税によるマイナス効果を吸収できなければ、せっかく明るさが見え始めた日本経済に再び水がさされることになりかねない。 日本のGDPの過半は消費によって生み出されている。安倍首相は2012年末の第2次安倍内閣発足以降、「経済の好循環」を訴えている。アベノミクスによって円高が是正され企業収益が大幅に改善されたが、それを従業員に積極的に配分することで、冷え込んだままになっている消費に火をつけようというわけだ。安倍首相は繰り返し経済界に賃上げを求めており、今年は「3%の賃上げ」を働きかけている。消費に火がつけば、再び企業収益にプラスとなり、循環が始まるわけだ。 「経済の好循環」が回り始めるには、国民の可処分所得が増え、実際に消費にお金が回る必要がある。税負担や社会保険料負担を増やせば、国民の可処分所得はその分減ってしまうことになる。 それだけに増税議論には「正確なデータ」が不可欠なはずだ。「まだまだ日本の税金は安いですよ」「社会保障負担も増えてきましたが、大したことはありません」という印象操作をベースに議論をしていれば、実態を見誤ることになりかねない』、その通りだ。記者もクラブの悪しき伝統を脱却して、真の姿を記事にしてほしい。野党もトリックを追及すべきだ。

次に、東短リサーチ代表取締役社長の加藤 出氏が昨年4月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本の「腐敗指数」は先進国で中の下、独立財政機関が必要!?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/167319
・『今年2月に世界の「腐敗認識指数2017」(トランスペアレンシー・インターナショナル)が公表された。世界180の国と地域において、専門家とビジネスパーソンにアンケートを行い、「公的部門が腐敗していると感じている」と答えた人の割合を指数化したものである。ランキングが上位ほど清潔で、下がるほど腐敗度が高い。 清潔度1位はニュージーランドだったが、日本は20位だ(5年前は17位)。経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国では18位、主要7カ国(G7)では5位。つまり、世界全体では上位にいるが、先進国では真ん中よりやや下に位置している。日本の公的部門の清潔度は悪くはないが、国際的に称賛されるほどではないといえる。 ランキングの下位を見ると、中国77位、インド81位、ブラジル96位、ロシア135位、北朝鮮171位、ソマリア180位だ。下位の国々の国民は、日本の昨今の「森友・加計問題」を聞いたら、「何をそんなに騒いでいるのか」と不思議に感じるかもしれない。しかし、上位国の国民は不適切な動きが起きていると思うだろう。 ところで、清潔度上位ベスト6の中に、北欧の福祉国家が4カ国入っている。デンマーク2位、フィンランド同率3位、ノルウェー同率3位、スウェーデン6位だ。 それら4カ国の昨年の名目国内総生産(GDP)に対する一般政府の収入(主に税収)は平均で52%、支出は51%だ。日本の比率はそれぞれ33%と37%(国際通貨基金〈IMF〉推計)。つまり北欧4カ国は「大きな政府」であり、「高負担・高福祉」となっている。 4カ国の消費税率は24~25%と、日本よりはるかに高い。それにもかかわらず、国民は大きな不満を抱いていない。政府の清潔度が高く、税金は社会保障などに適切に使われていると、国民が政府を信頼しているからである。 そう考えると、今回の「森友問題」における財務省の公文書改ざんは悪影響を及ぼすと懸念される。「財務省がこのような不祥事を起こしては、2019年10月の消費税率引き上げは難しい」という声を、市場関係者から最近よく聞く。 増税は本来財務省のためのものではないが、信認が低下した役所の財政見通しを国民に説得性を持って伝えるのは確かに難しい』、新しい「腐敗認識指数2018」によれば、日本は18位と僅かに上がったようだが、先進国での地位は低いままだ。北欧4カ国は、「高負担・高福祉」で、「国民は大きな不満を抱いていない。政府の清潔度が高く、税金は社会保障などに適切に使われていると、国民が政府を信頼しているから」というのはその通りだ。
・『こうなってくると、長期的な対策として、OECDが強く推奨している独立財政機関の設置を日本でも真剣に検討する必要があるだろう。政府や政党からの影響を受けずに、中立的な立場で経済や財政の中長期的な見通しを作成する機関のことである。OECD加盟国の中ではすでに27カ国以上が導入している。G7で採用していないのは実は日本だけだ。 米国の独立財政機関である議会予算局(CBO)は、4月9日に新たな経済見通しを発表した。実質GDPの成長率は今年と来年こそ高めだが、18~28年の平均は1.9%だった。米政権の同期間の見通しは3.0%だ。CBOは政府に忖度していない。政府債務の累増に関しても政府に強い警鐘を鳴らしている。こうした姿勢により、CBOは市場でもリスペクトされている。 しかも、CBOに限らず多くの国で独立財政機関は30~75年前後の財政見通しを公表している。日本政府(内閣府)の見通しは10年弱と極めて近視眼的だ。将来世代のための建設的な財政再建議論を進めるには、たたき台となる中立的で信頼に足る長期の財政見通しが必要である』、説得力溢れた主張で、大賛成だ。独立財政機関が出来れば、第一の記事でみた財務省の小細工などもなくなり実態が開示されることになる。ただ、財務省は猛反対するので、よほど本腰を入れて改革する必要があるだろう。

第三に、慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏が2月4日付け東洋経済オンラインに寄稿した「基礎的財政収支の黒字化、1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/263535
・『内閣府は1月30日、毎年恒例の「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)を公表した。 中長期試算は年に2回更新することになっているが、今回は2つの意味で重要である。1つは、2019年度政府予算案の閣議決定を受けて、今後の財政収支の見通しを確認すること。もう1つは、今年予定されている5年に1度の公的年金の財政検証で中長期試算がどう使われるかである』、なるほど。
・『異例の閣議決定やり直し  まず、今後の財政収支の見通しについて、2019年度政府予算案は、毎月勤労統計の不正の影響を受けて1月18日に閣議決定をやり直すという極めて異例の展開となった。一般会計の歳出総額は101兆4571億円と、当初予算としては過去最高額となった。「来年度予算案の『101兆円』はバラマキ予算か」で言及したとおり、消費増税対策や防衛費、公共事業費などの歳出増で歳出が膨張したことから、財政健全化目標の達成は遠のいたような印象を与えた。 毎年1~2月頃に公表される中長期試算の更新版は、次年度予算案の内容を踏まえて改訂される。次年度予算に盛り込まれた歳出改革は反映するが、翌々年度以降の歳出見通しには追加の歳出改革は織り込まないという試算の前提が踏襲されている。 したがって、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革が織り込まれていない2018年7月公表の試算と、今回の中長期試算(2019年1月試算)を比べれば、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革が財政収支の改善にどう影響したかを見極めることができる。 中長期試算の1つの重要な焦点となるのが、2025年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)がどうなるかという点だ。安倍内閣は、2025年度の国と地方を合わせたPBの黒字化を財政健全化目標として閣議決定している。PBは、税収等から政策的経費(基礎的財政収支対象経費)を差し引いた収支である。 2018年7月試算では、より高い経済成長率のシナリオである成長実現ケースで、2025年度のPBは2.4兆円の赤字だった。黒字化目標を達成するにはさらなる政策努力が求められるという試算結果だ。2019年1月試算の成長実現ケースで、2025年のPBは1.1兆円の赤字となった。2018年7月試算から収支が1.3兆円改善する結果だが、収支がなぜこれだけ改善したのだろうか』、放漫財政にしておきながら、改善するとは不思議だ。要因は何なんだろう。
・『収支の改善は、歳出側と歳入側の双方の要因が作用する。歳出が抑えられたり歳入が増えたりすれば、収支は改善する。内閣府の資料では、あいにくそのすべてが分解できる形で公表されていないが、公表されている部分から4つの要因に分解してみる。1つ目は国の一般会計歳出、2つ目は地方普通会計(地方財政を代表する会計)の歳出、3つ目は国と地方の税収総額、4つ目は残りの要因(すべてが公表されていないため前三者では説明できない部分)である。 まず、2019年度の国の一般会計歳出は、2018年7月試算では総額が99.0兆円だった。このうち国債費を除いた政策的経費(PB対象経費)は76.9兆円と見込んでいた。ところが、2019年度政府予算案では、歳出総額が101.5兆円、うち政策的経費が77.9兆円と、2018年7月試算より膨らんでいる。 2019年度予算案では、消費増税対策などで臨時的な歳出増が多いのも事実である。2019年1月試算では、臨時的な歳出増の部分は恒久的な歳出増とならない扱いにしている。2020年度までの臨時的な歳出増が終わると、2021年度以降は恒久的な制度や政策に基づく歳出だけになる。そこには、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革の効果までは含むが、2020年度以降は追加の歳出改革を行わない前提で試算されている』、「臨時的な歳出増の部分は恒久的な歳出増とならない扱いにしている」が、それでも「政策的経費」は1兆円膨らんだようだ。
・『大きい社会保障見直しの効果  そこで、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革の効果を、それを織り込んでいない2018年7月試算と、織り込んでいる2019年1月試算を比較してみると、その差異がわかる。 財政健全化目標の達成年次である2025年度において、成長実現ケースで、国の一般会計の政策的経費の試算結果はどうなっているか。2018年7月試算では88.7兆円と見込んでいたが、2019年1月試算では88.4兆円と、0.3兆円ほど減っている。これは2025年度における収支改善要因となる。とくに、2018年7月試算では、2025年度の社会保障関係費を41.2兆円と見込んでいたが、2019年1月試算では40.5兆円と、0.7兆円ほど減っている点が大きい。2019年度予算などで実施される社会保障の見直しの効果といえよう。 地方普通会計の歳出は、2025年度の政策的経費(PB対象経費)について、2018年7月試算では94.4兆円と見込んでいたが、2019年1月試算では93.4兆円と、1兆円ほど減っている。1つ目と2つ目の要因を合計すると、1.3兆円ほどの収支改善要因となっている。国からの補助金を財源に地方自治体が政策的経費を投じている部分があるから、本来は重複を除かなければならないが、筆者の独自の推計でそれを考慮しても、おおむね同規模の収支改善効果が生じているといえる』、「社会保障の見直し」や「地方普通会計の政策的経費」圧縮で「1.3兆円ほどの収支改善要因」といわれても、数字上のトリックではないかと疑いたくなる。
・『3つ目の要因が国と地方の税収総額だ。2025年度の税収総額(国の一般会計の税収等+地方普通会計の税収)が、2018年7月試算では137.0兆円と見込んでいたが、2019年1月試算では136.8兆円と、0.2兆円ほど減っている。2018年7月試算と2019年1月試算とでは、名目経済成長率はほとんど変わらない見通しとしていて、経済成長に伴う税の自然増収も同程度と見込んでいることから、経済見通しの更新に伴い自然増収が追加的に増えるという効果は、2019年1月試算では含まれていないとみられる。 2025年度のPBは、4つ目の残りの要因を含めると赤字が1.3兆円減る試算結果となって、今回の中長期試算では1.1兆円の赤字となった。今回の試算結果は、歳出抑制効果が主たる要因となって、2025年度のPBが改善する見通しになったと考えられる。これらが影響して、PB黒字化の年次が、2018年7月試算で2027年度だったのが、2019年1月試算では2026年と1年前倒しされる結果につながった。 2018年7月試算と2019年1月試算の歳出面での主たる差異は、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革の効果である。改革努力を毎年度積み重ねてゆくことで、2025年度の黒字化を実現していく必要がある。 努力すれば実現できる金額だが、道のりは険しい。2021年度以降、臨時的な歳出増を行わないことが前提となっているが、2020年の東京オリンピックに財政出動を求める政治的圧力が高まらないとも限らない。さらに、成長実現ケースでは、2020年代前半の名目成長率を3.4%程度と見込んでいるが、その成長率が実現しなければ、税収増は捕らぬ狸の皮算用となる』、「臨時的な歳出増を行わないことが前提」というのは、実現は難しそうだ。名目成長率も2018年実績0.7%からみると、3.4%とはどうみても高過ぎる。やはり、安部政権の大盤振る舞いの予算の影響を軽く見せるための「忖度」が大いに盛り込まれた架空の試算のようだ。
・『財政再建は早期の実行が効果的  今回の中長期試算から得られる1つの示唆は、歳出改革を早期に実施すれば、5年ほど経つと兆円単位の収支改善効果が出るということだ。経済成長を促すことは重要だが、財政再建には早期に歳出改革を実行することが効果的である。 そして、今回の中長期試算のもう1つの見どころは、成長実現ケースとは別に用意されたベースラインケースの試算内容である。それは、今年予定されている年金の財政検証を左右する。 5年に1度行われる年金の財政検証では、今後の経済前提の置き方が問われる。楽観的過ぎる経済前提を置けば、年金財政は一見安泰に見えるが、絵に描いた餅になってしまう。保守的な経済前提でも、年金給付がどうなるかを正直に国民に示す必要がある。 5年前の2014年の財政検証のときには、経済前提として内閣府の中長期試算が大いに参照された。当時の中長期試算では、より高い成長率のシナリオを「経済再生ケース」、より低い成長率のシナリオを「参考ケース」と呼んでいた。年金の財政検証では、経済再生ケースを前提とした推計をケースA~E、参考ケースを前提としたケースF~Hの計8通りの検証結果を公表した。 「年金の検証、またも安倍内閣の鬼門になるか」で詳述したように、ケースA~Eは楽観的な経済成長を前提に、所得代替率(注)が50%を割らずに100年後にも年金積立金が払底しない、いわゆる「100年安心」であるとの検証結果となった。ところが、ケースF~Hは成長率が低いことも影響し、所得代替率が50%を割る結果となった。 これを厚生労働省が正直に公表した点は良心を示したといえるが、低成長だと、年金改革を行わないと「100年安心」ではないことを示唆している』、低成長では「所得代替率が50%を割る」とは、やはり年金改革が必要なようだ。(注)所得代替率とは、厚生年金で、現役世代の平均的なボーナス込みの手取り賃金に対する新規裁定時の年金額の割合を、給付水準設定の基準としており、50%を上回ることが目標。
・『保守的な経済前提を使うとどうなるか  そして、今年の財政検証。前回を踏襲するなら、経済前提は中長期試算の2019年1月試算を参照することになろう。前回検証の経済再生ケースは、今回検証では前掲の成長実現ケースが対応する。前回の参考ケースは、今回はベンチマークケースである。 焦点はそのベンチマークケースの経済前提である。2018年7月試算のベンチマークケースでは、全要素生産性(TFP)上昇率(いわゆる技術進歩の進捗率)を1.0%と置いていた。1.0%は、前回の財政検証で使われた参考ケースと同じであり、1983年2月から2009年3月までの平均値である。TFP上昇率を高く仮定すると経済成長率も高く推計される。これを、2019年1月試算のベンチマークケースでは、0.8%に下方修正した。0.8%とは、2002年1月以降の平均値である。 直近の日本経済の状況を適切に反映し、保守的な経済前提を示したという意味でこの点は評価できる。今年の財政検証にこれをそのまま用いるとよい。ただ、経済成長率はその分低く推計されることになるから、年金の財政検証の結果はより厳しいものになる可能性がある。虚心坦懐に検証結果が国民に示されるのを待ちたい』、こうした試算が政治的にねじ曲げられることを防ぐためには、第二の記事にある「独立財政機関」がやはり必要なようだ。
タグ:東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 国民負担率 磯山 友幸 加藤 出 土居 丈朗 「中長期の経済財政に関する試算」 政府財政問題 (さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される 「国民負担率2年連続減」の大ウソ、日本の「腐敗指数」は先進国で中の下 独立財政機関が必要!?、基礎的財政収支の黒字化 1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する) 「さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される 「国民負担率2年連続減」の大ウソ」 記者が「だまされる」いわく付きの発表 毎年同じ「恣意的」とも言えるデータが発表され続けている 国民負担率を小さく見せようという「意図」 2016年度までは実績、2017年度は実績見込み、2018年度は見通しである 財務省は、負担は軽くなるというデータを毎年のように示しながら、「実績」となると過去最高を続けているわけだ 財務省の「印象操作」 これは日本経済新聞だけの問題ではなく、朝日新聞ほかの大手メディアは概ね「引っかかって」いる 目白押しの増税プランが負担率を押し上げる 「日本の「腐敗指数」は先進国で中の下、独立財政機関が必要!?」 腐敗認識指数2017 先進国では真ん中よりやや下に位置 清潔度上位ベスト6の中に、北欧の福祉国家が4カ国 北欧4カ国は「大きな政府」であり、「高負担・高福祉」 国民は大きな不満を抱いていない。政府の清潔度が高く、税金は社会保障などに適切に使われていると、国民が政府を信頼しているからである OECDが強く推奨している独立財政機関の設置を日本でも真剣に検討する必要 G7で採用していないのは実は日本だけ 「基礎的財政収支の黒字化、1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する」 018年7月試算から収支が1.3兆円改善する結果 臨時的な歳出増の部分は恒久的な歳出増とならない扱いに 大きい社会保障見直しの効果 歳出抑制効果が主たる要因となって、2025年度のPBが改善する見通しになったと考えられる。これらが影響して、PB黒字化の年次が、2018年7月試算で2027年度だったのが、2019年1月試算では2026年と1年前倒しされる結果 名目成長率も2018年実績0.7%からみると、3.4%とはどうみても高過ぎる 安部政権の大盤振る舞いの予算の影響を軽く見せるための「忖度」が大いに盛り込まれた架空の試算のようだ 財政再建は早期の実行が効果的 保守的な経済前提を使うとどうなるか
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2019年展望(アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機) [経済政治動向]

大晦日の今日は、2019年展望(アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機)を取上げよう。

先ずは、みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミストの高田 創氏が12月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189579
・『アベノミクスのもとで景気拡大は12月で戦後最長の「いざなみ景気」にならび、来年1月には最長記録を更新する可能性がいわれている。 好況を生み出したのが、想定を超える円安が株高につながる好循環だが、2019年はこの好循環が「2016年」のように途切れる可能性がある』、憂鬱な展望だが、確かに悪材料が揃っており、覚悟が必要なようだ。
・『円安の好循環が途切れた「2016年の再来」の可能性  2012年以降のアベノミクスの成果は企業が想定する為替レートを超えた円安が株高をもたらす好循環によるものだった。 逆にいえば平成バブル崩壊以降の景気停滞は超円高と資産デフレの悪循環が原因だった。つまりアベノミクスの成功は超円高・株安悪の循環を超金融緩和の金融政策で断ち切ったことにあった。 だが、2012年以降の好循環が初めて途切れたのが2016年だ。 図表1は想定為替レートと円ドル為替の推移だ。図表を振り返っても2016年は明らかに、これまでの想定為替レートを超える円安の好循環が崩れたことが示される。 現在は、依然、円ドルの為替水準は、想定為替レートより円安になっていて「好循環」が続いているのは救いだが、一方で懸念は世界的な景気拡大を牽引してきた中国サイクルとITサイクルが下方に転じたことだ。 2019年についての最大のリスクシナリオは、2016年同様に想定為替レートを超える円高によって好循環が途切れることだ。 その可能性が現実になるとしたら、世界経済の環境悪化で、米国FRBの利上げスタンスが転換し、日米の金利差縮小などの予想から円高トレンドに一気に転じることだ。 それは同時に金融・財政当局にとっても、急速な円高圧力のもとで、マイナス金利を導入するなど、マクロ政策運営で苦闘させられた、2016年のトラウマ、悪夢の再来となりかねない』、2016年ぐらいで済むのだろうか。
・『世界経済は“足踏み状態” 中国の減速が最大のリスク  そうした状況に陥る可能性は、図表2のグローバルな景況感を反映するグローバル合成PMIの推移をみてもわかる。現在の形状は2015年から2016年にかけて生じた状況に類似する。 実体経済は、堅調な米国を除き一時的な足踏み状態(ソフトパッチ)の様相を呈し、今後、2015~2016年のように世界経済が減速に至る不安がある。 2016年は中国を中心とした新興国経済の減速が、米国・ユーロ圏など先進国経済にも波及した。現状も中国経済の減速やITサイクルのピークアウトなどを起点として当時と似た状況に陥るリスクを秘めている。 なかでも最大の不安定要因が中国経済である。 次に示した図表3は、中国の景況感を示している。みずほ総研ではこれを「チャイナ・クロック」として活用している。  過去を振り返っても、製造業を中心にした世界の景況感は、中国の動きに少し遅れる形で、その動きに連動するように変わってきた。 2013年から14年、15年初にかけて中国ショックとされた中国の落ち込みが、その後、世界経済の減速を招いた。しかし15年から中国の景況感が回復に向かったことに加え、世界的なITサイクルの改善があって世界経済は回復、さらに、2016年末以降、米国トランプ政権主導の景気回復が世界全体を押し上げた。 その後、中国の景況感は2016、17年と徐々に減速に向かい、足元は停滞へと下方に向かい始めた様相になっている。加えて、国内自動車販売や輸出が下方屈折を示していることもあり、世界経済の牽引エンジンの中国経済が停滞局面に入った可能性がある』、「中国経済が停滞局面に入った」とすれば、日本への影響も甚大だろう。
・『2016年と類似する2019年のリスク  下記の図表4は、2016年の世界の状況と今を比較したもので、既にいくつかの共通項がある。 最近でも、原油価格下落のほかにも、Brexitをめぐる不透明感の強まりなどは、15~16年と共通するものだ。 欧州ではほかにも、イタリアなどの財政問題や独仏でのメルケル首相やマクロン大統領の指導力低下などもあり、欧州地域の不安定化も16年との共通点だ』、ただ、よくよく図表3を見ると、15~16年の中国経済は回復局面にあったのに対し、今回は停滞局面にあり、Brexitの影響も今回の方が大きそうなので、15~16年より深刻とみるべきだろう。
・『円高で日銀と財務省は「悪夢の再来」 財政金融政策の余力少ない  それでは、2016年の日銀と財務省の“悪夢”はなんだったのか。 当時、2015年末から2016年にかけての急速な円高トレンドへの転換で、日銀はさらなる金融緩和策として2016年1月のマイナス金利導入に追い込まれた。 さらに、16年6月の国民投票でのBrexit決定を受けて進んだユーロ安・円高も加わり、日銀は9月には、10年物国債をゼロ近傍に誘導するイールドカーブ・コントロールまで踏み出すことになった。 一方、財務省にとっては2016年6月の消費増税延期に追い込まれたことが、トラウマだ。 日銀は2018年7月の金融政策決定会合で、16年に「劇薬」に近い金融緩和強化に追い込まれた状況からの正常化を行うべく、長期金利の誘導幅を広げ金利上昇の余地を増やすなど、事実上、異常な緩和政策の「出口」に向けたスタンスにかじを切り始めている。 一方、財務省は2019年10月の消費増税を起点として財政再建への一歩を踏み出そうとしている。 以上の金融・財政当局の動きは、今日の局面からは極めて妥当な政策と筆者は判断している。 ただし、そうした正常化への動きに対する大きなハードルが「2016年のリスク」の再来であり、このことは、2019年の最大のリスクとして認識する必要があるだろう。 しかも困ったことには、「2016年の再来」というリスクケースに陥った時に、対応する金融財政政策の余地が乏しいことだ。 政策当局は、過度な円高を回避するべく米国との十分なコミュニケーションを深めるとともに、日本国内での円高への過剰反応を抑えることも必要になるだろう』、確かに今回は政策的に打つ手がないのは深刻だ。高田氏は立場上、悲観色を薄めているが、厳しい目にみるべきだろう。

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が12月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本が抱える2019年、7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257758
・『「2019年は株価が下落する要素しか思いつかない」「不安材料しかない」株式市場関係者の声だが、実際に今年のクリスマスはそんな展開となった。アメリカ株がニューヨークダウ平均で600ドル超の大幅下落となり、日本株も日経平均で1000円を超す下落幅を記録するなど、惨憺たる状況で終わった。 アメリカでは、リーマンショック以来の大幅な下げとなり、一部では「暗黒のクリスマス」といった悲観的な表現も飛び交った。クリスマス明けの株式市場では1000ドルを超す史上最高の暴騰となったものの、トランプ政権の方向性のない迷走ぶりに投資家も直面せざるを得なかったともいえる。 もっとも、2019年には世界的な景気後退懸念をはじめとして、アメリカや欧州にはさまざまな不安要素にあふれている。米中貿易交渉や英国の合意なきEU離脱(ハードブレグジット)といったリスク要因があり、そこにトランプ米大統領の気まぐれな政策姿勢が世界に大きな混乱をもたらしている、と言っていいだろう。 そんな状況の中で、日本の2019年はいったいどんな1年になるのか。大混乱の外的要因に加えて、日本国内の内的要因も日本には存在する。日本経済の2019年を俯瞰してみたい』、これは株価の暴落も踏まえた記事なので、第一の記事よりは現状を織り込んでいる可能性がある。
・『消費税、五輪バブル、世界同時株安  とりあえずいま直面している世界同時株安だが、その影響は日本市場にも重くのしかかって来ている。アメリカの株式市場が下落すると、それに輪をかけて日本市場も大きく下げるのが通常のパターンだが、今回もその状況が再現されるとみていいのかもしない。 FRB(米連邦準備制度理事会)よる金利の引き上げが、株価下落の最大の要因であることは間違いないが、アメリカの株価下落の影響で、日経平均株価は10月2日には2万4270円という高値をつけていたものの、12月26日にはその高値から15%も下落した。 ニューヨークダウは、10月3日の2万6828ドルから12月24日には2万1792ドルまで大きく下げて、下落率は18%を超えた。そう考えると、日本の株価はもっと大きく下げる可能性が高い。 もっとも、現在の株式市場はほとんどヘッジファンドのAI(人工知能)による投資判断が主流だから、「パウエルFRB議長、解任か?」といったニュースに、AIが反応した株価下落ともいえる。それだけ、トランプ米大統領が発信する「トランプリスク」が市場の混乱を招いているともいえる。 いずれにしても、日本は株価をはじめとして外的要因が大きく作用していることは確かだ。2019年はこうした外的要因に加えて、日本国内の内的要因によって株価や景気が大きく影響を受けるのではないかと言われている。 実際に、金融市場に大きな影響をもたらしそうな外的リスクには何があるのだろうか。大雑把に考えると次の4点に絞られるだろう。 ①合意なきブレグジットへの懸 ②米中貿易協定交渉、念日米物品協定(TAG)などアメリカによる一連の保護貿易主義 ③FRBによる金利引上げ懸念 ④一連のトランプリスク  合意なきEU離脱(ハードブレグジット)は、早ければ1月中旬にもイギリス議会で採決が行われるが、ブレグジットの承認に至る前に、メイ英首相の不信任案が英国議会に出される可能性が高く、与党の保守党内からの反乱などで承認される可能性もある。メイ首相が不信任となれば、総選挙の実施となり、事態はさらに混乱していく』、4つとも深刻なリスクだ。
・『ハードブレグジットでデリバティブが不安定に?  ハードブレグジットの最大の懸念は、金融派生商品(デリバティブ)の決済機関の大半がロンドンに集中しているため、デリバティブ商品が不安定になることだ。想定元本6000兆円とも言われており、リーマンショック時の6200兆円に匹敵する金融危機の可能性も否定できない。実態が不透明なのも、混乱に拍車をかける。 アメリカの保護貿易主義に関しては、1月から日米の物品貿易交渉がスタートするが、日本に不利な貿易交渉になるのは避けられないだろう。戦闘機を大量に発注することで交渉を有利にしようとする安倍政権の目論見通りに行けばいいのだが、先行きは不透明だ。 一方のアメリカと中国の貿易交渉の期限も2月末に迫っており、互いに25%の関税を掛け合うような事態になる可能性がある。そうなれば、日本企業への影響は大きくなる。 一連のトランプリスクも、ますます拡大している。シリアから米軍を撤退させるなど地政学リスクにも及んでおり、メキシコの国境に壁を作る予算をめぐって政府機関の一部閉鎖が続いている。トランプ大統領自身にも、ロシア疑惑がいよいよ核心に迫っており弾劾裁判への動きがスタートするかもしれない。株価暴落の要因になるはずだ。 トランプ大統領にリーダーシップがないことは明らかであり、アメリカがいまや世界最大のリスクとなりつつある。アメリカに依存しすぎる日本にとって 2019年は極めて大きなリスクを抱えることになるのかもしれない』、「ハードブレグジットでデリバティブが不安定に?」というのは、やや誇張気味だ。決済がロンドンに集中していることは事実だが、参加者はいずれもプロであり、予め織り込んでいる筈だ。
・『日本固有のリスクが爆発する?  さて、そんな外的要因にさらされている日本だが、2019年にはさらなる国内要因のリスクが存在している。簡単に列記すると次のようになる。 ①東京五輪バブルの崩壊が始まる ②消費税率アップによる景気減速リスク ③日銀の金融政策の機能不全  まずは東京五輪のバブル崩壊だが、周知のようにオリンピックにはバブル崩壊がつきものだ。21世紀になってからのアテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロといった歴代の五輪でも、開催決定直後から株式市場などは上昇するものの、早ければ実際の開催から数年前、遅くとも五輪開催直後から株価下落、景気減速するケースが多い。 たとえばアテネの場合は2000年に起きたITバブル崩壊の影響を受けて、アテネ総合指数の株価は6000ポイントから1000ポイント台まで下落。五輪開催時には2500ポイント前後に戻して、その後は順調に推移した。 しかし、最近の傾向としてはオリンピック開催前後の景気減速が当たり前で、投資が集中する開催前の2~3年をピークに、開催の半年前ぐらいから景気減速が始まることが多い。とは言え、その大半はオリンピックの開催とは関係のないITバブル崩壊やリーマンショックといった経済全体の動きに左右されることのほうが多い。 唯一の例外は2000年のシドニーぐらいで、五輪の準備中から開催後も含めて株価や経済全体が上昇基調となった。オーストラリアのシドニー・オリンピックが比較的影響を受けずに済んだのは、2000年をピークとしたITバブルで世界中の景気が高騰していた時期と重なり、さらにITバブル崩壊の影響を資源国「オーストラリア」は、さほど受けなかったからかもしれない。 既存の建物を活用するなど、財政的な負担を極力抑えたロンドン五輪では、残念なことに開催した2012年までの間にリーマンショックを迎えたため、一時期は大きな株価低迷、景気減速となった。五輪開催後はリーマンショックからの立ち直りで、世界的に景気が拡大し、五輪の影響は最小限に済んだと言われる。 東京オリンピックは、当初5000億円程度の予算と言っていたのが、 いつのまにか2兆9600億円の規模になっており、15万人の雇用創出を生むという内容に変化した。都内で人手不足の元凶になっているのは、東京五輪の経済効果なのかもしれない。 もっとも、日本の場合は政府が意図的に五輪バブルを演出しており、2次的な波及効果も合わせれば5兆円規模と言われているが、早ければ開催日である2020年8月の1年前ぐらいから景気減速が見えてくるかもしれない。オリンピック関連施設などが次々に完成してくる段階で、建設現場での雇用などが失われていくことになる。 そもそも5兆円規模の経済効果といえば、日本のGDPの100分の1程度だから、経済効果は期待薄。最近のオリンピックに経済効果はない、と言われるゆえんだ。特に、先進国には経済的なメリットは少ない。それが分かっていながら、政府は意図的にバブルを演出しており、国民の意識の中に消費拡大を浸透させようとしている。 東京都は2030年までのレガシー効果などを含めて32兆円の経済効果があると試算している。仮に32兆円あったとしても、日本経済全体からすればたいしたことのない数字と言える。2020年の本番前に少なくとも直接的な経済効果は吹き飛ぶ可能性がある。 2019年は、アメリカの景気後退も顕著になってくるはずだから、日本では五輪バブル崩壊と合わせて意識的な消費低迷が加速する可能性がある。わずか2週間程度のイベントのために、莫大な公共投資を集中して行うのがオリンピック。言い換えれば、景気刺激策としては絶好の好機なのだが、その反動は避けられない』、オリンピック特需は大したことはないとはいえ、他の悪材料と重なると影響は深刻だろう。
・『過剰な消費税率アップ対策、逆に景気抑制効果か?  ②の消費税率アップに伴う景気後退懸念だが、政府は食料品など一部の商品に対しては8%の税率を維持。加えて、キャッシュレスによる買い物に対してポイント還元するなど、消費税率引き上げのショックを和らげようと必死になっている。消費税率アップの影響がどの程度出るのかは未知数だが、 はっきり言えることはわずか2%の消費税率アップのために民間企業は各種の対応に追われ、大きな負担を強いられるということだ。 大衆迎合的なバラマキをするぐらいなら、政府や地方自治体のペーパーレスや印鑑レスといった作業効率のアップを測ったほうがよほど経済効果が見込めそうなものだ。医療制度の効率を図るためにスマホによる処方箋の処理を解禁するなど、スマホ社会に適合した規制緩和をどんどん推し進めて行く方がよほど経済効果は高いだろう。 ③の日銀の金融政策機能不全というのは、世界中で今後の景気減速が懸念されている中で、日本だけが金利引き下げや量的緩和できる余地を持っていない状況のことだ。景気減速に対応できる金融政策が打てないことを意味しており、日本だけが他の国よりも大きく減速する可能性があるかもしれない。 さらに、日銀はこれまでETF(上場投資信託)を通して購入した株式などの金融資産を大量に保有しているわけだが、日経平均株価が1万8000円を割り込むと、購入した価格よりも割り込む元本割れの状態となり、日銀が大量の不良債権を抱えることになってくる。 日銀の信用が落ち込んで、日本銀行発行券=円の価値が大きく下落する可能性が出てくる。黒田東彦・日銀総裁が心配する1ドル=125円の壁を大きく突破してしまう可能性もあるということだ。そうなれば原油価格が大きく落ち込んではいてもガソリン価格は上昇し、 輸入品の価格も大きく上昇することになる。 景気が悪い中でのインフレ=スタグフレーションが2019年には心配されるということだ』、大幅円安によるスタグフレーションは確かにありそうなシナリオだ。
・『日本が抱える最大のリスクは「財政赤字」!  さて、2019年がどんな1年になるのかは正直言って誰にも分からないことだが、その対応を考えることは大切だろう。アメリカ経済の景気減速が心配されている中で、急激な円高も予想されるし、逆に日本の景気減速が想定範囲を超えれば、次は円安が心配になってくる。 日本経済にとって最大のリスクは何かということを考えておくべきだろう。東京オリンピックの経済効果が薄れてくる2019年の後半には、何が起こるのか。インフレ率2%を達成させるために、安倍政権は6年もの間、450兆円もの莫大な資金を中央銀行を通して市中に流してきた。 この流動性を縮小しなければならない期限も2019年あたりから始まる可能性がある。日銀の金融政策で残されたものと言えば、実際にヘリコプターから現金をばらまくことぐらいしかない、とも言われている。 急激な円安が進んで輸入インフレが起これば、日銀はインフレ抑制のために金利を引き上げなければならない。金利上昇のためには、現在の異次元の量的緩和を中止しなければならない。そもそも日銀が国債を買い入れることで、銀行などに大きな負担をかけ続けてきた。 ややもすると忘れられがちだが、日本経済にとって最大のリスクは、昔も今も1000兆円を超す財政赤字であることだ。その事実を忘れてはならない。ヘリコプターマネー論は最近、勢いを失ったが、景気が悪くなれば再び息を吹き返す可能性がある。その場合は、財政赤字がさらに膨大に膨らみ、円の大暴落、長期金利の高騰による財政赤字の一層の拡大となって、悪循環に陥る懸念がある点は、要注意だ。

第三に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が12月28日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257650
・『「あと3年、日本のかじ取りを担う決意だ」と9月の自民党総裁選圧勝で3選を果たした安倍晋三首相だが、年の瀬の永田町では「任期全うは簡単ではない」(自民長老)との声が広がっている。 平成最後のクリスマスに株価が2万円の大台を割り込むなど、アベノミクスの危機が目立ち、米中貿易摩擦やEU(欧州連合)主要国の混乱などで国際情勢も流動化が際立つ。「内政外交ともいつ、何が起こるか分からない状況」(閣僚経験者)だからだ。 来年は統一地方選と参院選が重なる「政治決戦の年」で、10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。12月26日に再登板から満6年を迎えた首相にとっても「不安がいっぱいの政権7年目」(側近)となることは避けられない』、第二次安倍政権の「ツキ」もいよいよ剥げそうだ。
・『政治日程は窮屈、難題も多い  来年の政治日程をみると、首相の政権運営の前途には多くの関門が並ぶ。1月28日召集予定の通常国会では、初の100兆円台となった2019年度政府予算の早期成立が最優先課題だが、国土強靭化のための大型補正予算の処理が先行するため、年度内成立への審議日程は極めて窮屈だ。 さらに、4月は統一地方選投開票日(前半7日、後半21日)で、21日には衆院の沖縄3区や大阪12区の補選も実施される。その後も4月30日に天皇陛下退位、5月1日に新天皇即位という歴史的皇室行事があり、6月末の主要20カ国・地域(G20)首脳会合のあとの7月下旬に参院選、そして10月1日には消費増税へと進む。まさに政治的ビッグイベントが目白押しだ。 政権運営からみると、首相にとっての最初の関門は沖縄3区補選だ。今年9月末の沖縄県知事選で与党が推した候補が、主要野党と「オール沖縄」が擁立した玉城デニー前衆院議員(自由党)に大敗しただけに、玉城氏の転出に伴う4月21日の沖縄3区補選で与党支持候補が敗れれば、政府が強行している米軍普天間飛行場の辺野古移設のための埋め立て工事への影響も避けられない。 併せて、統一地方選で自民の苦戦が際立てば、与党内で参院選への危機感が高まる一方で、野党共闘に勢いがつくことは確実だ。 もちろん首相にとっての最大の難関は、7月下旬に予定される参院選だ。今年7月、国会で定数6増(選挙区2比例代表4)を盛り込んだ公職選挙法改正が成立したことで、来夏の参院選の改選は124議席(同74同50)となる。 今回改選の対象となる2013年参院選では、自民党が2001年以降で最多となる65議席(同47同18)を獲得、特に1人区では自民が29勝2敗と完勝した。自民党は2016年参院選でも56議席(同37同19)と圧勝して27年ぶりに単独過半数を回復し、憲法改正に前向きな一部野党も加えたいわゆる「改憲勢力」が、参院でも「3分の2」を超えた。 ただ、2019年の参院選以降の「3分の2勢力」維持には、2013年並みの自民大勝が必要だが、「現状では50議席台前半に留まる」(選挙専門家)との見方が多い。32の1人区で主要野党が統一候補を擁立すれば、「自民党は20議席獲得が精一杯」(同)とされ、残る13の複数区でも自民複数当選が見込めるのは1~2区しかない。 さらに、比例代表も2017年衆院選での各党の得票などから推計すれば、「自民が20議席を超えるのは困難」(自民選対)との見方が多く、自民合計議席は改選前を大幅に下回る50台前半というのが「常識的見方」(同)だ。その場合、参院全体で自民党は単独過半数を大きく割り込み、「改憲勢力3分の2」も消滅することになる。 第1次安倍政権で実施された前回の「亥年選挙」の参院選(2007年7月)では、自民党が37議席という歴史的惨敗を喫し、9月の首相退陣につながった。それだけに首相は「何としても汚名をそそぎたい」と秘策を練っているとされる』、どんな秘策が出てくるのだろう。
・『「7.28同日選」も取らぬ狸の皮算用  そこで浮上してきたのが「衆参同日選」断行論だ。通常国会が1月28日召集となれば会期末は6月26日で、会期延長がなければ参院選は自動的に7月21日投開票となる。6月28、29両日にはG20首脳会合が大阪で開催されるが、首相はこれに合わせて来日する予定のプーチン・ロシア大統領との日ロ首脳会談で、「残された最大の外交課題」である日ロ平和条約締結と北方領土問題での「基本合意」に強い意欲を示している。 このため、永田町では「歴史的な日ロ合意を大義名分に、首相が“日ロ解散”に打って出る」(自民長老)との憶測も広がる。その場合は、短期会期延長による7月初旬解散・28日投開票という「7.28同日選」となる可能性が大きい。 過去2回行われた同日選はいずれも自民党が圧勝した。今回も「政権選択選挙となる衆院選をかぶせれば、野党選挙共闘は破綻する」(自民選対)との見方が多い。「野党共闘潰しの秘策で、首相の国政選7連勝となれば、参院選後の憲法改正実現にも弾みがつく」(細田派幹部)という期待もある。 ただ、“超難題”の北方領土問題で「歯舞・色丹の2島先行返還」への道筋すら明確にできなければ、「同日選どころではなくなる」(自民選対)ことも予想され、現時点では「まさに、取らぬ狸の皮算用」というのが実態だ。 そうした首相サイドの思惑を狂わせそうなのがアベノミクスの危機だ。25日の株価急落で「来年以降の世界経済減速の前触れ」(有力エコノミスト)との見方が広がり、日本経済への影響も深刻化する可能性が出てきたからだ。 ただ、25日を底に27日には株価が2万円を回復したこともあり、与党幹部は「世界経済は今のところ堅調」(岸田文雄自民党政調会長)、「日本のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」(斎藤鉄夫公明党幹事長)と平静を装うが、政府部内には「1日で1000円もの急落はリーマンショック級で、年末以降も不安定な値動きが続くのは確実」(経産省幹部)との警戒感が広がっている。 これに対し、主要野党は「異常な金融緩和などで株価を支えてきたが、限界が露呈しつつある」(大塚耕平国民民主党参院議員会長)とアベノミクスの失敗が原因だと指摘、「消費不況が深刻化している。消費増税はあり得ない」(枝野幸男立憲民主党代表)と増税見送りも要求している。 菅義偉官房長官は記者会見で「リーマンショック級の事態が起きないかぎり、法律で定められたとおり来年10月から引き上げる予定だ」と繰り返したが、与党内には「来年も株価が低迷したままなら、首相が来年のG20を経て増税の延期や凍結を表明する可能性がある」(閣僚経験者)との声も相次ぐ。ただ、そうなれば「首相自身がアベノミクスの破たんを認めたことにもなる」(自民長老)だけに首相の責任問題も浮上する』、確かに北方領土交渉は、「二島先行」も難しくなりそうな雰囲気だし、アベノミクスの「化けの皮」が剥げつつあることも大きな打撃だろう。
・『安倍首相は自信満々も、経済に暗雲  そうした中、首相は連休明けの25日に記者団から第2次安倍政権満6年の感想を求められると「大変感慨深い。7年目を迎えても日々、国家国民のため全力投球で頑張っていきたい」と語るとともに、あえて第1次安倍政権にも言及し「非常に肩に力を入れて頑張ったが1年で終わった。あの挫折と経験が大切な肥やしになった」と自信満々の笑顔で振り返ってみせた。 しかし、政権の命綱でもあったアベノミクスが危機に瀕し、年明けから始まる日米貿易交渉でも「盟友」のはずのトランプ米大統領が首相を攻め立てる場面も想定される。任期中の実現を公約した「憲法改正」も実現の見通しは立たず、「政権のレガシー(遺産)」作りのための日ロ交渉も「失敗すれば安倍外交も失速する」(自民幹部)ことは確実だ。このため、首相の自信とは裏腹に「7年目の政権運営は内政外交とも八方ふさがり」(首相経験者)ともみえる。 来年の干支(えと)は己亥(つちのとい)で前回は1959年。その年に結婚された当時の皇太子が、60年後の2019年4月、天皇を退位されるという因縁も絡み、2019年は新時代の幕開けの年になる。さらに歴史を紐解けば、60年前は首相の祖父の故岸信介元首相が押し進めていた日米安保改定への反対運動で岸政権が揺れ、5000人以上の死者を出した伊勢湾台風に襲われた年でもある。 己亥は「足元を固めて次を目指す」との意味合いがあるとされるが、政権7年目の首相が足元を固めて、首尾よく2019年11月20日の「史上最長政権」にたどり着けるかは、なお予断を許さない』、「内政外交とも八方ふさがり」とは言い得て妙だ。2019年は経済面では厳しくなるが、安倍政権の崩壊がありそうなのは楽しみだ。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 高田 創 泉 宏 岩崎 博充 2019年展望 (アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か、日本が抱える2019年 7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か、2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中 アベノミクスに危機) 「アベノミクスの好循環が途切れた「3年前の悪夢」が2019年に再来か」 2019年はこの好循環が「2016年」のように途切れる可能性がある 円安の好循環が途切れた「2016年の再来」の可能性 2019年についての最大のリスクシナリオは、2016年同様に想定為替レートを超える円高によって好循環が途切れることだ 世界経済は“足踏み状態” 中国の減速が最大のリスク 2016年と類似する2019年のリスク 原油価格下落のほかにも、Brexitをめぐる不透明感の強まりなどは、15~16年と共通 円高で日銀と財務省は「悪夢の再来」 財政金融政策の余力少ない 「2016年の再来」というリスクケースに陥った時に、対応する金融財政政策の余地が乏しい 過度な円高を回避するべく米国との十分なコミュニケーションを深めるとともに、日本国内での円高への過剰反応を抑えることも必要になるだろう 「日本が抱える2019年、7つの重大な経済リスク 五輪バブルが弾けるのは2019年後半か」 2019年には世界的な景気後退懸念をはじめとして、アメリカや欧州にはさまざまな不安要素にあふれている 大混乱の外的要因に加えて、日本国内の内的要因も日本には存在する 消費税、五輪バブル、世界同時株安 金融市場に大きな影響をもたらしそうな外的リスク ①合意なきブレグジットへの懸念 ②米中貿易協定交渉、念日米物品協定(TAG)などアメリカによる一連の保護貿易主義 ③FRBによる金利引上げ懸念 ④一連のトランプリスク 日本固有のリスクが爆発する? ①東京五輪バブルの崩壊が始まる ②消費税率アップによる景気減速リスク ③日銀の金融政策の機能不全 過剰な消費税率アップ対策、逆に景気抑制効果か? 景気が悪い中でのインフレ=スタグフレーションが2019年には心配される 日本が抱える最大のリスクは「財政赤字」! 「2019年の安倍政権に渦巻く「7年目の不安」 選挙が目白押しの中、アベノミクスに危機」 再登板から満6年を迎えた首相にとっても「不安がいっぱいの政権7年目」(側近)となることは避けられない 政治日程は窮屈、難題も多い 政治的ビッグイベントが目白押し 最大の難関は、7月下旬に予定される参院選 自民合計議席は改選前を大幅に下回る50台前半というのが「常識的見方」 「7.28同日選」も取らぬ狸の皮算用 歴史的な日ロ合意を大義名分に、首相が“日ロ解散”に打って出る “超難題”の北方領土問題で「歯舞・色丹の2島先行返還」への道筋すら明確にできなければ、「同日選どころではなくなる」 首相サイドの思惑を狂わせそうなのがアベノミクスの危機 年も株価が低迷したままなら、首相が来年のG20を経て増税の延期や凍結を表明する可能性がある そうなれば「首相自身がアベノミクスの破たんを認めたことにもなる」 首相の責任問題も浮上
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
経済政治動向 ブログトップ